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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002959
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】高架道路のフェンス構造
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
E01F8/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103830
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】518401085
【氏名又は名称】株式会社トモエ
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(74)【代理人】
【識別番号】100187908
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 康平
(72)【発明者】
【氏名】皷谷 洋
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA01
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB03
2D001DA04
(57)【要約】
【課題】高架道路における車両の走行安全性を改善することが可能な高架道路のフェンス構造を提供する。
【解決手段】高架道路のフェンス構造は、カーブおよびカーブの入口に繋がる直線部を含む高架道路において、道幅方向の側部に設けられるものである。このフェンス構造は、路面に直交する主面を有する不透明な板部材を含むフェンスを複数備えている。フェンスは、カーブの内側に位置する上記側部に沿って間隔を空けて並べて設置されている。フェンスは、路面を路面に垂直な方向に見て、カーブまたは直線部における第1地点とカーブにおける地点であって制動距離よりも長い第1の距離だけ第1地点よりも進行方向の前方に位置する第2地点とを結ぶと共に隣接するフェンスの間を通過する仮想の直線と重ならないように、進行方向の前方に位置する前端が進行方向の後方に位置する後端よりもカーブの内側に位置するように板部材が進行方向に対して傾斜している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブおよび前記カーブの入口に繋がる直線部を含む高架道路において、道幅方向の側部に設けられるフェンス構造であって、
路面に直交する主面を有する不透明な板部材を含むフェンスを複数備え、
前記フェンスは、前記カーブの内側に位置する前記側部に沿って間隔を空けて並べて設置されており、
前記フェンスは、前記路面を前記路面に垂直な方向に見て、前記カーブまたは前記直線部における第1地点と前記カーブにおける地点であって制動距離よりも長い第1の距離だけ前記第1地点よりも進行方向の前方に位置する第2地点とを結ぶと共に隣接する前記フェンスの間を通過する仮想の直線と重ならないように、前記進行方向の前方に位置する前端が前記進行方向の後方に位置する後端よりも前記カーブの内側に位置するように前記板部材が前記進行方向に対して傾斜している、高架道路のフェンス構造。
【請求項2】
前記フェンスは、前記路面に垂直な方向に延びる支柱をさらに含み、
前記板部材は、前記支柱の外周面から径方向外向きに延びており、
前記支柱は、中心軸の周りに回動可能且つ固定可能である、請求項1に記載の高架道路のフェンス構造。
【請求項3】
複数の前記フェンスは、第1フェンスと、前記第1フェンスに対して前記進行方向の後方に隣接する第2フェンスと、を含み、
前記第1フェンスの前記後端は、前記道幅方向に見て、前記第2フェンスの前記前端に対して重ならない、請求項2に記載の高架道路のフェンス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高架道路のフェンス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高架道路の道幅方向の側部には、車両の走行に起因する騒音の防止や目隠しなどの目的でフェンスが設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、フェンス体と、当該フェンス体が取り付けられる支柱とを備えた高速道路用ルーバーフェンスが記載されている。このルーバーフェンスは、道路の側壁に沿って設置されている。