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特開2023-29536クリップ装置、システム、及び組織に係合するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029536
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】クリップ装置、システム、及び組織に係合するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001649
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2021510899の分割
【原出願日】2019-10-30
(31)【優先権主張番号】62/753,540
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/837,041
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カリーヨ、オスカー アール.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】オルメーダ、ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】フィッツェンマイアー、トッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】スカッティ、ジェームズ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワイツナー、バリー
(57)【要約】
【課題】クリップ、より具体的には、例えば胃腸管内の組織切除に使用するために内視鏡を介して標的部位に送達される圧縮クリップを提供する。
【解決手段】本発明は、圧縮クリップに関し、より具体的には、例えば胃腸管内の組織切除に使用するために内視鏡によって標的部位に送達される圧縮クリップに関する。例では、クリップは、開いた態様と閉じた態様との間を移行するための圧縮力に応答して作動可能であるように構成されている。一実施形態において、組織クリップ装置は、複数のアームを備えた第1の部材を含み得る。各アームは、第1の端部から第2の端部まで延び得るとともに、各アームの第1の端部は、第1の部材内に受け入れられ得る。アームは、開いた態様と閉じた態様との間で移行可能であり得る。第2の部材は、第1の部材に対して相対的に摺動可能に配置され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織クリップ装置であって、
第1の部材を備え、
複数のアームを備え、各アームは第1の端部から第2の端部まで延び、各アームの前記第1の端部は前記第1の部材内に受け入れられ、前記アームは開いた態様と閉じた態様との間で移行可能であり、
前記第1の部材に対して摺動可能に配置された第2の部材を備え、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、本組織クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成されているとともに、前記第1及び第2の部材に対して半径方向内向きに加えられる圧縮力の作用に応答して、本組織クリップ装置の長手軸に沿って互いに変位するように構成される、組織クリップ装置。
【請求項2】
前記各アームは、ばね部を含み、該ばね部は、前記各アームの間の当該ばね部の間にばね空間を形成するように構成される、請求項1に記載の組織クリップ装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の部材は傾斜面を含み、該傾斜面は、圧縮力の作用に応答して前記第1及び第2の部材を互いに離れ合うように変位させるように構成されているとともに、前記アームの前記ばね部は、前記開いた態様においては互いに向かうように付勢され、前記アームの前記ばね部は、前記閉じた態様においては互いに離れ合う、請求項2に記載の組織クリップ装置。
【請求項4】
第1の端部から第2の端部まで延びるカム部材をさらに備え、前記第1の端部が前記第2の部材に固定的に結合されるとともに、前記第2の端部が前記ばね空間に係合するように構成される、請求項2又は3に記載の組織クリップ装置。
【請求項5】
前記カム部材の前記第2の端部は、前記第1及び第2の部材が互いに対して変位されている場合には、前記ばね空間との係合・係合解除するように移動可能である、請求項4に記載の組織クリップ装置。
【請求項6】
組織クリップ装置であって、
第1の部材を備え、
複数のアームを備え、各アームは第1の端部から第2の端部まで延び、各アームの第1の端部は前記第1の部材内に受け入れられ、前記アームは、当該アームの第2の端部が互いに離れる開いた態様と閉じた態様との間で移行可能であり、各アームは、ばね部を含み、該ばね部は、当該ばね部の間にばね空間を形成するように構成されており、
前記アームの周りに摺動可能に配置された第2の部材を備え、前記第2の部材は、当該第2の部材の内部に1つ以上のチャネルを有し、該チャネルは、前記アームの前記ばね部の対向傾斜面と係合可能であり、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、本組織クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成されるとともに、前記第1及び第2の部材に対して半径方向内向きに加えられる圧縮力の作用に応答して、本組織クリップ装置の前記長手軸に沿って互いに対して変位するように構成されており、
前記1つ以上のチャネルは、前記第1及び第2の部材が互いに対して変位して前記アームを閉じた態様と開いた態様との間で移行させた場合に、前記アームの前記ばね部の対向傾斜面との係合・係合解除するように移動可能である、組織クリップ装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の部材が互いに離れ合うように変位された場合には、前記1つ以上のチャネルが傾斜面に係合するように移動し、前記アームを開いた態様に離すとともに、前記第1及び第2の部材が互いに向かって変位した場合には、前記1つ以上のチャネルが傾斜面から係合解除するように移動し、前記アームが閉じた態様に移行するように、前記アームの前記ばね部の対向傾斜面は、互いにかつ前記長手軸に向かって傾斜している、請求項6に記載の組織クリップ装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の部材が互いに離れ合うように変位された場合には、前記1つ以上のチャネルが傾斜面に係合するように移動し、前記アームを開いた態様にするとともに、前記第1及び第2の部材が互いに向かって変位した場合には、前記1つ以上のチャネルが傾斜面から係合解除するように移動し、前記アームが閉じた態様に移行するように、前記アームの前記ばね部の対向傾斜面は、互いにかつ前記長手軸から離れ合うように傾斜している、請求項6に記載の組織クリップ装置。
【請求項9】
前記アームは、当該アームが前記ばね空間内で互いに向かう閉じた態様に付勢される、請求項6~8のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の部材は、傾斜面を含み、該傾斜面は、圧縮力が当該傾斜面に加えられた場合に、前記第1及び第2の部材を互いに離れ合うように変位させるように構成される、請求項6~9のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【請求項11】
前記アームが、中間部分で曲げられた単体から形成され、前記中間部分が前記アームの第1の端部を形成する、請求項6~10のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ、より具体的には、例えば胃腸管内の組織切除に使用するために内視鏡を介して標的部位に送達される圧縮クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
組織に係合するための装置を操作するには、装置及び関連する医療機器を位置決め及び方向付けるための関連技術が必要になる場合がある。例えば、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、胃腸管内の組織切除を可能にする処置である。困難な可能性のあるESDの1つの側面は、切断中及び切断後の切除された組織フラップの位置決めと操作(例えば、リトラクション)である。
【0003】
これらの考慮事項を念頭に置いて、本発明の医療装置、システム、及び方法により、様々な有利な医学的成果が実現され得る。
【発明の概要】
【0004】
様々な実施形態において、本発明は、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成された開放メカニズムを含み得る組織クリップ装置に関する。開放メカニズムは、圧縮力の作用に応答して、クリップ装置の長手軸に沿って互いに相対的に変位して開いた態様になるように構成された第1及び第2の部材を含み得る。開放メカニズムは、第1の端部から第2の端部まで延びるカム部材を含み得、第1の端部は、第1の部材に固定的に結合され得、第2の部材に摺動可能に取り付けられ得る。複数のクリップアームは、それぞれが第1の端部から第2の端部まで延び得るとともに、各クリップアームの第1の端部は、開放メカニズム内に受け入れられ得る。クリップアームは、クリップアームの第2の端部が互いに離れている開いた態様と、クリップアームの第2の端部が互いに向かって変位する閉じた組織クリップ態様との間で移行可能であり得る。クリップアームのそれぞれは、ばね部を含み得、該ばね部は、当該ばね部の間にばね空間を形成するように構成される。第1及び第2の部材が開いた態様に移行された場合、カム部材はばね空間に移動し得、その結果、カム部材がばね空間に移動するに連れて、カム部材は、クリップアームを開いた態様に動かすために、ばね部を互いに離れるように反らせ得る。
【0005】
説明された実施形態及び他の実施形態において、第1及び第2の部材は、傾斜面を含み得、該傾斜面は、当該傾斜面への圧縮力の作用に応答して、第1及び第2の部材を、互いに離れ合う反対方向に移動させるように構成される。カム部材は、第2の端部におけるU字状湾曲部と、U字状湾曲部から第1の端部まで延びる2つの脚とを含み得る。各脚は、第2の部材によって摺動可能に受け入れられるように構成され得、第1の部材に不動に結合され得る。カム部材は、U字状湾曲部の中央に配置されたくさびを含み得る。くさびは、U字状湾曲部から、カム部材の脚の間の第1の端部に向かって延び得る。くさびは、ばね部の間の空間に受け入れられるように構成され得、その結果、第2の部材に向かってくさびを動かすと、くさびがばね部を互いに離れるように反らせてクリップアームを開いた態様に動かし得る。くさびは、カム部材の第1の端部における第1の端部からカム部材の脚の間の第2の端部まで先細になり得る。クリップアームは、中間部分で曲げられた単一のワイヤから形成され得、該中間部分は、クリップアームの第1の端部を形成し得る。開放メカニズムの第2の部材は、クリップアームの第1の端部を受け入れるように構成されたチャネルを含み得る。クリップアームは、閉じた態様に付勢され得る。
【0006】
