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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028844
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/00 20060101AFI20230224BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
G05D23/00 A
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134781
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】国保 典男
(72)【発明者】
【氏名】新田 慎一
【テーマコード(参考)】
5F004
5H323
【Fターム(参考)】
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA04
5F004CB12
5H323AA05
5H323BB12
5H323CA04
5H323CB01
5H323CB22
5H323DA04
5H323FF01
5H323GG01
5H323HH02
5H323JJ06
5H323KK05
(57)【要約】
【課題】温度制御システムにおいて、制御対象の温度を変更する際に、消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制する。
【解決手段】温度制御システム(100)であって、第1チラー(20)と、第1タンク(32h)と、第1タンク迂回路(34)と、第1タンクから第1チラーへ流入する流体と第1タンク迂回路から第1チラーへ流入する流体との混合比を調節する第1混合弁(PVh)と、第2チラー(40)と、第2タンク(52c)と、第2タンク迂回路(54)と、第2タンクから第2チラーへ流入する流体と第2タンク迂回路から第2チラーへ流入する流体との混合比を調節する第2混合弁(PVc)と、第1供給弁(Vh1)、第1返送弁(Vh2)、第1開閉弁(Vh3)、第1混合弁、第2供給弁(Vc1)、第2返送弁(Vc2)、第2開閉弁(Vc3)、及び第2混合弁を制御する制御部(70)と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
流体の温度を第1温度に調節して圧送する第1チラーと、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第1供給弁と、
前記制御対象から前記第1チラーへ返送される前記流体を第1流体容量まで貯留し、前記第1流体容量を超えた前記流体を流出させる第1タンクと、
前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第1返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第1タンクの上流へ前記流体を返送可能とする第1対象迂回路と、
前記第1対象迂回路を開閉する第1開閉弁と、
前記第1タンクを迂回して前記第1タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第1タンク迂回路と、
前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体と、前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第1混合弁と、
前記流体の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に調節して圧送する第2チラーと、
前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第2供給弁と、
前記制御対象から前記第2チラーへ返送される前記流体を第2流体容量まで貯留し、前記第2流体容量を超えた前記流体を流出させる第2タンクと、
前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第2返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第2タンクの上流へ前記流体を返送可能とする第2対象迂回路と、
前記第2対象迂回路を開閉する第2開閉弁と、
前記第2タンクを迂回して前記第2タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第2タンク迂回路と、
前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体と、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第2混合弁と、
前記第1供給弁、前記第1返送弁、前記第1開閉弁、前記第1混合弁、前記第2供給弁、前記第2返送弁、前記第2開閉弁、及び前記第2混合弁を制御する制御部と、
を備える温度制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を返送するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を閉じるように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を開くように前記第2開閉弁を制御する第1状態と、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を遮断するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を開くように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を返送するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を閉じるように前記第2開閉弁を制御する第2状態と、を切り替える、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1状態において、
前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させ、且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、
前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させるように前記第2混合弁を制御する、請求項2に記載の温度制御システム。
【請求項4】
前記第2流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量であり、
前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める、請求項2又は3に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記第2流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量であり、
前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始め、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンク及び前記第2タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める、請求項2又は3に記載の温度制御システム。
【請求項6】
前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、
前記制御部は、
前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第2状態へ切り替え、
前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める、請求項2又は3に記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、
前記制御部は、
前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第2状態へ切り替え、
前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始め、前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンク及び前記第2タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が、前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める、請求項2又は3に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記第1流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、
前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、
前記制御部は、
前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させず且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンク迂回路へ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に、前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させないように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンクへ流入した前記流体の量が前記第1流体容量になった時に、前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し、且つ前記第2状態へ切り替え、且つ前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し、
前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になった時に、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御する、請求項2又は3に記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記第1流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、
前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、
前記制御部は、
前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させず且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンク迂回路へ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に、前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンク及び前記第1タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が前記第1流体容量になった時に、前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し、且つ前記第2状態へ切り替え、且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し、
前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク及び前記第2タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が前記第2流体容量になった時に、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御する、請求項2又は3に記載の温度制御システム。
【請求項10】
前記第1混合弁と前記第1チラーとの間に、前記流体を流通させて第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、前記第3温度は、前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第1タンクに貯留される前記流体の温度よりも高く且つ前記第1温度よりも低く、
前記第2混合弁と前記第2チラーとの間に、前記流体を流通させて第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、前記第4温度は、前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第2タンクに貯留される前記流体の温度よりも低く且つ前記第2温度よりも高い、請求項1~9のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【請求項11】
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
流体の温度を第1温度に調節して圧送する第1チラーと、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第1供給弁と、
前記制御対象から返送される前記流体を第3流体容量まで貯留し、前記第3流体容量を超えた前記流体を流出させる第3タンクと、
前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を返送及び遮断する第1返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第1返送弁の下流へ前記流体を返送可能とする第1対象迂回路と、
前記第1対象迂回路を開閉する第1開閉弁と、
前記第1返送弁及び前記第1対象迂回路の下流から、前記第3タンクを迂回して前記第3タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第3タンク迂回路と、
前記第1返送弁及び前記第1対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第1タンク返送弁と、
前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体と、前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第1混合弁と、
前記流体の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に調節して圧送する第2チラーと、
前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第2供給弁と、
前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を返送及び遮断する第2返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第2返送弁の下流へ前記流体を返送可能とする第2対象迂回路と、
前記第2対象迂回路を開閉する第2開閉弁と、
前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクを迂回して前記第3タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第4タンク迂回路と、
前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第2タンク返送弁と、
前記第3タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体と、前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第2混合弁と、
前記第1供給弁、前記第1返送弁、前記第1開閉弁、前記第1タンク返送弁、前記第1混合弁、前記第2供給弁、前記第2返送弁、前記第2開閉弁、前記第2タンク返送弁、及び前記第2混合弁を制御する制御部と、
を備える温度制御システム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を返送するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を閉じるように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を遮断するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を開くように前記第2開閉弁を制御する第3状態と、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を遮断するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を開くように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を返送するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を閉じるように前記第2開閉弁を制御する第4状態と、を切り替える、請求項11に記載の温度制御システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記第3状態において、
前記第1返送弁及び前記第1対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第1タンク返送弁を制御し、前記第3タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させず且つ前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、
前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第2タンク返送弁を制御し、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させるように前記第2混合弁を制御する、請求項12に記載の温度制御システム。
【請求項14】
前記第3流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量であり、
前記制御部は、前記第3状態から前記第4状態へ切り替えた時から、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第3状態から前記第4状態へ切り替えた時から前記第3タンクへ流入した前記流体の量が前記第3流体容量になった時から、前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第1タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し始める、請求項12又は13に記載の温度制御システム。
【請求項15】
前記第3流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、
前記制御部は、
前記第3状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第4状態へ切り替え、
前記第4状態へ切り替えた時から、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第4状態へ切り替えた時から前記第3タンクへ流入した前記流体の量が前記第3流体容量になった時から、前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第1タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し始める、請求項12又は13に記載の温度制御システム。
【請求項16】
前記第1混合弁と前記第1チラーとの間に、前記流体を流通させて第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、前記第3温度は、前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第3タンクに貯留される前記流体の温度よりも高く且つ前記第1温度よりも低く、
前記第2混合弁と前記第2チラーとの間に、前記流体を流通させて第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、前記第4温度は、前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第3タンクに貯留される前記流体の温度よりも低く且つ前記第2温度よりも高い、請求項11~15のいずれか1項に記載の温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象の温度を制御する温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温流体を循環供給する高温循環系と、低温流体を循環供給する低温循環系と、制御対象へ流体を供給する循環系を選択する供給選択手段と、制御対象へ供給された流体を返送する循環系を選択する返送選択手段と、を備える温度制御システムがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載の温度制御システムは、制御対象へ流体を供給する循環系を変更した後に、制御対象から返送される流体の温度が予め設定した変更温度に達した際に、流体の返送先を供給元と同一の循環系に変更している。特許文献1に記載の温度制御システムによれば、例えば制御対象へ流体を供給する循環系を高温循環系から低温循環系へ変更する際に、供給選択手段と返送選択手段との間に残存した高温の流体が、高温循環系に返送され、低温循環系に混入することがないため、低温循環系の大きな温度変動を防止することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-184537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際には、流体の返送先を高温循環系から低温循環系へ変更した後も、しばらくはやや高温の流体が低温循環系へ流入することに、本願発明者は着目した。この原因を検討した結果、制御対象はその熱容量及び温度に応じた熱量を持っており、その熱量が残存している間は低温流体が加熱されて返送されることを、本願発明者は付き止めた。低温循環系にやや高温の流体が流入した場合、低温循環系において流体を冷却するチラーの消費エネルギのピーク値が大きくなる。特に、上記のような温度制御システムを数百台ないし数千台備える施設では、施設全体での消費エネルギのピーク値が膨大になる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、温度制御システムにおいて、制御対象の温度を変更する際に、消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
