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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029065
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】画像処理装置、撮像装置、及び移動体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230224BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20230224BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230224BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/14
G06T7/00 650A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135147
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】原田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 一希
(72)【発明者】
【氏名】永元 亮太
(72)【発明者】
【氏名】福井 康弘
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241CE05
3D241DB20Z
3D241DC33Z
5H181AA01
5H181AA26
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL08
5H181LL17
5L096AA06
5L096CA02
5L096DA01
5L096FA66
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】所望の目的を達成するように走行する際に、走行可能であるか否かを判別しする。
【解決手段】画像処理装置14は画像インタフェース15とプロセッサ18とを有する。画像インタフェース15は撮像部13から撮像画像を取得する。プロセッサ18は撮像画像の複数の箇所における深度を推定する。プロセッサ18は複数の箇所における深度及び画像座標を、複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換する。プロセッサ18は複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から移動体11が走行可能領域を決定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像を取得する画像インタフェースと、
前記撮像画像の複数の箇所における深度を推定し、前記複数の箇所における前記深度及び画像座標を、前記複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換し、前記複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から移動体の走行可能領域を決定するプロセッサと、を備える
画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記プロセッサは、前記走行可能領域に基づいて、前記移動体の走行経路を計算する
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記プロセッサは、障害物の少なくとも一部を回避するように前記走行経路を計算する
画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像処理装置において、
前記プロセッサは、前記三次元座標に基づく特定の視点からの画像に、決定した前記走行経路上又は該走行経路の近傍に位置する障害物の少なくとも一部を重畳させた画像を生成する
画像処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記プロセッサは、前記画像から路面の種類を認識し、前記路面の種類に基づいて前記移動体の駐車可能領域を決定する
画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置において、
前記路面の種類は少なくとも車道を含む
画像処理装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の画像処理装置において、
前記プロセッサは、前記三次元座標に基づく特定の視点からの画像に、駐車可能領域に駐車した状態の前記移動体を重畳させた画像を生成する
画像処理装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記プロセッサは、前記路面の傾斜に基づいて、前記移動体の駐車可能領域を決定する
画像処理装置。
【請求項9】
撮像により画像信号を生成する撮像部と、
前記画像信号に相当する撮像画像の複数の箇所における深度を推定し、前記複数の箇所における前記深度及び画像座標を、前記複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換し、前記複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から移動体の走行可能領域を決定するプロセッサと、を備える
撮像装置。
【請求項10】
移動体であり、
本体と、
