(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029008
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20230224BHJP
F24F 11/84 20180101ALI20230224BHJP
F25B 41/20 20210101ALI20230224BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/84
F25B41/20 Z
F25B49/02 520M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135056
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長井 雅章
(72)【発明者】
【氏名】鶸田 晃
(72)【発明者】
【氏名】丸本 一彦
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA38
3L260BA52
3L260BA55
3L260CA17
3L260FB08
(57)【要約】
【課題】本開示は、経年劣化による性能劣化を抑制し、誤検知することなく冷媒漏洩を検出することができ、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることのできる空気調和装置を提供する。
【解決手段】室内機10が有する室内熱交換器14と、室外機30が有する室外熱交換器、圧縮機、絞り装置とを、冷媒配管を介して接続し、冷媒として可燃性冷媒を用いた空気調和装置において、冷媒の漏洩を検出する第1冷媒検出センサ40と第2冷媒検出センサとを備え、第2冷媒検出センサには、第2冷媒検出センサ41のセンサ部への外気を遮断する外気遮断装置45と、外気遮断装置45による外気の遮断を解除する解除機構48と、が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機が有する室内熱交換器と、室外機が有する室外熱交換器、圧縮機、絞り装置とを、冷媒配管を介して接続し、冷媒として可燃性冷媒を用いた空気調和装置において、
冷媒の漏洩を検出する第1冷媒検出センサと第2冷媒検出センサとを備え、
前記第2冷媒検出センサには、前記第2冷媒検出センサのセンサ部への外気を遮断する外気遮断装置と、前記外気遮断装置による外気の遮断を解除する解除機構と、が設けられている、
空気調和装置。
【請求項2】
前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサとは、同一箇所に設置されている、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第1冷媒検出センサは、前記室内機と前記室外機との前記冷媒配管の接続箇所近傍に設置され、前記第2冷媒検出センサは、前記室内熱交換器のベンド位置近傍に設置される、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第1冷媒検出センサおよび前記第2冷媒検出センサのセンサ出力が入力される制御部を備え、
前記制御部は、第1冷媒検出センサが冷媒漏洩を検出して発報を行うセンサ出力より低い値に劣化判断用しきい値を設定し、前記第1冷媒検出センサが24時間以上、劣化判断用しきい値を超えていると判断した場合に、前記解除機構を動作させて外気遮断装置を除去させ、前記第2冷媒検出センサを用いた冷媒漏洩の監視に切り換える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御部は、タイマを備え、
前記制御部は、前記タイマにより前記第1冷媒検出センサの駆動時間をカウントし、前記第1冷媒検出センサの駆動時間が所定時間を経過したと判断した場合、前記解除機構を動作させて外気遮断装置を除去させ、前記第2冷媒検出センサを用いた冷媒漏洩の監視に切り換える、
請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記外気遮断装置は、その内部に防湿材備えている、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記外気遮断装置は、光および熱も遮断する材料で形成されている、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1冷媒検出センサおよび前記第2冷媒検出センサのいずれもが劣化したと判断し、継続した使用が不可となった場合、前記室内機への冷媒配管に設けられた冷媒遮断弁を閉動作させるように制御する。
