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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028815
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】油圧駆動システム及び油圧駆動方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/17 20060101AFI20230224BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F15B11/17
F15B11/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134739
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 真平
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA02
3H089AA21
3H089AA61
3H089BB27
3H089CC02
3H089CC12
3H089DA02
3H089DA07
3H089DA14
3H089DA17
3H089DB33
3H089DB44
3H089DB48
3H089FF02
3H089FF04
3H089FF10
3H089GG02
3H089JJ06
(57)【要約】
【課題】電動油圧ポンプの数を抑えつつ、油圧アクチュエータで発生可能な力の領域を増加する。
【解決手段】油圧駆動システム1は、第1モータ13によって駆動される第1油圧ポンプ3と、第2モータ21によって駆動される第2油圧ポンプ5と、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から供給される作動油により駆動する第1油圧シリンダ7と、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から供給される作動油により駆動し、第1油圧シリンダ7と対応する方向に駆動するように規制された第2油圧シリンダ9と、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9の少なくとも一方を介して供給される作動油により駆動する第3油圧シリンダ11と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モータによって駆動される第1油圧ポンプと、
第2モータによって駆動される第2油圧ポンプと、
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの少なくとも一方から供給される作動油により駆動する第1油圧アクチュエータと、
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの少なくとも一方から供給される前記作動油により駆動し、前記第1油圧アクチュエータと対応する方向に駆動するように規制された第2油圧アクチュエータと、
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの少なくとも一方から前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータの少なくとも一方を介して供給される前記作動油により駆動する第3油圧アクチュエータと、
を有する、油圧駆動システム。
【請求項2】
前記第1油圧ポンプは、
前記作動油を前記第2油圧ポンプ側に吐出するための第1ポート及び前記第2油圧ポンプとは反対側に吐出するための第2ポートを有する双方向ポンプであり、
前記第2油圧ポンプは、
前記作動油を前記第1油圧ポンプ側に吐出するための第3ポート及び前記第1油圧ポンプとは反対側に吐出するための第4ポートを有する双方向ポンプであり、
前記油圧駆動システムは、
前記第1油圧ポンプの前記第1ポート及び前記第2油圧ポンプの前記第3ポートと、前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータと、を接続する第1油路と、
前記第1油圧ポンプの前記第2ポートと、前記第1油圧アクチュエータと、を接続する第2油路と、
前記第2油圧ポンプの前記第4ポートと、前記第2油圧アクチュエータと、を接続する第3油路と、
をさらに有する、請求項1に記載の油圧駆動システム。
【請求項3】
前記第1油圧アクチュエータ、前記第2油圧アクチュエータ、及び前記第3油圧アクチュエータを有する油圧回路構成を単一の油圧駆動ユニットとした場合に、
複数の前記油圧駆動ユニットを有する、
請求項1又は2に記載の油圧駆動システム。
【請求項4】
nを1以上の整数とした場合に、
(2-1)個の前記油圧駆動ユニットを有しており、
2個の前記油圧駆動ユニットが1個の前記油圧駆動ユニットに対して並列となるように接続されている、
請求項3に記載の油圧駆動システム。
【請求項5】
nを1以上の整数とした場合に、
軸数及びモータの個数は2
油圧アクチュエータの個数は3×(2-1)である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の油圧駆動システム。
【請求項6】
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの各々は、
複数台で構成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の油圧駆動システム。
【請求項7】
複数台の前記第1油圧ポンプは、
前記第1油圧アクチュエータ又は前記第2油圧アクチュエータに対して直列に接続されており、
複数台の前記第2油圧ポンプは、
前記第1油圧アクチュエータ又は前記第2油圧アクチュエータに対して直列に接続されている、
請求項6に記載の油圧駆動システム。
【請求項8】
複数台の前記第1油圧ポンプは、
前記第1油圧アクチュエータ又は前記第2油圧アクチュエータに対して並列に接続されており、
複数台の前記第2油圧ポンプは、
前記第1油圧アクチュエータ又は前記第2油圧アクチュエータに対して並列に接続されている、
請求項6に記載の油圧駆動システム。
【請求項9】
第3モータによって駆動され、前記第1油圧ポンプ又は前記第2油圧ポンプから供給される前記作動油を増加させる第3油圧ポンプをさらに有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の油圧駆動システム。
【請求項10】
前記第1油圧ポンプは、
前記作動油を前記第2油圧ポンプ側に吐出するための第1ポート及び前記第2油圧ポンプとは反対側に吐出するための第2ポートを有する双方向ポンプであり、
前記第2油圧ポンプは、
前記作動油を前記第1油圧ポンプ側に吐出するための第3ポート及び前記第1油圧ポンプとは反対側に吐出するための第4ポートを有する双方向ポンプであり、
前記油圧駆動システムは、
前記第1油圧ポンプの前記第1ポート及び前記第2油圧ポンプの前記第3ポートと、前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータと、を接続する第1油路と、
前記第1油圧ポンプの前記第2ポートと、前記第1油圧アクチュエータと、を接続する第2油路と、
前記第2油圧ポンプの前記第4ポートと、前記第2油圧アクチュエータと、を接続する第3油路と、
前記第3油圧ポンプと前記第1油路とを接続し、第1切替弁が設置された第4油路と、
前記第3油圧ポンプと前記第2油路とを接続し、第2切替弁が設置された第5油路と、
前記第3油圧ポンプと前記第3油路とを接続し、第3切替弁が設置された第6油路と、
をさらに有する、請求項9に記載の油圧駆動システム。
【請求項11】
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプは、
容積式ポンプである、
請求項1~10のいずれか1項に記載の油圧駆動システム。
【請求項12】
前記第1油圧アクチュエータは、
第1ピストンにより区画された第1油室及び第2油室を有する第1油圧シリンダであり、
前記第2油圧アクチュエータは、
第2ピストンにより区画された第3油室及び第4油室を有する第2油圧シリンダであり、
前記第3油圧アクチュエータは、
第3ピストンにより区画された第5油室及び第6油室を有する第3油圧シリンダであり、
前記第1油路は、
前記第1ポート及び前記第3ポートと、前記第1油圧シリンダの前記第1油室及び前記第2油圧シリンダの前記第3油室と、を接続し、
前記第2油路は、
前記第2ポートと、前記第1油圧シリンダの前記第2油室と、を接続し、
前記第3油路は、
前記第4ポートと、前記第2油圧シリンダの前記第4油室と、を接続し、
前記油圧駆動システムは、
前記第1油圧シリンダの前記第1油室又は前記第2油室のいずれか一方と、前記第3油圧シリンダの前記第5油室と、を接続する第7油路と、
前記第2油圧シリンダの前記第3油室又は前記第4油室のいずれか一方と、前記第3油圧シリンダの前記第6油室と、を接続する第8油路と、
をさらに有する、請求項2に記載の油圧駆動システム。
【請求項13】
第1モータによって駆動される第1油圧ポンプ及び第2モータによって駆動される第2油圧ポンプにより、互いに対応する方向に駆動するように規制された第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータの各々に対して前記対応する方向に駆動するように作動油を供給することと、
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプにより、前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータの各々に対して非対応の方向に駆動するように前記作動油を供給し、前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータの少なくとも一方を介して第3アクチュエータに前記作動油を供給することと、
を有する、油圧駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、油圧駆動システム及び油圧駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧アクチュエータと電動油圧ポンプを備えたEHA(Electro Hydrostatic Actuator)システムが知られている。例えば特許文献1には、多関節アームと、多関節アームの関節を動作させる関節駆動モータと、関節駆動モータのうち少なくとも1つの駆動力をアシストする、ピストンの両側に作動油が出入りする2つのポートが設けられた油圧シリンダと、を備えた産業用ロボットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-196681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動油圧ポンプの数を抑えつつ、油圧アクチュエータで発生可能な力の領域を増加することが可能なEHAシステムが求められていた。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、電動油圧ポンプの数を抑えつつ、油圧アクチュエータで発生可能な力の領域を増加することが可能な油圧駆動システム及び油圧駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、第1モータによって駆動される第1油圧ポンプと、第2モータによって駆動される第2油圧ポンプと、前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの少なくとも一方から供給される作動油により駆動する第1油圧アクチュエータと、前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの少なくとも一方から供給される前記作動油により駆動し、前記第1油圧アクチュエータと対応する方向に駆動するように規制された第2油圧アクチュエータと、前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプの少なくとも一方から前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータの少なくとも一方を介して供給される前記作動油により駆動する第3油圧アクチュエータと、を有する、油圧駆動システムが適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、第1モータによって駆動される第1油圧ポンプ及び第2モータによって駆動される第2油圧ポンプにより、互いに対応する方向に駆動するように規制された第1油圧アクチュエータ及び第2油圧アクチュエータの各々に対して前記対応する方向に駆動するように作動油を供給することと、前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプにより、前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータの各々に対して非対応の方向に駆動するように前記作動油を供給し、前記第1油圧アクチュエータ及び前記第2油圧アクチュエータの少なくとも一方を介して第3アクチュエータに前記作動油を供給することと、を有する、油圧駆動方法が適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の油圧駆動システム等によれば、電動油圧ポンプの数を抑えつつ、油圧アクチュエータで発生可能な力の領域を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。
図2】第1実施形態に係る油圧駆動システムにより発生可能な推力の領域の一例を表す説明図である。
図3】第1実施形態に係る油圧駆動システムの第1の等価回路構成を表す説明図である。
図4】第1実施形態に係る油圧駆動システムの第2の等価回路構成を表す説明図である。
図5】第1実施形態に係る油圧駆動システムの開回路構成の一例を表す説明図である。
図6】第2実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。
