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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029616
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】タッチパネル装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/045 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
G06F3/045 G
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003526
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2019061858の分割
【原出願日】2019-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】牧内 祐仁
(72)【発明者】
【氏名】上野 豊
(57)【要約】
【課題】 入力座標の検出精度を向上したタッチパネル装置を提供する。
【解決手段】 タッチパネル装置は、台形形状の第1抵抗膜と、前記台形形状の底辺である前記第1抵抗膜の一組の対辺に沿う一組の電極と、タッチ入力に応じて前記第1抵抗膜と接触し、前記一組の電極の間の電圧により前記第1抵抗膜との接触位置に応じた電位を有する第2抵抗膜とを有し、前記第1抵抗膜は、前記一組の電極の間をそれぞれ結ぶ複数の膜片に分割されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台形形状の第1抵抗膜と、
前記台形形状の底辺である前記第1抵抗膜の一組の対辺に沿う一組の電極と、
タッチ入力に応じて前記第1抵抗膜と接触し、前記一組の電極の間の電圧により前記第1抵抗膜との接触位置に応じた電位を有する第2抵抗膜とを有し、
前記第1抵抗膜は、前記一組の電極の間をそれぞれ結ぶ複数の膜片に分割されていることを特徴とするタッチパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜方式のタッチパネル装置は、タッチ入力時、一対の抵抗膜が互いに接触した位置に応じた電位を生ずることによりタッチ座標を検出する(例えば特許文献1)。タッチパネル装置の用途の多様化に伴い、タッチ入力の領域が通常の正方形や長方形状ではなく、台形形状であるタッチパネル装置が求められている。
【0003】
これに対し、例えば正方形または長方形の抵抗膜の一部をカバーなどで覆うことによりタッチ入力の領域を台形形状とする手段が用いられる。例えば特許文献2には、台形形状の静電容量結合型座標入力パネルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-110223号公報
【特許文献2】特開2011-8757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の手段によると、抵抗膜に未使用の部分が存在するため、無駄な部分が生ずるだけでなく、タッチパネル装置のサイズを小型化することが難しい。この問題は、抵抗膜を台形形状とすれば回避されるが、台形形状に合わせた電極の配置によって抵抗膜の電位分布が歪むため、タッチ入力された座標(以下、「入力座標」と表記)の検出精度が低下するおそれがある。
【0006】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、入力座標の検出精度を向上したタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、タッチパネル装置は、台形形状の第1抵抗膜と、前記台形形状の底辺である前記第1抵抗膜の一組の対辺に沿う一組の電極と、タッチ入力に応じて前記第1抵抗膜と接触し、前記一組の電極の間の電圧により前記第1抵抗膜との接触位置に応じた電位を有する第2抵抗膜とを有し、前記第1抵抗膜は、前記一組の電極の間をそれぞれ結ぶ複数の膜片に分割されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、タッチパネル装置の入力座標の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】タッチパネル装置の一例を示す構成図である。
図2】タッチパネルの一例を示す構成図である。
図3】比較例の上部抵抗膜を示す図である。
図4】実施例の上部抵抗膜を示す図である。
図5】比較例の下部抵抗膜を示す図である。