当該フェンス体は、水平方向に延びる複数の羽根板と、垂直方向に延びる複数の掛止棒とを有しており、これらの羽根板および掛止棒が格子状に組み合わされたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-21025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高架道路では、事故車両や故障車両などが路上で停止している場合がある。ここで、特許文献1のように道路の側壁に沿ってフェンスが設置されている場合でも、道路の直線部では走行車両と停止車両との間に運転者の視界を遮るものがないため、運転者は後方の遠い地点から停止車両を認識することができる。一方、車両がカーブの途中で停止している場合には、フェンスが道路の側壁に沿って設けられていると、後方の遠い地点から停止車両を認識するのが困難になる場合がある。したがって、従来の高架道路のフェンス構造では、車両の走行安全性について改善の余地がある。
【0006】
本開示の目的は、高架道路における車両の走行安全性を改善することが可能な高架道路のフェンス構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った高架道路のフェンス構造は、カーブおよびカーブの入口に繋がる直線部を含む高架道路において、道幅方向の側部に設けられるフェンス構造である。このフェンス構造は、路面に直交する主面を有する不透明な板部材を含むフェンスを複数備えている。フェンスは、カーブの内側に位置する上記側部に沿って間隔を空けて並べて設置されている。フェンスは、路面を路面に垂直な方向に見て、カーブまたは直線部における第1地点とカーブにおける地点であって制動距離よりも長い第1の距離だけ第1地点よりも進行方向の前方に位置する第2地点とを結ぶと共に隣接するフェンスの間を通過する仮想の直線と重ならないように、進行方向の前方に位置する前端が進行方向の後方に位置する後端よりもカーブの内側に位置するように板部材が進行方向に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、高架道路における車両の走行安全性を改善することが可能な高架道路のフェンス構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る高架道路のフェンス構造を模式的に示す平面図である。
図2図2は、フェンスの構成を詳細に示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態2に係る高架道路のフェンス構造を説明するための斜視図である。
図4図4は、実施の形態3に係る高架道路のフェンス構造を説明するための平面図である。
図5図5は、実施の形態3に係る高架道路のフェンス構造における支柱を示す斜視図である。
図6図6は、実施の形態3に係る高架道路のフェンス構造における筒状体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
本開示に従った高架道路のフェンス構造は、カーブおよびカーブの入口に繋がる直線部を含む高架道路において、道幅方向の側部に設けられるフェンス構造である。このフェンス構造は、路面に直交する主面を有する不透明な板部材を含むフェンスを複数備えている。フェンスは、カーブの内側に位置する上記側部に沿って間隔を空けて並べて設置されている。フェンスは、路面を路面に垂直な方向に見て、カーブまたは直線部における第1地点とカーブにおける地点であって制動距離よりも長い第1の距離だけ第1地点よりも進行方向の前方に位置する第2地点とを結ぶと共に隣接するフェンスの間を通過する仮想の直線と重ならないように、進行方向の前方に位置する前端が進行方向の後方に位置する後端よりもカーブの内側に位置するように板部材が進行方向に対して傾斜している。
【0011】
上記フェンス構造では、フェンスは、第1地点と第2地点とを結ぶと共に隣接するフェンスの間を通過する仮想の直線と重ならないように、前端が後端よりもカーブの内側に位置するように板部材が進行方向に対して傾斜している。これにより、第1地点を走行中の車両の運転者は、隣接するフェンスの間から第2地点を視認することができるため、第2地点に車両が停止している場合に、その停止車両を第1の距離だけ後方に離れた地点から認識することができる。したがって、上記フェンス構造によれば、停止車両との衝突を回避することができるため、高架道路における車両の走行安全性を改善することができる。しかも、板部材が不透明であるため、高架道路の周辺環境に対する目隠し板としてフェンスを利用することもできる。
【0012】
ここで、「制動距離よりも長い第1の距離」とは、高架道路を走行中の車両がブレーキ動作を行ったときに安全に停止するために必要且つ十分に長い距離を意味する。また「板部材が不透明」とは、可視光について入射光に対する透過光の強度の比率が10%以下であることを意味する。
【0013】
