IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社京三製作所の特許一覧

<>
  • 特開-時間表示システム 図1
  • 特開-時間表示システム 図2
  • 特開-時間表示システム 図3
  • 特開-時間表示システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028974
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】時間表示システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/08 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
G08G1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134994
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】栗島 佑典
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181BB15
5H181JJ02
5H181JJ06
5H181JJ15
(57)【要約】
【課題】点灯する保持秒数が変動する交差点であっても、点灯が切換わるまでの正確な時間を表示する。
【解決手段】時間表示システムは、青点灯の残り時間のカウントダウン表示を行う時間表示部と、信号灯器L、車両感知器、及び時間表示部と接続した信号制御部とから構成されている。信号制御部に記憶された現示テーブルTに、車両用信号灯器L12又は車両用信号灯器L22が青点灯である点灯状態で同一の第1の階梯K1、K7及び第2の階梯K2、K8を設け、第1の階梯K1、K7の保持秒数を可変秒数、第2の階梯K2、K8の保持秒数を固定秒数で設定することで、青点灯の保持秒数が変動する点灯制御を行う交差点であっても、点灯制御が第1の階梯K1、K7から第2の階梯K2、K8に移行後からは、車両用信号灯器L12又は車両用信号灯器L22の黄点灯に切換わるまでの青点灯の正確な残り時間を、青点灯で走行する走行車両に対して提示できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点の車両用信号灯器の近傍に設置され、又は前記車両用信号灯器の筐体に配置され、該車両用信号灯器の点灯が切換わるまでの時間の表示を行う時間表示部と、該時間表示部及び前記車両用信号灯器を含む信号灯器と接続し、前記時間表示部の表示処理を行う信号制御部とから構成され、該信号制御部は、前記信号灯器の点灯状態が設定された複数の階梯から成る現示テーブルに従って、前記信号灯器の点灯制御を繰り返し行う時間表示システムであって、
前記現示テーブルには、一方の前記車両用信号灯器が青点灯であり、他方の前記車両用信号灯器が赤点灯である1組の同一の階梯が含まれており、
前記1組の先の階梯である第1の階梯は、保持秒数が可変秒数であり、前記1組の後の階梯である第2の階梯は、保持秒数が固定秒数であり、
前記点灯制御が前記第1の階梯から前記第2の階梯に移行したときに、前記一方の前記車両用信号灯器の青点灯が黄点灯に切換わるまでの青点灯の残り時間を前記時間表示部に表示させ、前記黄点灯に切換わるまで前記残り時間を減算しながら表示させることを特徴とする時間表示システム。
【請求項2】
交差点の車両用信号灯器の近傍に設置され、又は前記車両用信号灯器の筐体に配置され、該車両用信号灯器の点灯が切換わるまでの時間の表示を行う時間表示部と、該時間表示部及び前記車両用信号灯器を含む信号灯器と接続し、前記時間表示部の表示処理を行う信号制御部とから構成され、該信号制御部は、前記信号灯器の点灯状態が設定された複数の階梯から成る現示テーブルに従って、前記信号灯器の点灯制御を繰り返し行う時間表示システムであって、
前記現示テーブルには、一方の前記車両用信号灯器が青点灯であり、他方の前記車両用信号灯器が赤点灯である1組の同一の階梯が含まれており、
