(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029013
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】車両用給電設備の設置ベース
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230224BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230224BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20230224BHJP
E01F 15/14 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
B60L53/14
B60L53/30
H02J7/00 P
E01F15/14
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135062
(22)【出願日】2021-08-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】520109760
【氏名又は名称】株式会社e-Mobility Power
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】畠山 秀一
【テーマコード(参考)】
2D101
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2D101CA14
2D101EA02
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】配線ケーブルの引き込み方向や給電機器の仕様が異なる場合でも、共通のベースブロックによって柔軟に対応することができる車両用給電設備の設置ベースを提供する。
【解決手段】車両用給電設備の設置ベース10は、給電機器が上面に設置されるコンクリート製のベースブロック11を備える。ベースブロック11は、配線引き出し空間12と、配線挿通部14-1、14-2、14-3と、を備える。配線引き出し空間12は、給電機器の設置部の下方位置に形成される。配線挿通部は、ベースブロック11内で略水平方向に延び、配線引き出し空間12とベースブロック11の外側面とを連通する。配線挿通部は、夫々がベースブロック11の配線引き出し空間12と外側面上の異なる箇所を連通するように複数形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電機器が上面に設置されるコンクリート製のベースブロックを備え、
前記ベースブロックは、
前記給電機器の設置部の下方位置に形成された配線引き出し空間と、
前記ベースブロック内で略水平方向に延び、前記配線引き出し空間と前記ベースブロックの外側面とを連通する配線挿通部と、を備え、
前記配線挿通部は、夫々が前記ベースブロックの前記配線引き出し空間と前記外側面上の異なる箇所を連通するように複数形成されていることを特徴とする車両用給電設備の設置ベース。
【請求項2】
複数の前記配線挿通部は、前記ベースブロックの平面視において、前記配線引き出し空間を挟んで互いに直線上に並ばない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【請求項3】
前記ベースブロックは略矩形状の平面視形状に形成され、
少なくとも二つの前記配線挿通部は、互いに交差する二つの異なる前記外側面に開口していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【請求項4】
前記ベースブロックには、下面の高さを調整可能な設置高さ調整部が配置されていることを特徴とす請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【請求項5】
前記ベースブロックは略矩形状の平面視形状に形成され、
前記ベースブロックの上面の四隅の近傍には、車両衝突防止用のポールを設置するためのポール設置部が配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【請求項6】
