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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029490
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】早産を防ぐ装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A61M31/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211750
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2020172381の分割
【原出願日】2016-01-11
(31)【優先権主張番号】62/102,018
(32)【優先日】2015-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/116,568
(32)【優先日】2015-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/181,208
(32)【優先日】2015-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/194,798
(32)【優先日】2015-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517240540
【氏名又は名称】ナイン メディカル,インク.
【氏名又は名称原語表記】NINE MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】セリーヌ,ベンジャミン,カーン
(72)【発明者】
【氏名】ピエルス,ライアン,ケンダル
(57)【要約】
【課題】女性生殖器系内での微生物の移動または増殖を防止または治療するために使用される装置を提供すること。
【解決手段】女性生殖器系内での微生物の移動または増殖を防止または治療するために使用される装置であって、膣内の第1の部位から子宮頸部、子宮頸管、もしくは子宮の内部またはそれに隣接する第2の部位への微生物の移動または増殖を防止するために、女性生殖器系の女性生殖管内に完全に挿入され、前記女性生殖管内に完全に配置された状態で少なくとも6時間放置されるように構成された閉塞要素であり、栄養素、分子、体液、または材料もしくは生物学的材料の移動が可能となるように、前記第1の部位と前記第2の部位の間で妨げられない少なくとも1つの経路を提供する閉塞要素であり、前記女性生殖管内の体積を想定するように構成された閉塞要素、を含む装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性生殖器系内での微生物の移動または増殖を防止または治療するために使用される装置であって、
膣内の第1の部位から子宮頸部、子宮頸管、もしくは子宮の内部またはそれに隣接する第2の部位への微生物の移動または増殖を防止するために、女性生殖器系の女性生殖管内に完全に挿入され、前記女性生殖管内に完全に配置された状態で少なくとも6時間放置されるように構成された閉塞要素であり、栄養素、分子、体液、または材料もしくは生物学的材料の移動が可能となるように、前記第1の部位と前記第2の部位の間で妨げられない少なくとも1つの経路を提供する閉塞要素であり、前記女性生殖管内の体積を想定するように構成された閉塞要素、
を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2015年1月10日に出願された米国特許仮出願第62/102,018号、件名「女性生殖器系への微生物叢の移植の方法及び装置(METHODS AND DEVICES FOR TRANSFER OF MICROBIOTA TO A FEMALE REPRODUCTIVE SYSTEM)」、2015年2月16日に出願された米国特許仮出願第62/116,568号、件名「早産を防ぐ方法及び装置(METHODS AND DEVICES TO PREVENT PREMATURE BIRTH)」、2015年6月18日に出願された米国特許仮出願第62/181,208号、件名「早産を防ぐ方法及び装置(METHODS AND DEVICES TO PREVENT PREMATURE BIRTH)」、並びに2015年7月20日に出願された米国特許仮出願第62/194,798号、件名「早産を防ぐ方法及び装置(METHODS AND DEVICES TO PREVENT PREMATURE BIRTH)」の優先権を主張するものであり、これらはそれぞれ、参照により全内容が本明細書に組み込まれている。
【0002】
文献の引用
本明細書中において言及される全ての刊行物及び特許出願は、その全内容が、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照により具体的且つ個別に示されて組み込まれる場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書に記載の方法及び装置は、全般的には、女性生殖器系内での微生物の望ましくない増殖を防ぐか処理することによって早産を防ぐことに関する。例えば、本明細書に記載されるのは、生殖器系内での微生物の増殖を防ぐ防護障壁を形成する方法及び装置である。
【背景技術】
【0004】
早産は、新生児の罹病及び死亡の原因の第1位であり、成人に達しても健康に悪影響を及ぼしうる。早産の原因は十分に理解されていないが、羊膜内感染が原因とされるケースがかなりの割合で存在する。膣及び/又は子宮頸管から、又は膣及び/又は子宮頸管を通って移動及び/又は増殖する微生物が、最終的には羊膜腔に侵入する場合があり、そしてサイトカインの放出を引き起こす可能性があり、サイトカインは感染と戦うが炎症を引き起こし、これによってプロスタグランジンが放出される。そして、このプロスタグランジンが引き起こしうる生化学過程によって子宮収縮及び子宮頸管の開大が発生し、早産につながる。そこで、早産を防ぐことに役立ちうる、羊膜腔内の望ましくない微生物の発生を最小化又は防止する方法及び装置(例えば、機器、システム、組成物など)を提供することが有用であろう。
【0005】
早産を防ぐこと、及び/又は望ましくない微生物の子宮内への移動を減らすことの為の既存の技術は、使いにくく、十分な防護を果たすことができず、且つ/又は望ましくない合併症や副作用を引き起こすおそれがある。例えば、早産のリスクを減らすために、挿入物及び封止剤を含む機械式の障壁を子宮腔内又は内子宮口付近に挿入することが提案されている。例えば、米国特許第6350463号、同第6375970号、及び同第8408212号を参照されたい。しかしながら、そのような障壁及び方法は、典型的には、頸部を通して子宮内に挿入して、頸管粘液栓に取って代わるか、頸管粘液栓を破壊することが必要である。更に、これらの方法は、過度に侵襲的であり、しかも、治療部位がいささか乱雑になる。必要とされているのは、微生物が頸管内に移動するリスクを減らすか無くすことが可能な方法及び装置であって、頸管及び頸管粘液栓を破壊しない方法及び装置である。本明細書に記載されるのは、この要求に応えうる方法及び装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
全般的には、本明細書に記載されているのは、早産を防ぐ方法及び装置である。特に、本明細書に記載されているのは、感染関連の早産を防ぐべく、それらを実施する為の膣内アプローチ及び膣内装置である。本明細書に記載の方法及び装置はいずれも、女性の子宮頸部の子宮頸膣部(例えば、外子宮口の上又は周囲)に微生物障壁を作成するように構成されてよく、この作成は、子宮頸管を破壊することなく、そして特に、子宮頸管内の粘液栓を破壊することなく行われる。
【0008】
例えば、本明細書に記載されているのは、子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を塗布する方法であり、特に、子宮頸管粘液栓を破壊することなく患者の子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を塗布する方法である。これらの方法は、塗布器が子宮頸膣部に隣接するように、膣から塗布装置を挿入するステップと、子宮頸膣部の上にコーティング材を塗布することと、同時に、コーティング材が膣壁に接触したり、子宮頸管内に突出して子宮頸管粘液栓を破壊したりすることを防ぐことと、により、微生物障壁を形成するステップと、を含んでよい。
【0009】
子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を塗布する方法が、患者に頸膣部の感染がないことを確認するステップと、カップ状塗布器が子宮頸膣部の上方になるように、膣から塗布装置を挿入するステップと、子宮頸膣部の上にコーティング材を塗布することと、同時に、コーティング材が膣壁に接触したり、子宮頸管内に突出して子宮頸管粘液栓を破壊したりすることを防ぐことと、により、微生物障壁を形成するステップと、を含んでよい。
【0010】
これらの方法はいずれも、子宮頸管粘液栓の破壊を防ぐ為に、塗布装置からの塗布されるコーティング材の圧力、流量、又は圧力及び流量を制限するステップを含んでよい。流量及び/又は圧力は、本明細書に記載のように、任意の適切な様式で制限されてよい。例えば、塗布装置は、塗布(送達)圧力を制御する為に、流量センサ及び/又は圧力センサ並びにフィードバックを含んでよい。変形形態によっては、塗布器は、装置から射出されるコーティング材の流れの向きをそらす遠位偏向器を含んでよく、これは、コーティング材が子宮頸膣部に対して、特に子宮頸管の開口部又はその付近において、接線方向にのみ塗布されるようにする為であり、これは、コーティング材が子宮頸管内に直接射出されることを防ぐ為である。代替又は追加として、本方法は、組織に対して角度を付けてコーティング材を塗布することを含んでよく、これにより、コーティング材は、塗布器から射出されたときに、拡散面又は偏向面に当たり、拡散面又は偏向面は、コーティング材が塗布力より小さい力で子宮頸膣部に接触することを可能にする。代替又は追加として、塗布器は、コーティング材が塗布されるときのコーティング材の力及び/又は圧力を減らすか、且つ/又は制限する為に、塗布器の遠位端領域にバッフルを含んでよい。例えば、バッフルは、今述べたような偏向面であってよく、或いは、塗布器を貫通するアパーチャと子宮頸膣部との間の間接的な通路を与えるスポンジ部材又は多孔質部材であってよい。従って、本明細書に記載の方法のいずれにおいても、コーティング材は、塗布器のアパーチャから子宮頸膣部の表面までの間接的な通路を介して塗布されてよい。
【0011】
本明細書に記載の方法はいずれも、微生物障壁を形成する前に、膣に感染がないことを確認するステップを含んでよい。例えば、本方法は、患者に頸膣部の感染がないことを確認するステップを含んでよい。代替又は追加として、これらの方法はいずれも、微生物障壁を形成する前に、患者の絨毛羊膜が破壊されていないことを確認するステップを含んでもよい。
【0012】
本明細書に記載のこれらの方法はいずれも、コーティング材の塗布時に子宮頸部を可視化することを含んでよく、特に、塗布装置を通して子宮頸部(例えば、子宮頸部の子宮頸膣部)を可視化することを含んでよい。従って、塗布器又はその一部(例えば、塗布器の遠位端)は透明であってよく、代替又は追加として、装置がコーティング材を塗布する前、又は塗布している間に、子宮頸部の子宮頸膣部を可視化するために、塗布器は、遠位端付近に、光ファイバ、カメラなどのような可視化手段を含んでよい。
【0013】
これらの方法はいずれも、余剰コーティング材を除去して塗布装置に戻すステップを含んでもよい。後で詳述するように、これらの装置は、余剰分戻り経路(例えば、チャネル)を含んでよく、余剰コーティング材が(例えば、真空の印加によって)ここに入ることで除去されてよい。
【0014】
一般に、コーティングを塗布することは、塗布装置のカップ状端部から、カップ状端部の内面上の1つ以上のアパーチャを通してコーティングを塗布することを含んでよい。上述のように、アパーチャ及び塗布器は、コーティング材が子宮頸管内に直接塗布されないように構成されてよい。例えば、この1つ以上のアパーチャは、コーティング材が子宮頸管内に直接塗布されないように、内面に対して中心から外れて位置してよい。塗布器のカップ状部分は、所定の様式で子宮頸部の上に嵌まるように大まかに整形及び適合される。例えば、塗布器の遠位端は、カップの内面の中心領域が子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように、塗布器を子宮頸膣部の中心に位置決めする、側壁などの部分を含んでよい。塗布器の内面の中心領域の外側にアパーチャを配置することにより、子宮頸部の開口部は、コーティング材が直接(且つ塗布圧力により)塗布されることから保護されることが可能になり、材料の低圧力の間接的な塗布のみを受けることが可能になる。これにより、コーティングが子宮頸管内に、ある重大な距離まで入り込むのを防ぐことが可能であり、塗布器によるコーティング材の塗布によって粘液栓が破壊されるかどかされる可能性を最小限に抑えることが可能である。変形形態によっては、中心領域は、コーティング材を塗布する為のアパーチャを全く含まない。
【0015】
送達アパーチャの、(中心領域の外側に配置されることによる)子宮頸管からの半径方向オフセットの代替又は追加として、アパーチャは、装置によってコーティング材がアパーチャから子宮頸管内へ直接塗布されるのを防ぐような向きになっていてよい。例えば、アパーチャは、塗布器が子宮頸部の上に配置されたときに、子宮頸部の開口部の面に対して垂直(±45度、±30度、±25度、±20度、±15度など)であるような方向に向けられてよい。アパーチャから射出される流体によって印加される力が、子宮頸部の開口部から離れる方向を向くように、アパーチャの開口に角度を付けることにより、アパーチャの向きが決定されてよい。変形形態によっては、子宮頸部の開口部と向き合って配置される中心領域の上に偏向板などの偏向器構造物(背後に1つ以上のアパーチャを含んでよい)が配置され、偏向器は、コーティング材が幾らかのかなりの力(圧力)で子宮頸部の開口部内に塗布されるのを防ぐことが可能である。
【0016】
コーティング材は、任意の適切な厚さで塗布されてよい。例えば、コーティング材は、約0.5mmから約1cmの厚さ(例えば、約0.75mmから約1cm、約1mmから約1cm、約2mmから約1cm、約3mmから約1cm、約4mmから約1cmなど、0.5mm超、1mm超、2mm超、3mm超、4mm超、5mm超、2cm未満、1.5cm未満、1cm未満、0.9cm未満、0.8cm未満、0.7cm未満、0.6cm未満、0.5cm未満、又はこれらの間の任意の範囲の厚さ)に塗布されてよい。
【0017】
コーティングは定期的に再塗布されてよく、例えば、毎週、1.5週ごと、2週ごと、3週ごと、4週ごと、5週ごと、6週ごと、7週ごと、8週ごとなど(例えば、1週間から8週間、1週間から7週間、1週間から6週間、1.5週間から8週間、1.5週間から7週間、1.5週間から6週間、2週間から8週間、2週間から7週間、2週間から6週間ごとなど)に再塗布されてよい。
【0018】
コーティング材は、任意の適切な様式で塗布器によって塗布されてよい。コーティング材は、液体であってよく、或いは、塗布器のアパーチャから塗布される場合には、蒸気(例えば、エアロゾル)であってよい。例えば、コーティング材は噴霧されてよい。従って、アパーチャは、コーティング材を霧状にして吹きつけるノズル又はマイクロノズルを含んでよい。
【0019】
一般に、塗布装置は膣から挿入されてよく、遠位端が子宮頸部の外側と係合してよい。塗布器は、調節可能(例えば、曲げること、傾けることなどが可能)なヘッド及び/又は首領域を含んでよく、これにより、(例えば、カップ状)遠位端が子宮頸部の子宮頸膣部の方を向くことが可能になり、変形形態によっては、子宮頸部の子宮頸膣部の上方を向くことが可能になる。塗布器は、塗布装置を使用して子宮頸膣部を膣から機械的に隔離してよい。例えば、カップ状塗布器は、塗布器の内面が外子宮口と向き合うように子宮頸膣部の上方に配置されてよく、カップ状端部によって形成される空隙/開口部に収まるように、カップ状塗布器の壁が子宮頸部と接触してよい。
【0020】
上述の方法はいずれも、複数の装置(device)又はシステムをまとめて含む装置(apparatus)によって実施されてよい。システムは、一緒に動作する複数の部品を含んでよいが、これらは必ずしもつながっていたり、常に互いに係合していたりしなくてよい。
【0021】
例えば、子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置(apparatus)(例えば、装置(device))が、コーティング材を搬送するように構成された第1のルーメン(送達ルーメン)を含む細長ボディと、ハンドルを有する近位端領域と、細長ボディの遠位端にあって、子宮頸膣部に対して一直線に並ぶように構成された塗布器であって、塗布器の内面の中心領域が、塗布器が子宮頸膣部に対して一直線に並んだときに、子宮頸膣部上の、子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成されている、塗布器と、中心領域の外側に配置されていて、内面を通り抜ける1つ以上の送達アパーチャであって、第1のルーメンから子宮頸膣部にコーティング材を送達するように構成された1つ以上の送達アパーチャと、を含んでよい。
【0022】
本明細書に記載の装置は、子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置であってよい。例えば、装置は、第1のルーメン(送達ルーメン)を含む細長ボディと、ハンドルを有する近位端領域、及び第1のルーメン(送達ルーメン)とつながっているコーティング材用チャンバと、細長ボディの遠位端にあって、子宮頸膣部の上に嵌まってコーティング材を子宮頸膣部上に塗布するが子宮頸管内には塗布しないように構成されたカップ状塗布器であって、カップ状塗布器の内面の中心領域が、カップ状塗布器が子宮頸膣部の上方にあるときに、子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成されている、カップ状塗布器と、内面を通り抜ける1つ以上の送達アパーチャであって、中心領域の外側にあるか、カップ状塗布器が子宮頸膣部の上方にあるときに中心領域に垂直に、且つ子宮頸管内へコーティング材が射出されるのを防ぐ向きになっている送達アパーチャと、を含んでよい。
【0023】
子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する、これらの装置はいずれも、第1のルーメン(送達ルーメン)を含む、湾曲又は屈曲した細長ボディと、ハンドルを有する近位端領域、及び第1のルーメン(送達ルーメン)とつながっているコーティング材用チャンバと、細長ボディの遠位端にあって、子宮頸膣部の上に嵌まってコーティング材を子宮頸膣部上に塗布するが子宮頸管内には塗布しないように構成されたカップ状塗布器であって、カップ状塗布器の内面の中心領域が、カップ状塗布器が子宮頸膣部の上方にあるときに、子宮頸膣部上の、子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成されている、カップ状塗布器と、中心領域の外側に配置されていて、内面を通り抜ける複数の送達アパーチャであって、子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく第1のルーメンから子宮頸膣部にコーティング材を送達するように構成された送達アパーチャと、を含んでよい。
【0024】
一般に、微生物障壁を送達する装置(apparatus)(例えば、装置(device))は、微生物障壁を、子宮頸部、具体的には、外子宮口を含むか囲む、子宮頸部の子宮頸膣部の上に塗布、貼り付け、封止、固定、又は他の方法で接続するように構成される。上述のように、送達することは、コーティング材を噴霧、射出、ペイント、又は塗布して微生物障壁を形成することを含んでよい。障壁は、子宮頸部の開口部を覆ってよく、或いは、子宮頸部の開口部を取り囲んでよい。障壁は抗菌性であってよく、例えば、障壁上又は障壁内部に埋め込まれてよい抗菌剤(例えば、抗生物質)を含んでよい。従って、抗菌剤は、高度に局所化及び制御された様式で放出されてよい。塗布される障壁は、子宮頸部内にわずかに延びてもよいが、典型的には、子宮頸管の大部分から締め出される。図1は、膣と子宮頸部の子宮頸膣部101とを示す、生体構造の概略図であり、子宮頸部の、子宮頸管105の開口部103が中央に示されている。子宮の外側開口部(子宮頸膣部)は、子宮頸部の膣側部分の丸みのある端部の、小さく、凹んでいて、いくぶん円形の領域である。本明細書においては、子宮頸膣部は、膣の壁と交わる部分(膣円蓋)までの、子宮頸部の、膣に面した部分の全てを含んでよい。従って、子宮頸膣部は外子宮口を含んでよい。子宮頸膣部は、子宮頸部の膣側部分であって、典型的には、凸状の楕円形状を有し、前膣円蓋と後膣円蓋との間で子宮頸部内に突出している。子宮頸膣部の丸みのある部分には、子宮頸部と膣とをつなぐ、小さい、凹んでいる外側開口部がある。子宮頸膣部及び外側開口部(外子宮口)のサイズ及び形状は、年齢、ホルモン状態、及び、自然分娩又は通常分娩が行われたかどうか、に応じてばらつきがありうる。普通分娩を経験していない女性の場合、外側開口部は小さい円形であり、普通分娩を経験している女性の場合、外側開口部はスリット状である。平均では子宮頸膣部は、長さが3cm(1.2インチ)、幅が2.5cm(1インチ)である。これらの装置(例えば、カップ状遠位端)はいずれも、子宮頸膣部を少なくとも部分的に閉塞するように構成及び適合されてよい。
【0025】
上述のように、本明細書に記載の方法及び装置のいずれにおいても、閉塞要素に抗菌剤が組み込まれてよい。例えば、組み込まれてよい抗菌剤として、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン-銀スルファジアジン、クロルヘキシジングルコナート、クロルヘキシジンジグルコナート、又は他のクロルヘキシジンベースの、又はクロルヘキシジンを含有する薬剤、銀、銀ジアミンフッ化物、銀-亜鉛ゼオライト、銀イオン、又は他の銀ベースの、銀イオンベースの、又は銀を含有する薬剤、リン酸酸性フッ化ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、アミンフッ化物、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、塩化セチルピリジニウムと結合されたヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、又は他のフッ素ベースの、又はフッ素を含有する薬剤、酸化亜鉛、水和硫酸亜鉛、含水硫酸カルシウム、珪藻土、フタル酸ジブチルコポリマー、及びポリ塩化ビニルのうちのいずれか、又は組み合わせ、亜鉛ベースの、又は亜鉛を含有する薬剤、リファンピシン-ミコナゾール、ミノサイクリンリファンピシン、又はフルコナゾールのうちの1つ以上があってよい。
【0026】
閉塞構造(閉塞要素)が挿入される場合、これは、抗菌性を有する材料又は材料の組み合わせを含んでよい。例えば、抗菌性を有する材料として、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、又は、ポリデキストランアルデヒドとポリエチレンイミンの混合物のうちの1つ以上、又はこれらの組み合わせが使用されてよい。
【0027】
一般に、微生物障壁を形成するコーティング材は、子宮頸管からは締め出され、本明細書に記載の方法では、コーティング材は、実質的に子宮頸管内に塗布されることから締め出されるか、塗布されないようにされてよい。子宮頸管内に塗布されることから実質的に締め出されるか、塗布されないことは、コーティングが、典型的には膣側からの子宮頸管の長さの20%未満(例えば、15%未満、10%未満、5%未満など)にわたる(典型的にはパッシブな)塗布に制限されてよいことを意味する。子宮頸管が全くコーティングされないことが理想的であろうが、一部の女性では、子宮頸管が比較的円錐形状である為、コーティングによって子宮頸部の開口部にブリッジがかかる場合(これは子宮頸管粘液栓を破壊することなく起こりうる)には、コーティング材がわずかな距離だけ子宮頸管内に入る可能性がある。
【0028】
微生物障壁は、閉塞材料で形成されてよい。閉塞材料の例、及び閉塞材料の特性については、後で詳述する。
【0029】
一般に、本明細書に記載の方法及び装置は、子宮頸管粘液栓の破壊を防ぐことに適合されてよい。子宮頸管粘液栓(又は弁蓋)は、妊娠中に子宮頸管を埋めて封止する栓である。この栓は、感染を防ぐ自然障壁であるが、更なる利点を有しうる。栓を破壊することは、どかすこと(例えば、動かすこと、封止を解除すること等)、損傷すること(例えば、切ること、引き裂くこと等)などを意味してよい。変形形態によっては、本明細書に記載の方法及び装置は、子宮頸管粘液栓(例えば、或いは、子宮頸管の、栓が通常存在する領域)に接触しないか、又は粘液腺に最小限に接触する(例えば、近位の膣に面する側のみと接触する)ように構成される。
【0030】
上述のように、本明細書に記載の装置はいずれも、カップ状の遠位端を含んでよい。カップ状遠位端は、典型的には、子宮頸膣部が収まりうる空隙を含む。カップ形状は、凹形であってよく、或いは、円筒形又は別の形状であってよい。カップ形状は、円形の口を有してよく、これは楕円形でもよい。カップ状遠位端領域は、典型的には、塗布装置から子宮頸膣部上にコーティング材を送達する為の1つ以上のアパーチャを含む。カップ状遠位端は、細長ボディのより近位の端部に対して相対的な、カップ状遠位端の位置の調節を可能にするように、蝶番で留められているか、接合されていてよい。例えば、カップ状遠位端は、遠位端が装置の細長ボディに対して相対的に曲がるか、且つ/又は回転することを可能にする為に、曲がることが可能な接合部を介してつながっていてよい。曲げを制御する(例えば、曲げるか、曲げを阻止する)為に、1つ以上の操舵機構(例えば、テンドン、ワイヤ等)が使用されてよい。
【0031】
一般に、アパーチャは、内面を通り抜けて、(例えば、装置の近位端(ハンドルなど)と連通するチャンバから)コーティング材を搬送する送達ルーメンとつながる開口部であってよい。アパーチャは、内面に対して相対的に方向づけられてよく、アパーチャから射出される材料は、内面の、アパーチャが位置する部分に対して単純に垂直な方向ではなく、内面に対して角度を付けられた方向に主に(主要な力ベクトルを有して)向けられる。本明細書に記載のアパーチャはいずれも、装置から出るコーティング材の流れを整形するか、成形するか、方向づけるノズル又は先端部を含んでよい。
【0032】
