(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023028989
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】エアモビリティ用ポート
(51)【国際特許分類】
E04H 6/44 20060101AFI20230224BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20230224BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
E04H6/44
B64C27/04
B64F1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135023
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】小林 克年
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌道
(57)【要約】
【課題】ダウンウォッシュの影響を抑制し、物流向けや人が乗り込めるような重量の複数のエアモビリティが、省スペースのポートに安定離着陸が可能なエアモビリティ用ポートを実現する。
【解決手段】エアモビリティ用ポート100は、回転翼により飛行する航空機1、4の複数の離発着領域100a、100b、100c、100dと、複数の離発着領域100a、100b、100c、100dのそれぞれに設置され、航空機1、4からのダウンウォッシュによる空気流を抑制する複数の仕切り壁8、9、10、11と、を備え。複数の離発着領域100a、100b、100c、100dのそれぞれの複数の仕切り壁8、9、10、11は、互いに空隙12、13を介して配置され、互いに隣接する離発着領域100a、100b、100c、100dは、仕切り壁8、9、10、11または空隙12、13を介して互いに対向して配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼により飛行する航空機の複数の離発着領域と、
複数の前記離発着領域のそれぞれに設置され、前記航空機からのダウンウォッシュによる空気流を抑制する複数の仕切り壁と、
を備え、
前記複数の前記離発着領域のそれぞれの前記複数の仕切り壁は、互いに空隙を介して配置され、互いに隣接する前記離発着領域は、前記仕切り壁または前記空隙を介して互いに対向して配置されることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項2】
請求項1に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記複数の前記仕切り壁のそれぞれに設置され、前記仕切り壁の設置角を変える設置角変更機構と、
前記設置角変更機構を制御し、前記航空機の離発着の運行状況に応じて、前記仕切り壁の設置角を変えさせる制御部と、
をさらに備えることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項3】
請求項1に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記仕切り壁の両側面の中間部は、前記仕切り壁の側面から吐出する形状となっていることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項4】
請求項1に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記仕切り壁の上端に水平方向に延びる壁が形成されていることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項5】
請求項1に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記仕切り壁の上端に水平方向に延び、下面部がR形状の壁が形成されていることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項6】
請求項1に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記複数の前記離発着領域の前記空隙から流れる水平方向の空気流が上昇気流となって流れるダクトを備えることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項7】
請求項6に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記ダクトには、前記複数の前記離発着領域のうちの互いに隣接する前記離発着領域の前記空隙が互いに対向し、互いに反対方向から流れる前記水平方向の空気流によって発生する上昇気流が流れることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項8】
請求項1に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記仕切り壁によって前記空隙から流れ出た前記ダウンウォッシュによる空気流の運動エネルギを電気エネルギに変えるタービン発電機を備えることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項9】
