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特開2023-29273燃料電池システムにおけるバッテリ過剰消費を低減するためのシステム及び方法
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  • 特開-燃料電池システムにおけるバッテリ過剰消費を低減するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029273
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】燃料電池システムにおけるバッテリ過剰消費を低減するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/40 20190101AFI20230224BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230224BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20230224BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20230224BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20230224BHJP
【FI】
B60L58/40
B60L58/12
H01M8/00 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022127067
(22)【出願日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】17/405,841
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】508108718
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル チャールズ フォリック
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エム. バルピット
(72)【発明者】
【氏名】ジャレード ファンズワース
(72)【発明者】
【氏名】アンドルー サタ
【テーマコード(参考)】
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC08
5H125AC12
5H125BC05
5H125BD02
5H125CC01
5H125EE27
5H125EE31
5H125EE51
5H127AB04
5H127AB29
5H127BA02
5H127BB02
5H127DB66
5H127DB69
5H127DB99
5H127DC42
5H127DC96
5H127FF04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両内の電力の過剰消費を低減するためのシステムを提供する。
【解決手段】車両内の電力の過剰消費を低減するためのシステムは、充電状態(SOC)を有するバッテリと、電力を生成する燃料電池スタックとを含む電源を含む。当該システムは、電源に結合され、電源からの要求電力に対応する電力要求を受信するように設計された電子制御ユニット(ECU)をさらに含む。ECUは、さらに、要求された電力量を達成するために、燃料電池スタックによって生成された電力量に対応する燃料電池電力量を決定するように設計される。ECUは、さらに、電源から引き出されている電力の総量に対応する現在の電力消費が電力要求よりも大きいときに、過剰消費イベントを決定するように設計される。ECUは、さらに、過剰消費イベントの決定に応じて、燃料電池電力量を増加させるように設計される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両電源からの電力の過剰消費を低減するシステムであって、
エネルギーを蓄えるように構成され、充電状態(SOC)を有するバッテリと、モータでの利用及び前記バッテリへの蓄積の少なくとも一つの電気を生成するように構成された燃料電池スタックと、を含む電源と、
前記電源に結合され、前記電源から要求された電力量に対応する電力要求を受信し、前記要求された電力量を達成するために前記燃料電池スタックによって生成された電気量に対応する燃料電池電力量を決定し、前記電源から引き出される総電力量に対応する現在の電力消費が前記電力要求より大きい場合に、過剰消費イベントと決定し、前記過剰消費イベントの決定に応じて前記燃料電池電力量を増加するように構成された電源電子制御ユニット(ECU)と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記電源ECUは、さらに、前記燃料電池電力量が現在の電力消費と等しくなるまで、前記燃料電池電力量を反復的に増加させるように構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バッテリは、前記現在の電力消費が前記電力要求より大きい場合に、前記電源を前記現在の電力消費に適合させるために、前記燃料電池電力量を補足する補足電力を出力するように構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電源ECUは、さらに、前記バッテリの前記SOCの低下に応じて、前記過剰消費イベントを決定するように構成されている
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
当該システムは、前記電源から引き出されている総電力量に対応する電力データを検出するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記電源ECUは、前記検出された電力データを前記電力要求と比較することによって前記過剰消費イベントを決定するようにさらに構成される
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電源ECUは、バッテリ発電出力量を決定し、前記バッテリ電力出力量を前記燃料電池電力量に加算することによって、前記電源から引き出されている総計算電力を決定し、前記総計算電力を前記電力要求と比較することによって、前記過剰消費イベントを決定するようにさらに構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
当該システムは、前記電源ECUが、前記車両の前記モータの動作を制御する車両ECUと通信し、前記電力要求を受信するように構成されるように、当該システムとは別個に製造された車両に実装されるように構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記過剰消費イベントの決定が、前記バッテリの前記SOCがより低いSOC閾値以下になる可能性を減少させることに応じて、前記燃料電池電力量を増加させる
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電源ECUはさらに、前記燃料電池スタックに前記燃料電池電力量を出力させるように構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
車両電源からの電力の過剰消費を低減するためのシステムであって、
電気を機械的動力に変換するように構成されたモータと、
エネルギーを蓄えるように構成され、充電状態(SOC)を有するバッテリと、前記モータでの利用及び前記バッテリへの蓄積の少なくとも一つの電気を生成するように構成された燃料電池スタックと、を含む電源と、
前記モータに結合され、前記モータの動作を制御し、且つ、前記電源からの要求された電力量に対応する電力要求量を生成するように構成された車両電子制御ユニット(ECU)と、
前記電源及び前記車両ECUに結合され、前記要求電力量を達成するために、前記燃料電池スタックにより生成される電気量に対応する燃料電池電力量を決定し、前記電源から引き出される総電力量に対応する現在の電力消費が前記電力要求より大きい場合に、過剰消費イベントと決定し、前記過剰消費イベントの決定に応じて前記燃料電池電力量を増加するように構成された電源ECUと、
を備えるシステム。
【請求項11】
前記バッテリは、前記現在の電力消費が前記電力要求より大きい場合に、前記電源に前記現在の電力消費に適合させるために、前記燃料電池電力量を捕捉する補足電力を出力するように構成され、
前記電源ECUは、前記バッテリの前記SOCの低下に応じて、前記過剰消費イベントを決定するように構成されている
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
当該システムは、前記電源から引き出されている総電力量に対応する電力データを検出するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記電源ECUは、検出された電力データを前記電力要求と比較することによって、前記過剰消費イベントを決定するようにさらに構成されている