前記本体の所定の位置に所定の姿勢で固定されており、撮像により画像信号を生成する撮像部と、
前記画像信号に相当する撮像画像の複数の箇所における深度を推定し、前記複数の箇所における前記深度及び画像座標を、前記複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換し、前記複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から前記移動体の走行可能領域を決定するプロセッサと、を備える
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置、及び移動体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白線で囲まれるとともに車両を駐車させるために必要な面積が確保されたスペースを、駐車位置として検出する技術が、提案されている(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-10429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体が駐車等の所望の目的を達成するために走行する際に、走行経路近傍の立体物及び移動体自身の寸法を考慮して走行可能領域を決定することが要望されている。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、所望の目的を達成するように走行する際に、走行可能であるか否かを判別し得る画像処理装置、撮像装置、及び移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による画像処理装置は、
撮像画像を取得する画像インタフェースと、
前記撮像画像の複数の箇所における深度を推定し、前記複数の箇所における前記深度及び画像座標を、前記複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換し、前記複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から移動体の走行可能領域を決定するプロセッサと、を備える。
【0007】
また、第2の観点による撮像装置は、
撮像により画像信号を生成する撮像部と、
前記画像信号に相当する撮像画像の複数の箇所における深度を推定し、前記複数の箇所における前記深度及び画像座標を、前記複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換し、前記複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から移動体の走行可能領域を決定するプロセッサと、を備える。
【0008】
また、第3の観点による移動体は、
本体と、
前記本体の所定の位置に所定の姿勢で固定されており、撮像により画像信号を生成する撮像部と、
前記画像信号に相当する撮像画像の複数の箇所における深度を推定し、前記複数の箇所における前記深度及び画像座標を、前記複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換し、前記複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から前記移動体の走行可能領域を決定するプロセッサと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本開示に係る画像処理装置、撮像装置、および移動体によれば、所望の目的を達成するように走行する際に、走行可能であるか否かを判別し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る画像処理装置を含む撮像装置の移動体における位置を概念的に例示する外観図である。
図2図1の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】撮像画像中の各物点を鉛直上方から俯瞰した図を示す。
図4図2のプロセッサが駐車可能領域を算出する処理を説明する図である。
図5図2のプロセッサが駐車ロットを算出する処理を説明する図である。
図6図2のプロセッサが駐車可能領域を決定する処理を説明する図である。
図7図2のプロセッサが生成する画像を説明する図である。
図8図2のプロセッサが実行する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を適用した画像処理装置の実施形態が、図面を参照して説明される。
【0012】
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る画像処理装置を含む撮像装置10は、移動体11の本体12に搭載される。撮像装置10は、移動体11の周辺を撮像可能に取り付けられている。撮像装置10は、例えば、本体12の前方、後方、および左方、右方の少なくとも1つに設けられてよい。
【0013】
移動体11は、路面を移動可能な車両および航空機等を含んでよい。移動体11は、自動運転機能を有してよい。車両は、例えば自動車、産業車両、鉄道車両、生活車両、および滑走路を走行する固定翼機等を含んでよい。自動車は、例えば乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含んでよい。産業車両は、例えば農業および建設向けの産業車両等を含んでよい。産業車両は、例えばフォークリフトおよびゴルフカート等を含んでよい。農業向けの産業車両は、例えばトラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機等を含んでよい。建設向けの産業車両は、例えばブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラ等を含んでよい。車両は、人力で走行するものを含んでよい。車両の分類は、上述した例に限られない。例えば、自動車は、道路を走行可能な産業車両を含んでよい。複数の分類に同じ車両が含まれてよい。航空機は、例えば固定翼機および回転翼機等を含んでよい。
