(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028923
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】作業機械、及び、作業機械を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
E02F9/22 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134906
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】園田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】中江 好秀
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA03
2D003AB01
2D003BA01
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
(57)【要約】
【課題】オペレータが容易かつ好適に旋回させることができる作業機械が、提供される。
【解決手段】作業機械は、車体と、操向輪と、第1アクチュエータと、第2アクチュエータと、操舵角センサと、リーニング角センサと、コントローラと、を備える。操向輪は、車体に支持される。第1アクチュエータは、操向輪の操舵角を変更する。第2アクチュエータは、操向輪のリーニング角を変更する。操舵角センサは、操舵角を示す第1角度信号を出力する。リーニング角センサは、リーニング角を示す第2角度信号を出力する。コントローラは、第1角度信号及び第2角度信号を取得する。コントローラは、第1角度信号に基づいて操舵角を取得する。コントローラは、第2角度信号に基づいてリーニング角を取得する。コントローラは、操舵角に対応する目標リーニング角を取得する。コントローラは、リーニング角が目標リーニング角になるように、第2アクチュエータを制御する。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に支持される操向輪と、
前記操向輪の操舵角を変更する第1アクチュエータと、
前記操向輪のリーニング角を変更する第2アクチュエータと、
前記操舵角を示す第1角度信号を出力する操舵角センサと、
前記リーニング角を示す第2角度信号を出力するリーニング角センサと、
前記第1角度信号及び前記第2角度信号を取得するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記第1角度信号に基づいて前記操舵角を取得し、
前記第2角度信号に基づいて前記リーニング角を取得し、
前記操舵角に対応する目標リーニング角を取得し、
前記リーニング角が前記目標リーニング角になるように、前記第2アクチュエータを制御する、
作業機械。
【請求項2】
前記目標リーニング角は、前記操舵角が所定の角度以下である場合の第1目標リーニング角と、前記操舵角が前記所定の角度より大きい場合の第2目標リーニング角と、を含み、
前記コントローラは、
前記操舵角が前記所定の角度より小さい場合に、前記リーニング角が前記第1目標リーニング角になるように、前記第2アクチュエータを制御し、
前記操舵角が前記所定の角度より大きい場合に、前記リーニング角が前記第2目標リーニング角になるように、前記第2アクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記操舵角が大きくなるにつれて、前記第2目標リーニング角は大きくなる、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記操舵角及び前記目標リーニング角の対応関係を示すテーブルデータに基づいて、前記操舵角に対応する前記目標リーニング角を取得する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記コントローラは、
後進時の前記操向輪の傾倒方向が、前進時の前記操向輪の傾倒方向と反対となるように、前記第2アクチュエータを制御する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
車体と、車体に支持される操向輪と、前記操向輪の操舵角を変更する第1アクチュエータと、前記操向輪のリーニング角を変更する第2アクチュエータと、前記操舵角を示す第1角度信号を出力する操舵角センサと、前記リーニング角を示す第2角度信号を出力するリーニング角センサと、を含む作業機械を制御するための方法であって、
前記第1角度信号及び前記第2角度信号を取得することと、
前記第1角度信号に基づいて前記操舵角を取得することと、
前記第2角度信号に基づいて前記リーニング角を取得することと、
前記操舵角に対応する目標リーニング角を取得することと、
前記リーニング角が前記目標リーニング角になるように、前記第2アクチュエータを制御することと、
を備える方法。
【請求項7】
前記目標リーニング角は、前記操舵角が所定の角度以下である場合の第1目標リーニング角と、前記操舵角が前記所定の角度より大きい場合の第2目標リーニング角と、を含み、
前記操舵角が前記所定の角度より小さい場合に、前記リーニング角が前記第1目標リーニング角になるように、前記第2アクチュエータを制御することと、
前記操舵角が前記所定の角度より大きい場合に、前記リーニング角が前記第2目標リーニング角になるように、前記第2アクチュエータを制御することと、
をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記操舵角が大きくなるにつれて、前記第2目標リーニング角を大きくすること、
をさらに備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記操舵角及び前記目標リーニング角の対応関係を示すテーブルデータに基づいて、前記操舵角に対応する前記目標リーニング角を取得すること、