複数のアパーチャが含まれる場合、これらのアパーチャはそれぞれ異なってよい。例えば、少なくとも2つの異なる送達アパーチャに関連付けられた送達経路は、長さ、直径、又は流体抵抗が異なってよく、コーティング材の塗布中のどこかの段階又は複数の段階においては、この少なくとも2つの異なる送達アパーチャから射出されたコーティング材の累積体積は異なる。この少なくとも2つの異なる送達アパーチャの間で材料の射出を段階的に行うことにより、子宮頸膣部への材料送達の進行を所望のとおりにすることが可能である。実施形態によっては、所望の進行により、空気又は体液が材料に閉じ込められるのを防ぐことが可能である。
【0033】
同様に、又は追加で、装置は、装置の細長ボディの長さ方向を近位端から遠位端へと延びていく2つ以上のルーメン(例えば、チャネル、通路等)を含んでよい。装置の近位端にある、コーティング材を保持するチャンバと、送達アパーチャにつながる2つ以上の送達ルーメンとの間の連続は、注入されたコーティング材がその連続に非同時に(様々な時点に)到達するように、段階的に行われてよい。このように段階的に行うことにより、子宮頸膣部への材料送達の進行を所望のとおりに推進することが可能である。実施形態によっては、この進行により、空気又は体液が材料に閉じ込められるのを防ぐことが可能である。
【0034】
カップ状塗布器の内面を通るアパーチャはいずれも、内面に対して凹んでいてよく、その結果、注入されたコーティング材の圧力が、コーティング材がコーティング対象組織の近くの空間に入る前に小さくなる。実施形態によっては、コーティングは子宮頸膣部に徐々に送達され、最初はカップ状塗布器の内面の中心領域(典型的には、子宮頸部上の、開口部から子宮頸管にまたがる部位に対応する領域)に送達され、その後、中心領域から更に遠くの部位(例えば、開口部から子宮頸管に対応する部位)に進む。このように進むことにより、子宮頸管の開口部の近くで空気が閉じ込められるのを防ぐことが可能である。上述のように、コーティング材が子宮頸管に入っていかないように、コーティング材を、間接的に、又は接線方向に(例えば、子宮頸管開口部に対して角度を付けて)塗布することが可能である。
【0035】
代替又は追加として、1つ以上の送達アパーチャは、子宮頸管開口部のより近くの部位に配置されてよく、コーティング材は、その部位に送達されてから、開口部から更に遠くの部位に送達されてよく、これは、開口部近くの部位で空気が閉じ込められないようにする為である。
【0036】
これらの装置はいずれも、塗布器上に、又は塗布器を通るオーバフローチャネルを含んでもよい。オーバフローチャネルは、細長ボディを通る第2のルーメン(例えば、戻りルーメン)とつながっていてよい。追加又は代替として、本明細書に記載の装置はいずれも、空気逃がしルーメンを含んでよい。例えば、空気逃がしルーメンは、コーティング材が塗布されるときに子宮頸管開口部に近い部位に配置されてよく、コーティング材が空気逃がしルーメンの開口部に達した後に除去されてよく、これは、コーティング材の塗布中に空気が閉じ込められるのを防ぐ為に使用される。空気逃がしルーメンは、装置の構造部品であってよい。
【0037】
上述のように、本明細書に記載の変形形態はいずれも、1つ以上の送達アパーチャから射出されるコーティング材の流体圧力を減らすように構成されたバッフルを含んでよい。バッフルは、例えば、塗布器の内面上又は内面内の偏向器、偏向板、及び/又はスポンジ状バッフルであってよく、これらは、1つ以上の送達アパーチャから射出されるコーティング材の流体圧力を減らすように構成される。
【0038】
1つ以上の送達アパーチャは、内面の中心領域の周囲に配列された複数の送達アパーチャであってよく、この配列により、コーティング材が1つ以上の送達アパーチャを通って子宮頸管内に射出されるのを防ぐことが可能である。
【0039】
一般に、細長ボディは、近位端(例えば、ハンドル)と、遠位塗布器先端部(例えば、カップ状塗布器)との間を延びてよい。細長ボディは、4インチから24インチ(例えば、4インチから18インチ、5インチから15インチ等)であってよい。
【0040】
塗布器(例えば、カップ状塗布器)は、調節可能な首領域により細長ボディとつながれてよく、首領域は、細長ボディに対するカップ状塗布器の角度の調節を可能にするように構成される。一般に、遠位端の塗布器(例えば、カップ状塗布器)は、カップ状塗布器が子宮頸膣部の上方(且つ/又は上)にあるときに空気が逃げることを可能にするように構成された隙間又はチャネルを含んでよい。
【0041】
本明細書に記載の装置はいずれも、1つ以上の送達アパーチャから塗布されるコーティング材の圧力を制限するように構成された圧力制限器を含んでよい。圧力制限器は、アクティブ(例えば、圧力調整器)又はパッシブであってよい。
【0042】
更に、これらの装置はいずれも、コーティング材の塗布前、塗布中、又は塗布後の画像化を可能にするように構成又は適合されてよい。例えば、これらの装置はいずれも、塗布器が透明であるように構成されてよく、例えば、塗布器を通して子宮頸膣部が見えるように、塗布器の少なくとも一部にわたって透明であってよい。
【0043】
当然のことながら、本明細書に記載の発明、実施形態、特徴、及び目的(セクションI及びIIで別々に記載されたものを含む)は、互いに組み合わせて使用されてよい。非限定的な一例では、女性生殖器系内に配置された、ほぼ事前成形された装置を除去することに使用される装置及び方法は、配置後にその形状を実質的に呈する材料を除去することにも使用されてよい。別の非限定的な例では、女性生殖器系の1つの領域を女性生殖器系の別の領域から隔離する為に使用される装置及び方法は、治療用薬剤を送達する為に使用されてもよい。
【0044】
本明細書に記載の変形形態の多くがコーティング材の塗布について説明しているが、これらの変形形態はいずれも、閉塞コーティング材だけでなく、足場のようなインプラント、及び/又は閉塞インプラントとともに使用されてもよい。例えば、閉塞材料は、足場又は補強構造(材料)の上又は周囲に送達されてよく、或いは、足場又は補強材料は、送達後に閉塞材料に適用されてよい。更に、変形形態によっては、既存の、又は「古い」コーティング層の上に「新しい」コーティング材料層が塗布されてよい。
【0045】
後述の特許請求の範囲では、本発明の新規な特徴を具体的に示す。本発明の原理が利用される例示的実施形態を説明する以下の詳細説明とその添付図面とを参照することにより、本発明の特徴及び利点のよりよい理解が得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本明細書において参照されるヒト女性生殖器系に関連する生体構造を示す図である。
図2】子宮、膣、及び子宮頸管の生体構造の別の例を示す図であり、膣管に挿入された閉塞インプラントが示されている。本明細書において詳述するように、そのようなインプラントは、子宮頸膣部障壁(例えば、コーティング)に組み込まれてよく、或いは、子宮頸膣部障壁は、そのようなインプラントに対する、子宮頸管及び粘液栓のかき乱しを防ぐ好ましい一実施形態であってよい。
図3】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図4】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図5】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図6】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図7】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図8】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図9】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図10】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図11】使用可能な障壁インプラント(閉塞インプラント又は閉塞要素)の実施例を示す図である。
図12】閉塞インプラントを子宮頸管に挿入することに使用可能な障壁インプラントの挿入ツールの一実施例を示す図である。
図13】本明細書に記載の変形形態のいずれかとともに使用可能な送達シースを挿入及び/又は配置するツールの一実施例を示す図である。
図14図13の装置の、シースが展開された様子を示す図である。
図15図13及び図14に示されたものとよく似ている、本明細書に記載の変形形態のいずれかとともに使用可能な送達シースを挿入及び/又は配置するツールの別の実施例の断面を示す図である。
図16】送達シースツールの別の変形形態の近位方向に収縮された構成(図16)及び近位方向に展開された構成(図17)を示す図であり、このツールは可逆性であり、シースを展開/除去することに使用可能である。
図17】送達シースツールの別の変形形態の近位方向に収縮された構成(図16)及び近位方向に展開された構成(図17)を示す図であり、このツールは可逆性であり、シースを展開/除去することに使用可能である。
図18】配備ツール及びツールから配備可能な障壁インプラントの一実施例の、未配備状態(図18)及び配備済み状態(図19)での断面図である。
図19】配備ツール及びツールから配備可能な障壁インプラントの一実施例の、未配備状態(図18)及び配備済み状態(図19)での断面図である。
図20】患者の生体構造に挿入された塗布装置(子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置)の一実施例を示す図であり、子宮頸膣部にはコーティング材が塗布されている。
図21図1と同様の、膣、子宮頸部、及び子宮の一部の生体構造の別の例を示す図である。
図22】子宮頸膣部に塗布された微生物障壁コーティングの一実施例を示す図であり、これは、コーティングの形成後に除去されてよく、定位置に残されてもよいインプラント構造を有する。
図23】子宮頸膣部に塗布された微生物障壁コーティングの別の実施例を示す図であり、これは、コーティングの形成後に除去されてよく、定位置に残されてもよいインプラント構造を有する。
図24】子宮頸膣部に塗布された微生物障壁コーティングの別の実施例を示す図であり、これは、コーティングの形成後に除去されてよく、定位置に残されてもよいインプラント構造を有する。
図25】微生物障壁の形成に使用される構造物の凹形内側領域の一実施例を示す。図25に示された内側領域は、インプラントの一部、及び/又は塗布装置の一部(例えば、コーティングを形成する装置の遠位端にあるカップ状塗布器の内面)であってよい。
図26】インプラント及び/又はコーティング材を子宮頸膣部上に送達する装置の一例である。
図27】本明細書に記載の送達ツールの一実施例である。
図28】インプラント装置の一変形形態の実施例である。
図29】子宮頸膣部を覆い、子宮頸管の開口部にまたがる、閉塞障壁(コーティング)の一実施例である。
図30】子宮頸膣部を覆うが、子宮頸管の開口部にまたがらない、閉塞障壁(コーティング)の別の実施例である。
図31】本明細書に記載の処置のいずれか(例えば、微生物障壁の形成)の対象となる患者を選択する方法の一実施例を概略的に示す図である。
図32】本明細書に記載の、粘液栓をかき乱すことなく子宮頸膣部に閉塞障壁(例えば、コーティング)を送達する一方法を示す図である。
図33】女性の胴部の概略断面図であり、膣、子宮頸部、及び子宮が側面図で示されている。
図34】本明細書に記載の、妊婦の子宮頸膣部に障壁を塗布する一方法を示す図である。
図35】子宮頸膣部上に微生物障壁を形成する微生物障壁塗布装置の一変形形態の動作を示す図であり、塗布器は、子宮頸管粘液栓が破壊されないように、子宮頸部、特に子宮頸管の開口部にかかる圧力及び/又は力を制限するバッフル(例えば、偏向器、緩衝器など)を含む。
図36】子宮頸膣部上に微生物障壁を形成する微生物障壁塗布装置の別の変形形態を示す図であり、これは、障壁を形成し、横方向の諸領域(例えば、円蓋又は膣壁)にコーティング材が広がるのを防ぐ、カップ状の遠位端領域を含む。
図37】子宮頸膣部上に微生物障壁を形成する微生物障壁塗布装置の別の実施例を示す図であり、これは、コーティング材を子宮頸膣部上に噴霧するように構成された(例えば、噴霧ノズルを有する)複数のアパーチャからコーティング材を塗布するように構成された、カップ状の遠位端領域を含む。
図38】子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸膣部上に微生物障壁を形成する塗布装置の別の変形形態を示す図であり、この変形形態では、装置は、塗布前に混合されてよい、コーティング材の各成分を保持する複数のチャンバを含む。
図39】子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置の一変形形態を示す図である。
図40】子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置の別の変形形態を示す図である。
図41】子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置の遠位端にあるカップ状塗布器の内面(凹面)の一変形形態を示す図である。
図42】子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置の遠位端にあるカップ状塗布器の内面の別の変形形態を示す図である。
図43】子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置の遠位端にあるカップ状塗布器の内面の別の変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書に記載されるのは、微生物障壁を使用して、頸部を通る微生物の移動を減らすか無くして早産を防ぐ方法及び装置である。例えば、本明細書に記載の方法及び装置は、閉塞要素を適用、挿入、及び/又は送達してよく、閉塞要素は、閉塞部材(構造)、或いは、送達直後又は送達後間もなくに閉塞部材を形成できる閉塞材であってよい。特に、本明細書に記載されるのは、コーティング材を送達することにより、子宮頸管粘液栓を破壊することなく、患者の子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を形成及び/又は適用する方法及び装置である。コーティング材は、典型的には閉塞材を形成する(従って、そのように称されてよい)。
【0048】
一般に、本明細書に記載の方法は、塗布器が子宮頸膣部に隣接するように、塗布器などの塗布装置を患者の膣から挿入することと、その後、コーティング材が膣壁に接触しないように、且つ、同時に、コーティング材が子宮頸管内に突出して子宮頸管粘液栓を破壊しないように、コーティング材を子宮頸膣部に塗布することにより、微生物障壁を形成することと、を含んでよい。
【0049】
実施形態によっては、ある微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖の存在又は存在の徴候が疑われる第1の部位を、その微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が望ましくない第2の部位から隔離する為に、閉塞要素の一部又は全体が膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に配置される。実施形態によっては、ある微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖の存在又は存在の徴候が疑われる第1の部位を、その微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が望ましくない第2の部位から隔離する為に、閉塞要素は膣、子宮頸部、及び/又は子宮と接触して配置される。閉塞要素は、装置、材料、又はこれらの組み合わせを含んでよい。実施形態によっては、方法及び装置は、場合によっては早産を引き起こしうる、羊膜腔への微生物の侵入、及び/又は妊娠中の羊膜内感染を防ぐ。
【0050】
実施形態によっては、閉塞要素に対して近位側(本明細書では膣口に近い側として定義される)にある第1の部位から、閉塞要素に対して遠位側(本明細書では膣口から遠い側として定義される)にある第2の部位への微生物の(例えば生殖による)移動及び/又は増殖を遮るために、閉塞要素の一部又は全体が膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に配置される。実施形態によっては、方法及び装置は、場合によっては早産を引き起こしうる、妊娠中の羊膜内感染を防ぐ。
【0051】
実施形態によっては、閉塞要素は、微生物の移動及び/又は増殖の経路を全面的又は部分的に遮断する。
【0052】
閉塞要素治療の対象者を決定する為に見込み患者のスクリーニングが行われてよく、閉塞要素治療は、閉塞要素を患者の膣、子宮頸部、及び/又は子宮に送達することを含む。例えば、見込み患者の子宮頸管粘液をサンプリングして評価を行うことにより、閉塞要素治療の対象者を決定してよい。場合によっては、閉塞要素治療の対象者の選択は、以下の基準のうちの1つ以上に従って行われてよい。即ち、早産したことがあるかどうか、流産したことがあるかどうか、生殖器系内の微生物の特定のタイプ、比率、数量、分布、及び/又は増殖に関する検査が陽性か陰性か、既知のリスク因子、及び/又は疑われるリスク因子に照らして、早産のリスクが高まっているかどうか、子宮頸管不全症かどうか、子宮頸管手術をしたことがあるかどうか、子宮頸部腺の少なくとも一部を除去したことがあるかどうか、生殖管感染症があるかどうか、細菌性膣炎があるかどうか、ニュージェントスコアに基づく評価の結果として、中間細菌叢があるかどうか、膣pHが高まっているかどうか、生殖器系の少なくとも一部においてシアリダーゼレベルが高まっているかどうか、子宮頸管粘液の透過性が高まっているかどうか、子宮頸管粘液の牽糸性が高まっているかどうか、子宮頸管粘液に弾力があるかどうか、並びに子宮頸管粘液の粘着度が低いかどうか、のうちの1つ以上の基準に従って行われてよい。場合によっては、本明細書に記載の1つ以上の実施形態による治療の対象者を決定する為に、見込み患者の頸膣部上皮障壁の評価が行われてよく、上皮障壁の透過性の評価は、蛍光分析及び/又はインピーダンス測定により行われてよい。
【0053】
場合によっては、閉塞要素は、ほぼ事前成形された装置で構成される。場合によっては、このほぼ事前成形された装置は、少なくとも部分的には体組織によって境界が画定される、女性生殖器系の内側の空間を呈しており、場合によっては、体組織がほぼ事前成形された装置に圧力をかけており、この圧力は、この事前成形された装置の位置を維持することに寄与する。場合によっては、ほぼ事前成形された装置の構造、その送達システム、及び/又は、ほぼ事前成形された装置と体組織との間の相互作用の性質は、タンポンのそれと類似しており、短縮されたタンポンとの類似も含めて、類似している。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、軟らかい構成要素と、硬い構成要素と、何らかの順応性を提供する構成要素とのうちの1つ以上で構成されており、軟らかい構成要素(例えば、体組織と接触する機構)は、その目的として、体組織への適合性を高めること(例えば、微生物の増殖経路を減らす為)、体組織の外傷を最小化すること、及び/又は心地よさを実現することのうちの1つ以上があってよく、硬い構成要素は、この事前成形された装置を構造的に支持することが可能であり、何らかの順応性を提供する構成要素は、例えば、挿入しやすさ、及び/又は女性生殖器系の一般的な経路に適応するように曲がることを目的とする。実施形態によっては、ほぼ事前成形された装置は、硬い構成要素(又は何らかの順応性を提供する構成要素)が軟らかい構成要素によってほぼ取り囲まれている。実施形態によっては、ほぼ事前成形された装置は、成長作用物質(例えば、抗生物質)をコーティングされた構造を含む。場合によっては、ほぼ事前成形された装置はスポンジ状である。
【0054】
実施形態によっては、ほぼ事前成形された装置は、治療(例えば、抗生物質治療)を送達するように構成される。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、化学物質又は薬剤を溶離する。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、微生物のリザーバ(例えば、ドナーから移植された微生物の集合体、又は元々はドナーから全体又は一部が調達された微生物の集合体から培養された微生物の集合体)、及び/又は成長作用物質を含む。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、微生物の成長、タイプ、比率、数量、分布、又は増殖に望ましく作用する光(例えば、紫外光)を送達し、場合によっては、特定及び/又は可変の波長、強度、及び/又は継続時間の光を送達する。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、温度治療(例えば、高温治療又は低温治療)を提供又は推進する。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、1つ以上のバッテリを含む(場合によっては、誘導充電可能な1つ以上のバッテリを含む)。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、pHセンサ、温度センサ、又は化学センサのうちの1つ以上を特徴として有する。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、データ記憶及び/又はデータ送信(無線送信を含む)の機能を有する。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、女性生殖器系から除去された後にデータを転送してよく、その後に廃棄、交換、又は再利用されてよい。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、微生物集団のサンプルをキャプチャし、これを評価することによって、微生物の成長、タイプ、比率、数量、分布、又は増殖(又はこれらのパラメータの変化)を特定してよい。場合によっては、ほぼ事前成形された装置(又は、他の場所に記載されたゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料)は、女性生殖器系内で微生物のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖に応じて色が変化してよい。
【0055】
場合によっては、閉塞装置は、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料を含み、これらは、膣、子宮頸管、又は子宮の中の部位に送達される前には第1の粘度(又は硬度)を有し、送達後には第2の粘度(又は硬度)を呈する。場合によっては、第1の粘度(又は硬度)は、第2の粘度(又は硬度)より低い。場合によっては、この装置又は材料は、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の内側によって少なくとも部分的に境界が画定される空間の形状を呈する。場合によっては、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中での装置又は材料の粘度又は硬度の遷移が、医療専門家、或いは、装置又は材料のレシピエントの更なるアクションがなくても発生する。場合によっては、この遷移は、1つ以上の化学物質の追加、光(例えば、紫外光)の曝露、熱(例えば、体熱)の曝露、冷却、体液の曝露、及び他の液体の曝露のうちの1つ以上によって可能になるか、且つ/又は加速される。場合によっては、第1の粘度(又は硬度)は第2の粘度(又は硬度)より大きく、このことで、場合によっては、送達中の取り扱いや、送達後の周囲の生体構造への適応が容易になる。
【0056】
場合によっては、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料は、生体適合性ポリマー、ケラチン、シアノアクリレート、次硝酸ビスマス(場合によっては、オイルベース)、生体吸収性材料、ジメチルスルホキシドに溶けたエチレンビニルコポリマー、ポリ(ビニルアセテート-エチレン)コポリマーの透明な熱可塑性材料、ポリウレタン、ポリエチレン、PTFE、粘土、カオリナイト、アルギン酸塩、絹、及び積層熱可塑性材料のうちの1つ以上を含む。場合によっては、臨床使用の直前に2つ以上の化学物質が混合されて、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料が調製されるが、これは、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料を所望のタイミングで硬化させる為である。
【0057】
場合によっては、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料は、第1の状態から第2の状態への遷移を達成するように処理され、膣、子宮頸管、及び/又は子宮に挿入されて、第3の状態への遷移が可能になる。場合によっては、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料は、第1及び第3の状態にあるときが、第2の状態にあるときより軟らかく、そのような場合のうちの幾つかの場合においては、処理は冷却である。場合によっては、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料は、第1及び第3の状態にあるときが、第2の状態にあるときより硬く、そのような場合のうちの幾つかの場合においては、処理は加温である。場合によっては、処理は機械的圧縮であり、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料の少なくとも一部が粘弾性挙動を示し、そのような場合のうちの幾つかの場合においては、機械的圧縮は、膣、子宮頸管、子宮、及び/又は送達システムへの送達を容易にすることが可能である。場合によっては、使用される材料は熱軟化性プラスチックである。
【0058】
