(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029279
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド用合金、ゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法
(51)【国際特許分類】
C22C 14/00 20060101AFI20230224BHJP
C22F 1/18 20060101ALI20230224BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
C22C14/00 Z
C22F1/18 H
C22F1/00 602
C22F1/00 611
C22F1/00 673
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692A
C22F1/00 692B
C22F1/00 692Z
C22F1/00 630A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128068
(22)【出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】110130710
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】511048409
【氏名又は名称】復盛應用科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蘇 彦杰
(72)【発明者】
【氏名】鄭 達謙
(57)【要約】
【課題】従来のゴルフクラブヘッドでは強度が不足する問題を解決するための、ゴルフクラブヘッド用合金を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るゴルフクラブヘッド用合金は、8~9重量%のアルミニウム、3.5~4.5重量%のバナジウム、≦2重量%のモリブデン、残部となるチタン及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
8~9重量%のアルミニウム、3.5~4.5重量%のバナジウム、≦2重量%のモリブデン、残部となるチタン及び不可避的不純物からなることを特徴とするゴルフクラブヘッド用合金。
【請求項2】
8.5重量%のアルミニウムを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド用合金。
【請求項3】
4重量%のバナジウムを含むことを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド用合金。
【請求項4】
1重量%のモリブデンを含むことを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブヘッド用合金。
【請求項5】
さらに≦1重量%のタンタルを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド用合金。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド用合金を用いて鋳造することで形成されることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
150~169ksiの引張強度、及び138~156ksiの降伏強度を有していることを特徴とする請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
4.401~4.413g/cm3の密度を有していることを特徴とする請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
請求項1~請求項5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド用合金を合金基材として提供し、
前記合金基材を加熱し、前記合金基材を450~750℃で、0.5~2時間維持させることで時効処理を行い、
焼入れ媒体によって、時効処理された前記合金基材を10~20分冷却させることで、時効処理された前記合金基材の温度を室温まで降温させることを含む、ゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法。
【請求項10】
前記合金基材に対して時効処理を行う際、時効処理の温度が、580~620℃であり、時効処理の時間が、1時間であることを特徴とする請求項9に記載のゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法。
【請求項11】
前記焼入れ媒体が、中性ガスまたは不活性ガスであることを特徴とする請求項9に記載のゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッド用合金に関し、特に、高強度を有するゴルフクラブヘッド用合金、このゴルフクラブヘッド用合金により鋳造されたゴルフクラブヘッド、及び、このゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チタン合金は、良好な強度、腐食耐性及び耐熱性を有することで、ゴルフクラブヘッドの鋳造材として広く使用されている。
例えば、従来の811チタン合金は、約8重量%のアルミニウム、約1重量%のバナジウム、約1重量%のモリブデン、残部となるチタン及び不可避的不純物からなるものであり、これにより、従来の811チタン合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、より良い強度を有し、ユーザーに好適な打撃感をもたらすことができるものであった。
