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特開2023-29957副甲状腺ホルモン受容体刺激を介する、骨折をターゲティングした骨再生
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029957
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】副甲状腺ホルモン受容体刺激を介する、骨折をターゲティングした骨再生
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/635 20060101AFI20230228BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230228BHJP
   C12N 15/16 20060101ALI20230228BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
C07K14/635
C07K19/00 ZNA
C12N15/16
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193738
(22)【出願日】2022-12-02
(62)【分割の表示】P 2019529240の分割
【原出願日】2017-11-30
(31)【優先権主張番号】62/428,492
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/553,313
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517417773
【氏名又は名称】パーデュー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,フィリップ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,スチュアート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,ジェフリー ジェイ ハワード
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全身投与されるが、なお、骨折部位をターゲティングする骨折処置薬を提供する。
【解決手段】式X-Y-Zの化合物[式中、Xは、副甲状腺ホルモン受容体の活性をモジュレートする、少なくとも1つの薬剤であり、Zは、少なくとも1つの骨ターゲティング分子であり、Yは、XとZとを接続および/または連結するリンカーである]、または薬学的に許容されるその塩またはその代謝物を含む化合物を提供する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式X-Y-Zの化合物
[式中、
Xは、副甲状腺ホルモン受容体の活性をモジュレートする、少なくとも1つの薬剤であり、
Zは、少なくとも1つの骨ターゲティング分子であり、
Yは、XとZとを接続および/または連結するリンカーである]、
または薬学的に許容されるその塩またはその代謝物
を含む化合物。
【請求項2】
Xが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチド(配列番号12)に対する、少なくとも80%の配列同一性、全長副甲状腺ホルモン(配列番号13)に対する、少なくとも80%の配列同一性、および/または全長アバロパラチドもしくはその類似体に対する、少なくとも80%の同一性を有する、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Yが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチドもしくは副甲状腺ホルモンのアミノ酸残基35~40、35~41、35~42、35~43、35~44、35~45、35~46、および/もしくは35~84、ならびに/または少なくとも1つのカテプシンK感受性ポリペプチドに対する、少なくとも80%の配列同一性を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Zが、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、および9に対する、少なくとも80%の配列同一性を有する、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Yが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチドの、アミノ酸残基35~46および/または41~46に対する、少なくとも80%の配列同一性を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Zが、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である、
請求項1および2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
Xが、全長アバロパラチドまたはその類似体に対する、80%の同一性を有する、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Yが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチドの、アミノ酸残基35~46に対する、少なくとも80%の配列同一性を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Zが、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Zが、6つ、7つ、8つ、9つ、および/または10の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記酸性アミノ酸残基が、L-アスパラギン酸もしくはD-アスパラギン酸、L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸、またはそれらの組合せを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記酸性アミノ酸残基が、分枝状のアミノ酸および/またはアミノ酸の分枝鎖をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Yが、Gly-Gly-Pro-Nleの式[式中、Nleは、ノルロイシン、ロイシン、イソロイシン、および/またはこれらの同等物を含む]を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記式X-Y-Zの化合物が、配列番号10および/または配列番号11に対する、少なくとも80%、90%、および/または95%の配列同一性を有する、少なくとも1つのポリペプチドである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記式X-Y-Zの化合物が、配列番号10および/または配列番号11を有する、少なくとも1つのポリペプチドである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Xが、副甲状腺ホルモン受容体1の、少なくとも1つのアゴニストである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Xが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチド(配列番号12)の最初の13アミノ酸に対する、少なくとも80%の配列相同性、全長副甲状腺ホルモン(配列番号13)の最初の13アミノ酸に対する、少なくとも80%の配列相同性、および/または配列番号3の、最初の13アミノ酸に対する、少なくとも80%の相同性を有する、少なくとも1つのポリペプチドである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
骨関連疾患を処置する方法であって、
少なくとも1つの、治療有効用量の、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは代謝物を対象に提供するステップ
を含む方法。
【請求項14】
前記対象が、ヒト、動物、細胞、および/または組織を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記骨関連疾患が、骨減少症、骨粗鬆症、関節リウマチ、血液疾患、自己免疫、移植片拒絶、および/または骨折を含む、請求項13および14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の前記有効用量が、1日当たり1kg当たり0.001ナノモル~1日当たり1kg当たり1000ナノモル、1日当たり1kg当たり0.01ナノモル~1日当たり1kg当たり1000ナノモル、1日当たり1kg当たり0.1ナノモル~1日当たり1kg当たり1000ナノモル、1日当たり1kg当たり1ナノモル~1日当たり1kg当たり500ナノモル、1日当たり1kg当たり1ナノモル~1日当たり1kg当たり250ナノモル、1日当たり1kg当たり1ナノモル~1日当たり1kg当たり100ナノモル、1日当たり1kg当たり10ナノモル~1日当たり1kg当たり75ナノモル、および/または1日当たり1kg当たり20ナノモル~1日当たり1kg当たり50ナノモルを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物が、経口投与、非経口投与、直腸内投与、および/または経皮投与される、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
式X-Zの化合物
[式中、
Xが、少なくとも1つのペプチドであり;
Zが、少なくとも1つの骨ターゲティング分子である];
または薬学的に許容されるその塩またはその代謝物
を含む化合物。
【請求項19】
Zが、骨折した骨を、優先的に、かつ/または選択的にターゲティングする、少なくとも1つの分子である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Xが、60、50、40、30、20、および/または10のアミノ酸残基より少数のアミノ酸残基を有する、少なくとも1つのペプチドである、請求項18および19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
Xが、1つ、2つ、3つ、4つ、および/または5つのアミノ酸残基より多数のアミノ酸残基を有する、少なくとも1つのペプチドである、請求項18から20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
Xが、親水性ペプチド、疎水性ペプチド、中性ペプチド、カチオン性ペプチド、および/もしくはアニオン性ペプチド、ならびに/またはこれらの任意の組合せを含む、少なくとも1つのペプチドである、請求項18から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、またはそれらの類似体または代謝物に対する、少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Zが、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、アミノヘキサン二酸またはその誘導体、アレンドロネート(alendronate)またはその誘導体、および/またはビスホスホネート(bisphosphonate)またはその誘導体である、
請求項18から22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、またはそれらの類似体または代謝物に対する、少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Zが、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、および/またはビスホスホネート(bisphosphonate)またはその誘導体である、
請求項18から23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および/または配列番号19に対する、少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、請求項18から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および/または配列番号19に対する、少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、請求項18から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
Zが、負に帯電したアミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、請求項18から26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
Zが、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および/または20の、負に帯電したアミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、請求項18から27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
Zが、少なくとも1つのモノビスホスホネート(monobisphosphonate)、バイビスホスホネート(bibisphosphonate)、トリビスホスホネート(tribisphosphonate)、および/またはマルティプルビスホスホネート(multiple-bisphosphonate)である、請求項18から28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
Zが、L-アスパラギン酸もしくはD-アスパラギン酸、L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸、またはこれらの組合せを含む、少なくとも1つの酸性アミノ酸残基である、請求項18から29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
Zが、分枝状のアミノ酸および/またはアミノ酸の分枝鎖を含む、少なくとも1つの酸性アミノ酸残基である、請求項18から30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
Zが、分枝状のアミノ酸および/またはアミノ酸の分枝鎖を含む、少なくとも1つの酸性アミノ酸残基である、請求項18から31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
前記式X-Zの化合物が、配列番号23~81、またはそれらの類似体または代謝物のうちのいずれか1つに対する、少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、請求項18から32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
前記式X-Zの化合物が、配列番号23~81、またはそれらの類似体または代謝物のうちのいずれか1つに対する、95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項18から33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
前記式X-Zの化合物が、配列番号23~81、またはそれらの類似体または代謝物のうちのいずれか1つに対する、100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項18から34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
連結部分であるYをさらに含み、Yが、XおよびZの両方を接続および/または連結するリンカーである、請求項18から35のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それらのいずれの開示も、参照により明示的に本明細書に組み込まれる、2016年11月30日に出願された米国特許仮出願第62/428,492号明細書、および2017年9月1日に出願された米国特許仮出願第62/553,313号明細書の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本明細書で開示される、多様な態様および実施形態は、一般に、骨関連疾患により誘導される疾患/症状のモデル化、処置、処置への耐性の軽減、防止、および診断に関する。実施形態は、骨関連疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの治療有効用量の本明細書で開示される化合物を対象に提供するステップを含む方法を含む。
【背景技術】
【0003】
背景
本節は、本開示のよりよい理解を容易とする一助となりうる態様を導入する。これらの言明は、この観点において読まれるべきであり、何が先行技術であるのか、または何が先行技術ではないのかについての容認として理解されるべきではない。
【0004】
健常な骨は、50~70%のミネラルと、20~40%の有機マトリックスと、5~10%の水と、1~5%の脂質とのミックスであり、健常な骨が、その剛直性および可撓性を維持する一助となるために、常時、新たな骨へとリサイクルされている。このリサイクリング過程の開始時に、単球は、それらを、破骨細胞へと分化させる、いくつかのシグナルを受け取る。次いで、骨芽細胞は、単球における表面受容体であるRANK(receptor activator of nuclear factor κB)に対する、RANKL(receptor activator of nuclear factor κB ligand)を発現し、TRAF6カスケードを誘発し、単球を、破骨細胞形成にコミットさせる。次いで、成熟破骨細胞は、健常な異化性骨吸収を開始する。同化過程は、間葉幹細胞(MSC)が、BMP-2/Runx2経路およびWnt/β-カテニン経路により刺激されて、骨芽細胞となるときに始まる。次に、成熟骨芽細胞は、主に、石灰化して新たな骨となるI型コラーゲンから構成される骨マトリックスの成分である類骨を沈着させる。