をさらに備える請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
後進時の前記操向輪の傾倒方向が、前進時の前記操向輪の傾倒方向と反対となるように、前記第2アクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械、及び、作業機械を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業機械は、車体と、車体に支持される操向輪と、リーニング機構と、を有するものがある(特許文献1を参照)。このタイプの作業機械では、操向輪の操舵角を変更することによって、作業機械を旋回させることができる。また、リーニング機構によって操向輪のリーニング角を変更することによって、作業機械の旋回半径を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の作業機械では、作業機械の旋回時には、オペレータは、操舵角を変更するための操舵レバー及びリーニング角を変更するためのリーニングレバーの両方を、同時に操作する必要がある。すなわち、オペレータにとって作業機械の旋回時の操作は複雑である。このため、オペレータが操舵レバー及びリーニングレバーの両方を正確に操作できなかった場合、オペレータは、自分が所望するように、作業機械を旋回させることができないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、オペレータが容易かつ好適に旋回させることができる作業機械を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機械は、車体と、操向輪と、第1アクチュエータと、第2アクチュエータと、操舵角センサと、リーニング角センサと、コントローラと、を備える。操向輪は、車体に支持される。第1アクチュエータは、操向輪の操舵角を変更する。第2アクチュエータは、操向輪のリーニング角を変更する。操舵角センサは、操舵角を示す第1角度信号を出力する。リーニング角センサは、リーニング角を示す第2角度信号を出力する。コントローラは、第1角度信号及び第2角度信号を取得する。コントローラは、第1角度信号に基づいて操舵角を取得する。コントローラは、第2角度信号に基づいてリーニング角を取得する。コントローラは、操舵角に対応する目標リーニング角を取得する。コントローラは、リーニング角が目標リーニング角になるように、第2アクチュエータを制御する。
【0007】
本発明の他の態様に係る方法は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、車体と、車体に支持される操向輪と、操向輪の操舵角を変更する第1アクチュエータと、操向輪のリーニング角を変更する第2アクチュエータと、操舵角を示す第1角度信号を出力する操舵角センサと、リーニング角を示す第2角度信号を出力するリーニング角センサと、を含む。
【0008】
本態様に係る方法は、第1角度信号及び第2角度信号を取得することと、第1角度信号に基づいて操舵角を取得することと、第2角度信号に基づいてリーニング角を取得することと、操舵角に対応する目標リーニング角を取得することと、リーニング角が目標リーニング角になるように、第2アクチュエータを制御することと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操向輪のリーニング角が、操向輪の操舵角に対応する目標リーニング角になるように、第2アクチュエータが制御される。これにより、オペレータは、操舵角を変更するだけで、リーニング角を自動的に設定することができる。これにより、オペレータは、作業機械を容易かつ好適に旋回させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6A】前輪のリーニング角を説明するための正面図である。
【
図6B】前輪のリーニング角を説明するための正面図である。
【
図7A】前輪の操舵角に応じて前輪のリーニング角を自動的に設定する処理を示すフローチャートである。
【
図7B】前輪のリーニング速度を自動的に設定する処理を示すフローチャートである。
【
図8A】操舵角及び目標リーニング角の対応関係を示す第1テーブルデータを説明するための図である。
【
図8B】操舵角及び目標リーニング角の対応関係を示す第2テーブルデータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1の斜視図である。
図2は、作業機械1の側面図である。
図1に示すように、作業機械1は、車体2と、前輪3A,3Bと、後輪4A-4Dと、作業機5とを備える。車体2は、フロントフレーム11と、リアフレーム12と、キャブ13と、動力室14とを含む。
【0012】
リアフレーム12は、フロントフレーム11に接続されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して回動するようにリアフレーム12に連結されている。例えば、フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して、左右にアーティキュレート可能である。
【0013】
なお、以下の説明において、前後左右の各方向は、リアフレーム12に対するフロントフレーム11のアーティキュレート角がゼロである状態、すなわち、フロントフレーム11とリアフレーム12とが真っすぐな状態で、車体2の前後左右の各方向が定義される。
【0014】
