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特開2023-29152延長部一体型筒状部材の製造方法および延長部一体型筒状部材
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  • 特開-延長部一体型筒状部材の製造方法および延長部一体型筒状部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029152
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】延長部一体型筒状部材の製造方法および延長部一体型筒状部材
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/10 20060101AFI20230224BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20230224BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20230224BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B21D51/10
B21D22/26 C
B21D22/20 E
B21D5/01 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021153651
(22)【出願日】2021-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(72)【発明者】
【氏名】岡島 怜史
(72)【発明者】
【氏名】鍵谷 二朗
【テーマコード(参考)】
4E063
4E137
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063AA02
4E063BA01
4E063DA02
4E063DA03
4E063MA18
4E137AA15
4E137BB01
4E137BC02
4E137CA09
4E137CA24
4E137CA25
4E137EA01
4E137GA12
4E137GB05
(57)【要約】
【課題】中空胴部に一体形成される非筒状の延長部が3次元形状である延長部一体型筒状部材、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】筒状の胴部と非筒状の延長部を一体的に形成した延長部一体型筒状部材の成形方法であって、板材の胴部形成予定部の中央に略U字断面のU溝とその長手方向の両側に第1平板部とを形成し、併せて前記胴部形成予定部と連続して3次元形状から成る第1延長部とを形成して、第1中間部材を得る第1の工程と、前記第1中間部材の前記第1延長部に追加の成形を施し、第2延長部を有する第2中間部材を得る第2の工程と、前記第2中間部材の前記第1平板部の端部に曲げ加工を施して前記U溝と平行な折曲部と第2平板部とを形成して第3中間部材を得る第3の工程と、前記第3中間部材の前記第2平板部及び前記折曲部に丸め加工を施して閉断面の胴部を形成する第4の工程と、を少なくとも含み、各工程はプレス加工にて成形される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部と非筒状の延長部を一体的に形成した延長部一体型筒状部材の製造方法であって、
板材の胴部形成予定部の中央に略U字断面のU溝とその両側に第1平板部とを形成し、併せて前記胴部形成予定部と連続して3次元形状から成る第1延長部とを形成して、第1中間部材を得る第1の工程と、
前記第1中間部材の前記第1延長部に追加の成形を施し、第2延長部を有する第2中間部材を得る第2の工程と、
前記第2中間部材の前記第1平板部の端部に曲げ加工を施して前記U溝と平行な折曲部と第2平板部とを形成して第3中間部材を得る第3の工程と、
前記第3中間部材の前記第2平板部及び前記折曲部に丸め加工を施して閉断面の胴部を形成する第4の工程と、
を少なくとも含み各工程はプレス加工にて成形されることを特徴とする延長部一体型筒状部材の製造方法。
【請求項2】
前記板材は、板厚が異なる複数の板状部材を溶接接続してなる
ことを特徴とする請求項1に記載の延長部一体型筒状部材の製造方法。
【請求項3】
丸め加工にて形成された筒状の胴部と、