図6】実施例の下部抵抗膜を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(タッチパネル装置の構成)
図1は、タッチパネル装置の一例を示す構成図である。タッチパネル装置は、タッチパネル100と、ディスプレイ101と、制御装置6とを備える。
【0011】
タッチパネル100は、抵抗膜方式であり、使用者からタッチ入力を受ける入力面を備える。ディスプレイ101は、例えば液晶モニタであり、正面視でタッチパネル100の入力面に重複する表示面を備える。
【0012】
制御装置6は、例えばマイクロコントローラであり、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ4と、プロセッサ4が実行するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)50と、ワークメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)51と、通信ポート52とを有する。プロセッサ4は、タッチパネル100及びディスプレイ101に接続され、また、バス60を介してROM50、RAM51、及び通信ポート52と接続されている。
【0013】
プロセッサ4は、電源投入時、ROM50からプログラムを読み込むと、機能として、制御部40、検出部41、及び表示部43が形成される。制御部40は、例えば、タッチパネル100を駆動するスイッチを制御する。検出部41は、タッチパネル100の入力面内の入力座標を、タッチパネル100の電位に基づき検出する。表示部43は、ディスプレイ101の表示処理を行う。
【0014】
プロセッサ4は、通信ポート52を介してホスト装置と通信する。ホスト装置は、例えばタッチパネル装置を用いるアプリケーションを実行するコンピュータである。
【0015】
検出部41は、入力座標をホスト装置に通知する。例えばホスト装置は、入力座標に応じた表示データを表示部43に出力し、表示部43は表示データの画像をディスプレイ101に表示する。
【0016】
(タッチパネル100の構成)
図2は、タッチパネル100の一例を示す構成図である。タッチパネル100は、互いに対向する上部抵抗膜10、下部抵抗膜20、電極11,12,21,22、接続部23a,23b、透明基材13,24、及びスイッチ31,32,34,35を備えている。なお、座標系に関し、電極11,12に平行な方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とする。
【0017】
透明基材14,24は、例えば台形形状のPET(Polyethylene Terephthalate)フィルムである。一方の透明基材14の表面には上部抵抗膜10及び電極11,12が設けられ、他方の透明基材24の表面には下部抵抗膜20、接続部23a,23b、及び電極21,22が設けられている。
【0018】
上部抵抗膜10及び下部抵抗膜20は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)などの透明な薄膜により形成され、台形形状を有している。なお、上部抵抗膜10は第1抵抗膜の一例であり、下部抵抗膜20は第2抵抗膜の一例である。また、上部抵抗膜10及び下部抵抗膜20の上下方向の配置に限定はない。
【0019】
スイッチ31,32,34,35としては、トランジスタを挙げるが、これに限定されない。スイッチ31,32,34,35は、ベースが制御部40に接続されており、制御部40によりオンオフ制御される。
【0020】
上部抵抗膜10のY方向の両端には一組の電極11,12がそれぞれ設けられている。電極11,12は、例えばITOの薄膜により形成されている。上部抵抗膜10は、電極11,12の間をそれぞれ結ぶ帯状の複数の膜片10aに分割されている。
【0021】
電極11には、スイッチ31のコレクタ及び検出部41が接続されている。スイッチ31のエミッタは接地されている。電極12には、スイッチ32のコレクタが接続されており、スイッチ32のエミッタには、電源電圧Vccが印加されている。
【0022】
下部抵抗膜20のX方向の両端には、一組の電極21,22がそれぞれ設けられている。電極21,22は、接続部23a,23bを介し下部抵抗膜20にそれぞれ接続されている。
【0023】
接続部23a,23bは、例えばITOなどの透明な薄膜により形成されている。電極22には、スイッチ35のコレクタが接続されており、スイッチ35のエミッタには、電源電圧Vccが印加されている。電極21には、検出部41及びスイッチ34のコレクタが接続されている。スイッチ34のエミッタは接地されている。
【0024】
