IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パイオラックスの特許一覧 ▶ スズキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図1
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図2
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図3
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図4
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図5
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図6
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図7
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図8
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図9
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図10
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図11
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図12
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図13
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図14
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図15
  • 特開-ドリップレール用境目カバー 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029229
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ドリップレール用境目カバー
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
B60R13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101738
(22)【出願日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2021134838
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】董 連海
(72)【発明者】
【氏名】井上 正俊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英也
(72)【発明者】
【氏名】内田 大樹
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AA03
3D023AB01
3D023AC09
3D023AD22
3D023AD26
(57)【要約】
【課題】ドリップレールに長期に亘って安定して取付けることができるドリップレール用境目カバーを提供する。
【解決手段】このドリップレール用境目カバー10は、複数のドリップレール2,2どうしの境目を覆うように取付けられる金属ばね部材20と、金属ばね部材20を覆う樹脂カバー40とを有しており、金属ばね部材20は、ばね本体21と、その下端部25から延出する差込み片29と、上端部27から延出し天井壁1に付着されたシーラーに当接して、ばね本体21の下端部25との間でドリップレール2を挟持する押え片33とを有し、樹脂カバー40は、カバー本体41と、その下端部45側に、差込み片29が差込まれる差込み部49とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井壁を囲うように凹状溝を介して立設するリブ状壁からなる複数のドリップレールどうしの境目を覆う、ドリップレール用境目カバーであって、
前記境目を覆うように前記ドリップレールに取付けられる金属ばね部材と、該金属ばね部材を覆うように装着される樹脂カバーとを有しており、
前記金属ばね部材は、
前記リブ状壁を外側から囲むように配置されるばね本体と、
該ばね本体の下端部から延出する差込み片と、
前記ばね本体の上端部から延出し、前記天井壁に直接当接するか、又は、前記天井壁に付着されたシーラーに当接して、前記ばね本体の下端部との間で前記ドリップレールを挟持する、押え片とを有しており、
前記樹脂カバーは、
前記ばね本体の外周に沿って延びるカバー本体と、
該カバー本体の下端部側に設けられた、前記差込み片が差込まれる差込み部とを有していることを特徴とするドリップレール用境目カバー。
【請求項2】
前記金属ばね部材は、前記押え片の、少なくとも一側部から、前記ばね本体に向けて延び、前記リブ状壁に当接可能とされた抜け止め片を有している請求項1記載のドリップレール用境目カバー。
【請求項3】
前記抜け止め片の延出方向の先端部は、屈曲した形状をなしており、前記リブ状壁に当接可能とされている請求項2記載のドリップレール用境目カバー。
【請求項4】
前記ばね本体は、位置決め孔を有しており、
前記樹脂カバーは、前記カバー本体の内面から突出し、前記位置決め孔から挿出されて、前記境目に入り込む位置決め部を有している請求項1~3のいずれか1つに記載のドリップレール用境目カバー。
【請求項5】
前記カバー本体の上端部には、前記ばね本体が挿入可能な、凹部が設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載のドリップレール用境目カバー。
【請求項6】
前記カバー本体の内面には、幅方向に延出した突条をなす当接部が設けられており、該当接部は、前記ばね本体の外周に当接するように構成されている請求項1~3のいずれか1つに記載のドリップレール用境目カバー。
【請求項7】
前記ばね本体の上端部には、前記リブ状壁の内側に位置するように屈曲した、ばね側屈曲部分が設けられており、該ばね側屈曲部分にリブ係止孔が形成されており、