前記ポール設置部は、前記ベースブロックを吊り下げ設置する際に用いる吊り下げ具の取付部を兼ねるねじ穴によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【請求項7】
前記ベースブロックの前記配線挿通部には、樹脂製の配線案内パイプが埋設されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【請求項8】
前記配線引き出し空間は、前記ベースブロックを上下方向に貫通していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【請求項9】
前記ベースブロックの下面には、前記配線引き出し空間と前記ベースブロックの外側面を連通する排水溝が形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の車両用給電設備の設置ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の車両に充電を行うための車両用給電設備の設置ベースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両等の車両は充電スタンドや個人宅の車庫等で充電が行われる。充電スタンド等では主に急速充填用の給電機器が用いられ、急速充電を行う必要のない個人宅の車庫等では主に普通充電用の給電機器が用いられる。
【0003】
急速充電を行う充電スタンド等では、敷地内の地面に基礎コンクリートを打設し、基礎コンクリートが固化した後に、基礎コンクリートの上面に給電機器を設置する。基礎コンクリートのうちの、給電機器の設置部の下方位置には、上下方向に貫通する配線引き込み孔が設けられ、外部の高圧受電装置(高圧受電設備)と給電機器を接続するための電力配線(配線ケーブル)がその配線引き込み孔に挿通されている。
【0004】
しかし、上記のように給電設備を設置する際に、設置現場で基礎コンクレートをその都度打設し、基礎コンクリートの固化を待って給電機器を基礎コンクリートに固定する場合、設置現場で給電設備の設置を完了するまでに多く時間を要し、作業効率の面で好ましくない。
【0005】
この対策として、コンクリート製のベースブロックを主体とする設置ベースを予め製造しておき、その設置ベースを設置現場に搬送して設置現場の設置位置に載置する手法が案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載の設置ベースは、コンクリート製のベースブロックの上面に、コンセントポール(給電機器)を固定する固定手段が設けられ、ベースブロックの重量を利用してコンセントポールの転倒防止が図られている。また、コンセントポールに電力を引き込む配線ケーブルは、配管によって外側を覆われた状態で、配管ホルダを介してベースブロック上に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の設置ベースは、予め別の場所で製造されたコンクリート製のベースブロックが設置現場の設置位置に載置されるため、設置現場で給電設備を設置する際の作業効率を大幅に高めることができる。しかし、上記の設置ベースを用いた給電設備は、給電機器(コンセントポール)に電力を引き込むための配線ケーブルがベースブロック上に引き回されて固定される。このため、上記の設置ベースを用いた給電設備は、充電作業時に配線ケーブルが足元で邪魔になるとともに、高圧の電力を扱う保安の面でも改善が望まれる。
【0009】
この対策としては、ベースブロックに略水平方向に延びる配線挿通孔を設け、その配線挿通孔に配線ケーブルを通すことが考えられる。しかし、この対策の場合、設置ベースを配線ケーブルの引き込み方向の異なる設置現場で使用する場合や、ベースブロック上に設置される給電機器の仕様が異なる(例えば、配線ケーブルの接続位置が異なる)場合に、その都度ベースブロックを作り分けなければならない。このため、ベースブロックの生産効率の面において望ましくなく、この点の改善が望まれる。
【0010】
