(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002948
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】穿孔機
(51)【国際特許分類】
B23B 49/02 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
B23B49/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103811
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】391000841
【氏名又は名称】大肯精密株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝裕
【テーマコード(参考)】
3C036
【Fターム(参考)】
3C036BB12
(57)【要約】
【課題】配管の下面を穿孔するときに、スピンドルの芯ブレを防止することが可能な穿孔機を提供する。
【解決手段】本発明における穿孔機1は、ノブ7を回動すると、圧縮スプリング25によりプランジャ先端23aがアンダーボディ2bの内周面2cよりも内側方向に突出し、プランジャ先端23aが移動振止部10と当接する。これにより、移動振止部10の移動が規制されることから、配管Pの下面を穿孔するときに、移動振止部10が自重により落下することが防止される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の下面を穿孔可能な穿孔機であって、
カッターが取り付けられるスピンドルと、
前記スピンドルの芯ブレを防止する移動振止部と、
前記配管の下面を穿孔するときに前記移動振止部が自重で落下することを防止する移動振止ストッパと、
を備えたことを特徴とする穿孔機。
【請求項2】
前記移動振止ストッパは、
前記移動振止部の移動が規制されるロック位置と、前記移動振止部の移動が規制されないフリー位置とで変位可能であり、
前記移動振止ストッパの位置を前記ロック位置と、前記フリー位置とで切り替える操作部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の穿孔機。
【請求項3】
前記移動振止ストッパは、
前記ロック位置のときに前記移動振止部と当接するプランジャと、
前記操作部が操作されることにより、前記プランジャを付勢する付勢部材と、
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の穿孔機。
【請求項4】
前記移動振止ストッパは、
前記移動振止部を押圧するロッドと、
前記ロッドに取り付けられたナットと、
前記ナットが締め込まれる雄螺子と、
を備えており、
前記ロッドを押し込んで前記雄螺子に前記ナットを締め込むことで前記移動振止部が自重で落下することを防止することを特徴とする請求項2に記載の穿孔機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を穿孔する穿孔機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに独立して駆動される回転駆動力をそれぞれ発生させる複数のモータと、この複数のモータそれぞれにより発生した回転駆動力を同じ軸上で出力する穿孔機が知られている(例えば、特許文献1)。このような穿孔機は、軸を中心とする所定のピッチの第1のネジ部が形成されており、モータから出力された回転駆動力に基づいて軸回りに回転する第1部材と、第1のネジ部と螺合する第2のネジ部が形成され、他のモータから出力された回転駆動力に基づいて軸回りに回転する第2部材と、管と切削工具との位置関係に応じてモータの制御を行うことで、を備えており、これらの相対的な回転運動と螺子のピッチとに基づいて、切削工具が1回転するごとに送りピッチが決定される。これにより、装置の大型化を抑制しつつ、切削工具の回転数及び送り速度をそれぞれ制御することができる。
【0003】
