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  • 特開-ガラス板用断熱材の固定具セット 図1
  • 特開-ガラス板用断熱材の固定具セット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029241
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ガラス板用断熱材の固定具セット
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230224BHJP
   E06B 3/54 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
E06B5/00 C
E06B3/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116623
(22)【出願日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021133705
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500016280
【氏名又は名称】中澤鋳造販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 正
(72)【発明者】
【氏名】榎本 博樹
【テーマコード(参考)】
2E016
2E239
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB00
2E016CC01
2E016DA05
2E016DB02
2E016DB03
2E016DC02
2E016DD04
2E239AB03
2E239AB05
(57)【要約】
【課題】サッシ窓やサッシ戸などの建具のガラス板に断熱材を着脱容易および再利用を可能にするガラス板用断熱材の固定具セットを提供する。
【解決手段】固定具セットは、複数の固定具1Aを含む。この固定具1Aは、建具10の框11とシーリング材14の間またはガラス板12とシーリング材14の間に挿入する挿入部1aと、挿入部1aと連なり断熱材13を支持する支持部1cとを含む。複数の固定具1Aは、断熱材13の面方向に断熱材13を挟むよう対向配置されることにより、断熱材13がガラス板12に対面するよう支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具のガラス板に板状の断熱材を着脱可能にするガラス板用断熱材の固定具セットであって、
前記固定具セットは、複数の固定具を含み、
前記固定具は、前記建具の框とシーリング材の間または前記ガラス板と前記シーリング材の間に挿入する少なくとも2本以上のフォーク形状の挿入部と、
前記挿入部と連なり前記断熱材を支持する支持部とを含み、
前記複数の固定具は、
前記断熱材の面方向に前記断熱材を挟むよう対向配置されることにより、前記断熱材が前記ガラス板に対面するよう前記断熱材を支持する
ことを特徴とするガラス板用断熱材の固定具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ窓やサッシ戸などの建具のガラス板に板状の断熱材を固定する固定具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
冬場にサッシ窓やサッシ戸などのガラス板からの冷気が室内に進入するのを抑えるための断熱シートをガラス板に貼り付けることが提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-240571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の断熱シートは、両面テープなどの粘着剤を介してガラス板に貼り付けられるので、シーズンオフにガラス板から剥離すると再利用できない不都合及びガラス板に粘着剤が残渣するといった問題が生じている。
【0005】
本発明は、建具のガラス板に断熱材を着脱容易及び再利用可能にするガラス板用断熱材の固定具セットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
建具のガラス板に板状の断熱材を着脱可能にするガラス板用断熱材の固定具セットであって、
前記固定具セットは、複数の固定具を含み、
前記固定具は、前記建具の框とシーリング材の間または前記ガラス板と前記シーリング材の間に挿入する少なくとも2本以上のフォーク形状の挿入部と、
前記挿入部と連なり前記断熱材を支持する支持部とを含み、
前記複数の固定具は、
