IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Next Innovation合同会社の特許一覧

<>
  • 特開-毒性対象減消装置 図1
  • 特開-毒性対象減消装置 図2
  • 特開-毒性対象減消装置 図3
  • 特開-毒性対象減消装置 図4
  • 特開-毒性対象減消装置 図5
  • 特開-毒性対象減消装置 図6
  • 特開-毒性対象減消装置 図7
  • 特開-毒性対象減消装置 図8
  • 特開-毒性対象減消装置 図9
  • 特開-毒性対象減消装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029327
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】毒性対象減消装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/08 20060101AFI20230224BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20230224BHJP
   A61L 2/12 20060101ALI20230224BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20230224BHJP
   C02F 1/30 20230101ALI20230224BHJP
   C02F 1/34 20230101ALI20230224BHJP
【FI】
A61L2/08
A61L2/10
A61L2/12
A61L2/08 102
A61L2/08 106
A61L2/08 104
A61L2/08 100
C02F1/32
C02F1/30
C02F1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131312
(22)【出願日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2021134644
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【テーマコード(参考)】
4C058
4D037
【Fターム(参考)】
4C058AA07
4C058AA12
4C058AA20
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK03
4C058KK04
4C058KK05
4C058KK07
4C058KK23
4C058KK28
4C058KK42
4C058KK46
4D037AA01
4D037AA02
4D037AA06
4D037AA11
4D037AB03
4D037BA16
4D037BA17
4D037BA18
4D037BA26
4D037BB04
4D037CA02
(57)【要約】
【課題】簡易な構造によって、流体に含まれている毒性対象等を確実に分解又は不活化及び/又は死滅させる減消を高効率で実行でき、且つメンテナンス性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】
流入口を有する第一流路及び流出口を有する第二流路を連結部によって連結させて成り、被処理流体が流れる流路管と、上記被処理流体に含まれる毒性対象を分解及び/又は不活化及び/又は滅菌させる波動を放出する波動放出部と、上記流路管及び上記波動放出部を囲繞し、内側に上記波動を反射し得る反射面を有する波動反射体と、を具え、上記流路管は、上記波動を透過させる透過性材料により成ることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口を有する第一流路及び流出口を有する第二流路を連結部によって連結させて成り、被処理流体が流れる流路管と、
上記被処理流体に含まれる毒性対象を分解及び/又は不活化及び/又は滅菌させる波動を放出する波動放出部と、
上記流路管及び上記波動放出部を囲繞し、内側に上記波動を反射し得る反射面を有する波動反射体と、を具え、
上記流路管は、上記波動を透過させる透過性材料により成ることを特徴とする毒性対象減消装置。
【請求項2】
前記流路管は、前記第一流路と前記第二流路とを並列に配することを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項3】
前記第一流路及び前記第二流路は、略直線状に延在していることを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項4】
