(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029139
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】両面電子回路基板に両面同時実装できる電子部品実装ライン
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230224BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H05K13/02 U
H05K3/34 505C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021152619
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】302004300
【氏名又は名称】高橋 繁人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 繁人
【テーマコード(参考)】
5E319
5E353
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA08
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD29
5E319CD35
5E319GG15
5E353AA02
5E353CC03
5E353EE41
5E353GG01
5E353GG11
5E353GG12
5E353GG14
5E353GG19
5E353GG29
5E353HH71
5E353JJ21
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】生産基板の多品種化に伴い基板のオモテ面とウラ面に実装する電子部品点数の比率が品種間で大きく変動し、実装ラインの稼働ロスが増大している。
【解決手段】基板1は、白矢印コース15を経由することによりオモテ面1aに電子部品の実装を完了させる。その基板1を下流部基板移載機12で下段戻し搬送コンベア13の高さまで下降させ下段基板リターンコース16で逆走させ、上流部基板移載機3の下段に送り込み上昇後、黒矢印コース17経由で基板表裏反転機4により表裏180度反転させ、ウラ面1bが上面となった基板は、再度実装ラインに投入され各設備で電子部品が実装される。各設備は、基板1の表裏を判定するセンサーを備え、それぞれの面に合致したプログラムを動作させ電子部品を実装する。解り易いように黒矢印コースと白矢印コースを横に並べて図示しているが、実際は、同じ走行ラインである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気製品・電子機器に使用される電気回路が両面形成された両面基板に電子部品を実装するための動作,検査を行う実装ラインあるいは、設備において、その実装ラインあるいは、設備に基板の表裏180度反転機能を備えた機構と片面に電子部品の実装が完了した基板をラインの上流部に戻す機能を備え、その機能を活用し片面に電子部品の実装が完了した基板の裏面である未実装面に再び同じ実装ライン又は設備で電子部品を実装するための動作、検査を行うように構成された実装ライン又は設備
【請求項2】
前記請求項1の電子部品実装ラインあるいは、設備において、生産する基板の品種情報・表裏情報に基づいて、その情報に最適なプログラムを選択し動作する機能を有する設備
【請求項3】
前記請求項1の電子部品実装ラインあるいは、設備において、上流部基板移載機、下流部基板移載機の構造として基板を上昇・下降させる機構を採用し、2つの移載機を連携するための基板返送機構を実装ラインを構成する各設備の下部に設けた電子部品実装設備
【請求項4】
前記請求項1の電子部品実装ラインで生産する基板に電子部品を固着するための固着剤塗布設備において印刷工法等を用いる場合に、複数種類の印刷パターンが形成された印刷版を内蔵する設備
【請求項5】
前記請求項1の電子部品実装ラインにおいて実装ラインを構成する各設備に基板を上流設備に返送する搬送機能を装備するかあるいは搬送機能を装備するためのスペースを設けた設備
【請求項6】
前記請求項1の電子部品実装ラインで電子部品を基板に装着する電子部品装着機において、本体内部の上流部に複数枚の基板が待機できるように構成された電子部品装着機又は電子部品装着機の上流部に複数枚の基板を待機するための搬送装置を設置した設備
