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特開2023-29361包装材料及び経口パウチ入りニコチン製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029361
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】包装材料及び経口パウチ入りニコチン製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A24B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】46
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022196401
(22)【出願日】2022-12-08
(62)【分割の表示】P 2021556582の分割
【原出願日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】1950331-7
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ボディン
(57)【要約】
【課題】本発明は、充填材料を封入するために、経口パウチ入りニコチン製品で使用するための包装材料に関する。
【解決手段】充填材料は、粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含む。包装材料は、カーディングされた繊維を含む唾液透過性の不織布材料である。カーディングされた繊維の50%~100%はセルロース系短繊維であり、カーディングされた繊維の0%~50%は熱可塑性繊維であり、%の数は21℃及び50% RHにおけるカーディングされた繊維の総質量に対する。包装材料は結合剤を更に含む。セルロース系短繊維は、1.7デシテックス未満の線密度を有し、包装材料は30g/mを超える坪量を有する。本発明は、そのような包装材料を含む経口パウチ入りニコチン製品にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材料を封入するために、経口パウチ入りニコチン製品で使用するための包装材料であって、前記充填材料は、粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含み、前記包装材料はカーディングされた繊維を含む唾液透過性の不織布材料であり、
前記カーディングされた繊維の50%~100%はセルロース系短繊維であり、
前記カーディングされた繊維の0%~50%は熱可塑性繊維であり、%の数は21℃及び50% RHにおけるカーディングされた繊維の総質量に基づいており、
前記包装材料は、結合剤を更に含み、前記結合剤は前記包装材料の総質量の20%~60%を占め、
前記セルロース系短繊維は1.7デシテックス未満の線密度を有し、前記包装材料は30g/mを超える坪量を有する、包装材料。
【請求項2】
前記カーディングされた繊維の55%~99%がセルロース系短繊維である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記カーディングされた繊維の58%~95%がセルロース系短繊維である、請求項2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記カーディングされた繊維の1%~45%が熱可塑性繊維である、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項5】
前記カーディングされた繊維の5%~42%が熱可塑性繊維である、請求項4に記載の包装材料。
【請求項6】
前記カーディングされた繊維が、前記セルロース系短繊維及び前記熱可塑性繊維からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記包装材料が、前記セルロース系短繊維、前記熱可塑性繊維及び前記結合剤からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項8】
前記包装材料の前記坪量が≧32g/mである、請求項1から7のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項9】
前記包装材料の前記坪量が≧34g/mである、請求項8に記載の包装材料。
【請求項10】
前記包装材料の前記坪量が≧36g/mである、請求項9に記載の包装材料。
【請求項11】
前記包装材料の前記坪量の上限が45g/mである、請求項1から10のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項12】
前記セルロース系短繊維が、天然セルロース繊維又は人造セルロース系繊維、例えば、レーヨン、リヨセル又はビスコース等の再生セルロース繊維である、請求項1から11のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項13】
前記セルロース系短繊維が、≦1.5デシテックスの線密度を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項14】
前記セルロース系短繊維が、≦1.3デシテックスの線密度を有する、請求項13に記載の包装材料。
【請求項15】
前記セルロース系短繊維が、≦1.1デシテックスの線密度を有する、請求項14に記載の包装材料。
【請求項16】
前記セルロース系短繊維が、≦0.9デシテックスの線密度を有する、請求項15に記載の包装材料。
【請求項17】
前記セルロース系短繊維が、30~80mmの範囲内の長さを有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項18】
前記セルロース系短繊維が、38~60mmの範囲内の長さを有する、請求項17に記載の包装材料。
【請求項19】
前記熱可塑性繊維が、PP、PLA、PET、PP/PE、PLA/co-PLAのうちの1種又は複数種である、請求項1から18のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項20】
前記熱可塑性繊維が、30~80mmの範囲内の長さを有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項21】
前記熱可塑性繊維が、38~60mmの範囲内の長さを有する、請求項20に記載の包装材料。
【請求項22】
前記熱可塑性繊維が、≦4.4デシテックスの線密度を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項23】
前記熱可塑性繊維が、≦2.2デシテックスの線密度を有する、請求項22に記載の包装材料。
【請求項24】
前記熱可塑性繊維が、110~260℃の範囲内に融点を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項25】
前記熱可塑性繊維が、130~170℃の範囲内に融点を有する、請求項24に記載の包装材料。
【請求項26】
前記結合剤が、前記包装材料の総質量の25%~55%を占める、請求項1から25のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項27】
前記包装材料は、シールが超音波溶封により作製されたという前提で、少なくとも0.2N/mmの乾燥シール強度を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項28】
前記包装材料は、シールが超音波溶封により作製されたという前提で、少なくとも0.25N/mmの乾燥シール強度を有する、請求項27に記載の包装材料。
【請求項29】
前記包装材料が、≦4000 l/m/秒の空気透過率を有する、請求項1から28のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項30】
前記包装材料が、≦3500 l/m/秒の空気透過率を有する、請求項29に記載の包装材料。
【請求項31】
前記包装材料が、≦3000 l/m/秒の空気透過率を有する、請求項30に記載の包装材料。
【請求項32】
前記包装材料が、≦300μmの細孔サイズの中央値を有する、請求項1から31のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項33】
前記包装材料が、≦250μmの細孔サイズの中央値を有する、請求項32に記載の包装材料。
【請求項34】
前記粒子状非タバコ材料の粒子が、50から500μmの範囲内に平均粒子サイズを有している、請求項1から33のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項35】