また、特許文献1に開示されている穿孔機には、スピンドルの外周に移動振止部が設けられている。この移動振止部が設けられていることにより、スピンドルの芯ブレを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている穿孔機をはじめとする従来の穿孔機は、地面や地中に支持された配管の分岐工事に用いられることが一般的である。ここで、特許文献1に開示されている穿孔機を用いて配管の下面を穿孔する場合には、移動振止部が自重で落下してしまい、スピンドルの芯ブレを防止することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、係る問題点に鑑み、配管の下面を穿孔するときにスピンドルの芯ブレを防止することが可能な穿孔機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明に係る穿孔機は、配管の下面を穿孔可能な穿孔機であって、カッターが取り付けられるスピンドルと、前記スピンドルの芯ブレを防止する移動振止部と、前記配管の下面を穿孔するときに前記移動振止部が自重で落下することを防止する移動振止ストッパと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る穿孔機において、前記移動振止ストッパは、前記移動振止部の移動が規制されるロック位置と、前記移動振止部の移動が規制されないフリー位置とで変位可能であり、前記移動振止ストッパの位置を前記ロック位置と、前記フリー位置とで切り替える操作部をさらに備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る穿孔機において、前記移動振止ストッパは、前記ロック位置のときに前記移動振止部と当接するプランジャと、前記操作部が操作されることにより、前記プランジャを付勢する付勢部材と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る穿孔機において、前記移動振止ストッパは、前記移動振止部を押圧するロッドと、前記ロッドに取り付けられたナットと、前記ナットが締め込まれる雄螺子と、を備えており、前記ロッドを押し込んで前記雄螺子に前記ナットを締め込むことで前記移動振止部が自重で落下することを防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配管の下面を穿孔するときに、スピンドルの芯ブレを防止することが可能な穿孔機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態における穿孔機の外観図である。
【
図2】第1実施形態における穿孔機の部分断面図である。
【
図3】第1実施形態における移動振止ストッパの外観斜視図である。
【
図4】第1実施形態における移動振止ストッパの断面図である。
【
図5】第1実施形態における穿孔機の穿孔準備の手順を示す図である。
【
図6】第1実施形態における穿孔機の穿孔手順を示す図である。
【
図7】第1実施形態におけるカッターの取り外し手順を示す図である。
【
図8】第2実施形態における大型穿孔機の外観図である。
【
図9】第2実施形態における送りクラッチのセット状態と解除状態を示す図である。
【
図10】第2実施形態における振止ストッパの開放状態と閉鎖状態を示す図である。
【
図11】第2実施形態における大型穿孔機の穿孔準備の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
(穿孔機1の外観図)
まず、
図1を用いて、穿孔機1の外観図について説明を行う。
【0015】
穿孔機1は、上下方向に長さを有する円柱形状のボディ2と、後述するカッター17が取り付けられるスピンドル3と、を備えている。ここで、ボディ2は、トップボディ2aと、トップボディ2aの下方に設けられた中空状のアンダーボディ2bとにより構成されている。また、スピンドル3は、ヘッド3aと、六角部3bと、先端部3cと、先端溝部3dとを備えている。
【0016】
また、穿孔機1は、解除方向と、穿孔方向とに回動可能な送りハンドル4と、圧力をかけることにより、穿孔機1の気密性能の確認が行われるパージ口カプラ5と、後述する移動振止ストッパ15の移動が規制されるロック位置と、後述する移動振止ストッパ15の移動が規制されないフリー位置とで切り替えるノブ7とを備えている。
【0017】
(穿孔機1の断面図)
次に、
図2を用いて、穿孔機1の部分断面図について説明を行う。
【0018】
図2(A)に示す通り、穿孔機1には、穿孔機1の電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ8と、電源プラグ9とが設けられており、アンダーボディ2bの内部であって、スピンドル3の外周には移動振止部10が設けられている。ここで、移動振止部10の外周面は、アンダーボディ2bの内周面2cに当接している。
【0019】
