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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029298
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 23/02 20060101AFI20230224BHJP
   F02B 25/04 20060101ALI20230224BHJP
   F02B 43/04 20060101ALI20230224BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
F02B23/02 L
F02B25/04
F02B23/02 C
F02B23/02 M
F02B43/04
F02M21/02 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022130318
(22)【出願日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】PA 2021 70417
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】519441006
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ、フィリアル・エフ・マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー、ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】カー・ムン・パン
【テーマコード(参考)】
3G023
【Fターム(参考)】
3G023AA07
3G023AB05
3G023AB09
3G023AC05
3G023AC07
3G023AD14
3G023AF02
3G023AF03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少なくとも1つのシリンダ、シリンダカバー、ピストン、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システム、及び掃気システムを備える2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関を開示する。
【解決手段】燃料ガス供給システムは、シリンダに対する、燃料ガスノズルを介して、圧縮ストロークの間、燃料ガスがピストンとシリンダカバーとの間に規定された主燃焼チャンバに入るように構成された第1の燃料ガス弁を備えている。第1の燃料ガス弁は、シリンダカバー中に少なくとも部分的に配置され、第1の燃料ガス弁のノズルは、第1のノズル軸に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有し、第1のノズル軸は、軸方向に対して角をなしている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダ、シリンダカバー、ピストン、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システム、および掃気システムを備える2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関であって、
前記シリンダは、シリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは、前記シリンダの上端に配置され、排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間に中央軸に沿って前記シリンダ内に移動可能に配置され、前記掃気システムは、前記シリンダの底に配置された掃気入口を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダに対する、燃料ガスを前記掃気入口からの掃気と混合することを可能にし、点火される前に掃気と燃料ガスの混合を圧縮することを可能にする燃料ガスノズルを介して、圧縮ストロークの間、燃料ガスが前記ピストンと前記シリンダカバーとの間に規定された主燃焼チャンバに入るように構成された第1の燃料ガス弁を備え、
前記第1の燃料ガス弁は、前記シリンダカバー中に少なくとも部分的に配置され、前記第1の燃料ガス弁のノズルは、第1のノズル軸に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有し、前記第1のノズル軸は、軸方向に対して角をなすことを特徴とする、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項2】
前記シリンダは、前記中央軸に沿って伸長する基準面によって分けられた第1の部分と第2の部分を有し、前記第1の燃料ガス弁のノズルの少なくとも一部分は、前記シリンダの第1の部分の上の前記シリンダカバー中に配置され、前記第1のノズル軸は、前記シリンダの第1の部分に伸長する上部と前記シリンダの第2の部分に伸長する下部を有する、請求項1に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項3】
