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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029641
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20230224BHJP
【FI】
A01G9/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004246
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2021073889の分割
【原出願日】2013-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】梁川 直治
(57)【要約】
【課題】栽培装置において、植物の葉の裏側にも光を当たるようにする。
【解決手段】栽培装置10は、発光部100及び支持部120を備えている。発光部100は、植物が栽培される栽培エリアを側方及び上方から取り囲んでおり、かつ、内側に向けて光を出射する発光面を有している。また発光部100は、伸張部101を有している。伸張部101は、折りたたまれた状態から開くことによって垂直方向に伸張する。そして支持部120は、発光部100を上方から支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールと、
前記レール上に並べられた複数の栽培トレイと、
前記複数の栽培トレイの側方及び上方を取り囲み、かつ、内側に向けて光を出射する発光部と、
を有し、
前記複数の栽培トレイは、前記レール上を、前記発光部の一方の端部から他方の端部に向かう方向に移動する栽培装置。
【請求項2】
請求項1に記載の栽培装置において、
前記発光部の一方の端部と、前記発光部の一方の端部に位置する前記栽培トレイと、の距離は、前記発光部の他方の端部と、前記発光部の他方の端部に位置する前記栽培トレイと、の距離より小さい栽培装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の栽培装置において、
前記発光部は、円錐又は角錐の先端を切断し、それを横に倒した形状を有している栽培装置。
【請求項4】
請求項3に記載の栽培装置において、
前記レールは前記発光部の内面に設けられている栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を栽培する栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、人工的な光を植物に照射することにより、植物を栽培することが検討されている。例えば特許文献1には、栽培トレイを載置するトレイ載置棚の上方に照明具を配置し、植物の生長に合わせて栽培トレイ載置棚と照明具の間隔を調節することが記載されている。
【0003】
また特許文献2には、植物を水平方向に生長させ、かつ、その生長方向に合わせて光照射ユニットを伸縮自在にすることが記載されている。詳細には、光照射ユニットは円筒型の提灯形状の周壁を有している。周壁の内壁は反射面となっており、また、周壁の内側には環状発光体が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-90583号公報
【特許文献2】特開2012-100591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、植物の育成スピードを上げるためには、植物の葉の裏側にも光を当てることが好ましい、と考えた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、栽培装置において、植物の葉の裏側にも光が当たるようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、植物が栽培される栽培エリアを側方及び上方から取り囲み、かつ折りたたまれた状態から開くことによって垂直方向に伸張する伸張部を有し、内側に向けて光を出射する発光部と、
前記発光部を上方から支持する支持部と、
を備える栽培装置である。
【0008】
第2の発明は、植物が栽培される栽培エリアを側方及び上方から取り囲み、かつ折りたたまれた状態から開くことによって垂直方向に伸張する伸張部を有し、光を出射する発光部を内側に向けて光が出射される方向に保持する保持部と、
前記保持部を上方から支持する支持部と、
を備える栽培装置である。
【0009】
第3の発明は、植物が栽培される栽培エリアを側方から囲み、内側に向けて光が出射する発光部を有する筒を複数段有し、
