(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029963
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】窓一体型透明光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H02S 40/22 20140101AFI20230228BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20230228BHJP
【FI】
H02S40/22
H01L31/04 560
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194159
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2019537169の分割
【原出願日】2018-01-10
(31)【優先権主張番号】62/444,577
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515087787
【氏名又は名称】ユビキタス エナジー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UBIQUITOUS ENERGY, INC.
【住所又は居所原語表記】3696 Haven Avenue, Suite B, Redwood City, California 94063 The United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】バール,マイルス
(72)【発明者】
【氏名】ミラード,イアン
(72)【発明者】
【氏名】モラーロ,レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】ハルディブ,ヴィラール
(72)【発明者】
【氏名】ヘス,デイモン
(72)【発明者】
【氏名】パンディ,リチャ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】窓一体型透明光起電力モジュールに関し、建造物の窓のような場所に従来のPVセルを取り付けることに関連するコスト、不透明さ、および審美的問題を解決する方法を提供する。
【解決手段】発電窓は、第1のガラス板、第2のガラス板、および第1のガラス板の内面または第2のガラス板の内面上に形成された光起電装置を含む。光起電装置は、第1の透明電極層と、第2の透明電極層と、可視光を透過し、紫外線または近赤外線を吸収するように構成された1つまたは複数の活性層とを含む。いくつかの実施形態では、発電窓はまた、キャビティによって第1のガラス板と第2のガラス板とを分離するように構成されたスペーサをも含む。いくつかの実施形態では、発電窓はまた、赤外光を反射するためのエレクトロクロミック層または低E層などの1つまたは複数の機能層をも含む。
【選択図】
図9F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面を含む第1のガラス板と、
内面を含む第2のガラス板と、
前記第1のガラス板の前記内面または前記第2のガラス板の前記内面上に形成され、前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の前記内面の全体に重なる光起電装置であって、前記光起電装置は、第1の周縁部と、前記第1の周縁部に対向する第2の周縁部とを含む複数の周縁部を有し、前記光起電装置は、
第1の透明電極層と、
第2の透明電極層と、
紫外光または近赤外光を吸収し、可視光を透過するように構成されている1つまたは複数の活性層とを備える光起電装置と、
前記光起電装置の前記第1の周縁部に沿って延伸し、前記第1の透明電極層と接触している第1のバスバーと、
前記光起電装置の前記第2の周縁部に沿って延伸し、前記第2の透明電極層と接触している第2のバスバーと、
赤外光を反射するように構成された低放射率(低E)層であって、前記低E層が前記光起電装置と前記第2のガラス板の間に配置され、前記第1のガラス板が外部環境に面するように構成された、低放射率(低E)層と
を備える発電窓。
【請求項2】
キャビティによって前記第1のガラス板と前記第2のガラス板とを分離するスペーサ
をさらに備え、
前記スペーサは、前記光起電装置の周縁の外側であるが前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の周縁内に閉ループを形成し、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーは、前記スペーサによって形成された周縁内にあるか、または前記スペーサの下にある、請求項1に記載の発電窓。
【請求項3】
前記光起電装置上かつ前記スペーサによって形成される前記周縁内の封入層をさらに備える、請求項2に記載の発電窓。
【請求項4】
前記封入層が1つまたは複数の薄膜封入層を含む、請求項3に記載の発電窓。
【請求項5】
前記封入層がガラスパネルまたは積層バリア層を含む、請求項3に記載の発電窓。
【請求項6】
前記発電窓は、2本のワイヤをさらに含み、各ワイヤが前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーに電気的に接続され、前記スペーサ内の気密シールを介して前記スペーサを通過する、請求項2に記載の発電窓。
【請求項7】
前記光起電装置と前記低E層との間に位置決めされている封入層をさらに備える、請求項1に記載の発電窓。
【請求項8】
前記光起電装置は、前記第1のガラス板と前記第2のガラス板との間に積層されている、請求項1に記載の発電窓。
【請求項9】
前記光起電装置に電気的に結合されている機能デバイスをさらに備え、前記機能デバイスは、任意にエレクトロクロミック素子を含む、請求項12に記載の発電窓。
【請求項10】
バリア層と、
前記バリア層と前記第2のガラス板との間のエレクトロクロミック層であって、前記第1の透明電極層および前記第2の透明電極層に電気的に結合されたエレクトロクロミック層をさらに含む、請求項1に記載の発電窓
を含むエレクトロクロミック窓。
【請求項11】
発電窓を作製する方法であって、
第1のガラス板の上面上に、第1の周縁部と、前記第1の周縁部に対向する第2の周縁部とを含む複数の周縁部を有する光起電装置を形成することであって、前記光起電装置が、
第1の透明電極層と、
紫外光または近赤外光を吸収し、可視光を透過するように構成されている1つまたは複数の活性層と、
第2の透明電極層と
を備える、ことと、
前記光起電装置の前記第1の周縁部に沿って延伸し、前記第1の透明電極層と接触している第1のバスバーを形成することと、
前記光起電装置の前記第2の周縁部に沿って延伸し、前記第2の透明電極層と接触している第2のバスバーを形成することと、
前記光起電装置の上に第2のガラス板を取り付けることであって、前記第2のガラス板が、ある距離だけ前記光起電装置から分離されており、前記光起電力デバイスが、前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の外縁を除いた前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の内面全体に重なっている、ことと、
低放射率(低E)層を前記光起電装置と前記第2のガラス板の間に形成することであって、前記低E層が赤外光を反射するように構成され、前記第1のガラス板が外部環境に面するように構成されている、ことと
を含む、方法。
【請求項12】
前記光起電装置上に封入層を堆積することと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光起電装置の上に前記第2のガラス板を取り付けることは、
前記封入層上にスペーサを取り付けることと、
前記スペーサ上に前記第2のガラス板を取り付けることとを含み、
前記スペーサは、前記光起電装置の周縁の外側であるが前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の周縁内に閉ループを形成し、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーは、前記スペーサによって形成された周縁内にあるか、または前記スペーサの下にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光起電装置上に前記封入層を堆積することは、1つまたは複数の薄膜層を堆積することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のガラス板上または前記光起電装置の上方にエレクトロクロミック層を形成することと、
前記エレクトロクロミック層を前記光起電装置に電気的に結合することと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2017年1月10日に出願された、「WINDOW-INTEGRATED TRANSPARENT PHOTOVOLTAIC」と題する米国仮特許出願第62/444,577号の優先権を主張し、その開示は本明細書においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、一般に光起電力モジュールおよび装置の分野に関し、より詳細には窓一体型透明光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]建造物一体型光起電(PV)技術は、建造物に照射される太陽エネルギーを、建造物において使用もしくは貯蔵することができる、または電力網にフィードバックすることができる電気エネルギーに変換するために使用されている。しかしながら、そのような技術は、例えば、建造物の窓のような場所に従来のPVセルを取り付けることに関連するコスト、不透明さ、および審美的問題のために広く使用されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本明細書に開示される技術は、窓一体型光起電力モジュールなどの光起電力モジュールに関する。
