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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002947
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】穿孔機
(51)【国際特許分類】
   B23B 41/00 20060101AFI20221228BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20221228BHJP
   B23B 47/34 20060101ALI20221228BHJP
   B26F 1/16 20060101ALI20221228BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B23B41/00 E
B23Q11/00 E
B23Q11/00 K
B23B47/34 Z
B23Q11/00 A
B26F1/16
B25F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103810
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】391000841
【氏名又は名称】大肯精密株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝裕
【テーマコード(参考)】
3C011
3C036
3C060
3C064
【Fターム(参考)】
3C011AA04
3C036AA24
3C036HH08
3C060AA04
3C060AB02
3C060BA05
3C060BE08
3C060BG01
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC03
3C064BA11
3C064BB21
3C064BB82
3C064CB11
3C064CB18
3C064CB74
3C064CB82
(57)【要約】
【課題】配管の下面を穿孔したときに、穿孔機の中に切粉が入り込んでしまうことを防止することが可能な穿孔機を提供する。
【解決手段】本発明における穿孔機1を用いて配管Pの下面を穿孔したときに、カッター17の刃が食い込んで切粉Cが発生する。そして、この発生した切粉Cは自重により落下し、移動振止部10に設けられているダストシール14の収納凹部14aに溜まることとなる。これにより、切粉Cが穿孔機1の中に侵入してしまうことを防止することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の下面を穿孔可能な穿孔機であって、
前記配管を穿孔するカッターと、
前記カッターが前記配管の下面を穿孔するときに生じる切粉が収納されるダストシールと、
を備えたことを特徴とする穿孔機。
【請求項2】
前記カッターが取り付けられるスピンドルと、
前記スピンドルの芯ブレを防止する移動振止部と、
を備え、
前記ダストシールは、
移動振止部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔機。
【請求項3】
前記ダストシールは、
前記切粉が収納される収納凹部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の穿孔機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を穿孔する穿孔機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管を穿孔するときには切粉が発生する。この切粉は、配管を穿孔するときに悪影響を及ぼす虞がある。これに対して、切粉が発生しても効率的に穿孔を行うことが可能な穿孔機が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような穿孔機は、切刃側に開口する深穴をホルソーの内部に形成するとともに、この深穴に連通する溝を形成し、深穴の開口側に螺旋状の溝が刻設されている。これにより、切粉が深穴の中に収納されることから、切粉を原因とする悪影響が起こらないので、配管の穿孔を効率的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2890190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている穿孔機をはじめとする従来の穿孔機は、地面や地中に支持された配管の分岐工事に用いられることが一般的である。ここで、特許文献1に開示されている穿孔機を用いて配管の上面を穿孔すると、切粉が深穴に収納されることとなる。一方で、配管の下面を穿孔する場合には、切粉が自重で落下して穿孔機の中に入り込んでしまう虞があり、穿孔機の中に切粉が入り込んでしまうと、穿孔機の損傷に繋がってしまうという問題点があった。