【0005】
米国における、年間の骨折頻度は、約630万件である。これだけでも、我々の医療ケアシステムにとっては、大きな負担である。先進国世界の大半では、この問題は、熟年化するベビーブーム世代と、全般的な老化集団とにより、複雑なものとなっている。ベビーブーム世代が、骨粗鬆症の頻度を増大させれば、複雑骨折および致死性骨折の頻度は、劇的に増大するであろう。股関節の骨折だけでも、2040年までに、160%増大して、1年当たり500,000件に達すると予測される。21世紀の今日にあってもなお、股関節骨折を伴う65歳以上の者のうちの4分の1は、損傷後1年以内に、仰臥と関連する合併症に起因して死亡する。これは、重大な公衆衛生上の懸念を招く。
【0006】
現行の骨折の臨床処置は、一般に、部位特異的同化薬の使用を含まない。実際、このような骨折における臨床使用のために承認された薬物は、局所適用され、長骨の開放骨折および脊髄固定術の処置において使用される、BMP-2(脛骨の外傷における使用に限り、承認された)およびBMP-7(承認停止)だけである。同化剤の使用のうちの85%が、非承認薬であることを考えると、骨粗鬆性骨折などの骨病を処置する同化薬の、より広範な適用に対する必要性は明らかである(Ong, K.L. et al., Spine 35 (2010) 1794-1800)。FDAが、依然として、慎重に、局所投与される薬物の使用の承認を、既に開放され、感染の危険性がある骨折へと限定し続けている。
【0007】
この限定があるため、これらの種類の骨折の処置のための、臨床的に意味がある手法が必要とされる。したがって、全身投与されるが、なお、骨折部位をターゲティングする骨折処置薬を有することが所望されるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
第1の実施形態は、式X-Y-Zの少なくとも1つの化合物[式中、Xは、副甲状腺ホルモン受容体のうちの少なくとも1つの活性をモジュレートする、少なくとも1つの薬剤であり;Zは、少なくとも1つの骨ターゲティング分子(bone-targeting molecule)であり;Yは、XとZとを接続(joint)および/または連結する(link)リンカーである];または薬学的に許容されるその塩またはその代謝物を含む。一部の実施形態では、Xは、副甲状腺ホルモン受容体のうちの少なくとも1つの活性を増強する、少なくとも1つの薬剤である。Zが、ヒドロキシアパタイトおよび/または生骨(raw bone)に結合する、少なくとも1つの、負に帯電したオリゴペプチドまたはこれらの同等物であることは、これらの実施形態と符合する。
【0009】
第2の実施形態は、Xが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチド(配列番号12)に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列同一性、全長副甲状腺ホルモン(配列番号13)に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列同一性、ならびに/または全長アバロパラチドもしくはその類似体に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の同一性を有する、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Yが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチドもしくは副甲状腺ホルモンのアミノ酸残基35~40、35~41、35~42、35~43、35~44、35~45、35~46、35~47、35~48、35~49、35~50、35~51、35~52、35~55、35~84、41~44、41~45、41~46、41~47、41~48、41~49、41~50、および/もしくは41~84、ならびに/または少なくとも1つのカテプシンK感受性ポリペプチドに対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%の配列同一性を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;
Zが、約4つもしくはこれを超える、約4つ~約100、約4つ~約50、4つ~約20、約4つ~約15、約4つ~約10の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、2-アミノヘキサン二酸(2-アミノアジピン酸)またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である、第1の実施形態に従う化合物を含む。一部の実施形態では、Zは、約4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および/もしくは30の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、2-アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である。他の実施形態では、Zは、ヒドロキシアパタイトおよび/または生骨に結合する、少なくとも1つの、負に帯電したオリゴペプチドまたはその同等物である。
【0010】
一部の実施形態では、Xは、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチド(配列番号12)に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列同一性、全長副甲状腺ホルモン(配列番号13)に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列同一性、ならびに/または全長アバロパラチドもしくはその類似体に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の同一性を有するポリペプチドを含む少なくとも1つのポリペプチドであり;Yは、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチドもしくは副甲状腺ホルモンのアミノ酸残基35~40、35~41、35~42、35~43、35~44、35~45、35~46、35~47、35~48、35~49、35~50、35~51、35~52、35~55、35~84、41~44、41~45、41~46、41~47、41~48、41~49、41~50、および/もしくは41~84、ならびに/または少なくとも1つのカテプシンK感受性ポリペプチドに対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%の配列同一性を含むポリペプチドを含む少なくとも1つのポリペプチドであり;Zは、約4つもしくはこれを超える、約4つ~約100、約4つ~約50、4~約20、約4つ~約15、約4つ~約10の酸性アミノ酸残基を含むポリペプチドを含む少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である。一部の実施形態では、Zは、約4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および/もしくは30の酸性アミノ酸残基を含むポリペプチドを含む少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である。
【0011】
第3の実施形態は、Xが、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、および/または9のうちのいずれか1つに対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%の配列同一性を有する、少なくとも1つのポリペプチドであり;Yが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチドの、アミノ酸残基35~46および/または41~46に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%の配列同一性を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;Zが、約4つもしくはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である、前述の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。一部の実施形態では、Zは、約4つ~約100、約4つ~約50、4つ~約20、約4つ~約15、約4つ~約10の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である。他の実施形態では、Zは、約4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および/もしくは30の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である。
【0012】
第4の実施形態は、Xが、全長アバロパラチドまたはその類似体に対する、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%の同一性を有する、少なくとも1つのポリペプチドであり;Yが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチドの、アミノ酸残基35~46に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%の配列同一性を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;Zが、約4つもしくはこれを超える、約4つ~約100、約4つ~約50、4つ~約20、約4つ~約15、約4つ~約10の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、2-アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である、第1~第3の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。一部の実施形態では、Zは、約4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および/もしくは30の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、2-アミノヘキサン二酸またはその誘導体、および/またはアレンドロネート(alendronate)またはその誘導体である。
【0013】
第5の実施形態は、Zが、約6つ、7つ、8つ、9つ、および/または10の酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、第1~第4の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0014】
第6の実施形態は、酸性アミノ酸残基が、L-アスパラギン酸もしくはD-アスパラギン酸、L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸、またはこれらの組合せを含む、第1~第5の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0015】
第7の実施形態は、酸性アミノ酸残基が、分枝状のアミノ酸および/またはアミノ酸の分枝鎖をさらに含む、第1~第6の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0016】
第8の実施形態は、Yが、Gly-Gly-Pro-Nleの式[式中、Nleは、ノルロイシン、ロイシン、イソロイシン、および/またはこれらの同等物を含む]を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、第1~第7の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0017】
第9の実施形態は、式X-Y-Zの化合物が、配列番号10および/または配列番号11のうちのいずれか1つに対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および/または99%の配列同一性を有する少なくとも1つのポリペプチドである、第1~第8の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。一部の実施形態では、式X-Y-Zの化合物は、配列番号10および/または配列番号11のうちのいずれか1つに対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および/または99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、少なくとも1つのポリペプチドである。
【0018】
第10の実施形態は、式X-Y-Zの化合物が、配列番号10および/または配列番号11を有する少なくとも1つのポリペプチドである、第1~第9の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。一部の実施形態では、式X-Y-Zの化合物は、配列番号10および/または配列番号11を有するポリペプチドを含む、少なくとも1つのポリペプチドである。
【0019】
第11の実施形態は、Xが、副甲状腺ホルモン受容体1の、少なくとも1つのアゴニストである、第1~第10の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0020】
第12の実施形態は、Xが、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチド(配列番号12)の最初の13アミノ酸残基に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列相同性、全長副甲状腺ホルモン(配列番号13)の最初の13アミノ酸残基に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列相同性、ならびに/または配列番号3の、最初の13アミノ酸残基に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の相同性を有する、少なくとも1つのポリペプチドである、第1~第11の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0021】
一部の実施形態では、Xは、全長副甲状腺ホルモン関連ペプチド(配列番号12)のアミノ酸残基2、3、4、6、7、9、12、および/もしくは13に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列相同性、全長副甲状腺ホルモン(配列番号13)のアミノ酸残基2、3、4、6、7、9、12、および/もしくは13に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の配列相同性、ならびに/または配列番号3の、アミノ酸残基2、3、4、6、7、9、12、および/もしくは13に対する、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/もしくは100%の相同性を有する、少なくとも1つのポリペプチドである。
【0022】
第13の実施形態は、骨関連疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの、治療有効用量の、第1~第12の実施形態のうちのいずれか1つによる化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは代謝物を対象に提供するステップを含む方法を含む。
【0023】
第14の実施形態は、対象が、ヒト、動物、細胞、および/または組織を含む、第13の実施形態に従う方法を含む。
【0024】
第15の実施形態は、骨関連疾患が、骨減少症、骨粗鬆症、関節リウマチ、血液疾患(hematologic)、自己免疫(autoimmunity)、移植片拒絶、骨髄炎、および/または骨折を含む、第13および/または第14の実施形態に従う方法を含む。
【0025】
第16の実施形態は、第1~第12の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物の有効用量が、1日当たり1kg当たり約0.0001ナノモル~1日当たり1kg当たり約1000ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.001ナノモル~1日当たり1kg当たり約1000ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.01ナノモル~1日当たり1kg当たり約1000ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.1ナノモル~1日当たり1kg当たり約1000ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.0001ナノモル~1日当たり1kg当たり約500ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.001ナノモル~1日当たり1kg当たり約500ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.01ナノモル~1日当たり1kg当たり約500ナノモル、1日当たり1kg当たり約1ナノモル~1日当たり1kg当たり約500ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.0001ナノモル~1日当たり1kg当たり約250ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.001ナノモル~1日当たり1kg当たり約250ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.01ナノモル~1日当たり1kg当たり約250ナノモル、1日当たり1kg当たり約1ナノモル~1日当たり1kg当たり250ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.0001ナノモル~1日当たり1kg当たり約100ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.001ナノモル~1日当たり1kg当たり約100ナノモル、1日当たり1kg当たり約0.01ナノモル~1日当たり1kg当たり約100ナノモル、1日当たり1kg当たり約1ナノモル~1日当たり1kg当たり約75ナノモル、1日当たり1kg当たり約1ナノモル~1日当たり1kg当たり約100ナノモル、1日当たり1kg当たり約1ナノモル~1日当たり1kg当たり約250ナノモル、1日当たり1kg当たり約1ナノモル~1日当たり1kg当たり約500ナノモル、1日当たり1kg当たり約10ナノモル~1日当たり1kg当たり約75ナノモル、1日当たり1kg当たり約10ナノモル~1日当たり1kg当たり約100ナノモル、1日当たり1kg当たり約10ナノモル~1日当たり1kg当たり約250ナノモル、1日当たり1kg当たり約10ナノモル~1日当たり1kg当たり約500ナノモル、1日当たり1kg当たり約20ナノモル~1日当たり1kg当たり約50ナノモル、1日当たり1kg当たり約20ナノモル~1日当たり1kg当たり約75ナノモル、1日当たり1kg当たり約20ナノモル~1日当たり1kg当たり約100ナノモル、1日当たり1kg当たり約20ナノモル~1日当たり1kg当たり約250ナノモル、1日当たり1kg当たり約20ナノモル~1日当たり1kg当たり約500ナノモル、および/または1日当たり1kg当たり約0.074ナノモルを含む、第13~第15の実施形態に従う方法を含む。