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記電源ECUは、バッテリ発電出力量を決定し、前記バッテリ電力出力量を前記燃料電池電力量に加算することによって、前記電源から引き出されている総計算電力を決定し、前記総計算電力を前記電力要求と比較することによって、前記過剰消費イベントを決定するようにさらに構成されている
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
車両電源からの電力の過剰消費を低減するための方法であって、
エネルギーをバッテリに蓄積し、
燃料電池スタックによってモータでの利用及び前記バッテリへの蓄積の少なくとも一つの電気を生成し、
電源電子制御ユニット(ECU)によって、前記電源からの要求された電力量に対応する電力要求を受信し、
前記電源ECUによって、前記要求された電力量を達成するために前記燃料電池スタックによって生成される電気の量に対応する燃料電池電力量を決定し、
前記電源ECUによって、前記電源から引き出されている総電力量に対応する現在の電力消費が前記電力要求よりも大きい場合に過剰消費イベントと決定し、
前記電源ECUによって、前記過剰消費イベントの決定に応じて、前記燃料電池電力量を増加させる
方法。
【請求項15】
前記燃料電池電力量を増加させることは、前記燃料電池電力量が現在の電力消費と等しくなるまで、前記燃料電池電力量を反復的に増加させることを含む
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記現在の電力消費が前記電力要求よりも大きい場合、前記電源を前記現在の電力消費に適合させるために、前記バッテリによって、前記燃料電池電力量を補足する補足電力を出力することをさらに含む
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記過剰消費イベントを決定することは、前記バッテリの充電状態(SOC)の低下に応じて前記過剰消費イベントを決定することを含む
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのセンサによって、前記電源から引き出されている総電力量に対応する電力データを検出することをさらに含み、
前記過剰消費イベントを決定することは、前記検出された電力データを前記電力要求と比較することによって実行される
請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記電源ECUによって、バッテリ電力出力量を決定することと、
前記電源ECUによって、前記バッテリ電力出力量を前記燃料電池発電量に加算することによって、前記電源から引き出されている総計算電力を決定することと、
をさらに含み、
前記過剰消費イベントを決定することは、前記総計算電力と前記発電要求とを比較することによって行われる
請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記電源ECUは、車両の前記モータの動作を制御する車両ECUと通信し、前記電力要求を受信するようにさらに構成される
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のバッテリから電力を過剰に引き出す可能性を低減するためのシステム及び方法に関し、バッテリ及び燃料電池スタックは、追加の車両成分とは別個に設けられる。
【背景技術】
【0002】
規制の変化とインセンティブにより、多くの車両は化石燃料の使用から離れ、電力に向かって動いている。これらの車両は、電気エネルギーをトルクに変換するモータジェネレータを含むことができる。これらの車両は、バッテリを使用して電力を貯蔵するとともに、燃料電池回路を使用して、追加の電力を生成してもよい。一部の製造業者は、電力へのこの変化の最先端に立ち、電源として一緒に作動する燃料電池回路とバッテリを含む電源を製造する可能性がある。
【0003】
他の製造業者は、機関、シャーシ、又はボディデザインなどにおける、乗り物の他の領域における専門知識を有し得る。その点に関し、電源は、既存の車両に相手先商標製品製造会社(OEM)の一部として提供されてもよい。この集積化は、自動車の電子制御手段(ECU)と電源を制御するように設計されたECUとの間の誤通信のような課題を提起するかもしれない。電源の構成要素は、車両が要求するよりも多くの電力を引き込み、したがってバッテリの充電状態(SOC)を所定の最小SOC閾値以下に低下させるなど、この誤通信から望ましくない結果を受けることがある。要求された電力と実際の電力消費との間のこの不整合は、さらに、SOCが、適切な動作ができないほど十分に低くなる可能性がある。
【0004】
従って、これらの誤通信の課題を克服するような方法で、別個の車両構成要素のための電力を生成するために電源を制御するシステム及び方法が、当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
ここで説明するのは、車両用電源からの電力の過剰消費を低減するためのシステムである。システムは、エネルギーを貯蔵するように構成され、充電状態(SOC)を有するバッテリと、モータによって利用されるか、またはバッテリに貯蔵されるかのうちの少なくとも1つを発電するように構成された燃料電池スタックとを含む電源を含む。この装置は、さらに、電源に接続された電源電子制御ユニット(ECU)を含む。電源ECUは、要求された電力量に応じた電力要求を電源から受けるように設計されている。電源ECUは、さらに、要求された電力量を達成するために燃料電池スタックによって生成された発電量に対応する燃料電池電力量を決定するように設計される。電源ECUは、さらに、電源から引き出されている電力の総量に対応する現在の電力消費が電力要求よりも大きいときに、過剰消費イベントを判定するように設計される。電源ECUは、過剰消費イベントの決定に応答して燃料電池電力量を増加させるようにさらに設計される。
【0006】
また、車両用電源からの電力の過剰消費を低減するためのシステムについても説明する。システムは、電気を機械的動力に変換するように構成されたモータを含む。システムは、エネルギーを貯蔵するように構成され、充電状態(SOC)を有するバッテリと、モータによって利用されるか、又はバッテリに貯蔵されるかのうちの少なくとも1つを発電するように構成された燃料電池スタックとを含む電源をさらに含む。システムは、モータに連結され、モータの動作を制御し、電源からの要求された電力量に対応する電力要求を生成するように構成された車両用電子制御ユニット(ECU)をさらに含む。システムは、電源及び車両ECUに結合された電源ECUをさらに含む。電源ECUは、車両ECUからの電力要求を受け付けるように設計されている。電源ECUは、さらに、要求された電力量を達成するために燃料電池スタックによって生成された発電量に対応する燃料電池電力量を決定するように設計される。電源ECUは、さらに、電源から引き出されている電力の総量に対応する現在の電力消費が電力要求よりも大きいときに、過剰消費イベントを判定するように設計される。電源ECUは、過剰消費イベントの決定に応答して燃料電池電力量を増加させるようにさらに設計される。
【0007】
また、車両用電源からの電力の過剰消費を低減するための方法も記載されている。本方法は、バッテリにエネルギーを蓄積することを含む。本方法は、更に、燃料電池スタックによって、モータによって利用されるか、又はバッテリ内に格納されるべき電気を生成することを含み、前記バッテリ及び前記燃料電池スタックは、共に、電源である。本方法は、電源電子制御ユニット(ECU)によって、電源から要求された電力量に対応する電力リクエストを受信することをさらに含む。この方法はさらに、電源ECUによって、要求された電力量を達成するために燃料電池スタックによって生成された発電量に対応する燃料電池電力量を決定することを含む。方法は、電源ECUによって、電源から引き出されている電力の総量に対応する現在の電力消費が電力要求よりも大きいときに、過剰消費イベントを決定することをさらに含む。この方法はさらに、電源ECUによって、過剰消費イベントの判定に応答して燃料電池電力量を増加させることを含む。
【0008】
本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかであるか、又は明らかになるであろう。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、この説明内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。図面に示される構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の重要な特徴をより良く例示するために誇張されている場合がある。図面において、同じ参照番号は、異なる図面を通して同じ部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態による、電力過剰引出及び電力過剰消費を低減するためのシステムを有する車両を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、図1のシステムの追加の特徴を図示するブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態による、図1のシステムを欠く車両における電力過剰消費を図示するチャートである。
