(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029186
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】視力検査装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/028 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A61B3/028
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006027
(22)【出願日】2022-01-18
(62)【分割の表示】P 2021133742の分割
【原出願日】2021-08-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】721007560
【氏名又は名称】横山 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】横山 修司
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316FA01
4C316FB11
4C316FB12
(57)【要約】
【課題】紙媒体または電光掲示板により、検査値に合わせて順に並べられたランドルト環や各国の文字が表記されている視力検査表や手に持って検眼するための検査記号カード、または、精密機械等を併用することなく、1つの検査装置により、各々の検査値において備え付けられた全ての検査記号を表示させることを可能とさせる視力検査装置。
【解決手段】コンピューター制御により、視力検査装置に様々な種類の検査記号を装備させ、それらを日本規格協会が示す規格に則り、検査値に即して対比により拡大したり、縮小したりすることで検査記号を無段階の大きさに表示することを可能とさせ、尚且つ一度に表示される検査記号が複数の場合であっても、各々を単独で全くの無作為に変化させたり、検査者が任意に検査記号を選択して表示させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査記号を表示する検査記号等表示器具に表示される検査記号は、全ての検査値において、どの検査記号も単数で表示されたり、検査値に従った検査記号の大きさにより複数で表示されたりできる。また、検査記号が複数で表示されている場合も、それら各々が単独で個別に無作為に表示されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視力検査値を無段階に選択することを可能とし、全ての検査値において検査記号を無作為(以下、ランダムとも言う)または任意に選択して表示させることで、どの被験者にも検査記号の種類や大きさ、向きを限定することなく対応することを可能とする視力検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1について、特許請求の範囲の請求項1において、複数の視力に対応したランドルト環のパターンを記憶した記憶手段による検査方法であることや、段落番号0026に「(中略)なお、各回ごとに表示されるランドルト環30のパターンは、メモリ10に記憶されているパターンの中からランダムに抽出される。」との記載があり、備え付けのランドルト環のパターンが無作為に抽出されるものであって、ランドルト環の動きが無作為とはなっていないことが示されており、人間の記憶力であれば何度か検眼するうちに次に表示される検査記号を記憶してしまうことにつながってしまう。また、段落番号0043に検査記号の種類についても文字とランドルト環との併用や、これら以外の記号や図形を用いることもできるとしているが、具体的にどのようにランドルト環との併用を実証するのかの記載がなく、この装置の構造上、更に検査記号を表示するパターンを装備しなければならず、技術的にも操作的にも実現することが難しいと考えられる。検査値の範囲についても、その文面および
図5~
図9に0.1~2.0までの検査値までしか記載されておらず、2.0を超える検査値及び0.1未満の検査値についての機能は考えられていない。
【0003】
特許文献2について、ランダムに表示されるのはランドルト環のみで、構造上その他の記号を追加させることは難しいと考えられる。また、検査値が0.1刻みでしか考えられていない。
【0004】
