▶ グローリー株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029571
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】鍵管理装置
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
E05B19/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002461
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2021186931の分割
【原出願日】2016-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】谷村 康典
(72)【発明者】
【氏名】大坪 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】南 一郎
(72)【発明者】
【氏名】安積 征孝
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 光信
(57)【要約】
【課題】操作員による効率的かつ適正な鍵ホルダーの取得を可能とすること。
【解決手段】鍵管理装置10は、ホルダー14に保持された鍵の属性を記憶し、操作員がいずれかのホルダー14を押し込む操作を行うと(1)、押し込まれたホルダー14に保持された鍵の属性を表示操作部11に表示する(2)。表示される鍵の属性は、鍵の名称や鍵の本数などを用いる。かかる属性の表示により、操作員は鍵の名称などを確認した上で取出し操作を行って、所望の鍵を保持するホルダー14を取得することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵を保持するホルダーを収納する複数のホルダー収納部を備えた鍵管理装置であって、
貸出時間を超えてからホルダーが返却された場合に理由の入力が可能である
ことを特徴とする鍵管理装置。
【請求項2】
前記理由の入力には、所定の管理者権限を有する操作員による承認が必要である
請求項1に記載の鍵管理装置。
【請求項3】
前記理由の入力は、所定の管理者権限を有する操作員のみ実行可能である
請求項1に記載の鍵管理装置。
【請求項4】
前記理由の入力は、予め規定したリストから選択して入力することが可能である
請求項1に記載の鍵管理装置。
【請求項5】
入力された前記理由を少なくとも含む長時間使用履歴データを外部に出力可能である
請求項1に記載の鍵管理装置。
【請求項6】
前記貸出時間を超える所定時間前に予告報知を行う
請求項1~5のいずれか一つに記載の鍵管理装置。
【請求項7】
前記予告報知は、貸出時間を超えた場合の警報とは報知態様が異なる
請求項6に記載の鍵管理装置。
【請求項8】
前記予告報知の履歴は残さない
請求項6に記載の鍵管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作員による効率的かつ適正な鍵ホルダーの取得が可能な鍵管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の金融機関の店舗には、出納機、両替機等の貨幣処理装置が配設されている。この貨幣処理装置には複数の錠が設けられることが多く、例えば出納機の扉及び貨幣収納カセットには、それぞれ別個の錠が設けられている。また、これらの錠を施解錠するための鍵は、鍵管理装置において厳重に管理されている。
【0003】
このため、貨幣処理装置の錠を解錠する場合には、操作員が、鍵管理装置に対して取出対象となる鍵の指定を含む所定の操作を行って、鍵管理装置から所望の鍵を取り出し、取り出した鍵を用いて貨幣処理装置に設けられた錠を解錠することになる。
【0004】
ここで、鍵管理装置には、鍵を保持するホルダー(以下、「鍵ホルダー」と言う)を収納する複数のホルダー収納部が設けられているため、操作員による所望の鍵ホルダーの取り出しを容易にした従来技術が知られている。例えば、特許文献1には、各ホルダー収納部の上部に表示部を設けておき、操作員が自らのカードをカードリーダに通すと、操作員が取出可能な鍵ホルダーの表示部を緑色に点灯させる技術が開示されている。このため、操作員は、緑色に表示された複数の鍵ホルダーの中から、鍵ホルダーの上部に貼られた鍵の名称等を参照して、所望の鍵ホルダーを抜き取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、貸出時間を超えてから鍵ホルダーが返却される長時間利用が発生することは望ましくない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点(課題)を解決するためになされたものであって、鍵ホルダーの長時間使用の発生頻度を削減することが可能な鍵管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、鍵を保持するホルダーを収納する複数のホルダー収納部を備えた鍵管理装置であって、貸出時間を超えてからホルダーが返却された場合に理由の入力が可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記理由の入力には、所定の管理者権限を有する操作員による承認が必要である。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記理由の入力は、所定の管理者権限を有する操作員のみ実行可能である。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記理由の入力は、予め規定したリストから選択して入力することが可能である。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、入力された前記理由を少なくとも含む長時間使用履歴データを外部に出力可能である。
また、本発明は、上記の発明において、前記貸出時間を超える所定時間前に予告報知を行う。
また、本発明は、上記の発明において、前記予告報知は、貸出時間を超えた場合の警報とは報知態様が異なる。
また、本発明は、上記の発明において、前記予告報知の履歴は残さない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鍵ホルダーの長時間使用の発生頻度を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施例1に係る鍵管理装置の処理の概念を説明する図である。
【
図2】
図2は、鍵管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【
図3】
