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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029509
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】人体収納用構造体及び睡眠用筐体
(51)【国際特許分類】
   A47C 20/00 20060101AFI20230224BHJP
   A47C 17/52 20060101ALI20230224BHJP
   A47C 19/00 20060101ALI20230224BHJP
   A47C 16/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A47C20/00
A47C17/52
A47C19/00 Z
A47C16/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001095
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2018238773の分割
【原出願日】2018-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】川村 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】西川 政行
(57)【要約】
【課題】水平方向に広いスペースを必要とすることなく、人体を立位状態で支持すること
ができる人体収納用構造体を提供する。
【解決手段】人体収納用構造体1は、人体を収納する収納空間2を備え、収納空間2に収
納した人体を立位状態で支持するように構成されている。人体収納用構造体1は、収納空
間2に収納された人体の重量の少なくとも一部を下方から支持するように人体の臀部を支
持する第一支持部10と、収納空間2に収納された人体の上半身の水平方向における移動
を阻止するように上半身を支持する第二支持部20と、収納空間2に収納された人体の膝
部が前方に移動することを阻止するように膝部を支持する第三支持部30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を収納する収納空間を備え、前記収納空間に収納した前記人体を立位状態で支持す
るように構成されている人体収納用構造体であって、
前記収納空間に収納された前記人体の重量の少なくとも一部を下方から支持するように
前記人体の臀部を支持する第一支持部と、
前記収納空間に収納された前記人体の上半身の水平方向における移動を阻止するように
前記上半身を支持する第二支持部と、
前記収納空間に収納された前記人体の膝部が前方に移動することを阻止するように前記
膝部を支持する第三支持部と、
を備える、人体収納用構造体。
【請求項2】
前記第二支持部は、前記収納空間に収納された前記人体の上半身後方部を支持する後方
支持部を有する、請求項1に記載の人体収納用構造体。
【請求項3】
前記第二支持部は、前記収納空間に収納された前記人体の上半身側方部を支持する側方
支持部を有する、請求項1又は2に記載の人体収納用構造体。
【請求項4】
前記第二支持部は、前記収納空間に収納された前記人体の上半身前方部を支持する前方
支持部を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の人体収納用構造体。
【請求項5】
前記収納空間に収納された前記人体の足裏を支持する第四支持部を備える、請求項1か
ら4の何れか一項に記載の人体収納用構造体。
【請求項6】
人体を収納する収納空間を備え、前記収納空間に収納した前記人体を立位状態で支持す
るように構成されている、睡眠用筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体収納用構造体及び睡眠用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、限られたスペースでの休憩や睡眠を実現させるための休憩・睡眠用のカプセ
ルが種々提案されている。例えば、固定本体の内部に収納可能な可動本体を有する伸縮可
能なカプセル本体と、このカプセル本体の内部に折り畳み収納可能に設けられたベッドと
、を備える休憩用カプセルが提案されている(特許文献1参照)。また、カプセル内の各
吹出口から吹き出す空気の温度を調整することにより、カプセル内の温度分布が頭寒足熱
となるようにした睡眠用カプセルも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-13304号公報
【特許文献2】特開2002-357351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載されたような従来の休憩・睡眠用のカプセルは、限られたスペ
ースでの休憩や睡眠を実現させるためのものであるが、いずれも人体を横臥状態にして収
納するものであるため、水平方向に比較的広い(少なくとも1m×2m程度の)スペース
