(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028876
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】シーツおよびシーツの洗濯前処理方法
(51)【国際特許分類】
D06F 89/00 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
D06F89/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134835
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】593134519
【氏名又は名称】株式会社丸昌
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】上野 真弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 朗弘
(57)【要約】
【課題】連続洗濯機の洗濯槽内で広がり易いシーツを提供する。
【解決手段】布帛からなるシーツ10において、横方向に仮想縦折目11、12、13に沿って蛇腹折りされた前記布帛が、縦方向に仮想横折目14、15、16に沿って蛇腹折りされた状態としたものである。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛からなるシーツにおいて、
第一の方向に蛇腹折りされた前記布帛が、前記第一の方向に対して直交する第二の方向に蛇腹折りされた状態にあることを特徴とするシーツ。
【請求項2】
前記布帛の前記第一の方向に蛇腹折りされた回数が、前記布帛の前記第二の方向に蛇腹折りされた回数よりも少ない請求項1に記載のシーツ。
【請求項3】
布帛からなるシーツを折り畳むシーツの洗濯前処理方法であって、
前記布帛を第一の方向に蛇腹折りする第一折り畳み工程と、前記第一の方向と直交する第二の方向に前記布帛を蛇腹折りする第二折り畳み工程とを含むシーツの洗濯前処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折り畳まれたシーツおよびシーツの洗濯前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シーツ、ベッドカバーなどのリネン製品を提供するリネンサプライ業が普及している。リネンサプライ事業者は、リネン製品を購入して、宿泊施設、介護施設あるいは病院などの顧客に貸し出し、顧客が使用したリネン製品を回収する。回収したリネン製品を洗濯、乾燥、仕上げを行った後に、再度、顧客に貸し出している。
【0003】
リネンサプライ業者がリネン製品としてシーツを購入する際、シーツは所要の大きさに折り畳まれた形態で納品される。このシーツは、例えば、布類折畳装置により折り畳まれている。この布類折畳装置としては、布類(シーツ)を搬送する複数のコンベアと、コンベアで搬送されているシーツを所定の折位置で折り畳む折装置とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この布類折畳装置の折装置は、折板を2つのコンベアの接続部に向かって進退させるように構成されている。折板を駆動させ、シーツの折位置を2つのコンベアの接続部に向かって突き込み、折位置で折られたシーツを2つのコンベアの接続部に進入させることでシーツを折り畳むものである。
【0005】
上記布類折畳装置により、シーツは、展開状態から幅方向に複数回内側に折り畳んだ後、さらに長さ方向にも複数回内側に折り畳んで、いわゆる「32折」や「24折」となる状態で包装され、リネンサプライ事業者に納品される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、リネンサプライ事業者は、通常、上述のように納品されたシーツを開梱し、そのシーツを展開状態へほぐした後、複数の洗濯槽を備える連続洗濯機に投入している。連続洗濯機に投入前に、予め、シーツを展開状態へとほぐす理由は以下のとおりである。
