(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029358
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】自動管制システム、自動管制方法、及び自動管制装置
(51)【国際特許分類】
G08G 5/02 20060101AFI20230224BHJP
G08G 5/04 20060101ALI20230224BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20230224BHJP
G05D 1/08 20060101ALI20230224BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20230224BHJP
【FI】
G08G5/02
G08G5/04 A
G05D1/02 P
G05D1/08 Z
B64U10/13
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195771
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2020070665の分割
【原出願日】2020-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】520074181
【氏名又は名称】株式会社ファーロスター
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星 尚男
(72)【発明者】
【氏名】星 佳子
(57)【要約】
【課題】
複数の無人機を管制することが可能となるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】
無人機、無人機を制御する無人機制御装置、及び、無人機制御装置と通信接続が可能な自動管制装置とを備え、無人機を管制する自動管制システムであって、自動管制装置が、複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路を特定する飛行経路特定手段と、特定した飛行経路に関する飛行経路情報を無人機制御装置へ送信する第一飛行経路情報送信手段とを備え、無人機制御装置が、自動管制装置から飛行経路情報を受信する第一飛行経路情報受信手段と、飛行経路情報を無人機へ送信する第二飛行経路情報送信手段とを備え、無人機が、無人機制御装置から飛行経路情報を受信する第二飛行経路情報受信手段と、受信した飛行経路情報にしたがって、飛行を制御する飛行制御手段とを備える、自動管制システムに関する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる所有者に所有される複数の無人機と、少なくとも1のコンピュータ装置とを備え、無人機を管制する自動管制システムであって、
コンピュータ装置が、
複数の異なる所有者に所有される複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路が重複、交差、又は接しないように、該複数の無人機の飛行経路を算出する飛行経路算出手段と、
一の無人機の飛行情報と、他の無人機の飛行情報とに基づいて、一の無人機と他の無人機の衝突の可能性を予測する衝突可能性予測手段と、
衝突の可能性が予測された場合に、一の無人機の飛行経路を変更するための飛行経路変更情報を生成する飛行経路変更情報生成手段と
を備え、
無人機が、
飛行経路算出手段により算出された飛行経路、又は、飛行経路変更情報生成手段により生成された飛行経路変更情報にしたがって変更された飛行経路にしたがって、飛行を制御する飛行制御手段
を備える、自動管制システム。
【請求項2】
飛行経路変更情報生成手段が、飛行経路を、算出された飛行経路に含まれない地点を通り、該地点から選択された目的地までの飛行経路に変更するための飛行経路変更情報を生成する、請求項1に記載の自動管制システム。
【請求項3】
複数の異なる所有者に所有される複数の無人機と、少なくとも1のコンピュータ装置とを備え、無人機を管制する自動管制システムにおいて実行される自動管制方法であって、
コンピュータ装置が、複数の異なる所有者に所有される複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路が重複、交差、又は接しないように、該複数の無人機の飛行経路を算出する飛行経路算出ステップと、
コンピュータ装置が、一の無人機の飛行情報と、他の無人機の飛行情報とに基づいて、一の無人機と他の無人機の衝突の可能性を予測する衝突可能性予測ステップと、