流体の温度を第1温度に調節して圧送する第1チラーと、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第1供給弁と、
前記制御対象から前記第1チラーへ返送される前記流体を第1流体容量まで貯留し、前記第1流体容量を超えた前記流体を流出させる第1タンクと、
前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第1返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第1タンクの上流へ前記流体を返送可能とする第1対象迂回路と、
前記第1対象迂回路を開閉する第1開閉弁と、
前記第1タンクを迂回して前記第1タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第1タンク迂回路と、
前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体と、前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第1混合弁と、
前記流体の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に調節して圧送する第2チラーと、
前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第2供給弁と、
前記制御対象から前記第2チラーへ返送される前記流体を第2流体容量まで貯留し、前記第2流体容量を超えた前記流体を流出させる第2タンクと、
前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第2返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第2タンクの上流へ前記流体を返送可能とする第2対象迂回路と、
前記第2対象迂回路を開閉する第2開閉弁と、
前記第2タンクを迂回して前記第2タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第2タンク迂回路と、
前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体と、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第2混合弁と、
前記第1供給弁、前記第1返送弁、前記第1開閉弁、前記第1混合弁、前記第2供給弁、前記第2返送弁、前記第2開閉弁、及び前記第2混合弁を制御する制御部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、温度制御システムは、制御対象の温度を制御する。第1チラーは、流体の温度を第1温度に調節して圧送する。第1供給弁は、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する。第1タンクは、前記制御対象から前記第1チラーへ返送される前記流体を第1流体容量まで貯留し、前記第1流体容量を超えた前記流体を流出させる。第1返送弁は、前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を返送及び遮断する。第1対象迂回路は、前記制御対象を迂回して前記第1タンクの上流へ前記流体を返送可能とする。第1開閉弁は、前記第1対象迂回路を開閉する。このため、制御部が第1供給弁、第1返送弁、及び第1開閉弁を制御することにより、第1温度の流体を制御対象へ供給して第1タンクの上流へ返送する状態と、第1対象迂回路により制御対象を迂回して第1温度の流体を第1タンクの上流へ返送する状態とを切り替えることができる。同様に、制御部が第2供給弁、第2返送弁、及び第2開閉弁を制御することにより、第2温度の流体を制御対象へ供給して第2タンクの上流へ返送する状態と、第2対象迂回路により制御対象を迂回して第2温度の流体を第2タンクの上流へ返送する状態とを切り替えることができる。
【0008】
そして、第1温度の流体を制御対象へ供給して第1タンクの上流へ返送し、且つ第2対象迂回路により制御対象を迂回して第2温度の流体を第2タンクの上流へ返送し、且つ第2返送弁により前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を遮断する第1状態と、第2温度の流体を制御対象へ供給して第2タンクの上流へ返送し、且つ第1対象迂回路により制御対象を迂回して第1温度の流体を第1タンクの上流へ返送し、且つ第1返送弁により前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を遮断する第2状態とを切り替えることができる。これにより、制御対象の温度を変更することができる。
【0009】
ここで、第2タンク迂回路は、前記第2タンクを迂回して前記第2タンクの下流へ前記流体を返送可能とする。第2混合弁は、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体と、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する。このため、上記第1状態から上記第2状態へ切り替えた後に、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させない状態にすることができる。また、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給する状態にした後に、上記第1状態から上記第2状態へ切り替えてその後に、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させない状態にすることもできる。これらにより、第2チラーへ第2温度よりも高い温度の流体が流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。さらに、制御対象の熱容量及び温度に応じた熱量が残存している間、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させない状態にすることにより、制御対象に残存している熱量により加熱された流体が第2チラーへ返送されることを抑制することができる。これにより、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。
【0010】
その後、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体の流量を少なくし、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体の流量を多くすることにより、第2温度よりも高い温度の流体を第2チラーへ少しずつ流入させることができる。したがって、第2タンクに貯留した第2温度よりも高い温度の流体を放出する際に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。同様に、第2状態から第1状態へ切り替える際に、第1チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0011】
第2の手段では、前記制御部は、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を返送するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を閉じるように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を開くように前記第2開閉弁を制御する第1状態と、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を遮断するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を開くように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を返送するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を閉じるように前記第2開閉弁を制御する第2状態と、を切り替える。
【0012】
上記構成によれば、制御部が第1状態に切り替えることにより、上述したように、第1温度の流体を制御対象へ供給して第1タンクの上流へ返送し、且つ第2対象迂回路により制御対象を迂回して第2温度の流体を第2タンクの上流へ返送し、且つ第2返送弁により前記制御対象から前記第2タンクに対して前記流体を遮断することができる。また、制御部が第2状態に切り替えることにより、上述したように、第2温度の流体を制御対象へ供給して第2タンクの上流へ返送し、且つ第1対象迂回路により制御対象を迂回して第1温度の流体を第1タンクの上流へ返送し、且つ第1返送弁により前記制御対象から前記第1タンクに対して前記流体を遮断することができる。
【0013】
第3の手段では、前記制御部は、前記第1状態において、前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させ、且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させるように前記第2混合弁を制御する。こうした構成によれば、第1状態において、第1タンクに第1温度の流体を貯留することができるとともに、第1タンク迂回路の温度が第1温度から乖離することを抑制することができる。また、第1状態において、第2タンクに第2温度の流体を貯留することができるとともに、第2タンク迂回路の温度が第2温度から乖離することを抑制することができる。
【0014】
第4の手段では、前記第2流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量であり、前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。
【0015】
上記構成によれば、前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始める。これにより、第2チラーへ第2温度よりも高い温度の流体が流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0016】
ここで、前記第2流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量である。制御部は、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になるまで、第2混合弁の状態を維持する。これにより、前記制御対象の流体容量に相当する流体が第2タンクへ流入した後に、制御対象に残存している熱量により加熱された流体が第2チラーへ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部は、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。これにより、第2タンクに貯留した第2温度よりも高い温度の流体を放出する際に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0017】
第5の手段では、前記第2流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量であり、前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始め、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンク及び前記第2タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。
【0018】
上記構成によれば、前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。こうした構成によっても、第2チラーへ第2温度よりも高い温度の流体が流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。その後、第4の手段と同様に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0019】
第6の手段では、前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、前記制御部は、前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第2状態へ切り替え、前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。
【0020】
上記構成によれば、前記制御部は、前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御する。これにより、制御対象へ第1チラーから第1温度の流体を供給する状態から、制御対象へ第2チラーから第2温度の流体を供給する状態へ変更する際に、第1温度の流体が第2チラーへ流入することを抑制することができる。そして、制御部は、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第2状態へ切り替える。このため、前記制御対象の流体容量に相当する流体が第2チラーへ流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0021】
ここで、前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量である。前記制御部は、前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始める。これにより、前記制御対象の流体容量に相当する流体が第1チラーへ流入した後に、制御対象に残存している熱量により加熱された流体が第2チラーへ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部は、前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。これにより、第2タンクに貯留した第2温度よりも高い温度の流体を放出する際に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0022】
さらに、前記制御対象の流体容量に相当する流体を第1チラーへ流入させた後に、流体を第2タンクへ流入させているため、第5の手段と比較して第2タンクの第2流体容量を小さくすることができる。
【0023】
第7の手段では、前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、前記制御部は、前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第2状態へ切り替え、前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始め、前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンク及び前記第2タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が、前記第2流体容量になった時から、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。
【0024】
上記構成によれば、第6の手段と同様に、制御対象へ第1チラーから第1温度の流体を供給する状態から、制御対象へ第2チラーから第2温度の流体を供給する状態へ変更する際に、第1温度の流体が第2チラーへ流入することを抑制することができる。さらに、前記制御対象の流体容量に相当する流体が第2チラーへ流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0025】
ここで、前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量である。前記制御部は、前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し始める。これにより、第2チラーへ第2温度よりも高い温度の流体が流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。その後、第6の手段と同様に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0026】
第8の手段では、前記第1流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、前記制御部は、前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させず且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンク迂回路へ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に、前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させないように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンクへ流入した前記流体の量が前記第1流体容量になった時に、前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し、且つ前記第2状態へ切り替え、且つ前記第2タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し、前記第2状態へ切り替えた時から前記第2タンクへ流入した前記流体の量が前記第2流体容量になった時に、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御する。
【0027】
上記構成によれば、第6の手段と比較して、制御対象から返送される第2温度よりも高い温度の流体を、第1タンクと第2タンクとに分けて貯留することができる。このため、第1タンクから第1チラーへ流入する流体の温度が第1温度から乖離すること、及び第2タンクから第2チラーへ流入する流体の温度が第2温度から乖離することを抑制することができる。したがって、第1チラーと第2チラーとを合わせた電力消費量を抑制することができる。
【0028】
第9の手段では、前記第1流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、前記第2流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、前記制御部は、前記第1状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記第1タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させず且つ前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンク迂回路へ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に、前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し、その時から前記第1タンク及び前記第1タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が前記第1流体容量になった時に、前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し、且つ前記第2状態へ切り替え、且つ前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御し、前記第2状態へ切り替えた時から、前記第2タンク及び前記第2タンク迂回路へ流入した前記流体の合計量が前記第2流体容量になった時に、前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御する。
【0029】
上記構成によれば、第8の手段と比較して、前記制御部は、前記第1タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第1タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御する。こうした構成によっても、第1チラーへ第1温度よりも低い温度の流体が流入することを抑制することができ、第1チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。また、前記第2タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体が前記第2タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第2混合弁を制御する。こうした構成によっても、第2チラーへ第2温度よりも高い温度の流体が流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0030】
第10の手段では、前記第1混合弁と前記第1チラーとの間に、前記流体を流通させて第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、前記第3温度は、前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第1タンクに貯留される前記流体の温度よりも高く且つ前記第1温度よりも低く、前記第2混合弁と前記第2チラーとの間に、前記流体を流通させて第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、前記第4温度は、前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第2タンクに貯留される前記流体の温度よりも低く且つ前記第2温度よりも高い。
【0031】
上記構成によれば、第1蓄熱部は、前記流体を流通させて第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。ここで、前記第3温度は、前記第1温度よりも低い。このため、第2状態において、第3温度よりも高い温度の流体を前記第1蓄熱部に流通させることにより、第1蓄熱材を状態変化させて第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えておくことができる。そして、第2状態から第1状態へ切り替えた後に前記第1タンクに貯留される第3温度よりも低い温度の流体を、前記第1蓄熱部を介して第1チラーへ返送することができる。このため、第1蓄熱部に蓄えておいた熱エネルギにより、前記第1タンクから第1チラーへ返送される前記流体を加熱することができる。したがって、第1チラーへ第3温度よりも低い温度の流体が返送されることを抑制することができ、第1チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。同様に、第1状態から第2状態へ切り替えた後に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0032】