図4A図4Aは、本発明の実施形態に係る車両における電力過剰消費を低減する方法を示すフローチャートである。
図4B図4Bは、本発明の実施形態に係る車両における電力過剰消費を低減する方法を示すフローチャートである。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態による、図4A及び図4Bの方法の論理機能を示す論理図である。
図5B図5Bは、本発明の一実施形態による、図4A及び4Bの方法が電力過剰消費の可能性をどのように低減するかを示すチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態による、図1のシステムを欠く車両における電力過剰引出を示すチャートである。
図7A図7Aは、本発明の実施形態による、車両における電力過剰引出を低減するための方法を図示するフローチャートである。
図7B図7Bは、本発明の実施形態による、車両における電力過剰引出を低減するための方法を図示するフローチャートである。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態による、図7A及び図7Bの方法の論理機能を示す論理図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態による、図7A及び図7Bの方法が電力過剰引出の可能性をどのように低減するかを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、車両電源からの電力の過剰消費の可能性を低減するためのシステムおよび方法を記載する。システムは、バッテリの充電状態(SOC)が最小SOC閾値に達するか、又はそれを下回る可能性を低減するなど、種々の利益及び利点を提供する。これにより、有利には、燃料電池回路によって生成された電力を補うためにバッテリを利用可能なままにすることが可能となり、必要なときに補足電力が利用可能なままになるようにする。システムは、システム電力引き出しの直接測定に基づいて、又はシステム内のすべての燃料電池及びバッテリの合計として総システム電力引き出しを計算することによって、過剰消費イベントを決定するという追加の利点を提供する。システムは、有利には、電源が他の車両構成要素とは別に提供され、電源と追加の車両構成要素との間の誤通信を現実のものとする車両において、これらの利益を提供することができる。
【0011】
例示的なシステムは、バッテリ及び燃料電池回路を有する電源を含む。システムはまた、電源ECUを含む。電源ECUは、電源が供給すべき電力量を示す電力要求を受け付ける。また、電源ECUは、電力要求を達成するために燃料電池が発電するための電力量を示す燃料電池電力量を決定する。電源ECUは、現在の消費電力が電力要求よりも大きい場合に、過剰消費イベントを判定する。過剰消費イベントの決定に応じて、電源ECUは燃料電池を制御して、その発電量を増加させ、従って、この追加的な電力がバッテリから出ないようにする。
【0012】
図1を参照すると、車両100は、電力の過剰消費を減らし、電力の過剰引出の可能性を減らすためのシステム101を含むことができる。車両100(又はシステム101)は、車両ECU102、電源ECU103、メモリ104、トルク源106、電源107、及び本体109を含んでもよい。車両100(又はシステム101)は、ネットワークアクセスデバイス110、画像センサ122、位置センサ124、及びセンサ132をさらに含んでもよい。車両100はまた、入力デバイス138及び出力デバイス140を含むことができ、これらは共にIVIインターフェース139と呼ばれることがある。
【0013】
本体109は、道路に沿って推進されてもよく、水中もしくは水上に吊り下げられてもよく、又は空気を通って飛行してもよい。本体109は、自動車、バス、オートバイ、ボート、航空機、静止電源機などの車両に似ていてもよい。本体109は、さらに、運転者、乗客などの1人以上の個人を支持することができる。本体109は、運転者、乗客などが配置され得る車室111を画定又は含むことができる。
【0014】
車両ECU102は、(電源107を除いて)車両100の構成要素の各々に結合されてもよく、自動車システム用に特に設計されてもよい1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラを含んでもよい。なお、車両ECU102の機能は、1つのECUで実現されてもよいし、複数のECUで実現されてもよい。例えば、車両ECU102は、トルク源106を制御するトルクECUや、IVIインターフェース139を制御するIVIECU等を含んでもよい。車両ECU102は、車両100の構成要素からデータを受信し、受信されたデータに基づいて決定を行い、決定に基づいて構成要素の動作を制御し得る。たとえば、車両ECU102は、加速ペダルからの電力要求又はブレーキペダルからのブレーキ要求(ならびに位置センサ124などの電子デバイスによって要求又は要求される任意の追加の電力)を受信し得、電力要求を満たすために要求された電力量を決定し得、要求された電力量を電源ECU103に出力し得る。車両ECU102は、受け取った電力をトルク源106に行かせることができ、これは、受け取った電力をトルクに変換して車両100を駆動することができ、電子機器に付加的な電力を行かせて電子機器に電力を供給することができる。
【0015】
車両100は、非自律型、完全自律型、又は半自律型であってもよい。その点に関し、車両ECU102は、(ステアリング、ブレーキ、加速等のようである)車両100の様々な態様を制御して、車両100を出発地から目的地まで操縦することができる。いくつかの実施形態では、車両100は、自律型、半自律型、又は完全に運転者が操作する状態で動作されてもよい。この点に関し、車両100は、運転者制御とは無関係に、また、時には、車両100の内部に人がいなくても、操作され得る。車両ECU102は、そのような自律的機能を容易にすることができる。車両ECU102はまた、たとえば、IVIインターフェース139から受信された命令を介してモバイルデバイス152の様々な態様を制御し得る。
【0016】
電源ECU103は、電源107の各構成要素に結合することができ、自動車システム用に特に設計することができる1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラを含むことができる。電源ECU103の機能は、1つのECUで実現されてもよいし、複数のECUで実現されてもよい。電源ECU103は、電源107を、車両ECU102から受け取った電力要求を満たすために、電力を生成又は出力する電力のうちの少なくとも1つに制御することができる。
【0017】
メモリ104は、任意の非一時的メモリを含むことができ、車両ECU102によって使用可能なデータを記憶することができる。例えば、以下でより詳細に説明するように、メモリ104は、ドアロック154、156とともに制御されるアクセサリロックのリストを記憶することができる。メモリ104は、本体109の中又は上に配置することができ、したがって、ローカルメモリと呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、メモリ104は、本体109から離れて配置されてもよく、したがって、リモートメモリであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、電源ECU103は、メモリ104とは別個の非一時的メモリ105を含むことができる。電源メモリ105は、電源ECU102が電源107の動作を制御するために使用可能なデータを記憶する。
【0019】
トルク源106は、エンジン114又はモータジェネレータ116のうちの任意の1つ又は複数を含むことができる。電源107は、バッテリ118又は燃料電池回路120のうちの任意の1つ又は複数を含み得る。上述したように、車両ECU102は、トルク源106(エンジン114及びモータ電源機116を含む)の動作を制御することができ、電源ECU103は、電源107(バッテリ118及び燃料電池回路120を含む)の動作を制御することができる。
【0020】
エンジン114は、燃料を車両100を推進するための機械的動力に変換することができる。なお、エンジン114は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、エタノールエンジン等であってもよい。
【0021】