図3は、鍵管理装置の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、鍵管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、鍵管理マスタの具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、鍵貸出履歴データの具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、表示操作部による表示の具体例の説明図である。
【
図8】
図8は、管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、鍵管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、鍵管理マスタ格納処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、鍵着脱処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本実施例2に係る鍵交換についての説明図である。
【
図13】
図13は、鍵管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図14】
図14は、鍵交換目的リスト及び鍵交換履歴データの具体例を示す図である。
【
図15】
図15は、鍵使用予定データの具体例を示す図である。
【
図16】
図16は、セット使用データ及びセット履歴データの具体例を示す図である。
【
図17】
図17は、長時間使用履歴データの具体例を示す図である。
【
図18】
図18は、鍵交換に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、鍵使用予定の管理に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、セット使用における操作例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る鍵管理装置の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例0016】
<鍵管理装置による処理の概念>
まず、本実施例1に係る鍵管理装置による処理の概念について説明する。
図1は、本実施例1に係る鍵管理装置の処理の概念を説明する図である。
図1に示す鍵管理装置10は、銀行等の金融機関の店舗に設けられ、貨幣処理装置や金庫等の鍵を収納する装置である。
【0017】
鍵管理装置10は、表示操作部11及びカードリーダ12を有する。表示操作部11は、タッチパネルディスプレイ等であり、操作員からの操作入力の受付と、各種情報の表示に用いられる。カードリーダ12は、操作員が携行するカードから識別情報等を読み取る場合に用いられる。
【0018】
具体的には、操作員がカードをカードリーダ12に通すと、カードリーダ12がカードから識別情報であるカードIDを読み取り、該カードIDに基づいて操作員の認証が行われる。認証の結果、操作員に鍵を取り出す権限が設定されていれば、鍵収納庫の扉(図示せず)が解錠され、扉の開放が可能となる。鍵収納庫には、1又は複数の鍵をリングにより繋いで保持するホルダー14が複数収納されている。また、それぞれのホルダー14は、対応するホルダー収納部13に挿入され、ロックされて収納される。
【0019】
なお、本実施例1ではカードIDを磁気情報として格納した磁気カードを用い、カードリーダ12が磁気カードからカードIDを読み取って操作員の認証を行う場合を例に説明を行うが、IC(integrated circuit)カードやコード入力を用いて操作員の認証を行ってもよい。例えば、非接触で近距離無線通信が可能なICカードを用いる場合には、操作員はICカードを対応するカードリーダに翳し、カードリーダが近距離無線通信によりICカードからカードIDを読み取って操作員の認証を行うことになる。また、コード入力を用いる場合には、操作員は予め割り当てられたコードを表示操作部11等により入力し、鍵管理装置10は入力されたコードに基づいて操作員の認証を行うことになる。
【0020】
ここで、操作員がいずれかのホルダー14を押し込む操作を行うと(1)、鍵管理装置10は、押し込まれたホルダー14に保持された鍵の属性を表示操作部11に表示する(2)。表示される鍵の属性は、鍵の名称や鍵の本数などである。また、鍵の名称としては、鍵が使用される装置の名称などを含めることが望ましい。かかる属性の表示により、操作員は鍵の名称などを確認した上で取出し操作を行って、所望の鍵を保持するホルダー14を取得することができる。
【0021】
このように、本実施例1に係る鍵管理装置10は、ホルダー14に保持された鍵の属性を記憶しており、押し込み操作により特定されるホルダー14に保持された鍵の属性を表示操作部11に表示制御する。このため、操作員は、鍵の属性を確認した上で適切なホルダーを効率的に取得することができる。また、ホルダー14に保持された鍵の本数を管理することができる。
【0022】
なお、
図1では、ホルダー14の押し込み操作を検知し、押し込み操作により特定されるホルダー14に保持された鍵の属性を表示操作部11に表示制御する場合を示したが、操作員が表示操作部11に対してホルダー14を特定する識別情報を入力した場合に、入力により特定されるホルダー14に保持された鍵の属性を表示操作部11に表示制御することも可能である。
【0023】
<鍵管理システムの構成>
次に、鍵管理システムの構成について説明する。
図2は、鍵管理システムの構成を示すシステム構成図である。
図2に示すように、本実施例1に係る鍵管理システムでは、鍵管理装置10と、貨幣入出金機40及び重要物管理装置50などの鍵が設けられた装置とが所定のネットワークを介して管理サーバ20に接続される。また、管理サーバ20は、管理者端末30とも接続される。
【0024】
鍵管理装置10は、鍵管理システムに含まれる各種装置の操作に必要な鍵を保管するための装置である。鍵管理装置10は、取り出したい鍵の指定操作を受け付けて、指定された鍵を取り出し可能とする。
【0025】
貨幣入出金機40は、バラ紙幣、所定枚数単位で結束された束紙幣、バラ硬貨及び所定枚数単位で包装された包装硬貨を取り扱う出納機である。貨幣入出金機40は、かかる貨幣の払出指示操作を受け付けて、受け付けた指示操作に応じた貨幣の払出処理を行う。また、貨幣入出金機40は、貨幣の収納指示操作を受け付けて、受け付けた指示操作に応じて貨幣の収納処理を行う。
【0026】
重要物管理装置50は、通帳、証書及び有価証券等の重要物を保管するための装置である。重要物管理装置50は、かかる重要物を保管するための複数の収納部を有し、各収納部は、外部からのアクセスを制限するロック機構を有している。重要物管理装置50は、重要物を取り出す旨の操作を受け付けて、指定された重要物の種類に応じて対応する収納部のロックを解除することにより、指定された重要物の取り出しを可能とする。
【0027】
なお、ATM(現金自動預払機 Automatic Teller Machine)、両替機、金庫などの鍵が設けられた装置を管理サーバ20にさらに接続することとしてもよい。
【0028】