【0003】
現在、ユーザーは、より良い打撃感を求めて、かつ、打撃力が強くなっていくので、従来の811チタン合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、強度が不足する問題に直面するようになった。
そこで、当業者は、従来の811チタン合金の組成を調整し、モリブデンを取り除いて、約7.5重量%のアルミニウム、約4.5重量%のバナジウム、約1.2重量%のクロム、残部となるチタン及び不可避的不純物からなるチタン合金(140Cチタン合金)とした。
これにより、上記811チタン合金と比べ、140Cチタン合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、より高い強度を有することができた。
ただし、140Cチタン合金によるゴルフクラブヘッドの製造において、成形率が極めて低く、広く使用することが難しかった。
以上に鑑みて、従来のゴルフクラブヘッド用合金は、改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、ゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドがより良い強度を有する、ゴルフクラブヘッド用合金を提供することを目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、ゴルフクラブヘッドの成形率を向上させるゴルフクラブヘッド用合金を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、さらにより良い打撃感を有するゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記ゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドの強度を向上させる、ゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における部分或いは部品において、使用された「一」或いは「一個」等の助数詞は、都合のために使用し、本発明の特許請求の範囲について通常の意義を与えるもので、本発明において一個または少なくとも一個として解釈すべきであり、且つ、明確に別の意味を指していないかぎり、一つである意味は、複数の場合も含まれている。
【0010】
本発明に係るゴルフクラブヘッド用合金は、8~9重量%のアルミニウム、3.5~4.5重量%のバナジウム、≦2重量%のモリブデン、残部となるチタン及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、上記ゴルフクラブヘッド用合金を用いて鋳造することで形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法は、上記ゴルフクラブヘッド用合金を合金基材として提供し、前記合金基材を加熱し、前記合金基材を450~750℃で0.5~2時間維持させることで時効処理を行い、焼入れ媒体によって、時効処理された前記合金基材を10~20分冷却させることで、時効処理された前記合金基材の温度を室温まで降温させることを含む。
【0013】
さらに、ゴルフクラブヘッド用合金は、チタン合金を形成することができ、このチタン合金を鋳造材としてゴルフクラブヘッドを鋳造し、上記熱処理を行うと、良好な強度を有するゴルフクラブヘッドを形成することができる。
これにより、本発明のゴルフクラブヘッド用合金は、上記金属の組成割合により、ゴルフクラブヘッド用合金は、安定したα相及びβ相を有することができるので、ゴルフクラブヘッドの品質を向上させることができる。
さらに、811チタン合金及び140Cチタン合金に比べ、本発明は、より優れた機械的性質を有する。
また、本発明のゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、より良いゴルフクラブヘッドの成形率及び機械的性質を有し、歩留まりを向上させ、良好な打撃感を有する効果に達する。
また、本発明のゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法は、合金基材によりゴルフクラブヘッドを鋳造し、熱処理(例えば、時効処理及び焼入れ処理)を行うことで、このような熱処理を行わなかったゴルフクラブヘッドに比べ、このような熱処理を行った合金基材により製造されたゴルフクラブヘッドは、機械的性質をさらに向上させることができ、ゴルフクラブヘッドの強度をさらに向上させる効果を有する。
【0014】
また、ゴルフクラブヘッド用合金は、8.5重量%のアルミニウムを含むことができる。
これにより、ゴルフクラブヘッド用合金からゴルフクラブヘッドが製造される際、より良い成形率及び強度を有することができる。
【0015】
また、ゴルフクラブヘッド用合金は、4重量%のバナジウムを含むことができる。
これにより、ゴルフクラブヘッド用合金からゴルフクラブヘッドが製造される際、より良い成形率及び強度を有することができる。
【0016】
また、ゴルフクラブヘッド用合金は、1重量%のモリブデンを含むことができる。
これにより、ゴルフクラブヘッド用合金からゴルフクラブヘッドが製造される際、より良い強度及び成形率を有することができる。
【0017】
さらに、ゴルフクラブヘッド用合金は、≦1重量%のタンタルを含むことができる。
これにより、ゴルフクラブヘッド用合金からゴルフクラブヘッドが製造される際、より良い強度及び成形率を有することができる。
