(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029570
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/035 20060101AFI20230224BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20230224BHJP
H01G 9/145 20060101ALI20230224BHJP
H01G 9/028 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
H01G9/035
H01G9/15
H01G9/145
H01G9/028 G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002424
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2021011196の分割
【原出願日】2014-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椿 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】青山 達治
(57)【要約】
【課題】高信頼性を有する電解コンデンサを提供する。
【解決手段】電解コンデンサは、誘電体層が形成された陽極体を備えたコンデンサ素子と、前記誘電体層の少なくとも一部の表面を覆う導電性高分子と、非水溶媒、グリセリン化合物およびイオン性溶質を含む電解液と、を備える。前記非水溶媒は、ラクトン類、グリコール類、環状カーボネート類、およびスルホン類からなる群より選択される少なくとも一種である。前記電解液中の前記グリセリン化合物の含有量は、5質量%以上50質量%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層が形成された陽極体を備えたコンデンサ素子と、
前記誘電体層の少なくとも一部の表面を覆う導電性高分子と、
非水溶媒、グリセリン化合物およびイオン性溶質を含む電解液と、を備え、
前記陽極体の表面には、凹凸が形成されており、
前記導電性高分子はポリスチレンスルホン酸を含み、
前記非水溶媒は、ラクトン類、グリコール類、環状カーボネート類、およびスルホン類からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記電解液中の前記グリセリン化合物の含有量は、5質量%以上50質量%以下であり、
前記電解液中に含まれる前記非水溶媒の質量は、前記グリセリン化合物の質量より多い、電解コンデンサ。
【請求項2】
前記電解液中に含まれる前記グリセリン化合物の質量は、前記コンデンサ素子に付着した導電性高分子の質量に対して2~100倍の範囲である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記イオン性溶質は、カチオン成分およびアニオン成分を含み、
前記カチオン成分は、マレイン酸、ボロジサリチル酸およびフタル酸からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記アニオン成分は、アミン化合物およびアミジン化合物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記グリセリン化合物はポリグリセリンを含み、
前記ポリグリセリンは、2~20個のグリセリン単位を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
電解液中の前記ポリグリセリンの含有量は、10質量%以上50質量%以下である、請求項4に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記グリセリン化合物はグリセリンを含む、請求項1~3の何れか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
電解液中の前記グリセリンの含有量は、10質量%以上50質量%以下である、請求項6に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記誘電体層の少なくとも一部の表面を覆う前記導電性高分子は、
前記導電性高分子を含む第1処理液を前記誘電体層が形成された前記陽極体に付与することによって形成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサに関し、より詳細には、高信頼性を有する電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のデジタル化に伴い、それに使用されるコンデンサにも、小型かつ大容量で、高周波領域における等価直列抵抗(ESR)の小さいものが求められるようになってきている。
【0003】