第11の手段は、
制御対象の温度を制御する温度制御システムであって、
流体の温度を第1温度に調節して圧送する第1チラーと、
前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第1供給弁と、
前記制御対象から返送される前記流体を第3流体容量まで貯留し、前記第3流体容量を超えた前記流体を流出させる第3タンクと、
前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を返送及び遮断する第1返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第1返送弁の下流へ前記流体を返送可能とする第1対象迂回路と、
前記第1対象迂回路を開閉する第1開閉弁と、
前記第1返送弁及び前記第1対象迂回路の下流から、前記第3タンクを迂回して前記第3タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第3タンク迂回路と、
前記第1返送弁及び前記第1対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第1タンク返送弁と、
前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体と、前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第1混合弁と、
前記流体の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に調節して圧送する第2チラーと、
前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する第2供給弁と、
前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を返送及び遮断する第2返送弁と、
前記制御対象を迂回して前記第2返送弁の下流へ前記流体を返送可能とする第2対象迂回路と、
前記第2対象迂回路を開閉する第2開閉弁と、
前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクを迂回して前記第3タンクの下流へ前記流体を返送可能とする第4タンク迂回路と、
前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送及び遮断する第2タンク返送弁と、
前記第3タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体と、前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する第2混合弁と、
前記第1供給弁、前記第1返送弁、前記第1開閉弁、前記第1タンク返送弁、前記第1混合弁、前記第2供給弁、前記第2返送弁、前記第2開閉弁、前記第2タンク返送弁、及び前記第2混合弁を制御する制御部と、
を備える。
【0033】
上記構成によれば、温度制御システムは、制御対象の温度を制御する。第1チラーは、流体の温度を第1温度に調節して圧送する。第1供給弁は、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給及び遮断する。第3タンクは、前記制御対象から返送される前記流体を第3流体容量まで貯留し、前記第3流体容量を超えた前記流体を流出させる。第1返送弁は、前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を返送及び遮断する。第1対象迂回路は、前記制御対象を迂回して前記第1返送弁の下流へ前記流体を返送可能とする。第1開閉弁は、前記第1対象迂回路を開閉する。このため、制御部が第1供給弁、第1返送弁、及び第1開閉弁を制御することにより、第1温度の流体を制御対象へ供給して第3タンク及び第1チラーの上流へ返送する状態と、第1対象迂回路により制御対象を迂回して第1温度の流体を第1返送弁の下流へ返送する状態とを切り替えることができる。同様に、制御部が第2供給弁、第2返送弁、及び第2開閉弁を制御することにより、第2温度の流体を制御対象へ供給して第3タンク及び第2チラーの上流へ返送する状態と、第2対象迂回路により制御対象を迂回して第2温度の流体を第2返送弁の下流へ返送する状態とを切り替えることができる。
【0034】
そして、第1温度の流体を制御対象へ供給して第3タンク及び第1チラーの上流へ返送し、且つ第2対象迂回路により制御対象を迂回して第2温度の流体を第2返送弁の下流へ返送し、且つ第2返送弁により前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を遮断する第3状態と、第2温度の流体を制御対象へ供給して第3タンク及び第2チラーの上流へ返送し、且つ第1対象迂回路により制御対象を迂回して第1温度の流体を第1返送弁の下流へ返送し、且つ第1返送弁により前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を遮断する第4状態とを切り替えることができる。これにより、制御対象の温度を変更することができる。
【0035】
ここで、第4タンク迂回路は、前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクを迂回して前記第3タンクの下流へ前記流体を返送可能とする。第2タンク返送弁は、前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送及び遮断する。第2混合弁は、前記第3タンクから前記第2チラーへ流入する前記流体と、前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ流入する前記流体との混合比を調節する。このため、上記第3状態から上記第4状態へ切り替えた後に、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させない状態にすることができる。また、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給する状態にした後に、上記第3状態から上記第4状態へ切り替えてその後に、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させない状態にすることもできる。これらにより、第2チラーへ第2温度よりも高い温度の流体が流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。さらに、制御対象の熱容量及び温度に応じた熱量が残存している間、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ、前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させない状態にすることにより、制御対象に残存している熱量により加熱された流体が第2チラーへ返送されることを抑制することができる。これにより、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。
【0036】
その後、前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体の流量を少なくし、前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体の流量を多くすることにより、第1温度よりも低い温度の流体を第1チラーへ少しずつ流入させることができる。したがって、第3タンクに貯留した第1温度よりも低い温度の流体を放出する際に、第1チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。同様に、第4状態から第3状態へ切り替える際に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0037】
第12の手段では、前記制御部は、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を返送するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を閉じるように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を遮断するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を開くように前記第2開閉弁を制御する第3状態と、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を遮断するように前記第1返送弁を制御し、且つ前記第1対象迂回路を開くように前記第1開閉弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、且つ前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を返送するように前記第2返送弁を制御し、且つ前記第2対象迂回路を閉じるように前記第2開閉弁を制御する第4状態と、を切り替える。
【0038】
上記構成によれば、制御部が第3状態に切り替えることにより、上述したように、第1温度の流体を制御対象へ供給して第3タンク及び第1チラーの上流へ返送し、且つ第2対象迂回路により制御対象を迂回して第2温度の流体を第2返送弁の下流へ返送し、且つ第2返送弁により前記制御対象から前記第3タンク及び前記第2チラーに対して前記流体を遮断することができる。また、制御部が第4状態に切り替えることにより、上述したように、第2温度の流体を制御対象へ供給して第3タンク及び第2チラーの上流へ返送し、且つ第1対象迂回路により制御対象を迂回して第1温度の流体を第1返送弁の下流へ返送し、且つ第1返送弁により前記制御対象から前記第3タンク及び前記第1チラーに対して前記流体を遮断することができる。
【0039】
第13の手段では、前記制御部は、前記第3状態において、前記第1返送弁及び前記第1対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第1タンク返送弁を制御し、前記第3タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させず且つ前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御し、前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第2タンク返送弁を制御し、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させるように前記第2混合弁を制御する。
【0040】
上記構成によれば、前記制御部は、前記第3状態において、前記第1返送弁及び前記第1対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第1タンク返送弁を制御し、前記第3タンクから前記第1チラーへ前記流体を流入させず且つ前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ前記流体を流入させるように前記第1混合弁を制御する。このため、第3状態において、第1温度の流体が第3タンクへ流入することを防ぎつつ、第3タンク迂回路の温度が第1温度から乖離することを抑制することができる。また、前記制御部は、前記第3状態において、前記第2返送弁及び前記第2対象迂回路の下流から、前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第2タンク返送弁を制御し、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させるように前記第2混合弁を制御する。このため、第3状態において、第2タンクに第2温度の流体を貯留することができるとともに、第4タンク迂回路の温度が第2温度から乖離することを抑制することができる。
【0041】
第14の手段では、前記第3流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量であり、前記制御部は、前記第3状態から前記第4状態へ切り替えた時から、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第3状態から前記第4状態へ切り替えた時から前記第3タンクへ流入した前記流体の量が前記第3流体容量になった時から、前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第1タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し始める。
【0042】
上記構成によれば、前記第3状態から前記第4状態へ切り替えた時から、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始める。これにより、第2チラーへ第2温度よりも高い温度の流体が流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0043】
ここで、前記第3流体容量は、前記制御対象の流体容量に、前記制御対象の熱容量に基づく流体量を加えた容量である。制御部は、前記第3状態から前記第4状態へ切り替えた時から前記第3タンクへ流入した前記流体の量が前記第3流体容量になるまで、第2混合弁の状態を維持する。これにより、前記制御対象の流体容量に相当する流体が第3タンクへ流入した後に、第2温度よりも高い温度の流体が第2チラーへ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部は、前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第1タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が、前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し始める。これにより、第3タンクに貯留した第1温度よりも低い温度の流体を第1チラーへ放出する際に、第1チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0044】
第15の手段では、前記第3流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量であり、前記制御部は、前記第3状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御し、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第4状態へ切り替え、前記第4状態へ切り替えた時から、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始め、前記第4状態へ切り替えた時から前記第3タンクへ流入した前記流体の量が前記第3流体容量になった時から、前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第1タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し始める。
【0045】
上記構成によれば、前記制御部は、前記第3状態から、前記第1チラーから前記制御対象に対して前記流体を遮断するように前記第1供給弁を制御し、且つ前記第2チラーから前記制御対象に対して前記流体を供給するように前記第2供給弁を制御する。これにより、制御対象へ第1チラーから第1温度の流体を供給する状態から、制御対象へ第2チラーから第2温度の流体を供給する状態へ変更する際に、第1温度の流体が第2チラーへ流入することを抑制することができる。そして、制御部は、その時から前記第1チラーへ流入した前記流体の量が前記制御対象の流体容量になった時に前記第4状態へ切り替える。このため、前記制御対象の流体容量に相当する流体が第2チラーへ流入することを抑制することができ、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0046】
ここで、前記第3流体容量は、前記制御対象の熱容量に基づく容量である。前記制御部は、前記第4状態へ切り替えた時から、前記第3タンクから前記第2チラーへ前記流体を流入させ且つ前記第4タンク迂回路から前記第2チラーへ前記流体を流入させないように前記第2混合弁を制御し始める。これにより、前記制御対象の流体容量に相当する流体が第1チラーへ流入した後に、第2温度よりも高い温度の流体が第2チラーへ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部は、前記第4状態へ切り替えた時から前記第3タンクへ流入した前記流体の量が前記第3流体容量になった時から、前記第3タンクに対して前記流体を返送するように前記第1タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクに対して前記流体を遮断するように前記第2タンク返送弁を制御し、且つ前記第3タンクから前記第1チラーへ流入する前記流体が、前記第3タンク迂回路から前記第1チラーへ流入する前記流体よりも少なくなるように前記第1混合弁を制御し始める。これにより、第3タンクに貯留した第1温度よりも低い温度の流体を第1チラーへ放出する際に、第1チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0047】
さらに、前記制御対象の流体容量に相当する流体を第1チラーへ流入させた後に、流体を第3タンクへ流入させているため、第14の手段と比較して第3タンクの第3流体容量を小さくすることができる。
【0048】
第16の手段では、前記第1混合弁と前記第1チラーとの間に、前記流体を流通させて第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第1蓄熱部を備え、前記第3温度は、前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第3タンクに貯留される前記流体の温度よりも高く且つ前記第1温度よりも低く、前記第2混合弁と前記第2チラーとの間に、前記流体を流通させて第4温度において第2蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える第2蓄熱部を備え、前記第4温度は、前記第1供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態から前記第2供給弁により前記流体を前記制御対象へ供給する状態へ切り替えた後に前記第3タンクに貯留される前記流体の温度よりも低く且つ前記第2温度よりも高い。
【0049】
上記構成によれば、第1蓄熱部は、前記流体を流通させて第3温度において第1蓄熱材の状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。ここで、前記第3温度は、前記第1温度よりも低い。このため、第4状態において、第3温度よりも高い温度の流体を前記第1蓄熱部に流通させることにより、第1蓄熱材を状態変化させて第1蓄熱部に熱エネルギを蓄えておくことができる。そして、第4状態から第3状態へ切り替えた後に前記第3タンクに貯留される第3温度よりも低い温度の流体を、前記第1蓄熱部を介して第1チラーへ返送することができる。このため、第1蓄熱部に蓄えておいた熱エネルギにより、前記第3タンクから第1チラーへ返送される前記流体を加熱することができる。したがって、第1チラーへ第3温度よりも低い温度の流体が返送されることを抑制することができ、第1チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。同様に、第3状態から第4状態へ切り替えた後に、第2チラーの消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】温度制御システムの回路図。
図2】温度制御パターンを示すタイムチャート。
図3】第1状態から第2状態への切替時において、第2チラーへ返送される熱媒体の温度Tcrと、第2チラーの消費電力Ecを示すタイムチャート。
図4】第1状態から第2状態への切替時において、第2チラーへ返送される熱媒体の温度Tcrと、第2チラーから圧送される熱媒体の温度Tcとを示すタイムチャート。
図5】第1実施形態において各タンクへ返送される熱媒体の温度Tct,Tht、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャート。
図6】第2実施形態において各弁の開閉状態、ステージから返送される熱媒体の温度Ter、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャート。
図7】第3実施形態において各弁の開閉状態、ステージから返送される熱媒体の温度Ter、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャート。
図8図1の温度制御システムの変更例を示す回路図。
図9】温度制御システムの回路図。
図10】第4実施形態において各弁の開閉状態、各返送弁の下流へ返送される熱媒体の温度Tct,Tht、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャート。
図11】第5実施形態において各弁の開閉状態、ステージから返送される熱媒体の温度Ter、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャート。
図12図9の温度制御システムの変更例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、プラズマエッチング装置のステージ(制御対象)の温度を制御する温度制御システムに具現化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、制御対象は、プラズマエッチング装置のステージに限らず、半導体処理装置の電極等であってもよい。
【0052】
図1に示すように、温度制御システム100は、ステージ10、第1チラー20、第1供給弁Vh1、第1タンク32h、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第1混合弁PVh、第2チラー40、第2供給弁Vc1、第2タンク52c、第2返送弁Vc2、第2開閉弁Vc3、第2混合弁PVc、及び制御部70等を備えている。
【0053】
第1チラー20は、タンク21、液面センサ22、ポンプ23、熱交換部24、冷却水バルブ25、ヒータ26等を備えている。タンク21は、熱媒体を貯留する。熱媒体(流体)は、フッ素系の不活性液体である。液面センサ22は、タンク21に貯留された熱媒体の液面の位置を検出して制御部70へ出力する。ポンプ23は、タンク21から熱媒体を吸引して第1供給路31へ圧送する。熱交換部24は、ポンプ23により圧送された熱媒体と冷却水とで熱交換させる。冷却水バルブ25は、熱交換部24へ流入する冷却水の流量を調節する。ヒータ26は、ポンプ23により圧送された熱媒体を加熱する。ポンプ23、冷却水バルブ25、及びヒータ26が制御部70により制御されることで、第1チラー20は、熱媒体の温度を60[℃](第1温度)に調節して第1供給路31へ圧送する。
