IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カインズの特許一覧

<>
  • 特開-ホース巻取装置 図1
  • 特開-ホース巻取装置 図2
  • 特開-ホース巻取装置 図3
  • 特開-ホース巻取装置 図4
  • 特開-ホース巻取装置 図5
  • 特開-ホース巻取装置 図6
  • 特開-ホース巻取装置 図7
  • 特開-ホース巻取装置 図8
  • 特開-ホース巻取装置 図9
  • 特開-ホース巻取装置 図10
  • 特開-ホース巻取装置 図11
  • 特開-ホース巻取装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029211
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ホース巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/40 20060101AFI20230224BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20230224BHJP
【FI】
B65H75/40 Z
B05B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079357
(22)【出願日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2021134194
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500367067
【氏名又は名称】株式会社カインズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長坂 義伸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶
(72)【発明者】
【氏名】中野 遼
【テーマコード(参考)】
3F068
4D073
【Fターム(参考)】
3F068AA05
3F068DA02
3F068EA02
3F068FA02
3F068HA03
3F068HA07
3F068HB14
4D073AA05
4D073BB03
4D073CA08
4D073CA10
4D073CA11
4D073CA19
4D073CB03
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、容易にホースの洗浄を行うことができるホース巻取装置を提供する。
【解決手段】先端に液体が噴射される噴射ノズル30が設けられたホースを巻き取って収納するホース巻取装置であって、ケース20と、ケース20内に設けられ、噴射ノズル30を固定する固定部70と、ケース30内に設けられ、固定部70に噴射ノズル30を固定した状態でホースを巻き取り可能なホースリール50と、ケース20内において固定部70に固定した噴射ノズル30から噴射される水の噴射方向側に設けられ、噴射される水が当たって落下する落下面を有する水受け部80と、を備え、ホースリール50は、落下面による水の落下方向側に設けられ、落下面は、固定部70に固定した噴射ノズル30の噴射軸IAに対して垂直な垂直面と、噴射軸IAに対して落下方向側とは反対側に傾斜する傾斜面と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に液体が噴射されるノズルが設けられたホースを巻き取って収納するホース巻取装置であって、
ケースと、
前記ケース内に設けられ、前記ノズルを固定する固定部と、
前記ケース内に設けられ、前記固定部に前記ノズルを固定した状態で前記ホースを巻き取り可能な巻取部と、
前記ケース内において前記固定部に固定した前記ノズルから噴射される前記液体の噴射方向側に設けられ、該噴射される前記液体が当たって落下する落下面を有する液体受け部と、
を備え、
前記巻取部は、前記落下面による前記液体の落下方向側に設けられ、
前記落下面は、前記固定部に固定した前記ノズルの噴射軸に対して垂直な垂直面と、前記噴射軸に対して前記落下方向側とは反対側に傾斜する傾斜面と、を有することを特徴とするホース巻取装置。
【請求項2】
前記巻取部は、前記噴射軸と略直交する形で延在するとともに前記ホースが巻き取られるリール軸を有し、
前記落下面は、前記リール軸の延在方向における幅が、前記リール軸の延在する長さ以上であることを特徴とする請求項1に記載のホース巻取装置。
【請求項3】
前記ケースの内周面のうち前記リール軸の軸方向における中心近傍と対向する位置から前記リール軸の端部側に向かって傾斜又は湾曲する形で立設された壁部を備えることを特徴とする請求項2に記載のホース巻取装置。
【請求項4】
前記ケースは、前記噴射方向側とは反対側に設けられた開口部を有し、
前記固定部は、前記噴射軸周りに半筒状に設けられるとともに前記ノズルが載置される載置部を有し、