例えば、閉塞構造(例えば、微生物障壁)を形成する為に塗布されてよい、本明細書に記載のコーティング材は、アルブミン、アルデヒド架橋剤を有するアルブミン、ウシ血清アルブミン、キチン、キトサン、キトサン-カテコール、DOPA(L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)と混合されたキトサン、シアノアクリレート、n-ブチル-2-シアノアクリレート、メタクリルオキシスルホランと結合されたn-ブチル-2-シアノアクリレート、2-オクチル-シアノアクリレート及びブチルラクトイルシアノアクリレート、2-オクチル-シアノアクリレート、フィブリン、ゼラチン、ゼラチン-トロンビン、ゼラチン-レゾルシノール-ホルムアルデヒド、ゼラチン-レゾルシノール-ホルムアルデヒド-グルタルアルデヒド、ゼラチン-ポリ(L-グルタミン酸)、グルタルアルデヒド-アルブミン、イガイ模倣材料、海洋接着タンパク質、藻類模倣材料、リシン、L-リシン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(グリセロールセバケート)、光架橋性ポリ(グリセロールセバケート)誘導体、ポリ(エチレングリコール)、ドーパミン官能化ポリ(エチレングリコール)、多糖ベースのヒドロゲル、デキストラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリエステル、ポリシン、e-ポリリシン、ウレタン、トリリシンアミン及びN-ヒドロキシスクシンイミドと結合されたポリ(エチレングリコール)、塩化水素及びリン酸ナトリウム-炭酸ナトリウムと結合されたポリ(エチレングリコール)、トリリシンアミンと結合されたポリ(エチレングリコール)、ポリシン及びチラミンと結合されたポリ(エチレングリコール)、テトラ-スクシンイミジルポリ(エチレングリコール)及びトリリシンアミン、ポリエステルプライマー及び光開始剤と結合されたアクリレート化ポリ(エチレングリコール)、チオール終端ポリ(エチレングリコール)と結合されたグルタリルスクシンイミジルエステル、アプロチニンと結合されたフィブリン接着剤、ポリ(L-乳酸)、ポリビニルアルコール、チラミン修飾ポリビニルアルコール、トロンビンと結合されたフィブリノーゲン、ルテニウム光触媒と結合されたフィブリノーゲン、トロンビンと結合されたウシコラーゲン、ゼラチン及びN-ヒドロキシスクシンイミド-エステル官能化ポリ(L-グルタミン酸)又はジスクシンイミジルタルトレート、光架橋性ゼラチン接着剤、微生物トランスグルタミナーゼと結合されたゼラチン、ウシアルブミン及びグルタルアルデヒド、ヒトアルブミン及びNHS-活性化ポリ(エチレングリコール)、ラクトビオン酸及びアジド官能化キトサン、HPR及び過酸化水素と結合されたチロシン修飾キトサン、チオール含有キトサン及びマレイミド含有e-ポリリシン、アルデヒド含有デキストラン及びアミン含有ポリ(エチレングリコール)又はポリリシン架橋剤、アルデヒド支持コンドロイチン硫酸及びポリ(ビニルアルコール-コ-ビニルアミン)、メタクリレート及びアルデヒド官能化コンドロイチン硫酸、NHS-活性化コンドロイチン硫酸及びアミン含有ポリ(エチレングリコール)、ポリ(L-グルタミン酸)などの材料又は材料カテゴリのうちの1つ以上をベースとしてよく、或いは1つ以上を由来としてよく、或いは1つ以上で構成されてよい。
【0059】
使用されるコーティング材は、コーティング材を子宮頸膣部に塗布して微生物障壁を形成する、本明細書に記載の変形形態において特に有用であってよい。そのような塗布において、患者の不快さや使いすぎを防ぐ為に、コーティング材は、この用途に好適な材料特性(粘度、ヤング率などを含む)を有するように選択又は修正されてよい。例えば、アルブミンベースの材料は、ヤング率がおよそ1400KPaから1500KPaであってよい。キチンベース又はキトサンベースの材料は、ヤング率がおよそ0.5KPaから6GPaであってよい。シアノアクリレートベースの材料は、ヤング率がおよそ200MPaから1200MPaであってよい。フィブリンベースの材料は、ヤング率がおよそ20KPaから150KPaであってよい。ゼラチンベースの材料は、ヤング率がおよそ5KPaから75KPaであってよい。イガイ模倣材料は、ヤング率がおよそ1500KPaから4500KPaであってよい。ポリ(アクリル酸)ベースの材料は、ヤング率がおよそ20KPaから40KPaであってよい。ポリ(グリセロールセバケート)ベースの材料は、ヤング率がおよそ50KPaから1380KPaであってよい。ポリエチレングリコールベースの材料は、ヤング率がおよそ20KPaから200KPaであってよい。
【0060】
場合によっては、注射器(シリンジを含んでよい)が一時的に、膣、子宮頸管、及び/又は子宮に挿入されて、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料を注入する為に使用されてよい。
【0061】
実施形態によっては、注射器又は他の送達装置が使用状況を追跡してよい(例えば、使用される閉塞材料の量(累積量及び/又は1回の投与量)、使用の日付、時刻、及び/又は頻度、生体構造に対して相対的な装置の位置取り、注入速度、装置が正常に動作したかどうか、のうちの1つ以上を追跡してよい)。実施形態によっては、使用状況情報は、記憶され、別個の受信器(例えば、電話)に送信されてよい。実施形態によっては、受信された情報は、処理されてよく、且つ/又は、装置のユーザ、医療専門家、及び/又は他の人々に対して表示されてよい。実施形態によっては、携帯電話のアプリケーションにより、装置の適正な使用法が助言されたり、且つ/又は、健康及び/又は妊娠に関する追加の指導が与えられたりする。
【0062】
場合によっては、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料は、無菌で与えられる。
【0063】
場合によっては、地球の重力の方向に関して、患者の方向づけが行われてよく、これにより、注入又は別の方法で導入されたゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料が所望の方向に移動するか、又は望ましくない方向には移動しなくなる。例えば、注入又は別の方法で導入されたゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料が、重力によって、膣口に向かって近位方向に引っ張られるように、患者の方向づけが行われてよい。
【0064】
場合によっては、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料の一部又は全体が、硬化後のゲル、液体、又は他の材料を構造的に支持する構成要素、或いは、ゲル、液体、又は他の材料の除去を支援する構成要素を取り囲む。例えば、この構成要素は、除去しようとする人又は器具が容易にさわれるかつかめるテザーであってよい。場合によっては、この構成要素は、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料が体内に注入される際にそれらの導管として動作してよく、例えば、この構成要素は、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料がこの構成要素から出て体内に入る際に通る1つ以上のポートを特徴として有してよく、且つ、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料が導管に入る際に通る1つ以上のポートを特徴として有してよい。ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料の注入後に、導管の近位部分が除去されてよい。
【0065】
場合によっては、閉塞要素は、送達システムを使用して送達される。送達システムは、望ましくない微生物が女性生殖器系内に入ることを最小限に抑えながら送達を推進するように構成されてよく、且つ/又は、微生物が女性生殖器系内の第1の(近位の)部位から女性生殖器系内の第2の(遠位の)部位に移動することを最小限に抑えるように構成されてよい。
【0066】
場合によっては、送達システムは、圧力制限機構を有するシリンジを含む。例えば、このシリンジは、圧力逃し弁を含んでよく、圧力逃し弁は、封止剤が望ましくない圧力、速度、及び/又は運動量でシリンジから射出されるのを防ぐことが可能である。封止剤が子宮頸膣部の近辺に射出される際の圧力、速度、及び/又は運動量を制限することにより、封止剤が子宮頸管粘液栓をかき乱したり、子宮頸部の上皮を損傷したり、且つ/又は微生物叢を子宮頸管に向かって移動させたりすることを防ぐことが可能である。送達システムは更に、圧力制限機構によりシリンジから射出された封止剤が閉じ込められるオーバフロー空間を含んでよい。例えば、オーバフロー空間は、圧力制限機構によりシリンジから射出された封止剤が患者の組織に接触するのを防ぐことが可能である。
【0067】
場合によっては、送達システムは、シリンジ、アクチュエータ、及びスイッチを有する自動定量供給システムを含む。実施形態によっては、アクチュエータは線形アクチュエータである。操作者がスイッチを押すことにより、アクチュエータがシリンジのプランジャをバレル内へ押し出して、閉塞要素の定量供給が行われてよい。このようにして、閉塞要素を定量供給する際の流体流量パラメータが、操作者の動作と切り離されることが可能である。更に、自動定量供給システムは圧力制限機構を含んでよい。例えば、自動定量供給システムは、シリンジのバレル内の圧力が目標値を超えるのを防ぐように設計された圧力センサ及び閉ループ制御系を含んでよい。
【0068】
場合によっては、送達システムは、負圧がかけられたルーメン又はチャンバを有する部材を含み、この部材は、これがない場合にはより遠位の部位に移動するであろう粘液及び/又は流体(例えば、体液又は供給された流体)を吸引する。負圧がかけられたルーメン又はチャンバは、シリンジなどの、少なくとも一部分が外部にある負圧源につながれてよい(この負圧源により、負圧が手動で与えられてよく、或いはエネルギ蓄積ばねにより与えられてよい)。
【0069】
場合によっては、送達システムは、圧力逃し機構及び送達ルーメンを含む。実施形態によっては、圧力逃し機構はルーメンである。実施形態によっては、圧力逃し機構は、細長ボディの外側表面上のチャネルである。場合によっては、送達システムの遠位先端が子宮頸部の外子宮口の近くに配置されると、封止剤が送達ルーメンを通って子宮頸部の子宮頸膣部に送達されることが可能であり、空気及び/又は体液が圧力逃し機構に入ることが可能である。圧力逃し機構は、封止剤の送達中の、子宮頸部の外子宮口の近辺の圧力を下げることが可能である。
【0070】
実施形態によっては、送達システムは、吸引ルーメン及び送達ルーメンを含む。操作者が、送達システムを利用して子宮頸管粘液を(例えば、子宮頸管から)吸引し、その後、閉塞要素の一部又は全体を、吸引された子宮頸管粘液によって占有されていた空間の少なくとも一部分に送達することが可能である。
【0071】
場合によっては、送達システムは送達シースを含み、送達シースは、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の壁の第1の(近位の)領域と接触する、送達シースの所与の部分が、その後、壁の第2の(より著しく遠位の)領域に接触することを最小限に抑えるか防ぐように、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中へと前進する。場合によっては、前進は、送達シースに加圧することにより実行される。例えば、送達シースはシリンジと結合されてよく、シリンジの圧縮により、気体又は液体によって送達シースに圧力がかかる。送達シースは、外翻構造(例えば、外翻バルーン)を含んでよく、外翻構造は、加圧されると、外翻したり、外翻を戻したり、巻きを広げたり、或いは巻き畳みを広げたりすることによって遠位方向に前進する。場合によっては、送達ルーメンが、前進した送達シースの遠位端と結合され、これにより、前進した送達シースを通って閉塞要素が送達されることが可能である。
【0072】
場合によっては、送達シースは、送達シースの巻きを広げたり、巻き畳みを広げたり、且つ/又は外翻を戻したりする力伝達機構により前進する。
【0073】
実施形態によっては、操作者は、送達シースを前進させた後に閉塞要素を送達してよい。例えば、操作者は、フィブリン接着剤を含む閉塞要素を子宮頸部の子宮頸膣部に送達してよい。閉塞要素の送達は、閉塞要素を収容するシリンジを手動で圧縮することによって達成されてよく、シリンジは、送達シースの遠位部分内を通って延びる送達ルーメンと結合されている。
【0074】
送達シースは、ベッセル、ブラダ、バッグ、及びライナのうちの1つ以上を含んでよい。実施形態によっては、送達シースは、加圧前には、折り畳み、巻き、外翻、反転、巻き畳み、及び/又は束ねが行われた構成を呈し、この構成によって、加圧中のほぼ遠位方向の移動が推進されるか可能になってよい。場合によっては、前進は、送達シース内の構造を前進させることによって実行される。場合によっては、前進の速度又は程度は、送達シースにつながれたテザーを使用して(場合によっては、前進したときに、送達シースの遠位端の内側につながれたテザーを使用して)制限及び/又は制御される。場合によっては、前進の速度又は程度は、送達シースと結合された復元機構によって制限及び/又は制御される。場合によっては、送達シースが女性生殖器系内に配置された後に、ある構成要素及び/又は材料が送達シース内に配置され、これによって送達シースが半径方向に広がって、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の壁との並置が改善されることが可能である。場合によっては、この構成要素及び/又は材料の位置は、ライナが除去される間、(例えば、遠位方向に押されることによって)ほぼ維持されることが可能であり、場合によっては、送達シースは、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に配置されたままとなってよい。
【0075】
女性生殖器系における閉塞要素治療の対象領域の、操作者による準備は、その領域の微生物叢を変更することによって行われてよい。実施形態によっては、対象領域の準備は、その領域を塩水で軽く洗うことを含む。例えば、操作者は、患者の膣に注入カテーテルを挿入し、カテーテルの遠位端が子宮頸部に近づくまでカテーテルを前進させてよい。操作者は、生理食塩水で満たされたシリンジをカテーテルにつなぎ、手動でシリンジを圧縮することにより、子宮頸部の外子宮口を取り囲む組織に生理食塩水を送達してよい。対象領域を軽く洗うことにより、その領域における望ましくない細菌の個体数を減らすことが可能である。その後、注入カテーテルを使用して、閉塞要素を送達することが可能である。実施形態によっては、送達システムは、女性生殖器系における閉塞要素治療の対象領域の準備に利用される装置及び/又は材料を含む。
【0076】
実施形態によっては、対象領域の準備は、抗菌剤を含む流体をその領域に送達することを含む。例えば、操作者は、ポビドンヨードを含む水溶液をその領域に送達してよい。実施形態によっては、対象領域の準備は、プロバイオティクスをその領域に送達することを含んでよい。
【0077】
実施形態によっては、操作者は、閉塞要素の送達前、閉塞要素の送達中、及び閉塞要素の送達後の少なくともいずれかにおいて、その領域の微生物叢を変更する装置及び方法を利用する。
【0078】
実施形態によっては、対象領域の準備は、閉塞要素治療のレシピエントに抗生物質、プロバイオティクス、微生物叢移植、又は別の治療を施すことを含み、これは、レシピエントの生殖器系に閉塞要素治療を施す前に、レシピエントの生殖器系における微生物の所望のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖を達成する為に行われる。
【0079】
患者への閉塞要素の送達は、経皮超音波などの画像化により実施されてよい。閉塞要素を送達する為の送達システムは、可視化機能を含んでよい。例えば、閉塞要素を送達する為のカテーテルは、表示システムと結合された光ファイバを含んでよい。送達システムは光源を含んでよい。例えば、閉塞要素を送達する為のカテーテルは、導光器と結合された光源を含んでよく、導光器からの光は、装置の遠位端及び/又は遠位端付近で放射される。
【0080】
実施形態によっては、送達システム及び/又は閉塞要素の適正な位置決めを可能にする為に、カメラ、スコープ、及び/又は光ファイバが、閉塞要素送達システムに組み込まれるか、閉塞要素送達システムと併用される。実施形態によっては、光源が、閉塞要素送達システムに組み込まれるか、閉塞要素送達システムと併用される。
【0081】
実施形態によっては、閉塞要素の送達に直接可視化が用いられてよい。実施形態によっては、閉塞要素の送達に膣鏡が利用されてよい。実施形態によっては、閉塞要素の送達は、子宮鏡を利用する手順において行われてよい。例えば、閉塞要素の送達の前に、子宮鏡の動作チャネルを通して、閉塞要素を送達する為のカテーテルを前進させてよい。
【0082】
本明細書に記載の装置はいずれも、膣鏡、子宮鏡などのような別の装置に組み込まれてよい。例えば、この装置、又はこの装置の送達システムは、膣鏡と結合されてよい。膣鏡と結合された送達システムは、その前進が、全面的にではなく部分的に、膣鏡との結合によって制限されてよく、例えば、送達システムは、子宮頸部に向かうか子宮頸部から遠ざかる動きが、膣鏡の挿入の主軸に沿うように制限されてよく、これにより、実施形態によっては、操作者が、コーティング材の塗布対象となる、子宮頸部の子宮頸膣部から所望の距離のところに送達アパーチャを位置決めすることが可能になりうる。
【0083】
実施形態によっては、閉塞要素及び/又はコーティング材が、超音波画像化に対して放射線透過性であるように開発されてよい。実施形態によっては、閉塞要素及び/又はコーティング材が、超音波画像化に対して無エコー又は低エコーとなるように開発されてよい。実施形態によっては、閉塞要素及び/又はコーティング材が、超音波結合及び/又は超音波伝送を容易にするように開発されてよい。
【0084】
実施形態によっては、送達システムはカテーテルを含み、カテーテルは、細長ボディ、送達ルーメン、及び位置決め機構を含む。例えば、操作者は、位置決め機構の先端が先細で丸みを帯びているカテーテルを前進させ、その先端を子宮頸部の子宮頸膣部に当てて配置することにより、子宮頸部の子宮頸膣部に対するカテーテルの位置決めを正確に行うことが可能である。操作者は、カテーテルと結合されたシリンジから子宮頸管内へ閉塞要素を送達することが可能である。位置決め機構の先端が先細で丸みを帯びたカテーテル先端である別の実施例では、操作者が、カテーテルの先端を子宮頸管内へ前進させて、閉塞要素をカテーテルから子宮頸管内へ送達することが可能である。
【0085】
実施形態によっては、位置決め機構は、閉塞要素の送達の一ステップの間に子宮頸部の外側表面の少なくとも一部分を取り囲む位置決め面を含んでよい。例えば、位置決め面は、可撓性の凹形部材を含んでよい。実施形態によっては、位置決め面は固定されてよい。或いは、実施形態によっては、位置決め面は展開可能であってよく、例えば、展開可能な遠位先端を含んでよい。
【0086】
実施形態によっては、カテーテルの位置決め機構は、展開可能な遠位先端を含んでよい。操作者は、展開可能な遠位先端を収縮させた状態でカテーテルを膣内へ前進させてよく、例えば、このとき、遠位先端の外径は、カテーテルの近位部分の外径とほぼ同じである。その後、操作者は、展開可能な遠位先端を、子宮頸部の外子宮口の近辺に配置してよく、展開可能な遠位先端を展開させてよい。操作者は、展開可能な遠位先端を、子宮頸部の一部分の周囲に配置してよい。その後、操作者は、閉塞要素を、カテーテルと結合されたシリンジから送達ルーメンを通して子宮頸部の外側表面に送達してよい。送達ルーメンの遠位口は、展開可能な遠位先端の遠位端から引っ込んだところにあってよい。
【0087】
実施形態によっては、送達システムは、細長ボディと挿入制限機構とを含む。挿入制限機構は、細長ボディの先端の近くに、典型的な妊娠中の子宮頸管の幅より大きな幅を有する部材を含んでよい。挿入制限機構は、操作者が、子宮頸管粘液栓及び/又は子宮頸管の上皮を誤って破壊することなく、細長ボディの先端を子宮頸部の子宮頸膣部の近くに配置することを可能にしうる。実施形態によっては、挿入制限機構は、送達システムが子宮頸管に挿入されるのを防ぐことが可能である。実施形態によっては、挿入制限機構は、送達システムが子宮頸管に挿入される深さを、所定の深さに制限することが可能である。実施形態によっては、細長ボディは、シリンジと結合された塗布器先端を含む。
【0088】
実施形態によっては、閉塞要素送達装置から頸膣部組織に照射される光が、閉塞要素が表面又は内部に噴霧されるか別の方法で塗布されるゾーン、ゾーンの一部、又は大まかなゾーンを示す。実施形態によっては、この光はレーザ光である。実施形態によっては、この光はLED光である。実施形態によっては、そのゾーン、ゾーンの一部、又は大まかなゾーンを取り囲むリング、断続的なリング、又は他の、境界を表す道筋が、光パターンによって実質的に形成される。実施形態によっては、閉塞要素の送達の狙いを正しくつけるために、光を子宮頸管の開口部(例えば、子宮頸管内膜)に向けてよく、或いは子宮頸管の中心に向けてよい。実施形態によっては、光の焦点距離は、標的組織に照射される光が合焦したときの送達装置と標的組織との間の距離が所望の距離になるように設定されてよい。
【0089】
実施形態によっては、送達システムは、シリンジ、送達ルーメン、及び整形機構を含む。例えば、閉塞要素は、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、及び/又は他の材料を含んでよく、シリンジから、送達ルーメンを通って、子宮頸部の外子宮口を取り囲む組織に送達されてよく、送達中に整形機構によって空間的に閉じ込められてよい。整形機構は、送達ルーメンの遠位口を取り囲む凹面を含んでよく、閉塞要素を所望の形状、厚さ、及び/又は位置に、空間的に閉じ込めることが可能であるが、閉塞要素は、(例えば、化学反応に起因して)粘度及び/又は硬度が遷移する。送達システムが除去された後、閉塞要素の少なくとも一部が、整形機構によって形成された形状を含んでよい。整形機構は、操作者が、閉塞要素を均一な厚さで送達することを可能にしうる。
【0090】
送達システムは、軟らかい遠位先端、球状先端、可撓性シャフト、反響性先端、反響性シャフト、過挿入を機械的に防ぐ機構、及び挿入深さを決定しやすくする、シャフトの長手方向のマーキングのうちの1つ以上を含んでよい。
【0091】
場合によっては、閉塞要素、及び/又は閉塞要素の形成に使用される1つ以上の材料が、送達システムにあらかじめ充填されてから、送達システム及び/又はその一部分が女性生殖管内に配置される。
【0092】
実施形態によっては、閉塞要素は、外科用接着剤及び/又は外科用封止剤を含む。例えば、閉塞要素は、フィブリン封止剤、シアノアクリレート接着剤、ヒドロゲル、ポリエチレングリコールポリマー、及びゼラチン-トロンビン封止剤のうちの1つ以上を含んでよい。閉塞要素は、フィブリン封止剤、シアノアクリレート接着剤、ヒドロゲル、ポリエチレングリコールポリマー、及びゼラチン-トロンビン封止剤のうちの1つ以上に由来する材料を含んでよい。閉塞要素は、溶解するか、患者の体から再吸収されるか、且つ/又は患者の体によって吸収されるように構成されてよい。閉塞要素は、膨張が所定の閾値体積パーセント未満になるように構成されてよく、且つ/又は、膨張が所定の閾値体積パーセントを超えるように構成されてよい。閉塞要素は、患者の女性生殖器系の上皮に粘着するように構成されてよい。
【0093】
実施形態によっては、閉塞要素の送達の前に、患者の女性生殖器系のうちの、閉塞要素との接触が予定されている標的領域の準備が行われる。例えば、閉塞要素の粘着性を高める為に、標的領域から流体が除去されてよく、閉塞要素は外科用封止剤を含む。
【0094】
実施形態によっては、閉塞要素は、患者の女性生殖器系を機械的に支持することが可能である。例えば、外科用封止剤を含む閉塞要素は、頸管不全がある患者の子宮頸部を機械的に支持することが可能である。実施形態によっては、閉塞要素は、患者の女性生殖器系を機械的に支持する為に、機械的支持要素と一緒に利用される。例えば、閉塞要素は、シリコーン製子宮頸部ペッサリと一緒に利用されてよい。
【0095】
実施形態によっては、閉塞要素は、送達システムの遠位端からの噴霧として送達されてよい。実施形態によっては、液体及び/又はゲルを含む閉塞要素は、送達システムの遠位端から射出されてよい。実施形態によっては、シリンジのプランジャを押すことによって、液体及び/又はゲルを含む閉塞要素の前進及び/又は射出が行われてよい。実施形態によっては、送達システムの遠位シースを後退させることによって、閉塞要素を露出させてよい。実施形態によっては、液体及び/又はゲルを含む閉塞要素の前進及び/又は射出は、閉塞要素とあらかじめ加圧されているチャンバとの間の弁を開くことによって行われてよい。
【0096】
実施形態によっては、閉塞要素は、生体適合性ポリマー、ケラチン、シアノアクリレート、次硝酸ビスマス(場合によっては、オイルベース)、生体吸収性材料、ジメチルスルホキシドに溶けたエチレンビニルコポリマー、ポリ(ビニルアセテート-エチレン)コポリマーの透明な熱可塑性材料、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリスルホン、ポリアミド粘土、カオリナイト、アルギン酸塩、及び積層熱可塑性材料のうちの1つ以上から構成されてよい。
【0097】
実施形態によっては、閉塞要素は、膣、子宮頸管、又は子宮における微生物のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖を変化させるか、且つ/又は維持する条件を促進する。例えば、閉塞要素は、成長に作用する物質、薬剤、又は形状(例えば、成長を促進する薬剤、物質、又は形状、或いは成長を遅らせる薬剤、物質、又は形状)を含んでよい。場合によっては、成長に作用する薬剤、物質、又は形状は、第1の微生物群に対して、他の微生物群に対する場合よりも不均衡な作用、及び/又は他の微生物群に対する場合と逆の作用を与える。
【0098】
実施形態によっては、閉塞要素の送達後に、操作者が、閉塞を与えることにおける閉塞要素の有効性の評価を行う。実施形態によっては、流体ベースの評価が利用される。例えば、操作者が、インドシアニングリーンを含む溶液を患者の膣に送達し、その後、蛍光画像化を用いて、閉塞要素に対して近位側及び遠位側の相対蛍光レベルを評価することにより、閉塞要素が所望の閉塞レベルを実現しているかどうかを判定することが可能である。別の実施例では、操作者が、超音波造影剤を患者の膣に送達し、その後、超音波画像化を用いて、閉塞要素が所望の閉塞レベルを実現しているかどうかを判定することが可能である。
【0099】
実施形態によっては、非流体ベースの評価が利用される。例えば、閉塞要素は、フィブリン封止剤及び蛍光化合物を含んでよい。閉塞要素の送達後、操作者は、閉塞要素によって与えられる閉塞の評価を行うことが可能であり、この評価は、蛍光化合物を励起させる光を閉塞要素に照射し、蛍光化合物から発せられる光を検査し、閉塞要素が標的の生体構造を十分覆っているかどうかを判定することによって行われる。実施形態によっては、閉塞要素は、白色光の照明下で可視である着色剤を含み、この着色剤は、閉塞要素が標的生体構造を十分覆っているかどうかを判定することを支援する。例えば、閉塞要素は、生体適合性の青色着色剤を含んでよい。
【0100】
