(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029546
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム、物品
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20230224BHJP
C08G 18/22 20060101ALI20230224BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20230224BHJP
【FI】
C08G18/00 J
C08G18/00 H
C08G18/22
C08G101:00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001927
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2019085777の分割
【原出願日】2019-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東海 真平
(72)【発明者】
【氏名】山本 直諒
(72)【発明者】
【氏名】矢野 忠史
(57)【要約】
【課題】吸音性を有し、軽量で品質が良好であり、家具類、建材類、車両用内装材などに好適なポリウレタンフォームの提供を目的とする。
【解決手段】ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料から得られるポリウレタンフォームにおいて、ポリウレタンフォーム原料に炭酸水素ナトリウムと有機固体酸を含み、発泡剤である水がポリオール100重量部に対して10重量部以上であり、イソシアネートインデックスが100以上であり、触媒には金属触媒を前記ポリオール100重量部に対して0.4~0.8重量部含む構成とし、吸音性を有し、軽量で品質が良好なポリウレタンフォームを得た。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料から得られたポリウレタンフォームにおいて、
前記ポリウレタンフォーム原料に炭酸水素ナトリウムと有機固体酸を含み、
前記発泡剤である水が前記ポリオール100重量部に対して10重量部以上であり、
イソシアネートインデックスが100以上であり、
前記触媒には金属触媒を前記ポリオール100重量部に対して0.4~0.8重量部含むことを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記炭酸水素ナトリウムは、前記ポリオール100重量部に対して5~50重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記有機固体酸の量は、前記炭酸水素ナトリウムの量の1/30~1/60であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
前記有機固体酸が、クエン酸及び/又はリンゴ酸であることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料を混合反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、
前記ポリウレタンフォーム原料に炭酸水素ナトリウムと有機固体酸を含み、
前記発泡剤である水が前記ポリオール100重量部に対して10重量部以上であり、
イソシアネートインデックスが100以上であり、
前記触媒には金属触媒を前記ポリオール100重量部に対して0.4~0.8重量部含むことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音性を有する軽量なポリウレタンフォームとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料から得られるポリウレタンフォームは、家具類、建材類、車両用内装材などに幅広く使用されている。
【0003】
吸音性を有する軽量なポリウレタンフォームとして、発泡剤に用いる水を多量(ポリオール100重量部当たり7~17重量部)に配合したポリウレタンフォームが知られている。(特許文献1、請求項7)。
【0004】
しかし、発泡剤として水を多量に配合したポリウレタンフォームは、発泡時の発熱温度が高くなるため、ポリウレタンフォームにスコーチ(焼け、焦げ)が発生して品質の低下を生じるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、吸音性を有し軽量で品質が良好なポリウレタンフォームとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料から得られたポリウレタンフォームにおいて、前記ポリウレタンフォーム原料に炭酸水素ナトリウムと有機固体酸を含み、前記発泡剤である水が前記ポリオール100重量部に対して10重量部以上であり、イソシアネートインデックスが100以上であり、前記触媒には金属触媒を前記ポリオール100重量部に対して0.4~0.8重量部含