が必要になる。従って、例えば容積の限られたオフィス空間内にこのような従来のカプセ
ルを多数設置することは困難であり、気軽に休憩や睡眠をとりたいというオフィスワーカ
ーの要請に応えることはできなかった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、水平方向に広いスペースを必要と
することなく、人体を立位状態で支持することができる人体収納用構造体を提供すること
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る人体収納用構造体は、人体を収納する収納空間
を備え、収納空間に収納した人体を立位状態で支持するように構成されているものであっ
て、収納空間に収納された人体の重量の少なくとも一部を下方から支持するように臀部を
支持する第一支持部と、収納空間に収納された人体の上半身の水平方向における移動を阻
止するように上半身を支持する第二支持部と、収納空間に収納された人体の膝部が前方に
移動することを阻止するように膝部を支持する第三支持部と、を備えるものである。
【0007】
かかる構成を採用すると、収納空間に収納した人体の臀部と上半身と膝部とを支持して
、人体の立位状態を維持することができる。従って、人間は、本構造体の収納空間内にお
いて立位状態で休息や睡眠をとることが可能となる。ここで、「立位状態」とは、人体が
鉛直方向に延在する状態であって、頭部が脚部よりも鉛直上方に位置する状態を意味して
いる。「立位状態」には、人体の重量が脚部によって支持されていない状態(すなわち、
人体の足裏が構造体の底部に着いていない状態)も含まれる。本構造体は、このように立
位状態で人体を支持することができることから、一般的な寝具のように横臥状態で人体を
支持する構造と比較すると、水平方向における寸法を格段に縮小することが可能となる。
【0008】
本発明に係る人体収納用構造体において、収納空間に収納された人体の上半身後方部を
支持する後方支持部を有する第二支持部を採用することができる。
【0009】
かかる構成を採用すると、収納空間に収納された人体の上半身後方部(例えば背部や後
頭部)を支持して立位状態を安定させることが可能となる。
【0010】
本発明に係る人体収納用構造体において、収納空間に収納された人体の上半身側方部を
支持する側方支持部を有する第二支持部を採用することができる。
【0011】
かかる構成を採用すると、収納空間に収納された人体の上半身側方部(例えば肩部や側
頭部)を支持して立位状態を安定させることが可能となる。
【0012】
本発明に係る人体収納用構造体において、収納空間に収納された人体の上半身前方部を
支持する前方支持部を有する第二支持部を採用することができる。
【0013】
かかる構成を採用すると、収納空間に収納された人体の上半身前方部(例えば腕部や前
頭部)を支持して立位状態を安定させることが可能となる。
【0014】
本発明に係る人体収納用構造体において、収納空間に収納された人体の足裏を支持する
第四支持部を備えることができる。
【0015】
かかる構成を採用すると、収納空間に収納された人体の足裏を支持して立位状態を安定
させることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る睡眠用筐体は、人体を収納する収納空間を備え、収納空間に収納し
た人体を立位状態で支持するように構成されているものである。
【0017】
かかる構成を採用すると、収納空間に収納した人体を立位状態で支持することができる
。従って、人間は、本筐体の収納空間内において立位状態で睡眠をとることが可能となる
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、水平方向に広いスペースを必要とすることなく、人体を立位状態で支
持することができる人体収納用構造体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施形態に係る人体収納用構造体を第一支持部側から見た場合の斜視図(透視図)である。
図2】本発明の第一実施形態に係る人体収納用構造体を第二支持部及び第三支持部側から見た場合の斜視図(透視図)である。
図3】本発明の第二実施形態に係る人体収納用構造体(開扉状態)の側面図である。
図4】本発明の第三実施形態に係る人体収納用構造体(閉扉状態)の側面図である。
図5】本発明の第三実施形態に係る人体収納用構造体(開扉状態)の側面図である。
図6】本発明の第三実施形態に係る人体収納用構造体(開扉状態)の斜視図である。
図7】本発明の第四実施形態に係る人体収納用構造体の斜視図(透視図)である。
図8】本発明の第四実施形態に係る人体収納用構造体の上面図(透視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形
態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではな
い。
【0021】
<第一実施形態>
