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特開2023-29369顎先等の顔面の容貌を造形し、拡張し、または補正するためのインプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029369
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】顎先等の顔面の容貌を造形し、拡張し、または補正するためのインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/20 20060101AFI20230224BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A61L27/20
A61L27/52
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022197700
(22)【出願日】2022-12-12
(62)【分割の表示】P 2020205698の分割
【原出願日】2016-02-12
(31)【優先権主張番号】PCT/FR2015/050357
(32)【優先日】2015-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2015/000350
(32)【優先日】2015-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(71)【出願人】
【識別番号】511032040
【氏名又は名称】アラーガン・アンデュストリー・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN INDUSTRIE SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ロカ マルティネス ジャン-グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】アイグロン オロール
(57)【要約】
【課題】たとえばヒトの顎先、顎の輪郭、または鼻を含む輪郭をたとえば拡張および成形するための長期にわたる顔面の造形および顔面の容貌の補正に有用なヒアルロン酸ベースの組成物を含む注入可能なデバイスが提供される。処置の方法も提供される。
【解決手段】該インプラントは高弾性および高凝集性等の機械的特性の組合せにより、他のHAベースの注入材料に比べて改善された容積拡大およびリフト特性を提供する一方、依然として細い針で容易に注入することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者の、顎先の領域、顎の輪郭または鼻の、皮下または骨膜上に埋植可能な無菌の組成物であって、
組成物が1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で架橋された架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、
組成物のHA濃度が20mg/gを超え、
架橋に用いるHAが低分子量ヒアルロン酸と高分子量ヒアルロン酸の混合物から作られており、
架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物であり、
組成物が5Hzにおいて約500Pa~約900Paの弾性率を有し、
組成物が60gmfを超える凝集性を有し、
組成物が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約4N~約15Nの押出し力を示す、組成物。
【請求項2】
HA濃度が約22.5mg/gである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
HA濃度が約25mg/gである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
HA濃度が約27.5mg/gである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも70質量%の低分子量HA、好ましくは少なくとも90質量%の低分子量HAを含む混合物である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
架橋に用いるHAがHAの全質量に対して約90質量%の低分子量HAおよび約10質量%の高分子量HAを含む混合物である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
凝集性が約60gmf~約200gmfである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
凝集性が約60gmf~約100gmfである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
押出し力が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約7N~約12Nである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
押出し力、1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約8N~約10Nである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
麻酔剤をさらに含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
リドカイン塩酸塩をさらに含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の全質量に対して約0.3質量%のリドカイン塩酸塩をさらに含む、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
HAが約4%~約10%の架橋度を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
HAが約4%の架橋度を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
HAが約6%の架橋度を有する、請求項1から15までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
HAが約8%の架橋度を有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
HAが約10%または約6.5%の架橋度を有する、請求項1から17までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、適量1mLのpH7.2のリン酸塩緩衝液中に約25mgの架橋HAおよび3mgのリドカインを含み、架橋HAが好ましくは約6.5%の架橋度を有する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
患者における顎先の後退を補正する方法であって、
患者の顔面の少なくとも1つの処置領域の骨膜上にBDDEで架橋したヒアルロン酸(HA)を含む有効量の組成物を投与するステップであって、HAが約6.5%の架橋度および20mg/gを超えるHA濃度を有し、架橋に用いるHAがHAの全質量に対して少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物であり、処置領域が下顎点、頤、左前顎溝、右前顎溝、および唇の下にあるしわからなる群から選択されるステップを含む、方法。
【請求項21】
投与するステップの前、患者が、患者のデジタルイメージから誘導される顔面角度の計算に基づいて約165°未満のG-Sn-Pog角度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
投与するステップによって、患者のG-Sn-Pog角度の増大が得られる、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
投与するステップの後、約9か月~約24か月の範囲の期間、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、請求項20から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
投与するステップの後、少なくとも約6か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、請求項20から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
投与するステップの後、少なくとも約9か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、請求項20から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
投与するステップの後、少なくとも約12か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、請求項20から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
投与するステップの後、少なくとも約18か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、請求項20から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
投与するステップの後、患者が約169°以上のG-Sn-Pog角度を有する、請求項20から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
組成物のHA濃度が約25mg/gであり、
組成物の架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して約90質量%の低分子量ヒアルロン酸および約10質量%の高分子量ヒアルロン酸から作られており、
組成物が5Hzにおいて約500Pa~約800Paの弾性率を有し、
組成物が約60gmf~100gmfの凝集性を有し、