【0026】
一部の実施形態では、第1~第12の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物の有効用量は、1日当たり1kg当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、および/または200ナノモルを含む。他の実施形態では、第1~第12の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物の有効用量は、1日当たり1kg当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、および/または200ピコモルを含む。
【0027】
第17の実施形態は、第1~第12の実施形態のうちのいずれか1つによる化合物が、経口投与、非経口投与、直腸内投与、経皮投与、舌下投与、および/または鼻腔内投与さる、第13~第15の実施形態に従う方法を含む。
【0028】
第18の実施形態は、式X-Zの化合物[式中、Xが、少なくとも1つのペプチドであり;Zが、少なくとも1つの骨ターゲティング分子である];または薬学的に許容されるその塩またはその代謝物を含む化合物を含む。
【0029】
第19の実施形態は、Zが、骨折した骨を、優先的に、かつ/または選択的にターゲティングする、少なくとも1つの分子である、第18の実施形態に従う化合物を含む。
【0030】
第20の実施形態は、Xが、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、および/または10のアミノ酸残基より少数のアミノ酸残基を有する、少なくとも1つのペプチドである、第18および第19の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0031】
第21の実施形態は、Xが、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、および/または10のアミノ酸残基より多数のアミノ酸残基を有する、少なくとも1つのペプチドである、第18~第20の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0032】
第22の実施形態は、Xが、親水性ペプチド、疎水性ペプチド、中性ペプチド、カチオン性ペプチド、および/もしくはアニオン性ペプチド、ならびに/またはこれらの任意の組合せを含む、少なくとも1つのペプチドである、第18~第21の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0033】
第23の実施形態は、Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、またはこれらの類似体もしくは代謝物のうちのいずれか1つに対する、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、および/または90%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;Zが、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、アミノヘキサン二酸またはその誘導体、アレンドロネート(alendronate)またはその誘導体、および/またはビスホスホネート(bisphosphonate)またはその誘導体である、第18~第22の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0034】
第24の実施形態は、Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、またはこれらの類似体もしくは代謝物のうちのいずれか1つに対する、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および/または99%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドであり;Zが、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチド、ポリホスフェート(polyphosphate)、および/またはビスホスホネート(bisphosphonate)またはその誘導体である、第18~第23の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0035】
第25の実施形態は、Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および/または配列番号19のうちのいずれか1つに対する、少なくとも95%、96%、97%、98%、および/または99%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、第18~第24の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0036】
第26の実施形態は、Xが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および/または配列番号19のうちのいずれか1つに対する、少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、第18~第25の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0037】
第27の実施形態は、Zが、負に帯電したアミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、第18~第26の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0038】
第28の実施形態は、Zが、2つ、3つ、4つ、5つ、、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、および/または100の、負に帯電したアミノ酸残基を含む、少なくとも1つのポリペプチドである、第18~第27の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0039】
第29の実施形態は、Zが、少なくとも1つのモノビスホスホネート(monobisphosphonate)、バイビスホスホネート(bibisphosphonate)、トリビスホスホネート(tribisphosphonate)、テトラビスホスホネート(tetrabisphosphonate)、ペンタビスホスホネート(pentabisphosphonate)、ヘキサビスホスホネート(hexabisphosphonate)、および/またはマルティプルビスホスホネート(multiple-bisphosphonate)である、第18~第28の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0040】
第30の実施形態は、Zが、L-アスパラギン酸もしくはD-アスパラギン酸、L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸、またはこれらの組合せを含む、少なくとも1つの酸性アミノ酸残基である、第18~第29の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0041】
第31の実施形態は、Zが、分枝状のアミノ酸および/またはアミノ酸の分枝鎖、またはこれらの組合せを含む、少なくとも1つの酸性アミノ酸残基である、第18~第30の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0042】
第32の実施形態は、Zが、分枝状のアミノ酸および/またはアミノ酸の分枝鎖、またはこれらの組合せを含む、少なくとも1つの酸性アミノ酸残基である、第18~第31の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0043】
第33の実施形態は、式X-Zの化合物が、配列番号23~81、またはこれらの類似体または代謝物のうちのいずれか1つに対する、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、および/または90%の配列同一性を有する配列を含む、第18~第32の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0044】
第34の実施形態は、式X-Zの化合物が、配列番号23~81、またはこれらの類似体または代謝物のうちのいずれか1つに対する、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および/または99%の配列同一性を有する配列を含む、第18~第33の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0045】
第35の実施形態は、式X-Zの化合物が、配列番号23~81、またはこれらの類似体または代謝物のうちのいずれか1つに対する、100%の配列同一性を有する配列を含む、第18~第34の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0046】
第36の実施形態は、連結部分であるYをさらに含み、Yが、XおよびZの両方を接続および/または連結するリンカーである、第18~第35の実施形態のうちのいずれか1つに従う化合物を含む。
【0047】
本開示は、骨折のターゲティングされた処置(targeted treatment bone fractures)のための化合物であって、X-Y-Zの式[式中、Xは、副甲状腺ホルモン受容体1(PTHR1)のアゴニストである、活性同化ペプチドまたはその有効断片であり;Yは、リンカーであり;Zは、ヒドロキシアパタイトおよび/または生骨に結合する、負に帯電したオリゴペプチドまたはこれらの同等物である]を含む化合物を含む。考え得る限りにおいて、PTHおよびPTHrPの多くの変異体も、PTHR1のアゴニスト活性を有することが可能であり、PTHR1に対するそれらのアフィニティーが、治療的値の範囲内にある限りにおいて、PTHまたはPTHrPの代わりに使用されうるであろう。
【0048】
本開示はまた、骨折を処置するための、残基29において、2-メチルアラニルを伴い、残基34において、アミン化された、配列番号3のペプチドも提示する。
【0049】
一実施形態では、前述の活性同化ペプチドまたはその有効断片は、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)、副甲状腺ホルモン(PTH)、アバロパラチド、およびこれらのアゴニストからなる群から選択される。
【0050】
一部の実施形態では、活性同化ペプチドまたはその有効断片は、残基29において、2-メチルアラニルを有し、残基34において、アミン化された、配列番号3を伴う、配列番号1~9を有する。
【0051】
一実施形態では、前述の化合物は、配列番号10の配列を有する。
【0052】
一部の実施形態では、活性同化ペプチドまたはその有効断片は、配列番号1~3の変異体であり、この場合、配列番号1~3の、少なくとも残基2、3、4、6、7、9、12、13は、保存されている。
【0053】
一部の実施形態では、活性同化ペプチドまたはその有効断片は、配列番号1~3の変異体であり、この場合、1、5、10、11、または14~34は、保存的アミノ酸で置換されうる。
【0054】
一部の実施形態では、PTHR1のアゴニストである、前述の活性同化ペプチドまたはその有効断片は、PTHR1に対して、約0.46nMのIC50~約135nMのIC50の間の治療的アフィニティーの範囲を有する。
【0055】
一部の実施形態では、前述のリンカーであるYは、任意の活性同化ペプチドまたはその有効断片の、少なくともある程度の伸長(some extension)である。例えば、リンカーであるYは、多様な長さの、天然PTHrPの残基35~173、またはこれらの組合せから選択される、少なくとも1つの、放出不可能な断片(non-releasable fragment)でありうる。
【0056】
代替的に、リンカーであるYは、多様な長さの、天然PTHの残基35~84、またはこれらの組合せから選択される、少なくとも1つの、放出不可能な断片でありうる。
【0057】
一部の実施形態では、前述のリンカーであるYは、多様な長さの、天然PTHrPの残基35~173、またはこれらの組合せと、多様な長さの、天然PTHの残基35~84、またはこれらの組合せとからなる群から選択される。
【0058】
一部の実施形態では、前述のリンカーであるYは、骨リモデリング時に、破骨細胞内で産生される、少なくとも1つの夥多部分(abundant moiety)に感受性の、加水分解性基質である。例えば、夥多部分は、カテプシンKでありうる。
【0059】
一部の実施形態では、前述のリンカーであるYは、Gly-Gly-Pro-Nleの配列[配列中、Nleは、ノルロイシン、ロイシン、イソロイシン、またはこれらの任意の同等な疎水性修飾である]を含む加水分解性基質である。
【0060】
一部の実施形態では、前述の加水分解性基質は、グルタチオンに感受性のジスルフィド結合を含む。
【0061】
一部の実施形態では、前述のリンカーであるYは、放出可能なエステルである。
【0062】
一部の実施形態では、前述の化合物は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、少なくとも1つのスペーサーをさらに含む。
【0063】
一部の実施形態では、前述の負に帯電したオリゴペプチドは、少なくとも4つの酸性アミノ酸残基を含み、かつ、20を超えない酸性アミノ酸残基を含む。
【0064】
一部の実施形態では、前述の負に帯電したオリゴペプチドは、アスパラギン酸、グルタミン酸、D-アスパラギン酸(D-aspartic)、D-グルタミン酸、およびこれらの組合せからなる群から選択される酸性アミノ酸残基を含む。
【0065】
一部の実施形態では、負に帯電したオリゴペプチドは、直鎖状の酸性アミノ酸鎖である。
【0066】
一部の実施形態では、負に帯電したオリゴペプチドは、少なくとも2つの分枝状酸性アミノ酸鎖を含み、この場合、分枝状酸性アミノ酸鎖は、少なくとも1つのリシンでつながれている。
【0067】
一部の実施形態では、Zは、少なくとも1つのビスホスホネート(bisphosphonate)である。他の実施形態では、Zは、ポリホスフェート(polyphosphate)である。
【0068】
一部の実施形態では、Zは、骨折部位において、不完全なコラーゲン原線維の間に挿入される、コラーゲン模倣性ペプチドである。例えば、コラーゲン模倣性ペプチドは、[Gly-Pro-Hyp]9-OHの構造を有しうる。
【0069】
一部の実施形態では、Zは、骨格と酸との間に、1つを超える炭素を伴う、アミノヘキサン二酸(アルファ-アミノアジピン酸)またはその誘導体である。例えば、Zは、2-アミノマロン酸でありうる。
【0070】
本開示は、治療量の、任意の前述の化合物を、骨折を患う患者へと投与することにより、骨折を処置する方法をさらに提示する。
【0071】
これらの本発明の特色、態様、および利点、ならびに他の本発明の特色、態様、および利点は、以下の図面、関連する記載、および特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】microCTにより収集された骨密度(bone density)データを例示するグラフである。各骨折の化骨から選んだ100のCTフレーム(スライス)について解析した。フレームのスタックは、化骨が最大である骨折領域から選択した。
図2】microCTにより収集された骨梁中心距離データ(trabecular spacing data)を例示するグラフである。中心距離の縮小は、骨密度の増大と関連し、治癒の進行を示しうる。各骨折の化骨から選んだ100のCTフレーム(スライス)について解析した。
図3】microCTにより収集された骨密度データを例示するグラフである。各骨折の化骨から選んだ100のCTフレーム(スライス)について解析した。フレームのスタックは、化骨が最大である骨折領域から選択した。
図4】MC3T3E1細胞内の、ターゲティング型PTHrPおよび非ターゲティング型PTHrPの両方についての、アルカリホスファターゼ(ALP)の発現比を例示するグラフである。ALP比は、(処置された場合のALP発現/媒体対照によるALP発現)により計算する。発現は、GAPDHに照らして標準化した。
図5】MC3T3E1細胞内の、ターゲティング型PTHrPおよび非ターゲティング型PTHrPの両方についての、オステオポンチン(OPN)の発現比を例示するグラフである。OPN比は、(処置された場合のOPN発現/媒体対照によるOPN発現)により計算する。