2段目以上の前記筒を一つ下の前記筒から引き出した状態で固定する固定部材を備える栽培装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る栽培装置の構成を示す斜視図である。
図2】実施例1に係る栽培装置の構成及びその使用方法を示す図である。
図3】実施例1に係る栽培装置の構成及びその使用方法を示す図である。
図4】(a)は実施例2に係る栽培装置の構成を示す断面図であり、(b)は発光パネルの構成を示す斜視図である。
図5】実施例3に係る栽培装置に用いられる発光パネルの構成を示す斜視図である。
図6】実施例3に係る栽培装置に用いられる発光パネルの構成を示す斜視図である。
図7】実施例4に係る栽培装置の構成を示す斜視図である。
図8】スライド部が連結部に沿ってスライド可能にするための構成の一例を示す断面図である。
図9】実施例5に係る栽培装置の構成を示す斜視図である。
図10】実施例6に係る栽培装置の構成を示す斜視図である。
図11】制御部による支持部の高さの制御フローの第1例を示すフローチャートである。
図12】制御部による支持部の高さの制御フローの第2例を示すフローチャートである。
図13】実施例7に係る栽培装置の構成を示す図である。
図14】実施例8に係る栽培装置の構成を示す図である。
図15】実施例9に係る栽培装置の構成を示す断面図である。
図16】実施形態2に係る栽培装置の構成を示す斜視図である。
図17】内側の発光パネルを引き出すときの固定部材の働きを説明するための図である。
図18】発光パネルを他の発光パネルの内側に収容するときの固定部材の働きを説明するための図である。
図19】実施形態3に係る栽培装置の構成を示す斜視図である。
図20】実施形態4に係る栽培装置の構成を示す斜視図である。
図21】実施形態5に係る栽培装置の構成を示す図である。
図22】実施形態6に係る栽培装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
なお、以下に示す説明において、制御部140の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。制御部140の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る栽培装置10の構成を示す斜視図である。実施形態に係る栽培装置10は、発光部100及び支持部120を備えている。発光部100は、植物が栽培される栽培エリアを側方及び上方から取り囲んでおり、かつ、内側に向けて光を出射する発光面を有している。また発光部100は、伸張部101を有している。伸張部101は、折りたたまれた状態から開くことによって垂直方向に伸張する。そして支持部120は、発光部100を上方から支持する。以下、栽培装置10の構成の一例を説明する。
【0014】
発光部100は、例えば、発光パネル102の一面を発光面として有している。この発光面における光源として、例えば有機EL(Organic Electroluminescence)素子、又はLED(Lignt Emitting Diode)を有している。有機EL素子は、発光層を含む有機層を有している。有機層は、塗布法を用いて形成されていても良いし、蒸着法を用いて形成されていても良い。
【0015】
本図に示す例において、伸張部101は、複数の発光パネル102及び少なくとも一つの連結部104によって構成されている。隣り合う発光パネル102は、連結部104によって回転可能に連結されている。連結部104は、例えば蝶番と同様の構造を有している。そして、発光部100の断面形状が多角形(例えば5角形)である場合、連結部104は、多角形の各頂点に配置されている。そして連結部104のうち少なくとも2つは、栽培トレイ162の表面に配置されている。発光パネル102は、隣り合う連結部104の間の領域を塞ぐように、すなわち多角形の辺に沿って設けられている。すなわち連結部104は、発光パネル102を保持する保持部としても機能している。ただし発光パネル102は、多角形のうち栽培トレイ162の表面に沿った辺には設けられていない。
【0016】
支持部120は、発光部100が有する連結部104の一つを上方から支持している。調節部130によって高さが調節される調節部130の動作及び発光部100の発光は、制御部140によって制御される。このため、容易に支持部120の高さを調節することができる。
【0017】
