(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029452
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】光ファイバー・ビーム整形のための小型光学素子
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230224BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20230224BHJP
G02B 5/10 20060101ALI20230224BHJP
G02B 5/02 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/00 731
G02B23/26 A
G02B5/10 A
G02B5/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207176
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2020189944の分割
【原出願日】2010-12-09
(31)【優先権主張番号】12/765,501
(32)【優先日】2010-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】アドラー,デズモンド
(72)【発明者】
【氏名】マクカーティン,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ジョーゼフ
(57)【要約】
【課題】光学素子(またはキャップ)を提供する。
【解決手段】部分的には、本発明は光学キャップに関する。本キャップは、該キャップの外に光を向け、合焦させるよう構成された少なくとも一つのレンズ化された表面をもつ。本キャップは、光ファイバーにかぶせて配置される。光放射はファイバー中を進み、本キャップの一つまたは複数の光学表面と相互作用し、その結果、キャップの外側のある距離のところに合焦されたまたは実質的にコリメートされたビームを生じる。本稿に記載される細長いキャップのような光学要素は、光コヒーレンス断層撮影のようなさまざまなデータ収集モダリティと一緒に使用できる。部分的には、本発明は、マイクロレンズ;該マイクロレンズと光学的に連絡するビーム向き付け器;および実質的に透明なフィルムまたはカバーを含むレンズ組立体に関する。実質的に透明なフィルムは、双方向的に光を伝達し、制御された量の後方散乱を生成することができる。該フィルムはビーム向き付け器の一部を囲むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コヒーレンス断層撮影システムであって、
柔軟なカテーテルであり、
ボアを画成する細長い一体型の光学キャップ、及び
柔軟な光ファイバであり、前記細長い一体型の光学キャップが当該柔軟な光ファイバに固定され、当該柔軟な光ファイバは前記ボア内に配置され、前記細長い一体型の光学キャップは、前記ボア内に位置付けられた当該柔軟な光ファイバから受け取られる発散光が前記細長い一体型の光学キャップの外に向けられて焦点を形成するような、ビーム方向付け表面を有する、柔軟な光ファイバ、
を有する柔軟なカテーテルと、
干渉計であり、
参照アーム、
検出器、
光カプラであり、
当該光カプラは、前記柔軟な光ファイバの近位端に接続可能であり、且つ光源、前記参照アーム及び前記検出器に接続され、
当該光カプラは、前記光源からの光の一部を前記細長い一体型の光学キャップの側面を通じて前記柔軟な光ファイバの中に導く、
光カプラ、
を有する干渉計と、
前記検出器と電気的に通信するデータ取得システム及び表示システムと、
を有するシステム。
【請求項2】
前記細長い一体型の光学キャップは、少なくとも1つの固定された反射表面を持つ、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
サンプルからの後方に散乱された及び後方に反射された光が、前記細長い一体型の光学キャップによって集められ、且つ前記ファイバへ戻され、前記光カプラを通って、前記干渉計の中へと伝達され、前記反射された光と参照アーム光とが干渉した後に、前記データ取得システム及び表示システムによって検出され、処理され、及び表示される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ビーム方向付け表面は、双円錐非球面、非球面、双円錐ゼルニケ、フレネル、及び非一様有理Bスプラインからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
光コヒーレンス断層撮影システムであって、
柔軟なカテーテルであり、
ボアを画成する細長い一体型の光学キャップであり、参照反射器を有する細長い一体型の光学キャップ、及び
柔軟な光ファイバであり、前記細長い一体型の光学キャップが当該柔軟な光ファイバに固定され、当該柔軟な光ファイバは前記ボア内に配置される、柔軟な光ファイバ、
を有する柔軟なカテーテルと、
干渉計であり、
参照アーム、
検出器、
光カプラであり、
当該光カプラは、前記柔軟な光ファイバの近位端に接続可能であり、且つ光源、前記参照アーム及び前記検出器に接続され、
当該光カプラは、前記光源からの光の一部を前記細長い一体型の光学キャップの側面を通じて前記柔軟な光ファイバの中に導く、
光カプラ、
を有する干渉計と、
前記検出器と電気的に通信するデータ取得システム及び表示システムであり、当該データ取得システムは、前記参照反射器を用いて較正可能な撮像パラメータを有する、データ取得システム及び表示システムと、
を有するシステム。
【請求項6】
前記細長い一体型の光学キャップは、少なくとも1つの固定された反射表面を持つ、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
サンプルからの後方に散乱された及び後方に反射された光が、前記細長い一体型の光学キャップによって集められ、且つ前記ファイバへ戻され、前記光カプラを通って、前記干渉計の中へと伝達され、前記反射された光と参照アーム光とが干渉した後に、前記データ取得システム及び表示システムによって検出され、処理され、及び表示される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記ビーム方向付け表面は、双円錐非球面、非球面、双円錐ゼルニケ、フレネル、及び非一様有理Bスプラインからなる群から選択される、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記ビーム方向付け表面は双円錐非球面である、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
光コヒーレンス断層撮影システムであって、
柔軟なカテーテルであり、
ボアを画成する細長い一体型の光学キャップであり、当該細長い一体型の光学キャップは、参照反射器を有するシースに隣接するとともに該シースと光学的に連通している、細長い一体型の光学キャップ、及び
柔軟な光ファイバであり、前記細長い一体型の光学キャップが当該柔軟な光ファイバに固定され、当該柔軟な光ファイバは前記ボア内に配置される、柔軟な光ファイバ、
を有する柔軟なカテーテルと、
干渉計であり、
参照アーム、
検出器、
光カプラであり、
当該光カプラは、前記柔軟な光ファイバの近位端に接続可能であり、且つ光源、前記参照アーム及び前記検出器に接続され、
当該光カプラは、前記光源からの光の一部を前記細長い一体型の光学キャップの側面を通じて前記柔軟な光ファイバの中に導く、
光カプラ、
を有する干渉計と、
前記検出器と電気的に通信するデータ取得システム及び表示システムであり、当該データ取得システムは、前記参照反射器を用いて較正可能な撮像パラメータを有する、データ取得システム及び表示システムと、
を有するシステム。
【請求項11】
前記細長い一体型の光学キャップは、少なくとも1つの固定された反射表面を持つ、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
サンプルからの後方に散乱された及び後方に反射された光が、前記細長い一体型の光学キャップによって集められ、且つ前記ファイバへ戻され、前記光カプラを通って、前記干
渉計の中へと伝達され、前記反射された光と参照アーム光とが干渉した後に、前記データ取得システム及び表示システムによって検出され、処理され、及び表示される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ビーム方向付け表面は、双円錐非球面、非球面、双円錐ゼルニケ、フレネル、及び非一様有理Bスプラインからなる群から選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記ビーム方向付け表面は双円錐非球面である、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的には光学素子、光学素子の設計および製造ならびにこれを使う方法に関する。加えて、本発明は、関心対象の試料に関するデータを収集するために光学素子を使うことにも関する。
【背景技術】
【0002】
干渉法のような光学的解析方法は、関心対象の試料に光を届け、さらに試料から返ってくる光の一部を収集することを必要とする。多くの光源および光解析装置は、サイズおよび複雑さのため、典型的には関心対象の試料から遠くに位置される。これは、関心対象の試料が、生体内部の生体組織のような、より大きなオブジェクトの内部の部分である場合に特に明白になる。内部の部分を光学的に解析する一つの方法は、遠くの光源からの光を細い光ファイバーを使って試料まで案内することである。細い光ファイバーは、該光ファイバーの小さな断面のため、試料の正常な機能を邪魔するのが最小限である。そのような方法の一つの例は、光ファイバー・カテーテルを使った血管のような管腔器官の光学的解析である。ここで、光ファイバー・カテーテルは一端では身体外部の光源に接続され、他端は血管中に挿入される。
【0003】
管腔のような内部領域の光学的解析を実施することに対する重要な障壁は、光を合焦するまたはコリメートするための小型光学デバイスの設計および低コスト生産である。撮像および分光のような多くの型の光学的解析は、試料に入射する光が特定の距離において合焦されるまたは実質的にコリメートされることを要求する。標準的な光ファイバーの先端から発する光は急速に発散するので、合焦またはコリメート機能を与えるために小型の光学系がファイバーに結合されることができる。さらに、細い血管の管腔壁の解析のような、ファイバーの光軸上に直接載っていない試料位置を解析することが望ましいことがしばしばある。これらの状況においては、光ファイバーの先端から発する光を合焦またはコリメートする手段に加えて、光の方向を実質的に変更する手段が使われる。
【0004】
上記の機能のいくらかを提供する、光ファイバーへの取り付けに好適な小型光学系を製造するための多くの方法がこれまで記載されてきた。これらの方法は一般に、1)グレーデッド・インデックス(GRIN: graded-index)ファイバー・セグメントを使う;2)ファイバー先端を直接整形してレンズにする;または3)小型のバルク・レンズを使うという三つの方法のうちの一つを使ってビーム合焦手段を提供する。ビーム向き付け(directing)手段は一般に:1)ファイバーの角度をもった端面からの光の全反射(TIR: total internal reflection)を使う、角度をもった反射表面を使う;3)小型バルク・ミラーを使う;または4)ファイバー先端上の反射性コーティングを使うという四つの方法の一つを使って提供される。しかしながら、これらの方法は、過剰な製造コスト、過剰なサイズまたは焦点スポット・サイズおよび焦点距離を選択するための不十分な自由度を含む数多くの内在的な限界を抱えている。
【0005】
