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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002942
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
B42F7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103803
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潤
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕二
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博子
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA06
(57)【要約】
【課題】綴じ部材の一部が表紙の外面側から露出し難い構成を備えたファイルを提供する。
【解決手段】表紙Aと、表紙Aに綴じ部材たる第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられる収納部材たるクリヤーポケットEを備えたファイルであって、表紙Aの端縁には、折り返し可能な綴じ片である第一、第二の綴じ片C、Dが一体的に設けられており、クリヤーポケットEが、第一、第二の綴じ片C、Dに支持された第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられているものとした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙と、この表紙に綴じ部材により綴じられる収納部材を備えたファイルであって、
前記表紙の端縁には、折り返し可能な綴じ片が一体的に設けられており、
前記収納部材が、前記綴じ片に支持された綴じ部材により綴じられているファイル。
【請求項2】
前記綴じ片が、前記表紙に対して屈曲部を介して連設されたものであり、且つ、前記屈曲部以外の部分が前記表紙に対して拘束されていないものとなっている請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記表紙、及び、前記収納部材が、一体的に二つ折り可能に構成されている請求項1又は2記載のファイル。
【請求項4】
前記収納部材の上に配設され前記綴じ部材により綴じられた収納体を備えたものであり、
前記表紙が、ヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有してなり、これら表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る展開姿勢と、前記表表紙及び裏表紙の各内面同士が前記収納部材を介して対面し得る閉じ姿勢とを採り得るように構成されたファイルであって、
前記展開姿勢において、前記収納体が前記表紙の外面側にめくられた場合に、前記綴じ片が前記表紙に対して傾斜した姿勢をなしている請求項1、2又は3記載のファイル。
【請求項5】
前記表紙が、ヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有してなり、
前記綴じ片が、前記表表紙及び前記裏表紙の双方又は何れか一方に設けられている請求項1、2、3又は4記載のファイル。
【請求項6】
前記綴じ片が、前記表表紙に設けられた第一の綴じ片、及び、前記裏表紙に設けられた第二の綴じ片であり、
前記第一の綴じ片と第二の綴じ片は、互いに離間して設けられている請求項5記載のファイル。
【請求項7】
前記綴じ部材が、帯状又は紐状をなす綴じ足であり、
前記綴じ片に、前記綴じ足が挿通される綴じ足挿通孔が設けられている請求項1、2、3、4、5又は6記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類を収容し得るファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から表紙に対して綴じ部材を用いて収納袋を支持させた二つ折り可能なクリヤーホルダーが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