コンピュータ装置が、衝突の可能性が予測された場合に、一の無人機の飛行経路を変更するための飛行経路変更情報を生成する飛行経路変更情報生成ステップと、
無人機が、飛行経路算出ステップにより算出された飛行経路、又は、飛行経路変更情報生成ステップにより生成された飛行経路変更情報にしたがって変更された飛行経路にしたがって、飛行を制御する飛行制御ステップと
を有する、自動管制方法。
【請求項4】
複数の異なる所有者に所有される複数の無人機を管制するためのコンピュータ装置であって、
複数の異なる所有者に所有される複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路が重複、交差、又は接しないように、該複数の無人機の飛行経路を算出する飛行経路算出手段と、
一の無人機の飛行情報と、他の無人機の飛行情報とに基づいて、一の無人機と他の無人機の衝突の可能性を予測する衝突可能性予測手段と、
衝突の可能性が予測された場合に、一の無人機の飛行経路を変更するための飛行経路変更情報を生成する飛行経路変更情報生成手段と
を備える、コンピュータ装置。
【請求項5】
複数の異なる所有者に所有される複数の無人機を管制するためのコンピュータ装置において実行されるプログラムであって、
コンピュータ装置を、
複数の異なる所有者に所有される複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路が重複、交差、又は接しないように、該複数の無人機の飛行経路を算出する飛行経路算出手段、
一の無人機の飛行情報と、他の無人機の飛行情報とに基づいて、一の無人機と他の無人機の衝突の可能性を予測する衝突可能性予測手段、
衝突の可能性が予測された場合に、一の無人機の飛行経路を変更するための飛行経路変更情報を生成する飛行経路変更情報生成手段
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無人機を管制することが可能となるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害救助、農業、エンターテインメント、物流など、様々な分野で無人機が用いられている。特に、輸送のために無人機を所有する輸送業者は増加している。
【0003】
しかしながら、輸送業者は、各々、無人機の飛行経路を決定して無人機を飛行させており、無人機の数が増加すると、無人機同士の衝突の可能性が高まることが考えられる。一方で、所有者の異なる複数の無人機を管制することができるシステムは存在しなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためのものである。すなわち、本発明は、所有者の異なる複数の無人機を管制することが可能となるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記目的は、
[1]無人機、無人機を制御する無人機制御装置、及び、無人機制御装置と通信接続が可能な自動管制装置とを備え、無人機を管制する自動管制システムであって、自動管制装置が、複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路を特定する飛行経路特定手段と、特定した飛行経路に関する飛行経路情報を無人機制御装置へ送信する第一飛行経路情報送信手段とを備え、無人機制御装置が、自動管制装置から飛行経路情報を受信する第一飛行経路情報受信手段と、飛行経路情報を無人機へ送信する第二飛行経路情報送信手段とを備え、無人機が、無人機制御装置から飛行経路情報を受信する第二飛行経路情報受信手段と、受信した飛行経路情報にしたがって、飛行を制御する飛行制御手段とを備える、自動管制システム;
[2]飛行経路特定手段が、一の無人機について特定した飛行経路が、他の無人機について特定した飛行経路と重複、交差、又は接する場合に、一の無人機と他の無人機が異なる高度を飛行するよう飛行経路を特定する、[1]に記載の自動管制システム;
[3]飛行経路特定手段が、無人機の出発地及び目的地に基づいて飛行経路を特定する、[1]又は[2]に記載の自動管制システム;
[4]自動管制装置が、無人機による飛行が可能な飛行可能領域、及び/又は無人機による飛行が可能でない飛行禁止領域を記憶する飛行可能領域記憶手段とを備え、飛行経路特定手段が、飛行可能領域を飛行経路として特定する、及び/又は飛行禁止領域を除く領域を飛行経路として特定する、[1]~[3]のいずれかに記載の自動管制システム;