前記カバー本体には、前記リブ係止孔に入り込むと共に、前記リブ係止孔の上縁に係止可能とされた係止リブが設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載のドリップレール用境目カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井壁の周囲に配置される複数のドリップレールどうしの境目を覆う、ドリップレール用境目カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の天井壁の周囲には、ドリップレールと呼ばれる樋状の部材が、配置されることがある。このドリップレールは、車両のフロントドアガラスやリアガラス等に、雨水等が流れ落ちないようにするためのものである。通常、ドリップレールは複数用意されて、車両の天井壁の周囲の所定範囲に配置されると共に、隣り合うドリップレールの端部どうしは、溶接等によって互いに固着されるか、或いは、隙間を空けて対向配置される。ところで、ドリップレールどうしの継ぎ目部分には溶接痕が生じ、また、ドリップレールどうしの対向部分には隙間が生じるため、見栄えが良いと言えないため、このような継ぎ目や隙間等の境目を覆う、カバーが取付けられることがある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、モール側及びドリップの壁部外側に当嵌し得る本体と、下片部及び上片部を適度の弾性を有する合成樹脂により一体成形し、下片部には、モールの下フランジの係合突部に嵌合する嵌合部及びドリップの係合段部に嵌合する嵌合部を各々形成し、上片部には、モールの上フランジに係合する係合部を形成し、上片部に、ドリップの一部に適度な押圧力で係合する圧接保持片を形成した、自動用ドリップモールの保持具が記載されている。また、ドリップは、基部と、該基部から立ち上がった壁部とを有している。そして、ドリップの壁部の下端側に、本体の下片部の嵌合部が嵌合し、ドリップの壁部の上端側に、本体の上片部の圧接保持部が撓み変形しつつ係合することで、ドリップの壁部を挟み込むようにして、保持具が取付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58-79450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の保持具は、上述したように、ドリップの壁部の上端側に、本体の圧接保持部が撓み変形しつつ係合するので、ドリップの壁部の高さに寸法バラツキがあっても、ある程度は対応して、ドリップの壁部に保持具を取付けることができる。しかし、ドリップの壁部の高さが、本体の圧接保持部の変形能を超えて、寸法バラツキが生じた場合は、ドリップの壁部に保持具を安定して取付けることが難しい。また、保持具は樹脂からなるため、へたりやすく、ドリップの壁部に、長期に亘って安定して取付けることができるかどうか、懸念がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ドリップレールに、長期に亘って安定して取付けることができる、ドリップレール用境目カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、車両の天井壁を囲うように凹状溝を介して立設するリブ状壁からなる複数のドリップレールどうしの境目を覆う、ドリップレール用境目カバーであって、前記境目を覆うように前記ドリップレールに取付けられる金属ばね部材と、該金属ばね部材を覆うように装着される樹脂カバーとを有しており、前記金属ばね部材は、前記リブ状壁を外側から囲むように配置されるばね本体と、該ばね本体の下端部から延出する差込み片と、前記ばね本体の上端部から延出し、前記天井壁に直接当接するか、又は、前記天井壁に付着されたシーラーに当接して、前記ばね本体の下端部との間で前記ドリップレールを挟持する、押え片とを有しており、前記樹脂カバーは、前記ばね本体の外周に沿って延びるカバー本体と、該カバー本体の下端部側に設けられた、前記差込み片が差込まれる差込み部とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、金属ばね部材の、ばね本体の上端部から延出する押え片が、車両の天井壁に対して直接又はシーラーに当接して、ばね本体の下端部との間で、天井壁及びドリップレールを挟持するので、金属ばね部材の大きなドリップレール挟持力及び樹脂材料によるへたれにくい性質を利用して、ドリップレールどうしの境目を覆うように、ドリップレールに長期に亘って安定して取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るドリップレール用境目カバーの、一実施形態を示す分解斜視図である。
図2】同ドリップレール用境目カバーの斜視図である。
図3】同ドリップレール用境目カバーにおいて、図2とは異なる方向から見た斜視図である。
図4】同ドリップレール用境目カバーを構成する金属ばね部材の、側面図である。
図5】同ドリップレール用境目カバーを構成する樹脂カバーの、側面図である。
図6】同ドリップレール用境目カバーの断面図である。
図7】同ドリップレール用境目カバーにおいて、金属ばね部材と樹脂カバーとの装着行程を示しており、(a)は第1行程の説明図、(b)は第2行程の説明図、(c)は第3行程の説明図である。
図8】同ドリップレール用境目カバーをドリップレールに取付ける際の取付け工程を示しており、(a)は第1行程の説明図、(b)は第2行程の説明図である。
図9】同ドリップレール用境目カバーをドリップレールに取付ける際の取付け工程の、第3行程の説明図である。
図10】同ドリップレール用境目カバーをドリップレールに取付けた状態の説明図である。
図11】同ドリップレール用境目カバーをドリップレールに取付けた状態の斜視図である。
図12】本発明に係るドリップレール用境目カバーの、他の実施形態を示す分解斜視図である。
図13】同ドリップレール用境目カバーの斜視図である。
図14】同ドリップレール用境目カバーを構成する樹脂カバーであって、図12とは異なる方向から見た斜視図である。
図15】同ドリップレール用境目カバーの断面図である。
図16】同ドリップレール用境目カバーをドリップレールに取付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ドリップレール用境目カバーの、一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係るドリップレール用カバーの、一実施形態について説明する。
【0011】
図1図10に示すように、この実施形態のドリップレール用境目カバー10(以下、単に「レールカバー10」ともいう)は、車両の天井壁1を囲うように配置された、複数のドリップレール2,2どうしの境目を覆うものであって、境目を覆うようにドリップレール2に取付けられる金属ばね部材20と、該金属ばね部材20を覆うように装着される樹脂カバー40とを有している。この実施形態では、ドリップレール2,2どうしの隙間3が、本発明における「境目」となっている。
【0012】
図1に示すように、天井壁1を囲うように延出する各ドリップレール2は、基板4と、該基板4の外側縁部から、凹状溝5を介して立設するリブ状壁6とを有しており、樋状のレールとなっている。そして、一方のドリップレール2の基板4上に、他方のドリップレール2の基板4が載置されて、一方のドリップレール2のリブ状壁6と、他方のドリップレール2のリブ状壁6との間に、隙間3が生じるようになっている。なお、他方のドリップレール2の基板4上に、天井壁1が載置されている。