小型かつ大容量で、低ESRのコンデンサとしては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン等の導電性高分子を陰極材として用いた電解コンデンサが有望である。例えば、誘電体層を形成した陽極箔(陽極体)に、陰極材料として導電性高分子層を設けた電解コンデンサが提案されている。
【0004】
特許文献1には、セパレータを備えた素子に導電性高分子の分散体を含浸させて導電性固体層を形成し、ついで、電解液を含浸させて、導電性固体層と電解液とを備える電解コンデンサを製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、電子機器のみならず自動車電装機器にも電解コンデンサが使用されている。特に、自動車電装機器に使用される電解コンデンサは高温環境化で長期間使用されるため、従来よりもさらに長期にわたる高信頼性が電解コンデンサには要求される。そこで、本発明は、さらなる高信頼性を有する電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面は、誘電体層が形成された陽極体を備えたコンデンサ素子と、
前記誘電体層の少なくとも一部の表面を覆う導電性高分子と、
非水溶媒、グリセリン化合物およびイオン性溶質を含む電解液と、を備え、
前記非水溶媒は、ラクトン類、グリコール類、環状カーボネート類、およびスルホン類からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記電解液中の前記グリセリン化合物の含有量は、10質量%以上50質量%以下である、電解コンデンサに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高信頼性を有する電解コンデンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。
【
図2】
図1の電解コンデンサにおけるコンデンサ素子の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を適宜参照しながら、本発明の電解コンデンサの実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0011】
≪電解コンデンサ≫
図1は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。
図2は、同電解コンデンサが含むコンデンサ素子の一部を展開した概略図である。
【0012】
図1において、電解コンデンサは、誘電体層が形成された陽極体21を備えるコンデンサ素子10と、誘電体層の少なくとも一部の表面を覆う(または少なくとも一部の表面に付着した)導電性高分子(図示せず)と、電解液(図示せず)とを含む。そして、コンデンサ素子10は、誘電体層の少なくとも一部の表面が導電性高分子に覆われた状態で、電解液とともに、外装ケースに収容されている。外装ケースは、内部にコンデンサ素子10を収容する有底ケース11と、有底ケース11の開口を塞ぐ絶縁性の封止部材12と、封止部材12を覆う座板13とを備える。有底ケース11の開口端近傍は、内側に絞り加工されており、開口端は封止部材12に加締めるようにカール加工されている。
【0013】
例えば、
図2に示すようなコンデンサ素子10は、巻回体と呼ばれる。このコンデンサ素子10は、リードタブ15Aに接続された陽極体21と、リードタブ15Bに接続された陰極体22と、セパレータ23とを備える。陽極体21および陰極体22は、セパレータ23を介して巻回されている。コンデンサ素子10の最外周は、巻止めテープ24により固定される。なお、
図2は、コンデンサ素子10の最外周を止める前の、一部が展開された状態を示している。
【0014】
陽極体21は、表面が凹凸を有するように粗面化された金属箔を具備し、凹凸を有する金属箔上に誘電体層が形成されている。
電解コンデンサにおいて、導電性高分子は、陽極体21に形成された誘電体層の表面の少なくとも一部を覆うように付着しているが、この場合に限らず、陽極体21と陰極体22との間のどの位置に付着していてもよい。例えば、導電性高分子は、陽極体21上に形成された誘電体層の表面の少なくとも一部を被覆し、さらに、陰極体22の表面の少なくとも一部および/またはセパレータ23の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。なお、電解コンデンサにおいては、一般に、陽極体、陰極体およびセパレータなどの表面の少なくとも一部を覆う導電性高分子(具体的には、導電性高分子を含む被膜)を、導電性高分子層と称することがある。
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係る電解コンデンサの構成について、より詳細に説明する。
コンデンサ素子は、誘電体層が形成された陽極体を備えている。誘電体層の表面に付着した導電性高分子は、事実上の陰極材料として機能する。コンデンサ素子は、必要に応じて、さらに陰極体および/またはセパレータを含んでもよい。
【0016】