組成物が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約8N~約10Nの押出し力を有する、請求項20から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
患者の顎先または顎に容積を形成または修復する方法であって、
それを必要とする患者の、顎先の領域または顎の輪郭の、皮下または骨膜上に無菌の組成物を注入するステップであって、
組成物が1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で架橋された架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、
架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物であり、
組成物が5Hzにおいて約500Pa~約800Paの弾性率を有し、
組成物が約60gmf~約100gmfの凝集性を有するステップを含み、
方法が、患者の顎先または顎の輪郭に組成物を注入した後、約9か月~約24か月の範囲の期間、患者の顎先または顎の輪郭に容積を付加する、方法。
【請求項31】
組成物が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約8N~約10Nの押出し力を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
HAが約4%~約12%の架橋度を有する、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
HAが約6%の架橋度を有する、請求項30から32までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
HAが約8%の架橋度を有する、請求項30から33までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
HAが約10%の架橋度を有する、請求項30から34までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
HAが約6.5%の架橋度を有する、請求項30から35までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
HAが約8.5%の架橋度を有する、請求項30から36までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
HAが約10.5%の架橋度を有する、請求項30から37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
1mLのCOCシリンジ等の使い捨てシリンジ中に予め充填された請求項1から19までのいずれか1項に記載の組成物および27G×13mmの針等の少なくとも1つの使い捨て針を含むキット。
【請求項40】
患者の顎先および顎の領域において容積を拡張し、補正し、修復し、または形成するため等の顔面造形の方法であって、
請求項1から19までのいずれか1項に記載の組成物を注入することによって、患者の顔面の少なくとも1つの処置領域の皮下および/または骨膜上に有効量の組成物を投与するステップを含み、
投与が完了した後に、患者の顔面の処置領域をマッサージして、製品が周囲組織の輪郭に一致していることを確認するステップを含んでもよく、
組成物を投与する前に、処置領域を消毒するステップを含んでもよく、
好ましくは処置領域が下顎点、頤、左前顎溝、右前顎溝、および唇の下にある(頤の)しわからなる群から選択される、方法。
【請求項41】
組成物が、1mLのCOCシリンジおよび約18G~約40G、より好ましくは約25G~約33G、または約25G~約30G、たとえば27G×13mmの針等の微細ゲージ針を用いて注入される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
組成物が、いかなる処置期間においても単一の処置領域に4.0mL未満、たとえば約2.0mL等の注入量で注入される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
組成物が、最初および予想される追加の処置を合わせて約4.0mL未満の最大全量で注入される、請求項40から42までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
下顎点には多数回の少量ボーラスによって骨膜上に注入し、頤には多数回の少量ボーラスによって骨膜上に注入し、左および/または右の前顎溝には皮下深くに扇形に広げる手法によって注入し、唇の下にある(頤の)しわには直線状、逆行性、または順行性の表面皮下縫い付け法によって注入する、請求項40から43のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に注入可能な組成物に関し、より具体的には顔面下部に構造および輪郭を付加するための注入可能なインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚用フィラーはしわおよびひだを補正し、顔面に容積を付加することがよく知られている注入可能な生体適合性組成物である。ヒアルロン酸(HA)は、アレルギー反応を起こす危険がなく、一時的かつ可逆的であることから、最も望ましい皮膚用フィラーの1つであると、多くの人がいまだに考えている。ヒアルロン酸ベースの皮膚用フィラーの多くは、特に皮膚のしわおよびひだを処置するために開発されてきた。顔面の輪郭形成または実質的な容積拡大のために有用であるためには、組成物の「リフト」とも称されるバルキー化効果を増大させることが有利であろう。顔面の軟組織において生じる剪断および正常な変形に対する組成物の耐性を最大化することも有利であろう。これらの耐性、たとえば弾性および凝集性を最大化することの欠点の1つは、それにより細い針で注入することが困難になるほど、組成物の粘度が増大することが予想されることである。
【0003】
したがって、顔面に実質的な容積を付加するために有効な、たとえば顔面下部に輪郭を形成するため、たとえば顎先を拡張しまたは補正するため、たとえば顎先の後退を補正するため、またはたとえば鼻を拡張しもしくは補正するために特に設計された注入可能なHAベースのインプラントに対する大きなニーズがある。そのようなインプラントがその高い粘度にも拘わらず、細い針で容易に注入できるままであれば、極めて有利であろう。
顎先の形状は、個人の人格特性に付随する傾向がある強い美的感覚を引き出す顔の重要な特徴であると認識されてきた。突出のない不十分な顎先は一般に「弱い顎先」と分類される一方、突出した顎先は「強い顎先」と分類され、両方とも人格の強弱を暗示している。
いくつかの研究は、平均的な釣り合いを持った顔は最も魅力的とみなされ、小さな顎先を含む小さな容貌が女性では魅力的と解釈される一方、成熟した結果としての拡大した顎先および顎が男性では魅力的と解釈されることを示唆している。顎先の外観は知覚される魅力の決定的要素であり、個人の心理社会的幸福感に影響することさえある。
【0004】
顎先の拡張は従来、顎の上に永久的なインプラントを外科的に設置することによって実施されている。この手技は現在、American Society for Aesthetic Plastic Surgery(ASAPS)に基づく審美的外科的手技で最もよく実施されるものの1つであり、2010年から71%増加している。
顎先の後退は成熟、外傷、または顔の老化による顔面の下部3分の1の成長における変化の結果であり、老化は成熟および外傷によって引き起こされる変形または非対称を悪化させることがある。下顎の形状は口、顎先、および首に影響する。個人が老化するとともに、骨格によるこの領域の支持が低下することによって軟組織の委縮が目立つようになり、顎が強調され、顎先の突出が減少し、顎の輪郭が弱く見えるようになる。顎先の変形は顔面の最も一般的な骨異常の1つであり、その中で最も一般的なものは後退し骨ばった顎先を伴う正常な垂直高さの存在によって特徴付けられる水平小下顎症である。
下顎および顎先が顔面下部の枠組みを構築しているので、老化に関係する顎先の後退および顎先の領域の輪郭の変化を処置し、または小下顎症を処置する拡張法が、数十年間も研究されてきた。顎先の後退を補正する手法は容積を付加することであるが、処置法には顎先のインプラント、顎形成術、ならびにシリコーンおよびポリメチルメタクリレートマイクロスフィア等の半永久的フィラー、およびヒドロキシアパタイトカルシウムの注入が含まれる。しかし、これらの処置法は全て欠点を有している。たとえば、顎先のインプラントおよび顎形成術には、必ずしも顎先の後退の補正およびこの領域の審美的調和をもたらさない、苦痛を伴う手術が含まれる。この手法は骨の再吸収および感染を悪化させ、その結果、インプラントの撤去が必要なことがある。半永久的フィラーの注入には、半永久的フィラーに付随する容積拡大能力と有害事象との二律背反がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、ヒトの顎先およびその他の顔面の容貌においてたとえば容積を拡張し、補正し、修復し、または形成するための顔面造形のための注入可能なインプラントが提供される。
本発明は、顔面の容積または顔面の輪郭を形成するための安全かつ最小侵襲の方法を提供するために特に製造される一時的かつ可逆的なHAベースの構造ゲルを提供する。該インプラントは高弾性および高凝集性等の機械的特性の組合せにより、他のHAベースの注入材料に比べて改善された容積拡大およびリフト特性を提供する一方、依然として細い針で容易に注入することができる。該インプラントは皮下および/または骨膜上の空間に注入するために用いることができる。多くの実施形態において該インプラントは注入後に成形することができ、したがって注入した領域、たとえば顎先および顎の領域にわたって造形し、輪郭を形成し、および成形することができる。
【0006】