【0054】
第2チラー40は、タンク41、液面センサ42、ポンプ43、冷凍回路44、冷却水バルブ45、熱交換部46等を備えている。タンク41は、熱媒体を貯留する。液面センサ42は、タンク41に貯留された熱媒体の液面の位置を検出して制御部70へ出力する。ポンプ43は、タンク41から熱媒体を吸引して第2供給路51へ圧送する。冷凍回路44は、冷媒を冷却して熱交換部46へ循環させる。冷却水バルブ45は、冷凍回路44へ流入する冷却水の流量を調節する。熱交換部46は、ポンプ43により圧送された熱媒体と冷凍回路44から供給された冷媒とで熱交換させる。ポンプ43、冷却水バルブ45、及び冷凍回路44が制御部70により制御されることで、第2チラー40は、熱媒体の温度を-10[℃](第2温度)に調節して第2供給路51へ圧送する。
【0055】
第1チラー20のタンク21と第2チラー40のタンク41とは、均衡流路28により接続されている。均衡流路28には、均衡弁29が設けられている。均衡弁29は、均衡流路28を開閉する。均衡弁29により均衡流路28が開かれることにより、タンク21とタンク41とで熱媒体が流入出可能となり、タンク21内の熱媒体の量とタンク41内の熱媒体の量とが均衡する。均衡弁29は、制御部70により制御される。制御部70は、液面センサ22により検出された熱媒体の液面の位置(タンク21に貯留された熱媒体の量)と、液面センサ42により検出された熱媒体の液面の位置(タンク41に貯留された熱媒体の量)との差の絶対値が所定値よりも大きいことを条件として、均衡弁29により均衡流路28を開かせる。
【0056】
第1供給路31には、温度センサ36及び第1供給弁Vh1が設けられている。第1供給弁Vh1は、第1供給路31を開閉する。温度センサ36は、第1チラー20から第1供給路31へ供給される熱媒体の温度Thを検出して制御部70へ出力する。第1供給路31において第1供給弁Vh1よりも下流の部分は、対象供給路61に接続されている。対象供給路61は、ステージ10に接続されている。このため、第1供給弁Vh1は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を供給及び遮断する。対象供給路61には、流量計62及び温度センサ63が設けられている。流量計62は、対象供給路61を流れる熱媒体の流量を検出して制御部70へ出力する。温度センサ63は、対象供給路61を流れる熱媒体の温度Teを検出して制御部70へ出力する。
【0057】
ステージ10は、プラズマエッチング装置のチャンバ(図示略)内に設けられている。ステージ10には、熱媒体が流通する流路13、ヒータ12、温度センサ16等が設けられている。上記対象供給路61は、流路13の流入ポートに接続されている。ヒータ12は、ステージ10を加熱し、制御部70により制御される。温度センサ16は、ステージ10の温度Tsを検出して制御部70へ出力する。ステージ10の上面には、ウエハ等のワークWが取り付けられる。そして、プラズマPによりワークWに対してエッチングが実行される。
【0058】
流路13の出力ポートには、対象返送路64が接続されている。対象返送路64には、温度センサ65が設けられている。温度センサ65は、対象返送路64を流れる熱媒体の温度Terを検出して制御部70へ出力する。対象返送路64には、第1返送路37が接続されている。第1返送路37には、第1返送弁Vh2が設けられている。第1返送弁Vh2は、第1返送路37を開閉する。第1返送路37において第1返送弁Vh2よりも下流の部分には、第1タンク32hが接続されている。このため、第1返送弁Vh2は、ステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を返送及び遮断する。第1返送路37には、温度センサ38が設けられている。温度センサ38は、第1返送路37を流れる熱媒体、すなわち第1タンク32hの上流へ返送される熱媒体の温度Thtを検出して制御部70へ出力する。
【0059】
第1タンク32hが熱媒体を貯留可能な容量は、第1流体容量MHである。第1流体容量MHについては後述する。第1タンク32hと第1チラー20のタンク21とは、第1返送路35により接続されている。このため、第1タンク32hは、ステージ10から第1チラー20へ返送される熱媒体を第1流体容量MHまで貯留し、第1流体容量MHを超えた熱媒体を流出させる。第1タンク32hの内部には、熱媒体の流路が設けられている。第1タンク32hへ流入した熱媒体は、流路に沿って流通して第1タンク32hの外部へ順に流出する。すなわち、第1タンク32hへ流入した熱媒体は、第1タンク32hに貯留されていた熱媒体と混合することが抑制されている。
【0060】
第1供給路31において第1供給弁Vh1よりも上流の部分と、第1返送路37において第1返送弁Vh2よりも下流の部分とが、第1対象迂回路33により接続されている。すなわち、第1対象迂回路33は、ステージ10を迂回して第1タンク32hの上流へ熱媒体を返送可能とする。第1対象迂回路33には、第1開閉弁Vh3が設けられている。第1開閉弁Vh3は、第1対象迂回路33を開閉する。第1開閉弁Vh3は、制御部70により制御される。
【0061】
第1返送路37において第1返送弁Vh2と第1タンク32hとの間の部分と、第1返送路35において第1タンク32hと第1チラー20との間の部分とは、第1タンク迂回路34により接続されている。すなわち、第1タンク迂回路34は、第1タンク32hを迂回して第1タンク32hの下流へ熱媒体を返送可能とする。第1返送路35と第1タンク迂回路34との接続部分には、第1混合弁PVhが設けられている。第1混合弁PVhは、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体と、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体との混合比を調節する。第1返送路35には、温度センサ39が設けられている。温度センサ39は、第1返送路35を流れる熱媒体、すなわち第1チラー20へ返送される熱媒体の温度Thrを検出して制御部70へ出力する。
【0062】
第1チラー20、第1供給路31、第1供給弁Vh1、第1返送路37、第1返送弁Vh2、第1対象迂回路33、第1開閉弁Vh3、第1タンク32h、第1タンク迂回路34、第1混合弁PVh、及び第1返送路35により、高温循環系が構成されている。
【0063】
温度制御システム100は、高温循環系と対になる低温循環系を備えている。低温循環系は、高温循環系の各構成に対応して、第2チラー40、第2供給路51、第2供給弁Vc1、第2返送路57、第2返送弁Vc2、第2対象迂回路53、第2開閉弁Vc3、第2タンク52c、第2タンク迂回路54、第2混合弁PVc、及び第2返送路55を備えている。低温循環系の各構成の機能は、高温循環系の対応する各構成の機能と同様であるため、それらの説明を割愛する。
【0064】
第2供給路51には、温度センサ56及び第2供給弁Vc1が設けられている。第2供給路51において第2供給弁Vc1よりも下流の部分は、対象供給路61に接続されている。第2供給弁Vc1は、第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給及び遮断する。
【0065】
対象返送路64には、第2返送路57が接続されている。第2返送路57には、第2返送弁Vc2が設けられている。第2返送路57において第2返送弁Vc2よりも下流の部分には、第2タンク52cが接続されている。このため、第2返送弁Vc2は、ステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を返送及び遮断する。第2返送路57には、温度センサ58が設けられている。
【0066】
第2タンク52cが熱媒体を貯留可能な容量は、第2流体容量MCである。第2流体容量MCについては後述する。第2タンク52cと第2チラー40のタンク41とは、第2返送路55により接続されている。このため、第2タンク52cは、ステージ10から第2チラー40へ返送される熱媒体を第2流体容量MCまで貯留し、第2流体容量MCを超えた熱媒体を流出させる。
【0067】
第2供給路51において第2供給弁Vc1よりも上流の部分と、第2返送路57において第2返送弁Vc2よりも下流の部分とが、第2対象迂回路53により接続されている。すなわち、第2対象迂回路53は、ステージ10を迂回して第2タンク52cの上流へ熱媒体を返送可能とする。第2対象迂回路53には、第2開閉弁Vc3が設けられている。
【0068】
第2返送路57において第2返送弁Vc2と第2タンク52cとの間の部分と、第2返送路55において第2タンク52cと第2チラー40との間の部分とは、第2タンク迂回路54により接続されている。すなわち、第2タンク迂回路54は、第2タンク52cを迂回して第2タンク52cの下流へ熱媒体を返送可能とする。第2返送路55と第2タンク迂回路54との接続部分には、第2混合弁PVcが設けられている。第2返送路55には、温度センサ59が設けられている。
【0069】
制御部70は、例えばCPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータにより構成されている。制御部70は、第1チラー20、第1供給弁Vh1、ヒータ12、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第1混合弁PVh、第2チラー40、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、第2開閉弁Vc3、第2混合弁PVcを制御する。
【0070】
図2は、温度制御システム100がステージ10の温度を制御するパターンを示すタイムチャートである。ここでは、温度制御システム100がタンク32h,52c、タンク迂回路34,54、及び混合弁PVh,PVcを備えていない場合を想定する。
【0071】
時刻t11まで第1状態に制御しており、ステージ温度コマンドCS(ステージ10の温度の目標値)は70[℃]であり、媒体温度コマンドCL(第1チラー20から供給する熱媒体の温度の目標値)は60[℃]である。なお、ステージ10の温度は、プラズマPの熱及びヒータ12の熱により、熱媒体の温度よりも約10[℃]上昇すると見込まれている。第1状態では、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を供給するように第1供給弁Vh1を制御し、且つステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を返送するように第1返送弁Vh2を制御し、且つ第1対象迂回路33を閉じるように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第2供給弁Vc1を制御し、且つステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を遮断するように第2返送弁Vc2を制御し、且つ第2対象迂回路53を開くように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0072】
このため、高温循環系では、第1チラー20から供給された60[℃]の熱媒体が、第1供給路31及び対象供給路61を介してステージ10へ流入し、ステージ10の流路13を流通して対象返送路64へ流出する。対象返送路64へ流出した熱媒体は、対象返送路64、第1返送路37,35を介して、第1チラー20へ返送される。低温循環系では、第2チラー40から供給された-10[℃]の熱媒体が、第2供給路51、第2対象迂回路53、第2返送路57,55を介して、第2チラー40へ返送される。
【0073】
時刻t11において、第1状態から第2状態へ切り替える。時刻t11~時刻t12において、第2状態に制御しており、ステージ温度コマンドCSは0[℃]であり、媒体温度コマンドCLは-10[℃]である。第2状態では、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第1供給弁Vh1を制御し、且つステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を遮断するように第1返送弁Vh2を制御し、且つ第1対象迂回路33を開くように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給するように第2供給弁Vc1を制御し、且つステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を返送するように第2返送弁Vc2を制御し、且つ第2対象迂回路53を閉じるように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0074】
このため、高温循環系では、第1チラー20から供給された60[℃]の熱媒体が、第1供給路31、第1対象迂回路33、第1返送路37,35を介して、第1チラー20へ返送される。低温循環系では、第2チラー40から供給された-10[℃]の熱媒体が、第2供給路51及び対象供給路61を介してステージ10へ流入し、ステージ10の流路13を流通して対象返送路64へ流出する。対象返送路64へ流出した熱媒体は、対象返送路64、第2返送路57,55を介して、第2チラー40へ返送される。
【0075】
時刻t12において第2状態から第1状態へ切り替え、時刻t12~時刻t13において第1状態に制御する。このように、制御部70は、第1状態と第2状態とに繰り返し制御する。
【0076】
図3は、第1状態から第2状態への切替時において、第2チラー40へ返送される熱媒体の温度Tcrと、第2チラー40の消費電力Ecを示すタイムチャートである。ここでは、温度制御システム100がタンク32h,52c、タンク迂回路34,54、及び混合弁PVh,PVcを備えていない場合を想定する。
【0077】
時刻t11において、第1状態から第2状態へ切り替えると、ステージ10へ60[℃]の熱媒体が供給される状態から、ステージ10へ-10[℃]の熱媒体が供給される状態へ変化する。それと共に、ステージ10から第1チラー20へ熱媒体が返送される状態から、ステージ10から第2チラー40へ熱媒体が返送される状態へ変化する。このため、対象供給路61、ステージ10、及び対象返送路64(以下、「入替部」という)を流れていた約60[℃]の熱媒体が、第2チラー40へ返送される。その結果、時刻t11以降に、第2チラー40へ返送される熱媒体の温度Tcrが急激に上昇している。なお、約60[℃]の熱媒体が第2返送路57,55を流れて第2チラー40へ到達するまでの時間だけ時刻t11よりも遅れて、熱媒体の温度Tcrが上昇し始めている。
【0078】
期間Te11において、入替部を流れていた熱媒体が第2チラー40へ流入する。期間Te11の長さは、入替部の熱媒体容量(流体容量)[L]と、第2チラー40が供給する熱媒体の流量[L/min]とに基づいて算出することができる。例えば、入替部の流体容量が5[L]であり、熱媒体の流量が15[L/min]である場合、期間Te11の長さは20[sec]となる。このように、-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が第2チラー40へ流入するため、その後に第2チラー40の消費電力Ec(消費エネルギ)が急激に上昇する。
【0079】
期間Te11の後の期間Te12において、第2チラー40へ返送される熱媒体の温度Tcrが徐々に低下する状態が継続する。本願発明者がその原因を検討した結果、入替部は、その熱容量、及び流入する熱媒体との温度差に応じた熱量を持っており、その熱量が残存している間は熱媒体が加熱されて返送されることを、本願発明者は付き止めた。入替部の熱容量は、対象供給路61及び対象返送路64が長いほど大きくなるが、少なくともステージ10の熱容量を含む。熱媒体の温度Tcrが低下するに伴って、第2チラー40の消費電力が低下する。期間Te12が終わると、熱媒体の温度Tcrは、-10[℃]からプラズマPの熱及びヒータ12の熱により上昇した温度で一定となる。
【0080】
図4は、第1状態から第2状態への切替時において、第2チラー40へ返送される熱媒体の温度Tcrと、第2チラー40から圧送される熱媒体の温度Tcとを示すタイムチャートである。ここでは、温度制御システム100がタンク32h,52c、タンク迂回路34,54、及び混合弁PVh,PVcを備えていない場合を想定する。
【0081】
時刻t11において、第1状態から第2状態へ切り替える。熱媒体の温度Tcrは、図3と同様である。第2チラー40へ流入する熱媒体の温度Tcrが高過ぎると、第2チラー40は圧送する熱媒体の温度を-10[℃]に調節しきれなくなる。このため、時刻t11~時刻t11aまで、第2チラー40から圧送される熱媒体の温度Tcは、-10[℃]よりも高くなっている。そして、第2チラー40へ返送される熱媒体の温度Tcrが温度Tmまで低下すると、第2チラー40から圧送される熱媒体の温度Tcが-10[℃]になる。すなわち、第2チラー40へ返送される熱媒体の温度Tcrが温度Tmまで低下しないと、第2チラー40は圧送する熱媒体の温度Tcを設定温度(-10[℃])に調節することができない。
【0082】
(第1実施形態)
そこで、第1実施形態では、第1状態から第2状態への切替時に、上記入替部から返送される-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を、第2タンク52cに一旦貯留した後に少しずつ放出する制御を実行する。同様に、第2状態から第1状態への切替時に、上記入替部から返送される60[℃]よりも低い温度の熱媒体を、第1タンク32hに一旦貯留した後に少しずつ放出する制御を実行する。
【0083】
図5は、第1実施形態において各タンク52c,32hへ返送される熱媒体の温度Tct,Tht、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャートである。
【0084】
時刻t21までの第1状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。これにより、60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第1タンク32hの上流へ返送し、且つ第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2タンク52cの上流へ返送し、且つ第2返送弁Vc2によりステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を遮断する状態となる。
【0085】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを10[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを90[%]に制御する。これにより、第1タンク32hの上流から、90[%]の熱媒体が第1タンク迂回路34へ流入して第1混合弁PVhで混合され、10[%]の熱媒体が第1タンク32hへ流入して第1混合弁PVhで混合される。すなわち、制御部70は、第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させ、且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させるように第1混合弁PVhを制御する。なお、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを20[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを80[%]等に制御してもよい。以降の第1混合弁PVhの制御においても、開度を適宜変更してもよい。
【0086】
さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを50[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを50[%]に制御する。これにより、第2タンク52cの上流から、50[%]の熱媒体が第2タンク52cへ流入して第2混合弁PVcで混合され、50[%]の熱媒体が第2タンク迂回路54へ流入して第2混合弁PVcで混合される。すなわち、制御部70は、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させるように第2混合弁PVcを制御する。なお、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを40[%](60[%])、第2タンク迂回路54側の開度Obcを60[%](40[%])等に制御してもよい。以降の第2混合弁PVcの制御においても、開度を適宜変更してもよい。
【0087】
時刻t21において、制御部70は、第1状態から第2状態へ切り替える。第2状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。これにより、第1対象迂回路33によりステージ10を迂回して60[℃]の熱媒体を第1タンク32hの上流へ返送し、且つ第1返送弁Vh2によりステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を遮断し、且つ-10[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第2タンク52cの上流へ返送する状態となる。
【0088】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを50[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを50[%]に制御する。これにより、第1対象迂回路33を介して第1タンク32hの上流へ流入した熱媒体は、50[%]の熱媒体が第1タンク迂回路34へ流入して第1混合弁PVhで混合され、50[%]の熱媒体が第1タンク32hへ流入して第1混合弁PVhで混合される。すなわち、制御部70は、第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させ、且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させるように第1混合弁PVhを制御する。
【0089】
さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを100[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを0[%]に制御する。これにより、第2タンク52cの上流から、100[%]の熱媒体が第2タンク52cへ流入して第2混合弁PVcで混合され、0[%]の熱媒体が第2タンク迂回路54へ流入して第2混合弁PVcで混合される。すなわち、制御部70は、第1状態から第2状態へ切り替えた時から、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0090】
時刻t22において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを10[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを90[%]に制御する。これにより、第2タンク52cの上流から、10[%]の熱媒体が第2タンク52cへ流入して第2混合弁PVcで混合され、90[%]の熱媒体が第2タンク迂回路54へ流入して第2混合弁PVcで混合される。すなわち、制御部70は、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御する。
