(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028677
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】水素流量濃度計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/66 20220101AFI20230224BHJP
G01N 29/024 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
G01F1/66 101
G01N29/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134529
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 正誉
(72)【発明者】
【氏名】三好 麻子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真人
【テーマコード(参考)】
2F035
2G047
【Fターム(参考)】
2F035DA03
2F035DA13
2F035DA14
2F035DA19
2G047AA01
2G047BC02
2G047BC15
2G047EA10
2G047GG43
(57)【要約】
【課題】水素を含む混合ガスが高湿度の状態であっても、水素の流量や濃度を計測できる計測装置の提供を目的とする。
【解決手段】計測流路1の流れをよぎる様に配置された超音波送受波器2、3と、超音波送受波器2、3間の超音波伝搬路6における水素を含む被計測混合ガスの温度、圧力、相対湿度を計測するための温度センサ9、10と圧力センサ11と、相対湿度センサ13とを有した構成において、超音波送受波器2、3間の伝搬時間と、温度センサ9、10、圧力センサ11、および相対湿度センサ13、それぞれの計測値とを用いることにより、被計測混合ガスが高湿度状態であっても、水素の流量と濃度を精度良く計測することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む混合ガスが流れる計測流路と、
前記混合ガスの流れをよぎるように前記計測流路に配置された一対の超音波送受波器と、
前記一対の超音波送受波器間で超音波の送受信を行うための送受信回路と、
前記送受信回路の信号を処理するための第1の信号処理部と、
前記混合ガスの温度、圧力、湿度を計測するためのセンサ部と、
前記センサ部を用いて、前記混合ガスの温度、圧力、湿度の計測値を取得する第2の信号処理部と、
前記第1の信号処理部において得られた超音波送受波器間の伝搬時間と、前記第2の信号処理部において得られた、前記温度、前記圧力、および前記湿度の計測値と、を用いて、前記混合ガスの水素の流量、および濃度を算出する演算部と、
を備えた水素流量濃度計。
【請求項2】
前記計測流路は、仕切板で区切られた多層流路により構成した請求項1記載の水素流量濃度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いた水素流量濃度計の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池や、燃料電池車(FCV)等、燃料電池を使用する分野において、高湿度の水素混合ガスにおける、水素の流量と濃度の計測が必要とされている。
【0003】
従来、水素を含む混合ガスの濃度を計測する方法として、超音波を利用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この装置では、まず、超音波の伝搬時間計測値より混合ガスの音速を求め、その値と計測温度を用いて、混合ガスの平均分子量を求める。次に、既知である成分ガスそれぞれの分子量を用いて、成分ガスである水素の濃度を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、成分ガスである水素の濃度を求めるに際して、対象ガスが高湿度状態である場合の水素濃度計算については記載されておらず、高湿度状態にある混合ガスの水素濃度計測が課題となっていた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、水素を含む混合ガスが高湿度状態であっても、その混合ガスの水素の流量や濃度を精度よく計測できる計測装