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記炭酸水素ナトリウムは、前記ポリオール100重量部に対して5~50重量部であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記有機固体酸の量は、前記炭酸水素ナトリウムの量の1/30~1/60であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記有機固体酸が、クエン酸及び/又はリンゴ酸であることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム原料を混合反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、前記ポリウレタンフォーム原料に炭酸水素ナトリウムと有機固体酸を含み、前記発泡剤である水が前記ポリオール100重量部に対して10重量部以上であり、イソシアネートインデックスが100以上であり、前記触媒には金属触媒を前記ポリオール100重量部に対して0.4~0.8重量部含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、発泡剤として水をポリオール100重量部に対して10重量部以上用いるため、ポリウレタンフォームの製造時に反応発熱温度が高くなる心配があるが、ポリウレタンフォーム原料に含まれる炭酸水素ナトリウムと有機固体酸が、ポリウレタンフォーム製造時の発熱で分解されて水を生成し、その水の蒸発潜熱(気化熱)によって温度上昇を抑えるため、ポリウレタンフォームの内部が高温に曝されることがなく、スコーチを生じ難く、軽量で、変色の少ない品質の良好なポリウレタンフォームが得られる。
【0013】
有機固体酸がクエン酸の場合、第1段階の吸熱反応は
図1に示す通りであり、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の反応によって、クエン酸三ナトリウムと水及び二酸化炭素が発生し、その際の吸熱により、ポリウレタンフォーム原料の反応による温度上昇を抑える。
【0014】
また、第1段階の吸熱反応で消費されなかった炭酸水素ナトリウムは、ポリウレタンフォーム原料のその後の反応進行による発熱で、
図1に示す第2段階の吸熱反応を行い、ポリウレタンフォーム原料の反応による温度上昇をさらに抑えることができる。第2段階の吸熱反応では、第1段階の吸熱反応で消費されなかった炭酸水素ナトリウムが、炭酸ナトリウムと水及び二酸化炭素に熱分解する。
【0015】
有機固体酸がリンゴ酸の場合における第1段階の吸熱反応及び第2段階の吸熱反応は、
図2に示すとおりである。
また、炭酸水素ナトリウムと有機固体酸(例えばクエン酸またはリンゴ酸)の反応分解物として水と二酸化炭素が発生し、発生した水は蒸発し、二酸化炭素もポリウレタンフォームから自然放出されるため、ポリウレタンフォームを軽くすることができる。
【0016】
また、触媒として金属触媒をポリオール100重量部に対して0.4~0.8重量部含むため、ポリウレタンフォームが低通気性になり、吸音性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】炭酸水素ナトリウムとクエン酸による吸熱反応を示す図である。
【
図2】炭酸水素ナトリウムとリンゴ酸による吸熱反応を示す図である。
【
図3】実施例及び比較例の配合と物性測定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、炭酸水素ナトリウム、有機固体酸を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させることにより製造される。
【0019】
ポリオールとしては、ポリウレタンフォーム用のポリオールを使用することができ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールの何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を使用してもよい。
【0020】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0021】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
【0022】
ポリオールについては、水酸基価(OHV)が20~300mgKOH/g、官能基数が2~6、重量平均分子量が500~15,000であるポリオールを単独または複数用いることが好ましい。
【0023】
イソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
【0024】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、100以上が好ましく、より好ましくは100~125である。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量÷活性水素当量×100]で計算される。
【0025】