そこで本発明は、配線ケーブルの引き込み方向や給電機器の仕様が異なる場合でも、共通のベースブロックによって柔軟に対応することができる車両用給電設備の設置ベースを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る車両用給電設備の設置ベースは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る車両用給電設備の設置ベースは、給電機器が上面に設置されるコンクリート製のベースブロックを備え、前記ベースブロックは、前記給電機器の設置部の下方位置に形成された配線引き出し空間と、前記ベースブロック内で略水平方向に延び、前記配線引き出し空間と前記ベースブロックの外側面とを連通する配線挿通部と、を備え、前記配線挿通部は、夫々が前記ベースブロックの前記配線引き出し空間と前記外側面上の異なる箇所を連通するように複数形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成において、車両用給電設備を設置する場合には、予め別の場所で造形されたベースブロックを設置現場に搬送し、そのベースブロックを設置現場の設置位置に載置する。ベースブロックは、略水平方向に延びる複数の配線挿通部を有するため、実際の設置現場の配線ケーブルの引き込み方向や給電機器の仕様に応じて、配線挿通部を使い分けることができる。こうして、配線挿通部に挿通された配線ケーブルは、コンクリート製のベースブロックによって保護されるとともに、充電作業時に作業者の足元で邪魔になることがない。
【0013】
複数の前記配線挿通部は、前記ベースブロックの平面視において、前記配線引き出し空間を挟んで互いに直線上に並ばない位置に配置されることが望ましい。
【0014】
この場合、複数の配線挿通部がベースブロックの平面視において直線上に並ばないため、ベースブロックに大荷重が作用したとき等に、ベースブロックを二分するような亀裂や破断が生じにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、ベースブロックの耐久性をより高めることができる。
【0015】
前記ベースブロックは略矩形状の平面視形状に形成され、少なくとも二つの前記配線挿通部は、互いに交差する二つの異なる前記外側面に開口するようにしても良い。
【0016】
この場合、ベースブロックは、少なくとも互いに交差する二つの外側面に配線挿通部が開口することになるため、配線ケーブルの引き込み方向がほぼ90°異なる設置環境においても、柔軟に対応することができる。
【0017】
前記ベースブロックには、下面の高さを調整可能な設置高さ調整部が配置されるようにしても良い。
【0018】
この場合、設置現場の載置面が傾斜していたり、載置面の一部に凹凸があるときでも、ベースブロックの設置高さ調整部を調整することにより、ベースブロックの設置姿勢を安定させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、多用な設置環境において、ベースブロックを安定姿勢で設置することができる。
【0019】
前記ベースブロックは略矩形状の平面視形状に形成され、前記ベースブロックの上面の四隅の近傍には、車両衝突防止用のポールを設置するためのポール設置部が配置されるようにしても良い。
【0020】
この場合、ベースブロックの上面の四隅の近傍にポール設置部が配置されているため、ベースブロックの四方向を向く外側面のうちの、いずれの面を正面として使用するときにも、正面側の二つの隅部の近傍に車両衝突防止用のポールを設置することができる。このため、本構成を採用した場合には、より多様な設置環境においてベースブロックを共用することができる。
【0021】
前記ポール設置部は、前記ベースブロックを吊り下げ設置する際に用いる吊り下げ具の取付部を兼ねるねじ穴によって構成されるようにしても良い。
【0022】
この場合、ポール設置部がベースブロックの四隅の近傍に設けられたねじ穴であることから、ベースブロックの設置時に、四隅の近傍のねじ穴に吊り下げ具を取り付け、その吊り下げ具に吊り下げ用のロープを掛けることにより、ベースブロックをバランス良く吊り下げ支持することができる。したがって、本構成を採用した場合には、ベースブロックの設置作業を容易化することができる。
【0023】
前記ベースブロックの前記配線挿通部には、樹脂製の配線案内パイプが埋設されるようにしても良い。
【0024】
この場合、配線ケーブルが樹脂製の配線案内パイプを通して配線挿通部に挿通されることになるため、ベースブロック内で配線ケーブルがコンクリートと擦れることで損傷するのを未然に防止することができる。
【0025】
前記配線引き出し空間は、前記ベースブロックを上下方向に貫通するようにしても良い。
【0026】