[5]自動管制装置が、一の無人機の飛行情報と、他の無人機の飛行情報とに基づいて、一の無人機と他の無人機の衝突の可能性を予測する衝突可能性予測手段と、衝突の可能性が予測された場合に、一の無人機の飛行経路情報を変更するための飛行経路変更情報を生成する飛行経路変更情報生成手段と、生成された飛行経路変更情報を、一の無人機に対応する無人機制御装置へ送信する第一飛行経路変更情報送信手段とを備え、無人機制御装置が、自動管制装置から飛行経路変更情報を受信する第一飛行経路変更情報受信手段と飛行経路変更情報を一の無人機へ送信する第二飛行経路変更情報送信手段とを備え、無人機が、無人機制御装置から飛行経路変更情報を受信する第二飛行経路変更情報受信手段とを備え、飛行制御手段が、受信した飛行経路変更情報にしたがって、無人機の飛行を制御する、[1]~[4]のいずれかに記載の自動管制システム;
[6]無人機、無人機を制御する無人機制御装置、及び、無人機制御装置と通信接続が可能な自動管制装置とを備え、無人機を管制する自動管制システムにおいて実行される自動管制方法であって、自動管制装置が、複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路を特定する飛行経路特定ステップと、自動管制装置が、特定した飛行経路に関する飛行経路情報を無人機制御装置へ送信する第一飛行経路情報送信ステップと、無人機制御装置が、自動管制装置から飛行経路情報を受信する第一飛行経路情報受信ステップと、無人機制御装置が、飛行経路情報を無人機へ送信する第二飛行経路情報送信ステップと、無人機が、無人機制御装置から飛行経路情報を受信する第二飛行経路情報受信ステップと、無人機が、受信した飛行経路情報にしたがって、飛行を制御する飛行制御ステップとを有する、自動管制方法;
[7]無人機を管制するための自動管制装置であって、複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路を特定する飛行経路特定手段と、特定した飛行経路に関する飛行経路情報を無人機制御装置へ送信する第一飛行経路情報送信手段とを備える、自動管制装置;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、所有者の異なる複数の無人機を管制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる自動管制システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる無人機制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる無人機の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行制御処理のフローチャートを表す図である。
【
図5】本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行経路特定処理のフローチャートを表す図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行可能領域記憶処理のフローチャートを表す図である。
【
図7】本発明の実施の形態にかかる飛行経路特定処理のイメージ画像の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行経路変更処理のフローチャートを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0009】
図1は、本発明の実施の形態にかかる自動管制システムの構成を示すブロック図である。図示するように、自動管制システムは、複数の無人機1(無人機1a、1b・・・1z)と、通信ネットワーク2と、無人機制御装置3と、自動管制装置4とから構成される。無人機1は、無人機制御装置3と接続されている。また、無人機制御装置3は、通信ネットワーク2を介して自動管制装置4と接続されている。なお、無人機1と無人機制御装置3、及び無人機制御装置3と自動管制装置4は、それぞれ常時接続されていなくてもよく、必要に応じて、接続が可能であればよい。
【0010】
無人機制御装置3は、制御部、及び入力部を有するコンピュータ装置であれば特に限定されないが、例えば、デスクトップ型・ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォンなどが挙げられる。また、自動管制装置4も同様である。
【0011】
無人機制御装置3は、無人機1を所有する輸送業者が管理するものとしてもよい。また、無人機制御装置3は、複数存在しており、それぞれ異なる輸送業者が所有していることとしてもよい。無人機1と無人機制御装置3は、同一の所有者のもの同士は接続が可能であるが、所有者が異なる場合には接続が可能でないこととしてもよい。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態にかかる、無人機制御装置の構成を示すブロック図である。無人機制御装置3は、制御部31、RAM32、ストレージ部33、グラフィック処理部34、通信インタフェース35、インタフェース部36からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0013】
