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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028760
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134649
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
(57)【要約】
【課題】エア抜き動作を行う場合でも浴槽洗浄運転の時間が長くなることを抑制することができる浴槽洗浄装置を提供すること。
【解決手段】給湯装置(2)から供給される湯水を貯留する湯水タンク(15)と、湯水及び洗浄液を噴射する洗浄ノズル(5)と、湯水タンク(15)の湯水を洗浄ノズル(5)に供給するポンプ(16) と、このポンプ(16)によって洗浄ノズル(5)に供給される湯水の供給流量を検知する流量検知手段(14b)を有し、ポンプ(16)を駆動して浴槽洗浄運転を行う浴槽洗浄装置(10)において、浴槽洗浄運転の実行中に流量検知手段(14b)が検知する供給流量が予め設定された基準流量未満に低下した場合には、ポンプ(16)を停止して湯水タンク(15)に湯水を貯留し、湯水タンク(15)が所定の水位以上のときにポンプ(16)を駆動してエア抜き動作を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置から供給される湯水を貯留する湯水タンクと、湯水及び洗浄液を噴射する洗浄ノズルと、前記湯水タンクの湯水を前記洗浄ノズルに供給するポンプと、前記ポンプにより前記洗浄ノズルに供給される湯水の供給流量を検知する流量検知手段を有し、前記ポンプを駆動して浴槽洗浄運転を行う浴槽洗浄装置において、
前記浴槽洗浄運転の実行中に前記流量検知手段が検知する供給流量が予め設定された基準流量未満に低下した場合には、前記ポンプを停止して前記湯水タンクに湯水を貯留し、前記湯水タンクが所定の水位以上のときに前記ポンプを駆動してエア抜き動作を行うことを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
前記エア抜き動作は、前記ポンプを断続的に駆動して行い、このときの前記洗浄ノズルへの供給流量が前記浴槽洗浄運転のときの供給流量よりも低流量に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
前記湯水タンクの上流側に前記給湯装置から供給される湯水の通路を開閉する開閉弁を有し、前記エア抜き動作を行うために前記湯水タンクの水位が所定水位以上となるように前記開閉弁を駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置から供給される湯水を使用して浴槽を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯栓等に給湯する給湯装置から湯水の供給を受けて浴槽を自動洗浄するために、例えば特許文献1のように洗浄ノズルから湯水及び洗浄液を噴射する浴槽洗浄装置が利用されている。浴槽の洗浄は、浴槽の形状、大きさ、設置位置に応じて屈んだ姿勢又はしゃがんだ姿勢で行う場合が多いためユーザの作業負担が大きいので、自動的に行うことにより作業負担が軽減され便利である。
【0003】
特許文献1のように上水の供給圧で洗浄ノズルから噴射する浴槽洗浄装置において、他の給湯先(他栓)で給湯使用が開始された場合に、洗浄ノズルからの噴射量が減少して十分に洗浄することができない虞がある。そのため、他栓での給湯使用が開始された場合に浴槽洗浄を一時中断し、他栓での給湯使用終了後に浴槽洗浄運転を再開するように構成されている。
【0004】
一方、例えば特許文献2、3のように、給湯装置から供給される湯水を湯水タンクに貯留し、この湯水タンクの湯水をポンプによって洗浄ノズルに供給して噴射するように構成された浴槽洗浄装置が知られている。これらの浴槽洗浄装置は、ポンプの回転数を調整することによって洗浄ノズルの噴射流量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-89744号公報
【特許文献2】特開2019-118705号公報
