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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029129
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20230224BHJP
【FI】
G02B30/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135243
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】尾形 洋一
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA06
2H199BA26
2H199BA32
2H199BA49
2H199BB20
2H199BB22
2H199BB29
2H199BB52
(57)【要約】
【課題】レーザ光や電磁波または粒子線の照射領域を直感的に視認できる装置を提供する。
【解決手段】所定の位置に対して電磁波(EM)または粒子線を照射する照射部(11)と、所定の位置から反射された電磁波(EM)または粒子線衝突の反応を測定する測定部(12)と、実像または虚像を結像させて空中に表示する空中結像表示部(14)とを備え、空間結像表示部(14)は、実像または虚像を所定の位置に重ね合わせて結像させる装置(100)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に対して電磁波または粒子線を照射する照射部と、
前記所定の位置から反射された前記電磁波または前記粒子線衝突の反応を測定する測定部と、
実像または虚像を結像させて空中に表示する空中結像表示部とを備え、
前記空間結像表示部は、前記実像または虚像を前記所定の位置に重ね合わせて結像させることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記所定の位置方向の画像を視線画像として撮像する撮像部と、
前記照射部、前記測定部、前記撮像部および前記空中結像表示部を搭載する搭載部と、
前記搭載部を移動させる駆動部とを備え、
前記空中結像表示部は、前記撮像部に対して前記実像または虚像を結像させることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記視線画像を表示する画像表示部と、
前記駆動部を遠隔操作する遠隔操作部とを備えることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の装置であって、
所定の範囲を探査領域とし、
前記所定の位置を前記探査領域内で変更する照射位置変更部を備え、
前記空中結像表示部は、領域提示画像を前記探査領域に重ね合わせて結像させることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記空中結像表示部は、前記領域提示画像を含んだ画像照射光を照射する画像照射部と、
前記画像照射光を空中に結像させる結像光学部とを備え、
前記探査領域の変化と連動して、前記結像光学部に対する前記画像照射部の相対位置を変化させる投影変動部を備えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一つに記載の装置であって、
前記照射部が照射する前記電磁波または前記粒子線は、紫外光、可視光、赤外光、テラヘルツ波、ミリ波、マイクロ波、アルファ線、ベータ線またはガンマ線の何れかであることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関し、特に電磁波または粒子線を照射する範囲を空中に結像して表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象物を探索するためにレーザ光や電磁波を照射し、反射した光や電磁波を測定することで、対象物を認識して特定する探索装置が提案されている(例えば特許文献1を参照)。また、人間の到達が困難な場所や空間での作業では、探索装置が搭載された移動体を遠隔操作して、移動体に取り付けられた照射装置からレーザ光や電磁波を照射することが提案されている。
【0003】