前記包装材料が、包装材料を通じた粉体の漏出量のための方法で測定して、≦400mgの粉体漏出量を有する、請求項1から34のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項36】
前記包装材料が、包装材料を通じた粉体の漏出量のための方法で測定して、≦200mgの粉体漏出量を有する、請求項35に記載の包装材料。
【請求項37】
前記結合剤が、前記カーディングされた繊維の化学結合のために使用される、請求項1から36のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項38】
前記結合剤は、以下のモノマー:酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチルアクリレートのいずれかの重合により形成される1種又は複数種のビニルポリマー/コポリマーのエマルションとして分類されている、請求項1から37のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項39】
前記カーディングされた繊維が、水流絡合されていない、請求項1から38のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項40】
経口パウチ入りニコチン製品であって、前記製品は、充填材料のポーション及び唾液透過性のパウチを含み、前記充填材料は、粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含み、前記パウチは前記ポーションを封入し、前記パウチは、請求項1から39のいずれか一項に記載の包装材料を含むか又はそれからなり、前記包装材料は、前記ポーションを封入するために少なくとも1つのシールでシールされている、経口パウチ入りニコチン製品。
【請求項41】
前記熱可塑性繊維は、前記シール中に、少なくとも部分的に溶融している、請求項40に記載の経口パウチ入りニコチン製品。
【請求項42】
前記熱可塑性繊維は、前記シール中に、実質的に溶融している、請求項41に記載の経口パウチ入りニコチン製品。
【請求項43】
製品からの粉体の漏出量のための方法で測定して、≦100mgの粉体漏出量を有する、請求項40から42のいずれか一項に記載の経口パウチ入りニコチン製品。
【請求項44】
製品からの粉体の漏出量のための方法で測定して、≦50mgの粉体漏出量を有する、請求項43に記載の経口パウチ入りニコチン製品。
【請求項45】
前記ニコチン供給源は、ニコチン塩及び/又はニコチン塩基である、請求項40から44のいずれか一項に記載の経口パウチ入りニコチン製品。
【請求項46】
前記ニコチン供給源は、イオン交換樹脂に塩橋を通して結合されており、
前記イオン交換樹脂は、前記ニコチン供給源のための固体支持体として機能している、請求項45に記載の経口パウチ入りニコチン製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口パウチ入りニコチン製品で使用するための包装材料及び経口パウチ入りニコチン製品に関する。
【背景技術】
【0002】
経口使用のための無煙タバコ製品は、タバコ葉の葉身及び葉柄等のタバコ葉から作製される。根及び茎からの材料は、経口使用のための無煙タバコ組成物を製造するために通常は利用されない。
【0003】
経口使用のための無煙タバコは、噛みタバコ、乾燥嗅ぎタバコ及び湿性(濡れた)嗅ぎタバコを含む。一般的に、乾燥嗅ぎタバコは、10質量%未満の含水率を有し、湿性嗅ぎタバコは40質量%を越える含水率を有する。10%から40質量%の間の含水率を有する半乾燥製品も利用可能である。
【0004】
2つのタイプの湿性嗅ぎタバコ、アメリカタイプ及びスカンジナビアタイプがある。スカンジナビアタイプの湿性嗅ぎタバコは、スヌースとも言われる。アメリカタイプの湿性嗅ぎタバコは、一般的に加湿されて粉砕又は切断されたタバコの発酵工程を通して製造される。スカンジナビアタイプの湿性嗅ぎタバコ(スヌース)は、一般的に発酵の代わりに熱処理工程(殺菌)を使用することにより製造される。主に、この両方の工程は、加工処理されていないタバコの苦味を低下させて、タバコの口当たりも和らげるため、加工処理されていないタバコは湿性嗅ぎタバコの製造に使用されない。熱処理は、タバコ製剤内における少なくとも微生物の一部を分解、破壊又は変性させるためにも実施される。
【0005】
経口使用のためのアメリカタイプ及びスカンジナビアタイプの湿性嗅ぎタバコは、両方とも、ルーズ形態で、又はパウチを形成する、唾液透過性で多孔性の巻き材料にポーションパックされて利用可能である。スヌースを含むパウチ入り湿性嗅ぎタバコは、典型的には、消費者によって、パウチを上又は下の歯茎と唇との間に入れて、そこに限定された時間置くことにより使用される。パウチ材料は、唾液がタバコの中に通って、香味料及びニコチンがタバコ材料から消費者の口中に拡散することが可能になる間、タバコを適切な場所に保つ。
【0006】
経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品で使用される包装材料とも言われるパウチ材料は、唾液透過性の不織布である。不織布は、織られても編まれてもいない布帛である。
【0007】
公知の技術により、数通りの異なる方法が、ウェブ中で繊維を結合して一緒にするために使用され得て、ウェブコンソリデーションとも呼ばれる。異なるタイプの結合方法は、機械的結合として、例えば、針パンチング、縫合結合、水流絡合、化学結合として、例えば、飽和結合、噴霧結合、フォーム結合、粉体結合、印刷結合、及び熱的結合として、例えば、熱カレンダー中における点結合に分類され得る。2通り以上の結合方法が、不織布を統合するために使用されることもある。化学結合では、結合剤又は接着剤とも呼ばれるバインダーが、繊維と化合する。このタイプの不織布は、一般的に化学的に結合した又は接着剤で結合した不織布と呼ばれる。
【0008】
経口使用のためのパウチ入り無煙タバコ製品は、パウチ形成後に後加湿されても、又はパウチ形成後に後加湿されなくてもよい。後加湿されていない経口使用のためのパウチ入り無煙タバコ製品は、本明細書では、非後加湿と称する。後加湿されたパウチ入り製品は、パウチ入り無煙タバコ製品に水を噴霧した後、パウチ入り製品を缶中で包装することにより製造することができる。湿性又は半乾燥嗅ぎタバコを含む最終の経口パウチ入り無煙タバコ製品の含水率は、通常、パウチ入り製品の質量(即ち、湿性嗅ぎタバコ及びパウチ材料の総質量)に対して25から55%質量/質量の範囲内である。
【0009】
いかなるタバコ材料も含有しない、経口使用のための無煙非タバコ製品もある。実際、経口無煙非タバコ製品は、非タバコ植物材料及び/又は充填材料を含む。
【0010】
経口無煙非タバコ製品に対する少量のタバコの添加は、経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品を提供する。したがって、経口無煙嗅ぎタバコ製品は、少量のタバコに加えて、本明細書に記載されたような非タバコ植物材料及び/又は本明細書に記載されたような充填材料を含む。
【0011】
経口使用のためのニコチンを含まない湿性非タバコ嗅ぎタバコ製品の例及びそれらの製造は、WO 2007/126361及びWO 2008/133563で提供される。経口使用のためのこのタイプの非タバコ嗅ぎタバコ製品は、ルーズ形態で、又はパウチを形成する、唾液透過性で多孔性の巻き材料にポーションパックされて提供されてもよい。
【0012】
ニコチン含有経口無煙非タバコ製品、又は前記製品中でタバコにより提供されるニコチンに加えて、ニコチンを含有する経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品について、ニコチンは、合成ニコチン及び/又はタバコ植物から抽出されたニコチンであってもよい。更に、ニコチンは、ニコチン塩基及び/又はニコチン塩の形態で存在していてもよい。
【0013】
本明細書において使用する嗅ぎタバコ製品という用語は、製品の用法に関する。製品は、使用者の口の上及び下の歯茎と唇との間に、快適かつ目立たないようにフィットするように構成される。それ故、本明細書で使用される用語としての嗅ぎタバコ製品は、タバコを含むか又はタバコを含まない製品であることもある。
【0014】
経口無煙非タバコ製品又は経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品は、乾燥、半乾燥であるか又は湿っていることもある。一般的に、乾燥した経口無煙非タバコ製品又は乾燥した経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品は、10質量%未満の含水率を有し、湿性経口無煙非タバコ製品又は湿性経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品は、40質量%を超える含水率を有する。半乾燥経口無煙非タバコ製品又は半乾燥経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品は、10質量%と40質量%との間の含水率を有する。