前記1組の先の階梯である第1の階梯は、保持秒数が可変秒数であり、前記1組の後の階梯である第2の階梯は、保持秒数が固定秒数であり、
前記点灯制御が前記第1の階梯から前記第2の階梯に移行したときに、前記他方の前記車両用信号灯器の赤点灯が青点灯に切換わるまでの待ち時間を前記時間表示部に表示させ、前記青点灯に切換わるまで前記待ち時間を減算しながら表示させることを特徴とする時間表示システム。
【請求項3】
前記時間表示部は点灯が切換わるまでの時間の秒数を数字としてセグメント表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の時間表示システム。
【請求項4】
信号制御部には、前記交差点に設置された車両感知器と接続されており、
前記可変秒数は、点灯制御が前記第1の階梯の1つ前の階梯から前記第1の階梯に移行後に、前記車両感知器により計測した過去の計測データに基づいて設定されることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の時間表示システム。
【請求項5】
前記車両感知器は主道路に設置される第1の車両感知器と、主道路と交差する従道路に設置された第2の車両感知器から成り、
前記可変秒数は前記第1の車両感知器から計測される前記主道路の交通量及び平均車両速度と、前記第2の車両感知器から計測される前記従道路の交通量及び平均車両速度とに基づいて算出されることを特徴とする請求項4に記載の時間表示システム。
【請求項6】
前記可変秒数は、1秒から設定可能な最大秒数までの間で設定されることを特徴とする請求項4又は5に記載の時間表示システム。
【請求項7】
前記第2の階梯の保持秒数は、少なくとも歩行者が前記交差点の道路を安全に横断できる横断秒数以上の秒数が設定されていることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の時間表示システム。
【請求項8】
前記横断秒数は前記交差点の道路の道幅に応じて設定されていることを特徴とする請求項7に記載の時間表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車両に対して、信号灯器が切換わるまでの時間を表示する時間表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、青点灯から黄点灯に切換わるまでの残り時間をセグメントの表示によりカウントダウンを行う信号表示装置が開示されている。
【0003】
青、黄、赤点灯を行う信号灯器は、交差点に設置された信号制御装置により点灯制御がされており、この信号制御装置が記憶している図4に例示する現示テーブルT0に従って、信号灯器の点灯制御を行っている。
【0004】
現示テーブルT0は複数の階梯Kから構成されている。階梯K1では、例えば主道路の歩行者用の信号灯器L11及び車両用の信号灯器L12が青点灯、主道路と交差する従道路の歩行者用信号灯器L21及び車両用信号灯器L22が赤点灯を行う点灯制御が設定されている。
【0005】
また、階梯K2では、歩行者用信号灯器L11が青点滅、車両用信号灯器L12が青点灯、歩行者用信号灯器L21及び車両用信号灯器L22が赤点灯を行う点灯制御が設定されている。そして、最終の階梯Kである階梯K10では、全ての信号灯器Lが赤点灯を行う点灯制御が設定されている。
【0006】
それぞれの階梯K1~K10には、各点灯状態を保持する保持秒数が設定されており、階梯K1~K10までの保持秒数の合計秒数を1サイクルの秒数として、階梯K1~K10から成るサイクルを繰り返して、各信号灯器Lの点灯制御を行っている。
【0007】
特許文献1の信号表示装置は、図4に示す現示テーブルT0の階梯K1、K6に点灯制御の際に、青点灯で走行する走行車両に対して階梯K2、K7に切換わるまでの残り時間をカウントダウンで表示することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平4-87000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、交差点で収集される交通量に基づいて、随時、保持秒数が変動する点灯制御を行う交差点において、階梯K1、K6の点灯制御中に階梯K2、K7に切換わるまでの残り時間が確定しない場合がある。