請求項4に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記ダクト内に配置され、空気流の運動エネルギを電気エネルギに変えるタービン発電機を備えることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【請求項10】
請求項1に記載のエアモビリティ用ポートにおいて、
前記複数の離発着領域のそれぞれを上方から見て四辺形状とし、それぞれの前記離発着場の前記仕切り壁は、垂直方向に延び、水平方向の長さが前記四辺形の一辺より短く、互いに隣接する仕切り壁の間に前記空隙が形成されていることを特徴とするエアモビリティ用ポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアモビリティ用のポートに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリコプターに代表されるような航空機、物流向けや人が乗り込めるエアモビリティ向けとして開発が進んでいるeVTOL(電動垂直離着陸機)と呼ばれる航空機など、回転翼により飛行する航空機が考えられている。
【0003】
上記のような航空機の離陸時及び着陸時において、気流が地面に吹き付けるダウンウォッシュと呼ばれる流れが発生する。このダウンウォッシュは航空機の安定離陸または安定着陸の妨げになる。
【0004】
少子高齢化による物流ドライバー不足や都市部などでの渋滞解消の要求から、eVTOLに対する期待は高まっており、更にeVTOLの稼働率向上が重要になることから、複数の航空機が限られた省スペースの単一ポートに離発着することが想定される。
【0005】
そのため、ある航空機から発生したダウンウォッシュが別の航空機に影響して、ポート内の全ての航空機が安定して離発着することが困難になることが想定される。
【0006】
特許文献1には、ドローンの回転翼により発生するダウンウォッシュのはね返りを低減する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術は、ドローンの離着陸面に複数の排気開口を形成し、その下方に空気の流れの向きを水平方向に変える転向装置を設け、外部に排気する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術は、ドローンのような小型軽量の飛行体の離着陸に対しては、有効な技術である。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、物流向けや人が乗り込めるようなエアモビリティに対しては適用が困難である。つまり、エアモビリティの離着陸面に複数の排気孔を設ける構成では、物流向けや人が乗り込めるような重量のエアモビリティに対しては、耐久性等の観点から適用することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、ダウンウォッシュの影響を抑制し、物流向けや人が乗り込めるような重量の複数のエアモビリティが、省スペースのポートに安定離着陸が可能なエアモビリティ用ポートを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成される。
【0012】
エアモビリティ用ポートにおいて、回転翼により飛行する航空機の複数の離発着領域と、複数の前記離発着領域のそれぞれに設置され、前記航空機からのダウンウォッシュによる空気流を抑制する複数の仕切り壁と、を備え、前記複数の前記離発着領域のそれぞれの前記複数の仕切り壁は、互いに空隙を介して配置され、互いに隣接する前記離発着領域は、前記仕切り壁または前記空隙を介して互いに対向して配置される。
【発明の効果】
【0013】
ダウンウォッシュの影響を抑制し、物流向けや人が乗り込めるような重量の複数のエアモビリティが、省スペースのポートに安定離着陸が可能なエアモビリティ用ポートを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】エアモビリティ用の単一のポートに複数の航空機(エアモビリティ)が離発着する様子を示す図である。
【
図2】
図1に示した航空機離発着用のポートを上方から見た図である。
【
図3】本発明の実施例2に係わる仕切り壁を示す図である。
【
図4】回転できる仕切り壁を設置したポートを上から見た様子を示す図である。
【
図5】本発明の実施例3に係わる仕切り壁を示す図である。
【
図6】仕切り壁を備えたポートを上から見た様子を示す図である。
【
図7】本発明の実施例4に係わる仕切り壁を示す図である。
【
図8】本発明の実施例5に係わる仕切り壁を示す図である。
【
図9】本発明の実施例6に係わるダクトを示す図である。
【
図10】本発明の実施例7に係わる仕切り壁等の空隙にタービン発電機を設置したポートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【実施例0016】
(実施例1)
図1は、エアモビリティ用の単一のポート100に複数の航空機(エアモビリティ)1及び4が離発着する様子を示す図である。航空機1及び4は図示するように回転翼により飛行する航空機である。
【0017】