管理サーバ20は、各装置に使用する鍵の管理を行う。具体的には、鍵の属性、ホルダー、使用権限など、鍵の使用に関する各種情報を対応付けた鍵管理マスタを生成して保持し、必要に応じて鍵管理マスタを他の装置に配信する処理を行う。
【0029】
管理者端末30は、鍵管理マスタの生成や変更を行う権限を有する管理者により使用される装置である。鍵管理マスタの生成や変更を行う場合には、
図2に示すように、管理者が管理者端末30を操作し、管理サーバ20に対して鍵管理マスタ登録・更新要求を送信する(1)。
【0030】
管理サーバ20は、管理者端末30から鍵管理マスタ登録・更新要求を受信すると、鍵管理マスタの生成や更新を行って自装置に保持するとともに、新たな鍵管理マスタを鍵管理装置10に配信する(2)。鍵管理装置10は、配信された鍵管理マスタを保持し、管理サーバ20は、鍵管理マスタの配信完了を管理者端末30に通知する(3)。
【0031】
<鍵管理装置の構成>
次に、鍵管理装置10の外観について説明する。
図3は、鍵管理装置10の外観を示す斜視図である。
図3に示すように、鍵管理装置10は、扉10aにて開閉される鍵収納庫10b、表示操作部11、カードリーダ12及びレシート取出口15aを有する。
【0032】
鍵収納庫10bには、複数のホルダー収納部13が設けられている。ホルダー収納部13は、保管対象の鍵がリングにより繋がれたホルダー14を着脱可能に収納する。各ホルダー収納部13は、ホルダー14の取り出しを許可又は禁止することができるように図示しないロック機構を有する。鍵管理装置10は、各ホルダー収納部13に対するロック機構を制御することによって、各ホルダー14の取り出しの許可又は禁止を制御する。
【0033】
また、鍵管理装置10は、表示操作部11を有する。表示操作部11は、タッチパネルディスプレイ等であり、操作員からの操作入力の受付と、各種情報の表示に用いられる。カードリーダ12は、操作員が携行するカードから識別情報等を読み取る場合に用いられる。レシート取出口15aは、図示しないプリンタ15で印刷した紙が取り出し可能に排出される口である。
【0034】
次に、鍵管理装置10の構成について説明する。
図4は、鍵管理装置10の構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、鍵管理装置10は、扉施錠機構10c、表示操作部11、カードリーダ12、ホルダー収納部13、プリンタ15、通信部16、記憶部17及び制御部18を有する。表示操作部11、カードリーダ12及びホルダー収納部13については、
図3の外観の説明において説明したので、
図4での説明は省略する。
【0035】
扉施錠機構10cは、鍵収納庫10bの扉10aを施錠する機構である。プリンタ15は、ロール紙に対して印刷する感熱式又はインクジェット式等の印刷部であり、鍵管理装置10で管理される鍵ごとの使用状況等を印刷する。通信部16、通信線90を介して管理サーバ20とデータ通信するためのインタフェース部である。
【0036】
記憶部17は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部17は、鍵管理マスタ17a及び鍵貸出履歴データ17bを記憶する。鍵管理マスタ17aは、鍵の属性、ホルダー、使用権限など、鍵の使用に関する各種情報を対応付けたデータである。鍵貸出履歴データ17bは、鍵の貸出の履歴を示すデータである。
【0037】
制御部18は、鍵管理装置10の全体を制御する制御部であり、鍵管理マスタ処理部18a、貸出処理部18b、ホルダー指定操作受付部18c及び鍵属性出力部18dを有する。実際には、鍵管理マスタ処理部18a、貸出処理部18b、ホルダー指定操作受付部18c及び鍵属性出力部18dに対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPU(Central Processing Unit)で実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0038】
鍵管理マスタ処理部18aは、管理サーバ20から受信した鍵管理マスタを記憶部17に格納することで鍵管理マスタ17aを更新し、管理サーバ20に対して更新完了を通知する処理を行う。
【0039】
貸出処理部18bは、鍵の貸出と返却を管理する処理部である。具体的には、貸出処理部18bは、カードリーダ12がカードIDを読み取った場合に、読み取ったカードIDの認証処理を行う。認証の結果、鍵を取り出す権限が設定されていれば、貸出処理部18bは、扉施錠機構10cを解錠制御する。
【0040】
また、貸出処理部18bは、カードIDの認証後、表示操作部11が鍵使用操作を受け付けた場合に、鍵の貸出処理を行う。具体的には、鍵使用操作により指定されたホルダー収納部13に使用権限が設定されたカードIDであることを条件に、指定されたホルダー収納部13のロックを解除する。また、貸出処理部18bは、ホルダー14の取り出しを検知したならば、その時点の日時を貸出日時とし、貸出日時にカードIDとホルダー収納部13の識別情報を対応付けて鍵貸出履歴データ17bに登録する。
【0041】
また、貸出処理部18bは、カードIDの認証後、ホルダー14がホルダー収納部13に返却されたならば、ホルダー収納部13をロックする。また、貸出処理部18bは、その時点の日時を返却日時とし、返却日時にカードIDとホルダー収納部13の識別情報を対応付けて鍵貸出履歴データ17bに登録する。
【0042】
なお、ホルダー収納部13には、ホルダー14の有無を検知するセンサとホルダー14の押し込みを検知するセンサとが設けられており、ホルダー14が収納されていない状態からホルダー14が収納された状態に変化した場合には、ホルダー14の押し込みの有無に関わらず、ホルダー14の返却と判定する。
【0043】
また、貸出処理部18bは、鍵の貸出時間の管理を行う。具体的には、ホルダー収納部13には、貸出時間の上限が設定されており、貸出日時から返却日時までの時間が上限を超過した場合には警報を出力する。
【0044】
ホルダー指定操作受付部18cは、属性の表示対象となるホルダー14を指定する操作を受付ける処理部である。具体的には、扉施錠機構10cの解錠前からホルダー14が収納されている状態で、ホルダー14の押し込み操作が行われたならば、該操作を属性の表示対象となるホルダー14を指定する操作として受け付ける。
【0045】
また、操作員が表示操作部11に対してホルダー14を特定する識別情報を入力した場合には、該操作を属性の表示対象となるホルダー14を指定する操作として受け付ける。
【0046】
この他、予め他の装置から属性の表示対象となるホルダー14の通知を受け付けても良い。例えば、貨幣入出金機40にカードIDを読み取らせ、鍵の使用を予約する操作を行うと、貨幣入出金機40から管理サーバ20経由で属性の表示対象となるホルダー14の通知を受けることができる。貨幣入出金機40の鍵がどのホルダー14に保持されているかは、管理サーバ20で判定しても良いし、貨幣入出金機40で判定しても良い。貨幣入出金機40がホルダー14を特定する場合には、予め管理サーバ20から貨幣入出金機40に鍵管理マスタを配布することになる。
