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  • 特開-石油燃焼機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028752
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】石油燃焼機器
(51)【国際特許分類】
   F23D 5/04 20060101AFI20230224BHJP
   F23K 5/02 20060101ALI20230224BHJP
   F23N 5/26 20060101ALI20230224BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F23D5/04 A
F23K5/02 C
F23N5/26 R
F23N5/24 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134632
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛明
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA11
3K068AB04
3K068AB20
3K068BA09
3K068BB12
3K068BB17
3K068BB20
3K068CA16
3K068CA25
3K068CB01
3K068DA01
3K068MA01
3K068MB06
(57)【要約】
【課題】消火時にポット内に液体燃料が垂れて消火時間が長くなるのを防止できる石油燃焼機器を提供する。
【解決手段】消火開始時に液体燃料を供給する電磁ポンプ4を停止すると共に、燃焼用空気を供給する燃焼ファン8を最大回転数にしてから開閉弁21を開き、開閉弁21を開いてから開閉弁開放時間経過後に開閉弁21を閉じ、それから燃焼ファン8を停止することにより、燃焼ファン8を最大回転数にすることでポット内が負圧になるのを防止し、開閉弁21を開いて給油管5のノズル6と定油面器16の落差によって、給油管5に残存する液体燃料を定油面器16に戻して回収することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に多数の空気孔を備えるポットと、該ポットを囲繞する空気室と、該空気室に燃焼用空気を送る燃焼ファンと、液体燃料を一定量貯油する定油面器と、前記定油面器内の液体燃料を前記ポットに供給する電磁ポンプと、該電磁ポンプと前記ポットとを接続し、先端のノズルを前記ポット内に設けると共に前記ノズルの高さを前記定油面器よりも高い位置に配置した給油管と、前記ノズルと前記定油面器の間に設けた開閉弁と、時間を計時するタイマと、消火時に前記開閉弁を開いて前記給油管内の液体燃料を前記定油面器に戻す油戻し制御を行う制御部とを備えた石油燃焼機器に於いて、前記制御部は、消火開始時に前記電磁ポンプを停止すると共に、前記燃焼ファンを最大回転数にしてから前記開閉弁を開き、前記開閉弁を開いてから開閉弁開放時間経過後に前記開閉弁を閉じ、前記燃焼ファンを停止することを特徴とする石油燃焼機器。
【請求項2】
前記制御部は、消火開始時に前記電磁ポンプを停止すると共に、前記燃焼ファンを最大回転数にし、前記電磁ポンプを停止してから開閉弁待機時間経過後に前記開閉弁を開き、該開閉弁を開いてから前記開閉弁開放時間経過後に前記開閉弁を閉じ、前記開閉弁が閉じてから最大回転数継続時間経過後に前記燃焼ファンを停止することを特徴とする石油燃焼機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油燃焼機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものに於いては、定油面器からポットに液体燃料を供給する給油管と定油面器内の空間とを開閉弁を介在させた空気管で接続し、開閉弁を消火操作と同時に開くことで、消火操作と同時に、給油管に残存する液体燃料を吸引回収するものであった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-146120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、石油燃焼機器に給排気筒や煙突を接続し、液