(コンデンサ素子)
(陽極体)
陽極体としては、例えば、表面が粗面化された金属箔が挙げられる。金属箔を構成する金属の種類は特に限定されないが、誘電体層の形成が容易である点から、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属、または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。
【0017】
金属箔表面の粗面化は、公知の方法により行うことができる。粗面化により、金属箔の表面に、複数の凹凸が形成される。粗面化は、例えば、金属箔をエッチング処理することにより行うことが好ましい。エッチング処理は、例えば、直流電解法または交流電解法などにより行ってもよい。
【0018】
(誘電体層)
誘電体層は、陽極体の表面(具体的には、粗面化された金属箔の表面)に形成される。
誘電体層の形成方法は特に限定されないが、金属箔を化成処理することにより形成することができる。化成処理は、例えば、金属箔をアジピン酸アンモニウム溶液などの化成液に浸漬することにより行ってもよい。化成処理では、必要に応じて、金属箔を化成液に浸漬した状態で、電圧を印加してもよい。
【0019】
通常は、量産性の観点から、大判の弁作用金属などで形成された金属箔に対して、粗面化処理および化成処理が行われる。その場合、処理後の箔を所望の大きさに裁断することによって、陽極体21が準備される。
【0020】
(陰極体)
陰極体22にも、陽極体と同様、金属箔を用いてもよい。金属の種類は特に限定されないが、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。必要に応じて、金属箔の表面を粗面化してもよい。
また、陰極体22の表面には、化成皮膜が設けられていてもよく、陰極体を構成する金属とは異なる金属(異種金属)や非金属の被膜が設けられていてもよい。異種金属や非金属としては、例えば、チタンのような金属やカーボンのような非金属などを挙げることができる。
【0021】
(セパレータ)
セパレータ23としては、例えば、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、アラミドなどの芳香族ポリアミド)の繊維を含む不織布などを用いてもよい。
【0022】
コンデンサ素子10は、公知の方法により作製することができる。例えば、コンデンサ素子10は、陽極体21と陰極体22とを、セパレータ23を介して重ね合わせることにより作製してもよい。陽極体21と陰極体22とを、セパレータ23を介して巻回することにより、
図2に示されるような巻回体を形成してもよい。このとき、リードタブ15A,15Bを巻き込みながら巻回することにより、
図2に示すように、リードタブ15A,15Bを巻回体から植立させてもよい。
【0023】
リードタブ15A,15Bの材料も特に限定されず、導電性材料であればよい。リードタブ15A、15Bは、その表面が化成処理されていてもよい。また、リードタブ15A、15Bの封止部材12と接触する部分や、リード線14A、14Bとの接続部分が、樹脂材料で覆われていてもよい。
リードタブ15A,15Bの各々に接続されるリード線14A,14Bの材料についても、特に限定されず、導電性材料などを用いてもよい。
【0024】
陽極体21、陰極体22およびセパレータ23のうち、巻回体の最外層に位置するもの(
図2では、陰極体22)の外側表面の端部は、巻止めテープ24で固定される。なお、陽極体21を大判の金属箔を裁断することによって準備した場合には、陽極体21の裁断面に誘電体層を設けるために、巻回体などの状態のコンデンサ素子に対し、さらに化成処理を行ってもよい。
【0025】
(導電性高分子)
導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェ
ンビニレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。
【0026】
なお、本明細書では、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどは、それぞれ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどを基本骨格とする高分子を意味する。したがって、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどには、それぞれの誘導体も含まれ得る。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
【0027】
導電性高分子は、ドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、ポリアニオンを用いることができる。ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸などのアニオンが挙げられる。なかでも、ポリスチレンスルホン酸由来のポリアニオンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらは単独モノマーの重合体であってもよく、2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