様々な実施形態において、本発明はまた、把持部材を含み得る開放メカニズムを備えるクリップ装置に関する。変形可能な流体チャンバは、複数の角度から把持されるように構成され得る。流体チャンバは、その中にキャビティを画定し得、該キャビティは流体で満たされるように構成され得る。バルーンチャンバは、その中にキャビティを画定し得る。バルーンチャンバは、流体で満たされた場合に、静止状態から膨張可能であり得る。少なくとも1つの接続チャネルは、流体チャンバが圧縮された際に、流体が接続チャネルを介して流体チャンバからバルーンチャンバに排出されて、バルーンチャンバを膨張させ得るように、流体チャンバとバルーンチャンバとの間の流体連通を提供するために、流体チャンバのキャビティに開いた第1の端部からバルーンチャンバのキャビティに開いた第2の端部まで延び得る。クリップ装置はまた、第1の端部から第2の端部まで延びるクリップアームを含み得る。第1の端部は、把持部材に結合し得る。クリップアームは、クリップアームの第2の端部が互いに離れ得る開いた態様と、クリップアームの第2の端部が互いに向かって動かされ得る閉じた組織クリップ態様との間で移行可能であり得る。クリップアームのそれぞれは、ばね部を含み得、該ばね部は、当該ばね部の間にばね空間を形成するように構成される。ばね空間は、バルーンチャンバが膨張した場合に、クリップアームが開いた態様に移行するべく、ばね部が互いに離れるように反り得るようにバルーンチャンバを受け入れ得る。
【0007】
説明された実施形態及び他の実施形態において、把持部材は、クリップアームの第1の端部と結合するために、流体チャンバ内の中央の閉じたルーメンを通って延びる延長部を含み得る。流体チャンバは、生理食塩水、水、ゲル、又は他の適切な流体のうちの1つで満たされ得る。ばね部は、クリップアームの屈曲部として形成し得、屈曲部は、クリップ装置の中心軸に向かって延び得る。クリップアームは、閉じた態様に付勢され得る。把持部材は、把持ツールによって把持されるように構成され得る。クリップアームは、クリップアームの第1の端部を形成するために中間部分で曲げられたワイヤから形成され得る。
【0008】
様々な実施形態において、本発明はまた、複数の角度から標的組織上にクリップシステムを配置する方法に関する。クリップシステムは、挿入装置の作業チャネルを介して標的部位に挿入され得る。クリップシステムは、第1のクリップ装置を含み得る。第1のクリップ装置は、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成され得る開放メカニズムを含み得る。開放メカニズムは、圧縮力の作用に応答して、クリップ装置の長手軸に沿って互いに変位して開いた態様になるように構成され得る第1及び第2の部材を含み得る。開放メカニズムは、第1の端部から第2の端部まで延びるカム部材を含み得るとともに、第1の端部は、第1の部材に固定的に結合され得、第2の部材に摺動可能に取り付けられ得る。複数のクリップアームは、それぞれが第1の端部から第2の端部まで延び得るとともに、各クリップアームの第1の端部は、開放メカニズム内に受け入れられ得る。クリップアームは、クリップアームの第2の端部が互いに離れ得る開いた態様と、クリップアームの第2の端部が互いに向かって動かされ得る閉じた組織クリップ態様との間で移行可能であり得る。クリップアームのそれぞれは、ばね部を含み得、該ばね部は、当該ばね部の間にばね空間を形成するように構成される。第1及び第2の部材が開いた態様に移行された場合、カム部材はばね空間に移動し得、その結果、カム部材がばね空間に移動するに連れて、カム部材は、クリップアームを開いた態様に動かすために、ばね部材を互いに離れるように反らせ得る。本方法は、作業チャネルを介して標的部位に把持ツールを挿入することを含み得る。本方法は、開いた態様に第1のクリップ装置のクリップアームを移行させるために、把持ツールによって第1のクリップ装置の開放メカニズムを把持することを含み得る。本方法は、標的組織の第1の部分が第1のクリップ装置のクリップアームの間に受け入れられるように、第1のクリップ装置のクリップアームを配置することを含み得る。本方法は、開いた態様から閉じた態様に第1のクリップ装置のクリップアームを移行させるべく、標的組織の第1の部分をクリップするために、把持ツールを解放することを含み得る。
【0009】
説明された実施形態及び他の実施形態において、本方法は、テザーによって第1のクリップ装置を第2のクリップ装置に結合することをさらに含み得る。説明された実施形態及び他の実施形態において、ある方法は、開いた態様に第2のクリップ装置のクリップアームを移行させるために、把持ツールから第2のクリップ装置の開放メカニズムを把持することをさらに含み得る。本方法は、第2のクリップ装置のクリップアームの間に標的組織の第2の部分を配置することを含み得る。本方法は、標的組織の第2の部分をクリップするべく、開いた態様から閉じた組織クリッピング態様に第2のクリップ装置のクリップアームを移動させるために、把持ツールを解放することを含み得るものであり、組織の第2の標的部分の位置は、組織の第1及び第2の標的部分がそれぞれ第1及び第2のクリップ装置によってクリップされた場合に、所望のレベルの張力が、テザーによって組織の第1の標的部分に加えられ得るように選択され得る。第1及び第2の部材は、傾斜面を含み得、該傾斜面は、加えられた圧縮力から離れる方向に第1及び第2の部材を移動させるように構成される。クリップアームは、閉じた態様に付勢され得る。
【0010】
様々な実施形態において、本発明は、第1の部材を含み得る組織クリップ装置に関する。1つ以上のアームは、それぞれが第1の端部から第2の端部まで延びており、それぞれ第1の部材内に受け入れられ得る。アームのそれぞれは、ばね部を含み得、該ばね部は、当該ばね部の間にばね空間を形成するように構成される。アームは、アームのばね部が互いに向かって付勢される開いた態様と、アームのばね部が互いに離れる閉じた態様との間で移行可能であり得る。第2の部材は、複数のアームの周りに摺動可能に配置され得る。把持子は、アームの間に係合する第1の端部と、組織に係合するように構成された顎を含み得る第2の端部とを有し得る。第1の部材及び第2の部材は、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成され得るとともに、圧縮力の作用に応答して、クリップ装置の長手軸に沿って互いに変位されるように構成され得る。カム部材は、第1の端部から第2の端部まで延び得るとともに、第1の端部は、第2の部材に固定的に結合され得、かつ、第2の端部は、ばね空間に係合するように構成され得る。カム部材の第2の端部は、第1及び第2の部材が離れるように変位した場合には、当該カム部材の第2の端部がばね空間から係合解除するように動き得るとともにアームが開いた態様をとり得る一方、第1及び第2の部材が互いに向かって変位した場合には、当該カム部材の第2の端部がばね空間に係合するように動き得るとともにアームが閉じた態様をとるように、第1及び第2の部材が互いに変位した場合には、ばね空間に対し係合・係合離脱するように動き得る。
【0011】
説明された実施形態及び他の実施形態において、第1及び第2の部材は、傾斜面を含み得、該傾斜面は、当該傾斜面への圧縮力の作用に応答して、第1及び第2の部材を、互いに離れ合うように変位させるように構成される。カム部材は、当該カム部材の第2の端部にU字状湾曲部を含み得るとともに、2つの脚は、U字状湾曲部からカム部材の第1の端部まで延び得る。カム部材は、U字状湾曲部の中央に配置されたくさびを含み得るとともに、くさびは、当該くさびが脚の間のU字状湾曲部からカム部材の第1の端部に向かって延びるに連れて、長手軸を横切るより小さな幅に先細りし得る。くさびは、ばね空間に係合するように構成し得る。アームは、中間部分で曲げられた単一のワイヤから形成され得るとともに、中間部分は、アームの第1の端部を形成し得る。第1の部材は、アームの第1の端部を固定的に受け入れるように構成されたチャネルを含み得る。アームは、開いた態様に付勢され得る。把持子は、交差した態様で第1及び第2の把持子アームを含み得る。第1の端部が互いに近づいた場合、第2の端部は互いに離れ得る。
【0012】
様々な実施形態において、本発明はまた、第1の部材を含み得る組織クリップ装置に関する。装置は、複数のアームを含み得る。各アームは、第1の端部から第2の端部まで延び得る。各アームの第1の端は、第1の部材内に受け入れられ得る。アームは、開いた態様と閉じた態様の間で移行可能であり得る。第2の部材は、第1の部材に対して相対的に摺動可能に配置され得る。第1の部材及び第2の部材は、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成され得る。第1の部材及び第2の部材は、圧縮力の作用に応答して、クリップ装置の長手軸に沿って互いに対して変位するように構成され得る。第1及び第2の部材は、傾斜面を含み得、該傾斜面は、第1及び第2の部材が互いに対して変位した場合に、アームが開いた態様と閉じた態様の間で移行し得るように、当該傾斜面への圧縮力の作用に応答して、第1及び第2の部材を、互いに離れ合うように変位させるように構成される。
【0013】
様々な実施形態において、本発明は、第1の部材を含み得る組織クリップ装置に関する。1つ以上のアームは、それぞれが第1の端部から第2の端部まで延びており、第1の部材内に受け入れられ得る。アームは、アームの第2の端部が互いに離れ得る開いた態様と、アームの第2の端部が互いに向かって付勢され得る閉じた態様との間で移行可能であり得る。アームのそれぞれは、ばね部を含み得、該ばね部は、当該ばね部の間にばね空間を形成するように構成される。第2の部材は、複数のアームの周りに摺動可能に配置され得る。第2の部材は、第2の部材の内部に1つ以上のチャネルを有し得、該チャネルは、アームの対向傾斜面と係合可能であり得る。第1の部材及び第2の部材は、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成され得るとともに、圧縮力の作用に応答して、クリップ装置の長手軸に沿って互いに変位されるように構成され得る。1つ以上のチャネルは、閉じた態様と開いた態様との間でアームを移行させるために第1及び第2の部材が互いに対して変位した場合に、アームの対向傾斜面との係合・係合解除するように移動可能であり得る。
【0014】
説明された実施形態及び他の実施形態において、第1及び第2の部材が互いに離れ合うように変位された場合には、1つ以上のチャネルが傾斜面と係合するように移動し、アームを開いた態様に互いに離し得るとともに、第1及び第2の部材が互いに向かい合うように変位された場合には、1つ以上のチャネルが傾斜面と係合解除するように移動し、アームが閉じた態様に移行し得るように、アームの対向傾斜面は、互いにかつ長手軸に向かって傾斜し得る。他の実施形態において、第1及び第2の部材が互いに離れ合うように変位された場合には、1つ以上のチャネルが傾斜面と係合するように移動し、隙間をもたらしてアームを開いた態様にするとともに、第1及び第2の部材が互いに向かい合うように変位された場合には、1つ以上のチャネルが傾斜面と係合解除するように移動し、アームが閉じた態様に移行し得るように、アームの対向傾斜面は互いにかつ長手軸から離れ合うように傾斜し得る。
【0015】
説明された実施形態及び他の実施形態において、アームは、ばね空間内において当該アームが互いに向かっている状態で、閉じた態様に付勢され得る。第1及び第2の部材は、傾斜面を含み得、該傾斜面は、当該傾斜面への圧縮力の作用に応答して、第1及び第2の部材を、互いに離れ合うように変位させるように構成される。アームは、中間部分で曲げられた単体から形成され得る。該中間部分は、アームの第1の端部を形成し得る。把持子は、アームの第2の端部の間に配置され得る。
【0016】