モータジェネレータ116は、バッテリ118に蓄積された電気エネルギー(又は燃料電池回路120から直接受け取った電気エネルギー)を、車両100を推進するために使用可能な機械的動力に変換することができる。モータジェネレータ116は、エンジン114又は車両100の車輪から受け取った機械的動力を、エネルギーとしてバッテリ118に蓄えられ、及び/又は車両100の他の構成要素によって使用され得る電気にさらに変換することができる。いくつかの実施形態では、モータジェネレータ116は、発電機部位のない電動機を含むことができ、いくつかの実施形態では、別個の発電機を設けることができる。
【0022】
バッテリ118は、電気エネルギーを蓄積することができる。いくつかの実施形態では、バッテリ118は、バッテリ、フライホイール、スーパーキャパシタ、熱蓄積装置等を含む任意の1つ以上のエネルギー蓄積装置を含んでもよい。バッテリ118は、モータジェネレータ116が使用可能な電力、エンジン114を始動するために使用可能な電力などを蓄えるために使用され得る。
【0023】
燃料電池回路120は、水素及び酸素(又は任意の他の化合物)を提供するためのシステム又はシステムとともに、電気エネルギーを生成するための化学反応を促進する複数の燃料電池(例えば、1つ又は複数の燃料電池スタック)を含むことができる。例えば、燃料電池は、水素及び酸素を受け取り、水素と酸素との間の反応を促進し、反応に応答して電気を出力することができる。これに関して、燃料電池回路120によって生成された電気エネルギーは、バッテリ118に蓄積され、及び/又は、モータジェネレータ116又は車両100の他の電気構成要素によって使用され得る。いくつかの実施態様において、車両100は、燃料電池回路120を含む複数の燃料電池回路を含むことができる。
【0024】
位置センサ124は、車両100の現在の位置に対応するデータを検出することができる任意のセンサを含んでもよい。例えば、位置センサ124は、全地球測位システム(GPS)センサ128、慣性計測手段(IMU)センサ130等のうちの1つ又は複数を含んでもよい。GPSセンサ128は、車両の位置に対応するデータを検出することができる。例えば、GPSセンサ128は、車両100のグローバル位置決め座標を検出することができる。IMUセンサ130は、加速度計、ジャイロスコープ等の1つ以上を含んでもよい。IMUセンサ130は、車両100の位置、速度、方位、加速度等に対応する慣性計測データを検出することができる。慣性測定データは、車両ECU102が車両100の現在の位置を決定するために追跡することができる、車両100の位置の変化を識別するために使用することができる。
【0025】
画像センサ122は、本体108に結合することができ、車両100の環境、車室111に対応するデータ等に対応する画像データを検出することができる。例えば、画像センサ122は、カメラ、レーダ検出器、ライダ検出器、又は任意の波長を有する光線を検出することができる任意の他の画像なセンサを含むことができる。画像センサ122は、本体109に対して(及び/又は車室111内で)任意の方向で画像情報を検出するように向けられ得る1つ又は多数の画像センサを含み得る。例えば、画像センサ122は、本体109の4つの側面すべてにレーダデータを検出するために、4つ以上のレーダ検出器を含むことができる。画像センサ122はまた、又はその代わりに、本体109に対して前方方向の画像データを検出するための第1のカメラ、及び本体109に対して後方方向の画像データを検出するための第2のカメラを含んでもよい。
【0026】
センサ132は、車両構成要素の状態を検出することができる1つ又は複数のセンサを含むことができる。例えば、センサ132は、電圧センサ、電流センサ、電力センサ、SOCセンサ等を含んでもよい。センサ132は、電源107の1つ又は複数の構成要素によって出力された電力、トルク源106の1つ又は複数の構成要素によって引き出された電力などに対応するデータを検出することができる。例えば、センサ132は、モータジェネレータ116によって電源107から引き出される電流量を検出することができる。別の例として、センサ132は、電源107から消費される全電力を解釈するために使用され得る、バッテリ118のSOCを検出してもよい(例えば、電源ECU103は、SOCの変化に基づいて、かつ燃料電池回路120によって生成される電力量に基づいて、消費電力を決定してもよい)。
【0027】
入力デバイス138は、ボタン、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなどの任意の1つ又は複数の入力デバイスを含み得る。入力デバイス138は、運転者又は乗客などの車両100のユーザからの入力を受信することができる。入力デバイス138は、例えば、クルーズコントロールの要求に対応する情報、車両100の補助構成要素を制御するために(例えば、ナビゲーション装置又はステレオを制御するために)使用可能な情報などを受信することができる。いくつかの実施形態では、入力デバイス138は、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイールなどの車両100を制御するために使用可能な追加の入力デバイスを含んでもよい。入力デバイス138はまた、又は代わりに、車両100が自律的に運転する要求に対応する情報を受信してもよい。
【0028】
出力デバイス140は、スピーカ、ディスプレイ、タッチスクリーンなどの任意の出力デバイスを含んでもよい。出力デバイス140は、車両のユーザにデータを出力してもよい。出力デバイス140は、例えば、車両100の自律制御に応じた情報を出力してもよい。
【0029】
ネットワークアクセスデバイス110は、無線プロトコルを介して通信可能な任意のネットワークアクセスデバイスを含んでもよい。たとえば、ネットワークアクセスデバイス110は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、セルラープロトコル、車両間(V2V)通信、ZigBee、又は任意の他のワイヤレスプロトコルを介して通信し得る。ネットワークアクセスデバイス110は、データ通信モジュール(DCM)と呼ばれることがあり、車両100上の任意の装置及び/又は任意の遠隔装置と通信することができる。
【0030】
電源107(潜在的に電源ECU103を含む)は、電源107とは別個に製造される車両内に実装されてもよい。例えば、電源107は、第1の車両製造業者によって製造されてもよく、第2の異なる車両製造業者によって製造される車両に組み込まれる相手先商標製品製造業者(OEM)システムであってもよい。電源107が別々の車両に組み込まれたOEMシステムであるこの構成は、従来の車両設計(すなわち、全ての動力源及びトルク源が一緒に製造される車両)には存在しない課題を提示する。電源とトルク源が一緒に設計され、製造される場合、単一のECU又はECUファミリーは、電力源及びトルク源を単一のシステムとして制御することができる。しかしながら、本構成では、車両ECU102は電源107を制御することができず、電源ECU103はトルク源106を制御することができない場合がある。
【0031】
電源107とトルク源106(及び補助成分などの追加成分)とのこの分離は、トルク源が実際に消費するよりも少ない電力を要求する状況などの課題を提示する。そのような状況では、バッテリ118の充電状態(SOC)は、SOCが最小SOCに達し、要求されたときに余分な電力を供給することができなくなるように、過剰消費され得る。過剰消費がこの時点を過ぎて継続する場合、バッテリSOCは、最小SOCを下回って(すなわち、0%又はそれに近いSOCまで)過剰消費され得、これにより、電源107全体がトルク源106に何らかの電力を供給することができなくなり得る。バッテリからのSOCの過剰消費及び過負荷は、どちらも望ましくない状況である。その点に関して、電源ECU107は、以下でさらに詳細に説明されるように、バッテリ118からの電力の過剰消費又は過剰引出の可能性を低減又は排除するように電源107を制御することができる。
【0032】
次に、図1及び図2を参照すると、電源107が車両100の他の構成要素とは別に設けられているシステムを示すブロック図が示されている。
図示のように、電源107は、電源ECU103、バッテリ118、及び燃料電池回路120を含む。車両ECU102は、電源107とは別個であってもよく、(位置センサ124、オーディオシステム、ナビゲーションシステムなどの)補助成分200と同様に、モータ-ジェネレータ116と通信(及び制御)してもよい。電源107と追加の車両成分との間には、電気バス204が存在してもよい。特に、電気バスは、モータジェネレータ116及び補助成分200とともにバッテリ118及び燃料電池回路120に連結されてもよい。電力センサ202(センサ132と同じであっても異なっていてもよい)は、電源107と残りの車両構成要素との間でバス204に結合されてもよい。電力センサ202は、バス204に沿って転送される電圧、電流、電力など、又はバス204上の電力量を決定又は予測するために使用可能な任意の他の情報を検出電源。電源ECU103は、センサ202によって検出されたデータに基づいて、電源107から残りの車両構成要素に伝達される電力量を計算、決定、又は予測することができる。