内部管腔構造の解析のために使用できる多くの小型光学系が当技術分野で知られている。各光学系は概念上、ビーム合焦手段とビーム向き付け手段に分けられる。光は、外部光源から内部の管腔に、一つまたは複数の光照明ファイバーを通じて渡される。光照明ファイバーは性質上、シングルモードでもマルチモードでもよい。照明ファイバーは、ビームを管腔壁中に合焦し、向き付ける小型光学系と連絡している。管腔から身体外部の解析装置に、同じファイバーを使って、または照明ファイバーと共位置の他のファイバーを使って光が返される。ある型の小型光学系設計では、合焦手段および向き付け手段は、別個の光学素子によって実行される。別の型の設計では、合焦手段と向き付け手段は同じ素子によって実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の光学系のいくつかの特徴は望ましくない。たとえば、いくつかのデバイスでは、全体的なシステム・サイズを最小にするため、光学素子のすべてが光ファイバーと同様の直径でなければならない(該直径はしばしば125μmあたりである)。これは、合焦素子、ビーム・エキスパンダーおよびビーム向き付け器を選択するために利用可能な選択肢を減らし、よって当該設計によって達成可能な焦点スポット・サイズおよび作業距離の範囲を制限する。加えて、これらの極端に小さな素子はもろく、扱うのが難しく、製造および動作中に壊れやすい。第三に、多くの実施形態において、ビームを向き付けし直すためにTIRを使うためには空気ギャップを設ける必要がある。これは、空気ギャップを維持するためにファイバーと他の素子との間で緊密な密封が維持されることを要求する。これは、デバイスが水、血液または胃酸に浸漬されるとき、または像を形成するためにデバイスが高速で回転もしくは並進させられるときには問題となりうる。第四に、GRIN合焦素子は、回転対称な屈折率プロファイルをもち、ビーム上に誘起される円筒収差を補正することができなくなる。これらの欠点の全体的な効果は、ある種の小型光学系は高価で、製造が難しく、損傷しやすく、焦点面において円形の出力を生成しないということである。
【0007】
上に挙げた欠点に加えて、従来のレンズ化された(lensed)表面は小さな曲率半径しか与えることができず、おおむね球状の幾何形状に限定される。さらに、ビームは、光学系内のどの点でも、シングルモード・ファイバーの直径(しばしば125μm)より有意に大きなサイズまで拡張できない。これらの限界は、限られた作業距離およびかなりの球面収差をもつレンズ系につながる。
【0008】
上記のように、光学的解析または撮像を実施するために使われる現在知られている小型光学系には著しい限界がある。よって、既存の光学デバイスの限界を克服する光学素子が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
部分的には、本発明は、試料の内部的または外部的解析のために光ファイバーの端部にスライドしてかぶさる、内部空洞をもつ一体型(unitary)光学素子(またはキャップ)を提供する。キャップは、ビーム方向を変更するとともに光を、当該キャップから規定された距離離れたところで規定された幅に合焦またはコリメートするための統合された表面特徴を含む。キャップは、内部身体組織または管腔器官のような敏感な試料に対する破壊または損傷を防止するのに十分小さい。キャップはある実施形態では単一のモノリシックな要素なので、射出成形のような低コストの方法を使って作製できる。従来記載された方法に比較して著しいコスト上の利点および製造反復可能性における改善が達成される。
【0010】
本発明のある実施形態は、キャップ、カバーまたは曲がった遠位端面もしくは表面をもつ細長い部材のような光学素子を提供する。前記光学素子は、光ファイバーのあるセクションに固定され、これを受け入れることができる単一の材料片から製造されることができる。特に、キャップは、ファイバーを受け入れる開端と、実質的に光学的に透明であるよう選択されているある長さの固体材料と、レンズおよび鏡の両方の作用をする曲がった反射性の端表面とを有する。ある実施形態では、曲がった反射性の表面は、レンズの合焦属性をもつよう整形され、入射光を反射する(または部分的に反射する)ようコーティングされる。
【0011】
光ファイバーから光が放出され、前記固体材料中を進み、曲がった反射性の端表面に当たる。レンズ化された表面の曲率は、入射光を合焦するまたは実質的にコリメートするよう設計されることができる。レンズ化された表面はまた、ファイバー先端から放出される光の伝搬方向に対して傾斜させられることもできる。傾斜角は、光が側面を通ってキャップから出て前記側面から所望の距離離れた焦点に到達するように光を反射するよう選択される。
【0012】
遠位表面の上記の反射属性は、曲がった端表面の外面を金属または誘電性材料のような反射性材料でコーティングすることによって得られる。さらに、レンズ化された表面の曲率は、二つの直交する軸のそれぞれに沿って異なることができる。さらに、一方の軸の曲率は、光がキャップの実質的に円筒形の側面を通って出る際に光に付与される光学的歪みを補償するために独立して調整されることができる。キャップの単一片構成により、キャップは、射出成形のような低コストの方法による製造になじみやすくなる。
【0013】
ある実施形態では、本発明は、光ビーム向き付け素子に関する。光ビーム向き付け素子は、長手軸をもつ円筒型外側表面を有する細長い一体型のキャップを含み、前記細長い一体型のキャップは環形開口を画定する近位の端面およびビーム向き付け表面をもつ遠位の端面を有し、前記細長い一体型のキャップは中実なセクションおよび該中実なセクションの境界まで延びる体積を画定する第一の空洞セクションを画定し、前記体積はファイバー端面をもつ光ファイバーを囲み、該光ファイバーを受け入れるような大きさであり、前記ビーム向き付け表面は、前記ファイバー端面に対して、前記ファイバー端面から受け取られた光が前記円筒型外側表面から作業距離Dに向けられて直径wの焦点スポットを形成するような角度および位置にされる。
【0014】
ある実施形態では、前記細長い一体型のキャップは、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテンおよびガラスからなる群から選択される材料から形成される。Dは約0μmから約30mmの範囲であることができる。ある実施形態では、wは約3μmから約100μmの範囲である。前記ビーム向き付け素子はさらに、静止鞘〔シース〕および前記体積内に固定的に配置された光ファイバーを含むことができ、前記光ファイバーと前記細長い一体型のキャップは前記静止鞘内で回転するよう構成される。ある実施形態では、前記ビーム向き付け表面の少なくとも一部が反射性コーティングでコーティングされる。前記ビーム向き付け素子はさらに、前記円筒型外側表面内に配置され、前記境界から形成されたレンズ化表面を含むことができる。ある実施形態では、前記ビーム向き付け表面は実質的に平坦である。前記反射性コーティングは部分的に透過性のコーティングを含むことができる。
【0015】
ある実施形態では、前記部分的に透過性のコーティングは、前記ファイバー端面からの光を、前記円筒型外側表面から前記作業距離Dに向けられて直径wをもつ前記焦点スポットを形成する第一のビームと、前記円筒型外側表面からある作業距離D'に向けられて直径w'をもつ焦点スポットを形成する第二のビームとに分割する。さらに、前記ファイバー端面から入射するビームは、該入射ビームの強度または該入射ビームの波長に基づいて分割されることができる。ある実施形態では、前記円筒型外側表面の遠位セクション上に部分的に反射性のコーティングが配置される。該配置は、前記ビーム形成表面から向き付けされたビームが前記部分的に反射性のコーティングを通過し、前記部分的に反射性のコーティングから反射して返されるような位置でなされる。前記境界の一部に沿って前記体積内に部分的に反射性のコーティングが配置されることができる。ある実施形態では、前記ビーム向き付け表面は前記体積または前記中実セクション内に位置される。前記ビーム向き付け表面が、第二の空洞セクションを囲む前記円筒型外側表面の一部によって部分的に遮蔽されるよう、第二の空洞セクションが前記中実セクション内で定義されることができる。さらに、前記ビーム向き付け表面は、光が前記ビーム向き付け表面から前記円筒型外側表面および前記静止鞘を通って伝搬することによって誘起される円筒型光歪みを実質的に除去するよう整形される。ある実施形態では、前記ビーム向き付け表面は、双円錐非球面、非球面、双円錐ゼルニケ、フレネルおよび非一様有理Bスプラインからなる群から選択される。
【0016】
ある側面では、本発明は、自然位で(in situ)試験試料から光学的データを収集する方法に関する。本方法は、第一の直径にある光ビームを伝達するよう適応された、コアを含む光ファイバーを提供する段階と;円筒型外側表面および環形開口を有する細長い一体型キャップを提供する段階であって、前記キャップは、前記光ファイバーのある長さを、前記キャップ内に画定される空洞内に受け入れ、取り囲むことによって前記光ファイバーに固定的かつ光学的に結合される、段階と;前記光ビームをビーム向き付け表面に送出し、第一の光ビームが前記円筒型外側表面から作業距離Dに向けられて直径wをもつ焦点スポットを形成するようにする段階を含む。ある実施形態では、本方法はさらに、第二の光ビームが前記円筒型外側表面から作業距離D'に向けられて直径w'をもつ焦点スポットを形成するよう前記光ビームを分割する段階を含む。ある実施形態では、本方法はさらに、前記第一の光ビームを使って光コヒーレンス断層撮影データを収集する段階を含む。ある実施形態では、本方法はさらに、前記一体型キャップ内に配置された反射素子に応答して参照信号の一つを生成する段階であって、前記反射素子は光コヒーレンス断層撮影システムにおいて干渉計のアームのはたらきをする、段階を含む。ある実施形態では、本方法はさらに、前記一体型キャップ内に配置された反射素子に応答して較正信号の一つを生成する段階であって、前記較正信号は光コヒーレンス断層撮影システムにおいて試料アーム光路長に一致するよう参照アーム光路長を調整するために使われる、段階を含む。
【0017】
〈参照反射器/散乱素子実施形態の概要〉
ある側面では、本発明は、細長いセクションおよび近位端および遠位端をもつ光ファイバー画像化プローブであって、遠位端にあてがわれた細い光散乱材料を有するプローブに関する。
【0018】
もう一つの側面では、本発明は、光学素子に関する。本光学素子は、第一の表面および第二の表面を有する膜またはカバーを含む。前記膜はポリマーと、その中に配置された、制御された光学的な後方散乱のための少なくとも一つの後方散乱素子とを含む。さらに、前記膜は、実質的に歪められない画像化光の透過を許容する。
【0019】
本稿に記載される本発明の諸側面はさらなる実施形態を含むことができる。たとえば、前記光学素子はさらに、複数の後方散乱素子を含むことができる。ここで、前記少なくとも一つの後方散乱素子および前記複数の後方散乱素子のそれぞれは、ある粒子寸法をもつ粒子であり、前記複数の後方散乱素子は前記ポリマー内に配置される。ある実施形態では、前記膜は、光ファイバー端面またはマイクロレンズを包み込む、囲む、包むまたは他の仕方で覆うのに好適な曲がった表面を形成するよう整形される。
【0020】
前記粒子寸法は、いくつかの好ましい実施形態では、約1.5μmより小さい。さらに、前記粒子は、チタン、亜鉛、アルミニウムおよび/または光を散乱するのに好適な他の材料を含むことができる。前記複数の散乱素子は、約0.1%の体積ドーピング濃度の濃度をもつことができる。前記光学素子はさらに、細長い部材を含むことができる。ここで、前記膜は鞘を形成するよう整形され、該鞘の中で前記細長い部材が配置されてプローブ先端の一部をなす。
【0021】
ある側面では、本発明は光学素子に関する。本光学素子は、第一の表面および第二の表面を有する曲がったカバーを含む。前記カバーは画像化プローブの一部を形成し、前記カバーはポリマーと、その中に配置された、制御された光後方散乱のための少なくとも一つの後方散乱素子とを含み、それにより、前記光後方散乱から画像化システムのために参照点が生成され、前記カバーは、実質的に歪められない画像化光の透過を許容する。
【0022】
もう一つの側面では、本発明は画像化プローブに関する。本プローブは、第一の端部および第二の端部を有する細長いセクションを含み、前記第二の端部は管腔内画像化機能をもつプローブ先端を形成し、前記プローブ先端は散乱材料を有し、前記細長いセクションは前記散乱材料によって反射された光を前記細長いセクションの前記第一の端部に透過させるよう適応されている。
【0023】
ある実施形態では、前記細長いセクションは光ファイバーである。前記細長いセクションは鞘であることもできる。また、前記プローブはさらに、前記鞘内に配置される光ファイバーを含むことができる。前記散乱材料は、基質内に分散した複数の光散乱粒子を含むことができる。前記散乱粒子は、チタンおよび/または光を散乱することが知られている他の材料を含むことができる。また、前記基質は、ポリエチレンテレフタラートおよび/またはウレタン誘導体のような他のポリマーを含むことができる。
【0024】
本発明のある側面のある実施形態では、後方散乱の制御された量は、少なくとも一つの画像化システム・パラメータの較正のために画像化システムにおいて参照点を生成するのに少なくとも十分な光の量である。前記実質的に透明なフィルムは、複数の散乱粒子をも含むことができる。
【0025】
さらにもう一つの側面では、本発明は、光コヒーレンス断層撮影システムを較正する方法に関する。本方法は、試料から反射された光に応答してスキャン・データを生成し、反射された光は双方向の実質的に透明な光学素子を通過し;前記双方向の実質的に透明な光学素子内に配置されている散乱要素から反射された散乱光に応答して参照データを生成し;前記光コヒーレンス断層撮影システムを較正して、前記散乱要素の相対的な長手方向位置を決定することを含む。
【0026】