発泡剤としては、水が好ましい。水はポリオールとイソシアネートの反応時に炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによって発泡を行う。発泡剤としての水の量は、ポリオール100重量部に対して10重量部以上であり、好ましい水の量は10~15重量部である。
【0026】
触媒としては、金属触媒が含まれ、アミン触媒と併用されるのが好ましい。金属触媒としては、例えば、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等が挙げられる。金属触媒の量は、ポリオール100重量部に対して0.4~0.8重量部であり、好ましくは0.4~0.6重量部である。金属触媒を前記範囲の量含むことにより、ポリウレタンフォームの通気性を低下させ、低周波領域から高周波領域までの全周波数領域の平均吸音率、具体的には1000~12500Hzの平均吸音率を高めることができる。アミン触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等を挙げることができる。アミン触媒の量は、ポリオール100重量部に対して0又は0.05~0.7重量部が好ましい。
【0027】
炭酸水素ナトリウムの量は、ポリオール100重量部に対して5~50重量部が好ましい。炭酸水素ナトリウムの量を、前記範囲とすることにより、吸熱反応を良好に行うことができ、ポリウレタンフォームの製造時の発熱温度上昇を抑えることができる。
【0028】
有機固体酸は、炭酸水素ナトリウムと併用することにより、ポリウレタンフォームの製造時に吸熱作用が大になり、ポリウレタンフォームの発熱温度上昇を、より効果的に抑えることができる。有機固体酸の量は、炭酸水素ナトリウムの量の1/30~1/60が好ましく、より好ましくは1/30~1/50である。
【0029】
有機固体酸としては、クエン酸、フマル酸、マロン酸、ステアリン酸、ピルビン酸、フタル酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、ヒドロキシ基を有する多塩基カルボン酸等が挙げられる。有機固体酸は、一種類に限られず、二種類以上を併用してもよい。特にクエン酸とリンゴ酸(ヒドロキシ酸)は、本発明において、より好ましい有機固体酸であり、何れか一方又は両方が使用される。特にリンゴ酸は、本発明において好ましい有機固体酸である。なお、クエン酸は、水和物、無水物いずれも使用できる。
【0030】
ポリウレタンフォーム原料には、その他の助剤を加えてもよい。助剤として、例えば、整泡剤や着色剤等を上げることができる。整泡剤としては、ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。着色剤としては、カーボン顔料等、ポリウレタンフォームの用途等に応じたものを使用できる。
【0031】
本発明のポリウレタンフォームは、密度(JIS K7220)が10~15kg/m3であるのが好ましい。前記範囲からなる低密度とすることにより、ポリウレタンフォームを軽量にすることができ、さらに2500~12500Hzの平均吸音率を高めることができる。
また、本発明のポリウレタンフォームは、通気性(JIS K6400-7:2012)が0.1~10cc/cm2/sであるのが好ましく、より好ましくは0.2~5cc/cm2/sである。前記範囲からなる低通気とすることにより、ポリウレタンフォームの低周波領域から高周波領域までの全周波数領域の平均吸音率、具体的には1000~12500Hzの平均吸音率を高めることができる。
【0032】
ポリウレタンフォームの製造における発泡方法は、金型内に注型するモールド成形発泡法や、スラブストック発泡法が採用でき、中でもスラブストック発泡法が大量生産するのに好ましい。スラブストック発泡法は、2液のポリウレタンフォーム原料を攪拌機で混合させて、ベルトコンベア上に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法である。ポリウレタン原料組成物は、ワンショット法やプレポリマー法などを採用できる。
【実施例0033】
以下の成分を
図3に示す配合で混合し、反応・発泡させて各比較例及び各実施例のポリウレタンフォームを作製した。各成分の添加量の単位は重量部である。
・ポリオール;ポリエーテルポリオール、分子量:3000、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/mg、品番:GP-3050、三洋化成工業社製
・発泡剤-1;水
・発泡剤-2;液化炭酸ガス(CO
2)
・アミン触媒;N-エチルモルホリン、品番:NEM、ハンツマン社製
・金属触媒;オクチル酸第一錫、品番:MRH110、城北化学工業社製
・整泡剤;シリコーン系整泡剤、品番:B8110、エボニック社製
・炭酸水素ナトリウム
・リンゴ酸
・イソシアネート;2,4-TDI/2,6-TDI=80/20、品番:コロネートT-80、日本ポリウレタン工業社製
【0034】
各比較例及び各実施例について、発熱温度(最高発熱温度)、密度(JIS K7220)、硬さ(JIS K6400-2)、通気性(JIS K6400-7:2012)、垂直入射吸音率(JIS A1405-2:2007)を測定した。
