(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002973
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】焚火台
(51)【国際特許分類】
F24C 3/14 20210101AFI20221228BHJP
F23B 20/00 20060101ALI20221228BHJP
F24B 13/02 20060101ALI20221228BHJP
F24B 1/181 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
F24C3/14 G
F23B20/00
F24B13/02 G
F24B1/181
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103856
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】596036692
【氏名又は名称】株式会社タツミ
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】山口 紳一郎
(72)【発明者】
【氏名】田所 洋介
(72)【発明者】
【氏名】森山 智子
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 浩平
【テーマコード(参考)】
3K046
【Fターム(参考)】
3K046AA06
3K046AB08
3K046AC01
3K046BA02
3K046FA02
(57)【要約】
【課題】燃料載置量が増大すると共に、風防機能も備えた焚火台を提供すること。
【解決手段】複数の組板1を備え、この組板1は、上側に支持板部2が設けられ、下側に脚板部3が設けられ、中間部の側部に接続部4が設けられていて、この接続部4で複数の組板1を接続すると、支持板部2側が高く脚板部3側が低い傾斜状態で複数の組板1が並んで接続されて、上方に複数の傾斜状態の支持板部2から成る燃料載置部5が形成されると共に、下方に複数の傾斜状態の脚板部3から成る接地脚部6が形成されるように構成され、組板1と同数の囲い板7を備え、この囲い板7は、挿し込み部8が設けられ、挿し込み部8を支持板部2に挿脱自在に挿し込むことで囲い板7が支持板部2に立設状態で取付けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同一形状の組板を備え、
この組板は、上側に薪や炭などの燃料を支持可能な支持板部が設けられ、下側に地面に接地する脚板部が設けられていると共に、中間部の側部に接続部が設けられていて、
この組板の側部の接続部を利用して隣り合う支持板部の一部を重ねつつ複数の組板を接続すると、前記支持板部側が高く前記脚板部側が低くなる傾斜状態で複数の組板が円を描くように並んで接続されて、上方に複数の傾斜状態の前記支持板部から成る燃料載置部が形成されると共に、下方に複数の傾斜状態の前記脚板部から成る接地脚部が形成されるように構成されている焚火台において、
少なくとも複数の前記組板と同数の囲い板を備え、
この囲い板は、挿し込み部が設けられ、この挿し込み部を前記組板の支持板部に挿脱自在に挿し込むことで囲い板が支持板部に立設状態で取付けられていて、この立設状態の囲い板に囲まれた空間部が拡大燃料載置部として構成されていることを特徴とする焚火台。
【請求項2】
前記囲い板は、前記挿し込み部を前記支持板部に挿し込むことで、前記燃料載置部形成時のこの支持板部の傾斜角度より小さい傾斜角度で外方へ傾斜した立設状態で支持板部に取付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の焚火台。
【請求項3】
複数の前記囲い板は、同一形状に形成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の焚火台。
【請求項4】