【特許文献3】特開2019-58633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上水の供給圧が低い地域、建物では、特許文献1の浴槽洗浄装置では洗浄に必要な噴射量の確保が困難な場合がある。それ故、特許文献2、3のように湯水を貯留する湯水タンクとこの湯水タンクの湯水を洗浄ノズルに送るポンプを有し、上水の供給圧に関係なくポンプで噴射流量を調整可能な浴槽洗浄装置が設置される。しかし、浴槽洗浄運転中に他栓で給湯使用が開始された場合に、供給圧が低いこともあり、湯水タンクに供給される湯水の流量よりも噴射流量が大きくなって湯水タンクが空になってしまう虞がある。
【0007】
そのため特許文献1のように浴槽洗浄運転を一時中断し、他栓の給湯使用の終了後に浴槽洗浄運転を再開することが考えられる。しかし、湯水タンクの水位が下がってポンプから洗浄ノズルまでの湯水の通路に空気が混入した場合には、浴槽洗浄運転の再開後すぐには元の噴射流量にすることができず、十分に洗浄できない虞がある。
【0008】
一方、ポンプから洗浄ノズルまでの湯水の通路に混入した空気は、エア抜き動作を行うことによって排出することができる。しかし、浴槽洗浄運転中に他栓での給湯使用が複数回ある場合には、その都度浴槽洗浄運転を一時中断して再開時にエア抜き動作を行うことになるので、通常よりも浴槽洗浄運転の時間が長くなってしまう。それ故、浴槽洗浄装置が故障した等の誤解、不信感をユーザに与える虞がある。
【0009】
本発明の目的は、エア抜き動作を行う場合でも浴槽洗浄運転の時間が長くなることを抑制することができる浴槽洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の浴槽洗浄装置は、給湯装置から供給される湯水を貯留する湯水タンクと、湯水及び洗浄液を噴射する洗浄ノズルと、前記湯水タンクの湯水を前記洗浄ノズルに供給するポンプと、前記ポンプにより前記洗浄ノズルに供給される湯水の供給流量を検知する流量検知手段を有し、前記ポンプを駆動して浴槽洗浄運転を行う浴槽洗浄装置において、前記浴槽洗浄運転の実行中に前記流量検知手段が検知する供給流量が予め設定された基準流量未満に低下した場合には、前記ポンプを停止して前記湯水タンクに湯水を貯留し、前記湯水タンクが所定の水位以上のときに前記ポンプを駆動してエア抜き動作を行うことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、湯水タンクの水位が低下して空気が混入し、洗浄ノズルへの供給流量が基準流量未満に減少した場合には、ポンプを停止して湯水タンクに湯水を貯留する。そして、湯水タンクに湯水を貯留しながら、湯水タンクが所定の水位以上のときにポンプを駆動してエア抜き動作を行う。従って、湯水タンクに湯水を貯留可能且つ所定の水位以上の状態でポンプを駆動して混入した空気を排出するので、他栓での給湯使用の終了を待たずに早くエア抜き動作を開始することができ、浴槽洗浄運転の時間が長くなることを抑制することができる。また、混入した空気を排出するので、浴槽洗浄運転の再開時には設定された噴射量で洗浄ノズルから噴射して十分に洗浄を行うことができる。
【0012】
請求項2の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1の発明において、前記エア抜き動作は、前記ポンプを断続的に駆動して行い、このときの前記洗浄ノズルへの供給流量が前記浴槽洗浄運転のときの供給流量よりも低流量に設定されたことを特徴としている。
上記構成によれば、洗浄ノズルへの供給流量が浴槽洗浄運転のときのものよりも低流量なので、他栓の給湯使用によって湯水タンクに供給される湯水が少なくても、ポンプを断続的に駆動して、空気が新たに混入することを防ぎながら、混入した空気を洗浄ノズルから又は湯水タンクに排出することができる。
【0013】
請求項3の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1又は2の発明において、前記湯水タンクの上流側に前記給湯装置から供給される湯水の通路を開閉する開閉弁を有し、前記エア抜き動作を行うために前記湯水タンクの水位が所定水位以上となるように前記開閉弁を駆動することを特徴としている。
上記構成によれば、エア抜き動作を行うために所定水位以上となるように開閉弁を駆動して湯水タンクに湯水を貯留する。従って、他栓の給湯使用のため湯水タンクへの湯水の供給量が少ない場合に所定水位以上の湯水を貯留するので、エア抜き動作を行っても新たな空気の混入を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の浴槽洗浄装置によれば、エア抜き動作を行う場合でも浴槽洗浄運転の時間が長くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る浴槽洗浄装置の構成図である。
