(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029389
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】洗浄用組成物及び洗浄用製品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20230224BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230224BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20230224BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20230224BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230224BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230224BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20230224BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20230224BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20230224BHJP
C11D 3/22 20060101ALI20230224BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20230224BHJP
C11D 3/26 20060101ALI20230224BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q5/02
A61K8/23
A61K8/42
A61K8/44
A61K8/73
C11D1/29
C11D1/52
C11D1/90
C11D3/22
C11D3/04
C11D3/26
C11D3/20
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202880
(22)【出願日】2022-12-20
(62)【分割の表示】P 2017046934の分割
【原出願日】2017-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川越 紘
(72)【発明者】
【氏名】福田 絵美
(57)【要約】
【課題】保管した際の黄変の進行を抑制できる洗浄用組成物及び当該組成物を収容した洗浄用製品の提供。
【解決手段】洗浄用組成物は、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩と、(B)脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及び/又はカチオン化カッシアと、(C)ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及び/又はジブチルヒドロキシトルエンとが配合されたものであり、洗浄用製品は、その洗浄用組成物及び当該洗浄用組成物を収容する透明容器を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)及び(C)が配合されたことを特徴とする洗浄用組成物。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩
(B)脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及び/又はカチオン化カッシア
(C)ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及び/又はジブチルヒドロキシトルエン
【請求項2】
毛髪を洗浄するために用いられる請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項3】
前記成分(A)が2質量%以上の配合量である請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が10質量%未満の配合量である請求項1~3のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び前記脂肪酸ジエタノールアミドが、3.0質量%以上の配合量である請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び前記脂肪酸ジエタノールアミドが、3.0質量%未満の配合量、又は、無配合である請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
【請求項7】
前記脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及び前記アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、3.0質量%以上の配合量である請求項1~6のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及び前記アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、3.0質量%未満の配合量、又は、無配合である請求項1~6のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
【請求項9】
前記カチオン化セルロース、前記カチオン化グアーガム及び前記カチオン化カッシアが、0.5質量%以上の配合量である請求項1~8のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
【請求項10】
前記カチオン化セルロース、前記カチオン化グアーガム及び前記カチオン化カッシアが、0.5質量%未満の配合量、又は、無配合である請求項1~8のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の洗浄用組成物及び当該洗浄用組成物を収容する透明容器を備えることを特徴とする洗浄用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪などを洗浄するための洗浄用組成物及び洗浄用製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸は、皮膚への刺激性が低く、毛髪や身体を洗浄するための洗浄用組成物に配合するアニオン界面活性剤として適する。その洗浄用組成物には、泡立ち、泡安定性、毛髪を洗い流す際の指通りなどを向上する目的で、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン化高分子などが配合される。