窓一体型光起電力モジュールは、可視帯域の外側の光を電気エネルギーに変換することができる可視透明PV層を含むことができる。例えば、1つまたは複数の可視透明PV層は、熱伝達を低減するために間隙によって分離された2つ以上の窓板(パネルまたはライトとも呼ばれる)を含み得る断熱ガラスユニット(IGU)に一体化され得る。可視透明PV層は、赤外線(IR)および/または紫外線(UV)光を電気エネルギーに変換することができ、したがって電気エネルギーを発生させることができ、同時に、例えば、照明を目的として可視光が通過することを可能にしながら、IR光による建造物の加熱をさらに低減することができる。いくつかの実施形態では、IGUにさらなる機能を追加するために、および/またはIGUの性能をさらに改善するために、他の機能層をPV層またはIGUに一体化することもできる。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態によれば、発電窓は、第1のガラス板、第2のガラス板、および第1のガラス板の内面または第2のガラス板の内面上に形成された光起電装置を含み得る。光起電装置は、第1の透明電極層と、第2の透明電極層と、可視光を透過し、紫外線または近赤外線を吸収して紫外光または近赤外光を電気に変換するように構成された1つまたは複数の活性層とを含み得る。いくつかの実施形態では、光起電装置は、光起電装置と赤外光を反射するための低E層の両方として作用するように構成されてもよい。いくつかの実施態様において、光起電装置は、第1のガラス板と第2のガラス板との間に積層されてもよい。いくつかの実施形態において、発電窓はまた、光起電装置に電気的に結合された機能デバイスをも含み得る。いくつかの実施形態では、機能デバイスはエレクトロクロミック素子を含んでもよい。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態において、発電窓はまた、第1の透明電極層と接触する第1のバスバーと、第2の透明電極層と接触する第2のバスバーと、キャビティによって第1のガラス板と第2のガラス板とを分離するスペーサとをも含み得る。スペーサは、光起電装置の周縁の外側で、ただし、第1のガラス板または第2のガラス板の周縁内に、閉ループを形成し得る。第1のバスバーおよび第2のバスバーは、スペーサによって形成される周縁の中、またはスペーサの下にあってもよく、第1のバスバーおよび第2のバスバーの各々は、光起電装置の縁部に沿って延伸する。いくつかの実施形態では、発電窓はまた、光起電装置上かつスペーサによって形成される周縁内に封入層を含み得る。いくつかの実施態様では、封入層は1つまたは複数の薄膜封入層を含んでもよい。いくつかの実施態様では、封入層は、赤外光を反射するための低放射率(低E)層を含み得る。いくつかの実施態様では、封入層はガラスパネルまたは積層バリア層を含んでもよい。いくつかの実施態様では、発電窓はまた、各ワイヤが第1のバスバーまたは第2のバスバーに電気的に接続され、スペーサ内の気密シールを介してスペーサを通過する2本のワイヤを含み得る。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態によれば、エレクトロクロミック窓は、第1のガラス板と、第1のガラス板の内面上に形成された光起電装置と、バリア層と、第2のガラス板と、エレクトロクロミック層とを含むことができる。光起電装置は、第1の透明電極層と、第2の透明電極層と、紫外線または近赤外線を吸収し、可視光を透過するように構成された1つまたは複数の活性層とを含むことができる。エレクトロクロミック層は、バリア層と第2のガラス板の間に位置決めすることができ、第1の透明電極層および第2の透明電極層に電気的に結合することができる。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態によれば、発電窓を作製するための方法は、第1のガラス板の上面に光起電装置を形成することと、光起電装置の上に第2のガラス板を取り付けることであって、第2のガラス板は、ある距離をおいて光起電装置から分離される、取り付けることとを含むことができる。光起電装置は、第1の透明電極層と、紫外線または近赤外線を吸収し、可視光を透過するように構成された1つまたは複数の活性層と、第2の透明電極層とを含むことができる。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態において、発電窓を作製するための方法はまた、第1の透明電極層と接触する第1のバスバーを形成することと、第2の透明電極層と接触する第2のバスバーを形成することと、光起電装置上に封入層を堆積することとをも含むことができる。いくつかの実施形態では、光起電装置の上に第2のガラス板を取り付けることは、封入層の上にスペーサを取り付けることと、スペーサの上に第2のガラス板を取り付けることとを含み得る。スペーサは、光起電装置の周縁の外側で、ただし、第1のガラス板または第2のガラス板の周縁内に、閉ループを形成し得る。第1のバスバーおよび第2のバスバーは、スペーサによって形成される周縁の中、またはスペーサの下にあってもよく、第1のバスバーおよび第2のバスバーの各々は、光起電装置の縁部に沿って延伸する。いくつかの実施形態では、光起電装置上に封入層を堆積することは、1つまたは複数の薄膜層を堆積することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、第2のガラス板を光起電装置の上に取り付ける前に、第2のガラス板の底面上または光起電装置の上方で赤外光を反射するための低E層を形成することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、第2のガラス板上または光起電装置の上方にエレクトロクロミック層を形成することと、エレクトロクロミック層を光起電装置に電気的に結合することとをさらに含み得る。
【0010】
[0010]従来技術にまさる多くの利点が本発明によって達成される。例えば、本発明の実施形態は、可視光による建造物の内部の照明に影響を与えることなく、断熱と太陽光発電の両方に使用することができる。IGUに入射するIR光(主要な熱源)を電力に変換することによって、PV層は、熱放射率および太陽熱利得係数などのIGUの全体的な熱性能を改善するのを助け、したがって建造物の暖房および/または冷房コストを低減することができる。PV層は可視光に対して実質的に透明であるため、光源(例えば、太陽)からの可視光は、照明目的のためにほとんど損失なしにIGUを通って建造物に入ることができる。様々な実施形態において、PV層は、種々の構成に従って他の機能層(例えば、エレクトロクロミック層)と共にIGUに一体化することができ、これらの機能層に電力を提供することができる。したがって、既存の窓および/またはガラスカーテンウォールの美観を維持または改善して、より自由に建築に利用することを可能にすることができる。本発明のこれらのおよび他の実施形態は、その利点および特徴の多くと共に、以下の本文および添付の図面に関連してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】例示的な断熱ガラスユニット(IGU)の上面図である。
【
図2A】特定の実施形態による例示的な透明光起電力(PV)モジュールを示す図である。
【
図2B】特定の実施形態による、透明PVモジュールのIGUへの一体化を示す図である。
【
図2C】特定の実施形態による、建造物の窓への、透明PVモジュールを有するIGUの一体化を示す図である。
【
図3A】AM1.5全天太陽スペクトルおよび人間の眼の明所視応答を示す図である。
【
図3B】特定の実施形態による、セルのエネルギーバンドギャップの関数としての透明励起子太陽電池の単接合電力変換効率を示す図である。
【
図3C】特定の実施形態による太陽電池内の透明接合の数の関数としての太陽電池の電力変換効率を示す図である。
【
図4A】特定の実施形態による二重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図4B】特定の実施形態による二重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図4C】特定の実施形態による二重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図4D】特定の実施形態による二重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図5A】特定の実施形態による多重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図5B】特定の実施形態による多重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図5C】特定の実施形態による多重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図5D】特定の実施形態による多重板IGU内のPV層の様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図6A】特定の実施形態による、PV層および封入層を有するIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図6B】特定の実施形態による、PV層および封入層を有するIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図6C】特定の実施形態による、PV層および封入層を有するIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図6D】特定の実施形態による、PV層および封入層を有するIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図7A】特定の実施形態によるPV層を封入するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図7B】特定の実施形態によるPV層を封入するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図7C】特定の実施形態によるPV層を封入するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図8A】特定の実施形態によるIGUの組み立ての前または後にPV層を封入するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図8B】特定の実施形態によるIGUの組み立ての前または後にPV層を封入するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図8C】特定の実施形態によるIGUの組み立ての前または後にPV層を封入するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図8D】特定の実施形態によるIGUの組み立ての前または後にPV層を封入するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図9A】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図9B】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図9C】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図9D】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図9E】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図9F】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図10A】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図10B】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図10C】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図10D】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図10E】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図10F】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図10G】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図11A】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図11B】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図11C】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図11D】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図11E】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図11F】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図12A】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図12B】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図12C】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図12D】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図12E】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図12F】特定の実施形態による、PV層、封入層、IGUスペーサ、およびPVコンタクトを含む例示的なIGUを示す図である。