特許文献3及び特許文献4は、平成27年に公益財団法人日本学校保健会から発出された「児童生徒等の健康診断マニュアル」に基づいて発案されたものであり、非特許文献6に記載のある形式NKC-370R8方向タイプ及び4方向タイプとして製品化されている。しかし、検査記号がランドルト環のみで、検査値が0.3,0.7、1.0の三種類しか表示できず、0.3のランドルト環の向きが認識できなければD判定、0.7のランドルト環の向きが認識できなければC判定、1.0のランドルト環の向きが認識できなければB判定、1.0のランドルト環の向きが認識できればA判定のように検査するためのもので、その他の検査値を表示させてより詳細に検査したり、ランドルト環以外の文字や数字の検査記号又は、幼児に対応した絵などの検査記号を表示させたりすることができない。
【0005】
非特許文献1では、チャート一覧に記載がある通り、ランドルト環のみ広範囲において検査記号が用意されてはいるが、1つの検査値ごとに1枚ずつのチャートによるパターンでしか表示させることができず、チャート内のランドルト環の各々を単独でランダムに表示させることができないし、任意に選択して表示させることもできない。しかも視力が低くなるにつれて表示できる検査記号の種類が5種類、3種類と次第に減っていき0.09以下では、0.09で「下向きのランドルト環」のみ、0.08で「上向きのランドルト環」のみ、0.07で「右向きのランドルト環」のみ、0.06で「上向きのランドルト環」のみ、0.05で「下向きのランドルト環」のみ、0.04で「右向きのランドルト環」のみ、0.03で「左向きのランドルト環」のみと1つずつの検査記号でしか視力を測ることができず、ひらがななど他の検査記号も備わっていないため、同じ検査値で検眼を複数回行って確かめることができないし、右目を測った後、左目を測る際には簡単に覚えてしまうことにつながってしまう。
【0006】
非特許文献2では、チャート種類及び仕様に記載の通り、視力を計測できる範囲が全体で2.0~0.04の内、1.0~2.0の間は2.0、1.5、1.2、1.0で検査記号が16種類ずつのみで、更に1.0以下は、例えば0.09や0.07、0.05の検査記号が備わっていないため検査できない検査値があったり、それぞれの検査値の検査記号の種類も3種類程度から徐々に減少して、0.04の検査値においては、ひらがながTypeAで「と」、TypeDで「こ」、数字がTypeAで「3」、TypeDで「8」、英字がTypeAで「E」、TypeDで「K」、ランドルト環がTypeAで「上向き」、TypeDで「右向き」であったりと、1つずつの検査記号でしか視力を測ることができないため、同じ検査値で検眼を複数回行って確かめることができないし、ひらがなや数字、英字、ランドルト環など複数の検査記号を利用したとしても、左目を測った後、右目を測る際には既に覚えてしまうことにつながることになる。理論上、ひらがなであれば50文字、アルファベットであれば26文字、ランドルト環であれば8方向など備え付の全ての文字や記号が全ての検査値で利用可能となる必要があるが、全ての検査値において検査記号をランダムに表示させることができないし、チャート内のランドルト環の各々を単独でランダムに表示させることもできないし、任意に選択して表示させることもできない。
【0007】
非特許文献1では、検査値領域が2.0~0.1までしか想定されていないし、チャート一覧に記載がある通り、ランドルト環のみ広範囲において検査記号が備え付けられてはいるが、それでも2.0、1.5、1.2、1.0~0.2、0.15と0.1、0.09~0.03までしか視力を測ることができない。
【0008】
非特許文献2では、チャート種類及び仕様に記載がある通り、視力を計測できる範囲が全体で2.0~0.04までしか視力を測ることができないし、その範囲内でも2.0~1.0は非特許文献1と同様の検査値しか測ることができず、検査値1.0未満では、0.09や0.07、0.05の検査値が備え付けられておらず、それらの検査値では検査することができない。
【0009】
特許文献1のパターン方式や、非特許文献1、2、4、5のチャート方式による検査方法が、もしも検査値を無段階や検査記号をランダムに表示させようとする場合、検査値ごとに全ての検査記号のパターンあるいはチャートを重複させて装備させなければならなく、その分データを膨大にさせ、尚且つ、操作方法を複雑にしてしまい、多くの手間と操作時間を要することになる。
【0010】
非特許文献3は、個人が目安として利用するためのものであり、眼科にかかったり、眼鏡やコンタクトを購入したり、自動車免許試験場等の検査機関での検眼の際には、必ずその場の検査で承認されなければならない。加えて、検査記号もランドルト環のみしか備わっておらず的確な検査とまではなっていない。
【0011】