この場合、配線ケーブの一部を地中に埋設して、地中から給電機器方向に配線ケーブルを引き出さざるを得ない設置環境の場合、地中から引き出した配線ケーブルをベースブロックの配線引き出し空間に直接引き入れることができる。このため、本構成を採用した場合には、より多様な設置環境においてベースブロックを共用することができる。
【0027】
前記ベースブロックの下面には、前記配線引き出し空間と前記ベースブロックの外側面を連通する排水溝が形成されるようにしても良い。
【0028】
この場合、給電設備を設置した後に、ベースブロックの配線引き出し空間に雨水等の水に流れ込んだときには、配線引き出し空間内の水を、ベースブロックの下面の排水溝を通して外部に排出することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る車両用給電設備の設置ベースは、複数の配線挿通部が、夫々ベースブロックの配線引き出し空間と外側面上の異なる箇所を連通するように形成されているため、実際の設置現場の配線ケーブルの引き込み方向や給電機器の仕様に応じて、配線挿通部を使い分けることができる。
したがって、本発明に係る車両用給電設備の設置ベースを採用した場合には、配線ケーブルの引き込み方向や給電機器の仕様が異なる場合でも、共通のベースブロックによって柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図5】実施形態の設置ベースの
図4のV-V線に沿う断面図。
【
図6】実施形態の設置ベースの
図4のVI-VI線に沿う断面図。
【
図7】実施形態の設置ベースの
図6のVII部の拡大図。
【
図8】実施形態の設置ベースの
図4のVIII部の拡大斜視図。
【
図9】実施形態の設置ベースの他の設置形態1を示す平面図。
【
図10】実施形態の設置ベースの他の設置形態2を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は、本実施形態の車両用給電設備1(以下、「給電設備1」と称する)の正面図であり、
図2は、給電設備1の一部の斜視図である。
本実施形態の給電設備1は、電力会社から送られてくる高電圧の電気を所定電圧に変換する高圧受電装置2と、高圧受電装置2から電力を受けて電気自動車等の車両に充電を行う充電装置3(給電機器)と、を備えている。高圧受電装置2と充電装置3は、いずれも設置ベース10,110を介して敷地内の設置面4上に設置されている。
【0033】
充電装置3は、電力開閉器や通信装置、制御装置等を内部に収容した充電装置本体5と、充填装置本体5に接続された一対の充電ケーブル6と、を備えている。各充電ケーブル6の先端部には、車両の充電口に接続されるコネクタ7が取り付けられている。なお、充填装置本体5に接続される充電ケーブル6の数は二つの限るものではない。
【0034】
図3は、充電装置3(給電機器)が設置される設置ベース10の斜視図であり、
図4は、設置ベース10の平面図である。また、
図5は、設置ベース10の
図4のV-V線に沿う断面図であり、
図6は、
図4のVI-VI線に沿う断面図である。
設置ベース10は、充電装置3が上面の略中央に設置されるコンクリート製のベースブロック11を備えている。ベースブロック11は、略矩形状の平面視形状に形成されている。ベースブロック11は、厚み方向が上下方向を向くように敷地内の設置面4に載置される。
【0035】
ベースブロック11の平面視での略中央領域には、略矩形状の配線引き出し孔12が形成されている。配線引き出し孔12は、ベースブロック11の外形(平面視での外形)に倣うように長辺と短辺が配置されている。配線引き出し孔12は、ベースブロック11を上下に(厚み方向に)貫通している。ベースブロック11の上面の中央領域には、充電装置3(充電装置本体5)の下端が固定される。配線引き出し孔12は、充電装置3(充電装置本体5)の下端の形状よりも小さく形成されている。配線引き出し孔12は、充電装置3(充電装置本体5)の設置部の下方位置に形成されている。図中の符号13は、充電装置3(充電装置本体5)の下端をボルト締結するためのねじ穴である。各ねじ穴13には、締結用のボルトの軸部が螺合される金属製の埋め込みナットが埋設されている。
なお、本実施形態では、配線引き出し孔12が配線引き出し空間を構成している。ベースブロック11に形成する配線引き出し空間は、必ずしも上下に貫通する孔によって構成する必要はなく、ベースブロック11の上面から所定深さに窪む窪み部によって構成することも可能である。