【
図13A】特定の実施形態による一体型エレクトロクロミックモジュールを有する例示的なIGUを示す図である。
【
図13B】特定の実施形態による一体型センサ(複数可)を有する例示的なIGUを示す図である。
【
図13C】特定の実施形態による一体型内部ブラインドを有する例示的なIGUを示す図である。
【
図13D】特定の実施形態による一体型充電式バッテリを有する例示的なIGUを示す図である。
【
図14A】特定の実施形態による、スペーサを通過する電気ワイヤを有する例示的なIGUの平面図である。
【
図14B】特定の実施形態による、スペーサを通過する電気ワイヤを有する例示的なIGUの断面図である。
【
図15A】特定の実施形態による、IGUからIGUスペーサを通して電気エネルギーを伝達するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図15B】特定の実施形態による、IGUからIGUスペーサを通して電気エネルギーを伝達するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図15C】特定の実施形態による、IGUからIGUスペーサを通して電気エネルギーを伝達するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図15D】特定の実施形態による、IGUからIGUスペーサを通して電気エネルギーを伝達するための様々な方法のうちの1つを示す図である。
【
図16A】特定の実施形態による、IGUスペーサの外側にPVコンタクトを有する例示的なIGUを示す図である。
【
図16B】特定の実施形態による、IGUスペーサの外側にPVコンタクトを有する例示的なIGUを示す図である。
【
図17A】特定の実施形態による、IGUの外部表面上にPVコンタクトを有する例示的なIGUを示す図である。
【
図17B】特定の実施形態による、IGUの外部表面上にPVコンタクトを有する例示的なIGUを示す図である。
【
図18A】特定の実施形態による1つの例示的なIGU上のPVコンタクトの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図18B】特定の実施形態による1つの例示的なIGU上のPVコンタクトの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図18C】特定の実施形態による1つの例示的なIGU上のPVコンタクトの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図18D】特定の実施形態による1つの例示的なIGU上のPVコンタクトの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図18E】特定の実施形態による1つの例示的なIGU上のPVコンタクトの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図18F】特定の実施形態による1つの例示的なIGU上のPVコンタクトの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図19A】特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図19B】特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図20A】特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)を含む例示的なIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図20B】特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)を含む例示的なIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図20C】特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)を含む例示的なIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図20D】特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)を含む例示的なIGUの様々な構成のうちの1つを示す図である。
【
図21A】特定の実施形態による、同じIGUガラス板上に機能層およびPV層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図21B】特定の実施形態による、同じIGUガラス板上に機能層およびPV層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図22A】特定の実施形態による、異なるIGUガラス板上に機能層およびPV層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図22B】特定の実施形態による、異なるIGUガラス板上に機能層およびPV層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図22C】特定の実施形態による、異なるIGUガラス板上に機能層およびPV層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図23A】特定の実施形態による複数の機能層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図23B】特定の実施形態による複数のPV層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図24A】特定の実施形態による低放射率(低E)層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図24B】特定の実施形態による低放射率(低E)層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図25】特定の実施形態による例示的なIGUの分解図である。
【
図26】特定の実施形態によるエレクトロクロミック層を含む例示のIGUの分解図である。
【
図27】特定の実施形態によるエレクトロクロミック層を含む例示のIGUの分解図である。
【
図28】特定の実施形態による例示的なIGUの分解図である。
【
図29】特定の実施形態による例示的なIGUの構成を示す図である。
【
図30A】特定の実施形態による、
図29に示す例示的IGUの様々な構成要素を示す図である。
【
図30B】特定の実施形態による、
図29に示す例示的IGUの様々な構成要素を示す図である。
【
図30C】特定の実施形態による、
図29に示す例示的IGUの様々な構成要素を示す図である。
【
図30D】特定の実施形態による、
図29に示す例示的IGUの様々な構成要素を示す図である。
【
図31A】特定の実施形態による
図29の完全に組み立てられた例示的なIGUを示す図である。
【
図31B】特定の実施形態による
図29の完全に組み立てられた例示的なIGUを示す図である。
【
図31C】特定の実施形態による
図29の完全に組み立てられた例示的なIGUを示す図である。
【
図31D】特定の実施形態による
図29の完全に組み立てられた例示的なIGUを示す図である。
【
図32A】特定の実施形態による2つの例示的なPV材料の透過スペクトルを示す図である。
【
図32B】特定の実施形態による2つの例示的なPV材料の前面反射スペクトルを示す図である。
【
図33B】低E層を含む例示的なIGUを示す図である。
【
図33C】特定の実施形態による、PV層を含む例示的なIGUを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0058]本明細書において、透明光起電力(PV)モジュール(複数可)を含む改善された窓が説明される。1つまたは複数の可視透明PV層は、建造物または他の構造物(例えば、車両)の窓に使用される断熱ガラスユニット(IGU)に一体化することができる。IGUに一体化されたPV層は、可視帯域外の光(例えば、赤外線(IR)または紫外線(UV))を電力に変換することによって建造物または他の設置場所のための電力を発生させるために使用することができる。IGUに入射するIR光を電力に変換することによって、PV層はまた、熱放射率および太陽熱利得係数などのIGUの全体的な熱性能を改善するのを助け、したがって建造物の暖房および/または冷房コストを低減することもできる。PV層は可視光に対して実質的に透明であるため、光源(例えば、太陽)からの可視光は、建造物の内部を照明するためにほとんど損失なしにIGUを通って建造物に入ることができる。様々な実施形態において、PV層は、種々の構成に従って他の機能層と共にIGUに一体化することができ、これらの機能層に電力を提供することができる。いくつかの実施形態において、PV層はまた、多機能層として構成されてもよい。一体型透明PV層(複数可)を有するIGUの様々な実施形態が以下に詳述される。
【0013】
[0059]本明細書において使用される場合、透明という用語は、可視光の少なくとも部分的な透過を意味する。光ビームが20%、30%、50%、60%、75%、80%、90%、95%またはそれ以上を超えるような比較的高い透過率で材料を通過することができる場合、材料は光ビームに対して透明とすることができ、光ビームの他の部分は材料によって散乱、反射、または吸収されてもよい。透過率(すなわち、透過度)は、一定の波長範囲にわたる明所視的に重み付けされたもしくは重み付けされていない平均透過率、または可視波長範囲などの一定の波長範囲にわたる最低透過率のいずれかによって表すことができる。
【0014】