様々な実施形態において、本発明は、組織クリップ装置に関する。装置は、キャビティを画定するハウジングを含み得、キャビティ内のハウジングの第2の端に向かって移動可能な第1の端を有し得る。第1の端部から第2の端部まで延びる複数のアームは、キャビティ内に受け入れられ得る。アームは、アームの第2の端部が互いに離れ得る開いた態様と、アームの第2の端部が互いに向かって変位され得る閉じた態様との間で移行可能であり得る。内層は、ピストンハウジングの周りに配置され得るとともに、流体を収容するように構成されたチャンバを画定するために、ハウジングの近位に延び得る。チャンバは、圧縮力の作用に応答して、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から圧縮可能であり得る。チャンバへの圧縮力の作用に応答して、ハウジングの第1の端部は、アームを開いた態様に延ばすハウジングの第2の端部に向かって移動し得る。圧縮力がチャンバに加えられていない場合、ハウジングの第1の端部は、ハウジングの第2の端部から離れるように変位し得、アームを閉じた態様に後退させる。
【0017】
説明された実施形態及び他の実施形態において、外層は、内層の周りに配置され得るとともに、外層は、圧縮力をチャンバに加えるために、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成され得る。内層は、圧縮力をチャンバに加えるために、クリップ装置の長手軸に対して複数の角度から把持されるように構成され得る。アームは、中間部分で曲げられた単一のワイヤで形成され得る。該中間部分は、アームの第1の端部を形成し得る。アームは、開いた態様に付勢され得る。
【0018】
本発明の非限定的な実施形態は、概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図されていない添付の図を参照して例として説明されている。各図において、図示されている各同一又は同等の構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図でラベル付けされているわけではなく、当業者が開示を理解できるようにするために図解が必要でない場合、各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による、閉じた態様でのクリップ装置の上面図。
図2】開いた態様での図1のクリップ装置の上面図。
図3図2のクリップ装置の部分断面図。
図4】本発明の一実施形態による、図1のクリップ装置のカム部材の斜視図。
図5】本発明の一実施形態によるテザートラクションクリップシステムの斜視図。
図6】本発明の一実施形態による、閉じた態様でのクリップ装置の上面図。
図7】閉じた態様での図6のクリップ装置の部分断面図。
図8】開いた態様での図6のクリップ装置の上面図。
図9】開いた態様での図6のクリップ装置の部分断面図。
図10図6のクリップ装置の別の断面図。
図11A】本発明の一実施形態による、閉じた態様の組織クリップ装置の上面図。
図11B】開いた態様での図11Aの装置の上面図。
図11C図11A及び11Bの装置のカム部材の斜視図。
図11D図11A及び11Bの装置の斜視図。
図12A】本発明の一実施形態による、閉じた態様の組織クリップ装置の上面図。
図12B】開いた態様での図12Aの装置の上面図。
図13A】本発明の一実施形態による、閉じた態様の組織クリップ装置の上面図。
図13B】開いた態様での図13Aの装置の上面図。
図14】本発明の一実施形態による、開いた態様でのクリップ装置の上面図。
図15図14のクリップ装置の断面図。
図16】閉じた態様での図14及び図15のクリップ装置の上面図。
図17】閉じた態様での図14図16のクリップ装置の断面図。
図18A】本発明の一実施形態による、閉じた態様の組織クリップ装置の斜視図。
図18B】閉じた態様での図18Aの組織クリップ装置の内部図。
図18C】開いた態様での図18A及び図18Bの装置の斜視図。
図18D】開いた態様での図18A図18Cの組織クリップ装置の内部の図。
図19】本発明の一実施形態による、開いた態様でのクリップ装置の上面図。
図20】開いた態様での図19のクリップ装置の部分断面図。
図21】閉じた態様での図19のクリップ装置の上面図。
図22】閉じた態様での、本発明の例示的な実施形態による、クリップ装置の上面図。
図23】開いた態様での図22のクリップ装置の上面図。
図24】閉じた態様の図22のクリップ装置のクリップアームの正面図。
図25】開いた態様での図22のクリップ装置のクリップアームの正面図。
図26】本発明の一実施形態によるテザートラクションクリップシステムを示す図。
図27図11A図11Dのクリップ装置とともに使用する例示的な方法のステップを示す図。
図28図11A図11Dのクリップ装置と共に使用する例示的な方法のステップを示す図。
図29図11A図11Dのクリップ装置と共に使用する例示的な方法のステップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、記載された特定の実施形態に限定されない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲を逸脱して限定することを意図するものではない。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0021】
本発明の実施形態は、特定の体管腔及び組織を参照して説明されているが、そのような装置、システム、及び方法は、胃腸管、気管支、粘膜組織、上皮組織、結合組織、筋肉組織等を含む様々な解剖学的構造で使用できることを理解されたい。
【0022】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形をも含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える」及び/又は「備えている」又は「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、記載された特徴、領域、ステップ、要素及び/又は部品の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、部品、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、装置を患者に導入するときに医療装置に沿って医療専門家から最も遠い端を指し、「近位」という用語は、医療機器を患者に導入するときに医療装置に沿って医療専門家に最も近い端を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、接続詞「及び」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、同列に接続する構造、構成要素、特徴等のそれぞれを含み、接続詞「又は」は、文脈で明確に示されていない限り、単独又は任意の数での組合せで接続する構造、構成要素、特徴等の1つ又は他方を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「要素」及び「部材」という用語は、図の説明、様々な実施形態の説明との間、及び特許請求の範囲内で相互置換可能に使用され得る。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定されている。「約」という用語は、数値の文脈において、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(即ち、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれ得る。「約」という用語の他の使用(即ち、数値以外の文脈で)は、特に明記されていない限り、明細書の文脈から理解され、それと一致する通常の慣習的な定義を持っているとみなされる。端点による数値範囲の列挙には、当該端点を含む、その範囲内の全ての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
【0026】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態が当該特定の特徴、構造、又は特性を含んでいるとは限らない。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明されている場合において、他の実施形態に関連して特徴、構造、又は特性に影響することは、反対のことが明確に述べられていない限り、明示的に記載されているか否かに拘わらず、当業者の知識の範囲内である。つまり、後述する様々な個々の要素は、たとえ、特定の組み合わせにおいて明示的に示されていない場合であっても、それに拘わらず、当業者によって理解されるように、他の追加的な実施形態を構成するために若しくは説明した実施形態を補完及び/又は強化するために、互いに組み合わせ可能若しくはアレンジ可能である、と想定される。
【0027】
本発明は、以下の説明及び添付図面を参照してさらに理解することが可能である。図面では、類似の要素は、同一参照番号で参照する。本発明は、一例では、内視鏡での粘膜下層剥離術(ESD:endoscopic submucosal dissection)及び/又は内視鏡での粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection)のための内視鏡での組織トラクション装置のクリップ開放メカニズムに関する。本発明の例示的な実施形態は、医師が任意の角度からクリップ装置を開いて再配置することを可能にする開放メカニズムを含むクリップ装置を説明する。これらの実施形態において、医師は、任意の接近角度からクリップ装置の開放メカニズムを把持し、組織に取り付けるためにクリップを開くことが可能である。本発明の例示的な実施形態において、テザートラクションクリップ装置を形成するために、2つのクリップ装置がテザーと組み合わせて使用され得る。
【0028】
様々な実施形態において、本明細書に記載のクリップ装置は、概ね同様の方法でシステムにおいて相互置換可能に使用され得る。様々なクリップ装置は、装置及び/又はシステムが開いた態様と閉じた態様との間で移行するように、相互に動くことが可能な1つ以上の把持要素又は部材を有し得る。特定の実施形態に関して説明された把持要素即ち把持部材は、概ね同様の方法で、別の実施形態のものと追加的に又は相互置換可能に使用され得ることが理解される。
【0029】
テザートラクションクリップ装置は、ESD中に組織のフラップを操作するために使用し得る。しかしながら、これらのクリップ装置は、特定の角度又は平面に沿って把持する必要がある場合があるため、開閉、及び/又は配置するのが難しい場合がある。他の組織クリップ装置、例えば、ESDのための組織トラクション装置は、組織に係合して操作するための開放メカニズムを含み得る。例として、視野角や、視野を遮る装置又は解剖学的構造や、操作ツールの大きさ、又は装置に対する適切な係合の厳格な角度のために、そのような装置の操作は、医療専門家にとって困難な場合がある。例えば、クリップ装置は、当該装置を方向付け、及び/又は装置のアームを操作するために、医療専門家によって制御される別の器具によって係合され得る。前記装置は、概ね当該装置の長手軸に沿って装置を係合させることにより、上記のような処置中に制御され得る。概ね長手軸に沿っていない角度で装置を係合させようとした場合、装置を適切に制御できなくなったり、処置のエラーや遅延が発生したり、医療専門家を苛立たせたりする可能性がある。従って、これらの考慮事項を念頭に置いて、本改善は、医師がクリップを様々な角度から開閉及び/又は再配置することを可能にすることに役立ち得る。
【0030】
