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特開2023-2909鋼板搬送設備の点検方法及び鋼板の製造方法
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  • 特開-鋼板搬送設備の点検方法及び鋼板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002909
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】鋼板搬送設備の点検方法及び鋼板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 39/08 20060101AFI20221228BHJP
   B21B 39/14 20060101ALI20221228BHJP
   B65H 20/24 20060101ALI20221228BHJP
   B65H 27/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B21B39/08 B
B21B39/14 J
B65H20/24
B65H27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103754
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100174285
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮山 聰
(72)【発明者】
【氏名】柴田 明道
(72)【発明者】
【氏名】河田 諒
(72)【発明者】
【氏名】長安 伸樹
【テーマコード(参考)】
3F103
3F104
【Fターム(参考)】
3F103AA05
3F103CA08
3F104AA05
3F104FA01
(57)【要約】
【課題】搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールにおけるロール間の高さ差を簡便に検査することができる、鋼板搬送設備の点検方法を提供する。
【解決手段】鋼板搬送設備の点検方法は、鋼板の連続処理ラインに配置され、搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールを備える鋼板搬送設備の点検方法であって、連続処理ラインの停止中に、鋼板搬送設備内の鋼板の張力を弱める工程(ステップS1)と、一対のロールの各々と張力を弱めた鋼板との間の隙間の有無を検査する検査工程(ステップS2)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の連続処理ラインに配置され、搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールを備える鋼板搬送設備の点検方法であって、
前記連続処理ラインの停止中に、前記鋼板搬送設備内の前記鋼板の張力を弱める工程と、
前記一対のロールの各々と張力を弱めた前記鋼板との間の隙間の有無を検査する検査工程とを備える、鋼板搬送設備の点検方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鋼板搬送設備の点検方法であって、
前記一対のロールの各々は、軸方向が水平面内において前記鋼板の幅方向から傾斜している、鋼板搬送設備の点検方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鋼板搬送設備の点検方法であって、
前記鋼板搬送設備は、ルーパーである、鋼板搬送設備の点検方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の鋼板搬送設備の点検方法であって、
前記隙間の有無は、前記一対のロールの各々と張力を弱めた前記鋼板との間に光を照射し、前記鋼板からの反射光を観察することで行う、鋼板搬送設備の点検方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の鋼板搬送設備の点検方法であって、
前記検査工程で隙間があったとき、前記一対のロールにおけるロール間の高さ差を測定する測定工程をさらに備える、鋼板搬送設備の点検方法。
【請求項6】
請求項5に記載の鋼板搬送設備の点検方法であって、