前記載置部は、その一部に前記半筒の内径が縮径された縮径部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のホース巻取装置。
【請求項5】
前記載置部は、前記縮径部から延びるとともに前記噴射軸と略直交する方向に弾性変形する弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記載置部に載置される前記ノズルを押圧することを特徴とする請求項4に記載のホース巻取装置。
【請求項6】
前記固定部と前記液体受け部との間の距離が40mm~60mmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のホース巻取装置。
【請求項7】
前記傾斜面に、前記落下方向側とは反対側に凸となるように弧状に湾曲する溝又はリブが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のホース巻取装置。
【請求項8】
前記ケースは、該ケース内の空間を囲むフレーム部材を有し、
前記フレーム部材の少なくとも一部が補強リブにより補強された肉抜き構造とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のホース巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホース巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホースを巻き取ってケース内に収容するホース巻取装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ホースを巻き取ってハウジング内に収容するホースリールが開示されている。このホースリールでは、ホースの先端に水流を吐出する散水ノズルが取り付けられている。散水ノズルは、ハウジングの底壁の前部に設けられた収納部に立て掛けられて保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-7077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズルから噴射される水を利用して、ホースの洗浄を行いたいことがある。上記従来のホースリールでは、ホースの洗浄作業を行う場合、ホースを巻き取りながらホースを洗浄し、洗浄後にノズルを収納部に立て掛ける必要がある。しかしながら、ホースを巻き取りながらホースの洗浄作業を行う場合には、手間や労力が必要となる。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、容易にホースの洗浄を行うことができるホース巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、先端に液体が噴射されるノズルが設けられたホースを巻き取って収納するホース巻取装置であって、ケースと、前記ケース内に設けられ、前記ノズルを固定する固定部と、前記ケース内に設けられ、前記固定部に前記ノズルを固定した状態で前記ホースを巻き取り可能な巻取部と、前記ケース内において前記固定部に固定した前記ノズルから噴射される前記液体の噴射方向側に設けられ、該噴射される前記液体が当たって落下する落下面を有する液体受け部と、を備え、前記巻取部は、前記落下面による前記液体の落下方向側に設けられ、前記落下面は、前記固定部に固定した前記ノズルの噴射軸に対して垂直な垂直面と、前記噴射軸に対して前記落下方向側とは反対側に傾斜する傾斜面と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成で、容易にホースの洗浄を行うことができるホース巻取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るホース巻取装置を前方斜め上方から視た斜視図である。
図2】第1実施形態に係るホース巻取装置を後方斜め上方から視た斜視図である。
図3】第1実施形態に係るホース巻取装置の内部構造を示す斜視図であって、ケースの前側部分を上下方向及び左右方向に沿った面で切断したホース巻取装置を前側から視た斜視図である。
図4】第1実施形態に係るホース巻取装置を前方斜め下方から視た斜視図である。
図5】第1実施形態に係るホース巻取装置の内部構造を示す側面図であって、ケースを上下方向及び前後方向に沿った面で切断したホース巻取装置を左側から視た側面図である。下部に示す図は、図5の破線で囲まれる部分を拡大した図であって、噴射ノズルが固定された状態の固定部の近傍を拡大した図である。
図6】第1実施形態に係るホース巻取装置の固定部の斜視図である。
図7】第1実施形態に係るホース巻取装置の水受け部の斜視図である。
図8】第1実施形態に係るホース巻取装置の水受け部に当たって落下する水の軌道を模式的に示す正面図である。