【0091】
ここで、時刻t22は、第2タンク52cへ返送される熱媒体の温度Tctが、時刻t21~時刻t23における熱媒体の温度Tctの平均温度Tcaになる時刻である。なお、平均温度Tcaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。本実施形態では、第2タンク52cが熱媒体を貯留可能な容量である第2流体容量MCを、時刻t21~時刻t22に第2タンク52cへ返送される熱媒体の量に設定している。第2流体容量MCは、上記入替部(少なくともステージ10)の流体容量に、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく流体量を加えた容量である。すなわち、制御部70は、第1状態から第2状態へ切り替えた時から第2タンク52cへ流入した熱媒体の量が第2流体容量MCになった時から、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0092】
時刻t23において、制御部70は、第2状態から第1状態へ切り替える。第1状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。これにより、60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第1タンク32hの上流へ返送し、且つ第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2タンク52cの上流へ返送し、且つ第2返送弁Vc2によりステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を遮断する状態となる。
【0093】
さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを50[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを50[%]に制御する。これにより、第2タンク迂回路54を介して第2タンク52cの上流へ流入した熱媒体は、50[%]の熱媒体が第2タンク迂回路54へ流入して第2混合弁PVcで混合され、50[%]の熱媒体が第2タンク52cへ流入して第2混合弁PVcで混合される。すなわち、制御部70は、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させるように第2混合弁PVcを制御する。
【0094】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを100[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを0[%]に制御する。これにより、第1タンク32hの上流から、100[%]の熱媒体が第1タンク32hへ流入して第1混合弁PVhで混合され、0[%]の熱媒体が第1タンク迂回路34へ流入して第1混合弁PVhで混合される。すなわち、制御部70は、第2状態から第1状態へ切り替えた時から、第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させ、且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させないように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0095】
時刻t24において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを10[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを90[%]に制御する。これにより、第1タンク32hの上流から、10[%]の熱媒体が第1タンク32hへ流入して第1混合弁PVhで混合され、90[%]の熱媒体が第1タンク迂回路34へ流入して第1混合弁PVhで混合される。すなわち、制御部70は、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体が、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御する。
【0096】
ここで、時刻t24は、第1タンク32hへ返送される熱媒体の温度Thtが、時刻t23~時刻t25における熱媒体の温度Thtの平均温度Thaになる時刻である。なお、平均温度Thaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。本実施形態では、第1タンク32hが熱媒体を貯留可能な容量である第1流体容量MHを、時刻t23~時刻t24に第1タンク32hへ返送される熱媒体の量に設定している。第1流体容量MHは、上記入替部(少なくともステージ10)の流体容量に、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく流体量を加えた容量である。すなわち、制御部70は、制御部70は、第2状態から第1状態へ切り替えた時から第1タンク32hへ流入した熱媒体の量が第1流体容量MHになった時から、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体が、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0097】
その後、制御部70は、時刻t25において時刻t21と同様の制御を実行し、以降、時刻t21~時刻t25の制御を繰り返し実行する。
【0098】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0099】
・制御部70が第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、及び第1開閉弁Vh3を制御することにより、60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第1タンク32hの上流へ返送する状態と、第1対象迂回路33によりステージ10を迂回して60[℃]の熱媒体を第1タンク32hの上流へ返送する状態とを切り替えることができる。同様に、制御部70が第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を制御することにより、-10[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第2タンク52cの上流へ返送する状態と、第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2タンク52cの上流へ返送する状態とを切り替えることができる。
【0100】
・60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第1タンク32hの上流へ返送し、且つ第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2タンク52cの上流へ返送し、且つ第2返送弁Vc2によりステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を遮断する第1状態と、-10[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第2タンク52cの上流へ返送し、且つ第1対象迂回路33によりステージ10を迂回して60[℃]の熱媒体を第1タンク32hの上流へ返送し、且つ第1返送弁Vh2によりステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を遮断する第2状態とを切り替えることができる。これにより、ステージ10の温度を変更することができる。
【0101】
・第2タンク迂回路54は、第2タンク52cを迂回して第2タンク52cの下流へ熱媒体を返送可能とする。第2混合弁PVcは、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体と、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体との混合比を調節する。このため、上記第1状態から上記第2状態へ切り替えた後に、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させない状態にすることができる。これにより、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。さらに、ステージ10の熱容量及び温度に応じた熱量が残存している間、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させない状態にすることにより、ステージ10に残存している熱量により加熱された熱媒体が第2チラー40へ返送されることを抑制することができる。これにより、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。
【0102】
その後、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体の流量を少なくし、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体の流量を多くすることにより、-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を第2チラー40へ少しずつ流入させることができる。したがって、第2タンク52cに貯留した-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を放出する際に、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。同様に、第2状態から第1状態へ切り替える際に、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0103】
・制御部70は、第1状態において、第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させ、且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させるように第1混合弁PVhを制御し、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させるように第2混合弁PVcを制御する。こうした構成によれば、第1状態において、第1タンク32hに60[℃]の熱媒体を貯留することができるとともに、第1タンク迂回路34の温度が60[℃]から乖離することを抑制することができる。また、第1状態において、第2タンク52cに-10[℃]の熱媒体を貯留することができるとともに、第2タンク迂回路54の温度が-10[℃]から乖離することを抑制することができる。
【0104】
・制御部70は、第1状態から第2状態へ切り替えた時から、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。これにより、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0105】
・第2流体容量MCは、入替部(少なくともステージ10)の流体容量に、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく熱媒体量を加えた容量である。制御部70は、第1状態から第2状態へ切り替えた時から第2タンク52cへ流入した熱媒体の量が第2流体容量MCになるまで、第2混合弁PVcの状態を維持する。これにより、入替部の流体容量に相当する熱媒体が第2タンク52cへ流入した後に、入替部に残存している熱量により加熱された熱媒体が第2チラー40へ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部70は、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。これにより、第2タンク52cに貯留した-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を放出する際に、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0106】
・第1状態から第2状態への切替の際に、第2タンク52cへ返送される熱媒体の温度Tctが平均温度Tcaになる時に、第2タンク52cが-10[℃]よりも高い温度の熱媒体で満たされるように第2流体容量MCを設定している。このため、第2タンク52cへ返送される熱媒体の温度Tctが平均温度Tcaよりも高い間は熱媒体を第2タンク52cに貯留し、熱媒体の温度Tctが平均温度Tcaまで下がった時から熱媒体を第2タンク52cから放出させることができる。したがって、第2タンク52cの第2流体容量MCが過剰に大きくなることを抑制しつつ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。同様に、第1タンク32hの第1流体容量MHが過剰に大きくなることを抑制しつつ、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0107】
・第1状態から第2状態へ切り替える際に、第2チラー40へ流入する熱媒体の温度が高くなることを抑制することができるため、第2チラー40は圧送する熱媒体の温度を-10[℃]に調節しやすくなる。
【0108】
・上記の低温循環系において得られる利点は、高温循環系においても同様に得ることができる。
【0109】
・制御部70は、液面センサ22により検出された熱媒体の液面の位置(タンク21に貯留された熱媒体の量)と、液面センサ42により検出された熱媒体の液面の位置(タンク41に貯留された熱媒体の量)との差の絶対値が所定値よりも大きいことを条件として、均衡弁29により均衡流路28を開かせる。このため、ステージ10へ第1チラー20と第2チラー40とから交互に熱媒体を供給することにより、タンク21に貯留された熱媒体の量とタンク41に貯留された熱媒体の量との差の絶対値が所定値よりも小さく保たれている間は、タンク21とタンク41とで熱媒体が流入出しないようにすることができる。したがって、チラー20,40の熱損失を減少させることができ、チラー20,40の電力消費量を減少させることができる。そして、何らかの原因により、タンク21,41に貯留された熱媒体の量の差の絶対値が所定値よりも大きくなった場合には、タンク21,41に貯留された熱媒体の量を均衡させることができる。
【0110】
なお、第1実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0111】
図5の時刻t21において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを90[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを10[%]に制御する。これにより、第2タンク52cの上流から、90[%]の熱媒体が第2タンク52cへ流入して第2混合弁PVcで混合され、10[%]の熱媒体が第2タンク迂回路54へ流入して第2混合弁PVcで混合される。すなわち、制御部70は、第1状態から第2状態へ切り替えた時から、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体が第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。こうした構成によっても、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0112】
同様に、図5の時刻t23において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを90[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを10[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第2状態から第1状態へ切り替えた時から、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体が第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。こうした構成によっても、第1チラー20へ60[℃]よりも低い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0113】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0114】
第2実施形態では、第1状態から第2状態への切替時に、上記入替部から返送される60[℃]に近い温度の熱媒体を第1チラー20へ返送した後、上記入替部から返送される-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を、第2タンク52cに一旦貯留した後に少しずつ放出する制御を実行する。同様に、第2状態から第1状態への切替時に、上記入替部から返送される-10[℃]に近い温度の熱媒体を第2チラー40へ返送した後、上記入替部から返送される60[℃]よりも低い温度の熱媒体を、第1タンク32hに一旦貯留した後に少しずつ放出する制御を実行する。
【0115】
図6は、第2実施形態において各弁の開閉状態、ステージ10から返送される熱媒体の温度Ter、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャートである。
【0116】
時刻t31までの第1状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを10[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを90[%]に制御する。
【0117】
さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを10[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを90[%]に制御する。これにより、第2タンク52cの上流から、10[%]の熱媒体が第2タンク52cへ流入して第2混合弁PVcで混合され、90[%]の熱媒体が第2タンク迂回路54へ流入して第2混合弁PVcで混合される。すなわち、制御部70は、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させるように第2混合弁PVcを制御する。
【0118】
時刻t31において、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第1対象迂回路33を開くように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給するように第2供給弁Vc1を制御し、且つ第2対象迂回路53を閉じるように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0119】
時刻t32において、制御部70は、ステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を遮断するように第1返送弁Vh2を制御し、且つステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を返送するように第2返送弁Vc2を制御する。これにより、第2状態へ切り替わる。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを100[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第2状態へ切り替えた時から、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0120】
ここで、時刻t32は、時刻t31から、入替部から流出した熱媒体の量が入替部の流体容量になる時刻である。すなわち、制御部70は、時刻t31において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第1チラー20へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に第2状態へ切り替える。
【0121】
時刻t33において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを10[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを90[%]に制御する。
【0122】
ここで、時刻t33は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、時刻t32~時刻t34における熱媒体の温度Terの平均温度Teaになる時刻である。なお、平均温度Teaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。本実施形態では、第2タンク52cが熱媒体を貯留可能な容量である第2流体容量MCを、時刻t32~時刻t33に第2タンク52cへ返送される熱媒体の量に設定している。第2流体容量MCは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、第2状態へ切り替えた時から第2タンク52cへ流入した熱媒体の量が第2流体容量MCになった時から、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0123】
時刻t34において、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を供給するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第1対象迂回路33を閉じるように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第2供給弁Vc1を制御し、且つ第2対象迂回路53を開くように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0124】
時刻t35において、制御部70は、ステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を返送するように第1返送弁Vh2を制御し、且つステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を遮断するように第2返送弁Vc2を制御する。これにより、第1状態へ切り替わる。さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを100[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第1状態へ切り替えた時から、第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させ、且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させないように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0125】