従来のものは、表紙に支持された綴じ部材の一部が、表紙に設けられた綴じ部材挿入孔を通過して表紙の外面側に露出する構成をなしていた。そのため、綴じ部材が表紙の外面側における外観を損なうものとなっているだけでなく家具や周囲の物品に引っ掛かり易いものとなっていた。
【0004】
なお、以上の事情は、クリヤーホルダーのみに限られたものではなく、ファイル全般においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-290695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、綴じ部材の一部が表紙の外面側から露出し難い構成を備えたファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、表紙と、この表紙に綴じ部材により綴じられる収納部材を備えたファイルであって、前記表紙の端縁には、折り返し可能な綴じ片が一体的に設けられており、前記収納部材が、前記綴じ片に支持された綴じ部材により綴じられているファイルである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記綴じ片が、前記表紙に対して屈曲部を介して連設されたものであり、且つ、前記屈曲部以外の部分が前記表紙に対して拘束されていないものとなっている請求項1記載のファイルである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記表紙、及び、前記収納部材が、一体的に二つ折り可能に構成されている請求項1又は2記載のファイルである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記収納部材の上に配設され前記綴じ部材により綴じられた収納体を備えたものであり、前記表紙が、ヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有してなり、これら表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る展開姿勢と、前記表表紙及び裏表紙の各内面同士が前記収納部材を介して対面し得る閉じ姿勢とを採り得るように構成されたファイルであって、前記展開姿勢において、前記収納体が前記表紙の外面側にめくられた場合に、前記綴じ片が前記表紙に対して傾斜した姿勢をなしている請求項1、2又は3記載のファイルである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記表紙が、ヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有してなり、前記綴じ片が、前記表表紙及び前記裏表紙の双方又は何れか一方に設けられている請求項1、2、3又は4記載のファイルである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記綴じ片が、前記表表紙に設けられた第一の綴じ片、及び、前記裏表紙に設けられた第二の綴じ片であり、前記第一の綴じ片と第二の綴じ片は、互いに離間して設けられている請求項5記載のファイルである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記綴じ部材が、帯状又は紐状をなす綴じ足であり、前記綴じ片に、前記綴じ足が挿通される綴じ足挿通孔が設けられている請求項1、2、3、4、5又は6記載のファイルである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、綴じ部材の一部が表紙の外面側から露出し難い構成を備えたファイルを提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示す折り畳み姿勢の正面図。
図2】同実施形態における展開姿勢の正面図。
図3】同実施形態における分解斜視図。
図4図2におけるX-X線概略端面図。
図5】同実施形態の構成部材(表紙・第一の綴じ片・第二の綴じ片)を説明するための展開状態の正面図。
図6】同実施形態の構成部材(クリヤーポケット)を説明するための展開姿勢の正面図。
図7】同実施形態の構成部材(ホルダー)を説明するための展開姿勢の正面図。
図8図7におけるY-Y線概略端面図。
図9】折り畳み姿勢における第一、第二の屈曲部の状態を説明するための図8対応の概略端面図。