上部抵抗膜10及び下部抵抗膜20は、不図示のドットスペーサーを挟んで対向するように重ね合わされている。入力面Sを正面視したとき、上部抵抗膜10及び下部抵抗膜20の台形形状は重なり合う。上部抵抗膜10及び下部抵抗膜20は、ドットスペーサーの厚みで規定される間隔だけ離れており、タッチペンなどによるタッチ入力に応じて互いに接触する。このとき、上部抵抗膜10及び下部抵抗膜20の接触点Pの座標は、タッチ入力による入力面S内の入力座標に一致する。
【0025】
検出部41は、接触点PのX座標をX方向における下部抵抗膜20の電位勾配Vxに基づき検出し、接触点PのY座標をY方向における上部抵抗膜10の電位勾配Vyに基づき検出する。
【0026】
制御部40は、接触点PのY座標を検出するとき、スイッチ31,32をオンし、スイッチ34,35をオフする。これにより、上部抵抗膜10の電極11,12間に電源電圧Vccが印加されるので、Y方向に電位勾配Vyが発生する。このため、下部抵抗膜20は、電源電圧Vccにより接触点PのY座標に応じた電位を有する。検出部41は接触点Pの電位を、下部抵抗膜20を介し取得する。
【0027】
また、制御部40は、接触点PのX座標を検出するとき、スイッチ34,35をオンし、スイッチ31,32をオフする。これにより、下部抵抗膜20の電極21,22間に電源電圧Vccが印加されるので、X方向に電位勾配Vxが発生する。このため、上部抵抗膜10は、電源電圧Vccにより接触点PのX座標に応じた電位を有する。検出部41は、接触点Pの電位を、上部抵抗膜10を介し取得する。
【0028】
検出部41は、接触点PのX方向及びY方向の各電位をデジタル値に変換し、変換後の値に基づいて接触点PのX座標及びY座標を検出する。X座標及びY座標は、電源電圧Vccに対する各電位の比から電極11,12,21,22間の距離に基づいて算出される。
【0029】
例えば制御部40は、接触点PのX座標を検出する状態と、接触点PのY座標を検出する状態とを、例えば一定の周期で切り替える。このため、スイッチ31,32の組とスイッチ34,35の組は交互にオンオフされる。
【0030】
上部抵抗膜10及び下部抵抗膜20は、以下に述べる構成によりY方向及びX方向に対して電位がそれぞれ線形的に変化するため、接触点の座標を高精度に検出することが可能となる。これに対し、比較例の上部抵抗膜10’及び下部抵抗膜20’は、Y方向及びX方向に対して電位がそれぞれ非線形的に変化するため、接触点の座標を高精度に検出することが難しい。
【0031】
(比較例の上部抵抗膜10’)
図3は、比較例の上部抵抗膜10’を示す図である。符号G1aは、上部抵抗膜10’の平面図を示し、符号G1bは、Y座標に対する上部抵抗膜10’の電位Eyの変化を示す。
【0032】
上部抵抗膜10’は、実施例の上部抵抗膜10と同様に、台形形状を有し、Y方向の端部に電極11,12が設けられている。電極11,12は、台形形状の底辺である上部抵抗膜10’の一組の対辺に沿って設けられている。例えば電極11は台形形状の下底に沿っており、電極12は台形形状の上底に沿っている。このため、X方向において電極11は電極12より長い。また、上部抵抗膜10’は、実施例の上部抵抗膜10とは異なり、複数の膜片10aに分割されていない。なお、電極11,12は、X方向の中心が揃っているが、ずれていてもよい。
【0033】
電極11,12間に電源電圧Vccが印加されると、上部抵抗膜10’にはY方向に沿った電位勾配Vyが生ずる。電極11が高電位側であり、電極12が低電位側である場合、上部抵抗膜10’内の電位分布は、Y方向の負側に凸な等電位線Ly’により表される。
【0034】
電極11,12は長さが相違するため、電極11,12間の距離は、電極11,12上の位置に応じて異なる。例えば、電極11,12の中央近傍の位置間の距離d2は、電極11,12の端部近傍の位置間の距離d1より短い。このため、上部抵抗膜10’には、電位EyがY座標に対して非線形的に変化する部分がある。
【0035】
特性Px1は、電極12の端部近傍のX座標x1における電位Eyの変化を示し、特性Px2は、電極11,12の中心近傍のX座標x2(>x1)における電位Eyの変化を示す。特性Px1,Px2のY座標の範囲はYAからYB(>YA)までである。
【0036】
特性Px1で電位EyはY座標に対して線形的に変化するが、特性Px2で電位EyはY座標に対して非線形的に変化する。このため、Y座標YCが同一であるにも関わらず、X座標x1,x2に応じて電位Eyが相違する。例えば、Y座標YCの接触点Pにおける電位Eyは、X座標がx1である場合、Ec1となり、X座標がx2である場合、Ec2(>Ec1)となる。
【0037】
したがって、検出部41は、電位Eyから接触点PのY座標を正確に検出することができない。