図9】第1実施形態の変形例に係る水受け部に当たって落下する水の軌道を模式的に示す正面図である。
図10】第2実施形態に係るホース巻取装置のケースの構造を示す斜視図であって、ケースの左方後側部分及び右方前側部分を上下方向及び左右方向に沿った面で切断したホース巻取装置を前側から視た斜視図である。
図11】第2実施形態に係るホース巻取装置の内部構造を示す側面図であって、ケースを上下方向及び前後方向に沿った面で切断したホース巻取装置を左側から視た側面図である。下部に示す図は、図11の破線で囲まれる部分を拡大した図であって、噴射ノズルが固定された状態の固定部の近傍を拡大した図である。
図12】第2実施形態に係るホース巻取装置の固定部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図9を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るホース巻取装置10は、略箱状に6面(上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20d、前面20e、後面20f)を有するケース20を備える。ケース20内には、先端に水(液体)が噴射される噴射ノズル(ノズル)30が設けられたホース40が巻き取られた状態で噴射ノズル30と共に収納される。ケース20の前面20eには大きく開口するケース開口部(開口部)21が設けられており、ケース20内に収納された噴射ノズル30及びホース40はケース開口部21から外部に取り出される。なお、以下の説明においては、ホース巻取装置10における前後とは、ケース開口部21が設けられた側を前側とする前後方向を示し、左右とは、噴射ノズル30の取出方向(ケース20の内部からケース開口部21を通して外部に向かう方向)Pに対しての左右方向を示す。
【0010】
ケース20の前面20e及び後面20fは、いずれも四隅が角R状とされる。ケース20の前面20eに設けられたケース開口部21は、その開口縁の輪郭が前面20eの端縁の輪郭に対して一回り小さな形で相似する。ケース開口部21の上側の開口縁には、上方に向かって凸となるように円弧状に切り欠かれた切欠部21aが設けられている。切欠部21a内には、後述する噴射ノズル30のノズル部32の一部が切欠部21aの切欠縁に沿って収まる形で収納される。
【0011】
ケース20の右側面20dには、略中央位置に円形状に開口する円形枠部20d1が設けられている。円形枠部20d1には、後述するホースリール(巻取部)50のホイール部54が回転可能に嵌め込まれている。ホイール部54は円形枠部20d1の開口縁に沿った円板状をなしており、ホースリール50のリール軸52(図3参照)の軸周りに回転する。ホイール部54の外面には凹状の収納凹部54aが設けられており、収納凹部54a内には折り畳み可能なハンドル部56が折り畳まれた状態で収納されている。ハンドル部56を収納凹部54aからケース20の外側に引き出すことにより、ハンドル部56を介してホイール部54を手動で回転させることができる。
【0012】
図2に示すように、ケース20の後面20fには、その上部に横長に開口する取手部20f1が設けられている。この取手部20f1の開口縁に手を掛けてホース巻取装置10を持ち運ぶことにより、ホース巻取装置10を容易に運搬することができる。また、ケース20の後面20fには、その左側下部に取付口24が設けられている。取付口24には、例えば一端が水道管に接続されたホース(ホース巻取装置10に収納されるホースとは異なる)の他端が接続されることにより、水道管からホース巻取装置10に水道水が供給される。
【0013】
また、図3及び図4に示すように、ケース20の下面20bには、左右方向に横長の略長方形状に開口する2つの下面開口部20b1が設けられている。これらの下面開口部20b1が設けられていることにより、ケース20内の水等が下面開口部20b1から外部へと排出されるため、ケース20内下部に水等が溜まることが防止される。
【0014】
次に、ケース20内にホース40を巻き取って収納するための構成について説明する。図3に示すように、ケース20内には、ホース40を巻き取るためのホースリール50が配置されている。ホースリール50は、軸方向がケース20の左右方向と一致する形でケース20内の略中央に配置されるリール軸52と、リール軸52の軸方向両端部に取り付けられたホイール部54と、ハンドル部56(図1参照)と、を備える。なお、リール軸52は、後述する固定部70に固定された噴射ノズル30の噴射軸IAと略直交する形で延在する。
【0015】
リール軸52の軸方向略中央部には、上方に開口するリール軸開口部52aが設けられている。リール軸開口部52a内には、供給口58が配置されている。供給口58は、リール軸52の内部を軸方向に伸びる形で設けられた供給管59(図5参照)の一端と連通しており、供給管59の他端は、ケース20の後面20fに設けられた取付口24と連通している。このため、水道管に接続されたホースが上述した取付口24に接続されることにより、水道管から供給管59を介して供給口58へ水を供給することができる。