【0014】
撮像装置10は、移動体11の走行可能領域を決定する。撮像装置10は、移動体11の走行可能領域を、例えば、移動体11に搭載されるECU(Electronic Control Unit)などの外部機器に通知する。当該外部機器は、物体の種類および三次元座標の位置に基づいて、例えば、操舵、加速、および減速の操作を移動体11に実行させてよく、警報を乗員に向けて報知させてよい。また、撮像装置10は、三次元座標に基づく特定の視点からの画像を、画像信号として例えば運転者に視認可能な位置に設けられているディスプレイなどの外部機器に出力してよい。当該外部機器は、取得した画像信号に相当する画像を表示する。
【0015】
図2に示すように、撮像装置10は、撮像部13および画像処理装置14を含んで構成される。
【0016】
撮像部13は、移動体11の周辺を撮像して撮像画像を生成し、画像処理装置14に送信する。図1に示すように、撮像部13は、移動体11の本体12の所定の位置に、所定の姿勢で固定されてよい。本実施形態においては、撮像部13は、本体12の上下方向における屋根近傍で、前方の、幅方向における中央に位置してよい。撮像部13は、光軸が本体12の幅方向に垂直かつ、移動体11を静止させた状態で水平となるように、固定されていてよい。また、撮像部13には上下方向が定められており、撮像部13は、光軸から見て撮像部13の上下方向が本体12の上下方向に重なるように、固定されてよい。撮像部13は、本体12の、例えば、前方周辺を撮像することにより撮像画像を生成する。
【0017】
図2に示すように、画像処理装置14は、画像インタフェース15、記憶部16、送信部17、およびプロセッサ18を含んで構成される。
【0018】
画像インタフェース15は、画像処理装置14の外部機器からの多様な情報、および指令を受信する。画像インタフェース15は、例えば、撮像部13から撮像画像を取得する。
【0019】
記憶部16は、例えば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)など、任意の記憶デバイスを含む。記憶部16は、プロセッサ18を機能させる多様なプログラム、およびプロセッサ18が用いる多様な情報を記憶する。
【0020】
記憶部16は、二次元の画像座標及び深度からの、撮像部13の位置を基準にした三次元の世界座標(以後、「三次元座標」とも呼ぶ。)への座標の変換式または変換表を記憶してよい。世界座標は、本体12の前後方向、幅方向、および上下方向を軸としてよい。画像座標は、撮像部13の撮像画像における縦方向および横方向を軸としてよい。深度は、移動体11の撮像部13から撮像画像の各画素に対応する物点までの距離である。変換式または変換表は、撮像部13を本体12に固定する所定の位置および所定の姿勢に基づいて作成されていてよい。
【0021】
送信部17は、後述するプロセッサ18が画像処理により生成する情報を外部機器19に送信する。
【0022】
プロセッサ18は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。プロセッサ18は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。
【0023】
プロセッサ18は、受信する画像信号に相当する撮像画像の複数の箇所における深度を推定する。プロセッサ18は、任意の方法によって深度推定を行ってよい。プロセッサ18は、例えば、機械学習により構築された深度推定モデルを用いて、深度推定を行ってよい。プロセッサ18は、例えば撮像画像の各画素に対応する物点の、移動体11の撮像部13からの深度DEPTH_Yを推定してもよい。
【0024】
プロセッサ18は、複数の箇所における前記深度及び画像座標を、複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換する。具体的には、プロセッサ18は、複数の各箇所、言換えると各画素の画像座標(u,v)及び複数の箇所それぞれに対して推定した深度を用いて、世界座標に変換する。例えば、プロセッサ18は、画像座標から、変換式を用いて世界座標の単位ベクトル(ex,ey,ez)を算出する。プロセッサ18は、世界座標の単位ベクトルにおける奥行き方向成分座標eyで、推定した深度DEPTH_Yを割ることにより、スケール(実距離)パラメータKを算出する。Kは、世界座標の単位ベクトルと位置ベクトルとの比を示す。プロセッサ18は、Kを単位ベクトルの全成分(ex,ey,ez)に乗じることにより、世界座標を算出する。
【0025】
プロセッサ18は、画像から路面の種類を認識してよい。路面は、例えば、車道及び非車道路面である。路面の種類の認識は、任意の方法によって行われてよい。プロセッサ18は、例えば、上述した三次元座標から得られる路面の高度情報を利用して認識を行ってよい。一般に、車道と非車道路面との間には高低差がある。非車道路面は、車道よりも高いことが一般的である。プロセッサ18は、車道と非車道路面との間の高低差を利用して、路面の種類の認識精度を向上し得る。プロセッサ18は、非車道路面を駐車可能領域と判定する。
【0026】