前記第一流路及び前記第二流路は、少なくとも一部が略螺旋形状を成すことを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項5】
前記波動放出部は、前記流路管の外部に配することを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項6】
前記第一流路及び前記第二流路は、略直線状に延在し、
前記波動放出部は、前記第一流路と前記第二流路との間で、前記第一流路及び前記第二流路と略平行に延在することを特徴とする請求項5記載の毒性対象減消装置。
【請求項7】
複数の前記波動放出部を、前記流路管の周囲に配設することを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項8】
前記波動放出部は、環形状を有し、前記流路管を囲繞するように配することを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項9】
前記波動放出部は、前記被処理流体の流動方向に沿って複数並設されることを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項10】
前記波動反射体は、内部空間内で、前記反射面によって前記第一流路及び/又は前記第二流路にむけて波動を反射させることを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項11】
前記反射面は、前記波動反射体の内側の面内の縦方向及び/又は横方向に沿って連続的、断続的或いは部分的に配されることを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項12】
前記反射面は、波動を高次に反射させ得る高反射性を有することを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項13】
前記反射面は、前記被処理流体の流動方向に直交する断面形状が略楕円状を成し、
前記反射面の断面の楕円形状の焦点位置の内、一方に前記波動放射部、他方に前記流路管を配することを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項14】
前記流路管を複数有し、
前記波動放射部は、複数の前記流路管に対して前記波動を放射することを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項15】
前記波動は、音波、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線及び/又はγ線であることを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。
【請求項16】
前記波動放出部は、紫外線を放射して毒性対象を減消させる紫外線光源を有することを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の毒性対象装置。
【請求項17】
前記紫外線光源は、水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、ネオン灯及び/又はLEDであることを特徴とする請求項16記載の毒性対象減消装置。
【請求項18】
前記紫外線光源は、略管形状を有することを特徴とする請求項16記載の毒性対象減消装置。
【請求項19】
前記紫外線光源は、LEDであって、略直線状に複数配設、又は面内に縦及び/又は横に整列して複数配設されることを特徴とする請求項16記載の毒性対象減消装置。
【請求項20】
被処理流体から異物を捕集する捕集フィルタを、前記流路管と一体又は別体に設け、
該捕集フィルタは、前記流路管の上流側及び/又は下流側に配されることを特徴とする請求項1記載の毒性対象減消装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毒性対象減消装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療や食品加工の現場などでの殺菌処理に紫外光を照射する装置が用いられている。また、水などの流体に紫外光を照射することで、流体を連続的に殺菌する装置も用いられている。このような装置として、例えば、処理槽の内部に直管状の紫外線ランプを被処理水が流れる方向に沿うように配置し、処理槽内の被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、内部に水等の流体が流れる直管と、該直管の端部側に配されて直管内部に紫外線を照射する光源とを有する紫外線照射装置が知られており、光源によって直管の内部に向けて紫外光を照射することで、直管の内部を流れる流体に対して殺菌処理を施している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-183295号公報