図6】MC3T3E1細胞内の、ターゲティング型PTHrPおよび非ターゲティング型PTHrPの両方についての、いくつかの鍵となる骨マーカーの遺伝子発現比を例示するグラフである。活性マーカーは、アルカリホスファターゼ(ALP)、I型コラーゲンアルファ(Col1アルファ)、オステオカルシン(OC)、オステオプロテグリン(OPG)、オステオポンチン(OPN)、およびオステリクス(OSX)を含む。遺伝子発現比は、(処置された場合の遺伝子発現/媒体対照による遺伝子発現)により計算する。
図7】処置後における、PTHrPD10(ターゲティング型)またはPTHrP(遊離型)の、骨体積に対する効果を例示するグラフである。
図8】処置後における、アバロパラチドD10(ターゲティング型)、アバロパラチド(非ターゲティング型)および生理食塩液の、骨体積に対する効果を例示するグラフである。
図9】処置後における、ポリホスフェート(polyphosphate)でターゲティングされたPTHrPまたは生理食塩液の、骨体積に対する効果を例示するグラフである。
図10】処置後における、単一のアレンドロネート(alendronate)、分枝状トリアレンドロネート(alendronate)でターゲティングされたPTHrP、または遊離型PTHrPの、骨体積に対する効果を例示するグラフである。
図11】炭素鎖長を変動させる、酸性アミノ酸の直鎖状ポリマーを例示する化学式である。
図12】炭素鎖長を変動させる、酸性アミノ酸の分枝状ポリマーを例示する化学式である。
図13】非アミノ酸ベースの骨ターゲティングリガンドを例示する化学式である。 上図は、ビスホスホネート(bisphosphonate)を表す。下図は、ポリホスフェート(polyphosphate)ターゲティングリガンドを表す。
図14図14A:125Iで放射性標識化された、多様なターゲティングリガンドを使用して、骨折した大腿骨と、健常な大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を例示する棒グラフである。 図14B:125Iで放射性標識化された、多様なターゲティングリガンドを使用して、骨折した大腿骨の、健常な大腿骨と比較した、1分間当たりのカウントを例示する棒グラフである。
図15】右大腿骨における骨切り術の10日後における、10L-アスパラギン酸の直鎖状ポリマーへとコンジュゲートさせたLS288によるターゲティングを例示する近赤外画像である。注射部位に起因して、ある程度のオフ標的シグナルが、背部に見られる。
図16】右大腿骨における骨切り術の3(下列)、6(中列)、および10(上列)日後における、10L-アスパラギン酸の直鎖状ポリマーへとコンジュゲートさせたLS288によるターゲティングを例示する近赤外画像である。大腿骨の各対において、左側の大腿骨が、骨折した大腿骨を表すのに対し、右側の大腿骨は、健常な大腿骨を表す。
図17図17A:放射性標識化されたコンジュゲートペプチドである、プレプチンD10の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。 図17B:放射性標識化125IプレプチンD10を使用して、骨折した大腿骨と、健常な大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を例示する棒グラフである。
図18図18A:L-Asp10、D-Asp10、L-Glu10、またはD-Glu10と共にコンジュゲートさせた、多様な放射性標識化125Iペプチドを使用して、骨折した大腿骨と、健常な(骨折していない)大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を例示する棒グラフである。 図18B:L-Asp20、L-Glu20、またはD-Glu20と共にコンジュゲートさせた、多様な放射性標識化125Iペプチドを使用して、骨折した大腿骨と、健常な(骨折していない)大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を例示する棒グラフである。 図18C:分枝状L-Asp10、分枝状D-Asp10、分枝状L-Asp4、または分枝状L-Asp8と共にコンジュゲートさせた、多様な放射性標識化125Iペプチドを使用して、骨折した大腿骨と、健常な(骨折していない)大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を例示する棒グラフである。
図19図19A:125Iで放射性標識化された、多様なコンジュゲートペプチドを使用して、骨折した大腿骨と、健常な(骨折していない)大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を例示する棒グラフである。 図19B:125Iで放射性標識化された、多様なコンジュゲートペプチドを使用して、骨折した大腿骨と、健常な(骨折していない)大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を例示する棒グラフである。
図20図20A:L-Asp10(すなわち、10のL-アスパラギン酸の直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、Ck2.3CおよびPACAPC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。 図20B:D-Asp10(すなわち、10のD-アスパラギン酸の直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、およびPACAPC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。 図20C:L-Asp20(すなわち、20のL-アスパラギン酸の直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、およびF109C)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。
図21図21A:L-Glu10(すなわち、10のL-グルタミン酸の直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、P4C、Ck2.3C、およびCTCC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。 図21B:D-Glu10(すなわち、10のD-グルタミン酸の直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、およびF109C)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。
図22図22A:L-Glu20(すなわち、20のL-グルタミン酸の直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、P4C、Ck2.3C、F109C、およびPACAPC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。 図22B:D-Glu20(すなわち、20のD-グルタミン酸の直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、およびF109C)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。
図23図23A:分枝状L-Asp10(すなわち、10のL-アスパラギン酸の分枝状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、F109C、およびPACAPC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。 図23B:分枝状D-Asp10(すなわち、10のD-アスパラギン酸の分枝状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、およびCTCC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。
図24図24A:L-AAD10(すなわち、10のL-アミノアジピン酸による直鎖状ポリマー)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、P4C、Ck2.3C、F109C、およびPACAPC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。 図24B:L-SDSDD(すなわち、L-Ser-Asp-Ser-Asp-Aspを有する直鎖状ポリマー;配列番号21)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、CTCC、F109C、およびPACAPC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。 図24C:(DSS)6(すなわち、DSSDSSDSSDSSDSSDSS;配列番号22)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、F109C、およびPACAPC)の相対分布を、個別の臓器の各々において見出された全カウントに対するパーセントとして例示する棒グラフである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。
図25図25A:モノビスホスホネート(monobisphosphonate)、トリビスホスホネート(tribisphosphonate)、またはポリホスフェート(polyphosphate)とコンジュゲートさせた放射性標識化125I PTHrP1-39C、E10とコンジュゲートさせた放射性標識化125I PTH1-34、およびE20とコンジュゲートさせた放射性標識化125I PTHrP1-39の相対分布を例示する棒グラフである。PTHrP1-39Cとは、異なるターゲティングリガンドをコンジュゲートさせた、40位におけるシステイン(C)を伴うPTHrP1-39である。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。 図25B:モノビスホスホネート(monobisphosphonate)、分枝状L-Asp4(すなわち、YPegK[DDDD]2;配列番号68もまた参照されたい)、または分枝状L-Asp8(すなわち、YPegK[DDDDDDDD]2;配列番号69もまた参照されたい)とコンジュゲートさせた、放射性標識化125I チロシンの相対分布を例示する棒グラフである。「モノビスホスホネート(monobisphosphonate)YC」とは、モノビスホスホネート(monobisphosphonate)とコンジュゲートさせた、チロシンおよびシステインを有するペプチドである。カウントは、組織重量1グラム当たりで標準化する。
図26】処置後における、PTH1-34E10および生理食塩液の、骨体積に対する効果を例示するグラフである。
図27】処置後における、PTHrPD10の、骨体積に対する効果を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0073】
配列表の簡単な説明
配列番号1. PTHrP 1-34 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTA)
配列番号2. PTH 1-34 (SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNF)
配列番号3:残基29において、2-メチルアラニルを伴い、残基34において、アミン化された、アバロパラチド1-34(AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRE
LLEKLLAKLHTA)
配列番号4. PTHrP 1-35 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAG)
配列番号5. PTHrP 1-36 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGI)
配列番号6. PTHrP 1-37 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGIR)
配列番号7. PTHrP 1-38 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGIRA)
配列番号8. PTHrP 1-39 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGIRAT)
配列番号9. PTHrP 1-40 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGIRATS)
配列番号10. PTHrP1-46D10 (VSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGIRATSEVSPNSDDDD DDDDDD)
配列番号11. PTH 1-46D10 (SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAP LAPRDADDDDDDDDDD)
配列番号12. PTHrP (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAEIRATSEVSPNSKPSPNTKNHPVRFGSDDEGRYLTQETNKVETYKEQPLKTPGKKKKGKPGKRKEQEKKKRRTRSAWLDSGVTGSGLEGDHLSDTSTTSLELDSRRH)
配列番号13. PTH (SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKSQ)
配列番号14:FGF2のヘパリン結合性ドメイン(「F109C」)(YKRSRYTC)
配列番号15:下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(「PACAPC」)(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKC)
配列番号16:III型コラーゲンCTX領域由来の走化性クリプティックペプチド(「CTCC」)(YIAGVGGEKSGGFYC)
配列番号17:カゼインキナーゼ2ベータ鎖(「Ck2.3C」)(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQC)
配列番号18:オステオポンチン由来ペプチド(「ODPC」)(DVDVPDGRGDSLAYGC)
配列番号19:P4-BMP2(「P4C」)(KIPKASSVPTELSAISTLYLC)
配列番号20:プレプチンD10(DVSTSQAVLPDDFPRYDDDDDDDDDD)
配列番号21. SDSDD
配列番号22. DSSDSSDSSDSSDSSDSS
配列番号23. PTH1-34E10 (SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFEEEEEEEEEE)
配列番号24. PTHrP1-36E10 (AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGIEEEEEEEEEE)
配列番号25:PTHrP1-39E20(AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAGIRATCMalEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE)[配列中、Malは、本明細書で提示される全ての配列において、マレイミドである]
配列番号26:D10(YKRSRYTCMalDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号27:D20(YKRSRYTCMalDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号28:E10(YKRSRYTCMalEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号29:E20(YKRSRYTCMalEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号30:AAD10(YKRSRYTCMalXXXXXXXXXX[配列中、Xは、アジピン酸である])とコンジュゲートさせたF109C