【0015】
経口無煙非タバコ製品又は経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品は、香味料と経口無煙非タバコ製品の成分又は経口無煙嗅ぎタバコ製品の成分とを製造中に混合することにより風味付けされてもよい。それに加えて又は或いは、香味料は、経口無煙非タバコ製品又は経口無煙嗅ぎタバコ製品に、それが製造された後で添加されてもよい。
【0016】
パウチ入り無煙タバコ製品は、無煙タバコ組成物のポーションを計量して、そのポーションを不織布チューブ中に挿入することにより製造することができる。
【0017】
US 4,703,765は、精密な量の微細に分割された、嗅ぎタバコ等のタバコ製品を、充填チューブを通して嗅ぎタバコポーションが注入される管状包装材料に包装するためのデバイスを開示している。チューブから下流に、溶封手段が、包装材料を横向きにシールするために位置しており、包装材料を横向きシールの区域で切断して、したがって別個の又は個々のポーションパッケージを形成するための切断手段も位置している。
【0018】
パウチ入り無煙タバコ製品は、US 6,135,120で開示されたデバイスにより、別の方法で、パウチを包装する機械を使用して、湿性嗅ぎタバコのポーションを不織布ウェブ上に置くことにより製造されてもよい。
【0019】
個々のポーションはシールされて切り分けられ、それにより、方形の「枕形」(又は任意の他の所望の形態の)のパウチ入り製品を形成する。一般的に、最終の各パウチ入り製品は、向かい合う終端に平行な横向きのシール、及び横向きのシールと直交する縦のシールを含む。シールは、消費者が嫌な経験をしないよう、使用中にパウチ入り製品の完全性を保持する十分な強度がなければならない。
【0020】
経口パウチ入り無煙タバコ製品は、規格化されて、使用者の口の上及び下の歯茎と唇との間に、快適かつ目立たないようにフィットするように構成される。
【0021】
経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品のための包装材料として、典型的には、使用者の口腔に入れられたときの強度と快適さとの間の兼ね合いがある。包装材料は、パウチ入り製品の外側を形成し、したがって、口腔と、典型的には歯と歯茎との間に接触している。包装材料の強度は、パウチ入り製品の製造中に、包装材料自体の製作中に、包装材料を取り扱うために、及び口腔で使用中のパウチ入り製品のために、望ましく十分高くあるべきである。したがって、パウチ入り製品のシールは十分強いことが重要である。更に、包装材料は、望ましくは、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品が使用者の口腔に入れられたときに快適であるように十分柔軟であるべきである。一般的に使用される包装材料は、特にパウチ入り製品中で包装材料により封入された無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物中に含まれる刺激的な香味料に曝されたときに、あまり望ましくないパウチ入り製品のシール強度を有することにしばしば悩まされることがある。
【0022】
唾液透過性のパウチが粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含む充填材料を封入している、経口パウチ入りニコチン製品を製造する場合、包装材料に対する要求は、漏出を避けるために、充填材料がタバコを含む経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品よりも高く、その理由は、個々の要素、例えば、充填材料の粒子が、より小さく、したがってより容易に包装材料を通り抜け得る、即ち漏れ得るからである。
【0023】
漏出がある場合には、種々の形で問題が生じ得る。製品の製造中の漏出は、充填材料の粒子がシール中に入るので、シールの品質が低下し、したがってシール強度が減少することをもたらし得る。更に、製造機械中における残存物の蓄積があり得る。これらが、製作ライン上に落下して戻り、例えば、製品の外側又はシール中に行き着き得る。それに加えて、残存物は、例えば、それらが空気中に広がり得るので、作業環境にとって望ましくない。
【0024】
それに加えて、漏出は、製品の後期の取り扱い中に、製品が缶とも呼ばれる容器中に入れられたときに起こり得る。例えば、容器は、輸送中に及び使用者によって運ばれるときに、振動することがある。その時に、充填材料がパウチから缶中に漏出し得るというリスクがある。
【0025】
本発明の目的は、先行技術と関連する問題のいくつかを克服又は少なくとも緩和することである。
【0026】
定義
「タバコ」により、ニコチアナ属(genus Nicotiana)の任意のメンバーの任意の部分、例えば、葉、葉柄、及び茎が意味される。タバコは、全体であっても、断片化されていても、扱かれていても、切られていても、粉砕されていても、保蔵処理されていても、熟成されていても、発酵されていても、又は何らかの他の方法で処理されていても、例えば、顆粒化されて又はカプセル化されていてもよい。
【0027】
用語「タバコ嗅ぎタバコ組成物(tobacco snuff composition)」は、本明細書では、微細に分割されたタバコ材料、例えば、粉砕されたタバコ材料又は切られたタバコ等について使用される。タバコ嗅ぎタバコ組成物は、タバコ材料に加えて、以下:水、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及びそれらの任意の組合せ)、pH調節剤、着香剤、冷却剤、加熱剤、甘味剤、着色剤、保湿剤(例えば、プロピレングリコール又はグリセロール)、酸化防止剤、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウム)、結合剤、崩壊助剤の少なくとも1種を更に含むことができる。一例では、無煙嗅ぎタバコ組成物は、微細に分割されたタバコ材料、塩化ナトリウム等の塩、及びpH調節剤を含むか又はそれらからなる。タバコ嗅ぎタバコ組成物は、乾燥していても又は湿っていてもよい。タバコ嗅ぎタバコ組成物は、歯と歯茎との間で使用され得る。
【0028】
「非タバコ組成物」とは、いかなるタバコ材料も含有しない、タバコ嗅ぎタバコ組成物と同様な方法で又は同じ方法で使用され得る組成物である。タバコの代わりに、非タバコ組成物は、非タバコ植物繊維及び/又は充填材料を含有することができる。微結晶性セルロース繊維等の加工処理された繊維も使用され得る。充填材料は、粒子の形態で存在していてもよい。例えば、充填材料は、微結晶性セルロースの粒子等の粒子状充填材料であってもよい。非タバコ組成物は、ニコチンを含有することもあり、即ち、それはニコチン含有非タバコ組成物であってもよい。或いは、非タバコ組成物は、ニコチンを含有しないか又はニコチンを実質的に含有しなくてもよく、即ち、それは、ニコチンを含まない非タバコ組成物であってもよい。本明細書において使用する場合、「ニコチンを実質的に含まない」という表現は、組成物の総乾燥質量に対して1質量パーセント以下のニコチンの量を意図する。
【0029】
「経口」及び「経口使用」は、本明細書で全ての文脈で、口内配置等の口腔中における使用のための記載として使用される。その場合、製品は、製品が全体として口腔中に含有されるような、歯茎と上又は下の唇との間等の口腔内配置のためを意図される。製品は、嚥下されることは意図されない。
【0030】
本明細書において使用する「パウチ入り製品」又は「経口パウチ入り製品」とは、口腔中における口内設置による等の経口使用のためを意図される唾液透過性のパウチ材料中に包装された、煙が少ないタバコ組成物又は非タバコ組成物のポーションを指す。或いは、経口パウチ入り製品は、経口使用のためにポーションパック(パウチ入り)製品と称されることもある。その場合、用語「ポーション」は、ポーションパック製品のために適当な無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の量を指す。
【0031】
