(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029281
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】金属容器への印刷法及び金属容器に印刷を行う装置
(51)【国際特許分類】
B05D 7/14 20060101AFI20230224BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20230224BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20230224BHJP
B05C 9/10 20060101ALI20230224BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230224BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20230224BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230224BHJP
B41M 1/28 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B05D7/14 F
B05D3/02 B
B05D5/06 101D
B05C9/10
B05C5/00 101
B05C13/02
B05C11/10
B41M1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022128617
(22)【出願日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】21191856
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520227776
【氏名又は名称】ヒンターコプフ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・オーベルアッカー
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シュタイナー
【テーマコード(参考)】
2H113
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA05
2H113BA00
2H113BB10
2H113BB24
2H113BB33
2H113CA25
2H113EA02
2H113FA06
2H113FA23
2H113FA29
2H113FA44
4D075AA01
4D075AC06
4D075AC41
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4D075BB18X
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4F041AA03
4F041AB01
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4F042DF07
4F042DF09
4F042DF18
4F042DF29
4F042DF32
(57)【要約】
【課題】実際の基本条件に鑑みて、既に成形が完了した金属容器にも使用できる金属容器に印刷を行う方法を提供する。
【解決手段】金属容器11への印刷法において、以下のステップ、特に充填が完了した金属ボトルとして構成された金属容器を50℃から250℃の範囲にある前処理温度へ加温する、ステップと、金属容器を100℃未満の温度へと冷やす、ステップと、金属容器の外側表面に形成された印刷域32の表面エネルギを増加させるために印刷域を局所的に活性化する、及び/又は30℃から70℃の範囲にある印刷温度へ印刷域を局所的に加温する、ステップと、印刷法を用いて印刷域に印刷を行う、ステップと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属容器(11)への印刷法において、以下のステップ、
特に充填が完了した金属ボトルとして構成された金属容器(11)を50℃から250℃の範囲にある前処理温度へ加温する、ステップと、
金属容器(11)を100℃未満の温度へと冷やす、ステップと、
金属容器(11)の外側表面に形成された印刷域(32)の表面エネルギを増加させるために印刷域(32)を局所的に活性化する、及び/又は30℃から70℃の範囲にある印刷温度へ印刷域(32)を局所的に加温する、ステップと、
印刷法を用いて印刷域(32)に印刷を行う、ステップと、
を備える、印刷法。
【請求項2】