配列番号31:SDSDD(YKRSRYTCMalSDSDD)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号32:(DSS)6(YKRSRYTCMalDSSDSSDSSDSSDSSDSS)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号33:D10(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号34:D20(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号35:E10(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号36:E20(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号37:AAD10(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalXXXXXXXXXX[配列中、Xは、アジピン酸である])とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号38:SDSDD(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalSDSDD)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号39:(DSS)6(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalDSSDSSDSSDSSDSSDSS)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号40:D10(YIAGVGGEKSGGFYCMalDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号41:D20(YIAGVGGEKSGGFYCMalDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号42:E10(YIAGVGGEKSGGFYCMalEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号43:E20(YIAGVGGEKSGGFYCMalEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号44:AAD10(YIAGVGGEKSGGFYCMalXXXXXXXXXX[配列中、Xは、アジピン酸である])とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号45:SDSDD(YIAGVGGEKSGGFYCMalSDSDD)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号46:(DSS)6(YIAGVGGEKSGGFYCMalDSSDSSDSSDSSDSSDSS)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号47:D10(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号48:D20(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号49:E10(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号50:E20(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号51:AAD10(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalXXXXXXXXXX[配列中、Xは、アジピン酸である])とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号52:SDSDD(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalSDSDD)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号53:(DSS)6(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalDSSDSSDSSDSSDSSDSS)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号54:D10(DVDVPDGRGDSLAYGCMalDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号55:D20(DVDVPDGRGDSLAYGCMalDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号56:E10(DVDVPDGRGDSLAYGCMalEEEEEEEEE
E)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号57:E20(DVDVPDGRGDSLAYGCMalEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号58:AAD10(DVDVPDGRGDSLAYGCMalXXXXXXXXXX[配列中、Xは、アジピン酸である])とコンジュゲートさせたODPC
配列番号59:SDSDD(DVDVPDGRGDSLAYGCMalSDSDD)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号60:(DSS)6(DVDVPDGRGDSLAYGCMalDSSDSSDSSDSSDSSDSS)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号61:D10(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたP4C
配列番号62:D20(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD)とコンジュゲートさせたP4C
配列番号63:E10(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたP4C
配列番号64:E20(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE)とコンジュゲートさせたP4C
配列番号65:AAD10(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalXXXXXXXXXX[配列中、Xは、アジピン酸である])とコンジュゲートさせたP4C
配列番号66:SDSDD(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalSDSDD)とコンジュゲートさせたP4C
配列番号67:(DSS)6(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalDSSDSSDSSDSSDSSDSS)とコンジュゲートさせたP4C
配列番号68:分枝状D4 Y(YPegKDDDDDDDD[配列中、Pegは、ポリエチレングリコールである])
配列番号69:分枝状D8 Y(YPegKDDDDDDDDDDDDDDDD[配列中、Pegは、ポリエチレングリコールである])
配列番号70:分枝状D10(YKRSRYTCMalK[DDDDDDDDDD]2)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号71:分枝状D10(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalK[DDDDDDDDDD]2)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号72:分枝状D10(YIAGVGGEKSGGFYCMalK[DDDDDDDDDD]2)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号73:分枝状D10(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalK[DDDDDDDDDD]2)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号74:分枝状D10(DVDVPDGRGDSLAYGCMalK[DDDDDDDDDD]2)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号75:分枝状D10(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalK[DDDDDDDDDD]2)とコンジュゲートさせたP4C
配列番号76:分枝状E10(YKRSRYTCMalK[EEEEEEEEEE]2)とコンジュゲートさせたF109C
配列番号77:分枝状E10(HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalK[EEEEEEEEEE]2)とコンジュゲートさせたPACAPC
配列番号78:分枝状E10(YIAGVGGEKSGGFYCMalK[EEEEEEEEEE]2)とコンジュゲートさせたCTCC
配列番号79:分枝状E10(RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalK[EEEEEEEEEE]2)とコンジュゲートさせたCk2.3C
配列番号80:分枝状E10(DVDVPDGRGDSLAYGCMalK[EEEEEEEEEE]2)とコンジュゲートさせたODPC
配列番号81:分枝状E10(KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalK[EEEEEEEEEE]2)とコンジュゲートさせたP4C
【0074】
詳細な説明
本開示の概念について、本明細書の図面および記載に、詳細に例示および記載してきたが、図面およびそれらの記載における結果は、例示的な性格のものであり、制限的な性格のものではないと考えられるべきであり、例示的な実施形態だけが示され、記載され、本開示の趣旨の中に収まる、全ての変化および改変は、保護されるように所望されることが理解される。
【0075】
そうでないことが規定されない限りにおいて、科学用語および技術用語は、本開示に関する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0076】
そうでないことが明示的に言明されるか、またはそうでないことが明確に含意されるのでない限り、本明細書で使用される「約」という用語は、値±10パーセントの範囲を指し、例えば、約1.0は、0.9~1.1の値を包含する。
【0077】
そうでないことが言明されるか、またはそうでないことが含意されるのでない限り、本明細書で使用される「~を処置すること(treating)」という用語は、ヒト患者または動物患者へと、少なくとも1つの用量の化合物を投与することを含み、処置することは、少なくとも1つの疾患の可能性および/または重症度を、防止または低下させることの他、疾病の持続期間または疾病の重症度を制限することを含み、処置する結果として、疾患の治癒がもたらされる場合もあり、もたらされない場合もある。
【0078】
そうでないことが明示的に言明されるか、またはそうでないことが明確に含意されるのでない限り、本明細書で使用される「治療有効用量」、「治療有効量」などの用語は、ヒトまたは他の動物の健康およびウェルビーイング(well being)に対して、正味の肯定的な効果を及ぼす、化合物の部分を指す。治療効果は、寿命、生活の質などの改善を含むことが可能であり、これらの効果はまた、疾患の発症しやすさ、または健康もしくはウェルビーイングの悪化させやすさの低減も含みうる。効果は、単回の投与および/または処置の後で、速やかに達せられる場合もあり、一連の投与および/または処置の後で、累積的に達せられる場合もある。「治療有効量」とは、一般に、対象または動物へと、疾患を処置するために投与した場合に、疾患に対しる所望される程度の処置に影響を及ぼすのに十分な量を意味する。
【0079】
本明細書で使用される「阻害」または「阻害活性」は、各々、酵素、あるいは阻害剤により直接的もしくは間接的に生じる酵素を含む経路、または阻害剤により直接的もしくは間接的に生じる酵素の活性により直接的もしくは間接的に生じる経路の全部および/または一部の、活性あるいは効果の全体的あるいは部分的な低減を包含する。
【0080】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、阻害剤の、所望される生物学的活性を維持し、所望されない毒性作用の呈示が最小限である塩として規定される。このような塩の非限定例は、(a)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)により形成される酸付加塩、および有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸など)により形成される塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどの金属カチオン、またはアンモニア、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、D-グルコサミン、テトラエチルアンモニウム、もしくはエチレンジアミンから形成されるカチオンにより形成される塩基付加塩;あるいは(c)(a)と(b)との組合せ;例えば、タンニン酸亜鉛などである。
【0081】
薬学的に許容される塩は、哺乳動物における使用に安全かつ有効であり、所望される治療活性を有する、本発明の化合物の塩を含む。薬学的に許容される塩は、本発明の化合物中に存在する、酸性基または塩基性基の塩を含む。薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))を含むがこれらに限定されない。ある特定の、本発明の化合物は、多様なアミノ酸と共に、薬学的に許容される塩を形成しうる。適切な塩基塩(base salt)は、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびジエタノールアミン塩を含むがこれらに限定されない。本発明を実施するのに使用されうる、一部の薬学的に許容される塩のさらなる情報については、Berge, et al., 66 J. PHARM. SCI. 1-19 (1977), Haynes, et al., J. Pharma. Sci., Vol. 94, No. 10, Oct. 2005, pgs. 2111-2120などを検討し、例えば P. Stahl, et al., Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, (VCHA/Wiley-VCH, 2002); S.M. Berge, et al., “Pharmaceutical Salts,” Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 66, No. 1, January 1977を参照されたい。
【0082】
医薬製剤:本発明の化合物およびその塩は、投与のための医薬組成物として製剤化することができる。当技術分野では、このような医薬組成物と、これらを作るプロセスが、ヒトおよび非ヒト哺乳動物のいずれについても公知である。例えば、remington: The Science and practice of pharmacy (A. Gennaro, et al., eds., 19thed., Mack Publishing Co., 1995)を参照されたい。製剤は、経口投与、注射(筋内、皮下、静脈内、腹腔内)などの非経口投与;ディッピング、スプレー、ベージング、ウォッシング、プアオンおよびスポッティングオン、ならびにダスティングなどの経皮投与を含む、多様な手段を介して投与することができる。さらなる有効成分も、本発明の化合物またはその塩を含有する製剤中に含まれうる。
【0083】
本発明の医薬製剤は、経口投与、非経口(皮下、皮内、筋内、および静脈内を含む)投与、および直腸内投与に適する医薬製剤を含む。製剤は、単位剤形で提示することができ、薬学技術分野で周知の方法のうちのいずれかにより調製することができる。全ての方法は、有効成分、すなわち、本発明の化合物または塩を、担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、有効成分を、液体担体、もしくは微粉化した固体担体、またはこれらの両方と均一に、かつ、緊密に会合させ、次いで、必要な場合、会合させた混合物を、所望の製剤へと形成することにより調製される。
【0084】
経口投与に適する、本発明の医薬製剤は、各々が、所定量の有効成分を含有する、カプセル、小袋、錠剤、もしくはトローチなど、個別の単位として;粉末もしくは顆粒として;シロップ、エリキシル、もしくはドラフトなど、水性液体中もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;または液体の水中油エマルジョンもしくは液体の油中水エマルジョンとして提示することができる。製剤はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストでもありうる。
【0085】
非経口投与に適する、本発明の医薬製剤は、水性滅菌注射溶液および非水性滅菌注射溶液を含むが、また、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および組成物を、レシピエントの血液と等張性とする溶液、ならびに、例えば、懸濁剤および増粘剤を含有しうる、水性滅菌懸濁液および非水性滅菌懸濁液も含みうる。製剤は、単回の単位用量容器により提示することもでき、複数回投与用量の容器により提示することもできるが、使用の前に、滅菌液体担体の添加を要求する、凍結乾燥状態で保存することもできる。
【0086】
薬学的に許容される担体:本明細書では、そうでないことが言明されるか、またはそうでないことが含意されるのでない限り、薬学的に許容される担体は、製剤中に含めることができる、活性成分(component)以外の任意の成分(ingredient)について記載するのに使用される。担体の選択は、大部分、特定の投与方式、可溶性および安定性に対する担体の効果、ならびに剤形の性質などの因子に依存する。
【0087】
錠剤は、有効成分を、薬学的に許容される担体と共に、圧縮または成形することにより作ることができる。圧縮された錠剤は、粉末または顆粒など、流動形態の有効成分を、適切な機械内で、例えば、結合剤、不活性の希釈剤、滑沢剤、崩壊剤、および/または界面活性剤と混合して圧縮することにより調製することができる。成形された錠剤は、適切な機械内で、粉末化され、不活性の液体希釈剤により湿潤化された有効成分の混合物を成形することにより調製することができる。錠剤は、任意選択で、コーティングすることも、分割線を施すこともできるが、有効成分の徐放または制御放出をもたらすように、製剤化することもできる。
【0088】
本明細書で使用される「骨関連疾患」は、骨減少症、骨粗鬆症、関節リウマチ、血液疾患、自己免疫、移植片拒絶、骨がん、および/または骨折を含むがこれらに限定されない。
【0089】
本明細書で記載される「治療的アフィニティー指数」とは、通例、治療用リガンドまたはこのアゴニストのIC50により表される、治療用リガンドのアフィニティー範囲であって、所望の治療効果を達成するように、受容体媒介性シグナル伝達カスケード(イベント)に関わるためのアフィニティー範囲である。例えば、リガンドが、リガンドの治療効果を達成する、Gタンパク質共役受容体媒介性応答を誘発するのに、4nM~15nMのIC50を有する場合、リガンドは、4nM~15nMのIC50である、治療的アフィニティー指数を有する。治療用リガンドが、その異なる治療効果を達成するのに、異なる作用方式を有する場合、治療的アフィニティー指数は、錯綜する場合がある。例えば、治療用リガンドの受容体が、2つの異なるコンフォメーションを有する場合、各コンフォメーションは、顕著に異なる治療的アフィニティー指数を有しうる。
【0090】