非特許文献4及び非特許文献5のような自動車運転免許取得等に用いられる検査機器は、両眼で普通自動車免許では0.7、あるいは大型免許でも0.8以上で合格の要件を満たし、0.9以上や0.1未満の検査記号表示を必要としていないので、検査値の範囲も0.9~0.1まで0.1刻みでしか装備されていない。また、検査記号はランドルト環のみで、しかも0.1に至っては左向きと下向きの2種類しか備えられていない。また、それぞれの検査値ごとに合わせた大きさの同じ検査記号チャートが重複して備え付けられている単純な仕様となっているため、詳細な検査までとは至らない。
【0012】
非特許文献6に掲載されている形式LCD-7000Eは、この会社から販売されている最新の視力検査機器の1つであり、検査値が0.1~1.0までを0.1刻みと1.2、1.5、2.0の13段階のみの設定となっていて、視力が0.1以下の被験者の場合、検眼機器との距離を縮めるか、手持ちの検査記号カードなど他の用具を用いて検査しなければならない。また、検査記号もランドルト環しか表示させられず、前記の段落番号0004同様、ランドルト環以外の文字や数字の検査記号又は、幼児に対応した絵などの検査記号を表示させたりすることができない。
【0013】
その他、非特許文献6に掲載されている形式NKO-500や型式NB-K及び形式NB-C、形式NH-R及び形式NH-L、形式NH-I、型式HP-1258、視力表カード3枚式、型式NH-3、型式HP-1263、森実氏ドットカードうさぎ・くま、形式STジャンケンカード、形式HP-1268などの検査器具の例は、様々な会社から販売されているが、これらは現在も1つの器具で賄うことのできる視力検査装置が存在せず、いろいろな検査器具を併用して検査しなければならない現状を表している。
【0014】
非特許文献7について、検査値がCA-1000では0.1~1.5の12段階で1つの検査値にランドルト環が1方向ずつのみとなっていて,CA-2000では0.02、0.04、0.05、0.07の4段階が追加されているが、やはり1つの検査値にランドルト環が1方向のみしか装備されておらず、同じ検査値を複数方向のランドルト環で検査することが不可能である。また、検査記号もランドルト環のみしか表示されず、前記の段落番号0004同様、ランドルト環以外の文字や数字の検査記号又は、幼児に対応した絵などの検査記号を表示させたりすることができない。
【0015】
非特許文献1、非特許文献2、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献7はどれも高額な装置であり、また、これらの機器は前記の段落番号0005から0009、0011及び0014で示したと通り、検査値を無段階に設定することができないし、検査記号も全ての検査値においてランダムに選択することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007-143665号公報
【特許文献2】公開平05-154105号公報
【特許文献3】実登3010759号公報
【特許文献4】実登3006934号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】「ミラクルチャート MC-5/MC-5S」,株式会社トプコン
【非特許文献2】「液晶視力表システムチャートSC-1600PolaTM/1600」,株式会社ニデック
【非特許文献3】「スマホでかんたん視力検査(タブレットにも対応)」,バルバロイ・ウェア
【非特許文献4】「コーワ AS-27α」,興和株式会社
【非特許文献5】「コーワ AS-7H」,興和株式会社
【非特許文献6】「ニット―2020-2021年度版保険カタログ337号」,日陶科学株式会社 形式LCD-7000E(030~031),形式NKO-500(032~033),形式NKC-370R8方向タイプ及び4方向タイプ(034),型式NB-K及びNB-C,形式NH-R及び形式NH-L,NH-I(P.036),型式HP-1258,視力表カード3枚式,型式NH-3(P,037),型式HP-1263,森実氏ドットカードうさぎ・くま,STジャンケンカード,形式HP-1268(P,038)
【非特許文献7】「株式会社ヤガミ CA-1000、CA-2000」,株式会社ヤガミ
【非特許文献8】「JIS T 7309:2002」,日本規格協会
【非特許文献9】「視力」,フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