前記断熱材の面方向に前記断熱材を挟むよう対向配置されることにより、前記断熱材が前記ガラス板に対面するよう前記断熱材を支持する
ことを特徴とするガラス板用断熱材の固定具セット。
【0007】
この構成によれば、複数の固定具を断熱材の面方向に断熱材を挟むよう対向配置することにより、対向する固定具の組の各支持部により断熱材がガラス板に支持され、ひいては、断熱材がガラス板に対面するように支持される。したがって、従来のように粘着剤を介して断熱材をガラス板に貼り付ける必要がないので、断熱材の着脱を容易にし、更に粘着剤がガラス板及び断熱材に残渣することがないので、断熱材の再利用を可能にする。摩擦抵抗が異なるガラス板とシーリング材の間に挿入部を挿入する場合、摩擦抵抗の高いシーリング材が奥側へと巻き込まれる。しかしながら、挿入部は、少なくとも2本以上のフォーク形状をしているので、板状の挿入部に比べてシーリング材との摩擦抵抗を抑制しつつ、ガラス板とシーリング材の間に滑らかに挿入される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガラス板用断熱材の固定具セットによれば、建具のガラス板に断熱材を着脱可能とし、ひいては断熱材を再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の固定具セットを建具に装着した図、Aは第一実施形態の固定具、Bは第二実施形態の固定具、Cは第三実施形態の固定具、Dは第四実施形態の固定具を示す図である。
図2】Aは第五実施形態の固定具を示す斜視図、Bは固定具の挿入部をガラス板とシーリング材の間に挿入した状態を示す断面図、Cは固定具の平面図、Dは固定具の正面図、Eは固定具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の建具のガラス板用断熱材の固定具セットの実施形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、本実施形態の固定具は、サッシ窓やサッシ戸などの建具の大きさに関わらずガラス板を備えた建具であれば利用することができる。また、以下の実施形態ではガラス板の室内側に断熱材を支持する場合について説明するが、屋外側でガラス板に対面するよう支持することもできる。
【0011】
<第一実施形態>
図1(A)に示すように、固定具1Aは、金属製、プラスチック製等の平板を長手方向の両端で離反する方向に直角に折り曲げて構成されている。すなわち、固定具1Aは、板状の挿入部1aと、挿入部1aから連なり断熱材13を支持する支持部1cとを含む。ここで、支持部1cは、挿入部1aから水平方向に屈折して連なる断熱材13の端辺を受ける受け部1bと、受け部1bから屈折して連なる断熱材13の面を支持する支持部1cから構成されている。
【0012】
上記構成の固定具1Aは、建具10のガラス板12とシーリング材14(例えば押さえゴム)の間に挿入部1aを挿入され、ガラス板12を挟んで建具10の室内側の框11の頂部とシーリング材14の表面にわたって受け部1bを当接させることにより建具10への装着が完了する。複数の固定具1Aは、ガラス板12の上下左右の4辺に対向配置される。この状態でガラス板12のサイズより僅かに小さいサイズを有する板状の断熱材13の4辺をガラス板12と各支持部1cの間に挿入した場合、断熱材13の面方向に当該断熱材13を挟んで対向配置された固定具1Aの組の各受け部1bに断熱材13の突っ張り力が付与される。これにより、断熱材13がガラス板12に対面するように支持される。また、受け部1bに突っ張り力が付与されないサイズの断熱材13を利用した場合でも断熱材13の面が支持部1cによって当接支持されるので、ガラス板12に断熱材13を対面するよう支持することができる。なお、本実施形態における固定具1Aの挿入部1aは、先細りテーパ状を有する板状であるが、この形状に限らず板状であれば他の形状であってもよい。断熱材13は、例えば1枚板または中空を有する複層のポリカーボネイト板(例えば2枚のポリカーボネイトの間に波状に加工した中芯を有するもの)があげられる。断熱材13に複層のポリカーボネイト板を利用する場合、固定具1Aの支持部1cは、2本のフォーク形状または3本以上の櫛形状にし、中芯の中空部に支持部1cを突き刺して断熱材13を支持するように構成してもよい。受け部1bから垂直に屈折する支持部1cは、框11の奥行幅に収まっている。したがって、内障子と外障子からなるサッシ窓の場合、サッシ窓の開閉が可能になる。
【0013】
なお、固定具1Aは、受け部1bと支持部1cの間の折り曲げ部分を幅方向にプレス加工を施して折り曲げ溝を形成してもよい。この構成により、支持部1cをガラス板12の手前に開いて断熱材13の挿入を容易にするとともに、その後に支持部1cをガラス板側に折り曲げることにより、断熱材13をガラス板12に対面するよう確実に装着することができる。断熱材13を取り外す場合は、支持部1cを手前に曲げて広げる。