【0028】
ポリアニオンの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1,000~1,000,000である。このようなポリアニオンを含む導電性高分子は、液体溶媒中に均質に分散し易く、誘電体層の表面に均一に付着しやすい。
【0029】
導電性高分子は、陽極体21において、誘電体層の少なくとも一部の表面に、誘電体層を覆うように付着させればよいが、できるだけ多くの領域を覆うように付着させることが望ましい。コンデンサ素子が、陰極体および/またはセパレータを含む場合、導電性高分子は、誘電体層の表面の表面だけでなく、陰極体および/またはセパレータの表面に付着していてもよい。すなわち、導電性高分子は、セパレータおよび/または陰極体に接触していてもよい。
【0030】
導電性高分子は、誘電体層が形成された陽極体を備えるコンデンサ素子に導電性高分子を含む第1処理液を含浸させる工程(第1工程)、および、必要に応じて、第1工程の後、コンデンサ素子に第2処理液を含浸させる工程(第2工程)を経ることにより付着させることができる。第1工程、または第1および第2工程を経ることにより、誘電体層の表面に導電性高分子を付着させる。電解コンデンサの製造方法は、第1工程の後に、第1処理液に含まれる溶媒成分の少なくとも一部を除去する工程(第3工程)を含んでもよく、第2工程の後に、第1処理液および/または第2処理液に含まれる溶媒成分の少なくとも一部を除去する工程(第4工程)を含んでもよい。
【0031】
(i)コンデンサ素子(巻回体)10に第1処理液を含浸させる工程(第1工程)
コンデンサ素子10への第1処理液の含浸は、少なくとも陽極体(特に、少なくとも誘電体層)に第1処理液を付与できる限り特に制限されず、例えば、第1処理液にコンデンサ素子を浸漬させてもよく、コンデンサ素子に第1処理液を注液してもよい。含浸は、大気圧下で行ってもよいが、減圧下、例えば、10kPa~100kPa、好ましくは40kPa~100kPaの雰囲気下で行ってもよい。含浸は、必要に応じて、超音波振動下で行ってもよい。含浸時間は、コンデンサ素子10のサイズにもよるが、例えば1秒~5時間、好ましくは1分~30分である。この工程により、コンデンサ素子10に第1処理液が付与される。
【0032】
第1処理液は、導電性高分子および液体溶媒を含んでもよい。第1処理液は、導電性高分子が液体溶媒に溶解した溶液および導電性高分子が液体溶媒に分散した分散液のいずれであってもよい。分散液では、導電性高分子は、粒子の状態で液体溶媒中に分散している。分散液としては、液体溶媒中で、ドーパントの存在下、導電性高分子の原料(例えば、導電性高分子のモノマーおよび/またはオリゴマーなどの前駆体)を重合させ、ドーパントを含む導電性高分子の粒子を生成させることにより得られるものを用いてもよい。また、分散液として、液体溶媒中で、導電性高分子の原料を重合させ、導電性高分子の粒子を生成させることにより得られるもの、または、液体溶媒中に、予め合成した導電性高分子の粒子を分散させることで得られるものを用いてもよい。
【0033】
第1処理液の液体溶媒は、第1溶媒を含んでいてもよく、第1溶媒と第1溶媒以外の溶媒とを含んでいてもよい。第1処理液に含まれる液体溶媒は、種類の異なる複数の第1溶媒を含んでいてもよい。第1溶媒は、例えば、第1処理液の液体溶媒の30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上を占めていてもよい。
【0034】
第1溶媒は、特に限定されず、水でもよく、非水溶媒でもよい。なお、非水溶媒とは、水および水を含む液体を除く液体の総称であり、有機溶媒やイオン性液体が含まれる。なかでも、第1溶媒は、極性溶媒であることが好ましい。極性溶媒は、プロトン性溶媒であっても、非プロトン性溶媒であってもよい。
【0035】
プロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、1-プロパノール、ブタノール、ポリグリセリンなどのアルコール類、ホルムアルデヒドおよび水などが挙げられる。
【0036】
非プロトン性溶媒としては、例えば、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類や、酢酸メチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、γ-ブチロラクトン(γBL)などのケトン類、1,4-ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの硫黄含有化合物、炭酸プロピレンなどのカーボネート化合物などが挙げられる。
【0037】