例えば、特許文献1には、毛髪洗浄剤組成物において、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウムと共に、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及び塩化0-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース又は塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムを配合する開示がある(引用文献1の表1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗浄用組成物を保管すると、その組成物が黄色に変色する黄変が見られることがある。この黄変は、実際に使用する上での洗浄用組成物の品質に問題はなくても、使用者に悪い印象を与える場合がある。特に容器が透明である場合、収容された洗浄用組成物の色を視認可能なので、品質が疑われる虞がある。そのため、洗浄用組成物の黄変を抑える提案が望まれる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、保管した際の黄変の進行を抑制できる洗浄用組成物及び当該組成物を収容した洗浄用製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩と、脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及び/又はカチオン化カッシアとを配合した場合に黄変が生じ、この黄変を抑制するためには、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及び/又はジブチルヒドロキシトルエンの配合が適しているとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る洗浄用組成物は、下記成分(A)、(B)及び(C)が配合されたことを特徴とする。当該組成物は、例えば、毛髪を洗浄するために用いられる。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩
(B)脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及び/又はカチオン化カッシア
(C)ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及び/又はジブチルヒドロキシトルエン
【0008】
本発明の洗浄用組成物において、例えば、前記成分(A)が2質量%以上の配合量である。成分(A)が2質量%以上であっても、成分(C)の配合により、黄変の進行が抑えられる。
【0009】
本発明の洗浄用組成物において、前記成分(B)が10質量%未満の配合量であると良い。成分(B)が10質量%未満であれば、黄変の抑制に適する。
【0010】
本発明の洗浄用組成物において、例えば、前記脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び前記脂肪酸ジエタノールアミドが、3.0質量%以上の配合量である。脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミドが3.0質量%以上であっても、成分(C)の配合により、黄変の進行が抑えられる。
【0011】
本発明の洗浄用組成物において、前記脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び前記脂肪酸ジエタノールアミドが、3.0質量%未満の配合量、又は、無配合であると良い。前記脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び前記脂肪酸ジエタノールアミドが3.0質量%未満又は無配合であれば、黄変の抑制に適する。
【0012】
本発明の洗浄用組成物において、例えば、前記脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及び前記アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、3.0質量%以上の配合量である。脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが3.0質量%以上であっても、成分(C)の配合により、黄変の進行が抑えられる。
【0013】
本発明の洗浄用組成物において、前記脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及び前記アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、3.0質量%未満の配合量、又は、無配合であると良い。脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが3.0質量%未満又は無配合であれば、黄変の抑制に適する。
【0014】
本発明の洗浄用組成物において、例えば、前記カチオン化セルロース、前記カチオン化グアーガム及び前記カチオン化カッシアが、0.5質量%以上の配合量である。カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及びカチオン化カッシアが0.5質量%以上であっても、成分(C)の配合により、黄変の進行が抑えられる。
【0015】
本発明の洗浄用組成物において、前記カチオン化セルロース、前記カチオン化グアーガム及び前記カチオン化カッシアが、0.5質量%未満の配合量、又は、無配合であると良い。カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及びカチオン化カッシアが0.5質量%未満又は無配合であれば、黄変の抑制に適する。
【0016】
また、本発明に係る洗浄用製品は、本発明に係る洗浄用組成物及び当該洗浄用組成物を収容する透明容器を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る洗浄用組成物によれば、成分(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩と、成分(B)脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及び/又はカチオン化カッシアとで生じる黄変の進行が、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及び/又はジブチルヒドロキシトルエンにより抑えられる。
【0018】
また、本発明に係る洗浄用製品によれば、収容された洗浄用組成物の黄変が抑えられるから、無用な品質の疑いを解消に向けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態の洗浄用組成物は、後記の成分(A)、(B)、(C)及び水が配合されたものである(なお、本実施形態の洗浄用組成物における水の配合量は、例えば65質量%以上である。)。また、本実施形態の洗浄用組成物を毛髪洗浄のために使用する場合、公知の毛髪洗浄用組成物に配合されている成分を、任意に配合しても良い。