【0047】
鍵属性出力部18dは、ホルダー指定操作受付部18cが受け付けた操作若しくは通知によってホルダー14が指定された場合に、指定されたホルダー14の属性を鍵管理マスタ17aから読み出して表示操作部11に表示制御する。
【0048】
次に、
図4に示した鍵管理装置10の記憶部17に記憶されるデータについて具体的に説明する。
図5は、鍵管理マスタ17aの具体例を示す図である。
図5に示すように、鍵管理マスタ17aは、ホルダー収納部13の識別情報として、ホルダー収納部番号を割り当てている。
【0049】
そして、ホルダー収納部番号に対し、属性、貸出時間上限及び使用権限を対応付けている。属性には、鍵の名称と、鍵の本数が含まれる。また、使用権限は、操作員の氏名及びカードIDに対し、権限の有無が設定されている。
【0050】
図5では、ホルダー収納部番号「01」に鍵の名称「金庫鍵」、鍵の本数「1」、貸出時間上限「60分」が設定されている。また、ホルダー収納部番号「02」に鍵の名称「貨幣入出金機鍵」、鍵の本数「1」、貸出時間上限「60分」が設定されている。また、ホルダー収納部番号「03」に鍵の名称「ATM扉鍵」、鍵の本数「3」、貸出時間上限「60分」が設定されている。また、ホルダー収納部番号「04」に鍵の名称「ATM現金鍵」、鍵の本数「3」、貸出時間上限「60分」が設定されている。
【0051】
さらに、氏名「A B」、カードID「1001」に対しては、ホルダー収納部番号「01」の使用権限「有」、ホルダー収納部番号「02」の使用権限「有」、ホルダー収納部番号「03」の使用権限「有」、ホルダー収納部番号「04」の使用権限「有」が設定されている。
【0052】
また、氏名「C D」、カードID「1002」に対しては、ホルダー収納部番号「01」の使用権限「無」、ホルダー収納部番号「02」の使用権限「有」、ホルダー収納部番号「03」の使用権限「有」、ホルダー収納部番号「04」の使用権限「有」が設定されている。
【0053】
また、氏名「E F」、カードID「1101」に対しては、ホルダー収納部番号「01」の使用権限「無」、ホルダー収納部番号「02」の使用権限「無」、ホルダー収納部番号「03」の使用権限「有」、ホルダー収納部番号「04」の使用権限「有」が設定されている。
【0054】
図6は、鍵貸出履歴データ17bの具体例を示す図である。
図6に示すように、鍵貸出履歴データ17bは、貸出日時、返却日時、カードID及びホルダー収納部番号を対応付けたデータである。具体的には、貸出日時「2016 07/16 10:40」にカードID「1101」である操作員によってホルダー収納部番号「03」に対応するホルダー14が取り出され、返却日時「2016 07/16 10:53」に返却されたことが示されている。また、貸出日時「2016 07/16 12:15」にカードID「1002」である操作員によってホルダー収納部番号「02」に対応するホルダー14が取り出され、このホルダー14は返却されてない状態であることが示されている。
【0055】
次に、表示操作部11による表示の具体例について説明する。
図7は、表示操作部11による表示の具体例の説明図である。
図7(a)に示す初期状態では、日時情報とともに「カードをリーダに通して下さい」とのメッセージが表示される。この状態でカードリーダ12がカードIDを読み取り、カードIDの認証後、扉10aの解錠をおこなった場合には、
図7(b)に示すように、日時情報とともに「ホルダーを指定して下さい」とのメッセージが表示される。
【0056】
そして、ホルダー14の押し込み操作等によりホルダー14が指定されると、
図7(c)に示すように、日時情報とともに指定されたホルダー14に対応する鍵の属性が表示される。
図7(c)では、「ホルダー収納部番号:03」、「鍵の名称:ATM扉鍵」及び「鍵の本数:3」が表示されている。
【0057】
また、
図7(c)では、鍵の属性に加え、「戻る」ボタンと「使用」ボタンが表示されている。「戻る」ボタンが操作されれば、
図7(b)の表示に戻る。そして、「使用」ボタンが操作されれば、ホルダー14のロックが解除され、ホルダー14が取り出し可能となる。
【0058】
<管理サーバの構成>
次に、管理サーバ20の構成について説明する。
図8は、管理サーバ20の構成を示す機能ブロック図である。
図8に示すように、管理サーバ20は、表示部21、入力部22、通信部23、記憶部24及び制御部25を有する。
【0059】
表示部21は、液晶ディスプレイ装置等の表示デバイスである。入力部22は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。通信部23は、鍵管理装置10、管理者端末30、貨幣入出金機40、重要物管理装置50などとの通信を行う通信インタフェースである。
【0060】
記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、鍵管理マスタ24aを記憶する。
【0061】
制御部25は、管理サーバ20の全体を制御する制御部であり、鍵管理マスタ生成部25a、鍵管理マスタ更新部25b及び更新完了処理部25cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、鍵管理マスタ生成部25a、鍵管理マスタ更新部25b及び更新完了処理部25cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0062】
鍵管理マスタ生成部25aは、管理者端末30からの鍵管理マスタ登録要求に基づき、鍵管理マスタ24aを新規作成し、記憶部24に格納するとともに、鍵管理装置10などに配布する処理を行う。
【0063】
鍵管理マスタ更新部25bは、管理者端末30からの鍵管理マスタ更新要求に基づき、記憶部24の鍵管理マスタ24aを更新し、更新後の鍵管理マスタ24aを鍵管理装置10などに配布する処理を行う。
【0064】
更新完了処理部25cは、鍵管理マスタ生成部25a又は鍵管理マスタ更新部25bが鍵管理マスタ24aを配信した後、配信先の鍵管理装置10などから更新完了通知を受信した場合に、鍵管理マスタの配信完了を管理者端末30に通知する処理を行う。
【0065】
<鍵管理装置の処理>
次に、鍵管理装置10の処理について説明する。
図9は、鍵管理装置10の処理手順を示すフローチャートである。
図9に示した処理手順は、鍵管理装置10により繰り返し実行される。
【0066】
まず、鍵管理装置10の鍵管理マスタ処理部18aは、鍵管理マスタ格納処理を行う(ステップS101)。その後、貸出処理部18bは、カードリーダ12がカードIDを読み取ったか否かを判定する(ステップS102)。
【0067】
カードリーダ12がカードIDを読み取っていなければ(ステップS103;No)、鍵管理装置10はそのまま処理を終了する。カードリーダ12がカードIDを読み取ったならば(ステップS103;Yes)。貸出処理部18bは、カードIDの認証処理を実行する(ステップS104)。この認証処理では、カードIDが鍵管理マスタ17aに登録され、いずれかのホルダー収納部番号について使用権限「有」である場合に認証成功となる。そして、認証が成功しなければ(ステップS105;No)、鍵管理装置10はそのまま処理を終了する。
