(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029164
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】導電性ペースト及びこれを用いた積層型セラミック部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189719
(22)【出願日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0110100
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュー、チュン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ヒョ キョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジュン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、イエ ジ
(72)【発明者】
【氏名】キム、セウン ビーン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AH07
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】
【課題】
外部電極を形成する過程で工程を簡素化して生産性を向上させることができるようにした、導電性ペースト及びこれを用いた積層型セラミック部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、第1金属からなるコアと、上記第1金属よりも融点が高い第2金属からなり、上記コアの表面を囲むシェルを含む複数の導電性粒子を含む導電性ペーストと、このような導電性ペーストを用いて外部電極の焼成電極層が形成される積層型セラミック部品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属からなるコアと、
前記第1金属よりも融点が高い第2金属からなり、前記コアの表面を囲むシェルと、を含む複数の導電性粒子を備える、導電性ペースト。
【請求項2】
前記第1金属が銅(Cu)であり、前記第2金属がニッケル(Ni)である、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】
前記導電性粒子は、前記コアの直径が前記シェルの厚さよりも大きい、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
【請求項4】
前記複数の導電性粒子は、前記コアの平均直径が3.5μm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
【請求項5】
キャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体上に互いに離隔するように配置される焼成電極層をそれぞれ含む複数の外部電極と、を備え、
前記焼成電極層は、導電性物質を有し、
前記導電性物質は、第1金属からなる複数の第1金属部と、前記第1金属よりも融点が高い第2金属からなり、前記複数の第1金属部を囲んで互いに連結される形で形成される第2金属部を含む、積層型セラミック部品。
【請求項6】
前記第1金属が銅(Cu)であり、前記第2金属がニッケル(Ni)である、請求項5に記載の積層型セラミック部品。
【請求項7】
前記導電性物質は、前記第1金属部の直径が前記第2金属部の厚さよりも大きい、請求項5または6に記載の積層型セラミック部品。
【請求項8】
前記導電性物質は、前記第1金属部の直径が3.5μm以下である、請求項5から7のいずれか一項に記載の積層型セラミック部品。
【請求項9】
前記複数の外部電極は、前記焼成電極層上に形成されるめっき層を含み、前記めっき層はスズ(Sn)を有する、請求項5から8のいずれか一項に記載の積層型セラミック部品。
【請求項10】
前記めっき層が前記焼成電極層上に直接接触するように配置される、請求項9に記載の積層型セラミック部品。
【請求項11】
前記キャパシタ本体は、複数の誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含む、請求項5から10のいずれか一項に記載の積層型セラミック部品。
【請求項12】
前記キャパシタ本体は、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面を含み、
前記焼成電極層は、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2焼成電極層を含み、
前記第1及び第2焼成電極層は、
前記キャパシタ本体の前記第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2接続部と、
前記第1及び第2接続部から前記キャパシタ本体の第1面の一部まで延長する第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含む、請求項11に記載の積層型セラミック部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペースト及びこれを用いた積層型セラミック部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタ(MLCC:Multilayer Capacitor)は、小型でありながら高容量の実現が可能であり、様々な電子機器に使用されている。
【0003】
かかる積層型キャパシタを製造するためには、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストで内部電極印刷膜を形成した後、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を設ける。
【0004】
そして、上記積層体に導電性ペーストを塗布して焼成し、焼成電極層を形成し、続いて焼成電極層上にめっき工程を進行して端子として作用する外部電極を形成するようになる。
【0005】
上記導電性ペーストは、積層型キャパシタで外部電極を形成する用途に用いられることができる。
【0006】
このように積層型キャパシタは、多くの工程を経て完成されるため、生産期間が長くなり、これによって生産性を高めるための工程の単純化が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2014-0030611号
