(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029511
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】筋肉活性化剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/752 20060101AFI20230224BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230224BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230224BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230224BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230224BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230224BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230224BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230224BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
A61K36/752
A61P21/00
A61P17/00
A61P3/00
A61K8/9789
A61Q19/00
A61Q19/08
A23L33/105
A61K131:00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001173
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2018139871の分割
【原出願日】2018-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2017146177
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004156
【氏名又は名称】日本新薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 謙次郎
(72)【発明者】
【氏名】李 大英
(57)【要約】
【課題】新規な筋肉活性化剤を提供することを主な目的とする。
【解決手段】本発明は、ベルガモット、オオバコエンドロ、ニイタカヨモギ、ワダソウ、トゲバンレイシ、キリンケツ、ワニナシ、ベニバナ、トウモロコシ、ツルナ、ソバ、ウド及びキカラスウリ抽出物を有効成分として含有する筋肉活性化剤に関するものである。本発明にかかる筋肉活性化剤は、筋芽細胞賦活作用又はp70S6K活性化作用、rpS6K活性化作用を有し、特に、筋肉増強剤、筋肉減衰予防剤、皮膚改善剤としての効果が期待される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルガモットの植物抽出物を有効成分として含有する、筋肉活性化剤。
【請求項2】
筋肉活性化剤が筋肉増強剤又は筋肉減衰予防剤である、請求項1に記載の筋肉活性化剤。
【請求項3】
筋肉活性化剤が皮膚改善剤又は疲労軽減剤である、請求項1又は2に記載の筋肉活性化剤。
【請求項4】
前記植物抽出物の抽出部位が、果皮、葉、茎、根、果実、種子、種皮、地上部、地下部及び全草からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の筋肉活性化剤。
【請求項5】
前記植物抽出物の抽出溶媒が、水、メタノール、エタノール及び含水エタノールからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の筋肉活性化剤。
【請求項6】
前記植物の乾燥重量に対する前記抽出溶媒の重量比が、1:2~1:30である、請求項1~5のいずれか1項に記載の筋肉活性化剤。
【請求項7】
食品である、請求項1~6のいずれか1項に記載の筋肉活性化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルガモット、オオバコエンドロ、ニイタカヨモギ、ワダソウ、トゲバンレイシ、キリンケツ、ワニナシ、ベニバナ、トウモロコシ、ツルナ、ソバ、ウド及びキカラスウリからなる植物群から選択される1種又は2種以上の植物抽出物を含有する筋肉活性化剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筋肉は、筋芽細胞が筋管細胞へ分化し、さらに筋管細胞が融合した筋線維から成り立っている。この筋芽細胞を賦活し細胞増殖を促進することにより筋肉増強又は筋肉減衰の予防に効果が期待できる。さらには、筋タンパク質の合成を促進するmTORシグナルの下流因子であるp70S6K、rpS6を活性化 (リン酸化)させることでも同様の効果が期待できる。このように、筋芽細胞の賦活又はp70S6K、rpS6の活性化は、ミオパチーなどの筋肉疾患、老化に伴うサルコペニア(加齢性減弱症)やロコモティブシンドローム(運動器症候群)、長期間のギプス固定や運動不足による廃用性萎縮の予防及び/又は治療、運動時又は運動後の筋タンパク合成低下抑制等に有用であると考えられる。さらに、皮膚の下には筋肉があり皮膚全体を支えているが、老化等により筋肉の機能が低下すると皮膚を支える力が弱まり、皮膚の弾力低下、たるみ及びしわの形成が誘導されると考えられていることから、筋芽細胞の賦活又はp70S6K、rpS6の活性化により皮膚改善作用も期待される。