【0010】
このような点灯制御を行う場合に、特許文献1の信号表示装置を表示されると、例えば残り10秒でカウントダウン表示している最中に、15秒後に切換わったり、カウントダウンの途中で打ち切られ、黄点灯に切換わったりすることが発生する。同様なことは、赤点灯で停止している待機車両に対して、赤点灯から青点灯に切り替わるまでの待ち時間を信号表示装置に表示させる場合も発生する。
【0011】
このように、信号表示装置の青点灯から黄点灯に切換わるまでの残り時間、又は赤点灯から青点灯に切換わるまでの待ち時間のカウントダウンが正確に行われないため、青点灯の残り時間を確認しながら走行している走行車両にとって、非常に危険な状態となる。
【0012】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、青点灯の保持秒数が変動する点灯制御を行う交差点であっても、青点灯で走行する走行車両又は赤点灯で停止している待機車両に対して、正確な青点灯の残り時間又は青点灯までの待ち時間を表示する時間表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る時間表示システムは、交差点の車両用信号灯器の近傍に設置され、又は前記車両用信号灯器の筐体に配置され、該車両用信号灯器の点灯が切換わるまでの時間の表示を行う時間表示部と、該時間表示部及び前記車両用信号灯器を含む信号灯器と接続し、前記時間表示部の表示処理を行う信号制御部とから構成され、該信号制御部は、前記信号灯器の点灯状態が設定された複数の階梯から成る現示テーブルに従って、前記信号灯器の点灯制御を繰り返し行う時間表示システムであって、前記現示テーブルには、一方の前記車両用信号灯器が青点灯であり、他方の前記車両用信号灯器が赤点灯である1組の同一の階梯が含まれており、前記1組の先の階梯である第1の階梯は、保持秒数が可変秒数であり、前記1組の後の階梯である第2の階梯は、保持秒数が固定秒数であり、前記点灯制御が前記第1の階梯から前記第2の階梯に移行したときに、前記一方の前記車両用信号灯器の青点灯が黄点灯に切換わるまでの青点灯の残り時間を前記時間表示部に表示させ、前記黄点灯に切換わるまで前記残り時間を減算しながら表示させることを特徴とする時間表示システムを特徴とする。
【0014】
本発明に係る時間表示システムは、交差点の車両用信号灯器の近傍に設置され、又は前記車両用信号灯器の筐体に配置され、該車両用信号灯器の点灯が切換わるまでの時間の表示を行う時間表示部と、該時間表示部及び前記車両用信号灯器を含む信号灯器と接続し、前記時間表示部の表示処理を行う信号制御部とから構成され、該信号制御部は、前記信号灯器の点灯状態が設定された複数の階梯から成る現示テーブルに従って、前記信号灯器の点灯制御を繰り返し行う時間表示システムであって、前記現示テーブルには、一方の前記車両用信号灯器が青点灯であり、他方の前記車両用信号灯器が赤点灯である1組の同一の階梯が含まれており、前記1組の先の階梯である第1の階梯は、保持秒数が可変秒数であり、前記1組の後の階梯である第2の階梯は、保持秒数が固定秒数であり、前記点灯制御が前記第1の階梯から前記第2の階梯に移行したときに、前記他方の前記車両用信号灯器の赤点灯が青点灯に切換わるまでの待ち時間を前記時間表示部に表示させ、前記青点灯に切換わるまで前記待ち時間を減算しながら表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る時間表示システムによれば、現示テーブルに車両用信号灯器が青点灯である点灯状態で同一の第1の階梯及び第2の階梯を設け、第1の階梯の保持秒数を可変秒数、第2の階梯の保持秒数を固定秒数で設定することで、青点灯の保持秒数が変動する点灯制御を行う交差点であっても、点灯制御が第1の階梯から第2の階梯に移行後からは、車両用信号灯器の黄点灯に切換わるまでの青点灯の正確な残り時間を、青点灯で走行する走行車両に対して提供することが可能である。また、車両用信号灯器の青点灯に切換わるまでの赤信号の正確な待ち時間を、赤点灯で待機する待機車両に対して提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】時間表示システムのブロックである。