図10】同実施形態における展開姿勢の正面図。
図11】同実施形態における展開姿勢の正面図。
図12図11におけるZ-Z線概略端面図。
図13図11におけるV-V線概略端面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1~13を参照して説明する。なお、図中において、溶着部分(溶着部)には符号yを付している。
【0018】
この実施形態は、本発明を展開姿勢(T)と、展開姿勢(T)の状態から二つ折りされた姿勢である折り畳み姿勢(F)とを採り得るように構成されたファイルに適用したものである。
【0019】
ファイルは、表紙Aと、表紙Aの端縁に一体的に設けられた折り返し可能な独立した一対の綴じ片である第一、第二の綴じ片C、Dと、第一、第二の綴じ片C、Dに設けられた綴じ部材である第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられる複数の収納部材たるクリヤーポケットEと、複数枚重ね合わされたクリヤーポケットEの上に配設され当該クリヤーポケットEと共に第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられる収納体であるホルダーJとを備えたものである。
【0020】
ファイルは、折り畳み姿勢(F)を採ることができるように、表紙A、クリヤーポケットE、及び、ホルダーJが、一体的に二つ折り可能に構成されている。
【0021】
<表紙A>
表紙Aは、ヒンジ部である背表紙a3を介して連結された表表紙a1及び裏表紙a2を有してなる。表紙Aは、表表紙a1及び裏表紙a2が略面一をなすように展開し得る展開姿勢(T)と、表表紙a1及び裏表紙a2の各内面同士がポケットファイル及びホルダーJを介して対面し得る折り畳み姿勢(F)とを採り得るように構成されたものである。
【0022】
表紙Aは、展開姿勢(T)において略縦長矩形状をなしている。表紙Aは、展開姿勢(T)における上半部を構成する略横長矩形状をなす表表紙a1と、展開姿勢(T)における下半部を構成する略横長矩形状をなす裏表紙a2と、裏表紙a2と表表紙a1との間に設けられたヒンジ部たる背表紙a3とを備えたものである。
【0023】
表表紙a1は、裏表紙a2と略同じ大きさをなしている。表表紙a1における右の側端縁には、折り畳み姿勢(F)の際に、裏表紙a2に取り付けられた束ね用のゴムバンドBと係わり合う凹み部a11が設けられている。
【0024】
裏表紙a2は、表表紙a1と略同じ大きさをなしている。裏表紙a2には、折り畳み姿勢(F)の際に、表表紙a1と裏表紙a2とを束ねるためのゴムバンドBが取り付けられている。裏表紙a2における右の側端縁には、折り畳み姿勢(F)の際に、ゴムバンドBと係わり合う凹み部a21が設けられている。
【0025】
背表紙a3は、その全体でヒンジ部を構成するものである。背表紙a3は、左右方向に延びた上下一対の内折り線m1と、上下一対の内折り線m1の各外側に配された左右方向に延びた上下一対の外折り線m2とを備えている。背表紙a3は、上下一対の内折り線m1の間に設けられた背表紙本体a31と、背表紙本体a31の上下に設けられ内折り線m1と外折り線m2の間に位置する上補助部a32及び下補助部a33とを備えている。
【0026】
<綴じ片(第一の綴じ片C・第二の綴じ片D)>
第一の綴じ片Cは、表表紙a1における綴じ元側の端縁である左側端縁から一体に延設されたものである。第一の綴じ片Cは、展開姿勢(T)の表表紙a1における左側端縁の下部を除いた部分から延設されている。すなわち、第一の綴じ片Cは、表表紙a1の左側端縁の一部から突設されている。
【0027】
第一の綴じ片Cは、縦長帯状をなしている。第一の綴じ片Cは、第一の綴じ足Gが挿通される上下一対の綴じ足挿通孔c11が設けられた第一の綴じ片本体c1と、第一の綴じ片本体c1の一側縁に設けられ第一の綴じ片本体c1と表表紙a1との間を繋ぐ屈曲可能な部位である屈曲部たる第一屈曲部c2とを備えている。
【0028】
第一の綴じ片Cは、第一の綴じ片本体c1を表表紙a1の内面側に折り返し可能な構成をなしている。第一の綴じ片本体c1は、表表紙a1に対して第一屈曲部c2を介して連設されたものであり、且つ、第一屈曲部c2以外の部分が表表紙a1に対して拘束されていないものとなっている。
【0029】