そうでないことが明示的に言明されるか、またはそうでないことが明確に含意されるのでない限り、本明細書で使用される「PTHrP1-46D10」、「PTHrP D10」、および「ターゲティング型PTHrP」という用語は、同じ化合物を規定するように、互換的に使用されうる。
【0091】
そうでないことが明示的に言明されるか、またはそうでないことが明確に含意されるのでない限り、本明細書で使用される「PTHrP1-34」、「PTHrP」、「遊離型PTHrP」、および「非ターゲティング型PTHrP」という用語は、同じ化合物を規定するように、互換的に使用されうる。
【0092】
骨粗鬆症は、骨折の危険性の増大と関連する、骨密度(bone mineral density)の低下および/または骨微細構造の劣化と規定される。この慢性疾患は主に、閉経後女性に影響するが、また、老齢男性にも影響しうる。この疾患は、ますます、加齢関連病的状態(age-related morbidity)と考えられている。骨粗鬆症を伴う患者において観察される骨格の変性は、骨形成の、骨吸収と比べた相対的不足の帰結である。骨粗鬆症治療は、大半が、抗吸収薬に依拠している。骨粗鬆症を処置するための、1つの、最新の代替療法は、副甲状腺ホルモン(PTH)の間欠的投与に基づく。PTHは、主に、副甲状腺の細胞により、84のアミノ酸を含むプロホルモンポリペプチドとして分泌される。有効なホルモン-受容体間相互作用は、N末端の34のアミノ酸だけを要求する。PTHは、血中のカルシウムイオン(Ca2+)濃度を増大させるように作用する。PTHは、骨および腎臓において高レベルで存在する、副甲状腺ホルモン1受容体に対して作用することにより、血中のカルシウム濃度を増大させるように本質的に作用する。タンパク質であるhPTH(1-34)は、わずかに屈曲した、長鎖螺旋状二量体として結晶化する。解析は、hPTH(1-34)の、伸長螺旋状コンフォメーションは、生体活性コンフォメーションである可能性が高いことを明らかにする。N末端断片(副甲状腺ホルモン(PTH)の1~34)を結晶化させ、構造を、0.9Åの解像度まで精緻化した。
【0093】
PTH療法により引き起こされる骨同化は、主に、骨芽細胞形成および骨芽細胞の生存を増大させるPTHの能力により説明される。PTHおよびPTH関連タンパク質(PTHrP)(骨において夥多である局所因子)は、骨芽細胞内では、一般的なPTH1型受容体と、同様のアフィニティーで相互作用する。主に、骨粗鬆症齧歯動物モデルにおける研究と、閉経後女性における限定的なデータは、N末端PTHrPペプチドが、有望な骨同化療法と考えられうることを示唆する。
【0094】
副甲状腺ホルモン受容体1(PTHR1)としてもまた公知の、副甲状腺ホルモン/副甲状腺ホルモン関連ペプチド受容体とは、ヒトにおいて、PTHR1遺伝子によりコードされるタンパク質である。PTHR1は、副甲状腺ホルモン(PTH)および副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)に対する受容体として機能する。
【0095】
PTHR1は、主に、骨、腎臓、および軟骨において発現するが、また、血管系およびある特定の発生中の臓器を含む、他の組織においても発現する、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のB型ファミリーに属する。
【0096】
PTHおよびPTHrPの最初の34残基からなるN末端断片は、一般に、それぞれ、84および141のアミノ酸残基もまた含む、対応する全長成熟ポリペプチド鎖内に存在する、受容体の相互作用の、鍵となる機能的決定基を含有すると考えられる。PTHおよびPTHrPは、伸長C末端セグメントを含むという点において、B型ファミリーペプチドリガンドの間で顕著に異なる。これらのセグメントの生物学的役割は、PTHのC末端部分に対応する断片が、骨細胞17において、アポトーシス促進効果を誘導する能力、およびPTHrPの中央領域を包含する断片の能力など、一部の機能的な応答が同定されているが、不明確なままである。
【0097】
リガンドの、ヘテロ三量体のGタンパク質へと共役したときに形成されるコンフォメーション(RGコンフォメーション)、またはPTHR1が、Gタンパク質へと共役していないときのコンフォメーション(R0コンフォメーション)にあるPTHR1に対するアフィニティーについて査定するために開発された膜結合アッセイは、構造的に顕著に異なるPTH類似体と、PTHrP類似体とが、変更されたアフィニティーで、受容体の、異なるコンフォメーション状態に結合しうることについての最初の手がかりをもたらした。PTH(1-34)およびPTHrP(1-36)についての、直接的比較研究は、これらの2つのペプチドは、RG状態に対しては、同様のアフィニティーを維持するが、R0状態に対しては、同じアフィニティーを有さず、PTH(1-34)は、R0に対して、PTHrP(1-36)よりはるかに大きなアフィニティーを提示することを裏付けた。
【0098】
アバロパラチド、PTHrP、およびPTHは、各タンパク質の最初の13アミノ酸において、高相同性を共有する。各活性同化薬が、副甲状腺ホルモンによるシグナル伝達を誘発し、残基2、3、4、6、7、9、12、および13において、最小限の相同性を含むか、または含有するペプチドを含む限りにおいて、同化ペプチド変異体を、本開示で記載される、多様なリンカー、任意選択で、スペーサー、およびターゲティングリガンドと組み合わせて、骨折治癒剤の、ターゲティングされた送達をもたらすことができる。
【0099】
この選択性の変更の機能的な帰結は、cAMPアッセイにおいて、典型的に明らかにされた。PTH(1-34)と、PTHrP(1-36)とは、従来のcAMP用量反応アッセイにおいて、同様の効力を有した(RG状態についてのそれらの同様のアフィニティー、および細胞内cAMP産生のGαS媒介性機構に従い)。しかし、2つのリガンドにより誘導される応答の持続期間(経時的ウォッシュアウトアッセイを使用して評価した)は、異なり、PTH(1-34)は、PTHrP(1-36)より持続的な応答を示す。一般に、細胞ベースの研究において観察されるcAMP応答の持続期間は、膜アッセイにおいて評価された、RG状態に対するそれらのアフィニティーではなく、PTH(1-34)と、PTHrP(1-36)とが、R0状態に対して呈する、異なるアフィニティーと相関する。R0状態は、Gタンパク質と共役していない状態であり、このため、cAMPシグナル伝達に関して不活性であるので、R0複合体は、時間経過にわたり、極めて安定であるが、機能的なGタンパク質共役状態へと、異性体化しうる可能性がある。
【0100】
PTHリガンドと、PTHrPリガンドとの間で異なる、RGにおけるアフィニティーと対比した、R0におけるアフィニティーに対する、1つの鍵となる構造的決定基は、5位における残基の識別へと追跡することができるので、PTHrP(1-36)におけるHis5を、PTHの、対応するイソロイシンで置きかえることにより、R0に対するアフィニティーが、顕著に増強され、標的細胞内で誘導される、cAMPシグナル伝達応答の持続期間が延長される。
【0101】
現在、任意の骨折を治癒させる同化剤を提供しようと、PTH、PTHrP、またはそれらのアゴニストが、局所投与または全身投与(systematic administration)について調べられている。しかし、これらの試験は、これらのタンパク質の使用に対する副作用が見られることを明らかにした。例えば、PTHまたはPTHrPの局所適用は、骨の露出を要求し、この結果として、治癒時間の増大、疼痛、および不快感をもたらし、感染の可能性さえももたらした。これに代わって、PTHおよびPTHrPの全身適用は、血中カルシウムレベルの上昇を含む、オフ標的作用を及ぼす傾向がある。したがって、上記で言及した副作用を軽減しうる骨同化剤送達系の開発が望ましい。
【0102】
本明細書では、薬物、リンカー、およびターゲティングリガンドを含む、薬物送達系が開示される。本開示の一部の態様は、骨折のターゲティングおよび治癒のための化合物を提示する。これらの化合物は、少なくとも3つの、顕著に異なる構造的/機能的な領域:副甲状腺ホルモン受容体1(PTHR1)、および治癒をもたらす、後続のシグナル伝達カスケードに関わる、有効な同化ペプチドまたは任意のアゴニスト;同化ペプチドが、骨折部位に到達するための、可変的なアーム長をもたらす、スペーサーを伴うかまたは伴わないリンカー;ならびに化合物を、骨折部位へと誘導し、ヒドロキシアパタイトおよび/または生骨に特異的に結合する、負に帯電したオリゴペプチドまたはその同等物を典型的に含むターゲティングリガンドを含みうる。特定の一態様では、薬物は、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)内の、最初の34アミノ酸でありうる。リンカーは、薬物を、ターゲティングリガンドから隔て、また、一部では、アミノ酸35~40が、受容体の結合を増大させると考えられるので、薬物の長さに余裕も与える、PTHrPのアミノ酸35~46を含みうる。最後に、ターゲティングリガンドは、アスパラギン酸デカペプチドを含みうるが、カルボン酸により官能化された他のポリマーも、同様の形で結合する可能性が高い(例えば、多様な組合せおよび配置における、Dグルタミン酸またはLグルタミン酸、Dアスパラギン酸またはLアスパラギン酸、およびアミノヘキサン二酸)。
【0103】
残基29において、メチルAlaを伴い、残基34において、アミン化された配列番号3を含むペプチド(アバロパラチド1-34)は、さらなるリンカーまたはターゲティングリガンドを伴わずに、強力な活性同化剤として、骨折を処置するのに用いられうる。
【0104】
PTHおよびPTHrPは、PTHR1に対するアゴニスト活性を保有する変異体を有することが可能であり、骨折治癒に関わり、骨折治癒の治療効果を達成するように、PTHまたはPTHrPの代わりに使用されうることが想定される。各活性同化薬が、副甲状腺ホルモンによるシグナル伝達を誘発し、残基2、3、4、6、7、9、12、および13において、最小限の相同性を含むか、または含有するペプチドを含む限りにおいて、提起された同化ペプチド変異体を、本開示で記載される、多様なリンカー、任意選択で、スペーサー、およびターゲティングリガンドと組み合わせて、骨折治癒剤の、ターゲティングされた送達をもたらすことができる。例えば、本明細書で記載されるリンカー配列およびターゲティングリガンドの任意の組合せと共に、PTHまたはPTHrPの、残基1、5、10、11、または14~34における保存的な置換または改変も、本開示における
保護について想定される。
【0105】
本開示の一態様では、ターゲティングリガンドは、複数のアスパラギン酸残基を含む酸性オリゴペプチドを含む。Dアスパラギン酸残基またはLアスパラギン酸残基の数は、約4つ~約10または約10~約20の残基でありうる。オリゴペプチドは、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もある。例示的な一実施形態では、リシン残基は、分枝点として使用される。本発明の別の態様では、アスパラギン酸は、L-アスパラギン酸の場合もあり
、D-アスパラギン酸の場合もあり、両方の光学異性体の混合物の場合もある。D-アスパラギン酸を、オリゴペプチド内に含む利点は、天然におけるL-アスパラギン酸だけを含むオリゴペプチドと比較して、タンパク質分解を受けにくくなりうることである。
【0106】
本開示の他の態様では、酸性オリゴペプチドは、20を超えないL-グルタミン酸またはD-グルタミン酸でありうる。本開示のさらに別の態様では、酸性オリゴペプチドは、20を超えないLもしくはD-アスパラギン酸、またはL-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸の組合せでありうる。
【0107】
本開示の一部の態様では、ターゲティングリガンドは、ポリホスフェート(polyphosphate)または少なくとも1つのビスホスフェート(bisphosphate)でありうる。本開示のさらに他の態様では、ターゲティングリガンドは、コラーゲン模倣性ペプチドでありうる。このようなコラーゲン模倣性ペプチドは、骨折部位において、不完全なコラーゲン原線維の間に挿入される。本開示の一態様では、コラーゲン模倣性ペプチドは、[Gly-Pro-Hyp]9-OHの構造を有しうる。
【0108】
本開示の一部の態様では、ターゲティングリガンドは、骨格と酸との間に、1つを超える炭素を伴う、アミノヘキサン二酸(アルファ-アミノアジピン酸)またはその誘導体でありうる。例えば、ターゲティングリガンドは、2-アミノマロン酸でありうる。
【0109】
本開示の一部の態様では、ターゲティング送達用化合物は、PEG(ポリエチレングリコール)を含む、少なくとも1つのスペーサーをさらに含む。
【0110】
PTHもしくはPTHrPなどの活性同化化合物、またはそれらのそれぞれのアゴニストおよびターゲティングリガンドの間には、可変的な長さのリンカー配列が存在しうる。本開示の一部の態様では、リンカーは、PTHまたはPTHrPの活性断片の伸長部の任意の部分、すなわち、PTHの残基35~84またはPTHrPの残基35~173でありうる。このような活性断片の伸長部は、通例、放出可能ではなく、リンカー配列は、伸長部の任意の部分、または伸長部の異なる部分の組合せでありうる。
【0111】
本開示の他の一部の態様では、リンカーは、骨リモデリング時に、破骨細胞内で産生される、少なくとも1つの夥多部分に感受性の、加水分解性基質でありうる。例えば、カテプシンKは、骨リモデリング時に、破骨細胞内で産生される部分である。Gly-Gly-Pro-Nle(配列中、Nleは、ノルロイシン、ロイシン、イソロイシン、または疎水性修飾を伴う、他の任意の同等物である)を含むリンカー配列は、カテプシンKの基質として用いられうる。ターゲティング型化合物が、破骨細胞部位へと送達されると、カテプシンKは、リンカーを加水分解し、骨の治癒に作用するように、活性同化化合物を放出しうる。
【0112】
さらに別の加水分解性リンカーは、ジスルフィド結合を含むことが可能であり、破骨細胞において、グルタチオンにより放出されうる。
【0113】
さらに別の加水分解性リンカーは、放出可能なエステルでありうる。
【0114】
本開示のこれらの特色は、以下の実施例により、さらに裏付けられる。
【実施例0115】
材料および方法
合成ペプチドは、固相ペプチド合成または組換え発現により合成した。
【0116】
固相ペプチド合成
略述すると、窒素の気泡をもたらすことが可能な固相ペプチド合成バイアル内に、2-クロロトリチル樹脂(1g当たり1.11ミリモル)を、第1のアミノ酸と共に、1g当たり0.4ミリモルで、DCMおよびDIPEA中に、一晩にわたりロードした。次いで、樹脂を、DCM/MeOH/DIPEA(17:2:1)による、5mLずつ4回の洗浄に続く、DCMおよびDMF、それぞれによる、3回ずつの洗浄でキャッピングした。各アミノ酸カップリング反応の後、DMF中に20%(v/v)のピペリジンを伴う、10分間ずつ、3回にわたるインキュベーションにより、Fmoc基を除去した。次いで、樹脂を、DMFで、3回にわたり洗浄してから、次に、アミノ酸を添加した。各アミノ酸は、HBTU/DIPEAと共に、5倍過剰量で添加した。合成が完了したら、95:2.5:2.5のトリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシランを使用して、ペプチドを切断した。95:2.5:2.5のトリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:水および10倍過剰量のTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)を使用して、システインを含有するペプチドを切断した。
【0117】
組換えタンパク質の発現
T7プロモーター、チオレドキシンコード配列、HisTag配列、トリプトファン残基、およびペプチドコード配列を含有する、アンピシリン耐性プラスミドを作出した。コンピテント細胞を、プラスミドで形質転換し、アンピシリンを含有する寒天プレート上に播種した。単独のコロニーを選択し、アンピシリン(100ug/ml)LB培地中、37℃で、一晩にわたり拡大した。次いで、コンピテント細胞を、1lのアンピシリン(100ug/ml)LB培地中、15時間にわたり、さらに拡大した。15時間後、1mMの最終濃度に到達するように、IPTGを添加し、培地を、37℃、180rpmで、5時間にわたり攪拌した。次いで、細胞を、ペレット化させ、6MのグアニジンHClを含有する、pH8、20mMのトリス-HCL中の超音波処理により溶解させた。次いで、イミダゾールを使用する、HisTagからの溶離により、融合タンパク質を単離した。融合タンパク質含有画分を透析し、凍結乾燥させた。ヨードソ安息香酸法を使用して、タンパク質分解性切断を実施した。アニオン交換カラムを使用して、最終的なペプチドを精製し、透析し、さらなる使用のために凍結乾燥させた。
【0118】
特徴付け
ペプチドの分子量は、HPLC/MSを使用して確認した。
【0119】
マウスにおける骨折の誘導
全ての動物研究は、Purdue’s animal care and use committeeによるプロトコールに従い行い、文献に記載される通りに実施した。Harlan研究所から得られたCD4 Swissマウス(30~35g)を、これらの実験のために使用した。イソフルラン麻酔を伴う無菌条件下で、固定型大腿骨骨折を施した。膝部周囲の皮膚を剃毛し、まず、アルコールパッドで、次いで、Betadine溶液で清浄化した。皮膚切開は、内側傍膝蓋骨法により行った。次いで、膝蓋骨を外し、膝蓋骨下で、切開を行った。25ゲージ針を使用して、髄内管を、リーマーで広げた。次いで、22ゲージロッキングネイル(回転方向の安定性をもたらすように、両端を平板化した)を挿入した。創傷を結紮し、次いで、過剰損傷を防止するように、内蔵の停止装置を有する、3点曲げデバイスを使用して、骨折させた。皮下ブプレノルフィン(0.05~0.1mg/kg)を、手術(surgery)時に投与するのに続き、手術(operation)後3~7日間にわたり、12時間ごとに投与した。
【0120】
投与:
マウスに、1kg当たり31ナノモルのペプチドまたは生理食塩液対照を、毎日皮下投与した。初回投与は、骨折の6時間後に行い、研究を通じて持続し、最終回投与は、安楽死の前日に行った。
【0121】
骨密度の解析
Scanco μCT 40を使用して、CT画像および骨についてのデータを収集した。骨は、脱水を防止するために、PBS中に浸漬しながら走査した。ImageJソフトウェアを使用して、骨密度、全骨組織体積(total volume)(TV)、相対骨体積(relative bone volume)(BV/TV)、骨梁幅(Tb.Th)、および骨梁中心距離(Tb.Sp)について、画像を解析した。目的の体積は、骨折部位における、皮質骨上の地点間に、骨折の化骨、ならびに皮質骨および骨梁骨の両方を含んだ。