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電・パソコン、ビデオカメラ、携帯電話、自動車等あらゆる商品に搭載される電子回路両面基板に電子部品の実装を行なう電子部品実装工法及び電子部品実装ライン又は設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
両面に電子回路が形成された両面基板に電子部品を実装する実装ラインの基本構成としては、基板供給機-オモテ面電子部品実装ライン-基板表裏反転機-ウラ面電子部品実装ライン-基板収納機の構成である。また、上記実装ラインを構成する各設備は、それぞれオモテ面専用・ウラ面専用に機種設定され、動作プログラムデータに従って動作している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年日本の製造業では、低賃金の周辺国が製造技術を向上させた事により空洞化が進んでいる。この状況下において日本の製造業が生き残るには細分化された消費者の嗜好とともに多様化が進んだ商品を在庫を抱えることなく、タイムリーに供給できる少量多品種の生産システムの構築と更なるコストダウンを実現することである。
【0004】
ところが少量多品種に対応しようとすると、両面基板実装ラインにおいて生産品種の変更に伴い大きな稼働ロスが発生する。生産品種が変わることにより基板のオモテ面に実装する電子部品の点数とウラ面に実装する電子部品の点数の比率が変動することが電子部品実装ラインの稼働ロスに直結する。また、基板の片面に実装する電子部品の実装点数は商品の高機能化と共に増大し500~600点にもおよんでいる。このため実装ラインを構成する各設備の基板1枚当たりに対する稼動時間は、長くなり、中でも電子部品を基板に装着する電子部品装着機が最も長く、実装ラインの生産スピードは電子部品装着機の能力で決まるのが実状である。さらには、実装ラインの各設備の中で電子部品装着機が最も高価な設備であり電子部品装着機をいかに100%稼動に近づけるシステムにするかが実装コスト低減の最重点ポイントとなる。従って生産する基板のオモテ面とウラ面の電子部品の実装点数に合わせて最適な能力の電子部品装着機の機種を選定し実装ライン構成する。しかし、現状の生産品種に最適なライン構成であっても、次に生産しようとする品種の基板のオモテ面とウラ面に実装する電子部品点数のバランスが、現状生産している品種と大きく異なる場合が多くなり、設備に大きな稼動ロスが発生しているのが実態である。
【0005】
この部分は、一般的には、稼働ロスとしては、中々表面に出てこない部分であり周知されず、理解が難しい部分であるので、より具体的に
図2に基づいて説明する。
図2は、従来例の一般的な電子部品の実装ラインであり100基板供給機-201クリーム半田印刷機-202クリーム半田印刷検査機-203接着剤塗布機-204電子部品装着機-205実装部品検査機-206リフロー炉-207半田付け検査機-250基板表裏反転機-301クリーム半田印刷機-302クリーム半田印刷検査機-303接着剤塗布機-304電子部品装着機-305実装部品検査機-306リフロー炉-307半田付け検査機-400基板収納機という構成である。つまりオモテ面実装ライン200とウラ面実装ラインが300が基板表裏反転機250で接続された構成である。基板1の流れを説明すると基板供給機100に複数枚積載された基板1は1枚だけ取り出され、まずオモテ面実装ライン200を通過することにより基板1のオモテ面1aに電子部品が固着される。次にオモテ面が実装完了した基板は、表裏反転250aのように表裏反転機250で180°表裏反転されウラ面1bが上面となった後、ウラ面実装ライン300を通過することによりウラ面1bへの電子部品の固着が完了し基板収納機400に収納される
【0006】
この構成において最初に生産する基板品種の実装部品点数がオモテ面500点・ウラ面500点とした場合、オモテ面実装ライン200の電子部品装着機204,ウラ面実装ライン300の電子部品装着機304に稼動ロスが生じないように、それぞれ同能力の電子部品装着機が配置される。その結果100秒に1枚のペースで基板が実装される。
【0007】