ここで、時刻t35は、時刻t34から、入替部から流出した熱媒体の量が入替部の流体容量になる時刻である。すなわち、制御部70は、時刻t34において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第2チラー40へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に第1状態へ切り替える。
【0126】
時刻t36において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを10[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを90[%]に制御する。
【0127】
ここで、時刻t36は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、時刻t35~時刻t37における熱媒体の温度Terの平均温度Teaになる時刻である。なお、平均温度Teaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。本実施形態では、第1タンク32hが熱媒体を貯留可能な容量である第1流体容量MHを、時刻t35~時刻t36に第1タンク32hへ返送される熱媒体の量に設定している。第1流体容量MHは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、第1状態へ切り替えた時から第1タンク32hへ流入した熱媒体の量が第1流体容量MHになった時から、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体が、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0128】
その後、制御部70は、時刻t37において時刻t31と同様の制御を実行し、以降、時刻t31~時刻t37の制御を繰り返し実行する。
【0129】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。なお、本実施形態及び以降の実施形態においては、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0130】
・制御部70は、第1状態から、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給するように第2供給弁Vc1を制御する。これにより、ステージ10へ第1チラー20から60[℃]の熱媒体を供給する状態から、ステージ10へ第2チラー40から-10[℃]の熱媒体を供給する状態へ変更する際に、60[℃]の熱媒体が第2チラー40へ流入することを抑制することができる。そして、制御部70は、その時から第1チラー20へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に第2状態へ切り替える。このため、入替部の熱媒体容量に相当する熱媒体が第2チラー40へ流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0131】
・第2流体容量MCは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。制御部70は、第2状態へ切り替えた時から、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。これにより、入替部の流体容量に相当する熱媒体が第1チラー20へ流入した後に、入替部(少なくともステージ10)に残存している熱量により加熱された熱媒体が第2チラー40へ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部70は、第2状態へ切り替えた時から第2タンク52cへ流入した熱媒体の量が第2流体容量MCになった時から、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。これにより、第2タンク52cに貯留した-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を放出する際に、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0132】
・入替部の流体容量に相当する熱媒体を第1チラー20へ流入させた後に、熱媒体を第2タンク52cへ流入させているため、第1実施形態と比較して第2タンク52cの第2流体容量MCを小さくすることができる。
【0133】
・上記の低温循環系において得られる利点は、高温循環系においても同様に得ることができる。
【0134】
なお、第2実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。第2実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0135】
図6の時刻t32において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを90[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを10[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第2状態へ切り替えた時から、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体が第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。こうした構成によっても、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0136】
同様に、図6の時刻t35において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを90[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを10[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第1状態へ切り替えた時から、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体が第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。こうした構成によっても、第1チラー20へ60[℃]よりも低い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0137】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0138】
第3実施形態では、第1状態から第2状態への切替時に、上記入替部から返送される60[℃]に近い温度の熱媒体を第1チラー20へ返送した後、上記入替部から返送される60[℃]よりも低い温度の熱媒体を第1タンク32hに一旦貯留した後に少しずつ放出し、その後に上記入替部から返送される-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を第2タンク52cに一旦貯留した後に少しずつ放出する制御を実行する。同様に、第2状態から第1状態への切替時に、上記入替部から返送される-10[℃]に近い温度の熱媒体を第2チラー40へ返送した後、上記入替部から返送される-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を第2タンク52cに一旦貯留した後に少しずつ放出し、その後に上記入替部から返送される60[℃]よりも低い温度の熱媒体を第1タンク32hに一旦貯留した後に少しずつ放出する制御を実行する。
【0139】
図7は、第3実施形態において各弁の開閉状態、ステージ10から返送される熱媒体の温度Ter、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャートである。
【0140】
時刻t41までの第1状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを10[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを90[%]に制御する。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを10[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを90[%]に制御する。
【0141】
時刻t41において、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第1対象迂回路33を開くように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給するように第2供給弁Vc1を制御し、且つ第2対象迂回路53を閉じるように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0142】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを0[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを100[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させず且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させるように第1混合弁PVhを制御する。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを50[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを50[%]に制御する。
【0143】
時刻t42において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを100[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、時刻t41において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第1チラー20へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に、第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させ且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させないように第1混合弁PVhを制御する。
【0144】
時刻t43において、制御部70は、ステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を遮断するように第1返送弁Vh2を制御し、且つステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を返送するように第2返送弁Vc2を制御する。これにより、第2状態へ切り替わる。さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを10[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを90[%]に制御する。すなわち、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体が第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御する。
【0145】
さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを100[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを0[%]に制御する。
【0146】
ここで、時刻t43は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、25[℃](第1チラー20が供給する熱媒体の温度と第2チラー40が供給する熱媒体の温度との中央の温度)になる時刻である。本実施形態では、第1タンク32hが熱媒体を貯留可能な容量である第1流体容量MHを、時刻t42~時刻t43に第1タンク32hへ返送される熱媒体の量に設定している。第1流体容量MHは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、時刻t42において第1混合弁PVhを制御した時から、第1タンク32hへ流入した熱媒体の量が第1流体容量MHになった時に、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体が第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し、且つ第2状態へ切り替え、且つ第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御する。
【0147】
時刻t44において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを10[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを90[%]に制御する。
【0148】
ここで、時刻t44は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、時刻t43~時刻t45における熱媒体の温度Terの平均温度Teaになる時刻である。なお、平均温度Teaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。本実施形態では、第2タンク52cが熱媒体を貯留可能な容量である第2流体容量MCを、時刻t43~時刻t44に第2タンク52cへ返送される熱媒体の量に設定している。第2流体容量MCは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、第2状態へ切り替えた時から第2タンク52cへ流入した熱媒体の量が第2流体容量MCになった時から、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0149】
時刻t45において、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を供給するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第1対象迂回路33を閉じるように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第2供給弁Vc1を制御し、且つ第2対象迂回路53を開くように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0150】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを50[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを50[%]に制御する。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを0[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを100[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させず且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させるように第2混合弁PVcを制御する。
【0151】
時刻t46において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを100[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、時刻t45において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第2チラー40へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に、第2タンク52cから第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第2タンク迂回路54から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御する。
【0152】
時刻t47において、制御部70は、ステージ10から第1タンク32hに対して熱媒体を返送するように第1返送弁Vh2を制御し、且つステージ10から第2タンク52cに対して熱媒体を遮断するように第2返送弁Vc2を制御する。これにより、第1状態へ切り替わる。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを10[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを90[%]に制御する。すなわち、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御する。
【0153】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを100[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを0[%]に制御する。
【0154】
ここで、時刻t47は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、25[℃](第1チラー20が供給する熱媒体の温度と第2チラー40が供給する熱媒体の温度との中央の温度)になる時刻である。なお、第2タンク52cが熱媒体を貯留可能な容量である第2流体容量MCを、時刻t46~時刻t47に第2タンク52cへ返送される熱媒体の量に設定してもよい。第2流体容量MCは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、時刻t46において第2混合弁PVcを制御した時から、第2タンク52cへ流入した熱媒体の量が第2流体容量MCになった時に、第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体が第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し、且つ第1状態へ切り替え、且つ第1タンク32hから第1チラー20へ熱媒体を流入させ且つ第1タンク迂回路34から第1チラー20へ熱媒体を流入させないように第1混合弁PVhを制御する。
【0155】
時刻t48において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを10[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを90[%]に制御する。
【0156】
ここで、時刻t48は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、時刻t47~時刻t49における熱媒体の温度Terの平均温度Teaになる時刻である。平均温度Teaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。なお、第1タンク32hが熱媒体を貯留可能な容量である第1流体容量MHを、時刻t47~時刻t48に第1タンク32hへ返送される熱媒体の量に設定してもよい。第1流体容量MHは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、第1状態へ切り替えた時から第1タンク32hへ流入した熱媒体の量が第1流体容量MHになった時から、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体が、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0157】
その後、制御部70は、時刻t49において時刻t41と同様の制御を実行し、以降、時刻t41~時刻t49の制御を繰り返し実行する。
【0158】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0159】
・第2実施形態と比較して、ステージ10から返送される-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を、第1タンク32hと第2タンク52cとに分けて貯留することができる。このため、第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体の温度が60[℃]から乖離すること、及び第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体の温度が-10[℃]から乖離することを抑制することができる。したがって、第1チラー20と第2チラー40とを合わせた電力消費量を抑制することができる。
【0160】
なお、第3実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。第3実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0161】
図7の時刻t42において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを90[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを10[%]に制御する。すなわち、制御部70は、時刻t41において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第1タンク迂回路34へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体が第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。こうした構成によっても、第1チラー20へ60[℃]よりも低い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0162】
時刻t43において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを90[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを10[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第2状態へ切り替えた時から、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体が第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。こうした構成によっても、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0163】