【0122】
統計学的解析は、Prism GraphPadソフトウェアを使用して行った。データは、結果において、平均±平均の標準誤差(SEM)として提示する。対応のないスチューデントのt検定を使用して、統計学的有意性を決定し、0.05未満のP値を、統計学的に有意であると考えた。
【0123】
実施例1 ターゲティングされた骨折治癒のためのPTHrP送達系
本実施例では、薬物、リンカー、およびターゲティングリガンドを含む、骨折ターゲティング医薬を合成した。
【0124】
PTHrPのアミノ酸残基1~46に続き、10のアスパラギン酸を含む医薬配列を、配列番号10で一覧する。上記で記載した通り、残基1~34は、PTHrPの活性部分であり、残基35~46は、骨折を治癒させるために提起された医薬のリンカー部分であり、10のアスパラギン酸は、ターゲティングリガンドである。
【0125】
3群のマウスにおいて、大腿骨の閉鎖骨折をもたらした。マウスに、毎日、4週間にわたり、ターゲティング型PTHrP(1日当たり1kg当たり31ナノモル)、PTHrP 1-34(1日当たり1kg当たり31ナノモル)、または生理食塩液を投与した。研究の終了時に、マウスを、CO2により安楽死させ、大腿骨を採取し、骨密度を、MicroCTにより決定した。
【0126】
図1において示される通り、PTHrPのターゲティング形は、骨折周囲の骨密度を、遊離型PTHrPおよび生理食塩液より著明に大きく増大させた。これは、ターゲティングリガンド配列へと連結された有効な同化剤を使用する戦略が、骨折の治癒のために働きうることを指し示す。
【0127】
骨治癒の進展を指し示す別の方途は、microCTにより収集される、骨梁中心距離データを測定することである。図2において示される通り、各骨折の化骨から選んだ100のCTフレーム(スライス)について解析した。フレームのスタックは、化骨が最大である骨折領域から選択した。左から右へと、ターゲティング型PTHrP(PTHrP1-46に続く、10のアスパラギン酸)および生理食塩液対照である。ターゲティング型PTHrPは、中心距離の、生理食塩液対照より統計学的に有意な縮小を示す。
【0128】
血中の高カルシウム濃度を引き起こすことが典型的な、従来の単独の同化剤投与と比較して、本出願は、代替法を提供するが、これは、骨折治癒剤を局所適用することが必要とされる場合よりも優れている。これは、高血中カルシウムレベル、または感染症と関連する骨の露出などの危険性を抑制する。
【0129】
最初の34アミノ酸への、多様な保存的置換は、骨折したマウスにおける、同じ、またはより良好な骨密度の回復をもたらすことが想定される。
【0130】
また、1~34を越える、PTHrPの伸長配列の他の部分を使用することにより、10のアスパラギン酸によるターゲティングリガンドへの、同等以上の接続をもたらしうることも想定される。
【0131】
本開示で記載される任意のリンカーおよびターゲティングリガンドを使用することもさらに想定される。例えば、リンカーは、PTH配列の天然ペプチドの変化形の場合もあり、Gly-Gly-Pro-Nle[配列中、Nleは、ノルロイシン、またはロイシンもしくはイソロイシンなど、別の疎水性アミノ酸である]など、任意のカテプシンK感受性リンカーの場合もある。リンカーは、還元性環境に放出されうる、ジスルフィドリンカーでありうる。グルタチオンは通例、ある特定の種類の損傷において放出され、ジスルフィド結合を還元しうる。ジスルフィドリンカーは、同化剤の効力を増大させうることが想定される。リンカーはまた、加水分解され、放出されて、治癒効率を増大させるエステルでもありうる。ターゲティングリガンドは、通例、4つまたはこれを超える酸性アミノ酸残基を含有する酸性オリゴペプチド鎖であり、ヒドロキシアパタイトおよび/または生骨に結合する。これらの酸性アミノ酸残基は、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸またはこれらの組合せのうちのいずれかでありうる。場合によって、酸性オリゴペプチドは、骨折部位における薬物の蓄積を増大させるように、少なくとも1つのリシンを伴う分枝状の酸性オリゴペプチドでありうる。分枝鎖は、2つ、3つ、または4つなど、複数の分枝でありうる。
【0132】
ターゲティングリガンドの別の選択肢は、1または複数のビスホスホネート(bisphosphonate)、すなわち、ポリビスホスホネート(polybisphosphonate)である。コラーゲン模倣性ペプチドは、[Gly-Pro-Hyp]9-OHの配列を有する。
【0133】
ターゲティングリガンドのさらに別の選択肢は、骨格と酸との間に、1つを超える炭素を伴う、アミノヘキサン二酸(アルファ-アミノアジピン酸)またはその誘導体である。例えば、2-アミノマロン酸を、PTHrPまたはその変異体のためのターゲティングリガンドとして使用することができる。
【0134】
PEG(ポリエチレングリコール)などのスペーサーを、合成されたターゲティング薬物送達系へと付加して、ターゲティングリガンドが、同化効率に干渉する可能性を低減することができる。
【0135】
PTHrP変異体-リンカー-ターゲティングリガンド選択肢の、異なる多様な組合せについて、骨密度回復についての試験を、本実施例で記載されたのと同様に実施することができる。具体的には、合成された薬物-リンカー-ターゲティングリガンドを、PTHrP変異体自体および生理食塩液と、骨折周囲の骨密度に対するそれらの効果について比較する。PTHrP変異体のターゲティング形は、骨折周囲の骨密度を、遊離型PTHrP変異体および生理食塩液より著明に大きく増大させることが予測される。
【0136】
実施例2 治癒のために、骨折への、薬物のターゲティングされた送達をもたらすための、同化薬の、リンカー選択肢およびターゲティングリガンドとの、多様な異なる組合せ
本実施例では、PTHの、最初の34アミノ酸を、本明細書で記載される適切なリンカー、および適切なターゲティングリガンドと共に合成する。実施例1と同様に、リンカーは、残基35~84を含む、活性PTHの伸長部の任意のセグメント、または実施例1に記載された他のリンカーでありうる。ターゲティングリガンドは、実施例1に記載されたターゲティングリガンドのうちのいずれかでありうる。図3において示される通り、リンカーは、アミノ酸残基36~46であり、ターゲティングリガンドは、10のアスパラギン酸である。合成された薬物-リンカー-ターゲティングリガンド(PTH 1-46D10、配列番号11)は、骨折周囲の骨密度に対するそれらの効果について、PTH変異体自体および生理食塩液と比較することができる。PTH変異体のターゲティング形は、骨折周囲の骨密度を、遊離型PTH変異体および生理食塩液より、著明に大きく増大させることが予測される。図3は、ターゲティングされたPTH 1-46D10が、骨密度の、生理食塩液対照と比較して、統計学的に有意な増大をもたらすことを示した。
【0137】
他の一部の有効な同化薬を使用して、本実施例におけるPTH(1-34)を置きかえ、骨折の治癒を達成しうると考えられる。
【0138】
実施例3 フリースタンディングの骨折治癒剤としてのアバロパラチド1-34
本実施例では、29において、メチルAlaとしての修飾残基を伴い、34において、アミン化Alaとして修飾残基を伴う、アバロパラチド1-34(配列番号3)について調べた。アバロパラチドについては、骨折を防止するために骨粗鬆症を処置することで、調べられている。異なる過程である、実際の骨折を治癒させるその能力についても調べているところである。当然ながら、アバロパラチド1-34を、前出の実施例で記載されリンカーおよびターゲティングリガンドへと連結することは、ターゲティング送達のために、骨折部位における骨密度を増大させる可能性が高いであろう。
【0139】
ここで、図1を参照しながら述べると、各骨折の化骨から選んだ100のCTフレーム(スライス)について解析した。CTフレームは、4週間後に撮影した。フレームのスタックは、化骨が最大である骨折領域から選択した。左から右へと、ターゲティング型PTHrP(PTHrP1-46に続く、10のアスパラギン酸)、遊離型の非コンジュゲートPTHrP(PTHrP1-34)、および生理食塩液対照である。PTHrPのターゲティング形は、骨折周囲の骨密度を、遊離型PTHrPおよび生理食塩液による骨密度より、有意に大きく増大させた。
【0140】
ここで、図2を参照しながら述べると、中心距離の縮小は、骨密度の増大と関連し、治癒の進展を示しうる。CTフレームは、4週間後に撮影した。各骨折の化骨から選んだ100のCTフレーム(スライス)について解析した。フレームのスタックは、化骨が最大である骨折領域から選択した。左から右へと、ターゲティング型PTHrP(PTHrP1-46に続く、10のアスパラギン酸)および生理食塩液対照である。ターゲティング型PTHrPは、中心距離の、生理食塩液対照と比較して、統計学的に有意な低減を示す。
【0141】
ここで、図3を参照しながら述べると、各骨折の化骨から選んだ100のCTフレーム(スライス)について解析した。CTフレームは、2週間後に撮影した。フレームのスタックは、化骨が最大である骨折領域から選択した。左から右へと、ターゲティング型PTH(PTH1-46に続く、10のアスパラギン酸)および生理食塩液対照である。ターゲティング型PTHは、骨密度の、生理食塩液対照と比較して、統計学的に有意な増大をもたらす。
【0142】
ここで、図4を参照しながら述べると、ターゲティング型PTHrPおよび非ターゲティング型PTHrPの両方についての、アルカリホスファターゼ(ALP)の発現比を、MC3T3E1細胞内で解析した。ALP比は、(処置された場合のALP発現/媒体対照によるALP発現)により計算する。発現レベルの上昇は、骨芽細胞活性の増大と関連し、骨の石灰化に関与する、鍵となるタンパク質である。ターゲティングリガンドの付加は、薬物の有効性を低減しない。
【0143】
ここで、図5を参照しながら述べると、ターゲティング型PTHrPおよび非ターゲティング型PTHrPの両方についての、オステオポンチン(OPN)の発現比を、MC3T3E1細胞内で解析した。OPN比は、(処置された場合のOPN発現/媒体対照によるOPN発現)により計算する。発現レベルの上昇は、骨芽細胞活性の増大と関連し、骨の石灰化に関与する、鍵となるタンパク質である。ターゲティングリガンドの付加は、薬物の有効性を低減しない。
【0144】
ここで、図6を参照しながら述べると、ターゲティング型PTHrPおよび非ターゲティング型PTHrPの両方についての、いくつかの鍵となる骨マーカーの遺伝子発現比を、MC3T3E1細胞内で解析した。活性マーカーは、アルカリホスファターゼ(ALP)、I型コラーゲンアルファ(Col1アルファ)、オステオカルシン(OC)、オステオプロテグリン(OPG)、オステオポンチン(OPN)、およびオステリクス(OSX)を含む。遺伝子発現比は、(処置された場合の遺伝子発現/媒体対照による遺伝子発現)により計算する。PTHrPをターゲティングした場合の活性は、1pMという低度である。
【0145】
【表1】
【0146】
ここで、表1を参照しながら述べると、マウスを、1日当たり1kg当たり31ナノモルの、PTHrPD10(「ターゲティングされた薬物」)または生理食塩液の皮下注射により処置した。Swiss ND4マウスを、28日間にわたり処置した。マウスを、研究の終了時に屠殺し、肝臓および腎臓を切り出した。臓器を、ホルマリン中で固定し、各々から、パラフィン切片を作製した。獣医科の病理医が、臓器についての、無作為化された盲検解析を実施した。検出可能な毒性は、観察されなかった。記録された病変は、重要性が僅少であり、明白な組織損傷(壊死)と関連しない。この種の病変が、臨床徴候または疾病を引き起こす可能性は小さいと考えられる。これらの病変は、これらの動物にとって、正常な限界内にある可能性が高い。
【0147】
ここで、図7を参照しながら述べると、マウスを、1日当たり1kg当たり31ナノモルの、PTHrPD10(ターゲティング型)またはPTHrP(遊離型)の皮下注射により処置した。Swiss ND4マウスを、14、28、または56日間にわたり処置した。マウスを、各研究について、投与期間の終了時に屠殺し、大腿骨を切り出した。骨折の化骨密度は、Scanco製のmicroCTを使用して測定した。各骨折の化骨の直径が最大となる、100スライスの切片を、測定のために選択した。「ターゲティング型2」は、ターゲティング型PTHrPを、2週間(14日間)にわたり投与されたマウスを表す。「遊離型2」は、非修飾PTHrPを、2週間(14日間)にわたり投与されたマウスを表す。「ターゲティング型4」は、ターゲティング型PTHrPを、4週間(28日間)にわたり投与されたマウスを表す。「遊離型4」は、非修飾PTHrPを、4週間(28日間)にわたり投与されたマウスを表す。「ターゲティング型8」は、ターゲティング型PTHrPを、8週間(56日間)にわたり投与されたマウスを表す。「遊離型8」は、非修飾PTHrPを、8週間(56日間)にわたり投与されたマウスを表す。ターゲティング型PTHrPでは、あらゆる時点において、遊離型PTHrpより大きな密度を観察することができる。ターゲティング型PTHrPと、遊離型PTHrPとの最大の差違は、2週間における差違である。これらの結果は、ターゲティングされた薬物が、骨折の治癒を改善するだけでなく、また、骨折の治癒を加速化させることも指し示す。
【0148】
ここで、図8を参照しながら述べると、マウスを、1日当たり1kg当たり31ナノモルの、アバロパラチドD10(ターゲティング型)、アバロパラチド(ターゲティングなし)および生理食塩液の皮下注射により処置した。Swiss ND4マウスを、28日間にわたり処置した。マウスを、研究の終了時に屠殺し、大腿骨を切り出した。骨折の化骨密度は、Scanco製のmicroCTを使用して測定した。各骨折の化骨の直径が最大となる、100スライスの切片を、測定のために選択した。アバロパラチドは、既に、骨粗鬆症の処置のために使用されている。これらの結果は、アバロパラチドはまた、骨折を処置するためにも使用されうることを指し示す。これらの結果は、ターゲティングされたアバロパラチドが、遊離型アバロパラチドよりよく効くことを指し示す。
【0149】
ここで、図9を参照しながら述べると、マウスを、1日当たり1kg当たり31ナノモルの、ポリホスフェート(polyphosphate)でターゲティングされたPTHrPまたは生理食塩液の皮下注射により処置した。Swiss ND4マウスを、28日間にわたり処置した。マウスを、研究の終了時に屠殺し、大腿骨を切り出した。骨折の化骨密度は、Scanco製のmicroCTを使用して測定した。各骨折の化骨の直径が最大となる、100スライスの切片を、測定のために選択した。ポリホスフェート(polyphosphate)でターゲティングされたPTHrPは、骨折の治癒を、生理食塩液と比較して増進した。
【0150】
ここで、図10を参照しながら述べると、マウスを、1日当たり1kg当たり31ナノモルの、単一のアレンドロネート(alendronate)、分枝状トリアレンドロネート(alendronate)でターゲティングされたPTHrP、または遊離型PTHrPの皮下注射により処置した。Swiss ND4マウスを、28日間にわたり処置した。マウスを、研究の終了時に屠殺し、大腿骨を切り出した。骨折の化骨密度は、Scanco製のmicroCTを使用して測定した。各骨折の化骨の直径が最大となる、100スライスの切片を、測定のために選択した。単一のアレンドロネート(alendronate)または分枝状のトリアレンドロネート(alendronate)でターゲティングされたPTHrPは、骨折の治癒を、遊離型PTHrPと比較して増進した。
【0151】
実施例4
ターゲティングリガンドは、オリゴ酸性アミノ酸を含みうるがこれらに限定されない。例示的なオリゴ酸性アミノ酸は、Lアミノ酸および/もしくはDアミノ酸を含む、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および/もしくは30のアスパラギン酸の直鎖状ポリマー、Lアミノ酸および/もしくはDアミノ酸を含む、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および/もしくは30のグルタミン酸の直鎖状ポリマー、L酸性アミノ酸および/もしくはD酸性アミノ酸を含む、10の酸性アミノ酸の直鎖状ポリマー、Lアミノ酸および/もしくはDアミノ酸を含む各分枝上に、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および/もしくは20の残基を伴う、アスパラギン酸の分枝状ポリマー、Lアミノ酸および/もしくはDアミノ酸を含む各分枝上に、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および/もしくは20の残基を伴う、グルタミン酸の分枝状ポリマー、ならびに/またはL酸性アミノ酸および/もしくはD酸性アミノ酸を含む各分枝上に、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および/もしくは20の残基を伴う、酸性アミノ酸の分枝状ポリマーを含むがこれらに限定されない。ここで、図11~12を参照すると、酸性アミノ酸の、例示的な直鎖状ポリマーおよび分枝状ポリマーが示されている。図13は、アミノ酸に由来しない、例示的なターゲティングリガンドを提示する。
【0152】
ターゲティングリガンドを、マレイミド含有リンカーとカップリングさせる。マレイミド含有リンカーを有するターゲティングリガンドを、システインマレイミドカップリングプロセスを介して、顕著に異なる化学的特性を有する多様なペプチドとさらにコンジュゲートさせる。これらのペプチドは、FGF2のヘパリン結合性ドメイン(配列番号14)を表す配列、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(配列番号15)を表す配列、III型コラーゲンCTX領域由来の走化性クリプティックペプチド(配列番号16)を表す配列、カゼインキナーゼ2ベータ鎖(配列番号17)を表す配列、オステオポンチン由来ペプチド(配列番号18)を表す配列、および/またはP4-BMP2(配列番号19)を表す配列を含みうるがこれらに限定されない。125Iを、コンジュゲートペプチドのヒスチジン残基、チロシン残基、および/またはトリプトファン残基へと共有結合的に結合させた、Pierce製のヨード化試薬を介して、コンジュゲートペプチドをヨード化する。
【0153】