【0020】
(成分(A))
本実施形態の洗浄用組成物には、アニオン界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩が成分(A)として配合される。
【0021】
本実施形態の洗浄用組成物に配合されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸は、下記一般式(I)で表されるものである。
R1-(OCH2CH2)n-OCH2COOH (I)
[上記一般式(I)において、R1は、アルキル基を表し、例えば炭素数10以上16以下の直鎖状アルキル基である。また、上記一般式(I)において、nは、酸化エチレンの平均付加モル数を表し、例えば12以下である。]
【0022】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸としては、例えば、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(2)トリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(7)トリデシルエーテル酢酸が挙げられる(これらの例示したポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸における括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数を表す。)。
【0023】
成分(A)がポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩である場合、その塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
【0024】
本実施形態の洗浄用組成物には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその塩から選ばれた一種又は二種以上が成分(A)として配合される。本実施形態の洗浄用組成物における成分(A)の配合量は、使用時の起泡性を良好にするため、2.0質量%以上が良く、3.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上がより好ましい。一方、成分(A)の配合量の上限は、例えば8質量%である。なお、成分(A)の配合量を高めると、黄変が生じやすくなるが、成分(C)の配合がその黄変を抑制する。
【0025】
(成分(B))
本実施形態の洗浄用組成物には、脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及び/又はカチオン化カッシアが成分(B)として配合される。成分(B)の少なくとも一種を成分(A)と共に配合すると、黄変が生じやすくなるが、その黄変は、成分(C)の配合により抑えられる。
【0026】
本実施形態の洗浄用組成物には、上記の通り、脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及びカチオン化カッシアから選ばれた成分(B)の一種又は二種以上が配合される。この成分(B)の配合量は、本実施形態の洗浄用組成物において、10質量%未満が良く、8.0質量%未満が好ましく、7.0質量%未満がより好ましく、6.0質量%未満が更に好ましく、5.0質量%未満がより更に好ましい。成分(B)の配合量が多いと黄変が生じ易くなる傾向があるので、10質量%未満であれば、黄変の抑制に適する。
【0027】
本実施形態の洗浄用組成物において、脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれた一種又は二種以上を配合すれば、泡立ち、泡持ちなどが向上する。本実施形態の洗浄用組成物における脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミドの配合量は、3.0質量%以上であっても良い。この配合量範囲であっても、成分(C)により黄変を抑制できる。
【0028】
なお、成分(B)の中でも、脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミドは、黄変を生じさせ易い。黄変をより抑制する観点からは、本実施形態の洗浄用組成物において、脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミドが、3.0質量%未満の配合量が良く、2.5質量%未満の配合量が好ましく、2.0質量%未満の配合量がより好ましく、1.0質量%未満の配合量が更に好ましく、無配合がより更に好ましい。
【0029】
上記脂肪酸N-メチルエタノールアミドとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミドが挙げられる。また、上記脂肪酸ジエタノールアミドとしては、例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドが挙げられる。
【0030】
本実施形態の洗浄用組成物において、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインから選ばれた一種又は二種以上を配合すれば、泡立ちなどが向上する。本実施形態の洗浄用組成物における脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインの配合量は、3.0質量%以上であっても良い。この配合量範囲であっても、成分(C)により黄変を抑制できる。
【0031】
なお、黄変をより抑制する観点からは、本実施形態の洗浄用組成物において、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、3.0質量%未満の配合量が良く、2.5質量%未満の配合量が好ましく、2.0質量%未満の配合量がより好ましく、1.0質量%未満の配合量が更に好ましく、無配合がより更に好ましい。
【0032】
上記脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインは、下記一般式(II)で表されるものである。この脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えば、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。
【0033】
【化1】
[上記一般式(II)において、R
2は、アルキル基を表し、例えば炭素数10以上16以下の直鎖状アルキル基である。]
【0034】
また、上記アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインは、下記一般式(III)で表されるものである。このアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。