場合によっては、送達システムは、変形可能なベッセル、ブラダ、バッグ、又はライナを含み、これらの一部又は全体に閉塞要素が充填される。場合によっては、変形可能なベッセル、ブラダ、バッグ、又はライナは第1のステップで送達され、閉塞要素は第2のステップで送達される。場合によっては、変形可能なベッセル、ブラダ、バッグ、又はライナは、巻き畳みを広げられて膣、子宮頸管、及び/又は子宮に入れられるが、これは、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の壁の第1の(近位の)領域と接触する、ベッセル、ブラダ、バッグ、又はライナの所与の部分が、その後、壁の第2の(より著しく遠位の)領域に接触することを最小限に抑えるか防ぐように行われる。場合によっては、巻き畳みを広げることは、ベッセル、ブラダ、バッグ、又はライナを加圧することによって実行される。場合によっては、巻き畳みを広げることは、ベッセル、ブラダ、バッグ、又はライナの中で構造物を前進させることによって実行される。場合によっては、巻き畳みを広げることの速度又は範囲は、バッグにつなげられたテザーを使用して制限される。
【0101】
場合によっては、装置、材料、又はこれらの組み合わせは、無菌で与えられる。
【0102】
場合によっては、女性における閉塞要素及び/又は送達システムの使用は、妊娠期間の最初の時点で開始されてよく、満期妊娠を表していると判定された、妊娠期間の達成、を過ぎたと判定された、妊娠期間の達成、本発明の残りの限界利益が更なる使用を正当化又は要求しない妊娠期間の達成、出産、患者において早産を引き起こす羊膜感染のリスクが十分低いという判定、女性生殖器系における微生物のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が本発明の使用を必要としていないか、もはや必要としないという判定、本発明が女性又は胎児に対して容認不可能なリスクを生じさせているか、女性又は胎児に対する容認不可能な悪影響の原因になっているという判定、バイオマーカ関連の条件が満たされたという判定のうちの1つ以上があった時点で終了されてよい。
【0103】
場合によっては、使用の開始は、妊娠する前、即ち、妊娠していないときであってよく、これは、例えば、微生物の所望のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖を達成するか維持する為である。場合によっては、使用の終了は、微生物の所望のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が達成された時点であってよい。
【0104】
場合によっては、使用は、閉塞要素の少なくとも1回の交換を含んでよい。場合によっては、代替の閉塞要素は、交換される1つ以上の閉塞要素と異なるものであってよく、これは、例えば、生体構造の変化(例えば、妊娠に伴う変化)に適応する為、或いは、女性生殖器系内の状態(例えば、女性生殖器系内の微生物のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖)の変化に対応する為である。
【0105】
実施形態によっては、操作者は、第1の閉塞要素を患者の子宮頸管に送達してよい。第1の閉塞要素の送達から一定期間が経過した後、例えば、第1の閉塞要素の送達の3週間後に、操作者は、第1の閉塞要素の評価を行い、第2の閉塞要素が有益であろうと判断し、第2の閉塞要素を患者に送達することがあってよい。実施形態によっては、操作者は、第1の閉塞要素の少なくとも一部を除去してよい。実施形態によっては、第1の閉塞要素は、患者内に保持されてよい。実施形態によっては、第1の閉塞要素の送達を実施する操作者と、第2の閉塞要素の送達を実施する操作者とが異なってよい。実施形態によっては、第2の閉塞要素の送達が必要になるのは、第1の閉塞要素の少なくとも一部の再吸収、溶解、及び/又は吸収の為であってよい。
【0106】
実施形態によっては、閉塞要素が妊娠患者に送達された後、患者は普通分娩で出産することが可能である。実施形態によっては、出産前に、閉塞要素の少なくとも一部が変更及び/又は除去されてよい。例えば、操作者は、出産前に、閉塞要素を通るルーメンを形成してよい。実施形態によっては、操作者は、出産前に、閉塞要素に溶剤を塗布してよい。実施形態によっては、閉塞要素の少なくとも一部が、剥離、切削、膨張、及び吸引のうちの1つ以上によって変更されてよい。
【0107】
実施形態によっては、閉塞要素の一特性が温度感受性であってよい。例えば、閉塞要素の粘度は、温度の上昇とともに高くなってよい。操作者は、閉塞要素の表面を低温にすることにより、閉塞要素の粘度を下げて除去を可能にしてよい。
【0108】
実施形態によっては、閉塞要素の少なくとも一部を変更及び/又は除去することは、操作者の介在なしで行われてよい。実施形態によっては、閉塞要素は、患者の体に吸収及び/又は再吸収されてよい。例えば、フィブリン封止剤を含む閉塞要素が、患者の体に吸収されてよい。
【0109】
場合によっては、ひもなどの除去支援構成要素が、閉塞要素から膣口に向かって(場合によっては、膣口の外に向かって)延びてよい。場合によっては、除去を容易にする為に、閉塞要素と係合する独立した器具が使用されてよい。例えば、その独立した器具が女性生殖器系内へ前進すると、独立した器具の遠位端又は遠位端付近にある第1の除去容易化機構と、閉塞要素の近位端又は近位端付近にある第2の除去容易化機構とが係合してよく、これにより、独立した器具を除去すれば閉塞要素も除去されることが可能になる。場合によっては、第1及び第2の除去容易化機構は、第1の磁石及び第2の磁石であってよい。
【0110】
実施形態によっては、閉塞要素が妊娠患者に送達された後、患者は帝王切開で出産することが可能である。実施形態によっては、出産後に、閉塞要素が変更及び/又は除去されてよい。実施形態によっては、閉塞要素は、出産の直前に変更及び/又は除去される。
【0111】
閉塞要素は、除去後に、女性生殖器系内の微生物のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖に関する情報を収集する検査が行われてよい。除去は、閉塞要素を、(例えば、除去担当者の手からの)汚染が最小限か全くない状態で保管容器に移すことが可能であるような方法で行われてよい。例えば、保管容器は、(例えば、バッグ又は手袋のような形状の)把持機構又は把持面を特徴として有してよく、これは、少なくとも場所によっては、一方の側において除去担当者又は除去器具によって接触されるが、閉塞要素の、除去を支援する構成要素に接触する別の側においては接触されない。
【0112】
実施形態によっては、膣、子宮頸管、及び/又は子宮が管腔内凝固物によって閉塞される。これは、ある微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖の存在又は存在の徴候が疑われる第1の領域を、その微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が望ましくない第2の領域から隔離する為に行われる。
【0113】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料、及び/又は本明細書に記載の送達ツールは、妊婦が自分で塗布又は挿入してよい。
【0114】
実施形態によっては、1つ以上の塗布器を含むキットが与えられてよい。塗布の実施を妊婦に指示する命令が与えられてよく、この命令は、与えられたカレンダ又は予定表に従って、1回、又は指示された頻度で多数回、塗布を実施するか、前回塗布された閉塞要素の完全性が少なくとも部分的に損なわれているように見える場合に塗布を実施することを指示する。
【0115】
場合によっては、少なくとも1つの閉塞要素送達システムを含むキットが与えられてよい。場合によっては、このキットは更に、膣鏡、防腐剤、手袋、印刷された取扱説明書、及び手袋を含んでよい。
【0116】
実施形態によっては、塗布器は、膣に挿入される細長い装置を含み、操作者が実施するアクション(例えば、この細長い装置に収容又は接続されているシリンジの圧縮)に続いて、装置から溶液が噴霧されるか、別の方法で先端から放出される。場合によっては、溶液は、操作者又は操作者のアクションによって加圧されて、先端から押し出される。場合によっては、溶液はあらかじめ加圧されていて、操作者のアクションによって経路が開かれて、溶液が先端から放出される。
【0117】
実施形態によっては、溶液は、塗布器の先端にあって、塗布器が膣に挿入された時点で、本発明が意図する機能のうちの1つ以上を実施することを促進する位置にある。例えば、塗布器を前進させることにより、溶液を子宮頸部の子宮頸膣部の周辺に配置することが可能である。実施形態によっては、溶液と収容装置の両方が、解放機構の有無にかかわらず、塗布器によって位置決めされ、塗布器の除去時に後に残されてよい。
【0118】
実施形態によっては、塗布器は、膣に挿入される細長い装置を含み、この装置から、ほぼ事前成形された装置が放出される。場合によっては、ほぼ事前成形された装置は、標的組織に接触した後に細長い装置から放出される圧力感受性接着剤を含む。
【0119】
実施形態によっては、ほぼ事前成形された装置は、その装置の配置及び/又は再配置を支援する機能を含む。例えば、ほぼ事前成形された装置はハンドルを含んでよい。
【0120】
実施形態によっては、塗布器又は送達装置は、シリンジ、シリンジを少なくとも部分的に取り囲む軟らかい材料、閉塞材料を望ましいように集中又は分散させる先端のうちの1つ以上から構成される。
【0121】
本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、幾つかある機能のうちの1つ以上を実施してよい。第1の機能例では、女性生殖器系内のある場所から別の場所への(例えば、膣から子宮頸管を通って羊膜腔に至る)微生物の上昇又は増殖の経路を閉塞することが可能であり、且つ/又は、炎症及び/又は子宮頸部のリモデリングにつながりうる、微生物と頸膣部の組織(例えば、子宮頸部の外子宮口)との間の直接暴露の経路又は部位を閉塞することが可能である。第2の機能例では、これらが接触するか、(直接又は間接的に)覆うか、隔離する組織層を、微生物又は微生物由来の生成物を含む流体を吸収しにくくすることが可能であり(例えば、上皮完全性を維持して間質組織層を保護することが可能であり)、且つ/又は微生物又は微生物由来の生成物に接触しにくくすることが可能である。第3の機能例では、(例えば、頸管不全を防止又は緩和するために、且つ/又はペッサリの機能を実施するために)これらが接触するか、力又は圧力をかける解剖学的特徴の所望の構成、場所、又は姿勢を構造的に支持することが可能である。第4の機能例では、環境的又は解剖学的変化(例えば、妊娠に関連する状態(例えば、子宮頸部の硬度や寸法)の変化)を検出するか、情報(例えば、妊娠に関連する状態の変化に関する情報)を記憶又は送信する装置を収容することが可能である。第5の例では、(実施形態によっては、検出された環境的又は解剖学的変化、及び/又は妊娠期間の変化に対する応答として)治療(例えば、暖気、冷気、薬物、化学薬剤、プロバイオティクス薬剤、又は抗生物質製剤)を格納及び/又は送達する装置を収容することが可能である。本出願に記載の、これらの機能の様々な説明及び実施形態、並びに関連する送達ツール、送達方法、患者選択手順、及び手続き型アプリケーションは、これらの機能例のあらゆる組み合わせ又はサブセットを特徴とする実施形態に当てはまるものと理解されたい。更に、これらの機能例は、相互に作用し、場合によっては、部分的に重なり合うことを理解されたい。
【0122】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、膣から子宮頸管に入る少なくとも1つの経路を遮断されないまま残す。この少なくとも1つの遮断されないまま残される経路は、養分、分子、体液、又は材料の移動を可能にすることができ、子宮頸管又は子宮頸管粘液栓の検査、又はこれへのアクセスを可能にすることができ、且つ/又は出産を容易化することができる。実施形態によっては、膣から子宮頸管に入る少なくとも1つの経路の遮断は、一時的な調節または一時停止が可能である。例えば、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、一部又は全体が膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に配置されて、少なくとも1つの、膣から子宮頸管に入る経路を遮断されないまま残し、その一方で、ある微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖の存在又は存在の徴候が疑われる第1の領域を、その微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が望ましくない第2の領域から隔離することが可能である。
【0123】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、膣から子宮頸管に入る、微生物の移動又は増殖の経路を、完全に遮断するのではなく、長くするように構成され、これによって、子宮頸管から体液又は物質を排出することが可能になりうる。例えば、これによって、1つ以上の移動又は増殖の経路からなる第1の経路群を閉塞することが可能でありながら、それによって少なくとも部分的に形成される面に沿って、1つ以上の連続する経路からなる第2の経路群を与えることが可能であり、同時に、子宮頸管から体液又は物質を排出する為の経路を形成又は維持することが可能である。
【0124】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、子宮頸部の子宮頸膣部に塗布され、一方、ある装置が、子宮頸管の開口部と部分的に重なる領域を遮蔽する。例えば、溶液が子宮頸部の子宮頸膣部に噴霧又は別の方法で塗布される間、ある装置の一機構が子宮頸部の子宮頸膣部の一領域にもたれて、子宮頸管の開口部を覆うことが可能である。
【0125】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料の実効的な遮断及び/又は透過性は、部位間で異なる。例えば、子宮頸管の開口部と部分的に重なる部位の透過性は、子宮頸部の子宮頸膣部を覆うかコーティングする部位の透過性より低くてよく、これは、体液が子宮頸管に入る移動、及び/又は体液が子宮頸管から出る移動を可能にする為である。
【0126】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、(例えば、頸管不全を防止又は緩和するために、且つ/又はペッサリの機能を実施するために)これらが接触するか、力又は圧力をかける解剖学的特徴の所望の構成、場所、又は姿勢を構造的に支持する。これは、そのフープ剛性を高める構造要素によって補強されてよい。これが閉塞要素によって子宮頸部の子宮頸膣部に与える圧縮力は、調節可能であってよく、たとえば、子宮頸部の子宮頸膣部の少なくとも一部をぐるりと回るフィラメント又はバンドを締めつけることによって調節可能であってよい。
【0127】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、膜の破裂が発生しているかどうかを示すように構成される。例えば、封止剤を含む閉塞要素が、ニトラジンのように、pHに応じて色が変わる化学物質を含んでよい。膜の破裂が発生すると、その化学物質は、羊水の曝露によって色が変わることがある。実施形態によっては、膜の破裂を示すマーカとして、α-フェトプロテイン、クレアチニン、尿素、及び/又は胎盤α-マイクログロブリン1が使用されてよい。
【0128】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、膜の破裂を示すマーカを検出するセンサと、膜が破裂したかどうかの通知を手持ち式装置に伝達する通信手段とを収容する。例えば、閉塞要素は、信号処理手段と結合されたpHセンサ、アナログデジタル変換器を有するプロセッサ、及びBluetooth(登録商標)モジュールを収容してよい。
【0129】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、羊水と接触した後に、分解、脱離、及び/又は別の動作で羊水が膣に到達することを可能にするように構成される。例えば、封止剤を含む閉塞要素が、羊水の典型的なpHに曝されると分解する可能性がある。
【0130】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、子宮頸部組織、子宮頸管粘液栓、子宮、及び/又は頸膣部環境の、妊娠に関連する状態を示す特性を測定又は監視するように構成される。例えば、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、子宮頸部組織の電気インピーダンス、子宮頸部組織の蛍光、及び/又は子宮内の電気的活動を測定するように構成されてよい。実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料の再塗布又は交換が必要かどうかを判定すること、及び/又は早期陣痛のリスクを評価することのうちの1つ以上の為に、情報が記憶され、実施形態によっては、情報が受信器(例えば、スマートフォン)に送信されて、使用される。
【0131】
実施形態によっては、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料は、それらの機能レベル及び/又は交換の必要性を評価するのに使用可能な情報を伝える。例えば、埋め込まれた要素が、その再吸収又は分解と相互に関連する頸膣部環境に曝されると、埋め込まれた要素に含まれる回路の実効抵抗が変化する可能性がある。この抵抗変化に誘発されて、本明細書に記載の閉塞要素、ほぼ事前成形された装置、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、懸濁液、装置、システム、キット、及び/又は他の材料の再塗布又は交換が必要かどうかを判定すること、又は早期陣痛のリスクを評価することに使用可能な情報が送信されることが可能である。
【0132】
実施形態によっては、妊婦の子宮頸管内に自然形成される子宮頸管粘液栓の評価が行われ、評価結果に基づいて治療内容が決定される。
【0133】
この評価は、子宮頸管粘液栓の1つ以上の特性、例えば、長さ、透過性、インピーダンス、弾性係数、牽糸性、貯蔵弾性率、損失弾性率、透明度、及び/又は色に基づいて行われてよい。超音波、光学的分析、直接可視化、電流印加、化学薬剤の塗布などの手段を用いて、諸特性の測定が行われてよい。特性化は生体内で実施されてよく、或いは、子宮頸管粘液栓の一部が取り出されて、その場で評価が行われてよい。
【0134】
子宮頸管粘液栓が、上行性感染に対する十分な保護を行うには不十分であると考えられる場合には、本発明による妊婦の治療を行うことが決定されてよい。
【0135】
本明細書において言及される人間の女性生殖器系に関連する解剖学的な形体及び領域の一例を、図1に大まかに示す。ここでは、子宮腔101、子宮頸管105、外子宮口103、及び膣104が示されている。子宮頸膣部(本明細書に記載のように、子宮頸部の膣側の面)が101として示されており、子宮頸管の開口部は、子宮頸膣部の中ほどの領域に示されている。大まかには、本明細書に記載の開示は、膣管、従って、粘液栓(図示せず)をかき乱すことを防ぎながら、子宮頸膣部101上に微生物障壁を形成することを含むが、変形形態によっては、追加又は代替の閉塞部材が子宮頸管に挿入されてよい。図2は、妊婦の膣、子宮頸部、及び子宮の生体構造の一例であり、ここでは、子宮頸管202内に配置された閉塞要素201が示されている。実施形態によっては、閉塞要素201は、全体が子宮頸管202内に収容される。実施形態によっては、閉塞要素201の一部が膣203内に延びる。実施形態によっては、閉塞要素201の一部が子宮腔204内に延びる。
【0136】
図3から図11は、そのような閉塞要素の様々な実施形態を示す。例えば、図3に示される実施形態の閉塞要素は、ほぼ丸い両端部と、断面が円形である、ほぼ円筒形の長い領域とを有する。実施形態によっては、閉塞要素の断面形状は、円形、楕円形、子宮頸管、膣管、又は子宮腔の断面形状に似せた断面の形状のうちの1つ以上であってよい。実施形態によっては、閉塞要素の断面形状は、長さ方向に沿って可変であってよい。
【0137】
図4に示される閉塞要素は、補強構造401と軟らかい構造402とを特徴として有する。補強構造401は、閉塞要素の所望の形状の維持を支援することが可能であり、一方、軟らかい構造402は、快適さを向上させ、且つ/又は、子宮頸管の内部形状に似せることが可能である。実施形態によっては、補強構造401は、生体適合性ポリマー、ヒドロゲル、ニチノール、ステンレス鋼、プラスチック、ファブリック、フォームのうちの1つ以上で作られる。実施形態によっては、軟らかい構造402は、生体適合性ポリマー、ヒドロゲル、ニチノール、ステンレス鋼、プラスチック、ファブリック、フォームのうちの1つ以上で作られる。実施形態によっては、補強構造401は、軟らかい構造402とほぼ同じ材料で作られるが、密度及び/又は剛性が軟らかい構造402より高い。例えば、補強構造401は、第1の多孔率を有するフォーム材料で作られてよく、軟らかい構造402は、第1の多孔率より高くてよい第2の多孔率を有する同じフォーム材料で作られてよい。
【0138】
図5に示される閉塞要素は、除去を可能にする機構501を有する。除去を可能にする機構501は、閉塞要素から大まかな膣口の方向に突き出たひも又はフィラメントであってよい。除去を可能にする機構501は、閉塞要素の埋め込み前、埋め込み中、又は埋め込み後に、短い長さに切られてよい。実施形態によっては、除去を可能にする機構501は、閉塞要素の硬化時に、閉塞要素に固定されるか、一部が閉塞要素内に固定される。場合によっては、除去を可能にする機構は磁石であり、これは、閉塞要素を除去する為に膣管に挿入される除去器具に付いている別の磁石に磁気的に引き付けられる。
【0139】
図6及び図7に示される閉塞要素は、長さ方向に沿って断面形状が変化する。場合によっては、この変化は、断面積、直径、又は別の、少なくとも部分的に断面を画定する主要パラメータの増減が交互に発生することを含む。この変化は、閉塞要素の全長に沿って発生してよく、或いは、閉塞要素の長さの一部に沿って発生してもよい。
【0140】
図8に示される閉塞要素は、少なくとも1つの幾何学的形体801を有し、この形体は、閉塞要素が望ましくない方向に移動することを防ぎ、且つ/又は、閉塞要素が望ましい場所に移動することを促進する。幾何学的形体801は、子宮頸管の壁と相互に作用することが可能であり、結果として、この形体と子宮頸管の壁との間の法線力が子宮頸管のほぼ軸方向の経路に対して垂直でない方向を向くように、相互に作用することが可能である。
【0141】
図9に示される閉塞要素は、位置を維持する機構901を有する。図示された実施形態では、位置を維持する機構901は、子宮頸管の入口又は出口で生体構造と機械的に干渉することにより、閉塞要素の望ましくない移動を阻止し、且つ/又は、閉塞要素の位置に関するフィードバックを、閉塞要素を埋め込む担当者に与える。実施形態によっては、位置を維持する機構901は、円錐形、球形、卵形、円板状、フランジ状、腕形のうちの1つ以上の種類の形状を有し、或いは、これらのうちの1つ以上の種類の形状を、材料が欠けている領域とともに有する。多くの実施形態では、位置を維持する機構901は、閉塞要素の長さ方向に沿う機構901の場所における主要寸法特性、例えば、直径、長さ、又は断面積が、子宮頸管内に収容されることを意図された、閉塞要素の長さ方向に沿う別の場所における対応する寸法特性を上回る。
【0142】
図10に示される閉塞要素は、閉塞要素と子宮頸管の壁との間が所望の実効摩擦係数になるようにすることを意図された表面1001を有する。実施形態によっては、表面1001の所望のテクスチャは滑らかであり、例えば、子宮頸管への挿入が容易になるように機能してよい。場合によっては、表面1001を滑らかにする為、又は、表面1001と子宮頸管の壁との間の摩擦係数を小さくする為に、閉塞要素にPTFEなどの材料がコーティングされてよい(或いは、閉塞要素がPTFEなどの材料で作られてよい)。場合によっては、表面1001が、移動を阻止するか最小限に抑えるように子宮頸部の壁と相互に作用することが望ましい場合があり、これらの場合、表面1001の仕上げが特に滑らかでもないこと、及び/又は、表面1001と子宮頸管の壁との間の摩擦係数が高いことが望ましい場合がある。この、表面1001の特に滑らかではない仕上げは、溝、くぼみ、リブ、増大部、縦横に走る溝のうちの1つ以上を、閉塞要素の表面の少なくとも一部に形成することによって達成しうる。表面1001と子宮頸管の壁との間の摩擦係数が高いことは、閉塞要素に医療グレードのゴムなどの高摩擦材料をコーティングすること(又はそのような高摩擦材料で閉塞要素を作ること)によって達成されうる。
【0143】
図11に示される閉塞要素は、チャネル1101のようなチャネルを通して材料を放出するように構成される。場合によっては、この材料は、1種類以上の細菌の拡散を防ぐか減らすことを意図された抗生物質である。場合によっては、この材料は、1種類以上の細菌の拡散を促すか維持することを意図されたプロバイオティクスである。場合によっては、この材料は、ドナーからの微生物叢移植を含む。場合によっては、この材料は、少なくとも一部が閉塞要素内に収容されるリザーバに格納される。場合によっては、この材料は、少なくとも一部が、閉塞要素の表面のコーティングの中に収容される。場合によっては、チャネル1101のようなチャネルは不要であり、閉塞要素に存在しない。
【0144】
一般に、図3から図11に示された子宮頸管の障壁インプラントは、それら自身で微生物障壁を形成するように使用されてよく、或いは、本明細書において詳述されるように、子宮頸膣部に塗布される子宮頸膣部微生物障壁とともに使用されてよい。或いは、変形形態によっては、子宮頸膣部障壁(子宮頸膣部に塗布される微生物障壁又はフィルム)は、子宮頸管に何も(そして特に障壁インプラントを)挿入せずに塗布されてよく、実際、存在する可能性のある粘液栓及び/又は子宮を全くかき乱さないように、子宮頸管は完全に避けられてよい。インプラントは、子宮頸膣部障壁とともに使用される場合には、最初に、子宮頸部の子宮頸膣部への微生物障壁の塗布の前に、子宮頸管に挿入されてよい。
【0145】