金属容器(11)を前処理温度へ加温するステップによって、金属容器(11)の、少なくとも部分的な塑性変形を実行するために行われた、金属容器(11)の外側表面に塗布された潤滑剤層、特にワックス層又は鉱油層の位置分布の変更を行うことを特徴とする、請求項1に記載の印刷法。
【請求項3】
金属容器(11)に、塑性変形工程を実行する前に、ベース塗料を設けることを特徴とする、請求項2に記載の印刷法。
【請求項4】
非接触式のインクジェット印刷法を用いて印刷域(32)に印刷を行うことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の印刷法。
【請求項5】
印刷法を実行した後で、印刷域(32)に被覆を設けることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷法。
【請求項6】
非接触式のデジタル印刷法を用いて、特に専ら印刷域(32)において、金属容器(11)に被覆を塗布することを特徴とする、請求項5に記載の印刷法。
【請求項7】
噴霧法を用いて、金属容器(11)の外側表面に被覆を塗布することを特徴とする、請求項5に記載の印刷法。
【請求項8】
少なくとも60秒、好ましくは120秒、特に少なくとも240秒の保持期間で、前処理温度への金属容器(11)の加温を行うことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の印刷法。
【請求項9】
前処理室(3)で行われる前処理温度へ加温するステップの後の、金属容器(11)を冷やすステップを、搬送装置(2)を用いた、前処理室(3)から、印刷域(32)への印刷を行う印刷機(4)への搬送によって行うことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の印刷法。
【請求項10】
印刷域(32)の局所的な活性化を、コロナ処理、プラズマ処理、ガス炎、赤外線放射の群のうちの活性化法を用いて行うことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の印刷法。
【請求項11】
印刷域(32)の加温が、活性化と共に行われる、特に活性化の結果として得られることを特徴とする、請求項10に記載の印刷法。
【請求項12】
金属容器(11)を、印刷域(32)に印刷を行うために、底領域(33)で把持し、固定することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の印刷法。
【請求項13】
特に請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実施するための、金属容器(11)に印刷を行う装置(1)において、
金属容器(11)を搬送路(45、46、47、48、49)に沿って搬送する搬送装置(2)と、
搬送路(45、46、47、48、49)に沿って配置された前処理室(3)であって、金属容器(11)を、50℃から250℃の範囲にある前処理温度へ加温するように構成されている、前処理室(3)と、
前処理室(3)の下流で搬送路(45、46、47、48、49)に配置された印刷機(4)であって、金属容器(11)の印刷域(32)の活性化装置(16)と、印刷域(32)に印刷を行うための、特にデジタル印刷装置として構成された印刷装置(25)とを有する、印刷機(4)と、
を備える、装置。
【請求項14】
活性化装置(16)は、コロナ処理、プラズマ処理、ガス炎、赤外線放射の群のうちの活性化法を実行するように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前処理室(3)は、連続炉として構成されている、及び/又は
印刷機(4)は、機械フレームに回転運動可能に支持された工作物回転台(7)を有し、工作物回転台(7)に、それぞれ金属容器(11)を被せるように構成された複数の保持心棒が配置されていて、又は工作物回転台(7)に、それぞれ金属容器(11)の底領域(33)を把持するように構成された複数の把持手段(8)が配置されていて、活性化装置(16)と印刷装置(16)とは、保持心棒又は把持手段(8)によって設定された円弧状の搬送区間(47)に沿って配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属容器への印刷法及び金属容器に印刷を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような印刷法及び方法を実施するように構成された装置は、例えば飲料缶及びエアゾール缶の大量生産の分野で用いられる。これについては、用途に応じて、接触による又は非接触式の印刷法が用いられる。