【特許文献2】特開2017-064610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された紫外線照射装置は、紫外線ランプをランプスリーブに装着した状態で処理槽内に配しているが、処理槽内でランプスリーブに汚れが付着していくため、ランプスリーブを清掃するための機構を設けている。このような機構はランプスリーブの表面の汚れを除去するためのクリーニングプレートと、クリーニングプレートを所定方向に沿って往復移動させるためのモータ等を有するので、その設置には高コストにつく。また紫外線ランプは、紫外線照射量の低下等に伴う交換が必要となり、その場合は処理槽から紫外線ランプを取り出さなくてはならず、交換の手間がかかるという問題がある。
また特許文献2に記載された紫外線照射装置は、紫外線による殺菌のために、流体に所定以上の紫外線量を照射しなくてはならないため、直管の長さや大きさによっては殺菌が完了するまで、流体に紫外線を照射し続けることが非常に困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、流体に含まれている毒性対象等を確実に分解又は不活化及び/又は死滅させる減消を高効率で実行でき、且つメンテナンス性を向上させるための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の毒性対象減消装置は、流入口を有する第一流路及び流出口を有する第二流路を連結部によって連結させて成り、被処理流体が流れる流路管と、上記被処理流体に含まれる毒性対象を分解及び/又は不活化及び/又は滅菌させる波動を放出する波動放出部と、上記流路管及び上記波動放出部を囲繞し、内側に上記波動を反射し得る反射面を有する波動反射体と、を具え、上記流路管は、上記波動を透過させる透過性材料により成ることを特徴とする。
【0007】
また、前記流路管は、前記第一流路と前記第二流路とを並列に配することを特徴とする。
【0008】
また、前記第一流路及び前記第二流路は、略直線状に延在していることを特徴とする。
【0009】
また、前記第一流路及び前記第二流路は、少なくとも一部が略螺旋形状を成すことを特徴とする。
【0010】
また、前記波動放出部は、前記流路管の外部に配することを特徴とする。
【0011】
また、前記第一流路及び前記第二流路は、略直線状に延在し、前記波動放出部は、前記第一流路と前記第二流路との間で、前記第一流路及び前記第二流路に略平行に延在することを特徴とする。
【0012】
また、複数の前記波動放出部を、前記流路管の周囲に配設することを特徴とする。
【0013】
また、前記波動放出部は、環形状を有し、前記流路管を囲繞するように配することを特徴とする。
【0014】
また、前記波動放出部は、前記被処理流体の流動方向に沿って複数並設されることを特徴とする。
【0015】
また、前記波動反射体は、内部空間内で、前記反射面によって前記第一流路及び/又は前記第二流路にむけて波動を反射させることを特徴とする。
【0016】
また、前記反射面は、前記波動反射体の内側の面内の縦方向及び/又は横方向に沿って連続的、断続的或いは部分的に配されることを特徴とする。
【0017】
また、前記反射面は、波動を高次に反射させ得る高反射性を有することを特徴とする。
【0018】
また、前記反射面は、前記被処理流体の流動方向に直交する断面形状が略楕円状を成し、前記反射面の断面の楕円形状の焦点位置の内、一方に前記波動放射部、他方に前記流路管を配することを特徴とする。
【0019】
また、前記流路管を複数有し、前記波動放射部は、複数の流路管に対して前記波動を放射することを特徴とする。
【0020】
また、前記波動は、音波、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線及び/又はγ線であることを特徴とする。
【0021】
また、前記波動放出部は、紫外線を放射して毒性対象を減消させる紫外線光源を有することを特徴とする。
【0022】
また、前記紫外線光源は、水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、ネオン灯及び/又はLEDであることを特徴とする。
【0023】
また、前記紫外線光源は、略管形状を有することを特徴とする。
【0024】
また、前記紫外線光源は、LEDであって、略直線状に複数配設、又は面内に縦及び/又は横に整列して複数配設されることを特徴とする。