図1図4に示すように、本発明の例示的な実施形態によるクリップ装置100は、(例えば、図11A図11Dの装置1100に関して図5に示すのと同様の方法で)テザー20に結合するように構成される結合端101から、結合端101の反対側のクリップ端103まで延びる。クリップ装置100は、把持部102とクリップ部104とを備えるとともに、例えば、可撓性内視鏡の作業チャネルを介して治療される標的組織に挿入可能である。把持部102は、第1及び第2の円錐形把持要素116、114と、カム部材122とを備える。クリップ部104は、クリップアーム106を含む。クリップ装置100は、当該クリップ装置100が身体を通る曲がりくねった経路を横断可能にするために十分な柔軟性を有し、例えば、自然の身体の開口部を介してアクセスされる自然の体管腔を通して挿入された内視鏡の作業チャネルを通過する。クリップ部104は、この実施形態において、単一のワイヤ108から形成されるクリップアーム106を含む。図3に見られるように、ワイヤ108は、クリップ装置100の結合端101に最も近い、クリップアーム106の第1の端部110を形成するように、中間部分から湾曲される。第1及び第2のクリップアーム106は、それぞれ、クリップ装置100のクリップ端103において、第1の端部110から第2の端部112まで延びる。クリップアーム106は、クリップアーム106の第2の端部112が互いに分離されて、両者の間に標的組織を受け入れる開いた態様と、クリップアーム106の第2の端部112が互いに向かって動かされて、例えば、両者の間にある標的組織を把持するため、或いは、クリップアーム106が互いに離れて動かされる場合と比較して装置の全体的な大きさを縮小するために、閉じた態様との間で移行可能である。クリップ装置100のクリップ部104は、第2の円錐形把持要素114によって把持部102に結合されている。クリップアーム106は、第1の円錐形把持要素116に対する相対的な第2の円錐形把持要素114の動きによって、開いた態様と閉じた態様との間で移行可能である。この実施形態のクリップ装置100の結合端101は、以下でさらに詳細に説明されるように、テザー20(図22図25に示される)に結合されるように構成される。
【0031】
図3にさらに示されるように、クリップアーム106は、第1の端部110で接合され、第2の端部112まで延びる。当業者が理解するように、この実施形態のクリップアーム106は、閉じた態様に付勢されている。クリップ装置100の把持部102が以下に説明するように作動されると、クリップアーム106は開いた態様に強制される。この実施形態のクリップアーム106のそれぞれは、クリップ装置100の長手軸に向かって延び、クリップアーム106を湾曲して又は屈曲して形成されたばね部120を含むように曲線が付けられている。ばね部120は、両者間に空間を形成し、該空間は、把持部104のカム部材122の第1の端部を受け入れる寸法及び形状とされる。この実施形態において、カム部材122は、その第1の端部に三角形のくさび124を含み、当該カム部材122がクリップアーム106の第1の端部110に向かってクリップアーム106間に進行するに連れて、開いた態様に互いに離れるようにクリップアーム106の向きを変える。
【0032】
把持部102は、第1の把持要素116(即ち、クリップ装置100の結合端101に近い)と第2の把持要素114(即ち、クリップ装置100のクリップ端103に近い)及びくさび124を備えたカム部材122とを含む。この実施形態において、第1及び第2の把持要素116、114は、直径を有する概ね円錐形(例えば、錐体円錐形)であり、該直径は、第1及び第2の把持要素116、114がそれぞれ互いに当接する端部からの距離が増加するに連れて増加する。図1に示すように、第1及び第2の把持要素116、114のそれぞれは、第1及び第2の把持要素116、114が互いに当接するときには、互いに隣接して配置された端部における最小直径に向かって先細になり、砂時計形状を形成する。具体的には、第1の把持要素116は、その第1の端部から第2の端部に向かって先細になる一方、遠位の把持要素114は、その第2の端部から第1の端部に向かって先細になる(第1の端部は、第1の把持要素116の第2の端部に隣接する)。この砂時計の形状は、把持シリンダとして使用され、該把持シリンダは、内視鏡に対するクリップの向きに関係なく、(例えば、可撓性内視鏡の作業チャネルを介して挿入される把持ツール10(図28に示される)を使用することにより)使用者がクリップ装置100を把持することを可能にする。図3にも示されるように、第2の把持要素114は、湾曲したチャネル126を含み、該チャネル126は、第1の端部128から第2の端部130まで延びる。第1及び第2の端部128、130は、遠位の把持要素114の第2の端部132において開いている。チャネル126は、第1の端部112とばね部120との間に延びる、クリップアーム106の第1の部分133を受け入れる寸法及び形状とされる。湾曲したチャネル126の開いた第1の端部128、130の間にある第2の把持要素114の第2の端部の表面、即ちリッジ134は、クリップアーム106の第1の部分133の間に配置され、クリップアーム106の最大開口を制御するストッパを提供するとともに、クリップアーム106が第2の把持要素114から抜け出すのを防止する。第2の把持要素114はまた、遠位の把持要素114の第1の端部から第2の端部まで延びる2つの貫通孔(図示せず)を含み、各貫通孔は、カム部材122の脚138を受け入れるように構成される。
【0033】
この実施形態のカム部材122は、図4に示されるように、2つの脚部138を備える概ねU字形であり、該脚部138は遠位U字状湾曲部140から結合端101に向かって延びる。脚138のそれぞれは、拡大された停止部材148を含む。くさび124は、U字状湾曲部の中央に配置されるとともに概ね三角形の形状である。具体的には、くさび124は、クリップ端103に最も近い第2の端部142から、結合端101に最も近い第1の端部144へ先細になっている。くさび124は、2つの脚部138の間のU字状湾曲部140から結合端101に向かって延びる。カム部材122の脚部138は、第1の把持要素116内の貫通孔(図示せず)を通って摺動可能に受け入れられる。有底穴が、停止部材148の長さに等しい距離だけ、第1の把持要素116の長さを通って部分的に延びる。有底穴は、停止部材148と概ね等しい直径を有する。しかしながら、第1の把持要素116の第2の端部の有底穴の開口部は、カム部材122の停止部材148が第1の把持要素116から抜け出すことを防止するように、より小さな直径(即ち、クリップアーム106の直径に等しい直径)を有する。従って、第1の把持要素116とカム部材122とは、互いに不動である。カム部材122の第1の端部は、当該部品が相互に移動しない限り、接着、溶接等の他の任意の好ましい方法で第1の把持要素116に結合され得ることに留意されたい。
【0034】
使用中、クリップ装置100が閉じた態様にあるとき、クリップアーム106のばね部120は、カム部材122のくさび124の幅(即ち、2つのクリップアーム106の間の、クリップ装置100の長手軸に直角な平面内に延びる寸法)よりも小さい距離を隔てて配置される。図2に示されるように、半径方向内向きの力(即ち、把持力)が、例えば、把持ツール10(例えば、図26を参照)によって、第1及び第2の把持要素116、114の先細の端部に加えられると、第1及び第2の把持要素116、114は、相互に変位される(即ち、クリップ装置100の長手軸に沿って互いに離れるように移動される)。この直線運動はカム部材122を作動させ、それによって、くさび124がクリップアーム106の第1の端部110に向かってばね部120間の空間に移動し、ばね部120が互いに離れるように撓み、クリップアーム106を図3に示すように開いた態様に移行させる。次に、把持ツール10からの力が近位及び遠位の把持要素116、114から除去されると、くさび124の三角形の表面に対するクリップアーム106のばね作用のために、カム部材122は、その元の位置に付勢され、クリップアーム106は互いに向かって引き合って、クリップアーム106の第2の端部112の間に受け入れられたいずれかの組織を把持する組織把持態様に引き込む。
【0035】
図6図10に示されるように、本発明の例示的な実施形態によるクリップ装置200は、本明細書に記載される場合を除いて、クリップ装置100と概ね同様である。具体的には、クリップ装置200は、結合端201から対向するクリップ端203まで延び、把持部202及びクリップ部204を含む。クリップ装置200は、例えば、内視鏡の作業チャネルを介して、治療される標的組織に挿入可能である。クリップ部204は、クリップアーム206を含む。該クリップアーム206は、図7に示されるように、この実施形態において、単一のワイヤ208から形成される。図7に見られるように、ワイヤ208は、中間部分で屈曲して、結合端201に最も近いクリップアーム206の第1の端部210を形成する。クリップアーム206は、第1の端部210から、クリップ装置200のクリップ端203に位置する第2の端部212まで延びる。クリップアーム206は、閉じた態様に付勢されているが、それぞれは、ばね部120と同様に、ばね部220を形成する湾曲部分を含む。
【0036】
把持部202は、円錐形の把持要素216、流体チャンバ214、遠位バルーンチャンバ218、及び2つの接続チャネル219を含む。図7に見られるように、円錐形把持要素216は、それがクリップ端203の方向に延びる延長部222を含むことを除いて、第1の円錐形把持要素116と形状が概ね同様である。延長部222は、流体チャンバ214の中央ルーメン228を通って延びるように構成される。図10に示すように、遠位延長部222の(クリップ端203に最も近い)第2の端部224は、流体チャンバ214の(クリップ端203に最も近い)第2の端部を越えて延び、クリップアーム206の第1の端部210に結合する。本実施形態において、遠位延長部222の第2の端部224は、フック又はループ226であり、該フック又はループ226は、クリップアーム206の第1の端部210を受け入れる寸法及び形状とされた中央空間を画定する。
【0037】
流体チャンバ214は、概ね球形であり、閉じたルーメン228を備え、該閉じたルーメン228は、その第1の端部から第2の端部まで通って延びる。流体チャンバ214は、内部キャビティ230を含み、該内部キャビティ230は、例えば、生理食塩水、滅菌水、ゲル、又は内科での使用に適した他の任意の最小圧縮性流体等の流体で満たされるように構成される。流体チャンバ214は、例えば把持ツール10によって外圧が加えられて、流体チャンバが内側に収縮し、内部容積を減少させ、そこから流体を接続チャネル219に排出するように、例えば、ナイロン、PEBAX、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ゴム、又はシリコーン等の変形可能な材料で形成される。接続チャネル219は、流体チャンバ214からバルーンチャンバ218まで延び、それらの間を流体連通する。即ち、外力が加えられると、流体チャンバ214から押し出される流体は、接続チャネル219を通ってバルーンチャンバ218に移動する。バルーンチャンバ218は、バルーンチャンバ218が流体で満たされているので、図7に示される通常の収縮状態から膨張可能である。バルーンチャンバ218は、図9に示すように、流体がその中に押し込まれるに連れてバルーンチャンバ218が膨張し、クリップアーム206を開くのに十分な圧力を生成するように、クリップアーム206のばね部220の間に配置される。外力が流体チャンバ214から除去されると、ばね部220は、バルーンチャンバ218に内向きの力を加え、バルーンチャンバ218の内部容積を減少させて、流体が接続チャネル219を通って流体チャンバ214内に戻るようにする。
【0038】
上記の図6図10に記載された実施形態又は他の方法で本発明の範囲内において、様々なクリップ装置が1つ以上のチャンバを有し得る。該1つ以上のチャンバは、組織受入態様と組織係合態様との間で装置を移行するべく、当該1つ以上のチャンバが圧縮又は膨張され得るように、係合及び係合解除され得る。特定の実施形態に関して記載されたチャンバは、概ね同様の方法で、別の実施形態のものと追加的に又は相互置換可能に使用され得ることが理解されるであろう。
【0039】