上記高架道路のフェンス構造において、フェンスは、路面に垂直な方向に延びる支柱をさらに含んでいてもよい。板部材は、支柱の外周面から径方向外向きに延びていてもよい。支柱は、中心軸の周りに回動可能且つ固定可能であってもよい。この構成によれば、支柱を中心軸の周りに回動させた後固定することにより、板部材が進行方向に対して成す傾斜角度を容易に変更することができる。
【0014】
上記高架道路のフェンス構造において、複数のフェンスは、第1フェンスと、第1フェンスに対して進行方向の後方に隣接する第2フェンスと、を含んでいてもよい。第1フェンスの後端は、道幅方向に見て、第2フェンスの前端に対して重ならなくてもよい。この構成によれば、例えば強風などの影響によって支柱が意図せず回動した場合でも、第1フェンスの後端と第2フェンスの前端とが衝突するのを回避することができる。したがって、フェンスの破損を防ぐことができる。
【0015】
[実施形態の具体例]
次に、本開示に従った高架道路のフェンス構造の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る高架道路のフェンス構造1(以下、単に「フェンス構造1」とも称する)の構成を示す平面図である。このフェンス構造1は、例えば高速自動車国道や自動車専用道路などの高架道路100において、道幅方向D1の側部に設けられる。図1に示すように、高架道路100は、カーブ101と、カーブ101の入口101Aに繋がる直線部102とを含む。カーブ101は、所定の曲率半径を有しており、図1中の左向きに曲がっている。図1に示すように、フェンス構造1は、高架道路100の道幅方向D1の両側部のうちカーブ101の内側に位置する側部(図1中の左側の側部)に設けられている。
【0017】
直線部102は、進行方向D2に直線状に延びている。図1に示すように、直線部102は、車両が走行する路面103Aを含むと共に進行方向D2に直線状に延びる直線車道部103と、道幅方向D1において直線車道部103よりもカーブ101の内側(図1中の左側)に設けられた直線側壁部104とを含む。直線側壁部104は、直線車道部103に沿って進行方向D1に延びている。直線側壁部104は、路面103Aよりも鉛直方向の上側まで立ち上がるように設けられている。同様に、カーブ101は、路面105Aを含むカーブ車道部105と、道幅方向D1においてカーブ車道部105よりもカーブ101の内側に設けられたカーブ側壁部106とを含む。直線車道部103は、カーブ車道部105の入口に繋がっている。直線側壁部104とカーブ側壁部106とは、略同じ高さを有しており、進行方向D2に連続している。
【0018】
フェンス構造1は、複数のフェンス10を備えている。図1に示すように、複数のフェンス10は、高架道路100のうちカーブ101の内側に位置する側部(直線側壁部104およびカーブ側壁部106)に沿って進行方向D2に間隔を空けて並べて設置されている。
【0019】
図2は、直線側壁部104上に設置されたフェンス10の構成を詳細に示す斜視図である。図2に示すように、フェンス10は、支柱20と、板部材30とを含む。支柱20は、例えば円柱形状を有しており、路面103Aに垂直な方向(鉛直方向D3)に延びている。より具体的には、支柱20の下端部は、直線側壁部104の上面104Aから当該直線側壁部104の内部に挿入されている。支柱20は、鉛直方向D3に延びる中心軸C1を有しており、当該中心軸C1の周りに回動可能且つ固定可能となっている。
【0020】
板部材30は、路面103Aに直交する主面を有しており、支柱20の外周面から径方向外向きに延びている。図2に示すように、板部材30は、鉛直方向D3に長い長方形の第1板部31および第2板部32を含む。第1板部31は、支柱20よりも路面103Aの近くに位置しており、一方の長辺部が支柱20の外周面に取り付けられている。一方、第2板部32は、第1板部31と略同じ大きさを有しており、支柱20よりも路面103Aから遠くに位置している。第2板部32は、支柱20の外周面のうち第1板部31の長辺部が取り付けられる部分から見て中心軸C1の周りの周方向に180°ずれた部分に対して、一方の長辺部が取り付けられている。第1板部31のうち他方の長辺部(支柱20と反対側の長辺部)が、フェンス10の後端12である。一方、第2板部32のうち他方の長辺部(支柱20と反対側の長辺部)が、フェンス10の前端11である。第1板部31および第2板部32は、例えば金属材料などの不透明な材料からなる。本実施の形態では、第1板部31および第2板部32は、溶接によって支柱20の外周面に接合されているが、接合方法はこれに限定されない。
【0021】