前記囲い板に、前記挿し込み部として凸板部が設けられ,この凸板部が挿し込まれる受孔部が前記支持板部に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の焚火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトドアレジャーなどで使用される焚火台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の組板を備えて、これを組み立てることで焚火台となり、不使用時には(分解した)複数の組板を重ねたコンパクト形態で収納・持ち運びできる構成の焚火台が従来から実施されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1を簡単に説明すると、上下方向に長さを有する複数の同一形状の組板を備え、この組板は、上側に薪や炭などの燃料を支持可能な支持板部が設けられ、下側に地面に接地する脚板部が設けられていると共に、中間部の左右両側部に接続部が設けられていて、この組板の左右側部の接続部を利用して隣り合う支持板部の一部を重ねつつ複数の組板を接続すると、前記支持板部側が高く前記脚板部側が低くなる傾斜状態で複数の組板が円を描くように並んで接続されて、上方に複数の傾斜状態の前記支持板部が略等間隔を置いた放射方向に配設されて成る燃料載置部が形成されると共に、下方に複数の傾斜状態の前記脚板部が略等間隔を置いた放射方向に配設されて成る接地脚部が形成されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記特許文献1のような組み立て方式の焚火台の改良に係るもので、簡易構成により燃料載置部への燃料載置量の増大を実現すると共に、風防効果も備えた焚火台を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
複数の同一形状の組板1を備え、
この組板1は、上側に薪や炭などの燃料を支持可能な支持板部2が設けられ、下側に地面に接地する脚板部3が設けられていると共に、中間部の側部に接続部4が設けられていて、
この組板1の側部の接続部4を利用して隣り合う支持板部2の一部を重ねつつ複数の組板1を接続すると、前記支持板部2側が高く前記脚板部3側が低くなる傾斜状態で複数の組板1が円を描くように並んで接続されて、上方に複数の傾斜状態の前記支持板部2から成る燃料載置部5が形成されると共に、下方に複数の傾斜状態の前記脚板部3から成る接地脚部6が形成されるように構成されている焚火台Aにおいて、
少なくとも複数の前記組板1と同数の囲い板7を備え、
この囲い板7は、挿し込み部8が設けられ、この挿し込み部8を前記組板1の支持板部2に挿脱自在に挿し込むことで囲い板7が支持板部2に立設状態で取付けられていて、この立設状態の囲い板7に囲まれた空間部が拡大燃料載置部9として構成されていることを特徴とする焚火台に係るものである。
【0008】
また、前記囲い板7は、前記挿し込み部8を前記支持板部2に挿し込むことで、前記燃料載置部5形成時のこの支持板部2の傾斜角度より小さい傾斜角度で外方へ傾斜した立設状態で支持板部2に取付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の焚火台に係るものである。
【0009】
また、複数の前記囲い板7は、同一形状に形成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の焚火台に係るものである。
【0010】
また、前記囲い板7に、前記挿し込み部8として凸板部8が設けられ,この凸板部8が挿し込まれる受孔部10が前記支持板部2に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の焚火台に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、上記特許文献1と同様に、複数の組板を接続して上方に複数の傾斜状態の支持板部から成る燃料載置部を有し、下方に複数の傾斜状態の脚板部から成る接地脚部を有する台(ベース台)を容易に組立できるだけでなく、前記燃料載置部を構成する支持板部夫々に複数の囲い板を挿脱自在に挿し込むだけの簡易操作で立設状態に取付けできて、この複数の囲い板で囲まれた前記燃料載置部上の空間部が拡大燃料載置部として機能するように構成されているため、この拡大燃料載置部にまで燃料を高く(多く)載置でき、従って使用する燃料の性質(木の種類)等にもよるが燃料使用量の増大による長時間燃焼効果,高火力及び高輝度を得ることができ、しかも複数の囲い板による風防効果も得られて風が強い時でも消火や灰の飛散を可及的に防止でき、その上、不使用時には複数の組板も複数の囲い板も重ねてコンパクト化できるために、収納や持ち運びに便利であるなど、極めて実用性に優れた焚火台となる。
【0012】
また、請求項2記載の発明においては、囲い板に囲まれた拡大燃料載置部の燃料載置スペースが上方側ほど拡大するため、燃料使用量を一層増大できる極めて実用性に優れた構成の焚火台となる。
【0013】
また、請求項3記載の発明においては、複数の囲い板を重ねることでこの囲い板一枚分大にコンパクト化できる一層実用性に優れた構成の焚火台となる。
【0014】