次に生産品種切替で実装する基板の電子部品の実装点数がオモテ面250点、ウラ面が500点となった場合、オモテ面の電子部品の実装点数が500点から250点に半減したためオモテ面実装ライン200の電子部品装着機204は50秒で実装作業を完了するが、ウラ面実装ライン300の電子部品装着機304の稼動時間は、100秒かかるため残り50秒間実装1ライン200を待機させることになり大きな稼動ロスが発生する。
【0008】
また、1品種を生産するためにオモテ面用実装ライン、ウラ面用実装ラインの2ラインが必要なため長いスペースが必要となる。
【0009】
これを解決するためにウラ面実装ラインの先頭部に基板供給機を設置し、オモテ面生産用に各設備を機種設定し、一定数のロット単位(例えば1000枚)でまずオモテ面のみに電子部品を実装し専用のストッカーに収納しストックする。そして実装ラインの各設備をウラ面対応に切り替えてオモテ面実装済み基板を180度表裏反転させて再度実装ラインに投入し、ウラ面に電子部品を実装完了するという方法がある。しかし、この方法では片面の実装が完了した仕掛かり在庫が工程に滞留することになりリードタイムが長くなる。また、実装ラインの切替え回数が増え、それに伴い発生する実装ラインの切替え停止時間が増えることにより稼働ロスが増加する。
【0010】
また、別の解決策としてオモテ面実装ライン200の最後にもウラ面実装ライン300の基板収納装置400と同じものを追加し、ウラ面実装ライン300の先頭部には、実装済み基板を供給する基板供給機を追加し、それぞれのラインを並列に並べ生産をする形態もある。しかし、これだとそれぞれの電子部品装着機の稼働中の稼働率は、100%確保されるが、基板1枚当たりの実装完了時間には、やはり差が出るため実装部品点数の少ないオモテ面実装ラインには、オモテ面実装完了基板が大量にストックされる形となり、結果実装部品点数の多い裏面の実装の完了を待たざるを得ない形となり稼働ロスが発生する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の電子部品実装ラインは、基板のオモテ面とウラ面への電子部品の実装を1本の実装ラインで連続的に行なえる構成となっている。その構成のポイントは、一般的な実装ラインと同じ流れで基板のオモテ面に電子部品が実装完了された基板を各設備の下部に装着された搬送コンベアを使用し、クリーム半田印刷機の前まで逆走させることである。戻された基板は、基板表裏反転機で基板を180度反転され基板のウラ面が上面となった後、再度クリーム半田印刷機に投入され以降、順次基板ウラ面に電子部品が実装される構成となっている。
【0012】
尚、接着剤塗布機、電子部品装着機、実装部品検査機、半田付け検査機等の実装ラインを構成する各設備には、従来より基本システムとして、各生産基板品種に対応した動作プログラムが内蔵されている。本発明の実装ラインでは、各設備に基板の品種、オモテ面・ウラ面の判別機能を備え、その判別情報を基に生産品種の面に合致したプログラムを内蔵されたプログラムから選択し実行する。また、本案のクリーム半田印刷機は基板のオモテ面とウラ面に対応した2種類の印刷パターンが形成されたメタルマスクを備え、また、前述の基板の品種、オモテ面・ウラ面の判別機能も備え、その判別情報を基にその面に最適な印刷パターンを選択し実行する構成になっている。以上のような構成であれば1本の実装ラインで基板のオモテ面、ウラ面の電子部品実装が完結できる。
【発明の効果】
【0013】
消費者の嗜好の多様化で多品種生産に対応せざるを得ない状況下に置かれている両面基板実装工程ラインでは、基板表裏の電子部品実装点数の比率の変化の増大により稼働ロスが増大してコストアップ、リードタイムの長期化につながっている。本案によれば、基板表裏の電子部品実装点数の比率の変化による稼働ロスをゼロに近づけることができ、リードタイムも極限まで短縮でき、大幅なコストダウンを実現できる。
【0014】
1本の短い実装ラインで連続的に両面基板の両面に電子部品を実装できるので、面積生産性が向上し、長いラインであるがゆえに限定されていた生産場所の選択肢も広がる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の1実施例の実装ライン全体と基板の動きを表した斜視図である。
【
図2】従来例であり、両面基板に電子部品を実装するラインの1例と基板の動きを表した全体斜視図である。
【
図3】本発明の1実施例である実装ラインの先頭部を表わした図である。
【
図4】本発明の1実施例である実装ラインの末端部を表わした図である。
【
図6】上流部に中間コンベア設けた電子部品装着機を2台並べた平面図である。
【
