(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029435
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】発泡ポリウレタン樹脂組成物、発泡ポリウレタンエラストマーおよびミッドソール
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20230224BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20230224BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20230224BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20230224BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/10
C08G18/76
C08G18/00 H
A43B13/04 A
C08G101:00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206055
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2021511468の分割
【原出願日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019065567
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】森 孝文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕司
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕史
(57)【要約】
【課題】優れた反発弾性を有する発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる発泡ポリウレタン樹脂組成物、反発弾性に優れる発泡ポリウレタンエラストマー、および、その発泡ポリウレタンエラストマーを含むミッドソールを提供すること。
【解決手段】発泡ポリウレタン樹脂組成物が、末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、水と、改質剤とを含有する。改質剤は、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンである。オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンの総量に対するSi原子の含有割合が15質量%以上である。オキシアルキレンの総量に対するオキシエチレン基の含有割合が60質量%以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、
ポリオール成分と、
水と、
改質剤と、を含有し、
前記改質剤は、
オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンであり、
オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンの総量に対するSi原子の含有割合が15.0質量%以上であり、
前記オキシアルキレンの総量に対するオキシエチレンの含有割合が60質量%以上である
ことを特徴とする、発泡ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート成分、前記ポリオール成分および前記水の総量100質量部に対する、前記改質剤の含有割合が、0.027質量部以上1.375質量部以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
オキシアルキレンにより変性された前記オルガノポリシロキサンにおいて、
分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合が、50モル%以上である
ことを特徴とする、請求項1に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記末端イソシアネート基含有プレポリマーにおける前記ポリオールが、
数平均分子量500以上3000以下、平均水酸基数2の高分子量ポリオールからなり、
前記ポリオール成分は、
数平均分子量500以上3000以下、平均水酸基数2~3の高分子量ポリオールからなる
ことを特徴とする、請求項1に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物を含むことを特徴とする、発泡ポリウレタンエラストマー。
【請求項6】
請求項5に記載の発泡ポリウレタンエラストマーを含むことを特徴とする、ミッドソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ポリウレタン樹脂組成物、発泡ポリウレタンエラストマーおよびミッドソールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緩衝材、衝撃吸収材、振動吸収材、クッション材、マットレス材、吸音材などとして、発泡ポリウレタンエラストマーが用いられている。
【0003】
そのような発泡ポリウレタンエラストマーとして、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含むポリウレタン樹脂組成物を金型に注入した後、発泡および硬化させるとともに、所望の形状に成形して得られる発泡ポリウレタンエラストマーが知られている。
【0004】
例えば、ポリフェニルメタンポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオール成分とを混合して、ポリウレタン組成物を調製し、そのポリウレタン組成物を金型に注入して発泡させて得られる発泡ポリウレタンエラストマーが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、発泡ポリウレタンエラストマーとしては、用途に応じて、優れた反発弾性が要求される場合がある。
【0007】
本発明は、優れた反発弾性を有する発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる発泡ポリウレタン樹脂組成物、反発弾性に優れる発泡ポリウレタンエラストマー、および、その発泡ポリウレタンエラストマーを含むミッドソールである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、芳香族ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、水と、改質剤と、を含有し、前記改質剤は、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンであり、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンの総量に対するSi原子の含有割合が15.0質量%以上であり、前記オキシアルキレンの総量に対するオキシエチレンの含有割合が60質量%以上であることを特徴とする、発泡ポリウレタン樹脂組成物を、含んでいる。
【0009】
本発明[2]は、前記ポリイソシアネート成分、前記ポリオール成分および前記水の総量100質量部に対する、前記改質剤の含有割合が、0.027質量部以上1.375質量部以下である、上記[1]に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物を、含んでいる。
【0010】
本発明[3]は、オキシアルキレンにより変性された前記オルガノポリシロキサンにおいて、分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合が、50モル%以上である、上記[1]または[2]に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物を、含んでいる。
【0011】
本発明[4]は、前記末端イソシアネート基含有プレポリマーにおける前記ポリオールが、数平均分子量500以上3000以下、平均水酸基数2の高分子量ポリオールからなり、前記ポリオール成分は、数平均分子量500以上3000以下、平均水酸基数2~3の高分子量ポリオールからなる、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物を、含んでいる。
【0012】
本発明[5]は、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物を含むことを特徴とする、発泡ポリウレタンエラストマーを、含んでいる。
【0013】