【0036】
図4~
図6に示すように、ベースブロック11には、ベースブロック11内で略水平に延び、配線引き出し孔12とベースブロック11の外側面11aを連通する配線挿通孔14-1,14-2,14-3が形成されている。このうちの二つの配線挿通孔14-1,14-2は、平面視が略矩形状の配線引き出し孔12の長辺側の内側面の離間した二位置と、ベースブロック11の対応する長辺側の外側面11aの離間した二位置を夫々連通している。本実施形態では、二つの配線挿通孔14-1,14-2は、相互に平行になるようにベースブロック11に形成されている。また、残余の配線挿通孔14-3は、配線引き出し孔12の短辺側の内側面とベースブロック11の対応する短辺側の外側面11aを連通している。三つの配線挿通孔14-1,14-2,14-3は、夫々が配線引き出し孔12とベースブロック11の外側面11a上の異なる箇所を連通するように形成されている。
なお、本実施形態では、配線挿通孔14-1,14-2,14-3が配線挿通部を構成している。配線挿通部は、必ずしも孔である必要はなく、ベースブロック11の上面、若しくは、下面から所定深さに窪む溝(配線挿通溝)であっても良い。
【0037】
ここで、上記の二つの配線挿通孔14-1,14-2と、残余の配線挿通孔14-3は、ベースブロック11の相互に直交する外側面11aに夫々開口している。また、三つの配線挿通孔14-1,14-2,14-3は、ベースブロック11の平面視において、配線引き出し孔12(配線引き出し空間)を挟んで互いに直線上に並ばない位置に配置されている。
【0038】
また、ベースブロック11の各配線挿通孔14-1,14-2,14-3には、樹脂製の配線案内パイプ16が埋設されている。配線案内パイプ16は、可撓性を有する蛇腹状のパイプであり、大半の部分がベースブロック11の対応する配線挿通孔14-1,14-2,14-3部分に埋設され、残余の一部がベースブロック11の外側面11aから外側に突出している。実際に充電装置3を設置する場合には、高圧受電装置2と充電装置3を接続する配線ケーブル17が、対応する配線案内パイプ16を通して、いずれかの配線挿通孔14-1,14-2,14-3に挿通される。
なお、
図4,
図9,
図10では、配線ケーブル17の挿通部として実際に使用しない配線案内パイプ16の残余の部分(ベースブロック11から飛び出す部分)が適宜削除されている。
【0039】
また、ベースブロック11の下面には、中央の配線引き出し孔12とベースブロック11の外側面11aを連通する一対の排水溝15が形成されている。本実施形態の場合、一方の排水溝15は、配線引き出し孔12の短辺側の一方の内側面とベースブロック11の対応する短辺側の外側面11aを連通し、他方の排水溝15は、配線引き出し孔12の短辺側の他方の内側面とベースブロック11の対応する短辺側の外側面11aを連通している。一方の排水溝15と他方の排水溝15は、ベースブロック11の平面視において、配線引き出し孔12(配線引き出し空間)を挟んで互いに直線上に並ばない位置に配置されている。
【0040】
図7は、設置ベース10の
図6のVII部の拡大図であり、
図8は、
図4のVIII部の拡大した斜視図である。
ベースブロック11の平面視における四隅の近傍には、ベースブロック11を上下に貫通する設置孔18が形成されている。設置孔18は、上下方向(ベースブロック11の厚み方向)の略中央領域が小径の一定内径に形成されている。設置孔18の一定内径部分には、ねじ孔が上下方向に貫通するように埋め込みナット19が埋設されている。設置孔18の一定内径部分の下方には、下方に向かって内径が次第に拡径するテーパ状の下向き凹部20が形成されている。同様に、設置孔18の一定内径部分の上方には、上方に向かって内径が次第に拡径するテーパ状の上向き凹部21が形成されている。
【0041】
図7に示すように、設置孔18に埋設された埋め込みナット19には、頭部22aに接地座23が取り付けられた調整ボルト22が螺合されている。調整ボルト22の軸部22bの先端面には、
図8に示すように、マイナスドライバ等の回転調整工具が係合される係合溝24が形成されている。なお、
図3~
図6では、調整ボルト22が省略されている。
【0042】