図11A図11Dを参照して、概ね錐台形状である第1の部材1102及び第2の部材1104を含む、組織クリップ装置1100の実施形態が示されている。2つのクリップアーム1110は、第1の端部1110pから第2の端部1110dまで延びる。各アーム1110の第1の端部1110pは、第1の部材1102を通って延びるチャネル1120によって第1の部材1102内に受け入れられる。クリップアーム1110は、アーム1110の第1の端部1110pを形成する中間部分1122で曲げられた単一のワイヤで形成される。組織を係合するための把持子1130は、アーム1110の第2の端部1110dとの間で係合される(例えば、保持される)。把持子1130は、アーム1110間に第1の端部1130pを有するとともに、組織と係合するための顎からなる第2の端部1130dを有する。把持子1130は、交差態様にある第1及び第2の把持子アームを有する。第1の部材1102に収容されるクリップアーム1110の中間部分1122における屈曲部のばね力は、クリップアーム1110の第2の端部1110dに付勢力を生じさせ、該付勢力は、アーム1110のばね部1116が互いに向かって駆動されるように、例えば、互いに概ね接触するように、アームを互いに向かい合うように付勢する。把持子1130は、第1の部材1102及び第2の部材1104が離れて広げられたとき(例えば、図11B)に開いた態様をとる。ばね力は、ねじりばね、板ばね等によって加えることが可能である。クリップアーム1110は、把持子1130が、図11Aに示されるようにクリップアーム1110のばね部1116が互いに離れる(例えば、留置するため及び/又は組織と係合するための)閉じた態様と、図11Bに示されるようにクリップアーム1110のばね部1116が互いに接触している(例えば、組織を受け入れるための)開いた態様との間で移行し得るように動くことが可能である。各アーム1110のばね部1116は、ばね部1116の間にばね空間1114を形成する。ばね空間1114は、装置1100が閉じた態様(図11A)にあるときに開いており、ばね空間1114は、装置1100が開いた態様(図11B)にあるときに閉じている。第2の部材1104は、複数のアーム1110の周りに摺動可能に配置される。アーム1110は、第2の部材1104のテーパチャネル1126を通って延びる。第1の部材1102及び第2の部材1104のそれぞれは、クリップ装置1100の長手軸lに対して複数の角度から別々に把持される場合もあり、一緒に把持される場合もある。第1及び第2の部材1102、1104はそれぞれ、圧縮力1132の作用に応答して、クリップ装置1100の長手軸lに沿い、互いに対して相対的に離れて変位し、開いた態様になり得る。カム部材1112は、第1の端部1112pから第2の端部1112dまで延びる。カム部材1112の第1の端部1112pは、第2の部材1104に固定的に結合され、第2の端部1112pは、閉じた態様でばね空間1114内に延び、係合する。カム部材1112は、第1及び第2の部材1102、1104が互いに相対的に開いた態様に変位された場合、当該カム部材1112がばね空間1114との係合から外れて動き、複数のアーム1110のばね部1116がばね力によって互いに向かって移動するように、ばね空間1114との係合から外れるように移動される。従ってアーム1110は、第2の端部1130dの把持子顎1130を開いた態様に移行させる。カム部材1112がばね空間1114内においてばね部1116の間に係合した場合、装置1100は閉じた態様にあり、クリップアーム1110は、装置1100が静止状態にある間(即ち、実質的な圧縮力1132が作用していない間)、装置1100を開いた態様に移行することが防止される。圧縮力1132が作用していない場合、第1及び第2の部材1102、1104は、例えば、部材1102、1104の間に延びる線形特性ばね1128によって、互いに概ね接触するように、互いに向かって変位する。線形特性ばね1128は、閉じた態様(図11A)では静止状態にあり、開いた態様(図11B)では伸長状態(張力状態)にある。線形特性ばね1128の伸長状態は、部材1102、1104を一緒に引っ張るばね力を有し、カム部材1112の第2の端部1112dを、ばね空間1114及びアーム1110のばね部1116と係合するように動かす。カム部材1112は、第2の端部1112dにU字状湾曲部と、U字状湾曲部から第1の端部1112pまで延びる2つの脚部と、第2の端部1112dのU字状湾曲部の中央に配置されるくさび1118とを含む。くさび1118は、カム部材1112の脚の間のU字状湾曲部から第1の端部1112pに向かって延びるに連れて、長手軸lを横切るより小さな幅に先細になる。くさび1118は、ばね空間1114内で受け入れられ得る。第1及び第2の部材1102、1104は、傾斜面1106を含み、該傾斜面1106は、当該傾斜面1106への圧縮力1132の作用に応答して、部材1102、1104が互いに反対方向に移動することを可能にする。ループ1124は、エラストマーテザー等の別の装置と取り付けるために、第1の部材1102から延びる。
【0040】
例示的な実施形態において、クリップ装置1100は、図5に示されるように、テザートラクションクリップシステム150を形成するテザー20に結合され得る。図5は、例として装置1100を示しているが、本発明のクリップ装置の任意の実施形態が、概ね同様の方法で使用可能であることが理解されよう。テザートラクションシステム150は、この実施形態において、2つのクリップ装置1100を備え、該2つのクリップ装置1100は、それらの間に延びるテザー20によって一緒に結合される。具体的には、テザー20の対向する端部は、クリップ装置1100の結合端1124に結合されている。テザー20は、例えば、天然ゴムラテックス、熱可塑性エラストマー、及びシリコーンゴム等の高エネルギー回収特性を有するエラストマー材料で形成され得る。代替的又は追加的に、テザー20は、金属ばね又は形状記憶材料から構成され得る。以下でさらに詳細に説明するように、テザートラクションシステム150は、この実施形態において、所望の標的組織へのより明確な視線を医師に提供するために、医師が組織の選択された部分を調整することを可能にする。例えば、第1のクリップ装置1100が組織の切除部分に結合され得る一方、第2のクリップ装置1100が近傍の組織に結合され得ることにより、テザー20は、組織の切除部分を所望の位置に保持するのに十分な張力を提供する。
【0041】
図12A及び12Bを参照して、組織を係合するための組織クリップ装置1200の実施形態が示されており、該クリップ装置1200は、概ね錐台形状である第1の部材1202を含む。2つのクリップアーム1210は、第1の端部1210pから第2の端部1210dまで延びる。各アーム1210の第1の端部1210pは、第1の部材1202を通って延びるチャネル1220によって第1の部材1202内に受け入れられる。クリップアーム1210は、アーム1210の第1の端部1210pを形成する中間部分1222で曲げられた単一のワイヤで形成される。クリップアーム1210は、アーム1210の第2の端部1210dが互いに向かって配置される図12Aに示されるような閉じた態様と、アーム1210の第2の端部1210dが互いに離れる図12Bに示されるような開いた態様との間で移行可能である。クリップアーム1210のそれぞれは、ばね部1216を含み、該ばね部1216は、クリップ装置1200の長手軸lに向かって半径方向に延びるとともに、当該ばね部1216の間にばね空間を形成するように構成される。第1の部材1202に収容されるクリップアーム1210の中間部分1222での屈曲におけるばね力は、クリップアーム1210の第2の端部1210dに閉じた態様に付勢する付勢力を生成する。第2の部材1204は、複数のアーム1210の周りに摺動可能に配置され、アーム1210は、第2の部材1204のテーパチャネル1226を通って延びる。テーパチャネル1226は、第1の部材1202に向かう方向に各々先細り(即ち、直径が減少)する。テーパチャネル1226は、第2の部材1204の内部にあるとともに、アーム1210のばね部1216の対向傾斜面と係合可能である。アーム1210のばね部1216の対向傾斜面は、第1及び第2の部材1202、1204が互いに離れて変位した場合に、テーパチャネル1226が動いてばね部1216の傾斜面に係合し、アーム1210を開いた態様に離すように、相互にかつ長手軸lに向かって傾斜する。第1及び第2の部材1202、1204が互いに概ね接触するように変位された場合、テーパチャネル1226は、ばね部1216の傾斜面との係合から外れるように動くとともに、アーム1210は、アームのばね部が互いに付勢し合う閉じた態様に移行する。第1の部材1202と同様に、第2の部材1204も概ね錐台形状である。第1の部材1202及び第2の部材1204のそれぞれは、クリップ装置1200の長手軸lに対して複数の角度から個別に又は一緒に把持され得る。第1及び第2の部材1202、1204はそれぞれ、圧縮力1232の作用に応答し、クリップ装置1200の長手軸lに沿って互いに対して変位して開いた態様になり得る。第1及び第2の部材1202、1204は、傾斜した外面を含み、該傾斜した外面は、当該傾斜した外面への圧縮力1232の作用に応答して、第1、第2の部材1202、1204が長手軸lに沿って互いに長手方向に反対方向に移動することを可能にする。第1の部材1202は、端部1210pが第1の部材1202を通って延びるため、アーム1210に対して相対的に移動することはできないが、第1の部材1202は、アーム1210と共に第2の部材1204から離れて移動し得る。第1及び第2の部材1202、1204が互いに対して相対的に変位した場合、テーパチャネル1226は、アーム1210のばね部1216の対向傾斜面に対して、係合・係合解除し、アーム1210を閉じた態様と開いた態様との間で移行させる。第2の部材1204又はアーム1210の一方が固定されている間、第2の部材1204又はアーム1210は、互いに対して長手方向に移動し得る、即ち、第2の部材1204及びアーム1210の両方は、互いに対して長手方向に移動し得る。クリップアーム1210は、アーム1210をともに付勢する中間部分1222のばね力と、互いに向かって変位された第1及び第2の部材1202、1204とによって装置1200が静止状態(即ち、実質的な圧縮力1232が加えられていない状態)にある間、閉じた態様に付勢される。ループ1224は、別の装置が(例えば、それらの間にテザーを使用して)取り付け又は把持するために、第1の部材1202から延び得る。
【0042】