インプラントは一般に、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシジルオキシブタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレンおよび1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサンからなる群から選択される架橋剤によって架橋されたヒアルロン酸(HA)を含む組成物を含む。いくつかの実施形態においては、インプラントは一般に、BDDEで架橋されたヒアルロン酸(HA)を含む組成物を含む。組成物は、たとえば微細ゲージ針を通した注入に適しており、顔面、たとえば顔面下部、たとえば顎先もしくは顎、または顔面中央部、たとえば鼻を拡張し、補正し、または容積もしくはリフトを形成することができる。
【0007】
いくつかの実施形態においては、HA濃度は20mg/gを超える。いくつかの実施形態においては、HA濃度は約21mg/g、または約22g/g、または約23mg/g、または約24mg/g、または約25mg/g、または約26mg/g、または約27mg/g、または約28mg/g、または約29mg/g、または約30mg/gまたはそれ以上である。他の実施形態においては、組成物は22.5mg/g~27.5mg/g、たとえば25.0mg/gのHA濃度を有する。
いくつかの実施形態においては、本方法は患者の顎先または顎の輪郭に投与または注入した後、約9か月~約24か月の範囲の期間で患者の顎先もしくは顎の輪郭または鼻に容積およびリフトを付加する。組成物は、たとえば注入後のある期間、インプラント付近の組織の物理的処置によって成形可能である。組成物は硬化時間を有してもよく、組成物は埋植(インプラント)または注入した後、約24~約48時間以内の埋植期間にもはや成形可能でなくなり、実質的にその形状を保つ。
【0008】
いくつかの実施形態においては、組成物は麻酔剤、たとえばリドカインHClをさらに含む。たとえば、組成物は約0.3%(質量/質量)のリドカインHClを含んでよい。
好ましい実施形態においては、組成物は好ましくは適量1mLの量のリン酸塩緩衝液(pH7.2)の中に好ましくは約25mgの量のヒアルロン酸ゲルおよび好ましくは約3mgの量のリドカイン塩酸塩を含む。
いくつかの実施形態においては、組成物は低分子量ヒアルロン酸と高分子量ヒアルロン酸の混合物から作られている。たとえば、架橋ヒアルロン酸は、架橋剤で架橋する前には約50%~約100%の低分子量ヒアルロン酸からなっていてよい。いくつかの実施形態においては、架橋ヒアルロン酸は、架橋剤で架橋する前には約70%~約90%の低分子量ヒアルロン酸からなっている。いくつかの実施形態においては、架橋ヒアルロン酸は、架橋剤で架橋する前には約90%の低分子量ヒアルロン酸からなっている。
【0009】
架橋前に、主として高分子量のHAを用いるよりも、主として低分子量のHA、たとえば約50%以上、たとえば約70%または約90%の低分子量のHAを用いることにより、高い凝集性および弾性を有し、より具体的には皮下または骨膜上注入による顔面の造形および拡張に適した、より強固で長期に安定で成形可能なハイドロゲルが得られる。
いくつかの実施形態においては、HAは約4%~約12%の架橋度を有する。たとえば、HAは約4%、または約6%、または約8%、または約10%の架橋度を有する。いくつかの実施形態においては、HAは約6.5%の架橋度を有する。他の実施形態においては、HAは約7.5%、または約8.5%、または約9.5%、または約10.5%の架橋度を有する。
本発明の別の態様においては、患者における顎先の後退を補正する方法が提供される。本方法は一般に、患者の顎先の骨膜上に、BDDEで架橋した、約10%の架橋度のヒアルロン酸(HA)を含み、20mg/gを超えるHA濃度を有する組成物を有効量で投与するステップを含む。たとえば、好ましい実施形態においては、HA濃度は約25mg/gである。
特定の実施形態においては、組成物は約10%(質量/質量)のBDDEで架橋された低分子量のヒアルロン酸(NaHA)を含み、pH7.2のリン酸塩緩衝液中、0.3%(質量/質量)のリドカイン塩酸塩とともに約25mg/gの濃度に製剤化され、1mLのCOC(環状オレフィンコポリマー)シリンジ中で供給される。
【0010】
組成物は微細ゲージ針、たとえば25G、26G、27G、28G、29Gまたは30Gのゲージを有する針を通して押出し可能である。特定の実施形態においては、針は27ゲージ×13mm/27G1/2×26mmの針である。
押出し力は組成物をそのシリンジからある速度で押し出すために必要な力(ニュートン、N)である。たとえば、供給される1mLのCOCシリンジとTSK 27G×13mmの針を用いれば、本発明の組成物のいくつかの押出し力は13mm/分で約4N~約15Nであり得、これは極めて小さいと考えられる。たとえば、押出し力は約7N~約12Nであり、好ましくは約8N~約10Nであってよい。
本発明の別の態様においては、顔面の特徴、たとえば個人の後退した顎先に輪郭を形成し、またはこれを補正する方法が提供される。本方法には、たとえば患者の処置領域に有効量、たとえば約1.0ml以上、たとえば約2.0ml以上、たとえば約3.0ml以上、たとえば4.0mLの本発明の組成物を皮下投与するステップが含まれる。改善すべきまたは輪郭を形成すべき顔面の特徴は患者の顎先、たとえば後退した顎先であってよい。処置領域には下顎点(ポゴニオン)、頤(メンタム)、左前顎溝、右前顎溝、および唇の下にあるしわからなる群から選択される領域が含まれる。処置には組成物を2か所以上の処置領域に投与するステップが含まれてよい。
本明細書に記載した全ての特徴およびそのような特徴の2つ以上の組合せの全ては、そのような組合せに含まれる特徴が相互に矛盾しない限り、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】患者のG-Sn-Pog角度を計算するための顔面の輪郭およびランドマークを示す図である。
図2】平均的な顎先のBurstone角度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中で用いるある種の用語は、以下に詳細に示す以下の定義を参照することを意図している。用語の定義がその用語の一般に用いられる意味と異なる場合には、特に指示しない限り、出願人は以下に示す定義を用いることを意図している。
数値に関連する「約」という用語は当業者には容易に理解でき、好ましくは特定の値から±10%変化し得ることを意味している。範囲の端点に関して、修飾語「約」は好ましくは下端点が10%減少してもよく、上端点が10%増加してもよいことを意味する。本出願に開示したそれぞれの数値または範囲は絶対値であってもよく、即ち修飾語「約」は削除してもよいことも意図している。
【0013】
HAの「分子量」を表わす本明細書における全ての数は、ダルトン単位の質量平均分子量(Mw)を表わすものと理解されたい。
HAの分子量は以下のMark Houwink関係式を用いて固有粘度測定から計算される。
固有粘度(L/g)=9.78×10-5×Mw0.690
固有粘度は欧州薬局方(HAモノグラフ No1472、01/2009)で定義された手順に従って測定する。
【0014】
他に述べない限り、分子量は質量平均分子量(Mw)を意味する。本発明の組成物を作成するために用いるHAは高分子量HA、低分子量HA、および/または中分子量HAの混合物を含んでよく、高分子量HAは約2,000,000Daを超える分子量(または2.2L/gを超える固有粘度)を有し、低分子量HAは約1,000,000Da未満の分子量(または1.4L/gより低い固有粘度)を有する。たとえば、本発明の組成物中の高分子量HAは約2MDa~約4.0MDaの範囲、たとえば約3.0MDa(2.9L/g)の平均分子量を有してよい。別の例においては、高分子量HAは約2.4MDa~約3.6MDa、たとえば約3.0MDaの平均分子量を有してよい。高分子量HAは、約2.2L/gを超え、たとえば約2.5L/g~約3.3L/gの固有粘度を有してよい。
【0015】
低分子量HAは約200,000Da(0.2MDa)~1.0MDa未満、たとえば約300,000Da(0.3MDa)~約750,000Da(1.1L/g)、0.99MDa(1.4L/g)まででこれを超えない分子量を有してよい。低分子量HAは約1.40L/g未満、たとえば約0.6L/g~約1.2L/gの固有粘度を有してよい。
好ましくは、低分子量と高分子量のHA材料の分子量分布の間に重複はない。
好ましくは、低分子量HAと高分子量HAの混合物は二峰性の分子量分布を有する。混合物は多峰性の分布を有してもよい。
本発明の1つの態様においては、組成物は高分子量成分と低分子量成分を有するHAを含み、高分子量成分は低分子量成分の質量平均分子量の少なくとも2倍の質量平均分子量を有する。
【0016】
本明細書で用いる「架橋度」は、個別のHAポリマー分子もしくはモノマー鎖を永久的な構造または本明細書に開示する軟組織フィラー組成物に連結する分子間連結を意味する。さらに、本開示の目的のための架橋度は、架橋剤とHAベースの組成物の架橋部分中のHAモノマー単位とのパーセント質量比としてさらに定義される。これは架橋剤とHAモノマーとの質量比によって測定される。
本明細書で用いる「未架橋HA」は、架橋していない個別のHAポリマー分子を意味する。未架橋HAは一般に水溶性を保っている。未架橋HA分画は、たとえば潤滑剤として作用させ、顔面組織への注入を容易にするために組成物に含まれていてもよい。そのような組成物は未架橋HA分画を含んでよく、添加される未架橋HAは約0.1mg/g~約3mg/gの濃度で存在する。好ましくは、未架橋HAは約0.2mg/g~約1.5mg/gの濃度で存在してよい。
他の実施形態においては、未架橋HAはゲル中に存在せず、または少なくとも未架橋HAは潤滑剤として作用させるためにゲル中に添加されない。
本明細書に記載した組成物は、コーンプレートシステムを用い、ある範囲の振動数にわたって測定した、歪み0.8%における振動レオロジーによって測定した弾性率(G’)の値として表わされる高いレベルの弾性を示す。いくつかの実施形態においては、振動数5Hzにおいて測定した組成物の弾性率は、約500Pa~約900Paである。これはHAベースの皮膚用フィラーに関連して高い弾性と考えられ、剪断変形に対するインプラントの耐性を増大させることによってリフティング効果に寄与している。
【0017】