調整ボルト22は、埋め込みナット19に対してベースブロック11の下方側から螺合され、接地座23が下向き凹部20内に配置される。調整ボルト22は、軸部22bの先端部が露出する上向き凹部21側から回転調整工具によって回転操作される。こうして調整ボルト22の軸部22bが回転操作されると、その操作量に応じて接地座23の下面高さが調整される。四隅の各調整ボルト22は、ベースブロック11が敷地内の設置面4上に載置された状態で作業者によって適宜回転操作される。このとき、ベースブロック11の下面からの接地座23の突出量を適宜調整することにより、設置面4に対するベースブロック11の接地姿勢を安定させることができる。
本実施形態では、調整ボルト22と埋め込みナット19が設置高さ調整部を構成している。
【0043】
また、ベースブロック11の四隅の上面には、上向き凹部21の外側を取り囲むように、四つのねじ穴25が設けられている。各ねじ穴25には埋め込みナットが埋設されている。各ねじ穴25は、
図1,
図2に示す車両衝突防止用のポール26を設置するためのポール設置部を構成している。車両衝突防止用のポール26は、下端に固定フランジ26aを有し、固定フランジ26aがボルト27によってベースブロック11に固定される。このとき、各ボルト27の軸部がベースブロック11の対応するねじ穴25に締結される。これにより、車両衝突防止用のポール26は、ベースブロック11の上面から鉛直上方に起立する。車両衝突防止用のポール26は、ベースブロック11の正面側(充電装置3の正面を向く側)の左右両側位置(充電装置3を間に挟む左右両側位置)に設置される。ポール26は、ベースブロック11の四隅のすべてに設置されるのではなく、ベースブロック11の正面側に向く隅部にのみ設置される。
【0044】
ベースブロック11の四隅に夫々設けられているねじ穴25は、ベースブロック11をロープ35(
図3参照)で吊り下げ、設置面4上に載置する際に、吊り下げ具30(
図3参照)を取り付ける取付部としても兼用される。ねじ穴25は、ベースブロック11の四隅の近傍に夫々設けられている。このため、四隅の対応するねじ穴25に夫々吊り下げ具30を固定し、ロープ35を各吊り下げ具30に通して、ベースブロック11をクレーン等によってバランス良く持ち上げることができる。
【0045】
<給電設備1の設置>
以上で説明した設置ベース10のベースブロック11は、予め製造工場等によって製造される。製造されたベースブロック11は、給電設備1の設置現場に搬送され、上述のようなロープ35による吊り下げ等によって所定の設置面4上に載置される。このときのベースブロック11を設置する向きは、充電装置3の正面側の向き(充電時に車両と対向する向き)と、高圧受電装置2からの配線ケーブル17の引き込み方向に応じて決定する。
【0046】
ベースブロック11が設置面4上に載置された後には、ベースブロック11の四隅の調整ボルト22を適宜操作して四角の各接地座23の高さを調整することにより、ベースブロック11の設置姿勢を安定させる。
【0047】
次に、高圧受電装置2から引き出された配線ケーブル17をベースブロック11のいずれかの配線挿通孔14-1,14-2,14-3に挿通させる。例えば、
図4における下側が充電装置3の正面に向く側で、
図4における右側に高圧受電装置2が配置される側である場合には、図中右側上の配線挿通孔14-2に配線ケーブル17を挿通させる。このとき、配線ケーブル17は、配線案内パイプ16を通して配線挿通孔14-2に挿通させる。配線挿通孔14-2に挿通された配線ケーブル17は、ベースブロック11の中央の配線引き出し孔12から引き出される。
【0048】
この後、ベースブロック11の上面中央に充電装置3を固定設置し、充電装置本体5の内部の接続コネクタ5a(
図4参照)に配線ケーブル17の端部を接続する。この作業は、例えば、充電装置本体5の筐体の図示しない開閉扉によって作業口を開き、下方の配線引き出し孔12から引き出した配線ケーブル17の端部を作業口を通して接続コネクタ5aに接続する。
【0049】
この後、ベースブロック11上の、
図4における下側左右の隅部に、車両衝突防止用のポール26を夫々固定設置する。
なお、配線ケーブル17の挿通に使用しなかった配線挿通孔14-1,14-3から突出する配線案内パイプ16は適宜切除され、切除された端部には図示しない封止部材が取り付けられる。
【0050】
<設置ベース10の他の設置形態1>
図9は、充電装置3の正面が図中の下側を向き、高圧受電装置2が図中の上側に設置される設置環境の場合の設置ベース10の設置形態を示す平面図である。