キャブ13と動力室14とは、リアフレーム12上に配置されている。キャブ13には、図示しない運転席が配置されている。動力室14は、キャブ13の後方に配置されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12から前方へ延びている。前輪3A,3Bは、フロントフレーム11に取り付けられている。前輪3A,3Bは、左右方向に離れて配置されている。前輪3A,3Bは、フロントフレーム11に回転可能に支持される。後輪4A-4Dは、リアフレーム12に取り付けられている。
【0015】
作業機5は、車体2に対して可動的に接続されている。作業機5は、支持部材15とブレード16とを含む。支持部材15は、車体2に可動的に接続されている。支持部材15は、ブレード16を支持している。支持部材15は、ドローバ17とサークル18とを含む。ドローバ17は、フロントフレーム11の下方に配置される。
【0016】
ドローバ17は、フロントフレーム11の前部19に接続されている。ドローバ17は、フロントフレーム11の前部19から後方へ延びている。ドローバ17は、フロントフレーム11に対して、少なくとも車体2の上下方向と左右方向とに揺動可能に支持されている。例えば、前部19は、ボールジョイントを含む。ドローバ17は、ボールジョイントを介して、フロントフレーム11に対して回転可能に接続されている。
【0017】
サークル18は、ドローバ17の後部に接続されている。サークル18は、ドローバ17に対して回転可能に支持される。ブレード16は、サークル18に接続される。ブレード16は、サークル18を介して、ドローバ17に支持されている。
図2に示すように、ブレード16は、チルト軸21回りに回転可能にサークル18に支持されている。チルト軸21は、左右方向に延びている。
【0018】
図2に示すように、作業機械1は、前輪3A,3Bを操舵するための複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bと、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28と、を備えている。
【0019】
複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、前輪3A,3Bを操舵するために用いられる。例えば、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、油圧シリンダである。複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、前輪3A,3Bに各別に接続されている。複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、油圧によって伸縮する。以下の説明では、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bの伸縮、例えば油圧シリンダの伸縮が、「ストローク動作」と記される。
【0020】
複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bは、左ステアリングシリンダ41Aと、右ステアリングシリンダ41Bと、を含む。左ステアリングシリンダ41Aと右ステアリングシリンダ41Bとは、左右方向に互いに離れて配置されている。
【0021】
左ステアリングシリンダ41Aは、フロントフレーム11と前輪3Aとに接続されている。右ステアリングシリンダ41Bは、フロントフレーム11と前輪3Bに接続されている。左ステアリングシリンダ41Aと右ステアリングシリンダ41Bとのストローク動作により、前輪3A,3Bが操舵される。
【0022】
図2では、左ステアリングアクチュエータ41Aが図示され、右ステアリングアクチュエータ41Bは図示されていない。左ステアリングアクチュエータ41Aと右ステアリングアクチュエータ41Bとは対をなす部材であるので、
図2では、図示されていない部材については括弧内に符号が記されている。
【0023】
複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、リアフレーム12に対してフロントフレーム11を回動させるために用いられる。例えば、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、油圧シリンダである。複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、フロントフレーム11とリアフレーム12とに接続されている。複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、油圧によって伸縮する。
【0024】
複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28は、左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28と、を含む。左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28とは、左右方向に互いに離れて配置されている。
【0025】
左アーティキュレートシリンダ27は、車体2の左側において、フロントフレーム11とリアフレーム12とに接続されている。右アーティキュレートシリンダ28とは、車体2の右側において、フロントフレーム11とリアフレーム12とに接続されている。左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28とのストローク動作により、フロントフレーム11はリアフレーム12に対して左右に回動する。
【0026】
図1では、右アーティキュレートシリンダ28が図示され、左アーティキュレートシリンダ27は図示されていない。
図2では、左アーティキュレートシリンダ27が図示され、右アーティキュレートシリンダ28は図示されていない。左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28とは対をなす部材であるので、