本発明[6]は、上記[5]に記載の発泡ポリウレタンエラストマーを含むことを特徴とする、ミッドソールを含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発泡ポリウレタン樹脂組成物には、改質剤が含まれており、その改質剤は、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンであって、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンの総量に対するSi原子の含有割合が上記割合であり、オキシアルキレンの総量に対するオキシエチレン単位の含有割合が上記割合の化合物である。
【0015】
そのため、このような発泡ポリウレタン樹脂組成物によれば、反発弾性に優れた発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
【0016】
また、本発明の発泡ポリウレタンエラストマーおよびミッドソールは、上記の発泡ポリウレタン樹脂組成物から得られるため、反発弾性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<発泡ポリウレタン樹脂組成物>
本発明の発泡ポリウレタン樹脂組成物は、必須成分として、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と、水と、改質剤とを含有する。
【0018】
1.ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分は、芳香族ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である末端イソシアネート基含有プレポリマーを含有する。
【0019】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体、芳香族ポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。
【0020】
芳香族ポリイソシアネート単量体としては、例えば、m-またはp-フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、4,4’-、2,4’-または2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、4,4’-トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
芳香族ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体など)、アロファネート変性体(例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体と、1価アルコール(後述)および/または2価アルコール(後述)との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体と、3価以上のアルコール(後述)との反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)など)、ビウレット変性体(例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、芳香族ポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(芳香族ポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
【0022】
さらに、芳香族ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI、多核体含有ジフェニルメタンジイソシアネート(p-MDI))なども挙げられる。
【0023】
これら芳香族ポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0024】
芳香族ポリイソシアネートとして、好ましくは、芳香族ポリイソシアネート誘導体が挙げられ、より好ましくは、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(p-MDI)が挙げられる。
【0025】
芳香族ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(NCO%)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。なお、イソシアネート基含有率は、電位差滴定装置を用いて、JIS K-1603-1(2007年)に準拠したn-ブチルアミン法により測定できる(以下同様)。
【0026】
ポリオールとしては、例えば、分子量250未満の低分子量ポリオール、分子量(数平均分子量)250以上の高分子量ポリオールなどが挙げられる。
【0027】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する分子量60以上250未満、好ましくは、200以下の化合物である。低分子量ポリオールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、イソソルビド、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールAなど)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)、4価アルコール(例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなど)、5価アルコール(例えば、キシリトールなど)、6価アルコール(例えば、ソルビトールなど)、7価アルコール(例えば、ペルセイトールなど)などが挙げられる。低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0028】
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量(GPCによる標準ポリオキシエチレン換算分子量、または、平均水酸基価および平均官能基数に基づいて算出した分子量(以下同様))250以上、好ましくは、400以上、より好ましくは、500以上、さらに好ましくは、600以上、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下、より好ましくは、3000以下、さらに好ましくは、2000以下の化合物である。
【0029】
高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
【0030】
ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオール(例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリトリメチレンエーテルポリオールなど)、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0031】
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジペート系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0032】
ポリカーボネートポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物、上記した2価アルコールと開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0033】
ポリウレタンポリオールとして、例えば、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
【0034】
エポキシポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、多官能ハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン、β-メチルエピクロルヒドリンなど)との反応生成物などが挙げられる。
【0035】
植物油ポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基含有植物油(例えば、ひまし油、やし油など)、エステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
【0036】
ポリオレフィンポリオールとして、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0037】
アクリルポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど)と、それと共重合可能な共重合性ビニルモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニルモノマーなど)との共重合体などが挙げられる。
【0038】
シリコーンポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、ビニル基を含むシリコーン化合物(例えば、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど)が配合されるアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0039】
フッ素ポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、ビニル基を含むフッ素化合物(例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなど)が配合されるアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0040】
ビニルモノマー変性ポリオールとして、例えば、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレートなど)との反応生成物などが挙げられる。
【0041】
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0042】
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
【0043】
高分子量ポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、2.5以下であり、とりわけ好ましくは、2である。なお、平均水酸基数(平均官能基数)は、仕込み成分から算出することができる(以下同様)。
【0044】
また、高分子量ポリオールの平均水酸基価は、例えば、28mgKOH/g以上、好ましくは、37mgKOH/g以上、例えば、187mgKOH/g以下、好ましくは、112mgKOH/g以下である。なお、平均水酸基価は、JIS K-1557-1(2007年)に準拠したアセチル化法またはフタル化法により測定できる(以下同様)。
【0045】
これらポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0046】
ポリオールとして、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
【0047】
つまり、ポリオールは、好ましくは、高分子量ポリオールを含み、より好ましくは、ポリエーテルポリオールを含み、さらに好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールを含む。
【0048】
ポリオールがポリテトラメチレンエーテルポリオールを含むと、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)中に、芳香族ポリイソシアネートとポリテトラメチレンエーテルポリオールとの反応により生成するソフトセグメントを形成することができ、機械物性の向上を図ることができる。
【0049】
また、ポリオールは、上記の通り、低分子量ポリオールを含有することもできるが、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)の機械物性の観点から、好ましくは、低分子量ポリオールを含有せず、高分子量ポリオールからなる。
【0050】
ポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、2.5以下であり、とりわけ好ましくは、2である。
【0051】
また、ポリオールの平均水酸基価は、例えば、28mgKOH/g以上、好ましくは、37mgKOH/g以上、例えば、187mgKOH/g以下、好ましくは、112mgKOH/g以下である。
【0052】
そして、末端イソシアネート基含有プレポリマーは、上記した芳香族ポリイソシアネートと、上記したポリオールとを、遊離のイソシアネート基が残存する割合で反応させることにより調製される。
【0053】
末端イソシアネート基含有プレポリマーは、少なくとも分子の両末端に遊離のイソシアネート基を有する。
【0054】
末端イソシアネート基含有プレポリマーにおけるイソシアネート基の平均官能基数は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下である。
【0055】
末端イソシアネート基含有プレポリマーにおけるイソシアネート基含有率(NCO%)は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、さらに好ましくは、15質量%以下である。
【0056】
このような末端イソシアネート基含有プレポリマーは、市販品を用いることもできる。
【0057】
このようなポリイソシアネート成分は、末端イソシアネート基含有プレポリマーに加えて、他のイソシアネート(例えば、カルボジイミド変性MDI誘導体、o-MDIなど)を含むこともできるが、好ましくは、末端イソシアネート基含有プレポリマーからなる。
【0058】
2.ポリオール成分
ポリオール成分としては、例えば、上記した低分子量ポリオール、上記した高分子量ポリオールなどが挙げられる。
【0059】
ポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0060】
ポリオール成分として、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)の機械物性の観点から、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられる。ポリオール成分は、より好ましくは、低分子量ポリオールを含有せず、上記した高分子量ポリオールからなる。
【0061】
なお、高分子量ポリオールは、上記の通り、水酸基を2つ以上有する数平均分子量(GPCによる標準ポリスチレン換算分子量)250以上、好ましくは、400以上、より好ましくは、500以上、さらに好ましくは、600以上、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下、より好ましくは、3000以下、さらに好ましくは、1500以下の化合物である。
【0062】
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられ、とりわけ好ましくは、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールと、ポリテトラメチレンエーテルポリオールとの併用が挙げられる。
【0063】
ポリオキシアルキレン(C2~3)ポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールや、公知のポリアミンなどを開始剤とする、炭素数2~3のアルキレンオキサイドの付加重合物が挙げられる。
【0064】
炭素数2~3のアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド(1,2-プロピレンオキサイド)、トリメチレンオキサイド(1,3-プロピレンオキサイド)などが挙げられる。また、これらアルキレンオキサイドは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0065】
ポリオキシアルキレン(C2~3)ポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシトリメチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体(プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとのランダムおよび/またはブロック共重合体)などが挙げられる。
【0066】
ポリオキシアルキレン(C2~3)ポリオールとして、好ましくは、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体が挙げられ、より好ましくは、ポリオキシプロピレンポリオールが挙げられる。
【0067】
ポリオキシプロピレンポリオールは、必要に応じて、分子末端にエチレンオキサイドを付加することができる。つまり、ポリオキシプロピレンポリオールは、分子末端にオキシエチレンを有することができる。
【0068】
ポリオキシプロピレンポリオールとして、機械物性(とりわけ、機械強度および伸び特性)の観点から、好ましくは、分子末端にオキシエチレンを有するポリオキシプロピレンポリオールが挙げられる。
【0069】
これらポリオキシアルキレン(C2~3)ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0070】
ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールの数平均分子量は、例えば、250以上、好ましくは、400以上、より好ましくは、500以上であり、例えば、10000以下、好ましくは、2000以下、より好ましくは、1200以下である。
【0071】
また、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上、好ましくは、3以上であり、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3.5以下であり、とりわけ好ましくは、3である。
【0072】
また、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールの平均水酸基価は、例えば、33mgKOH/g以上、好ましくは、56mgKOH/g以上、より好ましくは、84mgKOH/g以上、さらに好ましくは、112mgKOH/g以上、とりわけ好ましくは、132mgKOH/g以上であり、例えば、210mgKOH/g以下、好ましくは、187mgKOH/g以下である。
【0073】
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(ポリテトラメチレンエーテルグリコール(結晶性))や、テトラヒドロフランなどの重合単位に、アルキル置換テトラヒドロフランや、上記した2価アルコールを共重合した非晶性(非結晶性)ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0074】
これらポリテトラメチレンエーテルポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0075】
ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールの数平均分子量は、例えば、250以上、好ましくは、800以上、より好ましくは、1300以上であり、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下、より好ましくは、2000以下である。
【0076】
また、ポリテトラメチレンエーテルポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、3未満、さらに好ましくは、2.5以下であり、とりわけ好ましくは、2である。
【0077】
また、ポリテトラメチレンエーテルポリオールの平均水酸基価は、例えば、33mgKOH/g以上、好ましくは、56mgKOH/g以上、例えば、168mgKOH/g以下、好ましくは、112mgKOH/g未満、より好ましくは、84mgKOH/g未満である。
【0078】
ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルポリオールの併用割合は、特に制限されないが、機械物性の観点から、例えば、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールの総量100質量部に対して、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールが、例えば、10質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。また、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが、例えば、50質量部以上、好ましくは、70質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、85質量部以下である。
【0079】
ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールの併用割合が上記範囲であれば、機械物性に優れた発泡ポリウレタンエラストマー(後述)を得ることができる。
【0080】
また、ポリオール成分として、好ましくは、互いに異なる数平均分子量を有する2種類以上の高分子量ポリオールが併用され、より好ましくは、互いに異なる数平均分子量を有する2種類の高分子量ポリオールが併用される。
【0081】
このような場合、一方の高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、400以上、好ましくは、500以上であり、例えば、2000以下、好ましくは、1200以下である。
【0082】
また、他方の高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、800以上、好ましくは、1300以上であり、例えば、5000以下、好ましくは、2000以下である。
【0083】
また、ポリオール成分として、好ましくは、互いに異なる平均水酸基数(平均官能基数)を有する2種類以上の高分子量ポリオールが併用され、より好ましくは、互いに異なる平均水酸基数(平均官能基数)を有する2種類の高分子量ポリオールが併用される。
【0084】
このような場合、一方の高分子量ポリオールの平均水酸基数は、例えば、3以上であり、例えば、5以下、好ましくは、4以下であり、とりわけ好ましくは、3である。
【0085】
また、他方の高分子量ポリオールの平均水酸基数は、例えば、2以上であり、例えば、3未満、好ましくは、2.5以下であり、とりわけ好ましくは、2である。
【0086】
また、ポリオール成分として、好ましくは、互いに異なる平均水酸基価を有する2種類以上の高分子量ポリオールが併用され、より好ましくは、互いに異なる平均水酸基価を有する2種類の高分子量ポリオールが併用される。
【0087】
このような場合、一方の高分子量ポリオールの平均水酸基価は、例えば、112mgKOH/g以上、好ましくは、132mgKOH/g以上であり、例えば、210mgKOH/g以下、好ましくは、187mgKOH/g以下である。
【0088】
また、他方の高分子量ポリオールの平均水酸基価は、例えば、33mgKOH/g以上、好ましくは、56mgKOH/g以上であり、例えば、112mgKOH/g未満、好ましくは、84mgKOH/g未満である。
【0089】
なお、ポリオール成分は、上記の通り、低分子量ポリオールを含有することもできるが、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)の機械物性の観点から、好ましくは、低分子量ポリオールを含有せず、高分子量ポリオールからなり、より好ましくは、ポリエーテルポリオールからなり、さらに好ましくは、ポリオキシ(C2~3)アルキレンポリオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールからなる。
【0090】
ポリオール成分(総量)の数平均分子量は、例えば、250以上、好ましくは、400以上、より好ましくは、500以上、さらに好ましくは、600以上、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下、より好ましくは、3000以下、さらに好ましくは、1500以下の化合物である。
【0091】
また、ポリオール成分の平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上であり、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下である。
【0092】
また、ポリオール成分の平均水酸基価は、例えば、33.7mgKOH/g以上、好ましくは、56.1mgKOH/g以上、例えば、187mgKOH/g以下、好ましくは、168.3mgKOH/g以下である。
【0093】
3.水
水は、化学発泡剤であって、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基と反応して二酸化炭素を生成する。
【0094】
水の含有割合は、ポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1.0質量部以上、例えば、5.0質量部以下、好ましくは、3.0質量部以下である。
【0095】
4.改質剤
改質剤は、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)の反発弾性を向上させるための添加剤、すなわち、弾性向上剤である。
【0096】
改質剤として、より具体的には、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサン(以下、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと称する。)が挙げられる。換言すれば、改質剤は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンからなる。