【0068】
認証が成功したならば(ステップS105;Yes)、貸出処理部18bは、扉施錠機構10cを解錠制御し(ステップS106)、鍵着脱処理を実行する(ステップS107)。鍵着脱処理の後、貸出処理部18bは、扉10aが閉じられたか否かを判定する(ステップS108)。扉10aが閉じられてなければ(ステップS108;No)、貸出処理部18bは、ステップS107に移行する。そして、扉10aが閉じられたならば(ステップS108;Yes)、貸出処理部18bは、扉施錠機構10cを施錠制御し(ステップS109)、処理を終了する。
【0069】
次に、
図9に示した鍵管理マスタ格納処理の詳細について説明する。
図10は、鍵管理マスタ格納処理の詳細を示すフローチャートである。まず、鍵管理マスタ処理部18aは、管理サーバ20から鍵管理マスタを受信したか否かを判定する(ステップS201)。鍵管理マスタを受信していなければ(ステップS202;No)、そのまま鍵管理マスタ格納処理を終了する。
【0070】
次に、鍵管理マスタを受信したならば(ステップS202;Yes)、鍵管理マスタ処理部18aは、記憶部17の鍵管理マスタ17aを受信した鍵管理マスタにより更新し(ステップS203)、管理サーバ20に更新完了通知を送信して(ステップS204)、鍵管理マスタ格納処理を終了する。
【0071】
次に、
図9に示した鍵着脱処理の詳細について説明する。
図11は、鍵着脱処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ホルダー指定操作受付部18cは、属性の表示対象となるホルダー14を指定する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS301)。属性の表示対象となるホルダー14を指定する操作を受け付けたならば(ステップS301;Yes)、鍵属性出力部18dは、指定されたホルダー14の属性を鍵管理マスタ17aから読み出して表示操作部11に表示制御する(ステップS302)。
【0072】
ステップS302の後、若しくは属性の表示対象となるホルダー14を指定する操作を受け付けていない場合(ステップS301;No)、貸出処理部18bは、鍵使用操作を受付けたか否かを判定する(ステップS303)。
【0073】
鍵使用操作を受け付けたならば(ステップS303;Yes)、貸出処理部18bは、カードIDに基づいて鍵管理マスタ17aを参照し、鍵使用操作により指定されたホルダー14に対応するホルダー収納部13について使用権限「有」が設定されているか否かを判定する(ステップS304)。
【0074】
使用権限「有」に設定されている場合には(ステップS304;Yes)、貸出処理部18bは、指定されたホルダー14のロックを解除する(ステップS305)。そして、ホルダー14の取り出しを検知したならば、貸出処理部18bは、その時点の日時を貸出日時とし、貸出日時にカードIDとホルダー収納部13の識別情報を対応付けて鍵貸出履歴データ17bを更新する(ステップS306)。なお、ホルダー14のロック解除後、ホルダー14が取り出されずに所定時間が経過した場合には、ホルダー14をロックし、鍵貸出履歴データ17bの更新は行わない。
【0075】
ステップS306の終了後、鍵使用操作を受け付けていない場合(ステップS303;No)、若しくは使用権限「無」に設定されている場合(ステップS304;No)、貸出処理部18bは、ホルダー14の返却を検知したか否か判定する(ステップS307)。
【0076】
ホルダー14の返却を検知したならば(ステップS307;Yes)、貸出処理部18bは、ホルダー収納部13をロックする。また、その時点の日時を返却日時とし、返却日時にカードIDとホルダー収納部13の識別情報を対応付けて鍵貸出履歴データ17bを更新する(ステップS308)。ステップS308の後、若しくはホルダー14の返却を検知していない場合(ステップS307;No)、貸出処理部18bは、鍵着脱処理を終了する。
【0077】
上述してきたように、本実施例1に係る鍵管理システムでは、鍵管理装置10は、鍵を保持するホルダー14を収納する複数のホルダー収納部13を備え、各ホルダー収納部13と該ホルダー収納部13に係る鍵の属性とを対応付けた鍵管理マスタ17aを記憶する。そして、属性の表示対象となるホルダー14を指定する操作を受付けた場合に、鍵管理マスタ17aに基づいて鍵の属性を表示操作部11に表示制御するので、操作員による効率的かつ適正な鍵ホルダーの取得が可能となる。また、鍵の属性に鍵の本数を含めることで、鍵ホルダーに保持される鍵の本数を管理することができる。
【実施例0078】
実施例1では、鍵の属性の管理と出力について説明を行ったが、本発明に係る鍵管理システムは、鍵の管理に係る他の機能をさらに実現することができる。本実施例2では、鍵の管理に係る各種機能について説明する。
【0079】
<鍵交換目的の入力>
実施例1で説明したように、ホルダー14は、1又は複数の鍵をリングにより繋いで保持する。例えば、複数台のATMの扉の鍵を1つのホルダー14が保持し、複数台のATMの現金取出用の内部鍵を1つのホルダー14が保持することができる。また、同一のATMの扉の鍵と現金取出用の内部鍵とを1つのホルダー14が保持することも可能である。
【0080】
ここで、鍵の破損が生じた場合や、設備の入替え、各ホルダー14に保持させる鍵の構成の変更などを行う場合には、ホルダー14から鍵を取り外して交換する必要がある。このような鍵交換は、不正防止の観点から目的と履歴を厳重に管理することが求められる。そこで、本実施例2に係る鍵管理装置110は、鍵交換の目的の入力を条件として鍵交換を許可し、鍵交換の履歴を入力された目的に対応付けて保持することとしている。
【0081】
図12は、本実施例2に係る鍵交換についての説明図である。鍵管理装置110は、鍵交換の目的を予め規定した鍵交換目的リスト17cを保持している。鍵交換が必要となった場合に、所定の権限を有する操作員がカードをカードリーダ12に通すと、カードリーダ12によりカードIDが読み取られる(1)。
【0082】
その後、操作員が鍵交換操作を行うと、鍵管理装置110は、鍵交換目的リスト17cを表示操作部11に表示し、鍵交換の目的を選択させる。操作員が鍵交換の目的を選択する入力を行ったならば(2)、鍵管理装置110は鍵交換操作により指定されたホルダー14のロックを解除する。このため、操作員はホルダー14を取り出して鍵交換を行うことができる。また、鍵管理装置110は、選択された鍵交換の目的とカードIDとを対応付けて鍵交換履歴データ17dに登録する(3)。なお、操作員が鍵交換の目的を選択する入力を行わない場合には、鍵管理装置110は、ホルダー14のロックを解除せず、操作員は鍵交換を行うことができない。
【0083】
このように、鍵交換の目的の入力を条件として鍵交換を許可し、鍵交換の履歴を入力された目的に対応付けて保持することにより、鍵交換の履歴を厳正に管理し、不正な鍵の交換を防止することができる。