図1及び
図2では、図示されていない部材については括弧内に符号が記されている。
【0027】
図3は、作業機械1の前部の正面図である。
図3に示すように、作業機械1は、リーン機構6を備えている。リーン機構6は、前輪3A,3Bを左右に傾倒させる。リーン機構6は、アクスルビーム56と、リーニングロッド57と、リーニングアクチュエータ61とを含む。アクスルビーム56は、フロントフレーム11から左右に延びている。アクスルビーム56は、ピボット軸58回りに回転可能にフロントフレーム11に支持されている。
【0028】
アクスルビーム56は、ホイールブラケット59Aを介して、前輪3Aに接続されている。アクスルビーム56は、前輪3Aをリーニング軸54A回りに回転可能に支持する。アクスルビーム56は、ホイールブラケット59Bを介して、前輪3Bに接続されている。アクスルビーム56は、前輪3Bをリーニング軸54B回りに回転可能に支持する。リーニング軸54A,54Bは、前後方向に延びている。
【0029】
リーニングロッド57は、フロントフレームを通って左右に延びている。リーニングロッド57は、前輪3A,3Bを互いに連結している。リーニングロッド57は、ホイールブラケット59Aを介して、前輪3Aに接続されている。リーニングロッド57は、ホイールブラケット59Bを介して、前輪3Bに接続されている。
【0030】
リーニングアクチュエータ61は、前輪3A,3Bを傾倒するために用いられる。例えば、リーニングアクチュエータ61は、油圧シリンダである。リーニングアクチュエータ61は、フロントフレーム11と前輪3A,3Bとに接続されている。リーニングアクチュエータ61は、油圧によって伸縮する。すなわち、リーニングアクチュエータ61を伸縮させることによって、前輪3A,3Bがリーニング軸54A,54B回りに回転する。それにより、前輪3A,3Bが左右に傾倒する。
【0031】
図2に示すように、作業機械1は、作業機5の姿勢を変更するための複数のアクチュエータ22-26を備えている。例えば、複数のアクチュエータ22-25は、油圧シリンダである。アクチュエータ26は、回転アクチュエータである。本実施形態では、アクチュエータ26は油圧モータである。アクチュエータ26は、電動モータであってもよい。
【0032】
複数のアクチュエータ22-25は、作業機5に接続されている。複数のアクチュエータ22-25は、油圧によって伸縮する。複数のアクチュエータ22-25は、伸縮することで、車体2に対する作業機5の姿勢を変更する。
【0033】
詳細には、複数のアクチュエータ22-25は、左リフトシリンダ22と、右リフトシリンダ23と、ドローバシフトシリンダ24と、ブレードチルトシリンダ25と、を含む。
【0034】
左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、左右方向に互いに離れて配置されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、ドローバ17に接続されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とは、リフタブラケット29を介して、フロントフレーム11に接続されている。左リフトシリンダ22と右リフトシリンダ23とのストローク動作により、ドローバ17は、上下に揺動する。それにより、ブレード16が上下に移動する。
【0035】
ドローバシフトシリンダ24は、ドローバ17とフロントフレーム11とに接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、リフタブラケット29を介してフロントフレーム11に接続されている。ドローバシフトシリンダ24は、フロントフレーム11からドローバ17に向かって、斜め下方に延びている。ドローバシフトシリンダ24のストローク動作により、ドローバ17は、左右に揺動する。
【0036】
ブレードチルトシリンダ25は、サークル18とブレード16とに接続されている。ブレードチルトシリンダ25のストローク動作により、ブレード16がチルト軸21回りに回転する。
【0037】
アクチュエータ26は、ドローバ17とサークル18とに接続されている。アクチュエータ26は、ドローバ17に対してサークル18を回転させる。それにより、ブレード16が、上下方向に延びる回転軸回りに回転する。
【0038】
図4は、作業機械1の構成を示す模式図である。
図4に示すように、作業機械1は、駆動源31と、油圧ポンプ32と、を含む。作業機械1は、ステアリングバルブ42Aと、アーティキュレートバルブ42Bと、リーニングバルブ42Cと、作業機バルブ34と、を含む。作業機械1は、動力伝達装置33と、を含む。
【0039】
駆動源31は、例えば内燃機関である。或いは、駆動源31は、電動モータ、或いは内燃機関と電動モータとのハイブリッドであってもよい。
【0040】
油圧ポンプ32は、駆動源31によって駆動されることで、作動油を吐出する。油圧ポンプ32は、ステアリングバルブ42Aと、アーティキュレートバルブ42Bと、作業機バルブ34とに、作動油を供給する。これにより、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bと、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28と、複数のアクチュエータ22-26とが、作動する。なお、
図4では、1つの油圧ポンプ32のみが図示されているが、複数の油圧ポンプが備えられてもよい。
【0041】