【0033】
上で言及したように、電源ECU103は、電源107からの電力を過剰に消費したり、過剰に引き出す可能性を低減又は排除したりするように設計されてもよい。このような能力がなければ、従来の車両にはない問題が生じる可能性がある。例えば、図3を参照すると、チャート301は、電源が過剰消費保護を含んでいない場合に、追加の車両成分とは別に設けられた電源からの過剰消費電力の結果を示す。
【0034】
第1のライン300は、車両構成要素(例えば、補助構成要素及びモータジェネレータ)によって引き出される実際の電力量を示す。第2の線302は、燃料電池回路によって生成される電力量と共に車両構成要素から要求される電力量の両方を示す(バッテリは、補足的な電力を供給するために使用されてもよいが、要求された電力をできるだけ多く供給するように燃料電池回路を設計することが望ましい場合がある)。第3の線条306は、バッテリから引き出されることを許容される電力量を示す。バッテリ許容電力は、電源ECUがバッテリから引き出すことを可能にする電力量であり、ECUが最低SOC閾値314に達するか、又はそれを下回る可能性を減少させる。最小SOC閾値314は、SOCレベルに対応し、それを下回ると、バッテリが劣化するか、さもなければ、損傷したり、使用不能になったりする可能性がある。第4の線条308は、バッテリの現在のSOCを示す。
【0035】
上で言及したように、バッテリは、実際の電力消費300が要求された電力消費302よりも大きい状況において、燃料電池回路302によって生成された電力を補うことができる。また、バッテリは、燃料電池回路302が電力出力をランプアップするのに一定の時間を要する状況(例えば、燃料電池出力電力が燃料電池要求電力まで増加する間、バッテリが補足電力を提供する)で電力を補完することができる。しかしながら、この状況が十分な時間継続する場合、バッテリ許容電力306はゼロになる可能性がある。特に、実際の電力消費300は、図3に示す例の持続時間にわたって、燃料電池発電電力302よりも大きいままである。したがって、生成された電力302と実際の電力消費300との間の電力の差は、バッテリによって提供される。
【0036】
バッテリ308の現在のSOCは、最小SOC閾値314を上回ったままであるが、バッテリ許容電力306は、比較的一定のままであってもよく、バッテリは、生成された電力302と実際の電力消費300との間の電力の差を提供し続けてもよい。しかしながら、初めての時刻310において、現在のSOC308は、最小SOC閾値314に近づき、バッテリ許容電力306を低減させる。第2の時間213で、バッテリ308の実際のSOCは最小SOC閾値314に達し、バッテリ許容電力306はゼロに減少する。SOCが最小SOC閾値314に達し、バッテリ許容電力306がゼロに達する状況は、電源からの電力の過剰消費と呼ばれ得る。この過剰消費は、バッテリが燃料電池回路によって提供される電力を補うために利用できなくなり、その結果、車両が加速の要求に反応しなくなる可能性があるため、望ましくない。
【0037】
次に、図4A及び図4Bを参照すると、電源からの電力の過剰消費の可能性を低減するための方法400が示されている。方法400は、図1の車両100又はシステム101と同様の車両又はシステムにおいて実装され得る(ここで、電源は、車両の他の構成要素とは別個に設計され、提供される)。
【0038】
方法400は、バッテリが電気エネルギーを蓄積し、燃料電池回路が電気エネルギーを生成するブロック402で開始することができる。バッテリに蓄積された電気エネルギーは、燃料電池回路によって生成することができ、(例えば、回生制動中に)モータジェネレータから受け取ることができ、(例えば、プラグインハイブリッド車の場合に)壁コンセントから受け取ることができ、又は同様のことができる。
【0039】
ブロック404において、電源ECU(又は別の構成要素)は、車両ECUから電力要求を受信することができる。電力要求は、トルク源によって生成される任意のトルク、及び補助デバイスによって使用される追加の電力を満たすために要求される電力の総量に対応し得る。この点に関し、車両ECUは、補助デバイスによる電力引き込みに対応する情報と同様に、電源からトルク要求を受信することができ、この情報に基づいて電力要求を決定することができる。そして、車両ECUは、電力要求を電源ECUに送信してもよい。いくつかの実施形態では、電源ECUは、電源からトルク要求を受け取り、補助デバイスから情報を受け取り、この情報に基づいて電力要求自体を決定することができる。電力要求は、定期的に(たとえば、10分の1秒ごと、100分の1秒ごと)更新され得、連続的に更新され得るなどであり得る。
【0040】
ブロック406では、電源ECUは、電力要求を満たすであろう燃料電池によって生成されるべき電力量に対応する燃料電池電力量を決定することができる。バッテリのSOCが一定のままであり得るように、又はバッテリが比較的大きな電力要求を支援し、燃料電池回路が立ち上がる間に電力を補うために利用可能であるように増加し得るように、可能な限り多くの電力要求が燃料電池回路によって提供されることが望ましい。電源ECUは、電力要求に基づいて燃料電池電力量を決定してもよい。また、電源ECUは、バッテリが種々の状況において補足的な電力を提供すべきであると判断してもよく、バッテリによって出力されるべきバッテリ電力量を決定してもよい。
【0041】
トルク源及び補助成分は、車両の運転中に電源から電力を引き出すことができる。上述のように、車両による電力引き込みは、電力要求よりも大きくても小さくてもよい。その点に関して、及びブロック408では、バッテリは、補足電力を出力して、電源によって出力される全電力を、車両によって消費される電力(例えば、トルク源、ならびに助剤成分によって使用される電力)と等しくさせることができる。一部の実施形態では、電源は、バッテリによって自動的に供給されるこの追加電力のために設計されてもよく、一部の実施形態では、電源ECUは、この補助電力を出力するためにバッテリを制御してもよい。
【0042】
ブロック410において、1つ又は複数のセンサは、(トルク源及び任意の補助構成要素を含む)車両構成要素によって引き出される現在の電力に対応するデータを検出することができる。データは、電源から(すなわち、図2のバス204に沿って)引き出される電力のみに対応し得る。例えば、システムは、電流、電圧、電力、又は、電源から(すなわち、電源によってバスに押し込まれた)又は車両構成要素に(すなわち、車両構成要素によってバスから引き込まれた)少なくとも1つを流れる電力に対応する電流、電圧、電力、又は、他の電気信号を検出する他のセンサを含んでもよい。センサは、バス上に配置された単一のセンサを含んでもよく、1つ又は複数の構成要素にそれぞれ関連付けられた複数のセンサを含んでもよい(例えば、燃料電池回路に第1のセンサを結合して燃料電池回路から流れる電力を検出し、バッテリに第2のセンサを結合してバッテリから流れる電力を検出してもよい)などであってもよい。
【0043】
一部の実施形態及びブロック412では、システムは、車両構成要素によって消費される電力を決定するために、センサデータではなく計算を使用してもよい。例えば、電源ECUは、燃料電池回路によって生成された現在の電力量を計算し、バッテリによって出力されている現在の電力量を計算することができる。いくつかの実施形態では、電源ECUは、バッテリのSOCの変化率(又はバッテリによる電力出力の変化率)を計算し、変化率を使用して、バッテリから消費される電力を決定してもよい。
【0044】
ブロック414では、電源ECUは、ブロック412からの計算された又は決定されたデータに基づいて、電源から引き出される総計算電力を決定することができる。例えば、電源ECUは、計算された燃料電池回路によって生成された電力量を、バッテリから引き出される電力量に加算することによって、電源から引き出される総計算電力を決定することができる。別の例として、電源ECUは、燃料電池回路によって生成された計算された電力と、バッテリSOCの変化率(又はバッテリから引き出された電力の変化率)とに基づいて、電源から引き出される総計算電力を決定してもよい。いくつかの実施形態では、電源ECUは、検出値と計算値との組み合わせに基づいて、総計算電力を決定してもよい。例えば、システムは、電源ECUが、燃料電池スタックによって生成された電力の計算量にセンサデータを加算することによって計算された総電力を決定するように、バッテリによって出力されている電力を検出するセンサを含んでもよい。
【0045】
ブロック416では、電源ECUは、検出された現在の電力消費又は計算された合計電力のうちの少なくとも1つに基づいて、現在の電力消費を判断することができる。例えば、電源ECUは、現在の消費電力が、電源から引き出されている検出された全現在の電力に等しいと判断することができる。別の例として、電源ECUは、現在の消費電力が計算された総電力に等しいと判断してもよい。