平均寿命の延びや少子高齢化の進行に伴い、健康を維持しつつ長生きするために、優れた筋芽細胞賦活作用又はp70S6K活性化作用、rpS6活性化作用を有し、かつ安全性の高い機能性食品や化粧品素材等の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-529469
【特許文献2】特開2010-195696
【特許文献3】特開2008-156294
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な筋肉活性化剤を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討した結果、ベルガモット、オオバコエンドロ、ニイタカヨモギ、ワダソウ、トゲバンレイシ、キリンケツ、ワニナシ、ベニバナ、トウモロコシ、ツルナ、ソバ、ウド及びキカラスウリからなる植物群から選択される1種又は2種以上の植物抽出物が優れた筋芽細胞賦活作用を有することを見出し、さらには、ベルガモット、オオバコエンドロ、ニイタカヨモギ、ワダソウ、キカラスウリにp70S6K活性化作用を見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明として、下記のものを挙げることができる。
(1)ベルガモット、オオバコエンドロ、ニイタカヨモギ、ワダソウ、トゲバンレイシ、キリンケツ、ワニナシ、ベニバナ、トウモロコシ、ツルナ、ソバ、ウド及びキカラスウリからなる植物群から選択される1種又は2種以上の植物抽出物を有効成分として含有する、筋肉活性化剤。
(2)筋肉活性化剤が筋肉増強剤又は筋肉減衰予防剤である、前記(1)に記載の筋肉活性化剤。
(3)筋肉活性化剤が皮膚改善剤である、前記(1)に記載の筋肉活性化剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る筋肉活性化剤は、筋芽細胞の賦活又は筋タンパク質の合成を促進することにより、筋肉増強剤、筋肉減衰予防剤、皮膚改善剤としての効果が期待される。本発明にかかる筋肉活性化剤は、食用植物の成分由来であることから安全性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】オオバコエンドロ抽出物及びベルガモット抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はオオバコエンドロ抽出物及びベルガモット抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図2】トゲバンレイシ抽出物及びキリンケツ抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はトゲバンレイシ抽出物及びキリンケツ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図3】ワニナシ抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はワニナシ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図4】ベニバナ抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はベニバナ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図5】ニイタカヨモギ抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はニイタカヨモギ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図6】トウモロコシ抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はトウモロコシ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図7】キカラスウリ抽出物、ツルナ抽出物、ワダソウ抽出物、及びソバ抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はキカラスウリ抽出物、ツルナ抽出物、ワダソウ抽出物、及びソバ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図8】ウド抽出物の筋芽細胞賦活作用を示す図である。縦軸はコントロール群を100としたときの細胞賦活活性(%)を表す。横軸はウド抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図9】ベルガモット抽出物のp70S6K活性化作用を示す図である。縦軸はコントロール群を1とした時のp70S6Kのリン酸化量の相対値を表す。横軸はベルガモット抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図10】オオバコエンドロ抽出物のp70S6K活性化作用を示す図である。縦軸はコントロール群を1とした時のp70S6Kのリン酸化量の相対値を表す。横軸はオオバコエンドロ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図11】ニイタカヨモギ抽出物のp70S6K活性化作用を示す図である。縦軸はコントロール群を1とした時のp70S6Kのリン酸化量の相対値を表す。横軸はニイタカヨモギ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図12】ワダソウ抽出物のp70S6K活性化作用を示す図である。縦軸はコントロール群を1とした時のp70S6Kのリン酸化量の相対値を表す。横軸はワダソウ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【