ステアリングバルブ42Aは、油圧回路を介して、油圧ポンプ32と複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bとに接続されている。ステアリングバルブ42Aは、油圧ポンプ32から複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bに供給される作動油の流量を、制御する。油圧ポンプ32の作動油がステアリングバルブ42Aに供給されることによって、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bはストローク動作を行う。
【0042】
アーティキュレートバルブ42Bは、油圧回路を介して、油圧ポンプ32と複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28とに接続されている。アーティキュレートバルブ42Bは、油圧ポンプ32から複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28に供給される作動油の流量を、制御する。油圧ポンプ32の作動油がアーティキュレートバルブ42Bに供給されることによって、複数のアーティキュレートアクチュエータ27,28はストローク動作を行う。
【0043】
リーニングバルブ42Cは、油圧回路を介して、油圧ポンプ32とリーニングアクチュエータ61とに接続されている。リーニングバルブ42Cは、油圧ポンプ32からリーニングアクチュエータ61に供給される作動油の流量を、制御する。油圧ポンプ32の作動油がリーニングバルブ42Cに供給されることによって、リーニングアクチュエータ61はストローク動作を行う。
【0044】
作業機バルブ34は、油圧回路を介して、油圧ポンプ32と複数のアクチュエータ22-26とに接続されている。作業機バルブ34は、複数のアクチュエータ22-26それぞれに接続される複数の弁を、含む。作業機バルブ34は、油圧ポンプ32から複数のアクチュエータ22-26に供給される作動油の流量を、制御する。
【0045】
動力伝達装置33は、駆動源31からの駆動力を後輪4A-4Dに伝達する。動力伝達装置33は、トルクコンバータ、及び/又は、複数の変速ギアを含んでもよい。或いは、動力伝達装置33は、HST(Hydraulic Static Transmission)、或いは、HMT(Hydraulic Mechanical Transmission)などのトランスミッションであってもよい。
【0046】
図4に示すように、作業機械1は、ステアリング部材45と、アーティキュレートレバー55と、リーニングレバー63と、作業機操作部材35と、シフト部材53と、アクセル操作部材36と、を含む。
【0047】
ステアリング部材45は、前輪3A,3Bを操舵するためにオペレータによって操作可能である。ステアリング部材45は、ジョイスティックなどのレバーである。或いは、ステアリング部材45は、レバー以外の部材であってもよい。例えば、ステアリング部材45は、ステアリングホイールであってもよい。
【0048】
ステアリング部材45は、操作センサ51に接続されている。操作センサ51は、作業機械1に含まれる。操作センサ51は、オペレータによるステアリング部材45への操作を示すステアリング操作信号を出力する。
【0049】
アーティキュレートレバー55は、リアフレーム12に対してフロントフレーム11を回動させるためにオペレータによって操作可能である。アーティキュレートレバー55は、ジョイスティックなどのレバーである。或いは、アーティキュレートレバー55は、レバー以外の部材であってもよい。アーティキュレートレバー55は、操作センサ60に接続されている。操作センサ60は、作業機械1に含まれる。操作センサ60は、オペレータによるアーティキュレートレバー55への操作を示すアーティキュレート操作信号を出力する。
【0050】
リーニングレバー63は、前輪3A,3Bを傾倒させるためにオペレータによって操作可能である。リーニングレバー63は、ジョイスティックなどのレバーである。或いは、リーニングレバー63は、レバー以外の部材であってもよい。リーニングレバー63は、操作センサ52に接続されている。操作センサ52は、オペレータによるリーニングレバー63の操作を示すリーニング操作信号を出力する。
【0051】
作業機操作部材35は、作業機5の姿勢を変更するためにオペレータによって操作可能である。作業機操作部材35は、例えば複数の操作レバーを含む。或いは、作業機操作部材35は、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。作業機操作部材35は、オペレータによる作業機操作部材35への操作を示す信号を出力する。
【0052】
シフト部材53は、作業機械1の前進と後進とを切り換えるためのオペレータによって操作可能である。シフト部材53は、例えばシフトレバーを含む。或いは、シフト部材53は、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。シフト部材53は、オペレータによるシフト部材53への操作を示す信号を出力する。
【0053】
アクセル操作部材36は、作業機械1を走行させるためにオペレータによって操作可能である。アクセル操作部材36は、例えばアクセルペダルを含む。或いは、アクセル操作部材36は、スイッチ、或いはタッチパネルなどの他の部材であってもよい。アクセル操作部材36は、オペレータによるアクセル操作部材36への操作を示す信号を出力する。
【0054】
作業機械1は、操舵角センサ40と、アーティキュレート角センサ30と、リーニング角センサ62と、を備えている。操舵角センサ40は、前輪3A,3Bの操舵角θ1を検出するために用いられる。操舵角センサ40は、操舵角θ1を示す操舵角信号(第1角度信号)を出力する。操舵角信号は、例えば、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bのストローク量である。なお、操舵角センサ40は、操舵角θ1を直接的に検出してもよい。
【0055】
ここで、操舵角θ1は以下のように定義される。
図5A及び