図7】第2実施形態の変形例に係る油圧駆動システムの回路構成の一例を表す説明図である。
図8】第3実施形態に係る第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプの各々を直列に接続した場合の油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。
図9】第3実施形態に係る第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプの各々を並列に接続した場合の油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。
図10】第4実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の第1の例を表す説明図である。
図11】第4実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の第2の例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<1.第1実施形態>
(1-1.第1実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成)
図1を参照しつつ、第1実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。
【0012】
図1に示すように、油圧駆動システム1は、第1油圧ポンプ3と、第2油圧ポンプ5と、第1油圧シリンダ7と、第2油圧シリンダ9と、第3油圧シリンダ11とを有する。
【0013】
第1油圧ポンプ3は、第1モータ13によって駆動される。第1モータ13は、正転方向及び逆転方向に回転可能なサーボモータである。第1モータ13の回転方向、回転速度、又は回転量は、回転検出部15により検出される。第1油圧ポンプ3は、作動油を第2油圧ポンプ5側に吐出するための第1ポート17と、第2油圧ポンプ5とは反対側に吐出するための第2ポート19とを有する、双方向ポンプである。
【0014】
第2油圧ポンプ5は、第2モータ21によって駆動される。第2モータ21は、正転方向及び逆転方向に回転可能なサーボモータである。第2モータ21の回転方向、回転速度、又は回転量は、回転検出部23により検出される。第2油圧ポンプ5は、作動油を第1油圧ポンプ3側に吐出するための第3ポート25と、第1油圧ポンプ3とは反対側に吐出するための第4ポート27とを有する、双方向ポンプである。
【0015】
第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5は、容積式ポンプでもよいし、非容積式ポンプでもよい。容積式ポンプの場合には、作動油の流量を精度よく制御できると共に、付属品等の周辺システムを簡素化でき、コストを削減できる。このため、容積式ポンプが好適である。
【0016】
第1油圧シリンダ7(第1油圧アクチュエータの一例)は、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から供給される作動油により駆動する。第1油圧シリンダ7は、第1ピストン29により区画された油室31,33を有する。
【0017】
第2油圧シリンダ9(第2油圧アクチュエータの一例)は、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から供給される作動油により駆動する。第2油圧シリンダ9は、第2ピストン35により区画された油室37,39を有する。
【0018】
第1油圧シリンダ7の第1出力部41と、第2油圧シリンダ9の第2出力部43とは、対応する方向に駆動するように規制されている。例えば、第1出力部41と第2出力部43とは機械的に固定されており、同じ直動方向に駆動するように規制されている。第1出力部41の動作方向、動作速度、又は動作量は、直動検出部45により検出され、第2出力部43の動作方向、動作速度、又は動作量は、直動検出部47により検出される。
【0019】
第3油圧シリンダ11(第3油圧アクチュエータの一例)は、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9の少なくとも一方を介して供給される作動油により駆動する。第3油圧シリンダ11は、第3ピストン49により区画された油室51,53を有する。第3油圧シリンダ11の第3出力部55の動作方向、動作速度、又は動作量は、直動検出部57により検出される。
【0020】
本実施形態における「油圧シリンダを介して供給される作動油」は、油圧シリンダの油室を通って供給される作動油のみを指すものではなく、例えば油室を通らずに油室に接続されたポートやバルブの近傍を通って供給される作動油を含むものである。
【0021】
油圧駆動システム1は、油路59,61,63,65,67を有する。油路59(第1油路の一例)は、第1油圧ポンプ3の第1ポート17及び第2油圧ポンプ5の第3ポート25と、第1油圧シリンダ7の油室31(第1油室の一例)及び第2油圧シリンダ9の油室37(第3油室の一例)とを接続する。油路61(第2油路の一例)は、第1油圧ポンプ3の第2ポート19と、第1油圧シリンダ7の油室33(第2油室の一例)とを接続する。油路63(第3油路の一例)は、第2油圧ポンプ5の第4ポート27と、第2油圧シリンダ9の油室39(第4油室の一例)とを接続する。油路65(第7油路の一例)は、第1油圧シリンダ7の油室33と、第3油圧シリンダ11の油室51(第5油室の一例)とを接続する。油路67(第8油路の一例)は、第2油圧シリンダ9の油室39と、第3油圧シリンダ11の油室53(第6油室の一例)とを接続する。油路59,61,63,65,67のそれぞれには、圧力計69,71,73,75,77,79が設けられている。
【0022】
第1モータ13及び第2モータ21の各々は、直動検出部45,47,57の検出結果と、圧力計69,71,73,75,77,79の検出結果とに基づいて、各油圧シリンダ7,9,11の各出力部41,43,55の動作方向、動作速度、動作量、又は推力が目標値となるように、制御装置(図示省略)により回転方向、回転速度、回転量、又はトルクを制御される。
【0023】
油圧駆動システム1は、nを1とした場合に、軸数及びモータの個数は2(=2)個、油圧シリンダの個数は3×(2-1)(=3)個となる構成を有する。
【0024】
(1-2.第1実施形態に係る油圧駆動システムの動作原理)
上記構成である油圧駆動システム1の動作原理を図1の表TB1に示す。表TB1に示すように、第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)である場合には、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の両方により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室31及び第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「→→」と表記)。シリンダが伸びる方向とは、出力部が油圧シリンダの本体から離れる方向である。この場合、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0025】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「←←」と表記)。シリンダが縮む方向とは、出力部が油圧シリンダの本体に近づく方向である。この場合、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0026】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「↑↑」と表記)。
【0027】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「↓↓」と表記)。
【0028】
(1-3.第1実施形態に係る油圧駆動システムにより発生可能な推力の領域)
上記構成である油圧駆動システム1により発生可能な推力の領域を図2に示す。図2は、第1実施形態に係る油圧駆動システムにより発生可能な推力の領域の一例を表す説明図である。
【0029】
図2において、領域81は、第1実施形態に係る油圧駆動システム1により発生可能な推力の領域(回転型の油圧アクチュエータの場合にはトルク領域)である。領域83は、例えば単体の油圧ポンプで第1油圧シリンダ7(第2油圧シリンダ9)又は第3油圧シリンダ11を駆動する通常の回路構成の油圧駆動システム(図示省略)により発生可能な推力の領域である。τ1は、第3出力部55により発生する推力の成分であり、τ2は、第1出力部41又は第2出力部43により発生する推力の成分である。油圧駆動システム1では、第1モータ13及び第2モータ21を同じ回転方向に駆動させた場合にτ1の推力の成分を発生させ、第1モータ13及び第2モータ21を反対の回転方向に駆動(差動ともいう)させた場合にτ2の推力の成分を発生させる。図2に示すように、油圧駆動システム1は、通常の回路構成の油圧駆動システムと比べて最大で2倍の推力を発生させることができる。このように、油圧駆動システム1によれば、EMA(Electro Mechanical Actuator)の差動歯車機構により実現していた干渉駆動のメカニズムをEHA(Electro Hydrostatic Actuator)で再現することが可能となる。
【0030】
また、通常の回路構成の油圧駆動システムにおいて2倍の推力を発生させるためには、τ1に対応する軸(第3出力部55に対応する軸)及びτ2に対応する軸(第1出力部41又は第2出力部43に対応する軸)の各軸に対してそれぞれ2台のモータが必要となる。これに対し、油圧駆動システム1では各軸にそれぞれ1台のモータ(2軸で2台のモータ)で足りる。したがって、モータの数を抑えつつ、油圧シリンダで発生可能な推力の領域を増加することができる。
【0031】
図2において、領域81におけるτ1及びτ2の各軸に沿った領域は、第1油圧ポンプ3と第2油圧ポンプ5の吐出流量又は吐出圧力の比率を1:1とすることで、発生させることができる。領域81におけるその他の領域については、第1油圧ポンプ3と第2油圧ポンプ5の吐出流量又は吐出圧力の比率を異なる比率とすることで、発生させることができる。
【0032】
(1-4.第1実施形態の効果)
以上説明したように、第1実施形態の油圧駆動システム1は、第1モータ13によって駆動される第1油圧ポンプ3と、第2モータ21によって駆動される第2油圧ポンプ5と、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から供給される作動油により駆動する第1油圧シリンダ7と、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から供給される作動油により駆動し、第1油圧シリンダ7と対応する方向に駆動するように規制された第2油圧シリンダ9と、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の少なくとも一方から第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9の少なくとも一方を介して供給される作動油により駆動する第3油圧シリンダ11と、を有する。
【0033】
油圧駆動システム1によれば、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により、互いに対応する方向に駆動するように規制された第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9の各々に対して対応する方向に駆動するように作動油を供給する場合には、第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9を単体の油圧ポンプで駆動する場合に比べて2倍の推力で駆動することができる。この場合、第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9を介して第3油圧シリンダ11に供給される作動油は拮抗し、第3油圧シリンダ11は駆動されない。
【0034】
一方、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により、第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9の各々に対して非対応の方向に駆動するように作動油を供給する場合には、第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9は駆動されない。この場合、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5からの作動油は第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9の少なくとも一方を介して第3油圧シリンダ11に供給され、第3油圧シリンダ11を単体の油圧ポンプで駆動する場合に比べて2倍の推力で駆動することができる。
【0035】
このような構成により、EMAの差動歯車機構により実現していた干渉駆動のメカニズムをEHAで再現することが可能となる。したがって、電動油圧ポンプの数を抑えつつ、油圧シリンダで発生可能な推力の領域を増加することができる。
【0036】
本実施形態において、第1油圧ポンプ3は、作動油を第2油圧ポンプ5側に吐出するための第1ポート17及び第2油圧ポンプ5とは反対側に吐出するための第2ポート19を有する双方向ポンプであってもよく、第2油圧ポンプ5は、作動油を第1油圧ポンプ3側に吐出するための第3ポート25及び第1油圧ポンプ3とは反対側に吐出するための第4ポート27を有する双方向ポンプであってもよく、その場合には、油圧駆動システム1は、第1油圧ポンプ3の第1ポート17及び第2油圧ポンプ5の第3ポート25と、第1油圧シリンダ7及び第2油圧シリンダ9とを接続する油路59と、第1油圧ポンプ3の第2ポート19と第1油圧シリンダ7とを接続する油路61と、第2油圧ポンプ5の第4ポート27と第2油圧シリンダ9とを接続する油路63と、を有してもよい。