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の水素流量濃度計は、水素を含む混合ガスが流れる計測流路と、前記混合ガスの流れをよぎるように前記計測流路に配置された一対の超音波送受波器と、前記一対の超音波送受波器間で超音波の送受信を行うための送受信回路と、前記送受信回路の信号を処理するための第1の信号処理部と、前記混合ガスの温度、圧力、湿度を計測するためのセンサ部と、前記センサ部を用いて、前記混合ガスの温度、圧力、湿度の計測値を取得する第2の信号処理部と、前記第1の信号処理部において得られた超音波送受波器間の伝搬時間と、前記第2の信号処理部において得られた、前記温度、前記圧力、および前記湿度の計測値と、を用いて、前記混合ガスの水素の流量、および濃度を算出する演算部と、を備えたことにより、被計測流体が高湿度の状態でも、被計測流体に含まれる水素の流量、濃度を精度良く計測でき、実用的な水素流量濃度計を実現できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水素流量濃度計は、計測対象の混合ガスが高湿度であっても、相対湿度・温度・圧力の計測値を用いて対象とするガスに含まれている水素の流量、濃度を精度良く計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1における水素流量濃度計の構成断面図
【
図2】本発明の実施の形態1における
図1のA-A部分断面図
【
図3】本発明の実施の形態1における水素流量濃度計の流路部の外観斜視図
【
図4】本発明の実施の形態1における水素流量濃度計の構成要素の分解組立図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、水素を含む混合ガスが流れる計測流路と、前記混合ガスの流れをよぎるように前記計測流路に配置された一対の超音波送受波器と、前記一対の超音波送受波器間で超音波の送受信を行うための送受信回路と、前記送受信回路の信号を処理するための第1の信号処理部と、前記混合ガスの温度、圧力、湿度を計測するためのセンサ部と、前記センサ部を用いて、前記混合ガスの温度、圧力、湿度の計測値を取得する第2の信号処理部と、前記第1の信号処理部において得られた超音波送受波器間の伝搬時間と、前記第2の信号処理部において得られた、前記温度、前記圧力、および前記湿度の計測値と、を用いて、前記混合ガスの水素の流量、および濃度を算出する演算部と、を備えた構成とすることで、前記流れに含まれる水素の流量、濃度を算出するもので、計測対象ガスが高湿度の状態でも、計測された温度・圧力・相対湿度を用いて水素の流量、濃度を精度良く計測でき、実用性の高い水素流量濃度計を実現できる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記計測流路は、仕切板で区切られた多層流路により構成したことで、流れの整流化、乱れの安定化が図られ、計測物理量(温度、圧力、相対湿度)の変動を抑えることができ、安定した流量および濃度の計測が実現できる。
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
実施の形態1について、
図1~
図4を用いて説明する。
【0016】
[1-1.構成]
図1は本発明の実施の形態1における水素流量濃度計の本体断面と構成要素を示す構成図であり、
図2は
図1のA-A断面を示す部分断面図である。
【0017】
図1、
図2において、流路部本体17の中央には、水素を含む混合ガスなどの被計測流体が流れる計測流路1が形成されており、計測流路1には、被計測流体の流れをよぎるように上流と下流に配置された一対の超音波送受波器2、3と、この一対の超音波送受波器2、3間で超音波の送受信を行うための送受信回路4aと、送受信回路4aの信号を処理するための第1の信号処理部5aとがある。
【0018】
送受信回路4aは、超音波送受波器2、3と電気的に接続されて信号の送受を行い、第1の信号処理部5aは送受信回路4aと接続されて信号の処理を行う。送受信回路4aから延びた線の末端にかかれた記号S1,S2は、それぞれ、超音波送受波器2、3との接続を表している。
【0019】
そして、超音波送受波器2、3間において超音波を伝搬させる超音波伝搬路6が形成さ
れる。
【0020】
本実施の形態1では、計測流路1の高さH、幅Wの矩形断面の高さH方向を5つの仕切板7により6つに分割し多層流路8を形成している。この構成により多層の各層の流路断面のアスペクト比を大きくし、流れの二次元化を図ると共に、レイノルズ数を低減化し、流れの整流、乱れの安定化を図っている。