【0016】
円板状をなすホイール部54は、その板面がケース20の左右両側面20c,20dに沿う形で左右両側面20c,20dの内側にそれぞれ配置されており、リール軸52と共にリール軸52の軸周りに回動可能とされる。上述したように一方のホイール部54の外面に設けられたハンドル部56を利用することにより、手動でリール軸52を回転させることができる。なお、ケース20の左右両側面20c,20dの内側には、略円環状をなし、ホイール部54を収容するホイール収容部26が設けられている。
【0017】
供給口58には、先端に噴射ノズル30が設けられたホース40の末端(噴射ノズル30が設けられた側とは反対側の端部)を接続することができる。供給口58に水が供給されることにより、供給口58に接続されたホース40の先端の噴射ノズル30から水を噴射させることができる。そして、ホース40の末端を供給口58に接続した状態で、リール軸52を手動で回転させることより、ホース40をリール軸52の外周面上に巻き取ることができる。
【0018】
ここで、図3に示すように、ケース20の内周面には、リール軸52の軸方向における中心近傍と対向する位置からリール軸52の一方の端部又は他方の端部に向かって傾斜する形で4枚の壁部60がそれぞれ立設されている。各壁部60はケース20の前方側から視て略三角形状をなす薄い板状部材であり、リール軸52の上方左側、上方右側、下方左側、下方右側にリール軸52の周りを囲むようにそれぞれ配置されている。これらの壁部60は、後述するように、リール軸52の外周面上にホース40を巻き取る際にホース40がリール軸52の両端部側に偏ることを防止ないし抑制する機能を果たす。なお、これらの壁部60は、リール軸52の軸方向における中心近傍と対向する位置からリール軸52の一方の端部又は他方の端部に向かって湾曲する形で立設されていてもよい。
【0019】
次に、噴射ノズル30の固定構造について説明する。ホース巻取装置10では、リール軸52に巻き取られたホース40と共にホース40に接続された噴射ノズル30がケース20内に収納される。本実施形態で例示する噴射ノズル30は、ホース40に接続される一般的な略円筒状のノズルであり、図5に示すように、水等が噴射される噴射口を有するノズルヘッド32aが一端に設けられたノズル部32と、ノズル部32の他端と接続されるソケット部34と、ソケット部34とホース40との間に設けられてホース40に接続されるコネクタ部36と、により構成される。
【0020】
噴射ノズル30は、ケース20内に設けられた固定部70に固定された状態で、ケース20内に収納される。固定部70は、ケース20内上部の略中央位置に設けられており、図5の拡大図及び図6で示すように、噴射ノズル30のノズルヘッド32aが載置される上方に開口する略半円筒状の載置部70aを備える。噴射ノズル30は、載置部70aとケース20の上面20aの内壁とによって囲まれる空間内に収納される。載置部70aは、固定部70に固定された噴射ノズル30の噴射軸IA周りに略半円筒状に設けられており、略円筒状のノズルヘッド32aをその噴射口をケース20の後面20f側に向けた状態で載置可能となっている。そして、噴射ノズル30は、その噴射軸IAがケース20の前後方向に沿った形で、噴射口とは反対側(噴射ノズル30の背面側)をケース開口部21側に向けつつノズル部32の先端側が切欠部21a内に収められた状態で固定部70に固定される。なお、噴射ノズル30が固定部70に固定された状態では、ソケット部34の一部及びコネクタ部36の一部がケース開口部21から露出する。
【0021】
載置部70aのうちケース20の後面20f側寄りの部分には、噴射ノズル30のノズルヘッド32aが載置される。また、載置部70aのうちケース20の前面20e側寄りの部分は、半円筒の内径が後面20f側寄りの部分より縮径された縮径部70bとなっている。即ち、固定部70は、載置部70aから縮径部70bにかけて窄められた形状となっている。この縮径部70bには、噴射ノズル30のうちノズルヘッド32aとノズル部32との間の接続部分(くびれ部分)が収まるようになっている。載置部70aの内径及び縮径部70bの内径は、固定部70に固定される噴射ノズル30のサイズに応じて適宜設定することができる。固定部70は、その側縁70cが平坦面となっており(図6参照)、この側縁70cがケース20の上面20aの内壁にネジ留め等されることにより、ケース20に対して固定される。
【0022】