【0037】
この場合、第1油圧ポンプ3と第1油圧シリンダ7との間、第2油圧ポンプ5と第2油圧シリンダ9との間、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5と第3油圧シリンダ11との間で、作動油を循環可能な閉回路を構成できる。これにより、第1油圧ポンプ3又は第2油圧ポンプ5から第1油圧シリンダ7又は第2油圧シリンダ9に供給した作動油を第1油圧ポンプ3又は第2油圧ポンプ5に直接戻すことができると共に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5から第3油圧シリンダ11に供給した作動油を第1油圧シリンダ7又は第2油圧シリンダ9を介して第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5に直接戻すことが可能となる。したがって、開回路の場合と比べて切替弁や作動油タンク等を削減又は小型化でき、油圧回路構成をシンプル化できる。
【0038】
本実施形態において、油圧駆動システム1は、nを1とした場合に、軸数及びモータの個数は2(=2個)、油圧シリンダの個数は3×(2-1)(=3個)となる構成としてもよい。
【0039】
この場合、自由度が2(=2)で最大2倍(=2倍)の推力を出力可能なシステムを構築できる。また、各軸に対して1台のモータで足りるシステムとなるため、例えば各軸に対して2台のモータを要するツインドライブシステムや、各軸に対して1台のモータを設置すると共に増圧回路(ブースターポンプ)用の1台のモータを要するハイブリッドブースターシステムと比べてモータ数を削減でき、コストを低減できる。
【0040】
本実施形態において、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5は、容積式ポンプとしてもよい。この場合、作動油の流量を精度よく制御できると共に、付属品等の周辺システムを簡素化でき、コストを削減できる。
【0041】
本実施形態において、油圧駆動システム1は、第1油圧シリンダ7の油室33と第3油圧シリンダ11の油室51とを接続する油路65と、第2油圧シリンダ9の油室39と第3油圧シリンダ11の油室53とを接続する油路67と、を有してもよい。この場合、3つの油圧シリンダ7,9,11を用いて2自由度における干渉駆動を実現可能な油圧駆動システム1を構築できる。
【0042】
(1-5.第1実施形態の変形例)
以上説明した第1実施形態は、上記の内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0043】
(1-5-1.第1の等価回路構成)
図3に、第1実施形態に係る油圧駆動システム1の第1の等価回路構成を示す。図3において、図1と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、本変形例の油圧駆動システム1Aでは、油路59は、第1油圧ポンプ3の第1ポート17及び第2油圧ポンプ5の第3ポート25と、第1油圧シリンダ7の油室33(第1油室の一例)及び第2油圧シリンダ9の油室37(第3油室の一例)とを接続する。油路61は、第1油圧ポンプ3の第2ポート19と、第1油圧シリンダ7の油室31(第2油室の一例)とを接続する。上記以外の構成は、前述の図1に示す油圧駆動システム1と同様である。
【0045】
上記構成である油圧駆動システム1Aの動作原理を図3の表TB2に示す。表TB2に示すように、第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)である場合には、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室31に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路59を介して第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「→→」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0046】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「←←」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0047】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、第1油圧ポンプ3による作動油の吸引力が加わることで、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「↑↑」と表記)。
【0048】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の両方により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「↓↓」と表記)。
【0049】
以上説明した油圧駆動システム1Aによれば、前述した油圧駆動システム1と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(1-5-2.第2の等価回路構成)
図4に、第1実施形態に係る油圧駆動システム1の第2の等価回路構成を示す。図4において、図1と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0051】
図4に示すように、本変形例の油圧駆動システム1Bは、前述の図1に示す油圧駆動システム1の構成に加えて、油路85,87を有する。油路85は、例えば第1油圧シリンダ7の油室31と、第3油圧シリンダ11の油室51とを接続する。油路87は、例えば第2油圧シリンダ9の油室37と、第3油圧シリンダ11の油室53とを接続する。上記以外の構成は、前述の図1に示す油圧駆動システム1と同様である。
【0052】
上記構成である油圧駆動システム1Bの動作原理は、前述の図1に示す油圧駆動システム1の動作原理(表TB1)と同じであるため、説明を省略する。
【0053】
以上説明した油圧駆動システム1Bによれば、追加した油路85,87に適宜のセンサ(例えば圧力計、流量計、温度計等)を設置することにより、第1モータ13及び第2モータ21の制御精度を高めることが可能となり、より制御性能の高い油圧駆動システムを実現できる。
【0054】
(1-5-3.開回路構成)
図5に、第1実施形態に係る油圧駆動システム1の開回路構成の一例を示す。図5において、図1と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図5では圧力計の図示を省略している。
【0055】
図5に示すように、本変形例の油圧駆動システム1Cは、作動油を作動油タンク89を介して循環させる開回路構成となっている。第1油圧ポンプ3a及び第2油圧ポンプ5aは、作動油を作動油タンク89から吸い込み吐出する単方向ポンプである。
【0056】
油圧駆動システム1Cは、切替弁91,93,95,97,99,101,103,105,107,109と、逆止弁111,113,115,117,119,121とを有する。切替弁91,93,95,97,99,101,103,105,107,109はそれぞれ、制御装置(図示省略)により、作動油の流れを許容する状態(表では「On」と表記)と、作動油の流れを阻止する状態(表では「Off」と表記)とに切り替えられる。逆止弁111,113,115,117,119,121はそれぞれ、作動油の逆流を防止する。逆止弁111及び切替弁91は、第1油圧ポンプ3aと第1油圧シリンダ7の油室31とを接続する油路123に設置されている。逆止弁113及び切替弁93は、第1油圧ポンプ3aと第1油圧シリンダ7の油室33とを接続する油路125に設置されている。切替弁95は、第1油圧シリンダ7の油室31と第3油圧シリンダ11の油室53とを接続する油路127に設置されている。切替弁97は、第1油圧シリンダ7の油室33と第3油圧シリンダ11の油室51とを接続する油路129に設置されている。
【0057】
切替弁99は、第2油圧シリンダ9の油室37と第3油圧シリンダ11の油室51とを接続する油路131に設置されている。切替弁101は、第2油圧シリンダ9の油室39と第3油圧シリンダ11の油室53とを接続する油路133に設置されている。逆止弁115及び切替弁103は、第2油圧ポンプ5aと第2油圧シリンダ9の油室37とを接続する油路135に設置されている。逆止弁117及び切替弁105は、第2油圧ポンプ5aと第2油圧シリンダ9の油室39とを接続する油路137に設置されている。
【0058】
切替弁107及び逆止弁119は、第3油圧シリンダ11の油室51と作動油タンク89とを接続する油路139に設置されている。切替弁109及び逆止弁121は、第3油圧シリンダ11の油室53と作動油タンク89とを接続する油路141に設置されている。
【0059】
上記以外の構成は、前述の図1に示す油圧駆動システム1と同様である。
【0060】
上記構成である油圧駆動システム1Cの動作原理を図5の表TB3に示す。表TB3に示すように、切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOn、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOff、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOff、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOn、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOff、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOn、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOn、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOff、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOn、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOnの場合、第1油圧ポンプ3aにより供給される作動油が油路123を介して第1油圧シリンダ7の油室31に供給されると共に、第2油圧ポンプ5aにより供給される作動油が油路135を介して第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「→→」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の油室51,53に供給される作動油は、切替弁107,109を介して作動油タンク89に流れるため、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は駆動しない(表では「×」と表記)。
【0061】
切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOff、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOn、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOn、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOff、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOn、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOff、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOff、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOn、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOn、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOnの場合、第1油圧ポンプ3aにより供給される作動油が油路125を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、第2油圧ポンプ5aにより供給される作動油が油路137を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「←←」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の油室51,53に供給される作動油は、切替弁107,109を介して作動油タンク89に流れるため、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は駆動しない(表では「×」と表記)。
【0062】