本実施形態によれば、発光部100は支持部120によって上方から支持されている。そして支持部120が上方に移動することにより、伸張部101は、水平方向に折りたたまれた状態から開く。このため、植物が小さいときには伸張部101の折りたたみ角度は小さい(開いていない)ため、発光パネル102のうち相対的に下に位置するほうは、上方に向けて光を出射する。このため、植物が小さいときには、植物の葉の裏側にも光を当てることができる。その結果、植物の育成スピードを上げることができる。また、植物の育成とともに、支持部120が上方に移動し、伸張部101は、水平方向に折りたたまれた状態から開くような構造となっている。このため、栽培装置10は、植物の育成状態に応じて光を当てることができる。
【0018】
また、発光パネル102は有機EL素子又はLED素子を有している。このため、栽培装置10の消費電力を少なくすることができる。特に発光パネル102が有機EL素子を有している場合、発光パネル102を半透明にすることができる。この場合、栽培装置10の外側から植物を観察することができる。
【0019】
また、発光パネル102を連結部104から取り外し、その後新たな発光パネル102を取り付けることにより、発光パネル102のみを取り替えることができる。
【0020】
(実施例1)
図2及び図3の各図は、実施例1に係る栽培装置10の構成及びその使用方法を示す図である。本実施例に係る栽培装置10は、以下の点を除いて、実施形態に係る栽培装置10と同様の構成である。
【0021】
まず、連結部104の一つは、フック112,114によって形成されている。フック112は、その連結部104に繋がっている発光パネル102の端部に形成されている。またフック114は、その連結部104に繋がっている発光パネル102の端部に形成されている。そして、図3(a)に示すように、フック112及びフック114が互いにかみ合うことにより、連結部104が形成される。
【0022】
また、発光パネル102は可撓性基板を用いて形成されている。可撓性基板は、例えば樹脂材料で形成されている。
【0023】
本実施例では、図2(a)に示すように、植物が小さいときには、伸張部101を構成する発光パネル102のうち下側に位置する部分は、栽培トレイ162に対して平行に近い状態になっている。このため、植物の葉の裏側に光が照射される。
【0024】
そして図2(b),(c)に示すように、植物が大きくなるにつれて、支持部120は上方に引き上げられる。これに伴い、伸張部101は、水平方向に折りたたまれた状態から開くことによって垂直方向に伸張する。この状態では、図3(b)及び図3(c)に示すように、フック112,114は互いにかみ合ったままである。
【0025】
そして図2(d)に示すように、植物が収穫可能な程度に大きくなると、それに合わせて支持部120も引き上げられる。すると、図3(d)に示すように、フック112とフック114からなる連結部104の角度は広がり、フック112とフック114は外れる。
【0026】
本実施例によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、発光パネル102は可撓性基板を用いて形成されているため、植物の生長に合わせて発光パネル102の形状を変えることもできる。
【0027】
また、連結部104の少なくとも一つは、フック112,114によって形成されている。そして植物が収穫可能な程度に大きくなり、それに合わせて支持部120が引き上げられると、フック112,114は外れる。このため、植物が収穫可能な程度に大きくなったことを容易に判断することができる。また植物の収穫を容易に行うことができる。
【0028】
(実施例2)
図4(a)は、実施例2に係る栽培装置10の構成を示す断面図である。図4(b)は、本実施形態で用いられる発光パネル102の構成を示す斜視図である。本実施例に係る栽培装置10は、連結部104の代わりに伸縮部220が設けられている点を除いて、実施形態1又は実施例1と同様の構成である。なお、本図に示す例において、栽培トレイ162上には保護シート163が設けられている。植物の種は、保護シート163の下に配置される。そして種から発芽した植物は、保護シート163を突き破る。
【0029】
本図に示す栽培装置10において、互いに隣り合う2つの発光パネル102は、伸縮部220を用いて連結されている。伸縮部220は、例えば伸縮可能な樹脂によって形成されている。伸縮部220は、光透過性を有していても良い。
【0030】
本実施例によれば、実施形態1又は実施例1と同様の効果を得ることができる。また、連結部104として伸縮部220を有しているため、発光部100を軽量にすることができる。
【0031】
(実施例3)
図5及び図6は、それぞれ、実施例3に係る栽培装置10に用いられる発光パネル102の構成を示す斜視図である。本実施例に係る栽培装置10は、以下の点を除いて、実施形態1又は実施例1に係る栽培装置10と同様の構成である。
【0032】