図13A及び図13Bを参照して、組織を係合するための組織クリップ装置1300の実施形態が示され、これは、概ね錐台形状である第1の部材1302を含む。2つのクリップアーム1310は、第1の端部1310pから第2の端部1310dまで延びる。各アーム1310の第1の端部1310pは、第1の部材1302を通って延びるチャネル1320によって第1の部材1302内に受け入れられる。クリップアーム1310は、アーム1310の第1の端部1310pを形成する中間部分1322で曲げられた単一のワイヤで形成される。クリップアーム1310は、アーム1310の第2の端部1310dが互いに向かって配置される図13Aに示されるような閉じた態様と、アーム1310の第2の端部1310dが互いに離れる図13Bに示されるような開いた態様との間で移行可能である。クリップアーム1310のそれぞれは、ばね部1316を含み、該ばね部1316は、クリップ装置1300の長手軸lから離れて半径方向に延びるとともに、当該ばね部1316におけるアーム1310間にばね空間を形成するように構成される。第1の部材1302に収容されるクリップアーム1310の中間部分1322での屈曲におけるばね力は、クリップアーム1310の第2の端部1310dに閉じた態様に付勢する付勢力を生成する。第2の部材1304は、複数のアーム1310の周りに摺動可能に配置され、アーム1310は、第2の部材1304のテーパチャネル1326を通って延びる。テーパチャネル1326は、第1の部材1302に向かって各々先細り(即ち、直径が減少)する。テーパチャネル1326は、第2の部材1304の内部にあるとともに、アーム1310のばね部1316の対向傾斜面と係合可能である。アーム1310のばね部1316の対向傾斜面は、第1及び第2の部材1302、1304が互いに離れて変位した場合に、テーパチャネル1326が動いてばね部1316の傾斜面に係合し、アーム1310を開いた態様に移行するように、相互にかつ長手軸lに対して離れて傾斜する。第1及び第2の部材1302、1304が互いに概ね接触するように変位された場合、テーパチャネル1326は、ばね部1316の傾斜面との係合から外れるように動くとともに、アーム1310は、閉じた態様に移行する。第1の部材1302と同様に、第2の部材1304も概ね錐台形状である。第1の部材1302及び第2の部材1304のそれぞれは、クリップ装置1300の長手軸lに対して複数の角度から個別に又は一緒に把持され得る。第1及び第2の部材1302、1304はそれぞれ、圧縮力1332の作用に応答し、クリップ装置1300の長手軸lに沿って互いに対して変位して開いた態様になり得る。第1及び第2の部材1302、1304は、外向き傾斜面を含み、該外向き傾斜面は、当該外向き傾斜面への圧縮力1332の作用に応答して、部材1302、1304が互いに反対方向に変位することを可能にする。第1の部材1302は、端部1310pが第1の部材1302を通って延びるため、アーム1310に対して移動することはできないが、第1の部材1302は、アーム1310と共に第2の部材1304から離れて移動し得る。第1及び第2の部材1302、1304が互いに対して相対的に変位した場合、テーパチャネル1326は、アーム1310のばね部1316の対向傾斜面に対して係合・係合解除し、アーム1310を閉じた態様と開いた態様との間で移行させる。第2の部材1304又はアーム1310の一方が固定されている間、第2の部材1304又はアーム1310は、互いに対して長手方向に移動し得る、即ち、第2の部材1304及びアーム1310の両方は、互いに対して長手方向に移動し得る。クリップアーム1310は、アーム1310をともに付勢する中間部分1322のばね力と、互いに向かって変位された第1及び第2の部材1302、1304とによって装置1300が静止状態(即ち、実質的な圧縮力1332が加えられていない状態)にある間、閉じた態様に付勢される。ループ1313は、別の装置を取り付けるため、又は把持するために(例えば、それらの間のテザーを使用して)、第1の部材1302から延長され得る。
【0043】
本発明の別の例示的な実施形態による、クリップ装置300が、図14図17に示されている。この実施形態において、クリップ装置300は、クリップ装置300の結合端301に最も近い第1のチャンバ314と、装置の対向するクリップ端303に最も近い第2のチャンバ316とを含む。結合端301は、別の装置、例えば、図5又は図27図29のテザー20に取り付け得る。第1及び第2のチャンバ314、316は、それらの間で材料即ち流体が交換されてクリップ装置300を開閉するように、二方弁によって接続されている。例示的な実施形態において、材料は、メモリーフォーム(登録商標)又は同様の材料である。別の実施形態において、粘性流体又は同様の材料を使用することが可能である。クリップ装置100、200と同様に、クリップ装置300は、この実施形態において、単一のワイヤ308から形成された第1及び第2のクリップアーム306を含む。図15に見られるように、ワイヤ308は、第1及び第2のクリップアーム306の第1の端部310を形成するように、中間部分から湾曲され、第1及び第2のクリップアーム306は、第1の端部310からクリップ装置300のクリップ端303において第2の端部312まで延びる。しかしながら、この実施形態において、クリップアーム306は、開いた態様にばね付勢されている。例えば、一実施形態において、クリップアーム306は、その中間部分で外向きに(即ち、クリップ装置300の中心長手軸から離れる方向に)湾曲される。図15及び図17に示されるように、クリップアーム306は、当該クリップアーム306のばね部320において内側に(即ち、クリップ装置300の中心長手軸に向かう方向に)曲げられ得ることで、クリップアーム306は、クリップ装置300の中心長手軸のところで互いに概ね交差する。このように、クリップアーム306の第2の部分318は、ばね部320から第2の端部312まで延びており、第1の端部310からばね部320まで延びる、クリップアーム306の第1の部分317の反対側である中央長手軸の側において、クリップ装置300の中央長手軸から離れて延びる。
【0044】
クリップアーム306は、図15に見られるように、デュアルチャンバ内に配置されており、第1の部分317は近位のチャンバ314内に配置され、かつ、第2の部分318は、第2のチャンバ316内に部分的に配置されるとともに、部分的に、クリップ端303に最も近い第2のチャンバ316の第2の端部を越えて延びる。第1及び第2のチャンバ314、316は、形状が概ね球形であるとともに、メモリーフォーム材料を保持するように構成された内部キャビティ315、319をそれぞれ含む。第1及び第2のチャンバ314、316は、変形可能な材料で形成され、これにより、第1及び第2のチャンバ314、316は、材料がそれらの間を通過する結果として膨張及び収縮可能である。上記のように、第1及び第2のチャンバ314、316は、二方弁によって互いに結合されており、該二方弁は、2つのチャンバ314、316の間の流体の自由な移動を可能にする。従って、例えば、外部圧力が、例えば、把持ツール10によって第1のチャンバ314に加えられた場合、第1のチャンバ314は、内向きに収縮し、内部容積を減少させ、そこから流体を第2のチャンバ316に排出する。反対に、把持ツール10によって第2のチャンバ316に外圧が加えられた場合、第2のチャンバ316は内向きに収縮し、内部容積を減少させ、そこから流体を第1のチャンバ314に排出する。代替的に、第1のチャンバ314の材料によって加えられる収縮力は、第2のチャンバ316の材料によって提供される収縮力よりも大きくてもよく、その結果、把持子が第2のチャンバ316を解除した場合に、第1のチャンバ314は自動的に収縮し、材料を第1のチャンバ314から第2のチャンバ316に送出し、クリップアーム306を一緒に組織把持態様に自動的に引き込む。
【0045】
使用中、クリップアーム306は、挿入のために、図15に示されるように、第1のチャンバ314の中の材料が第2のチャンバ316に移動するまで第1のチャンバ314を圧迫することにより、図16に示される閉じた態様に移行される。第2のチャンバ316への材料のこの移動は、クリップアーム306の第2の部分318の横方向に第2のチャンバ316を膨張させることによって、クリップアーム306を閉じた態様に強制する。第2のチャンバ316のこの膨張は、クリップアーム306を互いに向かって押し、閉じた組織把持態様にする。クリップ装置300が標的組織に隣接する標的部位に配置されると、把持ツール10を使用して、図17に示すように、第2のチャンバ316に圧力を加え、材料を第1のチャンバ314に強制的に戻す。クリップアーム306の第2の部分318から圧力が除去されると、クリップアーム306は、図14に示されるように、それらの事前に構成された付勢力の下で開いた態様に移行する。次いで、クリップアーム306のクリップ端部312は、標的組織のいずれかの側に配置され、クリップアーム306は、把持ツール10を使用して第1のチャンバ314に圧力を加えることによって、再び閉じた態様に移行され、標的組織を把持する。
【0046】
図18A図18Dを参照して、同図には組織を係合するための組織クリップ装置1800の実施形態が示されている。図18A及び図18Bは、閉じた態様の装置1800を示し、図18C及び図18Dは、開いた態様の装置1800を示している。図18B及び図18Dは、一部を除去/明示した装置1800の部分断面図である。装置1800は、キャビティ1804cを画定するハウジング1804を含み、該キャビティ1804cは、第1の端部1804pを有し、該第1の端部1804pは、当該キャビティ1804c内で第2の端部1804dに向かって移動可能である。キャビティ1804c内には、第1の端部1810pから第2の端部1810dまで延びる2つのクリップアーム1810がある。各アーム1810の第1の端部1810pは、キャビティ1804c内に受け入れられる。クリップアーム1810は、アーム1810の第2の端部1810dが互いに離れる開いた態様(例えば、図18C及び図18Dに示される)と、アーム1810の第2の端部1810dが互いに向かって変位する閉じた態様(例えば、図18A及び図18Bに示される)との間で移動可能である。アーム1810は、開いた態様に付勢されるか、又は、アーム1810がハウジング1804のキャビティ1804cから延出するとともに大部分が第2の端部1804dから突出した際に、アーム1810が開いた態様に移行するように形成される。アーム1810を閉じた態様に拘束するのは、ハウジング1804の第2の端部1804dである。ハウジング1804のキャビティ1804cには、ばね要素が収容されており、該ばね要素は弛緩した態様にある場合には、端部1804p、1804dが互いに離れて閉じた態様に付勢する。ハウジング1804は、内層1820内にある。内層1820は、ハウジング1804の近位方向に、流体を収容するチャンバ1822内に延びる。内層1820は、クリップ装置1800の長手軸lに対する複数の角度からの力1832によって、開いた態様に圧縮され得る。圧縮された場合、内層1820は、流体1822をハウジング1804の第1の端部1804pに押圧して、第1の端部1804pは、ハウジング1804の第2の端部1804dに向かって移動する。圧縮力1832が層1802、1820及びチャンバ1822に加えられない場合、ハウジング1804の第1の端部1804pは、ハウジング1804の第2の端部1804dから離れて変位し、アーム1810を閉じた態様に後退させる。ハウジングの端部1804p、1804dが互いに向かって移動した場合、アーム1810の第2の端部1810dが互いに離れて開いた態様に移行する。外層1802は、内層1820の上に重ねられ、内層1802と同様に、長手軸lに対して複数の角度から把持することが可能である。内層1820は、柔軟で順応性のある材料からなり得る一方、外層1802は、内層1820と比較して、より剛性があり、順応性が低いが柔軟ではある材料からなり得る。内層1802を構成する材料の例には、低デュロメータを備えた熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリイソプレン、ニトリル、ポリシロキサンが含まれる。外層1802を構成する材料の例には、ポリウレタン、熱可塑性ウレタンエラストマー、及びポリエステルアミドエラストマー、コポリエーテルエステルエラストマー等の穿刺に耐性のある材料が含まれる。アーム1810は、第1の端部1810pの中間部分で曲げられた単一のワイヤから形成され得る。
【0047】