切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOn、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOff、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOn、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOff、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOff、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOn、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOff、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOn、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOn、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOffの場合、第1油圧ポンプ3aにより供給される作動油が油路123、第1油圧シリンダ7の油室31、油路127を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給されると共に、第2油圧ポンプ5aにより供給される作動油が油路137、第2油圧シリンダ9の油室39、油路133を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給される。第3油圧シリンダ11の油室51の作動油は、油路139を介して作動油タンク89に流れる。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「↑↑」と表記)。
【0063】
切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOff、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOn、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOff、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOn、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOn、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOff、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOn、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOff、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOff、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOnの場合、第1油圧ポンプ3aにより供給される作動油が油路125、第1油圧シリンダ7の油室33、油路129を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給されると共に、第2油圧ポンプ5aにより供給される作動油が油路135、第2油圧シリンダ9の油室37、油路131を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給される。第3油圧シリンダ11の油室53の作動油は、油路141を介して作動油タンク89に流れる。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する(表では「↓↓」と表記)。
【0064】
以上説明した油圧駆動システム1Cによれば、前述した油圧駆動システム1と同様に、EMAの差動歯車機構により実現していた干渉駆動のメカニズムを油圧回路(開回路)で再現することが可能となる。したがって、電動油圧ポンプの数を抑えつつ、油圧アクチュエータで発生可能な力の領域を増加することができる。
【0065】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1油圧シリンダ7、第2油圧シリンダ9、及び第3油圧シリンダ11を有する油圧回路構成を単一の油圧駆動ユニットとした場合に、油圧駆動システムが複数の油圧駆動ユニットを有する場合の実施形態である。
【0066】
(2-1.第2実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成)
図6を参照しつつ、第2実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成について説明する。図6は、第2実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。図6において、図1と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0067】
図6に示すように、第2実施形態に係る油圧駆動システム1Dは、前述の図1に示す油圧駆動システム1における第1油圧シリンダ7、第2油圧シリンダ9、及び第3油圧シリンダ11と同様の油圧回路構成を有する3個の油圧駆動ユニット143,145,147を有する。2個の油圧駆動ユニット143,145は、1個の油圧駆動ユニット147に対して並列となるように接続されている。
【0068】
油圧駆動システム1Dは、前述の第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5に加えて、第3油圧ポンプ3Aと、第4油圧ポンプ5Aとを有する。
【0069】
第3油圧ポンプ3Aは、第3モータ13Aによって駆動される。第3モータ13Aは、正転方向及び逆転方向に回転可能なサーボモータである。第3モータ13Aの回転方向、回転速度、又は回転量は、回転検出部15Aにより検出される。第3油圧ポンプ3Aは、作動油を第4油圧ポンプ5A側に吐出するための第1ポート17Aと、第4油圧ポンプ5Aとは反対側に吐出するための第2ポート19Aとを有する、双方向ポンプである。
【0070】
第4油圧ポンプ5Aは、第4モータ21Aによって駆動される。第4モータ21Aは、正転方向及び逆転方向に回転可能なサーボモータである。第4モータ21Aの回転方向、回転速度、又は回転量は、回転検出部23Aにより検出される。第4油圧ポンプ5Aは、作動油を第3油圧ポンプ3A側に吐出するための第3ポート25Aと、第3油圧ポンプ3Aとは反対側に吐出するための第4ポート27Aとを有する、双方向ポンプである。
【0071】
第3油圧ポンプ3A及び第4油圧ポンプ5Aは、容積式ポンプでもよいし、非容積式ポンプでもよい。容積式ポンプの場合には、作動油の流量を精度よく制御できると共に、付属品等の周辺システムを簡素化でき、コストを削減できる。このため、容積式ポンプが好適である。
【0072】
油圧駆動ユニット143は、第1油圧シリンダ7と、第2油圧シリンダ9と、第3油圧シリンダ11と、油路59,61,63,65,67とを有する。これらの構成は、前述の図1に示す構成と同様であるため、説明を省略する。第2実施形態では説明の便宜上、第3油圧シリンダ11を第5油圧シリンダ11と、第3出力部55を第5出力部55(図6では「OUT5」と表記)と呼称する。
【0073】
油圧駆動ユニット145は、第3油圧シリンダ7Aと、第4油圧シリンダ9Aと、第6油圧シリンダ11Aと、油路59A,61A,63A,65A,67Aとを有する。油圧駆動ユニット143の第1油圧シリンダ7の第1出力部41及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43と、油圧駆動ユニット145の第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43Aとは、対応する方向に駆動するように規制されている。例えば、第1出力部41、第2出力部43、第3出力部41A、及び第4出力部43Aは機械的に固定されており、同じ直動方向に駆動するように規制されている。同様に、油圧駆動ユニット143の第5油圧シリンダ11の第5出力部55と、油圧駆動ユニット145の第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55Aとは、対応する方向に駆動するように規制されている。例えば、第5出力部55と第6出力部55Aとは機械的に固定されており、同じ直動方向に駆動するように規制されている。
【0074】
油圧駆動ユニット145の上記以外の構成は、油圧駆動ユニット143と同様であるため、説明を省略する。図6では、油圧駆動ユニット145の各構成の符号は、油圧駆動ユニット143の対応する構成の符号に「A」を付したものとしている。
【0075】
油圧駆動ユニット147は、第7油圧シリンダ7Bと、第8油圧シリンダ9Bと、第9油圧シリンダ11Bと、油路59B,61B,63B,65B,67Bとを有する。
【0076】
第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41Bと、第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43Bとは、対応する方向に駆動するように規制されている。例えば、第7出力部41Bと第8出力部43Bとは機械的に固定されており、同じ直動方向に駆動するように規制されている。
【0077】
油路59Bは、第5油圧シリンダ11の油室53及び第6油圧シリンダ11Aの油室51Aと、第7油圧シリンダ7Bの油室33B及び第8油圧シリンダ9Bの油室37Bとを接続する。油路61Bは、第5油圧シリンダ11の油室51と、第7油圧シリンダ7Bの油室31Bとを接続する。油路63Bは、第6油圧シリンダ11Aの油室53Aと、第8油圧シリンダ9Bの油室39Bとを接続する。
【0078】
油圧駆動ユニット147の上記以外の構成は、油圧駆動ユニット143,145と同様であるため、説明を省略する。図6では、油圧駆動ユニット147の各構成の符号は、油圧駆動ユニット143の対応する構成の符号に「B」を付したものとしている。
【0079】
上記構成である油圧駆動システム1Dは、nを2(1以上の整数の一例)とした場合に、(2-1)(=3)個の油圧駆動ユニット143,145,147を有しており、2個の油圧駆動ユニット143,145が1個の油圧駆動ユニット147に対して並列となるように接続されている。油圧駆動システム1Dは、nを2(1以上の整数の一例)とした場合に、軸数及びモータの個数は2(=4)個、油圧シリンダの個数は3×(2-1)(=9)個となる構成を有する。
【0080】
(2-2.第2実施形態に係る油圧駆動システムの動作原理)
上記構成である油圧駆動システム1Dの動作原理を図6の表TB4に示す。表TB4に示すように、第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5Aとは反対側(表では「↑」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3A側(表では「↑」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室31に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路59を介して第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。油圧駆動ユニット145では、第3油圧ポンプ3Aにより供給される作動油が油路61Aを介して第3油圧シリンダ7Aの油室31Aに供給されると共に、第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油が油路59Aを介して第4油圧シリンダ9Aの油室37Aに供給される。これにより、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。その結果、第1出力部41、第2出力部43、第3出力部41A、及び第4出力部43Aは、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「→→→→」と表記)。
【0081】
この場合、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、第1油圧シリンダ7の油室33及び第2油圧シリンダ9の油室39から油路65,67を介して油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、第3油圧シリンダ7Aの油室33A及び第4油圧シリンダ9Aの油室39Aから油路65A,67Aを介して油室51A,53Aに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0082】
油圧駆動ユニット147では、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)は、第5油圧シリンダ11から油路59B,61Bを介して油室31B,33Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、第6油圧シリンダ11Aから油路59B,63Bを介して油室37B,39Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0083】
第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、油路65B,67Bを介して油室51B,53Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0084】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5A側(表では「↓」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3Aとは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。油圧駆動ユニット145では、第3油圧ポンプ3Aにより供給される作動油が油路59Aを介して第3油圧シリンダ7Aの油室33Aに供給されると共に、第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油が油路63Aを介して第4油圧シリンダ9Aの油室39Aに供給される。これにより、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。その結果、第1出力部41、第2出力部43、第3出力部41A、及び第4出力部43Aは、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「←←←←」と表記)。
【0085】