前記測定工程で測定した高さ差が予め定めた閾値以上のとき、前記一対のロールにおけるロール間の高さ差を調整する調整工程をさらに備える、鋼板搬送設備の点検方法。
【請求項7】
請求項6に記載の鋼板搬送設備の点検方法であって、
前記閾値が4.0mmである、鋼板搬送設備の点検方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の鋼板搬送設備の点検方法を行う工程と、
前記鋼板搬送設備を用いて鋼板を搬送する工程とを備える、鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板搬送設備の点検方法及び鋼板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板搬送設備のなかには、搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールを備えたものがある。このようなロールの例として、鋼板の連続処理ラインのルーパーに配置されるスイングサポートロールが挙げられる。
【0003】
ルーパーは、鋼板の連続処理ライン(以下、単に「ライン」という場合がある。)内で鋼板をループ状に貯蔵する設備である。ルーパーは、ライン内の一部のセクションでラインの停止や減速が発生しても、他のセクションでの運転を継続できるようする役割を担っている。具体的には例えば、入側でラインの停止や減速が発生した場合であっても、ループカーと呼ばれる台車を移動させて予め貯蔵しておいた鋼板を払い出すことで、出側の速度を維持することができる。ルーパーに配置されるスイングサポートロールは、ループカーが通過する際にその進路から速やかに退避させることができるように、鋼板の幅方向に分割して配置される場合がある。
【0004】
また、スイングサポートロールに限らないが、鋼板の幅方向に分割して配置された一対のロールを用いて、搬送される鋼板の偏りや蛇行を抑制する技術が知られている。例えば実開昭62-123309号公報には、走向するストリップのセンターラインの両側にストリップ面に対して平行に回動すべく配設された少なくとも1対の接触ローラーと、該ローラーの回動を司りそのスキュー角を変化させる回動機構と、ストリップの蛇行量に応じたスキュー角を算定し回動機構に指令するスキュー角制御器とからなるストリップの蛇行修正装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62-123309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鋼板の搬送方向に分割して設けられた一対のロールでは、一方のロールと他方のロールとの間で高さ差が生じる場合がある。高さ差が生じると、低い位置にあるロールは、高い位置にあるロールと比較して鋼板との接触面積が小さくなる。
【0007】
ロールは鋼板と軽く接触するだけで回転するため、鋼板搬送設備の動作中のロールの回転状況から高さ不良のロールを特定することは困難である。そのため、鋼板搬送設備の停止中に各ロールの高さを測定して、高さ差の有無を検査する必要がある。
【0008】
一方、ロールは床面から2mといった比較的高い位置に配置されている場合があり、精度よく測定するのは手間がかかる。また、ルーパーには100本以上のロールが配置されている場合があり、さらにロールの構造によっては1本のロールについて複数箇所の測定が必要な場合がある。そのため、測定箇所が数百点以上になる場合がある。
【0009】
これらの理由により、鋼板搬送設備内のすべてのロールの高さを測定して不良箇所を特定するためには長時間を必要とする。その間ラインを停止する必要があり、生産量の低下に繋がる。
【0010】
本発明の課題は、搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールにおけるロール間の高さ差を簡便に検査することができる、鋼板搬送設備の点検方法を提供することである。本発明の他の目的は、生産性の高い鋼板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による鋼板搬送設備の点検方法は、鋼板の連続処理ラインに配置され、搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールを備える鋼板搬送設備の点検方法であって、前記連続処理ラインの停止中に、前記鋼板搬送設備内の前記鋼板の張力を弱める工程と、前記一対のロールの各々と張力を弱めた前記鋼板との間の隙間の有無を検査する検査工程とを備える。
【0012】