【0021】
また、被計測流体の温度、圧力、湿度を計測する為のセンサ部4bを有しており、センサ部4bは、後述する温度センサ、圧力センサ、相対湿度センサで構成されている。
【0022】
超音波伝搬路6における被計測流体の温度を計測するため、計測流路1の入口側および出口側には温度センサ9、10を設けている。
【0023】
また、被計測流体の圧力を計測する圧力センサ11は、超音波伝搬路6の流れ方向の中央部に配置しており、多層に形成した超音波伝搬路6では最外側層に連通する圧力接続孔12を介して計測するように構成されている。
【0024】
また、相対湿度センサ13は、超音波伝搬路6における流れに対しての影響が生じないよう、超音波伝搬路6よりも下流側への配置とし、流路部本体17の上面から、流れ方向に対して下流側に向けて鋭角の角度θで斜めに挿入されている。
【0025】
相対湿度センサ13の外周部には、隙間状の外周路15aを形成し、相対湿度センサ組込孔15には多層流路8に連通する連通路16を形成している。この連通路16は相対湿度センサ組込孔15にほぼ直交する方向に設けている。これにより、多層流路8から斜め上方に向かう連通路16と多層流路8の下流側に開口する外周路15aとでバイパス流路が形成されている。
【0026】
そして、温度センサ9、10、圧力センサ11および相対湿度センサ13からなるセンサ部4bにより温度、圧力、湿度の計測が行われ、得られた信号は、第2の信号処理部5bにて処理される。
【0027】
なお、それぞれのセンサからの電気信号は、別々の配線により、センサ部4bと接続されているが、ここでは、便宜上、1本の線で示している。また、線から分岐している末端に書かれている記号、Tp1、Tp2、Pr、Huは、それぞれ、温度センサ9,10,圧力センサ11,相対湿度センサ13との接続を表している。
【0028】
演算部30は、第1の信号処理部5aからの信号と、第2の信号処理部5bからの信号に基づき、演算処理を行う。
【0029】
以上の構成において、超音波伝搬路6の上流側と下流側に温度センサ9、10を配置することで、超音波伝搬や流れに影響を与えることなく、超音波伝搬路6における流体温度を正確に推定する事ができる。
【0030】
また、超音波伝搬路6の中央部に圧力センサ11を配置し、多層流路8の最外側層に配置することで圧力接続孔12による流れへの影響が超音波伝搬路6の他の多層流路におよぶのを低減でき、超音波伝搬や流れに大きな影響を与えることなく、超音波伝搬路における流体圧力を推定する事ができる。
【0031】
この様な相対湿度の計測において、相対湿度センサ13に被計測流体中の水分が凝縮などで付着した場合は計測に支障をきたす。この様な状況を回避するため、多層流路8から
連通路16を介して、相対湿度センサ13の外周側の隙間状の外周路15aを経由して、多層流路下流側に連通するバイパス通路を形成している。
【0032】
これにより、相対湿度センサ13の周囲に結露が生じても、滞留することなく、流出させることができる。流速が早い場合には、このバイパス通路により、液滴を下流側に吹き飛ばすことができる。また、流速が遅い場合でも、相対湿度センサ13およびその周囲の外周路15a、連通路16共に、計測流路1における流れ方向に対して傾斜しているため、計測流路1が
図1のように水平状態に置かれていても、液滴は重力で滴下する。
【0033】
また、外周路15aと連通路16の傾斜方向は計測流路1の鉛直方向に対して互いに逆方向に傾斜しているため、計測流路1の出口が上方に傾斜していても、下方に傾斜していても外周路15aか、連通路16のいずれかが、下方傾斜となるため、重力による滴下が保証されるものである。
【0034】
なお、より重力滴下を促すためには、断面積の広い連通路16側への滴下を容易にするため、計測流路1を、その出口側が上方になるように設置するのが良い。場合によっては、計測流路1をその出口側を上方として、計測流路1が鉛直になるように設置しても良い。
[1-2.動作]
次に、本発明の水素流量濃度計の動作について説明する。
【0035】
被計測流体は、水素を含む混合ガスであり、高湿度の状態で、
図1の白抜き矢印で示す方向より流入する。
【0036】
このとき、超音波送受波器2、3間では、超音波伝搬路6を経由して超音波の送受信を行い、この間の超音波の順方向(下流から上流方向)の伝搬時間(tup)と逆方向(下流から上流方向)の伝搬時間(tdw)を送受信回路4aおよび第1の信号処理部5aにより計測する。