ある側面では、本発明は、光学素子の製作方法に関する。本方法は、動物内の管腔内使用に好適な材料を選択する段階と;前記材料内に分散させるのに好適な、光源に応答して光を散乱させるよう適応されたドーパントを選択する段階と;ドープされた材料の放射状スキャン(radial scan)が定義された後方散乱を生成するようドーパントの体積濃度を決定する段階とを含む。
【0027】
本発明のある実施形態は、光ファイバーのセクションの端部に固定されることのできる光学キャップであって、前記ファイバーを受け入れる開端と、レンズとしてはたらく、前記光ファイバーと揃った(in line)内部曲面と、ある長さの中実材料と、鏡としてはたらく平坦な反射性の端表面をもつ閉端とをもつキャップを提供する。いくつかの実施形態では、前記反射性の端表面はコーティングされ、他の実施形態ではコーティングされない。前記の内部のレンズ化された表面の曲率は、前記光ファイバーの端から発する光を合焦するまたは実質的にコリメートするよう選ばれる。反射性の端表面は、金属または誘電体材料で前記端面の外面をコーティングすることによって反射性にされる。ある実施形態では、前記端面と前記ファイバーの軸との間の傾斜角は一般に約45度±約20度である。
【0028】
本発明のもう一つの実施形態は、光ファイバーのセクションの端部に固定されることのできる光学キャップであって、前記ファイバーを受け入れる開端と、レンズとしてはたらく、前記光ファイバーと揃った内部曲面と、ある長さの中実材料と、第二のレンズ兼鏡としてはたらく曲がった反射性の端表面をもつ閉端とをもつキャップを提供する。前記の内部のレンズ化された表面は、一つまたは二つの直交軸に沿って曲げられており、ファイバーの先端から発する光に対して作用する第一の合焦手段を提供する。端表面も、一つまたは複数の直交軸に沿って曲がっており、前記第一のレンズ化された表面から、前記長さの中実材料を通って透過された光に対して作用する第二の合焦手段を提供する。ある実施形態では、端表面は、反射性材料でコーティングすることによって反射性にされる。ある実施形態では、反射性材料は金属または誘電体材料であってもよい。ある実施形態では、当該光学キャップは、一体型キャップである。さらに、当該光学キャップはいくつかの実施形態では一つまたは複数の材料片から作られることができる。
【0029】
本発明のさらにもう一つの実施形態は、光ファイバーのセクションの端部に固定されることのできる光学キャップであって、前記ファイバーを受け入れる開端と、ある長さの中実材料と、曲がった部分的に反射性の表面をもつ閉端とをもつキャップを提供する。光はファイバーの先端から発し、中実材料を通って進み、部分的に反射性の表面に当たる。光の一部は、前記表面の曲がりによって合焦され、反射され、当該キャップの側面を通って出る。光の別の部分は、当該キャップの端面を通って屈折および透過させられる。このようにして、二つの異なる軸に沿って同時に光学測定が実行できる。端面は、その表面を薄い金属層、パターンを付けた金属層でコーティングすることによって、または光を部分的に透過させるよう設計された薄い誘電体膜でコーティングすることによって、部分的に反射性にされる。
【0030】
本発明のさらなる実施形態は、光ファイバーのセクションの端部に固定されることのできる光学キャップであって、前記ファイバーを受け入れる開端と、ある長さの中実材料と、曲がった反射性の表面をもつ閉端と、部分的に反射するまたは後方散乱するコーティングをもつ側面とをもつキャップを提供する。光はファイバーの先端から放出され、中実材料を通って進み、反射性の表面に当たる。光は、前記表面の曲がりによって合焦され、反射され、当該キャップのコーティングされた側面に当たる。この光の一部は、該コーティングによって透過させられ、当該キャップから所望される距離離れたところの焦点スポットに到達する。光の別の部分は、前記コーティングによって直接、後方反射または後方散乱され、内部を、もとの前記曲がった端面に向けて進む。光は該端面で再び反射され、再び合焦され、もとの光ファイバーの端先端に部分的に結合される。
【0031】
このようにして、反射されたまたは後方散乱された光の制御された量が焦点スポットからある既知の距離のところに生成されることができる。これは、光コヒーレンス断層撮影のような分析技法において較正信号または干渉参照場として使うために有利である。端面は金属または誘電体材料でコーティングすることによって反射性にされる。側面は、金、アルミニウムまたは他の金属のような材料で部分的にコーティングすることによって、あるいは光を部分的に透過させるよう設計された薄い誘電体フィルムでコーティングすることによって、あるいは小さな後方散乱させる粒子の層でコーティングすることによって、部分的に反射性にされる。あるいはまた、部分的に反射性という属性は、後方散乱性の粒子を含浸された薄いポリマー管によって提供されてもよい。該薄いポリマー管は当該光学キャップの外部にかぶせて固定される。薄いポリマー管はポリエチレンテレフタラート(PET)であってもよく、後方散乱性の粒子は二酸化チタンであってもよい。反射性コーティングは、好適な誘電体の反射性コーティングから選択されることもできる。これらの誘電体の反射性コーティングは、誘電材料の多重層を含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、TiO2およびSiO2の交互の層が反射性コーティングを形成するために使われることができる。
【0032】
本発明のさらにもう一つの実施形態は、光ファイバーのセクションの端部に固定されることのできる光学キャップであって、前記ファイバーを受け入れる開端と、前記光ファイバーに揃った部分的に反射性のコーティングをもつ内部表面と、ある長さの中実材料と、曲がった反射性の表面をもつ閉端と、部分的に反射性のコーティングをもつ側面とをもつキャップを提供する。光はファイバーの先端から放出され、内部の部分的に反射性の表面に当たる。光の一部は、反射または後方散乱されてもとのファイバーにはいり、一方、光の別の部分は、前記中実材料を通って透過させられ、進む。このようにして、第一の量の反射されたまたは後方散乱された光が、焦点スポットから既知の距離のところで生成されることができる。光の透過された部分は次いで反射性の表面に当たる。光は、表面の曲がりによって合焦され、反射され、当該キャップのコーティングされた側面に当たる。
【0033】
この実施形態に関し、この光の一部は前記コーティングによって透過され、当該キャップから所望される距離離れたところの焦点スポットに到達する。光の別の部分は、前記コーティングによって直接、後方反射または後方散乱され、内部を、もとの前記曲がった端面に向けて進む。光は該端面で再び反射され、再び合焦され、もとの光ファイバーの端先端に部分的に結合される。このようにして、反射されたまたは後方散乱された光の第二の量が焦点スポットからある既知の距離でありかつ前記内部の部分的に反射性の表面からある既知の距離であるところに生成されることができる。これは、光コヒーレンス断層撮影のような分析技法において較正信号または干渉参照場として使うために有利である。端面は金属または誘電体材料でコーティングすることによって反射性にされる。側面は、金属材料で部分的にコーティングすることによって、あるいは光を部分的に透過させるよう設計された薄い誘電体フィルムでコーティングすることによって、あるいは小さな後方散乱させる粒子の層でコーティングすることによって、部分的に反射性にされる。
【0034】
もう一つの実施形態では、本発明は、光ファイバー画像化カテーテルにおけるコンポーネントとして前記光学キャップのさまざまな実施形態を使用する方法をも提供する。前記光ファイバー画像化カテーテルは生体の管腔構造中に挿入されており、管腔構造の高解像度像を得るために光コヒーレンス断層撮影システムに接続されている。
【0035】
さらにもう一つの実施形態は、前記光学キャップのレンズ化表面を、部分的にまたは完全に前記キャップの本体内に位置させることによって保護する手段を手供する。前記キャップは、いかなる好適な幾何形状を有していてもよく、円筒形のキャップに限定されない。レンズ化表面の部分的な保護は、レンズ化表面よりわずかに近位な円筒形本体の延長部を含めることによって得ることができる。ある実施形態では、レンズ化表面の部分的な保護は、レンズ化表面を、光ファイバーを受け入れる空洞内に完全に位置させることによって得ることができる。上記の実施形態のいずれも、レンズ化表面の部分的または完全な保護を含むよう修正されることができることは理解される。本発明のこれらの実施形態は、保護関係の特徴に限定されない。たとえば、レンズ化表面をへこませることで、いくつかの実施形態では、当該キャップを遠位に案内することをより簡単にできる。
【0036】
本稿に記載されるさまざまな実施形態は、光ファイバーまたは同様の導波路を通じて向き付けされることのできるさまざまな型の電磁放射を送信および受信するためのサブシステムに関する。よって、放射、光学放射、光または他の型の電磁放射への言及がされることがあるが、これらの用語は、本発明の範囲を限定することは意図されておらず、その代わり、レンズまたは光ファイバーまたは同様の導波路によって送られるまたは受領されることができる任意の型の光または電磁放射を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の目的および特徴は、以下に記載される図面および請求項を参照してよりよく理解できる。図面は必ずしも縮尺通りではなく、概して本発明の原理を例解することに重点が置かれている。図面では、さまざまな図を通じて同様の部分を示すために同様の符号が使われている。本開示に付随する図面は、本開示内で、それらの図面が導入されるときに、個々に扱う。
【
図1】本発明のある例示的な実施形態に基づく、光ファイバーに沿って、空洞を画定する細長い部材を通して光のビームを向き付ける光学サブシステムを描いている二次元断面概略図である。
【
図2A】本発明の例示的な実施形態に基づく、反射性のレンズ化された端表面を示す三次元図である。
【
図2B】本発明の例示的な実施形態に基づく、光学素子またはキャップを示す三次元図である。
【
図3】本発明のある実施形態に基づく、キャップが透明鞘の内部になるような、光ファイバーを囲む光学キャップを示す図である。
【
図4】本発明のある例示的な実施形態に基づく、光ファイバー先端と光学キャップのレンズ化された反射性表面と三つの異なる長さの中実材料について、焦点スポット・サイズおよび作業距離の例示的な範囲を示す図である。
【
図5】本発明のある例示的な実施形態に基づく、透過性のレンズ化された内部表面と、キャップの側面を通じてビームを向き付け、該キャップから所望の距離のところに焦点スポットを生成するための角度を付けた反射性端表面とを含む光学キャップを示す図である。
【
図6】本発明のある例示的な実施形態に基づく、透過性のレンズ化された内部表面と、キャップの側面を通じてビームを向き付け、該キャップから所望の距離のところに焦点スポットを生成するための角度を付けた反射性端表面とを含む光学キャップを示す図である。
【
図7】本発明のある例示的な実施形態に基づく、キャップの側面および端面を通じて向き付けられた二つの合焦ビームを生成するための、曲がった、部分的に反射性のレンズ化された端表面を含む光学キャップを示す図である。
【
図8】本発明のある例示的な実施形態に基づく、キャップの外側円筒表面上に配置されたコーティングを通してキャップの側面から出るようビームを向き付けるための、曲がった、反射性のレンズ化された端表面を含む光学キャップを示す図である。
【
図9】本発明のある例示的な実施形態に基づく、曲がった反射性のレンズ化された表面に加えて反射性または部分的に反射性の表面を含む光学キャップを示す図である。
【
図10】本発明のある例示的な実施形態に基づく、反射性のレンズ化された表面が、キャップ内に画定された体積内に位置させることによって損傷から保護されている光学キャップを示す図である。
【
図11】本発明のある例示的な実施形態に基づく、反射性のレンズ化された表面が、キャップの本体内に部分的に位置させることによって、損傷から部分的に防護されている光学キャップを示す図である。
【
図12】本発明のある例示的な実施形態に基づく、光コヒーレンス断層撮影データ収集を実施するための装置を示す図である。
【
図13】本発明のある例示的な実施形態に基づく、光コヒーレンス断層撮影データ収集を実施するための第二の装置を示す図である。
【
図14A】本発明のある実施形態を製作するためのモールドを示す図である。
【
図14B】
図14Aに描かれたモールドを使って製作される本発明のある実施形態を示す図である。
【
図15A】本発明のある実施形態を製作するためのモールドを示す図である。
【
図15B】
図15Aに描かれたモールドを使って製作される本発明のある実施形態を示す図である。
【
図16】マイクロレンズおよび保護カバーをもつ、光ファイバー先端の概略図である。
【