本発明の一実施形態による鋼板の製造方法は、上記の鋼板搬送設備の点検方法を行う工程と、前記鋼板搬送設備を用いて鋼板を搬送する工程とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールにおけるロール間の高さ差の有無を簡便に検査することができる。これによって、検査のためにラインを停止する時間を短縮することができ、鋼板の生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態による鋼板搬送設備の点検方法のフロー図である。
図2図2は、ルーパーの一例の構成の模式的に示す側面図である。
図3図3は、図2のルーパーの模式的平面図である。
図4図4は、鋼板の張力を弱めた状態を鋼板の幅方向から見た模式図である。
図5図5は、鋼板の張力を弱めた状態を鋼板の搬送方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による鋼板搬送設備の点検方法のフロー図である。本実施形態による点検方法は、鋼板の連続処理ラインに配置され、搬送される鋼板の幅方向に分割して設けられた一対のロールを備える鋼板搬送設備の点検方法である。
【0017】
本実施形態による点検方法は、連続処理ラインの停止中に、鋼板搬送設備内の鋼板の張力を弱める工程(ステップS1)と、一対のロールの各々と張力を弱めた鋼板との間の隙間の有無を検査する検査工程(ステップS2)とを備えている。本実施形態による点検方法はさらに、検査工程(ステップS2)で隙間があったとき、一対のロールにおけるロール間の高さ差を測定する測定工程(ステップS3)と、測定工程(ステップS3)で測定した高さ差が予め定めた閾値以上のとき、一対のロールにおけるロール間の高さ差を調整する調整工程(ステップS4)とを備えている。
【0018】
[鋼板搬送設備]
以下では、点検の対象となる鋼板搬送設備がルーパーである場合を説明する。図2及び図3は、ルーパーの一例であるルーパー1の構成を模式的に示す図である。図2は側面図であり、図3は平面図である。ルーパー1は、複数のロール対11と、ループカー12とを備えている。ロール対11の各々は、図3に示すように、鋼板Sの幅方向(y方向)に分割して設けられた一対のロール(ロール11A及びロール11B)からなる。換言すれば、ルーパー1は、鋼板Sの幅方向に分割して設けられた一対のロール(ロール11A及びロール11B)からなるロール対11を複数備えている。
【0019】
ルーパー1は、いわゆる横型のルーパーであり、鋼板の連続処理ラインに配置され、図2に示すように鋼板Sを多層のループ状に貯蔵する。ロール対11は、鋼板Sが自重で撓んで下層の鋼板Sと接触するのを防止するため、各層の鋼板Sを下方から支持するために配置されている。ロール対11は具体的には、鋼板Sの搬送方向(x方向)に沿って所定の間隔で配置された複数の支柱13の各々に、高さ方向(z方向)の異なる複数の位置に配置されている。
【0020】
ルーパー1は例えば、溶接機(不図示)と熱処理炉(不図示)との間に配置される。ルーパー1は、ループカー12を移動させることによって、ループの長さLを変更できるように構成されている。これによって例えば、入側でラインの停止や減速が発生した場合であっても、ループカー12を移動させてループの長さLを短くし、予め貯蔵しておいた鋼板Sを払い出すことで、出側の速度を維持することができる。
【0021】
図3に示すように、ロール11A及びロール11Bは、鋼板Sの幅方向の中心を通る線CLに対して概ね対称に配置されている。すなわち、ロール11A及びロール11Bはそれぞれ、鋼板Sの搬送方向(x方向)の概ね同じ位置において、鋼板Sの幅方向の一端側と他端側とに配置されている。また、ロール11A及びロール11Bは、概ね同じ高さ(同じz方向の位置)に配置されている。
【0022】
ロール11A及びロール11Bの各々は、支柱13側の端部を固定端として水平面内(xy面内)で回転できるように構成されている。より具体的には、ロール11A及びロール11Bの各々は、支柱13に取り付けられた架台14の上に固定されており、架台14の角度を変えることによって、ロール11A及びロール11Bの軸方向の向きを変えられるように構成されている。この構成によれば、ループカー12が通過する際、架台14の角度を変えることで、ロール11A及びロール11Bをループカー12の進路の外側に退避させることができる。
【0023】