図7】本発明の印刷機の1実施例を表した斜視図である。
【
図8】本発明の1実施例である印刷機の動作を表した図である。
【
図9】本発明の1実施例である印刷機の動作を表した図である。
【
図10】本発明の1実施例である印刷機の動作を表した図である。
【
図11】本発明の1実施例である印刷機の動作を表した図である。
【
図12】本発明の印刷機を他の形態で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
請求項1記載の電子部品実装ラインは、基板供給機-上流部基板移載機-基板表裏反転機-クリーム半田印刷機-クリーム半田印刷検査機-電子部品装着機-実装部品検査機-リフロー炉-半田付け検査機-下流部基板移載機-基板収納機、そして上流部基板移載機と下流部基板移載機を結び付ける各設備の下部に設けられた下段戻しコンベアで構成されている。
【実施例0017】
本発明の1実施例について図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実装ラインの実施の形態を説明するための斜視図である。基板供給機2-上流部基板移載機3-基板表裏反転機4-二種類のメタルマスクを備えたクリーム半田印刷機5-クリーム半田印刷検査機6-接着剤塗布機7-電子部品装着機8-実装部品検査機9-リフロー炉10-半田付け検査機11-下流部基板移載機12-基板収納機14の構成となっており、また基板表裏反転機4から半田付け検査機11までの各設備の下部には基板1を下流から上流に逆戻りさせる下段戻し搬送コンベア13が装備されていて、下段基板リターンコース16が形成されている。
【0018】
さらに各設備には基板の品種と基板のオモテ面かウラ面かを基板の形状又は色又は印刷されたパターン等の違いにより判別するカメラ又はセンサー等が設置されていて、その判別結果により基板の上面に適合した動作を各設備が持っているプログラムから自動選択し作業が実行される構成になっている。
【0019】
尚、前記の基板を逆戻りさせる搬送機能は各設備に個別に設けられるのが基本となるが、各設備を貫通する1本の搬送装置として形成されても問題はない。また、基板を逆戻りさせることがポイントなので本案のようなコンベアの形態ではなく1軸のロボットでも、または無人台車等の独立した搬送ユニット形態でも構わない。
【0020】
次に本発明の具体的な基板1の流れを
図1、3、4に基づいて説明する。
図3より基板供給機2の基板台上昇モータ2cが積み重ねられた基板1を上昇させる方向に回転することによりオモテ面1aが上面に積み重ねられた基板1が吸着ヘッド2aにより吸着され1枚分離後、吸着ヘッド2aが供給コンベア2b上に移動し吸着が解放されることにより吸着ヘッド2aから基板1が離れ供給コンベア2b上に移載される。次に基板供給機2の下流に位置する上流部基板移載機3はコンベアモータ3cの回転方向を変える事により移載機搬送コンベア3eの進行方向を変更し、基板を上流方向・下流方向どちらにでも搬送できる上流部搬送ユニット3aを有し、この上流部搬送ユニット3aは上下駆動モータ3dが回転する事により上昇・下降できる構成になっている。この上流部搬送ユニット3aが上昇している事を確認すると基板供給機2の供給コンベア2bが動作すると同時に上流部基板移載機3の移載機搬送コンベア3eも基板1を取り込む方向で動作し、供給コンベア2b上の基板1を移載機搬送コンベア3e上に取り込み停止する。停止した基板1は上面がオモテ面1aかウラ面か移載機センサー3bで判別され上面がオモテ面1aあることを確認されると移載機搬送コンベア3eと反転機搬送コンベア4bが動作し反転機搬送コンベア4b上に基板1が取り込まれ各コンベアは、停止する。基板表裏反転機4に取り込まれた基板1は、反転機センサー4dで下面がウラ面1bである事つまり、オモテ面1aが上面である事を判別されると180°反転動作をすることなく反転機搬送コンベア4bが再度動作し、そのままクリーム半田印刷機5に搬出される。クリーム半田印刷機5に搬入された基板1は上面がオモテ面1aかウラ面かセンサーで判別されそれぞれの面に合致したメタルマスクを選択しプログラムが実行され基板1上にクリーム半田が印刷される。
【0021】
以降、
図1のクリーム半田印刷検査機6―接着剤塗布機7-電子部品装着機8-実装部品検査機9-リフロー炉10-半田付け検査機11においても各設備に設置された判別センサーで搬入された基板1の上面がオモテ面1aかウラ面1bか判別され、それぞれの面に適したプログラムが選択され実行されることにより基板1の上面1aに電子部品が正しく装着され半田付けされる。その後、