【0084】
<鍵管理装置の構成>
次に、本実施例2に係る鍵管理装置110の構成について説明する。
図13は、鍵管理装置110の構成を示す機能ブロック図である。
図13に示すように、鍵管理装置110の記憶部17は、鍵管理マスタ17a及び鍵貸出履歴データ17bに加え、鍵交換目的リスト17c、鍵交換履歴データ17d、鍵使用予定データ17e、セット使用データ17f、セット使用履歴データ17g及び長時間使用履歴データ17hを記憶する。
【0085】
また、鍵管理装置110の制御部18は、鍵管理マスタ処理部18a、貸出処理部18b、ホルダー指定操作受付部18c及び鍵属性出力部18dに加え、鍵交換管理部18e、鍵使用予定管理部18f、セット使用管理部18g及び長時間使用管理部18hを有する。
【0086】
その他の構成及び動作は、実施例1に示した鍵管理装置10と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
鍵交換目的リスト17cは、鍵交換の目的を予め規定したデータである。鍵交換履歴データ17dは、鍵交換の履歴を示すデータである。鍵使用予定データ17eは、鍵の使用予定を予め規定したデータである。セット使用データ17fは、複数のホルダー14に保持された鍵を組み合わせた使用について予め規定したデータである。セット使用履歴データ17gは、セット使用データ17fに規定された組み合わせに基づく鍵の使用履歴を示すデータである。長時間使用履歴データ17hは、貸出時間の上限を超えた使用の履歴を示すデータである。
【0088】
鍵交換管理部18eは、鍵交換を管理する処理部である。具体的には、鍵交換管理部18eは、鍵交換目的リスト17cを記憶部17に格納する処理を行う。鍵交換目的リスト17cは、表示操作部11に対する操作入力に基づいて、鍵交換管理部18eが生成してもよい。また、管理サーバ20や他の装置が生成した鍵交換目的リスト17cを受信して記憶部17に格納してもよい。
【0089】
鍵交換管理部18eは、カードリーダ12によりカードIDが読み取られ、所定の権限を有する操作員からの鍵交換操作を受け付けたならば、鍵交換目的リスト17cを表示操作部11に表示し、鍵交換の目的を選択させる。そして、鍵交換の目的を選択する入力を受け付けたことを条件に鍵交換操作により指定されたホルダー14のロックを解除し、選択された鍵交換の目的とカードIDとを対応付けて鍵交換履歴データ17dに登録する。
【0090】
鍵交換について、管理者による承認操作を要求することとしてもよい。鍵交換管理部18eは、管理者による承認操作についても鍵交換履歴データ17dに登録し、承認操作の履歴を管理する。
【0091】
なお、管理者による承認操作を鍵交換の条件とする場合には、承認操作を受け付けた後にホルダー14のロックを解除する。また、ホルダー14のロックを解除して鍵交換を可能とした後に管理者による承認操作を受け付ける設定とすることも可能である。
【0092】
さらに、管理者による承認操作は、複数名に求めることも可能である。また、管理者による承認操作は、鍵管理装置110に対して直接行うこととしてもよいし、ネットワーク経由で行うこととしてもよい。
【0093】
また、鍵交換管理部18eは、鍵交換履歴データ17dをプリンタ15により印刷することが可能である。印刷する場合には、鍵交換履歴データ17dに含まれる鍵交換の目的を印刷対象に含めることが望ましい。さらに、通信部16により鍵交換履歴データ17dを送信し、他の装置が鍵交換履歴データ17dを表示や印刷に用いることもできる。
【0094】
鍵使用予定管理部18fは、鍵の使用予定を管理し、使用予定に基づいて報知を行う処理部である。具体的には、鍵使用予定管理部18fは、鍵の使用予定を予め規定した鍵使用予定データ17eを記憶部17に格納する処理を行う。鍵使用予定データ17eは、表示操作部11に対する操作入力に基づいて、鍵使用予定管理部18fが生成してもよい。また、管理サーバ20や他の装置が生成した鍵使用予定データ17eを受信して記憶部17に格納してもよい。
【0095】
鍵使用予定データ17eは、ホルダー収納部番号に対し、鍵を使用する予定日及び予定時刻、鍵の使用を強制するか否かを設定する使用強制設定、使用を強制しない場合に次の予定を設定するスキップ設定、使用の目的を対応付けたデータである。
【0096】
鍵使用予定管理部18fは、予定日及び予定時刻に示された日時となった場合に、操作員に対して報知を行い、予定に基づく鍵の使用を促す。また、使用の強制を行わない設定であり、次の予定に繰り延べる旨を示すスキップ操作を受け付けた場合には、スキップ設定に基づいて次の予定を設定する。
【0097】
セット使用管理部18gは、複数のホルダー14に保持された鍵を組み合わせて使用するセット使用を管理する処理部である。例えば、ATMから現金を回収し、貨幣入出金機に収納する場合には、ATM扉鍵、ATM現金鍵、貨幣入出金機鍵が必要となる。これらの鍵が別のホルダー14に保持されている場合には、操作員は全てのホルダー14を一括して取り出すのであるが、操作員が必要なホルダー14を判別して取り出しを行うこととすると、取り出し忘れが生じる場合がある。このような取り出し忘れが生じると、操作員は再び鍵管理装置110を開けて取り忘れ分のホルダー14を取得することとなり、作業効率が低下する。また、必要なホルダー14の判別を誤ると、不要なホルダー14が取り出されてしまう。
【0098】
そこで、セット使用管理部18gは、鍵の取り出しの目的に対し、複数のホルダー14の組み合わせを記憶し、操作員が目的を入力した場合に、適切なホルダー14の組合せを報知する。さらに、ホルダー14の取り出し順序を規定しておき、ホルダー14のロックを取り出し順序に従って解除することで、操作員にホルダー14を1つずつ取り出させる。かかる構成により、ホルダー14の取り出し忘れや取り出し間違いを防止することができる。
【0099】
セット使用管理部18gは、鍵の取り出しの目的と、複数のホルダー14の組み合わせと、取り出し順序とを示すセット使用データ17fを記憶部17に格納する処理を行う。セット使用データ17fは、表示操作部11に対する操作入力に基づいて、セット使用管理部18gが生成してもよい。また、管理サーバ20や他の装置が生成したセット使用データ17fを受信して記憶部17に格納してもよい。
【0100】
セット使用管理部18gは、カードリーダ12によりカードIDが読み取られ、セット使用操作を受け付けたならば、鍵の取り出しの目的を選択させる。そして、鍵の取り出しの目的を選択する入力を受け付けたならば、セット使用データ17fに従ってホルダー14のロックを順次解除し、ロックを解除したホルダー14を操作員に報知することで、操作員にホルダー14を取り出させる。
【0101】
また、セット使用管理部18gは、セット使用データ17fに基づく鍵の使用履歴をセット使用履歴データ17gとして記憶部17に格納する。セット使用履歴データ17gは、プリンタ15により印刷することが可能である。さらに、通信部16によりセット使用履歴データ17gを送信し、他の装置がセット使用履歴データ17gを表示や印刷に用いることもできる。