図17】ドーピングされたプラスチック・レンズ・カバーと一緒に撮られた画像を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の記述は本発明のある種の実施形態を例解する付属の図面を参照する。他の実施形態も可能であり、本発明の精神および範囲から外れることなくこれらの実施形態に修正を施すこともできる。よって、以下の詳細な説明は、本発明を限定することを意図しているのではなく、本発明の範囲は請求項によって定義される。
【0039】
本願の節や見出しは本発明を限定することは意図していない。各節および見出しは、本発明の任意の側面、実施形態または特徴に適用できる。
【0040】
本発明の方法のステップの順序は、本発明が機能できる限り重要ではないことを理解しておくべきである。さらに、特に断りのない限り、二つ以上のステップが同時にまたは本稿に記載されるのとは異なる順序で実施されてもよい。
【0041】
値の範囲またはリストが与えられる場合、値のその範囲またはリストの上限と下限の間の途中の各値は個々に考えられており、あたかも本稿で各値が明確に挙げられているかのうように本発明に包含される。さらに、所与の範囲の上限と下限を間であり該上限および下限を含むより小さな諸範囲が考えられており、本発明に包含される。例示的な値または範囲を挙げることは、与えられた範囲の上限および下限の間のおよび該上限および下限を含む他の諸値や諸範囲を除外するものではない。
【0042】
特に断りのない限り、「ある」「その」という用語は「一つまたは複数の」を表すものと理解されるべきである。
【0043】
本発明自身に加えて本発明の上記およびその他の特徴および利点は、本記述、図面および請求項からより十全に理解されるであろう。
【0044】
共焦点顕微鏡法、単一光子および多光子蛍光撮像、高調波撮像、光学分光および光コヒーレンス断層撮影(OCT: optical coherence tomography)といった高度な光学的解析または画像化の発展は、産業上の検査、基礎的な生物学研究および動物および人間の生体条件下での撮像に途方もない影響を及ぼした。これらの方法は多くの点で異なっているが、関心対象の試料を照射するために使われる入射光が合焦またはコリメートされるという共通の設計上の特徴を有している。焦点を絞られた光は焦点を絞られていない光に比べ、よりよい空間分解能を得るための入射光の局在化の改善や増大した信号レベルを生成するための光パワー密度の向上を含め、多くの利点を提供する。
【0045】
合焦またはコリメートされたビームは、光源の出力を、一緒になって光学系を形成する一連の光学素子を通すことによって生成される。該光学系の素子は、光学系の最後の素子から「作業距離」と称される所望される距離離れたところに現れる所望される焦点スポット・サイズを達成するよう選択される。作業距離は、図面では角度をもって示されている。これは、(ビーム伝搬の方向に平行な)作業距離を定義する好ましい方法である。ある好ましい実施形態は、キャップの側面を~10度の前方角で出るビームを使う。個々の各光学的解析用途にはその最適なスポット・サイズおよび作業距離がある。たとえば共焦点顕微鏡法は1μmに近い小さなスポット・サイズを要求する。他方、OCTは約5~約100μmの中程度のスポット・サイズを要求する。
【0046】
従来のバルク・レンズから構成される光学系を使って広い範囲のスポット・サイズおよび作業距離を得ることは可能ではあるが、多くの用途は、より大きなオブジェクトの内側に位置するサンプルを解析するために柔軟かつ小型化された光学系を要求する。生物医学は、この要求がしばしば見出される分野の一例である。食道、腸、尿路、気道、肺および
血管といった管腔構造の光学的解析は、柔軟なプローブを介して送出され、小型光学系を用いて合焦され、前記柔軟なプローブを通じて体外のデータ解析システムに返される外部光源からの光を使うことができる。
【0047】
さらに、たとえば血管に含まれる血液を撮像するのではなく、OCTを使って血管壁の内膜および中膜を撮像するなど、管腔の内容ではなく管腔壁を解析することが望ましいことがしばしばである。これは、光学系の長手軸から外れるよう、または別の好ましい方向(またはある範囲の諸方向)に沿ってビームを方向付けるさらなる設計目的を与える。これらの型の光学式プローブはしばしば「側方照射(side-firing)」「横向き(side-directed)」「側方撮像(side-imaging)」または「横を見ている(side-looking)」と称される。これらの管腔の大きさは血管のように数ミリメートルほど小さいこともあり、そのため小型光学系の設計がきわめて困難になる。さらに、本稿に記載される諸実施形態はさまざまな多ファイバーまたはファイバー束実施形態と一緒に使うにも好適である。以下に記載されるさまざまな実施形態は、プローブ・コンポーネントおよびビーム形成に関連するこれらの必要性その他に対処する。
【0048】
〈概観〉
一般に、本発明は、キャップのような細長い三次元形状を有する光学素子に関する。本光学素子は空洞またはチャネルを画定する。本光学素子は、光ファイバーの一部分を受け入れ、動作上、光を方向付け、合焦するような大きさにされることができる。本光学素子は、光ファイバーに固定されることができ、キャップの外側の光を向き付け直し、合焦するとともに、関心対象の試料からの光を受光するために使うことができる。本発明は、小型光学キャップおよびファイバーを、挿入可能なプローブの一部として使うための方法を提供する。該挿入可能なプローブはといえば、生体内の管腔構造の光学的解析を実施するために使われることができる。本発明の他の諸実施形態は、合焦されたまたは実質的にコリメートされた光を試料に届け、該試料からの光の一部を、撮像またはデータ収集システムでの処理のために返すためなどの装置の設計、製造および使用にも関する。そのようなシステムの一つの例示的な限定しない例は、光コヒーレンス断層撮影(OCT)システムである。
【0049】
〈ビーム形成素子〉
図1は、所定の位置にビームを形成するのに好適な本発明のある実施形態を示している。特に、光を方向付け、光を収集するまたは関心対象の試料に関するデータを他の仕方で収集するのに好適な光学系10が示されている。図示した例では、光ファイバーはその近位端で光源(図示せず)に接続される。光ファイバーは、コーティングされた領域12およびクラッディング領域14をもつ光案内コアを含む。ある実施形態では、コーティングされた領域12はポリイミド材料を含む。
図1に示されるように、コーティングは部分的に除去されて、コーティングされた領域12に遠位のコアおよびクラッディングの一部分を露出している。
図1に示されるように、接着剤のような保護材料16もコアおよびクラッディング14および/またはコーティングされた領域12を囲んでいる。光ファイバーは光放射を光源から遠位のファイバー・セグメントに案内する。そこでは、前記コーティングのある長さの部分が機械的または化学的なストリップによって除去されている。ファイバー端面(またはファイバー先端)は平坦であることもできるし、あるいは収差や望まれない後方反射を防止するために、典型的には約8°から約15°までの間の小さな角度に切断されることができる。この切断動作はファイバー・クリーバーによって実行できる。ある実施形態では、そのような切断動作は迅速で一貫性があるので、コスト節約および製造上の利点を提供する。
【0050】
一般に、部分的には、本発明は、透過性の材料から形成される一体型の光学素子(あるいは光学プローブ素子またはキャップ)18に関する。ある実施形態では、前記一体型の光学素子またはキャップは細長い形状である。他の実施形態では、前記光学素子またはキャップは球形または半球形である。たとえば、ある実施形態では、キャップは球または部分的に平坦にされた球であり、非対角方向に、特に球の中心から1/2半径下に形成されたファイバー受け入れ孔をもつ。しかしながら、いかなる好適なキャップ幾何形状も可能である。前記光学素子は、前記透過性材料から形成される壁または領域19で終わるまで光学素子18の一部を通って延在するボアまたはチャネルを画定する。図のように、ファイバー・コアおよびクラッディング14ならびにコーティングされた領域12は、キャップ18内に画定された体積内に配され、図の左側に示される環状開口17を通ってキャップ18にはいる。本発明は、光ファイバーを部分的に取り囲むまたは包摂するチャネル、空洞またはボアを画定するそのような光学素子のさまざまな型および形状に関するが、用語「キャップ」、「カバー」、「光学組立体」、「ビーム形成器」、「レンズ組立体」または他の用語は本稿では限定しない仕方で使用されてもよい。
【0051】
よって、ある実施形態では、光学キャップ(または光学素子)18は、ファイバー含有セクション20と、ビーム形成(または中実)セクション21とを含む。連続的な一体型材料が典型的には使用されるので、点線または境界22によって示される概念上の境界が第一のセクション20を第二のセクション21から区別している。光学キャップ18の境界22は、コア14と光学キャップ18との間の空隙を埋める接着剤または保護材料16に遠位に位置される平面を画定するとイメージすることができる。図のように、ある実施形態では、ファイバー端面23(これは約8°から約15°傾いていてもよい)と空洞壁19との間にギャップが存在する。さらに、図のように、接着剤または保護材料16が、コーティングされた領域12およびクラッディング14をもつコアを含む空洞を埋める。本光学素子は、クラッディング14をもつファイバー・コアに対して遠位の曲がった表面25をもつ。閉じた遠位面/曲がった端面25は、反射性または部分的に反射性のコーティングといった一つまたは複数のコーティングを含むことができる。さらに、光学素子およびファイバー組立体は典型的には鞘28内に配置される。ある実施形態では、光学素子18およびそれに接続もしくは融着された他の要素は鞘に対して一緒に回転する。もう一つの実施形態では、鞘28と光学素子18の両方が回転する。もう一つの実施形態では、鞘および光学素子18は固定されており、回転しない。また、鞘と光学素子の間の領域は流体で満たされることができる。
【0052】
ある好ましい実施形態では、光学素子はモノリシックまたは一体的な材料である。光学素子を作るために、ポリマーまたはガラスの混合物といった材料の複数の組み合わせが使用できるが、一般に、該素子の組成は、ある実施形態では、全体を通じて実質的に同じとなるよう設計される。一体型の光学素子に対して、コーティングまたは他の材料が、塗布され、融着されまたは他の仕方で結合もしくは接続されてもよい。
【0053】
図1の実施形態に示されるように、クラッディング14をもつ光ファイバー・コアおよびコーティングされた領域12は光学素子18の近位の側で空洞に挿入される。近位および遠位は、身体外の器具に接続されるファイバーの端に対する位置をいう。壁19によって画定される空洞(または光学素子のファイバー受け入れ室)は図のように保護材料または接着剤16で充填されることができる。接着剤16は、実質的に光学的に透明なよう選択され、紫外光、熱、空気への暴露または他の任意の硬化方法によって硬化させることができる。ファイバー端面23と空洞壁19との間の泡形成の可能性を減らすため、接着剤16の適用は部分的な真空下で実行されてもよい。後方反射を減らすため、材料または接着剤16は、ファイバー14および光学素子18の屈折率に近い屈折率をもつよう選ばれてもよい。あるいはまた、制御された振幅をもつ後方反射を生成するため、材料または接着剤16はファイバー14および光学素子18の屈折率とは異なる屈折率をもつよう選ばれてもよい。ある実施形態では、接着剤はアクリル・ベースの接着剤である。ある実施形態では、紫外光で硬化できる接着剤が使用される。
【0054】
ある実施形態では、空洞の大きさは、傾き問題を防止するために、ファイバーのサイズに非常に近くなるよう選ばれる。ファイバー端面は、長手方向の整列問題を防止するため、空洞の端と接触して配置される。ある実施形態では、ファイバー先端23からの後方反射がさらに減らされるよう、この材料16は、光ファイバー・コアおよび素子18を形成するために使われる材料の屈折率と同様の屈折率をもつ接着剤である。
【0055】
接着剤が(熱、光または紫外放射への暴露によるなどして)固まると、ファイバーは図示した体積または空洞中のキャップに固定される。あるいはまた、射出成形のようなプロセスを使って、クラッディング14をもつ光ファイバー・コアおよびコーティングされた領域12の上にかぶさる位置において前記キャップが形成されることができる。ファイバー上に直接キャップを形成すれば、接着ステップがなくなり、低下した製造コストにつなげることができる。よって、いくつかの実施形態では、領域16は同じ材料充填領域18を有する。すなわち、接着剤16が使われないとき、
図1で画定された領域が除去され、キャップは直接ファイバーに接する。
【0056】
キャップは、閉じた遠位面をもつ円筒管という一般的な形をしている。光学素子18の外側直径は典型的には光ファイバーの直径の2倍のオーダーであり、約160μmから約500μmの外側直径範囲を与える。光学素子18の内側直径はというと、約80μmから約250μmの範囲であることができる。