変形形態によっては、障壁インプラントは、液体、半固体(例えば、ゲルなど)として挿入され、挿入後に硬化することが可能である。図12は、少なくとも一部が子宮頸管内にある部位に送達部材1202によって与えられる閉塞要素1201を示す。例えば、閉塞要素の少なくとも一部の材料は、送達前には液体、ゲル、又は軟化状態であり、場合によっては、この材料は、送達管と結合された注入ツール1203(例えば、シリンジ)に収容される。場合によっては、送達部材は管である。場合によっては、送達管は増大部1204を有し、増大部1204は、場合によっては、送達部材の子宮頸管への過挿入を防ぐ。場合によっては、増大部1204は、閉塞要素が存在することが望ましい第1の領域を、閉塞要素が存在することが望ましくない第2の領域から隔離する。図12に示された、本発明の変形形態では、増大部1204は、送達部材1202上の、閉塞要素1201が放出される部位より遠位にある、送達部材1202上の部位に配置されてよく、この変形形態では、増大部1204は、閉塞要素1201がその意図された部位より遠位にある部位に達するのを防ぐ。場合によっては、増大部は、閉塞要素の所望の部位の遠位と近位の両方に配置され、場合によっては、閉塞要素が増大部の表面より近位又は遠位に位置することを防ぐ。場合によっては、増大部は、(場合によっては、閉塞要素の硬化時に)閉塞要素の形状の少なくとも一部の形成を支援する。場合によっては、増大部1204は、周囲の組織を圧迫する軟らかい材料である。場合によっては、増大部1204は、可膨張性部材であり、送達部材1202内を通るルーメンから注入される気体又は液体によって膨らむ。場合によっては、増大部1204は、送達部材1202上に存在しない。場合によっては、閉塞要素は、押し出し器(図12には示されず)に押されて送達部材内を前進し、押し出し器があれば注入ツール1203は不要になってよい。場合によっては、図12に示されたシステム、又はその変形形態は、子宮鏡、膣鏡、組織把持ツールのうちの1つ以上とともに使用される。
【0146】
閉塞要素1201の少なくとも一部を含んでよい材料は、子宮頸管内への送達の直前に準備されてよく、この準備は、場合によっては、前もって混合されていない2つ以上の成分を混合することによって行われる。場合によっては、除去を可能にする機構が子宮頸管内に配置され、その後、閉塞要素を形成する材料が子宮頸管に注入されて、除去を可能にする機構の少なくとも一部を封入する。本明細書に記載のどの閉塞インプラントを形成する材料も、本明細書に記載の、子宮頸部の子宮頸膣部に対する微生物障壁を形成する材料と同じであってよい(そして逆もあってよい)。
【0147】
閉塞インプラント及び/又はフィルムを送達する為に、送達シースが使用されてよい。例えば、図13及び図14は、解剖学的領域内(場合によっては、女性生殖器系内)で送達シースを位置決めする装置の断面図を示す。場合によっては、この装置は、送達シース1301の少なくとも一部が、膣壁又は子宮頸管に沿って第2の(遠位の)部位に接触する前に膣壁又は子宮頸管に沿って第1の(近位の)部位に接触することを防ぎ、これによって、装置の配置によって微生物が第1の(近位の)部位から第2の(遠位の)部位に移動する可能性を減らす。図示された実施形態では、送達シース1301が結合場所1302において構成要素1303と結合され、構成要素1303が特徴として有してよいフランジ1304が、取り扱いを支援し、且つ/又は、構成要素1303が膣又は子宮頸管に過挿入されるのを防ぐ。力伝達機構1305を(図13に描かれた)第1の位置から(図14に描かれた)第2の位置まで前進させることにより、送達シース1301の巻き畳みが広げられる。実施形態によっては、ストッパ1306が構成要素1303と係合して、力伝達機構1305が前進し過ぎるのを防ぐ。実施形態によっては、ストッパ1306は存在しない。従って、変形形態によっては、シースは、閉塞インプラント及び/又は微生物障壁が子宮頸部の子宮頸膣部に挿入される際に生体構造を保護することに使用されてよい。
【0148】
実施形態によっては、力伝達機構1305が送達シース1301を通り過ぎて延びるのを防ぐ為に、力伝達機構1305と送達シース1301の相対的な長さが選択される。
【0149】
力伝達機構上のマーキングによって、送達シース1301及び/又は力伝達機構1305の貫入深度が示されてよい。
【0150】
結合場所1302は、図13及び図14に描かれた場所と異なってよく、例えば、構成要素1303の外壁、構成要素1303の内壁、構成要素1303の遠位端のうちの1つ以上において結合が行われてよい。実施形態によっては、送達シース1301は、少なくとも一部が、巻き畳みが広げられる位置に向かって機械的に付勢されている。実施形態によっては、送達シース1301は、少なくとも一部が、巻き畳まれる位置に向かって機械的に付勢されている。場合によっては、送達シース1301の遠位方向に延びていない構成は、巻かれている構成、折り畳まれている構成、ひだを寄せられた構成、近位方向に延びてまっすぐになった構成のうちの1つ以上である。
【0151】
図15は、図13に示されたものと同様の、送達シースを位置決めする装置の別の図を示す。
【0152】
図16は、近位方向に延びてまっすぐになった構成の送達シース1601の断面図である。力伝達部材1602を前進させることにより、送達シース1601を(図17の断面図に示される)遠位方向に延びた構成まで移動させることが可能である。(例えば、第1の近位部位1603又は第2の近位部位1604において)送達シース1601に張力を与えることにより、送達シース1602を、図16の近位方向に延びてまっすぐになった構成まで復元させることが可能である。近位部位(例えば、第1の近位部位1603又は第2の近位部位1604)において、力伝達部材1602に対する圧縮力、及び送達シース1601に対する引っ張り力を維持することにより、送達シース1601の緊張状態を維持することが可能である。実施形態によっては、張力機構が近位部位(例えば、近位部位1603又は近位部位1604)と結合されてよい。実施形態によっては、張力機構は、少なくとも一部が、力伝達機構1602内で、又は力伝達機構1602の周囲で、又は力伝達機構1602の横に並んで平行移動する。実施形態によっては、力伝達機構1602及び張力機構は、同心管、共通軸に沿って平行移動するように機械的に拘束された構造、互いに対して相対的に回転しないように機械的に拘束された構造、互いに摺動可能に配置された構造のうちの1つ以上であってよい。
【0153】
実施形態によっては、ストッパ1605が構成要素1606と係合して、送達シース1601が前進し過ぎるのを防ぐ。実施形態によっては、ストッパ1605は存在しない。
【0154】
図18及び図19は、閉塞要素1801用の前進ツールの断面図を示し、このツールは、ケーシング1802及び押し出し器1803を含む。場合によっては、前進ツールは、膣及び/又は子宮頸部に挿入される。場合によっては、押し出し器1803を、少なくとも一部がケーシング1802内にある(図18に表された)第1の位置から、ケーシング1802の外側の(図19に表された)第2の位置まで移動させることにより、閉塞要素1801が前進するか、且つ/又は放出される。場合によっては、押し出し器1803を、患者に対してほぼ一定の位置(例えば、膣又は子宮頸管内のほぼ一定の位置)に保持して、ケーシング1802を後退させることにより、閉塞要素1801が放出される。場合によっては、押し出し器フランジ1804がケーシング1802又はケーシング1802とつながっている機構と機械的に干渉することにより、押し出し器1803が前進し過ぎることはない(或いは、ケーシング1802が後退し過ぎることはない)。場合によっては、押し出し器フランジ1804が存在せず、押し出し器1803の前進し過ぎは、ケーシング1802と押し出し器1803とが他の場所で機械的に干渉することにより防がれる。場合によっては、除去機構1806(ひもであってよい)が、閉塞要素1801から押し出し器1803及び/又はケーシング1802を通って近位方向に延びる。場合によっては、ケーシングフランジ1805が、前進ツールの膣又は子宮頸部への過挿入を防ぐか、且つ/又は前進ツールの取り扱いを容易化する。場合によっては、押し出し器1803がケーシング1802に対して前進するまで、ケーシング1802の遠位形体が、閉塞要素1801の一部又は全体を、膣又は子宮頸部の組織と接触しないように隔離する。
【0155】
図20は、子宮頸部2005の外部表面への閉塞障壁2001の送達を示しており、送達システム2006がシリンジ2003を含み、シリンジ2003は、細長ボディ2007の中を通って延びる送達ルーメン(図示せず)と結合されている。場合によっては、操作者が、送達システム2006の挿入前に、膣鏡又は鉗子を膣に挿入してよい。場合によっては、操作者は、閉塞要素2001の送達前に子宮頸部2005を再位置決めしてよい。操作者は、閉塞要素2001の送達に備えて、送達システム2006の位置決め機構2004を子宮頸部2005の外側表面の凸面と接触させて位置決めすることにより、送達システム2006を中心に位置決めすることが可能である。位置決め機構は、シリコーンなどの可撓性材料で構成されてよく、膣への挿入時には、後退させること、及び/又は折り畳むことが可能である。閉塞障壁2001はフィルム、コーティング、層、膜などであってよく、これらは、微生物障壁として子宮頸部の子宮頸膣部に塗布される。代替又は追加として、障壁は、子宮頸膣部に貼り付けられるメッシュ、膜、フレームなどであってよい。変形形態によっては、コーティングの塗布はフレームを使用して行われてよく、フレームは更なる支持を与えることが可能であり、且つ/又はコーティングの塗布を制限又はガイドすることが可能であり、これは、膣壁及び/又は子宮頸管の開口部の壁などの他の解剖学的領域を保護することを含む。本明細書において記載及び図示されるように、この、子宮頸部の子宮頸膣部に対する微生物障壁は、液体又はゲルとして塗布されてよい。例えば、図20では、障壁は、シリンジ2003から送達されるゲルであってよく、閉塞要素2001は、送達ルーメンから出た後に、化学反応によって粘度が高まることが可能である。場合によっては、閉塞障壁2001は、送達システム2006のスプレー先端(図示せず)からの噴霧として送達されてよい。この装置は、閉塞要素2001の粘度が高まるしばらくの間、閉塞要素2001を閉じ込める(例えば、凹面整形機構であってよい)カップ状の塗布器ヘッド2002を含んでよい。操作者が送達システム2006を除去した後、閉塞要素2001の一部が、凹面整形機構2002により成形された形状を含んでよい。凹面整形機構2002、及び/又は送達システム2006の他の構成要素は、非粘着性である面を少なくとも1つ含んでよく(例えば、内側の、組織に面する面)、子宮頸膣部上に形成された閉塞コーティング2001に対する粘着性を減らすコーティング又は処置が施されてよい。例えば、凹面整形機構2002は、閉塞要素2001に対する粘着性を最小限に抑える為に表面にテフロン(登録商標)がコーティングされていてよく、これは封止剤を含んでよい。本明細書において詳述されるように、これらの変形形態はいずれも、コーティング材が子宮頸管内に直接塗布されるのを防ぐバッフル、又は他の保護領域を含んでもよい。
【0156】
これらの装置はいずれも、1つ以上の位置決め機構を含んでもよく、位置決め機構は、カップ状塗布器ヘッドの付加部分(例えば、アーム、ウイングなど)であってよく、或いは、カップ状塗布器とは別個であってよく、子宮頸部(子宮頸膣部)の外側の膣側面に対して塗布器ヘッドを位置決めすることを大まかに支援することが可能である。例えば、図20の送達装置2006の遠位部分が、位置決め機構2004及び凹面整形機構2002を含んでよい。塗布器のいずれかの部分、そして特に遠位のカップ状領域は、装置が子宮頸部に当てられたときに子宮頸部を可視化及び/又は画像化できるように構成されてよい。例えば、閉塞要素の塗布中の子宮頸部が見えるように、一部分(例えば、カップ状ハウジング)が透明であってよい。実施形態によっては、閉塞要素及び/又はコーティング材を送達する送達システムが、半透明又は透明な構成要素を少なくとも1つ含んでよい。代替又は追加として、装置は、画像化の為のカメラ(CCDなど)又は光路(例えば、光ファイバ)を含んでよい。
【0157】
一般に、閉塞材は、微生物の存在が望ましくない解剖学的領域(例えば、子宮頸部、子宮頸管、及び/又は子宮)へ、又はそこに向かって微生物が移動又は増殖する際に通る可能性のある経路の少なくとも一部を占拠するように配置され、これは、例えば、感染及び/又は炎症に伴う早産を防ぐ為に行われる。従って、この装置又は材料は、女性生殖器系内に配置されてよい。
【0158】
障壁を外側の膣に面する子宮頸膣部に配置するだけでも有用と考えられるが、実施形態によっては、閉塞装置/障壁(又は障壁を形成する材料)の一部又は全体が膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に配置され、これは、ある微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖の存在又は存在の徴候が疑われる第1の部位を、その微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が望ましくない第2の部位から隔離する為に行われる。この装置(塗布器を含む)は、次のうちの1つ以上を含んでよい。(a)接触要素。これは、膣壁、及び/又は子宮頸部の子宮頸膣部に摩擦力及び/又は法線力をかけるか、或いは、別の方法で膣内での位置を維持する。(b)材料。その少なくとも一部は、微生物の存在が望ましくない解剖学的領域(例えば、子宮頸部、子宮頸管、及び/又は子宮)へ、又はそこに向かって微生物が移動又は増殖する際に通る経路の少なくとも一部を占拠する。(c)収容領域。これは、材料の少なくとも一部を保持する。(d)材料挿入場所。ここで、装置の配置前、配置中、及び/又は配置後に材料が収容領域に送達される。(e)退出場所(例えば、塗布器を通るルーメン)。装置(例えば、収容領域)からの液体、気体、又はコーティング材がここを通ることが可能である。(f)送達駆動機構(例えば、シリンジ、圧力源など)。これは、コーティング材を収容領域内に送達すること、及び/又は、装置の配置及び/又は放出を行うことに使用されてよい。(g)送達ツール。これは、コーティング材及び/又は装置の送達に使用される。並びに(h)ハンドル又は他のハンドル機構。これは、装置の保持及び/又は位置決めに使用される。
【0159】
上記で列挙した要素のうちの幾つかは、統合及び/又は結合されてよく、全体又は一部が互いに全く別個でなくてもよい。非限定的な実施例として、次のことがある。即ち、材料挿入場所は退出場所として動作してもよい。接触要素は収容要素の一部として動作してもよい。並びに、ハンドル機構は収容要素の一部として動作してもよい。
【0160】
実施形態によっては、第1の部位を第2の部位から隔離することに加えて、この装置は、子宮頸部ペッサリ又は頸管縫縮術の既知の、且つ/又は仮定されている効果及び/又は利点のうちの少なくとも幾つかを提供し、このうちの幾つかが早産を防ぐ可能性がある。例えば、障壁装置(例えば、フィルム及び/又はインプラント)は、早産又は望ましくない子宮頸部の開大及び/又は展退、及び/又は内子宮口におけるトンネルを防ぐか、且つ/又は先延ばしにすることが可能であり、障壁装置は、より閉じられた子宮頸部を促進又は維持することが可能であり、障壁装置は、頸管縫縮術を不要にし、それに伴う臨床的合併症又は抜糸処置を無くすことが可能であり、障壁装置は、実質的に子宮頸部を長くしたり、且つ/又は後方に曲げたりすることが可能であり、障壁装置は、子宮頸部の角度を変更することが可能であって、これにより、膜の構造的完全性を損なうおそれがある他の組織と接触しないように膜を保護することを支援することが可能であり、且つ/又は、障壁装置は、骨盤臓器脱出を防ぐことが可能である。
【0161】
障壁装置は、幾つかの実施形態にまたがって、幾つかの形状を特徴として有してよい。これらの形状の幾つかは、膣ペッサリ又は子宮頸部ペッサリの典型的な形状であってよい。そのような障壁装置は、特に、本明細書に記載の障壁コーティングに追加して、又はその障壁コーティングの補助として使用されてよい。例えば、障壁装置は、例えば、環状、円板状、ドーナツ状、円形、階段状、楕円形、円錐形、ヘルメット状、カップ状、キャップ状、及び/又は部分的にそのような形状であってよい。障壁装置は、例えば、その外形の一部に沿って増大部を含んでよく、増大部は、少なくとも1つの組織接触領域において、少なくとも1つの他の組織接触領域と異なる力プロファイルを与える。この装置は、例えば、子宮頸部の子宮頸膣部のまわりにぴったり嵌まる領域(例えば、穴)を有してよい。この装置は、例えば、少なくとも1つの角度から見た場合にS字形であってよい。実施形態によっては、この装置の一要素が、第1の方向から見た場合にはほぼ円形又は楕円形であって、第1の方向と直交する方向から見た場合にはほぼ平面である経路をたどってよい。
【0162】
実施形態によっては、収容領域は、少なくとも一部が障壁装置によって境界が画定され、少なくとも一部が頸膣部の組織によって境界が画定される。例えば、材料は、膣壁及び子宮頸部の子宮頸膣部だけでなく収容要素とも接触してよい。
【0163】
障壁形成材(コーティング材)は、(例えば、コーティングを子宮頸膣部に塗布するために)膣内の一部位に送達されてよく、その後、障壁コーティング材の場所を維持することを支援する為に、塗布器又は塗布ツールが配置されてよい。実施形態によっては、塗布器は、膣内の一部位に送達され、その後、材料が(例えば、材料挿入場所に)送達される。実施形態によっては、膣内に装置が配置される前に、装置の収容領域にコーティング材が装填されるか、別の方法で配置され、その後、装置が膣内の一部位に送達される。場合によっては、装置が配置された後に、塗布器にコーティング材が1回以上再充填又は再装填される。本明細書に記載の変形形態のいずれにおいても、複数のコーティング及び/又はインプラントが送達されてよい(場合によっては、最初の装置送達の数日後又は数週間後に行われてよい)。場合によっては、新しい装置が、既に配置されている装置と交換され、或いは、既に塗布/挿入されている装置/コーティングに追加されてよい。
【0164】
送達前に塗布器の収容領域にコーティング材又はインプラント形成材が配置される幾つかの実施形態では、膣内に装置を配置することの結果として、材料の少なくとも一部が組織(例えば、子宮頸部の子宮頸膣部)によって押し退けられる。場合によっては、収容領域内に材料を構成すること、及び/又は配置中に材料の少なくとも一部が押し退けられるように収容要素を構成することは、材料が組織に確実に隣接することを支援し、これによって、第1の領域から、微生物の存在が望ましくない第2の領域への微生物の増殖又は移動をより効果的に防ぐことが可能になる。
【0165】
本明細書に記載の装置は、鉗子などの送達ツールを用いて送達及び/又は配置されてよい。場合によっては、医療専門家が装置を送達してよく、場合によっては、装置の装着者が装置を送達する。膣鏡(例えば、二枚貝膣鏡)及び/又は他の婦人科用ツールを使用することにより、装置、インプラント、及び/又はコーティングを所望の場所に配置することを容易化することが可能である。
【0166】
挿入ツール/装置、インプラント、及び/又はコーティングは、可視化を支援する、放射線不透過性の機構又は構成要素を特徴として有してよい。
【0167】
既述のように、ある微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖の存在又は存在の徴候が疑われる第1の部位を、その微生物の第1のタイプ、比率、数量、分布、又は増殖が望ましくない第2の部位から隔離する為に、材料の一部又は全体が膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に配置されてよい。具体的には、膣内の子宮頸部の外面(例えば、子宮頸膣部)にのみ、コーティングが塗布されてよい。実施形態によっては、材料(例えば、インプラント材料及び/又はコーティング材)は、微生物が第1の領域から第2の領域にかけて移動又は増殖する場合に通らなければならない距離を長くする。実施形態によっては、材料は抗菌剤を含むか抗菌特性を有し、これは少なくとも幾らかの微生物を弱体化又は死滅させる。例えば、材料は、銀イオン及び/又はクロルヘキシジンを含んでよい。実施形態によっては、材料は、膣の少なくとも一部空間を部分的に埋めるか、ほぼ埋めるか、且つ/又は完全に埋める。実施形態によっては、一部空間は、膣口から遠く離れた膣の端部にあり、実施形態によっては、一部空間は、膣口のより近くにある。
【0168】
実施形態によっては、材料は、膣内且つ/又は装置内に送達される前に、少なくとも2つの物質を混合することによって調製される。実施形態によっては、少なくとも2つの物質(例えば、2つの化学物質)が、少なくとも2つの初期チャンバ(例えば、2つのシリンジ)にあって、共通のチャンバ、通路、及び/又は空間に注入される際に結合される。実施形態によっては、共通のチャンバ、通路、及び/又は空間は、この少なくとも2つの物質の混合を促進するように構成される。実施形態によっては、この少なくとも2つの初期チャンバ、及び/又は共通のチャンバ又は通路は、送達システムの一部である。場合によっては、材料は、調製されてから(例えば、少なくとも2つの物質が混合されて材料が調製されてから)程なく膣内に送達される。
【0169】
実施形態によっては、この装置は、材料を染み込ませた構造物、又は別の方法で材料を収容する構造物を含み、この装置が膣内に配置される。この構造物は、膣壁に力をかけることによって、装置を所望の場所に維持することを支援し、材料は、微生物の移動又は増殖の潜在的経路を遮断及び/又は占拠するように動作する。場合によっては、この構造物はスポンジ状である。
【0170】
実施形態によっては、この装置は、データ収集、データ記憶、及び/又はデータ送信の各構成要素を含み、これらは、温度、pH、湿気、ひずみなどのパラメータを測定することが可能であり、これらの幾つか又は全てが、患者の健康状態及び/又は妊娠関連の尺度を追跡することに使用されてよい。
【0171】
実施形態によっては、退出場所は、材料が所望のレベルを超えて加圧されるのを防ぐ。実施形態によっては、退出場所は、材料が閉領域内に移動することを可能にし、閉領域は、膨張するか、伸張するか、拡大するか、又は別の様式で、かさが増えつつある材料を収容できる。
【0172】
実施形態によっては、材料は、ゲル、液体、混合物、コロイド、フォーム、溶液、及び/又は懸濁液を含んでよい。実施形態によっては、材料は、生体適合性ポリマー、ケラチン、シアノアクリレート、次硝酸ビスマス(場合によっては、オイルベース)、生体吸収性材料、ジメチルスルホキシドに溶けたエチレンビニルコポリマー、ポリ(ビニルアセテート-エチレン)コポリマーの透明な熱可塑性材料、ポリウレタン、ポリエチレン、PTFE、粘土、カオリナイト、アルギン酸塩、絹、ヒドロゲル、ポリエチレングリコール、グリセリン、グリセリルポリメタクリレート、プロピレングリコール、ガーゴム、パラフィン、流動パラフィン、石油ゼリー、鉱物油、グリセロール、エチレングリコールステアラート、ラノリン、及びシリコーンベースゲルのうちの1つ以上を含んでよい。実施形態によっては、材料は、オイルベース成分及び水ベース成分の両方を含んでよい。
【0173】
場合によっては、材料は、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の内側によって少なくとも部分的に境界が画定される空間の形状を呈する。実施形態によっては、材料は、高い粘度を有していることが可能であり、これにより、送達後に材料を所望の位置に保持することの容易化が可能である。実施形態によっては、材料の組成の属性は、材料の吸収及び/又は再吸収が減少するか増大するように選択されてよい。例えば、材料の少なくとも一部分の脂溶性、分子量、電子構造、解離定数、及び/又は極性は、材料の吸収が限定されるように選択されてよい。実施形態によっては、材料は組織順応性が高い。実施形態によっては、材料は頸膣部の組織に粘着する。
【0174】
材料は、着色剤を含有してよい。例えば、材料は、材料の可視化を支援する為に、生体適合性の青色着色剤を含有してよい。
【0175】
図21は、女性生殖器系の一部分を表しており、膣2101、膣壁2102、子宮頸膣部2100、子宮頸部の外子宮口2103、子宮頸管2104、及び子宮腔2105を含む。
【0176】
図22は、膣2101内に配置されたインプラント2201及びコーティング2206を示しており、これらは、膣2101内の微生物が、子宮頸管2104内及び/又は子宮腔2105内へ移動及び/又は増殖すること、及び/又は、望ましくない形式で子宮頸部又は子宮の組織と相互に作用することを防ぐ。図22に示された実施形態では、インプラント装置2201は、接触要素2202、収容要素/領域2203、収容領域2204、ハンドル機構2205、及びコーティング材2206を含む。接触要素/領域2202が、膣壁2102の一領域に法線力及び/又は摩擦力をかけ、その結果として、接触要素/領域2202上に逆向きの法線力及び/又は摩擦力が発生し、これらは、装置2201の膣口2101への移動を妨げ、且つ/又は、膣2101の遠位領域におけるインプラント装置2201の安定配置を促進する(場合によっては、子宮頸部の子宮頸膣部の付近の位置、又は子宮頸膣部に隣接する位置、又は子宮頸膣部を取り囲む位置における安定配置を促進する)。この装置の収容要素/領域2203は、子宮頸部の子宮頸膣部に隣接するか、これを取り囲むコーティング材2206の位置を保持するように動作する。収容要素/領域2203は、コーティング材2206の少なくとも一部が存在する収容領域2204を形成するように整形されてよい。ハンドル機構2205は、インプラント装置2201及び/又はコーティングの送達、調節、及び/又は除去を支援することが可能である。コーティング材2206は、膣2101から子宮頸管2104内及び/又は子宮腔2105内への、且つ/又は、子宮頸部又は子宮の組織に接触する場所への、微生物の移動及び/又は増殖を遮断するか、遅くさせるか、且つ/又は防ぐことが可能である。
【0177】
図23は、インプラント装置2201及びコーティング材の別の実施例を示しており、ここでは、インプラントの接触領域2202が、子宮頸部の子宮頸膣部2103に法線力及び/又は摩擦力をかけ、その結果として、接触要素2202上に逆向きの法線力及び/又は摩擦力が発生し、これらは、インプラント装置2201の膣口2101への移動を妨げ、且つ/又は、膣2101の遠位領域におけるインプラント2201の安定配置を促進する(場合によっては、子宮頸部の子宮頸膣部の付近の位置、又は子宮頸膣部に隣接する位置、又は子宮頸膣部を取り囲む位置における安定配置を促進する)。インプラントの収容領域2203は、コーティング材2206の少なくとも一部が存在する収容領域2204を形成するように整形されてよい。
【0178】
図24は、インプラント及びコーティング材の組み合わせの別の実施例を示す。図24では、インプラント2201は接触領域2202を含み、接触領域2202が、膣壁2102の一領域に法線力及び/又は摩擦力をかけ、その結果として、接触領域2202上に逆向きの法線力及び/又は摩擦力が発生し、これらは、インプラント2201の膣口2101への移動を妨げ、且つ/又は、膣2101の遠位領域における装置2201の安定配置を促進し(場合によっては、子宮頸部の子宮頸膣部の付近の位置、又は子宮頸膣部に隣接する位置、又は子宮頸膣部を取り囲む位置における安定配置を促進し)、接触領域2202は又、子宮頸部の子宮頸膣部2103に法線力及び/又は摩擦力をかけてよく、その結果として、接触要素2202上に逆向きの法線力及び/又は摩擦力が発生し、これらは、装置2201の膣口2101への移動を妨げ、且つ/又は、膣2101の遠位領域におけるインプラント2201の安定配置を促進する(場合によっては、子宮頸部の子宮頸膣部の付近の位置、又は子宮頸膣部に隣接する位置、又は子宮頸膣部を取り囲む位置における安定配置を促進する)。