まず、図1及び図2を用いて、本発明の第一実施形態に係る人体収納用構造体1の構成
について説明する。本実施形態に係る人体収納用構造体1は、人体を収納する収納空間2
を備えており、収納空間2に収納した人体を立位状態で支持するように構成されることに
より、立位状態での休憩や睡眠を可能にするものである。本実施形態に係る人体収納用構
造体1は、本発明における睡眠用筐体にも相当するものである。
【0022】
本実施形態に係る人体収納用構造体1は、図1及び図2に示すように略直方体状を呈し
ており、第一支持部10と、第二支持部20と、第三支持部30と、を備えている。人体
収納用構造体1は、その収納空間2に人体を立位状態で収納した状態で、その長手方向が
鉛直方向に沿って延在するように配置される。これにより、水平方向における占有スペー
スを格段に小さくすることが可能となる。
【0023】
人体収納用構造体1の収納空間2は、図1及び図2に示すように、4枚の壁板(後方壁
板3、前方壁板4、側方壁板5、6)と、底板7と、天板8と、によって囲まれた空間で
ある。収納空間2の大きさは、収納する人体の大きさに対応させて適宜設定することがで
きる。例えば、身長165~180cmの男性を収納することを想定した場合には、収納
空間2の高さを200cm程度に設定し、収納空間2の水平方向における占有スペースを
50cm×70cm程度の矩形状に設定することができる。
【0024】
第一支持部10は、収納空間2に立位状態で収納された人体の重量の少なくとも一部を
下方から支持するように人体の臀部を支持するものである。本実施形態においては、図1
及び図2に示すように、後方壁板3から収納空間2へと突出する直方体状の突出部材を第
一支持部10として採用している。第一支持部10の高さ(上面位置)は、収納する人体
の大きさに対応させて適宜設定することができる。第一支持部10は、人体の臀部の重量
(体重の1/3程度)を支持することができるように、所要の剛性及び強度を有する材料
(例えば木材、合成樹脂、金属等)で構成されて後方壁板3に取り付けられている。なお
、本実施形態においては、第一支持部10を後方壁板3の内面に固定した例を示したが、
後方壁板3に対して上下移動可能に取り付けられた第一支持部を採用することもできる。
このようにすると、異なる大きさ(身長)の人体に対応することが可能となる。
【0025】
第二支持部20は、収納空間2に立位状態で収納された人体の上半身の水平方向におけ
る移動を阻止するように上半身を支持するものである。本実施形態における第二支持部2
0は、図1及び図2に示すように、人体の上半身前方部を支持する前方支持部21と、人
体の上半身後方部を支持する後方支持部としての後方壁板3と、人体の上半身側方部を支
持する側方支持部としての側方壁板5、6と、を有している。本実施形態においては、前
方壁板4から収納空間2へと突出する断面E字状の突出部材を前方支持部21として採用
している。前方支持部21は、人体の上半身の重量(体重の1/3程度)を支持すること
ができるように、所要の剛性及び強度を有する材料(例えば木材、合成樹脂、金属等)で
構成されて前方壁板4に取り付けられている。なお、本実施形態においては、前方支持部
21を前方壁板4の内面に固定した例を示したが、前方壁板4に対して上下移動可能に取
り付けられた前方支持部を採用することもできる。このようにすると、異なる大きさ(身
長)の人体に対応することが可能となる。
【0026】
第三支持部30は、収納空間2に立位状態で収納された人体の膝部が前方に移動するこ
とを阻止するように膝部乃至脛部を支持するものである。本実施形態おいては、図1及び
図2に示すように、前方壁板4から収納空間2へと突出する直方体状の突出部材を第三支
持部30として採用している。第三支持部30の高さ(上面位置)は、収納する人体の大
きさに対応させて適宜設定することができる。第三支持部30は、人体の膝部乃至脛部の
重量(体重の1/3程度)を支持することができるように、所要の剛性及び強度を有する
材料(例えば木材、合成樹脂、金属等)で構成されて前方壁板4に取り付けられている。
なお、本実施形態においては、第三支持部30を前方壁板4の内面に固定した例を示した
が、前方壁板4に対して上下移動可能に取り付けられた第三支持部を採用することもでき
る。このようにすると、異なる大きさ(身長)の人体に対応することが可能となる。
【0027】
人体収納用構造体1を構成する4枚の壁板(後方壁板3、前方壁板4、側方壁板5、6
)、底板7及び天板8は、人体収納用構造体1の直方体形状を維持することができるよう
な剛性及び強度を有する材料(例えば木材、合成樹脂、金属等)で構成されており、外部
から収納空間2へと入射する音や光を遮断して休憩や睡眠を促進する機能を果たす。後方
壁板3及び側方壁板5、6は、既に述べたように、第二支持部20の一部(後方支持部及
び側方支持部)として機能するものである。なお、本実施形態においては、図示されてい
ないヒンジ機構を介して側方壁板5が前方壁板4に対して開閉可能に取り付けられ、側方
壁板5がヒンジ式の開閉扉として機能するようになっており、人間は、側方壁板5を介し