前記下死点のピストンは、前記第1のノズル軸の上部と下部の両方の下に配置され、前記上死点のピストンは、前記第1のノズル軸の下部全体の上に配置され、前記第1の燃料ガス弁は、前記ピストンが前記第1のノズル軸の下部全体の上にある前の前記圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている、請求項2に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項4】
前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダに対して、燃料ガスノズルを有する第2の燃料ガス弁を備え、前記第2の燃料ガス弁は、前記シリンダカバー中に少なくとも部分的に配置され、前記第2の燃料ガス弁のノズルは、第2のノズル軸に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有し、前記第2のノズル軸は、軸方向に対して角をなす、請求項2又は3に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項5】
前記第2の燃料ガス弁のノズルの少なくとも一部分は、前記シリンダの第2の部分の上のシリンダカバー中に配置され、前記第2のノズル軸は、前記シリンダの第2の部分に伸長する上部と、前記シリンダの第1の部分に伸長する下部とを有する、請求項4に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項6】
前記下死点におけるピストンは、前記第2のノズル軸の上部と下部の両方の下に配置され、前記上死点におけるピストンは、前記第2のノズル軸の下部全体の上に配置され、前記第2の燃料ガス弁は、前記ピストンが前記第2のノズル軸の下部全体の上にある前の前記圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている、請求項5に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項7】
前記第1のノズル軸は、前記第2のノズル軸と交差する、請求項6に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項8】
前記第1の燃料ガス弁は、前記排気弁を閉じる前に燃料ガスの噴射を開始するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項9】
前記機関は、Xmmのストロークを有し、前記第1の燃料ガス弁のノズルの第1のノズル開口は、Yの直径を有し、YはXの1%から4%の間である、請求項8に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項10】
下死点から95度前、90度前又は85度前に、前記第1の燃料ガス弁は、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている、請求項8又は9に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項11】
前記第1の燃料ガス弁のノズルは、前記主燃焼チャンバに突出し、前記第1の燃料ガス弁は、前記排気弁が閉じられる前に燃料ガスの噴射を開始するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項12】
前記排気弁は、弁板を有し、前記弁板は、閉鎖位置と開放位置との間を中央軸に沿って移動可能であり、排気弁板は、前記閉鎖位置の第1の高さにおいて、及び前記開放位置の第2の高さにおいて配置され、前記第1の高さは、前記第2の高さよりも高く、前記ノズルの遠位端は、前記第2の高さより下に配置されている、請求項11に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項13】
前記排気弁は弁板を有し、前記弁板は閉鎖位置と開放位置との間を排気弁軸に沿って移動可能であり、前記第1のノズル開口の中心は前記中央軸への第1の距離で配置され、前記排気弁の弁板の中心は、前記中央軸への第2の距離で配置され、前記第2の距離は前記第1の距離よりも長い、請求項1から11のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項14】
前記第1の燃料ガス弁は、噴射期間の間燃料ガスを噴射するように構成され、前記噴射期間は、クランク角を30度回転させるのにかかる時間よりも短い、請求項1から13のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項15】
前記第1の燃料ガス弁は、第3のノズル軸に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第2のノズル開口を有し、前記第3のノズル軸は、前記軸方向に対して角をなしており、前記第3のノズル軸と前記軸方向との間の角度は、前記第1のノズル軸と前記軸方向との間の角度よりも大きい、請求項1から14のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストローク内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃機関は、コンテナ船、ばら積み貨物船、及びタンカーなどの船舶において推進機関として使用される。内燃機関からの不必要な排ガスの低減は、ますます重要になっている。
【0003】