図1に示すように、フェンス10は、路面103A,105Aを当該路面103A,105Aに垂直な方向に見て、進行方向D2の前方に位置する前端11が進行方向D2の後方に位置する後端12よりもカーブ101の内側に位置するように板部材30が進行方向D2に対して傾斜している。すなわち、図1の平面視において、フェンス10の前端11と後端12とを結ぶ直線が、進行方向D2(直線側壁部104およびカーブ側壁部106内に描かれた一点鎖線)に対して傾斜角θ(鋭角)を成している。上記の通り、フェンス10の支柱20(図2)は、中心軸C1の周りに回動可能であり、当該支柱20を中心軸C1の周りに回動させることにより、傾斜角θ(図1)の大きさを変更することができる。このように、複数のフェンス10を直線側壁部104およびカーブ側壁部106上に設置することにより、カーブ101または直線部102における第1地点P1とカーブ101における第2地点P2とを結ぶと共に隣接するフェンス10の間を通過する仮想の直線(図1中の破線矢印)が、フェンス10と重ならないようになっている。第1地点P1は、直線車道部103およびカーブ車道部105のうち最も内側の車線(直線側壁部104およびカーブ側壁部106に近い車線)における地点である。第2地点P2は、直線車道部103およびカーブ車道部105に沿って、制動距離よりも長い第1の距離だけ第1地点P1よりも進行方向D2の前方に位置する地点である。なお、第1地点P1は、カーブ101および直線部102における任意の地点であり、カーブ101および直線部102におけるどの地点を第1地点P1として定めた場合でも、上記仮想の直線がフェンス10と重ならないようになっている。
【0022】
複数のフェンス10は、第1フェンス10Aと、当該第1フェンス10Aに対して進行方向D2の後方に隣接する第2フェンス10Bとを含む。本実施の形態では、図1に示すように、第1フェンス10Aの後端12は、道幅方向D1に見て、第2フェンス10Bの前端11に対して重ならない。すなわち、第1フェンス10Aの後端12は、第2フェンス10Bの前端11よりも進行方向D2の前方に位置している。
【0023】
以上の通り、本実施の形態に係るフェンス構造1では、フェンス10は、第1地点P1と第2地点P2とを結ぶと共に隣接するフェンス10の間を通過する仮想の直線と重ならないように、前端11が後端12よりもカーブ101の内側(道幅方向D1の外側)に位置するように板部材30が進行方向D2に対して傾斜している。このため、第1地点P1を走行中の車両の運転者は、隣接するフェンス10の間から第2地点P2を視認することができる。よって、第2地点P2に車両が停止している場合に、その停止車両を第1の距離だけ後方に離れた第1地点P1から認識することができる。したがって、このフェンス構造1によれば、停止車両との衝突を回避することができるため、高架道路100における車両の走行安全性を改善することができる。しかも、板部材30が不透明な材料からなるため、高架道路100の周辺環境に対する目隠し板としてフェンス10を利用することもできる。具体的には、図1に示すように、道幅方向D1において直線部102の側方に位置するビルB1内の人に対する目隠し板として、フェンス10を機能させることができる。
【0024】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る高架道路のフェンス構造2(以下、単に「フェンス構造2」とも称する)について説明する。実施の形態2に係るフェンス構造2は、基本的に上記実施の形態1に係るフェンス構造1と同様の構成を備え且つ同様の効果を奏するものであるが、支柱20の上端部に取り付けられる上板40をさらに備える点で上記実施の形態1に係るフェンス構造1とは異なっている。以下、上記実施の形態1に係るフェンス構造1と異なる点についてのみ説明する。
【0025】
図3は、実施の形態2に係るフェンス構造2を示す斜視図であり、図2に対応する。図3に示すように、フェンス構造2は、支柱20の上端部に取り付けられた上板40を備えている。上板40は、直線側壁部104およびカーブ側壁部106(図1)に対して鉛直方向D3に対向し、且つ直線側壁部104およびカーブ側壁部106と略同じ幅を有している。支柱20の上端部は、上板40内に挿入されている。
【0026】
本実施の形態では、上板40を設けることにより、上記実施の形態1(図2)に比べて支柱20をより安定させることができる。また上板40は、進行方向D2に沿って複数枚設けられ、隣接する上板40同士が互いに連結されていてもよい。
【0027】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る高架道路のフェンス構造(以下、単に「フェンス構造」とも称する)について説明する。図4は、本実施の形態に係るフェンス構造を構成する1枚のフェンス10を鉛直方向に見た平面図である。図4に示すように、本実施の形態におけるフェンス10は、支柱51と、筒状体52と、板部材53とを含む。
【0028】