図2(B)に示す通り、移動振止部10は、穿孔作業中におけるスピンドル3の芯ブレを防止する移動振止リング11と、移動振止リング11の内径に組み込まれたボールプランジャ12と、スピンドル3を引き上げたときに、移動振止部10と、アンダーボディ2bの内周面2cとが衝突したときの衝撃を弾性により緩和するOリング13と、弾性体(例えば、ウレタンゴム)からなるダストシール14と、を備えている。また、穿孔機1は、移動振止部10が自重で落下することを防止する移動振止ストッパ15を備えている。なお、ダストシール14は、後述する配管Pを穿孔したときに生じる切粉が収納される収納凹部14aと、アンダーボディ2bの内周面2cと当接する凸部14bとを備えている。
【0020】
また、
図2(B)に示す通り、移動振止部10は、穿孔機1の内部のガスを穿孔機1の外部に排出し、穿孔機1の外部の空気を穿孔機1の内部に取り込む通路である通気孔29と、後述する切粉が通気孔29から穿孔機1の内部に侵入することを防止するためのメッシュ部30とを備えている。
【0021】
(移動振止ストッパ15)
次に、
図3~
図4を用いて、移動振止ストッパ15について説明を行う。なお、
図3は、移動振止ストッパ15の外観斜視図であり、
図4は、移動振止ストッパ15の断面図である。
【0022】
図3に示す通り、移動振止ストッパ15は、ノブ7と接続されておりケーシング20を備えている。ケーシング20には、第1表示部21と、第2表示部22とが設けられている。第1表示部21には、ロック位置を示す文字が表示されており、第2表示部22には、フリー位置を示す文字が表示されている。
【0023】
また、ノブ7には、位置決め線7aが刻設されており、ノブ7が回動されて位置決め線7aがフリー方向(矢印αの方向)に向いているときには、移動振止ストッパ15がフリー位置にある。一方で、ノブ7が回動されて位置決め線7aがロック方向(矢印βの方向)に向いているときには、移動振止ストッパ15がロック位置にある。
【0024】
ここで、移動振止ストッパ15には、螺子穴Hが穿設されている。そして、この螺子穴Hに螺子(図示せず)を挿入して螺合することにより、移動振止ストッパ15がアンダーボディ2bに取り付けられる。
【0025】
図4に示す通り、移動振止ストッパ15は、ノブ7の位置決め線7aがロック方向に向いているときに、移動振止部10と当接するプランジャ23と、プランジャ23を保持するプランジャホルダ24と、プランジャ23を圧縮する圧縮スプリング25と、流体(例えば、ガス)の進入を遮断する気密部材26と、を備えている。また、プランジャ23の外周には平行ピン27が取り付けられており、ケーシング20には、平行ピン27と当接する当接壁28が備えられている。
【0026】
図4(A)は、移動振止ストッパ15がフリー位置にあるときの断面図である。このとき、圧縮スプリング25が圧縮された状態であって、プランジャ先端23aがアンダーボディ2bの内周面2cよりも外側に位置している。このとき、平行ピン27は、当接壁28に当接していない。これにより、プランジャ先端23aは、移動振止部10と当接していないので、移動振止部10の移動が許容されている。
【0027】
図4(B)は、移動振止ストッパ15がロック位置にあるときの断面図である。具体的には、
図4(A)の状態でノブ7が回動されることで、位置決め線7aがフリー方向からロック方向に変位すると、圧縮スプリング25が圧縮された状態から圧縮されていない状態へと変位し、平行ピン27が当接壁28に当接するまで移動して、プランジャ先端23aがアンダーボディ2bの内周面2cよりも内側方向に突出する。これにより、プランジャ先端23aが移動振止部10と当接し、移動振止部10の移動が規制されるので、後述する配管Pの下面を穿孔するときに、移動振止部10が自重で落下することが防止される。
【0028】
(穿孔機1の穿孔準備の手順)
次に、
図5を用いて、穿孔機1の穿孔準備の手順について説明を行う。
【0029】
まず、
図5(A)に示す通り、カッター17にセンタードリル18を差し込むことにより取り付け、センタードリル18が取り付けられたカッター17をスピンドル3の先端部3cに取り付ける。
【0030】
次に、
図5(B)に示す通り、ノブ7の位置を確認することで移動振止ストッパ15がフリー位置であることを確認してから、穿孔機1に内装されているクラッチ(図示せず)を解除する。そして、スピンドル3を矢印Aの方向に最上位まで引き上げて、カッター17をアンダーボディ2bの内周面2c内に収納する。
【0031】
次に、
図5(C)に示す通り、スピンドルストッパ16を挿入して、スピンドル3と移動振止リング11とが最上位まで確実に引き上がっているかを確認してから、後述する配管Pに穿孔機1を取り付ける。
【0032】
次に、