多くの場合、金属容器の外側表面の印刷は、依然として、金属容器が円筒形の外側表面を有する金属容器素材として存在する時点で行われ、印刷後に実行されるべき変形法において初めて塑性変形によって所望の幾何学形状へと変形される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、実際の基本条件に鑑みて、既に成形が完了した金属容器にも使用できる、金属容器に印刷を行う方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、以下の、特に充填が完了した金属ボトルとして構成された金属容器を50℃から250℃の範囲にある前処理温度へ加温する、ステップと、金属容器を100℃未満の温度へと冷やす、ステップと、金属容器の外側表面に形成された印刷域の表面エネルギを増加させるために印刷域を局所的に活性化する、及び/又は30℃から70℃の範囲にある印刷温度へ印刷域を局所的に加温する、ステップと、印刷法を用いて印刷域に印刷を行う、ステップと、を有する印刷法において解決される。
【0005】
この印刷法によって、事前に行われた処理プロセスに基づいて、外側表面が僅かな表面エネルギひいては印刷インキの僅かな付着傾向を有する金属容器にも印刷を行える。というのも、本発明に係る方法の実施によって、それぞれの金属容器の外側表面の表面エネルギの増加がもたらされるからである。この場合、金属容器の外側表面にとって有利な基本状況をもたらすために、金属容器を、まず50℃から250℃の範囲の前処理温度へ加温することが極めて重要である。
【0006】
好適には、60℃から130℃の範囲で前処理温度を選択し、これにより、印刷が行われるべき表面の効率的な処理と、既に金属容器に塗布された被覆、つまり典型的には内側塗料及びベース塗料にとってできるだけ僅かな熱負荷との間の有利な妥協が得られることが想定されている。
【0007】
100℃未満の温度へ金属容器を冷やした後で、好ましくは、時間的に印刷工程が実行される直前に、印刷域の局所的な活性化及び/又は印刷域の局所的な加温が行われる。
【0008】
その際、適切な活性化法による印刷域の活性化は、印刷域の表面エネルギの増加を明確な目標としている。したがって、そのために局所的に有効な活性化法が用いられる。
【0009】
印刷域の局所的な加温は、特に、金属容器の外側表面に塗布される印刷インキのインキ流れを改善するのに役立ち、一方、その際、金属容器の表面エネルギの変化は、それほど重要ではない。好ましくは、印刷域の加温は、印刷工程の実行直前に行われ、その際、印刷にとって有利な温度範囲は、40℃から60℃の範囲に落ち着かせられる。
【0010】
本発明の有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0011】
有利には、金属容器を前処理温度へ加温するステップによって、金属容器の、少なくとも部分的な塑性変形を実行するためにもたらされた、金属容器の外側表面に塗布された又は分配された潤滑剤層、特にワックス層又は鉱油層の位置分布が変化される。原則的に、最終的な構造及び幾何学形状に関して少なくともほぼ完全に、特に完全に仕上がっていて、したがって少なくとも更なる大幅な塑性変形をもはや要しない金属容器に、特に事前に行われた変形プロセスの範囲で、潤滑剤層が設けられていることが想定されている。この潤滑剤層は、その都度の塑性変形工程を実行するのに必要であり、特に金属容器の大量生産に際して、経済的で技術的に有利な形では金属容器の外側表面から除去できない。
【0012】
したがって、金属容器を前処理温度へ加温する目的の設定は、潤滑剤の、特に印刷域における位置分布の変化にある。例えば、潤滑剤層の層厚の均一化が目標とされるので、特に印刷域において、潤滑層の本質的な層厚の差は存在しない。この種の層厚の差は、結果として、印刷インキの局所的に異なる付着及び/又は印刷インキの異なる色効果をもたらし、したがって、印刷工程の品質が問題となる。
【0013】
代替的に、潤滑剤の位置分布の変化の範囲内で、潤滑剤の局所的な集中、好ましくは微視的に小さな潤滑剤滴が得られることが想定されてよい。この場合、極めて小さく微細に分布された潤滑剤滴間の面領域は、少なくとも大体において、特に全く潤滑剤を含まず、潤滑剤滴の分布及び大きさは、的確な処理温度の選択によって、印刷領域に設けられる印刷像に裸眼で認識可能な障害がほんの僅かしか生じない、特に生じないように、調整できることが想定される。
【0014】
必要であれば、加温によって、潤滑剤の少なくとも部分的な蒸発が得られるので、このようにして、潤滑剤の位置分布の変化を達成できる。
【0015】