【0013】
各ドリップレール2のリブ状壁6は、その外面がやや湾曲した形状をなしており、その下端部6aは、凹状溝5によって、基板4に対してやや下方に出っ張る形状を呈しており、この下端部6aに、金属ばね部材20の下端部25が係合するようになっている(図10参照)。なお、リブ状壁6の上端部6bの上方には、金属ばね部材20の上端部27が配置される(図10参照)。
【0014】
まず、レールカバー10を構成する金属ばね部材20について説明する。
【0015】
図1図4に示すように、この金属ばね部材20は、一定厚さで所定幅の金属板材を適宜打ち抜いて屈曲成形してなるものであって、ドリップレール2のリブ状壁6を外側から囲むように配置されるばね本体21と、このばね本体21の下端部25から延出する差込み片29と、ばね本体21の上端部27から延出し、車両の天井壁1に直接当接するか、又は、天井壁1に付着されたシーラー7に当接して、ばね本体21の下端部25との間でドリップレール2を挟持する、押え片33とを有している。
【0016】
なお、以下の説明において、金属ばね部材20や樹脂カバー40における「幅方向」とは、天井壁1の周囲に沿って延出するドリップレール2の延出方向に沿った方向を意味する。
【0017】
図4に示すように、ばね本体21は、緩やかな弓なり状に湾曲して延びており、ドリップレール2のリブ状壁6の外面側(車両の外方に向く面側)に配置される基部23と、この基部23の下端23aから、下向きに凸状となるように湾曲しつつ延出し、リブ状壁6の下端部6aに係合する下端部25と、基部23の曲面状をなした上端23bを介して、斜め下方に向けて直線状に延出し、リブ状壁6の上端部6bの上方に配置される上端部27とを有しており、図4に示すように金属ばね部材20を側方から見たときに、略C字状に屈曲した形状となっている。
【0018】
図1に示すように、基部23の下端部25は、その延出方向の先端部側が、ばね本体21よりもやや幅狭に形成されており、その延出方向の先端25aから山型となるように折り返されて、斜め下方に向けて差込み片29が延出している。この差込み片29は、直線状に真っ直ぐに延びる平坦な板状をなしており、基部23の下端部25の先端部と同一幅であって、且つ、基部23の下端部25の先端部以外の部分よりも幅狭となっている(図1参照)。また、この差込み片29は、樹脂カバー40の差込み部49の差込み孔51に差込まれる(挿入されるとも言える)部分となっている(図6参照)。
【0019】
また、図4に示すように、基部23の上端部27の、延出方向の先端27aからは、上端部27に対して所定角度で屈曲すると共に、下端部25の先端25a側に向けて、支持部31が延びている。この支持部31は、上記の差込み片29と同様に、直線状に真っ直ぐに延びる平坦な板状をなしている。
【0020】
更に図1図4に示すように、支持部31の延出方向の先端31aからは、支持部31に対して所定角度で屈曲した、押え片33が連設されている。この押え片33は、その基端部33aが、支持部31と同一幅で(図1参照)、且つ、基端部33a以外の部分が、支持部31を含むばね本体21よりも幅広に形成された、平坦な長板状をなしている。また、図4に示すように、金属ばね部材20を側方から見たときに、押え片33は、その先端が、差込み片29の先端よりも突出するように延出している。更に図10に示すように、この実施形態の場合、押え片33の下面先端が、天井壁1に付着されたシーラー7に当接するようになっている。
【0021】
また、図4に示すように、金属ばね部材20を側方から見たときに、押え片33は、ばね本体21の上端部27に対して平行に設けられている。すなわち、金属ばね部材20は、図4に示すように、金属ばね部材20を側方から見たときに、互いに平行な上端部27及び押え片33と、両者を互いに連結する支持部31とを有しており、これらの上端部27、押え片33、支持部31によって、金属ばね部材20を側方から見たときに、略逆Z字状をなしている。
【0022】
また、図4に示すように、上記の押え片33と差込み片29との間が、差込み口35をなしており、この差込み口35から、ドリップレール2のリブ状壁6が差込まれるようになっている(図8参照)。この実施形態の場合、差込み口35の開口幅は、ドリップレール2の基板4と、その上に載置された天井壁1と、同天井壁1に付着されたシーラー7(図10参照)との合計厚さよりも、小さくなっている。
【0023】
なお、金属板ばね部材20は、上記のように、基部23の上端部27の先端27aから、直線状の支持部31を介して、押え片33が設けられた構造となっているので、ドリップレール2にレールカバー10を取付ける際に、主として、下端部25及び上端部27を含む基部23が撓み変形しやすくなっており、支持部31や押え片33の部分は撓み変形しにくくなっている(これについては後で詳細に説明する)。
【0024】
また、金属ばね部材20は、押え片33の、少なくとも一側部から、ばね本体21に向けて延び、リブ状壁6に当接可能とされた抜け止め片37を有している。
【0025】
この実施形態の場合、図1に示すように、押え片33の幅方向両側部であって、同押え片33の基端部33aに対して、スリット37a,37aを介して細長い帯状に形成された一対の抜け止め片37,37が、ばね本体21の基部23に向けて斜め上方に延出している。また、図4に示すように、各抜け止め片37は、押え片33の面方向に沿って平行に延びており、金属ばね部材20を側方から見たときに、ばね本体21の上端部27に対して平行となっている。
【0026】
そして、図10図11に示すように、この抜け止め片37は、レールカバー10がドリップレール2に取付けられた状態で、ドリップレール2のリブ状壁6の内面側(外面側とは反対側の面)に位置しており、レールカバー10に、ドリップレール2から外れる方向の外力が作用したときに(図10の矢印参照)、リブ状壁6の内面に当接するようになっている。
【0027】
また、金属ばね部材20は、位置決め孔39を有している。この実施形態の場合、図1図6に示すように、基部23の幅方向中央部であって、基部23の上端23b側と上端部27との間に亘って、貫通して形成されている。この位置決め孔39には、樹脂カバー40の位置決め部62が挿入されるようになっている(図6参照)。
【0028】
なお、以上説明した金属ばね部材20は、その全ての構成部分(ばね本体21、基部23、下端部25、上端部27、差込み片29、支持部31、押え片33、抜け止め片37等)が、一体形成されている。また、金属ばね部材20は、例えば、S60C(機械構造用炭素鋼)や、SK5(炭素工具鋼)、SUS304(ステンレス鋼)等の金属材料からなる金属板材に所定形状のスリットや孔を打ち抜いた後、これを屈曲形成し、更にその後、ばね性を付与するための熱処理を施すことにより製造することができる。ただし、このような製造方法に限定されるものではない。