【0035】
【化2】
[上記一般式(III)において、R
3は、アルキル基を表し、例えば炭素数10以上18以下の直鎖状アルキル基である。]
【0036】
本実施形態の洗浄用組成物において、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及びカチオン化カッシアから選ばれた一種又は二種以上を配合すれば、洗浄用組成物を洗い流す際の毛髪の指通りなどが向上する。本実施形態の洗浄用組成物におけるカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及びカチオン化カッシアの配合量が0.5質量%以上であれば、洗い流す際の毛髪の指通り向上に適する。また、この配合量範囲であっても、成分(C)により黄変を抑制できる。
【0037】
なお、黄変をより抑制する観点からは、本実施形態の洗浄用組成物において、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及びカチオン化カッシアが、0.5質量%未満の配合量が良く、0.3質量%未満の配合量が好ましく、0.2質量%未満の配合量がより好ましく、無配合が更に好ましい。
【0038】
上記カチオン化セルロースとしては、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。上記カチオン化グアーガムとしては、例えば、塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムが挙げられる。また、カチオン化カッシアとしては、例えば、塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕カッシアが挙げられる。
【0039】
(成分(C))
本実施形態の洗浄用組成物には、黄変を抑制するため、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及び/又はジブチルヒドロキシトルエンが成分(C)として配合される。
【0040】
上記ピロ亜硫酸塩としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムが挙げられる。また、上記亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウムが挙げられる。
【0041】
本実施形態の洗浄用組成物には、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及びジブチルヒドロキシトルエンから選ばれた一種又は二種以上が成分(C)として配合される。本実施形態の洗浄用組成物における成分(C)の配合量は、黄変の抑制を良好とするために、0.005質量%以上が良く、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましい。一方、成分(C)の配合量の上限は、例えば0.05質量%である。
【0042】
(任意原料)
本実施形態の洗浄用組成物には、成分(A)、(B)及び(C)以外にも、毛髪洗浄用組成物に配合する成分として公知のものを、任意に配合しても良い。この任意原料は、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、多価アルコール、糖類、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などである。
【0043】
成分(A)以外のアニオン界面活性剤を本実施形態の洗浄用組成物に配合する場合、当該アニオン界面活性剤としては、例えば、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-アシルメチルタウリン塩などのスルホン酸系アニオン界面活性剤;アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩などの硫酸系アニオン界面活性剤;が挙げられる。本実施形態の洗浄用組成物において、成分(A)を含めたアニオン界面活性剤の配合量は、例えば10質量%以上20質量%以下である。
【0044】
成分(B)である脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン以外の両性界面活性剤を本実施形態の洗浄用組成物に配合する場合、当該両性界面活性剤としては、例えば、スルホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリンベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。本実施形態の洗浄用組成物において、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを含めた両性界面活性剤の配合量は、例えば3質量%以上8質量%以下である。
【0045】
また、成分(B)である脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミド以外のノニオン界面活性剤を本実施形態の洗浄用組成物に配合する場合、当該ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。本実施形態の洗浄用組成物において、脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミドを含めたノニオン界面活性剤の配合量は、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0046】
ノニオン界面活性剤を配合する場合に、例えば、脂肪酸N-メチルエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミドを無配合とし、カプリン酸グリセリル、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどをノニオン界面活性剤として配合すれば、黄変の抑制に適する。
【0047】
(剤型)
本実施形態の洗浄用組成物の剤型は、毛髪の洗浄を行う場合には、液状が良い。液状に調整する場合、B型粘度計を使用して25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば800mPa・s以上2000mPa・s以下である。
【0048】
(pH)
本実施形態の洗浄用組成物の25℃におけるpHは、泡立ちの観点から、4.5以上7.0以下が良く、5.0以上6.5以下が好ましい。
【0049】
(用途)
本実施形態の洗浄用組成物を、毛髪を洗浄するために使用すると良い。洗浄する場合には、公知の毛髪洗浄と同様、毛髪を水洗し、本実施形態の洗浄用組成物を毛髪に塗布してから、当該組成物を水洗除去すると良い。
【0050】
(洗浄用製品)
本実施形態の洗浄用組成物は、容器に収容した洗浄用製品とすると良い。この場合、洗洗浄用組成物を収容する容器が透明であっても、洗浄用組成物の黄変の進行を抑制できるから、使用者への悪印象の付与が抑えられる。