図2】実施例に係る浴槽洗浄装置による浴槽洗浄運転のフローチャートである。
図3】浴槽洗浄運転における電磁弁制御のフローチャートである。
図4】浴槽洗浄運転の予備洗浄におけるタイムチャートの1例である。
図5】エア抜き動作制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
最初に、本発明の浴槽洗浄装置10とその周辺の機器について、図1に基づいて説明する。浴槽1の湯張りや追焚きのために、浴槽1と給湯装置2が、湯張り追焚き通路3と循環アダプタ1aを介して接続されている。また、浴槽1の底部には、矢印Dで示すように湯水を排水するための例えば電動式の排水栓4と、湯水や洗浄液を噴射(散布)して浴槽1を洗浄するための洗浄ノズル5が配設されている。
【0018】
浴槽1の近傍には、洗浄ノズル5に湯水や洗浄液を供給する供給ユニット6と、供給ユニット6に供給する洗剤をためておく洗剤タンク7と、排水栓4の開栓操作、閉栓操作を行うための排水スイッチ8が配設されている。供給ユニット6には、給湯装置2から湯水を供給するための給湯通路2aが接続されている。
【0019】
また、例えば浴室の天井裏に配設された電源通信ユニット9は、供給ユニット6に電力供給可能且つ通信可能に接続されている。この電源通信ユニット9は、浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転等を制御する制御部20を備えている。浴槽洗浄装置10は、洗浄ノズル5、供給ユニット6、洗剤タンク7、排水スイッチ8、排水栓4、電源通信ユニット9(制御部20)によって構成されている。
【0020】
給湯装置2は、矢印Wで示す上水を、例えば燃料の燃焼熱を利用して加熱し、給湯通路2aを介して給湯する燃焼式給湯装置である。浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転の開始又は給湯栓Fの開栓により、給湯が開始されると、給湯装置2内の湯水の流動を検知して給湯運転が開始され、給湯栓Fの閉栓により給湯使用が終了すると給湯装置2内の湯水の流動停止を検知して給湯運転が終了する。尚、給湯装置2は、ヒートポンプ式熱源機等他の熱源機を有する給湯装置等であってもよい。
【0021】
給湯装置2には、浴槽1の湯張り運転や追焚き運転の開始操作、給湯設定温度の設定操作等を行うための浴室リモコン11、台所リモコン12が通信可能に接続されている。また、制御部20には、浴槽洗浄装置10による浴槽洗浄運転の開始操作等を行うための洗浄リモコン13が通信可能に接続されている。そして、給湯装置2と制御部20とが通信可能に接続され、例えば待機中、浴槽洗浄運転中、追焚き運転中、燃焼給湯中のような装置状態を互いに取得する。
【0022】
次に、浴槽洗浄装置10について説明する。
浴槽洗浄装置10の供給ユニット6は、洗浄ノズル5に湯水を供給する湯水通路14と、湯水通路14の途中に設けられた湯水タンク15と、洗浄ノズル5に湯水タンク15の湯水を送り出すためのポンプ16等を有する。ポンプ16よりも下流側の湯水通路14には、洗浄ノズル5に供給する湯水に洗剤を混合するためのベンチュリ17が介装されている。
【0023】
給湯装置2から湯水を供給する給湯通路2aは、フィルタ14aを備えた湯水通路14に接続される。湯水通路14は、湯水タンク15よりも上流側且つフィルタ14aの下流側に、分岐して合流する並列通路部18を有する。並列通路部18では、複数(例えば2つ)の分岐通路18a,18bが並列に接続されている。
【0024】
分岐通路18aは、分岐通路18aを開閉するための第1電磁弁18c(開閉弁)と定流量弁18eを備えている。分岐通路18bは、分岐通路18bを開閉するための第2電磁弁18d(開閉弁)と定流量弁18fを備えている。これら定流量弁18e,18fは、ポンプ16の吐出能力(例えば通常流量として6.5L/分)よりも小さい流量に夫々制限すると共に、合計の流量がポンプ16の通常流量よりも大きくなるもの(例えば夫々5L/分のもの)が選ばれている。分岐通路18a,18bにおける第1、第2電磁弁18c,18dを開けたときの流量は、定流量弁18e,18fによって互いに等しくなる。