図5(D)に示す通り、送りハンドル4を解除方向に維持したままスピンドル3の六角部3bを面合わせしながら矢印Bの方向に押し込むと同時に、スピンドル3の先端溝部3dとボールプランジャ12とを嵌合することにより、移動振止リング11をアンダーボディ2bの最前面まで押し出し、ノブ7を回動することで移動振止ストッパ15をフリー位置からロック位置にセットする。このとき、パージ口カプラ5から穿孔機1の気密確認を行うとよい。
【0033】
ここで、移動振止リング11をアンダーボディ2bの最前面まで押し出すのは、スピンドル3の芯ブレ防止の観点から移動振止部10が穿孔対象に近い位置にあった方がよいので、穿孔時に移動振止部10を当該位置で維持するためである。
【0034】
次に、
図5(E)に示す通り、送りハンドル4を穿孔方向に回動し、スピンドル3が連動することを確認する。そして、送りハンドル4を穿孔方向に回動して、センタードリル18を後述する配管Pの管面まで下降させる。
【0035】
(穿孔機1の穿孔手順)
次に、
図6を用いて、穿孔機1の穿孔手順について説明を行う。
【0036】
まず、
図6(A)に示す通り、図示しないコンセントに電源プラグ9を挿入した状態で、電源スイッチ8を操作してONにする。
【0037】
次に、
図6(B)に示す通り、配管Pの下面にセンタードリル18を当てて、送りハンドル4を穿孔方向に回動することにより穿孔する。このとき、移動振止ストッパ15はロック位置にあるので、移動振止部10が自重で落下することが防止される。
【0038】
次に、
図6(C)に示す通り、穿孔機1を用いた穿孔が完了したら電源スイッチ8を操作してOFFにし、電源プラグ9を外して穿孔作業が完了する。
【0039】
(カッター17の取り外し手順)
次に、
図7を用いて、カッター17の取り外し手順について説明を行う。
【0040】
まず、
図7(A)に示す通り、ノブ7を回動することにより、移動振止ストッパ15をロック位置からフリー位置にする。これにより、先端部3cの方向への移動振止部10の移動規制が解除される。そして、送りハンドル4を解除方向に回動してスピンドル3を引き上げ、閉止確認カバー19をスピンドル3に嵌合する。このとき、パージ口カプラ5から穿孔機1の間のガスをパージするパージ作業を行うとよい。
【0041】
次に、
図7(B)に示す通り、所定の治具を用いて配管から穿孔機1を取り外す。そして、所定の治具を用いてカッター17、センタードリル18、及び配管Pの切片を取り外す。この後、穿孔機1や、移動振止リング11などの切粉の除去清掃を行うとよい。
【0042】
(第2実施形態)
図8~
図11を用いて、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と同じ点の説明を省略する場合がある。
【0043】
(第2実施形態における大型穿孔機40の外観図)
まず、
図8を用いて、第2実施形態における大型穿孔機40の外観図について説明を行う。
【0044】
大型穿孔機40は、第1実施形態における穿孔機1と比較して大型のサイズとなっているが、配管Pを穿孔する点では共通する。また、大型穿孔機40は、セット状態と、解除状態とで変位する送りクラッチ31と、スピンドル3の自動送り、自動戻しを行うときに操作される回転クラッチツマミ32と、開放状態と、閉鎖状態とで変位する振止ストッパ33とを備えている。なお、第2実施形態における大型穿孔機40は、第1実施形態におけるスピンドル3の六角部3bが八角部3eとなっている点や、スピンドル3の先端部3cの形状が異なる点、先端溝部3dがアール部3fとなっている点で相違する。
【0045】
ここで、送りクラッチ31は、ハーフナット固定リング31bを移動するときに操作されるカムキャップ31aと、八角部3eと噛合するハーフナット固定リング31bと、ハーフナット固定リング31bの下方に設けられたハーフナットベース31cとを備えている。送りクラッチ31には、ハーフナット(図示せず)と、送りクラッチスプリング(図示せず)とが内装されている。具体的には、ハーフナットは、ハーフナット固定リング31bと、ハーフナットベース31cとに内装されており、送りクラッチスプリングは、ハーフナットベース31cに内装されている。このハーフナットは、送りクラッチスプリングにより、ハーフナット固定リング31bと連動する。また、振止ストッパ33は、後述する振止部34を押圧するロッド33aと、ロッド33aに取り付けられたナット33bと、ナット33bが締め込まれる雄螺子33cとを備えている。
【0046】
(送りクラッチ31のセット状態と解除状態)
次に、
図9を用いて、送りクラッチ31のセット状態と解除状態について説明を行う。
【0047】