まず、発光部100は連結部104を有していない。その代わりに、発光パネル102が折れ曲がって蛇腹状になっている。すなわち本実施形態では、発光パネル102そのものが伸張部となっている。なお、発光パネル102のうち折れ曲がっている部分の断面形状は、図5のように三角形の2辺に沿った形状であってもよいし、図6のように四角形の3辺に沿った形状であっても良い。
【0033】
本実施例によれば、実施形態1又は実施例1と同様の効果を得ることができる。また、連結部104を必要とせずに、所望する部分で発光パネル102を折り曲げることができるため、発光部100の断面形状を所望の形状にしやすくなる。
【0034】
(実施例4)
図7の各図は、実施例4に係る栽培装置10の構成を示す斜視図である。本実施例に係る栽培装置10は、以下の点を除いて実施形態1に係る栽培装置10と同様の構成である。
【0035】
まず、発光部100は、連結部104が延伸している方向で複数の領域に分割されている。そして分割されている領域の少なくとも一つが、スライド部110となっている。スライド部110は、連結部104に沿ってスライド可能になっている。そして、図7(b)に示すように、スライド部110が連結部104に沿ってスライドすることにより、人が栽培エリアに入るための入り口が形成される。人が栽培エリアに入ることに限らず、刈り入れ作業、又は植物の生育確認等においても有用である。
【0036】
図8は、スライド部110が連結部104に沿ってスライド可能にするための構成の一例を示す断面図である。本図に示す例において、連結部104は断面が円形の棒となっており、その周囲は、外筒105によって覆われている。そして外筒105と連結部104の間には、ベアリング106が配置されている。
【0037】
本実施例によっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、スライド部110を設けているため、人は栽培エリアに入りやすい。また、栽培に必要な刈り入れ作業、植物の生育確認をはじめとする作業効率が向上する。
【0038】
(実施例5)
図9は、実施例5に係る栽培装置10の構成を示す斜視図である。本実施例に係る栽培装置10は、少なくとも一つの発光パネル102において発光素子が縞状に配置されている点を除いて、実施例4に係る栽培装置10と同様の構成である。本実施例において、発光パネル102は縞状に発光する。縞状の発光は、平行光を照射することとは異なるため、植物に満遍なく光を照射することができる。なおこの縞の向きはどのように向いていても良い。
本実施例によっても、実施例4と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(実施例6)
図10は、実施例6に係る栽培装置10の構成を示す斜視図である。本実施例に係る栽培装置10は、発光パネル102がタッチセンサ103を有している点を除いて、実施形態1及び実施例1~5のいずれかと同様の構成である。
【0040】
タッチセンサ103は、発光パネル102のうち栽培エリアに面する面に物が触れたことを検出する。タッチセンサ103は、例えば発光パネル102の中に組み込まれている。タッチセンサ103の検出結果は、制御部140に出力される。制御部140は、タッチセンサ103の検出結果に基づいて、支持部120の高さを制御する。
【0041】
また発光パネル102は、光の最大ピーク波長及び強度が変更可能になっている。例えば発光パネル102が有機ELを有している場合、この有機ELは、複数種類の発光エリアを有していてもよい。この場合、各発光エリアは、互いに最大ピーク波長が異なっており、また、制御部140は、各発光エリアの発光強度を互いに独立して制御できるようになっている。なお、最大ピーク波長とは、発光スペクトルのうち強度が最大となる波長を指す。そして制御部140は、支持部120の高さ、すなわち植物の生長度合いに応じて、発光部の光の最大ピーク波長及び強度を設定する。例えば制御部140は、植物が発芽するまでは、発光パネル102から赤色の光を発光させ、植物が生長している間は発光パネル102から赤色と青色の光を発光させる。また制御部140は、植物が花を咲かせるような高さになった場合は赤色の光を強くする。その後、制御部140は、植物が実をつけるタイミングになった場合には、さらに紫外光を発光させる。
【0042】
図11は、制御部140による支持部120の高さの制御フローの第1例を示すフローチャートである。まず、制御部140は、カウント数nを0にする(ステップS10)。このカウント数nは、支持部120の高さを示すものである。
【0043】