プロセッサ18は、移動体11の駐車可能領域を決定してよい。具体的には、プロセッサ18は、図3に示されるように、歩道と認識された領域と、車道と認識された領域と、の境界に位置する画素の三次元座標の近似線lを決定する。図3において、点42,43は、歩道と認識された領域と、車道と認識された領域と、の境界に位置する画素の三次元座標を示す。本実施形態では、近似線は曲線である。近似線は直線であってもよい。
【0027】
プロセッサ18は、図4に示すように、近似線l上の任意の点を、駐車可能領域の判定の基準点Cに一時的に設定する。プロセッサ18は、基準点Cにおける近似線lの接線L(図5に示す)を算出する。プロセッサ18は、点Cを中心にして互いに幅wvで離れた、接線Lの垂線m、m’を算出する。幅wvは、移動体11の幅である。プロセッサ18は、接線L、垂線m、m’で囲繞される非車道路面において、接線Lとの距離が最小となる点群を抽出する。プロセッサ18は、当該点群と接線Lとの距離dminが移動体11の全長以上であるか否かを判別する。プロセッサ18は、当該距離dminが移動体11の全長以上である場合、接線L、垂線m、m’、及び抽出した点群に囲まれる、図4でハッチングされた空間Sp0を、駐車可能領域と判別する。
【0028】
抽出した点群について、プロセッサ18は、車道又は非車道路面と認識された領域の画素を抽出する。そして、プロセッサ18は、スケールパラメータKが第1閾値以下であり、高度が第2閾値以上であるときに、障害物と認識する。第1閾値は、例えば10メートルであってよい。第2閾値は、例えば移動体11が乗り越えることが困難な高さであり、10センチメートルであってよい。障害物の抽出は任意の方法によって行われてよい。
【0029】
なお、上述の垂線m、m’の算出と、点群及び接線Lとの距離dminの算出の説明では、便宜上、鉛直上方から俯瞰した図4が用いられ、垂線m、m’の幅wv及び距離dminは、駐車可能領域が水平である状態で図示されている。しかし、プロセッサ18は実際には、三次元座標を用いて、傾斜した路面における幅wv及び距離dminを算出する。上面視すると、傾斜した路面は実際よりも狭い。それゆえ、上面視による領域の大きさと、移動体11の幅及び全長を比較すると、駐車不可能と判別されうる。一方、プロセッサ18が、傾斜した路面に対して垂直な方向から見たサイズを算出して、移動体11のサイズと比較することにより、傾斜した路面に対しても高い精度で駐車の可否を判別し得る。
【0030】
プロセッサ18は、基準点Cを、幅wv未満の一定の間隔で近似線lに沿って移動させる。プロセッサ18は、その後、上述した処理を繰り返し行い、駐車可能領域を広げる。プロセッサ18は、点Cと近似線lの一端との距離が幅wv/2よりも小さくなった場合に、処理を終了する。図5で着色して示す幅Mの領域Sが、最終的な駐車可能領域である。プロセッサ18は、もう一方の近似線lbにおいても、同様の処理を行う。
【0031】
プロセッサ18は、駐車可能領域の寸法及び移動体11の寸法により、駐車ロット数を算出してよい。またプロセッサ18は、駐車可能領域の寸法及び移動体11の寸法により、どの向きで駐車可能か判定し得る。
【0032】
プロセッサ18は、駐車ロットを算出する。プロセッサ18は、複数の駐車ロットを算出してもよい。具体的には、プロセッサ18は、図5に示すように、駐車ロットの中心位置C’を算出する。本開示では、駐車可能領域の幅Mと移動体11の幅wvとの間の関係から、中心位置C’の算出方法が、分岐している。
【0033】
駐車可能領域の幅Mが移動体11の幅wvの1.5倍以下である場合には、プロセッサ18は、中心位置C’の位置を、駐車可能領域の幅方向中心に定める。
【0034】
駐車可能領域の幅Mが移動体11の幅wvの1.5倍より大きいときには、図5に示すように、プロセッサ18は、中心位置C’が撮像部13又は移動体11からできるだけ離れた位置になるように定める。言い換えれば、プロセッサ18は、C’の中心位置ができるだけ奥側になるように定める。中心位置C’が撮像部13又は移動体11からできるだけ離れた位置になることで、移動体11より後に他の移動体を駐車する運転手が、駐車可能領域を視認しやすくなる。具体的には、プロセッサ18は、中心位置C’の位置を、駐車可能領域の最奥である垂線mから、(移動体11の幅wv/2+α)だけ離隔させる。ここで、αは定数である。
【0035】
プロセッサ18は、中心位置C’における近似線lの接線Lを算出する。プロセッサ18は、点C’を中心にして互いに幅wvで離れた、接線Lの垂線m、m’を算出する。幅wvは、移動体11の幅である。プロセッサ18は、接線Lを、最小距離dminと移動体11の全長との差よりも小さい値である所定の距離βだけ、非車道路面側に移動させた直線であるl’’を算出する。プロセッサ18は、直線l’’を、移動体11の全長だけ平行移動させた直線l’を算出する。プロセッサ18は、4つの直線l’,l’’,m及びm’で囲まれた領域を1台分の駐車ロットSplとして算出する。
【0036】
プロセッサ18は、図5に示すように、三次元座標に基づく特定の視点から俯瞰した画像に、駐車可能領域に駐車した状態の移動体11を重畳させた画像60を生成してもよい。特定の視点は、例えば、移動体11の鉛直上方である。
【0037】
プロセッサ18は、移動体11の高さ(例えば1550ミリメートル)の制限に基づいて駐車ロットを算出してもよい。プロセッサ18は、4つの直線l’,l’’,m及びm’で囲まれた領域において、撮像画像から認識される障害物が、移動体11の高さまでの間に存在するか判別する。撮像画像から認識される障害物が路面から移動体11の高さまでの間に存在する場合、プロセッサ18は、4つの直線l’,l’’,m及びm’で囲まれた領域を駐車ロットから除外する。