図2】交差点における時間表示システムの配置図である。
図3】時間表示システムに記憶される現示テーブルの一例である。
図4】従来の信号制御装置に記憶される現示テーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の時間表示システムを図1図3に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は時間表示システムのブロック図であり、図2は主道路S10と、主道路S10と交差する従道路S20とが交差する交差点Cにおける時間表示システムの配置図である。
【0019】
時間表示システムは、道路Sに設置された信号灯器L及び車両感知器Dと、青点灯の残り時間又は青点灯までの待ち時間の表示を行う時間表示部10、20と、これらの信号灯器L、車両感知器D、及び時間表示部10、20に接続した信号制御部30とから構成されている。なお、時間表示システムは、少なくとも1道路用の時間表示部10と、信号制御部30とを備えていればよい。
【0020】
交差点に設置される信号灯器Lは、主道路S10に設置された歩行者用信号灯器L11及び車両用信号灯器L12と、従道路S20に設置された歩行者用信号灯器L21及び車両用信号灯器L22とから構成されている。
【0021】
車両用信号灯器L12、L22の近傍には、それぞれ時間表示部10、20が設置されており、これらの時間表示部10、20には、車両用信号灯器L12、L22の青点灯から黄点灯に切換わるまでの残り時間、及び赤点灯から青点灯に切換わるまでの待ち時間の秒数が数字としてセグメント表示される。
【0022】
なお、図1に図示するように、時間表示部10、20は車両用信号灯器L12、L22の近傍である下側に設置しているが、車両用信号灯器L12、L22の赤点灯時に青点灯の箇所にセグメント表示させてもよく、つまり時間表示部10、20を車両用信号灯器L12、L22の筐体に配置してもよい。
【0023】
なお、切換わるまでの時間を減算しながら表示する時間表示部10、20の表示形態は、数字によるセグメント表示以外に、砂時計式の表示形態等を採用することもできる。この砂時計式の表示形態は、縦又は横方向に複数の点灯窓を配置し、これらの全ての点灯窓を点灯させた後に、時間経過と共に片端の点灯窓から順次に等時間間隔で消灯してゆく。
【0024】
車両感知器Dには、例えば超音波式車両感知器が用いられ、道路上の所定の高さから路面に向けて超音波を出射し、反射時間を測定することで、車両の通過及び車両速度を計測することができる。交差点Cに設置された車両感知器Dは、主道路S10に設置された、一方向車線の車両を感知する車両感知器D11及び反対方向車線の車両を感知する車両感知器D12と、従道路S20に設置された、一方向車線の車両を感知する車両感知器D21及び反対方向車線の車両を感知する車両感知器D22とから構成されている。
【0025】
交差点Cの近傍の支柱等に設置された信号制御部30は、制御処理部31と、この制御処理部31と接続し、信号灯器Lの現示テーブルTや車両感知器Dの計測に基づく交通量等を記憶する記憶部32とから構成されている。制御処理部31には交差点Cの設置された全ての信号灯器L、時間表示部10、20、車両感知器Dが接続されており、これらの表示処理や計測処理等の各種の制御処理を行っている。
【0026】
また、時間表示部10、20の表示処理を行う制御は、上述のように信号制御部30で行う以外に、車両用信号灯器L12、L22の各筐体内に設けた、図示しない第1の信号制御部で行うようにしてもよい。このような場合は、第2の信号制御部となる信号制御部30により時間表示部10、20以外の機器に対しての制御処理が行われる。
【0027】
図3は記憶部32に記憶されている現示テーブルTの1例であり、階梯K1~K12から成る現示テーブルTに従って、主道路S10及び従道路S20に配置された各信号灯器Lの点灯制御を繰り返し行っている。