【0179】
図25は、収容挿入物2203の一実施例を示しており、これは、材料挿入場所(アパーチャ2501)及び退出場所2502を特徴として有する。材料挿入場所2501は、1つ以上のポート、穴、及び/又は通路であり、コーティング材料2206がそこを通って収容領域2204に送達されてよい。この実施例の退出場所2502は、1つ以上のポート、穴、又は通路であり、空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又はコーティング材料2206がそこを通り抜けることが可能である。実施形態によっては、材料挿入場所2501は、シリンジ、管(例えば、カテーテル)、又は他の部材と係合するようにサイズ決定又は構成され、これらから材料2206を収容領域2204に移動させてよい。コーティング材料挿入場所2501は、コーティング材料が(例えば、幾らかの力/圧力により)子宮頸管内に直接注入されるのを避ける為に、コーティング材料が挿入場所から垂直に対して角度が付いて射出されるように、バッフル、偏向器、又は他の構造を含んでよい。例えば、そのような実施例では、挿入場所(アパーチャ2501)は、偏向器/バッフル(2509、破線)の後ろに凹んでいてよい。実施形態によっては、退出場所2502は、挿入場所2501から、ある距離(絶対的に測定された距離、又は材料挿入場所2501を通って挿入される材料2206の経路に対する距離)のところに配置され、この距離の為、収容領域2204が望ましく(例えば、完全に、又はほぼ完全に)満たされるまで材料2206の退出が遅れ、これにより、収容領域2204のより実質的な充填を促進することが可能である。例えば、退出場所2502は、収容要素2203の周辺部又はその付近に位置してよく、一方、材料挿入場所2501は、収容要素2203の中心又はその付近に位置してよい。実施形態によっては、退出場所2502は、膨張可能な材料及び/又は折り畳まれた材料によって境界が画定される閉空間につながっており、この閉空間は、膨張するか、且つ/又は広げられることにより、退出する空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は材料2206を収容することが可能である。空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は材料2206が退出場所2502から退出することにより、1つ以上の効果が得られる。例えば、材料2206が退出することは、所望の量の材料2206(例えば、収容領域2204の所望の比率(例えば、収容領域2204のほぼ全て又は全て)を満たすのに十分な量の材料2206)が収容領域2204に送達されたことを示していることになり、これが示されることにより、どれだけの材料2206を追加送達しなければならないか(例えば、材料2206の追加が不要である、など)についてのフィードバックが得られる。他の効果の例では、空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は材料2206が退出することは、(a)収容領域2204内の空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は材料2206の加圧を緩めるように働くことになり、且つ/又は(b)収容領域2204内の空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は材料2206の移動を可能にするように働くことになる。これは、(c)材料2206が(例えば、材料挿入場所2501を通って)収容領域2204に挿入される為、且つ/又は(d)装置2201が膣内に配置されている間、膣2101、子宮頸部、又は子宮(例えば、子宮頸部の子宮頸膣部)の組織が収容領域2204の一部又は全てを占める為である。場合によっては、空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は材料2206の加圧を緩めることは、子宮頸管2104及び/又は子宮内の望ましくない位置に材料2206が移動するのを妨げるように働き、且つ/又は、子宮頸管粘液及び/又は羊膜組織の破壊を防ぐ。
【0180】
変形形態によっては、図24及び図25のインプラントは、埋め込まれるのではなく、塗布装置に組み込まれる(例えば、組み込まれて、装置の遠位端においてカップ状塗布器ヘッドの一部又は全てを成す)。
【0181】
図26は、シリンジ2601を含む、コーティング材を送達する送達装置の一実施例を示しており、これは、図23から図25に示されたようなインプラント2201及び/又はコーティング材を、膣内の子宮頸膣部上の位置に送達する為に使用されてよい。図26に示された実施形態では、送達シリンジ2601は、材料2206を含み、装置2201の材料挿入場所2501と結合される。装置2201が所望の位置(例えば、膣の遠位部分の、子宮頸部の子宮頸膣部が収容領域2204の少なくとも一部を占める位置)に送達されると、コーティング材2206が材料挿入場所2501から収容領域2204に注入されてよい。
【0182】
図27は送達ツール2701を示しており、これは、装置2201をつかむように手動で操作されてよい。図27に示された実施形態では、送達ツール2701はハンドル機構2205をつかむ。装置2201が所望の位置(例えば、膣の遠位部分の、子宮頸部の子宮頸膣部が収容領域2204の少なくとも一部を占める位置)に送達されると、送達ツール2701は、ハンドル機構2205を解放するように手動で操作されてよい。場合によっては、材料2206は、装置2201が膣内の所望の位置に送達される前に、装置2201の収容領域2204に配置され、場合によっては、材料2206は、装置2201が膣内の所望の位置に送達された後に、装置2201の収容領域2204に送達される。送達ツール2701の幾つかの実施形態は、鉗子と似ているか、且つ/又は鉗子と同様に動作し、送達ツール2701の幾つかの実施形態は、明確なハンドル機構2205がない、装置2201の実施形態を送達することに使用される。
【0183】
図28は、インプラント装置2201の一実施形態を示す。図28において断面で示された装置2201の実施形態では、インプラント装置2201は環状である。
【0184】
図29は、子宮頸膣部2906を覆う閉塞要素2904を示す。一般に、閉塞インプラント及び/又はコーティングは、膣2905と子宮腔2901との間に機械的障壁を形成することが可能である。実施形態によっては、閉塞インプラント及び/又はコーティング2904は、接着剤で子宮頸膣部2906に貼り付けられる。実施形態及び方法によっては、操作者が、閉塞要素2904の配備前に子宮頸管2902内の子宮頸管粘液栓2903をそのままにしておくことを選択してよい。既述のように、代替として、実施形態及び方法によっては、操作者が、閉塞コーティング及び/又はインプラント2904の配備前に、子宮頸管粘液栓2903の少なくとも一部を修正、移動、及び/又は除去することを選択してよい。閉塞要素2904が子宮頸膣部2906及び/又は女性生殖管の他の機構の視覚的評価を妨げないことが有利であろう。実施形態によっては、閉塞要素及び/又はコーティング材の少なくとも一部が、半透明又は透明であるように開発されてよい。
【0185】
変形形態によっては、子宮頸管の開口部を形成する、子宮頸膣部の中心領域が、インプラントによってコーティングされたり覆われたりしなくてよい。例えば、図30は、子宮頸膣部3001の一領域を覆う閉塞コーティング3004を示す。閉塞コーティング3004は、膣3005から子宮頸管3002に入る少なくとも1つの経路を遮断されないまま残す。この少なくとも1つの遮断されないまま残される経路は、養分、分子、体液、又は材料の移動を可能にすることができ、子宮頸管3002又は子宮頸管粘液栓3003の検査、又はこれへのアクセスを可能にすることができ、且つ/又は出産を容易化することができる。
【0186】
本明細書に記載の変形形態のいずれにおいても、医師又は医療専門家が、患者の健康状態及び/又は病歴を評価して、患者が本明細書に記載の方法及び装置の対象候補として適切かどうかを判定してよい。具体的には、膣及び/又は子宮頸部の感染(例えば、頸膣部の感染)の既往歴がない女性を治療することが特に有用であろう。図31は、ある患者を本明細書に記載の1つ以上の実施形態により治療するかどうかを評価することに使用できる判定フロー図を示す。これらの装置及び方法は、妊婦において使用可能である。例えば、ステップ3101において、患者を妊婦として選択してよい。次にステップ3101において、患者の絨毛羊膜、及び/又は頸膣部の微生物叢を評価してよい。例えば、絨毛羊膜の破裂を示す非侵襲性マーカ(例えば、α-フェトプロテイン)を使用して、患者の絨毛羊膜を評価してよい。患者の頸膣部の微生物叢を評価することにより、患者に生殖管感染症があるかどうかを判定してよい。患者の絨毛羊膜が完全な状態であり、且つ/又は患者の頸膣部の微生物叢が生殖管感染症を示していない場合は、ステップ3104において、この患者を候補としてラベル付けしてよい。患者の絨毛羊膜が完全な状態ではなく、且つ/又は患者の頸膣部の微生物叢の評価結果が生殖管感染症を示している場合は、ステップ3103において、この患者を、候補ではないとしてラベル付けしてよい。その後、本明細書において示されているように、コーティング材を塗布してよい(且つ/又は、インプラントを貼り付けてよい)。
【0187】
図32は、閉塞要素3207(例えば、微生物障壁コーティング及び/又はインプラント)の送達を描いている。操作者が患者の膣3211に送達装置3201を挿入する。送達装置3201は、コーティング材用チャンバ(例えば、シリンジ3202)と、送達ルーメン(図示せず)を特徴として有する細長ボディ3203と、カップ状塗布器ヘッド(位置決め機構3204として構成されている)と、を含む。位置決め機構3204は、送達システムの遠位端を、子宮頸膣部3208、子宮頸管3210、及び/又は子宮頸管粘液栓3209の中心に位置決めすることに利用されてよい。場合によっては、閉塞要素3207は封止剤を含む。操作者がシリンジ3202を圧縮して、部分的に封止された空間3206の中へ封止剤を送達することが可能である。送達システム3201の遠位端にある1つ以上の退出ポート3205により、閉塞要素3207、空気、ガス、体液、及び/又は投入された液体が、部分的に封止された空間3206から出ることが可能になってよい。場合によっては、閉塞要素3207(例えば、封止剤)が1つ以上の退出ポート3205から退出することは、所望の量の閉塞要素3207が送達されていることを示していることになる。他の効果の例では、空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は閉塞要素3207が退出することは、(a)部分的に封止された空間3206の中の空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は閉塞要素3207の加圧を緩めるように働くことになり、且つ/又は、(b)部分的に封止された空間3206の中の空気、ガス、体液、投入された液体、及び/又は閉塞要素3207の移動を可能にするように働くことになる。これは、閉塞要素3207が、部分的に封止された空間3206に挿入される為である。カップ状遠位塗布器ヘッドの凹面整形機構3212が、部分的に封止された空間3206の一部分を画定することが可能であり、閉塞コーティング材3207が硬化したときにこれを閉じ込めることが可能である。場合によっては、凹面整形機構3212は、閉塞コーティング材3207が子宮頸膣部3208から円蓋3213を越えて上部膣壁3214まで広がるのを防ぐことが可能である。閉塞要素3207が子宮頸膣部3208から円蓋3213を越えて上部膣壁3214まで広がると、子宮頸膣部3208の移動性が低下する可能性があり、且つ/又は日常生活において患者が閉塞要素3207を知覚することが増える可能性がある為、そのように広がることは望ましくない場合がある。
【0188】
図33は、妊婦の胴部の断面図を示しており、ここには、子宮3301、膀胱3302、膣3303、子宮頸膣部3304、直腸3305、子宮頸部の子宮頸膣部3306、膣円蓋3307、子宮頸管3308、子宮頸管粘液栓3309、及び胸部3310が描かれている。子宮頸管3308は、概して膣3303と同一直線上にはない可能性がある。場合によっては、操作者が、例えば膣鏡(図示せず)を使用して、子宮頸膣部3304の可視化を試みても、子宮頸膣部3304を見つけにくいことがある。
【0189】
従って、感染関連の妊娠合併症(例えば、早産)は、子宮頸部の子宮頸膣部と膣との、互いに対して相対的な向きを変えることと、子宮頸部の子宮頸膣部に近い場所に閉塞装置及び/又はコーティング送達装置を配置することと、子宮頸管の開口部が、少なくとも部分的には閉塞要素送達装置及び/又は閉塞要素送達装置の位置によって決定される塗布範囲の中にあることを確認することと、閉塞要素を送達すること(そして、変形形態によっては、子宮頸管粘液栓をかき乱されないように子宮頸管の開口部を保護すること)と、によって防ぐことが可能である。
【0190】
子宮頸部の子宮頸膣部と膣との、互いに対して相対的な向きを変えることは、子宮頸管と膣との間の角度を変えることを含んでよい。
【0191】
実施形態によっては、子宮頸部の子宮頸膣部と膣との、互いに対して相対的な向きを変えることによって、膣の大まかな道筋と、子宮頸部の子宮頸膣部が指し示す方向との間の角度が小さくなる。実施形態によっては、向きを変えることは、膣の円蓋の1つ以上の領域に直接又は間接的に力を加えることによって実現可能である。実施形態によっては、向きを変えることは、子宮頸部の子宮頸膣部に力を直接加えることによって実現される。実施形態によっては、向きを変えることは、膣壁の1つ以上の領域に力を加えることによって実現され、力を加えること、及び/又は加え続けることは、例えば、膣鏡、鉗子、閉塞要素送達装置、及び/又は加圧された空気を使用して行われてよい。
【0192】
実施形態によっては、子宮頸部の子宮頸膣部に近い場所に閉塞要素送達装置を配置することは、直接可視化下で実施される。実施形態によっては、配置することは、内視鏡を使用して行われる。実施形態によっては、配置することは、閉塞要素送達装置の機械的機構によって支援され、この機構は、生体構造と有利に相互作用又は干渉することにより、例えば、過挿入を防ぎ、且つ/又は子宮頸部の子宮頸膣部及び/又は子宮頸管の開口部の近くに閉塞要素の射出場所を配置する。実施形態によっては、配置することは、閉塞要素送達装置上の1つ以上のマーカによって支援される。
【0193】
実施形態によっては、子宮頸管の開口部が閉塞材料の塗布範囲の中にあることを確認することは、少なくとも部分的には、子宮頸部の子宮頸膣部によって、且つ閉塞要素送達装置によって少なくとも部分的に境界が画定される領域を検査することによって確認されてよい。この検査は、実施形態によっては直接行われ、実施形態によっては内視鏡を使用して行われる。実施形態によっては、子宮頸管の開口部が塗布範囲内にあることを確認することは、少なくとも部分的には閉塞要素送達装置によって確認されるが、これは、塗布範囲の外側の領域を検査して、子宮頸管の開口部、及び/又は子宮頸部の子宮頸膣部のうちの、子宮頸管の開口部に近い場所が塗布領域内にないことを確認することにより達成される。実施形態によっては、この確認ステップは不要である。変形形態によっては、(塗布装置のカップ状塗布器及び/又は任意の方向づけガイド/部によって規定されることが可能なように)塗布装置を子宮頸膣部上に配置することにより、装置の、子宮頸部の開口部に対して相対的な向きを確実に変えることが可能であり、一般に、子宮頸部の開口部は子宮頸膣部に対して中心に位置する。この配置は、目視検査によって構成されてよい。塗布装置の、子宮頸部の開口部に対して相対的な向きを変えることは、バッフル及び/又は偏向器(例えば、送達装置のアパーチャ開口部)がある場合に、上述のように、それらによって、幾らかの力/圧力によりコーティング材が子宮頸管内に塗布されること、並びに子宮頸管粘液栓が潜在的にかき乱されたり破壊されたりすることがないようにすることに役立ちうる。
【0194】
これらの方法及び装置は、子宮頸部の子宮頸膣部と膣との、互いに対して相対的な向きを変えることと、子宮頸部の外子宮口に近い場所に閉塞要素送達装置を配置することと、子宮頸管の開口部が、少なくとも部分的には閉塞要素送達装置及び/又は閉塞要素送達装置の位置によって決定される塗布範囲の中にあることを確認することと、閉塞要素を送達することと、を含むように構成されてよく、これらについては本出願の別の場所で説明している。
【0195】
図34は、妊婦の骨盤の断面図を示しており、送達装置の一変形形態3410が、シリンジ3411と、送達の為に膣3403内に位置決めされた定量供給/塗布器先端部3412とを含む。この実施例では、閉塞材料(例えば、図示されない閉塞要素又はコーティング材)を送達する為に、定量供給先端部3412の遠位端が、子宮頸膣部3404及び子宮頸管粘液栓3409の近くに配置されている。定量供給先端部3412の遠位端は、閉塞要素の送達の為の送達ポート3413の円周方向パターンを含む。場合によっては、操作者がシリンジ3411を圧縮することにより、封止剤を含む閉塞要素が送達ポート3413から射出されてよい。送達ポート3413の円周方向パターンは、広い範囲を閉塞要素でカバーすること、及び/又は到達しにくい形状の場所を閉塞要素でカバーすることを容易化することが可能であり、例えば、送達ポート3413の円周方向パターンは、子宮頸管3408が膣3403と同一直線上にない場合に、子宮頸膣部3404及び子宮頸管粘液栓3409を閉塞要素でカバーすることを容易化することが可能である。場合によっては、送達システムは、定量供給先端部3412に対して相対的に半径方向に位置する1つ以上の送達ポートを定量供給先端部3412上に含んでよく、場合によっては、これらの半径方向の送達ポートは円周方向パターンの向きになっていない。場合によっては、送達システムは、定量供給先端部3412と同一直線上にある(例えば、定量供給先端部3412に対して相対的に軸方向を向いている)送達ポートを少なくとも1つ含んでよい。本明細書に記載の送達装置のいずれにおいても、遠位端領域(例えば、定量供給先端部3412)は、少なくとも1つの曲がり、枢着点、蝶番点などを特徴として有してよく、これらは、標的場所への送達システムの誘導、及び/又は標的場所への閉塞要素の送達を容易化することが可能である。図34には又、子宮3401、膀胱3402、直腸3405、子宮頸部の外子宮口3406、及び膣円蓋3407が描かれている。
【0196】
図35には、送達装置の別の実施例3501が描かれており、送達装置3501は、シリンジ3502と、送達ルーメン(図示せず)を特徴として有する細長ボディ3503と、支持部材3504と、スポンジ3505などのバッフルとを含む。送達装置は、カップ状塗布器を有する遠位端を含み、その内側チャンバが、バッフルが収まる凹面を形成する。細長ボディ(これは曲がっていてよく、湾曲していてよく、或いは湾曲可能であってよい)が、遠位端と、コーティング材を保持するチャンバ(ここではシリンジとして図示されている)を含むハンドル領域との間を延びる。ルーメンが、このチャンバと、遠位端にある塗布器との間を延びる。場合によっては、操作者は、送達システム3501の遠位端を膣3508に挿入し、スポンジ3505を、子宮頸膣部3507及び/又は子宮頸管粘液栓3509と接触させて配置してよい。操作者がシリンジ3502を圧縮することによって、(例えば、封止剤を含む)閉塞要素がスポンジ3505内に射出されてよい。その後、閉塞要素は、スポンジから、子宮頸膣部3507及び/又は子宮頸管粘液栓3509上に流れることが可能である。支持部材3504は、操作者がスポンジ3505を標的領域、例えば、子宮頸膣部3507及び/又は子宮頸管粘液栓3509に押しつけることを可能にすることができる。スポンジを介して閉塞要素を送達するにより、到達しにくい標的場所をカバーすること、均一な厚さの閉塞要素を送達すること、及び閉塞要素の送達を繰り返し可能にすることのうちの1つ以上を可能にすることができる。場合によっては、送達システムは、患者への挿入の前に閉塞要素をあらかじめ含浸させたスポンジを含んでよい。場合によっては、閉塞要素は、患者に塗布された後に低粘度から高粘度への遷移を経る。例えば、感光性封止剤を含む閉塞要素が露光によって硬化してよい。
【0197】
図36には、患者の子宮頸膣部3609の近くに配置された送達システム3606が描かれている。実施形態によっては、収容アーム、チャネル、又は壁3602と、コーティングされる予定の組織3603(例えば、子宮頸膣部)とによって少なくとも部分的に境界が画定された空間3601が隔離される。コーティング材(図に描かれず)は、送達システム3606の1つ以上の入口ポート3604からその空間に入る。コーティング材は、送達ルーメン3608を通り抜けて入口ポート3604に到達する。空間3601は、コーティング材でほぼ満たされる。余剰コーティング材は、この空間から排出ポート3605を通って1つ以上の排出ルーメン3607に出る。コーティングが十分硬化する前に周囲の組織がコーティングを破壊したりコーティングに張り付いたりしないように、収容要素3602を、しばらくの間、定位置に保持してよい。
【0198】
排出が起こる前に充填をほぼ達成する為には、排出ポート3605は、(a)排出が起こる前に空間3601がほぼ満たされていなければならないように、入口ポート3604に対して相対的に位置してよく、或いは、(b)所与のコーティング材の注入速度及び注入圧力に対して、排出が起こる前に空間3601がほぼ満たされていなければならないように十分な流体抵抗(コーティング材の粘度と排出ポート3605の形状及び材料との関数)を有していてよい。
【0199】
場合によっては、子宮頸膣部に既にコーティング材が塗布されたことがある妊婦に対して子宮頸部の検査を実施することを医師が決定してよい。コーティング材が子宮頸部の手動評価を妨げないことが有利であろう。例えば、コーティング材は、下層の子宮頸部組織の触診を妨げるほどには硬くないことが有利であろう。実施形態によっては、コーティング材は、デュロメータ硬度がショアA-100を下回るように開発され、実施形態によっては、コーティング材は、デュロメータ硬度がショアA-40を下回るように開発される。コーティング材は、下層の子宮頸部組織の触診を妨げるほどには軟らかくないことが有利であろう。実施形態によっては、コーティング材は、デュロメータ硬度がショア00-5を上回るように開発され、実施形態によっては、コーティング材は、デュロメータ硬度がショア00-20を上回るように開発される。実施形態によっては、コーティング材は、デュロメータ硬度が妊娠中の子宮頸部のデュロメータ硬度と同等であるように開発される。コーティング材は、子宮頸部の触診を妨げるほどには厚くないことが有利であろう。更に、コーティング材は、日常活動や定常活動の間の子宮頸部の動きを制限するほどには厚くないことが有利であろうし、コーティング材は、(例えば、日常活動や定常活動の間に)患者がコーティング材の存在を知覚できるほどには厚くないことが可能であろうし、コーティング材は、炎症反応を引き起こしかねない材料の体積をより小さくする為に、より薄いことが有利であろう。コーティング材の厚さの選択は、コーティング材のデュロメータ硬度、コーティング材の疲労特性、及びコーティング材が事前成形されるかどうか、のうちの1つ以上を含むコーティング材料特性に依存してよい。実施形態によっては、コーティング材の厚さは2cm未満であってよく、実施形態によっては、コーティング材の厚さは1cm未満であってよく、実施形態によっては、コーティング材の厚さは5mm未満であってよい。厚さは、コーティング材が塗布される組織(例えば、子宮頸膣部組織)に垂直に測定されてよい。厚さは、コーティング材の小区分又は全体における平均厚さ、最大厚さ、又は最小厚さを意味してよい。コーティング材は、少なくとも最小厚さを有することが有利であろう。例えば、デュロメータ硬度がショア00-30である生分解性ヒドロゲルで構成されるコーティング材が、効力及び耐久性がある微生物障壁を与え、且つ/又は、機械的故障(例えば、子宮頸部の手動検査時又は患者の移動中の粘着故障)の可能性を最小限に抑えるのに十分な厚さで塗布されてよい。実施形態によっては、コーティング材は厚さが1μm超であるように選択されてよく、実施形態によっては、コーティング材は厚さが10μm超であるように選択されてよく、実施形態によっては、コーティング材は厚さが1mm超であるように選択されてよい。実施形態によっては、コーティング材は、閉塞要素を含んでよい。
【0200】
図37には、患者の子宮頸膣部3713の近くに配置された送達システム3712が描かれている。実施形態によっては、送達システム3712の収容要素3702と、コーティングされる予定の組織3703とによって少なくとも部分的に境界が画定された空間3701が隔離される。組織3703には、収容要素3702の1つ以上の噴霧ポート3705からコーティング材3704が噴霧され、噴霧ポート3705は、送達ルーメン3706を介して、コーティング材3704の加圧リザーバ(図に描かれず)、又は、加圧リザーバと噴霧ポート3705とを結ぶ構成部品(図に描かれず)であって、その加圧リザーバを含む構成部品とつながって、コーティング材3704を形成する。収容要素3702は、ベント3707を含んでよく、ベント3707は、(a)空気が収容要素3703内から膣3708へ、或いは、膣3708の外側に走る、送達システムのチャネル3711へ排出されることを可能にするか、(b)余剰コーティング材3704を収集又は排出する。収容要素3702はシールド3709を有してもよく、シールド3709は、収容要素3702が組織と接触する接触部位3701にコーティング材3704が到達することを防ぐか、収容要素3702と組織との距離が、硬化したコーティング材3704によって簡単に橋絡しうる距離以内である領域にコーティング材3704が到達することを防ぐか、コーティング材3704が噴霧ポート3705をふさぐことを防ぐ。噴霧ポート3705は、組織上でのコーティング材3704の所望の分布を達成するように構成されてよい。噴霧ポート3705は、組織の所望の見通しをふさがないように構成されてよい。コーティング材3704の複数の層が塗布されてよく、場合によっては、(a)先に塗布された層が少なくとも部分的に硬化してから次の層が塗布されてよく、或いは、(b)複数の層は、様々な目的(例えば、組織への粘着、微生物通路に対する障壁)で様々な程度に動作する様々な材料で構成されてよい。収容要素3702と組織との間の接触を最小限に抑え、収容要素3702と組織との距離が、硬化したコーティング材3704によって簡単に橋絡しうる距離以内である領域を最小化することにより、収容要素3702と組織との間の望ましくない粘着を防ぐことができる。これは、収容要素3702の凹面の少なくとも一部を、接触部位3710の近くの組織の表面に対して相対的に素早く離すことによって達成可能である。送達システム3712の遠位部分、例えば、収容要素3702は、コーティング材の塗布中に子宮頸部が見えるように透明であってよい。実施形態によっては、閉塞要素及び/又はコーティング材を送達する送達システムは、半透明又は透明である構成部品を少なくとも1つ含んでよい。