図4の半田付け検査機11で検査が完了した基板は下流部に位置する下流部基板移載機12に搬出される。
【0022】
図4の下流部基板移載機12はコンベアモータ12cの回転方向を変える事により移載機搬送コンベア12eの進行方向を変更し、基板1を上流方向・下流方向どちらにでも搬送できる下流部搬送ユニット12aを有し、この下流部搬送ユニット12aは上下駆動モータ12dが回転する事により上昇・下降できる構成になっている。この下流部搬送ユニット12aが
図4の想像線の位置つまり上昇していることを確認すると、検査が完了し半田付け検査機11より搬出された基板は、搬出されると同時に下流部基板移載機12のコンベアモータ12cが基板を取り込む方向に回転することにより移載機搬送コンベア12e上に取り込まれる。基板の上面がオモテ面かウラ面か移載機センサー12bで判別し、オモテ面1aが上面であることを確認すると上下駆動モータ12dが回転し下流部搬送ユニット12aは
図4の実線の位置に下降する。下降した下流部搬送ユニット12aは、コンベアモータ12cが基板1を上流方向に搬送するように回転すると同時に半田付け検査機11の下段戻し搬送コンベア13も基板1を取り込む方向で動作する。基板1の搬出を完了すると下流部搬送ユニット12aは再び
図4の想像線の位置に上昇する。
【0023】
半田付け検査機11の下段戻し搬送コンベア内に取り込まれた基板1は、
図1のリフロー炉10-実装部品検査機9-電子部品装着機8-接着剤塗布機7-クリーム半田印刷検査機6-クリーム半田印刷機5-基板表裏反転機4の各設備の下段戻し搬送コンベア13を経由し、上流方向に逆走する。つまり下段基板リターンコース16を走行する。
【0024】
次に基板1は、
図3の基板表裏反転機4の反転機下段戻し搬送コンベア4c内で停止すると基板供給機2は、基板の供給動作を完了し待機状態となる。上流部基板移載機3は、移載機搬送コンベア3e上に基板が乗っていないことを確認すると上流部搬送ユニット3aが下降する。下降が確認されると基板表裏反転機4の反転機下段戻し搬送コンベア4cが再び動作すると同時に上流部基板移載機3内に基板1を取り込む方向に移載機搬送コンベア3eを動作させるべくコンベアモータ3cが動作する。移載機搬送コンベア3e上に基板を取り込むと、上流部搬送ユニット3aは、上昇し、上昇後コンベアモータ3cが基板1を下流に位置する基板表裏反転機4に送り出す方向で回転し上流部基板移載機3から基板表裏反転機4に搬出する。基板表裏反転機4に搬入された基板1は、反転機センサー4dで基板1のオモテ面1aが上面であり、オモテ面1aに実装部品が装着されているという2条件を満たしていることを確認すると反転モータ4aが動作し反転機搬送コンベア4bの上下のコンベアで挟み込まれた基板1は、反転機搬送コンベア4bとともに180度反転し、
図1のようにウラ面1bが上面となる。その後
図3の基板表裏反転機4の反転機搬送コンベア4bが基板1を下流方向に搬出する方向に動作し、クリーム半田印刷機5に送り込む。
【0025】
以降ウラ面1bが上面となった基板1は再び
図1のクリーム半田印刷検査機6-接着剤塗布機7-電子部品装着機8-実装部品検査機9-リフロー炉10-半田付け検査機11へと順次搬送され、各設備の基板判別センサーで基板1の上面が1bであることを判別され、その面に対応したそれぞれのプログラムを選択し作業動作を実行することによりウラ面1bへの電子部品の実装作業が完了する。
【0026】
その後、表裏の両面に電子部品が実装された基板1は
図4の下流部基板移載機12の下流部搬送ユニット12aが上昇していることが確認されると半田付け検査装置11から搬出されると同時に下流部基板移載機12の搬送コンベア12eが基板1を取り込む方向に動作し搬送コンベア12e上に取り込み停止する。その後移載機センサー12bで基板1の上面がウラ面1bであり電子部品が実装されていることが確認されると搬送コンベア12eが基板1を下流方向に搬出するように動作すると同時に基板収納機14のコンベア14aも動作し基板ラック14b内に収納される。
【0027】
改めて基板1の動きを