【0008】
すなわち、長さ方向に複数回内側に折り畳まれているシーツは、山折りされた折り目が複数重ね合っている状態となっている。この状態のシーツでは、内側に位置する折り目が広がる際に、外側に位置する折り目の近傍に擦れる。また、幅方向に複数回折り畳まれているシーツにおいても、山折りされた折り目が複数重ね合っている状態となっている。このため、長さ方向に複数回折り畳まれている場合と同様に、内側に位置する折り目が広がる際に、外側に位置する折り目の近傍に擦れる。このような擦れに伴う摩擦抵抗が生じることから、洗濯槽内においてシーツは、長さ方向および幅方向に広がらない。したがって、連続洗濯機に投入前に、予め、シーツを広げて展開状態にほぐす必要があった。
【0009】
さらに、シーツをほぐす作業は作業員が手作業で行っており、単位時間当たりにシーツをほぐすことが可能な枚数に限界があった。このため、納品された新品のシーツを洗濯する際、単位時間当たりの洗濯枚数を増やすことが難しく、シーツの洗濯効率の向上を図ることが難しい場合があった。
【0010】
そこで、この発明の課題は、連続洗濯機の洗濯槽内で広がり易いシーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明に係るシーツは、布帛からなるシーツにおいて、第一の方向に蛇腹折りされた前記布帛が、前記第一の方向に対して直交する第二の方向に蛇腹折りされた状態にある構成を採用することができる。ここで、蛇腹折りとは山折りと谷折りを交互に繰り返して折る折り方である。
【0012】
この構成では、第一の方向に蛇腹折りされることで形成される山折り目の外側には、折り畳まれた布帛が存在していない。また、さらに、第二の方向に蛇腹折りされることで形成される山折り目の外側にも、折り畳まれた布帛が存在していない。このため、洗濯槽内での水や布帛の揺動によって、第二の方向に蛇腹折りされた状態の布帛は、第二の方向に広がる際に、従来のように摩擦抵抗が生じず容易に広がる。さらに、第一の方向に広がった布帛においても、洗濯槽内での水や布帛の揺動によって、従来のように摩擦抵抗が生じず容易に広がる。
【0013】
前記布帛の前記第一の方向に蛇腹折りされた回数が、前記布帛の前記第二の方向に蛇腹折りされた回数よりも少ない構成を採用することができる。ここで、蛇腹折りされた回数とは、蛇腹折りされる際の山折りの回数と谷折りの回数とを合算した回数をいう。
【0014】
この構成によると、第一の方向に蛇腹折りされることで形成される折り目の数が少なくなる。この折り目の数が少ないと、折り目の数が多い場合と比較して、この折り目により形成される谷折り部分に、洗濯槽で揺動する水をより多量に導き入れることが可能となる。これにより、第二の方向に蛇腹折りされた状態から、第一の方向に蛇腹折りされた状態に広がった布帛は、第一の方向にさらに広がり易くなる。
【0015】
上記課題を解決するために、この発明に係るシーツの洗濯前処理方法は、布帛からなるシーツの前記布帛を第一の方向に蛇腹折りする第一折り畳み工程と、前記第一の方向と直交する第二の方向に前記布帛を蛇腹折りする第二折り畳み工程とを含む方法を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係るシーツは、第一の方向および第二の方向に蛇腹折りされた布帛は、例えば、複数の洗濯槽を備える連続洗濯機に投入すると、洗濯槽内での水の揺動や、布帛の揺動によって、洗濯槽内で広がるので、従来のように、連続洗濯機に投入前にシーツを広げてほぐす作業を省くことができる。また、連続洗濯機に投入前にシーツを広げてほぐす必要がなくなるので、納品されたシーツの単位時間当たりの洗濯枚数を増やして、シーツの洗濯効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の第一実施形態に係るシーツを示す平面図
【
図2】上記シーツの複数の仮想縦折目に沿って折り畳む途中の状態を示す斜視図