て収納空間2にアクセスすることができる。底板7は、収納空間2に立位状態で収納され
た人体の足裏を支持するものであり、本発明における第四支持部として機能する。天板8
は、収納空間2に立位状態で収納された人体を支持するものではないため、省くことも可
能である。
【0028】
人体収納用構造体1を構成する4枚の壁板(後方壁板3、前方壁板4、側方壁板5、6
)、底板7及び天板8における人体との接触面には、柔軟で肌触りのよい素材(例えば、
ウレタンフォーム等)を貼り付けたり、汚れが付着したときに拭き取り易い素材(例えば
ビニールレザー等)を貼り付けたり、抗菌加工を施したりすることができる。また、収納
空間2の内部に脱臭剤を設置することもできる。このようにすると、人間は、収納空間2
内で快適に休憩や睡眠をとることができる。
【0029】
人体収納用構造体1の収納空間2の内部には、目覚まし用の道具を設置することもでき
る。目覚まし用の道具としては、例えば、設定した時刻になると自動的に(例えば光、音
、振動、特定の匂い、温度等を発生させることにより)人間に刺激を与えるものを採用す
ることができる。このような目覚まし用の道具を設置することにより、人間は、設定した
時刻に目覚めることができるという安心感を抱くことができ、快適に休憩や睡眠をとるこ
とができる。また、人体収納用構造体1の収納空間2の内部には、使用者の靴や(目覚ま
し用の)スマートフォンを収納する部位が設けられていると好適である。
【0030】
人体収納用構造体1の外部には、使用中であること(収納空間2に人間が収納されてい
ること)を明示する道具を設置することもできる。かかる道具としては、例えば、表面に
「満室」の表示を施し、裏面に「空室」の表示を施した掛札等を採用することができる。
掛札は、人体収納用構造体1を構成する4枚の壁板のうち、最も人の目につきやすい壁板
(例えば開閉扉として機能する側方壁板5)に取り付けることができる。かかる道具を設
置することにより、使用中の人間は、他者が収納空間2に入ることを抑制することができ
、安心して休憩や睡眠をとることができる。
【0031】
以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1においては、収納空間2に収納した人
体の臀部と上半身と膝部とを支持して、人体の立位状態を維持することができる。従って
、人間は、本構造体1の収納空間2内において立位状態で休息や睡眠をとることが可能と
なる。本構造体1は、このように立位状態で人体を支持することができることから、一般
的な寝具のように横臥状態で人体を支持する構造と比較すると、水平方向における寸法を
格段に縮小することが可能となる。
【0032】
また、以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1においては、第二支持部20が
、後方支持部として機能する後方壁板3を有するため、収納空間2に収納された人体の上
半身後方部(例えば背部や後頭部)を支持して立位状態を安定させることが可能となる。
【0033】
また、以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1においては、第二支持部20が
、側方支持部として機能する側方壁部5、6を有するため、収納空間2に収納された人体
の上半身側方部(例えば肩部や側頭部)を支持して立位状態を安定させることが可能とな
る。
【0034】
また、以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1においては、第二支持部20が
、前方支持部21を有するため、収納空間2に収納された人体の上半身前方部(例えば腕
部や前頭部)を支持して立位状態を安定させることが可能となる。
【0035】
また、以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1においては、第四支持部として
機能する底板7を備えるため、収納空間2に収納された人体の足裏を支持して立位状態を
安定させることが可能となる。
【0036】
<第二実施形態>
次に、図3を用いて、本発明の第二実施形態に係る人体収納用構造体1Aの構成につい
て説明する。本実施形態に係る人体収納用構造体1Aは、第一実施形態に係る人体収納用
構造体1における第一支持部10、前方支持部21、第三支持部30の構成を各々変更し
たものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、
異なる構成を主に説明し、共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略
することとする。
【0037】
本実施形態に係る人体収納用構造体1Aは、図3に示すように略直方体状を呈しており
、4枚の壁板(後方壁板3、前方壁板4、側方壁板5、6)と底板7と天板8とによって
囲まれた収納空間2と、第一支持部10Aと、前方支持部21Aを含む第二支持部20A
と、第三支持部30Aと、を備えている。収納空間2を構成する4枚の壁板(後方壁板3