【0046】
ブロック418では、電源ECUは、現在の消費電力及び要求された電力量を監視し続けることができる。電源ECUは、現在の消費電力が電力要求よりも大きいことに応じて、過剰消費事象が発生したと判定してもよい。上で参照されるように、方法400は、電源(すなわち、バッテリ及び燃料電池、及び潜在的に動力源ECU)が、他の車両構成要素(例えば、モータジェネレータ及び補助構成要素)とは別個に提供される状況において適用可能である。過剰消費は、電源及び他の構成要素が、他の構成要素が何をしているかを知らないので、この状況に特に適用可能である問題である(それらは、別々に設計されているため、それらは、電源及び電源シンクが共同設計されているシステムと同じ通信を行うことができない)。
【0047】
いくつかの実施形態では、電源ECUは、現在の電力所定量の時間の間の電力要求よりも大きいことに応答して、過剰消費事象の存在のみを決定することができる。所定の時間の待機は、要求された電力の短時間の変化又は燃料電池スタックによる発電の短時間の変化によって引き起こされる誤った過剰消費事象の可能性を低減する。例えば、燃料電池スタックは、要求された量の電力まで電源電力を増加させるために一定の時間を要する場合があり、この時間の間、バッテリは電力を補完する場合がある。過剰消費の決定のための所定の時間量は、過剰消費の誤った決定を低減するように、燃料電池スタックが発電電力を増加させるためのこの期間以上であってもよい。また、電源ECUは、現在の消費電力と電力要求との差が所定時間の閾値差よりも大きい場合にのみ、過剰消費事象の有無を判定してもよい。閾値差は、バッテリのSOCを目立って低減するのに十分大きい電力差であってもよい。
【0048】
上述したように、過剰消費は望ましくない。というのは、過剰消費イベントが継続すると、バッテリのSOCが所定のSOC閾値まで、又はそれを下回る可能性があり、その結果、バッテリが補助的な電源を供給することができなくなるからである。その点に関して、及びブロック420において、電源ECUは、過剰消費イベントの決定に応じて、燃料電池電力量を増加させてもよい。例えば、電源ECUは、燃料電池電力量を、現在の電力消費量と等しく増加させることができる。別の例として、電源ECUは、バッテリを再充電するために、燃料電池電力量を現在の電力消費よりも大きい値まで増加させることができる。いくつかの状況では、燃料電池回路は、消費電力に等しい電力量を生成することができない場合があり、そのような状況では、電源ECUは、燃料電池回路に、電源を最大にするように命令し、車両ECUに、消費電力を低減するように命令する場合がある(又は、代替的に、燃料電池回路に、電源を最大にするように命令し、燃料電池回路によって生成された電力を補うようにバッテリに命令する場合がある)。
【0049】
ブロック422において、電源ECUは、方法400の一部又は全部のブロックを繰り返すことによって、過剰消費について監視し続けることができる。さらに、電源ECUは、電力過剰引出イベントを監視し、電力過剰引出イベントを決定することに基づいて電力制限信号を調整することができる。電力過剰引出事象については、以下でさらに詳しく述べる。
【0050】
ここで図5A及び図5Bを参照すると、図4A及び図4Bの方法400の例示的な実装が示されている。図5Aは、図4A及び図4Bの方法400を実装するための例示的な論理図500を示し、図5Bは、方法400の実装の結果を示すチャート551を示す。特に、チャート551は、図3のチャート301への方法400の適用が、過剰消費をどのように低減又は排除するかを示す。
【0051】
例示的な論理図500に示されるように、電源ECUは、車両ECUから電力要求信号502を受信する。電力要求信号502は、電源からの要求された電力量(例えば、モータジェネレータ及び補助成分のための要求された総電力)に対応する。電源ECUは、さらに、電源による出力又は車両構成要素(例えば、モータジェネレータ及び補助構成要素)によって引き出される電力の実際の量に対応する現在の電力消費504を決定又は受信することができる。差分ブロック510は、電力要求信号502と現在の電力消費504との差を計算し、計算された差に対応する電力消費誤差506を出力する。例えば、要求された電力502が5メガワット(MW)であり、現在の電力消費504が7MWである場合、電力消費誤差506は2MWである。2MWのこの電力消費誤差506は、過剰消費イベントを示し得る。上述のように、電源ECUは、電力消費誤差506が所定の期間持続する場合にのみ、過剰消費事象を決定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、電源ECUは、差分ブロック510の結果に基づいて、消費不足イベントをさらに判断することができる。例えば、現在の電力消費504が要求された電力502未満である場合、電源ECUは、過小消費事象を決定することができる。いくつかの実施形態では、電源ECUは、過剰消費事象のみを監視し、過小消費事象は監視しないことができる。いくつかの実施形態では、電源ECUは、燃料電池スタックを制御して、過小消費事象の決定に応答して、発電量を低減して電力要求に一致させることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、電源ECUは、電力消費誤差506が少なくとも所定の時間にわたって存在する場合にのみ、過小消費イベントを決定し得る。所定時間は、電力消費誤差506が電力要求信号502及び燃料電池回路の一時的変化によって生じないことを確実にするのに十分に長い時間である時間の量である(例えば、電力消費誤差506が要求された電力502の減少に応答して燃料電池回路ランピングダウン発電によるものである場合に、消費不足イベントが決定されないことを確実にするために)。
【0054】
いくつかの実施形態では、電源ECUは、現在の電力消費と電力要求との間の差が、所定の時間の間の閾値差より大きい場合にのみ、消費不足イベントの存在を判定することができる。閾値差は、目立った量の電力浪費(又はバッテリのSOCを著しく増加させるために)を生じさせるのに十分に大きい電力値であってもよい。
【0055】
一部の実施形態では、電源ECUは、バッテリのSOCが上限SOC閾値以上でない限り、消費不足イベントを判定しない場合がある。上側のSOC閾値は、バッテリの最大SOCに十分近く、バッテリのSOCが、制限された充電後に最大SOCに達するか、又はそれを超えることになるバッテリのSOCに対応する。電源ECUは、SOC上限しきい値に達する前に消費不足イベントを決定しないことがあるので、バッテリのSOCは、バッテリが燃料電池回路によって生成された電力を後で補うために利用可能となるように増加する。
【0056】
次いで、論理図500は、電力消費誤差506を要求された電力に加算し、その結果、燃料電池電力信号508を生成することができる。燃料電池電力信号508は、燃料電池回路によって生成されるべき対象な電力量を示すために、燃料電池回路に供給されてもよい。すなわち、燃料電池電力信号508は、燃料電池回路によって生成されるべき対象な電力量を示すことができ、電源ECUは、燃料電池電力信号508を燃料電池回路に送信することができる。
【0057】
チャート551は、図3のチャート301と同様の方法で開始することができる。特に、電源ECU(センサなどの追加の構成要素とともに)は、車両の電源からの実際の電力引き込み550を検出、受信、又は計算することができる。電源ECUは、燃料電池回路によって生成されている現在の電力量に対応する燃料電池生成電力552をさらに決定することができる。チャート551に示されるように、電力消費誤差554は、実際の電力消費550と燃料電池生成電力552との間に存在する。
【0058】
しかしながら、電源ECUは、電力消費誤差554を決定するのに応じて過剰消費イベントを決定することができ、電源ECUは、発電量を増加させて実際の電力消費550と等しくするように燃料電池回路を制御することができる。チャート551に示されるように、電力消費誤差554は、第1の時間560だけゼロに減少し、第2の時間562を通じてゼロに留まる。
【0059】
更に示されるように、バッテリ558のSOCは、(バッテリが電力消費誤差を補償するために電力を出力しているため)最初の時間から最初の時間560まで低下する。しかしながら、電力消費誤差554は、第1の時間560においてゼロに低下するため、SOC558は、第1の時間560において低減を停止し、第2の時間562を通して一定のままである。図示のように、SOC558は、最小SOC閾値314に近づくことができない。さらに、バッテリ許容電力556は一定のままであり、これは、SOC558が最小SOC閾値314よりも十分に大きいままであるために、バッテリが電力を出力し続けることができることを示す。従って、図5Bは、図4A及び図4Bの方法400が、他の車両構成要素とは別に設けられた車両電源からの電力の過剰消費をいかに低減又は排除するかを示す。
【0060】