医療機関等において視力を検査する場合、コンピューター技術を搭載した様々な精密検査機器を併用して検査が行われるが、ほとんどの場合、紙媒体または電光掲示板に検査値に合わせて順に並べられたランドルト環や各国の文字が表記されている視力検査表が利用されている。この理由は、前記の段落番号0004から0009、0011及び0013で示したと通り、これらの精密検査機器は検査値を無段階に設定することができず、検査記号もランドルト環以外の文字や数字の検査記号や、幼児に対応した絵などの検査記号などの全てをランダムまたは任意に選択することができないという構造上の課題があり、どの被験者に対応できないためである。
【0019】
紙媒体または電光掲示板に表記された視力検査表は、ランドルト環や文字、数字など多種類の検査記号で検眼することを可能としているが、表記できる検査記号の数が限られてしまうため、左右の視力を測るとき、左目を測った後、右目を測る際には既に覚えてしまっていることにつながることになる。特に、0.1を測る際の記号は最上部にランドルト環が多くても3つ程しかないのが通常である。これでは、被験者が記憶しまっていてわかっているのに「見えません」と答えるか、わかっていることに嘘をつきたくないという理性から正直に見えたまま答えてしまうなどのジレンマやフラストレーションにつながってしまう。特にこうしたことは、年齢の低い子どもたちに多く起こり得るものである。また、多くの検査記号を表記しなければならないため、0.1までしか記載することができず、それ未満を測る必要がある場合は、もうすでに理解してしまっている最上部のランドルト環等の記号に対して被験者が検査表との距離を縮めて測るか、検査者が別に検査記号カードを手に持って被験者に対して距離を縮めながら、ランドルト環の方向を上下左右斜めに変えたり、文字や数字、絵などの検査記号を変えたりして測らなければならない。
【0020】
現代では、タブレットやスマートフォン等、個人で検査できるアプリケーションも出回っているが、それらは距離を一定に保つことが難しかったり、明るさが曖昧であったり、ランドルト環のみの機能だったり、被験者と表示画面の距離が近く表示画面の大きさに制限があるため、0.1未満を表す大きな検査記号を表記することが難しく、そこまでの開発はされておらず、あくまでも自身で参考とするための検査としかならないし、実際、なぜ視力を測る必要があるのか考えた場合、目の病気又は眼鏡やコンタクレンズの購入、健康診断、各種免許・資格取得等のためで、それらの場合、自分で測ったものを採用することはできず、正式にはそれぞれの機関の所属職員である検査者が被験者の視力を測ることが不可欠である。
【0021】
眼鏡店等では、コンピューター制御による検査機器が利用されてもいるが、前記の段落番号0004から0009で示した通り、検査値や検査記号の表示が限定的であり、また、高価でもあるため利用頻度の少ない学校など様々な施設では購入することができないのがほとんどである。
【0022】
以上のことから、各検査機関において視力検査を行う際、検査値を無段階に設定させることを可能とし、尚且つ、全ての検査値において様々な種類の検査記号の全てを完全な無作為または任意に表示させることで、被験者にとってジレンマやストレスを感じることなく、複数回行われた検査結果に基づく検眼を可能とさせる検査操作器具および検査記号表示画面一体型の検査装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る検査装置は、コンピューター制御により任意の検査記号を入力する入力部と、入力した検査記号データを記憶する記憶部と、検査記号を無作為や任意に選択できる検査記号選択部と、検査値を無段階に選択する検査値選択部を備えた視力検査操作器具と、前記視力検査操作器具で処理された検査設定や検査記号の情報を表示する検査記号等表示器具で構成される。
【0024】
本発明は、検査記号表示画面に映す検査記号を1つとすることができ、従来の紙媒体や電光掲示板による視力検査表の面積よりも省スペースにとどめることができる。
【0025】
本発明は、コンピュータープログラムに、上下左右斜めの8方向のランドルト環やひらがな50文字、アルファベット26文字、その他の国々の文字や数字、絵など様々な検査記号を個別に備えることで、1つの画面に複数の検査記号を表示する場合においても、各々が単独でランダムに変化させることを可能とする。
【0026】
本発明は、検査記号を非特許文献8及び非特許文献9に示す基準に則り、検査値に即して対比により拡大したり、縮小したりすることで検査記号を無段階の大きさに表記することを可能とさせる。
【0027】
本発明は、例えば0.5ではランドルト環で3方向のみや、ひらがなで「は」「へ」「と」の3文字のみ、0.04ではランドルト環で2方向のみ、ひらがなで「ふ」「と」の2文字のみしか検査できないなどの限定的な検査方法を無くし、上下左右斜めのランドルト環、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、他国の言語、数字、絵、その他表記させたい検査記号を全て表示することを可能とする。