[0060]断熱ガラスユニットは、一般に、建造物の窓を越える熱伝達を低減するために、真空またはガス充填間隙(空間またはキャビティとも呼ばれる)によって分離された2つ以上のガラス窓板(パネルまたはライトとも呼ばれる)を含む。IGUは防音に使用することもできる。断熱ガラスユニットは、いくつかの特別な用途のために、例えば、約1~10mm、またはそれ以上の範囲の厚さを有するガラスを使用して製造することができる。1つまたは複数のスペーサを使用してガラス窓板を分離し、ガラス窓板間の距離を設定することができる。本明細書において使用される場合、IGUの内面、内部表面、もしくは内側表面、またはIGUのガラス板の内面、内部表面、もしくは内側表面は、真空またはガス充填間隙もしくは空間に面するかまたは隣接するガラス板の表面を指し得る。IGUの外面、外部表面、もしくは外側表面、またはIGUのガラス板の外外面、外部表面、もしくは外側表面は、外部環境または建造物もしくは他の構造物の内部に面するかまたは隣接するガラス板の表面を指し得る。
【0015】
[0061]
図1Aは、例示的な断熱ガラスユニット(IGU)100の上面図である。
図1Bは、例示的なIGU100の断面図である。IGU100は、2枚のIGUガラス板110と、スペーサ120と、縁部シーラント130とを含む二重ガラスユニットである。IGUガラス板110は、用途に応じて任意の適切な厚さであってもよい。スペーサ120は、IGUガラス板110を分離し、IGUガラス板110との間隙(空間またはキャビティとも呼ばれる)を画定することができる。スペーサ120はスペーサシールと呼ばれる場合もある。いくつかの実施形態では、スペーサ120は、IGUガラス板110間の間隙から水分を除去するための乾燥剤を含み得る。間隙または空間は真空であってもよく、またはガスで充填されていてもよく、建造物の内外へ伝達される熱を低減するのに役立ち得る。IGU内の間隙または空間を充填するために、様々な種類のガスを使用することができる。ガスのいくつかの例は、アルゴンまたは他の希ガスを含んでもよい。本明細書において使用される場合、用語「空隙」および「間隙」は、任意のガスを含むまたはガスを含まない(真空)キャビティを指すことができる。縁部シーラント130は、水分がIGU100内部の隙間に入るのを防ぐのを助けることができる。スペーサ120および縁部シーラント130はまとめてスペーサシールと呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、建造物の加熱を低減するためのUV光遮断またはIR反射などの種々の目的のために、様々な材料のフィルムをIGUガラス板110上に堆積させることもできる。
【0016】
[0062]1つまたは複数のPV層も、IGUガラス板上に堆積させるなど、IGUに一体化することができる。光起電性発電窓を製造するための以前の試みは一般に、可視スペクトルの光吸収を有する光学的に薄い活性層または空間的にセグメント化された無機PVのいずれかに焦点を合わせている。電力変換効率(PCE)と可視透過率(VT)とを同時に最適化することは困難であり得るため、これらの手法は、これら2つのパラメータの間の固有のトレードオフを被る。典型的なPVセルの建築利用は、可視スペクトル内の光の不均一な吸収のためにさらに妨げられ、それは不満足な演色評価数(CRI)(例えば、高着色)および不満足な自然照明品質をもたらし得る。
【0017】
[0063]特定の実施形態によれば、可視透明PV層は、太陽光発電と建造物内への太陽熱伝達の制御の両方のためにIGUにおいて使用され得る。さらに、可視透明、UV/NIR選択性PV層は、建築利用を妨げる審美的なトレードオフ(低VTまたはCRI)を回避することができる。いくつかの実施形態では、透明PV層は、半透明、着色、またはカラフルを含む他の方法でも同様に構成することができる。いくつかの実施形態では、透明PV層は、発光型太陽光集光器、セグメント化無機材料、シリコン、GaAs、CIGS、CdTe、量子ドット、有機材料、または他の材料を含んでもよい。PV層の材料および構造のさらなる詳細は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、「Transparent Photovoltaic Cells」と題する米国特許第9,728,735号明細書に見出すことができる。
【0018】
[0064]
図2Aは、特定の実施形態による例示的な透明光起電力(PV)モジュール210(PV層とも呼ばれる)を示す。PVモジュール210は、1つまたは複数の活性層と、1つまたは複数の透明電極層とを含むことができる。いくつかの実施形態において、PVモジュール210は基板を含むことができる。いくつかの実施形態において、PVモジュール210はまた、1つまたは複数の反射層を含むこともできる。活性層は、IRまたはUV光中の光子を吸収して電流を発生させることができる半導体材料を含むことができる。電極層は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化アンチモンスズ(ATO)、フッ素酸化スズ(FTO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの導電性酸化物材料の物理気相成長(PVD)(例えば、熱蒸着、電子ビーム物理気相成長(EBPV)、スパッタ堆積など)によって作製することができる透明導電性電極(TCE)を含むことができる。透明電極はまた、様々な溶液堆積技法(例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、またはスプレーコーティング)を使用して堆積させることができる、銀ナノワイヤおよびナノクラスタなどの異なる金属ナノ構造から作製することもできる。透明電極は、グラフェンまたはカーボンナノチューブ層から作製することもできる。金属はまた、透明電極を作製するための多孔質グリッドまたはネットワーク構造を形成するように構造化またはパターン化することができる。例えば、いくつかの実施形態では、透明電極は、光透過を向上させるために、広範囲の厚さ(例えば、1nm~300nm)にわたって有機(例えば小分子)または無機誘電体層(例えば金属酸化物)と結合されている、アルミニウム、銀、または金のような金属薄層(例えば4nm~12nm)を含んでもよい。反射層は、熱放射率を例えば4%以下程度に低くすることができる低放射率(低E)コーティングなどのIR光のための反射コーティングを含むことができる。
【0019】
[0065]
図2Bは、特定の実施形態による、透明PVモジュール210のIGU220への一体化を示す。PVモジュール210は、IGUの内部間隙または空間を形成するIGUガラス板の内側表面のような、IGU220のIGUガラス板上の様々な位置に取り付けることができる。PVモジュール210は、IGU220に入るIRまたはUV光を電力に変換することができる。いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック材料層などの他の機能層もIGU220に一体化することができる。
【0020】
[0066]
図2Cは、建造物230の窓へのIGU220および透明PVモジュール210の一体化を示す。建造物230の窓に設置されたIGUに一体化されたPVモジュール210は、可視帯域外の太陽光(例えば、赤外線(IR)または紫外線(UV))を電力に変換することによって建造物230のための電力を生成することができる。IGUに入射するIR光を電力に変換することによって、PVモジュール210はまた、熱放射率および太陽熱利得係数などのIGUの熱性能を改善するのを助け、したがって建造物230の暖房および/または冷房コストを低減することもできる。PVモジュールは可視光に対して実質的に透明であるため、太陽または他の光源からの可視光は、建造物の内側を照明するためにほとんど損失なしにIGUを通って建造物に入ることができる。さらに、エレクトロクロミック層などのIGUに一体化された他の機能層は、例えば窓および建造物の色を変えるために、PVモジュール210によって生成される電力によって給電することができる。
【0021】
[0067]いくつかの実施形態では、透明PVモジュール(または層)は、近赤外線(NIR)および/またはUVに構造化吸収ピークを有する励起子分子半導体のヘテロ接合を含むことができ、太陽光発電変換効率(PCE)、可視光透過率(VT)、および演色評価数(CRI)の同時最適化を可能にすることができる、1つまたは複数の透明PV材料フィルム(またはコーティング層)を含むことができる。波長選択性反射器を透明PVモジュールに組み込んで、PVフィルム内の赤外線光電流を最大にすると同時に、窓を通じた不要な赤外線太陽熱の伝達を阻止することもできる。UVおよび/またはNIR光子から発生した電荷は、ヘテロ接合界面で分離され、透明電極によって収集され得、透明電極は、窓アセンブリを通して外部電子装置および/または電力貯蔵装置(例えば、充電式バッテリ)に相互接続され得る。次いで、生成された電気は、ローカルDCネットワーク(例えば、照明)に給電するために使用することができ、または建造物の電力網を補うためにAC電力に転換され得る。透明PVモジュールは、既存の窓および/またはガラスカーテンウォールの美観を維持または改善して、より自由に建築に利用することを可能にすることができる。
【0022】
[0068]
図3Aは、AM1.5全天(AM1.5G)太陽スペクトルおよび人間の眼の明所視応答を示す。
図3Aに示されるように、人間の眼は、約380nmから約700nmの範囲の波長を有する光に対して感受性であり得、緑色および青色光に対して最大の感度を有し得る(例えば、約555nmの緑色光にピークを有する)。一方、太陽光は、可視光範囲よりもはるかに広い波長範囲内で比較的強い光子束を有し得る。例えば、近赤外範囲(例えば、700nm超から約1800またはそれ以上)およびUV範囲でも、太陽光の光子束は相当に高い。一般に、太陽光の全光子束の約1/3は可視域にあり、全光子束の残りの2/3はUVおよび赤外範囲にある。NIR光は、建造物の内部の照明には寄与し得ないが、窓を透過するときに建造物の内部を加熱し得る。
【0023】
[0069]
図3Bは、特定の実施形態による、セルのエネルギーバンドギャップの関数としての透明励起子太陽電池の単接合電力変換効率を示す。
図3Bから分かるように、透明励起子太陽電池は、理論的にも実践的にも、約2.0eV未満(NIR光など)または約2.8eV超(UV光など)の光子エネルギーを有する光に対して高い電力変換効率を有することができる。したがって、透明励起子太陽電池は、入射紫外線(UV)および/または近赤外(NIR)光を選択的に電気に変換することができ、したがって、可視光を選択的に透過させながら、不要な太陽熱の透過を遮断する。
【0024】
[0070]
図3Cは、特定の実施形態による太陽電池内の透明接合の数の関数としての太陽電池300の電力変換効率を示す。いくつかの実施形態において、太陽電池300は、任意選択の基板または支持層と、2つの透明電極と、複数の接合と、任意選択の可視透明NIR反射器を含むことができる。透明電極およびNIR反射器は、
図2Aに関して上述した透明電極およびNIR反射器と同様であり得る。PVモジュール内の複数の透明接合を用いて、20%を超えるPV電力変換効率を実際に達成することができる。
【0025】
[0071]
図3Dは、CIE色空間色度図を示す。三角形はNTSC規格を強調している。クロスバーは、(94の演色評価数(CRI)を有する)透明太陽電池に入射するAM1.5Gの色度を示す。
【0026】
[0072]全体として、太陽電池300は、例えば、利用時点で約10~40%のDC建造物電気を生産することによって、約0.05~0.1ドル/kWhrの均一化PV発電コスト(LEC)を達成することができ、DC-AC-DCパワーエレクトロニクスが必要なくなり、同時に赤外線太陽熱を排除することで建造物冷房需要を約10~30%が削減され、既存の建物外面の材料、設備、構成、顧客獲得、および保守を利用して有効PV効率が5%(絶対)超向上し、モジュール以外のコストが50%超削減される。
【0027】