図1において、航空機1及び4の2機が隣り合わせで離発着する状態である。航空機1と航空機4がポート100に着陸する時、それぞれの航空機1及び4からダウンウォッシュ2、ダウンウォッシュ5が発生する。これらのダウンウォッシュ2及び5は、ポート100の地面に衝突した後、水平方向に向きを変え、水平気流3、水平気流6となる。
【0018】
ここで、航空機1の離発着領域と航空機4の離発着領域の間に仕切り壁7を設置する。これにより、それぞれの航空機1及び4から発生した水平気流3及び6が隣の離発着領域に行かないため、それぞれの航空機1及び4がダウンウォッシュ2及び5に乱されることなく安定して着陸できる。
【0019】
しかしながら、離発着領域を仕切り壁7で完全に囲ってしまうと、ダウンウォッシュ2及び5によって断面が矩形の仕切り壁7と仕切り壁7とで形成される空間内の圧力が上昇し、逆に航空機1及び4が着陸することが困難となるという問題が発生する。そのため、仕切り壁7で離発着領域を完全に囲むことはできず、仕切り壁7には空隙を設ける必要がある。
【0020】
図2は、
図1に示した航空機離発着用のポート100を上方から見た図である。
図2において、ポート100のエアモビリティ1、4等の複数の離発着領域を仕切り壁7で完全に囲むことができないため、航空機1の仕切り壁8と9の間に空隙12を設け、航空機4の仕切り壁10と11の間に空隙13を設け、この空隙12と空隙13をお互いに対向するように設置する。こうすることでダウンウォッシュの水平気流(水平空気流)が、空隙12と空隙13の間にできる空間14で衝突し相殺される。これにより、ダウンウォッシュが航空機1及び4の離発着領域に侵入することを防ぐことができ、航空機1及び4の安定した離発着が実現できる。
【0021】
図2に示したポート100においては、複数の離発着領域100a、100b、100c、100dのそれぞれを上方から見て四辺形状とし、それぞれの辺に垂直方向に延び、水平方向の長さが四辺形の一辺より短い仕切り壁8、9、10、11を形成し、互いに隣接する仕切り壁8と9、10と11の間には、空隙12、13が形成されている。
【0022】
図2に示した離発着領域100a及び100bを例にして説明すると、離発着領域100a及び100bのそれぞれを上方から見て四辺形状とし、それぞれの辺に垂直方向に延び、水平方向の長さが四辺形の一辺より短い仕切り壁8、8a、9、9a、10、10a、11、11aを形成し、互いに隣接する仕切り壁の間((仕切り壁8と9の間、仕切り壁8と9aの間、仕切り壁8aと9aの間、仕切り壁8aと9の間)、(仕切り壁11aと10aの間、仕切り壁11aと10の間、仕切り壁11と10の間、仕切り壁11と10a))には、空隙が形成されている。
【0023】
また、
図2に示した離発着領域100a、100b及び100cの配置関係は、離発着領域100aを基準とすると、離発着領域100aは、他の離発着領域100b、他の離発着場100c及び他の離発着領域100dと互いに隣接し、他の離発着領域100cとは、仕切り壁8を介して互いに隣接し、他の離発着領域100dとは、仕切り壁9を介して互いに隣接し、他の離発着領域100bとは、空隙12及び13を介して互いに隣接している。
【0024】
離発着領域100bを基準とした場合は、離発着領域100bは、他の離発着領域100a、他の離発着領域100c及び他の離発着領域100dと互いに隣接し、他の離発着領域100cとは、仕切り壁10を介して互いに隣接し、他の離発着領域100dとは、仕切り壁11を介して互いに隣接し、他の離発着領域100aとは、空隙12及び13を介して互いに隣接している。
【0025】
離発着領域100cを基準とした場合は、離発着領域100cは、他の離発着領域100a、他の離発着領域100b及び他の離発着領域100dと互いに隣接し、他の離発着領域100aとは、仕切り壁8を介して互いに隣接し、他の離発着領域100bとは、仕切り壁10を介して互いに隣接し、他の離発着領域100dとは、仕切り壁8と10と間の空隙12及び仕切り壁9と11との間の空隙を介して互いに隣接している。
【0026】
図2は示していないが、
図2の下部にさらに、複数の離発着領域が形成される場合も、離発着領域の配置関係は、上述した離発着領域100a、100b、100c及び100dの配置関係と同様となる。
【0027】
これによって、航空機1のダウンウォッシュによる水平気流のうち、仕切り壁8、8a、9及び9aに向かう気流は、方向を変えて仕切り壁の間に形成された空隙14に向かう。そして、航空機1のダウンウォッシュによる水平気流のうち空隙14に向かう気流と合流し合流気流を形成する。
【0028】
航空機4のダウンウォッシュによる水平気流のうち、仕切り壁10、10a、11及び11aに向かう気流は、方向を変えて仕切り壁の間に形成された空隙14に向かう。そして、航空機4のダウンウォッシュによる水平気流のうち空隙14に向かう気流と合流し合流気流を形成する。
【0029】
航空機1からの上記合流気流と航空機4からの上記合流気流は、空間14において相殺され、ダウンウォッシュが航空機1及び4の離発着領域に侵入することを防ぐことができる。
【0030】
離発着領域100cに航空機が離発着する場合も、他の航空機からの気流と相殺されることにより、ダウンウォッシュが航空機1及び4の離発着領域に侵入することを防ぐことができる。