制御部31は、CPUやROMから構成される。制御部31は、ストレージ部33に格納されたプログラムを実行し、無人機制御装置3の制御を行う。RAM32は、制御部31のワークエリアである。ストレージ部33は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部31は、プログラム及びデータをRAM32から読み出して処理を行う。制御部31は、RAM32にロードされたプログラム及びデータを処理することで、描画命令をグラフィック処理部34に出力する。
【0014】
グラフィック処理部34は表示部38に接続されている。表示部38は表示画面39を有している。制御部31が描画命令をグラフィック処理部34に出力すると、グラフィック処理部34は、表示画面39上に画像を表示するためのビデオ信号を出力する。ここで、表示部38はタッチセンサを備えるタッチパネルであってもよい。
【0015】
通信インタフェース35は無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介して、自動管制装置4とデータを送受信することが可能である。通信インタフェース35を介して受信したデータは、RAM32にロードされ、制御部31により演算処理が行われる。インタフェース部36には外部メモリ37(例えば、SDカード等)が接続されている。
【0016】
また、本発明の実施の形態にかかる自動管制装置4の構成は、
図2に示すブロック図を必要な範囲で採用できる。
【0017】
無人機1は、飛行制御部、及びセンサを有しており、無人機制御装置3と接続が可能なものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。無人機1は、航空機タイプのものとして「無人航空機」を、船舶タイプのものとして「無人船舶」、「無人水面効果翼船」を含むものである。ここで、「無人水面効果翼船」とは、水面近くを飛行することができる無人船舶を指すものとする。無人機1の形状は、回転翼機タイプのものでもよく、固定翼機タイプのものでもよい。さらに、無人機1は、飛行経路情報などをもとに自律的に飛行が制御されるものでもよく、操縦者が無線等により操縦することで飛行が制御されるものでもよい。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態にかかる、無人機の構成を示すブロック図である。無人機1は、飛行制御部11、センサ12、カメラ13、変換部14、及びアンテナ15(アンテナ15a、アンテナ15b)を備えている。飛行制御部11、センサ12、及びアンテナ15a、並びにカメラ13、変換部14、及びアンテナ15bは、それぞれ内部バスにより接続されている。また、無人機1は、アンテナ15を介して無人機制御装置3と接続されている。
【0019】
飛行制御部11は、CPUやRAMやROMから構成され、センサ12から得られた情報、及び/又は無人機制御装置3からの飛行経路情報などをもとに無人機1の飛行の制御を行う。センサ12は、図示しないが、ジャイロセンサ、加速度センサ、気圧センサ、超音波センサ、磁気方位センサ、GPS、赤外線センサ、可視光センサなどの各種センサを含む。ジャイロセンサによって無人機1の傾き、すなわち姿勢を、加速度センサによって無人機1の速度を、気圧センサ、及び超音波センサによって無人機1の高度を、磁気方位センサによって無人機1の向いている方向を、GPSによって無人機1の緯度、及び経度を、赤外線センサ、可視光センサ、又は超音波センサによって無人機1の周囲の障害物を主に検知している。飛行制御部11は、アンテナ15を介して無人機制御装置3の制御部31と接続している。
【0020】
カメラ13は、無人機1の周囲の撮影を行う。カメラ13によって撮影された映像データは、変換部14によってデータ形式が変換され、アンテナ15を介して無人機制御装置3に送信される。送信された映像データは、無人機制御装置3のグラフィック処理部34において処理が行われる。
【0021】
本発明の実施の形態にかかる無人機1の飛行制御部、無人機制御装置3の制御部、及び自動管制装置4の制御部には、自動管制システムを利用するための専用のソフトウェアがインストールされている。専用のソフトウェアがインストールされていることで、複数の異なる輸送業者が、各々が管理する無人機制御装置を用いて無人機を飛行させる場合でも、複数の無人機を管制することが可能となる。
【0022】
次に、自動管制システムにおける飛行制御処理について、説明する。