【0025】
また、湯水通路14は、湯水タンク15よりも下流側に、ポンプ16、温度センサ19、流量センサ14b(流量検知手段)、ベンチュリ17等を備えている。ベンチュリ17には、洗剤タンク7から洗剤を供給するための洗剤通路7aが接続されている。洗剤通路7aは、この洗剤通路7aを開閉するための洗剤電磁弁7bを備えている。
【0026】
制御部20は、第1、第2電磁弁18c,18d、洗剤電磁弁7bの開閉やポンプ16の駆動が可能なように接続され、排水スイッチ8の操作に応じて排水栓4を開閉可能なように接続されている。また、制御部20には、湯水タンク15の水位を検知する水位検知手段として例えばフロートスイッチ15aと、洗剤タンク7の洗剤の液面を検知するフロートスイッチ7cが接続されている。
【0027】
湯水タンク15には、第1水位Lと、第1水位Lよりも高水位の第2水位Hが設定されている。第1水位Lは、水位の制御のために予め設定された湯水タンク15の下限水位に対応し、この第1水位Lを所定の水位としている。第2水位Hは、水位の制御のために予め設定された湯水タンク15の上限水位に対応する。湯水タンク15に貯留される湯水のうち、上限水位を超えた湯水は湯水タンク15のオーバーフロー口15bから浴槽パンに流れ、図示外の浴室の排水口から排水される。また、下限水位よりも水位が低くなるほど、洗浄ノズル5に供給する湯水に空気が混入し易くなる。尚、所定水位は第1水位Lよりも低水位に設定することも可能である。
【0028】
フロートスイッチ15aは、湯水タンク15の下限水位に対応する第1水位Lと上限水位に対応する第2水位Hを検知するものであってもよい。また水位検知手段として、第1水位Lと第2水位Hを夫々検知する複数の電極棒を用いることもできるが、水跳ね等による水位の誤検知を防ぐ観点からフロートスイッチが好ましい。
【0029】
制御部20は、例えば演算装置と記憶装置と入出力装置等を備えたコンピュータであり、記憶装置に格納された制御プログラム等に基づいて、浴槽1を洗浄する浴槽洗浄運転や排水栓4の開閉等を制御する。洗浄リモコン13の操作によって浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転の開始操作が行われると、制御部20は排水栓4を開栓すると共に浴槽洗浄運転を実行する。また、制御部20は、排水スイッチ8の操作を検知して排水栓4を駆動(開栓→閉栓、又は、閉栓→開栓)し、次の排水スイッチ8の操作又は制御部20の指令があるまで排水栓4の開閉状態が維持される。
【0030】
制御部20は、排水栓4を開栓し、第1、第2電磁弁18c,18d、洗剤電磁弁7b等の開閉やポンプ16の駆動等を制御して、浴槽洗浄運転を行う。この浴槽洗浄運転について、図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0031】
最初にS1において、排水栓4を開栓してS2に進む。そしてS2において、浴槽1内に洗浄ノズル5から湯水を所定の予備洗浄時間(例えば40秒)だけ噴射する予備洗浄を行う。予備洗浄では、給湯装置2から供給される湯水を湯水タンク15に貯留しながら、流量センサ14bが検知する流量が予め設定された供給流量となるようにポンプ16を駆動して、洗浄ノズル5から予め設定された噴射流量で噴射する。このとき、湯水タンク15の水位が第1水位Lと第2水位Hの間となるように、第1、第2電磁弁18c,18dについて電磁弁制御を行う。
【0032】
電磁弁制御では、例えば図3のように、S11において第1、第2電磁弁18c,18dの両方を開けてS12に進み、S12において湯水タンク15の水位が第2水位H(上限水位)に到達したか否か判定する。S12の判定がNoの場合は第1、第2電磁弁18c,18dを開けたままS12に戻り、S12の判定がYesの場合はS13に進む。
【0033】
S13において、例えば第1電磁弁18cを開けたまま第2電磁弁18dを閉じてS14に進み、S14において湯水タンク15の水位が第1水位L(下限水位)に到達(低下)したか否か判定する。S14の判定がNoの場合は第1、第2電磁弁18c,18dの開閉状態を維持したままS14に戻り、S14の判定がYesの場合はリターンしてこの電磁弁制御を最初から始める。
【0034】
この電磁弁制御は、予備洗浄後の洗浄液散布、すすぎ洗浄においても同様に行われる。尚、S13では、毎回同じ電磁弁を閉じるようにしてもよく、前回と異なる電磁弁を閉じるようにしてもよい。