【0057】
ある実施形態では、キャップ18は、特定の撮像または解析用途のために使用されるスペクトル帯域において光学的に透明であるよう選ばれた材料の単一片(シングルピース)から作られる。一般に、本稿に記載される光学素子またはキャップは、約350nmから約2000μmまでの範囲である電磁放射の波長を使う撮像用途での使用に好適である。低コストかつ高ボリュームの製造を容易にするため、材料はガラスではなく樹脂またはポリマーであることができる。所与の用途について低い収差レベルおよび高い透過が所望されるならば、キャップはガラスから形成されることもできる。好ましい材料はアクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルイミドまたはポリメチルペンテンを含む。これらの材料は、微小成形(micromolding)の分野で知られている諸方法を使って光学キャップのサイズ・スケールのパーツに射出成形されることができる。さらに、これらの材料は一体型キャップを形成するために好適である。一般に、細長い一体型キャップのいくつかの実施形態は、光学的に透過性の材料を含むことができる。本稿での用法では、光学的に透過性の材料とは、特定の用途のために使用されるスペクトル帯域において低い吸収および散乱をもち、光ファイバーから発する光のかなりの割合が透過される材料を意味する。
【0058】
ある実施形態では、上記のような当技術分野で既知の小型光学系に比べ、単一片の成形されたパーツが、製造コストおよび製造時間の有意な低下ならびにパーツとパーツの一様性における改善を提供する。ある実施形態では、光学キャップの長さは約0.25mmから約5mmの範囲である。壁19と端面23の間の空隙は約0μmから約1000μmの範囲である。
【0059】
光ファイバーに沿って進む光はファイバー端面23および空洞壁19から出て、光学素子18の第二のセクション21の中実材料中に長さLだけ伝搬する。長さLは空洞壁19から閉じた遠位表面25の中心までの距離に等しい。光が進むにつれ、光は第一の組の破線によって示されるように発散する。閉じた遠位表面25に到達すると、光は、遠位面の外側表面上に堆積しているコーティングと相互作用する。
【0060】
コーティングは、特定の撮像または解析用途のために使われるスペクトル帯域において反射性が高いよう設計される。コーティングは金属、単一誘電体層または多層誘電体積層体であることができる。接着を改善するために、遠位面と反射性コーティングの間に光学的機能のない層が堆積させられてもよい。たとえば、そのような層はクロム、チタンまたは誘電体を含むことができる。さらなる光学的機能のない層が、反射性コーティングの上に堆積させられてもよい。コーティングを酸化、剥離または他の損傷から保護するためである。
【0061】
遠位面25の中心への垂線は、キャップの長手軸に対して傾斜角θで配向される。そのため、反射光は入射光に対して角度2θに向き付けられる(
図2Aおよび
図3参照)。遠位面25はさらに合焦表面を形成するよう曲がっている。合焦表面の個別的詳細について以下で述べる。光は遠位面25および反射性コーティングと相互作用したのち、集束しはじめるまたはコリメートされる。光がキャップの側面29および鞘28を通過する際、光はキャップおよび鞘の実質的に円筒形の形状のため、円筒形の歪みによって影響される。この歪みのため、ビームは断面が円形でなく卵形(ovular)になり、ビームの二つの主軸のそれぞれについて異なる焦点面が生じる。これら二つの焦点面は、ビーム伝搬の方向に沿って空間内で分離される。
【0062】
円筒形の歪みは、非等方的な横方向分解能、低下したピーク入射パワー密度および劣化した軸方向分解能につながるので、多くの光学的解析用途にとって有害である。しかしながら、遠位面25の曲率は、遠位面の平面内にある二つの直交軸において異なることができ、そのため、該レンズが、円筒形の歪みが発生する前に事前補償するよう最適化されることができる。このようにして、円形対称のビームがキャップ外で得られ、円筒形歪みの望ましくない効果が回避できる。遠位面25幾何形状の詳細は下記で十全に述べる。
【0063】
ひとたび光がキャップを出ると、光は集束し続け、しまいには光学素子18の最も近いエッジから作業距離D離れた焦点面または焦点スポットに到達する。ファイバーがシングルモード・ファイバーであれば、ビームはガウシアンであり、焦点面におけるそのサイズは、ビームのガウス・プロファイルの半径の2倍に等しい焦点直径wによって定義される。ある実施形態では、長さLおよび遠位面の幾何形状は、幅広い焦点スポット・サイズおよび作業距離の範囲を与えるよう選択されることができる。ある実施形態では、Dは、ビーム伝搬の方向(必ずしもキャップに垂直でない)に沿った、キャップの側面から焦点面までの距離としての指標である。このアプローチは、Dが
図1に示される仕方と整合する。
【0064】
特定の用途について長い作業距離が所望される場合、長さLを長くすることができる。それにより、ビームが遠位面25に当たる前により長い直径まで拡大できる。ビームは、約160μmから約500μmまでの範囲であることができるキャップの外側直径に等しい最大直径まで拡大できる。遠位端上での増大したビーム拡大は、光学系の開口を増すことと等価である。開口を増すことは、所与の焦点直径wについて作業距離Dが増すことを許容する。特定の用途について小さな焦点直径wが望まれる場合、遠位面の曲率半径を小さくすることができる。これは事実上、光学系の合焦力を増す。
【0065】
〈端面の幾何構造〉
図2Aは、第一の焦点F1および第二の焦点F2をもつレンズ化された表面40(
図1の表面25参照)の三次元的な斜視図である。
図2Bは、外側直径Aおよび内側直径Diならびに全体的な長さBをもつ光学素子または小型光学キャップ50全体の三次元的な斜視図である。図のように、キャップは光ファイバーを受け入れ、光ファイバーに固定的に結合するような大きさにされた環状の開口17を含む。
図2Aからの合焦またはビーム形成表面40は、ある実施形態では、
図2Bの表面52として実装される。
【0066】
一般に、ある実施形態では、光学素子は、光学素子またはキャップの外で実質的に歪みのない実質的に円形対称ビームを形成または向き付けるよう設計される。この設計特徴を容易にするため、遠位面表面は、表面40上のそれぞれ曲線C1およびC2に対応する、レイAxおよびAyが当たる弧に沿った異なる曲率を有するよう選ばれる。AxおよびAyはそれぞれ異なる焦点F1およびF2から発する。本稿で記載する光学素子/キャップにとって、双円錐非球面、双円錐ゼルニケ、フレネルまたは非一様有理Bスプラインを含む複数の表面幾何構造25、40が好適である。双円錐非球面表面は一般に、約3μmから約100μmの焦点スポット・サイズおよび約0μmから約30mmの作業距離を要求する用途に、またキャップおよびキャップと焦点面の間に位置する他の材料の側面によって引き起こされる円筒形の歪みの補正をすることが望まれる場合に好適である。
【0067】
図2Aに戻ると、一般に表面たるみ(surface sag)と称される、xy平面のような平坦な平面から離れるレンズ化表面の変位(deviation)は、双円錐非球面について、次式で定義される。
【0068】
【数1】
プロットすると、この式は、レンズの曲がった表面の形をなぞる。個々のz値はxy平面に対する変動する表面たるみに対応する。
【0069】
この式において、x、yおよびzは表面の中心における原点Oをもつ局所座標である。R
xおよびR
yはそれぞれx軸およびy軸に沿った球状の曲率半径である。
図2Aの実施形態では、A
xおよびA
yはR
xおよびR
yの例である。さらに、k
xおよびk
yはそれぞれx軸およびy軸に沿った円錐定数(conic constant)であり、表面たるみzについての全部で四つの自由パラメータを与える。表面40はまた、角度2θで表面のビームを向き付けるために、x軸のまわりに角度θまで回転させられている。表面はまた、光学系の収差をさらに減らすために、量y
offだけy方向にオフセットされることができる。
【0070】
〈設計パラメータの最適化〉
図3によれば、キャップ75の側面から出るようビームを向き付け、鞘76の外側表面から所望される距離のところに焦点スポットを生成するための、ビーム向き付け表面72を含む光学系70が示されている。このように、いくつかの実施形態では、ビーム向き付け表面は、光または他の放射のビームを向き付けするとともに、合焦する。さらに、レンズ化された表面72の曲率は、鞘76とキャップ75の外側円筒表面とを通じた透過によって引き起こされる歪みを補償するよう調整されることができる。下記の節は、特定の光学的解析用途のために最適化されている所望される焦点スポット・サイズおよび作業距離を達成するために、
図3に示される型の小型光学キャップを設計するためのプロセスを記述する。この例解用の例のために選ばれる光学的解析用途は、冠血管のOCT撮像である。これは、光ファイバーおよび小型光学キャップが回転および長手方向に並進することを要求する。このアプローチは多数の利点を提供する。そうした利点は以下を含む:
・製造時間の低下によりコストが節減され、融着スプライシングの必要がなくなる
・円筒歪みを補償する非回転対称なレンズ形状を提供できる
・焦点スポット・サイズおよび作業距離における潜在的に改善された再現性。
【0071】
図3は、内側直径Mおよび壁厚Tをもつ柔軟な透明な鞘76内に包み込まれた小型光学キャップ75を示している。クラッディング14をもつファイバー・コア、コーティングされた領域12およびキャップ75は、外部アクチュエータによって鞘内で回転および並進する。一方、鞘76は、血管壁への損傷を防ぐよう血管内で静止したままである。
【0072】
この例解する例では、所望される焦点スポット直径wは約30μmである。ビームが、鞘76の側面から距離D'、キャップから距離D離れたところの焦点面に到達することが望まれる。ここで、D'は約1.6mm、Dは約1.857mmである。鞘壁厚Tは約102μmであり、内側直径Mは約710μmである。キャップと鞘の内側表面77との間の十分な隙間を許容するため、キャップ外側直径Aは約400μmに選ばれる。ある実施形態では、キャップ材料はアクリルに選ばれる。この材料は約1310nmという関心対象の一つの波長において光学的にクリアーだからである。
【0073】
この例において、鞘76の内側表面77からの望まれない後方正反射を防ぐため、遠位面傾斜角θは約50°に選ばれる。それにより、遠位面に当たる入射光は、ファイバーの長手軸に対して約100°の角度で向き付けし直される。角度θは、ファイバーの長手軸と表面72への法線ベクトルとの間に形成されるものとして示されている。したがって、光は、法線入射から約10°の角度で鞘77の内側表面に当たり、後方正反射が避けられる。ある実施形態では、キャップと鞘の間の管腔78は約1.449の屈折率をもつ電波不透明な造影流体で満たされる。さらに、ある実施形態では、鞘76と血管壁との間の管腔は同じ造影材料または塩類で満たされる。造影材料は、一時的に血液を血管から排出し、明瞭なOCT画像を可能にするために、近位の流出(flushing)機構によって提供されてもよい。
【0074】
まだ最適化されるべく残っている設計パラメータは、ファイバー先端からレンズ化表面までの距離L、表面たるみパラメータRx、Ry、kxおよびkyならびにyオフセットyoff(もしあれば)である。鞘から約1.4mmの距離における約20μmの所望される焦点スポット直径を生じるために残りの設計パラメータの最適な組み合わせを見出すために、ZEMAX(米国ワシントン州ベルヴューのZEMAXデベロップメント社)のような光学シミュレーション・ツールまたは同等のツールが使用できる。このソフトウェアは、血管壁に当たる出力ビームが円形で収差がないことを保証するために使用されることもできる。これを達成するため、ユーザー定義された誤差関数の値を最小化する自由パラメータの最良の組み合わせを探索する逐次反復的な最適化アルゴリズムが用いられる。
【0075】
誤差関数は、局所的なx'軸およびy'軸(
図3参照)に沿った、焦点面におけるシミュレートされたビームのいくつかの属性を測定する。測定された値は所望される値と比較され、測定された値と所望される値との間の差の重み付けされた和が生成されて、誤差関数の値を与える。誤差関数は、特性ビームウエストω
0に対応する、x'軸およびy'軸に沿った、(ビームの特性半径ω0に対応する)13.5%強度レベルにおけるビーム半径(RxおよびRy)、x'軸およびy'軸に沿ったガウス当てはめ(GxおよびGy)およびx'軸およびy'軸に沿った、所望される焦点面と実際の焦点面との間の距離(FxおよびFy)のシミュレートされた値を取り入れる。誤差関数は、x'軸およびy'軸に沿ったビーム直径が等しく、ガウス当てはめが達成され、かつ、x'軸およびy'軸に沿った所望される焦点面と実際の焦点面の間の距離が0に等しい場合に0の値を与えるよう構築される。x'軸およびy'軸に沿ったビーム直径が等しい場合、ビームは円形対称である。これは等方的な焦点スポットを生成するために望ましい。x'軸およびy'軸に沿ってガウス当てはめが達成される場合、系は最小歪みをもつ。これは画像品質を最大化し、解析のために系に返される光パワーの量を最適化するために望ましい。これらの条件が満たされる場合、ビームは実質的に収差が無く、所望される作業距離Dにおいて所望される焦点スポット・サイズwをもつ。