また、粉状の微細な切粉が穿孔機の中に入り込んでしまうと、切粉を取り出すことが困難であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、これらのような問題点に鑑み、配管の下面を穿孔したときに、穿孔機の中に切粉が入り込んでしまうことを防止することが可能な穿孔機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明に係る穿孔機は、配管の下面を穿孔可能な穿孔機であって、前記配管を穿孔するカッターと、前記カッターが前記配管の下面を穿孔するときに生じる切粉が収納されるダストシールと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る穿孔機は、前記カッターが取り付けられるスピンドルと、前記スピンドルの芯ブレを防止する移動振止部と、を備え、前記ダストシールは、移動振止部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る穿孔機において、前記ダストシールは、前記切粉が収納される収納凹部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配管の下面を穿孔したときに、穿孔機の中に切粉が入り込んでしまうことを防止することが可能な穿孔機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】穿孔機の外観図である。
図2】穿孔機の部分断面図である。
図3】穿孔機の穿孔準備の手順を示す図である。
図4】穿孔機の穿孔手順を示す図である。
図5】ダストシールに溜まった切粉の除去方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
(穿孔機1の外観図)
まず、図1を用いて、穿孔機1の外観図について説明を行う。
【0014】
穿孔機1は、上下方向に長さを有する円柱形状のボディ2と、後述するカッター17が取り付けられるスピンドル3と、を備えている。ここで、ボディ2は、トップボディ2aと、トップボディ2aの下方に設けられ、後述する移動振止部10が収納されるアンダーボディ2bとにより構成されている。また、スピンドル3は、ヘッド3aと、六角部3bと、先端部3cと、先端溝部3dとを備えている。
【0015】
また、穿孔機1は、解除方向と、穿孔方向とに回動可能な送りハンドル4と、圧力をかけることにより、穿孔機1の気密性能の確認が行われるパージ口カプラ5と、後述する振止リングストッパ15の位置をロック位置と、フリー位置とで切り替えるノブ7とを備えている。
【0016】
(穿孔機1の断面図)
次に、図2を用いて、穿孔機1の部分断面図について説明を行う。なお、図2(A)は、移動振止部10の部分断面図であり、図2(B)は、移動振止部10の拡大断面図である。
【0017】
図2(A)に示す通り、穿孔機1には、穿孔機1の電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ8と、電源プラグ9とが設けられており、アンダーボディ2bの内部には移動振止部10が設けられている。ここで、移動振止部10は、穿孔作業中におけるスピンドル3の芯ブレを防止する移動振止リング11と、移動振止リング11の内径に組み込まれたボールプランジャ12と、スピンドル3を引き上げたときに、移動振止部10と、アンダーボディ2bの内周面2cとが衝突したときの衝撃を弾性により緩和するOリング13と、弾性体(例えば、ウレタンゴム)からなるダストシール14と、移動振止リング11が自重で落下することを防止する振止リングストッパ15と、を備えている。
【0018】
ここで、図2(B)に示す通り、ダストシール14は、後述する配管Pを穿孔したときに生じる切粉Cが収納される収納凹部14aと、アンダーボディ2bの内周面2cと当接する凸部14bとを備えている。
【0019】
また、図2(B)に示す通り、移動振止部10は、穿孔機1の内部のガスを穿孔機1の外部に排出し、穿孔機1の外部の空気を穿孔機1の内部に取り込む通路である通気孔20と、後述する切粉Cが通気孔20から穿孔機1の内部に侵入することを防止するためのメッシュ部21とを備えている。
【0020】
(穿孔機1の穿孔準備の手順)
次に、図3を用いて、穿孔機1の穿孔準備の手順について説明を行う。
【0021】
まず、図3(A)に示す通り、カッター17にセンタードリル18を差し込むことにより取り付け、センタードリル18が取り付けられたカッター17をスピンドル3の先端部3cに取り付ける。
【0022】
次に、図3(B)に示す通り、ノブ7の位置を確認することで振止リングストッパ15がフリー位置であることを確認してから、穿孔機1に内装されているクラッチ(図示せず)を解除する。そして、スピンドル3を矢印Aの方向に最上位まで引き上げて、カッター17をアンダーボディ2bの内周面2c内に収納する。
【0023】
次に、図3(C)に示す通り、スピンドルストッパ16を挿入して、スピンドル3と移動振止リング11とが最上位まで確実に引き上がっているかを確認してから、後述する配管Pに穿孔機1を取り付ける。
【0024】
次に、図3(D)に示す通り、送りハンドル4を解除方向に維持したままスピンドル3の六角部3bを面合わせしながら矢印Bの方向に押し込むと同時に、スピンドル3の先端溝部3dとボールプランジャ12とを嵌合することにより、移動振止リング11をアンダーボディ2bの最前面まで押し出し、ノブ7を回動することで振止リングストッパ15をフリー位置からロック位置にセットする。このとき、パージ口カプラ5から穿孔機1の気密確認を行うとよい。
【0025】
次に、図3(E)に示す通り送りハンドル4を穿孔方向に回動し、スピンドル3が連動することを確認する。そして、送りハンドル4を穿孔方向に回動して、センタードリル18を後述する配管Pの管面まで下降させる。