図9(A)は、セット状態の送りクラッチ31が図示されている。セット状態では、ハーフナット固定リング31bがハーフナットベース31cに接触している。ここで、ハーフナット固定リング31bを引いた状態でカムキャップ31aを回動させると、ハーフナット固定リング31bがハーフナットベース31cから離れてセット状態から解除状態となる。なお、解除状態では、ハーフナットと、スピンドル3の八角部3eとが噛合していないので、スピンドル3を上下方向に可動可能となる。
【0048】
図9(B)は、解除状態の送りクラッチ31が図示されている。解除状態では、ハーフナット固定リング31bがハーフナットベース31cに接触していない。ここで、カムキャップ31aを回動させると、スプリング(図示せず)によりハーフナット固定リング31bがハーフナットベース31c側に移動することにより、ハーフナット固定リング31bがハーフナットベース31cに接触して解除状態からセット状態となる。なお、セット状態では、送りクラッチスプリングが、ハーフナットを送りクラッチ31の内側方向に付勢する。これにより、ハーフナットと、スピンドル3の八角部3eとが噛合するので、スピンドル3の自動送りによる穿孔が可能となる。
【0049】
(第2実施形態における振止ストッパ33の開放状態と閉鎖状態)
次に、
図10を用いて、第2実施形態における振止ストッパ33の開放状態と閉鎖状態について説明を行う。
【0050】
図10に示す通り、第2実施形態における穿孔機1は、穿孔作業中におけるスピンドル3の芯ブレを防止する振止部34を備えている。なお、振止部34は、第1実施形態における移動振止部10と同様の構成を備えており、振止部34の外周面がアンダーボディ2bの内周面2cに当接している。
【0051】
図10(A)は、開放状態の振止ストッパ33が図示されている。振止ストッパ33が開放状態のときは、振止ストッパ33が振止部34の後面を押圧していないことから、振止部34の移動が規制されない。このため、開放状態は、第1実施形態におけるフリー位置に相当する。
【0052】
ここで、振止ストッパ33が開放状態のときにスピンドル3を押し込むと、スピンドル3のアール部3fと、ボールプランジャ12とが嵌合した状態で振止部34が最前面まで押し出される。そして、ロッド33aを押し込んで雄螺子33cにナット33bを締め込む。これにより、振止部34の移動スペースがなくなり、振止ストッパ33が開放状態から閉鎖状態となる。なお、スピンドル3をさらに押し込むと、ボールプランジャ12が奥に入り込んで、アンダーボディ2bの内周面2c内に収納されている大型カッター41がアンダーボディ2bの内周面2c外に出ることとなる。
【0053】
図10(B)は、閉鎖状態の振止ストッパ33が図示されている。振止ストッパ33が閉鎖状態のときは、振止ストッパ33が振止部34の後面を押圧していることから、振止部34の移動が規制される。このため、閉鎖状態は、第1実施形態におけるロック位置に相当する。
【0054】
また、閉鎖状態では、振止部34の後面が振止ストッパ33に押圧されているので、配管Pの下面を穿孔するときに、振止部34が自重により落下しなくなる。
【0055】
(第2実施形態における大型穿孔機40の穿孔準備の手順)
次に、
図11を用いて、第2実施形態における大型穿孔機40の穿孔準備の手順について説明を行う。
【0056】
まず、
図11(A)に示す通り、大型穿孔機40で用いられる大型カッター41に、大型穿孔機40で用いられる大型ドリル42を差し込むことにより取り付け、大型ドリル42が取り付けられた大型カッター41をスピンドル3の先端部3cに取り付ける。
【0057】
次に、
図11(B)に示す通り、スピンドル3を矢印Aの方向に最上位まで引き上げて、スピンドルストッパ16を挿入し、スピンドル3が最上位まで引き上げられていることを確認する。このとき、大型カッター41がアンダーボディ2bの内周面2c内に収納される。そして、振止ストッパ33が開放状態であって、送りクラッチ31が解除状態であることを確認してから配管Pに穿孔機1を取り付ける。
【0058】
次に、
図11(C)に示す通り、スピンドルストッパ16を取り外し、回転クラッチツマミ32を回動する。
【0059】
次に、
図11(D)に示す通り、スピンドル3を矢印Bの方向に押し込むと同時に、振止ストッパ33を開放状態から閉鎖状態とする。これにより、振止部34がアンダーボディ2bの最前面まで押し出される。
【0060】
次に、
図11(E)に示す通り、さらにスピンドル3を矢印Bの方向に押し込み、送りクラッチ31をセット状態にする。
【0061】
(その他の実施形態)
以下において、その他の実施形態について説明を行う。
【0062】