【0029】
次に、金属ばね部材20に装着される樹脂カバー40について説明する。
【0030】
図1図5に示すように、この樹脂カバー40は、合成樹脂材からなり、少なくともばね本体21の外周に沿って弓なり状に湾曲して延びるカバー本体41と、このカバー本体41の下端部45側に設けられた、差込み片29が差込まれる差込み部49とを有している。
【0031】
図5に示すように、カバー本体41は、緩やかな弓なり状に湾曲して延び、ばね本体21の基部23の外側に配置される、基部43と、この基部43の下端43aから、緩やかなカーブを描いて湾曲しつつ延出し、ばね本体21の下端部25の外側に配置される下端部45と、基部43の上端43bから、斜め下方に向けて直線状に延出し、ばね本体21の上端部27の外側に配置される上端部47とを有しており、樹脂カバー40を側方から見たときに、略C字状に屈曲した形状となっている。
【0032】
また、カバー本体41の下端部45の延出方向の先端45aからは、基部43から離反する方向に向けて、差込み部49が延出している。この差込み部49は、カバー本体41の下端部45よりも厚くなるように、カバー本体41の上端部47に向けて突出した厚肉部分49aを有している。この差込み部49には、図3図6に示すように、金属ばね部材20の差込み片29が差込まれる(挿入されるとも言える)、差込み孔51が形成されている。また、図6に示すように、この差込み孔51は、差込み部49及びその厚肉部分49aを斜め下方に向けて貫通する形状をなしている。更に、差込み孔51の、延出方向先端側の内面51aは、テーパ面状をなしており、この内面51aに、金属ばね部材20の差込み片29が係止するようになっている。また、図5に示すように、樹脂カバー40を側方から見たときに、差込み部49は、その先端が、下記の上端カバー部53よりも突出するように延出している。
【0033】
更に図1に示すように、カバー本体41の上端部47側には、金属ばね部材20と樹脂カバー40との装着時に、ばね本体21及び押え片33の基端部33aが挿入可能な、凹部55が設けられている。
【0034】
すなわち、カバー本体41の上端部47の先端47aからは、外面が曲面をなした部分を介して、上端部47に対して所定角度で屈曲すると共に、差込み部49側に向けて、上端カバー部53が延出している(図4参照)。図1に示すように、この上端カバー部53の幅方向両側には、一対の凸部54,54が下方に向けて突出しており、これらの凸部54,54の間に、上記凹部55が設けられている。言い換えると、凹部55の幅方向両側に、一対の凸部54,54が配置されている。そして、この凹部55には、金属ばね部材20と樹脂カバー40との装着時や、レールカバー10のドリップレール2への取付け時に、ばね本体21の基部23が挿入可能となっている。
【0035】
また、図5に示すように、上記の上端カバー部53と、差込み部49との間が、差込み口56をなしており、この差込み口56から、金属ばね部材20が入り込むようになっている(図7参照)。
【0036】
更に、カバー本体41の内面(金属ばね部材20の外面に近接する面)には、幅方向に延出した突条をなす当接部57,58,59,60が設けられて、これらの当接部57,58,59,60は、金属ばね部材20と樹脂カバー40とが装着されたときに、ばね本体21の外周に当接するように構成されている。
【0037】
この実施形態の場合、図5に示すように、(1)カバー本体41の下端部45の、基部43の下端43a寄りの位置に、第1当接部57が設けられており、(2)カバー本体41の基部43の下端43а及び上端43bの間の位置に、第2当接部58が設けられており、(3)カバー本体41の上端部47の先端47а側の内面に、第3当接部59が設けられており、(4)カバー本体41の上端カバー部53の内面に、第4当接部60が設けられている。すなわち、突条をなす当接部は、カバー本体41の上下方向2箇所(第3当接部59及び第1当接部57)及び前後方向2箇所(第4当接部60及び第2当接部58)に設けられている。
【0038】
また、図1に示すように、各当接部57,58,59,60は、カバー本体41の幅方向一側部の側縁よりもやや幅方向内側の位置から、幅方向他側部の側縁よりもやや幅方向内側の位置に至る範囲で、突条に延びている。そして、図6に示すように、金属ばね部材20と樹脂カバー40とが装着された状態で、第1当接部57は、ばね本体21の下端部25の外面に当接し、第2当接部58は、ばね本体21の基部23の外面に当接し、第3当接部59は、ばね本体21の上端部27の外面に当接し、第4当接部60は、ばね本体21の支持部31の外面に当接するようになっている。
【0039】
また、樹脂カバー40は、カバー本体41の内面から突出し、金属ばね部材20との装着時に、位置決め孔39から挿出されて、ドリップレール2,2どうしの境目に入り込む、位置決め部62を有している。
【0040】
図5に示すように、この実施形態の位置決め部62は、カバー本体41の幅方向中央部であって、基部43の上端43b側の内面と上端部47の内面との間に亘って突設した、薄肉板状をなしたリブ63と、上端部47の内面から基部43に向けて斜め下方に延出すると共に、リブ63の幅方向両側から突出した突部64とからなる。リブ63は、下辺が水平で、正面側(基部23の内面から離れた側)の辺が垂直に延びており、金属ばね部材20の位置決め孔39及びドリップレール2,2どうしの隙間3に挿入可能となっている。また、突部64は、リブ63よりも肉厚であって、金属ばね部材20の位置決め孔39の幅にほぼ適合する寸法となっており、その両側部が金属ばね部材20の位置決め孔39の内周に近接配置され、ドリップレール2にレールカバー10が取付けられたときのガタツキを抑制するものとなっている。
【0041】
なお、以上説明した樹脂カバー40は、その全ての構成部分(カバー本体41、基部43、下端部45、上端部47、差込み部49、上端カバー部53、各当接部57,58,59,60等)が、一体形成されている。
【0042】
(変形例)
以上説明した実施形態における金属部材を構成する、ばね本体や、その基部、下端部、上端部、差込み片、押え片、抜け止め片、位置決め孔等の、形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
【0043】
例えば、この実施形態では、ばね本体21は、金属ばね部材20を側方から見たときに、略C字状に屈曲した形状となっているが、ばね本体を、略コ字状に屈曲した形状としてもよく、リブ状壁6を外側から囲むことが可能な形状であればよい。また、基部23の上端部27から、直線状の支持部31が延びているが、支持部としては、湾曲した形状であってもよい。更に、押え片33の幅方向の両側部から一対の抜け止め片37,37が延出しているが、押え片の幅方向の一側部のみから、抜け止め片を延出していてもよい。また、この実施形態では、基部23の上端部27と押え片33とは、金属ばね部材20を側方から見たときに平行となっているが、両者を異なる角度としてもよい。更に、位置決め孔39は1個となっているが、2個以上設けてもよい。