【0097】
オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンとしては、例えば、主鎖末端がオキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサン、側鎖がオキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサン、主鎖末端および側鎖の両方がオキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンなどが挙げられる。また、主鎖末端がオキシアルキレンにより変性される場合、例えば、主鎖の片末端のみがオキシアルキレンにより変性されているオルガノポリシロキサン、主鎖の両末端がオキシアルキレンにより変性されているオルガノポリシロキサンなどが挙げられる。これらオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0098】
オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンにおいて、オキシアルキレン単位の数は、単数であってもよく、また、複数であってもよい。換言すれば、オキシアルキレンとしては、モノオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンが挙げられ、各種機械物性および発泡性の観点から、好ましくは、ポリオキシアルキレンが挙げられる。
【0099】
オキシアルキレン単位の数としては、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、例えば、100以下、好ましくは、50以下である。
【0100】
オキシアルキレンは、必須のオキシアルキレン単位として、炭素数2のオキシアルキレン、すなわち、オキシエチレン(OCH2CH2)を含んでいる。
【0101】
また、オキシアルキレンは、必要に応じて、任意のオキシアルキレン単位として、炭素数3~4のオキシアルキレンを含むことができる。
【0102】
炭素数3~4のオキシアルキレンとしては、例えば、2級オキシプロピレン(OCH(CH3)CH2)、1級オキシプロピレン(OCH2CH(CH3))、オキシトリメチレン(OCH2CH2CH2)、オキシテトラメチレン(OCH2CH2CH2CH2)などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0103】
また、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンにおいて、分子末端(主鎖末端および/または側鎖末端)のオキシアルキレンは、上記のオキシアルキレンから選択される。
【0104】
分子末端(主鎖末端および/または側鎖末端)のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合は、オキシアルキレンの総モルに対して、例えば、50モル%以上、好ましくは、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上、とりわけ好ましくは、100モル%である。
【0105】
分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合が上記範囲であれば、反発弾性に優れ、さらに、硬度、引張強度、破断伸び、引裂強度、圧縮永久歪などの各種機械物性に優れ、加えて、外観にも優れる発泡ポリウレタンエラストマー(後述)を得ることができる。
【0106】
なお、オキシアルキレンの分子末端のオキシアルキレンの種類は、後述する実施例に準拠して、特定することができる(以下同様)。
【0107】
また、オキシアルキレンの総量に対して、オキシエチレンの含有割合は、60質量%以上、好ましくは、65質量%以上、より好ましくは、70質量%以上、さらに好ましくは、80質量%以上、とりわけ好ましくは、90質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%、より好ましくは、95質量%以下である。
【0108】
なお、オキシエチレンの含有割合は、後述する実施例に準拠して測定することができる(以下同様)。
【0109】
オキシアルキレンの総量に対するオキシエチレンの含有割合が上記範囲であれば、反発弾性に優れ、さらに、硬度、引張強度、破断伸び、引裂強度、圧縮永久歪などの各種機械物性に優れ、加えて、外観にも優れる発泡ポリウレタンエラストマー(後述)を得ることができる。
【0110】
なお、オキシアルキレンは、オルガノポリシロキサンのSi原子に直接結合していてもよく、また、オルガノポリシロキサンのSi原子に対して2価の炭化水素基(例えば、メチレンなど)を介して間接結合していてもよい。
【0111】
また、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、Si原子を含有している。
【0112】
オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンにおいて、Si原子の含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総質量に対して、15.0質量%以上、好ましくは、15.1質量%以上、より好ましくは、15.2質量%以上、さらに好ましくは、15.3質量%以上であり、例えば、30.0質量%以下、好ましくは、25.0質量%以下、より好ましくは、20.0質量%以下、さらに好ましくは、18.0質量%以下、とりわけ好ましくは、16.0質量%以下である。
【0113】
なお、Si原子の含有割合は、後述する実施例に準拠して測定することができる(以下同様)。
【0114】
オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンに対するSi原子の含有割合が上記範囲であれば、反発弾性に優れ、さらに、硬度、引張強度、破断伸び、引裂強度、圧縮永久歪などの各種機械物性に優れ、加えて、外観にも優れる発泡ポリウレタンエラストマー(後述)を得ることができる。
【0115】
また、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、オキシアルキレンの含有割合は、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、より好ましくは、50質量%以上、さらに好ましくは、55質量%以上、とりわけ好ましくは、60質量%以上であり、例えば、90質量%以下である。
【0116】
なお、オキシアルキレンの含有割合は、後述する実施例に準拠して測定することができる(以下同様)。
【0117】
オキシアルキレンの含有割合が上記範囲であれば、反発弾性に優れ、さらに、硬度、引張強度、破断伸び、引裂強度、圧縮永久歪などの各種機械物性に優れ、加えて、外観にも優れる発泡ポリウレタンエラストマー(後述)を得ることができる。
【0118】
また、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの水酸基当量は、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)の機械物性の観点から、例えば、300以上、好ましくは、400以上、より好ましくは、500以上であり、例えば、1000以下、好ましくは、800以下、より好ましくは、600以下である。
【0119】
このような改質剤は、市販品として、入手することができる。市販品としては、例えば、L-1169、L1160(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、B8545(エボニック社製)などが挙げられ、好ましくは、L-1169、L1160(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)が挙げられる。
【0120】
これらオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0121】
発泡ポリウレタン樹脂組成物において、改質剤(オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン)の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0122】
例えば、改質剤(オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン)の含有割合は、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分および水の総量100質量部に対して、例えば、0.010質量部以上、好ましくは、0.025質量部以上、より好ましくは、0.027質量部以上、さらに好ましくは、0.050質量部以上、さらに好ましくは、0.100質量部以上、とりわけ好ましくは、0.300質量部以上であり、例えば、5.000質量部以下、好ましくは、2.000質量部以下、より好ましくは、1.500質量部以下、さらに好ましくは、1.375質量部以下、さらに好ましくは、1.000質量部以下、とりわけ好ましくは、0.500質量部以下である。