本明細書において使用する用語「含水率」とは、言及される製剤、組成物又は製品中の水及び他のオーブン揮発性物質(例えば、プロピレングリコール)等のオーブン揮発性成分の総量を指す。含水率は、本明細書では、言及される製剤、組成物又は製品の総質量の質量パーセント(質量%)として与えられる。ある繊維状の材料は、吸湿性の性質を示すことがある。吸湿性材料は、周囲の湿気及び温度に依存して平衡含水率を維持する。本明細書で言及される含水率は、参照文献Federal Register/vol. 74、no. 4/712~719/Wednesday、January 7、2009/Notices「Total moisture determination」及びAOAC(Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02: 「Moisture in Tobacco」(1990)、第5版、K. Helrich(編)に基づく方法を使用することにより決定することができる。この方法では、含水率は、環境条件で2.5±0.25gの試料を取って、試料を秤量することにより質量で決定され、本明細書では、質量は22℃の温度及び60%の相対湿度(RH)における、湿気の蒸発前及び脱水完了後の値と定義される。本明細書で記載される実験では、Mettler Toledo社のMoisture Analyzer HB43という、ハロゲン加熱技術を用いる天秤が使用される(言及した参照文献におけるオーブン及び天秤ではなく)。試料は105℃(言及した参照文献における99.5±0.5℃ではなく)に加熱される。測定は90秒の時間枠中に質量変化が1mg未満になったときに停止される。次に、質量パーセントとしての試料の含水率が、Moisture Analyzer HB43により自動的に計算される。
【0032】
「香料」又は「着香剤」とは、本明細書では、エッセンシャルオイル、単一の香味料化合物、配合された香味料、及び抽出物を含むが、これらに限定されない、ニコチン製品の芳香及び/又は味に影響するために使用される物質について使用される。
【0033】
本明細書において使用する「%質量/質量(%w/w)」、「質量/質量%(w/w%)」、「質量%(wt%)」、「質量%(weight%)」、又は「質量%(% by weight)」は、言及される製剤、組成物又は製品の総質量について言及される成分の質量パーセントを指す。
【0034】
本明細書において使用する場合、「乾燥質量パーセント」、「乾燥質量に対する質量%」等の言及は、乾燥した成分、即ち、含水率を除外して言及される製剤、組成物又は製品の全成分の総質量を基準にして言及される成分の質量パーセントを指す。
【0035】
本明細書において使用する場合、「含水質量パーセント」、「含水質量に対する質量%」等の言及は、成分、即ち、含水率を含む、言及される製剤、組成物又は製品の全成分の総質量を基準にして言及される成分の質量パーセントを指す。したがって、本明細書において使用する「総質量に対する質量%」は、「含水質量に対する質量%」と同じである。
【0036】
本明細書において使用する用語「経口使用のためのパウチ入りニコチン製品」又は「経口パウチ入りニコチン製品」とは、経口使用を意図される、唾液透過性のパウチ材料中に包装されたニコチン含有充填材料のポーションを指す。経口パウチ入りニコチン製品の2つの例は、経口パウチ入りニコチン非タバコ製品及び経口パウチ入り低タバコニコチン製品である。
【0037】
本明細書において使用する用語「経口パウチ入りニコチン非タバコ製品」、「経口パウチ入りタバコを含まないニコチン製品」又は「タバコを含まない経口パウチ入りニコチン製品」は、経口使用が意図される、タバコが前記製品に含まれない唾液透過性のパウチ材料中に包装されたニコチン含有充填材料のポーションを指す。
【0038】
本明細書において使用する用語「経口パウチ入り低タバコニコチン製品」は、充填材料の総質量に対して約0.1質量%から約10%質量又は約0.1質量%から約5%質量の範囲内の量のタバコ材料の量が、前記製品中に含まれる、経口使用が意図される、唾液透過性のパウチ材料中に包装されたニコチン含有充填材料のポーションを指す。
【0039】
本明細書において使用する用語「非粒子状」とは、粒子状形態にない成分を指す。例えば、本明細書に記載される着香剤は、液体、油又はそれらの混合物等の非粒子状着香剤であってもよい。
【0040】
本明細書において使用する場合、用語「粒子状非タバコ材料」とは、粒子を含む非タバコ材料を指す。粒子は、50から500μmの範囲内に平均粒子サイズを有することができる。
【0041】
例示的な微結晶性セルロースは、典型的には塩化水素等の強い鉱酸を用いて加水分解により精製されたセルロース供給源材料の非晶質(繊維状のセルロース)領域を除くことにより得られる微結晶凝集塊を含有する高度に結晶性の粒子状セルロースであると、EP1803443 A2に記載されている。酸加水分解工程は、典型的には約15から250μmの平均サイズ範囲を有する主に粗粒子状凝集の微結晶性セルロースを生ずる。そのような微結晶性セルロースは、本明細書で記載される製品中の充填材料として使用されるために適当である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】WO 2007/126361
【特許文献2】WO 2008/133563
【特許文献3】US 4,703,765
【特許文献4】US 6,135,120
【特許文献5】EP1803443 A2
【特許文献6】WO 2017/093486 A1
【特許文献7】EP 3 192 380 A1
【特許文献8】WO 2012/134380
【非特許文献】
【0043】
【非特許文献1】Federal Register/vol. 74、no. 4/712~719/Wednesday、January 7、2009/Notices「Total moisture determination」
【非特許文献2】AOAC(Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02: 「Moisture in Tobacco」(1990)、第5版、K. Helrich(編)
【非特許文献3】教則本「Introduction to Nonwovens Tech-nology」、Subhash K. Batra、Behnam Pourdeyhimi、2012、ISBN No978-1-60595-037-2の第10章
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
本開示の目的は、先行技術の不利点の少なくとも1つを克服若しくは改善すること、又は有用な代替技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上の目的は、請求項1及び/又は請求項19の対象事物により達成することができる。実施形態は、添付の従属請求項及び本明細書で説明される。
【0046】
本発明は、充填材料を封入するために、経口パウチ入りニコチン製品で使用するための包装材料に関する。充填材料は、粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含む。包装材料は、カーディングされた繊維を含む唾液透過性の不織布材料である。カーディングされた繊維の50%~100%はセルロース系の短繊維(staple fibres)であり、カーディングされた繊維の0%~50%は熱可塑性繊維であり、%の数は、21℃及び50% RHにおけるカーディングされた繊維の総質量に対する。包装材料は、包装材料の総質量の20%~60%を占める結合剤を更に含む。セルロース系の短繊維は、1.7デシテックス(decitex)未満の線密度を有し、包装材料は30g/mを超える坪量(basis weight)を有する。
【0047】
本明細書に記載された包装材料を利用することにより、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品、例えば、材料及びシールの両方について適当な強度を有し、更に、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品が使用者の口腔に入れられたときに快適であるように十分柔軟である経口パウチ入りニコチン製品を製造することが可能である。
【0048】
本発明により包装材料を利用することにより、十分に強いシールを作製することが可能であり、シールは超音波密封でも行われ、そのシールは、典型的には、加熱密封で作製されたシールよりはるかに狭い。そのシール強度は、製品が1種又は複数種の刺激的香味料を含んだ場合、十分強いように更に十分に高い。
【0049】
一般的に使用されている包装材料は、パウチ入り製品のあまり望ましくないシール強度を有することに悩まされることが多い。無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の材料、即ち、充填材料に含まれる、パウチ入り製品中の包装材料により封入された、いくつかの種類の香味料は、公知の技術で作製されたパウチ入り嗅ぎタバコ製品について、シール強度に対して、特に経時的に、潜在的に好ましくない影響を有し得ることが知られており、それは製品の貯蔵時にシールの破裂に至ることもある。特に、減じたシール強度は、湿性経口パウチ入り製品にとって問題である。本明細書に記載された包装材料の強度及びシールの強度は、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品のために一般的に使用される包装材料よりもまさってそのような香味料に抵抗するように適合され得る。