【0035】
発熱温度の測定方法は次の通りである。予め蓋のない100cm×100cm×60cmの木箱を用意し、この木箱の中央に熱電対がくるようにセットした。そして、各比較例及び各実施例におけるポリオール配合成分とイソシアネート成分の2液を別々に用意し、上記2液をプロペラミキサーで混合撹拌後、反応混合液を上記木箱に注型して、ポリウレタンフォームを常温・大気圧下で自然発泡させ、発熱温度を熱電対で測定した。発熱温度の測定結果について評価し、発熱温度が150℃未満の場合「◎」、150℃以上160℃未満の場合「〇」、160℃以上の場合に「×」とした。
【0036】
密度の測定結果について評価し、密度が12kg/m3未満の場合「◎」、12kg/m3以上15kg/m3未満の場合「〇」、15kg/m3以上の場合「×」とした。
【0037】
垂直入射吸音率の測定は、測定サンプルの厚みを10mmとし、1/3オクターブバンドの中心周波数1000~12500Hzの範囲で行った。また、1000~12500Hz、2000~12500Hz、2500~12500Hzの各範囲について平均値を求め、吸音性の評価を行った。吸音性の評価は、前記垂直入射吸音率の測定値における各範囲の平均値が全て0.6以上の場合「〇」、一つの範囲でも0.6未満が存在する場合「×」とした。
【0038】
また、発熱温度評価、密度評価、吸音性評価に基づいて総合評価を行った。全ての評価が「〇」以上の場合は総合評価「〇」、一つでも「×」が存在する場合は総合評価「×」とした。
なお、各測定結果、各評価、総合評価の結果は、
図3に示す。
【0039】
比較例1は、ポリオール100重量部、発泡剤-1(水)5重量部、発泡剤-2(CO2)4重量部、アミン触媒0.2重量部、金属触媒0.3重量部、整泡剤1重量部、イソシアネート60重量部、イソシアネートインデックス105であり、炭酸水素ナトリウムとリンゴ酸の何れも添加しない例である。
【0040】
比較例1は、発熱温度154℃、発熱温度評価「〇」、密度14.2kg/m3、密度評価「〇」、硬さ60N、通気23cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.49、2000~12500Hzの平均0.63、2500~12500Hzの平均0.69、吸音性評価「×」であり、総合評価「×」であった。比較例1は、発泡剤-1(水)の量が10重量部未満かつ金属触媒0.4重量部未満のために通気性が高くなって、垂直入射吸音率における1000~12500Hzの範囲で数値が低くなり、吸音性が悪かった。
【0041】
比較例2は、発泡剤-1(水)5.6重量部、発泡剤-2(CO2)0重量部、イソシアネート66.1重量部とし、他を比較例1と同様にした例である。
【0042】
比較例2は、発熱温度159℃、発熱温度評価「〇」、密度21.0kg/m3、密度評価「×」、硬さ98N、通気90cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.41、2000~12500Hzの平均0.51、2500~12500Hzの平均0.56、吸音性評価「×」であり、総合評価「×」であった。比較例2は、比較例1と比べ、発泡剤-2(CO2)を含まず、密度と硬さ及び通気性が大になり、垂直入射吸音率における各範囲の何れにおいても0.6未満になり、吸音性が悪かった。
【0043】
比較例3は、金属触媒を0.45重量部とし、他を比較例2と同様にした例である。
【0044】
比較例3は、発熱温度162℃、発熱温度評価「×」、密度20.5kg/m3、密度評価「×」、硬さ90N、通気18cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.64、2000~12500Hzの平均0.80、2500~12500Hzの平均0.85、吸音性評価「〇」であり、総合評価「×」であった。比較例3は、比較例2と比べ、金属触媒の量を増やしたため、発熱温度については高くなったが、通気性が低くなって、垂直入射吸音率における各範囲の何れにおいても0.6以上になり、吸音性が良好になった。
【0045】
比較例4は、炭酸水素ナトリウムを10重量部含有し、他を比較例2と同様にした例である。
【0046】
比較例4は、発熱温度149℃、発熱温度評価「◎」、密度19.9kg/m3、密度評価「×」、硬さ85N、通気21cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.53、2000~12500Hzの平均0.66、2500~12500Hzの平均0.71、吸音性評価「×」であり、総合評価「×」であった。比較例4は、比較例2と比べ、発泡剤-1(水)の量が10重量部未満のために、密度については同程度の値で重く、炭酸水素ナトリウムを含むことによって発熱温度が低くなるが通気性は高くなって、垂直入射吸音率における1000~12500Hzの範囲で数値が低くなり、吸音性が劣る。
【0047】