凝集性はゲルがそれ自体に付着している能力を意味し、たとえば切断に対する耐性およびゲルが断片に分離せずに延伸または圧縮できる能力を意味する。本発明によるゲルの凝集性は以下のように定量することができる(Derek Jones “Injectable Filers: Principles and Practice”, Wiley, 2011, Chapter 3参照)。ゲルの小試料(たとえば1mL)をレオメーターの平らな表面上に載せる。試料は小さな堆積を形成するように載せる。可動式の上プレートを試料の上に載せ、たとえばレオメーターの表面に垂直な方向からプレートを見た場合に試料が見えないように、試料を完全に覆う。これを確実にするため、試料の寸法よりも大きな寸法のプレートを選択しなければならない。理想的にはプレートの中央部を試料の上に載せる。典型的には、ゲル材料1mLに対して直径25mmの上プレートを用いる。
【0018】
測定の次のステップにおいて、可動式プレートと表面との間隙を2.5mmに調節する。この最初の位置から間隙幅0.9mmまで2分以内でプレートをゆっくり確実に動かしている間、試料によってプレートの法線方向に加わる力(Fn)を記録する。
間隙幅が0.9mmに達したら、システムを12分間緩和させる。この間、測定を継続する。5回の測定を行なう。測定した力を正規化するため、試験を開始したときに測定された最初の5つのFn値の全てを平均(算術平均)し、得られた平均値を他の全てのデータ点から差し引く。この試験の圧縮部分の終わり(上プレートと平面との間隙幅が最小の0.9mmに達した時)における最大の力を圧縮力と呼び、これはゲルの凝集性を決定するための特性値である。
【0019】
具体的には、20gmf(0.1962N)以上の力が本発明の意味における凝集性材料を示す。圧縮力の値がこれより低いゲルは本発明に関連しては一般に凝集性とは考えない。この測定の精度は±5gmfのオーダーである。本発明に関連して、注入可能な製剤は少なくとも約60gmf、たとえば約60~約200gmfの高い凝集性を有する。たとえば、好ましい実施形態においては、凝集性は約60~約100gmfであり、これによりインプラントは顔面の軟組織における圧力および通常の力に対する高い耐性が与えられる。
皮膚用フィラーに関連して、上で定義した凝集性は、その弾性率G’とともに、ゲルによって臨床的に提供されるリフト能力(臨床的には容積拡大/バルキー化効果と呼ばれる)に寄与することとなる。凝集性ゲルは良好な容積拡大効果を示す一方、同様の弾性率を有する非凝集性または弱凝集性の材料は、垂直方向の圧縮を受けた時に非凝集性ゲル材料の方が凝集性材料よりも広がるために、リフト能力が小さい。本発明に関連して、組成物は高いレベルの弾性率と高いレベルの凝集性の両方を示し、埋植に際してリフティング効果が最大化される。
【0020】
ある有利な例示的な実施形態においては、本発明のインプラントまたはフィラーは一般に、それを必要とする患者、たとえば顔の輪郭の改善または顎先の強化を望む患者の顎先の領域、鼻または顎の輪郭の、皮下または骨膜上に埋植可能な凝集性かつ無菌の組成物を含む。組成物は一般に1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で架橋された架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、組成物のHA濃度は20mg/gを超える。たとえばいくつかの実施形態においては、HA濃度は約22.5mg/gまたは約25mg/g、または約27.5mg/gである。架橋に用いるHAは低分子量ヒアルロン酸と高分子量ヒアルロン酸の混合物から作られていてよい。いくつかの実施形態においては、組成物は5Hzにおいて約500Pa~約900Paの弾性率および約60gmfを超える凝集性を有する。有利には、いくつかの実施形態においては、組成物は1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約4N~約15N、たとえば約8N~約10Nの押出し力を示す。
【0021】
本発明の1つの態様においては、市販のHAベースの皮膚用フィラーと比較して改善されたリフト能力を有する注入可能なHAベースのインプラントが提供される。本発明のインプラントは、本開示のいくつかの例においては、二者択一的に皮膚用フィラーおよび皮下フィラーと称される。本発明のインプラントおよびフィラーはヒアルロン酸(HA)およびHAの薬学的に許容される塩、たとえばヒアルロン酸ナトリウム(NaHA)に基づいている。これらの組成物を作成する方法、およびこれらの組成物の使用方法も提供される。
【0022】
本明細書において用いるヒアルロン酸(HA)は、任意のヒアルロン酸塩を意味し、それだけに限らないが、ヒアルロン酸ナトリウム(NaHA)、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸カルシウム、およびそれらの組合せを含む。本発明においてはHAおよびその薬学的に許容される塩の両方を用いることができる。
【0023】
さらに、麻酔剤を用いる実施形態においては、1つまたは複数の麻酔剤の濃度は組成物の注入に際して経験する疼痛を軽減するために有効な量である。少なくとも1つの局所麻酔剤は、アムブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタムベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジシクロミン、エクゴニジン、エクゴニン、エチルクロライド、エチドカイン、ベータユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチルp-アミノベンゾエート、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、メチルクロライド、ミルテカイン、ナエパイン、オクトカイン、オルソカイン、オキセタザイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、プソイドコカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、およびそれらの塩の群から選択することができる。1つの実施形態においては、少なくとも1つの麻酔剤はリドカインHClの形態等のリドカインである。本明細書に記載した組成物は組成物の約0.1質量%~約5質量%、たとえば組成物の約0.2質量%~約1.0質量%のリドカイン濃度を有してよい。1つの実施形態においては、組成物は組成物の約0.3質量%(質量/質量%)のリドカイン濃度を有する。本明細書に記載した組成物中のリドカインの濃度は治療に有効な量であり、濃度は患者に害を及ぼすことなく治療による恩恵を与えるために適切であることを意味する。
【0024】
本発明の組成物は、たとえばNaHA繊維の形態の精製したHA材料であって、所望の分子量を有するHA材料、たとえば所望の比率の低分子量および高分子量のHAの混合物を準備するステップ、HA材料を水和するステップ、および所望の比率で適切な架橋剤によって水和したHA材料を架橋して架橋HAベースのゲルを形成するステップによって製造することができる。次いでゲルを中和して膨潤させる。所望であれば、リドカイン、好ましくはリドカインクロロハイドレートの酸性塩を含む溶液を添加してHA/リドカインゲルを形成させてよい。ゲルはたとえば剪断力を加えてかき混ぜまたは混合することによって均質化させてよい。次いで均質化された組成物をシリンジに詰めてよい。次いでシリンジを有効な温度および圧力でオートクレーブすることによって滅菌する。たとえば組成物はたとえば少なくとも約120℃~約130℃の温度および/または少なくとも約12ポンド毎平方インチ(PSI)~約20PSIの圧力に少なくとも約1分~約15分さらすオートクレーブによって滅菌される。医師による使用のため、滅菌されたシリンジを微細ゲージ針とともに包装する。
【0025】
より具体的には、最初の未精製HA材料はNaHAの繊維または粉末、たとえば細菌由来のNaHA繊維を含んでよい。あるいは、HA材料は動物由来、たとえば雄鶏のとさかから得られる。HA材料はHAおよび少なくとも1つの他の多糖、たとえば別のグリコサミノグリカン(GAG)を含む未精製材料の組合せであってよいことが意図される。
組成物を製造する1つの方法では、精製し乾燥したNaHA繊維をアルカリ性溶液中で水和して未架橋NaHAゲルを製造する。このステップにおいてNaHAを水和するために任意の好適なアルカリ性溶液、たとえばこれだけに限らないが、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、水酸化リチウム(LiOH)等を含む水溶液を用いることができる。得られるアルカリ性ゲルは7.5を超えるpHを有することになる。得られるアルカリ性ゲルは9を超えるpH、または10を超えるpH、または12を超えるpH、または13を超えるpHを有してよい。
【0026】
製造プロセスにおける次のステップには、水和されたアルカリ性NaHAゲルを適切な架橋剤で架橋するステップが含まれてよい。架橋剤は多糖類およびその誘導体をそのヒドロキシル基を介して架橋することに適していることが知られた任意の薬剤であってよい。1つの特に好適な架橋剤は1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)である。
別の実施形態においては、HAの架橋は、架橋剤、たとえばBDDEを含むアルカリ性溶液中の高分子量および低分子量の繊維の組合せを水和することによって、HA繊維の水和の間に達成される。
本発明の組成物のHA成分における架橋度は少なくとも約4%で、約12%(質量/質量)BDDE/HAまで、たとえば約10%、たとえば約8%、たとえば約6%、たとえば約4%である。特定の実施形態においては、架橋度は約6.5%である。いくつかの実施形態においては、HAは約6.5%の架橋度を有する。他の実施形態においては、HAは約7.5%、または約8.5%、または約9.5%、または約10.5%の架橋度を有する。
【0027】
水和した架橋HAゲルを膨潤させて所望のHA濃度を得ることができる。このステップは架橋した水和HAゲルにたとえばHCl等の酸を含む水溶液を加えて中和することによって達成することができる。次いでゲルを十分な時間、低温で、リン酸塩緩衝生理食塩液(PBS)中で膨潤させる。
ここでゲルはリン酸塩緩衝液に対する透析、またはアルコールによる沈殿等の従来の手段によって精製して、架橋した材料を回収し、材料のpHを安定化させ、および未反応の架橋剤があれば除去することができる。追加の水またはややアルカリ性の水溶液を加えて、組成物中のHAの濃度を所望の濃度とすることができる。いくつかの実施形態においては、組成物のHA濃度を20mg/gを超え、たとえば約25mg/gに調節する。他の実施形態においては、HA濃度を調節して約21mg/g、約22mg/g、約23mg/g、約24mg/g、約26mg/g、約27mg/g、約28mg/g、約29mg/g、または約30mg/gのHA濃度を得る。