【0050】
それに加えて、包装材料を通じた充填材料の漏出量は、本発明による包装材料及び製品について許容されるレベルに保たれている。
【0051】
結合剤は、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品のための包装材料のために一般的に使用されているタイプでもよい。結合剤は、例えば、以下のモノマー、例えば、酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチルアクリレートのいずれかの重合により形成される1種又は複数種のビニルポリマー/コポリマーのエマルションとして分類され得る。そのような結合剤は当業者に公知であり、例えば、教則本「Introduction to Nonwovens Tech-nology」、Subhash K. Batra、Behnam Pourdeyhimi、2012、ISBN No978-1-60595-037-2の第10章から公知である。
【0052】
包装材料の全ての繊維のうち、セルロース系繊維は、好ましくは、繊維質量の55%~99%、好ましくは58%~95%、より好ましくは65%~85%、最も好ましくは70%~80%を占めることもある。質量は21℃及び50% RHにおいて定義される。セルロース系繊維のみを使用すること、即ち、完全に熱可塑性繊維なしですませることも実現可能である。
【0053】
包装材料の全ての繊維のうちで、熱可塑性繊維は、繊維質量の1%~45%、好ましくは5%~42%、より好ましくは15%~35%、最も好ましくは20%~30%を占めることもできる。質量は21℃及び50% RHで定義される。完全に熱可塑性繊維なしですませることも実現可能である。
【0054】
カーディングされた繊維は、セルロース系短繊維及び熱可塑性繊維からなっていてもよい。さらなる繊維を添加することも実現可能であろう。
【0055】
包装材料は、セルロース系短繊維、熱可塑性繊維及び結合剤からなっていてもよい。
【0056】
包装材料のグラメージ(grammage)としても知られる坪量は、≧32g/m、より好ましくは≧34g/m、最も好ましくは≧36g/mであることもできる。包装材料の坪量について、上限は、45g/m、42g/m又は40g/mであってもよい
【0057】
セルロース系繊維は、天然セルロース繊維又は人造セルロース系繊維、例えば、レーヨン、リヨセル又はビスコース等の再生セルロース繊維であってもよい。テンセルはリヨセルについてのブランド名である。
【0058】
セルロース系繊維は、柔らかで、比較的非弾性的である及び/又は湿気吸収剤であることが知られている。それにより、包装材料に、所望の機械的性質を与えることができて、その結果包装材料は、包装材料自体の製造中及び/又は経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品の製造中に取り扱いが容易で、更に経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品が使用者の口腔中に入れられたときに快適である。更に、これらの繊維は親水性であり、そのことは、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品として使用される場合に有利である。
【0059】
人造繊維は、その化学組成、構造、及び性質が製造工程中に大きく改変された繊維である。それらは、ポリマーで作製される。人造繊維は天然繊維と区別されるべきである。天然繊維も、ポリマーからなるが、それらは製造工程から、比較的変化されていない状態で現れる。
【0060】
いくつかの人造繊維は、天然に生じるポリマーから誘導される、例えば、レーヨン、リヨセル又はビスコースであり、それらはセルロース繊維から誘導される。しかしながら、セルロースは、原料供給源、例えば、木材と比較して根本的に変化した状態で得られて、人造セルロース系繊維に再生されるために、更に改変されている。そのような繊維、例えば、レーヨン、リヨセル又はビスコースは、再生セルロース繊維として知られている。
【0061】
それらよりはるかに大きい人造繊維の別の群は合成繊維である。合成繊維は、天然には生じないが、実際、例えば、化学工場又は実験室において、完全に製造されるポリマーで作製される。
【0062】
セルロース系短繊維は、≦1.5デシテックス、好ましくは≦1.3デシテックス、より好ましくは≦1.1デシテックス、最も好ましくは≦0.9デシテックスの線密度を有することもある。
【0063】
セルロース系短繊維は、30~80mmの範囲内、好ましくは38~60mmの範囲内の長さを有することができる。一般的に使用される長さは38、40、60及び80mmである。
【0064】
熱可塑性繊維は、PP、PLA、PET、PP/PE、PLA/co-PLAのうちの1種又は複数種であってもよく、PPはポリプロピレンを表示し、PLAはポリ乳酸を表示し、PETはポリエチレンテレフタレートを表示し、PEはポリエテンを表示する。PP/PEは、2成分繊維、例えば、芯にPP及び鞘にPEを有する鞘/芯2成分繊維である。PLA/co-PLAは、2成分繊維、例えば、芯にPLA及び鞘にcoPLAを有する鞘/芯2成分繊維である。
【0065】
熱可塑性繊維は、30~80mmの範囲内、好ましくは38~60mmの範囲内の長さを有することができる。一般的に使用される長さは、38、40、60及び80mmである。熱可塑性繊維は、セルロース系繊維と比較して同じか又は異なる長さを有することもできる。2種以上の熱可塑性繊維が使用される場合に、それらは、同じか又は異なる長さを有していてもよい。
【0066】
熱可塑性繊維は、≦4.4デシテックス、好ましくは≦2.2デシテックス、より好ましくは≦1.7デシテックス、最も好ましくは≦1.3デシテックスの線密度を有することができる。
【0067】
熱可塑性繊維は、110~260℃の範囲内、好ましくは130~170℃の範囲内、好ましくは140~165℃の範囲内に融点を有することができる。したがって、これらの繊維は、シールで少なくとも部分的に溶融、好ましくは実質的に溶融して、したがって十分なシール強度に寄与するであろう。
【0068】
結合剤は、好ましくは包装材料の総質量の25%~55%、より好ましくは包装材料の総質量の30%~50%、最も好ましくは包装材料の総質量の35%~45%を占めることができる。
【0069】
包装材料は、シールは超音波溶封により行われるという前提で、少なくとも0.2N/mm、好ましくは少なくとも0.25N/mm、より好ましくは少なくとも0.3N/mm、最も好ましくは少なくとも0.35N/mmの乾燥シール強度を有することができる。これらのレベルは、製品のために十分なシール強度を送達することが見出された。乾燥シール強度の値は、本明細書の他の箇所で更に詳細に開示される、シール強度のためのCORESTAの方法で決定することができる。
【0070】
包装材料は、EDANA、即ち、European Disposables and Nonwovens Associationによって特定された試験方法WSP070.1.R3(12)に従って測定された場合に、≦4000 l/m/秒、好ましくは≦3500 l/m/秒、より好ましくは≦3000 l/m/秒の空気透過率を有することができる。空気透過率は、包装材料の空孔率と関連し、したがって、充填材料を漏らすその傾向とも関連する。
【0071】
包装材料は、≦300μm、好ましくは≦250μm、より好ましくは≦200μm、最も好ましくは≦150μmの中央値の細孔サイズを有することができ、包装材料の平均細孔サイズは、充填材料を漏らすその傾向と関連する。
【0072】
包装材料は、本明細書に記載された包装材料を通じた粉体の漏出量のための方法で測定して、≦400mg、好ましくは≦200mg、より好ましくは≦100mg、最も好ましくは≦50mg又は更に≦20mgの粉体漏出量を有することができる。
【0073】
本発明は、経口パウチ入りニコチン製品に関し、製品は充填材料及び唾液透過性のパウチを含む。充填材料は、粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含む。したがって、充填材料は、本明細書で言及されたタイプのものである。パウチは、充填材料のポーションを封入している。パウチは、本明細書で定義された包装材料を含むか又はそれらからなり、包装材料はポーションを封入するために少なくとも1つのシールでシールされている。
【0074】