図1より説明する。基板供給機2より実装ラインに供給された基板1は、白矢印コース15を経由することでオモテ面1aに電子部品が実装完了された後、下流部基板移載機12で下降し、実装ラインの下部に設けられた下段基板リターンコース16を逆走し、上流部基板移載機3に到着後上昇し、再び実装ラインに供給され、黒矢印コース17を通過することにより基板表裏反転機4で表裏180度反転された後ウラ面1bにも電子部品が実装完了され基板収納機14に収納される。尚、白矢印コース15と黒矢印コース17は、同じ走行ラインである。
図1では、解り易いように横に並べて表現している。
【0028】
1本の実装ライン上で基板のオモテ面とウラ面に電子部品を実装できるので基板の上面がオモテ面、ウラ面どちらでもランダムに供給されても生産は可能であるが、基板の上面がオモテ面-ウラ面-オモテ面-ウラ面と交互に流れる交互配列状態に制御し、一定のタクトタイムで生産されるスタイルが実装工程の次工程である基板分割工程との連携もしやすく、最も生産効率が高くなる。本案実装ラインでは、生産スタートの最初に投入した基板が、基板表裏反転機の反転機下段戻し搬送コンベアに到着するまでは、オモテ面が上面のみの基板の連続供給となり、上流部基板移載機に最初に供給された基板を取り込んで以降から交互配列が可能になる。そのため、最初に連続投入した上面がオモテ面の基板を反転機下段戻し搬送コンベア内に複数枚バッファとして待機させる機能が必要となる。
【0029】
次に、本案のシステムの電子部品装着機の2台直列配置の場合について説明する。年々片面に実装する電子部品の点数が増え600~700点にも及ぶものが多くなっている。この場合電子部品実装ラインを構成する複数ある設備の中でも電子部品装着機の稼働時間は電子部品実装点数の増加に比例して長くなるため、基板1枚当りに対する電子部品装着機とその他の設備である印刷機・検査機・リフロー炉などの設備との稼働時間のバランスが悪くなる。つまり、電子部品装着機以外の設備が、動作が終了しているにもかかわらず、電子部品装着機は稼働を続けている状態となる。この各設備間のアンバランスを解決するために電子部品実装ラインに電子部品装着機をもう1台追加し基板供給機-クリーム半田印刷機-クリーム半田印刷検査機-接着剤塗布機-電子部品No1装着機-電子部品No2装着機-実装部品検査機-リフロー炉-半田付け検査機-基板収納機の構成とし、各設備間の稼働時間差をなくし生産性を高めるケースが多くなっている。具体的には、基板のオモテ面に600点、ウラ面に200点の電子部品を実装する場合、2台の電子部品装着機で装着する電子部品の点数を分担するため、オモテ面に電子部品を装着する場合は、それぞれの電子部品装着機で各300点の電子部品を分担し、ウラ面に電子部品を装着する場合は、それぞれの電子部品装着機で各100点の電子部品を分担し装着することになる
【0030】
このケースを本案に当てはめ電子部品装着機の平面図である
図5、6により説明する。本発明の基本の基板搬送方法である基板の上面がオモテ面-ウラ面-オモテ面-ウラ面と交互供給された場合を考察すると、
図5のように電子部品No2装着機51にはオモテ面1aが上面の基板1が供給され300点の電子部品を実装することになり、電子部品No1装着機50にはウラ面1bが上面の基板1が供給され100点の電子部品を実装することになる。この場合電子部品No1装着機50は、100点の電子部品の装着が完了した後、300点の電子部品を実装している電子部品No2装着機51が残り200点の電子部品を装着完了まで待機することになり、電子部品No1装着機50に稼働ロスが発生し生産性が低下する。この問題はそれぞれの電子部品装着機の上流部に複数箇所の基板待機ポイントを設ける事により解決できる。この待機ポイントで待機している基板はそれぞれの電子部品装着機本体内の基板に電子部品が装着完了し次設備に搬出されると同時に下流部に搬送されるように制御されている。
図6は電子部品No1装着機50,電子部品No2装着機51の各上流部に中間コンベア54,55を設置し基板待機ポイント52,53を設けた例である。待機ポイントを設ける事により電子部品No1装着機50と電子部品No2装着機51は上面が同じ面であるオモテ面1aの基板1に電子部品を装着する事になり、稼働バランスの差はなくなる。また、待機ポイントは1個所に限定するのでなく複数箇所でもよい。この際の基板待機ポイント52,53は電子部品装着機本体内に設けてもよい。
【0031】
次に本案の印刷機について
図7、8、9、10、11を基に説明する。