この場合、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、第1油圧シリンダ7の油室33及び第2油圧シリンダ9の油室39から油路65,67を介して油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、第3油圧シリンダ7Aの油室33A及び第4油圧シリンダ9Aの油室39Aから油路65A,67Aを介して油室51A,53Aに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0086】
油圧駆動ユニット147では、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)は、第5油圧シリンダ11から油路59B,61Bを介して油室31B,33Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、第6油圧シリンダ11Aから油路59B,63Bを介して油室37B,39Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0087】
第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、油路65B,67Bを介して油室51B,53Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0088】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5Aとは反対側(表では「↑」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3Aとは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室31に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、油圧駆動ユニット145では、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0089】
一方、第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第5油圧シリンダ11の油室53に供給される。これにより、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、第1油圧ポンプ3による作動油の吸引力が加わることで、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。同様に、第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油は、第4油圧シリンダ9Aの油室39A及び油路67Aを介して第6油圧シリンダ11Aの油室53Aに供給される。これにより、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、第3油圧ポンプ3Aによる作動油の吸引力が加わることで、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。その結果、第5出力部55及び第6出力部55Aは、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「↑↑↑↑」と表記)。
【0090】
油圧駆動ユニット147では、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)は、第5油圧シリンダ11から油路59B,61Bを介して油室31B,33Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、第6油圧シリンダ11Aから油路59B,63Bを介して油室37B,39Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0091】
第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、油路65B,67Bを介して油室51B,53Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0092】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5A側(表では「↓」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3A側(表では「↑」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室33及び第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、油圧駆動ユニット145では、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0093】
一方、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第5油圧シリンダ11の油室51に供給される。これにより、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。同様に、第3油圧ポンプ3A及び第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油は、第3油圧シリンダ7Aの油室33A及び油路65Aを介して第6油圧シリンダ11Aの油室51Aに供給される。これにより、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動する。その結果、第5出力部55及び第6出力部55Aは、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「↓↓↓↓」と表記)。
【0094】
油圧駆動ユニット147では、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)は、第5油圧シリンダ11から油路59B,61Bを介して油室31B,33Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、第6油圧シリンダ11Aから油路59B,63Bを介して油室37B,39Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0095】
第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、油路65B,67Bを介して油室51B,53Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0096】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5A側(表では「↓」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3Aとは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室31に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路59を介して第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。一方、油圧駆動ユニット145では、第3油圧ポンプ3Aにより供給される作動油が油路59Aを介して第3油圧シリンダ7Aの油室33Aに供給されると共に、第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油が油路63Aを介して第4油圧シリンダ9Aの油室39Aに供給される。これにより、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第1出力部41及び第2出力部43と、第3出力部41A及び第4出力部43Aとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0097】
一方、第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第5油圧シリンダ11の油室51に供給される。これにより、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、第1油圧ポンプ3による作動油の吸引力が加わることで、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。同様に、第3油圧ポンプ3A及び第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油は、第4油圧シリンダ9Aの油室39A及び油路67Aを介して第6油圧シリンダ11Aの油室53Aに供給される。これにより、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第5出力部55と第6出力部55Aとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0098】
油圧駆動ユニット147では、第5油圧シリンダ11からの作動油が油路61Bを介して第7油圧シリンダ7Bの油室31Bに供給されると共に、第6油圧シリンダ11Aからの作動油が油路59Bを介して第8油圧シリンダ9Bの油室37Bに供給される。これにより、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)及び第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「→→→→」と表記)。
【0099】
第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、油路65B,67Bを介して油室51B,53Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0100】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5Aとは反対側(表では「↑」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3A側(表では「↑」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。一方、油圧駆動ユニット145では、第3油圧ポンプ3Aにより供給される作動油が油路61Aを介して第3油圧シリンダ7Aの油室31Aに供給されると共に、第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油が油路59Aを介して第4油圧シリンダ9Aの油室37Aに供給される。これにより、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第1出力部41及び第2出力部43と、第3出力部41A及び第4出力部43Aとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0101】
一方、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第5油圧シリンダ11の油室53に供給される。これにより、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。同様に、第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油は、第3油圧シリンダ7Aの油室33A及び油路65Aを介して第6油圧シリンダ11Aの油室51Aに供給される。これにより、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、第3油圧ポンプ3Aによる作動油の吸引力が加わることで、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第5出力部55と第6出力部55Aとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0102】
油圧駆動ユニット147では、第5油圧シリンダ11からの作動油が油路59Bを介して第7油圧シリンダ7Bの油室33Bに供給されると共に、第6油圧シリンダ11Aからの作動油が油路63Bを介して第8油圧シリンダ9Bの油室39Bに供給される。これにより、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)及び第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「←←←←」と表記)。
【0103】
第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、油路65B,67Bを介して油室51B,53Bに供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0104】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5A側(表では「↓」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3A側(表では「↑」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室31に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、油圧駆動ユニット145では、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0105】