不必要な排ガスの量を低減するための効果的な方法は、燃料油、例えば重油(HFO)から燃料ガスに切り替えることである。燃料ガスは、圧縮ストロークの最後にシリンダに噴射されてもよく、圧縮されるときにシリンダ中のガスが達成する高温によって、又はパイロット燃料の点火によって、直ちに点火されることができる。しかしながら、圧縮ストロークの最後に燃料ガスをシリンダに噴射することは、シリンダ中の高圧を克服するために、噴射の前に燃料ガスを圧縮するための高圧ガスコンプレッサーを必要とする。
【0004】
しかしながら、高圧ガスコンプレッサーは、製造及び維持するのに高価で複雑である。高圧コンプレッサの必要性を回避するための1つの方法は、シリンダ中の圧力が著しく低い、圧縮ストロークの始めに燃料ガスを噴射するように構成されている燃料ガス弁を有することである。
【0005】
DK176118Bは、ガスが掃気入口に、又はシリンダ壁を通して直接シリンダに噴射される、このような機関を開示している。
【0006】
WO2013007863は、シリンダ壁を通してガスがシリンダに直接噴射される、このような機関の別の例を開示している。
【0007】
シリンダ中の掃気と燃料ガスとの間の高速で効率的な混合を確実にすることは、難しいかもしれない。
【0008】
燃料ガスと掃気の非均質混合を有することは、燃料ガスの不完全燃焼をもたらすかもしれず、又は早期点火ですらノッキングをもたらす。
【0009】
したがって、シリンダ中で燃料ガス及び掃気の混合を向上させることは問題のままである。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様にしたがうと、本発明は、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関に関し、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、少なくとも1つのシリンダ、シリンダカバー、ピストン、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システム、及び掃気システムを備え、シリンダは、シリンダ壁を有し、シリンダカバーは、シリンダの上端に配置され、排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間に中央軸に沿ってシリンダ内に移動可能に配置され、掃気システムは、シリンダの底に配置された掃気入口を有し、燃料ガス供給システムは、シリンダに対する、燃料ガスを掃気入口からの掃気と混合することを可能にし、点火される前に掃気と燃料ガスの混合を圧縮することを可能にする燃料ガスノズルを介して、圧縮ストロークの間、燃料ガスがピストンとシリンダカバーとの間に規定された主燃焼チャンバに入るように構成された第1の燃料ガス弁を備え、第1の燃料ガス弁は、シリンダカバー中に少なくとも部分的に配置され、第1の燃料ガス弁のノズルは、第1のノズル軸に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有し、第1のノズル軸は、軸方向に対して角をなしている。
【0011】
結果として、燃料ガス弁をシリンダカバー中に配置し、燃料ガスノズルを軸方向に対して角をなすことにより、結果として生じる燃料ガス噴流は、シリンダ壁の大部分と衝突し、燃料ガスと掃気の均質な混合をもたらす。
【0012】
内燃機関は、好ましくは、シリンダ毎に少なくとも400kWの動力を有する船舶を推進するためのユニフロー掃気を有する、大型低速ターボチャージ付きの2ストローククロスヘッド内燃機関である。内燃機関は、内燃機関によって発生した排気ガスによって駆動され、掃気を圧縮するように構成されているターボチャージャーを備えていてもよい。内燃機関は、燃料ガスを燃料とするときにオットーサイクルモードを、代替燃料、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油を燃料とするときにディーゼルサイクルモードを有する二系統燃料機関であってもよい。このような二系統燃料機関は、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用燃料供給システムを有しており、この燃料供給システムは、燃料ガスと掃気の混合を点火するためのオットーサイクルモードで動作するとき、パイロット燃料の噴射のためにも使用されてもよい。
【0013】
内燃機関は、パイロット燃料の必要な量だけを使用するように燃料ガスと掃気の混合のちょうどの量を点火できる正確に測定された少量のパイロット燃料、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油を噴射可能なパイロット燃料システムのような専用点火システムを備えていてもよい。このようなパイロット燃料システムは、サイズがより小さく、代替燃料に対する専用燃料供給システムと比較して、パイロット燃料の正確な量を噴射するのにより適しており、これは、コンポーネントの大きなサイズがこの目的に適していないことによる。
【0014】
パイロット燃料は、内燃機関の燃焼チャンバに流体的に接続されている予熱チャンバで噴射されてもよい。代替的に、燃料ガスと掃気の混合は、スパークプラグ又はレーザーイグナイターを備える手段によって点火されてもよい。各シリンダには、シリンダの底に1つ以上の掃気入口が、シリンダの上端に排気口が設けられてもよい。
【0015】