【0076】
この例解用の例において、誤差関数EはRx、Ry、Gx、Gy、FxおよびFyを含む6個のパラメータを組み込むよう選ばれてもよい。各パラメータはさらに、誤差関数E内の各パラメータの相対的な重要性を制御するよう、重みW1ないしW6を割り当てられる。各パラメータは、目標〔ターゲット〕値Rxt、Ryt、Gxt、Gyt、FxtおよびFytをも割り当てられる。Rx、Ry、Rxt、Ryt、Fx、Fy、FxtおよびFytはミリメートルの単位で測定できる。Gx、Gy、GxtおよびGytは、0から1の範囲内にはいる単位のないパラメータであり、1が完全なガウシアン当てはめを表す。誤差関数Eは、各パラメータからその対応する目標値を引いたものの重み付けされた和として定義される。よって、E=W1(Rx-Rxt)+W2(Ry-Ryt)+W3(Gx-Gxt)+W4(Gy-Gyt)+W5(Fx-Fxt)+W6(Fy-Fyt)となる。
【0077】
この例解用の例では、RxtおよびRytは、0.020mmの半値全幅ビーム直径に対応する0.017mmであってもよい。GxtおよびGytは1であってもよい。FxtおよびFytは0であってもよい。W1およびW2は50であってもよく、W3およびW4は0.1であってもよく、W5およびW6は1であってもよい。光学的な設計値L、Rx、Ry、kx、kyおよびyoffの各選択は、一組のビーム・パラメータRx、Ry、Gx、Gy、FxおよびFyを与え、これらのパラメータは今度は誤差関数Eの特定の値を与える。パラメータ目標および重みが選択されたら、一つまたは複数のアプローチが、最小の誤差関数につながる光学的な設計値L、Rx、Ry、kx、kyおよびyoffの組み合わせを決定するために使用できる。これは、誤差関数における極小または誤差関数における最小を見出すことによって達成できる。ZEMAXのような多くの光学設計パッケージは、このステップを実行するのに十分な組み込みの最適化アルゴリズムを含んでいる。
【0078】
この例解用の例では、最適化プロセスの結果は、約721μmのL、約772μmのRx、約-1675μmのRy、約-3797μmのkx、約-15,970μmのkyおよび約-23μmのyoffの値を与える。これらの値が光ファイバー・キャップ実施形態において実現されると、約1600μmの距離D'において約29.6μmの焦点スポット・サイズが形成できる。そのような焦点スポット・サイズは冠血管におけるOCT撮像およびデータ収集を実行するのに好適である。
【0079】
〈例示的な焦点スポット・サイズおよび作業距離〉
本稿に記載されるキャップまたはビーム形成要素のような光学コンポーネントの諸実施形態は、種々の遠位面表面幾何構造およびファイバー先端と遠位面との間の種々の距離L(L
1、L
2およびL
3)をもつ小型光学キャップを構築することによって、幅広い焦点スポット・サイズおよび作業距離の範囲を可能にする。L
1、L
2およびL
3は例解の目的のために選ばれており、本発明の範囲を限定するものではない。ある実施形態では、L
2はL
1の半分に選ばれ、L
3はL
2の半分に選ばれた。例解用の例として、約400μmの外側直径をもつアクリル・キャップを使ってさまざまなデータ点を描いたものが
図4に示してある。特に、
図4は、上で論じたアクリル・キャップについて利用可能な設計パラメータの部分集合を示している。ここで、ファイバー先端から遠位端面までの距離Lはそれぞれ約2.10mm、約1.05mmまたは約0.56mmの一つとなるよう選ばれる。Lのこれらの特定の値は単に例解の目的のために選ばれているのであり、本発明の範囲を限定するものではない。所与の作業距離における焦点スポットを得るために、各曲線上の各点において、端面幾何構造は上記の方法に従って、上記のような誤差関数を使って最適化された。
【0080】
図4は、この特定の型の端キャップについて、約4.3μmないし約110μmの焦点スポット・サイズが約0mmないし約11mmの作業距離において達成できることを示している。任意の所与の長さLについて、最大作業距離D'は、焦点スポット・サイズが遠位端面に入射するビームの大きさに近づくときに現れる。この条件のもとでは、光学系の合焦力は弱く、作業距離はこれ以上延長できない。
【0081】
〈内部レンズ化表面〉
図5は、本発明のもう一つの光学サブシステム80を示している。ここでは、ビームの合焦は、遠位端面によってではなく、空洞の端部における内部のレンズ化された表面83によって提供される。キャップ85は、追加的なレンズ化された表面83のため、異なる空洞形状をもつ。表面83は凹または凸であることができ、x軸およびy軸において異なる曲率半径をもつことができ、球状または非球状であることができ、あるいはレンズ設計の技術分野において一般に知られている他の任意の型の表面であることができる。表面83は、ビーム・コリメーションまたはビーム合焦および他の特徴を許容する。一般に、表面83の形状は、
図2Aに示した形状と同じ形であってもよい。表面83はいかなる型のレンズ表面であることもできる。表面83は
図2Aに示した形状と同じ形であることができる。ここで、傾斜角θは0度まで低いことができる。この表面83は、
図1の境界19に似て、空洞とキャップ85のビーム形成セクションとの間の境界のはたらきをする。ビーム方向は相変わらず遠位端面25′によって与えられる。ただし、この実施形態では、端面は角度が付けられており平面である。
【0082】
ある実施形態では、端面25′は、金属または誘電体コーティングといった反射性材料でコーティングすることによって反射性にされる。この実施形態では、ファイバー先端から発する光は空隙G中に広がる。ファイバー14をキャップ85に結合するよう空隙は光学接着剤で充填されてもよいし、あるいはまた空隙はより迅速なビーム拡大を許容するよう空気で充填されてもよい。空隙Gの長さは、保護コーティングが除去されたファイバーの長さSおよび空洞の長さS+Gによって設定される。
【0083】
ある実施形態では、空洞の近位側におけるテーパー87がファイバーのコーティングされた部分に対するストッパーとして作用する。それにより、ファイバーの挿入長さが精密に制御できる。あるいはまた、テーパーの代わりに円筒状のストッパーが使用されてもよい。ただし、微小成形による製作プロセスのためにはテーパーを付けられた形状が一般に好ましい。微小成形プロセスでは、鋭いエッジは製作が難しいのである。空隙長Gおよび内部表面の表面たるみは、誤差関数を使って上述したのと同様の仕方で最適化できる。キャップ85が鞘(図示せず)の内側に置かれるならば、鞘を通じた透過によって引き起こされる歪みを補正するために、空隙長Gおよび表面83についての表面たわみがさらに最適化できることが理解される。
【0084】
このキャップ実施形態85は、
図3に示したキャップ設計について上述したものに加えていくつかの利点を提供する。第一に、レンズ化表面83は空洞内に位置され、取り扱いまたは操作の際に偶発的な損傷から保護する。第二に、内部レンズ化表面83の面積は遠位端面25′面積より小さく、これはキャップを製作するのに使われるツール設計を単純化する。第三に、遠位端面25′が曲がっているのではなく平坦であるため、一様なコーティング層厚を達成するのが単純化される。端面の平坦さのため、コーティング接着も改善されうる。
【0085】
〈二重レンズ化表面〉
図6は、キャップ実施形態95をもつもう一つの光学サブシステム90を示している。ここでは、ビーム合焦は、空洞の端部における一つの内部レンズ化表面96および遠位端面に形成された反射性のレンズ化表面97の組み合わせによって提供される。ビーム方向は相変わらず、金属または誘電体コーティングのような反射性材料によるコーティングによって端面97を反射性にすることによって提供される。この実施形態では、ファイバー先端23′から発する光は空隙G中に広がる。光は、内部レンズ化表面96との相互作用に際して屈折し、長さL'の中実材料を通って伝搬する。次いで光は遠位端面97に当たり、そこでさらに合焦され、キャップの側面から出るよう向き付けし直される。空隙長G、中実材料の長さL'ならびに内部表面96および遠位端面97の表面たわみは、誤差関数を使って上記と同様の仕方で最適化できる。キャップ95が鞘の内部に置かれるならば、鞘を通じた透過によって引き起こされる歪みを補正するために、空隙長Gならびに表面96および表面97両方の表面たわみがさらに最適化できることが理解される。
【0086】
このキャップ実施形態95は、
図3および
図5に示したキャップ設計について上述したものに加えていくつかの利点を提供する。第一に、二つのレンズ化表面96、97を使うことによって、より自由な設計パラメータが提供され、焦点スポット・サイズwおよび作業距離Dのより広い範囲を得ることが許容される。第二に、二つのレンズ化表面を使うことは、単一のレンズ化表面を使う匹敵する設計よりも少ない幾何収差につながり、結果として得られるビームの光学的品質を改善する。第三に、内部レンズ化表面96および空隙Gは、中実材料の長さL'中に透過される光が実質的にコリメートされるよう構成されることができる。このようにして、L'の厳密な値は、系の全体的な光学的性能に対してそれほど決定的ではなくなり、それにより製作誤差に対する設計の許容度が改善される。ある種の製造条件下では、
図3、
図8または
図11に示される実施形態が好ましい実施形態である。
【0087】
〈二重ビーム走査のための部分的に反射性の端面〉
図7は、キャップ105を使う本発明のもう一つのシステム実施形態100を示している。ここではファイバーの先端23から発する光は、小型光学キャップ105の遠位端面107上の部分的に反射性のコーティングによって二つの合焦されたビームB
1、B
2に分割される。この実施形態では、ファイバー先端23から発する光は、長さLの中実材料中に広がる。光は遠位端面107に当たり、そこで、部分的に反射するコーティングと相互作用する。該コーティングは光の一部を端面を通して透過させ、光の別の一部をキャップの側面を通るよう反射する。光の反射された部分B
1は焦点スポット・サイズwをもって第一の作業距離Dにある焦点面に到達する。光B
2の透過された部分は第二の焦点スポット・サイズw''をもって第二の作業距離D''にある第二の焦点面に到達する。キャップが鞘の内側に置かれるならば、鞘を通じた透過によって引き起こされる歪みを補正するために、中実長さLおよび遠位端面表面たわみがさらに最適化できることが理解される。
【0088】
上で言及した部分的に反射性のコーティングはいくつかの仕方で形成できる。第一に、金属のような高度に反射性の材料が、ビームによって露光される端面面積の100%未満を金属がカバーするよう、遠位端面上のパターンをなして適用されることができる。パターンは市松模様、環形、同心環または他の任意のパターンを含むことができる。第二に、誘電体コーティングが端面面積の連続的な部分に対して適用されることができる。誘電体材料の属性は、入射光パワーの固定した割合を部分的に反射するよう選択されることができる。あるいはまた、誘電体コーティングは、一つの波長帯域を実質的に反射し、第二の波長帯域を実質的に透過させるよう選択されることができる。この型のコーティングは一般に、「二色性」または「ダイクロイックミラー」コーティングと称される。
【0089】
図7の実施形態は、
図3、
図5および
図6に示されたキャップ設計について上述したものに加えていくつかの利点を提供する。第一に、異なる軸に沿った二つのビームB1、B2の生成は、二つの異なる試料位置の同時解析を許容する。これは、身体内の管腔構造を検査するのを容易にする。一つの例解用の例は、閉塞性病変を含む血管のOCT撮像である。この実施形態を使うと、カテーテルをファイバーの軸のまわりに回転させることによって、前を見ている環形画像(annular image)を、横を見ている放射画像(radial image)と同時に得ることができる。このようにして、病変構造を解析するために病変中にカテーテルを進めていく際に、カテーテルの前方からOCT画像を得ることができる。
【0090】
より一般的に、前方撮像は、管腔壁に穴をあけるのを避けるよう撮像カテーテルの配置を案内するために有用である。二色性コーティングが用いられる場合、追加的な利点は、ある群の波長を使ってのキャップの前方の試料の光学的解析および第二の群の波長を使ってのキャップ側方の試料の光学的解析を実施できることである。このように、そのようなアプローチを使って、管腔構造のマルチモード撮像を実施することが可能となる。キャップの側面を通って向けられる約1310nmの光を使ってOCT撮像が実施でき、その間、キャップの前方を通って向けられる約800nmの光を使って共焦点蛍光撮像が実施できる。