【0035】
図2のS2の予備洗浄が終わるとS3に進み、S3において洗浄液散布(洗浄液の噴射)を行って汚れを浮かせる。この洗浄液散布では、洗剤電磁弁7bを開けることによって洗浄ノズル5に予め設定された供給流量で供給される湯水に洗剤をベンチュリ17で混合した洗浄液を、所定の噴射時間(例えば20秒)だけ洗浄ノズル5から噴射して、所定の待機時間(例えば30秒)だけ待機する。この洗浄液の噴射と待機を予め設定された回数(例えば7回)だけ繰り返し行う。
【0036】
S3の洗浄液散布が終わるとS4に進み、S4においてすすぎ洗浄を行う。このすすぎ洗浄は、S2の予備洗浄と同様に予め設定された供給流量で供給される湯水を所定のすすぎ時間(例えば60秒)だけ噴射して汚れを洗い流す。S4のすすぎ洗浄が終わるとS5に進み、S5において第1、第2電磁弁18c,18dを閉じて湯水タンク15が空になるまでポンプ16を駆動するタンク排水を行い、このタンク排水が終了したら浴槽洗浄運転を終了する。
【0037】
浴槽洗浄運転の実行中に例えば給湯栓F等の他栓において給湯使用が開始されると、湯水タンク15に供給される湯水が減少して湯水タンク15の水位が第1水位L未満になる場合がある。このとき、湯水タンク15内の空気が湯水と共にポンプ16に取り込まれてしまい、洗浄ノズル5に予め設定された供給流量で湯水を供給できず、設定された噴射流量で噴射することができなくなる。これを防止するために、ポンプ16の駆動を一旦停止し、湯水タンク15に湯水を貯留して水位の回復を図りながら、混入した空気を排出するエア抜き動作を行う。
【0038】
例えば図4のように、予備洗浄中に他栓で給湯使用が開始される場合について説明する。洗浄リモコン13の操作によって時刻t1で浴槽洗浄運転が開始された場合に、第1、第2電磁弁18c,18dを開けると、湯水タンク15に給湯装置2から湯水が供給され湯水タンク15の水位が上昇する。
【0039】
時刻t2で湯水タンク15の水位が第2水位Hに到達すると、ポンプ16を駆動して洗浄ノズル5から湯水を噴射すると共に、例えば第1電磁弁18cを開けたまま第2電磁弁18dを閉じる。これにより、洗浄ノズル5からの噴射流量が湯水タンク15への流入流量を上回るため、湯水タンク15の水位が低下する。時刻t3で湯水タンク15の水位が第1水位Lまで低下すると、第1、第2電磁弁18c,18dの両方を開けるので、再び水位が上昇する。洗浄ノズル5から湯水又は洗浄液を噴射するときには、このような動作を繰り返す。
【0040】
時刻t4で他栓での給湯使用が開始されると、第1、第2電磁弁18c,18dの両方を開けていても給湯装置2から供給される湯水の湯水タンク15への流入流量が減少し、洗浄ノズル5からの噴射流量が湯水タンク15への流入流量を上回って水位が低下する。時刻t5で第1水位Lに低下し、さらに水位が低下すると空気が混入し始めるので、噴射流量が低下する。
【0041】
時刻t6で予め設定された噴射流量Rを下回ると、即ち流量センサ14bで検知される洗浄ノズル5への湯水の供給流量が予め設定された基準流量未満になると、浴槽洗浄運転におけるポンプ16の駆動を一旦停止(浴槽洗浄運転を一時中断)する。このとき第1、第2電磁弁18c,18dを開けた状態でポンプ16を停止し、湯水タンク15の水位を上昇させる。そして、湯水タンク15の水位が上昇して第1水位Lに到達した時刻t7で、混入した空気を排出するためにエア抜き動作を開始する。
【0042】
エア抜き動作は、ポンプ16を断続的に駆動して、混入した空気を湯水と共に洗浄ノズル5から排出すると共に、ポンプ16内に滞留する空気を湯水タンク15に排出する。例えば図5に示すように、エア抜き動作を開始すると、S21においてポンプ16の回転数を浴槽洗浄運転(予備洗浄、洗浄液散布、すすぎ洗浄)のときよりも低回転に設定してS22に進む。
【0043】
S22において、ポンプ駆動回数n(ポンプ16の駆動回数)をゼロに初期化してS23に進む。そしてS23において、現在水位が第1水位L以上か否か判定する。S23の判定がNoの場合はS23に戻り、S23の判定がYesの場合はS24に進む。
【0044】
S24において、S22で設定した回転数で所定時間(例えば1秒)だけポンプ16を駆動してS25に進む。S25においてポンプ駆動回数nを1増加させてS26に進む。S26において所定時間(例えば5秒)だけポンプ停止状態で待機してS27に進む。
【0045】