それにより、シールが口腔中で使用されるべき製品のために適当なシール強度を有することが確かめられる。包装材料についての上記の利点は、経口パウチ入りニコチン製品についても同様に適用され得る。
【0075】
包装材料をシールする2つの主要な方法がある:加熱シール及び超音波溶封であるが、本明細書に記載された包装材料は、両方について有利である。超音波溶封のために好適な方法及び装置は、ポーションパック経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品を提供する無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物のポーションを封入する包装材料をシールするためのシーリングデバイスに関するWO 2017/093486 A1で開示されている。文献は、ポーションパック経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品を製造するための配置に更に関し、その配置はそのようなシーリングデバイスを含む。文献は、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品をポーションパックするための方法にも関する。
【0076】
熱可塑性繊維は、シール中に、少なくとも部分的に溶融され、好ましくは実質的に溶融されてもよい。
【0077】
本明細書に記載された方法で製品として試験された場合、本明細書に記載された製品からの粉体の漏出量のための方法で測定して、経口パウチ入りニコチン製品は、≦100mg、好ましくは≦50mg、より好ましくは≦25mg、最も好ましくは≦10mg又は≦2mgの粉体漏出量を有することができる。
【0078】
方法
シール強度 - 一般的方法
シール強度は、試料の乾燥した状態又は濡れた状態のいずれかで試験することができる。試料は、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品を作製する製造機械から取ることができる。そのような製品は、通常、管状構造を形成する1個の縦のシール、及び製品のいずれかの端に横向きのシールを有する。或いは、シールは、実験室規模で調製されてもよい。その場合、材料のストリップは、EP 3 192 380 A1の段落[0136]に記載されているように、折りたたまれてそれ自体に溶封される。
【0079】
次に、シール強度が、EP 3 192 380 A1の段落[0137]に記載された方法で、又は本明細書に記載されたシール強度のためのCORESTAの方法で測定される。両方の方法のために、パウチ入り製品のために作製された最初の横向きシール、即ち、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物に最初に付けられたシールが測定される。
【0080】
シール強度 - CORESTAの方法
CORESTAとは、Cooperation Centre for Scientific Research Relative to Tobaccoの略記号である。シール強度のためのCORESTAの方法は、以下を含む。
1. パウチから全ての材料を取り出して、試料を縦のシールの試料について10mm±1mmに切り、横向きシールの試料については可能な限り縁の近くで切る。パウチの形が変化することがあるので、調製された各横向きシールの試料について形態の幅を記録する。調製された試料の幅は一定であるべきである。第1のパウチのために作製された横向きシール、即ち、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物に最初に付けられたシールが、測定されるべきものである。
2. 試験に先立って試料を、22℃±1℃及び60%±3% RHで24時間、条件付けする(湿性測定については必要ない)。
3. あご部分離(jaw separation)を15mm±0.1mmに設定する。分離を記録用紙に記録する。
4. 20mm/分に設定された速度で引っ張り、速度を記録用紙に記録する。
5. 可能ならば必ず推奨される0.1Nの予備的負荷を使用する。
6. 可能ならば横向きシール値について平均荷重(可能でなければ、最大荷重を記録する)、及び縦のシールについて最大荷重を測定する。値を記録用紙に記録する。
7. 湿性測定について:横向き又は縦のシールの試験に先立って、試料を脱塩水に60分間漬ける。値を記録用紙に記録する。
【0081】
空気透過率
空気透過率を、EDANA即ち、the European Disposables and Nonwovens Associationにより指定された試験方法WSP070.1.R3(12)に従って測定する。
【0082】
細孔面積
包装材料の細孔面積を、顕微鏡Zeiss Stemi 2000-C、AxioCam ERc5sを使用して関連するソフトウェアZen Coreで測定する。定形の黒色及び白色像を不織布(3cm×3cm)について×1.6を使用して撮る。Zen Coreソフトウェアで画像解析を、自動測定及び社内の細孔面積方法を使用して行う。細孔面積方法で、彩色された区分がRGB柱状グラフ(0~255)で行われて繊維の空隙を検出する。過飽和を避けるために、赤色閾値を0~99に、緑色を0~107に及び青色を0~136に設定する。空隙の面積及び各空隙の半径を計算する。次に、細孔面積を標準の式を使用して計算することができる。
【0083】
包装材料を通じた粉体の漏出量
包装材料を通じた粉体の漏出量を篩いによって評価する。包装材料を346cmのサイズを有するシートに切って、2つの篩いスクリーンの間に固定する。スクリーンの開口部は、粉体がスクリーンを通ることを可能にするだけ十分大きく、それぞれ2mm及び1.5mmである。篩いスクリーンを底板に接続する。40gの粉体を上のスクリーンに加える。篩いの立て筒を蓋に接続してRetch社の水平な篩い振盪機AS 400コントロールを使用して5分、238rpmで篩う。その後、底板を秤量して、包装材料を通して篩われたZYN粉体の量を得る。粉体は、Swedish Match社により販売されている市販の製品「ZYN Citrus Mini dry」のために使用される充填材料である。成分は、以下:充填剤(E965、E460、E414)、酸性度調節剤(E 500)、安定剤(E463)、重酒石酸ニコチン、香味料、甘味料(E950)である。したがって、粉体は、製品「ZYN Citrus Mini dry」のために使用される充填材料である。したがって、粉体は、とりわけ、粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含む。
【0084】
製品からの粉体の漏出量
製品からの粉体の漏出量を、充填材料のポーション及び本明細書に記載された包装材料で作製された唾液透過性のパウチを含む、ポーションパック嗅ぎタバコ製品について測定する。製品の質量は約400mgである。漏出量をタンブリングによって評価する。試験した製品の充填材料は、Swedish Match社によって販売されている上記の製品「ZYN Citrus Mini dry」におけるものと同じである。17個の製品を含有する缶を、篩いスクリーン上に置く。篩いスクリーンを蓋及び底板に接続する。次に缶を、Retch社の水平篩い振盪機AS 400コントロールを使用して、2分、300rpmでタンブリングさせる。タンブリングの後、製品を缶から1対のピンセットを用いて丁寧に取り出して、缶と粉体とを秤量する。中空の缶の質量を差し引いて、粉体の質量を得る。各材料について3個の缶で繰り返し評価する。
【0085】
以下で本発明は、実施例により添付の図を参照して、非限定的な実施例により更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】PPが0%の本発明による包装材料を示す写真である、
図2】包装材料の総質量の15%がポリプロピレンである、本発明による包装材料を示す写真である。
図3】包装材料の総質量の25%がポリプロピレンである、本発明による包装材料を示す写真である。
図4】参照の包装材料を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
本発明を、以下に、実施形態により例示することにする。しかしながら、実施形態は、本発明の原理を説明する目的で含まれるのであり、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲を限定しないことは、理解されるべきである。2つ以上の実施形態からの詳細を互いに組み合わせてもよい。
【0088】
本発明による包装材料を特徴づけるために、本発明による包装材料を、参照と表示された、経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品のために一般的に使用される包装材料と比較して、いくつかの測定を行った。参照の材料は、結合剤を含むが、熱可塑性繊維は含まない。参照の材料は、一般的に市販の嗅ぎタバコ製品のために使用される包装材料である。繊維の100%が1.7デシテックスの線密度を有するビスコース繊維である。それは、29g/mの坪量を有する。試料は、40質量%の結合剤も含む。この試料は下の表で参照と表示される。