次に、図6を参照すると、チャート600は、電源が過剰引出保護を含んでいない場合に、追加の車両成分とは別に設けられた電源から電力を過剰引出する結果を示す。第1の線条602は、電源(例えば、バッテリ及び燃料電池回路)から引き出され得る最大量の電力を示す電力制限信号を示し、第2の線条604は、電源から引き出される総電力を示す。電力制限信号は、電源ECUによって生成され、電源が特定の時間に供給できる最大電力量を示す。電源は、他の車両構成要素とは別に設けられているため、車両ECUは、電力制限信号が示すよりも多くの電力を電源から引き込む可能性があり、これは、SOCが対象最低値に達すると、電力の過剰消費の問題を引き起こす。
【0061】
チャート600は、さらに、バッテリ許容電力606を図示し、これは、任意の所与の時間にバッテリによって供給され得る最大量の電力に対応する。バッテリ許容電力606は、バッテリ電力消費の変化率が、それを超えてバッテリが損傷する可能性のある最大充電閾値充電レベルを十分に下回るように選択されてもよい。また、バッテリ許容電力606は、バッテリのSOCが最小SOC閾値612に到達するか、又はそれを下回る可能性を低減するように選択されてもよい。最小SOC閾値612は、SOCレベルを示し、それを下回ると、バッテリが損傷したり、不適切に動作したりする可能性がある。車両ECUは、電力制限信号が示すよりも多くの電力を電源から引き込む可能性があるため、バッテリからの実際のバッテリ電力引き込み608は、バッテリ許容電力606よりも大きくなる可能性がある。これは、望ましくないことに、バッテリ610のSOCが最小SOC閾値618に達するか、又はそれを下回る結果となり、システム停止又はシステム損傷のうちの少なくとも1つを引き起こす可能性がある。
【0062】
特に、初期時間と第2の時間614との間に、総電力引き込み604は電力制限信号602よりも小さく、実際のバッテリ電力引き込み608はバッテリ許容電力606よりも小さい。この間、SOC610は、ほぼ最小SOC閾値612まで滴下する。第1の時刻614では、合計電力消費604は、電力制限信号602と同じになり、それよりも大きくなる。同様に、実際のバッテリ電力消費608は、バッテリ許容電力606と同じになり、それよりも大きくなる。
【0063】
示されるように、第2の時間614と第3の時間616との間では、SOC610が最小SOC閾値612に近づくにつれて、バッテリ許容電力606はゼロに達する。しかしながら、全電力消費604と電力制限信号602との間の不整合のために、実際のバッテリ電力消費608は、バッテリ許容電力606を上回ったままである。これにより、SOC610は、第4の時間618において絶対最小SOC値に達し、任意の電力を供給することができなくなるまで、最小SOC閾値612を下回り続ける。これは、望ましくない状況である、電源のシステムシャットダウンをもたらし得る。図6に示される結果は、システム過剰引出と呼ばれることがある。
【0064】
図7A及び図7Bを参照すると、方法700は、車両の動力源とは別に設けられた車両構成要素による動力過負荷を低減又は排除するために示されている。方法700は、たとえば、図1の車両100又はシステム101と同様の車両又はシステムによって実装され得る。
【0065】
ブロック702において、バッテリは電気エネルギーを蓄積することができ、燃料電池回路は電気エネルギーを生成することができる。バッテリに蓄積された電気エネルギーは、燃料電池回路によって生成することができ、(例えば、回生制動中に)モータジェネレータから受け取ることができ、(例えば、プラグインハイブリッド車の場合に)壁コンセントから受け取ることができ、又は同様のことができる。
【0066】
ブロック704では、電源ECUが電力制限信号を決定してもよい。電力制限信号は、電源によって提供され得る瞬間的な最大電力量(すなわち、燃料電池回路によって、及びバッテリによって提供され得る総合最大電力量)を示し得る。電源ECUは、決定された電力制限信号を車両ECUに送信することができる。車両ECUは、電力制限信号に基づいて、車両の電力消費コンポーネントを制御することができる。例えば、車両ECUは、車両部品によって消費される総電力を、電力制限信号の値以下にすることができる。
【0067】
ブロック706において、電源ECUは、バッテリ許容電力を決定することができる。バッテリの許容電力は、バッテリから取り出すことができる電力量に相当する。電源ECUは、バッテリのSOCに基づいて、及びSOCの瞬間的な最大変化率に基づいて、バッテリ許容電力を決定してもよい。例えば、バッテリ許容電力は、バッテリ許容電力が、バッテリのSOCを最小SOC閾値に到達させる、又はそれを超えるように調節されてもよい。最小SOCしきい値は、SOC値であり、それを下回ると、バッテリが損傷したり、使用不能になったりする可能性がある。
【0068】
また、電源ECUは、バッテリ許容電力をSOCの最大変化率以下に設定してもよい。SOCの最大変化率は、それを超えると、バッテリ又は他の構成要素が損傷を受けるか、又は使用不可能になる可能性がある変化率に対応する。バッテリ許容電力は、SOCが最低SOC閾値に達するにつれて減少し、SOCが最低SOC閾値に達するにつれて、ゼロに近づく可能性がある。いくつかの実施形態では、バッテリ許容電力は、SOCが最小SOC閾値に達する前に、ゼロまで低下してもよく、その結果、必要に応じて、バッテリは、補足電力を提供するために利用可能である。
【0069】
ブロック708において、電源ECUは、現在のバッテリ電力消費を決定することができる。現在のバッテリ電力消費は、特定の時点でバッテリから消費されている電力量に対応する。電源ECUは、現在のバッテリ電力を多数の方法で決定することができる。例えば、電源ECUは、バッテリによって引き出されている電圧、電流、又は電力の量を検出する電圧、電流、又は電力センサを使用して、現在のバッテリ電力を決定することができる。次に、電源ECUは、検出されたデータに基づいて、現在のバッテリ電力を決定することができる。いくつかの実施形態では、電源ECUは、バッテリのSOCの変化率に基づいて、現在のバッテリ電力を決定してもよい。例えば、電源ECUは、SOCの現在の変化率を決定し得、現在のSOC変化率を現在の電力引き込みに変換するための計算を実行し得る。
【0070】
ブロック710において、電源ECUは、現在のバッテリ電力消費及びバッテリ許容電力を監視することができ、現在のバッテリ電力消費がバッテリ許容電力よりも大きいことに応答して、過剰引出事象を判断することができる。電源は、電気を利用する車両構成要素とは別に設けられているため、車両は、電源(車両ECUから受け取ることができる)からの要求された電力量と、電源からの実際の電力消費量とを比較することができるシステムを欠いている可能性がある。従って、過剰引出事象は、一般に、電源が付加的な車両構成要素から別個に提供される場合にのみ問題を提示する。
【0071】
バッテリのSOCは、最小SOC閾値に達するか、又はそれを下回るまで、この過剰引出状態で連続的に低下し得る。バッテリSOCが最低SOCしきい値に達するか、又はそれを下回ると、バッテリが損傷する可能性がある。
【0072】
過剰引出事象を決定することに応答して、電源ECUは、電力制限信号内の瞬間的な最大電力量を減少させることができる。実質的に、これは、現在のバッテリ電力消費がバッテリ許容電力よりも大きい場合に、電源ECUが利用可能であると言う電力量を減少させ、かくして、過剰引出事象の可能性を減少させる。電力制限信号の最大電力量を減らすことにより、電源ECUは、車両ECUに電力消費を減らすように指示し、これにより、バッテリ源からの電力消費を減らす。電源ECUは、電力制限信号における瞬間最大電力量が、現在のバッテリ電力引き込みがバッテリ許容電力以下になるまで反復的に低減されるように、比例積分微分(PID)コントローラを使用して、ブロック710の論理を実装し得る。
【0073】
電源は、残りの車両構成要素とは別個に提供される(そして、追加の車両構成要素からの別個のECUによって制御される)ので、電源ECUは、それらの電力消費を低減するために、モータジェネレータ又は補助構成要素に指示しないことがある。この問題は、1台のECUが電源と車両コンポーネントを制御する従来の車両(又は交差通信を容易にするために複数のECUが一緒に設計されている車両)では発生しない。したがって、電源ECUは、電力を消費する車両コンポーネントを直接制御することができないため、電源ECUは、同様の効果(すなわち、車両コンポーネントによる電力消費を低減すること)を達成するために、電力制限信号における瞬間的な最大、電力量を低減するように設計される。
【0074】
ブロック712では、電源ECUは、さらに、過剰引出事象の決定に応じて発電量を増加させるように燃料電池回路を制御することができる。すなわち、電源ECUは、現在のバッテリ電力がバッテリ許容電力よりも大きい場合に、燃料電池回路を制御して発電量を増加させることができる。しかしながら、この制御動作は、燃料電池回路が車両コンポーネントの総エネルギー消費量を満たすことができない可能性があるため、過剰引出事象を解決するには不十分である可能性がある。従って、燃料電池回路は、車両コンポーネントの総エネルギー引き込み量を満足するようにできるだけ高い発電量を増加させるように制御することができ、一方、電力制限信号における瞬間的な最大電力量も同様に減少させることができる。これにより、電源は、システム電力の過剰消費の可能性を低減又は排除しつつ、車両成分にできるだけ多くの電力を供給することができる。