体燃料を燃焼させて発生した燃焼ガスを屋外に排気する場合、給排気筒や煙突の先端周辺に強風が吹くと、給排気筒や煙突内の排気ガスが強風に引っ張られてポット内が負圧になり、その負圧になったときに消火操作して開閉弁を消火操作と同時に開いても、ポット内が負圧のために給油管内の液体燃料がポット側に引っ張られて定油面器側に戻りきらず、ポット内に給油管内の液体燃料が垂れて消火時間が長くなったり、給油管内に液体燃料が残って給油管先端のノズルが詰まる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、周囲に多数の空気孔を備えるポットと、該ポットを囲繞する空気室と、該空気室に燃焼用空気を送る燃焼ファンと、液体燃料を一定量貯油する定油面器と、前記定油面器内の液体燃料を前記ポットに供給する電磁ポンプと、該電磁ポンプと前記ポットとを接続し、先端のノズルを前記ポット内に設けると共に前記ノズルの高さを前記定油面器よりも高い位置に配置した給油管と、前記ノズルと前記定油面器の間に設けた開閉弁と、時間を計時するタイマと、消火時に前記開閉弁を開いて前記給油管内の液体燃料を前記定油面器に戻す油戻し制御を行う制御部とを備えた石油燃焼機器に於いて、前記制御部は、消火開始時に前記電磁ポンプを停止すると共に、前記燃焼ファンを最大回転数にしてから前記開閉弁を開き、前記開閉弁を開いてから開閉弁開放時間経過後に前記開閉弁を閉じ、前記燃焼ファンを停止するものである。
【0006】
又、請求項2では、前記制御部は、消火開始時に前記電磁ポンプを停止すると共に、前記燃焼ファンを最大回転数にし、前記電磁ポンプを停止してから開閉弁待機時間経過後に前記開閉弁を開き、該開閉弁を開いてから前記開閉弁開放時間経過後に前記開閉弁を閉じ、前記開閉弁が閉じてから最大回転数継続時間経過後に前記燃焼ファンを停止するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、消火開始時に電磁ポンプを停止すると共に、燃焼ファンを最大回転数にしてから開閉弁を開き、開閉弁を開いてから開閉弁開放時間経過後に開閉弁を閉じ、燃焼ファンを停止することにより、燃焼ファンを最大回転数にすることでポット内が負圧になるのを防止し、開閉弁を開いて給油管のノズルと定油面器の落差によって、給油管に残存する液体燃料を定油面器に戻して回収することができる。
【0008】
又、請求項2によれば、消火開始時に電磁ポンプを停止すると共に、燃焼ファンを最大回転数にし、電磁ポンプを停止してから開閉弁待機時間経過後に開閉弁を開くので、燃焼ファンを最大回転数してポット内が負圧ではない状態にしてから開閉弁を開いて、給油管のノズルと定油面器の落差によって、給油管に残存する液体燃料を定油面器に戻りやすくすると共に、ノズルの先端から液体燃料を垂れにくくして消火時間が長くなるのを防止できる。
【0009】
又、開閉弁を開いてから開閉弁開放時間経過後に開閉弁を閉じ、開閉弁が閉じてから最大回転数継続時間経過後に燃焼ファンを停止するので、給油管に残存する液体燃料を定油面器に戻るまでポット内が再び負圧を防止して、より確実に給油管に残存する液体燃料を定油面器に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示す石油燃焼機器の概略構成図。
図2】同ブロック図。
図3】同消火時の油戻し制御を説明するフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は石油燃焼機器で、液体燃料を燃焼させ燃焼ガスを生じさせるポット式燃焼器2を備える。
前記ポット式燃焼器2は、ポット3と、該ポット3に液体燃料を供給する電磁ポンプ4と、給油管5と、該給油管5の先端のノズル6と、燃油の予熱及び点火を行う点火ヒータ7と、ポット3に燃焼用空気を供給する燃焼ファン8とを有している。
【0012】
?前記ポット3は有底円筒状に形成され、その周壁には空気孔として円形の貫通孔である一次空気孔9及び二次空気孔10が多数穿孔されている。
??又、ポット3の外周は外筒11で囲まれ、両者間に空気室12が形成されている。
??前記燃焼ファン8は、空気室12を介し、一次空気孔9及び二次空気孔10を通して空気をポット3内に供給する。
【0013】
??13は整炎筒で、ポット3内の中央部に固定され、気化ガスと燃焼空気との混合を促進する。