【0201】
図38には、患者の子宮頸膣部3817の近くに配置された送達装置3808が描かれている。実施形態によっては、送達システム3808を膣内に導入して、送達システムの遠位端3816が円蓋3804に深く入り込むか、子宮頸膣部3817との干渉嵌合が達成されるまで前進させてよい。送達システム3808の剥離式収容要素3802と、コーティングされる予定の組織3803とによって、少なくとも部分的に境界が画定された空間3801が隔離されてよい。この空間はコーティング材(図に描かれず)でほぼ満たされ、コーティング材は少なくとも部分的に硬化することが可能である。剥離式収容要素3802は、その後、硬化したコーティング材から剥がされる。この剥離は、円蓋3804の奥深くの硬化したコーティング材のエッジから始まり、外子宮口3805の先端部に近い部位に向かって進む。これは、円蓋3804の奥深い部位において剥離式収容要素3802と結合され、且つ、コーティング材が中を通って注入された細長送達部材3807とも結合されている引張構造3806を引き寄せることによって達成される。引張構造3806は、第1の結合領域3814において細長送達部材と結合されているが、剥離式収容要素3802は、第1の結合領域3814において細長送達部材3807又は引張構造3806と結合されていない。引張構造3806は、送達システムの遠位端3816において剥離式収容要素3802と結合されている。コーティング材は、シリンジ3809内の2つの成分から形成されてよく、プランジャ3811同士をつなぐ結合要素3810によって注入成分の所望の比率が維持される。コーティング材の各成分がシリンジバレル3812から射出されると、これらは、混合機能を有する導管3813に入ることが可能である。実施形態によっては、コーティング材は、細長送達部材3807から注入される代わりに、剥離式収容要素3802内にあらかじめ充填されていてよい。実施形態によっては、引張構造3806は、剥離式収容要素3802の所望の形状を規定又は支持することを支援することが可能である。これらは、個別の引張部材3806であってよく、或いは、1つのカップ状構造物(例えば、卵殻の長手方向の半分に似た形状の構造物)であってよい。実施形態によっては、送達システム3808は、内部領域3818内が真空になるのを防ぐポート3815を特徴として有し、内部領域3818は、剥離式収容要素3802が剥がされたときに、剥離式収容要素3802と引張部材3806とによって境界が画定される。実施形態によっては、送達システムの遠位端3816と組織との間の境界面に、空気を逃がすことのできる隙間があってよく、或いは、境界面の嵌合具合が、空気が押し通るのに十分な程度にゆるんでいてよい。実施形態によっては、コーティング材は、内側ライナの隙間を通して、形状画定構造に沿う通路から出る。実施形態によっては、送達システム3808は、2つ以上のシリンジではなく単一シリンジ3809を含む。実施形態によっては、引張構造3806は、剥離式収容要素3802によってライニングを施された空間3801の形状を画定することを支援することが可能である。送達システム3808の遠位部分、例えば、収容要素3802は、コーティング材の塗布中に子宮頸部が見えるように透明又は半透明であってよい。
【0202】
場合によっては、産科医が、妊娠初期の妊婦の産科病歴を評価して、その妊婦の早産のリスクが高いかどうかを、既往早産歴に基づいて判定することが可能である。産科医は、妊娠の第13週と第14週の間に妊婦の子宮頸膣部にコーティング材を塗布する決定を行ってよい。このタイミングは、妊娠初期に膣出血がよく起こる場合に選択されてよく、膣出血がよく起こる期間の後にコーティング材を塗布することが有利であろう。更に、妊娠の第16週の前に微生物叢が膣から子宮に上行する可能性がある為、コーティング材を、実施可能な限り早期に塗布することが有利であろう。
【0203】
妊娠の第13週での妊婦健診において、産科医は、コーティング材の塗布の対象にするかどうか、妊婦を評価してよい。例えば、産科医は、妊婦の絨毛羊膜が破裂しているかどうか、並びに妊婦に生殖管感染症があるかどうかを評価してよい。産科医は、妊婦の絨毛羊膜が破裂していないこと、並びに妊婦に生殖管感染症がないことが判明したら、処置を進めることを選択してよい。
【0204】
処置においては、妊婦は、骨盤検査の場合には、足を足乗せ台に乗せた背面結石摘出術位でのポジショニングが行われてよい。産科医は、膣鏡を膣に挿入し、子宮頸膣部を見えるようにしてよい。コーティング材の塗布前に、子宮頸膣部の準備が行われてよい。例えば、産科医は、生理食塩水噴霧により子宮頸膣部を軽く水洗いしてよく、綿棒を使用して子宮頸膣部にヨウ素溶液を塗布してよく、且つ/又は綿棒を穏やかに適用して標的組織から粘液を除去してよい。コーティング材は、デュロメータ硬度が妊娠中の子宮頸膣部のデュロメータ硬度と同等であるように開発されてよい。産科医は、コーティング材の送達の為に送達システムを使用してよい。送達システムは、コーティング材の各成分を含む2バレルシリンジシステムと、混合チャンバと、細長送達部材とを含んでよい。産科医は、細長送達部材を直接可視化下で膣内に導入し、細長送達部材の遠位端にある半球状位置決め機構を子宮頸膣部に向かって前進させてよい。位置決め機構は、送達システムと子宮頸膣部とが容易に一直線に並ぶようにすることが可能であり、可視化が容易であるように透明であってよい。産科医は、位置決め機構が子宮頸膣部と干渉嵌合するまで送達システムを前進させてよい。その後、産科医は、送達システムと標的組織とが一直線に並んでいることを目視で確認してよい。産科医は、2バレルシリンジシステムを圧縮してよく、これにより、コーティング材の各成分が、混合チャンバを通って細長送達部材の送達ルーメンに入り、噴霧ポートから、子宮頸膣部と子宮頸管と細長送達部材の遠位端とによって画定される空間の中に射出される。細長送達部材の遠位端にある凹型成形機構が、空間を画定し、コーティング材を整形する面を含む。空気、余剰コーティング材、及び他の物質が、凹型成形機構の排出ポートから空間の外に出て、細長送達部材の排出ルーメンを通って流れ、膣の外にある、送達システムの近位端から出ることが可能である。空間がコーティング材で満たされたら、産科医は、2バレルシリンジシステムの圧縮をやめて、コーティング材が、部分的には凹型成形機構によって画定される形状に硬化する30秒の間、送達システムをその位置で保持してよい。凹型成形機構は、コーティング材を1mmから1cmの厚さに容易に塗布できるようにすることが可能である。その後、産科医は、送達システムを除去し、コーティングを検査して、子宮頸管に広がる障壁が塗布されたことを確認してよい。コーティング材は、コーティング材の到達範囲を評価することを支援する青色着色剤を含んでよい。
【0205】
産科医は、コーティング材の塗布後、定期的にコーティング材を再塗布してよい。例えば、産科医は、妊娠の第34週まで4週間ごとに、妊婦が繰り返し塗布の対象になるかどうかを再評価してよく、再評価には、妊婦の絨毛羊膜を評価することと、妊婦の生殖管感染症を評価することとが含まれる。産科医は、妊婦が再塗布の対象であると判定した場合には処置を実施してよく、この処置では、妊婦の子宮頸膣部を覆っているコーティング材を手で外して取り除き、子宮頸膣部に再塗布の準備を施し、子宮頸膣部にコーティング材を塗布する。場合によっては、コーティング材は閉塞要素を含んでよい。場合によっては、コーティング材の最初の塗布は、妊娠の第1週から第37週の間に行われてよく、例えば、妊娠の第8週から第20週の間に行われてよい。
【0206】
図39及び図40は、上述のように、子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく、子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置の実施例を示す。図39では、この装置は、近位端に、コーティング材を保持するチャンバ(例えば、シリンジ)を組み込んだハンドル3915を有する。チャンバは、細長ボディ3909内を通って延びる送達ルーメン(図では見えない)につながっている。この実施例では、細長ボディは、接合部で曲がっているか曲がること(3911)が可能であり、この曲がりは、調節可能又は固定であってよく、遠位端(カップ状遠位端3907)が子宮頸膣部にくっついて嵌まるか、且つ/又は向き合って嵌まることが可能なように装置が膣内を通って配置されることを可能にするように適応されてよい。従って、この装置は、細長ボディの遠位端に塗布器3907を含んでよく、塗布器3907は子宮頸膣部に対して一直線に並ぶように構成される。塗布器の内面の中心領域は、塗布器が子宮頸膣部に対して一直線に並んだときに、子宮頸膣部上の、子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成されてよい(図41から図43を参照)。この装置は又、内面を通り抜ける1つ以上の送達アパーチャが中心領域の外側に配置されており、これら1つ以上の送達アパーチャは、第1のルーメンから子宮頸膣部にコーティング材を送達するように構成されている。
【0207】
図40は、図39に示された変形形態によく似ているが、これは更に、曲がっているか曲がることが可能な首領域4007を含み、ここで、カップ状塗布器がこの装置の細長ボディに取り付けられている。この領域は、遠位端領域が曲がることを可能にする接合部を含んでよい。
【0208】
これらの実施例では、カップ状の遠位端領域は連続的な凹面構造として示されているが、本明細書に記載の装置変形形態の1つでは、カップ形状は、隙間又は開口を含んでよく、且つ/又は、カップ形状を形成する複数の(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上の)アーム又は部材で形成されてよく、これらからコーティング材が塗布されてよい。例えば、カップ形状を形成する、曲がった形状又は湾曲した形状の細長部材から、3つ以上のアームが半径方向に外へ延びてよい。
【0209】
図41から図43は、カップ状部材の内面の変形形態を示す。図41では、内面は、子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成された中心領域4103(破線)を含む。この実施例では、この領域は、子宮頸管の開口部内にコーティング材が直接塗布されないようになっており、内面上の(半径方向にオフセットされた)他の場所に示されているようなアパーチャ4105を全く含まない。この実施例では、カップ状塗布器は円形というよりは楕円形であり、これは子宮頸膣部の形状により正確に適合することが可能であり、或いは、カップ形状は円形であってよく、或いは、他の断面形状であってよい。
【0210】
図41及び図42に示されたカップ状塗布器の外周は、オーバフローチャネルにつながれてよい複数の戻りポート(開口部、アパーチャなど)を含み、これらの戻り/オーバフローポートは、この実施例では内面の外周に配置されているが、これらは、中心領域の近くを含む、より内側寄りの半径方向に配置されてよい。
【0211】
図42は、コーティング材を塗布する送達アパーチャ4206を含む内面の一実施例を示しており、送達アパーチャ4206は、内面の中心領域4103内に配置されるが、カップ状塗布器が子宮頸膣部の上方にあるときに中心領域に垂直に、且つ子宮頸管内へコーティング材が射出されるのを防ぐ向きになっている。この変形形態では、4つのアパーチャ(又は4方向の出口を有する単一アパーチャ)が中心領域に配置されており、塗布器が子宮頸部の上に配置されたときに、各開口が、コーティング材を、子宮頸部の開口部の面に対して垂直(±45度、±30度、±25度、±20度、±15度など)の方向に向けるか、且つ/又は偏向させる。このようにして、この装置は、子宮頸部の開口部及び子宮頸管を、コーティング材が頸管内に送達又は強制送達されることから保護することが可能であり、これによって、子宮頸管粘液栓が破壊されるか押し退けられることから保護することが可能である。
【0212】
図43は、カップ状塗布器の内面の別の変形形態を示しており、これは、中心領域の外側にあって内面を通る送達アパーチャ4305と、カップ状塗布器が子宮頸膣部の上方にあるときに中心領域に垂直に、且つ子宮頸管内へコーティング材が射出されるのを防ぐ向きになっている1つ以上のアパーチャ4302と、の両方を含む。
【0213】
本明細書には又、ヒト微生物叢及び/又はヒト由来微生物叢を患者の女性生殖器系に移植する方法及び装置が記載されている。実施形態によっては、微生物叢は、あらかじめスクリーニングされたドナーの女性生殖器系から収集され、その後、選択されたレシピエントの女性生殖器系に移植される。実施形態によっては、あらかじめスクリーニングされたドナーから収集された微生物叢が処理されてヒト由来微生物叢が得られ、このヒト由来微生物叢が、選択されたレシピエントの女性生殖器系に移植される。ヒト微生物叢を移植する方法はいずれも、上述の、微生物障壁を形成する装置及び方法に対する代替又は追加として使用されてよい。
【0214】
見込みドナーのスクリーニング
ドナー材料の提供前、ドナー材料の提供後、又は提供前と提供後の両方において、見込みドナーのスクリーニングが行われてよい。以下の諸条件は、見込みドナーを除外する為のスクリーニングで使用可能な条件の例である。最近(例えば、過去6か月間)の抗生物質の曝露。免疫不全であること。自己免疫疾患の履歴。進行中の免疫調節治療。進行中の腫瘍治療。女性生殖管の慢性疾患(例えば、再発性細菌性膣炎)。過去の不運な妊娠転帰(例えば、感染性早産があったこと)。性感染症の履歴。高リスク性行為の履歴。違法薬物の使用歴。既知の最新の伝染病。代謝条件(例えば、BMI>30)。
【0215】
見込みドナーの血清検査が行われてよい。これは、例えば、見込みドナーがHIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、又は梅毒でないことを確認する為である。
【0216】
見込みドナーの女性生殖器系の微生物叢が分析されてよい。これは、例えば、微生物叢が所定の基準を満たすかどうかを判定する為である。又、例えば、この分析は、クロストリジウムディフィシルを有する見込みドナーを排除する為に行われてよい。微生物叢の分析用サンプルは、見込みドナーの女性生殖器系内の1つ以上の場所から採取されてよい。
【0217】
ドナー材料の収集
ドナー材料は、微生物を含む材料を含み、女性生殖器系及び/又は妊娠組織及び/又は胎児組織及び/又は胎児液から収集される。ドナー材料の非限定的な例として、子宮頸管粘液、膣分泌物、膣排せつ物、羊水、胎盤、絨毛羊膜などがある。ドナー材料を収集する技術の非限定的な例として、吸引、スワブ法などがある。
【0218】
ドナー材料の収集の前に女性生殖器系の一領域の準備が行われてよい。例えば、子宮頸管粘液の収集の前に、子宮頸部を無菌食塩水で洗浄してよい。
【0219】
ドナー材料の処理
レシピエントへの移植の前に、ドナー材料の処理が行われてよい。場合によっては、ドナー材料は、稀釈剤などの別の材料と組み合わされてよい。例えば、ドナー材料は、生理食塩水と組み合わされてよい。前記材料は、ブレンダで混合されてよい。
【0220】
場合によっては、ドナー材料は、移植の前に冷凍庫又は冷蔵庫に保管されてよい。例えば、ドナー材料は、冷凍庫において、-10℃から-100℃の温度で保管されてよく、例えば、-75℃で保管されてよい。場合によっては、冷蔵又は冷凍の前に、グリセロールなどの添加物がドナー材料と組み合わされてよい。
【0221】
場合によっては、処理は、ドナー材料を漉し器で漉すこと、ドナー材料を遠心分離機にかけること、及び/又はドナー材料を粒径及び/又は密度に基づいて選別することを含んでもよい。
【0222】
場合によっては、ドナー材料の複数のサンプルが組み合わされてよく、例えば、単一ドナーから一定期間を置いて収集された複数のサンプルが組み合わされてよく、或いは、例えば、2人以上のドナーから収集された複数のサンプルが組み合わされてよい。例えば、前記組み合わせは、ドナー材料の、移植のための目標量を達成する為に利用されてよい。
【0223】
場合によっては、ヒト由来微生物叢は、ドナーの女性生殖器系から収集されたサンプルから抽出された微生物叢を含み、場合によっては、ヒト由来微生物叢は、ドナーの、女性生殖器系以外の領域から収集されたサンプルからの微生物叢を含む。場合によっては、ドナーから収集されたサンプルからの細菌が、培養によって隔離されてよい。培養された細菌の菌株に対して抗菌剤感受性検査が行われてよく、培養された細菌の菌株のうち、感受性が乏しいものは、ヒト由来微生物叢製品への組み入れから除外されてよい。容認できる抗菌剤感受性を有する培養された細菌の菌株のうちの1つ以上が、ヒト由来微生物叢の成分として選択されてよい。2つ以上の培養された細菌の菌株が選択された場合、これらの培養された細菌の菌株は、ヒト由来微生物叢を生成する為に所定の比率で組み合わされてよい。ヒト由来微生物叢に対して、生理食塩水などの添加物が所定の比率で組み合わされてよい。
【0224】
場合によっては、ヒト由来微生物叢は、2つの培養された細菌の菌株から1000個の培養された細菌の菌株の混合物を含み、例えば、15個の培養された細菌の菌株の混合物を含み、これらの培養された細菌の菌株が同時に投与されることになる。場合によっては、ヒト由来微生物叢は、2つ以上の門からの種を含む細菌種の混合物を含む。
【0225】
治療の目的
治療の目的の非限定的な例として、体外受精に関連する転帰の改善(例えば、着床の可能性、及び/又は臨床的妊娠、及び/又は生児出生の改善)、妊娠に関連する転帰の改善(例えば、満期産の可能性の改善、及び/又は、早産、及び/又は早期早産、及び/又は感染性早産、及び/又は微生物叢関連早産、及び/又は早期破水の可能性を減らすこと)、女性生殖器系に関連する転帰の改善(例えば、再発性細菌性膣炎及び/又は慢性子宮内膜炎の解消)などがある。
【0226】
見込みレシピエントの選択
微生物叢移植を受ける資格の付与の為に、見込みレシピエントのスクリーニングが行われてよい。例えば、スクリーニング処理の一環として、患者の産科履歴が分析されてよく、過去の感染性早期早産が、患者選択の組み入れ基準の構成要素として採用されてよい。組み入れ基準の構成要素として採用されてよい他の因子として、過去の体外受精試行での芳しくない転帰(例えば、胎芽移植カテーテル先端部からのビリダンス型連鎖球菌のリカバリに伴う移植の失敗)、及び/又は女性生殖器系の構成要素の感染(例えば、再発性細菌性膣炎)などがある。患者の女性生殖器系における潜在的な標的場所の微生物叢の評価が行われてよい。スクリーニングは、見込みレシピエントの女性生殖器系の微生物叢の分析を含んでよく、例えば、培養ベースの方法、及び/又は分子法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応測定法)による分析を含んでよい。所定の基準に基づく、その微生物叢が好ましくないという判定、及び/又は、所定の基準に基づく、その微生物叢が微生物叢移植処置に適用できるという判定が、見込みレシピエントを、資格を付与されるレシピエントとして選択する上での前提条件であってよい。スクリーニングは、見込みレシピエントの遺伝子スクリーニングを含んでよく、これは、例えば、見込み患者の、微生物叢に関連する早産のリスクに関連付けられる因子を評価する為に行われる。見込み患者が好中球減少症である場合には、資格を付与される患者から除外されてよい。
【0227】
レシピエント材料
レシピエント材料は、ヒト微生物叢、及び/又はヒト由来微生物叢、及び/又は微生物叢材料、及び/又は成長促進剤、及び/又は微生物叢のサブセットの成長促進剤、及び/又は成長遅延剤、及び/又は微生物叢のサブセットの成長遅延剤、及び/又は所望の微生物叢プロファイルを促進する材料を含む。レシピエント材料は又、生理食塩水などの希釈剤及び/又はグリセロールなどの添加物を含んでよい。レシピエント材料の非限定的な例として、ドナー材料及びヒト由来微生物叢があり、例えば、上述のように、ドナーの女性生殖器系から採取されたサンプルから処理されたヒト由来微生物叢がある。
【0228】
レシピエントへの送達のタイミング
場合によっては、レシピエント材料は、計画された妊娠の前、且つ/又は妊娠中、且つ/又は妊娠後にレシピエントに投与されてよい。
【0229】
場合によっては、レシピエント材料は、体外受精処置の前、且つ/又は処置と同時、且つ/又は処置の後にレシピエントに投与されてよい。
【0230】
場合によっては、レシピエント材料は、女性生殖器系に影響を及ぼす症状の診断の後にレシピエントに投与されてよい。
【0231】
場合によっては、患者へのレシピエント材料の送達は、2回以上のセッションにわたって繰り返されてよい。
【0232】
レシピエントへの微生物叢の送達
レシピエント材料の送達は、患者の女性生殖器系内の特定の領域を標的としてよい。標的の非限定的な例として、膣、子宮頸部、及び子宮の領域などがある。更に、レシピエント材料は、微生物叢がそこから女性生殖器系へ広がる可能性が高いことが知られているか、そのように考えられている場所に送達されてよい。例えば、レシピエント材料は、経口投与されるか、患者の消化管に挿入されてよい。
【0233】
レシピエント材料は、ある範囲の時間にわたって患者の体内に残るように計画されてよい。例えば、患者の膣に挿入されたレシピエント材料の塊が、少なくとも6時間にわたって患者の膣内に残るように計画されてよい。より大まかには、レシピエント材料の塊は、1秒から1週間にわたって患者の体内に残るように計画されてよい。患者は、レシピエント材料の排出が早すぎる可能性を最小化するような体の向きにされてよく、例えば、患者は、処置セッションの間、水平方向に仰向けに寝かされてよい。場合によっては、レシピエント材料の早すぎる排出を防ぐか減らす為の装置が使用されてよい。例えば、膣からのレシピエント材料の早すぎる排出を防ぐか減らす為に、タンポン状の装置が患者の膣に挿入されてよい。
【0234】
場合によっては、膣付近の組織、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の一部又は全体から既存の微生物叢が取り除かれて場所が空けられてから、新たな微生物叢が送達される。
【0235】
レシピエント材料は、患者の体からのレシピエント材料の早すぎる排出を防ぐか減らすように開発されてよい。レシピエント材料は、ゲルとして開発されてよく、且つ/又は非ニュートン流体(例えば、ビンガム塑性体)として開発されてよく、且つ/又は粘度が高くてよい。レシピエント材料は、流体又はゲルとして開発されてよく、且つ、時間とともに粘度が変化してよく、例えば、レシピエント材料は、活性化処置の後の8時間の間に高粘度から低粘度に変化してよい。レシピエント材料は、可溶性の外層と、微生物叢(例えば、ヒト微生物叢及び/又はヒト由来微生物叢)を含む内芯と、を有する丸薬を含んでよい。例えば、前記丸薬は、患者の膣内に配置されてよく、そこで外層が溶けて、内芯の微生物叢が露出する。レシピエント材料は、微生物叢(例えば、ヒト微生物叢及び/又はヒト由来微生物叢)を一定時間の間に徐々に送達する構造として実施されてよい。例えば、レシピエント材料は、微生物叢を1週間にわたって徐々に送達するマトリックスを含む丸薬として実施されてよい。レシピエント材料は、坐薬として開発されてよい。
【0236】
実施形態及び方法によっては、流体レシピエント材料及び/又はゲルレシピエント材料を送達するシステムが、流量を制限する手段、及び/又はレシピエント材料が患者に送達される際の圧力を制限する手段を含んでよい。例えば、送達カテーテルの送達ルーメンと流体連通している圧力逃し弁が、患者に送達されるレシピエント材料の圧力を、あらかじめ設定された閾値に制限してよい。別の例では、患者に送達されるレシピエント材料の流量を制御する為に輸液ポンプが利用されてよい。輸液ポンプは、純粋に機械式であってよく、圧縮されたばねが既知の範囲の力を与え、配管の長さが既知の範囲の抵抗を与える。又、実施形態及び方法によっては、輸液ポンプは電気部品を含んでよい。このシステムは、システム内でのレシピエント材料の乱流を最小限に抑える機構、及び/又は患者の管腔内でのレシピエント材料の乱流を最小限に抑える機構を含んでよい。
【0237】
場合によっては、膣、子宮頸管、又は子宮の中に配置された送達ポートが、送達ポートが膣から引き抜かれるとき、又は膣から引き抜かれる方向に動いたときに材料を送達するように構成又は使用されてよく、これは、送達されたレシピエント材料によって、産道内にある既に送達されたレシピエント材料及び/又は既存の物質が膣内の奥深くに押し込まれないようにする為である。
【0238】
場合によっては、膣、子宮頸部、又は子宮の第1の場所に閉塞要素が配置されてよい。閉塞要素(例えば、可膨張性バルーン、送達装置上の直径が増大した領域、又は送達装置を周辺組織と並置させることを促進する負圧ポートを含む領域)は、膣、子宮頸管、及び/又は子宮のその第1の場所の中にレシピエント材料が送達される前に、必要に応じて活性化される。閉塞要素は、レシピエント材料が送達される場所に対して遠位に(例えば、膣、子宮頸管、又は子宮のより深い場所に)配置されてよく、例えば、送達カテーテルが、遠位閉塞要素と、閉塞要素より近位にある送達ポートとを含んでよい。閉塞要素は、送達されるレシピエント材料の一部又は全てが、送達中に、膣、子宮頸管、又は子宮の、閉塞要素より深い場所に到達することを防ぎ、且つ/又は、送達によって原生微生物が膣、子宮頸管、又は子宮のより深い場所に押し込まれるのを防ぐ。場合によっては、注入された材料が膣口に到達した時点で、レシピエント材料の送達が停止される。場合によっては、送達装置の挿入時に膣内の材料をより深い場所に押し込まないようにするために、送達装置は低プロファイルである。
【0239】
実施形態及び方法によっては、レシピエント材料を送達するカテーテルは、カテーテルの遠位先端部又はその付近にある流体送達口から、レシピエント材料の近位リザーバまで延びる流体送達ルーメンを含んでよく、更に、カテーテルの遠位先端部又はその付近にあるベントインテーク口から、カテーテルの近位端の近くの流出リザーバまで延びるベントルーメンを含んでよい。流出リザーバは、周囲の空気へ通風する未封止容器を含んでよい。カテーテルの先端部は患者の膣に挿入されてよく、レシピエント材料は、リザーバから流体送達ルーメンを通って流れて、流体送達口から出るようにされてよい。膣内の空気及び/又は流体は、カテーテルの挿入の直前に膣内にあった空気及び/又は流体を含めて、ベントインテーク口に入り、ベントルーメンを通って流れることが可能である。空気及び/又は流体をベントルーメンから流出リザーバに流すことにより、カテーテル挿入時及び/又はレシピエント材料送達時の膣内の圧力上昇を防ぐか最小限に抑えることが可能である。
【0240】
場合によっては、送達装置は、送達部位における送達された材料の体積が、送達中に送達装置によって空けられた体積にほぼ取って代わるように構成及び使用され、これは、送達された材料及び/又は原生微生物の望ましくない移動を引き起こす可能性がある圧力差を最小限に抑えるか、又は圧力差が生じないようにする為である。