同様に、図7の時刻t46において、制御部70は、第2混合弁PVcの第2タンク52c側の開度Otcを90[%]、第2タンク迂回路54側の開度Obcを10[%]に制御する。すなわち、制御部70は、時刻t45において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第2タンク迂回路54へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に、第2タンク迂回路54から第2チラー40へ流入する熱媒体が第2タンク52cから第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。こうした構成によっても、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0164】
時刻t47において、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを90[%]、第1タンク迂回路34側の開度Obhを10[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第1状態へ切り替えた時から、第1タンク迂回路34から第1チラー20へ流入する熱媒体が第1タンク32hから第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。こうした構成によっても、第1チラー20へ60[℃]よりも低い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0165】
また、図1の温度制御システム100を、図8のように変更することもできる。なお、図1の温度制御システム100と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0166】
温度制御システム100は、第1混合弁PVhと第1チラー20との間に、第1蓄熱部71を備えている。第1蓄熱部71は、熱媒体が流通する流路を含む第1流通部71aと、第1蓄熱材71bとを備えている。第1蓄熱材71bは、第1流通部71aと一体化されている。第1蓄熱材71bは、第3温度において状態が固体と液体とで変化する。すなわち、第1蓄熱材71bは、第3温度において状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。第3温度は、上記各実施形態の制御に応じて設定されているが、第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第1タンク32hに貯留される熱媒体の温度よりも高く且つ60[℃](第1温度)よりも低く設定されている。なお、第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第1タンク32hに貯留される熱媒体の温度は、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。
【0167】
上記構成によれば、第1蓄熱部71は、熱媒体を流通させて第3温度において第1蓄熱材71bの状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。ここで、第3温度は、60[℃]よりも低い。このため、第2状態において、第3温度よりも高い温度(60[℃])の熱媒体を第1蓄熱部71に流通させることにより、第1蓄熱材71bを状態変化させて第1蓄熱部71に熱エネルギを蓄えておくことができる。そして、第2状態から第1状態へ切り替えた後に第1タンク32hに貯留される第3温度よりも低い温度の熱媒体を、第1蓄熱部71を介して第1チラー20へ返送することができる。このため、第1蓄熱部71に蓄えておいた熱エネルギにより、第1タンク32hから第1チラー20へ返送される熱媒体を加熱することができる。したがって、第1チラー20へ第3温度よりも低い温度の熱媒体が返送されることを抑制することができ、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0168】
同様に、温度制御システム100は、第2混合弁PVcと第2チラー40との間に、第2蓄熱部72を備えている。第2蓄熱部72は、熱媒体が流通する流路を含む第2流通部72aと、第2蓄熱材72bとを備えている。第2蓄熱材72bは、第2流通部72aと一体化されている。第2蓄熱材72bは、第4温度において状態が固体と液体とで変化する。すなわち、第2蓄熱材72bは、第4温度において状態変化に基づいて熱エネルギを蓄える。第4温度は、上記各実施形態の制御に応じて設定されているが、第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第2タンク52cに貯留される熱媒体の温度よりも低く且つ-10[℃](第2温度)よりも高く設定されている。なお、第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第2タンク52cに貯留される熱媒体の温度は、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。こうした構成によれば、第1状態から第2状態へ切り替えた後に、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0169】
図9は、温度制御システム200の回路図である。
【0170】
以下、温度制御システム200について、図1の温度制御システム100との相違点を中心に説明する。なお、温度制御システム100と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0171】
温度制御システム200は、温度制御システム100の第1タンク32h及び第2タンク52cに代えて、第3タンク132を備えている。第3タンク132が熱媒体を貯留可能な容量は、第3流体容量MMである。第3タンク132は、ステージ10から第1チラー20へ返送される熱媒体を第3流体容量MMまで貯留し、第3流体容量MMを超えた熱媒体を流出させる。第3流体容量MMについては後述する。
【0172】
第3タンク132の内部には、熱媒体の流路が設けられている。第3タンク132へ流入した熱媒体は、流路に沿って流通して第3タンク132の外部へ順に流出する。すなわち、第3タンク132へ流入した熱媒体は、第3タンク132に貯留されていた熱媒体と混合することが抑制されている。
【0173】
第1返送路37には、第1返送弁Vh2が設けられている。第1返送弁Vh2は、第1返送路37を開閉する。第1対象迂回路33は、ステージ10を迂回して第1返送弁Vh2の下流へ熱媒体を返送可能とする。第1返送路37において第1返送弁Vh2よりも下流の部分には、第1タンク返送路135及び第3タンク迂回路134が並列に接続されている。
【0174】
第1タンク返送路135は、第3タンク132の流入ポートに接続されている。第1タンク返送路135には、第1タンク返送弁Vh4が設けられている。第1タンク返送弁Vh4は、第1タンク返送路135を開閉する。すなわち、第1タンク返送弁Vh4は、第1返送弁Vh2及び第1対象迂回路33の下流から、第3タンク132に対して熱媒体を返送及び遮断する。第3タンク132の流出ポートと第1混合弁PVhとが、第1タンク返送路136により接続されている。
【0175】
第1返送路37と第1混合弁PVhとが、第3タンク迂回路134により接続されている。すなわち、第3タンク迂回路134は、第1返送弁Vh2及び第1対象迂回路33の下流から、第3タンク132を迂回して第3タンク132の下流へ熱媒体を返送可能とする。このため、第1返送弁Vh2は、ステージ10から第3タンク132及び第1チラー20に対して熱媒体を返送及び遮断する。そして、第1混合弁PVhは、第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体と、第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体との混合比を調節する。
【0176】
第1チラー20、第1供給路31、第1供給弁Vh1、第1返送路37、第1返送弁Vh2、第1対象迂回路33、第1開閉弁Vh3、第1タンク返送路135,136、第1タンク返送弁Vh4、第3タンク迂回路134、第1混合弁PVh、及び第1返送路35により、高温循環系が構成されている。
【0177】
温度制御システム200は、高温循環系と対になる低温循環系を備えている。低温循環系は、高温循環系の各構成に対応して、第2チラー40、第2供給路51、第2供給弁Vc1、第2返送路57、第2返送弁Vc2、第2対象迂回路53、第2開閉弁Vc3、第2タンク返送路155,156、第2タンク返送弁Vc4、第4タンク迂回路154、第2混合弁PVc、及び第2返送路55を備えている。
【0178】
第2返送路57には、第2返送弁Vc2が設けられている。第2返送弁Vc2は、第2返送路57を開閉する。第2対象迂回路53は、ステージ10を迂回して第2返送弁Vc2の下流へ熱媒体を返送可能とする。第2返送路57において第2返送弁Vc2よりも下流の部分には、第2タンク返送路155及び第4タンク迂回路154が並列に接続されている。
【0179】
第2タンク返送路155は、第3タンク132の流入ポートに接続されている。第2タンク返送路155には、第2タンク返送弁Vc4が設けられている。第2タンク返送弁Vc4は、第2タンク返送路155を開閉する。すなわち、第2タンク返送弁Vc4は、第2返送弁Vc2及び第2対象迂回路53の下流から、第3タンク132に対して熱媒体を返送及び遮断する。第3タンク132の流出ポートと第2混合弁PVcとが、第2タンク返送路156により接続されている。
【0180】
第2返送路57と第2混合弁PVcとが、第4タンク迂回路154により接続されている。すなわち、第4タンク迂回路154は、第2返送弁Vc2及び第2対象迂回路53の下流から、第3タンク132を迂回して第3タンク132の下流へ熱媒体を返送可能とする。このため、第2返送弁Vc2は、ステージ10から第3タンク132及び第2チラー40に対して熱媒体を返送及び遮断する。そして、第2混合弁PVcは、第3タンク132から第2チラー40へ流入する熱媒体と、第4タンク迂回路154から第2チラー40へ流入する熱媒体との混合比を調節する。
【0181】
温度制御システム200は、温度制御システム100の第1状態,第2状態に準じた第3状態,第4状態にそれぞれ制御する。
【0182】
第3状態では、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を供給するように第1供給弁Vh1を制御し、且つステージ10から第3タンク132及び第1チラー20に対して熱媒体を返送するように第1返送弁Vh2を制御し、且つ第1対象迂回路33を閉じるように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第2供給弁Vc1を制御し、且つステージ10から第3タンク132及び第2チラー40に対して熱媒体を遮断するように第2返送弁Vc2を制御し、且つ第2対象迂回路53を開くように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0183】
第4状態では、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第1供給弁Vh1を制御し、且つステージ10から第3タンク132及び第1チラー20に対して熱媒体を遮断するように第1返送弁Vh2を制御し、且つ第1対象迂回路33を開くように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給するように第2供給弁Vc1を制御し、且つステージ10から第3タンク132及び第2チラー40に対して熱媒体を返送するように第2返送弁Vc2を制御し、且つ第2対象迂回路53を閉じるように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0184】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第3状態から第4状態への切替時に、上記入替部から返送される-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を、第3タンク132に一旦貯留した後に少しずつ第1チラー20へ放出する制御を実行する。同様に、第4状態から第3状態への切替時に、上記入替部から返送される60[℃]よりも低い温度の熱媒体を、第3タンク132に一旦貯留した後に少しずつ第2チラー40へ放出する制御を実行する。
【0185】
図10は、第4実施形態において各弁の開閉状態、各返送弁Vc2,Vh2の下流へ返送される熱媒体の温度Tct,Tht、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャートである。
【0186】
時刻t51までの第3状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。さらに、制御部70は、第1返送弁Vh2及び第1対象迂回路33の下流から、第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第1タンク返送弁Vh4を制御し、且つ第2返送弁Vc2及び第2対象迂回路53の下流から、第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第2タンク返送弁Vc4を制御する。これにより、60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第1返送路37の下流へ返送し、且つ第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2返送路57の下流へ返送し、且つ第2返送弁Vc2により第2返送路57を閉じる状態となる。
【0187】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第1タンク32h側の開度Othを0[%]、第3タンク迂回路134側の開度Obhを100[%]に制御する。すなわち、第3タンク132から第1チラー20へ熱媒体を流入させず且つ第3タンク迂回路134から第1チラー20へ熱媒体を流入させるように第1混合弁PVhを制御する。
【0188】
さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第3タンク132側の開度Otcを10[%]、第4タンク迂回路154側の開度Obcを90[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させるように第2混合弁PVcを制御する。
【0189】
時刻t51において、制御部70は、第3状態から第4状態へ切り替える。第4状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。これにより、第1対象迂回路33によりステージ10を迂回して60[℃]の熱媒体を第1返送路37の下流へ返送し、且つ第1返送弁Vh2により第1返送路37を閉じ、且つ-10[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第2返送路57の下流へ返送する状態となる。
【0190】
さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第3タンク132側の開度Otcを100[%]、第4タンク迂回路154側の開度Obcを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第3状態から第4状態へ切り替えた時から、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0191】
時刻t52において、制御部70は、第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第1タンク返送弁Vh4を制御する。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第3タンク132側の開度Otcを0[%]、第4タンク迂回路154側の開度Obcを100[%]に制御し、且つ第1混合弁PVhの第3タンク132側の開度Othを10[%]、第3タンク迂回路134側の開度Obhを90[%]に制御する。すなわち、第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体が、第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0192】
ここで、時刻t52は、第3タンク132へ返送される熱媒体の温度Tctが、時刻t51~時刻t53における熱媒体の温度Tctの平均温度Tcaになる時刻である。なお、平均温度Tcaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。本実施形態では、第3タンク132が熱媒体を貯留可能な容量である第3流体容量MMを、時刻t51~時刻t53に第3タンク132へ返送される熱媒体の量に設定している。第3流体容量MMは、上記入替部(少なくともステージ10)の流体容量に、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく流体量を加えた容量である。すなわち、制御部70は、第3状態から第4状態へ切り替えた時から第3タンク132へ流入した熱媒体の量が第3流体容量MMになった時から、第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体が、第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0193】
時刻t53において、制御部70は、第4状態から第3状態へ切り替える。第3状態において、制御部70は、第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を上述したように制御する。これにより、60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第1返送路37の下流へ返送し、且つ第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2返送路57の下流へ返送し、且つ第2返送弁Vc2により第2返送路57を閉じる状態となる。
【0194】
さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第3タンク132側の開度Othを100[%]、第3タンク迂回路134側の開度Obhを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第4状態から第3状態へ切り替えた時から、第3タンク132から第1チラー20へ熱媒体を流入させ且つ第3タンク迂回路134から第1チラー20へ熱媒体を流入させないように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0195】
時刻t54において、制御部70は、第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第1タンク返送弁Vh4を制御する。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第3タンク132側の開度Otcを10[%]、第4タンク迂回路154側の開度Obcを90[%]に制御し、且つ第1混合弁PVhの第3タンク132側の開度Othを0[%]、第3タンク迂回路134側の開度Obhを0[%]に制御する。すなわち、第3タンク132から第2チラー40へ流入する熱媒体が、第4タンク迂回路154から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0196】
ここで、時刻t54は、第3タンク132へ返送される熱媒体の温度Thtが、時刻t53~時刻t55における熱媒体の温度Thtの平均温度Thaになる時刻である。平均温度Thaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。なお、第3タンク132が熱媒体を貯留可能な容量である第3流体容量MMを、時刻t53~時刻t54に第3タンク132へ返送される熱媒体の量に設定してもよい。すなわち、制御部70は、第4状態から第3状態へ切り替えた時から第3タンク132へ流入した熱媒体の量が第3流体容量MMになった時から、第3タンク132から第2チラー40へ流入する熱媒体が、第4タンク迂回路154から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0197】
その後、制御部70は、時刻t55において時刻t51と同様の制御を実行し、以降、時刻t51~時刻t55の制御を繰り返し実行する。
【0198】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0199】
・制御部70が第1供給弁Vh1、第1返送弁Vh2、及び第1開閉弁Vh3を制御することにより、60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第3タンク132及び第1チラー20の上流へ返送する状態と、第1対象迂回路33によりステージ10を迂回して60[℃]の熱媒体を第1返送弁Vh2の下流へ返送する状態とを切り替えることができる。同様に、制御部70が第2供給弁Vc1、第2返送弁Vc2、及び第2開閉弁Vc3を制御することにより、-10[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第3タンク132及び第2チラー40の上流へ返送する状態と、第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2返送弁Vc2の下流へ返送する状態とを切り替えることができる。
【0200】
・60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第3タンク132及び第1チラー20の上流へ返送し、且つ第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2返送弁Vc2の下流へ返送し、且つ第2返送弁Vc2によりステージ10から第3タンク132及び第2チラー40に対して熱媒体を遮断する第3状態と、-10[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第3タンク132及び第2チラー40の上流へ返送し、且つ第1対象迂回路33によりステージ10を迂回して60[℃]の熱媒体を第1返送弁Vh2の下流へ返送し、且つ第1返送弁Vh2によりステージ10から第3タンク132及び第1チラー20に対して熱媒体を遮断する第4状態とを切り替えることができる。これにより、ステージ10の温度を変更することができる。
【0201】