、前方壁板4、側方壁板5、6)と底板7と天板8については、第一実施形態と実質的に
同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
第一支持部10Aは、第一実施形態と同様に、収納空間2に立位状態で収納された人体
の臀部を支持するものである。本実施形態における第一支持部10Aは、図3に示すよう
に、人体の臀部が乗る上面部11Aに傾斜がつけられている。この傾斜の角度は、人体の
構造(人間がその上半身を前方支持部21Aに委ねたときに腰の曲がる角度等)を考慮し
て適宜設定することができる。第一支持部の上面部を水平にすると、人体の重量を支持で
きる割合はあがるものの、ほぼ座位に近くなってしまい膝部が前方に突出してしまうため
、前後寸法がある程度必要になる。これに対し、図3に示すように第一支持部10Aの上
面部11Aを傾斜させることにより、人体の重量を支持しつつ、より立位に近い姿勢を実
現させることができ、前後寸法を小さくすることが可能となる。
【0039】
第二支持部20Aは、第一実施形態と同様に、収納空間2に立位状態で収納された人体
の上半身を支持するものである。本実施形態における第二支持部20Aは、図3に示すよ
うに、人体の上半身前方部を支持する前方支持部21Aと、人体の上半身後方部を支持す
る後方支持部としての後方壁板3と、人体の上半身側方部を支持する側方支持部としての
側方壁板5、6と、を有している。本実施形態における前方支持部21Aは、図3に示す
ように、側方から見たときに断面が三角形状を呈する突出部材である。かかる形状の突出
部材を採用すると、前方支持部21Aの下方空間を広くすることができ、人間は、より快
適に休憩や睡眠をとることができる。
【0040】
第三支持部30Aは、第一実施形態と同様に、収納空間2に立位状態で収納された人体
の膝部を支持するものである。本実施形態おける第三支持部30Aは、図3に示すように
、人体の膝部が乗る上面部31Aに傾斜がつけられている。この傾斜の角度は、人体の構
造(人間がその上半身を前方支持部21Aに委ね、その臀部を第一支持部10Aに委ねた
ときに膝の曲がる角度等)を考慮して適宜設定することができる。図3に示すように第三
支持部30Aの上面部31Aを傾斜させ、膝部を斜めに支持することにより、人体の重量
の一部を支持することが可能である。すなわち、本実施形態においては、第一支持部10
Aと第三支持部30Aと底板7(第四支持部)とによって人体の重量を支持している。こ
れに対し、第一実施形態のように第三支持部30を垂直面にしている場合は、第一支持部
10と底板7(第四支持部)とによって人体の重量を支持している。
【0041】
以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1Aによれば、第一実施形態に係る人体
収納用構造体1と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、収納空間2に収納し
た人体の臀部と上半身と膝部とを支持して、人体の立位状態を維持することができる。従
って、人間は、本構造体1Aの収納空間2内において立位状態で休息や睡眠をとることが
可能となる。本構造体1Aは、このように立位状態で人体を支持することができることか
ら、一般的な寝具のように横臥状態で人体を支持する構造と比較すると、水平方向におけ
る寸法を格段に縮小することが可能となる。
【0042】
<第三実施形態>
次に、図4図6を用いて、本発明の第三実施形態に係る人体収納用構造体1Bの構成
について説明する。本実施形態に係る人体収納用構造体1Bは、第一実施形態に係る人体
収納用構造体1全体を後方に傾斜させるとともに、前方支持部21及び第三支持部30を
省いたものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このた
め、異なる構成を主に説明し、共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を
省略することとする。
【0043】
本実施形態に係る人体収納用構造体1Bは、図4図6に示すように略直方体状を呈し
ており、4枚の壁板(後方壁板3B、前方壁板4B、側方壁板5B、6B)と底部7Bと
天板8Bとによって囲まれた収納空間2Bと、第一支持部10Bと、第二支持部20Bと
、を備えている。
【0044】
収納空間2Bは、第一・第二実施形態と同様に直方体状を呈している。本実施形態にお
いては、図4図6に示すように、収納空間2B全体が後方に傾斜している。すなわち、
本実施形態に係る人体収納用構造体1Bにおいては、収納空間2Bを構成する後方壁板3
B及び前方壁板4Bが鉛直方向に対して若干後方に傾斜しており、これらを繋ぐ天板8B
もまた水平方向に対して若干後方に傾斜している。そして、このように後方に傾斜した構
造体を後方から支持するための支持部9Bが後方壁板3Bに取り付けられている。また、
2枚の側方壁板5B、6Bは、後方壁板3B及び前方壁板4Bに平行な2辺と、人体収納
用構造体1Bが設置される床面に平行な2辺と、を有する平行四辺形を呈するように構成