また、請求項4記載の発明においては、支持板部に挿し込み可能な囲い板の構成、並びに囲い板が挿し込まれる支持板部の構成を、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の焚火台となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例の組板、並びに組板を重ねた状態を示す斜視図である。
【
図2】本実施例の囲い板、並びに囲い板を重ねた状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施例の組板の組み立て手順を示す説明平面図である。
【
図4】本実施例の(組板が組まれて成る)ベース台を示す斜視図、並びに底面図である。
【
図5】本実施例の(ベース台に囲い板が取付けられて成る)焚火台を示す斜視図、並びに正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0017】
本発明の焚火台Aは、複数の同一形状の組板1と、少なくとも複数の前記組板1と同数の囲い板7とを備えており、不使用時には、複数の組板1を重ねてコンパクトな形態にできるし、複数の囲い板7も重ねてコンパクトな形態にできるので、収納時や持ち運び時に便利である。
【0018】
焚火台使用時には、前記組板1の側部の接続部4を利用して隣り合う支持板部2の一部を重ねつつ複数の組板1を接続すると、組板1の支持板部2側(上側)が高く脚板部3側(下側)が低くなる傾斜状態で複数の組板1が円を描くように並んで接続されて、上方に複数の傾斜状態の前記支持板部2から成る燃料載置部5が形成されると共に、下方に複数の傾斜状態の前記脚板部3から成る接地脚部6が形成されたベース台Bが組み立てられ、このベース台Bは、前記接地脚部6を介して地面に接地できる。
【0019】
次いで、前記各組板1の支持板部2に、前記囲い板7に設けられている挿し込み部8を挿脱自在に挿し込むと、囲い板7が支持板部2に立設状態で取付けられて、前記ベース台Bの燃料載置部5の上方に複数の囲い板7に囲まれた空間部が形成され、この空間部が拡大燃料載置部9として構成されてこの拡大燃料載置部9にも燃料を載置できる焚火台Aが完成する。
【0020】
従って、本発明の焚火台Aは、前記燃料載置部5上に薪や炭などの燃料を載置し、この燃料に点火して焚火を楽しむことができるが、燃料は燃料載置部5上方の前記拡大燃料載置部9にまで高く(多く)載置することが可能であるから、上記特許文献1に比して燃料使用量を大幅に増大でき、使用する燃料の性質(木の種類)等にもよるが燃料使用量の増大による長時間燃焼効果や高火力や高輝度等が得られることとなる。
【0021】
また、複数の囲い板7は、風防としても機能し、それ故風が強い時でも消火しにくく、灰の飛散量も少ない。
【実施例0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例の焚火台Aは、複数(図面は五枚)の同一形状の組板1を備えている。また、この組板1は、上下方向に長さを有して、上側に薪や炭などの燃料を支持可能な支持板部2が設けられ、下側に地面に接地する脚板部3が設けられ、中間部の側部に接続部4が設けられている。
【0024】
具体的には、本実施例の組板1は、
図1に示すように、下側が上側より幅狭となる略羽子板形状の金属板で構成されており、この金属板の上側幅広部分が前記支持板部2として構成され、下側幅狭部分が前記脚板部3として構成されている。
【0025】
また、この組板1は、前記支持板部2の左右部が、中央部左右の折縁を介して同方向へ折曲されてこの左右部が中央部よりやや
図1中の上方向へ傾斜する形状に形成されており、この中央部左右の折縁のうちの一方(本実施例では図示左側の折縁)の下方向への延長線上に前記脚板部3が設けられている。すなわち、前記組板1は、前記支持板部2の左右方向の中心に対して、前記脚板部3が横方向へ偏心した位置に存する形状に構成されている。
【0026】
また、支持板部2と脚板部3との中間部は、左右側部が下側ほど幅狭となる傾斜側部に形成されており、さらにこの左右の傾斜側部の上端部と前記支持板部2の左右側部の下端部との間が斜め上方へ短く直線状に切欠されていて、この左右の切欠部が前記接続部4として構成されている。
【0027】
そして、この組板1の左右側部の接続部4を利用して
図3に示すように隣り合う支持板部2の一部を重ねつつ複数の組板1を接続すると、前記支持板部2側が高く前記脚板部3側が低くなる傾斜状態で複数の組板1が円を描くように並んで接続されて、上方に複数の傾斜状態の前記支持板部2が略等間隔を置いた放射方向に配設されて成る燃料載置部5が形成(