【0028】
最終組成物にリドカイン等の麻酔剤を含有させるべき実施形態においては、精製した架橋HAゲルのpHを調節して、ゲルが約7.2を超え、たとえば約7.5~約8.0のpHを有するようにゲルをややアルカリ性にしてよい。このステップは、任意の適切な手段により、たとえば適切な量の希釈したNaOH、KOH、NaHCO3もしくはLiOH、または他の任意のアルカリ性分子、溶液および/または緩衝組成物をゲルに加えることによって達成されてよい。
【0029】
次いで有効量の麻酔剤、たとえばリドカインHCl等のリドカインを精製した架橋NaHAゲルに加える。たとえば、いくつかの実施形態においては、リドカインHClを粉末状態で準備し、注射用水(WFI)を用いてこれを可溶化する。最終のHA/リドカイン組成物が所望の実質的に中性のpHを有するように、緩衝液によって、または希釈したNaOHによる調節によって、ゲルを中性に保つ。リドカインを含む最終組成物は、組成物の少なくとも約0.1%~約5質量%、たとえば約2質量%、または別の例においては約0.3質量%のリドカイン濃度を有してよい。
リドカインHClの添加後、あるいはリドカインHClの添加の間に、HA/リドカインゲルまたは組成物を均質化して、所望の稠度および安定性を有する高度に均質なHA/リドカインゲルを形成する。好ましくは、均質化ステップには制御された剪断力でゲルを混合し、撹拌し、またはかき混ぜて、実質的に均質な混合物を得るステップが含まれる。
【0030】
HA組成物を均質化した後、ある量の未架橋HA溶液またはゲルを組成物に加えて潤滑性を増大させてもよい。
いくつかの実施形態においては、均質化の後に未架橋HAの溶液を組成物に加えない。
次いで組成物をシリンジに導入して滅菌してよい。本明細書に従って有用なシリンジには、粘稠な皮膚用フィラー組成物を送達することができる当技術で公知の任意のシリンジが含まれる。シリンジは一般に約0.4mL~約3mL、より好ましくは約0.5mL~約1.5mL、または約0.8mL~約2.5mLの内容積を有する。この内容積は、高粘度の皮膚用フィラー組成物を注入するために必要な押出し力において重要な役割を果たすシリンジの内径と関連している。内径は一般に約4mm~約9mm、より好ましくは約4.5mm~約6.5mm、または約4.5mm~約8.8mmである。さらに、HA組成物をシリンジから送達するために必要な押出し力は針のゲージによる。用いる針のゲージには、一般に約18G~約40G、より好ましくは約25G~約33G、または約25G~約30Gのゲージが含まれる。たとえばいくつかの実施形態においては、組成物は1mLのシリンジに詰められ、27Gの針を用いて注入される。
【0031】
充填したシリンジを滅菌する1つの好ましい方法はオートクレーブによる方法である。オートクレーブは、滅菌の必要がある試料に熱、圧力および湿気を併せて適用することによって達成することができる。このステップには多くの異なった滅菌温度、圧力およびサイクルタイムを用いることができる。たとえば、充填したシリンジは少なくとも約120℃~約130℃またはそれ以上の温度で滅菌することができる。湿気は用いても用いなくてもよい。適用する圧力は、いくつかの実施形態においては滅菌プロセスで用いる温度による。滅菌サイクルは少なくとも約1分~約20分またはそれ以上であってよい。
別の滅菌法には、感染性物質を殺滅または除去することが知られているガス種の使用が含まれる。好ましくは滅菌ガスとしてエチレンオキサイドが用いられ、これは医用デバイスおよび製品を滅菌するために有用であることが当技術で知られている。
【0032】
さらなる滅菌法には、感染性物質を殺滅または除去することが当技術で知られている放射線源の使用が含まれる。放射線ビームがHA組成物を含むシリンジに当てられ、エネルギーの波長が望ましくない感染性物質を殺滅または除去する。有用な好ましいエネルギーには、これだけに限らないが、紫外(UV)光、ガンマ線照射、可視光、マイクロ波、または好ましくはHA組成物を実質的に変質させずまたは劣化させずに望ましくない感染性物質を殺滅または除去する他の任意の波長または波長帯が含まれる。
好ましくは、本発明の組成物は長期間保存した場合にも安定性を保つ。たとえば、本発明の組成物の多くは、約2~25℃の温度で保存した場合に約6か月、約12か月、約18か月、または約24か月またはそれ以上の保存期間を有する。特定の実施形態においては、組成物は2~25℃の温度で少なくとも18か月安定である。別の特定の実施形態においては、組成物は2~25℃の温度で少なくとも24か月安定である。
【0033】
本発明の組成物の注入の手法は、ベベルの角度および方向、ならびに投与する量に応じて変動し得る。一般には、最適の補正および審美的な顎先の輪郭を達成するため、処置を下顎点、頤(顎先の下面)、前顎溝(左および右)、および唇の下にある(頤の)しわに限定して、本発明の組成物を皮下および/または骨膜上に注入して顎先の突出を増大させる。適切な注入量は責任医師によって決定されることになるが、一般に初期および追加の処置を併せて約4.0mLの最大全量を超えるべきではない。繰り返し治療については約4.0mLまでの全量が許容される。処置領域が下顎点、頤、前顎溝(左および右)および唇の下にある(頤の)しわとして定義される場合には、いかなる処置期間においても単一の処置領域には約2.0mL以下の注入が許容される。
本発明の組成物の注入の前に、処置領域は完全に消毒して、注入可能なフィラーが細菌または異物(たとえばメークアップ、手袋からのタルク)による汚染がないことを確実にしなければならない。
【0034】
次に、供給された27G 1/2”/27G×13mmの針をシリンジに取り付ける(使用説明書に従う)。本発明の組成物を注入する前に、製品が針から流出することが目視できるまでプランジャーロッドを押し、余剰物があれば無菌ガーゼで拭き取らなければならない。
本発明の組成物は以下のようにして注入する。本発明の組成物をゆっくりと注入し、皮膚の変色または褪色の兆候がないか観察する。対象者に疼痛または不快感がないか観察する。本発明の組成物を滑らかかつ慎重に注入する。注入部位における局所の血管分布に注意しながら針を挿入する。針の先端が血管内に位置していることを示唆する血液の逆流がないことを確認するために吸引する。
下顎点には多数回の少量ボーラスによって骨膜上に注入してよい。頤には多数回の少量ボーラスによって骨膜上に注入してよい。前顎溝(左および右)には皮下深くに扇形に広げる手法によって注入してよい。唇の下にある(頤の)しわには直線状、逆行性、または順行性の表面皮下縫い付け法によって注入してよい。
【0035】
処置が完了すれば、処置した部位を穏和にマッサージして、製品が均一に分布し、周囲組織の輪郭に一致していることを確認する。過剰補正が起こった場合には、最適な結果が得られるように、指の間で、または下部にある骨に対してその領域を穏和にマッサージする。
本発明の組成物は血管の中に(血管内)注入すべきではない。ヒアルロン酸を血管系に導入すると血管を閉塞し、梗塞または塞栓を起こすことがある。血管閉塞および塞栓の症状には、手技に相応しないか、注入部位から離れた部位の疼痛、注入領域を超えて延び、血管の分岐した分布を表わすことがある直後の白化、浅黒い、または網状の外観等の虚血組織を反映する変色が含まれる。
表面ばかりに、または小さな領域に大量の製品を注入すると、目に見え、持続するしこりおよび/または変色を生じることがある。
【0036】
逆行手法を用いる場合には、ゆっくりと後方に針を引きながらプランジャーロッドに均一な圧力をかけることによって本発明の組成物を注入する。材料が漏れ出すことまたは皮膚の表面ばかりで終わることを防ぐために、針が皮下と皮膚の界面を通過する直前に注入を止めることが重要である。順行手法を用いる場合には、注入を開始する前に針が皮下組織にあることを確認する。
針が詰まったら、プランジャーロッドにかける圧力を増大せずに注入を中止し、針を取り換える。
処置した領域が注入の直後に膨潤すれば、その部位に氷のパックを短時間あてがってよい。対象者が1週間を超えて持続する炎症反応、または発現したいかなる副作用をも訴えた場合には、医療従事者は適切な処置を講じなければならない。
【0037】
好ましい実施形態においては、本発明の組成物はたとえば1mLの使い捨てシリンジ中に予め充填された好ましくは適量1mLの容積のリン酸塩緩衝液(pH7.2)の中に好ましくは約25mgの量のヒアルロン酸ゲルおよび好ましくは約3mgの量のリドカイン塩酸塩を含み、ヒアルロン酸ゲルはBDDEで架橋されている。この予め充填されたたとえば1mLの使い捨てシリンジは、2本の使い捨て針(たとえば27G 1/2”/27G×13mm針)とともにキット(ブリスターパック)に入れられていてよい。シリンジの内容物は湿熱によって滅菌されていてよい。使い捨て針は放射線滅菌されていてよい。
本発明の組成物は、たとえば顎先および顎の領域における顔面の容積の修復および形成を意図した注入可能なインプラントである。リドカインの存在は、処置の間の対象者の疼痛を低減することを意図している。
【実施例0038】
(例1)
本発明の実施形態による注入可能なインプラントの製造
約0.9MDaの分子量を有するヒアルロン酸ナトリウム(NaHA)(0.9g)の予め乾燥した繊維を第1の容器中に秤取する。
約3.0MDaの分子量を有するNaHA(0.1g)の予め乾燥した繊維を第2の容器中に秤取する。
2つの異なったグレードのNaHAを合わせて1%の水酸化ナトリウム溶液中に希釈し、20℃~50℃で1~2時間混合して、実質的に均質なアルカリ性HAゲルを得る。
【0039】
別の容器で選択した架橋剤、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を1%水酸化ナトリウム溶液中に希釈し、最終濃度を10%(質量/質量)BDDEとする。
アルカリ性HAゲルに10%(質量/質量)のBDDE(先に調製したBDDE溶液1g)を加える。得られた混合物を機械的に均質化する。
次いで混合物を3~4.5時間、50℃に保つ。
次いで得られた架橋HAポリマーを、pHを安定化させるために塩酸を加えたリン酸塩緩衝液(PB)に浸漬する。
次いでこのようにして得られた架橋HAポリマーをリン酸塩緩衝液浴中に浸漬して未反応架橋剤およびHAを除去し、架橋度が約6.5%である精製されたハイドロゲルを得る。