例えば、金属容器が飲料缶素材として構成されているとき、後で蓋を縁曲げするために使用される領域において、又は金属容器が飲料ボトルとして構成されているとき、先細りの首領域において、潤滑剤の大きな層厚が想定されている。というのも、そこでは、潤滑剤によって補助されるべき塑性変形が行われているからである。これに対して、典型的には印刷域も含む、その領域に隣接する容器領域では、潤滑剤層のより僅かな層厚が想定されていて、この場合、容器領域の潤滑剤層は、能動的な潤滑剤塗布によってではなく、むしろ金属容器の変形域から到来する潤滑剤の連行によってもたらされ、したがって、潤滑剤層の層厚に関して著しい不均一性が生じ得る。
【0016】
方法の別の一形態では、金属容器に、塑性変形工程を実行する前に、ベース塗料を設けることが想定されている。ベース塗料とは、一方では金属容器を周囲環境の影響に対して保護するために、他方では変形工程のときに使用される変形工具に関して、特に金属容器の摩擦特性に関して、塑性変形工程を実行するときに金属容器にとって有利な表面特性をもたらすために、金属容器に塗布される被覆である。多くの用途で、ベース塗料は、金属容器の仕上げ前の最後の被覆として塗布され、したがって、金属容器の外側表面の特性を大部分決定する被覆でもある。通常、ベース塗料は、高い耐摩耗性と高い耐傷性と化学物質に対する高い耐性とを有し、装飾要素としても使用できる。ベース塗料を有する金属容器に、チューブ状の上塗り塗膜を設けることも想定されてよく、上塗り塗膜は、金属容器に被着され、次いで収縮され、その際、金属容器の印刷とは違い、例えば不良の再利用性などの所望されない二次効果が生じる。
【0017】
好適には、非接触式のインクジェット印刷法を用いて印刷域に印刷を行うことが想定されている。この印刷法は、デジタル印刷法とも称され、各金属容器に対して固定の所定の印刷像を有する刷版とは異なり、個別の印刷像の印刷が可能である。したがって、インクジェット印刷法は、高度にカスタマイズされた少量のバッチに対して特に重要であるが、しかし、使用される印刷インキと印刷インキの調量のための技術的な基本条件とに基づいて、印刷域の表面品質について狭く定められた条件を維持する必要がある。特に充填が完了した金属容器では、通常存在する潤滑剤層に基づいて、これらの条件の維持は困難であるので、方法による前処理及び印刷直前の活性化及び/又は印刷直前の加温は、高品質な印刷にとって基本要件とみなされている。
【0018】
方法の別の形態では、印刷法を実行した後で、印刷域に被覆を設けることが想定されている。この被覆は、特に、印刷域に塗布された印刷像の機械的な保護に用いられる。さらに、少なくとも印刷域に塗布される被覆は、周囲環境による影響に対する、例えば湿気に対する印刷像の保護も保証する。
【0019】
有利には、非接触式のデジタル印刷法を用いて、特に専ら印刷域において、金属容器に被覆を塗布する。このような被覆は、スポット塗装とも称され、好ましくは、印刷域への印刷像の塗布も行う同一のデジタル印刷機で行える。ただし、被覆の層厚は、デジタル印刷法を用いるときには制限されているので、この被覆方式は、好適には、使用されるまでは比較的大きな機械的な及び/又は化学的な影響にさらされない金属容器において考慮の対象となる。
【0020】
代替的な方法手順では、噴霧法を用いて、金属容器の外側表面に被覆を塗布することが想定されている。金属容器へのこの被覆の塗布は、好ましくは、印刷像を印刷域に塗布するデジタル印刷機から離れて行われる。噴霧法を実行するための別個の噴霧装置の使用は、使用されるまで粗い使用条件のもとで貯蔵及び輸送される金属容器にとって有利である。というのも、層の比較的大きな層厚に基づいて、金属容器の外側表面のより堅固な保護を保証できるからである。
【0021】
好適には、少なくとも60秒、好ましくは少なくとも120秒、特に少なくとも240秒の保持期間で、前処理温度への金属容器の加温を行うことが想定されている。この場合、保持期間とは、金属容器が確実に50℃から250℃の範囲にある所望の目標温度を実際でも有する期間と解される。保持期間は、金属容器の大きさ及び幾何学形状並びに使用される潤滑剤、例えばワックス又は鉱油の種類及び量に依存する。さらに、前処理が、連続的な方法で、例えば連続炉で行われるのか、又はバッチ方式で、すなわち常に同時に加温されるべき所定数の金属容器ごとに行われるのか考慮しなければならない。
【0022】
好適には、前処理室で行われる前処理温度へ加温するステップの後の、金属容器を冷やすステップを、搬送装置を用いた、前処理室から、印刷域への印刷を行う印刷機への搬送によって行うことが想定されている。この場合、金属容器は、前処理室から離反した後で所定の搬送区間を進まなければならず、その後で、金属容器は、搬送路に沿って前処理室の下流に配置された印刷機に提供でき、この搬送区間は、金属容器の所望の冷却が達成できるように構成されていることが想定される。この場合、金属容器によって吸収される熱の放出が想定され、必要であれば、金属容器の冷却をもたらすために、追加の冷却装置、例えば送風機を設けてもよい。