??14は気化アミで、耐熱性のステンレス細線を畳織し毛細管現象を発生するようにしたものであり、ポット3の底面中央部に固定されている。
【0014】
前記点火ヒータ7は、棒状のセラミックヒータで構成され、ポット3の周壁から気化アミ14の上方に向かって突出しており、この点火ヒータ7は、液体燃料を予熱し気化させる機能と、気化した液体燃料を点火する機能とを併せ持っている。
【0015】
?前記ノズル6は、ポット3内に向かって下り傾斜した細径のパイプによって構成され、液体燃料が供給されると、該液体燃料を気化アミ14に向かって噴射する。
??15は保護筒で、ノズル6の周囲を覆うような円筒状に形成されており、前記保護筒15の一端は外筒11に固定され、他端はポット3の側壁を貫通し、その内部に露出している。
【0016】
16は定油面器で、屋外に設置された燃油タンク17からの油を一定レベルに保持するもので、汲み上げ管18を介して汲み上げポンプ19により液体燃料が供給される。
又、前記ノズル6の高さは、前記定油面器16よりも高い位置に配置したものである。
??20は上蓋で、定油面器16の上面を覆っており、前記汲み上げポンプ19と、ポット3に定油面器16内の液体燃料を給油管5及びノズル6を介してポット3内に供給する電磁ポンプ4が固定されている。
【0017】
?前記電磁ポンプ4内には開閉弁21が内蔵され、前記開閉弁21は消火時に開成され、開成されることにより給油管5及びノズル6に残留した液体燃料が電磁ポンプ4内のシリンダ(図示せず)から定油面器16に戻り、消火時の燃油のポット3内への滴下を防止する。
【0018】
22はフレームロッドで、燃焼時の燃焼火炎内に位置するように、ポット3内に垂下され、着火、失火及び異常燃焼等を検知する。
??23は温度センサで、ポット3の底部の温度を検出するものであり、サーミスタによって構成され、ポット3の底部裏側に接触して固定されている。
?24は回転計で、燃焼ファン8の回転速度を計測するものである。
【0019】
25はポット3の上部に設けたガラス外筒で、該ガラス外筒25内の上方にポット3で液体燃料を燃焼させて生じさせた燃焼ガスによって赤熱させた赤熱筒26により放射暖房を行うものである。
27は熱交換器で、ガラス外筒25から排気されたガスと、対流ファン28により送風された居室の空気との熱交換を行い、温風にして室内に吹き出すものである。
【0020】
29は排気管で、給排気筒の排気部(図示せず)や煙突(図示せず)に接続され、ガラス外筒25から排気されたガスを屋外に排気するものである。
30は室温センサで、室内の温度を検知するものである。
【0021】
31は制御部で、マイコンを主体として構成され、ポット式燃焼器2での燃焼動作及びそれによる暖房運転を制御するである。
32は操作部で、暖房運転のオン/オフ状態を指示する運転スイッチ(図示せず)や、所望の室温を設定する室温設定スイッチ(図示せず)等各種の操作スイッチを有するものである。
【0022】
33は表示部で、暖房運転のオン/オフ状態や、室温設定スイッチにて設定した設定温度や、室温センサ30で検知した室温や、警報や異常等の各種情報を表示するものである。
??34はタイマで、制御部31からの計時開始信号の入力により計時を開始すると共に、制御部31からの計時停止信号の入力により計時を停止し、計時を開始して所定時間を計時すると制御部31に計時信号を出力し、制御部31からのリセット信号の入力又は、計時を開始して所定時間を計時したとき、計時時間をリセットするものである。
【0023】
35は油面検知手段で、定油面器16内に設けられ、定油面器16内の油面の高さが給油開始高さまで低くなると給油開始信号を出力し、定油面器16内の油面の高さが給油停止高さまで高くなると給油停止信号を出力し、それにより制御部31は汲み上げポンプ19の動作を制御するものである。
【0024】
次にこの石油燃焼機器の消火時の制御について図3のフローチャート図に基づいて説明する。
??運転中に操作部32の運転スイッチがOFF操作されると(S1)、制御部31は燃焼を停止するために消火動作を実施する。
まず制御部31は、ポット3に液体燃料を供給している電磁ポンプ4を停止する。(S2)
そして、燃焼ファン8の回転数を最大回転数にすると共に(S3)、タイマ34に開閉弁待機時間計時開始信号を出力し、タイマ34は計時を開始する。(S4)
【0025】