高分子量の乾燥されたHA材料を1リットルのリン酸塩緩衝液で水和して、未架橋HAゲルを得てもよい。この未架橋HAゲルを架橋HA組成物に加えて全HA濃度を5%(質量/質量)とすることができる。
【0040】
次いで得られたハイドロゲルを機械的に均質化して、最終的な均質性を確実にし、オートクレーブで滅菌したシリンジに詰める。
得られたゲルは、微細ゲージ針(たとえば27ゲージ)を通して皮下または骨膜上に投与することができる注入可能な組成物である。組成物は本明細書の他の場所に記載したように、たとえば人の顎先、顎の領域、または鼻における顔面の容積を修復し、輪郭形成し、または形成するために有用である。
本発明の1つの態様においては、患者の顔面の輪郭を改善する方法が提供される。たとえばいくつかの実施形態においては、人のG-Sn-Pog顔面角度を変更する方法、たとえば人のG-Sn-Pog顔面角度を増大させる方法が提供される。たとえばいくつかの実施形態においては、患者の顎先の後退を補正する処置方法が提供される。本発明のいくつかの実施形態においては、処置を受ける患者の最初の処置前のG-Sn-Pog顔面角度は約165°未満である。処置の後、患者のG-Sn-Pog顔面角度は増大しており、即ち顔面角度は最初の処置前の顔面角度より大きい。1つの実施形態においては、投与ステップの後の患者のG-Sn-Pog角度は約169°またはそれ以上である。G-Sn-Pog角度は従来の装置および計算によって測定することができ、たとえばCanfield Scientific社の顔面イメージ装置を用いて、たとえば患者のデジタルイメージから誘導される顔面角度の計算に基づいてよい。図1に患者のG-Sn-Pog角度を計算するための顔面の輪郭およびランドマークを示す。これは公知の方法によって顎先の後退の存在および/または程度を診断しまたは判定するために用いることができる。
【0041】
本方法は一般に、患者の顔面の少なくとも1つの処置領域にBDDE架橋ヒアルロン酸(HA)を含む有効量の組成物を投与するステップであって、HAが約6.5%、または約10%の架橋度を有し、20mg/gを超えるHA濃度を有するステップを含む。
いくつかの実施形態においては、患者の顔面の少なくとも1つの処置領域の骨膜上に本明細書に記載したような組成物を投与するステップであって、患者のG-Sn-Pog顔面角度が145°~165°であるステップを含む処置方法が提供される。顔面角度値は患者のデジタルイメージから誘導される顔面角度の計算に基づいてもよく、または他の手法を用いてもよい。いくつかの実施形態によれば、投与するステップによって、処置前、たとえば投与するステップの直前の患者のG-Sn-Pog顔面角度に比べて、患者のG-Sn-Pog角度の増大が得られる。いくつかの実施形態においては、投与するステップの後、少なくとも約3か月、またはより好ましくは少なくとも約6か月、たとえば約9か月~約24か月の範囲の期間、患者のG-Sn-Pog角度が増大する。たとえば、投与するステップの後、少なくとも約6か月、または少なくとも約9か月、または少なくとも約12か月、または少なくとも約18か月、または少なくとも約24か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する。
【0042】
いくつかの実施形態においては、処置領域は下顎点、頤、左前顎溝、右前顎溝、および唇の下にあるしわからなる群から選択される領域である。処置には処置領域の2か所以上に組成物を投与するステップが含まれてよい。投与には処置領域あたり約0.5mL~約3.0mLの量の組成物を骨膜上または皮下に注入するステップが含まれる。いくつかの実施形態においては、所与の処置領域に注入する量は2.0mL以下である。いくつかの実施形態においては、全ての処置領域にわたって1回の処置期間において注入される全量は2.0mL~約6.0mL、たとえば約2.5mL、約3.0mL、約3.5mL、約4.0mL、約4.5mL、約5.0mL、約5.5mL、または約6.0mLである。いくつかの実施形態においては、1回の処置期間に投与される量は約4.0mL以下である。
【0043】
顎先および顎における容積の修復および形成
1つの態様においては、本発明は顎先および顎に容積を修復し形成する方法、たとえば顔面の特定の処置領域にわたって造形し、成形し、輪郭形成する方法を提供する。処置領域には、下顎点(顎先の前面の最も突出した点)、頤(顎先の最低点)、左右の前顎溝(左のアンチゴニオンノッチおよび右のアンチゴニオンノッチ)、および唇の下にある(頤の)しわ(下唇と頤の間のしわ)の1つまたは複数が含まれてよい。
【0044】
顎先の形状および突出は魅力の根底にある顔面の比例バランスに寄与している。突出のない顎先は一般に「弱い顎先」と分類される一方、突出した顎先は「強い顎先」と分類され、人格の強さを暗示している。いくつかの研究は、平均的な釣り合いを持った顔は最も魅力的とみなされ、小さな顎先を含む子供じみた容貌が女性では魅力的と解釈される一方、強い顎先および顎が男性では魅力的と解釈されることを示唆している。顎先の外観は知覚される魅力の決定的要素であり、個人の心理社会的幸福感に影響することがある。
平均的な釣り合いは個体群における顔面の輪郭の表現を解析することによって決定され、鼻、唇、および頤の間の距離および角度を含む。頭部の解析において平均的な顔面パラメーターからの顎先の突出および後退の乖離を測定し診断するために、いくつかの軟組織ランドマークが用いられてきた。個体群において普通の平均的な顎先の突出を理解するために、顔面上部と顔面下部前面要素の交点および眉間、鼻下、および頤(G-Sn-Pog)の点によって形成される角度が広範囲に解析されてきた。平均的な顎先についてはBurstone角度(図2)は約169°と定義され、いくつかの研究において近似的な角度(168°~169°)が確認された。
【0045】
平均的な顎先からの乖離は、顔面の魅力のなさを知覚させる結果を徐々にもたらす。顔面の輪郭と魅力の知覚との関係を解析した結果は、顎先の突出がこの知覚において主要な役割を果たしていることを示している。顎先の突出の程度と魅力との関係を理解するため、理想化された輪郭イメージから2mmずつ変化させた一連の輪郭イメージを、処置前の下顎矯正患者、臨床医、および非専門家のグループに提示した。それぞれのイメージを極めて非魅力的から極めて魅力的までの範囲の7点のLikertスケールでランク付けするように対象者に依頼した。知覚された魅力のランクは2mmの顎先後退のそれぞれについてLikertスケールで平均0.15減少し、4mm変化した後で明確になった。手術が望まれる顎先の後退の程度は患者および臨床医で11mm、非専門家で10mmであった。最も魅力的なイメージは、軟組織の下顎点が真の垂直線の上に存在する理想的な下顎矯正輪郭を示すものであった。
【0046】
(例2)
顎先の後退または弱い顎先を有する対象者におけるG-Sn-Pog顔面角度を増大させる方法
本発明の組成物を32歳の男性対象者の顎先および/または顎の領域の皮下または骨膜上に注入することによって注入可能なインプラントとして投与する。対象者は「弱い顎先」を有していると訴えている。医師は対象者の顔面角度を測定し、G-Sn-Pog角度を約150°と決定する。これは平均的な顎先の古典的なBurstone角度(約169°)よりも実質的に低い。測定はCanfieldイメージ装置およびソフトウェアを用いて得られたデジタルイメージから誘導される顔面角度の計算に基づいている。
医師は、対象者の顎先/顎の後退は顎先を長くしたり幅広くするのではなく、顎先の突出を水平に(輪郭視において)増大させることと調和する処置目標による補正が可能であると考える。
【0047】
医師は、本明細書に記載した埋植可能な組成物を用いることによって、対象者により魅力的な顔面輪郭および強い顎の輪郭を提供することができると考える。
対象者は以下に述べるように最初の処置、追加の処置、および繰り返しの処置を含めた3回の処置期間を受ける。
それぞれの処置について、処置領域には以下の処置領域の少なくとも1つまたは複数が含まれる。下顎点(顎先の前面の最も突出した点)、頤(顎先の最低点)、左前顎溝(左のアンチゴニオンノッチ)、右前顎溝(右のアンチゴニオンノッチ)、および/または唇の下にあるしわ(下唇と頤の間のしわ)。
【0048】
医師は処置期間のいずれにおいても単一の処置領域に2.0mLを超える埋植は行なわない。
対象者に対して以下のようにして最初の処置を実施する。医師は無菌の皮膚用製剤を用い、その標準的な手順に従って麻酔剤の投与を行なう。氷および局所麻酔剤の使用によって注入時の不快感を低減することができる。注射用麻酔剤は処置領域に限定され、計画した処置領域を変形させないことを確認しながら投与する。
キットとともに供給される針(27ゲージ×13mm/27G1/2”)を用いて、医師は顎先の突出を(輪郭視で水平に)増大させるため、ならびに審美的に造形し、輪郭形成し、成形するため、処置を下顎点、頤、前顎溝、および唇の下にある(頤の)しわに限定して、本明細書に記載した組成物を皮下および/または骨膜上に注入する。好適な注入手技は上に述べた。処置の目標は顎先の突出を(輪郭視で水平に)増大し、審美的な顎先の輪郭を達成することである。医師は最初および予想される追加の処置を合わせて約4.0mLまでの適切な注入量を決定する。
【0049】
所望の顔面の輪郭を達成するため、医師は覆っている組織を手で操作して処置領域を穏和に成形する。
対象者が望んだ場合、または医師の意向で最初の処置において顎先の突出の最適な(完全な)増大および/または審美的輪郭形成が達成できなかった場合には、最初の処置の約30日後に追加の処置を行なう。追加の処置を実施する場合には、(最初の処置と追加の処置の)合計量としての投与される組成物の量は約2.0mL~約4.0mLである。この通院の間に、医師は処置領域に何らかの局所反応がないかを評価し、報告された症状があれば検討する。顎先の後退の角度を客観的に計算するために、3Dの顔面デジタルイメージ(前面および輪郭イメージ)を取り込む。追加のフォローアップ通院において、最初の処置の後で顎先の突出の最適な(完全な)増大または審美的輪郭形成が達成できなかったと医師が判断した場合には、対象者は追加の処置を受けるように勧められる。
【0050】
医師の意向で繰り返し処置が正当化された場合、および/または対象者が望んだ場合には、18~24か月の間の予定された通院の際に単一の繰り返し処置が行なわれる。繰り返し処置についての顎先への注入量は合計で4.0mLを超えない。