設置ベース10のベースブロック11は、上述と同様にして設置面4に載置する。ただし、このとき高圧受電装置2が図中の上側に設置されることから、配線ケーブル17は、
図9中の上側の配線挿通孔14-3に挿通する。配線ケーブル17は、配線挿通孔14-3内の配線案内パイプ16に挿通される。使用しない配線挿通孔14-1,14-2から突出する配線案内パイプ16は適宜切除され、切除された部分には封止部材が取り付けられる。
ベースブロック11の配線引き出し孔12から引き出された配線ケーブル17の端部は、上述の基本配置形態の場合と同様にして、充電装置3の接続コネクタ5aに接続される。
【0051】
<設置ベース10の他の設置形態2>
図10は、充電装置3の正面が図中の下側を向き、高圧受電装置2が図中の左側に設置される設置環境の場合の設置ベース10の設置形態を示す平面図である。
図10に示す設置形態2では、
図4,
図9に示す設置形態に対し、設置ベース10のベースブロック11を、鉛直軸周りに180°回転させた状態で設置面4上に載置する。このとき、高圧受電装置2が図中の左側に設置されることから、配線ケーブル17は、
図10中の左側上の配線挿通孔14-1に挿通する。配線ケーブル17は、配線挿通孔14-1内の配線案内パイプ16に挿通される。この場合も、使用しない配線挿通孔14-2,14-3から突出する配線案内パイプ16は適宜切除され、切除された部分には封止部材が取り付けられる。
ベースブロック11の配線引き出し孔12から引き出された配線ケーブル17の端部は、上述の基本配置形態の場合と同様にして、充電装置3の接続コネクタ5aに接続される。
【0052】
<実施形態の効果>
本実施形態の設置ベース10は、複数の配線挿通孔14-1,14-2,14-3が、夫々ベースブロック11の配線引き出し孔12と外側面11a上の異なる箇所を連通するように形成されている。このため、給電設備1を設置する場合には、実際の設置現場の配線ケーブル17の引き込み方向や充電装置3の仕様に応じて、配線挿通孔14-1,14-2,14-3を使い分けることができる。そして、こうして給電設備1を設置した場合には、配線ケーブル17がコンクリート製のベースブロック11によって保護されるとともに、充電作業時に作業者の足元で配線ケーブル17が邪魔になることがない。
したがって、本実施形態の設置ベース10を採用した場合には、配線ケーブル17の引き込み方向や充電装置3の仕様が異なる場合でも、共通のベースブロック11によって柔軟に対応することができる。
【0053】
また、本実施形態の設置ベース10は、複数の配線挿通孔14-1,14-2,14-3が、ベースブロック11の平面視において、配線引き出し孔12を挟んで互いに直線上に並ばない位置に配置されている。このため、ベースブロック11に大荷重が作用したとき等に、ベースブロック11を二分するような亀裂や破断が生じにくい。したがって、本構成を採用した場合には、ベースブロック11の耐久性が高まり、充電装置3の安定した支持と、配線ケーブル17の充分な保護を長期に亘って維持することが可能になる。
【0054】
また、本実施形態の設置ベース10は、ベースブロック11が略矩形状の平面視形状に形成され、配線挿通孔14-1,14-2,14-3が互いに交差する二つの異なる外側面11aに開口している。このため、配線ケーブル17の引き込み方向がほぼ90°異なる複数の設置環境においても、柔軟に対応することができる。また、ベースブロック11を設置する向きを180°反転させれば、さらに多くの配線ケーブル17の引き込み方向にも対応することができる。
おな、本実施形態では、配線挿通孔14-1,14-2,14-3が互いに交差する二つの異なる外側面11aに開口しているが、配線挿通孔は三つ以上の異なる外側面11aに開口するようにしても良い。
【0055】
さらに、本実施形態の設置ベース10では、下面の高さを調整可能な埋め込みナット19及び調整ボルト22(設置高さ調整部)がベースブロック11の四隅に設けられている。このため、設置現場の載置面4が傾斜していたり、載置面4の一部に凹凸があるときでも、調整ボルト22によって設置高さを調整することにより、ベースブロック11の設置姿勢を安定させることができる。したがって、本実施形態の設置ベース10を採用した場合には、様々な設置環境(設置面4の状況)において、ベースブロック11を安定姿勢で設置することができる。
【0056】