【0102】
長時間使用管理部18hは、貸出時間の上限を超えた長時間使用の履歴を管理する処理部である。長時間使用管理部18hは、貸出時間の上限を超えてからホルダー14が返却された場合に、その理由の入力を要求し、長時間使用の履歴に対応付けて長時間使用履歴データ17hに登録する。長時間使用の理由の入力には、所定の管理者権限を有する操作員による承認を求めてもよい。または、長時間使用の理由の入力は、所定の管理者権限を有する操作員が行うこととしてもよい。長時間使用の理由の入力方法は、予め規定したリストから選択してもよいし、任意に入力可能としてもよい。
【0103】
また、長時間使用管理部18hは、貸出時間の上限を超える所定時間前に予告報知を行う。この予告報知は、貸出時間の上限を超えた場合の警報とは音声などを異ならせる。予告報知については、その履歴を残す必要は無い。すなわち、予告報知に気付いた操作員がホルダー14を返却すれば、通常の使用となり、長時間使用の発生を防ぐことができる。
【0104】
長時間使用管理部18hは、長時間使用履歴データ17hをプリンタ15により印刷することが可能である。印刷する場合には、長時間使用履歴データ17hに含まれる長時間使用の理由を印刷対象に含めることが望ましい。さらに、通信部16により長時間使用履歴データ17hを送信し、他の装置が長時間使用履歴データ17hを表示や印刷に用いることもできる。
【0105】
次に、
図13に示した鍵管理装置110の記憶部17に記憶されるデータについて具体的に説明する。
図14は、鍵交換目的リスト17c及び鍵交換履歴データ17dの具体例を示す図である。
【0106】
図14(c)に示すように、鍵交換目的リスト17cは、「1.破損」、「2.装置入替」及び「3.構成変更」を鍵交換の目的として選択可能となっている。
【0107】
また、
図14(d)に示すように、鍵交換履歴データ17dは、貸出日時、返却日時、実行者カードID、ホルダー収納部番号、目的、承認者カードID及び承認日時を対応付けたデータである。具体的には、貸出日時「2016 07/13 17:01」にカードID「1101」である操作員によってホルダー収納部番号「03」に対応するホルダー14が鍵交換のために取り出され、返却日時「2016 07/13 17:27」に返却されたことが示されている。また、鍵交換の目的が「1.破損」であり、承認者カードID「1001」である操作員によって、承認日時「2016 07/13 17:06」に承認されたことが示されている。
【0108】
図15は、鍵使用予定データ17eの具体例を示す図である。
図15に示すように鍵使用予定データ17eは、ホルダー収納部番号、予定日、予定時刻、使用強制設定、スキップ設定及び目的を対応付けたデータである。
【0109】
具体的には、ホルダー収納部番号「01」について、予定日「毎日」、予定時刻「8:00」、使用強制設定「強制」、スキップ設定「不可」及び目的「金庫入室」が対応付けられている。
【0110】
また、ホルダー収納部番号「03」及び「04」について、予定日「毎日」、予定時刻「8:20」、使用強制設定「強制」、スキップ設定「不可」及び目的「ATM現金装填」が対応付けられている。
【0111】
また、ホルダー収納部番号「07」について、予定日「毎日」、予定時刻「8:25」、使用強制設定「非強制」、スキップ設定「可(翌日 同時刻)」及び目的「窓口現金装填」が対応付けられている。
【0112】
また、ホルダー収納部番号「11」について、予定日「精査日」、予定時刻「15:45」、使用強制設定「非強制」、スキップ設定「可(翌日 8:00)」及び目的「ATM精査」が対応付けられている。
【0113】
図16は、セット使用データ17f及びセット使用履歴データ17gの具体例を示す図である。
図16(f)に示すように、セット使用データ17fは、セット使用目的と、順序と、ホルダー収納部番号とを対応付けたデータである。
【0114】
具体的には、セット使用目的「ATM現金回収」について、順序「1」にホルダー収納部番号「03」、順序「2」にホルダー収納部番号「04」、順序「3」にホルダー収納部番号「02」が対応付けられている。
【0115】
また、セット使用目的「貨幣入出金機現金回収」について、順序「1」にホルダー収納部番号「02」、順序「2」にホルダー収納部番号「01」が対応付けられている。
【0116】
図16(g)に示すように、セット使用履歴データ17gは、貸出日時、返却日時、カードID及びセット使用目的を対応付けたデータである。具体的には、貸出日時「2016 07/16 15:27」にカードID「1102」である操作員によってセット使用目的「ATM現金回収」に基づく鍵の取り出しが行われ、返却日時「2016 07/16 15:44」に返却されたことが示されている。
【0117】
図17は、長時間使用履歴データ17hの具体例を示す図である。
図17に示すように、長時間使用履歴データ17hは、貸出日時、返却日時、実行者カードID、ホルダー収納部番号、使用時間、長時間使用理由及び理由入力カードIDを対応付けたデータである。具体的には、貸出日時「2016 07/15 18:00」にカードID「1101」である操作員によってホルダー収納部番号「03」に対応するホルダー14が取り出され、返却日時「2016 07/15 19:30」に返却されたことが示されている。また、使用時間は「90分」であり、長時間使用理由は「ATMメンテナンス」であり、長時間使用時間の理由はカードID「1002」の操作員によって入力されたことが示されている。
【0118】
次に、鍵交換に係る処理手順について説明する。
図18は、鍵交換に係る処理手順を示すフローチャートである。鍵管理装置110のカードリーダ12がカードIDの読取を行い(ステップS401)、表示操作部11が鍵交換操作を受付ける(ステップS402)。その後、表示操作部11などによりホルダー指定操作を受付けると(ステップS403)、鍵交換管理部18eは、鍵交換目的リスト17cを表示操作部11に表示する(ステップS404)。
【0119】
鍵交換管理部18eは、鍵交換の目的を選択する入力を受け付けたならば(ステップS405;Yes)、指定されたホルダー14のロックを解除して鍵の取り出しを許可し(ステップS406)、選択された鍵交換の目的とカードIDとを対応付けて鍵交換履歴データ17dを更新して(ステップS407)、処理を終了する。なお、鍵交換の目的を選択する入力を受け付けなければ(ステップS405;No)、鍵交換管理部18eは、そのまま処理を終了する。
【0120】
次に、鍵交換に係る操作画面例について説明する。
図19は、鍵交換に係る操作画面例の説明図である。
図19(a)は、表示操作部11の管理メニュー画面を示している。この管理メニュー画面では、「1.精査」ボタン、「2.登録」ボタン、「3.削除」ボタン、「4.時刻設定」ボタン及び「5.鍵交換」ボタンが表示される。
【0121】
「5.鍵交換」ボタンに対する操作を受付けると、表示操作部11には、