このような探索装置では、探索範囲の領域に照射するレーザ光や電磁波は可視光ではなく、人間の目ではどの範囲を探索しているかを直接視認することができなかった。そのため、どの領域に対してレーザ光や電磁波が照射されているかを認識するために、画像表示装置を用いて照射領域を示す画像を背景に重ね合わせることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/1987809号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画面を通しての視認では画面上の表示内容と現実空間との関連性が乏しく、直感的で臨場感のある方法で照射領域を視認することは困難だった。照射領域をより直感的に視認することができれば、対象物を検知した後の動作を迅速に行うことや、移動体の遠隔操作をより迅速かつ適切に行うことが可能となる。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、レーザ光や電磁波または粒子線の照射領域を直感的に視認できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の装置は、所定の位置に対して電磁波または粒子線を照射する照射部と、前記所定の位置から反射された前記電磁波または前記粒子線衝突の反応を測定する測定部と、実像または虚像を結像させて空中に表示する空中結像表示部とを備え、前記空間結像表示部は、前記実像または虚像を前記所定の位置に重ね合わせて結像させることを特徴とする。
【0008】
このような本発明の装置では、電磁波または粒子線を照射する位置に重ね合わせて、空中結像表示部で実像または虚像を空中に結像させることで、電磁波または粒子線の照射領域を直感的に視認できる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記所定の位置方向の画像を視線画像として撮像する撮像部と、前記照射部、前記測定部、前記撮像部および前記空中結像表示部を搭載する搭載部と、前記搭載部を移動させる駆動部とを備え、前記空中結像表示部は、前記撮像部に対して前記実像または虚像を結像させる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記視線画像を表示する画像表示部と、前記駆動部を遠隔操作する遠隔操作部とを備える。
【0011】
また、本発明の一態様では、所定の範囲を探査領域とし、前記所定の位置を前記探査領域内で変更する照射位置変更部を備え、前記空中結像表示部は、領域提示画像を前記探査領域に重ね合わせて結像させる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記空中結像表示部は、前記領域提示画像を含んだ画像照射光を照射する画像照射部と、前記画像照射光を空中に結像させる結像光学部とを備え、前記探査領域の変化と連動して、前記結像光学部に対する前記画像照射部の相対位置を変化させる投影変動部を備える。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記照射部が照射する前記電磁波または前記粒子線は、紫外光、可視光、赤外光、テラヘルツ波、ミリ波、マイクロ波、アルファ線、ベータ線またはガンマ線の何れかである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、レーザ光や電磁波または粒子線の照射領域を直感的に視認できる装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る探査装置100の概要を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る探査装置100について示す模式図である。
図3】電磁波EMまたは粒子線の照射と画像の空中への結像を模式的に示す斜視図である。
図4】電磁波EMまたは粒子線を照射する照射可能範囲V2と探索領域V1との関係を示す図である。
図5】第2実施形態に係る探査装置110の概要を示すブロック図である。
図6】第2実施形態に係る探査装置110について示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態に係る探査装置100の概要を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の探査装置100は、照射部11と、測定部12と、照射位置変更部13と、空中結像表示部14と、投影変動部15を備えている。また、探査装置100には各部と情報通信可能に接続されて、各部を制御する制御部を備えている(図示省略)。
【0017】
照射部11は、制御部からの制御信号に基づいて、外部の探査位置(所定の位置)に対して電磁波または粒子線を照射する部分である。照射する電磁波または粒子線は限定されないが、紫外光、可視光、赤外光、テラヘルツ波、ミリ波、マイクロ波、アルファ線、ベータ線またはガンマ線の何れかであることが好ましい。特に、探査対象である対象物が特定の波長帯域を吸収する性質を備えている場合には、当該波長帯域の電磁波を用いることが好ましい。また、照射部11の具体的構成も限定されず、半導体レーザ装置やLiDAR(Light Detection And Ranging)装置、電磁波照射装置等の公知のものを用いることができる。
【0018】
照射部11から照射される電磁波または粒子線と探査する対象物の例としては、テラヘルツ波による爆発物(C3,C4爆薬等)の探査、赤外線による生物探査、可視光と画像認識による物体の探査、ミリ波による加熱とそれによる発熱を調査することによる物質探査、マイクロ波による埋設物探査などが挙げられる。また、対象物の探査以外の用途としては、アルファ線やベータ線等の粒子線やガンマ線を照射して対象物である電子機器を破壊または機能停止させる用途が挙げられる。また、赤外光センサを用いた電子機器を対象物として、赤外光を照射して信号を伝達する用途例も挙げられる。