【0031】
実施例1によれば、ダウンウォッシュの影響を抑制し、物流向けや人が乗り込めるような重量の複数のエアモビリティが、省スペースのポートに安定離着陸が可能なエアモビリティ用ポートを実現することができる。
【0032】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0033】
図3は、本発明の実施例2に係わる仕切り壁17を示す図である。仕切り壁17には、この仕切り壁17の設置角を変えるための設置角変更機構15が配置されている。
【0034】
この設置角変更機構15は、離発着領域に設置され、仕切り壁17を周方向に自由自在に回転することができる。
【0035】
図4は、回転できる仕切り壁16~19を設置したポート200を上から見た様子を示す図である。
図2に示したポート100と
図4に示したポート200との相違点は、
図4に示した例は、仕切り壁16~19のそれぞれに設置角変更機構15が備えられている点であり、その他の点は、後述する管制塔33及び制御部34を除いて、
図2の例と
図4の例は同様な構成となっている。
【0036】
図4は、航空機1と航空機4の2機が離発着する様子を示しており、この場合、航空機1、4から発生するダウンウォッシュの水平気流が隣接する離発着領域に侵入するのを積極的に防ぐため、仕切り壁16、17及び仕切り壁18、19をそれぞれがなす空隙が狭くなるように回転させる。
【0037】
制御部34は、隣接する複数の航空機1及び4の離発着の状況に応じて、それぞれの仕切り壁16~19がなす空隙が狭くなるように仕切り壁16~19の設置角を制御する。
【0038】
航空機1と航空機4の離発着における飛行移動制御は、管制塔33から各航空機1及び4に送信される制御指令により行われる。この管制塔33に制御部34が備えられ、制御部34は、離発着領域の周りの複数の航空機1及び4の離発着の状況(運行状況)に応じて、発生するダウンウォッシュの影響を効率よく相殺するために、それぞれの仕切り壁16~19がなす空隙が狭くなるように設置角変更機構15を制御して仕切り壁16~19の設置角を変更させる。
【0039】
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を得ることができる他、離発着領域の周りの複数の航空機の離発着の状況に応じて、発生するダウンウォッシュを効率よく相殺することができる。
【0040】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について説明する。
【0041】
図5は、本発明の実施例3に係わる仕切り壁20を示す図である。実施例1及び2で説明した仕切り壁7~11、17~19の断面形状は矩形であるが、実施例3における仕切り壁20の両側面の中間部は、仕切り壁20の側面から盛り上がって吐出する形状となっている。すなわち、仕切り壁20の中央部がR形状の壁21となっている。
図6は、仕切り壁20を備えたポート300を上から見た様子を示す図である。仕切り壁20の中央がR形状となっているためダウンウォッシュの水平気流が、そのR形状の壁面に沿って流れ、空隙12により集められやすくなり、発生するダウンウォッシュの影響を効率よく相殺することができる。
【0042】
実施例3によれば、実施例1と同様な効果が得られる他、発生するダウンウォッシュの影響を効率よく相殺することができる。
【0043】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について説明する。
【0044】
図7は、本発明の実施例4に係わる仕切り壁22を示す図である。仕切り壁22の上端に、仕切り壁22の長手方向であって、水平方向に延びる壁22aが形成されている。離発着領域で発生したダウンウォッシュは地面に衝突した後、水平方向に流れを変え、その後、仕切り壁22に衝突する。その際、仕切り壁22の垂直方向に流れ、上端を乗り越えて、隣接する別の離発着領域に漏れ流れることが考えられる。
【0045】
図7に示すように、仕切り壁22の上端に水平方向に延びる壁22aを設置することで、この漏れ流れを防ぐことができる。
【0046】
仕切り壁22の形状以外の他の構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0047】
実施例4によれば、実施例1と同様な効果が得られる他、発生するダウンウォッシュが仕切り壁22を垂直方向に流れて、隣接する別の離発着領域に漏れ流れることを抑制することができる。
【0048】
(実施例5)
次に、本発明の実施例5について説明する。
【0049】
図8は、本発明の実施例5に係わる仕切り壁23を示す図である。仕切り壁23の上端に、仕切り壁23の長手方向であって、水平方向に延びる壁23aを追加し、さらに壁23aの下面部をR形状とする。つまり、仕切り壁23の上端に水平方向に延び、下面部がR形状の壁23aが形成されている。
【0050】
これにより、実施例5による仕切り壁23は、実施例4における仕切り壁22に比較して、仕切り壁23の上端を乗り越えて隣接する離発着領域へ漏れ流れるダウンウォッシュを、更に抑制することができる。
【0051】
仕切り壁23の形状以外の他の構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0052】