[0073]透明PVモジュール(または層)およびIGUの様々な実施形態が以下に詳細に説明される。説明の目的のために、特定の発明の実施形態の完全な理解を提供するために具体的な詳細が述べられる。しかしながら、様々な実施形態がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることは明らかであろう。図および説明は限定的であることを意図しない。本明細書では、「例」という用語は、「例、事例、または例示として役立つこと」を意味するために使用されている。「例」として本明細書に記載された任意の実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。いくつかの図では、簡単にするために、IGUは、スペーサ、封入、またはシール構成要素なしで示されている。図中、ほとんどのIGUは二重ガラスユニットとして示されているが、当業者は、本明細書に開示された技術が三重、四重、またはさらにはそれ以上の数のガラス板またはライトを有するガラスユニットに適用することができることを容易に理解するであろう。
【0028】
[0074]
図4A~
図4Dは、特定の実施形態による二重板IGU内のPV層430の様々な構成を示す。二重板IGUは、間に間隙440を形成する第1のガラス板410および第2のガラス板420を含むことができる。第1のガラス板410は、外部環境により近いガラス板であり得、第2のガラス板420は、建造物への設置後に建造物の内部により近くなり得る。太陽光は最初に第1のガラス板410を通じてIGUに入ることができる。PV層430は、1つまたは複数の活性層と、2つの透明電極層とを含むことができる。いくつかの実施態様では、PV層430はまた、NIR反射層などの1つまたは複数の反射層も含むことができる。
図4A~
図4Dに示すように、PV層430は、任意のIGUガラス板410または420の任意の表面上に堆積させることができ、IGUの外側表面またはIGUの内側表面(例えば、間隙440を形成する表面)上のIGUスタックに組み込むことができる。例えば、
図4Aにおいて、PV層430は、間隙440に面する第1のガラス板410の表面上に堆積させることができる。
図4Bにおいて、PV層430は、間隙440に面する第2のガラス板420の表面上に堆積させることができる。
図4Cにおいて、PV層430は、外部環境に面する第1のガラス板410の表面上に堆積させることができる。
図4Dにおいて、PV層430は、建造物の内部に面する第2のガラス板420の表面上に堆積させることができる。
【0029】
[0075]いくつかの実施形態では、PV層は、2つより多いガラス板を有するIGU(例えば、三重ガラスユニット)内の任意の位置に配置することもできる。例えば、PV層は、前面ガラス板または背面ガラス板上の任意の位置、および、三重ガラスユニットのための任意の内側ガラス片のいずれかの側に配置することができる。PV層はまた、n個のガラス板を有する複層ガラスユニットのガラス板のいずれかのいずれかの側に配置することもできる。
【0030】
[0076]
図5A~
図5Dは、特定の実施形態による多重板IGU内のPV層(複数可)540の様々な構成を示す。多重板IGUは、複数の間隙550を形成することができるガラス板510、520、および530を含むことができる。ガラス板520は、内側ガラス板であり得る。
図5Aでは、PV層(複数可)540は、ガラス板510の任意の表面、またはガラス板530の任意の表面に配置することができる。
図5Bにおいて、PV層540は、外部環境により近い内側ガラス板520の表面上に配置することができる。
図5Cにおいて、PV層540は、建造物の内部により近い内側ガラス板520の表面上に配置することができる。
図5Dは、1つまたは複数のPV層540が多重板IGUの任意のガラス板の任意の表面に配置され得ることを示す。
【0031】
[0077]
図4Aおよび4Bに示すようにPV層が、内部間隙を形成するガラス板の内面に配置されるいくつかの実施形態では、PV層は残りのIGUを保護するシール材料および乾燥剤によって水分および酸素から保護することができる。他の実施形態では、PV層は、ガラス層、積層バリアフィルム、堆積薄膜などの追加の封入層によって、例えば水分および酸素から保護することができる。例えば、別のガラス片を、バリアとして機能するために、IGUのガラス板とは反対側のPV層の表面に取り付けることができる。バリアフィルムが、IGUのガラス板とは反対側のPV層の表面上に接着または積層することができ、水分および酸化化学物質(例えば、酸素)に対するバリアとして作用することができる。スパッタリング、原子層堆積、スピンコーティング、熱蒸着、化学気相成長、または他の気相および液相処理方法によって堆積された1つまたは複数の層を含み得るいくつかの形態の薄膜もまた、水分および酸素からPV層を保護するためのバリアとして使用され得る。そのような層は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素などの酸化物または窒化物を含み得る。
【0032】
[0078]
図6A~
図6Dは、特定の実施形態による、PV層630および封入層640を有するIGUの様々な構成を示す。上述のように、封入層640は、例えばガラス層、積層バリアフィルム、または堆積薄膜を含んでもよい。封入層640は、IGUの外面上に物理的および化学的なバリア保護を提供するか、または組み立てられたIGU内の空隙の内側の追加のバリアとして機能することができる。IGUは、スペーサ(
図6A~
図6Dには示されていない)と共に間隙650を形成する第1のガラス板610および第2のガラス板620を含むことができる。
図6Aに示す実施形態では、PV層630は第1のガラス板610の内面に配置され、封入層640によって、間隙650内に存在する可能性がある水分および酸化化学物質から保護される。
図6Bに示す実施形態では、PV層630は第1のガラス板610の外面に配置することができ、封入層640によって、外部環境内に存在する可能性がある水分および酸化化学物質から保護することができる。
図6Cに示す実施形態では、PV層630は第2のガラス板620の内面に配置することができ、封入層640によって、間隙650内に存在する可能性がある水分および酸化化学物質から保護することができる。
図6Dに示す実施形態では、PV層630は第2のガラス板620の外面に配置することができ、封入層640によって、建造物の内部に存在する可能性がある水分および酸化化学物質から保護することができる。
【0033】
[0079]封入層640は、多くの異なる方法でPV層630に取り付けることができる。例えば、ガラス層を含む封入層640の場合、PV層630を、IGUのガラス板または封入層640のガラス層のいずれかに堆積させ、次いで、それぞれ封入層640のガラス層またはガラス板に取り付けることができる。いくつかの実施形態において、PV層630は、IGUのガラス板上に堆積され、次いでバリアフィルムを積層され得るか、または、バリアフィルム上に直接堆積され、次いでバリアフィルムと共にIGUのガラス板上に積層され得る。いくつかの実施形態では、PV層630をIGUのガラス板上に堆積させ、次いで単層または多層の薄膜をPV層630の上に堆積させることができる。
【0034】
[0080]
図7A~
図7Cは、特定の実施形態によるPV層720を封入するための様々な方法を示す。
図7Aに示される実施形態では、PV層720が最初にガラス板710上に形成され、次にガラス層、バリア層、または薄膜などの封入層730が、例えば、直接取り付け、積層、または堆積プロセスによってPV層720上に形成され得る。
図7Bに示される実施形態では、まずPV層720が封入層730(例えばガラス層またはバリア層)上に形成され、次いでPV層720および封入層730がガラス板710に取り付けまたは積層され得る。
図7Cに示す実施形態では、PV層720が、最初にガラス板710上に形成され得、次いで、1つまたは複数の薄膜層740が、例えば、熱蒸着、電子ビーム物理気相成長(EBPV)、スパッタ堆積などのような物理気相成長(PVD)技法、またはスピンコーティング、ブレードコーティング、スプレーコーティングなどのような溶液堆積技法を使用して、PV層720上に堆積またはコーティングすることができる。
【0035】
[0081]封入層は、IGUの組み立ての前または後にIGUに一体化することができる。例えば、PV層は、IGU全体が組み立てられる前に、IGUの1つのガラス板および封入層によって封入されてもよい。そのような実施形態では、封入層は、IGU組み立て中およびIGU組み立て後にPV層を保護することができる。PV層がIGUのいずれかのガラス板の外面上にある場合、封入はIGU組み立ての後に行われてもよい。
【0036】
[0082]
図8A~
図8Dは、特定の実施形態によるIGUの組み立ての前または後にPV層830を封入するための様々な方法を示す。上述のように、IGUは、第1のガラス板810と第2のガラス板820とを含むことができる。
図8Aに示す実施形態では、PV層830は、
図7A~
図7Cに関して上述したように、IGUの第2のガラス板820および封入層840によって封入することができる。次に、組み合わされた第2のガラス板820、PV層830、および封入層840を第1のガラス板810と組み合わせて、完全に組み立てられたIGUを形成することができる。
【0037】
[0083]
図8Bに示す実施形態では、最初に第1のガラス板810および第2のガラス板820を組み立てて、二重板IGUを形成することができる。次いで、PV層830を、組み立てられた二重板ガラスIGUの第2のガラス板820の外面に形成することができる。最後に、封入層840を、
図7Aに関して上述したように、例えば直接接着、積層、堆積、またはコーティングによってPV層830に接着することができる。
【0038】
[0084]
図8Cに示す実施形態では、第1のガラス板810および第2のガラス板820を組み合わせて二重板IGUを形成することができる。PV層830は、封入層840(例えば、ガラス層または積層バリア層)上に形成することができる。次いで、封入層840で封入されたPV層830を、例えば
図7Bに関して上述したように直接接着または積層によって二重板IGUの第2のガラス板820の外面に取り付けることができる。
【0039】
[0085]
図8Dに示す実施形態では、第1のガラス板810および第2のガラス板820を組み合わせて二重板IGUを形成することができる。PV層830は、封入層840およびバリア層850(または2つのガラス層)によって封入することができ、封入されたPV層830は、接着剤層860で積層またはコーティングされてPVフィルムを形成することができる。PVフィルムは、接着剤層860を通じて第2のガラス板820の外面に取り付けることができる。PVフィルムは、封入層840および/またはバリア層850などの中間層の任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バリア層または封入層のいずれも変更または除去することができる。いくつかの実施形態では、バリア層850は、ガラスまたはプラスチック薄層を含み得るか、または除去され得る。いくつかの実施形態では、封入層840は、ガラスまたはプラスチック薄層を含み得るか、または除去され得る。接着剤層860は、PVフィルムをIGUに取り付けるためにIGUのガラスパネルに接着することができる任意のタイプの光学的に透明な接着剤とすることができる。いくつかの実施形態において、PVフィルムは、他の接着剤またはテープと同様にシートまたはロールの形態で提供され得、IGUの所望の設置面積または表面積に一致するようにロールアウトおよび切断され得る。