上述した第1実施形態において、移動振止ストッパ15は、プランジャ先端23aが移動振止部10に当接することにより、先端部3cの方向への移動振止部10の移動が規制されることとしているが、これに限定されることはない。例えば、移動振止部10の外周に凹部を設け、プランジャ先端23aがこの凹部に挿入されることで先端部3cの方向への移動振止部10の移動が規制されることとしてもよい。
【0063】
また、上述した第1実施形態において、プランジャ23は、ノブ7を回動することによりプランジャ先端23aがアンダーボディ2bの内周面2cの方向に突出することとしているが、これに限定されることはない。例えば、ボタンを押圧することによりプランジャ先端23aがアンダーボディ2bの内周面2cの方向に突出することとしてもよい。
【0064】
また、上述した第1実施形態において、移動振止ストッパ15が単数であることを例示して説明したが、これに限定されることはない。例えば、移動振止ストッパ15が複数設けられていてもよい。同様に、第2実施形態における振止ストッパ33が複数設けられていてもよい。移動振止ストッパ15や、振止ストッパ33を複数設けることにより、スピンドル3の芯ブレをさらに防止することができる。
【0065】
このように、本発明における穿孔機1は、ノブ7を回動すると、圧縮スプリング25によりプランジャ先端23aがアンダーボディ2bの内周面2cよりも内側方向に突出し、プランジャ先端23aが移動振止部10と当接する。これにより、移動振止部10の移動が規制されることから、配管Pの下面を穿孔するときに、移動振止部10が自重により落下することが防止されるので、スピンドル3の芯ブレを防止することが可能な穿孔機1を提供することができる。
【0066】
(第1発明)
第1発明は、配管(例えば、配管P)の下面を穿孔可能な穿孔機であって、カッター(例えば、カッター17)が取り付けられるスピンドル(例えば、スピンドル3)と、前記スピンドルの芯ブレを防止する移動振止部(例えば、移動振止部10、振止部34)と、前記配管の下面を穿孔するときに前記移動振止部が自重で落下することを防止する移動振止ストッパ(例えば、移動振止ストッパ15、振止ストッパ33)と、を備えたことを特徴とする穿孔機である。
【0067】
(第2発明)
第2発明は、前記移動振止ストッパは、前記移動振止部をロックするロック位置と、前記移動振止部をロックしないフリー位置とで変位可能であり、前記移動振止ストッパの位置を前記ロック位置と、前記フリー位置とで切り替える操作部(例えば、ノブ7、ナット33b)をさらに備えたことを特徴とする第1発明に記載の穿孔機である。
【0068】
(第3発明)
第3発明は、前記移動振止ストッパは、前記ロック位置のときに前記移動振止部と当接するプランジャ(例えば、プランジャ23)と、前記操作部が操作されることにより、前記プランジャを付勢する付勢部材(例えば、圧縮スプリング25)と、を備えていることを特徴とする第2発明に記載の穿孔機である。
【0069】
(第4発明)
第4発明は、前記移動振止ストッパは、前記移動振止部を押圧するロッド(例えば、ロッド33a)と、前記ロッドに取り付けられたナット(例えば、ナット33b)と、前記ナットが締め込まれる雄螺子(例えば、雄螺子33c)と、を備えており、前記ロッドを押し込んで前記雄螺子に前記ナットを締め込むことで前記移動振止部が自重で落下することを防止することを特徴とする第2発明に記載の穿孔機である。
【0070】
なお、上記実施形態や変形例で示した事項は、あくまで一例に過ぎず、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 穿孔機
2 ボディ
2a トップボディ
2b アンダーボディ
2c 内周面
3 スピンドル
3a ヘッド
3b 六角部
3c 先端部
3d 先端溝部
3e 八角部
3f アール部
4 送りハンドル
5 パージ口カプラ
7 ノブ
7a 位置決め線
8 電源スイッチ
9 電源プラグ
10 移動振止部
11 移動振止リング
12 ボールプランジャ
13 Oリング
14 ダストシール
14a 収納凹部
14b 凸部
15 移動振止ストッパ
16 スピンドルストッパ
17 カッター
18 センタードリル
19 閉止確認カバー
20 ケーシング
21 第1表示部
22 第2表示部
23 プランジャ
23a プランジャ先端
24 プランジャホルダ
25 圧縮スプリング
26 気密部材
27 平行ピン
28 当接壁
29 通気孔
30 メッシュ部
31 送りクラッチ
31a カムキャップ
31b ハーフナット固定リング
31c ハーフナットベース
32 回転クラッチツマミ
33 振止ストッパ
33a ロッド
33b ナット
33c 雄螺子
34 振止部
40 大型穿孔機
41 大型カッター
42 大型ドリル
H 螺子穴
P 配管