図5Bは、作業機械1の前部を示す上面図である。
図5A及び
図5Bでは、アーティキュレート角が0度、すなわち、フロントフレーム11がリアフレーム12に対して屈曲していない状態の作業機械1が示されている。
【0056】
図5Aに示すように、作業機械1は、第1ステアリング軸43Aと、第2ステアリング軸43Bと、を含む。第1ステアリング軸43Aと、第2ステアリング軸43Bとは、前輪3A,3Bの回動軸である。
【0057】
第1ステアリング軸43Aと第2ステアリング軸43Bとは、フロントフレーム11に設けられる。第1ステアリング軸43Aと第2ステアリング軸43Bとは、上下方向に延びている。第1ステアリング軸43Aと第2ステアリング軸43Bとは、前輪3A,3Bを各別に回動可能に支持する。
【0058】
操舵角θ1は、第1ステアリング軸43A及び第2ステアリング軸43Bを中心としてフロントフレーム11に対して前輪3A,3Bが回動する角度である。例えば、操舵角θ1は、フロントフレーム11の前後方向に対する前輪3A,3Bの回動角度である。
【0059】
詳細には、中心線L1がフロントフレーム11に定義される。中心線L1は、フロントフレーム11の前後方向に延びるフロントフレーム11の中心線である。第1中心線L1は、作業機械1の上面視で、後述するアーティキュレート軸44を通過する。操舵角θ1は、中心線L1を基準とした前輪3A,3Bの回動角度である。
【0060】
操舵角θ1は、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bのストローク動作によって中立位置から左右に変化する。中立位置の操舵角θ1は、ゼロ度である。前輪3A,3Bは、中立位置において、フロントフレーム11の第1中心線L1と平行に配置される。なお、
図5Aにおいて、3A’及び3B’は、中立位置から左方へ操舵角θ1だけ操舵された状態の前輪を示している。
図5Bにおいて、3A’及び3B’は、中立位置から右方へ操舵角θ1だけ操舵された状態の前輪を示している。
【0061】
アーティキュレート角センサ30は、リアフレーム12に対するフロントフレーム11のアーティキュレート角を検出するために用いられる。アーティキュレート角センサ30は、アーティキュレート角を示すアーティキュレート角信号を出力する。アーティキュレート角信号は、例えば、左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28とのストローク量である。なお、アーティキュレート角センサ30は、アーティキュレート角を直接的に検出してもよい。
【0062】
ここで、アーティキュレート角は以下のように定義される。
図5A及び
図5Bに示すように、作業機械1は、アーティキュレート軸44を含む。アーティキュレート軸44は、フロントフレーム11とリアフレーム12とに設けられる。アーティキュレート軸44は、上下方向に延びている。フロントフレーム11とリアフレーム12とは、アーティキュレート軸44回りに回動可能に互いに接続されている。アーティキュレート角は、アーティキュレート軸44を中心としてリアフレーム12に対してフロントフレーム11が回動する角度である。
【0063】
リーニング角センサ62は、前輪3A,3Bのリーニング角θ2を検出するために用いられる。リーニング角センサ62は、リーニング角θ2を示すリーニング角信号(第2角度信号)を出力する。リーニング角信号は、例えば、リーニングアクチュエータ61のストローク量である。なお、リーニング角センサ62は、リーニング角θ2を直接的に検出してもよい。
【0064】
ここで、リーニング角θ2は以下のように定義される。
図6A及び
図6Bに示すように、リーニング角θ2は、車体2を前方から見て、前輪3A、3Bの左右方向への傾倒角度である。例えば、リーニング角θ2は、車体2を前方から見て、前輪3A,3Bがリーニング軸54A,54Bまわりに傾倒する傾倒角度である。以下の説明において、前輪3A,3Bが水平面H1に対して直立した状態(実線で示す3A、3B)を、前輪3A,3Bの中立の状態と呼ぶものとする。前輪3A,3Bが中立の状態で、リーニング角θ2は、ゼロ度である。
【0065】
図6Aでは、前輪3A,3Bが、中立の状態から左方にリーニング角θ2だけ変化している(破線で示す3A”、3B”)。
図6Bでは、前輪3A,3Bが、中立の状態(実線で示す3A、3B)から右方にリーニング角θ2だけ変化している(破線で示す3A”、3B”)。
【0066】
図4に示すように、作業機械1は、コントローラ37を含む。コントローラ37は、記憶装置38とプロセッサ39とを含む。プロセッサ39は、例えばCPUであり、作業機械1を制御するためのプログラムを実行する。記憶装置38は、RAM及びROMなどのメモリと、SSD或いはHDDなどの補助記憶装置を含む。記憶装置38は、作業機械1を制御するためのプログラムとデータとを記憶している。
【0067】
コントローラ37は、シフト部材53の操作に応じて、動力伝達装置33を制御する。これにより、作業機械1の進行方向を、前進と後進とに切り換える。或いは、シフト部材53は、機械的に動力伝達装置33に接続されてもよい。シフト部材53の動作を機械的に動力伝達装置33に伝達することで、動力伝達装置33の前進と後進のギアが切り替えられてもよい。
【0068】
コントローラ37は、アクセル操作部材36の操作に応じて、駆動源31及び動力伝達装置33を制御する。これにより、作業機械1が走行する。また、コントローラ37は、作業機操作部材35の操作に応じて、油圧ポンプ32と作業機バルブ34とを制御する。これにより、作業機5が動作する。
【0069】
コントローラ37は、操作センサ51からのステアリング操作信号により、ステアリング部材45の操作量を取得する。コントローラ37は、ステアリング操作信号に応じてステアリングバルブ42Aを制御することで、複数のステアリングアクチュエータ41A,41Bを伸縮させる。これにより、コントローラ37は、前輪3A,3Bの操舵角θ1を変化させる。コントローラ37は、操舵角信号を操舵角センサ40から取得する。コントローラ37は、操舵角信号に基づいて前輪3A,3Bの操舵角θ1を算出する。