また、固定部70の先端部71は上方に僅かに立ち上がっており、ここにノズルヘッド32aの前端(噴射口)が干渉することにより、ノズルヘッド32aがケース20の前後方向において位置決めされる。また、固定部70の末端部72は、縮径部70bからラッパ状に拡がっており、噴射ノズル30を固定部70に固定する際に、載置部70aとケース20の上面20aの内壁とによって囲まれる空間内にノズルヘッド32aを収納し易いようになっている。一方、ケース20の上面20aの内壁には、下方に突出するとともに前後方向に延びる上面側リブ22が設けられている。固定部70に噴射ノズル30が固定された状態では、ノズルヘッド32aの上部が上面側リブ22と近接又は当接し、ノズルヘッド32aがケース20の上下方向において位置決めされる。
【0023】
なお、本実施形態では、載置部70aが略半円筒状である例を示したが、載置部70aが上方に開口する略半角筒状であってもよい。この場合、ノズル部32が角柱状とされた噴射ノズル30を載置部70aに固定することができる。この場合も、載置部70aの内径及び縮径部70bの内径を、固定部70に固定される噴射ノズル30のサイズに応じて適宜設定することができる。
【0024】
次に、固定部70に固定された噴射ノズル30から噴射される水をホース40の洗浄に利用するための構造について説明する。図5に示すように、ケース20内において固定部70の後方側(固定部70に固定された噴射ノズル30の噴射口側)には、断面視略台形状の板状部材である水受け部(液体受け部)80が設けられている。水受け部80は、その一部が固定部70に固定された噴射ノズル30の噴射口と対向し、噴射ノズル30から噴射された水が当たって落下する落下面82とされる。水受け部80の落下面82は、固定部70に固定された噴射ノズル30の噴射軸IAに対して垂直となるように配置される平坦面である垂直面82aと、垂直面82aと繋がっており当該噴射軸IAに対して水の落下方向側(下側)とは反対側に傾斜する平坦面である傾斜面82bと、を有する(図5図7参照)。
【0025】
ケース20に設けられた取手部20f1の開口内の奥側には、水受け部80が取り付けられる取付部20gが設けられている。水受け部80は、落下面82が固定部70に固定される噴射ノズル30の噴射口と対向するとともに傾斜面82bが垂直面82aの上方に位置するような姿勢で、取付部20gに取り付けられる。なお、以下の説明における水受け部80の上側、下側、左側、右側とは、それぞれ取付部20gに取り付けられた状態の水受け部80の上側、下側、左側、右側をいう。水受け部80は、その左右方向がケース20の左右方向及びホースリール50のリール軸52の軸方向と一致する。また、噴射ノズル30の噴射軸IAはケース20の前後方向に沿っているので、垂直面82aは、ケース20の前後方向と直交する水の落下方向(下方)に沿った面となっている。
【0026】
水受け部80は、落下面82に当たった水の落下方向側(下側)にホースリール50が位置するようにホースリール50の上方に取り付けられる。このため、落下面82に当たって下方に落下する水は、リール軸52の外周面上に巻き取られるホース40上に落下することとなる。また、水受け部80では、落下面82である垂直面82aと傾斜面82bの左右方向の幅が同一とされる。そして、図3に示すように、落下面82の左右方向の幅は、ホースリール50のリール軸52の延在する長さ(リール軸52の左右方向の寸法)よりも大きくされている。なお、本実施形態では、垂直面82aに対する傾斜面82bのなす角度(鋭角)が約40°とされる。
【0027】
図7に示すように、水受け部80の垂直面82aの左右両側には、垂直面82aから下方に延長する形で左右両側に先尖状に伸びる延長部82a1が設けられている。水受け部80は、固定部70と当該水受け部80との間の距離D1(固定部70の先端部71と水受け部80の垂直面82aとの間の寸法)が40mm~60mmの範囲内となるようにケース20内に設けられている。
【0028】
以上のような構成及び配置とされた水受け部80では、固定部70に噴射ノズル30が固定された状態でノズル部32の噴射口から水が噴射されることにより、噴射された水が落下面82に当たり、例えば図8の破線で示すような軌道を描いて落下する。即ち、垂直面82aは水の落下方向に沿った面であるので、垂直面82aに当たった水は、噴射される水の水圧に応じて左右方向に拡がりつつ落下面82から落下する。垂直面82aから延長部82a1に伝わった水は、延長部82a1に誘導されてより左右方向に拡がりつつ落下面82から落下する。一方、傾斜面82bは噴射ノズル30の噴射軸IAに対して水の落下方向側とは反対側に傾斜していることから、傾斜面82bに当たった水は、垂直面82aに当たった水より落下し難く、垂直面82aに当たって落下する水よりもさらに左右方向に拡がりつつ落下面82から落下する。
【0029】
次に、ホースリール50に巻き取られるホース40の洗浄手順について説明する。まず、ホースリール50にホース40を巻き取る前に噴射ノズル30のノズル部32を固定部70に固定する。次に、リール軸52の外周面上にホース40を巻き取りつつ噴射ノズル30から水を噴射させる。噴射ノズル30から噴射されて水受け部80の落下面82に当たった水は、上記のような軌道を描いて落下することにより、リール軸52の軸方向(左右方向)に亘ってホースリール50に巻き取られるホース40の外周面上に行き渡り、ケース20の下部へと落下する。このため、噴射ノズル30から噴射される水を利用して、ホースリール50に巻き取られるホース40をその略全域に亘って洗浄することができる。