燃料ガス供給システムは、好ましくは、ソニック状態下で、すなわち、速度が音のスピードの等しい、すなわち、一定の速度で、1つ以上の燃料ガス弁を介して燃料ガスを噴射するように構成されている。ソニック状態は、ノズルのど(断面の最少エリア)にわたる圧力低下比がおおよそ2よりも大きいときに達成されてもよい。
【0016】
中央軸は、軸方向に伸長する。第1の燃料ガス弁全体は、シリンダカバー中に配置されてもよい。代替的に、第1の燃料ガス弁の一部のみがシリンダカバー中に配置されてもよく、例えば、ノズルは、シリンダカバー中に配置されてもよく、残りの燃料ガス弁の一部は、シリンダカバーの外側に配置されてもよい。しかしながら、燃料ガスノズルの一部は、シリンダカバーの外側にも配置されてもよく、例えば、燃料ガスノズルの最遠位端は以下でさらに説明するように主燃焼チャンバに突出してもよい。第1の燃料ガス弁のノズルは、第1のノズル軸に沿って伸長する遠位部を有していてもよく、例えば、遠位部は、第1のノズル軸が中心に配置された管形状を有していてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のノズル軸と軸方向との間の角度は、5度から50度の間、10度から40度の間、又は15度から30度の間である。
【0018】
燃料ガスの例は天然ガス、メタン、エタン、液化石油ガス、及びアンモニアである。
【0019】
いくつかの実施形態では、シリンダは、中央軸に沿って伸長する基準面によって割けられた第1の部分と第2の部分とを有し、第1の燃料ガス弁のノズルの少なくとも一部分は、シリンダの第1の部分の上のシリンダカバー中に配置され、第1のノズル軸は、シリンダの第1の部分に伸長する上部とシリンダの第2の部分に伸長する下部を有する。
【0020】
結果として、シリンダの第1の部分の上に配置され、シリンダの第2の部分に向けて燃料ガスを噴射するように構成された第1の燃料ガス弁を有することにより、結果として生じる燃料ガスの噴流は、主燃焼チャンバを通した燃料ガスの分配に役立つことができる高径方向運動でシリンダ壁に衝突する。
【0021】
シリンダの第1の部分と第2の部分は、等しいサイズを有することができる。第1のノズル軸は、動径コンポーネントと軸方向コンポーネントを有しており、基準面は、第1のノズル軸の動径コンポーネントに垂直に配置されている。第1のノズル軸は、任意選択で、接続コンポーネントも有していてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、下死点のピストンは、第1のノズル軸の上部と下部の両方の下に配置され、上死点のピストンは、第1のノズル軸の下部全体の上に配置され、第1の燃料ガス弁は、ピストンが第1のノズル軸の下部全体の上にある前の圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。
【0023】
それゆえに、結果として生じる燃料ガスの噴流は、シリンダ壁のその部分へのアクセスを防ぐ圧縮ストロークの間、ピストンの移動の前に、シリンダ壁に衝突することができる。
【0024】
第1の燃料ガス弁は、ピストンが第1のノズル軸の下部に達する前の圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成されてもよい。第1の燃料ガス弁は、噴射期間の間、燃料ガスを噴射してもよく、噴射期間は、ピストンが第1のノズル軸の下部全体の上になる前に終了する。
【0025】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、シリンダに対する、燃料ガスノズルを有する第2の燃料ガス弁を備え、第2の燃料ガス弁は、シリンダカバー中に少なくとも部分的に配置され、第2の燃料ガス弁のノズルは、第2のノズル軸に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有し、第2のノズル軸は、軸方向に対して角をなしている。
【0026】
第2の燃料ガス弁は、第1の燃料ガス弁に対応してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2の燃料ガス弁のノズルの少なくとも一部分は、シリンダの第2の部分の上のシリンダカバー中に配置され、第2のノズル軸は、シリンダの第2の部分に伸長する上部と、シリンダの第1の部分に伸長する下部とを有する。
【0028】
結果として、シリンダの第2の部分に向けて燃料ガスを向けるシリンダの第1の部分の上に配置された第1の燃料ガス弁と、シリンダの第1の部分に向けて燃料ガスを向けるシリンダの第2の部分の上に配置された第2の燃料ガス弁を有することにより、燃料ガスと掃気の特に効果的な混合がもたらされる。
【0029】
いくつかの実施形態では、下死点におけるピストンは、第2のノズル軸の上部と下部の両方の下に配置され、上死点におけるピストンは、第2のノズル軸の下部全体の上に配置され、第2の燃料ガス弁は、ピストンが第2のノズル軸の下部全体の上にある前の圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。
【0030】
第2の燃料ガス弁は、ピストンが第2のノズル軸の下部に達する前の圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成されてもよい。第2の燃料ガス弁は、噴射期間の間、燃料ガスを噴射してよく、噴射期間は、ピストンが第2のノズル軸の下部全体の上になる前に終了する。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のノズル軸は第2のノズル軸と交差する。