【0028】
制御処理部31は車両感知器Dから収集される交通量に基づいて、階梯K1、K7の保持秒数が可変秒数a、bとして変動する変動制御モードと、全ての階梯Kの保持秒数が固定値である固定制御モードを切換えることが可能である。更には、現示テーブルTの制御モード及び保持秒数の固定値等を、時間帯や曜日等に応じて適宜に設定することも可能である。
【0029】
また、図示しない交通管制センター等と通信網を介して接続した状態であるオンラインモードと、単独で運用するオフラインモードとで、切換えて点灯制御も行うこともできる。
【0030】
固定制御モードで運用する1サイクルが10階梯から成る従来の現示テーブルT0に比べて、図3に示す現示テーブルTは、現示テーブルT0の階梯K1が階梯K1及びK2に分割され、従来の現示テーブルT0の階梯K6が階梯K7及びK8に分割されている。
【0031】
一方の車両用信号灯器L12が青点灯であり、他方の車両用信号灯器L22が赤点灯である階梯K1、K2及び一方の車両用信号灯器L22が青点灯であり、他方の車両用信号灯器L12が赤点灯である階梯K7、K8は、同一の点灯状態の階梯であり、これらの1組の先の階梯である第1の階梯K1、K7の保持秒数が可変秒数a、bであるのに対して、1組の後の階梯である第2の階梯K2、K8の保持秒数は、固定秒数としている。なお、階梯K1、K7以外の各階梯Kの保持秒数も図3に示す通り、固定秒数としている。
【0032】
可変秒数a、bは、1秒から設定可能な最大秒数までの間で点灯時間が保持されることになり、点灯制御が階梯K1、K7の1つ前の階梯である階梯K12、K6から階梯K1、K7に移行後に、車両感知器Dにより計測した前サイクルや過去の数サイクル分の過去の計測データに基づいて設定される。
【0033】
可変秒数a、bは、車両感知器D11、D12から計測される主道路S10の交通量及び平均車両速度と、車両感知器D21、D22から計測される従道路S20の交通量及び平均車両速度とに基づいて算出される。例えば、主道路S10の交通量が従道路S20の交通量に比べて多く、主道路S10の方が平均車両速度が低い場合には、可変秒数aが可変秒数bよりも長く設定される。
【0034】
また、主道路S10が渋滞中であり、従道路S20に殆ど走行車両が存在しない場合には、可変秒数aが設定可能な最大秒数、可変秒数bが1秒に設定されることになる。このような現示テーブルTを繰り返すことで、主道路S10の渋滞が解消し、解消に伴い可変秒数a、bも変動してゆく。
【0035】
また、これらの可変秒数a、bの設定は、図1に示すように交差点Cの信号制御部30に接続された車両感知器D11、D12、D21、D22の交通量等に基づいて算出されているが、隣接する隣接交差点Cnの車両感知器D11、D12、D21、D22に接続した隣接交差点Cnの隣接信号制御部30nによって算出された可変秒数a、bを、接続する信号制御部30で利用することも可能である。このような場合は、交差点Cにおいて必ずしも車両感知器D11、D12、D21、D22の設置が必要ではない。
【0036】
なお、1サイクルの最大設定可能秒数は予め決まっており、この最大設定可能秒数から各階梯Kの固定秒数を差し引いた秒数内で、可変秒数a、bが算出される。
【0037】
固定秒数である階梯K2及び階梯K8の保持秒数は、少なくとも歩行者が交差点Kの道路Sを安全に横断できる横断秒数以上の秒数が設定されている。この横断秒数は交差点Kの道路Sの道幅に応じて設定されており、例えば主道路S10の道幅が10mの横断歩道を有する交差点Cであれば、階梯K2の保持秒数は10秒と設定される。
【0038】
これらの階梯K2及び階梯K8の保持秒数は、上述のように可変秒数a、bが1秒に設定された場合であっても、歩行者が安全に横断できる秒数を確保するために設定されており、横断秒数以上であれば、適宜の秒数を設定することもできる。
【0039】