【0037】
このようにして得られた伝搬時間を基に、公知の方法により、演算部30にて、流速を求め、計測流路1の断面積を乗じて流量を求めることができる。
【0038】
この値に、後に述べる温度センサ9,10から得られる温度、および圧力センサ11から得られる圧力を用いて補正を施すことにより、標準状態の流量(Q)を得る。
【0039】
また、上記の様にして求めた流量(Q)のうち、水素のみの流量は、後に述べる、水素濃度を求めた後、上記の流量(Q)に、この水素濃度を乗じることで求めることができる。
【0040】
被計測流体の温度の測定は、計測流路1の上流側の温度センサ9による上流側の温度(T1)の計測と、下流側に設けた温度センサ10による下流側の温度(T2)を計測して行われる。これら上流側の温度信号と下流側の温度信号とは、第2の信号処理部5bに取込まれ処理された後、それぞれの温度として演算部30に送られる。この2つの温度を基に、演算部30にて平均化された温度(計測温度Tm)が求められる。
【0041】
被計測流体の圧力の測定は、多層流路8により流れを安定化させた超音波伝搬路6の流れ方向の中央部におかれた圧力センサ11により行われる。圧力センサ11からの信号は、第2の信号処理部5bに取込まれ処理された後、圧力(p)として演算部30に送られる。
【0042】
被計測流体の相対湿度の測定は、超音波伝搬路6よりも下流側に配置した相対湿度センサ13により行われる。相対湿度センサ13からの信号は、第2の信号処理部5bに取込まれ処理された後、相対湿度の値(h)として演算部30に送られる。
【0043】
[1-3.濃度計測の方法]
この様にして計測により得られた被計測流体の物理量(伝搬時間、温度、圧力、相対湿度)を用いて、水素濃度を算出する方法を以下に述べる。
【0044】
まず、2種類の混合ガスにおける濃度については、以下のような手順で求めることができる。
【0045】
気体の音速c、分子量M、比熱比γ、絶対温度T、気体定数Rには次の関係式がある。
【0046】
【0047】
ここで音速cは、超音波センサ間の距離Lと計測した伝搬時間tup、tdwの平均値taveから求められ、次式となる。
【0048】
【0049】
また、2種の気体の物性を、それぞれ気体1(分子量M1、定圧比熱Cp1、定積比熱Cv1)と気体2(分子量M2、定圧比熱Cp2、定積比熱Cv2)と設定し、気体1の濃度をxとした場合、混合ガスの分子量、比熱比は以下の様に記述できる。
【0050】
【0051】
【0052】
式(1)に、式(2)~(4)および計測温度Tmを絶対温度Tに換算して代入し、xについて解くことにより、濃度xを求めることができる。
【0053】
今、混合ガスを水素、窒素、水蒸気の3成分からなるものとする。これらの分子量、定積比熱、定圧比熱は既知である。
【0054】
まず、混合ガスにおける水蒸気濃度は、計測された相対湿度(h)、水蒸気分圧(p)、計測温度(Tm)より求めることができる。このとき、式(3)、(4)と同様にして混合ガスの分子量と比熱比を記述し、水素濃度をxとして、式(1)をxについて解くことにより、水素濃度xを求めることができる。
【0055】
[1-4.効果]
以上に示した如く、水素を含む混合ガスが流れる計測流路1と、混合ガスの流れをよぎるように計測流路1に配置された一対の超音波送受波器2,3と、一対の超音波送受波器2,3間で超音波の送受信を行うための送受信回路4aと、送受信回路4aの信号を処理するための第1の信号処理部5aと、混合ガスの温度、圧力、湿度を計測するためのセンサ部4bと、センサ部4bを用いて、混合ガスの温度、圧力、湿度の計測値を取得する第2の信号処理部5bと、第1の信号処理部5aにおいて得られた超音波送受波器2,3間の伝搬時間と、第2の信号処理部5bにおいて得られた、温度、圧力、および湿度の計測値と、を用いて、混合ガスの水素の流量、および濃度を算出する演算部30と、を備えたことで、高湿度の環境下でも水素を含む混合ガスにおける水素濃度の計測精度を確保することができ、実用的な流量および濃度計測を実現することができる。
【0056】
また、計測流路1を仕切板7で区切って多層化した構成とすることにより、流れの整流化により計測物理量(温度、圧力、相対湿度)の変動を抑えることができ、安定した計測が可能となり、精度の良い計測が可能となる。
【0057】
なお、本実施の形態では、温度センサは超音波伝搬路の上流側と下流側に2個設置したが、いずれか一個でも超音波伝搬路での温度を推定することができる。