【0014】
<第二実施形態>
本実施形態では上記第一実施形態と異なる構成について詳述し、同じ構成については同一符号を付すに留める。
固定具1Bは、図1(B)に示すように、受け部1bの同じ部位から垂直下方に延伸する挿入部1aと垂直上方に延伸する支持部1dを有する。支持部1dは、框11の手前側の支持部1cと同じ形状及びサイズであってもよいし、或いは支持部1cよりも大きいサイズまたは小さいサイズであってもよい。
支持部1cと支持部1dの間に断熱材13が挿入されると、ガラス板12と断熱材13の間に間隙が形成される。間隙は、ガラス板12の厚みより小さく、断熱材13の厚みよりも小さい。すなわち、微小な間隙は、ガラス板12と断熱材13の間に空気層を形成するので、断熱性を向上させることができる。
【0015】
<第三実施形態>
固定具1Cは、図1(C)に示すように、框11の角部に装着される。すなわち、固定具1Cは、直角三角形の支持部1cの2つの斜辺の各々から垂直に折り曲げ形成された受け部1bと、各受け部1bから直角に折り曲げ形成された挿入部1aを有する。本実施形態の挿入部1aは、方形で先端に向けて厚みが薄くなっている。
【0016】
この構成によれば、断熱材13の角部がガラス板12の角部に確りと固定されるので、ガラス板12から室内への冷気の進入が更に抑制され、ひいては断熱性が向上する。なお、固定具1Cの支持部1cは、直角三角形に限定されず、框角部と接触しないよう支持部1cの角部をカットした台形であってもよい。この構成によれば、框角部で露出するシーリング材14の厚みのバラつきよる固定具1Cの密着性の低下を回避することができる。
【0017】
<第四実施形態>
本実施形態の固定具1Dは、側面視したときにフック形状を有する。すなわち、固定具1Dは、図1(D)に示すように、框11の頂部と平行かつ当接する挿入部1aを有する。挿入部1aは、幅及び厚み方向に先細りテーパ状である。固定具1Dは、更に挿入部1aの基端側から垂直に起立した後にガラス板側に僅かに傾き、更に垂直に起立する支持部1cを有する。したがって、本実施形態の固定具1Dは、框11の頂部の一部に覆い被さるシーリング材14と当該頂部の間に挿入部1aを挿入され、当該挿入部1aが断熱材13の端辺を受ける受け部1bとしても機能する。
【0018】
<第五実施形態>
本実施形態の固定具1Eは、図2(A)~(E)に示すように、上記実施形態と同様に、金属製(例えば、ステンレス鋼)の平板をプレス加工により型抜きした後に、折り曲げ加工により構成されている。すなわち、固定具1Eは、挿入部1a、受け部1b、支持部1c、1dおよび延在部1eから構成されている。
【0019】
挿入部1aは、2本のフォーク形状を有する。各挿入部1aは、受け部1bからガラス板側に向けて面一に延伸する延在部1eの奥側端部から下向きに折り曲げられている。すなわち、隣り合う挿入部1aは、互いに間隔をあけて配置されている。なお、本実施形態にける挿入部1aは、2本のフォーク形状であるが、固定具1Aの幅に応じて2本以上に設定してもよい。
【0020】
各挿入部1aは、図2(D)に示すように、隣接する2本の間隔Gよりも小さい幅Wに設定されている。本実施形態では、挿入部1aの幅Wと間隔Gの相対的な関係として、間隔Gが挿入部1aの幅Wの等倍を超えて設定されている。なお、間隔Gは、好ましくは2倍以上である。このように間隔Gと幅Wを設定することにより、挿入部1aをガラス板12とシーリング材14の間に挿入する時、挿入部1aの挿入に伴うシーリング材14の巻き込みが抑制される。すなわち、挿入時に生じる各挿入部1aとシーリング材14の摩擦抵抗が抑制されるとともに、挿入部1aの先端側からシーリング材14にかかる押圧が、各挿入部1aの幅方向に適度に分散され、これらの相乗効果により、シーリング材14の巻き込みが抑制される。
【0021】
また、挿入部1aは、幅方向に円弧状の丸みをおびた先端を有する。また、先端側から延在部1eに向けて略同一幅のまま延伸し、延在部1eの手前から延在部1eに向かうにつれて幅方向に広がっている。すなわち、丸みをおびた先端は、ガラス板12およびシーリング材14への損傷を抑制する。また、挿入部1aの延在部側は、挿入部1aの強度を高めるとともに、挿入時の押圧を基端から先端に効率よく集中させる。したがって、挿入時に、挿入部1aは、折れ曲がることなくガラス板12とシーリング材14の間に挿入される。
【0022】