本発明の別の例示的な実施形態によるクリップ装置400が、図19図21に示されている。この実施形態において、クリップ装置400は、クリップアーム406と、摺動可能なシース414と、停止部材416とを含む。クリップアーム406は、他の実施形態と同様に、ワイヤとして形成することが可能である。この実施形態において、クリップアーム406は、停止部材416に結合された第1の端部410と対向する第2の端部412との間に延びる。この実施形態において、クリップアーム406のそれぞれは、図20に示されるように(即ち、外力がクリップアーム406に加えられていない場合に、クリップアームが開いた状態、例えば、組織受入態様に向かって外側に移行するように)、ばね部420においてクリップ装置400の長手軸から半径方向外向きに離れるように曲げられて、クリップアーム406が開いた態様に付勢される。シース414は、この実施形態において、概ね円筒形であり、ルーメン418を含む。該ルーメン418は、クリップ装置400の停止部材416に最も近い第1の端部からクリップ装置400のクリップ端403に最も近い第2の端部までシース414を通って延びる。シース414は、例えば、ステンレス鋼又は同様の金属、ポリカーボネート、デルリン(登録商標)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等のポリマー等の任意の適切な材料で形成し得る。ルーメン418は、クリップアーム406を摺動可能に受け入れるような寸法及び形状とされる。停止部材416は、停止部材416に最も近い摺動可能なシース414の側に配置されるとともに、摺動可能なシース414のストッパとして、同じくシース414がクリップアーム406に沿って長手方向に移動する際における把持ツール10の最初の把持点として、その両方で機能する。このように、シース414は、停止部材416からクリップアーム406の第2の端部412まで、クリップアーム406に沿って摺動可能である。クリップアーム406の大きさは、それらの閉じた態様にある場合に、当該クリップアーム406の組み合わされた幅(即ち、クリップ装置400の長手軸に直角な寸法)がシース414の内径よりも大きくなるように構成される。加えて、クリップアーム406とシース414との間の摩擦は、シース414がクリップアーム406に対して相対的に長手方向に摺動することを防ぐ。図において、停止部材416は概ね球形であることが示されているが、当業者は、停止部材416が把持部材によって保持され得る限り、任意の形状を有し得ることを理解するであろう。
【0048】
使用中、クリップ装置400は、クリップアーム406が閉じた態様になるようにクリップアーム406の第2の端部412に隣接して配置されたシース414とともに挿入態様で体内に挿入される。クリップ装置400が組織に隣接する標的部位に配置されると、停止部材416は第1の把持ツール10によって保持される一方、シース414は第2の把持ツール10によって保持される。停止部材416を保持することにより、シース414をクリップアーム406の第1の端部410に向かって動かすために必要な梃子の力が提供され、クリップアーム406は、図19に示される付勢された開いた態様に拡がることを可能にする。次に、クリップアーム406の第2の端部412は、開いた態様で標的組織のいずれかの側に配置される。第2の端部412が標的組織上の所望の位置にある状態で、第2の把持ツール10を再び使用して、シース414をクリップアームの第2の端部412に向かって動かし、図21に示すように、クリップアーム406を互いに向かって動かして第2の端部412を標的組織上に閉じる。
【0049】
本発明の別の例示的な実施形態によるクリップ装置500が図22図25に示されている。クリップ装置500は、複数のクリップアーム506の支点として機能する摺動ボールアクチュエータを使用する。この実施形態において、クリップアーム506は、クリップ装置500の中心長手軸の周りに半径方向に配置され、クリップ装置500の概ね円筒形のクリップ部504を形成する。クリップアーム506は、図24図25に示すように、その第2の端部512(即ち、クリップ装置500のクリップ端503に最も近い端部)に歯511を備えて形成されている。歯511は、クリップ装置500がその中の組織を捕捉することを可能にする。クリップアーム506のそれぞれは、把持部526を含み、該把持部526は、クリップ装置500の結合端501に最も近い第1の端部510から第1の湾曲した停止部分524まで延びる。把持部526は、把持ツール10によって挟まれてクリップアーム506を作動させるように構成されている。クリップアーム506のそれぞれはまた、揺動部528を含み、該揺動部528は、第1の湾曲した停止部分524から第2の湾曲した停止部分530まで延びる。揺動部528は、その中に保持された摺動ボールアクチュエータ532の周りを移動するように構成される。把持部526及び揺動部528は、各クリップアーム506の第1の湾曲した停止部分524によって分離されている。第1の湾曲した停止部分524及び第2の湾曲した停止部分530は、摺動ボールアクチュエータ532が揺動部528から移動するのを防ぐ。クリップアーム506は、クリップアーム506の外面に被さって配置されたオーバーチューブ520によって閉位置に向かってばね付勢されている。即ち、エラストマーのオーバーチューブ520は、結合端501に最も近い揺動部528の第1の端部(即ち、第1の湾曲した停止部分524)における摺動ボールアクチュエータ532を用いて、閉位置に向けてクリップアーム506を付勢するために必要な力を提供する。歯511及び第2の端部512は、図22図25に関して説明されているが、これらの機構は、概ね同様の方法で他の実施形態に加えて、又は他の実施形態と相互置換可能に使用され得ることが理解される。
【0050】
上記のように、閉じた態様にある場合には、摺動ボールアクチュエータ532は、図22に示されるように、揺動部528の第1の端部に位置し、エラストマーのオーバーチューブ520は、クリップアーム506の第2の端部512を、互いに向かって閉じた、例えば、組織把持態様に配置する。使用中、クリップアーム506は、把持ツール10でクリップアーム506の把持部526を挟むことによって、開いた、例えば、組織受入態様に移動される。この実施形態において、エラストマーのオーバーチューブ520は円筒形であるとともに複数のクリップアームが円筒形のレイアウトに配置されているため、弾性のオーバーチューブは、任意の角度で把持できる表面を提供する。従って、把持ツール10が把持部526を挟むと、摺動ボールアクチュエータ532は、揺動部528がその周りを移動する支点として機能し、図23に示すように、エラストマーのオーバーチューブ520をより大きな直径に伸ばす。クリップ装置500の継続的な挟み込みは、摺動ボールアクチュエータ532を第2の湾曲した停止部分530に向かって駆動し、クリップアーム506をさらに開き、エラストマーのオーバーチューブ520をさらに伸ばす。クリップアーム506の第2の端部512が必要に応じて標的組織の周りに配置されると、把持ツール10からの挟み力が解放され、エラストマーのオーバーチューブ520がクリップアーム506を強制的に閉じ、摺動ボールアクチュエータ532を第1の湾曲した停止部分524に向けて強制する。エラストマーのオーバーチューブ520が閉じることにより、歯内に捕捉された組織を保持することを可能にし、テザートラクションクリップ装置の反対側の端部に取り付けられた第2のクリップ装置500の配置によって組織を牽引して引っ張ることを可能にする。
【0051】
ESD及び/又はEMR処置等の低侵襲処置で離れた場所にあるツール(即ち、本明細書に記載のクリップ装置100、200、300、400、500、及び他のもの)に到達して把持する場合、1つの課題は、把持ツールでクリップ装置の把持点にコンタクトすることであり得る。例示的な実施形態において、図26は、複数の磁石を備えたテザートラクションクリップシステムを示しており、該磁石は、クリップ装置100,200,300,400,500,1100,1200,1300,1800、及び本明細書に記載の他のもの等の、把持子とクリップ上の把持点との間のより単純でより速い相互作用を提供するために使用され得る。図26は、把持ツール10と、テザー20によって一緒に結合されたクリップ装置600とを示している。この実施形態において、クリップ装置600のそれぞれは、その把持点604上に配置された同じ極性の第1の磁石602を含む。逆の極性の第2の磁石606が、把持ツール10の把持部608上に配置されている。従って、把持ツール10がクリップ装置600のうちの1つのほぼ近傍に近づけられると、クリップ装置600と把持ツール10の磁石602、606は、それぞれ、クリップ装置600と把持ツール10とを好ましい態様で互いに引き合う。この実施形態のクリップ装置600は単なる例示であり、クリップ装置100、200、300、400、500、1100、1200、1300、又は1800のいずれかの形態をとり得ることに留意されたい。例えば、第1の磁石602は、クリップ装置100の近位把持部102、クリップ装置200の近位把持部202、クリップ装置300の第1のチャンバ、停止部材414及び/又はクリップ装置400のシース416、又はクリップ装置500の把持部526に配置され得る。様々な実施形態において、磁石は、円錐形の把持要素、第1の部材、及び/又は第2の部材の内部及び/又はその表面に埋め込まれ得る。
【0052】
本発明による内視鏡的粘膜下層剥離術のためのクリップ装置の実施形態を使用するための例示的な方法が、図27図29に示されている。簡略化するために、図27図29は、図11A図11Dのクリップ装置1100を示している。しかしながら、本明細書に記載されている、又は本発明の範囲内にあるクリップ装置の実施形態のいずれかは、概ね同様の方法で使用できることが理解されよう。体内に挿入する前に、2つのクリップ装置1100が、細長いエラストマーテザー20のいずれかの端部に結合されて、テザートラクションクリップシステム150を形成する。次に、クリップ装置1100及びテザー20は、任意の既知の送達装置を使用して内視鏡30(又は任意の他の挿入装置)の作業チャネルを通して身体に(例えば、自然の体腔を介して)挿入され、切除される組織の標的部分又は病変40に隣接する部位に挿入される。クリップ装置1100及びテザー20は、クリップ装置100の近位の作業チャネル内に同じく配置されている把持ツール10によって、内視鏡作業チャネルから延出され又は押し出される。作業チャネルから延出されると、クリップ装置1100及びテザー20は、標的の体管腔内の隣接する組織にもたれかかる。当業者によって理解されるように、病変40(即ち、標的組織)は、それに対しよりアクセスしやすくするために事前にマークされ、操作され得る(例えば、病変を露出させるとともに、組織のひだの奥深くに位置しないように、組織を引っ張ったり押したりして組織のひだを変更し得る)。標的組織はまた、病変40を下にある筋肉層から持ち上げるために増量剤を注射され得る。
【0053】
次いで、把持ツール10を使用して、クリップ装置、例えば、クリップ装置1100の部材1102、1104を把持し、クリップ装置1100を開く。把持ツール10の顎の長手方向の長さは、好ましくは、把持ツール10が、クリップ装置1100が隣接し得る(例えば、寄りかかっている)組織を不用意に把持しないように、クリップ装置1100の部材1102、1104の直径よりも小さくなるように選択され得ることに留意されたい。次いで、開いた態様の第1のクリップ装置1100は、病変40(又は隣接する組織)の第1の標的部分が把持子1130の分離されたアームの間に位置するように配置される。次いで、把持ツール10は、第1のクリップ装置1100の1つ以上の部材1102、1104を解放し、部材1102、1104に取り付けられたばね1128が、装置1100の自然な付勢力によって互いに向かって引き寄せることを可能にするとともに、カム部材1118もまた、アーム1110間のばね空間1114内に移動して装置1100を閉じ、よって、組織の第1の標的部分が、把持子1130の閉じたアームによって把持され、クリップされる。クリップ装置1100が組織の第1の標的部分にクリップされた場合、次いで別のクリップ装置1100が、組織60の近くの第2の標的部分に取り付けられる。テザー20は、2つのクリップ装置1100の間に張力を加え、その結果、組織60の第1及び第2の標的部分、この例では、病変40及び組織60の第2の標的部分に張力を加える。2つのクリップ装置100が所定の位置にある状態で、把持ツール10が内視鏡30から取り外され、切除装置70が内視鏡30の作業チャネルを通して挿入される。次いで、使用者は、既知の方法で切除装置70を操作して、病変40に最初の切開を行い、病変の一部(病変フラップ50)が、クリップ装置1100とテザー20とによって加えられる張力により、下方の筋肉から浮揚することを可能にする。これにより、医師は、図29に示すように、病変の切断面等の切除をより明確に観察できる。病変の表面積がより多く切除されるに連れて、クリップ装置1100及びテザー20によって提供される張力は、減少し得る。この時点で、切除装置70を作業チャネルから取り外し、把持ツール10を再挿入され得る。次いで、把持ツール10を使用して、組織60の異なる部分で組織60と係合するように最初に配置されたクリップ装置1100を再配置し、もって、所望のレベルの張力が再び病変フラップ50に提供され得る。周囲の組織から解放された所望の組織を切除するプロセスは、繰り返される。これは、病変40全体が下部にある組織から切除されるまで繰り返される。この時点で、追加的な装置1100は、把持ツール10によって組織60から取り外され、テザートラクションクリップシステム150は、クリップ装置1100によって把持された病変組織とともに、患者の体から除去される。