【特許文献2】韓国公開特許第2019-0106177号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、外部電極を形成する過程で工程を簡素化して生産性を向上させることができるようにした、導電性ペースト及びこれを用いた積層型セラミック部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、第1金属からなるコアと、上記第1金属よりも融点が高い第2金属からなり、上記コアの表面を囲むシェルと、を含む複数の導電性粒子を含む導電性ペーストを提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記第1金属は、銅(Cu)であることができ、上記第2金属は、ニッケル(Ni)であることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記導電性粒子は、上記コアの直径が上記シェルの厚さよりも大きく形成されることができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記導電性粒子は、上記コアの平均直径が3.5μm以下であることができる。
【0013】
本発明の他の側面は、キャパシタ本体と、上記キャパシタ本体上に互いに離隔するように配置される複数の焼成電極層をそれぞれ含む複数の外部電極と、を含み、上記焼成電極層は、導電性物質を含み、上記導電性物質は、第1金属からなる複数の第1金属部と、上記第1金属よりも融点が高い第2金属からなり、上記複数の第1金属部を囲んで互いに連結される形で形成される第2金属部を含む、積層型セラミック部品を提供する。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記第1金属が銅(Cu)であり、上記第2金属がニッケル(Ni)であることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記導電性物質は、上記第1金属部の直径が上記第2金属部の厚さよりも大きいことができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記導電性物質は、上記第1金属部の直径が3.5μm以下であることができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記外部電極は、上記焼成電極層上に形成されるめっき層を含み、上記めっき層がスズ(Sn)を含むことができる。
【0018】
このとき、上記めっき層は、上記焼成電極層上に直接接触(contact)するように配置されることができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、複数の誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、互いに対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面を含み、上記焼成電極層は、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2焼成電極層を含み、上記第1及び第2焼成電極層は、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2接続部と、上記第1及び第2接続部から上記キャパシタ本体の第1面の一部まで延長する第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態によると、積層型セラミック部品の外部電極形成時のニッケル(Ni)めっき工程を省略して、製造工程を簡素化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタにおいて、第1及び第2内部電極の積層構造を示した斜視図である。
【
図4】焼成前の外部電極用導電性ペーストの構造を簡略に示した図面である。
【
図5】焼成後の外部電極の焼成電極層の構造を簡略に示した図面である。
【
図6】本発明の他の実施形態による外部電極の焼成電極層の構造を簡略に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0024】
また、各実施形態の図面に示された同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。
【0025】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型セラミック部品である積層型キャパシタを概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0027】
以下、本発明の実施形態を明確に説明するために、キャパシタ本体110の方向を定義すると、図面に示されているX、Y、及びZはそれぞれ、キャパシタ本体110の長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。また、一実施形態において、厚さ方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念として用いられる。
【0028】
図1及び
図2を参照すると、一実施形態の積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体110及びキャパシタ本体110のX方向の両端部に配置される第1及び第2外部電極130、140を含む。
【0029】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層して、焼成したものであり、複数の誘電体層111と誘電体層111を間に挟んでZ方向に交互に配置される複数の第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0030】
そして、キャパシタ本体110のZ方向において、両側にはマージン部の役割を果たす所定厚さのカバー112、113が形成されることができる。
【0031】
このとき、キャパシタ本体110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111同士は、境界を確認しにくいほど一体化することができる。
【0032】
キャパシタ本体110は、おおよそ六面体形状であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0033】
一実施形態においては、説明の便宜のために、キャパシタ本体110のZ方向に互いに対向する両面を第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と連結され、X方向に互いに対向する両面を第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つY方向に互いに対向する両面を第5及び第6面5、6と定義する。一実施形態においては、第1面1が実装面になる。
【0034】
誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、BaTiO3系セラミック粉末などを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0035】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末とともに、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0036】
上記セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)などから少なくとも1つが含まれることができる。
【0037】
図3をさらに参照すると、第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を間に挟んでZ方向に沿って互いに対向されるように交互に配置され、一端がキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4を介してそれぞれ露出することができる。
【0038】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0039】
このようにキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4を介して交互に露出する第1及び第2内部電極121、122の端部は、後述するキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に配置される第1及び第2外部電極130、140とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0040】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、導電性金属で形成され、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金などの材料を用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0041】
上記構成により、第1及び第2外部電極130、140に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0042】
このとき、積層型キャパシタ100の静電容量は、Z方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例するようになる。
【0043】
第1及び第2外部電極130、140は、キャパシタ本体110のX方向への両端部にそれぞれ配置され、互いに異なる極性の電圧が供給され、第1及び第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0044】
第1外部電極130は、キャパシタ本体110の一端部に接触する第1焼成電極層131と、第1焼成電極層131上に形成される第1めっき層132を含む。
【0045】
第1焼成電極層131は、第1接続部131a及び第1バンド部131bを含むことができる。
【0046】
第1接続部131aは、キャパシタ本体110の第3面3に形成され、第1内部電極121と接続される部分であり、第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体110の実装面である第1面1の一部まで延長される部分である。
【0047】
このとき、第1バンド部131bは、固着強度の向上などの目的で必要な場合、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部までさらに延長されることができる。
【0048】
また、第1バンド部131bは、必要に応じてキャパシタ本体110の第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0049】
第2外部電極140は、キャパシタ本体110の他端部に接触する第2焼成電極層141及び第2焼成電極層141上に形成される第2めっき層142を含む。
【0050】
第2焼成電極層141は、第2接続部141a及び第2バンド部141bを含むことができる。
【0051】
第2接続部141aは、キャパシタ本体110の第4面4に形成され、第2内部電極122と接続される部分であり、第2バンド部141bは、第2接続部141aからキャパシタ本体110の実装面である第1面1の一部まで延長される部分である。
【0052】
このとき、第2バンド部141bは、固着強度の向上などの目的で必要な場合、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部までさらに延長されることができる。
【0053】
また、第2バンド部141bは、必要に応じてキャパシタ本体110の第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0054】
第1及び第2焼成電極層131、141は、導電性物質を含み、上記導電性物質は、第1金属からなる複数の第1金属部と、上記第1金属よりも融点が高い第2金属からなり、上記複数の第1金属部を囲んで互いに連結される形で形成される第2金属部を含む。
【0055】
また、第1及び第2焼成電極層131、141は、キャパシタ本体110のX方向の両端部に外部電極用導電性ペーストを塗布し、焼成して形成することができる。
【0056】
図4を参照すると、上記外部電極用導電性ペーストは、複数の導電性粒子10及びガラス(Glass Frit)13を含む。
【0057】
また、導電性粒子10は、コア11とコア11の表面を囲むシェル12を含む。
【0058】
このとき、コア11は第1金属からなり、シェル12は第1金属よりも融点が高い第2金属からなる。
【0059】
好ましくは、第1金属は微粒の銅(Cu)であることができ、第2金属はニッケル(Ni)であることができる。
【0060】
また、導電性粒子10は、コア11の直径がシェル12の厚さよりも大きいことができる。
【0061】
また、導電性粒子10は、コア11の直径が3.5μm以下であることができる。
【0062】
図5は、焼成後の外部電極の焼成電極層の構造を簡略に示した図面である。
【0063】
図5のように、焼成が進行されると、焼成前に個別的に分離されていた導電性粒子10は、互いに連結されている導電性物質10'になることができる。
【0064】
これは、焼成後に互いに隣接した導電性粒子10のシェル12が接触しながら互いにくっつくネッキング(necking)が発生し、複数のシェルが互いに連結される形態の第2金属部12'を形成するためである。
【0065】
このとき、第2金属部12'の中に、複数のコア11が存在することができ、隣接したコア11は、互いに一体化されず、それぞれ個別的に分離されている形態が維持されることができる。
【0066】
ここで、複数のコア11が第1金属部をなすようになる。以下、説明では、コアと、第1金属部は同一の図面符号を付与して説明する。
【0067】
この時、