支柱51は、鉛直方向D3に延びている。支柱51は、下端部が直線側壁部104(図2)内に挿入されており、直線側壁部104に固定されている。図5は、支柱51を示す斜視図である。図5に示すように、支柱51は、例えば円柱形状の柱本体51Aと、柱本体51Aの外周面から径方向外向きに突出する複数の凸部51Bとを含む。凸部51Bは、柱本体51Aよりも低く、周方向に等間隔を空けて設けられている。
【0029】
図6は、筒状体52の斜視図である。筒状体52は、支柱51と略同じ高さの円筒形状を有しており、その中空部52Aに支柱51が配置されている。図6に示すように、筒状体52の内周面には、凸部51B(図5)を挿入可能な大きさの凹部52Bが径方向外向きに凹むように複数形成されている。凹部52Bは、筒状体52の高さ方向の全体に亘って形成されている。
【0030】
図4を参照して、板部材53は、上記実施の形態1と同様に、鉛直方向に長い長方形の第1板部53Aおよび第2板部53Bを含む。第1板部53Aは、長辺部が筒状体52の外周面に対して溶接により接合されている。一方、第2板部53Bは、筒状体52の外周面のうち第1板部53Aが溶接される部分から見て周方向に180°ずれた部分に対して、長辺部が溶接されている。
【0031】
本実施の形態におけるフェンス10によれば、以下のようにして、進行方向に対する板部材53の傾斜角θ(図4)を変更することができる。すなわち、まず、筒状体52の下端面が凸部51Bの上端よりも上側に位置するまで筒状体52を上げる。これにより、凸部51Bが凹部52Bから抜けた状態となる。この状態で、筒状体52をその中心軸の周りに回動させることにより、板部材53の傾斜角θが変更される。そして、傾斜角θが変更された後、筒状体52を下ろし、凸部51Bを凹部52Bに挿入する。これにより、筒状体52の回動が阻止される状態となり、傾斜角θが固定される。このように、本実施の形態に係るフェンス構造によれば、凸部51Bと凹部52Bとの嵌り合いによって傾斜角θを固定すると共に、当該傾斜角θを容易に変更することもできる。
【0032】
(その他実施の形態)
ここで、その他実施の形態について説明する。上記実施の形態では、板部材30が支柱20の外周面に溶接される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、板部材は、長方形の一対の板部を含み、当該一対の板部によって支柱20が挟まれていてもよい。
【0033】
支柱20が回動可能である場合に限定されず、フェンス10の傾斜角θが固定されていてもよい。また第1フェンス10Aの後端12と第2フェンス10Bの前端11とが、道幅方向D1に見て互いに重なっていてもよい。この場合、高架道路100の周辺環境に対する目隠しの効果をより高めることができる。
【0034】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1 高架道路のフェンス構造、10 フェンス、10A 第1フェンス、10B 第2フェンス、11 前端、12 後端、20 支柱、30 板部材、31 第1板部、32 第2板部、40 上板、51 支柱、51A 柱本体、51B 凸部、52 筒状体、52A 中空部、52B 凹部、53 板部材、53A 第1板部、53B 第2板部、100 高架道路、101 カーブ、101A 入口、102 直線部、103 直線車道部、103A 路面、104 直線側壁部、104A 上面、105 カーブ車道部、105A 路面、106 カーブ側壁部、B1 ビル、C1 中心軸、D1 道幅方向、D2 進行方向、D3 鉛直方向、P1 第1地点、P2 第2地点、θ 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブおよび前記カーブの入口に繋がる直線部を含む高架道路において、道幅方向の側部に設けられるフェンス構造であって、
路面に直交する主面を有する不透明な板部材を含むフェンスを複数備え、
前記フェンスは、前記カーブの内側に位置する前記側部に沿って間隔を空けて並べて設置されており、
前記フェンスは、進行方向の前方に位置する前端が前記進行方向の後方に位置する後端よりも前記カーブの内側に位置するように前記板部材が前記進行方向に対して傾斜しており、
複数の前記フェンスは、第1フェンスと、前記第1フェンスに対して前記進行方向の後方に隣接する第2フェンスと、を含み、
前記第1フェンスの前記後端と前記第2フェンスの前記前端とが、前記道幅方向に見て、互いに重なるよう位置している、
高架道路のフェンス構造。
【請求項2】
前記フェンスは、前記路面に垂直な方向に延びる支柱をさらに含み、
前記板部材は、前記支柱の外周面から径方向外向きに延びており、
前記支柱は、中心軸の周りに回動可能且つ固定可能である、請求項1に記載の高架道路のフェンス構造。