【0032】
結果として、第1の燃料ガス弁から生じる噴流は、第2の燃料ガス弁から生じる噴流と衝突し、それによって燃料ガスと掃気の向上した混合をもたらす。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、排気弁を閉じる前に燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。
【0034】
燃料ガスノズルから出る燃料ガスが十分に高い運動を有する場合、排気弁を通した燃料ガスのかなりの直接漏れをもたらすことなく、排気弁が閉じるずっと前に燃料ガスの噴射を開始することが可能であることを出願人は発見した。燃料ガスの高運動は、ソニック状態下で、及び大きなスロートを有するノズルを使用することにより、噴射される燃料ガスを確実にすることによって達成されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、機関は、Xmmのストロークを有し、第1の燃料ガス弁のノズルの第1のノズル開口は、Yの直径を有し、YはXの1%から4%の間である。
【0036】
結果として、(大きな直径である)穴サイズの1%から4%の直径を有するノズルを使用することにより、燃料ガスが高運動で噴射されることが確実にされる。
【0037】
いくつかの実施形態では、下死点から95度前、90度前又は85度前に、第1の燃料ガス弁は、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。
【0038】
結果として、噴射を早く開始することにより、燃料ガスを掃気と混合することを可能するより多くの回数が提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、下死点から40度後、50度後、又は60度後に燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。
【0040】
結果として、開排気弁から直接燃料ガスは漏れないか、燃料ガスのわずかな量だけが許容されることを確実にすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁のノズルは、主燃焼チャンバに突出し、第1の燃料ガス弁は、排気弁が閉じられる前に燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。
【0042】
結果として、燃料ガスの噴射は、排気弁を通して増加した直接のガス漏れをもたらすことなく、より早く開始されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、排気弁は、弁板を有し、弁板は、閉鎖位置と開放位置との間を中央軸に沿って移動可能であり、排気弁板は、閉鎖位置の第1の高さにおいて、及び開放位置の第2の高さにおいて配置され、第1の高さは、第2の高さよりも高く、ノズルの遠位端は、第2の高さより下に、すなわち、排気弁が開いているとき、排気弁の高さより下に配置されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、排気弁は弁板を有し、弁板は閉鎖位置と開放位置との間を排気弁軸に沿って移動可能であり、第1のノズル開口の中心は中央軸への第1の距離で配置され、排気弁の弁板の中心は、中央軸への第2の距離で配置され、第2の距離は第1の距離よりも長い。
【0045】
結果として、排気弁を中心を異にして配置することにより、第1の燃料ガス弁は、シリンダカバー中により多くの中央位置を受け入れることができる。これは、点火システムをより中央位置に、例えば、予熱チャンバに配置可能にし、又は、中心排気が配置されている予熱チャンバセットが配置できる。
【0046】
排気弁軸は、中央軸と平行であってもよく、それによって、弁板の中心から中央軸までの距離は、中央軸と排気弁軸との間の距離に対応する。シリンダカバーは、複数の中心を異にする排気弁、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ又は少なくとも4つの中心を異にする排気弁を有していてもよい。第1の距離は、シリンダの内径の25%未満であってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、燃料ガス弁は、噴射期間の間燃料ガスを噴射するように構成されており、噴射期間は、クランク角を30度回転させるのにかかる時間よりも短い。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、第3のノズル軸に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第2のノズル開口を有し、第3のノズル軸は、軸方向に対して角をなしており、第3のノズル軸と軸方向との間の角度は、第1のノズル軸と軸方向との間の角度よりも大きい。
【0049】
結果として、燃料ガスを主燃焼チャンバの上部に提供することを第2のノズル開口は確実にすることから、燃料ガスのより良好な分配を達成できる。
【0050】
本発明の異なる態様は、上述のような、及び以下のような2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関を含む異なる方法で実現でき、それぞれは、上記の態様のうちの少なくとも1つに関連して説明された利益及び利点のうちの1つ以上をもたらし、それぞれは、上記の態様のうちの少なくとも1つに関連して説明された及び/又は従属請求項に開示された好ましい実施形態に対応する1つ以上の好ましい実施形態を有する。さらに、本明細書で説明される態様のうちの1つに関連して説明される実施形態は、他の態様に等しく適用されることができることが理解されるであろう。