なかでも、第1溶媒は、プロトン性溶媒であることが好ましい。特に、第1溶媒が、水であることが好ましい。この場合、第1処理液の取扱い性、導電性高分子の分散性が向上する。また、水は低粘度であることから、後工程である第2工程において、導電性高分子と第2処理液との接触性が向上することが期待できる。第1溶媒が水である場合、水は、第1処理液の液体溶媒の50質量%以上を占めることが好ましく、さらには70質量%以上、特には90質量%以上を占めることが好ましい。
【0038】
分散液中に分散している導電性高分子の粒子は、動的光散乱法による粒径測定装置により測定される体積粒度分布におけるメディアン径(以下、単に、動的光散乱法によるメディアン径と称す)が、0.01μm~0.5μmであることが好ましい。導電性高分子の粒子径は、重合条件や分散条件などにより調整することができる。
【0039】
第1処理液における導電性高分子(ドーパントもしくはポリアニオンを含む)の濃度は、0.5~10質量%であることが好ましい。このような濃度の第1処理液は、適度な量の導電性高分子を付着させるのに適するとともに、コンデンサ素子10に対して含浸されやすいため、生産性を向上させる上でも有利である。
【0040】
(ii)コンデンサ素子に第2処理液を含浸させる工程(第2工程)
第2工程では、第1処理液が付与されたコンデンサ素子に、第2処理液を含浸させる。第2工程は任意工程である。
【0041】
第2工程では、コンデンサ素子(特に、陽極体)に第1処理液の液体溶媒(第1溶媒など)の少なくとも一部が残存した状態で、第2処理液を含浸させることが好ましい。液体溶媒が残存した状態の陽極体を備えるコンデンサ素子は、第2処理液の浸透性が極めて高い。そのため、このような状態のコンデンサ素子に、第2処理液を付与すると、より内部にまで第2処理液を浸透させることができる。このような効果は、特に少なくとも水が残存した状態で行う場合に得られ易い。そのため、第1処理液には、少なくとも第1溶媒として水を含む液体溶媒を用いることが好ましい。第1溶媒として水を含む液体溶媒を用いる場合、第1処理液の安定性も高くなるため、このような観点からも有利である。
【0042】
第2工程に供されるコンデンサ素子において、液体溶媒の残存量は、5質量%以上(例えば、5~100質量%)であることが好ましく、20質量%以上(例えば、20~100質量%)または50質量%以上(例えば、50~100質量%)であることがより好ましい。液体溶媒の残存量がこのような範囲である場合、第2工程において第2処理液が導電性高分子とコンデンサ素子内で均一に混ざりやすくなるため、誘電体層の表面に導電性高分子をより均一に付着させ易くなる。
【0043】
なお、液体溶媒の残存量とは、第1工程でコンデンサ素子に含浸させた第1処理液に含まれる液体溶媒の質量に対する、第2工程に供されるコンデンサ素子に含まれる液体溶媒の質量の割合(質量%)である。
【0044】
第2処理液としては、溶媒(第2溶媒)を用いる。コンデンサ素子への第2処理液の含浸は、第1処理液の場合に準じて行うことができる。第2溶媒としては、極性溶媒および非極性溶媒が挙げられる。非極性溶媒としては、例えば、炭化水素、酢酸エチル、ジエチルエーテルなどが挙げられる。
【0045】
第2溶媒としては、極性溶媒が好ましい。極性溶媒としては、例えば、第1溶媒について例示したプロトン性溶媒の他、非プロトン性溶媒が挙げられる。
非プロトン性溶媒としては、例えば、第1溶媒について例示したもののうち、アミド類、γBLなどのラクトン、1,4-ジオキサンなどの環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルホン類、炭酸プロピレンなどの環状カーボネートなどが挙げられる。第2処理液は、1種の第2溶媒を含んでもよく、2種以上の第2溶媒を含んでもよい。
【0046】
プロトン性溶媒としては、水、アルコール類(具体的には、メタノール、エタノールなどのアルカノール、グリコール(EG、PEGなど)、グリセリン類(グリセリン、ポリセリンなど)などのポリオール化合物)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールモノエーテル類などのプロトン性有機溶媒が好ましい。
少なくとも1種の第2溶媒は、プロトン性溶媒であることが好ましく、第2処理液は、プロトン性溶媒と非プロトン性溶媒との混合物であってもよい。複数の第2溶媒を用いる場合、例えば、1分子当たり3個以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物と、ポリオール化合物以外の極性溶媒(プロトン性有機溶媒、および/または非プロトン性溶媒)とを組み合わせてもよい。プロトン性有機溶媒としては、ポリオール化合物以外のアルコール類(具体的には、アルカノール、グリコール)、グリコールモノエーテル類などが好ましい。
【0047】
(iii)溶媒成分を除去する工程(第3工程、第4工程)