【0030】
なお、ケース20内でホース40の洗浄に利用された水は、ケース20の下面20bに設けられた下面開口部20b1からケース20の外部へ排出される。このため、洗浄に利用された水やその水によってホース40の外周面から落とされた汚れ等がケース20内の下部に溜まることが防止される。
【0031】
以上説明したように実施形態に係るホース巻取装置10では、ホースリール50にホース40を巻き取る際、先に噴射ノズル30のノズル部32を固定部70に固定し、ホース40を巻き取りつつ噴射ノズル30から水を噴射させることにより、ホース40をその略全域に亘って洗浄することができる。このため、手間や労力を要することなく、噴射ノズル30から噴射される水を利用してホース40の洗浄を行うことができる。しかも、ホース巻取装置10では、噴射ノズル30を固定するための固定部70と固定部70に固定された噴射ノズル30から噴射された水が当たって落下する水受け部80とを設けることにより、上記の洗浄効果を実現することができる。このように、ホース巻取装置10では、簡易な構成で、容易にホース40の洗浄を行うことができる。
【0032】
また、ホース巻取装置10では、ホースリール50は、噴射ノズル30の噴射軸IAと略直交する形で延在するとともにホース40が巻き取られるリール軸52を有し、水受け部80の落下面82は、リール軸52の延在方向(左右方向)における幅が、リール軸52の延在する長さ以上とされている。これにより、落下面82に当たって落下する水は、リール軸52の外周面上にその延在方向に亘って巻き取られるホース40の略全域に行き渡り易くなるため、噴射ノズル30から噴射される水を利用してホース40の洗浄を効果的に行うことができる。
【0033】
また、ホース巻取装置10は、ケース20の内周面のうちリール軸52の軸方向における中心近傍と対向する位置からリール軸52の両端部側に向かってそれぞれ傾斜する形で立設された4枚の壁部60を備える。これらの壁部60が設けられていることにより、リール軸52の外周面上にホース40を巻き取る際、リール軸52の両端部側に巻き取られるホース40は壁部60に干渉し易くなっている。壁部60と干渉したホース40は壁部60の傾斜によってリール軸52の中央部側に誘導されつつ、リール軸52の外周面上に巻き取られる。このため、ホースリール50にホース40を巻き取る際、リール軸52の両端部側にホース40が偏ってしまうことを防止ないし抑制することができ、リール軸52の外周面上にその延在方向に亘って略均等にホース40を巻き取ることができる。
【0034】
また、ホース巻取装置10では、ケース20は、噴射ノズル30の噴射方向側とは反対側に設けられたケース開口部21を有し、固定部70は、噴射ノズル30の噴射軸IA周りに略半円筒状に設けられるとともに噴射ノズル30が載置される載置部70aを有し、載置部70aは、その一部に半円筒の内径が縮径された縮径部70bを有する。このため、ノズルヘッド32aを載置部70aに載置しつつノズルヘッド32aとノズル部32との間の接続部分(くびれ部分)を縮径部70bに収めることにより、噴射ノズル30を固定部70に固定することができる。さらに、噴射ノズル30の噴射方向を水受け部80側に向けた姿勢(噴射ノズル30の背面側をケース開口部21側に向けた姿勢)で噴射ノズル30を固定部70に固定することができる。
【0035】
また、ホース巻取装置10では、固定部70と水受け部80との間の距離が40mm~60mmの範囲内とされている。固定部70と水受け部80との間の距離がこのような範囲内であると、噴射ノズル30から噴射される水を適度な水圧に維持した状態で、水受け部80の落下面82に当たる水を左右方向に拡がり易いものとすることができる。
【0036】
(変形例)
次に、第1実施形態の変形例に係るホース巻取装置について説明する。変形例に係るホース巻取装置は、水受け部180の構成が上記第1実施形態と異なっている。その他の構成については、上記第1実施形態と同一であるため、その説明を省略する。図9に示すように、変形例に係る水受け部180には、噴射ノズル30から噴射された水が当たって落下する落下面182が設けられている。落下面182は、上記第1実施形態に係る水受け部80と同様に、垂直面182a、垂直面から延長して下方に伸びる延長部182a1、及び傾斜面182bを有する。
【0037】
さらに、水受け部180は、傾斜面182b上に設けられた溝182b1を有する。溝182b1は、傾斜面182bの左右方向における略中央位置から、左右両側に向かってそれぞれ上側(水の落下方向とは反対側)に凸となるように湾曲するアーチ状に伸びる形で設けられている。溝182b1の左右両端部は、傾斜面182bの左右の端縁まで通じており、傾斜面182bの左右両側に開放されている。