【
図3】上記シーツの複数の仮想縦折目に沿って折り畳んだ状態を示す斜視図
【
図4】
図3に示すシーツの複数の仮想横折目に沿って折り畳む途中の状態を示す斜視図
【
図5】
図4に示すシーツの複数の仮想横折目に沿って折り畳んだ状態を示す斜視図
【
図8】(a)連続洗濯機に投入後に複数の仮想横折目で広がる途中の状態のシーツを示す斜視図、(b)
図8(a)に示すシーツの複数の仮想横折目で広がる状態を示す斜視図、(c)
図8(b)に示すシーツが複数の仮想縦折目で広がり展開した状態を示す斜視図
【
図9】この発明の第二実施形態に係るシーツを示す平面図
【
図10】この発明の第三実施形態に係るシーツを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明に係る第一実施形態のシーツを図面に基づいて説明する。この実施形態のシーツ10は、
図1に示すように、矩形をなす布帛で形成されている。この布帛としては、例えば、織物、編物、不織布または織物部分と編物部分とを組み合わせた構成の生地を用いることができるが、織物を用いることが好ましい。シーツ10の素材としては、吸湿性や、単位当たりの重量(目付)を考慮して、例えば、綿100%や、ポリエステルと綿の混紡が好ましい。また、速乾性の観点から、例えば、例えば綿70%/ポリエステル30%~綿50%/ポリエステル50%混紡の平織物がより好ましい。
【0019】
シーツ10の大きさは、ベッドのマットレス(図示省略)の上面を覆い、マットレスの縦方向(長さ方向)の両端部と、横方向(幅方向)の両側部のそれぞれから、マットレスの下部へ十分に回り込ませることが可能な、縦方向の幅寸法および横方向の幅寸法を有している。具体的には、ベッドのマットレスの大きさに応じて、例えば、縦方向の幅寸法は約280~320cm、横方向の幅寸法が約160~270cmとなる。なお、シーツ10の縦方向とは、シーツ10をベッドのマットレスに装着した状態において、マットレスの長さ方向に沿う方向を意味する。また、シーツ10の横方向とは、シーツ10をベッドのマットレスに装着した状態において、マットレスの幅方向に沿う方向を意味する。また、単に、「縦方向」および「横方向」と表現するときは、シーツ10の「縦方向」および「横方向」を意味する。
【0020】
図1に示すように、シーツ10は、上記布帛を3本の仮想縦折目11、12、13に沿って、第一の方向となる横方向に四等分するように蛇腹折りされる。3本の仮想縦折目11、12、13は、シーツ10の横方向の両側縁10a、10bに対して平行に設けられている。また、仮想縦折目11、12、13は、シーツ10の横方向の両側縁10a、10bの間に等間隔に配置されており、シーツ10の縦方向の両端縁10c、10dにまで達している。
【0021】
図2に示すように、3本の仮想縦折目11、12、13のうち、シーツ10の一方の表面から見た場合において、シーツ10の横方向の真ん中に位置する仮想縦折目12が谷折り目であり、仮想縦折目12の横方向両側に位置する仮想縦折目11と仮想縦折目13は山折り目である。すなわち、仮想縦折目11、12、13は、シーツ10の横方向一方の側縁10aから他方の側縁10bへ向かって、交互に山折り目と谷折り目となっている。
【0022】
図3から
図5に示すように、横方向に蛇腹折りされた状態の上記布帛は、3本の仮想横折目14、15、16に沿って、縦方向に四等分するように蛇腹折りされる。
図6に示すように、3本の仮想横折目14、15、16は、シーツ10の縦方向の両端縁10c、10dに対して、平行に設けられている。また、仮想横折目14、15、16は、シーツ10の縦方向の両端縁10c、10dの間に等間隔に配置されており、シーツ10の横方向の両側縁10a、10bにまで達している。
【0023】