第1工程の後、コンデンサ素子に残存している溶媒成分を第3工程で除去することができる。また、第2工程の後、コンデンサ素子に残存している溶媒成分を第4工程で除去してもよい。第3工程または第4工程では、溶媒成分の少なくとも一部を除去すればよく、溶媒成分の全てを除去してもよい。第4工程で溶媒成分を除去することにより、誘電体層の表面に導電性高分子をより均一に付着させることができる。
なお、ここでいう溶媒成分とは、第1処理液に含まれる液体溶媒および第2処理液に含まれる第2溶媒をいう。この中でも、第4工程で、第1溶媒および/または第2溶媒(特に、第1溶媒)の少なくとも一部を除去することが好ましい。
【0048】
第3工程および第4工程のそれぞれにおいて、溶媒成分は、加熱下で蒸発させることにより除去することができ、大気圧下で除去してもよく、必要に応じて、減圧下で除去してもよい。溶媒成分を除去する際の温度は、第1溶媒(または第2溶媒)の沸点以上であってもよい。溶媒成分の除去は、例えば、温度が異なる複数の段階(例えば、2段階または3段階以上)で行ってもよく、昇温しながら行ってもよい。
このようにして、陽極体21と陰極体22との間(特に、誘電体層の表面)に導電性高分子が付着し、導電性高分子が付着したコンデンサ素子10が作製される。
【0049】
導電性高分子は、誘電体層の表面の少なくとも一部を覆うように付着することが好ましい。このとき、誘電体層の表面だけでなく、陰極体22および/またはセパレータ23の表面にも導電性高分子が付着してもよい。また、誘電体層を有する陽極体21を備えるコンデンサ素子10に第1処理液を含浸させる第1工程(i)、第1工程後に溶媒成分(第1溶媒などの液体溶媒など)を除去する第3工程(任意工程)、コンデンサ素子に第2処理液を含浸させる第2工程(ii)、および第2工程後に溶媒成分(第1溶媒などの液体溶媒および/または第2溶媒)を除去する第4工程(iv)(任意工程)からなる群より選択される少なくとも1つの工程を、必要に応じて、2回以上繰り返してもよい。これらの工程から選択される工程を一連の工程として、2回以上繰り返してもよい。例えば、第1工程を複数回繰り返した後、他の工程を行ってもよく、第1工程と、必要により第3工程と、第2工程とを一連の工程として複数回繰り返してもよい。誘電体層に対する導電性高分子の被覆率を高め易い観点から、少なくとも第1工程を複数回繰り返すことが有利である。
【0050】
第2工程または第4工程で得られるコンデンサ素子10からは溶媒成分を全て除去してもよい。また、第2工程または第4工程で得られるコンデンサ素子10は、溶媒成分が残存した状態であってもよい。溶媒成分が残存した状態である場合、誘電体層の修復機能をさらに向上させることができる。また、残存した溶媒成分は、導電性高分子の粒子間に存在するため、コンデンサ素子に電解液を含浸させる際に、導電性高分子の粒子間に電解液が浸透し易い。よって、電解液による誘電体層の修復機能も得られ易くなる。誘電体層の修復機能が高まることで、電解コンデンサの保証寿命を過ぎた場合でも、短絡を効果的に抑制することもできる。
【0051】
(電解液)
電解液は、γBLを含む非水溶媒と、グリセリンおよびポリグリセリンからなる群より選択される少なくとも一種のグリセリン化合物とを含む。また、電解液は、さらにイオン性物質(溶質)を含むものであってもよく、溶質を含まなくてもよい。イオン性物質としては、グリセリン化合物および/または非水溶媒に溶解するものが使用される。
【0052】
電解液がγBLを含むことで、粘度が比較的高いグリセリン化合物を用いるにも拘わらず、コンデンサ素子への電解液の含浸性を高めることができる。電解液がグリセリン化合物を含むことで、導電性高分子を膨潤化することができる。よって、陽極箔の粗面化で形成された複数の凹凸の隅々にまで導電性高分子を存在させることができる。その結果、充放電初期のESRを低減できることに加え、電解コンデンサを長期間使用しても低ESRを保持することができ高信頼性が得られる。
【0053】
なお、電解液とは、組み立てられた電解コンデンサ内(具体的には、外装ケース内)に収容されている電解液(溶媒成分)を指す。電解液には、電解コンデンサの製造過程で電解コンデンサ内に残存した溶媒成分も含まれる。このような溶媒成分としては、第1処理液および/または第2処理液に含まれる溶媒成分(例えば、第1処理液に含まれる液体媒体および/または第1溶媒、第2処理液に含まれる第2溶媒など)などが挙げられる。
【0054】
ポリグリセリンは、例えば、2~20個(好ましくは、2~12個、2~10個、または2~6個)のグリセリン単位を含む。ポリグリセリンとしては、ジグリセリン、トリグリセリンなども好ましい。
【0055】
グリセリン化合物は、導電性高分子に対する親和性が高く、導電性高分子の粒子間に安定に存在し易い。また、グリセリン化合物は、揮発性も低い。そのため、電解液がグリセリン化合物を含むことで、誘電体層の周辺に電解液を保持し易く、誘電体層の皮膜修復性を高めることができ、漏れ電流の抑制効果を高めることができる。従って、電解コンデンサの保証寿命を過ぎた場合でも、短絡を効果的に抑制することができる。
【0056】