図13】キカラスウリ抽出物のp70S6K活性化作用を示す図である。縦軸はコントロール群を1とした時のp70S6Kのリン酸化量の相対値を表す。横軸はキカラスウリ抽出物の処置濃度(ppm)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
植物抽出物
ベルガモット(Citrus bergamia)は、ミカン科ミカン属に属する植物である。本発明にかかるベルガモット抽出物には、ベルガモットの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、果皮の抽出物である。
オオバコエンドロ(Eryngium foetidum)は、セリ科ヒゴタイサイ属に属する植物である。本発明にかかるオオバコエンドロ抽出物には、オオバコエンドロの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、全草の抽出物である。
ニイタカヨモギ(Artemisia campestris)は、キク科ヨモギ属に属する植物である。本発明にかかるニイタカヨモギ抽出物には、ニイタカヨモギの各部位、例えば、葉、茎、枝、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、小枝と葉の抽出物である。
ワダソウ(Pseudostellaria heterophylla)は、ナデシコ科ワチガイソウ属に属する植物である。本発明にかかるワダソウ抽出物には、ワダソウの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、根の抽出物である。
トゲバンレイシ(Annona muricata)は、バンレイシ科バンレイシ属に属する植物である。本発明にかかるトゲバンレイシ抽出物には、トゲバンレイシの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、果実の抽出物である。
キリンケツ(Daemonorops draco)は、ヤシ科ヒメトウ属に属する植物である。本発明にかかるキリンケツ抽出物には、キリンケツの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、果実の抽出物である。
ワニナシ(Persea americana)は、クスノキ科ワニナシ属に属する植物の抽出物である。本発明にかかるワニナシ抽出物には、ワニナシの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、果実の抽出物である。
ベニバナ(Carthamus tinctorius)は、キク科ベニバナ属に属する植物の抽出物である。本発明にかかるベニバナ抽出物には、ベニバナの各部位、例えば、花、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、花の抽出物である。
トウモロコシ(Zea mays)は、イネ科トウモロコシ属に属する植物である。本発明にかかるトウモロコシ抽出物には、トウモロコシの各部位、例えば、めしべ(ひげ)、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、めしべの抽出物である。
ツルナ(Tetragonia tetragonioides)は、ハマミズナ科ツルナ属に属する植物である。本発明にかかるツルナ抽出物には、ツルナの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、全草の抽出物である。
ソバ(Fagopyrum esculentum)は、タデ科ソバ属に属する植物である。本発明にかかるソバ抽出物には、ソバの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、種子の抽出物である。
ウド(Aralia cordata)は、ウコギ科タラノキ属に属する植物である。本発明にかかるウド抽出物には、ウドの各部位、例えば、葉、花、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、茎及び葉の抽出物である。
キカラスウリ(Trichosanthes kirilowii var. japonica)は、ウリ科カラスウリ属に属する植物である。本発明にかかるキカラスウリ抽出物には、キカラスウリの各部位、例えば、葉、茎、根、果実、果皮、種子、種皮、地上部、地下部又は全草の抽出物を用いることができる。好ましくは、種子の抽出物である。
【0010】
本発明にかかる植物抽出物の製造方法は、特に限定されず、通常用いられる方法により製造することができる。例えば、植物の各部位をそのまま又は適当な大きさに切断し、必要に応じて乾燥し、搾汁又は溶媒で抽出することにより製造することができる。