実施例5によれば、実施例1と同様な効果が得られる他、発生するダウンウォッシュが仕切り壁23を垂直方向に流れて、隣接する別の離発着領域に漏れ流れることを効率よく抑制することができる。
【0053】
(実施例6)
次に、本発明の実施例5について説明する。
【0054】
図9は、本発明の実施例6に係わるダクト24を示す図である。
図9において、ダクト24は、対向する空隙同士の間に鉛直方向に延びて設置されている。
【0055】
図9において、隣り合う離発着領域で発生したダウンウォッシュの水平気流25及び26は、対向する空隙同士の間にある空間27で衝突し上昇気流28になる。ここで、空間27の上に鉛直方向に延びたダクト24を設置する。このダクト24を設置することで上昇気流28がダクト24内を流れ、上昇気流29となって、航空機の離発着領域から離れた上空へと流れていく。つまり、
図2に示した例であれば、ダクト24には、空隙12及び13を介して互いに隣接する離発着領域100a及び100bの、互いに反対方向から流れる水平方向の空気流によって発生する上昇気流が流れる。
【0056】
ダクト24が設置されていない場合は、上昇気流28が乱流となって、水平方向に流れる空気流が発生する可能性がある。
【0057】
ダクト24が、ポート100、200及び300に形成された複数の空間27のそれぞれの上方に配置されることにより、上昇気流28が乱流となって、水平方向に流れる空気流の発生を抑制することができる。
【0058】
ダクト24以外の他の構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0059】
実施例6によれば、実施例1と同様な効果が得られる他、上昇気流28が乱流となって、水平方向に流れる空気流の発生を抑制することができる。
【0060】
(実施例7)
次に、本発明の実施例7について説明する。
【0061】
図10は、本発明の実施例7に係わる仕切り壁7等の空隙31及び32にタービン発電機30を設置したポート400の例を示す図である。
【0062】
ポート400におけるそれぞれの離発着領域で発生したダウンウォッシュの水平気流は、仕切り壁7等によって空隙31、32に集積される。この時、各空隙31及び32にタービン発電機30を設置することでダウンウォッシュの運動エネルギを電気にエネルギに変換することができる。つまり、タービン発電機30は、仕切り壁8及び9によって空隙から流れ出たダウンウォッシュによる空気流の運動エネルギを電気エネルギに変える。
【0063】
これにより、ダウンウォッシュのエネルギを減衰できるだけでなく、発電も同時に行うことができる。発電した電力は、ポート400の機器に使用することや、充電装置に充電し、非常時に使用することが可能である。
【0064】
ダービン発電機30以外の他の構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0065】
実施例7によれば、実施例1と同様な効果が得られる他、ダウンウォッシュのエネルギを電気エネルギに変換することができる。
【0066】
(実施例8)
次に、本発明の実施例8について説明する。
【0067】
本発明の実施例8は、実施例7におけるタービン発電機30を実施例6におけるダクト24の中に設置する例である。
【0068】
ダクト24内は、閉空間であるため、ダクト24内で集積されたダウンウォッシュが一様な上昇気流となっている。そのため、実施例7に記載の空隙31及び32にタービン発電機30を設置した場合よりも、ダクト24内にタービン発電機30を設置する例の方が、より効率的に運動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
【0069】
ダクト24は
図9に示した例と同様であり、ダービン発電機30は
図10に示した例と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。また、その他の構成は、実施例1と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0070】
実施例8によれば、実施例1と同様な効果が得られる他、実施例7と比較してより効率的に運動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
【0071】
なお、
図2に示したポート100は、複数の離発着領域のそれぞれを上方から見て四辺形状としたが、四辺形以外の多角形でもよい。ただし、多角形を形成するそれぞれの辺に垂直方向に延び、水平方向の長さが多角形の一辺より短い仕切り壁を形成し、互いに隣接する仕切り壁の間には、空隙が形成されていることが条件である。
1、4・・・航空機(エアモビリティ)、2、5・・・ダウンウォッシュ、3、6、25、26・・・水平気流、7、8、9、10、11、16、17、18、19、20、22、23・・・仕切り壁、12、13、31、32・・・空隙、14、27・・・空間、15・・・設置角変更機構、21・・・R形状の壁面、22a、23a・・・水平方向に延びる壁、24・・・ダクト、28、29・・・上昇気流、30・・・タービン発電機、33・・・管制塔、34・・・制御部、100、200、300、400・・・ポート、100a、100b、100c、100d・・・離発着領域