【0091】
〈固定反射表面〉
OCT撮像を含むいくつかの光学的解析およびデータ収集用途において、焦点面に対して既知の位置において既知の強度の反射を生成する一つまたは複数の表面を含めることが望ましい。これは、いくつかの実施形態において、較正および干渉計計算を容易にする。固定した反射は、試料アーム長に合うよう参照アーム長を調整するための較正信号を生成するためにOCT用途において使用できる(ピーターセンらの米国特許出願公開第2009/0122320号参照。その開示はその全体において参照により組み込まれる)。固定した反射はまた、OCT用途において、試料から返される光と干渉する参照場を生成するために使用されることもできる。結果として、これは撮像カテーテル内の共通経路干渉計を形成し、別個の参照アームの必要性を回避する。
【0092】
部分的には、本発明は、較正信号のみ、参照場のみまたは較正信号および参照場の両方を含む固定した反射の生成を可能にする。
図8は、本発明のシステム110実施形態であって、コーティング111が小型光学キャップ113の側面の領域に適用されるものを示している。典型的には、部分的に反射性のまたは後方散乱するコーティング111が光学キャップの側面の一部に適用され、焦点スポットから既知の距離のところに制御された反射を生成する。図のように、コーティング111は、ビームがキャップ113を出る側面の領域に重なる。コーティング111は部分的に透過性であるよう選ばれる。これは、パターン化された金属コーティング、薄膜誘電体積層または小さな後方散乱する粒子を使って達成できる。コーティング111を使うことによって、光の固定した部分が側面のコーティングされた部分から反射されることになる。この反射光が曲がった遠位面115に再び当たり、光ファイバー14中に結合して戻される。
【0093】
ファイバー14中に結合して戻されることが所望される反射光の量は、固定した反射が較正信号または参照場のどちらを生成するために使われるかに依存する。OCT較正信号が所望される場合、固定反射器115からファイバー14に結合し戻される光の強度は、検出システムの飽和を防ぐため、試料から返される光の強度と同程度であるべきである。
【0094】
OCT参照場が所望される場合には、固定反射器115からファイバー14に結合し戻される光の強度は、試料から返される光の強度より数桁高いべきである。これは、試料光に十分なヘテロダイン利得を提供し、それにより散乱する組織における撮像のための十分な検出感度を得る。しかしながら、コーティング111は光学系の焦点面に位置しておらず、キャップの円筒状に曲がった側面上に載っているので、後方反射された光は完璧にファイバー中に結合されはしない。したがって、コーティングの反射率または後方散乱割合は典型的には、これらのファイバー結合損失を補償するのに十分高くなるよう選択される。該損失は当分野で一般に使われている光学設計ツールを用いて計算できる。
【0095】
図9は、二つのコーティングによって二つの固定した反射が提供されるもう一つのシステム実施形態120を示している。具体的には、ある実施形態では、部分的に反射性のまたは後方散乱するコーティングが光学キャップ121の側面の一部および内部面に適用され、焦点スポットから既知の距離において二つの制御された反射を生成する。一方のコーティング123はキャップの側面の一部分に位置され、他方のコーティング124は光ファイバー14を受け入れる空洞の内部表面の一部分に位置される。二つの固定した反射を生成することによって、小型光学キャップ14は一つの較正信号および一つの参照場を提供できる。あるいはまた、二つの較正信号が提供されることもでき、または二つの参照信号が提供されることもできる。
【0096】
〈光学表面の保護のための遠位先端設計〉
いくつかの解析用途のためには、小型端部キャップの光学表面を、カテーテル組み立ての際にまたはデバイスの機能的な使用の際に生じうる損傷から保護することが望ましい。
図10は、光学表面131を、光学素子またはキャップ133内に配置することによって保護するシステム130を示している。ビーム合焦は、ファイバーを受け入れる空洞の端部の内部レンズ化表面によって提供される。ビーム方向は、ファイバーの長手軸に対して該表面を傾けることによって、同じ内部表面によって提供される。内部表面は、金属または誘電体コーティングのような反射性材料でコーティングすることによって反射性にされる。
【0097】
図11は、光学表面142の部分的保護を提供する光学素子141をもつシステム140を示している。これは多くの用途において損傷を防ぐのに十分でありうる。この実施形態では、光学表面142は、キャップの円筒状の壁144を端面を超えて遠位方向に延長することによって形成される凹部内に位置される。この実施形態では、ファイバー14は、光学素子またはキャップ141内に形成される第一の空洞内に存在し、光向き付け表面142はキャップ141の遠位端に形成される第二の空洞内に形成される。
【0098】
〈光コヒーレンス断層撮影の画像化〉
本稿に記載される小型光学キャップのさまざまな実施形態は、内部管腔構造のOCT撮像を実施するのに好適である。柔軟なOCT撮像カテーテルが、該カテーテルの長さをカバーする透明な鞘内に光学キャップおよびファイバーを包み込むことによって構築されることができる。次いで、横向きの螺旋状撮像を実施するために、ファイバーおよびキャップはファイバーの長手軸のまわりに回転させられることができる。要素のこれらのさまざまな組み合わせは、該当する図面のシステム実施形態に示されるデータ収集プローブとして動作できる。キャップが、
図11に示されるような横を見るビームに加えて、前を見るビームを生成するよう構成されるなら、前方に向けられた環状画像も得られてもよい。
【0099】
図12は、遠位先端に小型光学キャップ155を含む柔軟なカテーテルを用いてOCT撮像を実施するためのデータ収集システム150を示す。光学キャップ155が柔軟な光ファイバー153に固定されて、光を試料157に向け、試料アーム光をOCT干渉計に返す、挿入可能な撮像カテーテルを形成する。光源がOCT干渉計と光学的に連通しており、OCT干渉計はマイケルソン干渉計または当分野において知られているそのいかなる変形であってもよい。光源は広帯域超ルミネセンス性ダイオード、狭い瞬時線幅および広い同調範囲をもつ同調可能型レーザー、スーパーコンティニューム光源または低コヒーレンス光放射の任意の源であることができる。OCT干渉計は、試料アームから返される試料光と干渉する参照場を生成する参照アームと光学的に連通している。
【0100】
試料アームは光学カプラおよび柔軟な画像化カテーテルを有する。光学カプラはカテーテルの近位端に接続し、光源からの放射の一部をカテーテル中に向ける。光学カプラは回転および並進動きも提供し、それがカテーテルの遠位端および小型光学キャップに移される。光はファイバー内を案内され、小型光学キャップ155によって合焦され、向きを直され、試料に当たる。図のように、ファイバーおよびキャップの組み合わせは回転できる。試料からの後方散乱されたおよび後方反射された光は小型光学キャップによって収集され、ファイバーを通り、光学カプラを通って、OCT干渉計内までもとの方向に伝送される。試料アーム光と参照アーム光は干渉し、次いで検出され、処理され、データ取得および表示システムによって表示される。
【0101】
図13は、小型光学キャップ173を遠位端に含む柔軟なカテーテルを用いてOCT画像化を実施するためのもう一つのシステム170を示している。光学キャップは
図8または
図9に示される少なくとも一つの固定した反射性表面を有する。光学キャップは柔軟な光ファイバー175に固定されて、光を試料に向け、試料アーム光をOCT干渉計に返す、挿入可能な撮像カテーテルを形成する。さらに、光学キャップ173は、焦点面に対して既知の位置において固定した参照反射を生成する。参照反射は、干渉参照場としてはたらき、試料光と干渉して光コヒーレンス断層撮影像ラインを形成する。この構成は、OCT画像化の分野では「共通経路」干渉計として知られる。共通経路干渉計の実施形態は、試料アームおよび参照アームにおける色分散および偏極誘起分散のような光学収差を、これらが共通モードである(試料場と参照場は実質的に同じ物理的経路を通ったあとに生成される)ので、整合させる利点を提供する。そして、これらの型の収差を整合させることは、画像解像度およびコントラストを改善する。しかしながら、ある種の型の共通モード・ノイズはもはや打ち消せなくなる。全体としては、ひとたび共通経路設計を構築するための実際的な方法が確立されれば、共通経路干渉計の利点はしばしば欠点より重要である。
【0102】
この場合、固定した反射性表面は、試料から返される試料光と干渉する参照場を生成するよう構成される。したがって、光学カプラおよび柔軟なカテーテルは、統合された参照アームおよび試料アームを有する。この構成には、
図12に示される装置に比べ、多くの利点がある。第一に、別個の参照アームがないので、システムのコストおよび複雑さが低下する。伝統的なOCT干渉計では、試料アームと同じ長さの参照アームが必要となる。この実施形態では、参照場は試料に非常に近接して生成され、したがって参照アーム経路長は本来的に試料アーム経路長に合わせられる。
【0103】
〈製造プロセスおよび成形の実施形態〉
本発明の実施形態のいずれも、単一片の材料から一ステップまたは複数ステップおよびその後のステップにおけるコーティングの適用で製造されることができる。あるいはまた、複数片の材料が単一ステップまたは複数ステップで結合されることができる。低い製造コストおよび迅速な製造時間を達成するため、製造プロセスは、射出成形、圧縮成形または微小成形として知られる特別な型の射出成形を含むいかなる型の成形であってもよい。
図14Aは、成形プロセスを用いて本発明のある実施形態を製造するために使われる四つの構成要素を含むモールド200を示している。大きな二部クラムシェルは、キャップの細長い円筒形状を形成するために使うことができる。およそコーティングされたファイバー領域の外側直径からコアおよびクラッディング領域の外側直径まで直径が徐々に変わる第一のコア・ピンが、光ファイバーを受け入れる空洞を形成するために使われることができる。およそキャップの閉じた端面の直径に等しい直径の第二のコア・ピンが、キャップの端部において光学表面を形成するために使われることができる。本質的には、これらのコア・ピンはモールド内に配置され、最終的な成形されるパーツを形成する材料はピンのまわりを流れて固化する。
図14Bは、
図14Aに示されるモールド・ツール200を使って得ることのできる成形されたパーツ205を示している。
【0104】
光学品質表面仕上げは、コア・ピンの端部をダイヤモンド旋盤加工することによって達成できる。このプロセスは、表面の粗さからくる収差を減らし、それにより画像品質を改善する。さらに、コア・ピンを使うことで、キャップの円筒状ボディを形成する二つのクラムシェル・モールド片のそれぞれで光学表面の半分を加工するのではなく、単一の成形片から光学表面が形成されることができる。あるいはまた、第一のコア・ピンは、微小成形プロセスにおいて、光ファイバー自身によって置換されてもよい。当分野において「留置成形(molding in place)」または「上乗せ成形(over-molding)」として知られるこの構成は、モールドの二つのクラムシェル・コンポーネントにおいて形成される半空洞内に光ファイバーを位置させる。
【0105】
図15Aは、上乗せ成形プロセスを用いて本発明のある実施形態を製造するために使われる三つの構成要素を含むモールド210を示している。上乗せ成形プロセスでは、光ファイバーが、光ファイバーを受け入れる空洞を形成したはずのコア・ピンの代わりになる。成形プロセスの間に、溶かされたポリマーがファイバー上に直接流れ、その場で硬化し、ファイバー上に成形されたパーツを直接形成する。このプロセスはファイバーを成形されるパーツ中に組み込むので、その後の組み立てステップの間にファイバーを成形されたパーツの空洞中に接着または別個のまま結合する必要をなくす。
図15Bは、
図15Aに示されるモールド・ツールを使って得ることのできる成形されたパーツ215を示している。ここで、光ファイバーが、上乗せ成形プロセスの間に直接、細長いキャップに結合されている。
【0106】
〈統合された参照反射器および散乱粒子の実施形態〉
図16は、プローブの画像ワイヤ先端のある実施形態を描いている。光ファイバー270はマイクロレンズ組立体326において終端する。マイクロレンズ組立体326は、マイクロレンズ組立体326からある距離のところで光を合焦する。マイクロレンズ組立体326から放出された光はビーム偏向器330によって反射され、ファイバー270の光学軸に実質的に垂直に進む。ファイバー組立体全体は、試料アーム経路長に対応する参照反射を提供するために、少量の散乱材料をドープされた保護透明鞘334によって覆われている。この反射は、非共通経路型の干渉計(より典型的な型の干渉計)においてきわめて有用である。試料光路と参照光路が物理的に異なるが、それでいて要求される干渉信号を生成するために経路長が整合している必要があるからである。