図6に示すように、3本の仮想横折目14、15、16のうち、シーツ10の一方の表面から見た場合において、シーツ10の縦方向の外側に位置する仮想横折目14(仮想横折目16)は、仮想縦折目11、12、13との直交位置11a、12a、13aを境にして、縦方向のシーツ10の一方の側縁10aから他方の側縁10bへ向かって、交互に谷折り目部14b(谷折り目部16b)と山折り目部14a(山折り目部16a)が一直線上に配置されている。シーツ10の縦方向の真ん中に位置する仮想横折目15は、仮想縦折目11、12、13との直交位置11a、12a、13aを境にして、縦方向のシーツ10の一方の側縁10aから他方の側縁10bへ向かって、交互に山折り目部15aと谷折り目部15bが一直線上に配置されている。
【0024】
また、例えば、布帛を仮想縦折目11、12、13により4つの領域(A1~A4)に区画した場合、一方の側縁10aと仮想縦折目11の間を領域A1とし、仮想縦折目11と仮想縦折目12との間を領域A2とする。また、仮想縦折目12と仮想縦折目13との間を領域A3とし、仮想縦折目13と他方の側縁10bの間を領域A4とする。
【0025】
領域A1および領域A3では、仮想横折目14、15、16は、縦方向の一方の端縁10cから他方の端縁10dへ向かって、谷折り目部14b、山折り目部15a、谷折り目部16bとなっている。領域A2および領域A4では、仮想横折目14、15、16は、縦方向の一方の端縁10cから他方の端縁10dへ向かって、山折り目部14a、谷折り目部15b、山折り目部16aとなっている。すなわち、布帛での仮想縦折目11、12、13により区画されるそれぞれの領域(A1~A4)内では、仮想横折目14、15、16は、縦方向に山折り目部と谷折り目部とを交互に位置させた状態となっている。
【0026】
このようにして、この発明の実施形態のシーツ10が構成される。このシーツ10は、仮想縦折目11、12、13に沿って横方向に四等分に蛇腹折りされた上記布帛が、仮想横折目14、15、16に沿って縦方向に四等分に蛇腹折りされた状態にある。
【0027】
このように、横方向および縦方向に蛇腹折りされた状態のシーツ10は、仮想縦折目11、12、13により形成される山折り目の外側には、折り畳まれた布帛が存在していない。また、さらに、仮想横折目14、15、16により形成される山折り目の外側にも、折り畳まれた布帛が存在していない。
【0028】
このシーツ10を複数の洗濯槽を有する連続洗濯機の洗濯槽内に投入する。すると、縦方向に蛇腹折りされた状態の布帛は、洗濯槽内での水の揺動や、布帛自体の揺動によって、縦方向に広がる際に、従来のように摩擦抵抗が生じず、容易に広がる。さらに、縦方向に広がった布帛においても、洗濯槽内での水の揺動や、布帛の揺動によって、従来のように摩擦抵抗が生じず、横方向に容易に広がる。
【0029】
したがって、実施形態のシーツ10は、縦方向及び横方向に容易に広がるため、連続洗濯機に投入前にシーツを広げてほぐす作業を省くことができる。また、連続洗濯機に投入前にシーツを広げてほぐす必要がなくなるので、納品されたシーツの単位時間当たりの洗濯枚数を増やして、シーツの洗濯効率の向上を図ることができる。
【0030】
なお、シーツ10は、仮想縦折目11、12、13が相互に平行であれば、その仮想縦折目により区画される横方向の間隔(領域A1~A4の横方向の幅寸法)は同一である必要はない。また、シーツ10は、仮想横折目14、15、16が相互に平行であれば、その仮想横折目14、15、16により区画されるその縦方向の間隔は同一である必要はない。また、シーツ10は、必要に応じて、その布帛の四隅に設けられるアール状の面取り部を有するものであってもよい。
【0031】
図5、
図6に示すように、横方向に仮想縦折目11、12、13に沿って四等分に蛇腹折りされた上記布帛が、縦方向に仮想横折目14、15、16に沿って四等分に蛇腹折りされた状態にあるシーツ10を例に挙げて説明した。すなわち、上記布帛の横方向に蛇腹折りされた回数と前記布帛の縦方向に蛇腹折りされた回数とが同じ4回となるシーツ10を例に挙げて説明した。
【0032】
図9に示すように、例えば、第二の実施形態として、横方向に仮想縦折目11、12に沿って三等分に蛇腹折りされた上記布帛が、縦方向に仮想横折目14、15、16に沿って四等分に蛇腹折りされた状態にあるシーツ20を採用することができる。