【0241】
場合によっては、送達装置は、膣、子宮頸管、又は子宮に挿入され、作動時に材料をポートから押し出すプランジャを特徴として有する。場合によっては、ポートのサイズ、抵抗、及び場所は、送達された材料が標的生体構造内で所望の分布になることを促進するように選択される。例えば、ポートは、送達された材料が標的領域内でほぼ均一に配置されるように構成されてよい(これは、例えば、ポートのいかなるサブセットも、プランジャの作動中に、収容された材料から隔離されないようにすることによって、或いは、そのような隔離があっても吸収するポートサイズ、抵抗、及び場所を採用することによって構成されてよい)。場合によっては、所望の微生物叢プロファイルを促進する為に、送達される材料の量及び/又は比率が、装置に沿って、又は装置の周辺で変化する。例えば、第2の領域より膣口に近い第1の領域に、所望の微生物叢プロファイルを有する微生物叢材料が送達されてよく、第2の領域には成長遅延剤が送達されてよい(或いは、成長遅延剤送達装置、又は施栓装置又は閉塞装置が送達されてよい)。
【0242】
場合によっては、微生物の上行又は移動を防ぐ為に、施栓装置又は閉塞装置が膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に移植されてよい。施栓装置又は閉塞装置は、生分解性であってよい。
【0243】
実施形態及び方法によっては、無傷先端部を有する可撓性チューブにつながれた流体リザーバを含むシステムに、レシピエント材料が送達されてよい。可撓性チューブは弁を含んでよく、この弁は、操作者の選択に応じて、流れを阻止するか通すかを切り替えられることが可能である。場合によっては、このシステムは重力を動力としてよく、レシピエント材料を収容する流体リザーバが可撓性チューブの先端部より上に持ち上げられ、可撓性チューブの先端部が患者の標的場所の近くに挿入される。場合によっては、システム内のレシピエント材料の流れが、ポンプによって駆動されてよい。
【0244】
実施形態及び方法によっては、レシピエント材料を収容するシリンジが、送達カテーテルと結合されてよい。送達カテーテルは、遠位先端部に流体送達ポートを含んでよく、流体送達ポートは、流体送達ルーメンを介してシリンジと結合されている。遠位先端部は、操作者が患者の膣内に挿入し、標的場所まで前進させてよい。操作者は、流体送達ポートを標的場所と一直線に並べてから、シリンジのプランジャを前進させることにより、レシピエント材料を標的場所に送達することが可能である。場合によっては、ガイドカテーテルが送達カテーテルと併用される。送達カテーテルは、ガイドカテーテルより撓みやすいシャフトを有してよい。
【0245】
実施形態及び方法によっては、レシピエント材料は、子宮鏡から、例えば、動作中のポートを介して送達されてよい。実施形態及び方法によっては、レシピエント材料は、胎芽移植カテーテルから送達されてよい。
【0246】
送達カテーテル、又は他のレシピエント材料送達装置が、軟らかい遠位先端部、球状先端部、可撓性シャフト、音波を発生する先端部、音波を発生するシャフト、過挿入を機械的に防ぐ機構、及び挿入深さを容易に割り出せる、シャフトに沿ったマーキングのうちの1つ以上を含んでよい。
【0247】
レシピエントへの微生物叢の送達は、画像化により実施されてよく、例えば、経皮的超音波、及び/又は光ファイバ可視化により実施されてよい。実施形態及び方法によっては、直接可視化が行われてよく、例えば、膣鏡との組み合わせで行われてよい。
【0248】
場合によっては、レシピエント材料は、送達装置が生体構造内に配置される前に、あらかじめ送達装置に充填される。例えば、送達装置にヒト由来微生物叢があらかじめ充填されてよい。
【0249】
場合によっては、送達されるレシピエント材料の量又は微生物叢プロファイルは、レシピエントの特性(例えば、原生微生物叢プロファイル)に少なくとも部分的に基づいて選択される。例えば、細菌の菌株、及び/又は細菌の菌株の比率は、レシピエントの膣微生物叢の分析に基づいて、且つ/又は患者のゲノムに基づいて、且つ/又は患者の臨床所見に基づいて選択されてよい。別の例では、特定の所望の微生物の比率が比較的高いレシピエント材料が、原生微生物叢中のその微生物の自然比率が望ましくない低さである患者に送達されてよい。
【0250】
場合によっては、患者に送達される材料の微生物叢プロファイルは、投与間で異なってよい。
【0251】
場合によっては、長期間(例えば、微生物叢プロファイルの測定可能な変化が発生するのに十分な長さにわたる期間)にわたって膣、子宮頸管、又は子宮の中に常駐する第1の装置が、状態(例えば、pH、乾燥度、又は温度)又は状態変化を検知する。場合によっては、この情報は、第1の装置の中に格納され、その後、第2の装置(例えば、スマートフォン)に送信され、場合によっては、更に別の装置へ、順次的に、又は並行して送信される。場合によっては、第1の装置、第2の装置、又は更に別の装置は、視覚情報、聴覚情報、又は触覚情報を人(例えば、第1の装置の装着者、又は医療専門家)に提供し、この情報を使用して、一連のアクション(例えば、微生物叢材料を体に送達すること)を実施するかどうかを決定することが可能である。場合によっては、送達装置(例えば、第1の装置)は、所望の微生物叢プロファイルを促進する為に、検知された状態又は状態変化に対する応答として、材料又は治療を体に送達することが可能である。例えば、送達装置は、1つ以上のレシピエント材料を送達してよく、且つ/又は、送達装置は、光、緩衝液(又は他の、pHに作用することを意図された溶液)、寒冷療法、温熱療法、又は別の療法を送達してよい。
【0252】
場合によっては、装置が膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中の定位置に残って、所望の微生物叢プロファイルを促進する。例えば、装置は、特定の細菌の増殖を促進すると考えられているか、促進することが知られている金属イオンに対して微生物叢を露出させてよい。例えば、乳酸菌の成長を促進する為に、マンガンイオン又は鉄イオンが存在してよい。場合によっては、レシピエント材料は、装置から徐々に放出されてよい。場合によっては、微生物叢プロファイルを所望の状態に変えるために、膣、子宮頸管、及び/又は子宮の中に存在する比率と異なる比率で微生物が放出されてよい。
【0253】
場合によっては、所望の微生物叢プロファイルを促進する装置又は方法は、微生物叢の中に存在する微生物、又は微生物の1つ以上のサブセットの所望の成長又は成長抑制を促進する波長、継続時間、強度、及び/又はレジメンの光を与えることを含む。光送達のパラメータは、組織に対する望ましくない(例えば、紫外光曝露及び/又は熱による)損傷又は損傷のリスクを避けるように選択されてよい。
【0254】
場合によっては、レシピエント材料などの材料のリザーバが、所望のプロトコルに従って微生物叢の主要部位に送達されるまでは、標的微生物叢の主要部位の外側にあってよい。場合によっては、材料のリザーバは、皮膚に接着されるか、衣服に固定され、リザーバから微生物叢の主要部位まで導管が走る。例えば、リザーバが大腿部に接着されてよく、マイクロコントローラが、チューブを通って膣に入る微生物叢流体のポンピング又は放出を制御してよい。場合によっては、リザーバシステムは、インスリンポンプと同様に機能する。
【0255】
場合によっては、所望の微生物叢プロファイルを促進する装置又は方法は、微生物叢の場所において所望のpHを維持することを含み、例えば、広がり又は個体数が所望より小さい微生物の相対的成長を促進することが知られているか、そのように考えられているpHを維持することを含み、又、例えば、広がり又は個体数が所望より大きい微生物の相対的成長を抑制することが知られているか、そのように考えられているpHを維持することを含む。例えば、乳酸菌の成長を促すpHが促進されてよい。場合によっては、装置は、微生物叢の環境のpHに作用する薬剤(例えば、緩衝剤)を即時又は徐々に放出することを容易にする。
【0256】
場合によっては、本明細書に記載の装置及び方法は、レシピエント材料を、レシピエントの目、耳、尿路、消化管、口腔、生殖器系、及び/又は呼吸器系に移植又は送達する為に使用されてよい。場合によっては、材料は、ドナーの対応する生体構造において作り出される。
【0257】
当然のことながら、「微生物叢」という用語は、本出願においては、より大きな生体の表面又は内部において見つかる微生物の集合又は部分集合を意味していてよく、且つ/又は、より大きな生体の表面又は内部において配置、培養、又は促進されることが望まれる微生物の集合又は部分集合を意味していてよい。当然のことながら、「微生物叢プロファイル」という用語は、微生物叢中に存在する微生物の組成、相対的組成、及び/又は数量を意味していてよい。
【0258】
本明細書において、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上に(on)」あると言及された場合、その特徴又は要素は、直接その別の特徴又は要素に接していてよく、或いは、介在する特徴及び/又は要素が存在してもよい。これに対し、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直接上に(directly on)」あると言及された場合、介在する特徴又は要素は存在しない。又、当然のことながら、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続されている(connected)」、「取り付けられている(attached)」、又は「結合されている(coupled)」と言及された場合、その特徴又は要素は、直接その別の特徴又は要素に接続されているか、取り付けられているか、結合されていてよく、或いは、介在する特徴又は要素が存在してもよい。これに対し、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に、「直接接続されている(directly connected)」、「直接取り付けられている(directly attached)」、又は「直接結合されている(directly coupled)」と言及された場合、介在する特徴又は要素は存在しない。そのように記載又は図示された特徴及び要素は、1つの実施形態に関して記載又は図示されているが、他の実施形態にも当てはまってよい。又、当業者であれば理解されるように、ある構造又は特徴が別の特徴に「隣接して(adjacent)」配置されていて、その構造又は特徴が言及された場合、その言及は、隣接する特徴と部分的に重なり合うか、隣接する特徴の下層となる部分を有してよい。
【0259】
本明細書において使用された術語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示の限定を意図したものではない。例えば、本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに矛盾する場合を除き、複数形も同様に包含するものとする。更に、当然のことながら、「comprises(含む)」及び/又は「comprising(含む)」という語は、本明細書で使用された際には、述べられた特徴、手順、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を明記するものであり、1つ以上の他の特徴、手順、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらの集まりの存在又は追加を排除するものではない。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連付けられて列挙された1つ以上のアイテムのあらゆる組み合わせを包含するものであり、「/」と略記されてよい。
【0260】
「下に(under)」、「下方に(below)」、「下方の(lower)」、「上方の(over)」、「上方の(upper)」などのような空間的相対的な語句は、本明細書では、図面に示されるような、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明する場合に説明を簡単にする為に使用されてよい。当然のことながら、この空間的相対的な語句は、使用時又は操作時の器具の、図面で描かれる向きに加えて、それ以外の向きも包含するものとする。例えば、図面内の器具が反転された場合、別の要素又は特徴の「下に(under)」又は「真下に(beneath)」あると記載された要素は、その別の要素又は特徴の「上に(over)」方向づけられることになる。従って、例えば、「下に(under)」という語句は、「上に(over)」及び「下に(under)」の両方の向きを包含しうる。本装置は、他の方向づけ(90度回転又は他の方向づけ)が行われてよく、それに応じて、本明細書で使用された空間的相対的な記述子が解釈されてよい。同様に、「上方に(upwardly)」、「下方に(downwardly)」、「垂直方向の(vertical)」、「水平方向の(horizontal)」などの用語は、本明細書では、特に断らない限り、説明のみを目的として使用される。
【0261】
「第1の」及び「第2の」という語句は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明する為に使用されてよいが、これらの特徴/要素は、文脈上矛盾する場合を除き、これらの語句によって限定されるべきではない。これらの語句は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別する為に使用されてよい。従って、本発明の教示から逸脱しない限り、第1の特徴/要素が後述時に第2の特徴/要素と称されてもよく、同様に、第2の特徴/要素が後述時に第1の特徴/要素と称されてもよい。
【0262】
本明細書、並びに後述の特許請求の範囲を通して、別段に記述しない限りは、語句「含む(comprise)」、並びに「含む(comprises)」、「含む(comprising)」などの変形は、様々な構成要素が方法及び物(例えば、装置及び方法を含む組成物及び設備)の中で一緒に使用されてよいことを意味する。例えば、語句「含む(comprising)」は、述べられた全ての要素又はステップを含むこと、並びに他のいかなる要素又はステップも排除しないことを含意するものと理解されたい。
【0263】
実施例において使用される場合も含め、本明細書及び特許請求の範囲において使用されているように、且つ、特に断らない限り、あらゆる数値は、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句が前置されているものとして読まれてよく、たとえ、その語句が明示的に現れていなくても、そのように読まれてよい。「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句は、大きさ及び/又は位置を示す場合に、記載された値及び/又は位置が、妥当な予想範囲の値及び/又は位置に収まっていることを示す為に使用されてよい。例えば、数値は、述べられた値(又は値の範囲)の±0.1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±2%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±5%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±10%の値であってよく、他のそのような値であってよい。本明細書において与えられたいかなる数値も、文脈上矛盾する場合を除き、「約その値」又は「およそその値」も含むものとして理解されたい。例えば、値「10」が開示されていれば、「約10」も開示されている。本明細書に記載のいかなる数値範囲も、そこに包含される全ての副範囲を包含するものとする。これも当然のこととして、当業者であれば正しく理解されるように、ある値が開示されていれば、「その値以下の」値、「その値以上の」値、及び値間の可能な範囲も開示されている。例えば、値「X」が開示されていれば、「X以下の」値、並びに「X以上の」値(例えば、Xは数値)も開示されている。これも当然のことながら、本出願全体を通して、データは幾つかの異なる形式で与えられ、このデータは終点及び始点を表し、これらのデータ点の任意の組み合わせを範囲として有する。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点「15」が開示されていれば、当然のことながら、10及び15より大きな値、それら以上の値、それらより小さな値、それら以下の値、及びそれらに等しい値も、10と15の間の値と同様に開示されていると見なされる。これも当然のことながら、2つの特定の単数の間の各単数も開示されている。例えば、10及び15が開示されていれば、11、12、13、及び14も開示されている。
【0264】
ここまで様々な例示的実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲によって示される本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な実施形態に対して、幾つかある変更のいずれが行われてもよい。例えば、記載された各種方法ステップが実施される順序は、代替実施形態では変更されてよい場合が多く、代替実施形態によっては、1つ以上の方法ステップがまとめてスキップされてもよい。装置及びシステムの様々な実施形態の任意選択の特徴が、実施形態によっては含まれてよく、実施形態によっては含まれなくてよい。従って、上述の説明は、主に例示を目的としたものであり、特許請求の範囲に明記されている本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0265】
本明細書に含まれる実施例及び具体例は、本発明対象が実施されうる具体的な実施形態を、限定ではなく例示として示す。言及されたように、他の実施形態が利用されたり派生したりしてよく、本開示の範囲から逸脱しない限り、構造的な、或いは論理的な置換又は変更が行われてよい。本発明対象のそのような実施形態は、本明細書においては、個別に参照されてよく、或いは、「本発明」という言い方でまとめて参照されてよく、「本発明」という言い方で参照することは、あくまで便宜上であって、本出願の範囲を、実際には2つ以上が開示されていても、いずれか1つの発明又は発明概念に自発的に限定することを意図するものではない。従って、本明細書では特定の実施形態を図示及び説明してきたが、この、示された特定の実施形態を、同じ目的を達成するように作られた任意の構成で置き換えてよい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる翻案又は変形を包含するものである。当業者であれば、上述の説明を精査することにより、上述の複数の実施形態の組み合わせ、及び本明細書に具体的な記載がない他の実施形態が明らかになるであろう。
【0266】
〔付記1〕
子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置であって、
コーティング材を搬送するように構成された第1のルーメン(送達ルーメン)を含む細長ボディと、
ハンドルを有する近位端領域と、
前記細長ボディの遠位端にあって、前記子宮頸膣部に対して一直線に並ぶように構成された塗布器であって、前記塗布器の内面の中心領域が、前記塗布器が前記子宮頸膣部に対して一直線に並んだときに、前記子宮頸膣部上の、子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成されている、前記塗布器と、
前記中心領域の外側に配置されていて、前記内面を通り抜ける1つ以上の送達アパーチャであって、前記第1のルーメンから前記子宮頸膣部にコーティング材を送達するように構成された前記1つ以上の送達アパーチャと、
を含む装置。
〔付記2〕
子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置であって、
第1のルーメン(送達ルーメン)を含む細長ボディと、
ハンドルを有する近位端領域、及び前記第1のルーメン(送達ルーメン)とつながっているコーティング材用チャンバと、
前記細長ボディの遠位端にあって、前記子宮頸膣部の上に嵌まって前記コーティング材を前記子宮頸膣部上に塗布するが前記子宮頸管内には塗布しないように構成されたカップ状塗布器であって、前記カップ状塗布器の内面の中心領域が、前記カップ状塗布器が前記子宮頸膣部の上方にあるときに、前記子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成されている、前記カップ状塗布器と、
前記内面を通り抜ける1つ以上の送達アパーチャであって、前記中心領域の外側にあるか、前記カップ状塗布器が前記子宮頸膣部の上方にあるときに前記中心領域に垂直に、且つ前記子宮頸管内へコーティング材が射出されるのを防ぐ向きになっている前記送達アパーチャと、
を含む装置。
〔付記3〕
子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を送達する装置であって、
第1のルーメン(送達ルーメン)を含む、湾曲又は屈曲した細長ボディと、
ハンドルを有する近位端領域、及び前記第1のルーメン(送達ルーメン)とつながっているコーティング材用チャンバと、
前記細長ボディの遠位端にあって、前記子宮頸膣部の上に嵌まって前記コーティング材を前記子宮頸膣部上に塗布するが前記子宮頸管内には塗布しないように構成されたカップ状塗布器であって、前記カップ状塗布器の内面の中心領域が、前記カップ状塗布器が前記子宮頸膣部の上方にあるときに、前記子宮頸膣部上の、子宮頸管の開口部と向き合って配置されるように構成されている、前記カップ状塗布器と、
前記中心領域の外側に配置されていて、前記内面を通り抜ける複数の送達アパーチャであって、前記子宮頸管内の子宮頸管粘液栓を破壊することなく前記第1のルーメンから前記子宮頸膣部にコーティング材を送達するように構成された前記送達アパーチャと、
を含む装置。
〔付記4〕
前記塗布器上の、又は前記塗布器を通るオーバフローチャネルを更に含み、前記オーバフローチャネルは、前記細長ボディの中を通る第2のルーメン(戻りルーメン)とつながっている、付記1から3のいずれか一項に記載の装置。
〔付記5〕
前記1つ以上の送達アパーチャから射出される前記コーティング材の流体圧力を減らすように構成されたバッフルを更に含む、付記1から4のいずれか一項に記載の装置。
〔付記6〕
前記塗布器の内面上又は内面内にあって、前記1つ以上の送達アパーチャから射出される前記コーティング材の流体圧力を減らすように構成されたスポンジ状バッフルを更に含む、付記1から4のいずれか一項に記載の装置。
〔付記7〕
前記1つ以上の送達アパーチャは、コーティング材が前記1つ以上の送達アパーチャを通って子宮頸管内に射出されるのを防ぐ為に、前記内面の前記中心領域の周囲に配列された複数の送達アパーチャを含む、付記1から6のいずれか一項に記載の装置。
〔付記8〕
前記細長ボディは曲がっているか曲がることが可能である、付記1から7のいずれか一項に記載の装置。
〔付記9〕
前記塗布器は前記細長ボディとつながっており、調節可能な首領域が、前記細長ボディに対する前記カップ状塗布器の相対角度の調節を可能にするように構成されている、付記1から8のいずれか一項に記載の装置。
〔付記10〕
前記塗布器は、前記カップ状塗布器が前記子宮頸膣部の上方にあるときに空気を逃がすように構成された隙間又はチャネルを含む、付記2から9のいずれか一項に記載の装置。
〔付記11〕
前記1つ以上の送達アパーチャから塗布される前記コーティング材の圧力を制限するように構成された圧力制限器を更に含む、付記1から10のいずれか一項に記載の装置。
〔付記12〕
前記塗布器は、前記塗布器を通しての前記子宮頸膣部の可視化を可能にする為に、前記塗布器の少なくとも一部にわたって透明である、付記1から11のいずれか一項に記載の装置。
〔付記13〕
子宮頸管粘液栓を破壊することなく患者の子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を塗布する方法であって、
塗布器が前記子宮頸膣部に隣接するように、膣から塗布装置を挿入するステップと、
前記子宮頸膣部の上にコーティング材を塗布することと、同時に、前記コーティング材が膣壁に接触したり、子宮頸管内に突出して前記子宮頸管粘液栓を破壊したりすることを防ぐことと、により、前記微生物障壁を形成するステップと、
を含む方法。
〔付記14〕
子宮頸管粘液栓を破壊することなく子宮頸部の子宮頸膣部に微生物障壁を塗布する方法であって、
患者に頸膣部の感染がないことを確認するステップと、
カップ状塗布器が前記子宮頸膣部の上方になるように、前記膣から塗布装置を挿入するステップと、
前記子宮頸膣部の上にコーティング材を塗布することと、同時に、前記コーティング材が膣壁に接触したり、子宮頸管内に突出して前記子宮頸管粘液栓を破壊したりすることを防ぐことと、により、前記微生物障壁を形成するステップと、
を含む方法。
〔付記15〕
前記子宮頸管粘液栓の破壊を防ぐ為に、前記塗布装置からの前記塗布されるコーティング材の圧力、流量、又は圧力及び流量を制限するステップを更に含む、付記13から14のいずれか一項に記載の方法。
〔付記16〕
前記微生物障壁を形成する前に、前記膣に感染がないことを確認するステップを更に含む、付記13から15のいずれか一項に記載の方法。
〔付記17〕
前記微生物障壁を形成する前に、絨毛羊膜が破壊されていないことを確認するステップを更に含む、付記13から16のいずれか一項に記載の方法。
〔付記18〕
前記塗布装置を通して前記子宮頸部を可視化するステップを更に含む、付記13から17のいずれか一項に記載の方法。
〔付記19〕
余剰コーティング材を除去して前記塗布装置に戻すステップを更に含む、付記13から18のいずれか一項に記載の方法。
〔付記20〕
前記コーティングを塗布する前記ステップは、前記塗布装置のカップ状端部から、前記カップ状端部の内面上の1つ以上のアパーチャを通して前記コーティングを塗布することを含み、前記1つ以上のアパーチャは、コーティング材が子宮頸管内に直接塗布されないように、前記内面に対して相対的に中心から外れている、付記13から19のいずれか一項に記載の方法。
〔付記21〕
前記コーティング材を塗布する前記ステップは、前記子宮頸膣部にコーティング材を、約0.5mmから約1cmの厚さまで塗布することを含む、付記13から20のいずれか一項に記載の方法。
〔付記22〕
前記挿入するステップ及び前記形成するステップを1週間後から6週間後の間に繰り返すことを更に含む、付記13から21のいずれか一項に記載の方法。
〔付記23〕
前記コーティング材を塗布する前記ステップは、前記コーティング材を噴霧することを含む、付記13から22のいずれか一項に記載の方法。
〔付記24〕
前記塗布装置を挿入する前記ステップは、前記塗布装置を使用して前記子宮頸膣部を前記膣から機械的に隔離することを含む、付記13から23のいずれか一項に記載の方法。
図1
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