【0123】
改質剤の含有割合が上記範囲であれば、反発弾性に優れ、さらに、硬度、引張強度、破断伸び、引裂強度、圧縮永久歪などの各種機械物性に優れ、加えて、外観にも優れる発泡ポリウレタンエラストマー(後述)を得ることができる。
【0124】
5.触媒
発泡ポリウレタン樹脂組成物は、任意成分として、触媒を含有することができる。
【0125】
触媒としては、例えば、公知のウレタン化触媒が挙げられ、より具体的には、アミン触媒、有機金属化合物などが挙げられる。
【0126】
アミン触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ポリイソプロパノールアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサメチルジメチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-オクタデシルモルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス〔2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル〕エーテル、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンジアミンのギ酸塩および他の塩、第1および第2アミンのアミノ基のオキシアルキレン付加物、N,N-ジアルキルピペラジン類のようなアザ環化合物、種々のN,N’,N’’-トリアルキルアミノアルキルヘキサヒドロトリアジン類などが挙げられ、さらには、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩化合物、例えば、イミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物などが挙げられる。
【0127】
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロライドなどの有機錫系化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物、ジルコニウムアセチルアセトンキレートなどの有機ジルコニウム化合物、チタンアセト酢酸キレート、ビス(2-エチルヘキサン酸)チタンなどの有機チタン化合物、鉄アセチルアセトンキレートなどの有機鉄化合物などが挙げられる。
【0128】
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
【0129】
これら触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0130】
触媒として、好ましくは、アミン触媒が挙げられる。
【0131】
なお、触媒の含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0132】
6.添加剤
発泡ポリウレタン樹脂組成物は、任意成分として、さらに、公知の添加剤を含有することができる。
【0133】
公知の添加剤として、例えば、整泡剤(例えば、シリコーン系整泡剤など)、反応遅延剤、加工助剤(例えば、アクリルコポリマー溶液など)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤など)、耐熱安定剤(例えば、亜リン酸エステル類など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、難燃剤、着色剤などが挙げられる。
【0134】
なお、添加剤の含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0135】
<発泡ポリウレタンエラストマー>
このような発泡ポリウレタン樹脂組成物は、例えば、上記したポリイソシアネート成分を含むA剤と、上記したポリオール成分を含むB剤とを有する二液型樹脂材料として構成される。なお、改質剤、触媒および公知の添加剤のそれぞれは、A剤およびB剤のいずれに含有されてもよいが、好ましくは、B剤に含有される。また、水は、B剤に含有される。
【0136】
発泡ポリウレタン樹脂組成物は、発泡ポリウレタンエラストマーの原料であり、発泡ポリウレタンエラストマーの製造に好適に用いられる。
【0137】
発泡ポリウレタンエラストマーを製造するには、例えば、まず、上記したA剤およびB剤を混合して、それらの混合物(発泡ポリウレタン樹脂組成物)を調製する。
【0138】
A剤および/またはB剤は、好ましくは、加温して低粘度化させてから混合される。
【0139】
A剤の加温温度は、例えば、25℃以上、好ましくは、40℃以上、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。B剤の加温温度は、例えば、25℃以上、好ましくは、30℃以上、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、B剤の加温温度は、好ましくは、A剤の加温温度よりも低い。
【0140】
また、A剤とB剤とは、例えば、イソシアネートインデックス(NCO/(OH+H2O))×100(つまり、ポリオール成分の水酸基および水の総和に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の総和の割合)が下記の範囲となるように混合される。
【0141】
すなわち、イソシアネートインデックスは、例えば、75以上、好ましくは、90以上、さらに好ましくは、95以上、例えば、300以下、好ましくは、200以下、さらに好ましくは、150以下である。
【0142】
次いで、A剤とB剤との混合物(発泡ポリウレタン樹脂組成物)を、必要に応じて予備加熱される所定の金型に注入する。
【0143】
金型の予備加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、例えば、130℃以下、好ましくは、100℃以下、さらに好ましくは、90℃以下である。
【0144】
そして、金型内において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応(ウレタン化反応)させるとともに、A剤とB剤との混合物(発泡ポリウレタン樹脂組成物)を発泡させる。
【0145】
これによって、発泡ポリウレタン樹脂組成物が発泡および硬化して、発泡ポリウレタンエラストマーを形成するとともに、発泡ポリウレタンエラストマーが所定の形状に成形される。
【0146】
反応温度(成形温度)の範囲は、上記した予備加熱温度の範囲と同じである。
【0147】
反応時間(成形時間)は、例えば、5分以上、好ましくは、10分以上、例えば、60分以下、好ましくは、30分以下、さらに好ましくは、15分以下である。
【0148】
次いで、発泡ポリウレタンエラストマーを金型から脱型する。その後、必要に応じて、発泡ポリウレタンエラストマーを、上記の反応温度において、24時間以内程度で熱成させてもよい。
【0149】
以上によって、発泡ポリウレタンエラストマーが製造される。
【0150】
発泡ポリウレタンエラストマーは、発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物を含み、好ましくは、発泡ポリウレタン樹脂組成物の発泡硬化物からなる。
【0151】
なお、発泡ポリウレタンエラストマーは、好ましくは、芳香族ポリイソシアネートおよび高分子量ポリオールの反応により形成されるソフトセグメントと、末端イソシアネート基含有プレポリマー(芳香族ポリイソシアネート)および水の反応により形成されるハードセグメント(ウレア基)とを含む。
【0152】
このような発泡ポリウレタンエラストマーの硬度(C硬度)は、例えば、30N/100cm2以上、好ましくは、40N/100cm2以上であり、例えば、60N/100cm2以下、好ましくは、50N/100cm2以下である。なお、硬度(C硬度)は、JIS K7312(1996)に基づくアスカーC硬度に準拠して測定できる(以下同様)。
【0153】
また、発泡ポリウレタンエラストマーの密度は、ポリウレタンフォームの密度(例えば、0.200g/cm3未満)よりも高く、例えば、0.200g/cm3以上、好ましくは、0.210g/cm3以上、より好ましくは、0.220g/cm3以上、さらに好ましくは、0.230g/cm3以上、さらに好ましくは、0.240g/cm3以上、とりわけ好ましくは、0.240g/cm3以上であり、例えば、0.800g/cm3以下、好ましくは、0.600g/cm3以下、より好ましくは、0.400g/cm3以下、さらに好ましくは、0.300g/cm3以下、さらに好ましくは、0.280g/cm3以下、とりわけ好ましくは、0.260g/cm3以下である。