【0033】
この実施形態のシーツ20は、前記布帛の横方向に蛇腹折りされた回数を3回とし、前記布帛の縦方向に蛇腹折りされた回数を4回としたものであり、前記布帛の横方向に蛇腹折りされた回数が、前記布帛の縦方向に蛇腹折りされた回数よりも少ないものである。その他の構成は、上述した第一実施形態のシーツ10と同じである。第一実施形態のシーツ10と同じ構成は、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0034】
このシーツ20の布帛を仮想縦折目11、12により3つの領域(A1~A3)に区画した場合、一方の側縁10aと仮想縦折目11の間を領域A1とし、仮想縦折目11と仮想縦折目12との間を領域A2とし、仮想縦折目12と他方の側縁10bとの間を領域A3とする。領域A1および領域A3では、仮想横折目14、15、16は、縦方向の一方の端縁10cから他方の端縁10dへ向かって、谷折り目部14b、山折り目部15a、谷折り目部16bとなっている。領域A2では、仮想横折目14、15、16は、縦方向の一方の端縁10cから他方の端縁10dへ向かって、山折り目部14a、谷折り目部15b、山折り目部16aとなっている。
【0035】
このように構成されるシーツ20は、仮想縦折目11、12により形成される山折り目の外側には、折り畳まれた布帛が存在していない。また、さらに、仮想横折目14、15、16により形成される山折り目の外側にも、折り畳まれた布帛が存在していない。このため、第一実施形態のシーツ10と同様に、連続洗濯機の洗濯槽内での水の揺動や、布帛の揺動によって、縦方向及び横方向に容易に広がる。
【0036】
また、シーツ20は、横方向に蛇腹折りされた回数が、縦方向に蛇腹折りされた回数よりも少ない。このため、横方向に蛇腹折りされることで形成される折り目の数が少なくなる。この折り目の数が少ないと、折り目の数が多い場合と比較して、この折り目により形成される谷折り部に向かって、洗濯槽で揺動する水をより多量に導き入れることが可能となる。したがって、縦方向に蛇腹折りされた状態から、横方向に蛇腹折りされた状態に広がった布帛は、さらに横方向に広がり易くなる。
【0037】
さらに、
図10に示すように、第三実施形態のシーツとして、前記布帛の横方向に蛇腹折りされた回数が、前記布帛の縦方向に蛇腹折りされた回数よりも少ないシーツ21を採用することができる。
【0038】
第三実施形態のシーツ21は、横方向に仮想縦折目11、12、13に沿って四等分に蛇腹折りされた上記布帛が、縦方向に仮想横折目14、15、16、17に沿って五等分に蛇腹折りされた状態にあるものである。
【0039】
すなわち、シーツ21は、前記布帛の横方向に蛇腹折りされた回数を4回とし、前記布帛の縦方向に蛇腹折りされた回数を5回としたものである。その他の構成は、上述した第一実施形態のシーツ10と同じである。第一実施形態のシーツ10と同じ構成は、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
シーツ21の4本の仮想横折目14、15、16、17は、シーツ21の縦方向の両端縁10c、10dに対して、平行に設けられている。また、仮想横折目14、15、16、17は、シーツ21の縦方向の両端縁10c、10dの間に等間隔に配置されており、シーツ21の横方向の両側縁10a、10bにまで達している。
【0041】
シーツ21の仮想横折目17は、仮想縦折目11、12、13との直交位置11a、12a、13aを境にして、縦方向のシーツ21の一方の側縁10aから他方の側縁10bへ向かって、交互に山折り目部17aと谷折り目部17bが一直線上に配置されている。
【0042】
シーツ21は第一実施形態のシーツ10と比較して、前記布帛の縦方向に蛇腹折りされた回数が1回多い5回となっている。このため、折り畳んだ状態のシーツ21は、折り畳んだ状態のシーツ10よりも、よりコンパクトに包装することが可能となり好ましい。
【0043】