【0028】
本発明は、検査方法に一切のパターンを用いず、コンピュータープログラムにより検査記号を全くの無作為に表示させることができたり、検査者が任意に検査記号を選んで表示させたりすることができる。また、日本語では、「を」や「ん」の文字を単独では使用することがないため、予めそうしたものを除いた設定を任意にすることもできる。
【0029】
本発明は、全ての検査値において、必要とする検査記号のみを指定した上でランダムに表示きるようにする。
【0030】
本発明は、全ての検査値において、備え付けられた全種類の検査記号を意図的に表示できることを可能とする。
【0031】
本発明は、画面に表示されるアイコン等画像の図柄や構成又は、検査記号の種類や文字、絵、数字及び検査値や同時に表示する検査記号の数はアップデートにより、変えたり増減させたりすることを可能とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る視力検査装置は、医療機関や眼鏡店、各種免許・資格取得の際に利用する視力検査装置を想定した検査装置である。検査記号が全くの無作為又は任意選択で表記され、例えば0.01までの検査を被験者が距離を前後に移動したり、検査者が別のランドルト環カード等を手に持って被験者に対して前後に移動したりする必要なく、一つの検査装置による一定の距離での視力検査が受けられることを可能とする。
【0033】
本発明は、検査記号が全くの無作為または任意に表示されるため、被験者は記憶することは不可能で、ジレンマやストレスを感じることなく検査を受けることができる。
【0034】
本発明において検査者は、検査記号を全くの無作為に表示されることができ、それらを選ぶ手間と時間が除かれ検査をスムーズに行い、時間を短縮することが可能となる。このことは被験者の数が多い場合により効果が発揮される。
【0035】
本発明は、従来のように、チャートやパターンをあらかじめ用意する必要がなく、ひらがなやアルファベット、その他の国の言語、数字、絵などの記号を全ての検査値で表すことを可能とし、1つの画面に複数の検査記号を表示する場合においても、各々が単独でランダムに変化させることができる。
【0036】
本発明は、リモートコントロールでの操作器具及び検査記号表示画面のみの装置のため、リモートコントロールでの操作器具はキーボートもしくはタブレット端末ほどの大きさとなる。通常のコンピューター用キーボードのように、必ずしもリモートコントロール操作器具に操作状況を表示する画面は必要ではなく、画面を有しないキーボードの場合は検査記号等表示器具がそのまま操作画面を表すこともできる。また、検査記号表示画面は、表示する検査記号を1つとすれば、画面の大きさを5m離れた距離から0.01を測るための検査記号を表記する場合、その記号の大きさは非特許文献8及び非特許文献9に示す基準に則り、検査値に即して対比によりランドルト環で表すと直径750mmであるため、それを少し上回る大きさまでしか必要とせず、従来の視力検査表の面積よりも省スペースにとどめることができる。今後、技術革新が進めば一枚の薄いシートで済ませることも可能となり、携帯性に優れ、医療機関や眼鏡店、自動車運転免許場などの検査施設のみにとどまらず、学校などの施設や移動診療等に活用可能となる。検査距離が3mや1mの場合としてより小さな表示器具とすることも可能である。
【0037】
本発明は、全ての検査値において備え付けられたランドルト環や被験者に応じた各国の文字、数字、絵、その他の記号を操作一つで横断的に検査することを可能とする。
【0038】
本発明は、省スペースで済むため、色覚検査や乱視検査、その他の検査機能も付随可能となる。
【0039】
本発明の検査操作器具と検査記号等表示器具との接続については、無線または、有線での接続で利用可能にする。
【0040】