該胴部に隣接し板材に絞り加工を施して3次元的に形成された非筒状の延長部とが、共通の板材から一体形成されたことを特徴とする延長部一体型筒状部材。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延長部一体型筒状部材の製造方法に関し、特に、排気浄化装置のケーシングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の構造部材のような湾曲した中空パイプを製造する方法として、所謂「U-O成形」と呼ばれる工法が多用される。特に3次元的に湾曲した中空パイプの製造方法として、特許文献1に記載の工法が用いられる。また、中空パイプの両端に平板上の取付け部を一体形成したい場合には、特許文献2に開示の工法が提案されている。
【0003】
一方、車両の内燃機関に取付けられる排気浄化装置として、特許文献3に記載される排気マニホールド一体型の触媒コンバータ装置(以下、マニバータと称する)が最近では一般的になっている。このようなマニバータにおいては、触媒担体を内装し保持する中空パイプ部(胴部)と、それに隣接する排気マニホールドとしてのエルボ部とを、U-O工法を用いて一体的に形成すれば強度面やコスト面で有利であろうことが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7-63758号公報
【特許文献2】特許第6005599号公報
【特許文献3】特許第6653970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は全体が中空パイプなのでマニバータ等の製法には適用できず、特許文献2は、中空胴部と一体形成されるのは平板状の取付部であるので、この製法も適用困難である。
【0006】
そこで本発明は、中空胴部から延出し一体形成される部分を任意の形状に成形できる製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために本発明の延長部一体型筒状部材の製造方法は、板材の胴部形成予定部の中央に略U字断面のU溝とその両側に第1平板部とを形成し、併せて前記胴部形成予定部と連続して3次元形状から成る第1延長部とを形成して、第1中間部材を得る第1の工程と、前記第1中間部材の前記第1延長部に追加の成形を施し、第2延長部を有する第2中間部材を得る第2の工程と、前記第2中間部材の前記第1平板部の端部に曲げ加工を施して前記U溝と平行な折曲部と第2平板部とを形成して第3中間部材を得る第3の工程と、前記第3中間部材の前記第2平板部及び前記折曲部に丸め加工を施して閉断面の胴部を形成する第4の工程と、を少なくとも含みプレス加工にて形成されることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記板材は、板厚が異なる複数の板状部材を溶接接続してなることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、延長部一体型筒状部材において、中空胴部に一体形成される延長部分を任意形状に成形できる。また、異なる板厚の板材を用いることで、部位によって板厚が異なる延長部一体型筒状部材を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の工程に係る第1中間素材の斜視図である。
図2】本発明の第2の工程に係る第2中間素材の斜視図である。
図3】本発明の第3の工程に係る第3中間素材の斜視図である。
図4】本発明の第4の工程に係る中間過程の斜視図である。
図5】本発明の延長部一体型筒状部材の成形品の斜視図である。
図6】本発明の延長部一体型筒状部材を排気浄化装置のケーシングに適用した事例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の望ましい実施形態について図を参照して説明する。なお、全図において、煩雑さを避けるべく板厚は省略して図示する。本発明によって規定される製造方法によって得られる延長部一体型筒状部材1は、図5に示すとおりである。延長部一体型筒状部材1は中空円筒状の胴部2と、非円筒形状かつ3次元的な形状である延長部3とが一体的に形成されている。胴部は所謂U-O成形によるもので、突合せの溶接部8と開口9、10を有する。
【0012】
胴部2と延長部3との間は切込み状の境界部4で区画されているが、境界部は必須ではない。延長部3には、徐変部7とバーリング部6が一体的に形成されており、バーリング部6の中央には、開口5が穿設されている。すなわち、中空胴部と任意形状の延長部とが一体形成されているものである。このような最終形状である延長部一体型筒状部材1を得る製造方法を、以下に工程を追って説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の最初の工程である第1の工程を経て成形された、第1中間部材を示す斜視図である。成形は周知のプレス金型による絞りプレス加工にて行われるもので、詳細は割愛する。所定の形状に切断した金属製の板材にプレス加工を施して、略半円断面のU溝11と、その先端に第1の延長部16を連続形成する。U溝が形成される範囲は、後に胴部となる胴部形成予定部αに亘る範囲であり、U溝ではない残部は第1平板部12及び13となる。