【0019】
測定部12は、対象物または非対象物によって反射された電磁波または、対象物による電磁波吸収や粒子線衝突によって生じる他の電磁波や反応を測定し、制御部に伝達する部分である。測定部12は、照射部11から照射される電磁波または粒子線による反応を検出できれば具体的構成は限定されず、受光素子や電波測定器等の公知のものを用いることができる。測定部12での測定結果に基づいて、探査装置100の制御部では照射領域情報として照射領域における対象物の有無や、対象物の形状等を判定する。制御部での照射領域情報の判定には、公知の画像認識技術や電磁波反射率の算出による対象物検知を用いることができる。
【0020】
照射位置変更部13は、制御部からの制御信号に基づいて、照射部11から照射される電磁波または粒子線の照射される領域を変更する部分である。照射位置変更部13の具体的構成は限定されないが、照射部11の向きを機械的に変更するモータ装置や、照射部11から照射された電磁波を光学的に走査するDMD(デジタルミラーデバイス)や、電磁波の指向性を制御する装置等の公知のものを用いることができる。
【0021】
空中結像表示部14は、実像または虚像を空中に結像させて視点に対して表示する部分である。空中結像表示部14の具体的構成は限定されないが、導波路と回折格子を用いた眼鏡型のHUD(Head Up Display)装置や、再帰反射板を用いたHUD装置等を用いることができる。空中結像表示部14としては、空中における複数の位置に異なる画像を結像することが可能なものを用いることが好ましい(例えば、特開2021-047234号公報、特開2021-089396号公報、特開2021-096284号公報等を参照)。
【0022】
また空中結像表示部14は、画像照射光を照射する画像照射部と、画像照射光を空中に結像させる結像光学部とを備える構成とすることが好ましい。画像照射部はレーザ光源や液晶表示装置、有機EL表示装置等が挙げられる。結像光学部は、画像照射部から照射された画像照射光を導波するとともに、空中で結像するように視点方向に画像照射光を投影する光学要素を備えた部分である。
【0023】
投影変動部15は、所定の範囲を探査領域と設定し、探査領域が変更された場合に、探査領域の変化と連動して、空中結像表示部14での実像または虚像の結像位置と視点との位置を相対的に変化させる部分である。空中結像表示部14が画像照射部と結像光学部とを備えている場合には、画像照射部または/および結像光学部を機械的に駆動して、互いの装置位置を変化させるとしてもよい。または、画像照射光に含まれる画像の表示位置を相対的に変化させるとしてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係る探査装置100について示す模式図である。図2に示した例では、視聴者の肩に照射部11、測定部12および照射位置変更部13が装着され、視聴者の頭部に眼鏡型の空中結像表示部14および投影変動部15が装着されている。各部の装着位置は図2に示した例に限定されず、また、各部が別体として装着されても、複数部分を一つの筐体に収容してまとめて装着するとしてもよい。
【0025】
図2に示したように、照射部11は制御部の制御に基づいて指向性を持った電磁波EMを視聴者の前方に照射する。ここでは電磁波EMを用いた例を示しているが、粒子線を照射する場合も同様である。また、照射位置変更部13は制御部の制御に基づいて照射部11から照射される電磁波EMの照射方向を変更する。制御部は、視聴者の視点eからの画角を求め、照射部11から照射される電磁波EMが、視点eから視線方向を視認した場合の画角内においてどの方向に位置するかを算出する。その後、制御部は、虚像または実像であるインジケータ画像A2を空中に結像して、探査位置に重ね合わせて表示する。
【0026】
また、制御部は電磁波EMを照射する範囲を探査領域V1として設定して、探査領域V1の範囲内に対してのみ電磁波EMを照射するようにしてもよい。この場合には、制御部は視点eからの画角内において探査領域V1をどの範囲に対応するかを算出する。その後、制御部は、虚像または実像である領域提示画像A1を空中に結像して、探査領域V1に重ね合わせて表示する。
【0027】
また、制御部は探査領域V1の位置を変更するとしてもよい。探査領域V1の位置を変更した場合には、制御部は視点eの画角内における探査領域V1の範囲を再度算出するとともに、領域提示画像A1の表示位置を再度算出して結像位置を変化させる。ここで、空中結像表示部14の表示可能領域内において、探査領域V1および領域提示画像A1を変化させる場合には、通常の空中結像における表示位置の変更を行う。空中結像表示部14の表示可能領域を超えて、探査領域V1および領域提示画像A1を変化させる場合には、投影変動部15を用いて空中結像表示部14の移動を行う。