一方、第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第5油圧シリンダ11の油室53に供給される。これにより、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、第1油圧ポンプ3による作動油の吸引力が加わることで、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。同様に、第3油圧ポンプ3A及び第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油は、第3油圧シリンダ7Aの油室33A及び油路65Aを介して第6油圧シリンダ11Aの油室51Aに供給される。これにより、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第5出力部55と第6出力部55Aとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0106】
油圧駆動ユニット147では、第5油圧シリンダ11からの作動油が油路59Bを介して第7油圧シリンダ7Bの油室33Bに供給される。これにより、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。同様に、第6油圧シリンダ11Aからの作動油が油路59Bを介して第8油圧シリンダ9Bの油室37Bに供給される。これにより、第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第7出力部41Bと第8出力部43Bとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0107】
第7油圧シリンダ7Bの油室33Bの作動油は、油路65Bを介して第9油圧シリンダ11Bの油室51Bに供給される。これにより、第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「↓↓↓↓」と表記)。
【0108】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)であり、且つ、第3油圧ポンプ3A(表では「P3」と表記)の吐出方向が第4油圧ポンプ5Aとは反対側(表では「↑」と表記)であり、第4油圧ポンプ5A(表では「P4」と表記)の吐出方向が第3油圧ポンプ3Aとは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、油圧駆動ユニット143では、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室33及び第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。同様に、油圧駆動ユニット145では、第3油圧シリンダ7Aの第3出力部41A(表では「C3」と表記)及び第4油圧シリンダ9Aの第4出力部43A(表では「C4」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0109】
一方、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第5油圧シリンダ11の油室51に供給される。これにより、第5油圧シリンダ11の第5出力部55(表では「C5」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。同様に、第4油圧ポンプ5Aにより供給される作動油は、第4油圧シリンダ9Aの油室39A及び油路67Aを介して第6油圧シリンダ11Aの油室53Aに供給される。これにより、第6油圧シリンダ11Aの第6出力部55A(表では「C6」と表記)は、第3油圧ポンプ3Aによる作動油の吸引力が加わることで、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第5出力部55と第6出力部55Aとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0110】
油圧駆動ユニット147では、第5油圧シリンダ11からの作動油が油路61Bを介して第7油圧シリンダ7Bの油室31Bに供給される。これにより、第7油圧シリンダ7Bの第7出力部41B(表では「C7」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。同様に、第6油圧シリンダ11Aからの作動油が油路63Bを介して第8油圧シリンダ9Bの油室39Bに供給される。これにより、第8油圧シリンダ9Bの第8出力部43B(表では「C8」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力で駆動しようとする。その結果、第7出力部41Bと第8出力部43Bとは、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0111】
第8油圧シリンダ9Bの油室39Bの作動油は、油路67Bを介して第9油圧シリンダ11Bの油室53Bに供給される。これにより、第9油圧シリンダ11Bの第9出力部55B(表では「C9」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の4倍の推力で駆動する(表では「↑↑↑↑」と表記)。
【0112】
(2-3.第2実施形態の効果)
以上説明したように、第2実施形態の油圧駆動システム1Dは、第1油圧シリンダ7、第2油圧シリンダ9、及び第3油圧シリンダ11と同様の油圧回路構成を有する3個の油圧駆動ユニット143,145,147を有する。
【0113】
この場合、要求される自由度や推力に応じて複数の油圧駆動ユニットを組み合わせることで、様々な要求に対応することが可能となる。したがって、システムの柔軟性及び汎用性を向上できる。例えば、上記第2実施形態のように、3個の油圧駆動ユニット143,145,147を搭載して2個の油圧駆動ユニット143,145が1個の油圧駆動ユニット147に対して並列となるように接続されることで、自由度が4で最大4倍の推力を出力可能なシステムを構築できる。
【0114】
本実施形態において、油圧駆動システム1Dは、nを2(1以上の整数の一例)とした場合に、軸数及びモータの個数は2(=4)個、油圧シリンダの個数は3×(2-1)(=9)個となる構成を有してもよい。
【0115】
この場合、自由度が2(=4)で最大2(=4)倍の推力を出力可能なシステムを構築できる。また、各軸に対して1台のモータで足りるシステムとなるため、例えば各軸に対して2台のモータを要するツインドライブシステムや、各軸に対して1台のモータを設置すると共に増圧回路(ブースターポンプ)用の1台のモータを要するハイブリッドブースターシステムと比べてモータ数を削減でき、コストを低減できる。
【0116】
(2-4.第2実施形態の変形例)
以上説明した第2実施形態は、上記の内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0117】
例えば、図7に示すように、前述の第1実施形態に係る油圧駆動システム1を、単純に複数有する油圧駆動システム1Eとしてもよい。油圧駆動システム1Eは、2自由度で最大2倍の推力を出力可能である油圧駆動ユニット143を、n個(nは2以上の整数)搭載する。個々の油圧駆動ユニット143においては、第1油圧シリンダ7の第1出力部41と第2油圧シリンダ9の第2出力部43は、対応する方向に駆動するように規制されているが、上記第2実施形態とは異なり、異なる油圧駆動ユニット143間では第1出力部41及び第2出力部43同士は規制されていない。この場合、自由度が2nで最大2倍の推力を出力可能なシステムを構築できる。このようにして、要求される自由度や推力に応じて複数の油圧駆動ユニットを組み合わせることで、様々な要求に対応することが可能となる。したがって、システムの柔軟性及び汎用性を向上できる。
【0118】
また、上記第2実施形態では、油圧駆動システム1Dが3個の油圧駆動ユニット143,145,147を有する場合について説明したが、油圧駆動ユニットの数は3個に限定されるものではない。油圧駆動システムは、nを1以上の整数とした場合に、(2-1)個の油圧駆動ユニットを有し、2個の油圧駆動ユニットが1個の油圧駆動ユニットに対して並列となるように接続されていればよい。その場合、油圧駆動システムは、軸数及びモータの個数が2個、油圧シリンダの個数は3×(2-1)個となる構成を有する。例えば、油圧駆動システムが7個(n=3)の油圧駆動ユニットを有する場合、軸数及びモータの個数は8個、油圧シリンダの個数は21個となる。例えば、油圧駆動システムが15個(n=4)の油圧駆動ユニットを有する場合、軸数及びモータの個数は16個、油圧シリンダの個数は45個となる。
【0119】
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を、複数台の油圧ポンプで構成する場合の実施形態である。なお、本実施形態では各油圧ポンプが2台である場合を一例として説明するが、3台以上の構成としてもよい。
【0120】
図8及び図9を参照しつつ、第3実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理について説明する。図8は、第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプの各々を直列に接続した場合の油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。図9は、第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプの各々を並列に接続した場合の油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の一例を表す説明図である。図8及び図9において、図1と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0121】
(3-1.ポンプを直列に接続した場合の油圧駆動システムの回路構成)
図8に示すように、油圧駆動システム1Fは、例えば2台の第1油圧ポンプ3と、例えば2台の第2油圧ポンプ5とを有する、いわゆるツインドライブシステム(タンデムポンプシステムともいう)である。2台の第1油圧ポンプ3は、第1油圧シリンダ7又は第2油圧シリンダ9に対して直列に接続されている。同様に、2台の第2油圧ポンプ5は、第1油圧シリンダ7又は第2油圧シリンダ9に対して直列に接続されている。2台の第1油圧ポンプ3が直列に接続されることで、第1油圧ポンプ3が単体である場合に比べて各シリンダの油室に供給される作動油の圧力が最大で2倍となる。2台の第2油圧ポンプ5が直列に接続されることで、第2油圧ポンプ5が単体である場合に比べて各シリンダの油室に供給される作動油の圧力が最大で2倍となる。したがって、油圧駆動システム1Fでは、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々が単体である前述の図1に示す油圧駆動システム1に比べて、各油圧シリンダ7,9,11の最大推力が2倍となる。上記以外の構成は、前述の図1に示す油圧駆動システム1と同様である。
【0122】
(3-2.ポンプを直列に接続した場合の油圧駆動システムの動作原理)
上記構成である油圧駆動システム1Fの動作原理を図8の表TB5に示す。表TB5に示すように、2台の第1油圧ポンプ3(表では「P1,P1’」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓↓」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5(表では「P2,P2’」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑↑」と表記)である場合には、2台の第1油圧ポンプ3及び2台の第2油圧ポンプ5の両方により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室31及び第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合に比べて2倍の最大推力で駆動する(表では「→→→→」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0123】
2台の第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑↑」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓↓」と表記)である場合には、2台の第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、2台の第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合に比べて2倍の最大推力で駆動する(表では「←←←←」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0124】
2台の第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓↓」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓↓」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、2台の第1油圧ポンプ3及び2台の第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合に比べて2倍の最大推力で駆動する(表では「↑↑↑↑」と表記)。
【0125】
2台の第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑↑」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑↑」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、2台の第1油圧ポンプ3及び2台の第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが縮む方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合に比べて2倍の最大推力で駆動する(表では「↓↓↓↓」と表記)。
【0126】