【0051】
本発明の上記及び/又は追加の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的及び非限定的な詳細な説明によって更に解明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示している。
図2図2は、本発明の実施形態による、2ストローク内燃機関に対する燃料ガス弁の断面を概略的に示している。
図3a図3aは、本発明の実施形態による2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示している。
図3b図3bは、本発明の実施形態による2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示している。
図3c図3cは、本発明の実施形態による2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示している。
図4図4は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示している。
図5図5は、本発明の実施形態による、シリンダカバーが設けられたシリンダの上端を概略的に示している。
図6図6は、本発明の実施形態による、燃料ガス弁を概略的に図示している。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の説明では、本発明がどのように実施できるかを例示として示す添付の図面を参照する。
【0054】
図1は、本発明の実施形態による、船舶を推進させるための2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関100の断面を概略的に示している。2ストローク内燃機関100は、掃気システム111、排ガス受け108、及びターボチャージャー109を備えている。2ストローク内燃機関は、複数のシリンダ101を有している(断面では1つのシリンダのみが示されている)。各シリンダ101は、掃気を提供するためにシリンダのより低いセクションに配置された掃気入口102、ピストン103、シリンダの上端に配置されたシリンダカバー112、シリンダカバーに配置された排気弁104、及び1つ以上の燃料ガス弁105(概略的にのみ図示されている)を備えている。掃気入口102は、掃気システムに流体的に接続されている。ピストン103は、その最も低い位置(下死点)に示されている。ピストン103は、クランクシャフト(図示せず)に接続されているピストンロッドを有している。ピストン103は、下死点と上死点との間の中央軸113に沿ってシリンダ内に移動可能に配置されている。中央軸113は、軸方向に伸長する。燃料ガス弁105は、燃料ガスを掃気と混合することを可能にする燃料ガスノズル(図示せず)を介して、圧縮ストロークの間、燃料ガスをピストン103とシリンダカバー112との間に規定された主燃焼チャンバに入れるように構成されている。燃料ガス弁105は、シリンダカバー112に少なくとも部分的に配置されており、燃料ガス弁のノズルは、第1のノズル軸150に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口(図示せず)を有している。第1のノズル軸150は、軸方向に対して角をなしている。結果として、シリンダカバー120中に燃料ガス弁105を配置することと、軸方向に対して燃料ガスノズルは角をなすことにより、結果として生じる燃料ガス噴流は、シリンダ壁の大部分に衝突し、結果として燃料ガスと掃気の均質な混合をもたらす。
【0055】
内燃機関100は、圧縮ストロークの終わりに燃料ガスと掃気の混合を点火するための専用点火システム116を備えている。例として、専用点火システムは、正確に測定された少量のパイロット燃料、例えば重油又は船舶用ディーゼル油を噴射することが可能なパイロット燃料システムであってもよく、パイロット燃料の必要量だけ使用されるように、ちょうどの量が燃料ガスと掃気との混合を点火することが可能である。このようなパイロット燃料システムは、代替燃料に対する専用燃料供給システムと比較して、サイズがより小さく、パイロット燃料の適切な量を噴射するのにより適しており、これは、コンポーネントの大きなサイズがこの目的に適していないことによる。パイロット燃料は、内燃機関の燃焼チャンバに流体的に接続されている予熱チャンバで噴射されてもよい。代替的に、パイロット燃料は、内燃機関の燃焼チャンバに流体的に接続されている予熱チャンバセットで噴射されてもよい。燃料ガス弁105は、下死点から95度前、90度前、又は85度前に燃料ガスの噴射を開始するように構成されてもよい。第1の燃料ガス弁は、下死点から40度後、50度後、又は60度後に燃料ガスの噴射を開始するように構成されてもよい。
【0056】
掃気システム111は、掃気受け110及び空気冷却器106を備えている。排気弁は、シリンダカバーの中央に配置されており、例えば、シリンダ中の圧縮比及び/又は温度を制御するために排気弁の閉鎖及び開放が最適化されることができるように、排気弁のタイミングは、可変にすることができる。
【0057】