【0040】
[0086]したがって、
図8B~
図8Dに関して上述した技法を使用して、PV層および/または封入層を、PV層を一切含まない場合がある既存のIGUに追加することができる。例えば、
図8Cおよび
図8Dに示されるPV層および封入層(および接着剤層)アセンブリは、既存のIGUの外面に積層またはその他の方法で取り付けることができ、必要に応じて容易に設置、取り外し、または交換することができる。
【0041】
[0087]上述のように、ガラス板を分離して内側空隙を形成するために、スペーサをIGU内で使用することができる。封入および/または組み立て技法のいくつかは、IGUの層の積み重ねに応じて、スペーサを収容するように調整または変更することができる。
【0042】
[0088]
図9A~
図9Fは、特定の実施形態による、ガラス板910上のPV層920と、封入層940と、IGUスペーサ950と、PVコンタクト930とを含む例示的なIGU900を示す。
図2Aおよび
図3Cに関して上述したように、PV層920は、1つまたは複数の活性層と、1つまたは複数の透明電極層とを含むことができる(
図9A~
図9Fには示されていない)。いくつかの実施形態において、PV層920はまた、1つまたは複数の反射層(
図9A~
図9Fには示されていない)を含むこともできる。いくつかの実施形態において、PVコンタクト930は、銀インクまたは銀ペーストによって形成された銀層などの金属薄層の形態のバスバーを含んでもよい。
【0043】
[0089]
図9Aは、封入層940およびIGUスペーサ950を除いたIGU900の上面図である。
図9Bは、封入層940およびIGUスペーサ950を除いたIGU900の断面図である。
図9Bに示されるように、いくつかの実施態様では、PV層920はガラス板910の全領域を覆わなくてもよい。むしろ、PV層920は、PVコンタクト930の外縁と位置整合することができ、PVコンタクト930の外縁を超えて延伸しなくてもよい。いくつかの実施態様では、領域960に示されるように、電気的接続を行うために、PV層920のすべてではないが一部(例えば、電極層)がPVコンタクト930の下にあり得る。例えば、1つのPVコンタクト930が領域960においてPV層920の第1の電極層と接触することができ、別のPVコンタクト930が領域970においてPV層920の第2の電極層と接触することができる。
図9Cは、PVコンタクト930の内側に形成された封入層940を有するIGU900の上面図である。
図9Dは、PVコンタクト930の内側に形成された封入層940を有するIGU900の断面図である。
図9Eは、IGUスペーサ950の内側に封入層940およびPVコンタクト930を有するIGU900の上面図である。
図9Fは、IGUスペーサ950の内側に封入層940およびPVコンタクト930を有するIGU900の断面図である。
図9Eおよび
図9Fはまた、
図1Aおよび
図1Bに関して上述したような縁部シーラント980をも示す。PVコンタクト930はIGUスペーサ950の内側にあるため、用途によっては、ワイヤをIGUスペーサ950に通して外部接続する必要がある場合がある。IGU900は、異なる構成を有するいくつかの他のIGUにまさるいくつかの利点を有し得る。例えば、電荷は、より長い電極またはバスバー経路を通ってスペーサの下を通過する必要はない場合があり、したがって、より長い距離がより高い抵抗損失をもたらし得るため、抵抗損失が低減され得る。IGU900の外形は、すべての追加の層および構成要素(例えば、封入ガラス、配線など)がIGUの内側にある標準的なIGUと同様であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、IGUスペーサは、PVコンタクトを作製するために使用されてもよい。
【0044】
[0090]IGU900のいくつかの実施態様では、PV層920はガラス板910の全領域を覆うことができる。例えば、特定の実施態様では、PV層920はガラス板910の外縁と位置整合することができる。特定の実施態様では、PV層920の全部ではないが一部の層が、PVコンタクト930および/またはIGUスペーサ950の外縁を超えて延伸し得る。
【0045】
[0091]
図10A~
図10Gは、特定の実施形態による、ガラス板1010上のPV層1020と、封入層1040と、IGUスペーサ1050と、PVコンタクト1030とを含む例示的なIGU1000を示す。PV層1020は、1つまたは複数の活性層と、1つまたは複数の透明電極層とを含むことができる(
図10A~
図10Gには示されていない)。PVコンタクト1030は、PV層1020の縁部に形成することができる。いくつかの実施形態において、PVコンタクト1030は、例えば、銀インクまたは銀ペーストによって形成された銀層などの金属薄層の形態のバスバーを含んでもよい。
【0046】
[0092]
図10Aは、封入層1040およびIGUスペーサ1050を除いたIGU1000の上面図である。
図10Bは、封入層1040およびIGUスペーサ1050を除いたIGU1000の断面図である。
図10Cは、PVコンタクト1030の内側に形成された封入層1040を有するIGU1000の上面図である。
図10Dは、PVコンタクト1030の内側に形成された封入層1040を有するIGU1000の断面図である。封入層1040は、PVコンタクト1030からある距離だけ分離することができる。
図10Eは、封入層1040とPVコンタクト1030との間にIGUスペーサ1050を有するIGU1000の上面図である。
図10Fは、線A-Aに沿った、封入層1040とPVコンタクト1030との間にIGUスペーサ1050を有するIGU1000の断面図である。
図10Gは、線B-Bに沿った、封入層1040とPVコンタクト1030との間にIGUスペーサ1050を有するIGU1000の断面図である。IGU1000では、PVコンタクト1030はIGUスペーサ1050の外側にあり、したがって電気配線はIGUスペーサ1050を通過する必要はない。いくつかの実施態様では、PVコンタクト1030と電気的に接触するために、PV層1020の全部ではないが一部の層(例えば、電極層)がガラス板1010の縁部まで延伸するか、または、PVコンタクト1030と位置整合することができる。
図10Eに示すように、封入層1040は、部分的にIGUスペーサ1050の内側にあり、部分的にIGUスペーサ1050の外側にある。IGU1000は、異なる構成を有するいくつかの他のIGUにまさるいくつかの利点を有し得る。例えば、電気配線はIGUスペーサ1050を通過する必要はない。封入層1040(例えばガラス層)の2つの縁部はガラス板1010の縁部と位置整合することができ、より容易な組み立てが可能になる。PVコンタクトにIGUスペーサ1050を使用することも可能である。
【0047】
[0093]
図11A~
図11Fは、特定の実施形態による、ガラス板1110上のPV層1120と、封入層1140と、IGUスペーサ1150と、PVコンタクト1130とを含む例示的なIGU1100を示す。PVコンタクト1130は、IGU1000の場合と同様に、PV層1120の縁部に形成することができる。
図11Aは、封入層1140およびIGUスペーサ1150を除いたIGU1100の上面図である。
図11Bは、封入層1140およびIGUスペーサ1150を除いたIGU1100の断面図である。
図11Cは、PVコンタクト1130の内側に形成された封入層1140を有するIGU1100の上面図である。
図11Dは、PVコンタクト1130の内側に形成された封入層1140を有するIGU1100の断面図である。封入層1140は、PVコンタクト1130と接触することができる。
図11Eは、封入層1140の上にIGUスペーサ1150を有するIGU1100の上面図である。
図11Fは、封入層1140の上にIGUスペーサ1150を有するIGU1100の断面図である。IGU1100では、PVコンタクト1130はIGUスペーサ1150の外側にあり得、したがって電気配線はIGUスペーサ1150を通過する必要はない。いくつかの実施態様では、PVコンタクト1130と電気的に接触するために、PV層1120の全部ではないが一部の層(例えば、電極層)がガラス板1110の縁部まで延伸するか、または、PVコンタクト1130と位置整合することができる。封入層1140は、部分的にIGUスペーサ1150の内側にあり得、部分的にIGUスペーサ1150の外側にあり得る。IGU1100は、異なる構成を有するいくつかの他のIGUにまさるいくつかの利点を有し得る。例えば、電気配線はIGUスペーサ1150を通過する必要はない。封入層1140(例えばガラス層)の2つの縁部はガラス板1110の縁部と位置整合することができ、より容易な組み立てが可能になる。さらに、IGUスペーサ1150は、全体を封入層1140上に配置することができるため、IGUスペーサ1150は、IGU1000の場合のように、異なる位置で異なる高さを有する必要はない。
【0048】
[0094]
図12A~
図12Fは、特定の実施形態による、ガラス板1210上のPV層1220と、封入層1240と、IGUスペーサ1250と、PVコンタクト1230とを含む例示的なIGU1200を示す。IGU1200では、PV層1220をガラス板1210の外面に形成することができ、封入層1240をPV層1220上に形成して、建造物の内外の空気中の水分および/または酸素からPV層1220を保護することができる。PVコンタクト1230は、IGU1000および1100の場合と同様に、PV層1220の縁部に形成することができる。
図12Aは、封入層1240の上面図である。
図12Bは、封入層1240の断面図である。
図12Cは、ガラス板1210の外面に形成されたPV層1220、封入層1240、およびPVコンタクト1230を有するIGU1200の上面図であり、封入層1240はPVコンタクト1230の内側とすることができる。
図12Dは、ガラス板1210の外面に形成されたPV層1220、封入層1240、およびPVコンタクト1230を有するIGU1200の断面図であり、封入層1240はPVコンタクト1230の内側とすることができる。封入層1240は、PVコンタクト1230と接触することができる。
図12Eは、ガラス板1210の内面にIGUスペーサ1250を有するIGU1200の上面図である。
図12Fは、ガラス板1210の内面にIGUスペーサ1250を有するIGU1200の断面図である。したがって、封入層1240およびIGUスペーサ1250はガラス板1210の対向する側にある。いくつかの実施態様では、PVコンタクト1230と電気的に接触するために、PV層1220の全部ではないが一部の層(例えば、電極層)がガラス板1210の縁部まで延伸するか、または、PVコンタクト1230と位置整合することができる。IGU1200は、異なる構成を有するいくつかの他のIGUにまさるいくつかの利点を有し得る。例えば、PVコンタクト1230はガラス板1210の反対側にあるため、電気配線はIGUスペーサ1250を通過する必要はない。封入層1240(例えばガラス層)の2つの縁部はガラス板1210の2つの縁部と位置整合することができ、より容易な組み立てが可能になる。さらに、IGUスペーサ1250は、全体をガラス板1210上に配置することができるため、IGUスペーサ1250は、IGU1000の場合のように、異なる位置で異なる高さを有する必要はない。
【0049】