(S3)で燃焼ファン8の回転数を最大回転数にすることで、燃焼ファン8によりポット式燃焼器2内が加圧され、排気管29に接続されている給排気筒や煙突の先端周辺に強風が吹いても、ポット3内が負圧になるのを防止できる。
【0026】
そして、タイマ34の計時時間が開閉弁待機時間以上になると、タイマ34は制御部31に開閉弁待機時間計時信号を出力する。(S5)
開閉弁待機時間計時信号を入力した制御部31は、タイマ34に計時停止信号及びリセット信号を出力して、タイマ34の計時停止及びリセットを行う。(S6)
【0027】
そして、制御部31は、電磁ポンプ4内の開閉弁21を開成する。(S7)
燃焼ファン8の回転数を最大回転数にした状態で開閉弁待機時間経過することで、十分にポット3内が加圧されており、開閉弁待機時間経過後に電磁ポンプ4内の開閉弁21を開成することで、定油面器16よりも高い位置に配置されているノズル6から給油管5にかけて管内に残った液体燃料は、ノズル6及び給油管5と定油面器16の落差によって、電磁ポンプ4内のシリンダを通過して定油面器16に戻り、消火時の燃油のポット3内への滴下を防止する。
【0028】
そして、制御部31は、タイマ34に開閉弁開放時間計時開始信号を出力し、タイマ34は計時を開始する。(S8)
そして、タイマ34の計時時間が開閉弁開放時間以上になると、タイマ34は制御部31に開閉弁開放時間計時信号を出力する。(S9)
開閉弁待機時間計時信号を入力した制御部31は、タイマ34に計時停止信号及びリセット信号を出力して、タイマ34の計時停止及びリセットを行う。(S10)
【0029】
そして、制御部31は、電磁ポンプ4内の開閉弁21を閉鎖し(S11)、タイマ34に最大回転数継続時間計時開始信号を出力し、タイマ34は計時を開始する。(S12)
そして、タイマ34の計時時間が最大回転数継続時間以上になると、タイマ34は制御部31に最大回転数継続時間計時信号を出力する。(S13)
【0030】
最大回転数継続計時信号を入力した制御部31は、タイマ34に計時停止信号及びリセット信号を出力して、タイマ34の計時停止及びリセットを行う。(S14)
そして、制御部31は、最大回転数の燃焼ファン8を停止して(S15)、消火時の油戻し制御を終了する。(S16)
【0031】
このように、電磁ポンプ4内の開閉弁21を閉鎖してから、最大回転数の燃焼ファン8を停止するので、電磁ポンプ4内の開閉弁21が完全に閉鎖するまで十分にポット3内を加圧して、給油管5に残存する液体燃料がポット3内に垂れずに、確実に給油管5に残存する液体燃料を定油面器16に戻すことができる。
【0032】
以上のように、消火開始時に電磁ポンプ4を停止すると共に、燃焼ファン8を最大回転数にし、電磁ポンプ4の開閉弁21を開き、開閉弁21を開いてから開閉弁開放時間経過後に開閉弁21を閉じ、燃焼ファン8を停止することにより、燃焼ファン8を最大回転数にすることでポット3内が負圧になるのを防止し、開閉弁21を開いて給油管5のノズル6と定油面器16の落差によって、給油管5に残存する液体燃料を定油面器16に戻して回収することができる。
【0033】
又、消火開始時に電磁ポンプ4を停止すると共に、燃焼ファン8を最大回転数にし、電磁ポンプ4を停止してから開閉弁待機時間経過後に開閉弁21を開くので、燃焼ファン8を最大回転数してポット3内が負圧ではない状態にしてから開閉弁21を開いて、給油管5のノズル6と定油面器16の落差によって、給油管5に残存する液体燃料を定油面器16に戻りやすくすると共に、ノズル6の先端から液体燃料を垂れにくくして消火時間が長くなるのを防止できる。
【0034】
又、開閉弁21を開いてから開閉弁開放時間経過後に開閉弁21を閉じ、開閉弁21が閉じてから最大回転数継続時間経過後に燃焼ファン8を停止するので、給油管5に残存する液体燃料を定油面器16に戻るまでポット3内が再び負圧を防止して、より確実に給油管5に残存する液体燃料を定油面器16に戻すことができる。
【0035】
尚、本実施例では開閉弁21を電磁ポンプ4に内蔵したがこれに限定されず、ノズル6と定油面器16の間に設けてもよい。
例えば一端を給油管5に接続し、他端を定油面器16に接続した油戻し管を設け、この油戻し管に開閉弁21を設けてもよいものである。
【符号の説明】
【0036】
3 ポット
4 電磁ポンプ
5 給油管
6 ノズル
8 燃焼ファン
9、10 空気孔
12 空気室
16 定油面器
21 開閉弁
31 制御部
34 タイマ
図1
図2
図3