【0075】
過剰引出と同様の方法で、システムは、同様に、システム過充電を受けることがある。システムの過充電は、車両コンポーネント(すなわち、モータジェネレータのジェネレータ)が、バッテリが受け取ることのできるよりもバッテリに蓄えるためのより大量の電力を供給するときに発生する。以下のブロックは、システムの過充電が発生する可能性を低減又は排除することができる。
【0076】
ブロック714では、電源ECUは、バッテリのバッテリ充電制限を決定することができる。バッテリ充電制限は、バッテリが受け取ることができる瞬間的な最大電力量を含んでもよい。バッテリは、回生制動中にモータジェネレータのジェネレータからの電力を使用して再充電することができる。具体的には、バッテリ充電制限は、充電レートを最大充電レート以下に維持させるバッテリの充電レートに対応することができ、また、バッテリのSOCが最大SOC閾値に達する、又はそれを超えることを防止する。バッテリ充電限界は、電源の現在の状態(すなわち、バッテリのSOC、燃料電池回路による発電量、及び電源に流入又は流出する電力量)に基づいて、定期的又は連続的に調整され得る。バッテリ充電制限は、電源ECUが使用する内部制限である可能性がある。
【0077】
ブロック716において、電源ECUは、充電制限信号を車両ECUに送信することができる。充電制限信号は、バッテリ充電制限に関連することができ、バッテリに供給することができる瞬間的な最大電力量に対応することができる。バッテリ充電制限とは対照的に、充電制限信号は、車両ECUに送信され、車両ECUによって使用されて、バッテリを充電するために電源に供給される電力量を調整することができる。充電制限信号はまた、充電レートを最大充電レート以下に維持させるバッテリの充電レートに対応し得、また、バッテリのSOCが最大SOC閾値に達するか又はそれを超えることを防ぐ。充電制限信号はバッテリ充電制限とは別のものであるため、2 つが異なる値に設定されている可能性がある。
【0078】
ブロック718において、電源ECUは、格納のためにバッテリに供給されている瞬間的な電力量に対応する現在のバッテリ充電量を決定することができる。電源ECUは、現在のバッテリ充電量を多数の方法で決定することができる。例えば、電源ECUは、バッテリによって引き出されている電圧、電流、又は電力の量を検出する電圧、電流、又は電力センサを使用して、現在のバッテリ充電量を決定することができる。このセンサは、ブロック708から現在のバッテリ電力を検出するセンサと同じであってもよい。電源ECUは、バッテリのSOCが増加したときの電圧、電流、又は電力がバッテリ充電量であるか否か、及びSOCが減少したときの現在のバッテリ電力を判断することができる。その後、電源ECUは、検出されたデータに基づいて、現在のバッテリ充電量を決定することができる。いくつかの実施形態では、電源ECUは、バッテリのSOCの変化率に基づいて、現在のバッテリ充電量を決定してもよい。例えば、電源ECUは、SOCの現在の変化率を決定し、現在のSOC変化率を現在の電力充電量に変換するための計算を実行してもよい。
【0079】
ブロック720において、電源ECUは、現在のバッテリ充電量がバッテリ充電制限(内部電源ECU値)よりも大きいことに応答して、システム過充電イベントを判断してもよい。電源ECUは、ブロック710において、現在のバッテリ電力消費とバッテリ許容電力とを比較するのと同様の方法で、現在のバッテリ充電量とバッテリ充電制限とを比較することができる。電源ECUは、システムの過充電イベントを決定するのに応じて、充電制限信号における瞬間的な電力量を更に減少させることができる。すなわち、電源ECUは、電源ECUが現在のバッテリ充電量がバッテリ充電制限より大きいと判断したときに、充電制限信号における瞬間的な電力量を減少させることができる。電源ECUは、現在のバッテリ充電量がバッテリ充電限界以下になるまで、PIDコントローラを用いて瞬間的な電力量を連続的又は周期的に低減させてもよい。これにより、システムが過充電になる可能性が低くなり、その結果、バッテリが損傷したり使用できなくなったりする可能性が低くなる。
【0080】
いくつかの実施形態では、燃料電池回路は、発電機がまたバッテリ充電イベント中に電力を生成している間、電力を生成することができる。このような状況において、かつブロック722において、電源ECUは、電源ECUが過充電事象を決定したときに生成されている電力量を減少させるように燃料電池回路を制御することができる。燃料電池回路によって生成される電力のこの低減は、充電のためにバッテリに供給される電力の総量を低減し、したがって、現在のバッテリ充電量を、バッテリ充電限界まで、又はそれを下回るように、より迅速に低下させる。
【0081】
ここで図8A及び図8Bを参照すると、図7A及び図7Bの方法700の例示的な実装が示されている。図8Aは、図7A及び7Bの方法700を実施するための例示的な論理図800を示し、図8Bは、方法700の実施の結果を示すチャート800を示す。特に、チャート800は、図6のチャート600への方法700の適用が、システムの過剰引出をどのように低減又は排除するかを示す。
【0082】
論理図800では、比較器816は、測定されたバッテリ電力802(図7A及び図7Bでは現在のバッテリ電力引き出し又は現在のバッテリ充電量と呼ばれる)、ならびにバッテリ許容電力804(図7A及び図7Bではバッテリ許容電力及びバッテリ充電制限と呼ばれる)を受信する。比較器は、測定されたバッテリ電力802とバッテリ許容電力804との間の差を決定し、バッテリ電力エラー806を出力する。次いで、バッテリ電力誤差806は、測定されたバッテリ電力802とバッテリ許容電力804との間の差に対応し、過剰引出事象又は過充電事象のいずれかに対応し得る。
【0083】
バッテリ電力エラー806は、PIDコントローラ808に提供することができる。PIDコントローラ808の出力は、比較器812によって利用可能なシステム電力810と比較することができる。利用可能なシステム電力810は、図7A及び7Bのバッテリ許容電力及びバッテリ充電制限に対応する。比較器812は、利用可能なシステム電力810からPIDコントローラ808の出力を差し引いて、修正された利用可能なシステム電力814を出力してもよい。修正された利用可能なシステム電力814は、図7A及び7Bの電力制限信号及び充電制限信号に対応する。PIDコントローラ808は、測定されたバッテリ電力802をバッテリ許容電力804以下に反復的に駆動して、システム過剰引出が発生する可能性を低減又は排除することができる。変更された利用可能なシステム電力814は、測定されたバッテリ電力802がバッテリ許容電力804以下になるまで、車両ECUに、低減された量の電力を電源から要求させるために、車両ECUに提供され得る。
【0084】
チャート850は、図6のチャート600と同様の状態で開始することができる。特に、初期時間と第2の時間614との間に、総電力引き込み852は電力制限信号854よりも小さく、実際のバッテリ電力引き込み858はバッテリ許容電力856以下である。しかしながら、時間が第2の時間614から第3の時間616に進むにつれて、SOC860は最小SOC閾値612に近づく。同様に、実際のバッテリ電力消費858は、バッテリ許容電力856よりも大きくなる。それに応じて、電源ECUは、第2の時間614と第3の時間616との間の電力制限信号854を減少させ、その結果、実際のバッテリ電力消費858は、バッテリ許容電力856まで、又はそれを下回る。これは、SOC860が最小SOCしきい値612に達するか又はそれを下回る可能性を低減する。したがって、電源ECUは、電力制限信号854を調整することによって、システムの過剰引出を回避する。
【0085】
本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される場合、「A又はBのうちの少なくとも1つ」は、「A」のみ、「B」のみ、又は「A及びB」を含む。方法/システムの例示的な実施形態は、例示的な様式で開示されている。したがって、全体を通して使用される用語は、非限定的な方法で読まれるべきである。本明細書の教示に対する軽微な変更は、当業者には思い浮かぶであろうが、本明細書において保証される特許の範囲内に限定されることが意図されるものは、本明細書によって寄与される技術の進歩の範囲内に合理的に入るすべてのそのような実施形態であり、その範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に照らすことを除き、制限されないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
【外国語明細書】