【0070】
コントローラ37は、アーティキュレートレバー55からのアーティキュレート操作信号により、アーティキュレートレバー55の操作量を取得する。コントローラ37は、アーティキュレートバルブ42Bを制御する。例えば、コントローラ37は、アーティキュレート操作信号に応じてアーティキュレートバルブ42Bを制御することによって、左アーティキュレートシリンダ27と右アーティキュレートシリンダ28を伸縮させる。これにより、コントローラ37は、アーティキュレート角を変化させる。コントローラ37は、アーティキュレート角信号をアーティキュレート角センサ30から取得する。コントローラ37は、アーティキュレート角信号に基づいてアーティキュレート角を算出する。
【0071】
コントローラ37は、リーニングレバー63からのリーニング操作信号により、リーニングレバー63の操作量を取得する。コントローラ37は、リーニングバルブ42Cを制御する。例えば、コントローラ37は、リーニング操作信号に応じてリーニングバルブ42Cを制御することによって、リーニングアクチュエータ61を伸縮させる。これにより、コントローラ37は、オペレータによるリーニングレバー63の操作に応じて、リーニング角θ2を変化させる。コントローラ37は、リーニング角信号をリーニング角センサ62から取得する。コントローラ37は、リーニング角信号に基づいてリーニング角θ2を算出する。
【0072】
コントローラ37は、操舵角θ1に応じてリーニング角θ2を変化させる自動リーニング制御を実行する。以下、自動リーニング制御について説明する。自動リーニング制御では、コントローラ37は、操舵角θ1に応じてリーニングバルブ42Cを制御することによって、リーニングアクチュエータ61を伸縮させる。これにより、コントローラ37は、リーニングレバー63の操作によらず、自動的にリーニング角θ2を変化させる。
図7A及び
図7Bは、自動リーニング制御の処理を示すフローチャートである。
【0073】
ステップ101において、コントローラ37は、現在の操舵角θ1を取得する。
ステップ102において、コントローラ37は、車体2の進行方向を取得する。ステップ103において、コントローラ37は、車体2の進行方向が前進方向であるか否かを判断する。
【0074】
ここで、車体2の進行方向が前進方向である場合(S103でYes)、ステップ104において、コントローラ37は第1テーブルデータを目標リーニング角度テーブルデータとして取得する。第1テーブルデータは、記憶装置38に記憶されている。
【0075】
第1テーブルデータは、車体2が前進する場合の前輪3A,3Bの操舵角θ1と、目標リーニング角θ
T2との関係を規定する。
図8Aは、第1テーブルデータの一例を示す図である。
図8Aに示すように、第1テーブルデータでは、前輪3A,3Bの左方への操舵角θ1がα1以下である場合、目標リーニング角θ
T2は0である。前輪3A,3Bの左方への操舵角θ1がα1より大きい場合、操舵角θ1が大きくなるにつれて、左方への目標リーニング角θ
T2は大きくなる。
【0076】
前輪3A,3Bの右方への操舵角θ1がα2以下である場合、目標リーニング角θT2は0である。前輪3A,3Bの右方への操舵角θ1がα2より大きい場合、操舵角θ1が大きくなるにつれて、右方への目標リーニング角θT2は大きくなる。
【0077】
車体2の進行方向が前進方向ではない場合(S104でNo)、すなわち車体2の進行方向が後進方向である場合、ステップ106において、コントローラ37は第2テーブルデータを目標リーニング角度テーブルデータとして取得する。第2テーブルデータは、記憶装置38に記憶されている。
【0078】
第2テーブルデータは、車体2が後進する場合の前輪3A,3Bの操舵角θ1と、目標リーニング角θ
T2との関係を規定する。
図8Bは、第2テーブルデータの一例を示す図である。
図8Bに示すように、第2テーブルデータでは、前輪3A,3Bの左方への操舵角θ1がα1以下である場合、目標リーニング角θ
T2は0である。前輪3A,3Bの左方への操舵角θ1がα1より大きい場合、操舵角θ1が大きくなるにつれて、右方への目標リーニング角θ
T2は大きくなる。
【0079】
前輪3A,3Bの右方への操舵角θ1がα2以下である場合、目標リーニング角θT2は0である。前輪3A,3Bの右方への操舵角θ1がα2より大きい場合、操舵角θ1が大きくなるにつれて、左方への目標リーニング角θT2は大きくなる。なお、第1テーブルデータ及び第2テーブルデータにおいて、操舵角θ1及び目標リーニング角θT2の対応関係は、関数を用いて関連付けられてもよい。この場合、操舵角θ1及び目標リーニング角θT2の対応関係を示す関数が、記憶装置38に記憶される。
【0080】
ステップ106において、コントローラ37は、目標リーニング角度テーブルデータを参照し、操舵角θ1に応じた目標リーニング角θT2を目標リーニング角度テーブルデータから取得する。
【0081】
ステップ107において、コントローラ37は、リーニング角θ2が目標リーニング角θ
T2となるように、リーニングアクチュエータ61を制御する。ステップ107では、コントローラ37が、
図8Bに示す処理を実行することによって、リーニングアクチュエータ61を制御する。
【0082】
ステップ107Aにおいて、コントローラ37は、現在のリーニング角θ2を取得する。ステップ107Bにおいて、コントローラ37は、目標リーニング角θT2及び現在のリーニング角θ2の誤差(=θT2-θ2)を算出する。ステップ107Cにおいて、コントローラ37は、速度テーブルデータを取得する。
【0083】