請求項4に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、冷媒の濃度を検知する検出センサを備える空気調和装置として、可燃性冷媒の漏洩を検知する冷媒検出センサを同一箇所に複数備えた構成が記載されている。これにより、寿命が比較的短い2つの検知センサの一方が用いられ、もう一方の冷媒検出センサが故障した場合に他方が用いられることで、長寿命化が図られていた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、経年劣化による性能劣化を抑制し、誤検知することなく冷媒漏洩を検出することができ、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることのできる空気調和装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本開示の空気調和装置は、室内機が有する室内熱交換器と、室外機が有する室外熱交換器、圧縮機、絞り装置とを、冷媒配管を介して接続し、冷媒として可燃性冷媒を用いた空気調和装置において、冷媒の漏洩を検出する第1冷媒検出センサと第2冷媒検出センサとを備え、前記第2冷媒検出センサには、前記第2冷媒検出センサのセンサ部への外気を遮断する外気遮断装置と、前記外気遮断装置による外気の遮断を解除する解除機構と、が設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、第1冷媒検出センサを動作させている間、外気遮断装置により外気を遮断することで、第2冷媒検出センサの経年劣化を抑制することができる。そのため、第2冷媒検出センサを動作させる際に経年劣化による誤検知なく冷媒漏洩を検出することができ、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和装置の実施の形態を示す室内機の側断面図
【
図2】実施の形態1の冷媒検出センサの概略を示す構成図
【
図4】実施の形態1の冷媒検出センサの劣化判定の例を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、可燃性冷媒の漏洩を検知する冷媒検出センサを同一箇所に複数備え、寿命が比較的短い2つの検知センサの一方が用いられ、もう一方の冷媒検出センサが故障した場合に他方が用いられることで、長寿命化を図る技術があった。
【0009】
しかしながら、従来の技術では、半導体式の冷媒検出センサを用いる場合、冷媒検出センサが動作していなくても、雑ガスフィルタの吸着能力の劣化やセンサ材料の触媒活性の劣化などにより、誤検知が発生しやすくなるおそれがある。そのため、冷媒検出センサを複数備えたとしても、一方の故障後に使用される冷媒検出センサの性能が十分に発揮されず、寿命を長くする効果が限定されてしまうという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、経年劣化による性能劣化を抑制し、誤検知することなく冷媒漏洩を検出することができ、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることのできる空気調和装置を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置の室内機を示す断面図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、室内機10を備えている。室内機10は、室内の壁面に取付けられる筐体11を備えている。
筐体11の上面には、室内の空気を吸い込む吸気口12が設けられている。筐体11の下面には、室内に向けて空気を吹出す吹出口13が設けられている。吸気口12および吹出口13は、いずれも筐体11の幅方向の全域に亘って形成されている。
筐体11の内部には、室内熱交換器14が収容されている。室内熱交換器14は、側面視において略逆V字状に形成されており、室内熱交換器14は、筐体11内部における吸気口12と吹出口13との間の空間を仕切るように配置されている。これにより、吸気口12から吸い込まれた室内空気は、吹出口13に至る間に、必ず室内熱交換器14を通過するように構成されている。
【0012】
室内熱交換器14の内側には、室内送風機15が配置されている。室内送風機15は、図示しない送風機駆動モータにより回転駆動されることで、吸気口12から室内空気を吸い込み、室内熱交換器14を通過させて熱交換させた空気を吹出口13から室内に吹き出すように構成されている。