[0095]いくつかの実施形態では、PV層によって生成された電力を、電力が電気装置によって使用または貯蔵され得る場所に輸送するために、いくつかの配線または他の電気接続を使用することができる。いくつかの用途では、太陽光発電から生成された電力は、IGUスペーサの内側で直接使用されてもよい。例えば、いくつかの用途では、いくつかのIGUの内側に(例えば、ガラス板間の間隙に)機能デバイスがあってもよく、PV層は、機能デバイスおよびIGUの内側の任意の補助電子機器に直接配線またはその他の方法で電気的に接続できる。これらの機能デバイスは、窓着色のためのエレクトロクロミック層/装置、様々な種類のセンサ、内部ブラインドのための電力制御、または電力を必要とする場合がある他の装置を含むことができる。いくつかの実施態様では、PV層を充電式バッテリに接続することができ、バッテリは、必要に応じて後に内部装置に電力を供給することができる。
【0050】
[0096]
図13Aは、特定の実施形態による一体型エレクトロクロミックモジュール1340を有する例示的なIGU1302を示す。IGU1302は、ガラス板およびPV層を含むアセンブリ1310を含むことができる。エレクトロクロミックモジュール1340は、エレクトロクロミック層の形態とすることができ、アセンブリ1310およびスペーサ1320によって形成される内部キャビティ内に配置することができる。アセンブリ1310のPV層は、エレクトロクロミックモジュール1340に電力を供給するために電気ワイヤ1330を通じてエレクトロクロミックモジュール1340に接続することができる。いくつかの実施態様では、ワイヤ1330は、スペーサ1320内に埋め込まれてもよく、またはスペーサ1320によって覆われてもよく、またはその他の方法でスペーサ1320によって隠されてもよい。
【0051】
[0097]
図13Bは、特定の実施形態による一体型センサ(複数可)1350を有する例示的なIGU1304を示す。IGU1304はアセンブリ1310およびスペーサ1320を含むことができる。一体型センサ(複数可)1350は、アセンブリ1310およびスペーサ1320によって形成された内部キャビティ内に配置することができる。アセンブリ1310のPV層は、電気ワイヤ1330を通じて一体型センサ(複数可)1350に接続されて、一体型センサ(複数可)1350に電力を供給することができる。いくつかの実施態様では、ワイヤ1330は、スペーサ1320内に埋め込まれてもよく、またはスペーサ1320によって覆われてもよく、またはその他の方法でスペーサ1320によって隠されてもよい。
【0052】
[0098]
図13Cは、特定の実施形態による一体型内部ブラインド1360を有する例示的なIGU1306を示す。IGU1306はアセンブリ1310およびスペーサ1320を含むことができる。内部ブラインド1360は、アセンブリ1310およびスペーサ1320によって形成される内部キャビティ内に配置することができる。アセンブリ1310のPV層は、電気ワイヤ1330を通じて内部ブラインド1360のコントローラに接続されて、内部ブラインド1360のコントローラに電力を供給することができる。いくつかの実施態様では、ワイヤ1330は、スペーサ1320内に埋め込まれてもよく、またはスペーサ1320によって覆われてもよく、またはその他の方法でスペーサ1320によって隠されてもよい。
【0053】
[0099]
図13Dは、特定の実施形態による一体型充電式バッテリ1370を有する例示的なIGU1308を示す。IGU1308はアセンブリ1310およびスペーサ1320を含むことができる。充電式バッテリ1370は、アセンブリ1310およびスペーサ1320によって形成される内部キャビティ内に配置することができる。アセンブリ1310のPV層は、充電式バッテリ1370を充電するために電気ワイヤ1330を通じて充電式バッテリ1370に接続することができる。充電式バッテリ1370は、必要に応じて他の内部または外部装置に電力を供給するために使用されてもよい。いくつかの実施態様では、ワイヤ1330は、スペーサ1320内に埋め込まれてもよく、またはスペーサ1320によって覆われてもよく、またはその他の方法でスペーサ1320によって隠されてもよい。
【0054】
[0100]いくつかの用途では、電力消費装置が内部間隙内にない場合、またはPVコンタクトが内部間隙およびスペーサの外側に配置されていない場合、太陽光発電から生成される電力をIGUの内部間隙の外側に輸送する必要があり得る。PV層によって生成される電力を、スペーサを通じてIGUから輸送するためのいくつかの技法が、以下に詳細に説明される。
【0055】
[0101]
図14Aは、特定の実施形態による、スペーサ1420およびシーラント1410を通過する電気ワイヤ1440を有する例示的なIGU1400の上面図である。
図14Bは、IGU1400の断面図である。IGU1400は、ガラス板およびPV層を含むアセンブリ1430を含むことができる。電気ワイヤ1440は、PV層に接続することができ、スペーサ1420およびシーラント1410を通じてIGU1400の外側へと通過することができる。
【0056】
[0102]
図15A~
図15Dは、特定の実施形態による、IGU1500からIGUスペーサ1520を通して電気エネルギーを伝達するための様々な方法を示す。IGU1500は、ガラス板1510と、IGUスペーサ1520と、ガラス板1510内に形成されたPV層1530とを含むことができる。
図15Aは、IGUスペーサ1520内の予め設置されている/シールされているコネクタ1550を使用して、IGUスペーサ1520の内側のPV層から外部コードまたは他の電気接続1540に電力を送ることができることを示す。
図15Bは、電気ワイヤ1545がIGUスペーサ1520に形成されたコーナ間隙を通過することができることを示す。
図15Cは、電気ワイヤ1545がIGUスペーサ1520の中央にある穴1560を通過することができることを示す。
図15Dは、電気ワイヤ1545がIGUスペーサ1520の縁部にある穴1570を通過することができることを示す。
【0057】
[0103]いくつかの実施形態では、PV層はIGUの内側にあり得、PV層上のPVコンタクトはスペーサの外側にあり得るが、シーラントによって覆われ得る。PV層によって生成された電力は、IGUの内側から輸送され得るが、スペーサが通過する必要はないものであり得る。
【0058】
[0104]
図16A~
図16Bは、特定の実施形態による、IGUスペーサ1620の外側にPVコンタクトを有する例示的なIGU1600を示す。
図16AはIGU1600の上面図であり、
図16BはIGU1600の断面図である。IGU1600は、ガラス板およびPV層を含むアセンブリ1630を含むことができる。電気ワイヤ1640は、スペーサ1620の外側の領域でPV層に接続することができ、シーラント1610を通ってIGU1600の外側へと通過することができる。
【0059】
[0105]いくつかの実施形態では、PV層はIGUの外部表面に配置することができる。そのような場合、電気ワイヤがスペーサを通過する必要はないものであり得、スペーサを覆う領域の内側または外側の任意の位置でPV層に接続することができる。
【0060】
[0106]
図17A~
図17Bは、特定の実施形態による、IGU1700の外部表面上にPVコンタクトを有する例示的なIGU1700を示す。
図17AはIGU1700の上面図であり、
図17BはIGU1700の断面図である。IGU1700は、ガラス板およびガラス板の外面上のPV層を含むアセンブリ1730と、スペーサ1720と、シーラント1710とを含むことができる。電気ワイヤ1740は、スペーサ1720を覆う領域の内側、外側、またはその領域にある任意の位置でPV層に接続することができる。
【0061】
[0107]PV層との接触は、所望の用途のために電力を配線または他の電子部品に輸送することを可能にし得る。PV層がIGUの内面にあっても外面にあっても、PV層と接触するために多くの異なる技術を使用することができる。これらの技術の例は、スペーサ構成要素(例えば、接着剤)に埋め込まれたまたは直接接続されたコンタクト、はんだ付け接続を通じたコンタクト、導電性圧入部品を通じたコンタクト、導電性テープを使用したコンタクト、またはフレックスコネクタを通じたコンタクトを含み得る。いくつかの実施形態では、配線ではなくバスバーを使用して、PV層の表面上のある場所から機能デバイスが配置され得または取り付けられ得るのと同じ表面上の別の場所に電荷を輸送することができる。
【0062】
[0108]
図18A~
図18Fは、特定の実施形態による1つの例示的なIGU上のPVコンタクトの様々な構成を示す。IGUは、ガラス板およびPV層を含むアセンブリ1810を含むことができる。
図18Aに示す実施形態では、アセンブリ1810において、PV層と接触するように導電性エポキシまたは接着剤をスペーサ1820上に形成することができる。
図18Bは、アセンブリ1810の縁部でPV層と接触し、電気ワイヤ1840を使用して電力を輸送するために、導電性圧入部品1830をアセンブリ1810の縁部に取り付けることができることを示している。
図18Cに示す実施形態では、アセンブリ1810内のPV層をコネクタに接続するために、フレックスオングラス(FOG)異方性導電接着剤1850をアセンブリ1810の縁部に取り付けることができる。
図18Dは、アセンブリ1810内のPV層と接触し、電気ワイヤ1840を使用して電力を輸送するためにはんだ付け接続を使用することができることを示している。
図18Eは、アセンブリ1810内のPV層と接触し、電気ワイヤ1840を使用して電力を輸送するために導電性テープを使用することができることを示している。
図18Fは、アセンブリ1810においてPV層と接触させ、PV層のある領域から、電力消費装置が位置し得るPV層の別の領域へ電力を輸送するために、バスバーをPV層上に形成することができることを示している。
【0063】
[0109]上述のように、PV層に加えて、他の材料層もIGUに一体化することができる。PV層をこれらの材料層と対にして、これらの材料層に電力を供給することができ、それによって1つまたは複数の機能を実行することができる。これらの材料層のいくつかの例は、IR反射のための低放射率(低E)材料/層、他の反射材料/層、着色材料/層、色中性平衡材料/層、反射防止材料/層、太陽熱を変化させるための他の材料/層、導電性改質層、表面エネルギー改質層(材料が下にある層上でどのように成長するかに影響を及ぼし得る)、表面仕事関数改質層、表面粗さ改質層などを含み得る。いくつかの実施形態では、機能層またはPV層のうちの1つまたは複数は多機能性であり得る。
【0064】
[0110]
図19A~
図19Bは、特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)を含む例示的なIGUを示す。
図19Aは、第1のガラス板1910と、第2のガラス板1920と、PV層1930と、PV層1930と対をなす機能層1940とを有する例示的なIGU1900を示す。機能層1940およびPV層1930の対の層は、ソーラーパワーを電力に変換すること以外の追加の機能(複数可)を果たすことができる。例えば、追加の機能層は、低Eまたは反射防止材料として作用することができ、色中性を平衡させることもできる着色材料を含むことができる。
図19Bは、第1のガラス板1910と、第2のガラス板1920と、多機能層1960とを含む例示的なIGU1950を示す。多機能層1960は、複数の機能を果たすことができる1つまたは複数の材料層を含むことができる。例えば、多機能層は、PV層として作用してもよく、また、低E、着色、および/または反射層などとして作用してもよい。
【0065】
[0111]追加の機能層は、様々な組み合わせでPV層と共に配置することができる。例えば、層は、IGUのガラス板の同じ内面または外面上に任意の順序で配置することができる。