(3-3.ポンプを並列に接続した場合の油圧駆動システムの回路構成)
図9に示すように、油圧駆動システム1Gは、例えば2台の第1油圧ポンプ3と、例えば2台の第2油圧ポンプ5とを有する、いわゆるツインドライブシステム(タンデムポンプシステムともいう)である。2台の第1油圧ポンプ3は、第1油圧シリンダ7又は第2油圧シリンダ9に対して並列に接続されている。同様に、2台の第2油圧ポンプ5は、第1油圧シリンダ7又は第2油圧シリンダ9に対して並列に接続されている。2台の第1油圧ポンプ3が並列に接続されることで、第1油圧ポンプ3が単体である場合に比べて各シリンダの油室に供給される作動油の流量が最大で2倍となる。2台の第2油圧ポンプ5が並列に接続されることで、第2油圧ポンプ5が単体である場合に比べて各シリンダの油室に供給される作動油の流量が最大で2倍となる。したがって、油圧駆動システム1Gでは、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々が単体である前述の図1に示す油圧駆動システム1に比べて、各油圧シリンダ7,9,11の最大速度が2倍となる。上記以外の構成は、前述の図1に示す油圧駆動システム1と同様である。
【0127】
(3-4.ポンプを並列に接続した場合の油圧駆動システムの動作原理)
上記構成である油圧駆動システム1Gの動作原理を図9の表TB6に示す。表TB6に示すように、2台の第1油圧ポンプ3(表では「P1,P1’」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5(表では「P2,P2’」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)である場合には、各第1油圧ポンプ3及び各第2油圧ポンプ5の両方により供給される作動油が油路59a,59bを介して第1油圧シリンダ7の油室31及び第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合の2倍の最大速度、且つ、同じ最大推力で駆動する(表では「→→」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0128】
2台の第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、2台の第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路61a,61bを介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、2台の第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路63a,63bを介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合の2倍の最大速度、且つ、同じ最大推力で駆動する(表では「←←」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11は、油室51,53に供給される作動油の圧力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。
【0129】
2台の第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、2台の第1油圧ポンプ3及び2台の第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合の2倍の最大速度、且つ、同じ最大推力で駆動する(表では「↑↑」と表記)。
【0130】
2台の第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、且つ、2台の第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)である場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、2台の第1油圧ポンプ3及び2台の第2油圧ポンプ5により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給される。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが縮む方向に、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を単体とする場合の2倍の最大速度、且つ、同じ最大推力で駆動する(表では「↓↓」と表記)。
【0131】
(3-5.第3実施形態の効果)
以上説明したように、第3実施形態の油圧駆動システム1F,1Gは、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を2台有する。この場合、ツインドライブシステムと干渉駆動の両方の特長を得ることができる。例えば、2台のポンプを直列接続した場合には、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を1台構成とした場合に比べて最大推力が2倍となり、並列接続した場合には、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を1台構成とした場合に比べて最大速度が2倍となる。また、1軸に対し1つのモータにより作動油の方向を制御するのに加えて、増加したモータにより作動油の圧縮性の制御が可能となるので、制御特性(指令追従の過渡特性)を向上できる。
【0132】
なお、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5の各々を3台以上とした場合には、直列接続した場合には最大推力を3倍以上とすることができ、並列接続した場合には最大速度を3倍以上とすることができる。
【0133】
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第1油圧ポンプ3又は第2油圧ポンプ5から供給される作動油を増加させるブースターポンプを設ける場合の実施形態である。
【0134】
図10及び図11を参照しつつ、第4実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理について説明する。図10は、第4実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の第1の例を表す説明図である。図11は、第4実施形態に係る油圧駆動システムの回路構成及び動作原理の第2の例を表す説明図である。図10及び図11において、図1及び図5と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図10及び図11では圧力計の図示を省略している。
【0135】
(4-1.第4実施形態に係る油圧駆動システムの第1の回路構成)
図10に示すように、油圧駆動システム1Hは、前述の図1に示す油圧駆動システム1の構成に加えて、ブースターポンプ149を有する、いわゆるハイブリッドブースターシステムである。ブースターポンプ149(第3油圧ポンプの一例)は、作動油を作動油タンク89から吸い込み吐出する単方向ポンプである。ブースターポンプ149は、モータ151(第3モータの一例)によって駆動され、第1油圧ポンプ3又は第2油圧ポンプ5から供給される作動油を回転数に応じた量だけ増加させる。モータ151の回転方向、回転速度、又は回転量は、回転検出部153により検出される。なお、回転検出部153は設置されなくてもよい。
【0136】
ブースターポンプ149は、容積式ポンプでもよいし、非容積式ポンプでもよい。容積式ポンプの場合には、作動油の流量を精度よく制御できると共に、付属品等の周辺システムを簡素化でき、コストを削減できる。このため、容積式ポンプが好適である。
【0137】
油圧駆動システム1Hは、前述の油圧駆動システム1の構成に加えて、油路155,157,159,139,141と、切替弁161,163,165,107,109と、逆止弁167,169,171,119,121とを有する。油路155(第4油路の一例)は、ブースターポンプ149と油路59とを接続する。油路157(第5油路の一例)は、ブースターポンプ149と油路61とを接続する。油路159(第6油路の一例)は、ブースターポンプ149と油路63とを接続する。逆止弁167及び切替弁161(第1切替弁の一例)は、油路155に設置されている。逆止弁169及び切替弁163(第2切替弁の一例)は、油路157に設置されている。逆止弁171及び切替弁165(第3切替弁の一例)は、油路159に設置されている。油路139,141、切替弁107,109、及び逆止弁119,121は、前述の図5に示す油圧駆動システム1Cと同様である。
【0138】
切替弁161,163,165,107,109はそれぞれ、制御装置(図示省略)により、作動油の流れを許容する状態(表では「On」と表記)と、作動油の流れを阻止する状態(表では「Off」と表記)とに切り替えられる。上記以外の構成は、前述の図1に示す油圧駆動システム1と同様である。
【0139】
(4-2.油圧駆動システムの第1の回路構成の動作原理)
上記構成である油圧駆動システム1Hの動作原理を図10の表TB7に示す。表TB7に示すように、第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)であり、且つ、切替弁163(表では「V1」と表記)がOff、切替弁161(表では「V2」と表記)がOn、切替弁165(表では「V3」と表記)がOff、切替弁107(表では「V4」と表記)がOn、切替弁109(表では「V5」と表記)がOnである場合には、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5に加えてブースターポンプ149(表では「PB」と表記)により供給される作動油が油路59を介して第1油圧シリンダ7の油室31及び第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「→→→(PB)」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の油室51,53に供給される作動油は、切替弁107,109を介して作動油タンク89に流れるため、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は駆動しない(表では「×」と表記)。
【0140】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、切替弁163(表では「V1」と表記)がOn、切替弁161(表では「V2」と表記)がOff、切替弁165(表では「V3」と表記)がOn、切替弁107(表では「V4」と表記)がOn、切替弁109(表では「V5」と表記)がOnである場合には、第1油圧ポンプ3に加えてブースターポンプ149により供給される作動油が油路61を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、第2油圧ポンプ5に加えてブースターポンプ149により供給される作動油が油路63を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「←←←(PB)」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の油室51,53に供給される作動油は、切替弁107,109を介して作動油タンク89に流れるため、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は駆動しない(表では「×」と表記)。
【0141】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、切替弁163(表では「V1」と表記)がOff、切替弁161(表では「V2」と表記)がOn、切替弁165(表では「V3」と表記)がOn、切替弁107(表では「V4」と表記)がOn、切替弁109(表では「V5」と表記)がOffである場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5に加えてブースターポンプ149により供給される作動油は、第2油圧シリンダ9の油室39及び油路67を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給される。第3油圧シリンダ11の油室51の作動油は、油路139を介して作動油タンク89に流れる。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「↑↑↑(PB)」と表記)。
【0142】
第1油圧ポンプ3の吐出方向が第2油圧ポンプ5とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5の吐出方向が第1油圧ポンプ3側(表では「↑」と表記)であり、且つ、切替弁163(表では「V1」と表記)がOn、切替弁161(表では「V2」と表記)がOn、切替弁165(表では「V3」と表記)がOff、切替弁107(表では「V4」と表記)がOff、切替弁109(表では「V5」と表記)がOnである場合には、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。この場合、第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5に加えてブースターポンプ149により供給される作動油は、第1油圧シリンダ7の油室33及び油路65を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給される。第3油圧シリンダ11の油室53の作動油は、油路141を介して作動油タンク89に流れる。これにより、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「↓↓↓(PB)」と表記)。
【0143】
(4-3.第4実施形態に係る油圧駆動システムの第2の回路構成)