速度テーブルデータは、前輪3A,3Bのリーニング角θ2と、目標リーニング速度との関係を規定する。速度テーブルデータでは、リーニング角θ2が大きいほど、目標リーニング速度は大きくなる。速度テーブルデータは、記憶装置38に記憶される。リーニング角θ2及び目標リーニング速度の対応関係は、関数を用いて関連付けられてもよい。この場合、リーニング角θ2及び目標リーニング速度の対応関係を示す関数が、記憶装置38に記憶される。
【0084】
ステップ107Dにおいて、コントローラ37は、速度テーブルデータを参照し、現在のリーニング角θ2に対応する目標リーニング速度をリーニング速度テーブルから取得する。ステップ107Eにおいて、コントローラ37は、上記の誤差がゼロになるまで、リーニングアクチュエータ61を目標リーニング速度で作動させる。上記の誤差がゼロになった場合、コントローラ37はステップ107の処理を終了する。
【0085】
以上、説明したように、車体2が前進しているときには、コントローラ37は、第1テーブルデータを参照して、操舵角θ1から目標リーニング角θT2を決定する。従って、左方への操舵角θ1がα1以下である場合、及び、右方への操舵角θ1がα2以下である場合には、目標リーニング角θT2は、0である。従って、コントローラ37は、前輪3A,3Bを中立の状態に維持する。或いは、コントローラ37は、オペレータの操作による直前のリーニング角θ2を維持してもよい。
【0086】
左方への操舵角θ1がα1より大きいときには、コントローラ37は、リーニング角θ2が、操舵角θ1の増大に応じて増大する左方への目標リーニング角θ
T2となるように、リーニングアクチュエータ61を制御する。それにより、
図5Aのように、前輪3A,3Bが左方に操舵されているときには、
図6Aに示すように、前輪3A,3Bが左方に傾倒するように、リーニングアクチュエータ61が制御される。
【0087】
右方への操舵角θ1がα2より大きいときには、コントローラ37は、リーニング角θ2が、操舵角θ1の増大に応じて増大する右方への目標リーニング角θ
T2となるように、リーニングアクチュエータ61を制御する。それにより、
図5Bのように、前輪3A,3Bが右方に操舵されているときには、
図6Bに示すように、前輪3A,3Bが右方に傾倒するように、リーニングアクチュエータ61が制御される。
【0088】
車体2が後進しているときには、コントローラ37は、第2テーブルデータを参照して、操舵角θ1から目標リーニング角θT2を決定する。従って、左方への操舵角θ1がα1以下である場合、及び、右方への操舵角θ1がα2以下である場合には、車体2が前進しているときと同様に、目標リーニング角θT2は、0である。
【0089】
左方への操舵角θ1がα1より大きいときには、コントローラ37は、リーニング角θ2が、操舵角θ1の増大に応じて増大する右方への目標リーニング角θT2となるように、リーニングアクチュエータ61を制御する。右方への操舵角θ1がα2より大きいときには、コントローラ37は、リーニング角θ2が、操舵角θ1の増大に応じて増大する左方への目標リーニング角θT2となるように、リーニングアクチュエータ61を制御する。従って、後進時の前輪3A,3Bの傾倒方向は、前進時の前輪3A,3Bの傾倒方向と反対となる。
【0090】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1では、コントローラ37は、操舵角信号に基づいて操舵角θ1を取得する。コントローラ37は、リーニング角信号に基づいてリーニング角θ2を取得する。コントローラ37は、操舵角θ1に対応する目標リーニング角θT2を、取得する。コントローラ37は、リーニング角θ2が目標リーニング角θT2になるように、リーニングアクチュエータ61を制御する。これにより、リーニング角θ2が操舵角θ1に応じて変更される。
【0091】
このため、オペレータは、第1ステアリング部材45及び/又は第2ステアリング部材46を操作するだけで、リーニングレバー63を操作しなくても、操舵角θ1に対応するリーニング角θ2を自動的に設定することができる。すなわち、オペレータは、作業機械1を容易かつ好適に旋回させることができる。
【0092】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0093】
フロントフレーム11がリアフレーム12に対して回動した状態において、リーニング角θ2を操舵角θ1に応じて変更してもよい。例えば、アーティキュレート角が“θ3”である場合、操舵角θ1及びアーティキュレート角θ3の差(=θ1-θ3)と、目標リーニング角θT2との対応関係を示すテーブルデータが用いられる。
【0094】
この場合、
図7A及び
図7Bの横軸の操舵角θ1を、操舵角θ1及びアーティキュレート角θ3の差(=θ1-θ3)に置き換えることによって、前記実施形態と同様の処理形態でリーニング角θ2を目標リーニング角θ
T2に自動的に設定することができる。
【0095】
自動リーニング制御の有効と無効とが切り替え可能であってもよい。コントローラ37は、現在の車体2のロール角を取得して、ロール角が所定のロール角以下であるときに自動リーニング制御を有効とし、ロール角が所定のロール角より大きいときには自動リーニング制御を無効としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、オペレータは、操舵角を変更するだけで、リーニング角を自動的に設定することができる。すなわち、オペレータは、作業機械を容易かつ好適に旋回させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 作業機械
2 車体
3A,3B 前輪
11 フロントフレーム
12 リアフレーム
37 コントローラ
40 操舵角センサ
41 ステアリングアクチュエータ
61 リーニングアクチュエータ
62 リーニング角センサ
θ1 操舵角
θ2 リーニング角
θT2 目標リーニング角