第一の綴じ片Cは、第一屈曲部c2により屈曲し、第一の綴じ片本体c1が表表紙a1の内面側に折り返された姿勢を基本姿勢としている。第一の綴じ片Cに支持される第一の綴じ足Gの溶着端部gtは、第一の綴じ片本体c1と表表紙a1の内面との間に位置するようになっている。
【0030】
第一の綴じ片本体c1は、被綴じ体であるクリヤーポケットE側を向き当該クリヤーポケットEの被保持端部e2を支持し得る支持面c12と、表表紙a1の内面側に近接した位置において当該表表紙a1の内面に対向する近接対向面c13とを備えている。
【0031】
第一屈曲部c2は、上下方向に延びてなり左右に対をなして設けられた折り線c21を備えたものである。
【0032】
第二の綴じ片Dは、裏表紙a2における綴じ元側の端縁である左側端縁から一体に延設されたものである。第二の綴じ片Dは、展開姿勢(T)の裏表紙a2における左側端縁の上部を除いた部分から延設されている。すなわち、第二の綴じ片Dは、裏表紙a2の左側端縁の一部から突設されている。
【0033】
第二の綴じ片Dは、縦長帯状をなしている。第二の綴じ片Dは、第二の綴じ足Hが挿通される上下一対の綴じ足挿通孔d11が設けられた第二の綴じ片本体d1と、第二の綴じ片本体d1の一側縁に設けられ第二の綴じ片本体d1と裏表紙a2との間を繋ぐ屈曲可能な部位である屈曲部たる第二屈曲部d2とを備えている。
【0034】
第二の綴じ片Dは、第二の綴じ片本体d1を裏表紙a2の内面側に折り返し可能な構成をなしている。第二の綴じ片本体d1は、裏表紙a2に対して第二屈曲部d2を介して連設されたものであり、且つ、第二屈曲部d2以外の部分が裏表紙a2に対して拘束されていないものとなっている。
【0035】
第二の綴じ片Dは、第二屈曲部d2により屈曲し、第二の綴じ片本体d1が裏表紙a2の内面側に折り返された姿勢を基本姿勢としている。第二の綴じ片Dに支持される第二の綴じ足Hの溶着端部htは、第二の綴じ片本体d1と裏表紙a2の内面との間に位置するようになっている。
【0036】
第二の綴じ片本体d1は、被綴じ体であるクリヤーポケットE側を向き当該クリヤーポケットEの被保持端部e2を支持し得る支持面d12と、裏表紙a2の内面側に近接した位置において当該裏表紙a2の内面に対向する近接対向面d13を有したものである。
【0037】
第二屈曲部d2は、上下方向に延びてなり左右に対をなして設けられた折り線d21を備えたものである。
【0038】
表紙Aに連設された第一の綴じ片Cと第二の綴じ片Dは、独立して設けられている。すなわち、第一の綴じ片Cと第二の綴じ片Dは、互いに離間して設けられている。
【0039】
表紙Aと第一、第二の綴じ片C、Dとの間には、書類Pを仮保持し得るものとなっている。
【0040】
第一、第二の綴じ片C、Dは、展開姿勢(T)において、ホルダーJが表紙Aの外面側に位置するようにめくられた場合に、表紙Aに対して傾斜した姿勢を採り得るものとなっている。
【0041】
すなわち、展開姿勢(T)において、使用者により、ホルダーJの一部が表紙Aの外面側に位置するようにめくる操作が行われると、ベースシート本体11及びカバーシート2が重なり合って構成されたホルダー本体JHが表紙Aの外面側に位置するようになっている。このとき、ホルダー本体JHのベースシート本体11に連設されており第一、第二の綴じ足G、Hに支持された延設部12における外ヒンジ部122及び内ヒンジ部121がそれぞれ屈曲し、延設部12における外ヒンジ部122と内ヒンジ部121との間の縦長帯状の部分が第一、第二の綴じ足G、Hの上側を覆うとともに内ヒンジ部121は、表紙Aに隣設した第一、第二屈曲部c2、d2の外側を覆うようになっている。
【0042】
つまり、ホルダー本体JHが表紙Aの外面側に移動することにより、延設部12が、第一、第二の綴じ足G、Hを介して第一、第二の綴じ片C、Dを表紙Aに対して傾斜した姿勢を採るように引き上げるようになっている。
【0043】
<綴じ足(第一の綴じ足G・第二の綴じ足H>
クリヤーポケットE及びホルダーJは、第一、第二の綴じ片C、Dに支持された綴じ部材たる第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられている。この実施形態では、第一、第二の綴じ足G、Hはそれぞれ帯状をなしている。第一、第二の綴じ足G、Hは、それぞれ基端部同士が溶着されて、閉ループ状に構成されている。
【0044】
第一の綴じ足Gにおける溶着端部gtは、第一の綴じ片本体c1における近接対向面c13と表表紙a1の内面との間に配設されている。第二の綴じ足Hにおける溶着端部htは、第二の綴じ片本体d1における近接対向面d13と裏表紙a2の内面との間に配設されている。