【0044】
また、樹脂カバーを構成する、カバー本体や、その基部、下端部、上端部、差込み部、上端カバー部、当接部、位置決め部等の、形状や構造も、上記態様に限定されるものではない。
【0045】
例えば、この実施形態では、カバー本体41は、樹脂カバー40を側方から見たときに、略C字状に屈曲した形状となっているが、カバー本体を、略コ字状に屈曲した形状としてもよく、金属ばね部材のばね本体を外側から囲むことが可能な形状であればよい。また、差込み部49に形成した差込み孔51は、貫通孔となっているが、凹部や段状部等であってもよく、金属ばね部材の差込み片を差込んで係止可能であればよい。更に、位置決め部62は、1個となっているが、2個以上設けてもよい。また、当接部は、上下方向及び前後方向に2個ずつの合計4個となっているが、1~3個或いは5個以上であってもよい。
【0046】
(作用効果)
次に、上記構成からなる本発明に係るレールカバー10の作用効果について説明する。
【0047】
まず、図7を参照して、金属ばね部材20と樹脂カバー40との装着行程について説明する。
【0048】
初めに、図7(a)に示すように、金属ばね部材20の差込み片29の先端を、樹脂カバー40の差込み部49の差込み孔51に差込んで挿入する。この状態で、差込み孔51に差込んだ差込み片29を支点として、金属ばね部材20の基部23を、樹脂カバー40の基部43に近接するように、金属ばね部材20を回転させていく。すると、図7(b)に示すように、樹脂カバー40の差込み口56(図5参照)から金属ばね部材20のばね本体21が入り込むと共に、金属ばね部材20の基部23の上端23bや上端部27が、樹脂カバー40の上端カバー部53の凹部55によってガイドされながら(一対の凸部54,54でガイドされながら)通過していく。
【0049】
更に金属ばね部材20を回転させると、図7(c)に示すように、樹脂カバー40の凹部55の内面が、金属ばね部材20の上端部27に押圧されて、樹脂カバー40の上端部47がやや撓み変形しながら(この実施形態では、図7(c)に示すように、樹脂カバー40の上端部47が変形点P1を起点として撓み変形する)、金属ばね部材20が樹脂カバー40内により深く入り込んでいく。そして、金属ばね部材20の支持部31が通過し、樹脂カバー40の位置決め部62が、金属ばね部材20の位置決め孔39に挿入され、同位置決め孔39から挿出されると、樹脂カバー40の上端部47が弾性復帰すると共に、各当接部57,58,59,60が、ばね本体21の所定箇所に当接する。その結果、図6に示すように、金属ばね部材20と樹脂カバー40とを装着することができ、レールカバー10を組立てることができる。
【0050】
次に、図8及び図9を参照して、レールカバー10をドリップレール2に取付ける際の、取付け工程について説明する。
【0051】
まず、レールカバー10を、ドリップレール2,2どうしの隙間3に位置するように、位置決めする。その後、図8(a)に示すように、金属ばね部材20の差込み口35から、ドリップレール2のリブ状壁6の上端部6bが差込まれるように、レールカバー10をドリップレール2に向けて押し込んでいく。すると、図8(b)に示すように、樹脂カバー40の差込み部49の先端が、リブ状壁6の外面に当接すると共に、金属ばね部材20の押え片33の内面先端側が、リブ状壁6の上端部6bの内面に当接して、押圧されていく。
【0052】
更にレールカバー10を押し込んでいくと、樹脂カバー40の差込み部49の先端が、リブ状壁6の外面に当接しながら移動すると共に、金属ばね部材20の押え片33の先端部がシーラー7に当接して押圧されていき、金属ばね部材20の差込み口35や樹脂カバー40の差込み口56が押し広げられながら、ドリップレール2のリブ状壁6に、レールカバー10が取付けられていく。その後、更にレールカバー10を押し込んでいくと、図9に示すように、樹脂カバー40の差込み部49の先端が、リブ状壁6の下端部6aに当接すると共に、シーラー7に当接して押圧された差込み部49が、リブ状壁6の下端部6aに当接して、金属ばね部材20の差込み口35や樹脂カバー40の差込み口56が更に押し広げられていく。
【0053】
また、上記のように、ドリップレール2に対するレールカバー10の取付け途中において、金属ばね部材20の差込み口35や樹脂カバー40の差込み口56が押し広げられていく際には、主として金属ばね部材20の基部23及び樹脂カバー40の基部43がやや撓み変形するようになっている(この実施形態では、図9に示すように、金属ばね部材20は、その基部23が、下端23a寄りの位置の変形点P2を起点として撓み変形すると共に、樹脂カバー40は、その基部43が、下端43a寄りの位置の変形点P2を起点として撓み変形する)。
【0054】
そして、レールカバー10が更に押し込まれて、図10に示すように、樹脂カバー40の差込み部49がリブ状壁6の下端部6aを乗り越え、且つ、金属ばね部材20の抜け止め片37がリブ状壁6の上端部6bを乗り越えると、金属ばね部材20の基部23及び樹脂カバー40の基部43が弾性復帰する。その結果、差込み部49に差込まれた差込み片29が、リブ状壁6の下端部6aに係合すると共に、シーラー7に押え片33が当接することで、シーラー7が付着された天井壁1及びドリップレール2を、金属ばね部材20が挟み込むことになる。その結果、ドリップレール2,2の隙間3を覆うように、ドリップレール2,2にレールカバー10を取付けることができる。
【0055】
そして、このレールカバー10においては、上記のように、金属ばね部材20の、ばね本体21の上端部27から延出する押え片33が、シーラー7に当接して、ばね本体21の下端部25との間で、天井壁1及びドリップレール2を挟持するので、金属ばね部材20の、樹脂材料よりも大きなドリップレール挟持力(ドリップレールを挟み込む力)、及び、樹脂材料よりもへたれにくい性質を利用して、ドリップレール2,2どうしの境目(ここでは隙間3)を覆うように、ドリップレール2に長期に亘って安定して取付けることができる。また、ドリップレール2,2どうしの隙間3をカバーする金属ばね部材20を、更に覆うように樹脂カバー40が装着されるので、ドリップレール2,2どうしの境目や金属ばね部材20を視認することが不可能となり、見栄えを向上させることができる。
【0056】