【0054】
様々な実施形態において、装置のアームは複数の形状であり得る。そのような形状には、1つ以上のベンド、ジョグ、又はカーブが含まれ得る。アームは、連続的及び/又は互いの延長であり得る。アームは、組織若しくは把持子と係合するように構成された凹部、隆起部、摩擦面、又は追加的な材料を含み得る。装置は、1つ以上のワイヤで構成され得る任意の数、例えば、1個、2個、3個、4個、6個、10個、20個等のアームを有し得る。1つ以上の把持子が、アームの端部に一体であるか、取り外し可能に係合するか、又は取り付けられ得る。
【0055】
様々な実施形態において、装置のチャネルは、複数の形状であり得る。チャネルは、アームの形状若しくは曲線と概ね一致し得るか、又はチャネルは、アームの少なくとも一部の周りに占有されていない空間を有する1つ以上のアームを受け入れるように形状され得る。本発明全体の様々なチャネルは先細になっているが、チャネルは、1つ以上のアームを操作可能な全体にわたって概ね均一な直径を有し得る。
【0056】
様々な実施形態において、第1及び第2の部材の形状は異なり得る。例えば、各部材は、1つ以上の部材が1つ以上のアームと係合するべく変位するように、工具によって係合されるように構成される、1つ以上の角度を含み得る。各部材は、互いに関して対称又は非対称であり得る。例えば、各部材は、各錐台の頂点が他の錐台の方を向くように概ね錐台形状であり得、それらが互いに概ね接触したときに砂時計形状を形成する。各部材は、近位及び/又は遠位部材が変位する一方、他方の部材が固定されているか又は変位するように構成され得る。
【0057】
様々な実施形態において、把持子を操作するために、装置の1つ以上のアームを使用し得る。アームは、把持子を受け取ったり、かみ合わせたりするために開閉し得る。アームの第2の端部の動きは、(例えば、図11Bに示されているように)把持子の顎の第2の端部で反対の動きを生み出し得る。装置のアームは、把持子の顎を開くために、又はその逆のために、閉じるように配置し得る。
【0058】
様々な実施形態において、本明細書に記載の装置を使用する他の方法は、組織クリップ装置を患者に挿入することを含み得る。クリップ装置の部材は、クリップ装置の長手軸に対して傾斜する複数の角度から別の医療装置によって係合され得る。クリップ装置の部材は、装置の1つ以上のアームと係合して操作して開いた態様にするように、他の部材から離れて変位させ得る。装置は、アームが組織を受け入れるように操作し得る。部材は、当該部材が1つ以上のアームから外れ、アームが開いた態様から閉じた態様に移行するべく、他の部材と概ね接触するように変位させ得る。装置は組織に固定され得る。装置は、当該装置が組織と係合している間に動くことができ、その結果、装置と組織は、患者からの除去(例えば、切除)のために一緒に動く。
【0059】
様々な実施形態において、装置のアームは、単一のワイヤからなり得るか、又は複数の別個のワイヤであり得る。1つ以上のワイヤは、部材に取り付けられ得るとともに、別の部材を通って延び得る。1つ以上のワイヤのばね部は、アームを互いに向かって又は互いに遠ざけるように付勢し得る。
【0060】
本発明の概念から逸脱することなく上記実施形態を変更できることは、当業者であれば理解できる。さらに、実施形態の1つに関連する構造的な特徴及び方法は、他の実施形態に組み込むことができることも理解できる。従って、本発明は、説明した特定の実施形態に限定されず、変更形態も添付の請求項によって定義される本発明の範囲内に含まれることが理解できる。本明細書に開示及び特許請求されるすべての装置及び/又は方法は、本発明に照らして、過度の実験なしに作成及び実行することが可能である。本発明の装置及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されてきたが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、変形例を装置及び/又は方法に、並びに本明細書に記載した方法のステップ又はステップのシーケンスに適用可能であることは当業者には明らかであり得る。当業者に明らかなそのようなすべての同様の代替物及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示の精神、範囲及び概念の範囲内であるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織クリップ装置であって、
一対のアームであって、各アームは第1の端部から第2の端部まで延び、前記第2の端部が互いに離れる開いた態様と、その間にある組織をクリップするように互いに隣接する閉じた態様との間で移行可能である、一対のアームと、
前記一対のアームに対して結合された第1の部材及び第2の部材であって、前記一対のアームを前記開いた態様と前記閉じた態様との間で移行させるように、互いに対して移動可能である第1の部材及び第2の部材と、を備え、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、把持ツールの把持シリンダに対する向きに関係なく、前記把持ツールによって把持可能な前記把持シリンダを形成するように構成され、
前記把持ツールが前記把持シリンダに半径方向内向きの力を加えることで、前記把持シリンダが前記一対のアームの態様を移行させる、組織クリップ装置。
【請求項2】
前記第1の部材及び前記第2の部材は一緒になって、砂時計形状の把持シリンダを形成する、請求項1に記載の組織クリップ装置。
【請求項3】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、それぞれ円錐形であり、互いに向かって先細になっている、請求項1に記載の組織クリップ装置。
【請求項4】
前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、前記半径方向内向きの力が加えられることに応答して、前記第1の部材及び前記第2の部材を互いに対して変位させるように構成された傾斜面を含む、請求項1に記載の組織クリップ装置。
【請求項5】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、前記第1の部材及び前記第2の部材の間に前記半径方向内向きの力が加えられると、互いに対して移動するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【請求項6】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、前記把持シリンダに前記半径方向内向きの力が加えられると、互いに対して離れるように移動する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【請求項7】
前記一対のアームを前記開いた態様と前記閉じた態様との間で移行させるように前記第1の部材及び前記第2の部材と係合・係合解除するように移動可能なカム面をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【請求項8】
前記カム面は、前記第1の部材及び前記第2の部材のそれぞれに設けられた傾斜面を含む、請求項7に記載の組織クリップ装置。
【請求項9】
第1のアーム及び第2のアームは、前記閉じた態様に付勢されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【請求項10】
第1のアーム及び第2のアームは、前記開いた態様に付勢されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の組織クリップ装置。
【請求項11】
組織クリップ装置であって、
互いに対して移動可能である第1の部材及び第2の部材を備える把持部と、
第1のアーム及び第2のアームを備えるクリップ部であって、各アームは第1の端部から第2の端部まで延び、前記アームは、前記アームの前記第2の端部が互いに離れる開いた態様と、前記アームの前記第2の端部がその間にある組織をクリップするように互いに隣接する閉じた態様との間で移行可能である、クリップ部と、を備え、
前記把持部は前記クリップ部に対して取り付けられ、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、前記クリップ装置に対して任意の角度で、前記第1の部材及び前記第2の部材に半径方向内向きの力が加えられることに応答して、互いに対して変位可能であるように構成される、組織クリップ装置。
【請求項12】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、それぞれ協働する面を有し、前記協働する面に前記半径方向内向きの力が加えられることに応答して、互いに対して変位可能である、請求項11に記載の組織クリップ装置。
【請求項13】
前記把持部は、前記クリップ部の前記第1のアーム及び前記第2のアームの前記第1の端部に対して取り付けられ、
前記第1の部材及び前記第2の部材の前記協働する面は、前記半径方向内向きの力が加えられることに応答して、前記第1の部材及び前記第2の部材を互いに対して変位させるように構成された傾斜面を含む、請求項12に記載の組織クリップ装置。
【請求項14】
組織クリップ装置であって、
互いに対して移動可能である第1の部材及び第2の部材を備える把持部と、
第1のアーム及び第2のアームを備えるクリップ部であって、各アームは第1の端部から第2の端部まで延び、前記アームは、前記アームの前記第2の端部が互いに離れる開いた態様と、前記アームの前記第2の端部がその間にある組織をクリップするように互いに隣接する閉じた態様との間で移行可能である、クリップ部と、を備え、
前記把持部は前記クリップ部に対して取り付けられ、
前記把持部は、前記クリップ装置に対して任意の角度で把持されるように構成され、前記第1の部材及び前記第2の部材を互いに隣接する位置から互いに離れる位置に移動させて、前記アームを前記開いた態様と前記閉じた態様との間で移行させる、組織クリップ装置。
【請求項15】
前記把持部は、前記クリップ部の前記第1のアーム及び前記第2のアームの前記第1の端部に対して取り付けられ、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、第1の位置において互いに隣接する端部をそれぞれ有し、前記端部は、前記把持部に半径方向内向きの力が加えられると、互いに対して離れる位置に移動する、請求項14に記載の組織クリップ装置。