【0045】
<クリヤーポケットE>
クリヤーポケットEは、内部に開口部e11を通じて書類Pを収容し得るポケット本体e1と、ポケット本体e1の一端部たる左側端部に沿って設けられ第一、第二の綴じ足G、Hが挿通される第一の綴じ足挿通孔e21及び第二の綴じ足挿通孔e22が配された被保持端部e2とを備えたものである。この実施形態では、開口部e11は被保持端部e2に沿うようにポケット本体e1に設けられている。
【0046】
クリヤーポケットEは、表紙Aの姿勢変更に追従して姿勢変更可能なものとなっている。換言すれば、クリヤーポケットEは、表紙Aが二つ折りされた際に、当該表紙Aに追従して上下方向中央部において屈曲し、二つ折り可能に構成されている。
【0047】
被保持端部e2は、上下方向に延びた帯状をなしている。被保持端部e2の上半部には、第一の綴じ足Gが挿通される上下一対の第一の綴じ足挿通孔e21が設けられている。被保持端部e2の下半部には、第二の綴じ足Hが挿通される上下一対の第二の綴じ足挿通孔e22が設けられている。
【0048】
第二の綴じ足挿通孔e22は、上下方向に延びた長孔状をなしており、表紙Aが二つ折りされた際にクリヤーポケットEの下半部が裏表紙a2に対して上下方向に柔軟に相対移動し得る構成をなしている。
【0049】
<ホルダーJ>
収納体であるホルダーJは、書類Pを簡易に挟んで保持し得る構成をなしたものである。ホルダーJは、ベースシート1とカバーシート2とを備えたものである。ホルダーJは、ベースシート1とカバーシート2との間に書類Pを収容し得る収納空間spが形成されている。
【0050】
ホルダーJは、複数のクリヤーポケットEとともに第一、第二の綴じ片C、Dに支持された第一、第二の綴じ足G、Hを介して表紙Aの内面に積層状に設けられたものである。そして、ホルダーJは、展開姿勢(T)において最上部(最前部)に位置付けられている。
【0051】
すなわち、ホルダーJは、展開姿勢(T)において最上部(最前部)に位置し、展開姿勢(T)における表紙代わりとして複数のクリヤーポケットEを上側(前側)から覆い隠す機能を発揮し得るものとなっている。
【0052】
ホルダーJは、上下方向中間部に左右方向に延設された第一の屈曲部Nを有する第一のシート体たるベースシート1と、ベースシート1の前に重ね合わされ第一の屈曲部Nに対応する上下方向中間部に左右方向に延設された第二の屈曲部Rを有する第二のシート体たるカバーシート2とを備えたものである。
【0053】
ベースシート1は、展開姿勢(T)において縦長矩形状をなすベースシート本体11と、ベースシート本体11の綴じ元側である左側端部に延設された延設部12を備えたものである。
【0054】
ベースシート1には、展開姿勢(T)における上下方向中央部に第一の屈曲部Nが設けられている。第一の屈曲部Nは、左右方向に延びた直線状をなす中央の折り線n1、及び、当該中央の折り線n1の上下に配された左右方向に延びた直線状をなす上下の折り線n2と備えてなる。
【0055】
第一の屈曲部Nは、ベースシート1における左右両端部間の全幅に亘って設けられている。換言すれば、第一の屈曲部Nは、ベースシート本体11及び延設部12における各上下方向中間部に設けられている。ベースシート1は、展開姿勢(T)における第一の屈曲部Nよりも上が上半部1aとなっており、第一の屈曲部Nよりも下が下半部1bとなっている。
【0056】
第一の屈曲部Nは、図8に示すように展開姿勢(T)において中央の折り線n1及び左右の折り線n2が略同一水平線上に位置する略フラットな姿勢をなしており、図9に示すように折り畳み姿勢(F)において中央の折り線n1が左右の折り線n2よりも外側に位置する谷折り状をなすように構成されている。
【0057】
ベースシート本体11は、カバーシート2と協働して書類Pを収容し得る収納空間spを有したホルダー本体JHを構成するものである。ベースシート本体11は、上半部111と下半部112との間に第一の屈曲部Nが設けられている。
【0058】
ベースシート本体11の左上角部には、カバーシート2の自由端部である左上角部を保持し得る保持片113が配設されている。保持片113は、ベースシート本体11の上端縁から一体に延設された片状のものであり、ベースシート本体11の前面側に折り返された上で左側端部がベースシート本体11の左側端部に対して溶着されている。ベースシート本体11の右側端部及び下端部にはカバーシート2が一体又は溶着により連設されている。