図2は、本発明の実施形態による2ストローク内燃機関に対する燃料ガス弁200の断面を概略的に示している。図中の燃料ガス弁200は水平位置で示されているが、軸方向に対して任意の角度で配置されてもよい。燃料ガス弁200は、弁シャフト201、弁板202、弁座203、及び第1のノズル開口206を有する燃料ガスノズル204を備えている。示した燃料ガス弁200は、単一のノズル開口を有しているが、複数のノズル開口を有していてもよい。弁シャフト201及び弁板202は、燃料ガスが燃料ガス弁200を通して流れないように止められている閉鎖位置と、燃料ガスが燃料ガス弁200を通して流れることを可能にされる開放位置との間で移動可能である。弁シャフト201と弁板202は、図2では閉鎖位置で示されている。弁シャフト201と弁板202は、制御ユニット(図示せず)によって制御されるアクチュエータ(図示せず)によって閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である。第1のノズル開口206は、第1のノズル軸205に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている。
【0058】
図3a-3cは、本発明の実施形態による2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示しており、図3aは、ピストンが下死点にある機関を示しており、図3bは、ピストンが圧縮ストロークの中間にある機関を示しており、図3cは、ピストンが上死点にある機関を示している。2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、少なくとも1つのシリンダ115、シリンダカバー112、ピストン103、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システム、及び掃気システム(図示せず)を備えている。シリンダは、シリンダ壁を有し、シリンダカバー112は、シリンダ115の上端に配置され、排気弁104を有し、ピストン103は、下死点と上死点との間の中央軸113に沿ってシリンダ115内に移動可能に配置されている。中央軸113は、軸方向に伸長する。掃気入口102を有する掃気システムは、シリンダ115の底に配置され、燃料ガス供給システムは、シリンダに対する、燃料ガスを掃気入口102からの掃気と混合することを可能にし、点火される前に掃気と燃料ガスの混合を圧縮することを可能にする燃料ガスノズルを介して、圧縮ストロークの間、燃料ガスがピストン103とシリンダカバー112との間に規定された主燃焼チャンバに入るように構成された第1の燃料ガス弁105を備えている。第1の燃料ガス弁105は、シリンダカバー112中に少なくとも部分的に配置されている。第1の燃料ガス弁105のノズルは、第1のノズル軸150に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有している。第1のノズル軸150は、軸方向及び中央軸に対して角度157をなしている。この実施形態において、角度は、おおよそ22度である。しかしながら、他の実施形態では、第1のノズル軸と軸方向との間の角度は、5度から50度の間、10度から40度の間、又は15度から30度の間である。第1のノズル軸150は、動径コンポーネント155と軸方向コンポーネント156を有している。シリンダ115は、中央軸113に沿って伸長する基準面151によって分けられる第1の部分160と第2の部分161とを有している。基準面151は、第1のノズル軸150の動径コンポーネント155に垂直に配置され、すなわち、基準面151は、図面の平面にも垂直である。第1の燃料ガス弁150のノズルは、シリンダ160の第1の部分の上のシリンダカバー112中に配置され、第1のノズル軸150は、(シリンダの内部の)シリンダの第1の部分に伸長する上部170と(シリンダの内部の)シリンダの第2の部分に伸長する下部171とを有している。下死点におけるピストン103は、第1のノズル軸150の上部170と下部171両方の下に配置されており(図3a参照)、上死点におけるピストン103は、第1のノズル軸150の下部171全体の上に配置されている(図3c参照)。第1の燃料ガス弁105は、ピストン103が第1のノズル軸の下部171に達する前に、すなわち、ピストン103が図3bに示すピストンに達する前に、圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。結果として、シリンダの第1の部分の上に配置され、燃料ガスをシリンダの第2の部分に向けて噴射するように構成された第1の燃料ガスを有することにより、結果として生じる燃料ガスの噴流は、主燃焼チャンバを通した燃料ガスの分配に役立つ高径方向運動で、シリンダ壁に衝突することができる。
【0059】