抽出溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級アルコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類を挙げることができる。また、これらの溶媒を一種又は二種以上混合して用いることもできる。抽出溶媒の中で、特に、水、メタノール、エタノール、含水エタノールが好ましい。
【0011】
抽出に使用する溶媒の量は、抽出条件等により異なるが、重量比で1:2~1:30(植物:溶媒)の範囲内が適当であり、1:3~1:20の範囲内が好ましく、1:5~1:10の範囲内がより好ましい。抽出時間は、1時間~15日の範囲内が適当である。抽出温度は、5~100℃の範囲内が適当であり、60~100℃の範囲内が好ましい。
抽出方法については特に制限されず、バッチ抽出、カラムを用いた連続抽出等、任意の方法を適用することができる。
【0012】
得られた抽出物は、そのままの状態で用いることもできるし、必要に応じ、その活性に影響のない範囲内で更に精製処理を加えてもよい。かかる精製処理は、通常の方法によって行えばよく、例えば、抽出物を常法によりろ過することにより行うことができる。また、得られたろ液を減圧濃縮、凍結乾燥又はスプレードライヤーに供することもできる。
【0013】
筋肉活性化剤
本発明にかかる筋肉活性化剤(以下、「本発明筋肉活性化剤」という。)は、筋芽細胞賦活作用又はp70S6K活性化作用、rpS6活性化作用を有し、筋肉の増量、増強や筋萎縮抑制作用、運動による筋肉損傷からの回復促進作用、運動不足や老化に伴うサルコペニア及びロコモティブシンドロームの予防及び治療等に有用である。また、本発明筋肉活性化剤は、皮膚領域近傍に存在する筋芽細胞を活性化し、さらには筋タンパク質の合成を促進することでその周辺の皮膚の弾力低下、たるみやしわ等を改善する皮膚改善効果や、疲労の軽減作用、筋肉疲労緩和による肩こり及び眼精疲労軽減作用も期待される。本発明に係る筋肉活性化剤は、特に、筋肉増強剤、筋肉減衰予防剤、皮膚改善剤としての効果が期待される。
本発明筋肉活性化剤は、上記のようにして得られた本発明抽出物をそのまま又は担体として使用することのできる素材と混合し、次いで、常法により粉末状、塊状、液状などの各種形態に加工することにより製造することができる。
【0014】
本発明筋肉活化剤における本発明抽出物の含有量は、筋芽細胞賦活作用又はp70S6K活性化作用、rpS6活性化作用が確認できる範囲であれば特に限定されないが、例えば、0.01重量%以上であり、好ましくは、0.05重量%以上、20重量%以下、特に好ましくは、0.1重量%以上、5重量%以下である。
【0015】
本発明筋肉活性化剤には、医薬上又は食品上許容される添加物を任意に配合することができる。かかる添加剤としては、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、酸化防止剤、賦形剤、界面活性剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、保湿剤、色素を挙げることができ、これらを1種又は2種以上使用することができる。本発明筋肉活性化剤には、さらに、筋肉増強作用又は皮膚改善作用が知られている成分を添加することができる。例として、筋肉増強作用成分としては、クレアチン、BCAAやロイシンなどのアミノ酸、HMB(3-ヒドロキシイソ吉草酸)、皮膚改善作用としては、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、プロテオグリカン、セラミド、ビタミンCが挙げられる。
本発明筋肉活性化剤は、常法により、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、ドロップ錠、トニック、ローション、軟膏、クリーム等の剤型に適宜調製することができる。
本発明筋肉活性化剤の摂取量は、症状、剤型、投与対象者の年齢、体重等により異なるが、通常、成人1日当り、本発明抽出物の重量として、0.01~100gの範囲内とするのが適当であり、0.03g~60gの範囲内とするのが好ましく、0.1g~10gの範囲内とするのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。かかる1日当りの摂取量は、1回で摂取してもよく、また、2~4回に分割して摂取してもよい。
【実施例0016】
以下に、実施例、試験例を掲げて本発明をさらに詳述する。但し、本発明が下記実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0017】
製造例1 各植物のメタノール抽出物の製造
表1に記載の各植物の乾燥物15gを粉砕後、メタノール75gに7日間浸漬させ、ろ過後にロータリーエバポレーターにて濃縮・乾固を行った。その後、Dimethyl sulfoxide(DMSO)で終濃度50mg/mLに調製し、各植物のメタノール抽出物を得た。
製造例2 各植物のエタノール抽出物の製造
表1に記載の各植物の乾燥物15gを粉砕後、エタノール75gに7日間浸漬させ、ろ過後にロータリーエバポレーターにて濃縮・乾固を行った。その後、Dimethyl sulfoxide(DMSO)で終濃度50mg/mLに調製し、各植物のエタノール抽出物を得た。
製造例3 各植物の熱水抽出物の製造
表1に記載の各植物の乾燥物10gを粉砕後、100℃の熱水150mLに添加し、30分加熱し、ろ過後にロータリーエバポレーターにて濃縮・乾固を行った。その後、Dimethyl sulfoxide(DMSO)で終濃度50mg/mLに調製し、各植物の熱水抽出物を得た。
【0018】
【0019】
試験例1 本発明にかかる植物抽出物の筋芽細胞賦活活性測定