従来、視力を測る場合、最も良い視力の検査値として2.0が通例であり、その概念が当たり前として認識されているため、流通している紙媒体または電光掲示板に表記された視力検査表やコンピューター技術を搭載した様々な精密検査機器等は、それをもとにして作られている。しかし、2.0が最高値であることは基準として定まってはおらず、本発明は前記0018及び0019で示した通り、そうした検査器具等とは異なり、表記できる検査値や検査記号数の制限がないため、検査記号をこれまでよりも小さく表示させることができ、2.0を超えて視力を測ることを可能とさせる。その際、検査値が上がるにつれて検査記号の大きさに差異があまり生じなくなることを考慮に入れると2.0の次は3.0、4.0、5.0と1.0刻みなどと表記することも考えられる。また、前記0004で示した通り、従来までの視力検査が、その効率性や被験者が眼鏡等の矯正器具を利用するか否かを分類するための方策等に視点が置かれ、視力をより高い測定値まで測ることに考えが及んでいなかったが、これまでの概念を変え2.0を超えて視力を測ることを可能とすれば、人々は、これまで以上に視力が良いことへの意欲が高まり電子機器等の使用により、その低下が懸念されている現代の課題への研究・開発へとつなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1(2)】視力検査操作器具のランドルト環記号操作画面
【
図1(3)】視力検査操作器具のひらがな記号操作画面
【
図1(4)】視力検査操作器具のアルファベット記号操作画面
【
図1(5)】視力検査操作器具のカラー絵記号及びシルエット絵記号及び数字記号操作画面
【
図2(6)】検査記号等表示器具のランドルト環検査記号表示例
【
図2(7)】検査記号等表示器具のひらがな検査記号表示例
【
図2(8)】検査記号等表示器具のアルファベット環検査記号表示例
【
図2(9)】検査記号等表示器具のカラー絵検査記号表示例
【
図2(10)】検査記号等表示器具のシルエット絵検査記号表示例
【
図2(11)】検査記号等表示器具の数字検査記号表示例
【
図3(12)】検査記号等表示器具の検査記号単数表示図
【
図3(13)】検査記号等表示器具の検査記号複数表示図
【発明を実施するための形態】
【0042】
検査記号を入力する入力部の
図1(1)の1をクリックすることで検査を開始し、(2)の11をクリックして検査を終了させ、12は検査値を表し、13または14をクリックする毎に検査記号を1段階ずつ大きくしたり小さくしたりさせることで、その値を変えることができ、16をクリックすることで(1)へ移動し、11、12、13、14、15,16は
図1(3)、(4)、(5)の検査画面でも同じ機能をはたす。
【0043】
検査記号を入力する入力部の
図1(1)において、2をクリックすると、
図3(12)で示す画面図のように、全ての検査値において、どの検査記号も単数で表示され、3をクリックすると、
図3(13)で示す画面図のように、どの検査記号も0.01のみ単数で表示され、その他の検査値では0.02で2つ、0.03と0.04では3つ、0.05~0.09では4つ、0.1~2.0では5つと複数で表示されるものとする。また、検査記号は全て、単数で表示されているときはもちろん、複数で表示されている場合も、各々が単独で個別に無作為に表示することができる。
【0044】
検査記号を入力する入力部の
図1(1)において、4をクリックすると、(2)のランドルト環記号の入力部、記憶部、選択部及び検査値選択部を備えた操作画面へ移動し、5をクリックすると(3)のひらがな記号の入力部、記憶部、選択部及び検査値選択部を備えた操作画面へ移動し、6をクリックすると(4)のアルファベット記号の入力部、記憶部、選択部及び検査値選択部を備えた操作画面へ移動し、7をクリックすると(5)の絵・数字記号の入力部、記憶部、選択部及び検査値選択部を備えた操作画面へ移動する。
【0045】
図2の(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)は、被験者が目視して検査を受ける検査記号表示器器具の画面図で、(6)は(2)で入力、記憶、選択された検査記号及び検査値を表示させ、(7)は(3)で入力、記憶、選択された検査記号及び検査値を表示させ、(8)は(4)で入力、記憶、選択された検査機構及び検査値を表示させ、(9)は(5)の28をクリックしたときに入力、記憶、選択された検査記号及び検査値を表示させ、(10)は(5)の29をクリックしたときに入力、記憶、選択された検査記号及び検査値を表示させ、(11)は(5)の30をクリックしたときに入力、記憶、選択された検査記号及び検査値を表示させる。
【0046】
検査記号を入力する入力部の
図1(2)は、(1)の4をクリックした後の画面図で、8の2つのアイコンの内どちらか一方をクリックすることで、4方向あるいは8方向が選択されたことを表し、15をクリックする毎に10のランドルト環の切れ目の方向を無作為に選択し表示させる。また、9のいずれかを任意にクリックする毎に、その矢印の方向に合わせてランドルト環の切れ目の記号を表示させる。
【0047】
検査記号を入力する入力部の