【0038】
変形例に係る水受け部180では、ノズル部32から噴射されて傾斜面182bに当たった水の一部が溝182b1内に入り込む。溝182b1内に入り込んだ水は、溝182b1に沿って傾斜面182bの左右両端まで誘導され、アーチ状の溝182b1に沿った孤を描きつつ水受け部180から落下する。このため、ホース40の洗浄態様に応じて溝182b1を設定することにより、傾斜面182bに当たって落下する水の軌道を変更することができ、ホース40の洗浄を効果的に行うことができる。
【0039】
なお、溝182b1の代わりに、溝182b1と同様に上側(水の落下方向とは反対側)に凸となるように湾曲するアーチ状に伸びるリブを傾斜面182b上に設けてもよい。この場合であっても、ノズル部32から噴射されて傾斜面182bに当たった水の一部がリブによって傾斜面182bの左右両端まで誘導されるため、ホース40の洗浄態様に応じて、傾斜面182bに当たって落下する水の軌道を変更することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、図10図12を参照して本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るホース巻取装置210は、ケース220の構成及び固定部270の構成が上記第1実施形態と異なっている。その他の構成については、上記第1実施形態と同一であるため、その説明を省略する。なお、図10図12において第1実施形態と同一の構成のものは、第1実施形態(図1図8)と同一の符号で示す。
【0041】
図10に示すように、第2実施形態に係るホース巻取装置210のケース220は、外面を構成する6面の内側に、ケース220内の空間を囲む略箱状のフレーム部材227を有している。フレーム部材227は、左右両側部分及び上面側の後方部分が所定の厚みを有している。フレーム部材227は、前後両側に二分割される構造となっており、図10では二分割されたフレーム部材227のうち後側部分を示している。フレーム部材227に囲まれる空間内には、固定部270とホースリール50と水受け部80が設けられている。フレーム部材227のうち、所定の厚みを有する部分、即ち左右両側のホイール収容部26周りの部分及び上面側の後方部分は、肉抜き構造とされている。
【0042】
フレーム部材227の左右両側に設けられた肉抜き構造は、前方に開放されており、外壁部228a、外壁部228aの内側に隙間を設けて配置された内壁部228b、及び壁部228aと内壁部228bの間に介在する複数の左右補強リブ(補強リブ)228cを有している。複数の左右補強リブ228cは両板面を上下方向に向けた姿勢で設けられた板状のリブであり、上下方向に略等間隔で配置されている。各左右補強リブ228cは、左右両端部が外壁部228a及び内壁部228bに接続されることにより外壁部228a及び内壁部228bを補強する。
【0043】
また、フレーム部材227の上面側の後方部分に設けられた肉抜き構造は、上方に開放されており、当該肉抜き部の空間内に介在する複数の上面補強リブ(補強リブ)228dを有している。複数の上面補強リブ228dは、両板面を左右方向に向けた姿勢で設けられた板状のリブであり、左右方向に略等間隔で配置されている。各上面補強リブ228dでは、フレーム部材227の上面側後方部分の肉抜き構造内の空間を補強する。なお、フレーム部材227の下面側には、当該下面から立ち上がるとともにフレーム部材227の後面を支持する略三角形板状の一対の支持リブ229が設けられている。
【0044】
図11及び図12に示すように、第2実施形態に係る固定部270は、上方に開放された略半円筒状をなすとともに噴射ノズル30のノズルヘッド32aが載置される載置部270aを有している。固定部270の先端部271は、上方に向けて半円環状にわずかに立ち上がっている。載置部270aのうち先端部271側とは反対側の部分は、半円筒の内径が先端部271側よりも縮径された縮径部270bとなっている。この縮径部270bには、噴射ノズル30のうちノズルヘッド32aとノズル部32との間の接続部分(くびれ部分)が収まるようになっている。また、固定部270の末端部272は、第1実施形態と同様に縮径部270bからラッパ状に拡がっている。固定部270は、その側縁270cが平坦面となっており、この側縁270cがケース20の上面20aの内壁にネジ留め等されることにより、ケース20に対して固定される。
【0045】
また、載置部270aには、縮径部270bから先端部271に向けて板状に延びる一対の弾性変形部270dが設けられている。一対の弾性変形部270dの周りは基端部を除いてスリット状に切り欠かれており、これにより両弾性変形部270dは弾性変形可能な板バネとなっている。両弾性変形部270dは縮径部270bから延びることにより、その板面が載置部270aよりも内側に位置している。噴射口をケース20の後面20f側に向けた状態で噴射ノズル30のノズルヘッド32aを載置部270aに載置すると、両弾性変形部270dは、略円筒状のノズルヘッド32aの外周面に押されて外側方向(噴射軸IAと略直交する方向)へ弾性変形し、その弾性復帰力によりノズルヘッド32aの外周面を押圧する。