また、吸気口12には、フィルタ16が配置されている。フィルタ16は、可撓性を有する材料で構成されており、吸気口12から吸い込まれる空気中の塵芥などを除去するものである。
【0013】
フィルタ16の前方部分には、クリーニング駆動ローラ17が回転駆動自在に設けられており、このクリーニング駆動ローラ17を回転駆動してフィルタ16を巻き取ることで、フィルタ16に付着した塵芥などの汚れをクリーニングすることができるように構成されている。
【0014】
吹出口13近傍には、吹き出す空気の左右方向の風向を調整する左右風向板18が左右方向に揺動自在に設けられている。左右風向板18は、手動により風向を調整可能とされている。
左右風向板18の下方には、吹き出す空気の上下方向の風向を調整する上下風向板19が揺動自在に設けられている。
上下風向板19は、図示しない風向板駆動モータにより自動的に上下の風向を調整可能とされている。
【0015】
また、空気調和装置1は、室外機30を備えている。室外機30は、圧縮機31、室外熱交換器(図示せず)、室外熱交換器に外気を送る室外送風機32、膨張機構33、四方弁34(いずれも
図3を参照)を備えている。
室外機30と室内機10とは、図示しない冷媒配管で接続され、所定の冷凍サイクル回路を構成している。
また、本実施の形態においては、室内機10は、冷媒遮断弁20を備えている。冷媒遮断弁20は、室内機10において、冷媒漏洩が発生した場合に、閉動作され、冷媒配管を流れる冷媒を遮断するものである。なお、冷媒遮断弁20は、室外機30に設置してもよい。
【0016】
さらに、筐体11の内部であって室内熱交換器14の近傍には、第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41が配置されている。
第1冷媒検出センサ40は、室内機10の使用開始から使用されるセンサであり、第2冷媒検出センサ41は、第1冷媒検出センサ40が使用不能となった場合に使用されるセンサである。
【0017】
本実施の形態においては、第1冷媒検出センサ40は、一端が室外機30に接続された冷媒配管の他端が室内機10の室内熱交換器14に接続される箇所の近傍に配置されている。室内熱交換器14と冷媒配管との接続箇所は、他の箇所に比較して室内機10の使用初期に冷媒漏洩が発生しやすい箇所となっているためである。
また、第2冷媒検出センサ41は、室内熱交換器14内の冷媒配管が折り返すベンド位置の近傍に配置されている。ベンド位置は、室内熱交換器14の冷媒配管の経年劣化により冷媒漏洩が発生しやすい箇所となっているためである。
このように第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41を配置することにより、第1冷媒検出センサ40により、室内機10の初期使用による冷媒の漏洩を検出することができ、第2冷媒検出センサ41により、経年劣化による冷媒の漏洩を検出することが可能となる。
【0018】
なお、第2冷媒検出センサ41は、第1冷媒検出センサ40と同一箇所に設置するようにしてもよい。
この場合には、第1冷媒検出センサ40が使用不能となり、第2冷媒検出センサ41による冷媒漏洩の検出に切り換える際に、同一条件で検出が可能となるので、設置場所の差異による検出誤差の発生を抑制することができる。
【0019】
図2は、第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41の概略構成を示す構成図である。
図2に示すように、第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41は、所定のセンサ基板42を備えている。センサ基板42には、半導体からなる図示しないセンサ部が搭載されている。センサ部の周囲には、センサ部を被覆する略円筒状のセンサケース43が取り付けられている。センサケース43の先端部には、網目状の開口44が形成されている。そして、開口44から侵入する漏洩冷媒をセンサ部で検出するように構成されている。
なお、センサ部が動作するためには、センサ部を所定温度に加熱する必要があるため、センサ部の近傍には、図示しないヒータが配置されている。
【0020】
第2冷媒検出センサ41は、開口44を閉塞する外気遮断装置45を備えている。
外気遮断装置45は、例えば、開口44を閉塞する蓋部材46と、蓋部材46と開口44とを開放するように付勢するばねなどの弾性部材47と、蓋部材46を開口44の閉塞状態に保持する蓋保持部材(図示せず)と、から構成されている。
また、外気遮断装置45は、外気遮断装置45を解除する解除機構48を備えている。
【0021】