【0025】
また、被処理流体から異物を捕集する捕集フィルタを、前記流路管と一体又は別体に設け、該捕集フィルタは、前記流路管の上流側及び/又は下流側に配されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易な構造によって、流体に含まれている毒性対象等を確実に分解又は不活化及び/又は死滅させる減消を高効率で実行でき、且つメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態の毒性対象減消装置としての紫外線放射装置を示す斜視図である。
図2】流路管及び紫外線放射部を示す図である。
図3】紫外線放射装置を示す断面図である。
図4】螺旋形状の第一流路及び第二流路を示す図である。
図5】複数の紫外線放射部の配設例を示す図である。
図6】複数の紫外線放射部の配設例を示す図である。
図7】液滴発生器を示す概略図である。
図8】二種類の流路管を配した紫外線放射装置を示す図である。
図9】断面略楕円形状の外装部を有する紫外線放射装置の例を示す図である。
図10】放射された紫外線の反射経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の毒性対象減消装置としての紫外線放射装置の実施形態を、図面を参照して説明する。ここで紫外線放射装置は、気体や液体等の被処理流体を流動させる他の装置(後述する)に接続され、被処理流体に波動である紫外線を照射し、被処理流体に含まれる毒性対象を分解及び/又は不活化及び/又は滅菌させ、毒性対象を減消させるものである。
【0029】
図1は紫外線放射装置を示す斜視図、図2は紫外線放射装置1の内部構造を示す図である。紫外線放射装置1は、周面及び端面を成す略筒状の外装部2(波動反射体)を有し、外装部2の内部空間に流路管4、紫外線光源を有する紫外線放射部6(波動放出部)等が配設される。即ち、外装部2は、流路管4及び紫外線放射部6を囲繞している。また、外装部2の一端面2aには、流路管4の第一流路4aが挿通する孔と、第二流路4bが挿通する孔とが形成される。
【0030】
流路管4は、外部から流体を流入させる流入口を有する第一流路4aと、外部に流体を流出させる流出口を有する第二流路4bと、第一流路4a及び第二流路4bを連結する連結部4c等によって構成される。また、流路管4は、ガラス、石英、サファイア、PTFE等の非晶質のフッ素系樹脂、アクリル樹脂等の紫外線透過性材料によって形成される。また、第一流路4a及び第二流路4bは、外装部2の軸方向に沿って略直線状に延在し、且つ並列するように配される。従って連結部4cは、略U字形を成し、端部がそれぞれ第一流路4a又は第二流路4bに接続される。
【0031】
紫外線放射部6は、流路管4の外部に配された、管状の紫外線ランプである。紫外線放射部6は、長手方向が外装部2の軸方向と平行、即ち第一流路4a及び第二流路4bが延在する方向と平行な向きで、且つ被処理流体の流動方向に沿って延びるように配設される。紫外線放射部6は、第一流路4a及び第二流路4bに紫外線を照射し得る位置に設定され、ここでは第一流路4aと第二流路4bの間を配設位置とする。勿論、紫外線放射部6の位置は、これに限定するものではないことは言うまでもなく、また、紫外線ランプとしては所望の波長の紫外線を発光可能なものであればよく、電極を有する直管型や曲線形型(例えば、U字形等)、環状型の他、無電極型や、水銀ランプ型、キセノンランプ型、エキシマランプ型、メタルハライドランプ型、ネオン灯型、LED型等の形態のものであってもよい。
【0032】
紫外線放射部6が環状型である場合、紫外線放射部6は、流路管4を囲繞するように設置することができる。即ち、紫外線放射部6の環形状の内側に、第一流路4a、第二流路4b及び/又は接続部4cを配する、或いは第一流路4a及び第二流路4bを配することができる。
紫外線放射部6がLED型の場合、LEDを被処理流体の流動方向に沿って複数並設することができる。即ち、流動方向に沿うように、直線状に複数配設することができる。またLED型の場合、所定の面内に縦及び/又は横に整列して複数配設してもよい。
【0033】
図3は紫外線放射装置1を示す断面図であり、外装部2内部の面には、紫外線反射性材料から成り、紫外線放射部6から放出される紫外線を高次に反射させ得る、高反射性の反射面8が配設される。反射面8は、高反射率、好ましくはUV-C反射率で80%以上、より好ましくは、253.7nmの波長の紫外線に対する反射率が90%以上の反射率を有するものとする。なお、反射面8は、外装部2内部の全域に亘って連続的に設けてもよく、断続的或いは部分的に設けてもよい。