【0046】
図11の拡大図で示すように、噴射ノズル30のノズルヘッド32aは、その前端(噴射口)が載置部270aの先端部271から離間した形で載置部270aに載置される。ここで、本実施形態においてケース220の上面20aの内壁に設けられた上面側リブ222は、第1実施形態における上面側リブ22よりも大きくされている。このため、ノズルヘッド32aが先端部271から離間した形で載置部270aに載置された状態であっても、ノズルヘッド32aの上部の一部が上面側リブ222と当接し、ノズルヘッド32aが弾性変形部270dと上面側リブ222との間で挟持される。なお、載置部270aに載置されたノズルヘッド32aが前方側に位置ずれした場合、ノズルヘッド32aの前端が先端部71と干渉し、ノズルヘッド32aが載置部270aから前方側へ外れることが防止される。
【0047】
ノズルヘッド32aが弾性変形部270dと上面側リブ222との間で挟持された状態では、固定部270において、ノズルヘッド32aの下部は、弾性変形部270dに押圧される部分のうち最も後方側(ケース開口部21側)に位置する下側固定位置LPで固定され、ノズルヘッド32aの上部は、上面側リブ222と当接する部分のうち最も後方側に位置する上側固定位置UPで固定される。下側固定位置LPと上側固定位置UPは、前後方向においてずれた位置となっている。このため、ノズルヘッド32aを傾けることにより、固定部270に固定された噴射ノズル30をケース開口部21から容易に取り出しすることができるとともに、噴射ノズル30をケース開口部21から収納して固定部270に容易に固定することができる。
【0048】
以上説明したように本実施形態に係るホース巻取装置210では、固定部270の載置270a部は、縮径部270bから延びるとともに噴射軸と略直交する方向に弾性変形する弾性変形部270dを有している。このため、噴射ノズル30のノズルヘッド32aを載置部270aに載置すると、弾性変形部270dがノズルヘッド32aにより弾性変形し、その弾性復帰力によりノズルヘッド32aを押圧する。これにより、載置部270aに載置されたノズルヘッド32aが弾性変形部270dと上面側リブ222との間で挟持され、固定部270に固定された噴射ノズル30を容易に外れ難いものとすることができる。
【0049】
また、本実施形態に係るホース巻取装置210では、ケース220は、ケース220内側の空間を囲むフレーム部材227を有し、フレーム部材227のうち左右両側部分が左右補強リブ228cで補強され、上面後方部分が上面補強リブ228dで補強された肉抜き構造とされている。これにより、ケース220の内側において、ケース220の軽量化を図りながら、フレーム部材227によりケース220の剛性を高めることができる。
【0050】
なお、以上説明した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、各実施形態では、水受け部80の落下面82の左右方向の幅が、ホースリール50のリール軸52の延在する長さ以上とされた例を示したが、リール軸52の延在する長さより小さいものであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 ホース巻取装置 20 ケース
20a 上面 20b 下面
20b1 下面開口部 20c 左側面
20d 右側面 20d1 円形枠部
20e 前面 20f 後面
20f1 取手部 20g 取付部
21 ケース開口部 21a 切欠部
22 上面側リブ 24 取付口
26 ホイール収容部 30 噴射ノズル
32 ノズル部 32a ノズルヘッド
34 ソケット部 36 コネクタ部
40 ホース 50 ホースリール
52 リール軸 52a リール軸開口部
54 ホイール部 54a 収納凹部
56 ハンドル部 58 供給口
59 供給管 60 壁部
70 固定部 70a 載置部
70b 縮径部 70c 側縁
71 先端部 72 末端部
80 水受け部 82 落下面
82a 垂直面 82a1 延長部
82b 傾斜面 180 水受け部
182 落下面 182a 垂直面
182a1 延長部 182b 傾斜面
182b1 溝 210 ホース巻取装置
220 ケース 222 上面側リブ
227 フレーム部材 228a 外壁部
228b 内壁部 228c 左右補強リブ
228d 上面補強リブ 270 固定部
270a 載置部 270b 縮径部
270c 側縁 270d 弾性変形部
271 先端部 272 末端部
D1 距離 IA 噴射軸
LP 下側固定位置 P 取出方向
UP 上側固定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12