【0154】
<作用効果>
上記の発泡ポリウレタン樹脂組成物には、上記した特定の改質剤が含まれている。より具体的には、その改質剤は、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンであって、オキシアルキレンにより変性されたオルガノポリシロキサンの総量に対するSi原子の含有割合が上記割合であり、オキシアルキレンの総量に対するオキシエチレン単位の含有割合が上記割合の化合物である。
【0155】
そのため、このような発泡ポリウレタン樹脂組成物によれば、反発弾性に優れた発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
【0156】
また、上記の発泡ポリウレタンエラストマーは、上記の発泡ポリウレタン樹脂組成物から得られるため、反発弾性に優れる。
【0157】
そのため、発泡ポリウレタンエラストマーは、各種産業分野において使用することができる。発泡ポリウレタンエラストマーの用途としては、例えば、緩衝材、衝撃吸収材、振動吸収材、クッション材、マットレス材、吸音材などが挙げられる。
【0158】
発泡ポリウレタンエラストマーの用途として、より具体的には、例えば、マットレスやソファーなどの家具用品、例えば、ブラジャーや肩パッドなどの衣料用品、例えば、紙おむつ、ナプキン、メディカルテープの緩衝材などの医療用品、例えば、化粧品、洗顔パフ、枕などのサニタリー用品、例えば、靴のアウトソール、靴のインナーソール、靴のミッドソールなどの靴用品、例えば、医療用途などの各種用途におけるフットウェア製品(サンダルなど)、例えば、車両用パッド、車両用クッションなどの体圧分散用品、例えば、ドアトリム、インスツルメントパネル、ギアノブなどの手で触れる部材、例えば、電気冷蔵庫や建築物などにおける断熱材、例えば、ショックアブソーバーなどの衝撃吸収材、例えば、充填材、車両のハンドル、自動車内装部材、自動車外装部材などの車両用品、例えば、化学機械研磨(CMP)パッドなどの半導体製造用品、例えば、バット、グリップの芯材などのスポーツ用品、例えば、ポールなど、幅広い分野において用いることができる。
【0159】
とりわけ好ましくは、上記の発泡ポリウレタンエラストマーは、反発弾性に優れるため、靴のミッドソールとして用いられる。
【実施例0160】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
【0161】
<NMR測定>
(1)各改質剤を重水素化溶媒に溶解させ、さらに、無水トリフルオロ酢酸を添加して、分子末端の水酸基をトリフルオロ酢酸でエステル化した。これにより、測定サンプルを得た。
【0162】
(2)測定サンプルを、下記の条件で1H-NMR測定した。
装置; JNM-AL400(JEOL製)
測定周波数:400MHz
溶媒 ;CDCL3
溶質濃度 ;5質量%
化学シフト基準;テトラメチルシラン(0ppm)
(3)得られたNMRチャートの各化学シフトを帰属し、それらの積分比を算出した。
【0163】
<分析方法>
(1)分子末端のオキシアルキレンに対応する帰属ピークの積分値の比率から、分子末端のオキシエチレンの割合を求めた。なお、分子末端のオキシアルキレンのピークは、以下の通り帰属した。
【0164】
分子末端1級オキシプロピレン:4.3ppm
分子末端オキシエチレン:4.4~4.6ppm
分子末端2級オキシプロピレン:5~5.5ppm
(2)測定サンプルの全帰属ピークの積分値の総量に対する、各帰属ピークの積分値の比率から、改質剤の総量に対するオキシアルキレンの割合を算出した。また、各帰属ピークの積分値の比率から、改質剤のオキシアルキレンの総量に対するオキシエチレンの比率を算出した。
【0165】
なお、オキシアルキレンがオキシエチレンおよびオキシプロピレンを併有する場合、オキシエチレン中のメチレンに由来するピークと、オキシプロピレン中のメチレンおよびメチンに由来するピークとが、重複して得られる。そのため、これらの重複ピークの積分値から、オキシプロピレン中のメチルに由来するピークの積分値を差し引くことで、オキシエチレン中のメチレンに由来するピークの積分値を算出した。また、各ピークは、以下の通り帰属した。
【0166】
オキシプロピレン中のメチル:0.9~1.3ppm
オキシプロピレン中のメチレンおよびメチン+オキシエチレン中のメチレン:3~5.5ppm
(3)測定サンプルの全帰属ピークの積分値の総量に対する、各帰属ピークの積分値の比率から、オルガノポリシロキサン部分(0.1~0.5ppm)の質量を算出した。そして、オルガノポリシロキサン(ジメチルシロキサン)中のSi含有量から、改質剤中のSi原子の含有割合を求めた。
【0167】
<原料の準備>
<<ポリイソシアネート成分>>
準備例1(イソシアネート(1))
ポリフェニルメタンポリイソシアネート(p-MDI、商品名コスモネートPH、三井化学SKCポリウレタン社製)と数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG2000)との反応生成物である末端イソシアネート基含有プレポリマー(市販品、イソシアネート基含有率=15質量%、平均官能基数=2)を、イソシアネート(1)として準備した。
【0168】
<<ポリオール成分>>
準備例2(高分子量ポリオール(1))
PTG1500(市販品、数平均分子量1500のポリテトラメチレンエーテルグリコール、平均水酸基数2、三菱化学製)を、高分子量ポリオール(1)として準備した。
【0169】
準備例3(高分子量ポリオール(2))
EP550N(市販品、数平均分子量1000のオキシエチレン末端ポリオキシプロピレントリオール、平均水酸基数3、三井化学SKCポリウレタン製)を、高分子量ポリオール(2)として準備した。
【0170】
<<改質剤>>
準備例4
L-1169(市販品、オキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、水酸基当量534、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を、改質剤(1)として準備した。
【0171】
なお、改質剤(1)(L-1169)のSi原子の含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、15.3質量%であった。
【0172】
また、改質剤(1)(L-1169)は、オキシアルキレンで変性されたオルガノポリシロキサンであり、また、その分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合は、100モル%であった。
【0173】
また、改質剤(1)(L-1169)のオキシエチレンの含有割合は、オキシアルキレンの総量に対して、91.2質量%であった。
【0174】
また、改質剤(1)(L-1169)のオキシアルキレンの含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、61質量%であった。
【0175】
準備例5
L-1160(市販品、オキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、水酸基当量532、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を、改質剤(2)として準備した。
【0176】
なお、改質剤(2)(L-1160)のSi原子の含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、18.0質量%であった。
【0177】
また、改質剤(2)(L-1160)は、オキシアルキレンで変性されたオルガノポリシロキサンであり、また、その分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合は、100モル%であった。
【0178】
また、改質剤(2)(L-1160)のオキシエチレンの含有割合は、オキシアルキレンの総量に対して、91.4質量%であった。
【0179】
また、改質剤(2)(L-1160)のオキシアルキレンの含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、53質量%であった。
【0180】
準備例6
B8545(市販品、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、水酸基当量458、エボニック社製)を、改質剤(3)として準備した。
【0181】
なお、改質剤(3)(B8545)のSi原子の含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、15.5質量%であった。
【0182】