反射面8には、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、特殊なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が利用され得る。また、反射率を向上させるために鏡面研磨等の処理を施してもよい。
【0034】
紫外線放射装置1は、不図示の他装置によって流動されている被処理流体の流動経路途中に配される。即ち、被処理流体の経路中に流動向きにおける上流側に第一流路4aを接続し、下流側に第二流路4bを接続する。従って、被処理流体は、第一流路4a、連結部4c、第二流路4bの順に流動していく。このとき、紫外線放射部6によって照射された紫外線は、反射面8で反射すると共に、流路管4を透過する。従って、外装部2によって囲繞される空間内では、紫外線放射部6で照射された紫外線が反射面8で複数回反射望ましくは数十回以上反射し得、高線量の紫外線領域が作出される。
【0035】
上述したように、本実施形態における紫外線放射装置1は、外装部2内に高線量の紫外線領域を作出するので、外装部2内に配している流路管4内を流動する被処理流体に含まれる毒性対象を確実に分解及び/又は不活化及び/又は滅菌させて減消させることができる。
また、外装部2の内側の反射面によって紫外線を反射させることで単に紫外線放射部6からの紫外線で被処理液体を照らしたときよりも、紫外線量を増加させることができるので、毒性対象の減消効率を著しく向上することができる。
【0036】
また、紫外線放射装置1は、外装部2内に流路管4及び紫外線放射部6を配しているので、紫外線放射部6の表面に埃や汚れ等の異物が付着するのを防止することができる。また、流路管4の外部に紫外線放射部6を配しているので、紫外線放射部6が被処理流体に晒されることがない。従って、紫外線放射部6の清掃等が略不要となってメンテナンス性を向上させることができる。更に紫外線放射部6表面への汚れ等の付着が原因で紫外線の線量が低下してしまうことを防止することができる。
また、外装部2内面は、被処理流体に直接接触しないことから、被処理流体と外装部2の内周面の反射面8との間での化学反応が無い。従って、反射面8の素材の溶出や反射面8への析出等が無い上、異物付着も生じない為、反射性能を低下させること無く、安定させて高線量の紫外線領域を作出させることができる。また、反射面8の清掃等が略不要となるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0037】
なお、第一流路4a及び第二流路4bは、図2等に示す直線的に延びる形状に限定されるものではなく、図4に示す螺旋形状を有する第一流路10a、第二流路10bを設けるようにしてもよい。この場合において、両流路10a、10bを、各軸心が重なるように並行に配設させれば、螺旋の中心部を通すように紫外線放射部6を配設することが出来る。このような螺旋形状の第一流路4a、第二流路4bを設けた場合、流動している被処理流体に対する紫外線の照射時間が延ばすことが可能となる上、第一流路10a、第二流路10b内を流下する流体がかき混ぜられることで、流体に対して万遍無く紫外線を照射することができ、より毒性対象の減消効率を向上することができる。
【0038】
また、紫外線放射部6の設置箇所や設置数は、適宜設定し得る。例えば、図5に示すように第一流路10a、第二流路10bを囲繞するように、複数設置してもよい。このようにしても、複数の紫外線放射部6からの紫外線を各流路10a、10bを流動する被処理流体内の毒性対象に照射することが出来る。また、紫外線放射部6は、図6に示すように第一流路10aと第二流路10bとの間、及び第一流路10a、第二流路10bの周囲にそれぞれ配するようにしてもよい。
【0039】
次に被処理流体を流動させる液滴発生器に紫外線放射装置1を適用する例について説明する。ここで液滴発生器とは、患者に薬品を与える吸入療法のために、薬液から微小液滴を生成し且つ患者が吸入し得るようにミスト又はエアロゾルを生成する、所謂ネブライザ等に相当するものである。図7は液滴発生器20を示す概略図であり、液滴発生器20は、紫外線放射装置1、空気供給源22、薬剤霧化部24、吐出口26等を具える。
【0040】
紫外線放射装置1は、空気供給源22と薬剤霧化部24との間に配される。即ち、第一流路4aと空気供給源22とが空気搬送管23を介して接続され、第二流路4bと薬剤霧化部24とが空気搬送管25を介して接続される。空気供給源22は、コンプレッサやエアポンプ等であり、空気搬送管23を介して空気を紫外線放射装置1に送出する。
【0041】