分枝状D10とコンジュゲートさせたF109Cは、式:YKRSRYTCMalK[DDDDDDDDDD]2を有する(配列番号70もまた参照されたい)。
【0154】
分枝状D10とコンジュゲートさせたPACAPCは、式:HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalK[DDDDDDDDDD]2を有する(配列番号71もまた参照されたい)。
【0155】
分枝状D10とコンジュゲートさせたCTCCは、式:YIAGVGGEKSGGFYCMalK[DDDDDDDDDD]2を有する(配列番号72もまた参照されたい)。
【0156】
分枝状D10とコンジュゲートさせたCk2.3Cは、式:RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalK[DDDDDDDDDD]2を有する(配列番号3もまた参照されたい)。
【0157】
分枝状D10とコンジュゲートさせたODPCは、式:DVDVPDGRGDSLAYGCMalK[DDDDDDDDDD]2を有する(配列番号74もまた参照されたい)。
【0158】
分枝状D10とコンジュゲートさせたP4Cは、式:KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalK[DDDDDDDDDD]2を有する(配列番号75もまた参照されたい)。
【0159】
分枝状E10とコンジュゲートさせたF109Cは、式:YKRSRYTCMalK[EEEEEEEEEE]2を有する(配列番号76もまた参照されたい)。
【0160】
分枝状E10とコンジュゲートさせたPACAPCは、式:HSDGIFTDSYSRYRKQMAVKKYLAAVLGKRYKQRVKNKCMalK[EEEEEEEEEE]2を有する(配列番号77もまた参照されたい)。
【0161】
分枝状E10とコンジュゲートさせたCTCCは、式:YIAGVGGEKSGGFYCMalK[EEEEEEEEEE]2を有する(配列番号78もまた参照されたい)。
【0162】
分枝状E10とコンジュゲートさせたCk2.3Cは、式:RQIKIWFQNRRMKWKKIPVGESLKDLIDQCMalK[EEEEEEEEEE]2を有する(配列番号79もまた参照されたい)。
【0163】
分枝状E10とコンジュゲートさせたODPCは、式:DVDVPDGRGDSLAYGCMalK[EEEEEEEEEE]2を有する(配列番号80もまた参照されたい)。
【0164】
分枝状E10とコンジュゲートさせたP4Cは、式:KIPKASSVPTELSAISTLYLCMalK[EEEEEEEEEE]2を有する(配列番号81もまた参照されたい)。
【0165】
ここで、図14Aおよび14Bを参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウスに、1mCiの125I標識化コンジュゲートを注射した。システインチロシンジペプチドを、マレイミドリンカーへとカップリングさせる。マレイミドリンカーを有するシステインチロシンジペプチドを、表示のターゲティングリガンドの各々へとコンジュゲートさせる。PTHrP_ASP10は、10のアスパラギン酸による直鎖状ポリマーを伴う、PTHrPの1~46を有するコンジュゲートペプチドを表す。プレプチン_Asp10は、10のアスパラギン酸による直鎖状ポリマーを伴う、プレプチンの1~16を有するコンジュゲートペプチドを表す。注射の24時間後に、剖検を実施し、組織を切り出した。次いで、ガンマカウンターを介して、組織をカウントした。ここでは、骨折した大腿骨の、健常な大腿骨に対する相対カウントを、比として表示する。
【0166】
ここで、図15を参照しながら述べると、右大腿骨における骨切り術の10日後において、成体雌Swiss Weberマウスに、10L-アスパラギン酸の直鎖状ポリマーへとコンジュゲートさせたLS288を、皮下注射した。1秒間にわたる、780nmの励起ビームを介して、マウスをイメージングした。発光蛍光は、810nmで、1秒間にわたり収集した。注射部位が、マウスの背部の近傍であったので、マウスは、背部における高蛍光を呈する。
【0167】
ここで、図16を参照しながら述べると、右大腿骨における骨切り術の3、6、および10日後において、成体雌Swiss Weberマウスに、10L-アスパラギン酸の直鎖状ポリマーへとコンジュゲートさせたLS288を、皮下注射した。1秒間にわたる、780nmの励起ビームを介して、マウスをイメージングした。発光蛍光は、810nmで、1秒間にわたり収集した。上列は、骨折の10日後を表し、中列は、骨折の6日後を表し、下列は、骨折の3日後を表す。あらゆる群内の左側の大腿骨は、骨折した大腿骨であり、右側の健常な大腿骨と比較される。これは、骨折のターゲティングが、治癒過程を改善することを裏付ける。
【0168】
ここで、図17を参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウスに、0.25mCiの放射性標識化125IプレプチンD10コンジュゲートを注射し、異なる時点において屠殺した。各組織を回収し、次いで、ガンマカウンターで定量化した(図17A)。放射性標識化125IプレプチンD10を使用して、骨折した大腿骨と、健常な大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を計算した(図17B)。
【0169】
ここで、図18および19を参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、0.22mCiの放射性標識化125Iコンジュゲートペプチドを注射した。注射の14時間後各マウスを屠殺し、列挙された臓器の各々を回収し、定量化した。カウントは、試料の重量に照らして標準化した。各コンジュゲートペプチドでの、骨折した大腿骨と、健常な(骨折していない)大腿骨との間の、相対カウントの倍数差を計算した。
【0170】
ここで、図20を参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、L-Asp10(図20A)、D-Asp10(図20B)、またはL-Asp20(図20C)とコンジュゲートさせた、0.22mCiの放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、F109C、およびPACAPC)を注射した。注射の14時間後各マウスを屠殺し、列挙された臓器の各々を回収し、定量化した。カウントは、試料の重量に照らして標準化した。被験コンジュゲートペプチドの全ては、骨折した骨に対する、他の臓器を上回る、優先的ターゲティングおよび/または選択的ターゲティングを呈した。
【0171】
ここで、図21を参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、L-Glu10(図21A)またはD-Glu10(図21B)とコンジュゲートさせた、0.22mCiの放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、およびF109C)を注射した。注射の14時間後各マウスを屠殺し、列挙された臓器の各々を回収し、定量化した。カウントは、試料の重量に照らして標準化した。被験コンジュゲートペプチドの全ては、骨折した骨に対する、他の臓器を上回る、優先的ターゲティングおよび/または選択的ターゲティングを呈した。腎臓で観察された高シグナルは、腎臓における、高存在度のグルタミン酸輸送体に起因しうる。これらの輸送体は、グルタミン酸の、細胞への実際の取込みではなく、循環への再吸収の一因となる。これは、負に帯電した分子が、骨に強く接着する、骨折した大腿骨において観察される取込みに反して、シグナルが、時間経過にわたり減衰する可能性が高いことを意味する(例えば、図17を参照されたい)。グルタミン酸の吸収に関する、さらなる詳細については、Hediger, M. A. Glutamate transporters in kidney and brain. Am. J. Physiol. - Ren. Physiol. 277, F487-F492 (1999); Kanai, Y. & Hediger, M. A. Primary structure and functional characterization of a high-affinity glutamate transporter. Nature 360, 467-471 (1992); and Kanai, Y. & Hediger, M. A. The glutamate and neutral amino acid transporter family: physiological and pharmacological implications. Eur. J. Pharmacol. 479, 237-247 (2003)を参照されたい。
【0172】
ここで、図22を参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、L-Glu20(図22A)またはD-Glu20(図22B)とコンジュゲートさせた、0.22mCiの放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、F109C、およびPACAPC)を注射した。注射の14時間後各マウスを屠殺し、列挙された臓器の各々を回収し、定量化した。カウントは、試料の重量に照らして標準化した。被験コンジュゲートペプチドの大半は、骨折した骨または腎臓に対する、他の臓器を上回る、優先的ターゲティングおよび/または選択的ターゲティングを呈した。グルタミン酸ポリマーを、20へと伸長させることにより、骨折した骨への選択性が、わずかに改善されると考えられたが、腎臓への取込みも、やはり維持される。
【0173】
ここで、図23を参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、分枝状L-Asp10(図23A)または分枝状D-Asp10(図23B)とコンジュゲートさせた、0.22mCiの放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、F109C、およびPACAPC)を注射した。注射の14時間後各マウスを屠殺し、列挙された臓器の各々を回収し、定量化した。カウントは、試料の重量に照らして標準化した。被験コンジュゲートペプチドの全ては、骨折した骨に対する、他の臓器を上回る、優先的ターゲティングおよび/または選択的ターゲティングを呈した。一部は、腎臓への高度な取込みを示すと考えられた。
【0174】
ここで、図24を参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、L-AAD10(図24A)、L-SDSDD(図24B)、または(DSS)6(図24C)とコンジュゲートさせた、0.22mCiの放射性標識化125Iペプチド(例えば、ODPC、P4C、Ck2.3C、CTCC、F109C、およびPACAPC)を注射した。注射の14時間後各マウスを屠殺し、列挙された臓器の各々を回収し、定量化した。カウントは、試料の重量に照らして標準化した。L-AAD10とコンジュゲートさせたペプチドは、骨折した骨に対する、ある程度のターゲティング能を有すると考えられる。L-SDSDDとコンジュゲートさせたペプチドは、骨折した骨に対する、中程度のターゲティング能を呈し、腎臓への取込みの増大もまた、観察された。(DSS)6とコンジュゲートさせたペプチドは、骨折した骨に対するターゲティング能を有さないと考えられる。
【0175】
ここで、図25Aを参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、モノビスホスホネート(monobisphosphonate)、トリビスホスホネート(tribisphosphonate)、ポリホスフェート(polyphosphate)、E10、またはE20とコンジュゲートさせた、0.22mCiの放射性標識化125Iペプチド(例えば、PTHrP1-36およびPTH1-34およびPTHrP1-39)を注射した。ここで、図25Bを参照しながら述べると、骨切り術の10日後において、成体Swiss Weberマウス(12週齢)に、モノビスホスホネート(monobisphosphonate)(「モノビスホスホネート(monobisphosphonate)YC」)、分枝状L-Asp4(「分枝状(L)D4 Y」)、または分枝状L-Asp8(「分枝状(L)D8 Y」)とコンジュゲートさせた、0.22mCiの放射性標識化125I チロシンを注射した。
【0176】
ここで、図26を参照しながら述べると、処置後における、PTH1-34E10および生理食塩液の、骨体積に対する効果が示される。マウスを、PTH1-34E10で、毎日、2週間にわたり処置した。2週間後、マウスを屠殺し、大腿骨を、microCT解析のために切り出した。
【0177】
ここで、図27を参照しながら述べると、表示の用量を使用する処置後における、PTHrPD10および生理食塩液の、正規化された骨体積に対する効果が示される。マウスを、PTHrPD10で、毎日、4週間にわたり処置した。4週間後、マウスを屠殺し、大腿骨を、microCT解析のために切り出した。
【0178】
グルタミン酸を含有するターゲティングリガンドは、他の被験ターゲティングリガンドより、腎臓内の取込みが大きく、取込みは、1グラム当たりの測定用量の20~50%の範囲であった。この取込みは、腎臓において発現する、グルタミン酸再取込み受容体に起因する可能性が高い。グルタミン酸によるターゲティングリガンドでは、骨折した骨への送達の、骨折していない骨への送達に対する比が、7~12の範囲であることにより指し示される通り、グルタミン酸を含有するターゲティングリガンドは、他の骨に対する、骨折した骨への選択性が、他のターゲティングリガンドより大きい。グルタミン酸ポリマーを、20へと伸長させることにより、10マーについての、1グラム当たりの測定用量の20~50%から、20マーについての、1グラム当たりの測定用量の40~70%への、送達のわずかな改善がもたらされた。この改善は、骨折部位において露出されたヒドロキシアパタイトに、さらなるグルタミン酸がもたらすアフィニティーの増大に起因する可能性が高い。伸長させた20マーのグルタミン酸によるターゲティングリガンドも、やはり、より短い10マーと同様の、腎臓取込み問題を抱えた。L光学異性体から、D光学異性体への変化は、グルタミン酸によるターゲティングリガンドに対して、一貫した効果をもたらさないと考えられる。
【0179】
アスパラギン酸によるターゲティングリガンドは、ターゲティングリガンドのうちで、最大の送達をもたらすと考えられ、送達蓄積量は、1グラム当たりの測定用量の40~70%の範囲である。しかし、アスパラギン酸によるターゲティングリガンドは、骨折した骨と、骨折していない骨との選択性が、やや小さいと考えられ、骨折した骨への蓄積の、骨折していない骨への蓄積に対する比は、Lアミノ酸であるアスパラギン酸によるターゲティングでは、4~6であり、Dアミノ酸であるアスパラギン酸によるターゲティングリガンドでは、6~9である。しかし、アスパラギン酸によるターゲティングリガンドは、グルタミン酸によるターゲティングリガンドほど、腎臓における高度な蓄積を被らず、1グラム当たりの測定用量に対して、典型的に、15%を下回る蓄積を維持する。分枝形は、骨折部位へと、より多くを送達するその能力において、直鎖形を上回らないと考えられる。
【0180】
長さを、10から、20へと伸長させることにより、L-Glu20とコンジュゲートさせる(「(L)D20」と表示される)、異なる種類のペプチドにわたり、ターゲティングリガンドの一貫性の改善がなされ、全てのペプチドが、1グラム当たりの測定用量の50~70%で送達された。L光学異性体から、D光学異性体への変化は、アスパラギン酸によるターゲティングリガンドについて、その安定性を改善すると考えられ、高度な送達率および良好な選択性比により証拠立てられた通り、ターゲティングを増大させる。
【0181】
AAD10とコンジュゲートさせたペプチドは、中程度のターゲティング能を有するに過ぎないと考えられる。AAD10とコンジュゲートさせたペプチドは、依然として、より全身性の分布を維持する。それでもなお、骨折した骨へと、骨折していない骨への、2~5倍の標識化された化合物を送達するその能力の改善を維持することが可能であった。SDSDDとコンジュゲートさせたペプチドも、中程度のターゲティング能を有するに過ぎず、送達は、20~40%の範囲であった。SDSDDとコンジュゲートさせたペプチドも、依然として、より全身性の分布を維持する。SDSDDとコンジュゲートさせたペプチドは、それでもなお、骨折した骨へと、骨折していない骨への、3~5倍の標識化された化合物を送達するその能力の改善を維持することが可能であった。(DSS)6とコンジュゲートさせたペプチドも、骨折した骨への、中程度のターゲティング能を有するに過ぎないと考えられる。(DSS)6も、依然として、より全身性の分布を維持する。(DSS)6とコンジュゲートさせたペプチドは、それでもなお、骨折した骨へと、骨折していない骨への、2~3倍の標識化された化合物を送達するその能力の改善を維持することが可能であった。
【0182】
新規の技術について、図面および前述の記載に、詳細に例示および記載してきたが、これらは、例示的な性格のものであり、制限的な性格のものではないと考えられるべきであり、好ましい実施形態だけが示され、記載され、新規の技術の趣旨の中に収まる、全ての変化および改変は、保護されるように所望されることが理解される。同様に、具体例、理論的推論、説明、および例示を使用して、新規の技術について例示したが、考察を伴うこれらの例示は、技術を限定するものと解釈されるべきではない。全ての特許、特許出願、および本出願で参照される教科書、科学的論考、刊行物などへの言及は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない範囲において、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
図1
図2
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【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式X-Y-Zの化合物
[式中、
Xは、副甲状腺ホルモン受容体の活性をモジュレートする、少なくとも1つの薬剤であり、
Zは、少なくとも1つの骨ターゲティング分子であり、
Yは、XとZとを接続および/または連結するリンカーである]、
または薬学的に許容されるその塩またはその代謝物を含む化合物。
【外国語明細書】