図4は、本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行制御処理のフローチャートを表す図である。
【0023】
まず、無人機制御装置において、無人機の飛行計画情報が入力される(ステップS101)。次に、入力された飛行計画情報は、自動管制装置へ送信される(ステップS102)。送信された飛行計画情報は、自動管制装置において受信される(ステップS103)。受信された飛行計画情報をもとに、後述する飛行経路特定処理がなされ(ステップS104)、無人機の飛行経路が特定される(ステップS205)。そして、特定された飛行経路に関する飛行経路情報が、無人機制御装置へ送信される(ステップS105)。送信された飛行経路情報は、無人機制御装置において受信される(ステップS106)。そして、受信された飛行経路情報は、無人機へ送信される(ステップS107)。送信された飛行経路情報は、無人機において受信される(ステップS108)。そして、受信された飛行経路情報にしたがって、飛行の制御が行われ(ステップS109)、飛行制御処理は終了する。
【0024】
飛行計画情報は、無人機の出発地及び目的地に関する地点情報、無人機の出発時刻及び目的地への到着時刻に関する時刻情報、並びに無人機の最大速度、最高高度、最大飛行時間、最大通信距離、機体のサイズ(全長、全幅、全高)、及び機体重量などに関する機体性能情報を含む。さらに、地点情報として、1以上の目的地とは異なる地点を、経由地に関する情報として含むこととしてもよい。ここで、地点情報は、国土交通省航空局などの行政により定められたウェイポイント情報を基に選択されることとしてもよく、行政とは関係なく任意に定められたウェイポイント情報を基に選択されることとしてもよく、予め定められたウェイポイント情報を利用せず、任意の地点が選択されることとしてもよい。ウェイポイント情報には、緯度、経度、及び/又は高度の情報が含まれる。また、行政とは関係なく任意にウェイポイント情報を定める場合、後述する飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外にウェイポイント情報を定めることが好ましい。
【0025】
飛行経路には、無人機が飛行する経路の緯度、経度及び高度の情報が含まれる。また、飛行経路情報には、特定された飛行経路、出発地、目的地及び/又は経由地に関する地点情報、出発時刻及び到着時刻、飛行速度、並びに予め定められたウェイポイント情報などの情報が含まれる。飛行経路を特定する方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いられる。
【0026】
次に、自動管制システムにおける飛行経路特定処理について、説明する。
図5は、本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行経路特定処理のフローチャートを表す図である。
【0027】
飛行経路特定処理においては、まず、ステップS103において受信された飛行計画情報をもとに、飛行経路が仮特定される(ステップS201)。そして、仮特定された飛行経路が、後述する、飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外であるか否かを判定する(ステップS202)。仮特定された飛行経路が、飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外である場合(ステップS202にてYes)は、次に、仮特定された飛行経路上に、障害物がないか否かを判定する(ステップS203)。仮特定された飛行経路上に、障害物がない場合(ステップS203にてYes)は、次に、仮特定された飛行経路が、他の無人機の飛行経路と重複、交差、又は接しないか否かを判定する(ステップS204)。仮特定された飛行経路が、他の無人機の飛行経路と重複、交差、又は接しない場合(ステップS204にてYes)は、ステップS201にて仮特定された飛行経路が、飛行経路として特定され(ステップS205)、飛行経路特定処理は終了する。
【0028】
ステップS202において、仮特定された飛行経路が飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外でない場合(ステップS202にてNo)、ステップS203において、仮特定された飛行経路上に障害物がある場合(ステップS203にてNo)、及びステップS204において、仮特定された飛行経路が他の無人機の飛行経路と重複、交差、又は接する場合(ステップS204にてNo)は、いずれも、再度ステップS201の飛行経路の仮特定が行われる。
【0029】