薬剤霧化部24は、空気搬送管25を介して紫外線放射装置1に接続され、内部に薬剤を貯留する貯留空間を有する。また、薬剤霧化部24は、薬剤を霧状に変化させる。なお、薬剤の霧化方法は、例えば、空気圧を利用して霧化するコンプレッサ式、キャビテーション効果を用いる超音波式、ホーン振動子と多数の微細孔をもつメッシュ等で構成される超音波式等が有り得る。
吐出口26は、患者が薬剤を吸引する際の薬剤を吐出する部位であり、例えばマスク形状、マウスピース形状、ノーズピース形状等の種々の形状が有り得る。
【0042】
液滴発生器20の動作は、薬剤霧化部24によって薬剤を霧状に変化させると共に、空気供給源22を駆動させて外部から取り入れた空気を送出する。空気供給源22によって送出された空気は、ウイルスや細菌類の毒性対象を含有し得る。従って、外部から取り入れられて、毒性対象を含む空気は、空気搬送管23によって紫外線放射装置1に向かって流動する。
【0043】
流動している空気は、紫外線放射装置1を通過して紫外線による毒性対象が減消された状態で薬剤霧化部24に向かって更に流動する。即ち、空気は、第一流路4aから紫外線放射装置1の流路管4に進入し、流路管4に沿って流動する。
【0044】
また、上述したように、紫外線放射装置1は、紫外線放射部6によって紫外線を放射し、紫外線量の高い紫外線領域を作出している。従って、流路管4を通過している空気には、流路管4を透過した高線量の紫外線が照射され続ける。結果、空気中に含まれる毒性対象が紫外線によって減消する。
【0045】
即ち、流動する空気は、紫外線領域内で毒性対象を減消させつつ、第一流路4a、連結部4c、第二流路4bを順番に通過する。流路管4を通過した空気は、空気搬送路25を介して薬剤霧化部24に向かって流動する。
【0046】
流動している空気は、薬剤霧化部24において霧状に変化した薬剤と混合し、薬剤と共に吐出口26に向かって流動する。即ち、薬剤霧化部24において霧状に変化した薬剤は、空気と共に吐出口26に向かって流動し、吐出口26から外部に吐出される。
【0047】
このように、液滴発生器20に紫外線放射装置1を適用した場合、液滴発生器20において流動する空気に含まれる毒性対象を減消させることができるので、患者に対して薬剤と共に毒性対象を吐出してしまうことを確実に防止することが出来る。また、紫外線放射装置1は、液滴発生器20における空気の流路途中に配置すればよいので、既存の液滴発生器に対しても容易に設置することが出来る。
【0048】
なお、この手の医療機器にあっては外気を取り込んで薬剤噴霧用にコンプレッサ等を用いて噴出させるだけでなく、逆に治療対象者から出る体液や排気等の被処理流体を吸引して容器等に収容することが出来る様に構成されていることが少なくなく、この様な構成の場合、吸引ルートの流体も同時に毒性対象減消処理を可能とするように構成してもよい。即ち、人工呼吸器においては、呼吸障害患者の気管内の唾液や痰等を吸引する痰唾液吸引装置の挿管チューブ等にも紫外線放射装置1を接続し、吸引した体液中の毒性対象を減消させるようにしてもよい。
【0049】
また、人工呼吸器で酸素濃縮器を用いる場合、外部の空気から酸素濃度を高めた酸素を作り出しているため、患者に酸素を供給する前に、紫外線放射装置1で毒性対象を減消させるようにしてもよい。患者に酸素を供給するための酸素を流動させる流路と、患者体内から排出される体液を流動させる流路との二種類の流路を具える人工呼吸器に対し、紫外線放射装置1は、各流路に接続する二種類の流路管を具えていてもよい。即ち、図8に示すように、紫外線放射装置1は、紫外線放射部6を挟んで二種類の流路管30、32を設けることができる。このようにすれば、単一の紫外線放射装置1によって、各流路管30、32内を流動するそれぞれの流体内の毒性対象を減消させることができる。
【0050】
また、上述した実施形態において流路管を略U字形状としたが、これに限定するものではなく直管形状等であってもよい。即ち、第一流路と第二流路とが直線状に連結された流路管であってもよい。但し、流路管を直管形状とした場合、紫外線放射装置1内を被処理流体が通過する距離が短くなってしまう。
【0051】
そこで、図9に示すように、外装部2の内周面に形成される反射面8を断面略楕円形状とし、楕円の焦点位置に流路管40、紫外線放射部6を配する。即ち、外装部2の内周面における、流路管内で流動する被処理流体の流動方向に直交する断面形状を略楕円形状に設定し、当該楕円形状の焦点の内、一方に流路管40を配し、他方に紫外線放射部6を配する。また、外装部2の内周面の略全域を反射面8とする。
【0052】