電解液中のグリセリン化合物の含有量は、例えば、5質量%以上であり、10質量%以上または20質量%以上であってもよい。電解液中のグリセリン化合物の含有量は、例えば、50質量%以下、好ましくは30質量%以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。電解液中のグリセリン化合物の含有量は、例えば、5~50質量%、または10~30質量%であってもよい。
電解液中のグリセリン化合物の含有量が上記のような範囲である場合、より高い信頼性が得られる。
【0057】
電解コンデンサにおいて、電解液中に含まれるグリセリン化合物の質量は、コンデンサ素子に含浸された導電性高分子の質量に対して、2~100倍であってもよく、3~80倍であってもよい。質量比がこのような範囲である場合、導電性高分子を膨潤化する効果が得られ易い。
【0058】
非水溶媒は、γBL以外の非水溶媒(有機溶媒および/またはイオン液体)を含んでもよい。有機溶媒(γBL以外の有機溶媒)が好ましく使用される。このような非水溶媒としては、高沸点のものが望ましく、高沸点の非水溶媒としては、イオン液体、および/または高沸点の有機溶媒が挙げられる。非水溶媒の沸点は、例えば、100℃よりも高く、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。有機溶媒としては、例えば、第1処理液の第1溶媒について例示した有機溶媒、ならびに第2処理液について例示した第2溶媒などが挙げられる。非水溶媒は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0059】
非水溶媒としては、グリセリン化合物を溶解するもの(またはグリセリン化合物と混和または相溶するもの)を用いることが好ましい。このような非水溶媒としては、プロトン性有機溶媒の他、非プロトン性溶媒のうち、アミド類、ラクトン、環状エーテル類、スルホン類、環状カーボネートなどが挙げられる。プロトン性有機溶媒としては、グリセリン類以外のアルコール類(具体的には、アルカノール、グリコール)、グリコールモノエーテル類などが好ましい。非水溶媒のうち、グリコール、ラクトン、スルホン類、および環状カーボネートからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。非水溶媒は、γBLとともに、EG、スルホラン、およびPCからなる群より選択される少なくとも一種とを含んでもよい。
【0060】
このような非プロトン性溶媒およびプロトン性有機溶媒は、グリセリン化合物との親和性が高く、グリセリン化合物と均一に混合することができる。そのため、このような溶媒を用いると、導電性高分子の粒子間に、電解液を浸透させ易い。
【0061】
溶質としては、アニオンおよびカチオンの塩が使用され、アニオンおよびカチオンの少なくとも一方が有機物である有機塩が好ましい。有機塩としては、マレイン酸トリメチルアミン、ボロジサリチル酸トリエチルアミン、フタル酸エチルジメチルアミン、フタル酸モノ1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、フタル酸モノ1,3-ジメチル-2-エチルイミダゾリニウムなどが例示できる。溶質は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0062】
コンデンサ素子10への電解液の含浸は、特に制限されず公知の方法で行うことができる。例えば、電解液にコンデンサ素子を浸漬させてもよく、コンデンサ素子を収容した容器内に電解液を注液してもよい。コンデンサ素子への電解液の含浸は、必要に応じて、減圧下(例えば、10~100kPa)で行ってもよい。
【0063】
(その他)
コンデンサ素子10は、封止してもよい。より具体的には、まず、リード線14A,14Bが有底ケース11の開口する上面に位置するように、コンデンサ素子10を有底ケース11に収納する。有底ケース11の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金を用いることができる。
【0064】
次に、リード線14A,14Bが貫通するように形成された封止部材12を、コンデンサ素子10の上方に配置し、コンデンサ素子10を有底ケース11内に封止する。封止部材12は、絶縁性物質であればよい。絶縁性物質としては弾性体が好ましく、中でも耐熱性の高いシリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴムなど)、ブチルゴム、イソプレンゴムなどが好ましい。
【0065】
次に、有底ケース11の開口端近傍に、横絞り加工を施し、開口端を封止部材12に加締めてカール加工する。そして、カール部分に座板13を配置することによって、
図1に示すような電解コンデンサが完成する。その後、定格電圧を印加しながら、エージング処理を行ってもよい。
【0066】
上記の実施形態では、巻回型の電解コンデンサについて説明したが、本発明の適用範囲は上記に限定されず、他の電解コンデンサ、例えば、陽極体として金属の焼結体を用いるチップ型の電解コンデンサや、金属板を陽極体として用いる積層型の電解コンデンサにも適用することができる。