【0089】
試験される包装材料を含む本発明による経口パウチ入りニコチン製品について測定が行われた。経口パウチ入りニコチン製品は、充填材料のポーション及び唾液透過性のパウチを含み、それは、ポーションを封入して本明細書に記載された包装材料を含むか又はそれらからなる。充填材料は、粒子状非タバコ材料及びニコチン供給源を含み、全ての試験した製品について同じであった。充填材料は、Swedish Match社により販売されている市販の製品「ZYN Citrus Mini dry」のために使用されているものであった。その成分は、以下:充填剤(E965、E460、E414)、酸性度調節剤(E 500)、安定剤(E 463)、重酒石酸ニコチン、香味料、甘味料(E 950)である。
【0090】
図1は、第1の本発明による包装材料の顕微鏡写真である。それは38g/mの坪量を有する。繊維の100%は、セルロース系短繊維、即ち0.9デシテックスの線密度を有するビスコース繊維である。本明細書で与えられるこの%の数及び他の繊維の%の数は、質量パーセンテージとして与えられる。この試料は、以下のTable(表)で0% PPと表示されている。試料は、包装材料の総質量に関して計算された質量%で40質量%の結合剤も含む。写真の下方右手のコーナーにある線は1000μmの長さである。したがって、写真は、約4.5mm×3.4mmの領域を示す。1000μmに対応する線は、図2図4の他の写真でも見られる。
【0091】
図2は、第2の本発明による包装材料の顕微鏡写真である。それは38g/mの坪量を有する。繊維の75質量%は、図1におけるものと同じタイプのセルロース系短繊維であり、25質量%は、熱可塑性繊維、即ちPPと略記されるポリプロピレンであり、1.7デシテックスの線密度を有する。試料は、40質量%の結合剤も含む。したがって、ビスコース繊維が総質量の45%を占め、熱可塑性繊維が包装材料の総質量の15%を占める。この試料は、以下のTable(表)において15% PPと表示されている。
【0092】
図3は、第3の本発明による包装材料の顕微鏡写真である。それは38g/mの坪量を有する。繊維の58%は、図1及び図2におけるものと同じタイプのセルロース系短繊維であり、42%は図2におけるものと同じタイプの熱可塑性繊維である。試料は40質量%の結合剤も含む。したがって、ビスコース繊維は総質量の35%を占め、熱可塑性繊維は包装材料の総質量の25%を占める。この試料は、以下のTable(表)において25% PPと表示されている。
【0093】
図4は、上で記載された参照材料の顕微鏡写真である。
【0094】
この顕微鏡写真で見ることができるように、本発明による包装材料は、参照の材料よりも密であり、はるかにより小さい細孔を有する。写真に示された3種の本発明による包装材料のうち、図3で見られる第3の材料が最大の孔を有し、そのことは、その材料が、最低のパーセンテージの0.9デニールのビスコース繊維を有し、したがって最高のパーセンテージの1.7デニールPP繊維を有することと符合する。
【0095】
シール強度 - ラボシール
シール強度を、図1図3に示した3種の異なる本発明による包装材料について測定した。以下のTable 1(表1)を参照されたい。図4に示した参照と比較した。Table 1(表1)の最上行を参照されたい。試料は、EP 3 192 380 A1の段落[0136]に記載されたようにして調製した。シール強度を、上で記載したCORESTAの方法に従って測定した。測定は、超音波溶封で作製されたシールについて実施した。以下のTable(表)中のStdvは標準偏差を表す。
【0096】
【表1】

【0097】
本発明による包装材料は、シールは超音波溶封により作製されたという前提で、少なくとも0.2N/mm、好ましくは少なくとも0.25N/mm、より好ましくは少なくとも0.3N/mm、最も好ましくは少なくとも0.35N/mmの乾燥シール強度を有し、それは参照材料についてよりもはるかに高い。最高の値は、25% PP試料について得られ、それは熱可塑性繊維の最高のパーセンテージを有する。
【0098】
空気透過率
空気透過率を同じ包装材料について測定した。上記の方法及び以下のTable 2(表2)を参照されたい。
【0099】
【表2】

【0100】
本発明による包装材料は、≦4000 l/m/秒、好ましくは≦3500 l/m/秒、より好ましくは≦3000 l/m/秒の空気透過率を有し、それは参照材料の空気透過率より小さい。0% PPの試料が最低の値を有し、そのことは、この試料が繊維の最低の線密度を有する繊維を有することと符合する。
【0101】
細孔サイズ
細孔サイズを同じ包装材料について測定した。上記の方法及び以下のTable 3(表3)を参照されたい。
【0102】
【表3】

【0103】
本発明による包装材料は、≦300μm、好ましくは≦250μm、より好ましくは≦200μm、最も好ましくは≦150μmの細孔サイズ中央値を有し、それは参照材料の値より小さい。0% PPの試料が最低の値を有し、そのことはこの試料が、繊維の線密度について平均値が最低の繊維を有することと符合する。
【0104】
包装材料を通じた粉体の漏出量
包装材料を通じた粉体の漏出量を篩いによって評価した、上記の方法及び以下のTable 4(表4)を参照されたい。%の数は、測定のために使用された40gの粉体に関する。最後の欄は質量に再計算された値を示す。
【0105】
【表4】

【0106】
本発明による包装材料は、参照材料よりもはるかに小さい包装材料を通じた漏出量を有する。それらは、≦400mg、好ましくは≦200mg、より好ましくは≦100mg、最も好ましくは≦50mg又は更に≦20mgの包装材料を通じた粉体漏出量を有する。
【0107】
パウチからの粉体の漏出量
パウチからの粉体の漏出量を上で記載された方法によって評価した。製品の質量は約400mgである。したがって、約365mg粉体がある。以下のTable 5(表5)を参照されたい。
【0108】
【表5】

【0109】
本発明による包装材料は、本明細書に記載された方法による、≦100mg、好ましくは≦50mg、より好ましくは≦25mg、最も好ましくは≦10mg又は≦2mgのパウチからの粉体漏出量を有する。最高の値を有する0% PP試料は、6mgの漏出量を有し、それは、参照材料で作製されたパウチからの漏出量よりもはるかに非常に小さい。
【0110】
このパラメーターのために、異なる坪量:30、34及び38g/mの範囲を有する本発明による一連の試料包装材料も作製された。製品の質量は約400mgである。これは、15%のPPを有する材料のために作製され、PPの%は包装材料の総質量に関して見られ、即ち、40質量%の結合剤を有する。以下のTable 6(表6)における結果を参照されたい。たとえ最小坪量30及び34g/mについて、38g/mについてよりも高い漏出量があることが見られるとしても、全ての試料は、参照の材料で作製されたパウチよりはるかに非常に小さい粉体漏出量を有する。
【0111】
【表6】

【0112】
経口パウチ入り嗅ぎタバコ製品の例として、経口パウチ入りニコチン製品は、充填材料及び充填材料を封入する包装材料の唾液透過性のパウチを含み、充填材料は、以下:
- 粒子状非タバコ材料、
- ニコチン供給源、
- 充填材料の総質量に対して1質量%から45質量%の範囲内の量の水、並びに
- 例えば、NaCO、KCO、NaHCO及び/又はKHCOを含むpH調整剤
を含む。
【0113】
経口パウチ入りニコチン製品は、タバコを含まなくてもよく、即ち、経口パウチ入りニコチン非タバコ製品であってもよい。
【0114】
或いは、経口パウチ入りニコチン製品は、低量のタバコ材料を含んでもよく、それにより経口パウチ入り低タバコニコチン製品を提供することができる。経口パウチ入り低タバコニコチン製品のタバコ材料の量は、充填材料の総質量に対して、約0.1質量%から約10質量%、例えば、約0.1質量%から約5質量%、例えば約0.1質量%から約1質量%等の範囲内であってもよい。この少量のタバコの存在は、本明細書に記載された経口パウチ入りのタバコを含まない製品により示されるものと実質的に異なり得る製品のpHに影響しないであろう。
【0115】
タバコの材料は、本明細書に記載された形態で提供されてもよい。
【0116】
更に、タバコ材料は、漂白されたタバコ材料又はタバコ抽出物等の精製されたタバコ材料であってもよい。
【0117】
本明細書に記載されたタバコ材料は、1種、2種又はそれ以上の粒子状非タバコ材料を含んでいてもよい。