・第4タンク迂回路154は、第2返送弁Vc2及び第2対象迂回路53の下流から、第3タンク132を迂回して第3タンク132の下流へ熱媒体を返送可能とする。第2タンク返送弁Vc4は、第2返送弁Vc2及び第2対象迂回路53の下流から、第3タンク132に対して熱媒体を返送及び遮断する。第2混合弁PVcは、第3タンク132から第2チラー40へ流入する熱媒体と、第4タンク迂回路154から第2チラー40へ流入する熱媒体との混合比を調節する。このため、上記第3状態から上記第4状態へ切り替えた後に、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ、第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させない状態にすることができる。これにより、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。さらに、ステージ10の熱容量及び温度に応じた熱量が残存している間、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ、第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させない状態にすることにより、入替部(少なくともステージ10)に残存している熱量により加熱された熱媒体が第2チラー40へ返送されることを抑制することができる。これにより、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。
【0202】
その後、第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体の流量を少なくし、第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体の流量を多くすることにより、60[℃]よりも低い温度の熱媒体を第1チラー20へ少しずつ流入させることができる。したがって、第3タンク132に貯留した60[℃]よりも低い温度の熱媒体を放出する際に、第1チラー20の消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。同様に、第4状態から第3状態へ切り替える際に、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0203】
・制御部70が第3状態に切り替えることにより、上述したように、60[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第3タンク132及び第1チラー20の上流へ返送し、且つ第2対象迂回路53によりステージ10を迂回して-10[℃]の熱媒体を第2返送弁Vc2の下流へ返送し、且つ第2返送弁Vc2によりステージ10から第3タンク132及び第2チラー40に対して熱媒体を遮断することができる。また、制御部70が第4状態に切り替えることにより、上述したように、-10[℃]の熱媒体をステージ10へ供給して第3タンク132及び第2チラー40の上流へ返送し、且つ第1対象迂回路33によりステージ10を迂回して60[℃]の熱媒体を第1返送弁Vh2の下流へ返送し、且つ第1返送弁Vh2によりステージ10から第3タンク132及び第1チラー20に対して熱媒体を遮断することができる。
【0204】
・制御部70は、第3状態において、第1返送弁Vh2及び第1対象迂回路33の下流から、第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第1タンク返送弁Vh4を制御し、第3タンク132から第1チラー20へ熱媒体を流入させず且つ第3タンク迂回路134から第1チラー20へ熱媒体を流入させるように第1混合弁PVhを制御する。このため、第3状態において、60[℃]の熱媒体が第3タンク132へ流入することを防ぎつつ、第3タンク迂回路134の温度が60[℃]から乖離することを抑制することができる。また、制御部70は、第3状態において、第2返送弁Vc2及び第2対象迂回路53の下流から、第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させるように第2混合弁PVcを制御する。このため、第3状態において、第3タンク132に-10[℃]の熱媒体を貯留することができるとともに、第4タンク迂回路154の温度が-10[℃]から乖離することを抑制することができる。
【0205】
・第3状態から第4状態へ切り替えた時から、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。これにより、第2チラー40へ-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0206】
・第3流体容量MMは、入替部(少なくともステージ10)の流体容量に、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく流体量を加えた容量である。制御部70は、第3状態から第4状態へ切り替えた時から第3タンク132へ流入した熱媒体の量が第3流体容量MMになるまで、第2混合弁PVcの状態を維持する。これにより、入替部の流体容量に相当する熱媒体が第3タンク132へ流入した後に、-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が第2チラー40へ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部70は、第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第1タンク返送弁Vh4を制御し、且つ第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体が、第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。これにより、第3タンク132に貯留した-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を第2チラー40へ放出する際に、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0207】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
【0208】
第5実施形態では、第3状態から第4状態への切替時に、上記入替部から返送される60[℃]に近い温度の熱媒体を第1チラー20へ返送した後、上記入替部から返送される-10[℃]よりも高い温度の熱媒体を、第3タンク132に一旦貯留した後に少しずつ第1チラー20へ放出する制御を実行する。同様に、第4状態から第3状態への切替時に、上記入替部から返送される-10[℃]に近い温度の熱媒体を第2チラー40へ返送した後、上記入替部から返送される60[℃]よりも低い温度の熱媒体を、第3タンク132に一旦貯留した後に少しずつ第2チラー40へ放出する制御を実行する。
【0209】
図11は、第5実施形態において各弁の開閉状態、ステージ10から返送される熱媒体の温度Ter、第2混合弁PVcの開度、及び第1混合弁PVhの開度を示すタイムチャートである。
【0210】
時刻t61において、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第1対象迂回路33を開くように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給するように第2供給弁Vc1を制御し、且つ第2対象迂回路53を閉じるように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0211】
時刻t62において、制御部70は、ステージ10から第3タンク132及び第1チラー20に対して熱媒体を遮断するように第1返送弁Vh2を制御し、且つステージ10から第3タンク132及び第2チラー40に対して熱媒体を返送するように第2返送弁Vc2を制御する。これにより、第4状態へ切り替わる。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第3タンク132側の開度Otcを100[%]、第4タンク迂回路154側の開度Obcを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第4状態へ切り替えた時から、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ、且つ第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0212】
ここで、時刻t62は、時刻t61から、入替部から流出した熱媒体の量が入替部の流体容量になる時刻である。すなわち、制御部70は、時刻t61において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第1チラー20へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に第4状態へ切り替える。
【0213】
時刻t63において、制御部70は、第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第1タンク返送弁Vh4を制御する。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第3タンク132側の開度Otcを0[%]、第4タンク迂回路154側の開度Obcを100[%]に制御し、且つ第1混合弁PVhの第3タンク132側の開度Othを10[%]、第3タンク迂回路134側の開度Obhを90[%]に制御する。すなわち、第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体が、第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0214】
ここで、時刻t63は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、時刻t62~時刻t64における熱媒体の温度Terの平均温度Teaになる時刻である。なお、平均温度Teaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。本実施形態では、第3タンク132が熱媒体を貯留可能な容量である第3流体容量MMを、時刻t62~時刻t63に第3タンク132へ返送される熱媒体の量に設定している。第3流体容量MMは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、第4状態へ切り替えた時から第3タンク132へ流入した熱媒体の量が第3流体容量MMになった時から、第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第1タンク返送弁Vh4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、且つ第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体が第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0215】
時刻t64において、制御部70は、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を供給するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第1対象迂回路33を閉じるように第1開閉弁Vh3を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第2供給弁Vc1を制御し、且つ第2対象迂回路53を開くように第2開閉弁Vc3を制御する。
【0216】
時刻t65において、制御部70は、ステージ10から第3タンク132及び第1チラー20に対して熱媒体を返送するように第1返送弁Vh2を制御し、且つステージ10から第3タンク132及び第2チラー40に対して熱媒体を遮断するように第2返送弁Vc2を制御する。これにより、第3状態へ切り替わる。さらに、制御部70は、第1混合弁PVhの第3タンク132側の開度Othを100[%]、第3タンク迂回路134側の開度Obhを0[%]に制御する。すなわち、制御部70は、第3状態へ切り替えた時から、第3タンク132から第1チラー20へ熱媒体を流入させ、且つ第3タンク迂回路134から第1チラー20へ熱媒体を流入させないように第1混合弁PVhを制御し始める。
【0217】
ここで、時刻t65は、時刻t64から、入替部から流出した熱媒体の量が入替部の流体容量になる時刻である。すなわち、制御部70は、時刻t64において第1供給弁Vh1、第1開閉弁Vh3、第2供給弁Vc1、及び第2開閉弁Vc3を制御した時から、第2チラー40へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に第3状態へ切り替える。
【0218】
時刻t66において、制御部70は、第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第1タンク返送弁Vh4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第2タンク返送弁Vc4を制御する。さらに、制御部70は、第2混合弁PVcの第3タンク132側の開度Otcを10[%]、第4タンク迂回路154側の開度Obcを90[%]に制御し、且つ第1混合弁PVhの第3タンク132側の開度Othを0[%]、第3タンク迂回路134側の開度Obhを100[%]に制御する。すなわち、第3タンク132から第2チラー40へ流入する熱媒体が、第4タンク迂回路154から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0219】
ここで、時刻t66は、ステージ10から返送される熱媒体の温度Terが、時刻t65~時刻t67における熱媒体の温度Terの平均温度Teaになる時刻である。平均温度Teaは、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。なお、第3タンク132が熱媒体を貯留可能な容量である第3流体容量MMを、時刻t65~時刻t66に第3タンク132へ返送される熱媒体の量に設定してもよい。第3流体容量MMは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。すなわち、制御部70は、第3状態へ切り替えた時から第3タンク132へ流入した熱媒体の量が第3流体容量MMになった時から、第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第1タンク返送弁Vh4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、且つ第3タンク132から第2チラー40へ流入する熱媒体が第4タンク迂回路154から第2チラー40へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第2混合弁PVcを制御し始める。
【0220】
その後、制御部70は、時刻t67において時刻t61と同様の制御を実行し、以降、時刻t61~時刻t67の制御を繰り返し実行する。
【0221】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0222】
・制御部70は、第3状態から、第1チラー20からステージ10に対して熱媒体を遮断するように第1供給弁Vh1を制御し、且つ第2チラー40からステージ10に対して熱媒体を供給するように第2供給弁Vc1を制御する。これにより、ステージ10へ第1チラー20から60[℃]の熱媒体を供給する状態から、ステージ10へ第2チラー40から-10[℃]の熱媒体を供給する状態へ変更する際に、60[℃]の熱媒体が第2チラー40へ流入することを抑制することができる。そして、制御部70は、その時から第1チラー20へ流入した熱媒体の量が入替部(少なくともステージ10)の流体容量になった時に第4状態へ切り替える。このため、入替部の流体容量に相当する熱媒体が第2チラー40へ流入することを抑制することができ、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0223】
・第3流体容量MMは、入替部(少なくともステージ10)の熱容量に基づく容量である。制御部70は、第4状態へ切り替えた時から、第3タンク132から第2チラー40へ熱媒体を流入させ且つ第4タンク迂回路154から第2チラー40へ熱媒体を流入させないように第2混合弁PVcを制御し始める。これにより、入替部の流体容量に相当する熱媒体が第1チラー20へ流入した後に、-10[℃]よりも高い温度の熱媒体が第2チラー40へ返送されることを抑制することができる。したがって、第2チラー40の消費エネルギのピーク値が大きくなることをさらに抑制することができる。その後、制御部70は、第4状態へ切り替えた時から第3タンク132へ流入した熱媒体の量が第3流体容量MMになった時から、第3タンク132に対して熱媒体を返送するように第1タンク返送弁Vh4を制御し、且つ第3タンク132に対して熱媒体を遮断するように第2タンク返送弁Vc4を制御し、且つ第3タンク132から第1チラー20へ流入する熱媒体が、第3タンク迂回路134から第1チラー20へ流入する熱媒体よりも少なくなるように第1混合弁PVhを制御し始める。これにより、第3タンク132に貯留した60[℃]よりも低い温度の熱媒体を第1チラー20へ放出する際に、第1チラー20の消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0224】
・入替部の流体容量に相当する熱媒体を第1チラー20へ流入させた後に、熱媒体を第3タンク132へ流入させているため、第4実施形態と比較して第3タンク132の第3流体容量MMを小さくすることができる。
【0225】
また、図9の温度制御システム100を、図12のように変更することもできる。なお、図8の温度制御システム100及び図9の温度制御システム200と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0226】
温度制御システム200は、第1混合弁PVhと第1チラー20との間に、第1蓄熱部71を備えている。上記第3温度は、上記各実施形態の制御に応じて設定されているが、第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第3タンク132に貯留される熱媒体の温度よりも高く且つ60[℃](第1温度)よりも低く設定されている。なお、第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第3タンク132に貯留される熱媒体の温度は、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。
【0227】
上記構成によれば、第4状態において、第3温度よりも高い温度(60[℃])の熱媒体を第1蓄熱部71に流通させることにより、第1蓄熱材71bを状態変化させて第1蓄熱部71に熱エネルギを蓄えておくことができる。そして、第4状態から第3状態へ切り替えた後に第3タンク132に貯留される第3温度よりも低い温度の熱媒体を、第1蓄熱部71を介して第1チラー20へ返送することができる。このため、第1蓄熱部71に蓄えておいた熱エネルギにより、第3タンク132から第1チラー20へ返送される熱媒体を加熱することができる。したがって、第1チラー20へ第3温度よりも低い温度の熱媒体が返送されることを抑制することができ、第1チラー20の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0228】
同様に、温度制御システム100は、第2混合弁PVcと第2チラー40との間に、第2蓄熱部72を備えている。上記第4温度は、上記各実施形態の制御に応じて設定されているが、第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第3タンク132に貯留される熱媒体の温度よりも低く且つ-10[℃](第2温度)よりも高く設定されている。なお、第1供給弁Vh1により熱媒体をステージ10へ供給する状態から第2供給弁Vc1により熱媒体をステージ10へ供給する状態へ切り替えた後に第3タンク132に貯留される熱媒体の温度は、予め試験等に基づいて取得しておくことができる。こうした構成によれば、第3状態から第4状態へ切り替えた後に、第2チラー40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【0229】
また、上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記の各実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0230】
・チラー20,40が熱媒体を圧送する流量[L/min]は、任意に設定することができるが、第1状態と第2状態とを繰り返している間、及び第3状態と第4状態とを繰り返している間は一定である。
【0231】
・タンク32h,52c,132の内部に複数の仕切を設けることにより、タンク32h,52c,132へ流入した熱媒体をタンク32h,52c,132の外部へ順に流出させることもできる。また、タンク32h,52c,132へ流入した熱媒体が、タンク32h,52c,132に貯留されていた熱媒体と混合しつつ流出してもよい。
【0232】
・複数の温度制御システム100を備え、それらを統括して制御する統括制御部を備えることもできる。複数の温度制御システム200を備え、それらを統括して制御する統括制御部を備えることもできる。複数の温度制御システム100と複数の温度制御システム200とを備え、それらを統括して制御する統括制御部を備えることもできる。特に、各チラー20,40の消費電力のピーク値が大きくなることを抑制することにより、温度制御システム100,200を数百台ないし数千台備える施設において、施設全体での消費電力のピーク値が膨大になることを抑制することができる。したがって、施設の契約電力を大幅に下げることができ、費用を削減することができる。
【0233】
・第1チラー20及び第2チラー40は、電動で駆動される構成に限らず、エンジン等、他の動力源により駆動される構成を含んでいてもよい。その場合であっても、温度制御システム100,200において、ステージ10の温度を変更する際に、消費エネルギのピーク値が大きくなることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0234】
10…ステージ(制御対象)、20…第1チラー、32h…第1タンク、33…第1対象迂回路、34…第1タンク迂回路、40…第2チラー、52c…第2タンク、53…第2対象迂回路、54…第2タンク迂回路、70…制御部、100…温度制御システム、132…第3タンク、134…第3タンク迂回路、154…第4タンク迂回路、200…温度制御システム、PVc…第2混合弁、PVh…第1混合弁、Vc1…第2供給弁、Vc2…第2返送弁、Vc3…第2開閉弁、Vc4…第2タンク返送弁、Vh1…第1供給弁、Vh2…第1返送弁、Vh3…第1開閉弁、Vh4…第1タンク返送弁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12