S27において、ポンプ駆動回数nが規定回数N(例えば2回)に到達したか否か判定する。S27の判定がNoの場合はS23に戻り、S27の判定がYesの場合はS28に進む。尚、規定回数Nは1回、又は3回以上であってもよい。尚、S23~S27では、図3の電磁弁制御が行われる。
【0046】
S28において現在水位が第2水位Hに到達したか否か判定する。S28の判定がNoの場合はS28に戻り、S28の判定がYesの場合はS29に進む。そしてS29において、第1、第2電磁弁18c,18dを閉じてS30に進む。このときが、図4の時刻t8に相当する。
【0047】
図5のS30において、他栓での給湯使用が終了したか否か判定する。このとき、制御部20は給湯装置2と装置状態について通信し、例えば給湯装置2が非燃焼の場合に他栓での給湯使用が終了したと判定する。S30の判定がNoの場合にはS30に戻り、S30の判定がYesの場合にはエア抜き動作を終了して浴槽洗浄運転を再開する。このときが、図4の時刻t9に相当する。
【0048】
このように他栓での給湯使用の終了を待たずにエア抜き動作を開始するので、他栓での給湯使用の終了後に浴槽洗浄運転を再開してエア抜き動作を行う場合よりも浴槽洗浄運転の時間が長くなることを抑制することができる。また、混入した空気をエア抜き動作によって排出するので、浴槽洗浄運転の再開時には洗浄ノズル5から設定された噴射量で噴射して十分に洗浄を行うことができる。
【0049】
上記の浴槽洗浄装置10の作用、効果について説明する。
浴槽洗浄装置10は、湯水タンク15の水位が低下して空気が混入し、洗浄ノズル5への供給流量が基準流量未満に減少した場合には、ポンプ16を停止して浴槽洗浄運転を一時中断し、湯水タンク15に湯水を貯留する。そして、湯水タンク15に湯水を貯留しながら湯水タンク15が所定の水位以上のときにエア抜き動作を行う。従って、湯水タンク15に湯水を貯留可能且つ所定の水位以上の状態でポンプ16を駆動して混入した空気を排出するので、例えば給湯栓F等の他栓での給湯使用の終了を待たずに早くエア抜き動作を開始することができ、浴槽洗浄運転の時間が長くなることを抑制することができる。また、混入した空気を排出するので、浴槽洗浄運転の再開時には洗浄ノズル5から設定された噴射量で噴射して十分に洗浄を行うことができる。
【0050】
浴槽洗浄運転のときよりもエア抜き動作のときの洗浄ノズル5への供給流量が低流量なので、他栓の給湯使用によって湯水タンク15に供給される湯水が少なくても、ポンプ16を断続的に駆動して、空気が新たに混入することを防ぎながら、混入した空気を洗浄ノズル5から排出する又は湯水タンク15に排出することができる。
【0051】
浴槽洗浄運転の一時中断時には、エア抜き動作を行うために所定水位として例えば第1水位L以上となるように第1、第2電磁弁18c,18d(開閉弁)を開閉して湯水タンク15に湯水を貯留する。従って、他栓の給湯使用のため湯水タンク15への湯水の供給量が少ない場合に所定水位以上の湯水を貯留するので、エア抜き動作を行っても新たな空気の混入を防ぐことができる。また、第1水位L以上の第2水位Hになるとオーバーフロー口15bから排出されないように第1、第2電磁弁18c,18dのうちの一方又は両方を閉じて、湯水を無駄にしないようにすることができる。
【0052】
エア抜き動作において、ポンプ16の駆動時間が例えば1秒のように短い場合には目標の回転数に到達する前に停止することを利用して、ポンプ16をその駆動時間によって浴槽洗浄運転のときよりも低回転に制御するように構成してもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0053】
1 :浴槽
1a :循環アダプタ
2 :給湯装置
2a :給湯通路
3 :湯張り追焚き通路
4 :排水栓
5 :洗浄ノズル
6 :供給ユニット
7 :洗剤タンク
7a :洗剤通路
7b :洗剤電磁弁
7c :洗剤フロートスイッチ
8 :排水スイッチ
9 :電源通信ユニット
10 :浴槽洗浄装置
11 :浴室リモコン
12 :台所リモコン
13 :洗浄リモコン
14 :湯水通路
14a:フィルタ
14b:流量センサ(流量検知手段)
15 :湯水タンク
15a:フロートスイッチ
15b:オーバーフロー口
16 :ポンプ
17 :ベンチュリ
18 :並列通路部
18a,18b:分岐通路
18c:第1電磁弁(開閉弁)
18d:第2電磁弁(開閉弁)
18e,18f:定流量弁
19 :温度センサ
20 :制御部
図1
図2
図3
図4
図5