また、本実施形態の設置ベース10は、ベースブロック11の上面の四隅の近傍に、車両衝突防止用のポール26を設置するためのねじ穴25(ポール設置部)が設けられている。このため、ベースブロック11の四方向を向く外側面のうちの、いずれの面を正面として使用するときにも、正面側の二つの隅部の近傍に車両衝突防止用のポール26を設置することができる。したがって、本構成を採用した場合には、ポール26の設置に関しても、多様な設置環境において共通のベースブロック11を共用することができる。
【0057】
また、本実施形態の設置ベース10は、ポール26を設置するためのねじ穴25が、ベースブロック11を吊り下げ設置する際に用いる吊り下げ具30の取付部を兼ねている。このため、ベースブロック11の設置時に、四隅の近傍のねじ穴25に吊り下げ具30を取り付け、その吊り下げ具30に吊り下げ用のロープ35を掛けることにより、ベースブロック11をバランス良く吊り下げ支持することができる。したがって、本構成を採用した場合には、ベースブロック11の設置作業を容易化することができる。
【0058】
さらに、本実施形態の設置ベース10は、ベースブロック11の各配線挿通孔14-1,14-2,14-3に樹脂製の配線案内パイプ16が埋設されている。このため、ベースブロック11内で配線ケーブル17がコンクリートと擦れることで損傷するのを未然に防止することができる。
【0059】
また、本実施形態の設置ベース10は、配線引き出し孔12がベースブロック11を上下方向に貫通している。このため、配線ケーブル17の一部を地中に埋設して、地中から充電装置3の方向に配線ケーブル17を引き出さざるを得ない設置環境の場合に、地中から引き出した配線ケーブル17をベースブロック11の配線引き出し孔12に直接引き入れることができる。したがって、本構成を採用した場合には、より多様な設置環境においてベースブロック11を共用することができる。
【0060】
また、本実施形態の設置ベース10は、ベースブロック11の下面に、配線引き出し孔12とベースブロック11の外側面11aを連通する排水溝15が形成されている。このため、給電設備1を設置した後に、ベースブロック11の配線引き出し孔12に雨水等の水に流れ込んだときには、配線引き出し孔12内の水を、ベースブロック11の下面の排水溝15を通して外部に排出することができる。
【0061】
<設置ベース110への適用>
以上では、充電装置3を設置するための設置ベース10の構造について詳述したが、高圧受電装置2を設置するための設置ベース110に設置ベース10と同様の基本構造を適用することも可能である。つまり、設置ベース110のコンクリート製のベースブロックに、配線引き出し空間(配線引き出し孔)と、略水平に延びる複数の配線挿通部(配線挿通孔)を形成し、複数の配線挿通部が、配線引き出し空間とベースブロックの外側面上の異なる箇所を連通するようにしても良い。この場合も、各配線挿通部には、樹脂製の配線案内パイプを埋設することが望ましい。
【0062】
高圧受電装置2を設置する設置ベース110を上記のような構成にした場合、実際の設置現場の配線ケーブルの引き込み方向や高圧受電装置2の仕様に応じて、複数の配線挿通部を使い分けることができる。したがって、このような設置ベース110を採用した場合には、配線ケーブルの引き込み方向や高圧受電装置2の仕様が異なる場合でも、共通のベースブロックによって柔軟に対応することができる。
【0063】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、略矩形状の平面視形状のベースブロックが採用されているが、ベースブロックの平面視形状は略矩形状のものに限定されるものではなく、多用な平面視形状のものを採用することができる。
また、設置ベースに設置する充電装置は、急速充電用、普通充電用のいずれの充電装置であっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…給電設備
2…高圧受電装置(給電機器)
3…充電装置(給電機器)
10,110…設置ベース
11…ベースブロック
11a…外側面
12…配線引き出し孔(配線引き出し空間)
14-1,14-2,14-3…配線挿通孔(配線挿通部)
15…排水溝
16…配線案内パイプ
19…埋め込みナット(設置高さ調整部)
22…調整ボルト(設置高さ調整部)
25…ねじ穴(ポール設置部)
26…ポール
30…吊り下げ具