図19(b)に示すホルダー指定画面が表示される。このホルダー指定画面では、「ホルダーを指定して下さい」とのメッセージとともに、ホルダー収納部番号を入力するための数字ボタンなどが表示される。また、ホルダー収納部番号の一覧を表示するようにしてもよい。
【0122】
ホルダー収納部番号の入力により、ホルダーを指定する操作が行われると、表示操作部11には、
図19(c)に示す目的選択画面が表示される。この目的選択画面では、「1.破損」ボタン、「2.装置入替」ボタン及び「3.構成変更」ボタン、「戻る」ボタン及び「確定」ボタンが表示される。操作員が目的を示すボタンが操作し、「確定」ボタンを操作すると、目的の選択が確定する。なお、「戻る」ボタンを操作すると、
図19(c)の管理メニュー画面に戻る。
【0123】
次に、鍵使用予定の管理に係る処理手順について説明する。
図20は、鍵使用予定の管理に係る処理手順を示すフローチャートである。鍵使用予定管理部18fは、その時点の日時に基づいて鍵使用予定データ17eを参照し、予定日時の判定を行う(ステップS501)。
【0124】
鍵使用予定データ17eに登録されたいずれか予定についても予定日時に到達していなければ(ステップS502;No)、ステップS501に移行し、予定日時の判定を行う。
【0125】
鍵使用予定データ17eに登録されたいずれかの予定について予定日時に到達したならば(ステップS502;Yes)、鍵使用予定管理部18fは、予定日時に到達した予定について、使用強制設定が「強制」に設定されているか否かを判定する(ステップS503)。
【0126】
使用強制設定が「強制」に設定されていない場合(ステップS503;No)、鍵使用予定管理部18fは、予定に対応するホルダーのロックを解除し(ステップS504)、報知を行う(ステップS505)。その後、カードリーダ12がカードIDを読み取ったならば(ステップS506)、カードIDの認証を行って報知を解除する(ステップS507)。
【0127】
ステップS507の後、スキップ操作が行われたならば(ステップS508;Yes)、スキップ設定に基づいて次の予定を設定し(ステップS511)、ステップS501に移行する。また、ステップS507の後、スキップ操作が行われず(ステップS508;No)、ホルダー14の取出を検知したならば(ステップS509)、鍵貸出履歴データ17bを更新し(ステップS510)、処理を終了する。
【0128】
一方、使用強制設定が「強制」に設定されている場合(ステップS503;Yes)、鍵使用予定管理部18fは、予定に対応するホルダーのロックを解除し(ステップS512)、報知を行う(ステップS513)。その後、カードリーダ12がカードIDを読み取ってカードIDの認証を行う(ステップS514)。ホルダー14の取出を検知したならば(ステップS515)、報知を解除して(ステップS516)、鍵貸出履歴データ17bを更新し(ステップS510)、処理を終了する。
【0129】
この処理手順では、使用強制設定が「強制」にされていなければ、操作員は報知が解除された後に、ホルダー14を取り出すか、スキップ操作を行うかを選択できる。一方、使用強制設定が「強制」にされている場合には、ホルダー14を取り出すまで報知の解除が行われず、操作員に確実にホルダー14の取出を行わせることができる。なお、スキップ操作により次の予定を設定する場合には、次の予定について使用強制設定を「強制」に設定することも可能である。
【0130】
次に、セット使用における操作例について説明する。
図21は、セット使用における操作例の説明図である。
図21(a)に示す表示操作部11の操作画面では、ホルダー14の取出時に「個別使用」と「セット使用」のいずれかを選択可能である。
【0131】
「セット使用」が選択されたならば、表示操作部11は、
図21(b)に示すように、セット使用の目的を選択する操作画面を表示する。この操作画面では、「ATM現金回収」ボタン、「貨幣入出金機現金回収」ボタン、「次へ」ボタンが表示されている。「次へ」ボタンを操作すると、他の目的を選択する画面に移行する。
【0132】
「ATM現金回収」ボタンが操作されると、
図21(c)に示すように、「03のホルダーを取り出して下さい(ATM扉鍵)」とのメッセージが表示される。また、鍵収納庫10bでは、ホルダー収納部番号「03」のロックが解除され、対応するランプが点灯する。
【0133】
ホルダー収納部番号「03」のホルダー14が取り出されると、
図21(d)に示すように、「04のホルダーを取り出して下さい(ATM現金鍵)」とのメッセージが表示される。また、鍵収納庫10bでは、ホルダー収納部番号「04」のロックが解除され、対応するランプが点灯する。
【0134】
上述してきたように、本実施例2に係る鍵管理システムでは、鍵管理装置110は、鍵交換目的リストを記憶し、目的の入力を条件に鍵交換を許可し、鍵交換の履歴を入力された目的に対応付けて保持する。このため、鍵交換の履歴を厳正に管理し、不正な鍵の交換を防止することができる。
【0135】
また、鍵管理装置110は、鍵の使用予定を監理し、予定日時に報知を行うことで、鍵の適切な運用を支援することができる。なお、本実施例2では、予定の日時となった場合に報知を行う例を説明したが、予定の日時から所定時間前に鍵の取出しが行われた場合には、対応する予定についての報知を行わないこととしてもよい。さらに、過去の使用履歴に基づいて、予定日時を設定可能としてもよい。
【0136】
また、鍵管理装置110は、複数のホルダー14に保持された鍵を組み合わせて使用するセット使用を管理し、組み合わせに属するホルダー14を規定の順序に従って取り出させることで、ホルダー14の取り出し忘れや取り出し間違いを防止することができる。
【0137】
また、鍵管理装置110は、貸出時間の上限を超えた長時間使用が発生した場合に理由の入力を受け付けて長時間使用の履歴を管理することができる。さらに、貸出時間の上限を超える前に予告報知を行うことで、長時間使用の発生頻度を削減することができる。
【0138】
なお、上記実施例1及び実施例2では、銀行等の金融機関の店舗における鍵管理システムを例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の鍵を管理する鍵管理システムに広く適用することができる。
【0139】
また、上記実施例1及び実施例2では、管理サーバ20が鍵管理マスタを生成し、鍵管理装置に配信する構成を例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の構成を採ることができる。例えば、鍵管理装置に管理サーバの機能を持たせてもよい。この構成では、管理者端末30が鍵管理装置に接続されることになる。
【0140】
また、鍵管理装置は固定して設置される必要は無く、可搬型の鍵管理装置に本発明を適用してもよい。
【0141】
また、上述の実施例1及び実施例2で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成であることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。