【実施例0051】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0052】
(実施例1a~1b、比較例1a~1b)
実施例1a~1b及び比較例1a~1bの透明の液状洗浄用組成物を、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(酸化エチレンの平均付加モル数が4.5のものと、10のものとを併用)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、亜硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、システイン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、安息香酸ナトリウム及びフェノキシエタノールから選んだ成分と、水とを配合して製造した。この製造において、水と配合した成分の濃度は、下記表1の通りである。また、クエン酸と水酸化ナトリウムを適量配合し、各洗浄用組成物のpHを5.0~6.0に調整した。
【0053】
実施例1a~1b及び比較例1a~1bの洗浄用組成物の黄変の確認を、次の通り行った。透明のバイアル瓶(高さ12cm、直径4cm程度)に各洗浄用組成物を注入し、その容器を密閉した。その後、60℃の温度条件で23日間放置した。そして、比較例1aを基準として、着色の程度をもって黄変を確認した。
【0054】
下記表1に、実施例1a~1b及び比較例1a~1bの洗浄用組成物について、黄変の確認結果と共に、水と配合した成分及びその成分濃度を示す。表1に示す「○」は基準よりも黄変が抑えられていたことを意味し、「◎」は「○」よりも黄変が抑えられていたことを意味し、「×」は基準よりも黄変が進んでいたことを意味する。つまり、表1においては、アセチルシステインが黄変を抑制し、亜硫酸塩である亜硫酸ナトリウムがより黄変を抑制したことを確認できる。
【0055】
【0056】
(実施例2a~2c)
実施例2a~2cの透明の液状洗浄用組成物を、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(酸化エチレンの平均付加モル数が4.5のものと、10のものとを併用)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、安息香酸ナトリウム及びフェノキシエタノールから選んだ成分と、水とを配合して製造した。この製造において、水と配合した成分の濃度は、下記表2の通りである。また、クエン酸と水酸化ナトリウムを適量配合し、各洗浄用組成物のpHを5.0~6.0に調整した。
【0057】
実施例2a~2cの洗浄用組成物の黄変の確認を、次の通り行った。透明のバイアル瓶(高さ12cm、直径4cm程度)に各洗浄用組成物を注入し、その容器を密閉した。その後、60℃の温度条件で30日間放置した。そして、実施例2aを基準として、着色の程度をもって黄変を確認した。
【0058】
下記表2に、実施例2a~2cの洗浄用組成物について、黄変の確認結果と共に、水と配合した成分及びその成分濃度を示す。表2に示す「◎」は、基準である「○」よりも黄変が抑えられていたことを意味する。つまり、表2においては、亜硫酸塩である亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムよりも、ピロ亜硫酸塩であるピロ亜硫酸ナトリウムの方が黄変を抑制したことを確認できる。
【0059】
【0060】
(実施例3a~3b)
実施例3a~3bの透明の液状洗浄用組成物を、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(酸化エチレンの平均付加モル数が4.5のものと、10のものとを併用)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ピロ亜硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール及び水とを配合して製造した。この製造において、水と配合した成分の濃度は、下記表3の通りである。また、クエン酸と水酸化ナトリウムを適量配合し、各洗浄用組成物のpHを5.0~6.0に調整した。
【0061】
実施例3a~3bの洗浄用組成物の黄変の確認を、実施例2aと同様に行った。そして、実施例3aを基準として、着色の程度をもって黄変を確認した。
【0062】
下記表3に、実施例3a~3bの洗浄用組成物について、黄変の確認結果と共に、水と配合した成分及びその成分濃度を示す。表3に示す「◎」は、基準である「○」よりも黄変が抑えられていたことを意味する。つまり、表3においては、成分(C)の配合量を増やすと、黄変抑制が向上したことを確認できる。
【0063】
【0064】
(参考例1a~1e、参考例2a~2f)
参考例1a~1eの組成物を、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド又はラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインと、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースと、水とを配合して製造した。この製造において、水と配合した成分の濃度は、下記表4の通りである。
【0065】
また、参考例2a~2fの組成物を、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミドから選ばれた成分と、水とを配合して製造した。この製造において、水と配合した成分の濃度は、下記表5の通りである。
【0066】
参考例1a~1e、参考例2a~2fの組成物の黄変の確認を、次の通り行った。透明のバイアル瓶(高さ12cm、直径4cm程度)に各組成物を注入し、その容器を密閉した。その後、5℃又は50℃の温度条件で4か月放置した。そして、製造時の組成が同じ組成物について、5℃で放置したものと、50℃で放置したものとを目視にて対比し、着色の程度をもって黄変を確認した。
【0067】
下記表4に、参考例1a~1eの組成物について、黄変の有無と共に、水と配合した成分及びその成分濃度を示す。表4に示す通り、成分(A)であるポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム又はポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウムと、成分(B)である塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースとを配合した参考例1b、1cにおいて、黄変が確認された。
【0068】
【0069】
下記表5に、参考例2a~2fの組成物について、黄変の有無と共に、水と配合した成分及びその成分濃度を示す。表5に示す通り、成分(A)及び(B)のを配合した参考例2b~2eにおいて、黄変が確認された。
【0070】