【0028】
空中結像表示部14として、領域提示画像A1を含んだ画像照射光を照射する画像照射部と、画像照射光を空中に結像させる結像光学部との組み合わせを用いる場合には、探査領域V1の変化と連動して、投影変動部15で結像光学部に対する画像照射部の相対位置を変化させる。
【0029】
図3は、電磁波EMまたは粒子線の照射と画像の空中への結像を模式的に示す斜視図である。照射位置変更部13を用いて電磁波EMを照射可能な全範囲を照射可能範囲V2とする。照射可能範囲V2内における所定の範囲が探査領域V1として設定されている。照射部11は電磁波EMを照射し、照射位置変更部13が電磁波EMの照射位置を探査領域V1内で走査する。空中結像表示部14は、視聴者の視点eから視線方向において、領域提示画像A1を探査領域V1に重ね合わせて結像する。また空中結像表示部14は、電磁波EMが照射されている探査位置にインジケータ画像A2を重ね合わせて結像する。
【0030】
空中結像表示部14を用いて、領域提示画像A1およびインジケータ画像A2を空中に結像して表示することで、視聴者は電磁波EMが照射される探査領域V1と、実際に電磁波EMが照射されている探査位置を背景と重ね合わせて視認することができる。また、領域提示画像A1およびインジケータ画像A2は、奥行き感を持った虚像または実像として空中に結像され、視点eからの距離も変更可能であるため、実空間を背景として重ね合わせることで電磁波EMの照射領域をより直感的に視認できる。
【0031】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について図4を用いて説明する。第1実施形態では探査領域V1に限定して電磁波EMを照射したが、本変形例では照射可能範囲V2への照射も行う。図4は、電磁波または粒子線を照射する照射可能範囲V2と探査領域V1との関係を示す図である。
【0032】
図4(a)に示すように、本変形例でも照射可能範囲V2の所定の領域が探査領域V1に設定される。探査領域V1に対応して視点eから所定の距離離れた位置に領域提示画像A1が結像され、領域提示画像A1と視点eの間にインジケータ画像A2が結像される。本変形例では全体スキャン工程として、照射位置変更部13は、電磁波EMを照射可能範囲V2全体で高速に走査する。ここで高速とは、探査領域V1内での探査位置の移動が速く、走査間隔が大きいことを意味する。全体スキャン工程において、空中結像表示部14が照射可能範囲V2内全体でインジケータ画像A2を重ね合わせるとしてもよい。しかし、広範囲での高速な走査ではインジケータ画像A2の視認性が低下するため、全体スキャン工程では空中結像表示部14は領域提示画像A1とインジケータ画像A2の結像と重ね合わせを省略するとしてもよい。
【0033】
全体スキャン工程で照射可能範囲V2内への電磁波EMの照射と、測定部12での測定を行った後、制御部は、対象物の存在する可能性が高いと判断した所定の範囲を探査領域V1として設定する。探査領域V1を設定した後に、詳細スキャン工程として、照射位置変更部13は、電磁波EMを探査領域V1内で走査する。詳細スキャン工程での電磁波EMの走査は、全体スキャン工程よりも探査位置の移動が遅く、走査間隔も小さく設定される。詳細スキャン工程では、空中結像表示部14は探査領域V1に領域提示画像A1を重ね合わせて結像し、探査位置にインジケータ画像A2を重ね合わせて結像する。
【0034】
本変形例では、全体スキャン工程で照射可能範囲V2内を高速に探査し、対象物の存在する可能性が高い所定の領域を探査領域V1として設定し、探査領域V1内を詳細スキャン工程で詳細に探査する。これにより、より広い範囲での対象物の探査を実行しつつ、対象物の探査精度を向上させることができる。また、全体スキャン工程では領域提示画像A1とインジケータ画像A2の結像を省略し、詳細スキャン工程でのみ領域提示画像A1とインジケータ画像A2を重ね合わせて結像することで、探査位置の視認性を向上させることができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5図6を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。第1実施形態では視聴者の身体に探査装置を装着した例を示したが、本実施形態では移動体に探査装置を装着して遠隔操作する。図5は、本実施形態に係る探査装置110の概要を示すブロック図である。図6は、本実施形態に係る探査装置110について示す模式図である。図5に示すように、本実施形態の探査装置110は、照射部11と、測定部12と、照射位置変更部13と、空中結像表示部14と、投影変動部15と、撮像部16と、搭載部17と、駆動部18と、画像表示部19と、遠隔操作部20を備えている。また、探査装置110は動力源21と制御部22を備えている。
【0036】