本実施の形態においては、外気遮断装置45の蓋保持部材が、例えば、蓋部材46を所定温度で溶融する樹脂などでセンサケース43に保持する構造の場合を示している。この場合の解除機構48は、樹脂を溶融するヒータなどで構成される。
また、外気遮断装置45の蓋保持部材が、例えば、蓋部材46を保持爪などでセンサケース43に係止して保持する構造の場合、解除機構48は、保持爪の係止を電気的に解除するソレノイドなどで構成される。
【0022】
その他の解除機構48としては、例えば、弾性部材47を設けず、蓋部材46を電気的に開閉可能な構造を採用するようにしてもよいし、例えば、蓋部材46と開口44とを開放した状態が記憶された形状記憶金属で構成し、ヒータなどの解除機構48で蓋部材46を加熱して変形させることで、開口44を開放させるようにしてもよい。
そして、外気遮断装置45の蓋保持部材を解除機構48により解除した場合、弾性部材47の弾性力により、蓋部材46がセンサケース43から離隔した位置に移動され、これにより、センサケース43の開口44を介して冷媒漏洩の検出を行うことができるものである。
【0023】
また、外気遮断装置45は、蓋部材46の内側に防湿材を備えるようにしてもよい。
これにより、第2冷媒検出センサ41を使用していない状態で、第2冷媒検出センサ41の劣化を促進するおそれのある水分を除去することができるので、第2冷媒検出センサ41の劣化を抑制することができる。
また、外気遮断装置45の蓋部材46は、光および熱を遮断する材料で形成するようにしてもよい。
これにより、第2冷媒検出センサ41を使用していない状態で、第2冷媒検出センサ41の劣化を促進するおそれのある光や熱を遮断することができるので、第2冷媒検出センサ41の劣化を抑制することができる。
【0024】
次に、実施の形態1の制御構成について説明する。
図3は、本実施の形態の制御構成を示すブロック図である。
図3に示すように、室内機10は制御部50を備えている。
制御部50は、空気調和装置1の各機器の制御を行う。制御部50はプロセッサ、メモリを備える。制御部50の制御は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが処理することにより、実行される。制御部は、タイマ51を備える。
制御部50には、第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41が接続されている。
【0025】
制御部50は、通信部52を備え、通信部52は、使用者が操作するリモコン53と通信可能とされている。
すなわち、制御部50は、使用者によるリモコン53の操作により、リモコン53で入力された設定温度に基づいて、室外機30の圧縮機31、室外送風機32、膨張機構33、四方弁34、室内機10の室内送風機15、上下風向板19の駆動制御を行う。
また、制御部50は、第1冷媒検出センサ40または第2冷媒検出センサ41により冷媒漏洩を検出した場合に、冷媒遮断弁20を閉動作させるように制御する。
【0026】
また、制御部50は、制御部50のタイマ51により、第1冷媒検出センサ40の駆動時間をカウントする。そして、制御部50は、例えば、第1冷媒検出センサ40の駆動時間が、第1冷媒検出センサ40の寿命である5年間に達するまでカウントし、駆動時間が5年に達した場合には、解除機構48を駆動して蓋部材46を解除することで、第2冷媒検出センサ41による冷媒漏洩検出を可能とする。
【0027】
また、制御部50は、第1冷媒検出センサ40の出力に基づいて、第1冷媒検出センサ40の劣化を判定する。
図4は、第1冷媒検出センサ40の劣化判定の例を示すグラフである。
図4に示すように、第1冷媒検出センサ40は、出荷時においては、0点から冷媒の濃度に比例してセンサ出力が上昇していく。この場合に、制御部50は、漏洩冷媒の濃度が1/100LFL(LFL:最小可燃濃度)から1/4LFLまでの間になった場合に、冷媒が漏洩しているとして発報を行うように制御される。
【0028】
そして、第1冷媒検出センサ40が劣化すると、出荷時と比較してセンサ出力が高くなる傾向にある。
そのため、制御部50は、0点におけるセンサ出力に劣化判定の劣化判断用しきい値を設定し、0点におけるセンサ出力が劣化判断用しきい値を超えた場合であって、センサ出力が劣化判断用しきい値を超えた状態が24時間以上継続した場合に、センサが劣化していると判定する。
この場合に、センサ出力が劣化判断用しきい値を超えた状態が24時間以上継続した場合に、センサが劣化していると判定することとしたのは、1日の温度サイクルにより多少センサ出力の変化が生じるが、24時間継続している場合には、1日の温度サイクルの影響がないと考えられるためである。