制御部140は、タッチセンサ103の検出結果に基づいて、タッチセンサ103に物が触れているか否かを判断する(ステップS12)。タッチセンサ103に物が触れていると判断した場合(ステップS12:Yes)、その物は、継続して予め定められた時間(例えば3分間)以上タッチセンサ103に触れているか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14の条件を満たした場合、制御部140は、植物が生長してタッチセンサ103に触れていると判断し、調節部130を制御して、支持部120を1ステップ上昇させる(ステップS16)。
【0044】
そして、カウント数nが予め定められた値に達していた場合、すなわち支持部120の位置が予め定められた高さに達したと判断された場合(ステップS18:Yes)、制御部140は、植物を収穫すべき旨を示す信号を出力する(ステップS20)。また、カウント数nが予め定められた値未満である場合、カウント数nを一つ増やし、ステップS12に戻る(ステップS19)。
【0045】
図12は、制御部140による支持部120の高さの制御フローの第2例を示すフローチャートである。本図に示すフローは、以下の点を除いて、図11に示したフローと同様である。
【0046】
タッチセンサ103に予め定められた時間継続して物が触れており(ステップS14)、かつ、タッチセンサ103が複数のエリアで物を検出していた場合、すなわち広範囲にわたってタッチセンサ103に物が触れていた場合(ステップS15)、制御部140は、植物が生長してタッチセンサ103に触れていると判断する。そして制御部140は、調節部130を制御して、支持部120を1ステップ上昇させる(ステップS16)。
【0047】
本実施例によっても、実施形態1及び実施例1~5のいずれかと同様の効果を得ることができる。また、発光部100がタッチセンサ103を有している。このため、制御部140は、タッチセンサ103の検出結果を用いることにより、植物の成長に合わせて支持部120の高さを合わせることができる。
【0048】
また、制御部140は、支持部120の高さ、すなわち植物の生長度合いに応じて、発光部の光の最大ピーク波長及び強度を設定する。従って、植物の生長や実の生長をさらに促進することができる。
【0049】
(実施例7)
図13は、実施例7に係る栽培装置10の構成を示す図である。本実施例に係る栽培装置10は、以下の点を除いて、実施例6と同様の構成である。
【0050】
まず、栽培装置10は、タッチセンサ103を有していない。その代わり、栽培装置10は、撮像部150を有している。撮像部150は、栽培装置10の内部すなわち栽培エリアを撮像している。撮像部150が生成した画像データは、制御部140に出力される。制御部140は、受信した画像データを処理して植物の生長度合いを判断し、当該判断結果に基づいて、支持部120の高さ及び発光パネル102の光の最大ピーク波長及び強度を制御する。例えば制御部140は、画像処理によって植物と発光パネル102の距離を判断することにより、植物の生長度合いを判断する。
【0051】
本実施例によっても、実施例6と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(実施例8)
図14は、実施例8に係る栽培装置10の構成を示す図である。本実施例に係る栽培装置10は、棚300を有している点を除いて、実施形態1又は実施例1~7のいずれかに係る栽培装置10と同様の構成である。
【0053】
棚300は、複数の支柱302の間に載置棚304が設けられた構成を有している。載置棚304は、高さ方向に所定の間隔を空けて複数設けられている。複数の載置棚304は、いずれも高さ方向に移動可能である。そして載置棚304のそれぞれには、栽培トレイ162、発光部100、及び支持部120が搭載される。支持部120の上部は、一つ上の載置棚304の下面に設けられた調節部130に取り付けられる。
【0054】
そして、新しい栽培トレイ162を載せた載置棚304は、棚300のうち最も下の段に挿入される。その際、既に挿入されている載置棚304は、上方に移動する。これが繰り返されることにより、棚300のうち最も上の載置棚304の植物が、最も収穫時期が近いことになる。
【0055】
本実施例によっても、実施形態1又は実施例1~7のいずれかと同様の効果を得ることができる。また、複数の栽培トレイ162、発光部100、及び支持部120を高さ方向に重ねることができるため、植物の栽培効率が向上する。また、最も収穫時期が近い植物は、棚300の最も上にくることになるため、収穫が容易になる。
【0056】
(実施例9)
図15の各図は、実施例9に係る栽培装置10の構成を示す断面図である。本実施例に係る栽培装置10は、栽培装置10の断面形状を除いて、実施形態1及び実施例1~8のいずれかと同様の構成を有している。
【0057】