さらに、挿入部1aは、ガラス板側に向けて僅かに傾斜している。図2(E)に示すように、その傾斜角度αは、90度を超えて95度以内に設定されることが好ましく、さらに好ましくは91度から93度である。挿入部1aが、この範囲の角度に折り曲げられることにより、支持部1c、1dの頂部を指や工具などで押圧してガラス板12とシーリング材14の間に挿入部1aを挿入するとき、後側の支持部1dの頂部とガラス板12の間に僅かなクリアランスが形成される。したがって、このクリアランスによって作業性が向上する。また、挿入部1aはガラス板側に向かって僅かに傾いた状態で挿入されるので、ガラス板12とシーリング材14の間に挿入部1aを垂直に押し込む場合に比べて滑らかに挿入することができる。
【0023】
受け部1bは、断熱材13の厚みと同じ奥行または僅かに小さい奥行を有する平面である。
【0024】
支持部1c、1dは、受け部1bを前後から挟んで室内側に位置する前側の支持部1cと、ガラス板側に位置する後側の支持部1dである。本実施形態の前側の支持部1cは、図2(C)に示すように、延在部1eと同じ幅を有する一枚の板状である。また、前側の支持部1cは、その幅を挿入部1aの幅よりも大きく設定されている。なお、前側の支持部1cは、一枚の板状に限らず、分割された複数から構成してもよい。
【0025】
後側の支持部1dは、固定具1Eを正面視したとき、前側の支持部1cを幅方向から挟む一対から成り、かつ、2本の挿入部1aの各々の幅方向の外側に位置する。
【0026】
前側の支持部1cおよび後側の支持部1dの各頂部は、受け部1bの底面奥行よりも開口を拡張するように、いずれもが外開きに折り曲げられている。これにより、挿入時における作業者の指と各支持部1c、1dとの接触面積が拡張され、固定具1Eを押し込み易くする。また、固定具1Eの取り外し時に、この折り曲げた部分が、指や工具の引っ掛け部として機能し、固定具1Eを取り外し易くする。
【0027】
なお、前側の支持部1cおよび後側の支持部1dの高さは、挿入部1aの長さよりも短く、断熱材13の装着時に断熱材13を破損させることなく適度に撓ませた状態で受け部1bに挿入可能な高さに設定されている。
【0028】
延在部1eは、前側の支持部1cの幅と同じ幅を有する。また、延在部1eは、少なくとも後側の支持部1dの頂部とガラス板12の接触を回避可能な程度の奥行に設定されている。なお、その奥行は、ガラス板12と断熱材13の間に空気の断熱層となる空間を形成するよう、ガラス板12や断熱材13の仕様を考慮して適宜に設定される。
【0029】
上記の固定具1Eの構成によれば、挿入部1aを2本のフォーク形状にすることにより、上述の第一実施形態から第四実施形態の保持具1A-1Dの各挿入部1aに比べて、ガラス板12とシーリング材14の間に挿入し易くなっている。特に、挿入部1aの形状、位置、角度などを設定することにより、これらの相乗効果により、挿入時のシーリング材14の巻き込みの抑制、ガラス板12およびシーリング材14への損傷の抑制、作業効率の向上が図られる。
【0030】
また、固定具1Eを正面視した時、一対の後側の支持部1dは、前側の支持部1cを幅方向から挟むように配置し、かつ、2本の挿入部1aの各々の幅方向の外側に位置するように配置することにより、断熱材13を確りと支持することができる。すなわち、前側の支持部1cと一対の後側の支持部1dによって断熱材13を3点で支持するので、断熱材13を確りと支持することができる。
【0031】
さらに、延在部1eを設けることにより、ガラス板12と断熱材13の間にスペーサを設けることなく空気の断熱層となる空間を設けることができる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上記実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて設計変更が可能である。例えば、以下のように構成してもよい。
(1)第四実施形態の支持部1cは、第一から三実施形態と同様に途中で屈折することなく垂直に起立した構成であってもよい。或いは、第一から三実施形態の支持部1cが、第四実施形態の支持部1cと同様に途中で屈折した形状にしてもよい。
(2)上記の各実施形態の固定具1A-1Dは、断熱材13に傷がつかないように当接部分に弾性体または保護テープなどで被覆してもよい。
(3)第一から第三実施形態の固定具1A-1Cの支持部1cは、第一実施形態と同様に、2本のフォーク形状または3本以上の櫛形状であってもよい。
(4)本発明は、第一から第四実施形態の固定具1A-1Dを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1A~1E 固定具
1a 挿入部
1b 受け部
1c、1d 支持部
1e 延在部
10 建具
11 框
12 ガラス板
13 断熱材
14 シーリング材
図1
図2