【0018】
また、ゴルフクラブヘッドは、150~169ksiの引張強度、及び138~156ksiの降伏強度を有することができる。
これにより、ゴルフクラブヘッドの品質を向上させる効果を有する。
【0019】
また、ゴルフクラブヘッドは、4.401~4.413g/cm3の密度を有することができる。
これにより、ゴルフクラブヘッドの品質を向上させる効果を有する。
【0020】
また、前記合金基材に対して時効処理を行う際、時効処理の温度が、580~620℃であり、時効処理の時間が、1時間であっても良い。
これにより、合金基材の機械的性質をさらに向上させることができる効果を有する。
【0021】
また、前記焼入れ媒体が、中性ガスまたは不活性ガスであっても良い。
これにより、合金基材の金属組織の変化を避けることができるので、合金基材の機械的性質が低下してしまうことを避けられる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例について、以下、図面を参照して説明する。
【0023】
本発明のゴルフクラブヘッド用合金に係る実施例は、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、残部となるチタン及び不可避的不純物からなるものである。
これにより、ゴルフクラブヘッド用合金は、チタン合金を形成することができ、このチタン合金は、鋳造材となり、良好な強度を有するゴルフクラブヘッドを形成することができる。
【0024】
詳しく述べると、アルミニウムは、チタン合金のα相を安定させることができるので、ゴルフクラブヘッド用合金にアルミニウムを添加すると、このゴルフクラブヘッド用合金から製造されるゴルフクラブヘッドの成形率を向上させることができる。
しかしながら、アルミニウムは、多すぎるとゴルフクラブヘッドの脆化を引き起こし、少なすぎると成形率を低下させてしまう。
調整した結果、本発明のゴルフクラブヘッド用合金は、8~9重量%のアルミニウムを含む。
一つの実施例において、ゴルフクラブヘッド用合金は、8.5重量%のアルミニウムを含み、これにより、ゴルフクラブヘッド用合金からゴルフクラブヘッドが製造される際、より良い成形率及び強度を有する。
【0025】
バナジウムは、β相を安定させる元素の同型元素である。
バナジウムは、β相においてより良い固溶度を有する。
すなわち、バナジウムは、合金の結晶格子に溶けると、結晶格子の安定性を維持できるので、ゴルフクラブヘッド用合金にバナジウムを添加すると、ゴルフクラブヘッドの強度を向上させることができる。
しかしながら、バナジウムは、多すぎると、ゴルフクラブヘッドの成形率を低下させ、少なすぎると所望の機械的強度が得られない。
調整した結果、本発明のゴルフクラブヘッド用合金は、3.5~4.5重量%のバナジウムを含む。
一つの実施例において、ゴルフクラブヘッド用合金は、4重量%のバナジウムを含み、これにより、ゴルフクラブヘッド用合金からゴルフクラブヘッドが製造される際、より良い成形率及び強度を有する。
【0026】
モリブデンは、チタン合金のβ相を安定させることができるので、ゴルフクラブヘッド用合金にモリブデンを添加すると、ゴルフクラブヘッドの強度を向上させることができる。
よって、ゴルフクラブヘッド用合金は、≦2重量%のモリブデンを含む。
一つの実施例において、ゴルフクラブヘッド用合金は、1重量%のモリブデンを含み、これにより、ゴルフクラブヘッド用合金からゴルフクラブヘッドが製造される際、ゴルフクラブにより良い強度を与え、かつ、ゴルフクラブヘッドの成形率を向上させることができる。
【0027】
ゴルフクラブヘッド用合金は、さらにタンタル(Ta)を含む。
タンタルは、チタン合金のβ相を安定させることができるので、ゴルフクラブヘッド用合金にタンタルを添加すると、ゴルフクラブヘッドの強度を向上させることができ、かつ、添加されたタンタルがゴルフクラブヘッドの成形率を低下させることはない。
よって、ゴルフクラブヘッド用合金は、≦1重量%のタンタルを含み、これにより、ゴルフクラブにより良い強度を与え、かつゴルフクラブヘッドの成形率を向上させることができる。
【0028】
さらに説明すべきことは、本発明のゴルフクラブヘッド用合金の組成を適度に調整することで、類似した機械的性質を得ることができる。
一つの実施例において、本発明のゴルフクラブヘッド用合金は、アルミニウム、バナジウム、モリブデン、タンタル、チタン及び不可避的不純物からなり、アルミニウムが、約8重量%~約9重量%を占め、バナジウムが、約3.5重量%~約4.5重量%を占め、モリブデンが、約0.5重量%~約2.5重量%を占め、及び、タンタルが、約0.5重量%~約1.5重量%を占める。
【0029】
また、本発明のゴルフクラブヘッド用合金を製造する際に、上記金属元素のインゴットまたは上記金属を有する母合金を、高温炉または高周波炉にて溶融混合させることで、上記重量%の金属を含む合金基材を形成することができる。
これにより、この合金基材は、ゴルフクラブヘッドの鋳造に用いられることができる。
【0030】
さらに、本発明の合金基材に対して熱処理を行うことができる。
例えば、この熱処理は、時効処理により昇温させてから、焼入れ処理により降温させる熱処理工程である。
時効処理としては、合金基材を450~750℃で0.5~2時間維持させることで、時効処理を行う。
一つの実施例において、合金基材を580~620℃で1時間維持させることで、時効処理を行う。
焼入れ処理としては、上記時効処理に続き、焼入れ媒体によって、時効処理された合金基材を10~20分冷却させることで、合金基材の温度を室温まで降温させる。