図11に示すように、油圧駆動システム1Iは、前述の図5に示す油圧駆動システム1Cの構成に加えてブースターポンプ149を有すると共に、単方向ポンプである第1油圧ポンプ3a及び第2油圧ポンプ5aに代えて、双方向ポンプである第1油圧ポンプ3及び第2油圧ポンプ5を有する。油圧駆動システム1Iでは、逆止弁111及び切替弁91は、ブースターポンプ149と第1油圧シリンダ7の油室31とを接続する油路123に設置されている。逆止弁113及び切替弁93は、ブースターポンプ149と第1油圧シリンダ7の油室33とを接続する油路125に設置されている。逆止弁115及び切替弁103は、ブースターポンプ149と第2油圧シリンダ9の油室37とを接続する油路135に設置されている。逆止弁117及び切替弁105は、ブースターポンプ149と第2油圧シリンダ9の油室39とを接続する油路137に設置されている。上記以外の構成は、前述の図5に示す油圧駆動システム1Cと同様である。
【0144】
(4-4.油圧駆動システムの第2の回路構成の動作原理)
上記構成である油圧駆動システム1Iの動作原理を図11の表TB8に示す。表TB8に示すように、第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第1油圧シリンダ7側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第2油圧シリンダ9側(表では「↑」と表記)であり、且つ、切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOn、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOff、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOff、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOn、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOff、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOn、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOn、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOff、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOn、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOnの場合、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路123を介して第1油圧シリンダ7の油室31に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路135を介して第2油圧シリンダ9の油室37に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「→→→(PB)」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の油室51,53に供給される作動油は、切替弁107,109を介して作動油タンク89に流れるため、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は駆動しない(表では「×」と表記)。
【0145】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第1油圧シリンダ7とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第2油圧シリンダ9とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOff、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOn、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOn、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOff、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOn、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOff、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOff、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOn、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOn、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOnの場合、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路125を介して第1油圧シリンダ7の油室33に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路137を介して第2油圧シリンダ9の油室39に供給される。これにより、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「←←←(PB)」と表記)。この場合、第3油圧シリンダ11の油室51,53に供給される作動油は、切替弁107,109を介して作動油タンク89に流れるため、第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は駆動しない(表では「×」と表記)。
【0146】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第1油圧シリンダ7側(表では「↓」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第2油圧シリンダ9とは反対側(表では「↓」と表記)であり、且つ、切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOn、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOff、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOn、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOff、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOff、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOn、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOff、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOn、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOn、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOffの場合、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路123、第1油圧シリンダ7の油室31、油路127を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路137、第2油圧シリンダ9の油室39、油路133を介して第3油圧シリンダ11の油室53に供給される。第3油圧シリンダ11の油室51の作動油は、油路139を介して作動油タンク89に流れる。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが伸びる方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「↑↑↑(PB)」と表記)。
【0147】
第1油圧ポンプ3(表では「P1」と表記)の吐出方向が第1油圧シリンダ7とは反対側(表では「↑」と表記)であり、第2油圧ポンプ5(表では「P2」と表記)の吐出方向が第2油圧シリンダ9側(表では「↑」と表記)であり、且つ、切替弁91(表では「V1-1」と表記)がOff、切替弁93(表では「V1-2」と表記)がOn、切替弁95(表では「V1-3」と表記)がOff、切替弁97(表では「V1-4」と表記)がOn、切替弁99(表では「V2-1」と表記)がOn、切替弁101(表では「V2-2」と表記)がOff、切替弁103(表では「V2-3」と表記)がOn、切替弁105(表では「V2-4」と表記)がOff、切替弁107(表では「V3-1」と表記)がOff、切替弁109(表では「V3-2」と表記)がOnの場合、第1油圧ポンプ3により供給される作動油が油路125、第1油圧シリンダ7の油室33、油路129を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給されると共に、第2油圧ポンプ5により供給される作動油が油路135、第2油圧シリンダ9の油室37、油路131を介して第3油圧シリンダ11の油室51に供給される。第3油圧シリンダ11の油室53の作動油は、油路141を介して作動油タンク89に流れる。この場合、第1油圧シリンダ7の第1出力部41(表では「C1」と表記)及び第2油圧シリンダ9の第2出力部43(表では「C2」と表記)は、互いの駆動しようとする方向が反対方向となるため、力が拮抗して駆動しない(表では「×」と表記)。第3油圧シリンダ11の第3出力部55(表では「C3」と表記)は、シリンダが縮む方向に、単体の油圧ポンプで駆動する場合の2倍の推力にブースターポンプ分を加えた推力で駆動する(表では「↓↓↓(PB)」と表記)。
【0148】
(4-5.第4実施形態の効果)
以上説明したように、第4実施形態の油圧駆動システム1H,1Iは、モータ151によって駆動され、第1油圧ポンプ3又は第2油圧ポンプ5から供給される作動油を増加させるブースターポンプ149を有する。この場合、各シリンダ7,9,11で出力可能な最大推力をブースターポンプ分だけ増加することができる。また、ブースターポンプ149を有するハイブリッドブースターシステムに対して、例えば複数の油圧駆動ユニットを並列に接続したり、例えばツインドライブシステムを適用する等が可能であり、様々なシステム構成に応用することが可能である。さらに、ブースターポンプ149により最大推力を増加しつつ、3つの油圧シリンダ7,9,11を用いて2自由度における干渉駆動を実現可能な油圧駆動システムを構築できる。
【0149】
<5.変形例>
以上説明した各実施形態は、上述の内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0150】
例えば、以上では油圧駆動システムが、油圧アクチュエータとして直動型の油圧シリンダを有する場合を一例として説明したが、例えばポンプや回転型の油圧シリンダ等の、回転型の油圧アクチュエータを有してもよい。すなわち、油圧駆動システムから出力される運動は直動でも回転でもよい。この場合にも、電動油圧ポンプの数を抑えつつ、油圧アクチュエータで発生可能なトルク領域を増加することができる。
【0151】
また以上では、第1モータ13及び第2モータ21等が回転型のサーボモータである場合を一例として説明したが、他のモータ(例えばリニアモータ、ステッピングモータ等)としてもよい。また、以上において記載した双方向ポンプには、例えばロータリー型、ピストン型などの種々のポンプ形態が含まれる。
【0152】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置、向き等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0153】
また、以上既に述べた以外にも、上記各実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記各実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【0154】
また、上述した実施形態や変形例等が解決しようとする課題や効果は、上述した内容に限定されるものではない。すなわち、実施形態や変形例等によって、上述されていない課題を解決したり、上述されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【符号の説明】
【0155】
1 油圧駆動システム
1A 油圧駆動システム
1B 油圧駆動システム
1C 油圧駆動システム
1D 油圧駆動システム
1E 油圧駆動システム
1F 油圧駆動システム
1G 油圧駆動システム
1H 油圧駆動システム
1I 油圧駆動システム
3 第1油圧ポンプ
5 第2油圧ポンプ
7 第1油圧シリンダ(第1油圧アクチュエータ)
9 第2油圧シリンダ(第2油圧アクチュエータ)
11 第3油圧シリンダ(第3油圧アクチュエータ)
13 第1モータ
17 第1ポート
19 第2ポート
21 第2モータ
25 第3ポート
27 第4ポート
31 油室(第1油室、第2油室)
33 油室(第2油室、第1油室)
37 油室(第3油室)
39 油室(第4油室)
51 油室(第5油室)
53 油室(第6油室)
59 油路(第1油路)
61 油路(第2油路)
63 油路(第3油路)
65 油路(第7油路)
67 油路(第8油路)
143 油圧駆動ユニット
145 油圧駆動ユニット
147 油圧駆動ユニット
149 ブースターポンプ(第3油圧ポンプ)
151 モータ(第3モータ)
155 油路(第4油路)
157 油路(第5油路)
159 油路(第6油路)
161 切替弁(第1切替弁)
163 切替弁(第2切替弁)
165 切替弁(第3切替弁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11