車両用信号灯器L12が青点灯である階梯K1の保持秒数、つまり可変秒数aは可変であるため、階梯K1の点灯状態のときは、主道路S10の走行車両に対して、時間表示部10を介して青点灯の残り時間を行わない。そして、点灯制御が階梯K1から階梯K2に移行したときに、黄点灯に切換わるまでの青点灯の残り時間を、つまり階梯K2~K4の合計値の秒数を時間表示部10に表示させ、以後0秒になるまで1秒毎にカウントダウン表示を行う。
【0040】
同様に、車両用信号灯器L22が赤点灯である階梯K1も可変秒数aであるので、階梯K1の点灯状態のときは、従道路S20の待機車両に対して、時間表示部20を介して青点灯までの待ち時間を行わない。そして、点灯制御が階梯K1から階梯K2に移行したときに、青点灯に切換わるまでの待ち時間を、つまり階梯K2~K6の合計値の秒数を時間表示部20に表示させ、以後0秒になるまで1秒毎にカウントダウン表示を行う。
【0041】
図3に示す現示テーブルTに基づく点灯制御では、階梯K2に移行時に時間表示部10において16秒からカウントダウンの表示を開始し、車両用信号灯器L12が黄点灯に切換わるまでの16秒のカウントダウンを行った後に、点灯制御は階梯K5に移行し、車両用信号灯器L12が黄点灯となると共に、時間表示部10の表示処理は終了する。
【0042】
同様に、階梯K2に移行時に時間表示部20において20秒からカウントダウンの表示を開始し、車両用信号灯器L12が青点灯に切換わるまでの20秒のカウントダウンを行った後に、点灯制御は階梯K7に移行し、車両用信号灯器L22が青点灯となると共に、時間表示部20の表示処理は終了する。
【0043】
このような表示処理は、階梯K8~K12の時間表示部20における従道路S20の青点灯の残り時間表示、時間表示部10における主道路S10の青点灯までの待ち時間表示に対しても行われる。点灯制御が階梯K7から階梯K8に移行したときに、階梯K8~K10の合計値の秒数を時間表示部20に表示させて、車両用信号灯器L22が黄点灯に切換わるまでカウントダウン表示、点灯制御が階梯K7から階梯K8に移行したときに、階梯K8~K12の合計値の秒数を時間表示部10に表示させて、車両用信号灯器L12が青点灯に切換わるまでカウントダウン表示を行うことになる。
【0044】
図3に示す現示テーブルTに基づく点灯制御では、時間表示部10、20において青点灯の残り時間表示と青点灯までの待ち時間表示とを交互を表示させる表示制御を説明したが、青点灯の残り時間表示のみ又は青点灯までの待ち時間表示のみを時間表示部10、20に表示させる表示制御を行ってもよい。
【0045】
このように、本発明に係る時間表示システムによれば、現示テーブルTに車両用信号灯器L12が青点灯及び車両用信号灯器L22が赤点灯であり、点灯状態で同一の第1の階梯K1、K7、及び車両用信号灯器L12が赤点灯及び車両用信号灯器L22が青点灯であり、点灯状態で同一の第2の階梯K2、K8を設け、第1の階梯K1、K7の保持秒数を可変秒数、第2の階梯K2、K8の保持秒数を固定秒数で設定することで、保持秒数が変動する点灯制御を行う交差点Cであっても、点灯制御が第1の階梯K1、K7から第2の階梯K2、K8に移行後からは、車両用信号灯器L12又は車両用信号灯器L22の黄点灯に切換わるまでの青点灯の正確な残り時間を、青点灯で走行する走行車両に対して提供することが可能である。走行車両のドライバは、青点灯の残り時間に合わせて、交差点前で余裕をもって減速することが可能となり、急ブレーキによる追突等の交通事故を防止することができる。
【0046】
同様に、点灯制御が第1の階梯K1、K7から第2の階梯K2、K8に移行後からは、車両用信号灯器L22又は車両用信号灯器L12の青点灯に切換わるまでの赤信号の正確な待ち時間を、赤点灯で待機する待機車両に対して提供することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10、20 時間表示部
30 信号制御部
a、b 可変秒数
C 交差点
D、D11、D12、D21、D22 車両感知器
K1 第1の階梯
K2 第2の階梯
L 信号灯器
L11、L21 歩行者用信号灯器
L12、L22 車両用信号灯器
S10 主道路
S20 従道路
T 現示テーブル
図1
図2
図3
図4