また、ロール11A及びロール11Bの各々は、鋼板Sを搬送する際、図3に示すように、軸方向が水平面内(xy面内)において鋼板Sの幅方向(y方向)から角度θだけ傾斜して配置されている。より具体的には、ロール11A及びロール11Bの軸方向は、水平面内において、幅方向の中心から外側に向かうにしたがって搬送方向(x方向)の下流側(図3では左側)になるように傾斜している。角度θは、これに限定されないが、例えば0°超5°以下である。ロール11Aの角度θとロール11Bの角度θとは、絶対値が概ね同一であることが好ましい。この構成によれば、鋼板Sは、ロール11A及びロール11Bの各々から、摩擦力によって鋼板Sの幅方向の中心に向かうセンタリング力Fを受ける。これによって、鋼板Sの偏りや蛇行を抑制することができる。
【0024】
[鋼板Sの張力を弱める工程]
再び図1を参照して、本実施形態による点検方法の説明を続ける。まず、連続処理ラインの停止中に、ルーパー1内の鋼板Sの張力を弱める(ステップS1)。より具体的には、ルーパー1内に鋼板Sがある状態でルーパー1内の鋼板Sの張力を弱め、鋼板Sがロール11A及びロール11Bにもたれかかる状態にする。ルーパー1内の鋼板Sの張力を弱める工程は例えば、鋼板Sの張力を制御しているループカー12の電源を落とすことによって行うことができる。
【0025】
[検査工程]
鋼板Sの張力を弱めた状態で、ロール11A及びロール11Bの各々と鋼板Sとの間の隙間の有無を検査する(ステップS2)。
【0026】
図4及び図5は、鋼板Sの張力を弱めた状態を示す模式図である。図4は鋼板Sの幅方向(y方向)から見た図であり、図5は鋼板Sの搬送方向(x方向)から見た図である。ロール11Aとロール11Bとの間の高さ差Δが所定の大きさ以上になると、ロール11A及びロール11Bのうちの高さの低い方のロール(図5ではロール11B)と鋼板Sとの間に隙間ができる。より具体的には、高さの低い方のロールの、鋼板Sの幅方向の中心に近い側の端部の近傍(図5において破線で囲った部分)に隙間ができる。
【0027】
このことから、ロール11A又はロール11Bと鋼板Sとの間に隙間があれば、高さ差Δが所定の大きさ以上であると判断することができる。反対に、隙間がなければ、高さ差Δが所定の大きさ未満であると判断することができる。
【0028】
隙間の有無は、より具体的には例えば、ロール11A又はロール11Bと鋼板Sとの間に光を照射し、鋼板Sからの反射光を観察することで判断することができる。
【0029】
隙間の有無はまた、ロール11A又はロール11Bと鋼板Sとの間に光を照射し、ロール11A又はロール11Bと鋼板Sとの隙間からの透過光を観察することで判断することもできる。この場合例えば、二人一組となって、一方がロール11A又はロール11Bと鋼板Sとの間に光を照射し、他方がロール11A又はロール11Bと鋼板Sとの隙間からの透過光を観察するようにしてもよい。
【0030】
例えば、光源として一般的な手持ち灯を使用し、反射光又は透過光を目視で観察して隙間の有無を判断してもよい。なお、より輝度の高い光源を用いたり、高精度なセンサを用いたりすれば、手持ち灯と目視とでは観察できないより微小な隙間を検出できる可能性がある。いずれの場合も、隙間の有無を判断する条件を一定にして検査をすれば、高さ差Δがこれに対応した所定の大きさ以上であるかどうかを判断することができる。
【0031】
隙間の有無はあるいは、隙間ゲージを用いて検査してもよい。
【0032】
[測定工程]
検査工程(ステップS2)で隙間があったとき、ロール11A及びロール11Bの間の高さ差Δを測定する(ステップS3)。すなわち、検査工程(ステップS2)で隙間があったロール対11について、ロール11A及びロール11Bの間の高さ差Δを測定する。具体的には例えば、ロール11A及びロール11Bの各々の高さをメジャーや直尺で測定し、高さ差Δを求める。
【0033】
この測定工程(ステップS3)は、鋼板Sの張力を弱める工程(ステップS1)及び検査工程(ステップS2)でラインを停止したのと同じタイミングで行ってもよいし、これとは異なるタイミングで行ってもよい。例えば一つの停止期間内に、検査工程(ステップS2)と測定工程(ステップS3)とを行ってもよい。あるいは、一つの停止期間では予備点検として検査工程(ステップS2)だけを行い、ラインを稼働させた後、別の停止期間に測定工程(ステップS3)を行うようにしてもよい。
【0034】
[調整工程]