ステップS201においては、出発地、及び目的地に基づいて飛行経路が仮特定される。その際には、出発地の近傍のウェイポイントを辿り、目的地に到着するように飛行経路が仮特定されることとしてもよい。出発地の近傍のウェイポイントを辿り、目的地に到着するように飛行経路が仮特定されることで、飛行経路の特定に係る処理負荷を軽減することができ、また、飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外の飛行経路を仮特定することが容易になる。
【0030】
また、無人機が目的地に到着するまでの間に、1以上の経由地を経由するよう、飛行経路を仮特定できることとしてもよい。
【0031】
次に、飛行可能領域記憶処理について説明する。
図6は、本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行可能領域記憶処理のフローチャートを表す図である。飛行可能領域記憶処理では、自動管制装置において飛行可能領域、及び/又は飛行禁止領域の入力が行われる(ステップS301)。そして、入力された飛行可能領域、及び/又は飛行禁止領域が記憶され(ステップS302)、飛行可能領域記憶処理は終了する。
【0032】
ここで、飛行可能領域とは、無人機による飛行が可能な領域のことをいい、航空法、及び地方公共団体の条例などによって定められた飛行可能領域のこととしてもよく、輸送業者などの無人機の管理者によって任意に定められた飛行可能領域のこととしてもよい。また、飛行禁止領域とは、無人機による飛行が不可能な領域のことをいい、航空法、及び地方公共団体の条例などによって定められた飛行禁止領域のこととしてもよく、輸送業者などの無人機の管理者によって任意に定められた飛行禁止領域のこととしてもよい。さらに、飛行禁止領域でない領域は全て飛行可能領域であるとしてもよく、飛行禁止領域にも飛行可能領域にも該当しない領域が存在することとしてもよい。
【0033】
飛行可能領域、及び飛行禁止領域は、該領域の緯度、経度、高度の情報を基に特定されることとしてもよい。また、ステップS202において、仮特定された飛行経路が、飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外であるか否かは、仮特定された飛行経路の緯度、経度、高度が、飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外の緯度、経度、高度に含まれるか否かで判定されることとしてもよい。
【0034】
飛行経路特定処理のステップS203においては、仮特定された飛行経路上に、仮特定された飛行経路の高度を超える、山などの自然物、及び/又は建物などの人工物に相当する障害物があるか否かを判定する。なお、山などの自然物、及び/又は建物などの人工物の高度などの、地表面に関する情報は、前述の飛行可能領域記憶処理において、自動管制装置4に記憶されることとしてもよい。
【0035】
ところで、飛行経路特定処理を複数の無人機について行う場合には、先に入力された飛行計画情報から、順次飛行経路特定処理を行う。そのため、ステップS204において、仮特定された飛行経路が先に特定された他の無人機の飛行経路と重複、交差、又は接する場合には、後に入力された飛行計画情報に基づく飛行経路に対して、再度、ステップS201の飛行経路の仮特定が行われる。このとき、後に入力された飛行計画情報に基づく飛行経路は、先に特定された他の無人機の飛行経路と異なる高度となるよう、仮特定が行われる。その際、どちらの無人機の飛行経路を高い高度とするかは、無人機の機体性能情報に基づいて特定されることとしてもよい。例えば、最大速度が小さい無人機に比べ、最大速度が大きい無人機は、高度を上げるためにかかる時間が短いと考えられるため、最大速度がより大きい無人機の飛行経路を、より高い高度とすることとしてもよい。また、他の無人機の飛行経路と異なる高度となるよう飛行経路の仮特定が行われる際には、飛行経路全体を他の無人機の飛行経路と異なる高度となるようにすることとしてもよく、飛行経路の少なくとも一部を他の無人機の飛行経路と異なる高度となるようにすることとしてもよい。
【0036】
ここで、仮特定された飛行経路が他の無人機の飛行経路と重複、交差、又は接するとは、出発時刻、到着時刻、飛行速度を加味して同時刻に他の無人機が飛行すると予測される飛行経路と重複、交差、又は接することとしてもよく、同日に飛行する他の無人機の飛行経路と重複、交差、又は接することとしてもよい。
【0037】
飛行経路が重複するとは、飛行経路が重なることを、飛行経路が交差するとは、飛行経路が交わることを、飛行経路が接するとは、飛行経路が接点において接線を共有することを表す。また、飛行経路が重複、交差、又は接するとは、飛行経路の少なくとも一部が重複、交差、又は接することを表す。