【0058】
さらに流れや超音波伝搬への影響が少ない形態であれば、超音波伝搬路への挿入も可能である。
【0059】
また、圧力センサは超音波伝搬路に直接開口する場合を示したが、圧力連通路を利用して、圧力センサを流路から離れた位置に配置することも可能である。また、本実施の形態では多層流路の、最外層側の上面に配置する構成を示したが、多層にわたって計測して平均化された圧力を得ることができる側方配置も可能である。
【0060】
また、相対湿度センサは超音波伝搬路の下流側に配置する構成を示したが、連通路を利用して、相対湿度センサを流路から離れた位置に配置することも可能である。さらに、小型コンパクトで低コストの相対湿度センサを超音波伝搬路の上流側と下流側に2個配置して平均化した値を採用することもできる。
【0061】
[1-5.組立構成]
図3、
図4は、
図1、
図2で示した水素流量濃度計の組立構成について示したものであり、
図3は、水素流量濃度計100の流路部14の外観斜視図であり、
図4は、
図3における水素流量濃度計100の全体の分解組立図である。
【0062】
図3は、超音波送受波器2、3、温度センサ9、10、圧力センサ11および相対湿度センサ13を配置した流路部14の外観斜視図である。流路部本体17は、
図1に示す様に計測流路1を収容しており、配管接続するため、計測流路1の入口側に入口接続部18を設け、出口側には出口接続部19を備えている。
【0063】
図4は、水素流量濃度計100の構成要素の分解組立図である。流路部本体17は、計測流路1を収容すると共に、その上方には温度センサ9、圧力センサ11、相対湿度センサ13を挿入する取付穴20a、20b、20cが設けられ、
図4の手前側面には超音波送受波器3を挿入する取付穴20dを配置し、さらに送受信回路4aおよび第1の信号処理部5a、第2の信号処理部5bが配置された制御基板21を取り付ける為の複数の取付部22を設けている。
図4の奥側側面には超音波送受波器2を挿入する取付穴20e(図示せず)を配置している。
【0064】
なお、超音波送受波器2、3、温度センサ9、10、圧力センサ11および相対湿度センサ13は、それぞれ気密シール部材23を介して流路部本体17に気密に取付けられて、流路部14が構成される。そして、流路部14に、制御基板21がビス26により取付部22にビス止めし、外装ケース24を上から覆い被せるように組付けることで装置全体が組み立てられる。なお、
図3,4において、超音波送受波器2、3、温度センサ9、10、圧力センサ11および相対湿度センサ13と制御基板21との配線及び、外部と接続する為の接続コネクタ27、28と制御基板21との配線は省略している。
【0065】
このように、流路部本体17に、上面および両側面から超音波送受波器2、3、温度センサ9、10、圧力センサ11、相対湿度センサ13および制御基板21を組付け、上方から外装ケース24を組付ける構成として、コンパクトな装置を具現化している。この構成により、組立が容易となり生産性の向上が図れる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態においては、計測流路1を多層で構成したが、仕切板7で分割しない単層の構成も可能である。また、その計測流路1の断面形状も矩形断面に限るものではなく円形断面や略円形断面であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明の水素流量濃度計は、水素を含む混合ガスが高湿度状態であっても、水素の流量、濃度を精度良く計測できるため、そのような状況を生じる、燃料電池、燃料電池車を始め、燃料電池を使用する各種用途の制御用計測部品として、幅広く適用が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 計測流路
2、3 超音波送受波器
4a 送受信回路
4b センサ部
5a 第1の信号処理部
5b 第2の信号処理部
6 超音波伝搬路
7 仕切板
8 多層流路
9、10 温度センサ
11 圧力センサ
12 圧力接続孔
13 相対湿度センサ
14 流路部
15 相対湿度センサ組込孔
15a 外周路
16 連通路
17 流路部本体
18 入口接続部
19 出口接続部
20a、20b、20c、20d、20e 取付穴
21 制御基板
22 取付部
23 気密シール部材
24 外装ケース
30 演算部
100 水素流量濃度計