【0059】
延設部12は、ベースシート本体11の左側端部に沿って設けられた上下方向に延びてなる内ヒンジ部121と、内ヒンジ部121よりも外側に位置した当該内ヒンジ部121と略平行に配された外ヒンジ部122と、上半部における外ヒンジ部121よりも外側に配設された綴じ足挿通孔である上下一対の第一の綴じ足挿通孔13と、下半部における外ヒンジ部よりも外側に配設された綴じ足挿通孔である上下一対の第二の綴じ足挿通孔14とを備えている。
【0060】
なお、延設部12は、ベースシート本体11とカバーシート2を主体に構成されたホルダー本体JHを支持するホルダー本体支持部を構成するものである。
【0061】
延設部12の上部には、第一の綴じ足Gが挿通される上下一対の第一の綴じ足挿通孔13が設けられている。延設部12の下部には、第二の綴じ足Hが挿通される上下一対の第二の綴じ足挿通孔14が設けられている。第二の綴じ足挿通孔14は、上下方向に延びた長孔状をなしており、表紙Aが二つ折りされた際にホルダーJの下半部が裏表紙a2に対して上下方向に相対移動し易い構成をなしている。
【0062】
カバーシート2は、ベースシート本体11と略同じ大きさに設定されている。カバーシート2は、ベースシート本体11を前側から覆い得るものとなっている。カバーシート2は、右側端部及び下端部がベースシート本体11に対して一体又は溶着により連設されている。
【0063】
カバーシート2は、横長矩形状をなす上半部21と、横長矩形状をなす下半部22と、上半部21と下半部22との間に配された第二の屈曲部Rと、第二の屈曲部Rの右端縁とベースシート本体11との間の連続を避けるための切欠部23とを備えたものである。
【0064】
第二の屈曲部Rは、展開姿勢(T)におけるカバーシート2の上下方向中央部に設けられている。第二の屈曲部Rは、複数の折り線すなわち、左右方向に延びた直線状をなす中央の折り線r1と、中央の折り線r1の上下に配された左右方向に延びた直線状をなす上下の折り線r2と備えてなる。
【0065】
第二の屈曲部Rは、図9に示すように、折り畳み姿勢(F)において第一の屈曲部Nから離れる方向に折り曲がる構成をなしている。より具体的に言えば、第二の屈曲部Rは、折り畳み姿勢(F)において中央の折り線r1が左右の折り線r2よりも内側に位置する山折り状をなすように構成されている。
【0066】
また、この実施形態では、第二の屈曲部Rは、展開姿勢(T)において、フラットな形状をなしておらず、折り畳み姿勢(F)のときよりもなだらかな山折り状をなしている。つまり、第二の屈曲部Rは、展開姿勢(T)においても、中央の折り線r1が左右の折り線r2よりも内側に位置する山折り形状が保持されている。
【0067】
ホルダーJは、ベースシート1とカバーシート2が、第一、第二の屈曲部N、Rを回転中心にして、折り畳み姿勢(F)と展開姿勢(T)とを採り得るものとなっている。すなわち、ホルダーJは、表紙Aの姿勢変更に追従して姿勢変更可能なものとなっている。換言すれば、ホルダーJは、表紙Aが二つ折りされた際に、当該表紙Aに追従して上下方向中央部に設けられた第一、第二の屈曲部N、Rにおいて屈曲して二つ折り可能に構成されている。
【0068】
そして、表紙Aの姿勢変更に伴ってホルダーJが折り畳み姿勢(F)をなした場合、図9に示すように、第一の屈曲部Nにおける中央の折り線n1と第二の屈曲部Rにおける中央の折り線r1とが大きく離間するようになっている。また、このときに、第二の屈曲部Rにおける上下の折り線r2は、互いに近接する方向に移動可能なものとなっている。
【0069】
このため、折り畳み姿勢(F)において、ホルダーJにおける第一の屈曲部Nと第二の屈曲部Rとの間には、挟まれた書類Pの折れ曲がり部分peが配設される比較的大きな屈曲部空間skが確保されるものとなっている。すなわち、ホルダーJは、折り畳み姿勢(F)においても、第一、第二の屈曲部N、R間に書類Pの折れ曲がり部分peを収容し得るゆとりのある屈曲部空間skを形成し得るものであるため、比較的多くの枚数の書類Pを好適に収容し得るものとなっている。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係るファイルは、表紙Aと、表紙Aに綴じ部材たる第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられる収納部材たるクリヤーポケットEとを備えたものである。