【0026】
(穿孔機1の穿孔手順)
次に、図4を用いて、穿孔機1の穿孔手順について説明を行う。
【0027】
まず、図4(A)に示す通り、図示しないコンセントに電源プラグ9を挿入した状態で、電源スイッチ8を操作してONにする。
【0028】
次に、図4(B)に示す通り、配管Pの下面にセンタードリル18を当てて、送りハンドル4を穿孔方向に回動することにより穿孔する。このとき、パージ口カプラ5から配管Pの管内の圧力を確認するパージ作業を行うとよい。
【0029】
次に、図4(C)に示す通り、穿孔機1を用いた穿孔が完了したら電源スイッチ8を操作してOFFにし、電源プラグ9を外して穿孔作業が完了する。
【0030】
(ダストシール14に溜まった切粉Cの除去方法)
次に、図5を用いて、ダストシール14に溜まった切粉Cの除去方法について説明を行う。
【0031】
図5(A)は、本実施形態における穿孔機1を用いて配管Pの下面を穿孔した後の移動振止部10の断面拡大図である。本実施形態における穿孔機1を用いて配管Pの下面を穿孔すると、切粉Cが自重により落下するが、切粉Cがダストシール14の収納凹部14aに溜まるので、穿孔機1の内部に切粉Cが侵入することを防止することができる。また、ダストシール14の凸部14bがアンダーボディ2bの内周面2cと当接しているので、穿孔機1の内部に切粉Cが侵入することを防止することができる。これらによって、穿孔機1の中に切粉Cが侵入することで発生し得る損傷を未然に防止することができる。
【0032】
そして、図5(B)に示す通り、マグネットMを用いてダストシール14の収納凹部14aに溜まった切粉Cの除去清掃を行う。
【0033】
なお、穿孔機1を用いて配管Pを穿孔する場合には、ダストシール14の収納凹部14aに収納可能な容量を超える切粉Cが発生することが考えられるが、ダストシール14の収納凹部14aに収納可能な容量を超えた切粉Cは、ダストシール14の近傍に溜まることとなる。このため、マグネットMを用いれば、ダストシール14の収納凹部14aに収納された切粉Cと、ダストシール14の収納凹部14aに収納可能な容量を超えた切粉Cをまとめて清掃することができる。
【0034】
(その他の実施形態)
以下において、その他の実施形態について説明を行う。
【0035】
上述した実施形態において、ダストシール14の収納凹部14aの溝の形状はU状となっているが、これに限定されることはない。例えば、ダストシール14の収納凹部14aの溝の形状はV状であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0036】
上述した実施形態において、ダストシール14の収納凹部14aに溜まった切粉Cは、マグネットMを用いて除去清掃を行うこととしたが、これに限定されることはない。例えば、ウエスを用いて除去清掃を行うこととしてもよいし、他のものを用いて除去清掃を行うこととしてもよい。
【0037】
特に、穿孔する配管Pが金属製である場合には、切粉Cも金属であるので上述した通りマグネットMを用いて切粉Cの除去清掃をするとよい。一方で、穿孔する配管Pが樹脂製である場合には、ウエス等を用いて切粉Cの除去清掃を行うとよい。
【0038】
このように、本発明における穿孔機1を用いて配管Pの下面を穿孔したときに、カッター17の刃が食い込んで切粉Cが発生する。そして、この発生した切粉Cは自重により落下し、移動振止部10に設けられているダストシール14の収納凹部14aに溜まることとなる。これにより、切粉Cが穿孔機1の中に侵入してしまうことを防止することができる。
【0039】
(第1発明)
第1発明は、配管(例えば、配管P)の下面を穿孔可能な穿孔機であって、前記配管を穿孔するカッター(例えば、カッター17)と、前記カッターが前記配管の下面を穿孔するときに生じる切粉(例えば、切粉C)が収納されるダストシール(例えば、ダストシール14)と、を備えたことを特徴とする穿孔機である。
【0040】
(第2発明)
第2発明は、前記カッターが取り付けられるスピンドル(例えば、スピンドル3)と、前記スピンドルの芯ブレを防止する移動振止部(例えば、移動振止部10)と、を備え、前記ダストシールは、移動振止部に設けられていることを特徴とする第1発明に記載の穿孔機である。
【0041】
(第3発明)
第3発明において、前記ダストシールは、前記切粉が収納される収納凹部(例えば、収納凹部14a)を備えていることを特徴とする第1発明または第2発明に記載の穿孔機である。
【0042】
なお、上記実施形態や変形例で示した事項は、あくまで一例に過ぎず、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 穿孔機
2 ボディ
2a トップボディ
2b アンダーボディ
2c 内周面
3 スピンドル
3a ヘッド
3b 六角部
3c 先端部
3d 先端溝部
4 送りハンドル
5 パージ口カプラ
7 ノブ
8 電源スイッチ
9 電源プラグ
10 移動振止部
11 移動振止リング
12 ボールプランジャ
13 Oリング
14 ダストシール
14a 収納凹部
14b 凸部
15 振止リングストッパ
16 スピンドルストッパ
17 カッター
18 センタードリル
20 通気孔
21 メッシュ部
C 切粉
M マグネット
P 配管
図1
図2
図3
図4
図5