【0038】
プロセッサ18は、点C’を幅wv未満の一定の間隔で近似線lに沿って移動させて同様の処理を繰り返し、2台目以降の駐車ロットを算出する。プロセッサ18は、点C’と近似線lの一端との距離が幅wv/2よりも小さくなった場合に、処理を終了する。プロセッサ18は、もう一方の近似線lbにおいても、同様の処理を行う。プロセッサ18は、2台目以降の駐車ロットの情報を、送信部17を介して、外部機器19(他の移動体等)に送信してもよい。
【0039】
プロセッサ18は、複数の箇所それぞれに対応する前記三次元座標から、移動体11が走行可能な領域を決定する。具体的には、立体情報を考慮しない場合の走行可能領域は、車道であると認識された領域と、駐車可能領域と、を合わせた領域である。図6の太線Lh1,Lh2の内側の領域が、立体情報を考慮しない場合の走行可能領域である。一方、立体情報を考慮する場合の走行可能領域について説明する。図6に示すように、プロセッサ18は、駐車可能領域と車道との境界近傍Sの中において、一定の高さ以上の障害物が存在するか確認する。このような障害物が確認された場合には、図7に示すように、プロセッサ18は、走行可能領域から当該障害物付近の領域Soを除外する。
【0040】
ここで、プロセッサ18は、図7に示すような、三次元座標に基づく特定の視点から俯瞰した画像に、決定した走行経路上又は該走行経路の近傍に位置する障害物の少なくとも一部を重畳させた画像70を生成してもよい。
【0041】
プロセッサ18は、走行可能領域に基づいて、移動体11の走行経路を計算してよい。プロセッサ18は、走行経路の計算を任意の方法によって行ってよい。プロセッサ18は、障害物の少なくとも一部を回避するように走行経路を計算してよい。
【0042】
次に、本実施形態においてプロセッサ18により実行される、走行可能領域を決定する処理が、図8のフローチャートを用いて説明される。走行可能領域を決定する処理は、例えば、移動体11が事前に登録された駐車場に近接する場合に開始しても良いし、運転者の指示により開始しても良い。
【0043】
ステップS100において、プロセッサ18は、撮像部13に画像を撮像させる。プロセッサ18は、画像インタフェース15を介して、撮像部13に生成させた撮像画像を取得する。ステップS101において、プロセッサ18は、受信した画像信号に相当する画像(以下、「撮像画像」という)に対して深度推定を行う。ステップS102において、プロセッサ18は、撮像画像の各画素に対してステップS101において推定した深度を用いて、三次元座標変換を行う。ステップS103において、プロセッサ18は、撮像画像から路面の種類を認識する。
【0044】
ステップS104において、プロセッサ18は、撮像画像から障害物を抽出する。ステップS105において、プロセッサ18は、駐車可能領域を算出する。ステップS106において、プロセッサ18は、駐車ロットを算出する。ステップS107において、プロセッサ18は、走行可能領域を算出する。ステップS108において、プロセッサ18は、走行可能領域を通る走行経路を計算する。計算後、走行可能領域を算出する処理は、終了する。
【0045】
以上のような構成の本実施形態の画像処理装置14は、撮像画像の複数の箇所における深度を推定し、複数の箇所における深度及び画像座標を、複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に変換し、複数の箇所それぞれに対応する三次元座標から移動体11が走行可能領域を決定する。このような構成により、画像処理装置14は駐車時に、撮像画像の複数の箇所それぞれに対応する三次元座標に基づいて、障害物を把握し得る。
【0046】
また、本実施形態の画像処理装置14は、画像から路面の種類を認識し、路面の種類に基づいて移動体11が駐車可能領域を決定する。このような構成により、画像処理装置14は、白線で囲まれていない場所に対しても適切に駐車可能領域を決定し得る。
【0047】
また、本実施形態の画像処理装置14では、プロセッサ18が、画像インタフェース15が取得した撮像画像に基づいて、走行可能領域を決定する。障害物の検出に超音波を用いることが考えられる。しかし、超音波センサは測定範囲が短いため、移動体が障害物に近接する範囲に近接することにより初めて当該障害物が検出されることもあり得る。それゆえ、障害物の検出前に算出された走行経路が検出後に再計算されるため、移動体の切り返し等が必要であった。その結果、駐車に長時間かかっていた。このような事象に対し、上述の構成を有する本実施形態の画像処理装置14では、超音波センサよりも広い範囲まで撮像可能な撮像部13の撮像画像を用いて、障害物を検出する。それゆえ、画像処理装置は、遠方において障害物の検出漏れを低減させ得る。したがって、画像処理装置は、移動体の切り返しや走行経路の再計算を低減させ、速やかに駐車させ得る。
【0048】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0049】
10 撮像装置
11 移動体
12 本体
13 撮像部
14 画像処理装置
15 画像インタフェース
16 記憶部
17 送信部
18 プロセッサ
19 外部機器
60,70 画像
l,lb 近似線
C 中心位置
L 接線
l’,l’’,m,m’ 直線
Lh1,Lh2 太線
wv 移動体の幅
dmin 接線Lと点群との最小距離
M 駐車可能領域の幅
p0 駐車可能領域と判別された領域
駐車可能領域
pl 駐車ロット
S 駐車可能領域と車道との境界近傍
So 障害物付近の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8