ある程度詳細に本発明を記述し説明したが、本開示は例のためのみに行なったものであり、当業者であればこれ以降に主張する本発明の範囲を逸脱することなく、部分の組合せおよび配置における数多くの変更を行なうことができることは理解される。
他に示さない限り、本明細書および特許請求の範囲において用いる成分の量、分子量等の特性、反応条件、その他を表わす全ての数は、全ての場合に「約」という用語で修飾することができることを理解されたい。したがって、逆が示されない限り、明細書および添付した特許請求の範囲において説明する数値パラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望の特性によって変動し得る近似値である。少なくとも、また等価物の原理の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメーターは少なくとも報告された有効数字に鑑みて、および通常の丸め手法を適用することによって、解釈すべきである。
【0051】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメーターは近似であるが、特定の例で説明した数値はできるだけ正確に報告している。しかし全ての数値は本質的にそれぞれの測定方法において見られる標準偏差に由来するある程度の誤差を必然的に含む。本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメーターは近似であるが、特定の例で説明した数値はできるだけ正確に報告している。しかし全ての数値は本質的にそれぞれの測定方法において見られる標準偏差に由来するある程度の誤差を必然的に含む。
【0052】
本明細書に開示した特定の実施形態は、からなるまたは本質的にからなるという言語を用いて特許請求の範囲においてさらに限定され得る。特許請求の範囲において用いる場合、出願時のものであろうと、補正によって追加されたものであろうと、過渡的な用語「~からなる(consisting of)」は特許請求の範囲において特定されていないあらゆる要素、ステップ、または成分を排除する。過渡的な用語「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲を特定された材料またはステップおよび基礎的かつ新規な特徴に実質的に影響しない材料またはステップに限定する。そのように主張された本発明の実施形態は、本質的にまたは明示的に本明細書に記載され、可能とされている。
【0053】
終わりに、本明細書に開示した本発明の実施形態は本発明の原理を説明するものであることを理解されたい。利用し得る他の改変は本発明の範囲内である。したがって、例としてであるが限定ではなく、本明細書の教示に従って本発明の代替の構成を利用することができる。したがって、本発明は開示および記述された内容に厳密に限定されない。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者の、顎先の領域、顎の輪郭または鼻の、皮下または骨膜上にインプラント可能な無菌の組成物であって、
組成物が1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で架橋された架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、
組成物のHA濃度が20mg/gを超え、
架橋に用いるHAが低分子量ヒアルロン酸と高分子量ヒアルロン酸の混合物から作られており、
架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物であり、
組成物が5Hzにおいて約500Pa~約900Paの弾性率を有し、
組成物が60gmfを超える凝集性を有し、
組成物が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約4N~約15Nの押出し力を示す、組成物。
【請求項2】
HA濃度が約22.5mg/gである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
HA濃度が約25mg/gである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
HA濃度が約27.5mg/gである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも70質量%の低分子量HA、好ましくは少なくとも90質量%の低分子量HAを含む混合物である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
架橋に用いるHAがHAの全質量に対して約90質量%の低分子量HAおよび約10質量%の高分子量HAを含む混合物である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
凝集性が約60gmf~約200gmfである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
凝集性が約60gmf~約100gmfである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
押出し力が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約7N~約12Nである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
押出し力、1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約8N~約10Nである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
麻酔剤をさらに含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
リドカイン塩酸塩をさらに含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の全質量に対して約0.3質量%のリドカイン塩酸塩をさらに含む、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
HAが約4%~約10%の架橋度を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
HAが約4%の架橋度を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
HAが約6%の架橋度を有する、請求項1から15までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
HAが約8%の架橋度を有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
HAが約10%または約6.5%の架橋度を有する、請求項1から17までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、適量1mLのpH7.2のリン酸塩緩衝液中に約25mgの架橋HAおよび3mgのリドカインを含み、架橋HAが好ましくは約6.5%の架橋度を有する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
終わりに、本明細書に開示した本発明の実施形態は本発明の原理を説明するものであることを理解されたい。利用し得る他の改変は本発明の範囲内である。したがって、例としてであるが限定ではなく、本明細書の教示に従って本発明の代替の構成を利用することができる。したがって、本発明は開示および記述された内容に厳密に限定されない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕それを必要とする患者の、顎先の領域、顎の輪郭または鼻の、皮下または骨膜上に埋植可能な無菌の組成物であって、
組成物が1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で架橋された架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、
組成物のHA濃度が20mg/gを超え、
架橋に用いるHAが低分子量ヒアルロン酸と高分子量ヒアルロン酸の混合物から作られており、
架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物であり、
組成物が5Hzにおいて約500Pa~約900Paの弾性率を有し、
組成物が60gmfを超える凝集性を有し、
組成物が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約4N~約15Nの押出し力を示す、組成物。