されている。
【0045】
本実施形態においては、図示されていないスライド機構を介して側方壁板5Bが後方壁
板3B及び前方壁板4Bに対してスライド移動可能に取り付けられ、側方壁板5Bがスラ
イド式の開閉扉として機能するようになっており、人間は、側方壁板5Bを介して収納空
間2Bにアクセスすることができる。底部7Bは、収納空間2Bに立位状態で収納された
人体の足裏を支持するものであり、本発明における第四支持部として機能する。本実施形
態における底部7Bの前方部分7Baは、後方部分7Bbよりも若干高くかつ後方に傾斜
している。このため、人体を前方部分7Baに乗せて容易に後傾させることが可能となる
【0046】
本実施形態においては、図4に示すように、側方壁板5Bを閉じたときに、側方壁板5
Bの上方(側方壁板5Bの上辺と天板8Bとの間)に若干の間隙Gが形成されており、こ
の間隙Gを介して、収納空間2B内の空気を循環させることができるようになっている。
【0047】
第一支持部10Bは、第一・第二実施形態と同様に、収納空間2Bに立位状態で収納さ
れた人体の臀部を支持するものである。本実施形態における第一支持部10Bは、図5
図6に示すように、人体の臀部が乗る上面部11Bに傾斜がつけられている。この傾斜
の角度は、人体の構造(人間がその上半身を後方壁体3Bに委ねたときに腰の曲がる角度
等)を考慮して適宜設定することができる。
【0048】
第二支持部20Bは、第一・第二実施形態と同様に、収納空間2Bに立位状態で収納さ
れた人体の上半身を支持するものである。本実施形態における第二支持部20Bは、図5
及び図6に示すように、人体の上半身後方部を支持する後方支持部としての後方壁板3B
と、人体の上半身側方部を支持する側方支持部としての側方壁板5B、6Bと、を有して
いる。本実施形態においては、人体を後傾させて支持するため、第一・第二実施形態にお
ける前方支持部を採用していない。
【0049】
本実施形態においては、人体を後傾させて支持するため、第一・第二実施形態における
第三支持部を採用していない。但し、人間は、立位状態において前方壁板4Bの内面の下
方領域に膝部を当接させることが可能であり、その意味において、前方領域4Bの内面の
下方領域は第三支持部として機能することとなる。
【0050】
以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1Bによれば、第一・第二実施形態に係
る人体収納用構造体1と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、収納空間2B
に収納した人体の臀部と上半身とを支持して、人体の立位状態を維持することができる。
従って、人間は、本構造体1Bの収納空間2B内において立位状態で休息や睡眠をとるこ
とが可能となる。本構造体1Bは、このように立位状態で人体を支持することができるこ
とから、一般的な寝具のように横臥状態で人体を支持する構造と比較すると、水平方向に
おける寸法を格段に縮小することが可能となる。
【0051】
<第四実施形態>
次に、図7及び図8を用いて、本発明の第四実施形態に係る人体収納用構造体1Cの構
成について説明する。本実施形態に係る人体収納用構造体1Cは、第一~第三実施形態に
係る人体収納用構造体1・1A・1Bとは異なり、円筒状の収納空間を有するものである
【0052】
本実施形態に係る人体収納用構造体1Cは、図7に示すように略円筒状を呈しており、
第一支持部10Cと、第二支持部20Cと、第三支持部30Cと、を備えている。人体収
納用構造体1Cは、その収納空間2Cに人体を立位状態で収納した状態で、その長手方向
が鉛直方向に沿って延在するように配置される。これにより、水平方向における占有スペ
ースを格段に小さくすることが可能となる。
【0053】
人体収納用構造体1Cの収納空間2Cは、図7に示すように、円筒状壁板3Cと、底板
7Cと、天板8Cと、によって囲まれた空間である。収納空間2Cの大きさは、第一~第
三実施形態と同様に、収納する人体の大きさに対応させて適宜設定することができる。
【0054】
第一支持部10Cは、収納空間2Cに立位状態で収納された人体の臀部を支持するもの
であり、第二支持部20Cは、収納空間2Cに立位状態で収納された人体の上半身を支持
するものであり、第三支持部30Cは、収納空間2Cに立位状態で収納された人体の膝部
を支持するものである。本実施形態においては、図7に示すように、第一支持部10C、
第二支持部20C及び第三支持部30Cとしていずれも、円筒状壁板3Cから収納空間2
Cへと突出する円板状の突出部材を採用している。これら第一支持部10C、第二支持部
20C及び第三支持部30Cの高さ(上面位置)はいずれも、収納する人体の大きさに対
応させて適宜設定することができる。また、第一支持部10C、第二支持部20C及び第
三支持部30Cを、円筒状壁板3Cに対して上下移動可能に取り付けることもできる。
【0055】
人体収納用構造体1Cを構成する円筒状壁板3Cの一部分3Ca(円周の約1/4の部