図5は、説明の便宜のために第1金属部11の断面が円形であると示して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1金属部11は、焼成後の収縮によって球状が楕円状に変わるか、またはでこぼこした形に変わることができる。
【0068】
このように、ニッケルを含む複数のシェル12が互いに連結されて第2金属部12'を形成し、第2金属部12'の中に第1金属部11が存在する場合、焼成電極層が銅とニッケルの固有の特性を同時に有するようになる。したがって、別途のニッケルめっき層を形成する必要がない。
【0069】
この点で、一実施形態の外部電極は、銅からなる焼成電極層上にニッケルめっき層を形成する従来構造とは明らかな違いが生じる。
【0070】
一方、焼成が行われた後、ガラス13は、溶解(melting)されて導電性粒子10間の空いた空隙を埋めるようになり、これによって耐湿性を向上させる役割を果たすことができる。
【0071】
この時、
図5のように、ガラス13は導電性粒子10間の空いた空隙をすべて満たすこともできるが、本発明はこれに限定されるものではなく、場合によって焼成電極層の内部の空隙の一部は、ガラス13によって満たされず、空いた状態で残ることができる。
【0072】
そして、このような第1及び第2焼成電極層131、141の表面には、第1及び第2めっき層132、142が形成されることができる。
【0073】
第1及び第2めっき層132、142は、スズ(Sn)を含む第1及び第2スズ(Sn)めっき層で形成されることができる。
【0074】
また、第1及び第2スズめっき層132、142は、第1及び第2焼成電極層131、141上にダイレクト(direct)に直接接触(contact)するように配置されることができる。
【0075】
従来には、焼成電極層が銅(Cu)粒子からなる積層型キャパシタを基板にはんだ付けによって実装するためには、まず、銅を含む焼成電極層上にニッケル(Ni)を1次めっきした後、スズ(Sn)の2次めっきを経てこそ、安定的な実現が可能であった。
【0076】
このとき、ニッケルめっき層は、スズめっき層に加わるはんだ付けによる高温の熱が焼成電極層に伝達されることを防ぐ役割を果たした。
【0077】
もし、銅を含む導電性ペーストで焼成電極層を形成し、その上にニッケルめっきを省略したままスズをめっきするようになると、積層型キャパシタを基板に実装する際、はんだ付けによって発生する熱により、銅を含む焼成電極層がダメージ(damage)を被るようになって積層型キャパシタの寿命を短縮させることがある。
【0078】
しかし、本発明の一実施形態によると、焼成電極層の形成時に銅コア-ニッケルシェル構造の導電性粒子を含む導電性ペーストを用いることで、焼成電極層を形成した後、ニッケルめっき工程を省略してスズめっきをすぐ行うことができる。
【0079】
現在適用されているめっきプロセスは、バレル工程によって陽極(Anode)から供給される金属イオンを陰極(Cathode)である積層型キャパシタの焼成電極層にコーティングするようになる。
【0080】
つまり、一実施形態のめっきは、導電性金属物質に金属イオンが移動して接着することでめっき層が形成される方法である。したがって、一実施形態では、銅コア-シェル構造でニッケルであるシェルの厚さに関係なく、スズめっきをする上で、大きな問題は発生しない。
【0081】
このとき、はんだ付け時のはんだ耐熱から焼成電極層に含まれた導電性物質のコアである第1金属部を構成する銅成分を第2金属部のニッケル成分が保護するようになるため、積層型キャパシタの寿命減少を最小限に抑えることができる。
【0082】
このように、外部電極形成時のニッケルめっき工程を省略すると、工程の簡素化により製造時間及び費用などを減らすことができる。また、一実施形態は、焼成電極層に含まれる導電性物質がCuにNiを被せる構造であるため、Cuの酸化を防止する上でも効果的である。
【0083】
一般的に、外部電極の焼成電極層が銅を含み、内部電極がニッケルを含むとき、外部電極の粒子が内部電極の粒子よりも相対的にサイズが大きい場合、外部電極の全焼温度がより高いため、外部電極の銅成分が内部電極にさらに広がり、この過程でクラック形態の不良が発生することがある。
【0084】
しかし、本発明の一実施形態によると、焼成電極層の形成時に銅コア-ニッケルシェル構造の導電性粒子を用いることにより、外部電極の金属成分が内部電極に向かって拡散される現象が発生しないようにし、上述したクラック形態の不良が発生することを防止することができる。
【0085】
そして、本発明の一実施形態によると、外部電極の焼成電極層に含まれる導電性物質において、第1金属部11の直径よりも第2金属部12'の厚さが小さいことができる。
【0086】
一実施形態によると、第1金属部11の直径は3.5μm以下であることができる。ここで、第1金属部11の直径は、積層型キャパシタをZ方向に沿って等間隔に4つのセクション(section)に分割し、SEMを用いて横30μm縦30μmの範囲で各セクションの断面を観察して、SEMイメージ上に見えるコアのサイズを測定し、その平均値として求めることができる。
【0087】
このとき、第1金属部11は、焼成後の収縮によって球状が楕円状に変わることもできるが、この場合、第1金属部11の直径は、コアで最も長さが長い方向の直径を基準に測定することができる。
【0088】
第1金属部11の直径が3.5μmを超えると、焼成電極層内に存在する空隙が過度に大きくなることがあるため、外部電極内の緻密度が低下して、外部電極の電気伝導度が低下する原因となることがある。
【0089】
また、このように外部電極内の緻密度が低下すると、めっき層を形成するためのめっき工程中にめっき液の成分がキャパシタ本体内に浸透する可能性が高くなり、そしてIR(Internal Resistance)劣化が発生して積層型キャパシタの高温信頼性が低下する問題が発生することがある。
【0090】
一方、
図6を参照すると、本発明の第1及び第2焼成電極層は、第3金属部14をさらに含むことができる。
【0091】
第3金属部14は、導電性ペーストに含まれた導電性粒子のシェルが焼成後、互いにネッキングする過程で一部が離れて固まる部分である。
【0092】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0093】
10 導電性粒子
11 コア(第1金属部)
12 シェル
12' 第2金属部
13 ガラス
14 第3金属部
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタ本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
130、140 第1及び第2外部電極
131、141 第1及び第2焼成電極層
131a、141a 第1及び第2接続部
131b、141b 第1及び第2バンド部
132、142 第1及び第2めっき層