【0038】
(実施例の上部抵抗膜10)
図4は、実施例の上部抵抗膜10を示す図である。符号G2aは、上部抵抗膜10の平面図を示し、符号G2bは、Y座標に対する上部抵抗膜10の電位Eyの変化を示す。図4において、図3と共通する構成及び座標などには同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
上部抵抗膜10は、比較例の上部抵抗膜10’とは異なり、電極11,12の間をそれぞれ結ぶ複数の膜片10aに分割されている。膜片10aは、例えば製造工程において透明基材13上に上部抵抗膜10が形成された後、上部抵抗膜10をエッチングすることにより得られる。エッチングにより各膜片10aの間には、例えば一定の間隔が設けられるため、各膜片10aは、電極11,12だけを介し互いに電気的に接続される。
【0040】
膜片10aは、Y方向の両端の幅が異なるため、台形形状を有しているが、上部抵抗膜10の分割数が多いほど、長方形に近い形状となる。このため、電極11,12間に電源電圧Vccが印加された場合、各膜片10aの電位は互いに影響せず、膜片10aの延びる方向における位置、つまり電極11,12からの距離に対して線形的に変化する。したがって、上部抵抗膜10内の電位分布は、X方向に対して平行な等電位線Lyにより表される。
【0041】
特性Px1,Px2は、X座標x1,x2におけるY方向の電位Eyの変化を示す。特性Px1,Px2は、等電位線LyがX方向に平行であるため、同様である。電位Eyは、膜片10a上の位置に対して線形的に変化するため、Y方向に対しても線形的に変化する。このため、例えばY座標YCが共通であれば、X座標x1,x2が異なっても共通の電位Ecが得られる。したがって、電位EyからY座標を高精度に検出することができる。
【0042】
このように、上部抵抗膜10は、台形形状の底辺である一組の対辺に沿って一様な電位Eyを有するように、複数の膜片10aに分割されている。このため、電位Eyは、X座標に影響されず、Y座標に応じて変化する。これは、例えば膜片10aを理論的に長方形の導体とみなすために十分な分割数で上部抵抗膜10を分割することにより可能である。
【0043】
しかし、膜片10aの形状は分割元の上部抵抗膜10の形状より長方形に近いため、上部抵抗膜10を複数の膜片10aに分割すれば、分割数によらず、Y座標の検出精度が改善される。なお、各膜片10aの幅及び間隔は一定であることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0044】
(比較例の下部抵抗膜20’)
図5は、比較例の下部抵抗膜20’を示す図である。符号G3aは、下部抵抗膜20’の平面図を示し、符号G3bは、X座標に対する下部抵抗膜20’の電位Exの変化を示す。
【0045】
下部抵抗膜20’は、実施例の下部抵抗膜20と同様に、台形形状を有し、X方向の端部に電極21,22が設けられている。電極21,22は、台形形状の脚である下部抵抗膜20’の一組の対辺に沿って設けられている。また、下部抵抗膜20’は、実施例とは異なり、接続部23a,23bが設けられていない。このため、電極21,22は直接的に下部抵抗膜20’に接続されている。
【0046】
電極21,22間に電源電圧Vccが印加されると、下部抵抗膜20’にはX方向に沿った電位勾配Vxが生ずる。ここで、電極22が高電位側であり、電極21が低電位側であるとする。上部抵抗膜10内の電位分布は、電極21,22がハの字状に配置されていることから電極21,22間の距離がY方向に沿って変化するため、Y方向に沿って延び、X方向において下部抵抗膜20’の外側から中心に向かって歪曲した等電位線Lx’により表される。
【0047】
特性Py1は、電極21,22の下端近傍のY座標y1における電位Exの変化を示し、特性Py2は、電極21,22の中心近傍のY座標y2(>y1)における電位Exの変化を示す。特性Py1のX座標の範囲はXAからXB(>XA)までであり、特性Py2のX座標の範囲はXA’からXB’(>XA’)までである。
【0048】
電位Exは、X方向に沿って非線形に変化する。ここで、X座標XA,XA’の電位Exは、接触点が電極22上に位置するため、共通の値Emaxとなる。このため、相違するX座標XA,XA’に対して同一の電位Emaxが得られる。
【0049】
また、X座標XA’における電位Exは、Y座標がy2である場合、Emaxであるが、Y座標がy1である場合、Eu(<Emax)である。このため、X座標XA’が同一であるにも関わらず、Y座標y1,y2に応じて電位Exが相違する。
【0050】
一方、X座標XB,XB’の電位Exは、接触点が電極21上に位置するため、共通の値Eminとなる。このため、相違するX座標XB,XB’に対して同一の電位Eminが得られる。