図4は、本発明の実施形態にしたがう2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示している。実施形態は、燃料ガス供給システムが、シリンダに対する、燃料ガスノズルを有する第2の燃料ガス弁190をさらに備えているという違いを有して、図3a-3cに関連して開示した実施形態に対応する。第2の燃料ガス弁190は、シリンダカバー112中に少なくとも部分的に配置されており、第2の燃料ガス弁のノズルは、第2のノズル軸152に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有している。第2のノズル軸152は、軸方向に対して角をなしている。第2の燃料ガス弁190のノズルの少なくとも一部分は、シリンダの第2の部分161の上のシリンダカバー112中に配置されており、第2のノズル軸は、シリンダ161の第2の部分に伸長する上部173とシリンダ160の第1の部分に伸長する下部174とを有している。下死点におけるピストン103は、第2のノズル軸152の上部173と下部174の両方の下に配置されている。上死点におけるピストン103は、第2のノズル軸152の下部174全体の上に配置されている。第2の燃料ガス弁190は、ピストン103が第2のノズル軸152の下部174に達する前に、圧縮ストロークの間、燃料ガスの噴射を開始するように構成される。結果として、シリンダ161の第2の部分に向けて燃料ガスを向かわせるシリンダの第1の部分160の上に配置された第1の燃料ガス弁105と、シリンダ160の第1の部分に向けて燃料ガスを向かわせるシリンダ160の第2の部分の上に配置された第2の燃料ガス弁190とを有することにより、特に効果的な燃料ガスと掃気の混合の結果がもたらされる。この実施形態において、第1のノズル軸150は、第2のノズル軸152と交差する。結果として、第1の燃料ガス弁105から生じる噴流は、第2の燃料ガス弁190から生じる噴流と衝突し、シリンダ中の燃料ガスの向上した分配につながり、それによって、燃料ガスと掃気の向上した混合をもたらす。
【0060】
図5は、本発明の実施形態による、シリンダカバー112が設けられたシリンダ115の上端を概略的に示している。第1の燃料ガス弁105は、シリンダカバー112中に少なくとも部分的に配置されている。第1の燃料ガス弁105は、ノズル195を有している。第1の燃料ガス弁のノズル195は、軸方向に対して角をなしている第1のノズル軸150に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口を有している。シリンダカバー112は、排気弁104を有している。第1の燃料ガス弁105のノズル195は、主燃焼チャンバに突出し、第1の燃料ガス弁105は、排気弁104が閉じる前に、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。弁板を有する排気弁は、閉鎖位置と開放位置との間の中央軸に沿って移動可能であり、排気弁板は、閉鎖位置の第1の高さ、及び開放位置の第2の高さにおいて配置されている。排気弁104は、弁板が開放位置で図5中に示されている。第1の高さは第2の高さよりも高く、ノズル195の遠位端は、第2の高さの下に、すなわち、排気弁が開くとき、排気弁板の高さの下に配置されている。結果として、燃料ガスの噴射は、排気弁を通して増加した直接のガス漏れをもたらすことなく、より早く開始されてもよい。
【0061】
図6は、本発明の実例的な実施形態による、燃料ガス弁105を概略的に図示している。燃料ガス弁105は、シリンダカバー中に少なくとも部分的に配置され、ノズルを有している。燃料ガス弁105のノズルは、軸方向156に対して角をなしている第1のノズル軸150に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第1のノズル開口195を有している。燃料ガス弁105のノズルは、第3のノズル軸199に沿って燃料ガスを噴射するように構成されている第2のノズル開口196をさらに有している。第3のノズル軸199は、軸方向156に対して角をなしている。第3のノズル軸199と軸方向156との間の角度は、第1のノズル軸150と軸方向156との間の角度よりも大きい。結果として、燃料ガスを燃焼チャンバの上部に提供することを第2のノズル開口196は確実にできることから、燃料ガスのより良好な軸方向分配を達成できる。第1のノズル開口195は第2のノズル開口196よりも主燃焼チャンバのより多くの部分に燃料ガスを分布できることから、第1のノズル開口195は、第2のノズル開口196よりも大きくてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態を詳細に説明し、示してきたが、本発明は、それらに限定されず、以下の特許請求の範囲に定義される主題事項の範囲内で他の方法で具現化もされてもよい。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的及び機能的な変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0063】
いくつかの手段を列挙するデバイスの請求項では、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化されることができる。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているか又は異なる実施形態に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「備える/備えている」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、又はコンポーネントの存在を指定するように解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが強調されるべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
【外国語明細書】