【0023】
方法の一発展形態では、印刷域の局所的な活性化を、コロナ処理、プラズマ処理、ガス炎、赤外線放射の群のうちの活性化法を用いて行うことが想定されている。コロナ処理では、電極と対向電極として用いられる金属容器との間の電荷の移動は、交流電界において、非導電性の気体、例えば周囲空気のイオン化によって行われる。プラズマ処理では、電極と対向電極として用いられる金属容器との間の電荷の移動は、導電性の気体の交流電界において行われる。印刷域を局所的に活性化するためにガス火炎を使用するとき、燃料ガス及び/又は酸素比率の適切な選択によって活性化結果に影響を及ぼせる。赤外線放射は、選択的に、赤外線ガスバーナ又は電動式の赤外線源の使用によって達成できる。
【0024】
方法の別の形態では、印刷域の加温が、活性化と共に行われる、特に活性化の結果として得られることが想定されている。例えば、印刷域を局所的に活性化するためにガス炎を使用するとき、裸火による酸化作用に加えて、燃料ガスの燃焼プロセスに基づく印刷域の加温が必然的に生じる。
【0025】
有利には、金属容器を、印刷域に印刷を行うために、容器開口でもって、保持心棒に被せる、又は底領域で把持し、固定する。保持心棒に金属容器を被せることは、例えば飲料缶で該当するように、容器開口の横断面がこれに続く容器の横断面に対して同じ大きさである又は僅かに小さいときに有利である。底部領域における金属容器の把持及び固定は、金属容器が細いボトル首を具備する典型的なボトル形状を有するときに有利であり、把持具と金属容器との間の大きな接触面積を実現可能にし、したがって、印刷工程を実行するのに必要であるような、ボトル形状に形成された金属容器の安定した正確な固定を可能にする。これに対して、底面積よりも著しく小さな横断面を有する首領域で、例えば飲料ボトルであってよい金属容器を把持することによって、ボトル形状に形成された金属容器の固定に誤りが起こりやすくなる。ボトル形状に形成された金属容器の把持及び固定は、金属容器と把持具との間の力接続によって、及び/又は把持具により金属容器の底領域に真空を加えることによって保証できる。
【0026】
本発明の課題は、第2の観点によれば、金属容器に印刷を行う装置によって解決される。この場合、装置は、金属容器を搬送路に沿って搬送する搬送装置と、搬送路に沿って配置された前処理室であって、金属容器を、50℃から250℃の範囲にある前処理温度へ加温するように構成されている、前処理室と、前処理室の下流で搬送路に配置された印刷機であって、金属容器の印刷域の活性化装置と、印刷域に印刷を行うための、特にデジタル印刷装置として構成された印刷装置とを有する、印刷機と、を備える。
【0027】
搬送装置は、例えば保持ロッドを有する搬送チェン、真空シェルを有する搬入ホイール、搬送ベルト、ガイドレール、保持心棒を有するリボルバヘッドなどの様々な搬送手段を有してよい。搬送装置は、金属容器を、前処理室の上流に配置された、金属容器用の搬入ステーションから、印刷機の下流に配置された搬出ステーションまで搬送するのに用いられる。搬送装置は、多数の金属容器がその上に収容されるパレットを操作するように構成されてもよい。さらに、この場合、搬送装置は、後に続く直線状の搬送のために、パレット上に収容された金属容器を個別化するように構成されることが想定されてよい。
【0028】
前処理室は、例えば、金属容器をバッチ式に前処理するための閉鎖炉として構成されてよい。この場合、搬送装置は、パレット上に供給された金属容器をまず前処理室内に供給し、前処理の実行後に、再び前処理室から導出して、これにより、これに続いて金属容器を個別化して印刷機へ向けて直線状に後続搬送することが想定されてよい。代替的に、前処理室は、搬送装置が貫通する連続炉として構成されてよいので、金属容器は、連続する列として、炉区間を通走できる。
【0029】
装置の一発展形態では、活性化装置は、コロナ処理、プラズマ処理、ガス炎、赤外線放射の群のうちの活性化法を実行するように構成されていることが想定されている。
【0030】
本発明の別の一形態では、前処理室は、連続炉として構成されている、及び/又は印刷機は、機械フレームに回転運動自在に支持された工作物回転台を有し、工作物回転台に、それぞれ金属容器を被せるように構成された複数の保持心棒が配置されていて、又は工作物回転台に、それぞれ金属容器の底領域を把持するように構成された複数の把持手段が配置されていて、活性化装置と印刷装置とは、保持心棒又は把持手段によって設定された円弧状の搬送区間に沿って配置されていることが想定されている。