また、改質剤(3)(B8545)は、オキシアルキレンで変性されたオルガノポリシロキサンであり、また、その分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合は、20.7モル%であった。
【0183】
また、改質剤(3)(B8545)のオキシエチレンの含有割合は、オキシアルキレンの総量に対して、63.7質量%であった。
【0184】
また、改質剤(3)(B8545)のオキシアルキレンの含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、60質量%であった。
【0185】
準備例7
L594plus(市販品、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、水酸基当量149、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を、改質剤(4)として準備した。
【0186】
なお、改質剤(4)(L594plus)のSi原子の含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、4.7質量%であった。
【0187】
また、改質剤(4)(L594plus)は、オキシアルキレンで変性されたオルガノポリシロキサンであり、また、その分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合は、0.5モル%であった。
【0188】
また、改質剤(4)(L594plus)のオキシエチレンの含有割合は、オキシアルキレンの総量に対して、25.6質量%であった。
【0189】
また、改質剤(4)(L594plus)のオキシアルキレンの含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、88質量%であった。
【0190】
準備例8
B8002(市販品、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、水酸基当量1370、エボニック社製)を、改質剤(5)として準備した。
【0191】
なお、改質剤(5)(B8002)のSi原子の含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、3.8質量%であった。
【0192】
また、改質剤(5)(B8002)は、オキシアルキレンで変性されたオルガノポリシロキサンであり、また、その分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合は、1.1モル%であった。
【0193】
また、改質剤(5)(B8002)のオキシエチレンの含有割合は、オキシアルキレンの総量に対して、50.8質量%であった。
【0194】
また、改質剤(5)(B8002)のオキシアルキレンの含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、約88質量%であった。
【0195】
<<添加剤>>
準備例9
Y-10366(市販品、シリコーン系整泡剤、水酸基当量1667、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を、整泡剤として準備した。
【0196】
なお、整泡剤(Y-10366)のSi原子の含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、5.3質量%であった。
【0197】
また、整泡剤(Y-10366)は、オキシアルキレンで変性されたオルガノポリシロキサンであり、また、その分子末端のオキシアルキレン中のオキシエチレンの割合は、81.0モル%であった。
【0198】
また、整泡剤(Y-10366)のオキシエチレンの含有割合は、オキシアルキレンの総量に対して、23.3質量%であった。
【0199】
また、整泡剤(Y-10366)のオキシアルキレンの含有割合は、オキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの総量に対して、86質量%であった。
【0200】
準備例10
イルガノックス245(市販品、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製)を、酸化防止剤として準備した。
【0201】
<発泡ポリウレタン樹脂組成物および発泡ポリウレタンエラストマーの製造>
実施例1~9および比較例1~3
(1)事前準備
ポリイソシアネート成分を、表1の配合処方に従って秤量し、A剤を調製した。
【0202】
そして、A剤を、予め40℃に加温した。
【0203】
また、モールドに離形剤を塗布し、予め60℃に加温した。
【0204】
(2)レジンプレミックスの調製
ポリオール成分(ポリオール(1)、ポリオール(2))を、予め50℃に加温した。
【0205】
そして、表1に示す割合で、ポリオール成分、改質剤および添加剤を秤量し、カップ中において、自転公転撹拌機(1600rpm×1分)で撹拌混合した。なお、酸化防止剤が溶解しない場合は、80℃まで加温して撹拌混合した。
【0206】
次いで、得られた混合液に、水および触媒(市販品、Dabco 33LV、アミン触媒、エボニック社製)を表1に示す割合で添加し、自転公転撹拌機(1600rpm×1分)で撹拌混合した。
【0207】
これにより、レジンプレミックス(B剤)を調製した。なお、得られたレジンプレミックスは、予め40℃に加温した。
【0208】
(3)注型および発泡
表1に示す割合で、予め加温したイソシアネート(A剤)を、レジンプレミックス(B剤)の入ったカップに秤量し、ハンドミキサー(7000rpm×5秒)で撹拌混合した。これにより、混合液として、発泡ポリウレタン樹脂組成物を得た。
【0209】
次いで、得られた混合液を予め加温したモールドに注型し、素早く密閉して、60℃で6分以上加温した。
【0210】
これにより、発泡ポリウレタン樹脂組成物を発泡させ、発泡ポリウレタンエラストマーを得た。
【0211】
(4)脱型および養生
10分後、発泡ポリウレタンエラストマーをモールドから脱型した。その後、得られた発泡ポリウレタンエラストマーを、70℃で3時間以上、加熱養生した。
【0212】
養生後の発泡ポリウレタンエラストマーを以下の形状に打ち抜いて、各評価に使用した。
【0213】
<評価>
発泡ポリウレタンエラストマーを、以下の方法で評価した。その結果を、表1に示す。
【0214】
(1)外観
発泡ポリウレタンエラストマーの上面および下面を、肉眼観察して、外観を評価した。
【0215】
なお、「○」は、良好に成形されていたことを示し、「ルーズスキン」は、成形不良により表面にたるみが生じていたことを示す。また、「クレーター」は、表面に凹凸が生じていたことを示し、「セル粗れ」は、発泡ポリウレタンエラストマーのセルが不均一であったことを示す。
【0216】
(2)密度
発泡ポリウレタンエラストマーから測定試料を切り出し、JIS K7222(2005)に従って、見かけ密度を測定した。
【0217】
(3)引張強度および破断伸び
発泡ポリウレタンエラストマーから測定試料(1号形ダンベル状、厚み10mm)を打ち抜き、JIS K6400-5(2012)に従って、引張強度および破断伸び(最大値)を測定した。
【0218】
(4)C硬度
発泡ポリウレタンエラストマーのアスカーC硬度を、JIS K7312-7(1996)に従って測定した。なお、C硬度は2回測定した。
【0219】
(5)引裂強度
発泡ポリウレタンエラストマーから測定試料(15mm×100mm×10mm)を切り出し、25mmの切り込みを入れて、JIS K6252に従って、100mm/minで引っ張ることにより、引裂強度(平均値)を測定した。
【0220】
(6)圧縮永久歪み
発泡ポリウレタンエラストマーから直径29mmで厚み10mmの円板状の測定試料を切り出し、JIS K6262(2013)に従って、50℃×6時間、50%圧縮の条件で、測定試料の圧縮永久歪みを測定した。結果を各表に示す。
【0221】
(7)反発弾性
発泡ポリウレタンエラストマーの反発弾性を、JIS K6400-3(2011)に従って、ボールリバウンドにより測定した。なお、反発弾性は2回測定した。
【0222】
【0223】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。
本発明の発泡ポリウレタン樹脂組成物、発泡ポリウレタンエラストマーおよびミッドソールは、緩衝材、衝撃吸収材、振動吸収材、クッション材、マットレス材、吸音材などの各種産業分野、とりわけ、靴のミッドソール分野において、好適に用いられる。
前記ポリイソシアネート成分、前記ポリオール成分および前記水の総量100質量部に対する、前記改質剤の含有割合が、0.027質量部以上1.375質量部以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載の発泡ポリウレタン樹脂組成物。