【0071】
そして、表紙Aの端縁には、折り返し可能な綴じ片たる第一、第二の綴じ片C、Dが一体的に設けられており、クリヤーポケットEが、第一、第二の綴じ片C、Dに支持された第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられている。
【0072】
このため、本実施形態のファイルであれば、第一、第二の綴じ足G、Hの一部である溶着端部が表紙Aの外面側から露出し難い構成を備えたものとなる。
【0073】
第一、第二の綴じ片C、Dが、表紙Aに対して屈曲部たる第一屈曲部c2及び第二屈曲部d2を介して連設されたものであり、且つ、第一、第二屈曲部c2、d2以外の部分が表紙Aに対して拘束されていないものとなっている。
【0074】
このため、第一、第二の綴じ片C、Dは、第一、第二屈曲部c2、d2を介して表紙Aに対して片持ち的に支持されたものとなっているため、クリヤーポケットEやホルダーJの動きに追従して柔軟に動き得るものとなっている。
【0075】
表紙A、及び、クリヤーポケットEが、一体的に二つ折り可能に構成されている。
【0076】
このため、書類PをクリヤーポケットE内に無理なく収容することができるとともに、二つ折りすることによってファイル全体を持ち運び等に好適なコンパクトな姿勢にすることができるものとなっている。
【0077】
表紙Aが、ヒンジ部である背表紙a3を介して連結された表表紙a1及び裏表紙a2を有してなるものである。そして表紙Aは、表表紙a1及び裏表紙a2が略面一をなすように展開し得る展開姿勢(T)と、表表紙a1及び裏表紙a2の各内面同士がクリヤーポケットEを介して対面し得る閉じ姿勢とを採り得るように構成されたものである。そして、展開姿勢(T)において、ホルダーJを表紙Aの外面側に位置するようにめくった場合に、第一、第二の綴じ片C、Dが表紙Aに対して傾斜した姿勢をなしている。
【0078】
このため、第一、第二の綴じ片C、Dを傾斜姿勢にすることにより、クリヤーポケットEの開口部e11に対してスムーズにアクセスし易いものとなっている。
【0079】
表紙Aが、背表紙a3を介して連結された表表紙a1及び裏表紙a2を有してなり、第一の綴じ片Cが表表紙a1に設けられており、第二の綴じ片Dが裏表紙a2に設けられている。
【0080】
そのため、第一の綴じ片Cと第二の綴じ片Dは離間した構成を採るものとなり、表紙A、ベースシート1、及び、ホルダーJを上下方向中間部において、好適に二つ折りできるものとなっている。
【0081】
すなわち、第一の綴じ片Cと第二の綴じ片Dは、互いに離間して設けられているため、展開姿勢(T)と折り畳み姿勢(F)との間の姿勢変更に伴って互いに干渉し難いものとなっている。
【0082】
帯状をなす第一、第二の綴じ足G、Hを備えており、第一、第二の綴じ片C、Dに、第一、第二の綴じ足G、Hが挿通される綴じ足挿通孔c11、d22が設けられている。このため、表紙Aに対して、複数枚のクリヤーポケットEやホルダーJを好適に支持し得るものとなっている。
【0083】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0084】
綴じ部材は、上述した実施形態に示されたような綴じ足に限られるものではなく、収納部材や収納体を綴じることができるものであればどのような構成のものであってもよい。
【0085】
また、収納部材や収納体は、書類を収納し得るものであればよく、上述した実施形態に示されたようなクリヤーポケットやホルダーに限られないのはもちろんのことである。
【0086】
綴じ片は、表紙に対して複数設けられたものに限られるものではなく、例えば、表紙に対して単数設けられたものであってもよい。
【0087】
綴じ足は、帯状のものに限られるものではなく、例えば、紐状のものであってもよい。
【0088】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0089】
A…表紙
E…クリヤーポケット(収納部材)
C…第一の綴じ片(綴じ片)
D…第二の綴じ片(綴じ片)
G…第一の綴じ足(綴じ部材)
H…第二の綴じ足(綴じ部材)
図1
図2
図3
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