【0031】
金属容器の前処理に連続炉を使用する場合、金属容器が、既に連続炉を通過するとき、そしてこれに続いて印刷機まで後続搬送されるときも、隣り合う金属容器に対してそれぞれ間隔を置いて搬送されると有利であり、これにより、外側表面に塗布された潤滑剤層について動かされるべきである前処理の均一化作用は、隣り合う金属容器間の不確定の機械的な接触によって再び問題となることはない。
【0032】
特にデジタル印刷機として構成された印刷機は、機械フレームに回転自在に支持された工作物回転台を有し、工作物回転台は、駆動装置に連結されていて、駆動装置は、工作物回転台に回転ステップ運動を提供するように構成されている。工作物回転台の外周面に又は外周の領域に、規則的な角度分布で、保持心棒又は把持手段が配置されている。保持心棒又は把持手段は、それぞれ、金属容器を被せるため又は金属容器の底領域を把持するように構成されている。
【0033】
好ましくは、保持心棒又は把持手段は、工作物回転台に保持される金属容器の中心軸線が半径方向に向けられている又は工作物回転台の回転軸線に対して平行に向けられているように、工作物回転台に整列されている。工作物回転台の回転ステップ運動によって、保持心棒又は把持手段と、保持心棒又は把持手段に保持された金属容器とは、円弧状の搬送区間上を搬送される。印刷機は、複数の作業ステーションを有し、作業ステーションのうち少なくとも1つが印刷装置として、特にデジタル印刷装置として構成されていて、保持心棒又は把持手段と、保持心棒又は把持手段に保持された金属容器とに関して、作業ステーションによる金属容器の各々の外側表面の加工が可能になるように配置されている。好ましくは、把持手段は、金属容器に力接続式に及び/又は真空に基づいて把持力を伝達するように構成されていることが想定されている。
【0034】
本発明の有利な一実施形態が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】搬送装置と前処理室と印刷機とを有し、金属容器に印刷を行うように構成された加工装置を大幅に簡略化した図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に示された加工装置1は、金属容器11に印刷を行うために設けられている。加工装置1は、単なる例として、円筒形の容器部分30と容器部分30から出発して先細りに形成されたボトル首31とを有する金属ボトルとして実現されている。加工装置1は、容器部分30に設けられた、単なる例として矩形に形成された印刷域32に印刷を行うために用いられ、この場合、金属容器11は、その構造及び幾何学形状に関して、少なくとも実質的に充填が完了していることが想定される。実地において、その意味するところによれば、金属容器11は、再び印刷の過程で、また印刷後にも、更に別の塑性変形にさらされる。さらに、多くの場合、直接金属容器11に実施されるべき変形工程は、既に加工装置1への供給前に行われている。場合によっては、金属容器11に印刷が行われた後で、金属容器11が充填装置へと運ばれた後で、そして例えば清涼飲料の充填が行われた後で、例えば王冠などの栓が、ボトル首31の開いた端部領域に取り付けられることが想定されてよい。これにより、さらに金属容器11の僅かな塑性変形が生じ得るが、しかし、これは、金属容器11の構成の大きな変化をもたらすものではない。
【0037】
さらに、加工装置1及び加工装置1によって実行可能な金属容器11に対する印刷法の後述の記載においては、金属容器11に、塑性変形工程の実行前に既にベース塗料が設けられていて、ベース塗料は、一方では金属容器11の安定化に寄与し、他方では変形工具(変形工具によって金属容器11の塑性変形が行われる)に対する有利な滑り摩擦特性を保証することが想定される。さらに、金属容器11に、特にボトル首31の領域に、図示されていない潤滑剤が塗布されていて、潤滑剤も同様に、金属容器11の変形されるべきボトル首31と図示されていない変形工具との滑り摩擦を低減するために用いられることが想定される。
【0038】
加工装置1は、搬送装置2を有し、搬送装置2によって、搬入位置35から出発して搬出位置36まで金属容器11の搬送を行え、この場合、搬送装置2は、単なる例として第1の搬送ベルト5、搬入ホイール6、搬出ホイール9及び第2の搬送ベルト10などの様々な搬送手段を有する。
【0039】