【0118】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料の水の量は、充填材料の総質量に対して、約0.5質量%から約12質量%、例えば約0.5質量%から約5質量%の範囲内、例えば約3質量%等の量で存在していてもよい。水の量が、本明細書に記載された、約0.5質量%から約12質量%又は約0.5質量%から約3質量%の範囲内である場合、経口パウチ入りニコチン製品は、乾燥している、即ち、乾燥経口パウチ入りニコチン製品とみなされてもよい。
【0119】
或いは、本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料の含水率は、充填材料総質量に対して、約20質量%から約50質量%、例えば20質量%から45質量%等の範囲内であってもよい。水の量が、本明細書に記載された約20質量%から約45質量%の範囲内である場合、経口パウチ入りニコチン製品は、湿っている、即ち、湿性経口パウチ入りニコチン製品とみなされてもよい。
【0120】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料は、充填材料の総質量に対して、約30質量%から約90質量%、例えば、約30質量%から約85質量%、例えば、約30質量%から約80質量%、例えば、約60質量%から約90質量%等の範囲内に、粒子状非タバコ材料を含んでいてもよい。
【0121】
粒子状非タバコ材料は、水に不溶、水溶性又はそれらの組合せであってもよい。
【0122】
粒子状非タバコ材料は、マルチトール等の糖アルコール、及び/又は微結晶性セルロース及び/又は粉末状セルロース等のセルロースを含むか又はそれらからなっていてもよい。例えば、粒子状非タバコ材料は、マルチトール及び/又は微結晶性セルロースを含んでいてもよい。
【0123】
それに加えて又は或いは、本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料は、トウモロコシ繊維、エンバク繊維、トマト繊維、大麦繊維、ライムギ繊維、糖ビート繊維、バック小麦繊維、小麦繊維、エンドウ繊維、ジャガイモ繊維、リンゴ繊維、ココア繊維、竹繊維、柑橘類繊維、及び任意のそれらの組合せからなる群から選択される、1種又は複数種の水に不溶な繊維を含んでいてもよい。一例では、水に不溶な繊維は、非タバコ粒子状材料の部分を形成することもできる。
【0124】
充填材料は、1種、2種又はそれ以上のニコチン供給源を含んでいてもよい。
【0125】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料は、充填材料総質量に対して約1.0質量%から約10質量%の範囲内のニコチン供給源を含んでいてもよい。
【0126】
ニコチン供給源は、ニコチン塩及び/又はニコチン塩基であってもよい。ニコチン塩基等のニコチン供給源は、ポラクリレックス等のイオン交換樹脂に、例えば、塩橋を通して結合していてもよい。或いは又はそれに加えて、イオン交換樹脂は、ニコチン塩基等のニコチン供給源のための固体支持体として機能することもできる。
【0127】
油状の液体の形態等にあるニコチン塩基は、合成で製造されるか又はタバコから抽出されてもよい。
【0128】
ニコチン供給源は、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物及びニコチンサリチレート、並びに任意のそれらの組合せからなる群から選択されるニコチン塩等のニコチン塩であってもよい。
【0129】
特に、充填材料は、ニコチン重酒石酸塩及び/又はニコチン重酒石酸塩二水和物を含んでいてもよい。
【0130】
パウチ入り製品当たりのニコチン塩及び/又はニコチン塩基等のニコチン供給源の量は、ニコチン塩基として計算して約0.1mgから約20mgの範囲内のニコチン、例えば、約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約6.0mg、約7.0mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約12mg、約14mg、約16mg、約18mg、又は約20mgのニコチンであってもよい。
【0131】
本明細書で開示された経口パウチ入りニコチン製品中の充填材料のニコチン塩は、固体形態及び/又は溶解形態で存在するニコチン塩であってもよい。
【0132】
本明細書で開示されたニコチン供給源は、本明細書で開示された粒子状非タバコ材料に吸着されていても吸着されていなくてもよい。「に吸着された」という表現は、ニコチン供給源が非タバコ粒子状材料の外部表面に付着することを意味すると認識されるであろう。ニコチン供給源が非タバコ粒子状材料に吸着されたとき、それは、前記非タバコ粒子状材料のいかなる空隙中にも実質的に浸透しないで、前記非タバコ粒子状材料の外部表面に付着している。
【0133】
或いは又はそれに加えて、本明細書で開示されたニコチン供給源は、本明細書に記載されたタバコ材料中に吸収される及び/又はその上に吸着されていてもよい。
【0134】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料は、着香剤を更に含んでいてもよい。充填材料は、1種、2種又はそれ以上の着香剤を含んでいてもよい。例えば着香剤は、非カプセル化活性物質であってもよい。それに加えて又は或いは、着香剤はカプセル化されていてもよい。非カプセル化着香剤及びカプセル化着香剤は、同じであっても、異なっていてもよい。本明細書において使用される場合、カプセル化着香剤は、カプセル内に含有される着香剤である。したがって、非カプセル化着香剤は、カプセル内に含有されていない。
【0135】
本明細書で開示された経口パウチ入りニコチン製品中の充填材料の着香剤は、疎水性着香剤であってもよい。
【0136】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料の着香剤は、油、液体、凍結乾燥材料、噴霧乾燥材料、又はそれらの混合物であってもよい。一例では、着香剤は、油及び/又は液体である。
【0137】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料は、充填材料の総質量に対して、約0.5質量%から約3質量%の範囲内の着香剤を含んでいてもよい。
【0138】
記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料は、ポリプロピレングリコール等の保湿剤を含んでいてもよい。
【0139】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品中で、粒子状非タバコ材料、ニコチン供給源、水、pH調整剤、任意選択でタバコ材料、任意選択で着香剤及び任意選択で保湿剤が、均一に混合されていてもよい。
【0140】
WO 2012/134380は、遊離塩形態にあるニコチン含有パウチ、即ち、経口パウチ入りニコチン含有非タバコ嗅ぎタバコ製品を開示している。製品は、少なくとも1種の遊離ニコチン塩の粉体、少なくとも1種のpH調整剤及び少なくとも1種の充填剤、並びに水不溶パウチを含み、前記パウチは、唾液に透過性であり、その中に粉体の一部を溶解している。そのような粉体は、本明細書に記載された製品中の充填材料として使用されるために適している。
【0141】
本明細書で開示された経口パウチ入りニコチン製品は、口内設置(例えば、パウチ入り製品を上又は下の歯茎と唇又は頬との間に入れることにより)等による口腔中における使用が意図され、したがって、経口使用のためのポーションパック(パウチ入り)製品と称されてもよい。経口パウチ入りニコチン製品は、使用者の口の上又は下の歯茎と唇又は頬との間に、快適かつ目立たないようにフィットするように寸法を合わせて構成される。
【0142】
本明細書で開示された経口パウチ入りニコチン製品は、実質的に方形の形状(製品が平面的表面上に置かれた場合に、上から見て)等の横長の形状を有していてもよい。そのような場合には、製品の縦方向が実質的に方形の製品の長さに対応し、製品の横向きの方向が実質的に方形の製品の幅に対応する。
【0143】
経口パウチ入りニコチン製品の総質量(充填材料及び包装材料を含む)は、約0.3から約1.5gの範囲内であってもよい。
【0144】
本明細書に記載された経口パウチ入りニコチン製品の充填材料は、粉体又は顆粒として提供され得る。したがって、包装材料の唾液透過性のパウチにより封入された充填材料は、圧縮されていない形態で提供され得る。
【0145】
経口パウチ入り(即ち、ポーションパック)ニコチン製品は、例えば、WO 2012/069505に記載されたように、容器中に又は型中に無作為に置かれてもよい。或いは又はそれに加えて、各経口パウチ入りニコチン製品は、小袋に入れられてもよい。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】