【実施例0067】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
《実施例1》
下記の手順で、
図1に示すような、定格電圧35V、定格静電容量47μFの巻回型の電解コンデンサ(直径6.3mm、長さ5.8mm)を作製し、評価を行った。
【0069】
(1)電解コンデンサの製造
(誘電体層を有する陽極体の準備)
厚さ100μmのアルミニウム箔にエッチング処理を行い、アルミニウム箔の表面を粗面化した。その後、アルミニウム箔の表面に、アジピン酸アンモニウム水溶液を用いる化成処理により、誘電体層を形成し、誘電体層を有する陽極体を準備した。
【0070】
(陰極体の準備)
厚さ50μmのアルミニウム箔にエッチング処理を行い、アルミニウム箔の表面を粗面化し、陰極体を準備した。
【0071】
(コンデンサ素子(巻回体)の作製)
陽極体および陰極体に陽極リードタブおよび陰極リードタブを接続し、陽極体と陰極体とを、リードタブを巻き込みながら、セパレータを介して巻回し、コンデンサ素子を得た。コンデンサ素子から突出する各リードタブの端部には、陽極リード線および陰極リード線をそれぞれ接続した。そして、作製されたコンデンサ素子に対して、再度化成処理を行い、陽極体の切断された端部に誘電体層を形成した。次に、コンデンサ素子の外側表面の端部を巻止めテープで固定した。
【0072】
(第1処理液の含浸)
3,4-エチレンジオキシチオフェンと、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸とを、イオン交換水(第1溶媒)に溶かした混合溶液を調製した。得られた混合溶液を撹拌しながら、イオン交換水に溶解させた硫酸第二鉄および過硫酸ナトリウム(酸化剤)を添加し、重合反応を行った。反応後、得られた反応液を透析して、未反応モノマーおよび過剰な酸化剤を除去し、約5質量%のポリスチレンスルホン酸がドープされたポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を含む分散液(第1処理液)を得た。
得られた第1処理液を、前記コンデンサ素子に5分間含浸させた。次いで、コンデンサ素子を、150℃で20分間加熱することにより、溶媒成分を除去した。
このようにして、導電性高分子が付着したコンデンサ素子を作製した。
【0073】
(電解液の含浸)
次いで、コンデンサ素子に、減圧下で電解液を含浸させた。電解液としては、γBL:グリセリン:フタル酸モノ(エチルジメチルアミン)(溶質)=50:25:25(質量比)で含む溶液を用いた。
【0074】
(コンデンサ素子の封止)
電解液を含浸させたコンデンサ素子を、
図1に示すような外装ケースに収容し、封止して、電解コンデンサを作製した。同様にして、合計300個の電解コンデンサを作製した。
【0075】
(2)性能評価
(a)静電容量およびESR値
電解コンデンサの初期特性として、静電容量(μF)およびESR値(mΩ)を測定した。具体的には、電解コンデンサについて4端子測定用のLCRメータを用いて、周波数120Hzにおける初期静電容量(μF)を測定した。また、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を測定した。
加速試験として電解コンデンサを125℃で4000時間放置した後の静電容量(μF)およびESR値(mΩ)についても、上記の初期特性の場合と同様にして測定した。
静電容量およびESR値は、それぞれ、ランダムに選択した120個の電解コンデンサについて測定し、平均値を算出した。
【0076】
《比較例1》
電解液として、γBL:フタル酸モノ(エチルジメチルアミン)(溶質)=75:25(質量比)で含む溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、性能評価を行った。
【0077】
《実施例2》
電解液として、γBL:スルホラン:グリセリン:フタル酸モノ(エチルジメチルアミン)(溶質)=25:25:25:25(質量比)で含む溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、性能評価を行った。
【0078】
《実施例3》
電解液として、γBL:グリセリン:フタル酸モノ(エチルジメチルアミン)(溶質)=70:5:25(質量比)で含む溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、性能評価を行った。
実施例および比較例の結果を表1に示す。
【0079】
【0080】
表1に示されるように、実施例では加速試験後においても、静電容量を確保でき、またESRを低く保つことができる。一方、比較例1は、加速試験後において、静電容量が減少し、ESRが高くなった。
10:コンデンサ素子、11:有底ケース、12:封止部材、13:座板、14A,14B:リード線、15A,15B:リードタブ、21:陽極体、22:陰極体、23:セパレータ、24:巻止めテープ