次に、この発明に係るシーツの洗濯前処理方法を図面に基づいて説明する。このシーツの洗濯前処理方法は、上述のリネンサプライ事業者に納品するシーツに対して行われる方法である。このシーツの洗濯前処理方法は、シーツの布帛を第一の方向となる横方向に蛇腹折りする第一折り畳み工程と、横方向と直交する第二の方向となる縦方向に布帛を蛇腹折りする第二折り畳み工程とを含む。
【0044】
まず、第一折り畳み工程を行う。第一折り畳み工程では、
図1に示すシーツ10に対して、布帛を仮想縦折目11、12、13に沿って横方向に四等分となるように蛇腹折りする。
図3に示すように、第一折り畳み工程後のシーツ10は、仮想縦折目11、12、13により形成される横方向両側の山折り目の外側に、そのシーツ10の一部が存在していない状態となっている。なお、第一折り畳み工程では、横方向に蛇腹折りされる布帛の横方向の幅寸法は均等でなくてもよい。
【0045】
続いて、第二折り畳み工程を行う。第二折り畳み工程では、
図3に示す横方向に蛇腹折りされた布帛を、縦方向に四等分に蛇腹折りする。
図5に示すように、第二折り畳み工程後のシーツ10は、仮想横折目14、15、16により形成される縦方向両側の山折り目の外側に、そのシーツ10の一部が存在していない状態となっている。なお、第一折り畳み工程および第二折り畳み工程は、処理対象のシーツの展開状態での縦方向および横方向の幅寸法に応じて、横方向および縦方向に蛇腹折りする回数が適宜決定される。また、第二折り畳み工程では、縦方向に蛇腹折りされる布帛の縦方向の幅寸法は均等でなくてもよい。
【0046】
このようにシーツの洗濯前処理方法が行われたシーツ10は、さらに包装工程を経て包装され、リネンサプライ事業者へ納品される。納品後のシーツ10は、リネンサプライ事業者により包装を開梱して、例えば、
図7に示す連続洗濯機30により洗濯された後、乾燥、仕上げがなされる。
【0047】
図7に示すように、この連続洗濯機30は、全部で10個の槽を備えた洗濯機であり、水平な中心軸周りに揺動して各槽での洗濯を行い、所定方向に1回転して次槽に洗濯物を移送する構造である。連続洗濯機30は、横置き円筒形の固定の外筒31と、外筒31内に回転自在に収容される洗い回転胴40と濯ぎ回転胴50とを備えている。
【0048】
外筒31は、洗濯物を移送する方向の上流側(以下、単に上流側という)の端板32の中央部に設けられる投入口33と、洗濯物を移送する方向の下流側(以下、単に下流側という)の端板34の中央部に設けられる排出口35とを有する。投入口33には、洗濯物を導くホッパ36が取り付けられている。
【0049】
洗い回転胴40と濯ぎ回転胴50は円筒体であり、その両端に設けた小径となる入口開口41、51および出口開口42、52でそれぞれ回転可能に支持されている。また、洗い回転胴40と濯ぎ回転胴50は、同一直線上に位置する中心軸周りにそれぞれ独立して回転する。洗い回転胴40の入口開口41が外筒31の投入口33に臨んでおり、濯ぎ回転胴50の出口開口52が外筒31の排出口35に臨んでいる。また、洗い回転胴40の出口開口42は、濯ぎ回転胴50の入口開口51に連通している。
【0050】
洗い回転胴40は、軸方向に隔壁43により6個の第1槽1a~第6槽1fに区画されている。上流側の端部に位置する第1槽1aは予洗槽とされ、第2槽1bから第6槽1fが本洗槽とされている。濯ぎ回転胴50は、軸方向に隔壁53により4個の第7槽1gから第10槽1jに区画され、上流側の第7槽1g~第9槽1iが本濯ぎ槽とされ、第10槽1jが仕上濯ぎ槽とされている。
【0051】
洗い回転胴40の隔壁43には、洗い回転胴40が揺動運動をする洗濯時には槽の上方に位置し、かつ洗い回転胴40が回転する途中において槽の底部に来たときに、洗濯物を通過させる底部開口44が設けられている。予洗槽(第1槽1a)及び本洗槽(第2槽1b~第5槽1e)には、底部開口44に隣接して、洗い回転胴40が回転したときにその回転運動により洗濯物を次槽に送る公知の構造の底部送り板45が設けられている。予洗槽の底部送り板45は、パンチ孔を設けた通水性を有するものであり、本洗槽の底部送り板45は、非通水性のものである。