【0029】
ここで、センサの劣化判定の劣化判断用しきい値は、冷媒漏洩の発報を行うセンサ出力より低い値に設定される。このように設定することで、センサが劣化した場合でも、誤発報を行うことを抑制することができる。
【0030】
[1-2.動作]
次に、実施の形態1の動作について説明する。
本実施の形態においては、空気調和装置1が設置された場合に、第1冷媒検出センサ40を動作させ、制御部50により、第1冷媒検出センサ40の出力値に基づいて、冷媒の漏洩の有無を判定する。
同時に、制御部50は、タイマ51により第1冷媒検出センサ40の設置時からの駆動時間をカウントする。
【0031】
制御部50は、圧縮機31、室外送風機32、膨張機構33、四方弁34、室内送風機15をそれぞれ駆動することで、リモコン53により設定された室内温度に応じて、冷暖房運転を行う。
そして、制御部50は、第1冷媒検出センサ40により室内機10の冷媒漏洩を監視し、第1冷媒検出センサ40により冷媒漏洩を検出した場合には、冷媒遮断弁20を閉動作させるように制御する。
このとき、第2冷媒検出センサ41は、動作を停止しており、外気遮断装置45により外気が遮断されているので、動作停止時における、第2冷媒検出センサ41の経年劣化を抑制することができる。
【0032】
制御部50は、制御部50のタイマ51により、第1冷媒検出センサ40の駆動時間が、年間に達したと判断した場合、解除機構48を駆動して蓋部材46を解除することで、第2冷媒検出センサ41による冷媒漏洩検出を可能とする。
【0033】
また、制御部50は、第1冷媒検出センサ40の出力に基づいて、第1冷媒検出センサ40の劣化を判定する。
そのため、制御部50は、0点におけるセンサ出力に劣化判定用しきい値を設定し、0点におけるセンサ出力が劣化判定用しきい値を超えた場合であって、センサ出力が劣化判定用しきい値を超えた状態が24時間以上継続した場合に、センサが劣化していると判定する。
そして、制御部50は、センサが劣化していると判断した場合は、解除機構48を駆動して蓋部材46を解除することで、第2冷媒検出センサ41による冷媒漏洩検出を可能とする。
【0034】
これら第1冷媒検出センサ40のタイマ51による積算駆動時間のカウント値に基づく第2冷媒検出センサ41への切り換えと、第1冷媒検出センサ40の劣化判定に基づく第2冷媒検出センサ41への切り換えは、いずれか早いほうが優先される。
すなわち、タイマ51による駆動時間のカウント値が5年を経過する前に、劣化判定が行われた場合は、劣化判定に基づく第2冷媒検出センサ41への切り換えが行われる。
なお、タイマ51による積算駆動時間のカウント値または劣化判定により、第2冷媒検出センサ41への切り替えが行われた場合には、制御部50は、リモコン53に、あるいはメンテナンス管理会社などに、第1冷媒検出センサ40の駆動を停止して、第2冷媒検出センサ41に切り替えた旨を報知するようにしてもよい。
【0035】
なお、制御部50は、第1冷媒検出センサ40から第2冷媒検出センサ41への切替が完了した後、第2冷媒検出センサ41に対する劣化判定を行うようにしてもよい。
この場合に、制御部50は、第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41のいずれもが劣化したと判定され、継続した使用が不可となった場合、冷媒遮断弁20を閉動作させ、空気調和装置1を使用できないように制御する。これにより、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることができる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態においては、室内機10が有する室内熱交換器14と、室外機30が有する室外熱交換器、圧縮機、絞り装置とを、冷媒配管を介して接続し、冷媒として可燃性冷媒を用いた空気調和装置1において、冷媒の漏洩を検出する第1冷媒検出センサ40と第2冷媒検出センサとを備え、第2冷媒検出センサには、第2冷媒検出センサ41のセンサ部への外気を遮断する外気遮断装置45と、外気遮断装置45による外気の遮断を解除する解除機構48と、が設けられている。
これにより、第1冷媒検出センサ40を動作させている間、外気遮断装置45により外気を遮断することで、第2冷媒検出センサ41の経年劣化を抑制することができる。そのため、第2冷媒検出センサ41を動作させる際に経年劣化による誤検知なく冷媒漏洩を検出することができ、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施の形態においては、第1冷媒検出センサ40と第2冷媒検出センサ41とは、同一箇所に設置されている。