第1の搬送ベルト5は、単なる例として、周回するチェンベルト40を有し、チェンベルト40の上側ベルト区分41は、部分的に、単なる例として連続炉として構成された前処理室3を通してガイドされていて、これに対してチェンベルト40の下側ベルト区分42は、前処理室3の下方でガイドされている。例えば、金属容器11は、搬入位置35で、図示されていない形で、手動でユーザによって又は自動で産業用ロボット又は他の供給装置によって、間隔を置いて、第1の搬送ベルト5の上側ベルト区分41上に載着されることが想定されている。その際、金属容器11は、各々の金属容器11の底領域33の図示されていない幾何学形状によって決定される、図示されていない、平面状に又は円環状に形成された接触面でもって、第1の搬送ベルト5の上側ベルト区分41上に載置されることが想定されている。
【0040】
例えば、金属容器11は、単一の列内でそれぞれ間隔を置いて、第1の搬送ベルト5上に載着され、第1の搬送ベルト5の搬送運動によって、直線状に形成された第1の搬送路部分45に沿って第1の引渡し位置37まで搬送されることが想定されている。その際、前処理室3の端部と第1の引渡し位置37との間の第1の距離60は、処理室3内の処理温度と金属容器11の幾何学形状と第1の搬送ベルト5の搬送速度とに次のように適合されていて、すなわち、金属容器11が第1の引渡し位置37で冷却されていて、これに続いて印刷機4への金属容器11の供給が行われるとき、印刷機4の機能を損なわない程度の印刷機4への僅かな入熱しか行われないように、適合されている。
【0041】
単なる例として、第1の引渡し位置37で、搬入ホイール6を用いて、金属容器11の取出し工程が実行されることが想定されている。搬入ホイール6は、
図1の描画に従って反時計回り方向に進行する回転運動を行い、ボトル首31で金属容器11を把持する。したがって、金属容器11の底領域33は、解放されていて、搬入ホイール6の隣に配置された工作物回転台7の時計回り方向の回転運動の過程で、各々の把持手段8によって、特に摩擦力及び/又は真空を用いて、工作物回転台7に位置固定できる。これに続いて、把持手段8によって工作物回転台7に位置固定された金属容器11は、
図1の描画に従って時計回り方向に設定された、工作物回転台7の回転ステップ運動の過程で、後で詳説する一連の作業ステーション15から21を通過するようにガイドされる。この場合、作業ステーション15から21は、工作物回転台7の回転ステップ運動と工作物回転台7における把持手段8の配置とに次のように適合されていて、すなわち、金属容器11jが工作物回転台7の運動休止中にそれぞれ作業ステーション15から21に対して正確に対向して配置されるように、適合されている。
【0042】
例えば、第1の作業ステーション15は、光学検査装置として構成されていることが想定されていて、光学検査装置によって、金属容器11が正しく整列されて把持手段8に保持されているか否か検査できる。さらに、第1の作業ステーション15の光学検査装置によって、金属容器11の図示されていない長手方向軸線を中心とする金属容器11の回転位置取りも特定でき、これにより、金属容器11に対する活性化及び印刷工程の実行が印刷域32に対して正しい位置で行える。この場合、各把持手段8は、各々の金属容器11の、中心軸線とも称される回転対称軸線34に対して同軸に向けられた、半径方向に向けられた図示された回転軸線12を中心に回転自在に工作物回転台7に支持されていることが想定される。したがって、第1の作業ステーション15によって光学検査を行うために、金属容器11をそれ自体の回転対称軸線を中心に回転させ、これにより、金属容器11の回転方向の向きを確認できることが想定されてよい。
【0043】
工作物回転台7による回転ステップ運動を実行する過程で、各々の金属容器11は、第1の作業ステーション15から第2の作業ステーション16へ移動するので、金属容器11は、工作物回転台7の後続の運動経過で、第2の作業ステーション16に対向して配置される。第2の作業ステーション16は、活性化ステーションとも称され、コロナ放電、プラズマ放電、ガス炎、赤外線放射の群のうちの活性化法を実行する図示されていない活性化装置を有する。
【0044】
好ましくは、金属容器11へのできるだけ僅かなエネルギ導入量で、印刷域32の可能な限り最大の活性化結果を得るために、印刷域32が、図示されていない活性化装置に可能な限り正確に対向して整列されることが想定されている。活性化法の選択及び各々の活性化装置の構成に応じて、金属容器11を、活性化の実行中に一定の回転位置で保持する又は少なくとも所定の角度の値だけ回転させることが想定されてよい。
【0045】