本実施例に係る栽培装置10は、例えばキャベツなどの結球する植物を栽培するものであり、連結部104を7つ有している。具体的には、一つの連結部104は支持部120によって支持されている。そしてこの連結部104を通る垂直線を基準に、6つの連結部104は3つずつ線対称に配置されている。そして発光パネル102は、結球した葉を囲むような形状を有している。
【0058】
また、栽培装置10の端部は、栽培トレイ162内に差し込まれている。この端部は、栽培トレイ162を貫通していてもよい。この場合、栽培トレイ162の端部は、栽培トレイ162を支持するベースに固定される。
【0059】
本実施例によっても、実施形態1及び実施例1~8のいずれかと同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施形態2)
図16の各図は、実施形態2に係る栽培装置10の構成を示す斜視図である。本図に示す栽培装置10は、栽培トレイ162上に、発光部を有する筒、例えば筒状の発光パネル102を複数段設けたものである。各発光部(例えば発光パネル102)は、制御部140によって制御されている。筒の断面形状は、例えば円形であるが、他の形状、例えば多角形であってもよい。以下、筒を発光パネル102として説明を行う。
【0061】
図16(a)に示すように、植物が生長する前において、複数の筒状の発光パネル102の一つ(例えば最も上側に位置すべき発光パネル102または最も下側に位置すべき発光パネル102)は、他の発光パネル102を内側に収容している。そして植物が生長するに従い、図16(b)に示すように、内側に収容されている発光パネル102が一段ずつ引き出される。
【0062】
そして栽培装置10は、固定部材170を有している。固定部材170は、2段目以上の発光パネル102を一つ下の発光パネル102から引き出した状態で固定する。固定部材170は、発光パネル102の一方の縁に沿って互いに離間して複数設けられている。本図に示す例では、固定部材170は、発光パネル102の下側の縁に沿って設けられている。ただし固定部材170は、発光パネル102の上側の縁に沿って設けられていてもよい。
【0063】
発光パネル102が引き出される方向の断面で見た場合、固定部材170は長方形の角の一つを切り欠いた形状を有している。固定部材170は、この切り欠いた部分(凹部172)に、その固定部材170が取り付けられている発光パネル102の一つ下(又は一つ上)の発光パネル102の縁を受け入れる。このようにして、固定部材170は、発光パネル102を、他の発光パネル102から引き出された状態で固定する。
【0064】
図17の各図は、内側の発光パネル102を引き出すときの固定部材170の働きを説明するための図である。発光パネル102は、他の発光パネル102の内側に収容されているとき、外側(断面が円形であれば径方向)に広がろうとしている。このため、図17(a)及び(b)に示すように、発光パネル102を他の発光パネル102から引き出すと、引き出された発光パネル102のふちは固定部材170の凹部172に嵌る。このようにして、固定部材170は発光パネル102を固定する。
【0065】
図18の各図は、発光パネル102を他の発光パネル102の内側に収容するときの固定部材170の働きを説明するための図である。固定部材170は、その固定部材170が固定されている発光パネル102(図18の例では上側の発光パネル102)と接している部分を回転軸として、発光パネル102の端面を覆う方向に回転可能になっている。
【0066】
そして図18(b)に示すように、固定部材170を回転させると、収容されるべき発光パネル102の端部は、固定部材170によって内側に押し込まれる。この状態で、収容されるべき発光パネル102は、収容する側の発光パネル102に向けて押し込まれる。その後、図18(c)に示すように、固定部材170は回転前の状態に戻される。
【0067】
本実施形態によれば、発光パネル102からの光を用いて植物を成長させることができる。また、植物を栽培している状態の栽培装置10をインテリアとして使用することができる。
【0068】
(実施形態3)
図19の各図は、実施形態3に係る栽培装置10の構成を示す斜視図である。本実施形態に係る栽培装置10は、発光パネル102及び制御部140を有している。発光パネル102は、例えば有機ELであり、筒形状を有している。筒の断面形状は円形であっても良いし、多角形であってもよい。そして発光パネル102は、植物を側方から囲んでいる。また発光パネル102は、実施形態2と同様に、多段に形成されていても良い。
【0069】
また、発光パネル102は、縞状の発光エリア107を有している。発光エリア107は、縦縞であっても良いし、横縞であっても良いし、斜め縞であってもよい。
【0070】