これにより、第1冷媒検出センサ40から第2冷媒検出センサ41による冷媒漏洩の検出に切り換える際に、同一条件で検出が可能となるので、設置場所の差異による検出誤差の発生を抑制することができる。
【0038】
また、本実施の形態においては、第1冷媒検出センサ40は、室内機10と室外機30との冷媒配管の接続箇所近傍に設置され、第2冷媒検出センサ41は、室内熱交換器14のベンド位置近傍に設置される。
これにより、第1冷媒検出センサ40により、室内機10の初期使用による冷媒の漏洩を検出することができ、第2冷媒検出センサ41により、経年劣化による冷媒の漏洩を検出することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態においては、第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41のセンサ出力が入力される制御部50を備え、制御部50は、第1冷媒検出センサ40が冷媒漏洩を検出して発報を行うセンサ出力より低い値に劣化判断用しきい値を設定し、第1冷媒検知センサが24時間以上、劣化判断用しきい値を超えていると判断した場合に、解除機構48を動作させて外気遮断装置45を除去させ、第2冷媒検知センサを用いた冷媒漏洩の監視に切り換える。
これにより、第1冷媒検出センサ40の劣化判定を行うことができ、劣化した第1冷媒検出センサ40により冷媒漏洩を検出してしまうことがなく、第1冷媒検出センサ40により経年劣化による誤検知を抑制することができる。そのため、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施の形態においては、制御部50は、タイマ51を備え、制御部50は、タイマ51により第1冷媒検出センサ40の駆動時間をカウントし、第1冷媒検出センサ40の駆動時間が所定時間を経過したと判断した場合、解除機構48を動作させて外気遮断装置45を除去させ、第2冷媒検知センサを用いた冷媒漏洩の監視に切り換える。
これにより、寿命がきた第1冷媒検出センサ40により冷媒漏洩を検出してしまうことがなく、第1冷媒検出センサ40による誤検知を抑制することができる。そのため、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施の形態においては、制御部50は、第1冷媒検出センサ40から第2冷媒検出センサ41のいずれもが劣化したと判断し、継続した使用が不可となった場合、室内機10への冷媒配管に設けられた冷媒遮断弁20を閉動作させるように制御する。
これにより、空気調和装置1を使用できないこととなり、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることができる。
【0042】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
例えば、第1冷媒検出センサ40および第2冷媒検出センサ41は、一般に、制御基板に設けられたコネクタに対してセンサ基板42のピンを挿入して接続することで構成される。
そのため、第2冷媒検出センサ41のセンサ基板42と制御基板との接続箇所に、絶縁フィルムなどを挿入して、センサ基板42を絶縁状態にするようにしてもよい。これにより、センサ基板42への通電が行われず、外気遮断装置45により外気からも遮断されているので、第2冷媒検出センサ41をほぼ出荷時の状態を保持することが可能となる。
この場合には、第1冷媒検出センサ40が寿命や経年劣化となった場合には、絶縁フィルムを取り外す旨、報知するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る空気調和装置は、経年劣化による性能劣化を抑制し、誤検知することなく冷媒漏洩を検出することができ、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることのできる空気調和装置として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 空気調和装置
10 室内機
11 筐体
12 吸気口
14 室内熱交換器
15 室内送風機
18 左右風向板
19 上下風向板
20 冷媒遮断弁
30 室外機
31 圧縮機
32 室外送風機
33 膨張機構
34 四方弁
40 第1冷媒検出センサ
41 第2冷媒検出センサ
42 センサ基板
43 センサケース
44 開口
45 外気遮断装置
46 蓋部材
47 弾性部材
48 解除機構
50 制御部
51 タイマ
52 通信部
53 リモコン