撮像部16は、所定の位置方向の画像を視線画像として撮像する部分である。撮像部16の具体的構成は限定されず、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary MOS)センサ等の撮像素子を用いた公知の撮像装置を用いることができる。撮像部16が撮像した視線画像の情報は、制御部22および画像表示部19に伝達される。
【0037】
搭載部17は、移動体の筐体を構成する部分であり、照射部11、測定部12、照射位置変更部13、空中結像表示部14、投影変動部15、撮像部16、動力源21および制御部22を搭載する。搭載部17の形状は限定されず、例えば人型のロボットや、空中を飛行するドローン、車両形状の移動体など各種形態を用いることができる。
【0038】
駆動部18は、外部から供給される制御信号に基づいて動力を発生させ、発生した動力を運動に変換して、搭載部17を移動させる部分である。駆動部18の動力発生機構は限定されず、電力によってトルクを発生するモータ装置や、内燃機関、外燃機関等の公知の構成を用いることができる。また、駆動部18の動力を運動に変換する機構も限定されず、車輪や無限軌道装置、多足歩行装置、プロペラ機構、ジェットエンジン等の公知のものを用いることができる。
【0039】
画像表示部19は、制御部22との間で有線または無線によって情報通信可能に接続されており、撮像部16が撮像した視線画像を表示する部分である。画像表示部19の具体的構成は限定されず、液晶表示装置や有機EL表示装置等の公知のものを用いることができる。また、画像表示部19にタッチパネル式センサ等を搭載して、遠隔操作部20と一体に構成するとしてもよい。
【0040】
遠隔操作部20は、制御部22との間で有線または無線によって情報通信可能に接続されており、作業者の操作に基づいて、駆動部18に対して制御信号を送出する部分である。遠隔操作部20の具体的構成は限定されず、タッチパネル式センサ、キーボード、マウス、ボタン式コントローラ、モーション検知式コントローラ等の公知のものを用いることができる。
【0041】
動力源21は、駆動部18で動力を発生させるためのエネルギーを供給するための部分である。動力源21の具体的構成は限定されず、商用電源、二次電池、ガソリン貯蔵室、水素貯蔵室、燃料電池等の公知のものを用いることができる。
【0042】
制御部22は、探査装置110の各部と有線または無線で情報通信可能に接続され、予め定められたプログラムに従って所定の手順を実行し、各部の動作を制御する部分である。制御部22の具体的構成は限定されず、従来公知のコンピュータ装置を用いることができる。また、制御部22にはメモリ装置や記録媒体、通信装置等を備えるとしてもよい。
【0043】
本実施形態では、空中結像表示部14は、電磁波EMの照射位置とインジケータ画像A2を重ね合わせて、撮像部16に対して実像または虚像を結像させる。また、探査領域V1を設定した場合には、空中結像表示部14は、探査領域V1と領域提示画像A1を重ね合わせて撮像部16に対して実像または虚像を結像させる。
【0044】
撮像部16は、空中結像表示部14を介して前方の視線画像を撮像し、画像表示部19に視線画像を表示する。このとき、視線画像には空中結像表示部14を介した背景に、領域提示画像A1およびインジケータ画像A2が重ね合わされたものとなる。作業者は、画像表示部19に表示された視線画像を視認しながら、遠隔操作部20を用いて移動体を操作する。ここで、領域提示画像A1およびインジケータ画像A2の結像タイミングは、照射位置変更部13による照射位置の変更と同期していてもよく、照射位置の変更と結像タイミングのどちらかを所定時間だけ異ならせるとしてもよい。一例としては、対象物が電磁波EMまたは粒子線によって敏感に熱的な反応を示す場合には、電磁波EMまたは粒子線の対象物への照射で反応が終了する数ミリ秒から数秒後に、領域提示画像A1およびインジケータ画像A2を結像するとしてもよい。
【0045】
本実施形態では、移動体に探査装置110を装着して、作業者が画像表示部19に表示された視線画像を視認しながら遠隔操作部20で移動体を操作する。また、空中に結像された領域提示画像A1およびインジケータ画像A2を撮像部16で撮像するため、視線画像では領域提示画像A1とインジケータ画像A2が奥行き感を持って背景と重ね合わせて表示される。したがって視線画像は、現実に撮像部16の位置で人間が前方を視認しているかのような臨場感の高いものとなる。これにより、人間が立ち入ることが困難な場所においても、作業者の安全を確保しつつ精度の高い対象物探査を行うことができる。
【0046】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
100,110…探査装置
11…照射部
12…測定部
13…照射位置変更部
14…空中結像表示部
15…投影変動部
16…撮像部
17…搭載部
18…駆動部
19…画像表示部
20…遠隔操作部
21…動力源
22…制御部
V1…探査領域
V2…照射可能範囲
A1…領域提示画像
A2…インジケータ画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6