図7より、横配置両面メタルマスク27には基板1のオモテ面1a、ウラ面1bにそれぞれ適合したオモテ面用パターン32とウラ面用パターン33の2つのパターンを形成するオモテ面メタルマスク開口30とウラ面メタルマスク開口31が設けられている。また、基板1を横配置両面メタルマスク27に密着させるバックアップホルダーもオモテ面用バックアップホルダー28とうら面バックアップホルダー29の2つ有し、横配置両面メタルマスク27のオモテ面用パターン32とウラ面用パターン33のそれぞれ下部に位置している。また、スキージユニット20は、
図8、9、10、11で表したようにスキージ停止1ポジション23、スキージ停止2ポジション24、スキージ停止3ポジション25、スキージ停止4ポジション26の4つの停止ポジションを持っている。
【0032】
次に動作を説明する。
図7より前設備からクリーム半田印刷機に搬入された基板1はチェックポイント37でオモテ面1aとウラ面1bのどちらが上面になっているか判定された後、その上面に対応したバックアップホルダー上に搬入され停止する。搬入された基板1の上面がオモテ面1aであれば、基板1はオモテ面パターン32の下部に位置するオモテ面バックアップホルダー28の上部で停止した後、オモテ面バックアップホルダ28の上昇により横配置両面メタルマスク27に密着され、基板1のオモテ面1aのクリーム半田を印刷する部分と横配置両面メタルマスク27のオモテ面メタルマスク開口が一致した状態となる。そして、
図8のようにスキージ停止3ポジション25に位置するスキージユ二ット20の左スキージヘッド21が下降後スキージユニット20はスキージ停止4ポジション26に移動することにより、横配置両面メタルマスク27上のクリーム半田40が横配置両面メタルマスク27のオモテ面用メタルマスク開口30より基板1に印刷される。また、
図9のようにスキージユニット20がスキージ停止4ポジション26に位置する場合は右スキージヘッド22が下降しスキージ停止4ポジション26からにスキージ停止3ポジション25にスキージユニット20が移動することで横配置両面メタルマスク27上のクリーム半田40が基板1に印刷される。
【0033】
次にウラ面1bが上面を向いている基板1が搬入された場合を
図7に基づいて説明する。搬入されたウラ面1bが上面を向いている基板1は、ウラ面用パターン33の下部に位置する裏面用バックアップホルダー29上まで進み基板1は停止する。その後裏面用バックアップホルダー29の上昇により横配置両面メタルマスク27に密着され基板1のウラ面1bにクリーム半田40を印刷する部分と裏面メタルマスク開口31が一致した状態となる。そして、
図10のようにスキージ停止1ポジション23に位置する20スキージユニットは、左スキージヘッド21が下降しスキージ停止1ポジション23からスキージ停止2ポジション24にスキージユニット20が移動することで横配置両面メタルマスク27上のクリーム半田40が基板1に印刷される。また、
図11のようにスキージユニット20がスキージ停止2ポジション24に位置する場合は右スキージヘッド22が下降しスキージ停止1ポジション23移動することで横配置両面メタルマスク27上のクリーム半田40が基板1に印刷される。このような構成によれば1台の印刷機で基板のオモテ面1a、ウラ面1bの両面に印刷できる。
【0034】
本発明では、1台のクリーム半田印刷機のメタルマスクに基板のオモテ面用パターンとウラ面用パターンの2種類のパターンを基板の進行方向と同じ方向に並べて形成することを提案しているが、12図のように基板1の進行方向に対して直角方向にオモテ面用パターン32とウラ面用パターン33を配置した縦配置両面メタルマスク34の形態でも問題なく、この場合は、基板のオモテ面、ウラ面の判別結果に応じて縦配置両面メタルマスク34を基板1の進行方向に対して直角方向41にスライドさせる構成となる。
【0035】
また、本案ではクリーム半田印刷機に2種類のメタルマスクを備えたクリーム半田印刷機を設定しているが一般的な1種類のメタルマスクを搭載する印刷機を2台連結し基板のオモテ面用、ウラ面用とそれぞれ専用にしても良い。
現在、実装工程で発生している最大の稼働ロスは、生産品種の切り替え時に発生する基板のオモテ面とウラ面の実装部品点数の比率の変動によるものである。しかし、一般的には、この稼働ロスは、生産現場には全く責任がなく、対応方法もないため稼働ロスとして計算してこなかったのが実態であり、その稼働ロスは、非常に大きい。本発明によれば、その稼働ロスをほぼゼロにでき、大きなコストダウンとリードタイムの短縮を実現できる。厳しい業界で勝ち残るためには、必ず採用しなければシステムである。