次の3つの回転ステップ運動の過程で、金属容器11は、第3の作業ステーション17、第4の作業ステーション18及び第5の作業ステーション19に対向して配置される。これらの作業ステーションは、それぞれ、図示されていない1つ又は複数のデジタル印刷ヘッドを有し、デジタル印刷ヘッドは、これらが共通してデジタル印刷装置25を形成する。これらの作業ステーション17から19の各々で、金属容器11の印刷域32においてインキ塗布が行われる。例えば、作業ステーション17から19で、それぞれ正確に1種類のインキ、例えばシアン、イエロー、マゼンタが、印刷域32へ吐出され、これにより、金属容器11の多色の印刷像が実現されることが想定されている。デジタル印刷装置25の構成に応じて、デジタル印刷装置25は、より少数の又は更に別の、印刷ヘッドを具備する作業ステーションを有してよい。
【0046】
作業ステーション17から19で印刷域32への印刷が行われた後で、単なる例として、印刷域32に被覆を設けることが想定されている。被覆は、一方では生成された印刷像の機械的な保護を保証し、他方では攻撃的な媒体、例えば液体に対する印刷像の保護を保証する。例えば、第6の作業ステーション20は、インクジェット印刷法で被覆を非接触式に塗布するように構成されていて、したがって同様に、図示されていない1つ又は複数の印刷ヘッドを有する。
【0047】
工作物回転台7の更なる回転ステップ運動の過程で、金属容器11は、第7の作業ステーション21に至る。第7の作業ステーション21は、単なる例として、事前に行われる印刷ステップで塗布された印刷インキを後から付加的に硬化するために設けられていて、この場合、デジタル印刷装置25の作業ステーション17から19は、場合により、それぞれ作業ステーション17から19で塗布された印刷インキを硬化するための、図示されていない放射源を装着してもよい。
【0048】
工作物回転台7が更に回転ステップ運動すると、各々の金属容器11は、搬出位置36に至り、搬出位置36では、搬出ホイール9が、各々の金属容器11をボトル首31で把持でき、これにより、金属容器11は、把持手段8から取り外され、第2の搬送ベルト10上に設置される。
【0049】
搬入ホイール6、工作物回転台7及び搬出ホイール9の使用に基づいて、円セグメント状の第2の搬送路部分46、円セグメント状の第3の搬送路部分47及び円セグメント状の第4の搬送路部分48が生成され、第4の搬送路部分48に、第2の搬送ベルト10によって設定される直線状の第5の搬送路部分49が接続する。もちろん、搬送装置2の、前述の構成要素に代えて、他の構成要素を使用してもよく、これにより、金属容器11の別の搬送経路44を設定できる。
【0050】
金属容器11への印刷法の実行は、加工装置1との関連において以下のように説明できる。
【0051】
第1のステップで、好ましくは充填が完了しているように構成された金属容器11が、箱又はパレットから、手動で又は図示されていない自動の操作装置、特に産業用ロボットによって、搬入位置35で、第1の搬送ベルト5の上側ベルト区分41上へ設置されるので、金属容器11は、既に上側ベルト区分41上に載置された他の金属容器11と共に一直線上に整列されている。
【0052】
第1の搬送路部分45に沿った第1の搬送ベルト5の搬送運動によって、金属容器11は、前処理室3を通して搬送され、そこで、100℃から250℃の範囲にある所定の前処理温度へと加温される。その際、前処理室3内の温度経過、第1の搬送ベルト5の搬送速度及び前処理室3の長さは、金属容器11の特性に合わせて、金属容器11が保持期間とも称される所定の期間にわたって前処理温度にさらされていて、これにより、潤滑剤層の所望の均一化が得られるように、調整されている。
【0053】
前処理室3から離反した後で、金属容器11の、少なくとも大体において受動的な冷却が行われ、その際、金属容器11は、第1の引渡し位置37で、後続の印刷機4への過剰な入熱が回避される温度を有する。金属容器11が第1の搬送ベルト5の上側ベルト区分10から取り出され、工作物回転台7の把持手段8に金属容器11が供給された後で、金属容器11は、工作物回転台7の回転ステップ運動の過程で、作業ステーション15から21を通過する。その際、まず把持手段8に対向する金属容器11の整列のコントロールが行われ、これに続いて、金属容器11の印刷域32の活性化が実行され、次いで、デジタル印刷法で印刷域32の印刷及び後続の被覆を行える。最後に、金属容器11は、第7で最後の作業ステーション21を通過し、第7の作業ステーション21では、事前に塗布されたインキ層の最終的な硬化が行われる。後続のステップで、第2の引渡し位置38で、搬出ホイール9への金属容器11の引渡しが行われ、搬出ホイール9は、金属容器11を、これに続いて、第2搬送ベルト10上へ設置する。第2の搬送ベルト10は、金属容器11を、図示されていない搬出位置36へ移動させ、搬出位置36では、例えば、第2の搬送ベルト10から、そのときには完成した金属容器を手動で又は自動で取り出し、金属容器11を、図示されていない輸送用箱の中に又は図示されていないパレットの上に装填できる。
【外国語明細書】