これにより、図10に示すように一方の焦点に中心を一致させるように配設された紫外線放射部6から放射状に放射された紫外線は、それぞれ放射方向に直進した先に位置する内周の反射面8で反射され、他方の焦点に向かって集光される。結果、全ての紫外線は、その中心を当該他方の焦点に一致させるように配設された流路管40に入射する。即ち、一方の焦点に在る紫外線放射部6から発せられた全ての紫外線は、断面略楕円形状を成す外装部2の内周面、即ち反射面8での反射を経て、他方の焦点に在る流路管40の中心を目指して流路管40に入射する。従って、高線量の紫外線が流路管40内を流下する流体に含まれる毒性対象を照射し、毒性対象を効率的に減消させることが出来る。
【0053】
このような断面略楕円形状の外装部2を設け、内周面全域を反射面8とした場合、流路管40を貫通した紫外線は、流路管40の直径方向に直進し、直進した先に位置する反射面8で反射され、一方の焦点に在る紫外線放射部6に向かって集光する。即ち、流路管40を貫通した全ての紫外線は、反射面8で反射されて紫外線放射部6の中心に向かって入射する。また、紫外線放射部6を貫通した全ての紫外線は、反射面8での反射を経て流路管40に集光する。即ち、紫外線放射部6で放射された紫外線は、流路管40と紫外線放射部6との間を往復し続ける。結果的に、流路管40内には高線量の紫外線を照射することができ、毒性対象の減消効率を向上させることが出来る。
【0054】
なお、紫外線放射装置1によって被処理流体である空気に含まれる毒性対象を減消させたが、被処理流体となる対象は、血液、リンパ液、組織液、体腔液、漿膜腔液、胸水、腹水、心嚢液、脳脊髄液、関節液、眼房水、消化液、汗、涙、鼻水、尿等の体液や、動物が体外へ吐き出す呼気や唾液、痰等の他、水道水、下水、雨水、海水、バラスト水等があり得る。
【0055】
また、紫外線放射装置1は、少なくとも被処理流体に紫外線(波動)を放射し得れば、液滴発生器以外の装置や設備等にも適用可能である。例えば、人工呼吸器、人工心肺装置、酸素マスク、導尿カテーテル、内視鏡装置、胃カメラ、歯科用のバキュームや排唾管、半導体製造等に用いられる純水製造装置、空気清浄機、加湿器、除湿器、温水洗浄便座、集塵機、空調設備、送風機、ダクト、ガスマスク、防毒マスク、水道管(導水管、送水管、配水管、給水管等)、排水管、換気扇、ヘアドライヤー、扇風機、ブロワー等に紫外線放射装置1を設けることが出来る。
【0056】
これらの装置や設備において、紫外線放射装置1の配設箇所は、被処理流体の流動経路上の適宜位置であるが、人工心肺装置等においては、患者の体外へ排出された体液等に対して紫外線が放射できるように箇所を設定とすることが望ましい。これにより、体外に排出された体液を紫外線によって浄化できて、該体液を介した感染可能性を低減でき、安全性を向上させることができる。
【0057】
また、毒性対象減消装置として紫外線放射装置を例に説明したが、紫外線以外の波動によって毒性対象を減消させてもよい。即ち、波動としては、音波、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線及び/又はγ線等を利用することができる。なお、波動に応じて反射面を成す反射性材料、流路管を成す透過性材料がそれぞれ定まることは言うまでもない。例えばマイクロ波を利用する場合、反射面は金属、流路管はセラミックや樹脂等を用いる。
【0058】
また、流路管の端部には、空気搬送管等の内部で流体を流動させる搬送管が接続されるが、直接接続してもよく、またコネクタ等の連結手段を介して接続することも可能である。
【0059】
また、紫外線放射装置1には、被処理流体から塵埃等の異物を捕集するための捕集フィルタを設けてもよい。捕集フィルタとしては、粗塵用フィルタ、中高性能フィルタ(MEPAフィルタ)、HEPAフィルタ、ULPAフィルタ等、或いはこれらを組み合わせたものが有り得る。捕集フィルタは、流路管4と一体又は別体に設けることができ、例えば、流路管4の第一流路4aや第二流路4b等に内蔵して一体に設けることができる。また捕集フィルタの位置は、流路管4の上流側及び/又は下流側に設定し得る。
また紫外線放射装置1を液滴発生器20等の機器に搭載した場合において、紫外線放射装置1の上流側及び/又は下流側に配される空気搬送管23(25)等に捕集フィルタを設けてもよい。特に流路管4の上流側や、空気搬送管23等の紫外線放射装置1の上流側に捕集フィルタを配した場合、流路管4の途中で異物の堆積を抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…紫外線放射装置、2…外装部、4…流路管、4a,10a…第一流路、4b,10b…第二流路、4c…連結部、6…紫外線放射部、8…反射面、20…液滴発生器、22…空気供給源、23,25…空気搬送管、24…薬剤霧化部、26…吐出口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10