【0038】
以上のように、ステップS202~S204の判定を行うことで、出発地、及び目的地に基づき、かつ、飛行可能領域内、及び/又は飛行禁止領域外で、障害物及び他の無人機と衝突を回避できる飛行経路が、ステップS205において飛行経路として特定される。
【0039】
図7は、本発明の実施の形態にかかる飛行経路特定処理のイメージ画像の一例を示す図である。
図7(a)はイメージ画像の全体図、
図7(b)は、飛行経路の高度が見やすいよう、イメージ画像の飛行経路部分を斜視した図である。イメージ画像50は、無人機制御装置3、及び/又は自動管制装置4の表示画面に表示されることとしてもよい。
図7(a)のイメージ画像50には、ステップS302において記憶された、飛行可能領域51、及び飛行禁止領域52が示されている。また、
図7(a)のイメージ画像50には、任意に定められたウェイポイントアイコン57が示されている。無人機1aについて任意に定められたウェイポイントから出発地、及び目的地を選択し、飛行経路を特定した場合、図示するように、無人機1aの飛行計画情報に対応する出発地アイコン53a、及び目的地アイコン54aが示されることとしてもよい。そして、ステップS205において特定された無人機1aの飛行経路を、飛行経路56aとして示した。無人機1aについての飛行経路を特定した後に、無人機1bについて飛行経路を特定する場合を想定する。無人機1bの飛行計画情報に対応する出発地アイコン53b、及び目的地アイコン54bが
図7(a)のような配置であった場合、ステップS201において仮特定された無人機1bの飛行経路は、仮飛行経路55bのようになる。飛行経路56aと仮飛行経路55bは交差しているため、ステップS204においてNoと判定され、再度ステップS201の飛行経路の仮特定が行われる。ステップS201においては、
図7(b)に示すように、無人機1bの飛行経路56bが、無人機1aの飛行経路56aと異なる高度になるよう特定される。
【0040】
このように、複数の無人機の飛行計画情報をもとに、各無人機の飛行経路が特定され、特定された飛行経路情報にしたがって無人機の飛行が制御されることで、所有者の異なる複数の無人機を管制することが可能となる。
【0041】
また、無人機の出発地及び目的地に基づいて飛行経路が特定されることで、操縦者がいなくとも、無人機が出発地から目的地まで、自律的に飛行することが可能となる。
【0042】
さらに、自動管制装置が、無人機による飛行が可能な飛行可能領域、又は無人機による飛行が可能でない飛行禁止領域を記憶し、飛行可能領域を飛行経路として特定する、又は飛行禁止領域を除く領域を飛行経路として特定することで、操縦者がいなくとも、無人機が飛行可能な領域を、自律的に飛行することが可能となる。
【0043】
また、無人機について仮特定された飛行経路が、他の無人機について特定された飛行経路と重複、交差、又は接する場合に、該無人機と他の無人機が異なる高度を飛行するよう、飛行経路が特定されることで、複数の無人機の飛行経路が重複、交差、又は接した場合でも、無人機同士の衝突を回避できるよう、複数の無人機を管制することが可能となる。
【0044】
上記のように飛行制御処理を行うことで、自動管制装置において特定された飛行経路情報にしたがって飛行を制御された無人機(以下、自律飛行している無人機という)同士は、衝突を回避することが可能である。一方、操縦者が操縦を行っている無人機(以下、操縦されている無人機という)は、自動管制装置において特定された飛行経路情報にしたがって飛行が制御されていないため、自律飛行している無人機と衝突する可能性がある。
【0045】
しかしながら、本発明の自動管制システムを利用するための専用のソフトウェアが飛行制御部にインストールされている無人機は、操縦者が操縦を行っていても、飛行中に無人機制御装置3へ飛行情報の送信を行う。そのため、以下のような飛行経路変更処理を行うことで、自律飛行している無人機と操縦されている無人機との衝突を回避できるよう、自律飛行している無人機の飛行経路を変更することが可能となる。
【0046】
図8は、本発明の実施の形態にかかる自動管制システムにおける飛行経路変更処理のフローチャートを表す図である。
【0047】