更に、金属ばね部材20と樹脂カバー40とを装着する際には、上述したように、金属ばね部材20の差込み片29を、樹脂カバー40の差込み部49に差込んで(ここでは差込み部49の差込み孔51に差込む)、ばね本体21を、カバー本体41の内周に近接するように回転させることで、ばね本体21やカバー本体41を撓み変形させつつ、カバー本体41の内周にばね本体21が入り込むことで、金属ばね部材20と樹脂カバー40とを装着することができる(図6及び図7参照)。このように、金属ばね部材20の差込み片29を、樹脂カバー40の差込み部49に差込んで、ばね本体21を、カバー本体41の内周に近接するように回転させるだけの簡単な作業で、ばね本体21の外周にカバー本体41が配置されるので、金属ばね部材20に樹脂カバー40を簡単に装着することができる。
【0057】
ところで、金属ばね部材20は、側方から見たときに、略逆Z字状をなし(図3参照)、且つ、押え片33を支持する支持部31は直線状となっているので、支持部31の長さをなるべく長く確保することができると共に、レールカバー10のドリップレール2への取付け時に、押え片33に作用する、シーラー7や天井壁1からの押圧力を受け止めやすくすることができる。その結果、レールカバー10をドリップレール2に取付ける際に、シーラー7等から押え片33が押圧されると、支持部31を撓み変形しにくくして、支持部31が連結される基部23側を撓み変形しやすくすることができる(図9参照)。また、支持部31が直線状でその長さを確保しやすいので、レールカバー10のドリップレール2への取付け時に、支持部31により支持される押え片33に作用する、シーラー7からの押圧力を受け止めやすくすることができる。
【0058】
仮に、図4の仮想線(二点鎖線)で示すように、押え片33を支持する部分が、直線状の支持部31ではなく、円弧状をなした支持部31´の場合、その長さを確保しにくくなると共に、レールカバー10をドリップレール2に取付ける際に、シーラー7等から押え片33が押圧されると、その押圧力を受け止めにくくなるので、円弧状をなした支持部31´全体が撓み変形しやすくなる一方、基部23側が撓み変形しにくくなる。その結果、金属弾性ばね部材20の差込み口35が押し広げられにくくなり、ドリップレール2にレールカバー10を取付けにくくなる。
【0059】
これに対して本実施形態の場合は、上述したように、金属ばね部材20は、側方から見たときに、略逆Z字状をなし(図3参照)、且つ、押え片33を支持する支持部31は直線状となっており、押え片33を支持部31側よりも、基部23側が撓み変形しやすい構造となっているので、レールカバー10をドリップレール2に取付ける際に、ドリップレール2の上端部を、金属ばね部材20の下端部25と押え片33との間の差込み口35から比較的容易に差込んで押し込むことができ、ドリップレール2とレールカバー10との取付け作業性を向上させることができる。
【0060】
また、この実施形態においては、金属ばね部材20は、押え片の、少なくとも一側部から、ばね本体21に向けて延び、リブ状壁6に当接可能とされた抜け止め37片を有している(図1参照)。
【0061】
上記態様によれば、図10の矢印に示すように、金属ばね部材20にドリップレール2から外れるような外力が作用したときに、抜け止め片37がドリップレール2に当接し、ドリップレール2から金属ばね部材20が外れることを防止でき、ドリップレール2にレールカバー10を安定して取付けることができる。
【0062】
更に、この実施形態においては、図1図6に示すように、ばね本体21は、位置決め孔39を有しており、樹脂カバー40は、カバー本体41の内面から突出し、金属ばね部材20との装着時に、位置決め孔39から挿出されて、境目に入り込む位置決め部62を有している。
【0063】
上記態様によれば、図6に示すように、樹脂カバー40を金属ばね部材20に装着したときに、ばね本体41の位置決め孔39から、樹脂カバー40の位置決め部62が挿出されて、この位置決め部62が継ぎ目(ここでは隙間3)に入り込むので、ドリップレール2,2どうしの継ぎ目に対して、樹脂カバー40、及び、該樹脂カバー40を介して金属ばね部材20を、位置ずれを抑制しつつ取付けることができる。
【0064】
また、金属ばね部材20と樹脂カバー40との装着時に、樹脂カバー40の位置決め部62が金属ばね部材20の位置決め孔39に挿入されるので、金属ばね部材20及び樹脂カバー40どうしの位置ずれを抑制して、金属ばね部材20に樹脂カバー40を安定して装着することができる。
【0065】
また、この実施形態においては、カバー本体41の上端部47側には、金属ばね部材20と樹脂カバー40との装着時に、ばね本体41が挿入可能な、凹部55が設けられている。
【0066】
上記態様によれば、金属ばね部材20と樹脂カバー40とを装着すべく、金属ばね部材20の差込み片29を樹脂カバー40の差込み部49に差込んで、ばね本体21をカバー本体41の内周に近接するように回転させる際に、カバー本体41の上端部47側に設けた凹部55に、ばね本体21が挿入されてガイドされながら回転させることが可能となっているので、金属ばね部材20と樹脂カバー40との装着作業性を向上させることができる。
【0067】
更に、この実施形態においては、カバー本体41の内面には、幅方向に延出した突条をなす当接部57,58,59,60が設けられており、該当接部57,58,59,60は、金属ばね部材20と樹脂カバー40とが装着されたときに、ばね本体21の外周に当接するように構成されている(図6参照)。
【0068】
上記態様によれば、金属ばね部材20と樹脂カバー40とが装着されたときに、カバー本体41の突条をなす当接部57,58,59,60が、ばね本体21の外周に当接するので、金属ばね部材20と樹脂カバー40とを、ガタツキを抑制しながら装着することができる。なお、この実施形態では、当接部は、カバー本体41の上下方向2箇所(第3当接部59及び第1当接部57)及び前後方向2箇所(第4当接部60及び第2当接部58)に設けられているので、上下方向や前後方向のガタツキを抑制することができる。また、当接部57,58,59,60は、カバー本体41の幅方向に延出した突条をなしており、カバー本体41に対して部分的に設けられているので、カバー本体41の全体の厚さを抑えて、撓み変形させやすくすることができ、金属ばね部材20に樹脂カバー40を装着する際に、樹脂カバーを装着しやすくすることができる。
【0069】
(ドリップレール用境目カバーの、他の実施形態)
図12~16には、本発明に係るドリップレール用境目カバーの、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図12及び図13に示すように、この実施形態のドリップレール用境目カバー10A(以下、単に「レールカバー10A」ともいう)は、前記実施形態のレールカバー10と同様に、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとを有している。
【0071】
まず、金属ばね部材20Aについて説明する。
【0072】