細胞はマウス筋芽細胞株(C2C12細胞、DSファーマバイオメディカル社製)を用いた。C2C12細胞は、10% FBS(Fetal Bovine Serum、Gibco社製)を含有するDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium、Gibco社製)(以下、「10% FBS/DMEM培地」という。)に分散し、接着系細胞用培養フラスコ(底面積:25cm
2、日本バイオサイエンス社製)に5.0 × 10
4個播種し、CO
2インキュベーター(三洋電機バイオメディカ社製;CO
2濃度5%, 湿度90%)を用いて37℃で3日間培養した。80%コンフルエントになったことを顕微鏡で確認し、実験に使用した。80%コンフルエントになったC2C12細胞をTrypsin-EDTA(Gibco社製)を用いてフラスコから剥離させ回収した。この細胞を10%FBS/DMEM培地に懸濁し、3.0×10
4 cells/mLの細胞密度で100 μLずつ96 well plate(Corning社製)に播種した。37℃、5%CO
2条件下で24時間培養後、培地をアスピレーターで除去し、2% FBS/DMEM培地で調製したサンプル含有培地200μLに置換した。サンプルは、製造例1で調製した表1に記載のNo.1~13の各メタノール抽出物を終濃度の1000倍濃度でDMSOを用いて調整し、その後2%FBS/DMEM培地で1000倍希釈し、サンプル濃度が0.5、1、5、10、20ppmの培地をそれぞれ調製し、使用した。また、コントロールにはDMSOを、陽性対照には、筋芽細胞賦活作用が知られているIGF-1(Insulin-likeGrowth Factor-1、LifeTechnologies社製)を同様のサンプル調製法により0.05ppmで調整し、実験に用いた。サンプル添加の48時間後に100μLの無血清DMEM培地に交換し、そこにWST-1試薬(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を10μL添加した。30分間培養を行った後、450nmの吸光値をマイクロプレートリーダー(CORONA ELECTRIC 社製、MTP-300)で測定することにより細胞賦活活性を求めた。結果を
図1~8に示す。
図1~8から明らかなように、薬物を添加しないコントロール群の細胞賦活活性を100%とした場合と比較して、各植物抽出物を添加した場合に細胞賦活活性の増加が認められた。
【0020】
試験例2 本発明にかかる植物抽出物のp70S6Kのリン酸化測定
細胞はマウス筋芽細胞株(C2C12細胞、DSファーマバイオメディカル社製)を用いた。C2C12細胞は、10%FBS(Fetal Bovine Serum、Gibco社製)を含有するDMEM (Dulbecco’sModified Eagle Medium、Gibco社製)(以下、「10% FBS/DMEM培地」という。)に分散し、接着系細胞用培養フラスコ(底面積:25cm
2、日本バイオサイエンス社製)に5.0 × 10
4個播種し、CO
2インキュベーター(三洋電機バイオメディカ社製;CO
2濃度5%, 湿度90%)を用いて37℃で3日間培養した。80%コンフルエントになったことを顕微鏡で確認し、実験に使用した。80%コンフルエントになったC2C12細胞をTrypsin-EDTA(Gibco社製)を用いてフラスコから剥離させ回収した。この細胞を10%FBS/DMEM培地に懸濁し、1.7×10
5個/wellで12 wellplateに播種した。播種24時間後に2%HS(Horse Serum、Gibco製)1mLに置換し、筋管細胞へと分化させた。分化開始から2日に1回2%HSに置換し、分化3日目の筋管細胞を実験に用いた。分化3日目の筋管細胞を無血清培地に置換した後、9時間後に被験物質として、製造例1で調製した表1に記載のNo.1~4、13の各メタノール抽出物を1、10、50ppm含んだ無血清培地1mLに置換し、検体処置を行った。処置開始から2時間後にPBS(Phosphatebuffered saline)で洗浄した後、RIPA buffer(富士フィルム和光純薬社製)20μLで細胞を回収した。得られたタンパク溶液を用いて、SDS-PAGEサンプルバッファーに添加し、100℃、3分で還元処理を行い、続くウエスタンブロットにてタンパク量50μgを10%アクリルアミドゲルで分離した後、p70S6Kのリン酸化の定量を行った。なお、抗体はAnti-p70S6K及びAnti-phospho-p70S6K(Cell Signaling Technology社製)を用いた。結果を
図9~13に示す。
図9~13から明らかなように、本発明にかかるベルガモット抽出物、オオバコエンドロ抽出物、ニイタカヨモギ抽出物、ワダソウ抽出物およびキカラスウリ抽出物は、p70S6Kのリン酸化を促進した。
【0021】
試験例3 本発明にかかる植物抽出物のrpS6のリン酸化測定
抗体として、Anti-rpS6K及びAnti-phospho-rpS6K(Cell Signaling Technology社製)を用いること以外は、試験例2と同様の方法を用いてrpS6Kのリン酸化を定量することができる。
本発明にかかる筋肉活性化剤は、優れた筋肉活性化作用を有するため、例えば、運動不足や老化等に伴うサルコペニア、ロコモティブシンドローム、様々な環境(ギプス固定等)による廃用性委縮、又はロコモティブシンドロームの予防及び改善、運動による筋肉増強の強化、皮膚の弾力低下、しわやたるみの抑制に用いることができる。