測定工程で測定した高さ差Δが予め定めた閾値以上のとき、ロール11A及びロール11Bの間の高さ差Δを調整する(ステップS4)。すなわち、測定工程(ステップS3)で測定した高さ差Δが予め定めた閾値以上であったロール対11について、ロール11A及びロール11Bの間の高さ差Δを調整する。具体的には例えば、任意の基準面(例えば床面)からのロール11A側の架台14の高さ、架台14からのロール11Aの高さ、上記の基準面からのロール11B側の架台14の高さ、及び架台14からのロール11Bの高さの一つ以上を調整し、高さ差Δが閾値未満になるようにする。閾値は、これに限定されないが、例えば4.0mmとすることができる。閾値は、より好ましくは3.0mmである。
【0035】
この調整工程(ステップS4)は、測定工程(ステップS3)でラインを停止したのと同じタイミングで行ってもよいし、これとは異なるタイミングで行ってもよい。
【0036】
例えば、検査工程(ステップS2)、測定工程(ステップS3)、及び調整工程(ステップS4)のすべてを、一つの停止期間に行ってもよい。反対に、検査工程(ステップS2)、測定工程(ステップS3)、及び調整工程(ステップS4)のそれぞれを別の停止期間に行ってもよい。また、検査工程(ステップS2)と測定工程(ステップS3)とを一つの停止期間に行い、調整工程(ステップS4)を別の停止期間に行ってもよい。あるいは、検査工程(ステップS2)を一つの停止期間に行い、測定工程(ステップS3)と調整工程(ステップS4)とを別の停止期間に行ってもよい。
【0037】
[鋼板の製造方法]
本発明の一実施形態による鋼板の製造方法は、上記の調整工程(ステップS4)で調整された鋼板搬送設備を用いて、鋼板を搬送する工程を備える。
【0038】
[本実施形態による効果]
前述のとおり、ロール11A及びロール11Bはもともと、概ね同じ高さに配置されている。しかし、設備の運転状況によって、ロール11Aとロール11Bとの間で高さ差Δが生じる場合がある。
【0039】
一方、ロール11A及びロール11Bは床面から2mといった比較的高い位置に配置されている場合があり、精度よく測定するのは手間がかかる。また、ルーパー1にはロール11A及びロール11Bが合計で100本以上配置されている場合があり、さらにロールの構造によっては1本のロールについて複数箇所の測定が必要な場合がある。そのため、測定箇所が数百点以上になる場合がある。
【0040】
本実施形態による検査方法は、連続処理ラインの停止中に、鋼板Sの張力を弱める工程(ステップS1)と、ロール11A及びロール11Bの各々と張力を弱めた鋼板Sとの間の隙間の有無を検査する検査工程(ステップS2)とを備える。本実施形態によれば、ロール11A及びロール11Bの間の高さ差Δが所定の大きさ以上であるか否かを簡便に判断することができる。これによって、高さ不良の可能性のあるロール対11を迅速に特定することができ、ルーパー1内の全てのロール11A及びロール11Bの高さを測定する場合と比較して、点検にかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0041】
これに加えて例えば、ルーパー1内の複数のロール対11のうち、検査工程(ステップS2)で特定されたロール対11について測定工程(ステップS3)、及び必要に応じて調整工程(ステップS4)を行うことで、ロール11A及びロール11Bの高さの測定や調整にかかる時間を大幅に短縮することができる。また、ラインを停止する時間を大幅に短縮することができるため、鋼板の生産性を向上させることができる。
【0042】
また、図3で示した例のように、ロール11A及びロール11Bの軸方向が水平面内において鋼板Sの幅方向から傾斜して配置されている場合において、ロール11A及びロール11Bの間に高さ差Δが生じていると、鋼板Sがロール11A及びロール11Bから受けるセンタリング力Fのバランスが崩れ、鋼板Sの偏りや蛇行の原因となる場合がある。ルーパー1内において鋼板Sの偏りや蛇行が生じていると、ループの長さL(図2)を長くすることができない場合がある。
【0043】
本実施形態によれば、高さ不良の生じているロール対11を迅速に特定し、調整することで、鋼板Sの偏りを抑制することができる。これによって、ループの長さLをより長くすることができ、ルーパー1の性能をより発揮することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示にすぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ルーパー(鋼板搬送設備)
S 鋼板
11 ロール対
11A、11B ロール
12 ループカー
13 支柱
14 架台
図1
図2
図3
図4
図5