図1(3)は、(1)の5をクリックした後の画面図で、17をクリックすることで、ひらがなの50音すべてが選択され、15をクリックする毎に無作為に表示させて、18をクリックすることで、「を」と「ん」を除くひらがな48文字が選択され、15をクリックする毎に無作為に表示させて、19をクリックすることで、21の内の表示させたい文字を任意に指定することができ、15をクリックする毎に無作為に表示させて、また、20をクリックすることで、21の内のいずれかの文字をクリックする毎に、その記号を表示させる。
【0048】
検査記号を入力する入力部の
図1(4)は、(1)の6をクリックした後の画面図で、22をクリックすることで、アルファベットの26文字すべてが選択され、15をクリックする毎に無作為に表示させて、23をクリックすることで、25の内の表示させたい文字を任意に指定することができ、15をクリックする毎に無作為に表示させて、また、24をクリックすることで、25のいずれかの文字をクリックする毎に、その記号を表示させる。
【0049】
検査記号を入力する入力部の
図1(5)は、(1)の7をクリックした後の画面図で、28をクリックすると31のカラー絵が選択され、29をクリックすると32のシルエット絵が選択され、30をクリックすると33の数字が選択され、26をクリックすると、選択されている種類の全ての記号が指定され、15をクリックする毎に無作為に表示させて、27をクリックすることで、31あるいは32あるいは33のいずれか選択されている種類いずれかの記号をクリックする毎に、その記号を表示させる。
【0050】
検査値を無段階に選択する検査値選択部は、検査記号を非特許文献8及び非特許文献9に示す基準に則り、検査値に即して対比により拡大したり、縮小したりすることで検査記号を無段階の大きさに表記することを可能とさせることができ、本検査装置では5.0から2.0までを1.0刻みに、2.0から1.0までを0.1刻みに、また、0.1未満から0.01までを0.01刻みに表示させ検査することを可能とさせているが、5.0を超える検査値や0.32、0.15なども表記可能とすることができる。
【0051】
全てのアイコンは、クリックされる毎に、その色が変化することで選択されていることを表す。
【0052】
検査記号の種類や文字、絵、数字及び検査値または1度に表示する検査記号の数はアップデートにより、変えたり増減させたりすることを可能とさせる。
【符号の説明】
【0053】
1 検査開始アイコン
2 検査記号単数表示アイコン
3 検査記号複数表示アイコン
4 ランドルト環設定アイコン
5 ひらがな設定アイコン
6 アルファベット設定アイコン
7 絵・数字選択アイコン
8 ランドルト環4方向・8方向選択アイコン
9 ランドルト環の向き指定アイコン
10 ランドルト環の向き確認表示
11 検査終了アイコン
12 検査値表示
13 検査記号拡大表示アイコン(クリックする毎に1段階ずつ拡大させる)
14 検査記号縮小表示アイコン(クリックする毎に1段階ずつ縮小させる)
15 検査記号ランダム選択アイコン
16 検査設定画面表示アイコン
17 全ひらがな文字選択アイコン
18 「を」と「ん」を除くひらがな48文字選択アイコン
19 ひらがな文字指定アイコン
20 ひらがな1文字選択アイコン
21 ひらがな文字アイコン
22 アルファベット全文字選択アイコン
23 アルファベット文字指定アイコン
24 アルファベット1文字選択アイコン
25 アルファベット文字アイコン
26 カラー絵またはシルエット絵または数字全選択アイコン
27 カラー絵またはシルエット絵または数字の内の1記号選択アイコン
28 カラー絵設定アイコン
29 シルエット絵設定アイコン
30 数字設定アイコン
31 カラー絵アイコン
32 シルエット絵アイコン
33 数字アイコン
【手続補正書】
【提出日】2022-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューター制御により任意の検査記号を入力する入力部と、入力した検査記号データを記憶する記憶部と、検査記号を無作為または任意に選択できる検査記号選択部と、検査値を任意に選択できる検査値選択部とを含む視力検査操作器具と、前記視力検査操作器具で選択された検査値に基づく大きさの検査記号を複数個同時に表示可能な検査記号等表示器具とを備えており、
前記視力検査操作器具は、検査記号を拡大縮小表示させる入力操作および検査記号をランダム表示させる入力操作のいずれかの入力操作がなされるごとに、前記検査記号等表示器具に複数個の検査記号を各々単独で個別に無作為に表示させる、視力検査装置。
【請求項2】