【0107】
好適なドーパントとしてはいくつかの材料がある。特に、二酸化チタン(TiO2)は有利である。TiO2はその優れた光散乱性のため、多くのペイント調合物において使われる。さらに、不活性であり、大量に製造できる。粒子サイズは関心対象の光学波長(公称1.3μm)よりずっと小さくできる。それにより散乱は「レイリー」散乱性となる。こうして、出ていく光と戻る光の波面が顕著に乱されず、それにより、十分低いドーパント濃度で潜在的な画像劣化を最小化する。
【0108】
さらに、OCT画像化は驚異的な感度および大きなダイナミックレンジをもつ(典型的には100dBの感度および>60dBのダイナミックレンジが実際的な器具で達成できる)ので、材料中のTiO2の最適なドーピング・レベルを計算し、次いで達成するには注意を払う必要がある。
【0109】
材料中のドーピング濃度に到達するために基本的な散乱理論を使うことができる。冠動脈における典型的なOCT画像では、計器の最小ノイズは約-100dBである。すなわち、関心対象に加えられる光出力パワーの約100億分の1であり、典型的な画像は約40dBの有用なダイナミックレンジをもつ。画像処理電子回路およびソフトウェアはこの範囲について最適化され、よってプローブ反射器要素は、約-60dB(-100+40)である画像強度の最大検出可能ピーク近くとなるよう最適化されるべきである。これは、プローブ反射器は、画像中で最も明るいオブジェクトであるべきであることを意味する。
【0110】
本稿で記述されるように、プローブ反射器要素はこれに限られないが、膜、フィルム、キャップ、カバーまたは他の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、反射器要素は柔軟または非柔軟である。反射器要素はさまざまな幾何形状の形にされることができる。反射器の諸部分は曲がっていても、平面状であっても、あるいは実質的に平面状であってもよい。
【0111】
粒子についての基本的な散乱理論および古典的なレーダー断面積理論は、単一のTiO2粒子から反射される光の割合が式
LR=(σb/Vi)lcΔΩ
によって与えられると推定する。ここで、LRは戻り光の割合、σbは散乱断面積(標準的なMIE理論から計算される)、Viは粒子の体積、lcは相互作用長さ(レーダー理論から)、この場合はOCT光のコヒーレンス長さ、ΔΩはマイクロレンズの受光角(立体角)である。よって、粒子サイズが約45nmで、散乱断面積が約4.26×10-7μm2で、コヒーレンス長約15μmの光が立体角~0.004をもつマイクロレンズを通じて粒子を照射する場合、反射光の割合LRは約0.006すなわち-32dBとなる。
【0112】
したがって、プローブ参照反射器要素の材料から返される光全部は、体積分率(ドーピング濃度)に単一粒子の光の割合をかけたものに等しくなるはずである。これは約-60dB(上記より)に等しいはずなので、-30dB(または0.001)の削減が要求される。したがって、体積分率は約0.001または約0.1%のドーピング体積濃度であるべきである。これは、
図17に示されるように、TiO
2粒子による、強いが、圧倒的ではない参照反射につながるはずである。
【0113】
こうして本発明のある種の実施形態を記載してきたが、当業者にはさまざまな偏向、修正および改善が明白であろう。そのような変形、修正および改善は本発明の精神および範囲内であることが意図されている。したがって、上記の記述は、単に例であって、限定することは意図されていない。
【0114】
いくつかの付記を残しておく。
[付記1]
長手軸をもつ円筒型外側表面を有する細長い一体型のキャップを有する光ビーム向き付け要素であって:
前記細長い一体型のキャップは、環形開口を画定する近位の端面およびビーム向き付け表面をもつ遠位の端面を有し、前記細長い一体型のキャップは中実なセクションおよび該中実なセクションの境界まで延びる体積を画定する第一の空洞セクションを画定し、前記体積はファイバー端面をもつ光ファイバーを囲み、該光ファイバーを受け入れるような大きさであり、前記ビーム向き付け表面は、前記ファイバー端面に対して、前記ファイバー端面から受け取られた光が前記円筒型外側表面から作業距離Dに向けられて直径wの焦点スポットを形成するような角度および位置にされる、
光ビーム向き付け要素。
[付記2]
前記細長い一体型のキャップは、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテンおよびガラスからなる群から選択される材料から形成される、付記1の光ビーム向き付け要素。
[付記3]
Dは約0μmから約30mmの範囲である、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記4]
wは約3μmから約100μmの範囲である、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記5]
静止鞘および前記体積内に固定的に配置された光ファイバーをさらに有しており、前記光ファイバーと前記細長い一体型のキャップは前記静止鞘内で回転するよう構成される、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記6]
前記ビーム向き付け表面の少なくとも一部が反射性コーティングでコーティングされている、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記7]
前記円筒型外側表面内に配置され、前記境界から形成されたレンズ化表面を有する、付記6記載の光ビーム向き付け要素。
[付記8]
前記ビーム向き付け表面は実質的に平坦である、付記7記載の光ビーム向き付け要素。
[付記9]
前記反射性コーティングは部分的に透過性のコーティングである、付記6記載の光ビーム向き付け要素。
[付記10]
前記部分的に透過性のコーティングは、前記ファイバー端面からの光を、前記円筒型外側表面から前記作業距離Dに向けられて直径wをもつ前記焦点スポットを形成する第一のビームと、前記円筒型外側表面からある作業距離D'に向けられて直径w'をもつ焦点スポットを形成する第二のビームとに分割する、付記9記載の光ビーム向き付け要素。
[付記11]
前記ファイバー端面から入射するビームは、該入射ビームの強度または該入射ビームの波長に基づいて分割される、付記10記載の光ビーム向き付け要素。
[付記12]
前記円筒型外側表面の遠位セクション上に部分的に反射性のコーティングが配置され、該配置は、前記ビーム形成表面から向き付けされたビームが前記部分的に反射性のコーティングを通過し、前記部分的に反射性のコーティングから反射して返されるような位置になされる、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記13]
前記体積内に前記境界の一部に沿って部分的に反射性のコーティングが配置される、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記14]
前記ビーム向き付け表面は前記体積または前記中実セクション内に位置される、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記15]
前記ビーム向き付け表面が、第二の空洞セクションを囲む前記円筒型外側表面の一部によって部分的に遮蔽されるよう、第二の空洞セクションが前記中実セクション内で画定される、付記1記載の光ビーム向き付け要素。
[付記16]
前記ビーム向き付け表面は、光が前記ビーム向き付け表面から前記円筒型外側表面および前記静止鞘を通って伝搬することによって誘起される円筒型光歪みを実質的に除去するよう整形される、付記5記載の光ビーム向き付け要素。
[付記17]
前記ビーム向き付け表面は、双円錐非球面、非球面、双円錐ゼルニケ、フレネルおよび非一様有理Bスプラインからなる群から選択される、付記5記載の光ビーム向き付け要素。
[付記18]
自然位で試験試料から光学的データを収集する方法であって:
第一の直径にある光ビームを伝達するよう適応された、コアを含む光ファイバーを提供する段階と;
円筒型外側表面および環形開口を有する細長い一体型キャップを提供する段階であって、前記キャップは、前記光ファイバーのある長さを、前記キャップ内に画定される空洞内に受け入れ、取り囲むことによって前記光ファイバーに固定的かつ光学的に結合される、段階と;
前記光ビームをビーム向き付け表面に送出し、第一の光ビームが前記円筒型外側表面から作業距離Dに向けられて直径wをもつ焦点スポットを形成するようにする段階とを含む、
方法。
[付記19]
第二の光ビームが前記円筒型外側表面から作業距離D'に向けられて直径w'をもつ焦点スポットを形成するよう前記光ビームを分割する段階をさらに含む、付記18記載の方法。
[付記20]
前記第一の光ビームを使って光コヒーレンス断層撮影データを収集する段階をさらに含む、付記18記載の方法。
[付記21]
前記一体型キャップ内に配置された反射素子に応答して参照信号の一つを生成する段階をさらに含み、前記反射素子は光コヒーレンス断層撮影システムにおいて干渉計のアームのはたらきをする、付記18記載の方法。
[付記22]
前記一体型キャップ内に配置された反射素子に応答して較正信号の一つを生成する段階をさらに含み、前記較正信号は光コヒーレンス断層撮影システムにおいて試料アーム経路長に一致するよう参照アーム経路長を調整するために使われる、付記18記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内データを収集する装置の動作方法であって、
ビームを伝達するよう適応された、コア及びファイバー端面を含むファイバーを提供する段階と、
円筒型外側表面と前記ファイバーに結合される環形開口とを備えたビーム向き付け素子を提供する段階と、
発散光を前記ファイバー端面からビーム向き付け表面へ送出し、第1のビームが前記円筒型外側表面から作業距離Dに向けられて第1の焦点スポットを形成するようにする段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記環形開口は、前記ファイバーの長さと前記ファイバー端面を、前記ビーム向き付け素子内に画定される空洞内に受け入れ、取り囲むことによって、前記ファイバーに固定的かつ光学的に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2のビームが前記円筒型外側表面から作業距離D'に向けられて第2の焦点スポットを形成するように前記ビームを分割する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の焦点スポットが直径w'を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のビームを使って前記血管内データを収集する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記血管内データが光コヒーレンス断層撮影データを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
収集された前記血管内データの出力を提供する段階をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ビーム向き付け素子内に配置された反射素子に応答して少なくとも1つの参照信号を生成する段階をさらに含み、前記反射素子は、血管内撮影システムにおいて干渉計のアームのはたらきをする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ビーム向き付け素子内に配置された反射素子に応答して少なくとも1つの較正信号を生成する段階を含み、前記少なくとも1つの較正信号は血管内撮影システムにおいて試料アーム光路長に一致するよう参照アーム光路長を調整するために使われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ビーム向き付け表面の少なくとも一部が反射性コーティングでコーティングされている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記反射性コーティングは部分的に透過性のコーティングである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記部分的に透過性のコーティングによって、前記発散光を、前記第1のビームと第2のビームとに分割する段階をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビーム向き付け素子が、単一片で成形された細長い光学キャップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の焦点スポットが直径wを有する、請求項1に記載の方法。