分)は、図8に示すように、他の部分3Cbから分離するように構成されており、かつ、
他の部分3Cbに対してヒンジ機構を介して開閉可能に取り付けられている。すなわち、
円筒状壁板3Cの一部分3Caは、ヒンジ式の開閉扉として機能するようになっており、
人間はこの部分3Caを介して収納空間2Cにアクセスすることができる。円筒状壁板3
Cの内面の上方領域は、第二支持部20Cと同様に、人体の上半身(例えば背部、後頭部
、肩部、側頭部、腕部、前頭部)を支持することができ、第二支持部としても機能するこ
とができる。
【0056】
以上説明した実施形態に係る人体収納用構造体1Cによれば、第一~第三実施形態に係
る人体収納用構造体1・1A・1Bと同様の作用効果を奏することができる。すなわち、
収納空間2Cに収納した人体の臀部と上半身と膝部とを支持して、人体の立位状態を維持
することができる。従って、人間は、本構造体1Cの収納空間2C内において立位状態で
休息や睡眠をとることが可能となる。本構造体1Cは、このように立位状態で人体を支持
することができることから、一般的な寝具のように横臥状態で人体を支持する構造と比較
すると、水平方向における寸法を格段に縮小することが可能となる。
【0057】
なお、以上の各実施形態においては、平面又は曲面によって囲われた収納空間を採用し
た例を示したが、収納空間は必ずしも面によって囲われていなくてもよい。例えば、第一
実施形態における4枚の壁板(後方壁板3、前方壁板4、側方壁板5、6)、底板7及び
天板8を採用する代わりに、12本の棒状部材で直方体状の枠体(フレーム)を構成し、
この枠体の内部に、第一支持部10と、前方支持部21と、第三支持部30と、に対応す
る部材を設けることにより、同様の機能を果たす人体収納用構造体を構成することもでき
る。かかる構成を採用する場合には、外部からの光や音を遮断するために、枠体の上方か
ら布状部材をかけて覆うこともできる。
【0058】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、これら実施形態に当業者が適
宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される
。すなわち、前記各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等
は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記各実
施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これら
を組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0059】
1・1A・1B・1C…人体収納用構造体(睡眠用筐体)
2・2A・2B・2C…収納空間
3・3B…後方壁板(後方支持部)
5・5B…側方壁板(側方支持部)
6・6B…側方壁板(側方支持部)
7・7C…底板(第四支持部)
7B…底部(第四支持部)
10・10A・10B…第一支持部
20・20A・20B…第二支持部
21・21A…前方支持部
30・30A・30C…第三支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を収納する収納空間を備え、前記収納空間に収納した前記人体を立位状態で支持するように構成されている休憩用構造体であって、
前記収納空間に収納された前記人体の重量の少なくとも一部を下方から支持するように前記人体の臀部を支持する支持部を備え
前記収納空間は、鉛直方向に延在する壁板によって囲まれた空間であり、
前記壁板は、前記人体の後方に配置される後方壁板と、前記人体の側方に配置される側方壁板と、を有する、休憩用構造体。
【請求項2】
前記支持部は、上下移動可能とされている、請求項1に記載の休憩用構造体。
【請求項3】
前記支持部は、第一支持部であり、
前記収納空間に収納された前記人体の上半身の水平方向における移動を阻止するように前記上半身を支持する第二支持部と、
前記収納空間に収納された前記人体の膝部が前方に移動することを阻止するように前記膝部を支持する第三支持部と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の休憩用構造体。
【請求項4】
前記第二支持部及び/又は前記第三支持部は、上下移動可能とされている、請求項3に記載の休憩用構造体。
【請求項5】
前記後方壁板は、鉛直方向に対して傾斜して配置されており、前記第二支持部としても機能する、請求項3又は4に記載の休憩用構造体。
【請求項6】
前記壁板は、前記人体の前方に配置される前方壁板をさらに有し、
前記前方壁板は、鉛直方向に対して傾斜して配置されており、前記第三支持部としても機能する、請求項3から5の何れか一項に記載の休憩用構造体。
【請求項7】
前記壁板は、円筒状壁板であり、
前記収納空間は、前記円筒状壁板によって囲まれた略円筒状の空間であり、
前記支持部は、前記円筒状壁板から前記収納空間へと突出する突出部材である、請求項1に記載の休憩用構造体