図4(a)参照)されると共に、下方に複数の傾斜状態の前記脚板部3が略等間隔を置いた放射方向に配設されて成る接地脚部6が形成(
図4(b)参照)されたベース台Bが組み立てられるように構成されている。
【0028】
すなわち本実施例は、複数の前記組板1によって、前記接地脚部6を介して地面に載置でき、前記燃料載置部5に薪や炭などの燃料を載置できるベース台Bが組み立てられるように構成されている。
【0029】
また、この複数の組板1は、同一形状のため不使用時には重ねて組板1一枚分大のコンパクトな形態にして収納・持ち運びが可能である(
図1参照)。
【0030】
また、本実施例は、複数の前記組板1と同数、すなわち五枚の同一形状の囲い板7を備え、この囲い板7が複数の組板1の前記支持板部2に取付けられている。尚、この囲い板7は、複数の前記組板1の枚数以上の枚数を予備として備えている構成が採用されていても良い。
【0031】
具体的には、本実施例の囲い板7は、
図2に示すように、前記組板1と同様に上下方向に長さを有し、下側が上側より幅狭な略羽子板形状の金属板で構成されている。
【0032】
また、この囲い板7は、上側幅広部分が、前記組板1の支持板部2と同様に左右部が中央部よりやや図面の上方向へ傾斜する形状に折曲形成され、下側幅狭部分が、挿し込み部8(凸板部8)として構成されている。
【0033】
さらに詳しく説明すると、この囲い板7は、上側幅広部分が、前記組板1の支持板部2の上下幅寸法と同等の上下幅若しくはやや短い上下幅を有すると共に、前記支持板部2の左右幅寸法と同等の左右幅を有し、尚且つ前記挿し込み部8(凸板部8)たる下側幅狭部分が、前記組板1の脚板部3の上下幅寸法に対し1/4~1/3程度の上下幅を有すると共に、前記脚板部3の左右幅寸法と同等の左右幅を有する形状に形成されている。
【0034】
そして、この複数の囲い板7を、夫々の前記挿し込み部8を前記組板1の支持板部2に上方から挿脱自在に挿し込む(
図4(a)参照)ことで囲い板7の上側幅広部分が支持板部2に立設状態で取付けられるように構成されている(
図5参照)と共に、この複数の囲い板7(の上側幅広部分)に囲まれた空間部が拡大燃料載置部9として構成されている。
【0035】
また、この挿し込み部8(凸板部8)の前記組板1の支持板部2への挿し込み構造について説明すると、この凸板部8が挿し込まれる受孔部10が前記支持板部2の上部寄り位置であって且つ左右方向の中央位置に貫通形成されている(
図1,
図3,
図4参照)。
【0036】
また、この受孔部10についてさらに詳しく説明すると、前記凸板部8の外形よりやや大きい角孔形状であって、前記支持板部2の左右方向に孔長を有する細長い角孔形状に貫通形成されており、この受孔部10には凸板部8が造作なく挿し込み・挿脱可能であると共に、この凸板部8の挿し込みにより囲い板7の左右方向が支持板部2(組板1)の左右方向と合致する状態で囲い板7が支持板部2に立設状態で取付けられるように構成されている(
図5参照)。
【0037】
また、この受孔部10は、短方向の孔幅(前記支持板部2の上下方向に沿う方向の孔幅)寸法が、前記凸板部8の板厚(前記囲い板7の板厚)の3~4倍程度の孔幅に設定されていて、
図4(a)に示すように、この受孔部10に凸板部8を下に向けた囲い板7のこの凸板部8が上方から挿し込まれると、受孔部10の孔幅と凸板部8の板厚の寸法差からこの受孔部10を支点に囲い板7(の上側幅広部)がベース台Bの内・外方向に傾動可能に構成されている。
【0038】
そして、前記燃料載置部5形成時(五枚の前記組板1が前記ベース台Bに組み立てられた時)の全ての前記支持板部2に囲い板7(の凸板部8)を挿し込んで立設状態に取付けると共に、五枚の囲い板7(の上側幅広部)の全てをベース台Bの外方向に傾斜した状態で立設させると、この支持板部2の傾斜角度より小さい傾斜角度で外方へ傾斜した立設状態で囲い板7が支持板部2に取付けられるように構成されている(
図5参照)。
【0039】
すなわち、五枚の前記囲い板7によって形成される前記拡大燃料載置部9は、上方側ほどスペースが拡大するものに構成されていて、この拡大燃料載置部9に多くの燃料を投入載置して使用できるように構成されている。
【0040】
また、この複数(五枚)の囲い板7は、風防としても機能し、風が強い時でも消火しにくく灰の飛散も可及的に防止されるように構成されている。
【0041】
また、この複数の囲い板7は、同一形状のため不使用時には重ねて囲い板7一枚分大のコンパクトな形態にして収納・持ち運びが可能である(
図2参照)。
【0042】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。