この実施形態における金属ばね部材20Aは、前記実施形態の金属ばね部材20と同様に、押え片33の幅方向両側部に一対の抜け止め片37A,37Aを有する構造となっているが、各抜け止め片37Aの形状が、前記実施形態の抜け止め片37と異なっている。すなわち、この実施形態における抜け止め片37Aは、その延出方向の先端部38cが、屈曲した形状をなしており、リブ状壁6に当接可能とされている。
【0073】
より具体的には、各抜け止め片37Aは、ばね本体21に向けて真っ直ぐに延びた基部38aと、該基部38aの延出方向の先端から、R状に屈曲した部分38b(以下、単に「屈曲部分38b」ともいう)を介して、ばね本体21の基部23の上端部27側に向くように屈曲した先端部38cとを有している。なお、屈曲部分38bは、先端部38cの一部をなしており、先端部38cは屈曲部分38bを有しているともいえる。
【0074】
そして、ドリップレール2へのレールカバー10Aの取付け時に、抜け止め片37Aの先端部38cの内面(ばね本体21の基部23の内面に近接する面)及び屈曲した部分38b(屈曲部分38b)が、リブ状壁6に当接可能とされている。
【0075】
すなわち、レールカバー10Aを構成する金属ばね部材20Aの差込み口35から、ドリップレール2のリブ状壁6の上端部6bが差込まれるように、レールカバー10をドリップレール2に向けて押し込んでいくと、金属ばね部材20Aの差込み口35や樹脂カバー40Aの差込み口56が押し広げられながら、リブ状壁6にレールカバー10Aが取付けられていくが、この際、抜け止め片37Aは、その基部38aがリブ状壁6の上端部6bに摺接した後、先端部38cがリブ状壁6の上端部6bを乗り越えようとする。このとき、抜け止め片37Aの先端部38cの内面及び屈曲部分38bが、リブ状壁6の上端部6bに当接するようになっている。そのため、抜け止め片37Aの延出方向の先端縁部、すなわち、先端部38cのエッジがリブ状壁6に当接することはない。
【0076】
また、金属ばね部材20Aのばね本体21の上端部27には、リブ状壁6の内側に位置するように屈曲した、ばね側屈曲部分が設けられており、該ばね側屈曲部分にリブ係止孔32が形成されている。
【0077】
すなわち、ばね本体21を構成する基部23の上端部27は、その延出方向の先端27aから、上端部27に対して所定角度で屈曲して延びる支持部31を有しているが、この支持部31が、上記の「ばね側屈曲部分」をなしている。そして、ばね側屈曲部分をなす支持部31の幅方向中央部に、リブ係止孔32が形成されている。この実施形態の場合、図12図15に示すように、ばね側屈曲部分をなす支持部31と、該支持部31に対して屈曲して連設された押え片33の基端部33aとに亘って、略L字状をなすようにリブ係止孔32が形成されている。
【0078】
そして、このリブ係止孔32の上縁32aに、樹脂カバー40Aの後述する係止リブ65(図14,15参照)が係止可能となっている。なお、リブ係止孔としては、ばね本体の上端部のばね側屈曲部分に設けられていて、その上縁に係止リブが係止可能であればよく、例えば、ばね側屈曲部分をなす支持部のみに、リブ係止孔が形成されていてもよい。
【0079】
次に、樹脂カバー40Aについて説明する。
【0080】
図14図15に示すように、この実施形態における樹脂カバー40Aは、カバー本体41を有しており、このカバー本体41には、金属ばね部材20Aのばね側屈曲部分に設けたリブ係止孔32に入り込むと共に、該リブ係止孔32の上縁32aに係止可能とされた係止リブ65が設けられている。この実施形態の場合、カバー本体41の上端カバー部53の内面から突設した第4当接部60の幅方向中央部から、略三角突起状をなした係止リブ65が突設されている。
【0081】
この係止リブ65は、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとの装着工程時に、その頂部65aが、金属ばね部材20Aのばね本体21の上端部27や支持部31に押圧されつつ、ばね本体21の上端部27や支持部31の外面を摺接していき、係止リブ65がリブ係止孔32に至ると、同係止リブ65がリブ係止孔32の表側開口から入り込んで、リブ係止孔32の上縁32aに係止可能となっている。
【0082】
なお、係止リブとしては、例えば、円形突起状や台形突起状等としてもよく、リブ係止孔の上縁に係止可能であればよい。また、この実施形態の係止リブ65は、第4当接部60を介して、カバー本体41の上端カバー部53の内面から間接的に突出しているが、例えば、第4当接部60を設けない場合は、上端カバー部53の内面から、係止リブを直接突出させてもよい。
【0083】
また、カバー本体41の内面には、幅方向に延出した突条をなす複数の当接部57,58,59,60が設けられているが、この実施形態の場合、更にもう1個、第5当接部61が設けられている。すなわち、図15に示すように、カバー本体41の内面には、下端部45の、基部43の下端43a寄りの位置に第1当接部57が設けられ、基部43の下端43a及び上端43bの間の位置に第2当接部58が設けられているが、これらの第1当接部57と第2当接部58との間に、第5当接部61が設けられている。ここでは、カバー本体41の内面であって、基部43の下端43aに近接した位置に、突条をなした第5当接部61が幅方向に延設されている。
【0084】
更に、この実施形態の場合、差込み部49の厚肉部分49aの、基端側(カバー本体41に近接した端部側)の内側角部には、所定曲率で形成された曲面状をなしたR状部50が設けられている。すなわち、差込み部49の厚肉部分49aの基端側の内側角部は、図5に示す実施形態のように、エッジや角が立った形状とはなっておらず、R状部50による曲面状となっている。
【0085】
(作用効果)
次に、上記構成からなる本発明に係るレールカバー10Aの作用効果について説明する。
【0086】
まず、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとの装着時の効果について説明する。すなわち、金属ばね部材20Aの差込み片29の先端を、樹脂カバー40Aの差込み部49の差込み孔51に差込んで挿入した後、差込み片29を支点として、金属ばね部材20Aの基部23を、樹脂カバー40Aの基部43に近接するように、金属ばね部材20Aを回転させていく。すると、樹脂カバー40Aの凹部55の内面が、金属ばね部材20Aの上端部27に押圧された後、樹脂カバー40Aの係止リブ65の頂部65aが、金属ばね部材20Aの上端部27や支持部31に押圧されて(この際、係止リブ65の頂部65aが、ばね本体21の上端部27や支持部31の外面を摺接する)、樹脂カバー40Aの上端部47がやや撓み変形しながら、金属ばね部材20Aが樹脂カバー40A内により深く入り込んでいく。そして、樹脂カバー40Aの位置決め部62が、金属ばね部材20Aの位置決め孔39に至り、係止リブ65がリブ係止孔32に至ると、樹脂カバー40Aの上端部47が弾性復帰しながら、位置決め部62が位置決め孔39に入り込むと共に、係止リブ65がリブ係止孔32に入り込み、更に各当接部57,58,59,60,61が、ばね本体21の所定箇所に当接する。その結果、図15に示すように、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとを装着することができ、レールカバー10Aを組立てることができる。