【0052】
洗い回転胴40が1回転したとき、本洗槽の洗濯物は、その槽内の洗濯液のほぼ全量と共に底部開口44を通って次槽に送られる。一方、予洗槽の底部送り板45は、多数のパンチ孔を有する通水性の底部送り板である。洗い回転胴40が1回転したとき、予洗槽の第1槽1aの洗濯物はその洗濯液の半分程度と共に本洗槽の第2槽1bに送られ、残りの半分程度の洗濯液は、予洗槽に残る。
【0053】
濯ぎ回転胴50の隔壁53は、入口開口51および出口開口52と同径の中心開口54を有している。そして、これらの隔壁53と、洗い回転胴40および濯ぎ回転胴50の出口側に設けられる端板部46、56とに、中央送りスクープ55が設けられている。この中央送りスクープ55は、板面に多数のパンチ孔を設けた通水性を有するものである。中央送りスクープ55は、洗い回転胴40と濯ぎ回転胴50とが同期して一定方向に1回転するときに、本洗槽の第6槽1f、本濯ぎ槽及び仕上濯ぎ槽の洗濯物を洗濯液の水面より上方に持ち上げて次槽ないし排出口35に移送する公知の構造を備えている。また、それぞれの槽への給排水は、外筒31に接続した配管(図示省略)により行われる。
【0054】
シーツの洗濯前処理方法によって折り畳まれたシーツ10は、連続洗濯機30のホッパ36から投入され、予洗槽に入れられる。その後、洗い回転胴40の揺動により、洗濯が開始されて洗濯液が揺動する。洗濯液の揺動によって、仮想横折目14、15、16によりシーツ10に形成される谷折り目に向かって洗濯液が入り込む。ここで、シーツ10は、仮想横折目14、15、16により形成される縦方向両側の山折り目の外側に、そのシーツ10の一部が存在していない状態となっている。このため、洗濯液が入り込むことで、シーツ10は、縦方向の蛇腹折りが少し広がった状態となる(
図8(a)参照)。
【0055】
続いて、洗い回転胴40が一回転して、シーツ10が第2槽1bに移送される。第2槽1b内のシーツ10においても、第1層1aと同様に、仮想横折目14、15、16によりシーツ10に形成される谷折り目に向かって洗濯液が入り込む。その結果、シーツ10は、縦方向の蛇腹折りが完全に広がった状態となる(
図8(b)参照)。
【0056】
さらに、洗い回転胴40が一回転して、シーツ10が第3槽1cに移送される。このとき、洗濯液の揺動によって、仮想縦折目11、12、13によりシーツ10に形成される谷折り目に向かって洗濯液が入り込む。ここで、
図8(b)に示すように、縦方向の蛇腹折りが完全に広がった状態のシーツ10は、仮想縦折目11、12、13により形成される横方向両側の山折り目の外側に、そのシーツ10の一部が存在していない状態となっている。このため、洗濯液が入り込むことで、
図8(c)に示すように、シーツ10は、横方向の蛇腹折りが完全に広がった状態となる。
【0057】
このように、この発明に係るシーツの洗濯前処理方法により処理したシーツは、縦方向及び横方向に容易に広がるため、連続洗濯機30に投入前にシーツを広げてほぐす作業を省くことができる。また、連続洗濯機に投入前にシーツを広げてほぐす必要がなくなるので、納品されたシーツの単位時間当たりの洗濯枚数を増やして、シーツの洗濯効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0058】
10、20、21 シーツ
10a、10b 側縁
10c、10d 端縁
11、12、13 仮想縦折目
11a、12a、13a 直交位置
14、15、16、17 仮想横折目
14a、15a、16a、17a 山折り目部
14b、15b、16b、17b 谷折り目部
A1、A2、A3、A4 領域
30 連続洗濯機
31 外筒
32、34 端板
33 投入口
35 排出口
36 ホッパ
40 洗い回転胴
41、51 入口開口
42、52 出口開口
43、53 隔壁
44 底部開口
45 底部送り板
46、56 端板部
50 濯ぎ回転胴
54 中心開口
55 中央送りスクープ