焼入れ媒体は、例えば、水、オイル、無機塩類水溶液、有機塩類水溶液或いは気体であっても良い。
一つの実施例において、焼入れ媒体は、中性ガス(例えば、窒素)または不活性ガス(例えば、ヘリウムやアルゴン)である。
これにより、合金基材の金属組織の変化を避けることができるので、合金基材の機械的性質が低下してしまうことを避けられる。
よって、合金基材により鋳造されたゴルフクラブヘッドは、時効処理及び焼入れ処理を経ると、より優れた機械的性質を有する。
【0031】
本発明のゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、良好な強度を有することを証明するために、表1に示す811チタン合金(第1組)、140Cチタン合金(第2組)、本発明における一つの実施例(第3組)及び本発明におけるもう一つの実施例(第4組)により製造されたゴルフクラブヘッドの機械的性質を測定した。
その結果を表2に示す。
【0032】
表1、本試験における各ゴルフクラブヘッド用合金の組成割合(重量%)
【表1】
【0033】
表2、各ゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドの機械的性質
【表2】
【0034】
上記試験結果によると、本発明のゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッド(第3、4組)は、引張強度及び降伏強度のいずれも811チタン合金(第1組)、140Cチタン合金(第2組)により製造されたゴルフクラブヘッドより高い。
また、本発明における第3組の合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、4.401~4.405g/cm3の密度を有し、本発明における第4組の合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、4.409~4.413g/cm3の密度を有するので、本発明のゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドが低い密度を有しながら、一定の強度を維持できることを示している。
さらに説明すべきことは、第3組及び第4組の組成を需要によって適度に調整することで、類似した機械的性質を得ることができる。
【0035】
また、上記4組の合金を実際に鋳造にも用いて、これにより各組の合金の鋳造物の成形率を測定した。
簡潔に述べると、ゴルフクラブヘッドを鋳造する際に、まず、シェルモールドを作製し、液態の合金をシェルモールド内に流し込む。
液態の合金が降温した後、モールドのキャビティに合致する形状となり、これにより、鋳造物を得る。
しかしながら、実際の生産過程にて、全ての鋳造物が、シェルモールドの形状を完全に複製できるとは限らない。
例えば、液態の合金の流動性が悪い場合、鋳造物が破損したり、鋳造物にひびができたりする。
さらに、これら欠陥のある鋳造物の数量から、鋳造の成形率を算出できる。
実験によると、140Cチタン合金(第2組)によりゴルフクラブヘッドを鋳造した場合の成形率は、僅か0~2%であった。
これに対し、本発明のゴルフクラブヘッド用合金(第3、4組)によりゴルフクラブヘッドを鋳造した場合の成形率は、86%であった。
これにより、本発明のゴルフクラブヘッド用合金によれば、良好な強度を有するゴルフクラブヘッドを製造できるだけでなく、ゴルフクラブヘッドの成形率を向上させることもできる。
【0036】
表3、異なる時効処理の温度による機械的性質
【表3】
【0037】
上記表に示すように、本試験では、表1における第3組及び第4組の合金を選択して試験を行い、その機械的性質を比較した。
時効処理は、3つの試験組に分けられ、第一に、未処理のもの(なし)をコントロール群とし、第二に、500℃で、1時間処理したものを比較群とし、第三に、600℃で、1時間処理したものを比較群とした。
結果は、表3に示すように、時効処理されなかった合金基材により製造されたゴルフクラブヘッドに比べ、時効処理を行ったものは、機械的性質が向上した。
さらに、時効処理の温度600℃で、1時間時効処理する場合、温度500℃の場合に比べ、ゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、より良い機械的性質を有することができる。
【0038】
以上により、本発明のゴルフクラブヘッド用合金は、上記金属の組成割合により、ゴルフクラブヘッド用合金は、安定したα相及びβ相を有することができ、さらに、ゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、811チタン合金及び140Cチタン合金より優れた機械的性質を有することができ、ゴルフクラブヘッドの品質を向上させる効果を有する。
また、本発明のゴルフクラブヘッド用合金により製造されたゴルフクラブヘッドは、より良いゴルフクラブヘッドの成形率及び機械的性質を有し、歩留まりを向上させ、良好な打撃感を有する効果に達する。
【0039】
また、本発明のゴルフクラブヘッド用合金の熱処理方法は、合金基材によりゴルフクラブヘッドを鋳造し、時効処理及び焼入れ処理を行うことで、時効処理及び焼入れ処理を行わなかったゴルフクラブヘッドに比べ、ゴルフクラブヘッドの機械的性質をさらに向上させることができ、ゴルフクラブヘッドの強度をさらに向上させる効果を有する。
【0040】
本発明は、その精神と必須の特徴事項から逸脱することなく他のやり方で実施することができる。
従って、本明細書に記載した実施形態は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。