【0087】
そして、この実施形態では、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとの装着工程時において、ばね本体21の上端部27や支持部31の外面を摺接した、樹脂カバー40Aの係止リブ65が、金属ばね部材20Aのリブ係止孔32に至ると、撓み変形した樹脂カバー40Aの上端部27が弾性復帰しながら、係止リブ65がリブ係止孔32に入り込むようになっている。そのため、係止リブ65がリブ係止孔32に挿入される際にクリック感(節度感)を得ることができるので、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとの装着作業が完了したことを確実に把握することができる。
【0088】
また、この実施形態では、レールカバー10Aをドリップレール2に取付ける際にも、効果を発揮する。
【0089】
すなわち、金属ばね部材20Aの差込み口35から、ドリップレール2のリブ状壁6の上端部6bが差込まれるように、レールカバー10Aをドリップレール2に向けて押し込んでいく途中において、金属ばね部材20Aの抜け止め片37Aは、その基部38aが、リブ状壁6の上端部6bに摺接するようにして押し込まれる。更にレールカバー10Aが押し込まれて、抜け止め片37Aの先端部38cが、リブ状壁6の上端部6bを乗り越えようとする際に、先端部38cの内面及び屈曲部分38bが、リブ状壁6の上端部6bに当接しながら乗り越える(当接しながら通過する)。そのため、抜け止め片37Aの延出方向の先端縁部、すなわち、先端部38cのエッジがリブ状壁6の上端部6bに当接することはない。その後、更にレールカバー10Aが押し込まれて、抜け止め片37Aの先端部38cが、リブ状壁6の上端部6bを乗り越えると、図16に示すように、シーラー7に押え片33が当接して、シーラー7が付着された天井壁1及びドリップレール2を、金属ばね部材20Aが挟み込んで、ドリップレール2,2にレールカバー10Aが取付けられる。
【0090】
そして、この実施形態では、レールカバー10Aをドリップレール2,2どうしの境目に装着すべく、ドリップレール2に向けてレールカバー10Aを押し込んで、抜け止め片37Aの先端部38cがリブ状壁6の上端部6bを乗り越える際に、抜け止め片37Aの先端部38cの内面及び屈曲部分38bが、リブ状壁6の上端部6bに当接可能とされている。
【0091】
そのため、抜け止め片37Aの延出方向の先端縁部(先端部38cの最先端の縁部)等の、エッジになっていたりバリ等が存在したりする部分が、リブ状壁6の上端部6bに当接することを防止できる。その結果、レールカバー10Aをドリップレール2,2どうしの境目に装着する際に、リブ状壁6の上端部6bが、抜け止め片37Aの先端縁部によって削れてしまうことを抑制することができ、塗装の剥がれ等を抑止することができる。
【0092】
また、この実施形態では、図15に示すように、ばね本体21の上端部27には、リブ状壁6の内方に位置するように屈曲した、ばね側屈曲部分が設けられており、該ばね側屈曲部分にリブ係止孔32が形成されており、カバー本体41には、リブ係止孔32に入り込むと共に、該リブ係止孔32の上縁32aに係止可能とされた係止リブ65が設けられている。
【0093】
そのため、ドリップレール2,2どうしの境目にレールカバー10Aが装着された状態で(図16参照)、図16の矢印に示すように、カバー本体41の上端部47に、リブ状壁6の外側方向に向く外力(図16の矢印方向の横向きの外力及び斜め方向の外力も含む)が作用したとき、カバー本体41に設けた係止リブ65が、ばね本体21のリブ係止孔32の上縁32aに係止するので、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとの装着状態を確実に維持することができる。すなわち、金属ばね部材20Aから樹脂カバー40Aが外れることを確実に防止することができる。
【0094】
更に、この実施形態では、カバー本体41の内面には、下端部45の、基部43の下端43a寄りの位置に設けられた第1当接部57、及び、基部43の下端43a及び上端43bの間の位置に設けられた第2当接部58のほか、これらの第1当接部57と第2当接部58との間に、第5当接部61が設けられている(図16参照)。
【0095】
この態様によれば、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとの装着工程時において、ばね本体21の基部23が、カバー本体41の内面の、第1当接部57及び第2当接部58の間に入り込もうとしても(図15の矢印参照)、ばね本体21の基部23が第5当接部61に当接するので、ばね本体21の基部23が第1当接部57及び第2当接部58の間に入り込むことを規制することができる。その結果、樹脂カバー40Aの差込み孔51に対する、金属ばね部材20Aの差込み片29の差込み量が維持されて、差込み孔51に対する差込み片29のかかり代を保持することができるので、金属ばね部材20Aと樹脂カバー40Aとの装着状態が維持されて、金属ばね部材20Aから樹脂カバー40Aが外れることを確実に防止することができる。
【0096】
また、この実施形態の場合、差込み部49の厚肉部分49aの、基端側の内側角部には、所定曲率で形成された曲面状をなしたR状部50が設けられている。
【0097】
この態様によれば、ドリップレール2,2どうしの境目にレールカバー10Aが装着されたときに(図16参照)、樹脂カバー40Aの差込み部49の厚肉部分49aのR状部50が、リブ状壁6の下端部6aや、ドリップレール2の基板4の裏面側等に当接したとしても、R状部50は曲面状をなしているので、それらの部分への応力集中を緩和して、腐食や塗装剥がれ等の不都合を抑止することができる。
【0098】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1 天井壁
2 ドリップレール
3 隙間
5 凹状溝
6 リブ状壁
7 シーラー
10,10A ドリップレール用境目カバー(レールカバー)
20,20A 金属ばね部材
21 ばね本体
23 基部
25 下端部
27 上端部
29 差込み片
32 リブ係止孔
33 押え片
37 抜け止め片
37b 屈曲した部分(屈曲部分)
37c 先端部
39 位置決め孔
40,40A 樹脂カバー
41 カバー本体
43 基部
45 下端部
47 上端部
49 差込み部
51 差込み孔
53 上端カバー部
54 凸部
55 凹部
57,58,59,60 当接部
62 位置決め部
65 係止リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16