まず、自律飛行している無人機、及び操縦されている無人機から、無人機制御装置3へ、飛行情報が送信される(ステップS401)。次に、無人機制御装置3において飛行情報が受信される(ステップS402)。受信された飛行情報は、自動管制装置4へ送信される(ステップS403)。自動管制装置4において、飛行情報が受信される(ステップS404)。受信された飛行情報に基づいて、自律飛行している無人機の衝突の可能性が予測される(ステップS405)。自律飛行している無人機に衝突の可能性がある場合(ステップS406にてYes)には、自律飛行している無人機の飛行経路情報を変更するための、飛行経路変更情報が生成される(ステップS407)。そして、生成された飛行経路変更情報が、自律飛行している無人機に対応する無人機制御装置3に送信される(ステップS408)。無人機制御装置3において、飛行経路変更情報が受信される(ステップS409)。受信された飛行経路変更情報は、自律飛行している無人機に送信される(ステップS410)。自律飛行している無人機において、飛行経路変更情報が受信される(ステップS411)。受信された飛行経路変更情報にしたがって、自律飛行している無人機の飛行の制御が行われ(ステップS412)、飛行経路変更処理が終了する。なお、自律飛行している無人機に衝突の可能性がない場合(ステップS406にてNo)には、飛行経路変更処理が終了する。
【0048】
ここで、飛行情報は、無人機の飛行している緯度、経度、高度、方向、速度等の情報を含む。飛行情報は、無人機のGPS、気圧センサ、超音波センサ、磁気方位センサ、及び/又は加速度センサによって検知される。あるいは、飛行情報は、赤外線センサ、可視光センサ、又は超音波センサによって検知される周囲の障害物、及び/又はカメラ13によって撮影される映像の情報を含むこととしてもよい。
【0049】
ステップS405における衝突の可能性の予測には、従来公知の方法を用いることができる。例えば、無人機の飛行している方向、速度をベクトルで表し、自律飛行している無人機、及び操縦されている無人機の緯度、経度、高度の情報から、三角法を用いて衝突の可能性を予測することとしてもよい。
【0050】
また、衝突とは、自律飛行している無人機と操縦されている無人機とが物理的に接触することでもよく、自律飛行している無人機と操縦されている無人機とが所定の距離以内に近づくこととしてもよい。このときの所定の距離とは、例えば、1mでもよく、5mでもよく、10mでもよい。所定の距離は、無人機の機体のサイズ、及び、GPS、気圧センサ、超音波センサの性能などに起因する緯度、経度、及び高度情報の精度などを考慮して決定することが好ましい。
【0051】
ステップS406における衝突の可能性があるか否かの判定においては、自律飛行している無人機の飛行経路を変更しない場合に、自律飛行している無人機と操縦されている無人機とが衝突する可能性が0%より大きいときに衝突の可能性があると判定されることとしてもよく、自律飛行している無人機と操縦されている無人機とが衝突する可能性が30%以上のときに衝突の可能性があると判定されることとしてもよく、自律飛行している無人機と操縦されている無人機とが衝突する可能性が50%以上のときに衝突の可能性があると判定されることとしてもよい。
【0052】
ステップS407において生成される飛行経路変更情報とは、ステップS109において自律飛行している無人機が飛行を制御するために用いていた飛行経路情報を変更するための情報である。具体的には、自律飛行している無人機が、一度操縦されている無人機から離れる地点に飛行し、その地点から新たに目的地に向かうよう特定された飛行経路に関する情報、又は自律飛行している無人機が、操縦されている無人機と衝突する可能性がなくなるまでその場でホバリングを行った後に、再び目的地に向かうよう特定された飛行経路に関する情報などのことをいう。なお、操縦されている無人機から離れた地点から新たに目的地に向かうよう飛行経路を特定する際には、
図5の飛行経路特定処理の記載を必要な範囲で採用することができる。
【0053】
このように、一の無人機の飛行情報と、他の無人機の飛行情報とに基づいて、一の無人機と他の無人機の衝突の可能性を予測し、衝突の可能性が予測された場合に、一の無人機の飛行経路情報を変更するための飛行経路変更情報を生成し、無人機が、飛行経路変更情報にしたがって、無人機の飛行を制御することで、自律飛行している無人機と操縦されている無人機が混在する場合でも、無人機同士の衝突を回避できるよう、複数の無人機を管制することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 :無人機
2 :通信ネットワーク
3 :無人機制御装置
4 :自動管制装置
11 :飛行制御部
12 :センサ
13 :カメラ
14 :変換部
15 :アンテナ
31 :制御部
32 :RAM
33 :ストレージ部
34 :グラフィック処理部
35 :通信インタフェース
36 :インタフェース部
37 :外部メモリ
38 :表示部
39 :表示画面
50 :イメージ画像
51 :飛行可能領域
52 :飛行禁止領域
53 :出発地アイコン
54 :目的地アイコン
55 :仮飛行経路
56 :飛行経路
57 :ウェイポイントアイコン