【0014】
延長部形成予定部βに亘る第1の延長部は、胴部形成予定部αに連続する徐変部14と、それに連続する先端部15とから成り、先端部15の中央には開口17が穿設されている。徐変部14は必須の部位ではなく、所望形状によって適宜設定すれば良い。胴部形成予定部αと延長部形成予定部βとは、一つの(上下一組の)金型によるプレス絞り成形によって同時形成される。ここにおいて、前述の特許文献2における平板的な(プレス成形されない)取付部とは異なるものである。
【0015】
図2は、本実施形態の2番目の工程である第2の工程を経て成形された、第2中間部材20を示す斜視図である。第2の工程も、第1の工程と同様にプレス金型による絞り成形を施すのであるが、その成形対象は第1の延長部16だけである。すなわち、第1の延長部16に対してプレス絞り成形を施して、更に3次元的な形状の第2の延長部21を得る工程である。
【0016】
具体的には、第1の延長部16に対して、周縁部の切除(トリム)、周縁に壁部24の形成、開口17周縁にバーリング部22の形成及び開口23の再成形、を実施するものである。そのような成形は1つのプレス型で成形しても良いし、数個のプレス型で順次成形しても良く、それらの工程を包含して第2の工程とする。このようにして、第2中間部材20を得る。
【0017】
図3は、本実施形態の3番目の工程である第3の工程を経て成形された、第3中間部材30を示す斜視図である。第2中間部材20の平板部12および13に対して、その縁部を折曲げ加工にて折曲げて、折曲部31および32を形成する。それ以外の部位には特に成形を施さない。折曲げ加工は、金型の押し付けによる成形でも、何らかの把持工具による挟み曲げでも、工法は任意に選択すれば良い。
【0018】
折曲部31および32は、特許文献2における段付け工程に該当し、次工程である大曲げ工程に備えたきっかけ部を形成するものである。折曲部31および32以外の部分は平板部33および34となるが、折曲部と平板部の割合は任意である。このようにして、第3中間部材30を得る。
【0019】
図4は、本実施形態の4番目の工程である第4の工程における成形途中の形状を現す斜視図である。第4の工程は、特許文献2における大曲げ工程に該当し、金型の曲面形状を折曲部31、32および平板部33、34へ押し付けて行くことで順次曲面化して中間部41を形成しつつ、最終的に端部同士が突合わさった円断面の筒状体である胴部2を形成する。この大曲げ工程の過程で第2の延長部21の根元も徐変形状へと成形され、最終的な延長部3となる。
【0020】
そして、端縁同士が突合わされた部分にアーク溶接等が施され、溶接部8によって気密かつ一体的に接合されることにより、目的とする胴部2が形成される。このようにして、図5に示す、3次元形状の延長部3が胴部2と連続的に形成された延長部一体型筒状部材1を得る。
【0021】
本実施形態によれば、第1の工程と第2の工程において延長部が胴部と同時に3次元的に成形されるので、中空パイプに連続して任意の3次元形状の延長部を一体形成することが可能となる。而して、延長部一体型筒状部材において、中空胴部に一体形成される延長部分を追加工なく任意形状に成形できる。また、異なる板厚の板材(テーラードブランク材)を用いることで、部位によって板厚が異なる延長部一体型筒状部材1を容易に得ることができる。
【0022】
参考として図6に、本実施形態の延長部一体型筒状部材1を用いた、触媒装置一体型排気マニホールド(マニバータ)50を示す。本品は、排気上流側の延長部3にプレス製のハーフシェル51を溶接固定してマニホールド部(エルボ部)を形成するとともに、開口9に下流側コーン部52を外嵌し溶接固定したものである。このように、本来は胴部2と別体で溶接固定されるべきマニホールド部(エルボ部)の半分が一体形成されるので溶接長を削減でき、高温強度が向上するとともに溶接コストも低減できる。
【0023】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し範囲の変更があっても本発明に包含される。また、成果品である延長部一体型筒状部材の用途及び使用形態も、上記マニバータに限らず任意である。
【符号の説明】
【0024】
1 延長部一体型筒状部材
2 胴部
3 延長部
4 境界部
5、9、17,23 開口
6 バーリング部
7、14 徐変部
8 溶接部
10 第1中間部材
11 U溝
12、13 第1平板部
15 先端部
16 第1の延長部
20 第2中間部材
21 第2の延長部
22 バーリング部
24 壁部
30 第3中間部材
31、32 折曲部
33、34 第2平板部
50 触媒装置一体型排気マニホールド
51 ハーフシェル
52 下流側コーン部
図1
図2
図3
図4
図5
図6