前記視力検査操作器具は、検査値を段階的に大きくする際に、所定の検査値を超えるごとに検査記号の個数を1個以上増加させて前記検査記号等表示器具に表示させるとともに、検査値を段階的に小さくする際に、所定の検査値より低くなるごとに検査記号の個数を1個以上減少させて前記検査記号等表示器具に表示させる、請求項1に記載の視力検査装置。
【請求項3】
前記視力検査操作器具は、選択された検査値が0.01のときには単数の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.02のときには2個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.03および0.04のいずれかのときには3個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.05~0.09の範囲内のときには4個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.1~2.0の範囲内のときには5個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させる、請求項1または請求項2に記載の視力検査装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターによって構成される視力検査操作器具と、前記視力検査操作器具で処理された検査記号を表示する検査記号等表示器具とを備えた視力検査装置であって、
前記視力検査操作器具は、
複数の種類の検査記号から任意の種類の検査記号を選択できる検査記号設定部と、
前記検査記号設定部によって選択された種類の検査記号の中から前記検査記号等表示器具に表示させる検査記号を無作為または任意に選択できる検査記号選択部と、
前記検査記号選択部によって選択された検査記号の検査値を拡大縮小できる検査値選択部とを有し、
前記検査値選択部によって前記検査記号を拡大縮小表示させる入力操作がなされるごとに、前記検査記号選択部によって選択された前記検査記号の中から検査記号を無作為に選択する処理を実行し、
前記検査記号等表示器具は、
前記視力検査操作器具によって無作為に選択された検査記号を表示する、視力検査装置。
【請求項2】
前記視力検査操作器具は、
前記検査記号等表示器具に複数個の検査記号を並べて表示させる際には、前記検査値選択部によって前記検査記号を拡大縮小表示させる入力操作がなされるごとに、前記検査記号選択部によって選択された前記検査記号の中から、並べて表示する各々の検査記号を個別かつ無作為に選択する処理を実行し、
前記検査記号等表示器具は、
前記視力検査操作器具によって個別かつ無作為に選択された各検査記号を並べて同時に表示する、請求項1に記載の視力検査装置。
【請求項3】
前記視力検査操作器具は、前記検査値選択部によって検査値を段階的に大きくする際に、所定の検査値を超えるごとに前記検査記号選択部によって選択された検査記号の中から個別かつ無作為に選択する検査記号の個数を1個以上増加させて前記検査記号等表示器具に表示させるとともに、前記検査値選択部によって検査値を段階的に小さくする際に、所定の検査値より低くなるごとに前記検査記号選択部によって選択された検査記号の中から個別かつ無作為に選択する検査記号の個数を1個以上減少させて前記検査記号等表示器具に表示させる、請求項1および請求項2に記載の視力検査装置。
【請求項4】
前記視力検査操作器具は、前記検査値選択部によって選択された検査値が、0.01のときには前記検査記号選択部によって選択された検査記号の中から無作為に選択された単数の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.02のときには前記検査記号選択部によって選択された検査記号の中から各々無作為に選択された2個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.03および0.04のいずれかのときには前記検査記号選択部によって選択された検査記号の中から各々無作為に選択された3個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.05~0.09の範囲内のときには前記検査記号選択部によって選択された検査記号の中から各々無作為に選択された4個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させ、0.1~2.0の範囲内のときには前記検査記号選択部によって選択された検査記号の中から各々無作為に選択された5個の検査記号を前記検査記号等表示器具に表示させる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の視力検査装置。