【0051】
また、X座標XB’における電位Exは、Y座標がy2である場合、Eminであるが、Y座標がy1である場合、Ed(>Emin)である。このため、X座標XB’が同一であるにも関わらず、Y座標y1,y2に応じて電位Exが相違する。
【0052】
このため、検出部41は、電位Exから接触点のX座標を正確に検出することができない。
【0053】
(実施例の下部抵抗膜20)
図6は、実施例の下部抵抗膜20を示す図である。符号G4aは、下部抵抗膜20の平面図を示し、符号G4bは、X座標に対する下部抵抗膜20の電位Exの変化を示す。図6において、図5と共通する構成及び座標などには同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0054】
下部抵抗膜20は、比較例の下部抵抗膜20’とは異なり、接続部23a,23bを介して電極21,22にそれぞれ接続されている。接続部23a,23bは、台形形状の底辺である下部抵抗膜20の一組の対辺のうち、短い方の対辺(つまり台形形状の上底)に近い位置ほど高い抵抗値を有する。
【0055】
このため、下部抵抗膜20の電圧降下が、短い方の対辺に近い位置ほど高くなり、歪曲せずにY方向に沿った等電位線Lxが得られる。したがって、X座標XAにおける電位EmaxとX座標XA’における電位Eu’(<Emax)を異ならせることができ、X座標XBにおける電位EminとX座標XB’における電位Ed’(>Emin)を異ならせることができる。さらに、特性Py1,Py2の各電位Exを、X座標XA~XB’の範囲において同様にX方向に対し線形的に変化させることができる。
【0056】
このように接続部23a,23bの抵抗値をY方向において変化させることにより、電位Exを、Y座標によらず、X座標に応じ線形的に変化させることができる。よって、検出部41は、電位Exから接触点のX座標を高精度に検出することができる。
【0057】
接続部23a,23bは、例えば複数のブリッジ230a,230bを含む。各ブリッジ230a,230bは、抵抗体の一例であり、台形形状の脚である下部抵抗膜20の一組の対辺と電極22,21の間をそれぞれ結ぶ。
【0058】
各ブリッジ230a,230bの間の間隔Da,Dbは、台形形状の底辺である下部抵抗膜20の一組の対辺のうち、短い方の対辺に近いほど広い。つまり、各ブリッジ230a,230bの間の間隔Da,Dbは、下部抵抗膜20の台形形状の上底に近いほど広い。
【0059】
また、各ブリッジ230a,230bは、台形形状の底辺である下部抵抗膜20の一組の対辺のうち、短い方の対辺に近いほど幅Wa,Wbが狭い。つまり、各ブリッジ230a,230bは、下部抵抗膜20の台形形状の上底に近いほど幅Wa,Wbが狭い。
【0060】
このため、簡単な構成で接続部23a,23bの抵抗値を、下部抵抗膜20の台形形状の上底に近いほど高くすることができる。なお、抵抗値を変化させるため、ブリッジ230a,230bの間隔Da,Db及び幅Wa,Wbに代えて、または加えて、ブリッジ230a,230bの厚さや素材をY方向に沿って変化させてもよい。また、本例では、ブリッジ230a,230bの間隔Da,Db及び幅Wa,Wbの両方をY方向に沿って変化させるが、何れか一方だけを変化させてもよい。
【0061】
このように、接続部23a,23bは、下部抵抗膜20がY方向に沿って一様な電位Exを有するように、下部抵抗膜20の台形形状の上底に近い位置ほど高い抵抗値を有する。このため、電位Exは、Y座標に影響されず、X座標に応じて変化する。これは、例えば比較例の等電位線Lx’の歪みが解消し、Y座標によらずに電位Exが一様となるように、ブリッジ230a,230bの間隔Da,Db及び幅Wa,Wbの少なくとも一方のY方向の分布を設定することにより可能である。
【0062】
しかし、下部抵抗膜20の電圧降下が、下部抵抗膜20の台形形状の上底に近い位置ほど高くなるように、ブリッジ230a,230bの間隔Da,Db及び幅Wa,Wbの少なくとも一方を設定すれば、上記のような詳細な設定を行わずに、電極22,21をハの字状に配置したことによるY方向の電位Exのずれを低減することができる。このため、X座標の検出精度が改善される。
【0063】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0064】
10,10’ 上部抵抗膜
10a 膜片
20,20’ 下部抵抗膜
11,12,21,22 電極
23a,23b 接続部
230a,230b ブリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6