また、発光パネル102は、複数種類の発光エリアを有していてもよい。この場合、各発光エリアは、互いに最大ピーク波長が異なっている。例えば各発光エリアは、互いに異なる色の光を出射する。また、制御部140は、各発光エリアを互いに独立して制御できるようになっている。
【0071】
また、発光パネル102のうち発光エリア107が形成されていない部分は半透明、又は透明になっている。このため、発光パネル102を介して植物の生長度合いを確認することができる。
【0072】
本実施形態によれば、発光パネル102からの光を用いて植物を成長させることができる。また、発光パネル102の発光エリアが縞状になっているため、栽培装置10をインテリアとして使用することもできる。
【0073】
(実施形態4)
図20は、実施形態4に係る栽培装置10の構成を示す斜視図である。本実施形態に係る栽培装置10は、以下の点を除いて、実施形態3に係る栽培装置10と同様の構成である。
【0074】
まず、発光パネル102の発光エリア107は縞状にはなっていない。発光パネル102は、周方向に、発光エリア107となる領域と透明部108となる領域に分けられている。そして、栽培装置10は、発光パネル102を回転させる駆動部142を有している。駆動部142は、制御部140によって制御されている。
【0075】
そして制御部140は、透明部108が予め定められた角度にある場合にのみ、発光エリア107を点灯させる。
【0076】
本実施形態によっても、実施形態3と同様の効果を得ることができる。また、制御部140は駆動部142を制御することにより、植物を中心に発光パネル102を回転させる。そして、透明部108が予め定められた角度、例えばユーザと植物の間にある場合にのみ、発光エリア107を点灯させる。このようにすることで、ユーザに植物を観賞させつつ、植物に光を当てることができる。また、発光パネル102を回転させているため、ユーザは、発光パネル102の存在を意識しにくくなる。
【0077】
(実施形態5)
図21の各図は、実施形態5に係る栽培装置10の構成を示す図である。本実施形態に係る栽培装置10は、栽培トレイ162を支持する伸縮部160を有している。そして図21(b)に示すように、栽培トレイ162上の植物が成長するにつれて、伸縮部160は縮んでいく。
【0078】
伸縮部160の下部は、台座164によって支持されている。伸縮部160、栽培トレイ162、及び台座164は、発光パネル102によって覆われている。本図に示す例において、発光パネル102は球面に沿った形状を有している。ただし発光パネル102は他の形状、例えば円筒であっても良い。そして発光パネル102の発光領域は、制御部140によって制御されている。制御部140は、発光パネル102のうち栽培トレイ162より上の部分を発光させる。栽培トレイ162の高さは、例えば位置センサによって検出されても良いし、制御部140が伸縮部160を制御することにより、制御部140に認識されても良い。
【0079】
本実施形態によれば、植物の生長に合わせて発光パネル102が発光する領域を制御するため、発光パネル102の消費電力を少なくすることができる。また、植物の側方からも光を当てることができるため、植物の生長を早めることができる。
【0080】
(実施形態6)
図22は、実施形態6に係る栽培装置10の構成を示す図である。本実施形態に係る栽培装置10において、発光パネル102は、錐、例えば円錐又は角錐の先端を切断し、それを横に倒した形状を有している。そして発光パネル102の内面のうち下を向いている部分には、レール400が設けられており、栽培トレイ162はレール400上に並べられている。そして栽培トレイ162は、レール400上を、発光パネル102が形成する錘の先端から底面に向かう方向(図22においては右から左)に移動する。このようにすると、栽培トレイ162と発光パネル102の高さ方向の距離を、植物の生長に合わせて大きくすることができる。
【0081】
また、発光パネル102は、レール400が延伸する方向において複数の領域に分割されており、各領域別に光の最大ピーク波長及び強度を調節することができる。制御部140は、植物の成長過程に合わせて、各領域の光の最大ピーク波長及び強度を制御する。
【0082】
そして、栽培トレイ162が、レール400のうち、発光パネル102が形成する錘の底面側の端部に来たとき、その栽培トレイ162の植物は収穫の時期になる。
【0083】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0084】
10 栽培装置
100 発光部
101 伸張部
102 発光パネル
103 タッチセンサ
104 連結部
105 外筒
120 支持部
130 調節部
140 制御部
170 固定部材
図1
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