実施例1は、ポリオール100重量部、発泡剤-1(水)10重量部、アミン触媒0.2重量部、金属触媒0.4重量部、整泡剤1重量部、炭酸水素ナトリウム10重量部、リンゴ酸0.7重量部、イソシアネート131.2重量部、イソシアネートインデックス105である。実施例1は、比較例2及び比較例4と比べ、発泡剤-1(水)の量を10重量部に、金属触媒を0.4重量部に増加させ、炭酸水素ナトリウムとリンゴ酸の両方を含み、かつイソシアネートインデックスが比較例2及び4と等しい105となるようにイソシアネートの量を調整した例である。
【0048】
実施例1は、発熱温度158℃、発熱温度評価「〇」、密度12.8kg/m3、密度評価「〇」、硬さ85N、通気1.8cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.66、2000~12500Hzの平均0.82、2500~12500Hzの平均0.88、吸音性評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0049】
実施例1は、比較例2及び4と比べ、発泡剤-1(水)の量を10重量部に、金属触媒を0.4重量部に増加させたことにより、そのままでは発熱温度が高くなるはずが、炭酸水素ナトリウムとリンゴ酸の両方を含むことにより、発熱温度が低くなった。また、実施例1は、発泡剤-1(水)の量を10重量部に、金属触媒を0.4重量部に増加させたことにより、密度が低くなると共に、通気性が低くなって、垂直入射吸音率における各範囲の何れにおいても0.6以上になり、吸音性が良好になった。
【0050】
実施例2は、発泡剤-1(水)を12重量部、炭酸水素ナトリウムを30重量部、リンゴ酸を0.8重量部にそれぞれ増加させ、他を実施例1と同様にした例である。実施例2は、発熱温度141℃、発熱温度評価「◎」、密度10.9kg/m3、密度評価「◎」、硬さ74N、通気1.5cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.67、2000~12500Hzの平均0.83、2500~12500Hzの平均0.89、吸音性評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0051】
実施例2は、実施例1と比べ、発泡剤-1(水)の量を12重量部に増加させたことにより、そのままでは発熱温度が高くなるはずが、炭酸水素ナトリウムの量とリンゴ酸の量の両方を増加させたことにより、発熱温度が低くなった。また、実施例2は、発泡剤-1(水)の量を増加させたことにより、実施例1よりも密度が低くなると共に、通気性が低くなって、垂直入射吸音率における各範囲の何れにおいても高くなり、吸音性がさらに良好になった。
【0052】
実施例3は、金属触媒の量を0.5重量部に増加させ、他を実施例2と同様にした例である。
【0053】
実施例3は、発熱温度145℃、発熱温度評価「◎」、密度10.5kg/m3、密度評価「◎」、硬さ78N、通気0.2cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.69、2000~12500Hzの平均0.86、2500~12500Hzの平均0.91、吸音性評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0054】
実施例3は、実施例2と比べ、金属触媒を0.5重量部に増加させたことにより、通気性が低下し、垂直入射吸音率における各範囲の何れにおいても実施例2より高くなり、吸音性がさらに良好になった。
【0055】
実施例4は、炭酸水素ナトリウムの量を35重量部に増加させ、他を実施例2と同様にした例である。
【0056】
実施例4は、発熱温度137℃、発熱温度評価「◎」、密度10.4kg/m3、密度評価「◎」、硬さ76N、通気1.0cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.66、2000~12500Hzの平均0.83、2500~12500Hzの平均0.89、吸音性評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0057】
実施例4は、炭酸水素ナトリウムの量を、実施例2よりも5重量部増加させたことにより、発熱温度が僅かに低下した。垂直入射吸音率については、各範囲の何れにおいても実施例2と同等の結果が得られ、吸音性が良好であった。
【0058】
実施例5は、炭酸水素ナトリウムの量を45重量部に増加させ、他を実施例2及び4と同様にした例である。
【0059】
実施例5は、発熱温度129℃、発熱温度評価「◎」、密度10.9kg/m3、密度評価「◎」、硬さ71N、通気1.3cc/cm2/s、垂直入射吸音率1000~12500Hzの平均0.67、2000~12500Hzの平均0.84、2500~12500Hzの平均0.90、吸音性評価「〇」であり、総合評価「〇」であった。
【0060】
実施例5は、炭酸水素ナトリウムの量を、実施例2及び4よりも増加させたことにより、発熱温度がさらに低下した。垂直入射吸音率については、各範囲の何れにおいても実施例2及び4と同等の結果が得られ、吸音性が良好であった。
【0061】
このように、本発明のポリウレタンフォームは、良好な吸音性を有し、軽量で品質が良好であり、家具類、建材類、車両用内装材、吸音材などに好適である。