〔2〕HA濃度が約22.5mg/gである、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕HA濃度が約25mg/gである、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔4〕HA濃度が約27.5mg/gである、前記〔1〕から〔3〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔5〕架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも70質量%の低分子量HA、好ましくは少なくとも90質量%の低分子量HAを含む混合物である、前記〔1〕から〔4〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔6〕架橋に用いるHAがHAの全質量に対して約90質量%の低分子量HAおよび約10質量%の高分子量HAを含む混合物である、前記〔1〕から〔5〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔7〕凝集性が約60gmf~約200gmfである、前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔8〕凝集性が約60gmf~約100gmfである、前記〔1〕から〔7〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔9〕押出し力が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約7N~約12Nである、前記〔1〕から〔8〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔10〕押出し力、1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約8N~約10Nである、前記〔1〕から〔9〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔11〕麻酔剤をさらに含む、前記〔1〕から〔10〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔12〕リドカイン塩酸塩をさらに含む、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔13〕組成物の全質量に対して約0.3質量%のリドカイン塩酸塩をさらに含む、前記〔1〕から〔12〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔14〕HAが約4%~約10%の架橋度を有する、前記〔1〕から〔13〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔15〕HAが約4%の架橋度を有する、前記〔1〕から〔14〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔16〕HAが約6%の架橋度を有する、前記〔1〕から〔15〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔17〕HAが約8%の架橋度を有する、前記〔1〕から〔16〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔18〕HAが約10%または約6.5%の架橋度を有する、前記〔1〕から〔17〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔19〕組成物が、適量1mLのpH7.2のリン酸塩緩衝液中に約25mgの架橋HAおよび3mgのリドカインを含み、架橋HAが好ましくは約6.5%の架橋度を有する、前記〔1〕から〔18〕までのいずれか1項に記載の組成物。
〔20〕患者における顎先の後退を補正する方法であって、
患者の顔面の少なくとも1つの処置領域の骨膜上にBDDEで架橋したヒアルロン酸(HA)を含む有効量の組成物を投与するステップであって、HAが約6.5%の架橋度および20mg/gを超えるHA濃度を有し、架橋に用いるHAがHAの全質量に対して少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物であり、処置領域が下顎点、頤、左前顎溝、右前顎溝、および唇の下にあるしわからなる群から選択されるステップを含む、方法。
〔21〕投与するステップの前、患者が、患者のデジタルイメージから誘導される顔面角度の計算に基づいて約165°未満のG-Sn-Pog角度を有する、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕投与するステップによって、患者のG-Sn-Pog角度の増大が得られる、前記〔20〕または〔21〕に記載の方法。
〔23〕投与するステップの後、約9か月~約24か月の範囲の期間、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、前記〔20〕から〔22〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔24〕投与するステップの後、少なくとも約6か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、前記〔20〕から〔23〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔25〕投与するステップの後、少なくとも約9か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、前記〔20〕から〔24〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔26〕投与するステップの後、少なくとも約12か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、前記〔20〕から〔25〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔27〕投与するステップの後、少なくとも約18か月、患者のG-Sn-Pog角度が増大する、前記〔20〕から〔26〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔28〕投与するステップの後、患者が約169°以上のG-Sn-Pog角度を有する、前記〔20〕から〔27〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔29〕組成物のHA濃度が約25mg/gであり、
組成物の架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して約90質量%の低分子量ヒアルロン酸および約10質量%の高分子量ヒアルロン酸から作られており、
組成物が5Hzにおいて約500Pa~約800Paの弾性率を有し、
組成物が約60gmf~100gmfの凝集性を有し、
組成物が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約8N~約10Nの押出し力を有する、前記〔20〕から〔28〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔30〕患者の顎先または顎に容積を形成または修復する方法であって、
それを必要とする患者の、顎先の領域または顎の輪郭の、皮下または骨膜上に無菌の組成物を注入するステップであって、
組成物が1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で架橋された架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、
架橋に用いるHAが、HAの全質量に対して少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物であり、
組成物が5Hzにおいて約500Pa~約800Paの弾性率を有し、
組成物が約60gmf~約100gmfの凝集性を有するステップを含み、
方法が、患者の顎先または顎の輪郭に組成物を注入した後、約9か月~約24か月の範囲の期間、患者の顎先または顎の輪郭に容積を付加する、方法。
〔31〕組成物が1mLのCOCシリンジおよび27G×13mmの針を用いて13mm/分で約8N~約10Nの押出し力を有する、前記〔30〕に記載の方法。
〔32〕HAが約4%~約12%の架橋度を有する、前記〔30〕または〔31〕に記載の方法。
〔33〕HAが約6%の架橋度を有する、前記〔30〕から〔32〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔34〕HAが約8%の架橋度を有する、前記〔30〕から〔33〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔35〕HAが約10%の架橋度を有する、前記〔30〕から〔34〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔36〕HAが約6.5%の架橋度を有する、前記〔30〕から〔35〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔37〕HAが約8.5%の架橋度を有する、前記〔30〕から〔36〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔38〕HAが約10.5%の架橋度を有する、前記〔30〕から〔37〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔39〕1mLのCOCシリンジ等の使い捨てシリンジ中に予め充填された前記〔1〕から〔19〕までのいずれか1項に記載の組成物および27G×13mmの針等の少なくとも1つの使い捨て針を含むキット。
〔40〕患者の顎先および顎の領域において容積を拡張し、補正し、修復し、または形成するため等の顔面造形の方法であって、
前記〔1〕から〔19〕までのいずれか1項に記載の組成物を注入することによって、患者の顔面の少なくとも1つの処置領域の皮下および/または骨膜上に有効量の組成物を投与するステップを含み、
投与が完了した後に、患者の顔面の処置領域をマッサージして、製品が周囲組織の輪郭に一致していることを確認するステップを含んでもよく、
組成物を投与する前に、処置領域を消毒するステップを含んでもよく、
好ましくは処置領域が下顎点、頤、左前顎溝、右前顎溝、および唇の下にある(頤の)しわからなる群から選択される、方法。
〔41〕組成物が、1mLのCOCシリンジおよび約18G~約40G、より好ましくは約25G~約33G、または約25G~約30G、たとえば27G×13mmの針等の微細ゲージ針を用いて注入される、前記〔40〕に記載の方法。
〔42〕組成物が、いかなる処置期間においても単一の処置領域に4.0mL未満、たとえば約2.0mL等の注入量で注入される、前記〔40〕または〔41〕に記載の方法。
〔43〕組成物が、最初および予想される追加の処置を合わせて約4.0mL未満の最大全量で注入される、前記〔40〕から〔42〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔44〕下顎点には多数回の少量ボーラスによって骨膜上に注入し、頤には多数回の少量ボーラスによって骨膜上に注入し、左および/または右の前顎溝には皮下深くに扇形に広げる手法によって注入し、唇の下にある(頤の)しわには直線状、逆行性、または順行性の表面皮下縫い付け法によって注入する、前記〔40〕から〔43〕のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】