【0066】
[0112]
図20A~
図20Dは、特定の実施形態による、PV層に加えて他の機能層(複数可)(例えば、低E層)を含む例示的なIGUの様々な構成のうちの1つを示す。例えば、
図20Aに示す実施形態において、二重板IGUは、間隙2050を形成する第1のガラス板2010および第2のガラス板2020を含むことができる。PV層2030が、間隙2050に面する第1のガラス板2010の内面に取り付けられ、機能層2040が、第1のガラス板2010とは反対側のPV層2030の面に結合される。
図20Bに示す実施形態では、機能層2040は、間隙2050に面する第2のガラス板2020の内面に取り付けられ、PV層2030は、第2のガラス板2020とは反対側の機能層2040の表面に結合される。
図20Cに示す実施形態では、機能層2040は、外部環境に面する第1のガラス板2010の内面に取り付けられ、PV層2030は、第1のガラス板2010とは反対側の機能層2040の表面に結合される。
図20Dに示す実施形態では、PV層2030は、建造物の内部に面する第2のガラス板2020の内面に取り付けられ、機能層2040は、第2のガラス板2020とは反対側のPV層2030の表面に結合される。
【0067】
[0113]いくつかの実施形態において、追加の機能層およびPV層が、IGUの任意のガラス板の対向する両表面に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、追加の機能層およびPV層は、IGUの異なるガラス板上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の機能層が同じIGU内で使用されてもよく、任意の適切な構成に従ってPV層と共に配置されてもよい。さらにいくつかの実施形態では、複数のPV層をIGU内で使用することができ、任意の適切な構成に従って(存在する場合は機能層と共に)配置することができる。機能層は、本開示において上記および下記に記載されるように様々な機能を果たし得る。
【0068】
[0114]
図21A~
図21Bは、特定の実施形態による、同じIGUガラス板上に機能層2140およびPV層2130を含む例示的なIGUを示す。例示的なIGUは各々、間隙2150を形成する第1のガラス板2110および第2のガラス板2120を含むことができる。
図21Aに示す実施形態では、PV層2130を外部環境に面する第1のガラス板2110の外面に配置することができ、機能層2140を間隙2150に隣接する第1のガラス板2110の内面に配置することができる。
図21Bに示す実施形態では、機能層2140を外部環境に面する第1のガラス板2110の外面に配置することができ、一方、PV層2130を間隙2150に隣接する第1のガラス板2110の内面に配置することができる。
【0069】
[0115]
図22A~
図22Cは、特定の実施形態による、各々がIGUの異なるガラス板上に機能層2240およびPV層2230を含む例示的なIGUを示す。例示的なIGUは各々、間隙2250を形成する第1のガラス板2210および第2のガラス板2220を含むことができる。
図22Aに示す実施形態では、PV層2230を外部環境に面する第1のガラス板2210の外面に配置することができ、機能層2240を間隙2250に隣接する第2のガラス板2220の内面に配置することができる。
図22Bに示す実施形態では、PV層2230を間隙2250に隣接する第1のガラス板2210の外面に配置することができ、機能層2240を間隙2250に隣接する第2のガラス板2220の内面に配置することができる。
図22Cに示す実施形態では、機能層2240を外部環境に面する第1のガラス板2210の外面に配置することができ、PV層2230を建造物の内部に面する第2のガラス板2220の外面に配置することができる。
【0070】
[0116]
図23Aは、特定の実施形態による複数の機能層を含む例示的なIGU2300を示す。IGU2300は、間隙2350を形成する第1のガラス板2310および第2のガラス板2320を含むことができる。PV層2330は、間隙2350に隣接する第1のガラス板2310の内面に配置することができる。第1の機能層2340を、外部環境に面する第1のガラス板2310の外面に配置することができる。第2の機能層2360を、PV層2330に隣接して配置することができる。第3の機能層2370を、建造物の内部に面する第2のガラス板2320の外面に配置することができる。
【0071】
[0117]
図23Bは、特定の実施形態による複数のPV層を含む例示的なIGU2305を示す。IGU2305は、間隙2350を形成する第1のガラス板2310および第2のガラス板2320を含むことができる。第1のPV層2380を間隙2350に隣接する第1のガラス板2310の内面に配置することができ、第2のPV層2390を間隙2350に隣接する第2のガラス板2320の内面に配置することができる。
【0072】
[0118]
図24A~
図24Bは、特定の実施形態による低放射率(低E)層2440を含む例示的なIGUを示す。低Eコーティングは、IR光を反射するのに非常に効果的であり得る。PVモジュールが太陽光線経路内でPV層の後にある低Eコーティングと一体化されると、低Eコーティングによって反射されてPV層に戻るIR光は、PV層内でNIR吸収を増大させることができ、PV層の全体的な電力変換効率の増加および建造物への熱伝達の減少をもたらす。
図24Aは、間隙2450を形成する第1のガラス板2410および第2のガラス板2420を含む例示的なIGU2400を示す。PV層2430は、間隙2450に隣接する第1のガラス板2410の内面に配置することができる。低E層2440を、PV層2430に隣接して配置することができる。第1のガラス板2410を通過してPV層2430に達する太陽光は、PV層2430によって部分的に吸収することができる。低E層2440に到達し得る太陽光の部分は、低E層2440によってPV層2430に反射し戻され、少なくとも部分的にPV層2430によって吸収することができる。
図24Bに示すIGU2405において、PV層2430は、間隙2450に隣接する第1のガラス板2410の内面に配置することができる。低E層2440は、間隙2450に隣接する第2のガラス板2420の内面に配置することができる。第1のガラス板2410を通過してPV層2430に達する太陽光は、PV層2430によって部分的に吸収することができる。間隙2450を通過して低E層2440に到達し得る太陽光の部分は、低E層2440によってPV層2430に反射し戻され、少なくとも部分的にPV層2430によって吸収することができる。
【0073】
[0119]
図25は、特定の実施形態による例示的なIGU2500の分解図である。IGU2500は、明かり窓アセンブリに一体化することができ、IGU2500内のPVモジュールは、明かり窓機械式リフトへの電力供給、他の構成要素への電力供給、または建造物内の電力網へのフィードバックに使用することができる。IGU2500は、建造物の内部に面する第1のガラス板2510(またはガラスライト)と、建造物の外部環境に面する第2のガラス板2560とを含むことができる。PVバリア層2550を、PV層2540で被覆することができ、第2のガラス板2560の内面に取り付けることができる。PV層2540を、バスバー2542および電気ワイヤ2544に電気的に接続することができる。PV層2540を封入し保護するために、第3のガラス板2530をPV層2540に取り付けることができる。第2のガラス板2560、PVバリア層2550、PV層2540、バスバー2542、電気ワイヤ2544、および第3のガラス板2530が、PVアセンブリを形成することができる。PVアセンブリ、第1のガラス板2510、およびIGUスペーサ2520を共に組み立ててIGUを形成することができ、IGUスペーサ2520はPVアセンブリと第1のガラス板2510とを分離してIGU内に内部間隙を形成することができる。
【0074】
[0120]
図26は、特定の実施形態によるエレクトロクロミック層2620を含む例示的なIGU2600の分解図である。IGU2600は、例えば、車両のためのサンルーフアセンブリとして、または車両もしくは建造物の窓として使用することができる。IGU2600は、自動窓着色構成要素に電力を供給するため、またはサンルーフもしくは窓の近くの他の構成要素に電力を供給するために使用され得るPVモジュールを含むことができる。生成された電力は、自動車がオフ、オン、または両方のときに使用することができる。いくつかの実施形態において、IGU2600は、車両の内部に面する第1のガラス板2610(またはガラスライト)と、車両の外部環境に面する第2のガラス板2650とを含むことができる。PV層2640は、第2のガラス板2650上にコーティングすることができ、PVバリア層2630によって被覆および保護することができる。PV層2640を、バスバー2642および電気ワイヤ2644に電気的に接続することができる。エレクトロクロミック層2620は、第1のガラス板2610とPVバリア層2630との間に配置することができ、電源から電力を受け取るために電気ワイヤ2622に接続することができる。例えば、電気ワイヤ2622を電気ワイヤ2644に接続して、PV層2640から電力を受け取ることができる。エレクトロクロミック層2620は、異なる電圧レベルが印加されると、色、光透過率、吸収、反射率、および/または放射率などの光学特性を連続的ではあるが可逆的に変化させることができる。
【0075】
[0121]
図27は、特定の実施形態によるエレクトロクロミック層2720を含む例示的なIGU2700の分解図である。IGU2700は、建造物または他の構造物のためのスマートウィンドウアセンブリとして使用することができる。IGU2700は、エレクトロクロミック窓に直接電力を供給するため、またはエレクトロクロミック窓に電力を供給する内部バッテリを充電するために使用することができるPVモジュールを含むことができる。いくつかの実施形態において、IGU2700は、建造物または他の構造物の内部に面する第1のガラス板2710(またはガラスライト)と、建造物または構造物の外部環境に面する第2のガラス板2750とを含むことができる。PV層2740は、第2のガラス板2750上にコーティングすることができる。PV層2740を、バスバー2742および電気ワイヤ2744に電気的に接続することができる。エレクトロクロミック層2720は、第1のガラス板2710の内面に配置することができ、電源から電力を受け取るために電気ワイヤ2722に接続することができる。例えば、電気ワイヤ2722を電気ワイヤ2744に接続して、PV層2740から電力を受け取ることができる。エレクトロクロミック層2720は、異なる電圧レベルが印加されると、色、光透過率、吸収、反射率、および/または放射率などの光学特性を連続的ではあるが可逆的に変化させることができる。PV層2740でコーティングされた第2のガラス板2750、エレクトロクロミック層2720でコーティングされた第1のガラス板2710、およびIGUスペーサ2730を共に組み立ててIGUを形成することができ、IGUスペーサ2730は、第1のガラス板2710および第2のガラス板2750を分離してIGU内に内部間隙を形成することができる。
【0076】
[0122]
図28は、特定の実施形態による例示的なIGU2800の分解図である。IGU 2800は、建造物IGUとして使用することができる。PVモジュールはIGU2800に一体化することができる。PVモジュールによって生成されたPV電力は、その後、DC-ACインバータに接続され、建造物の電力網またはスマートグリッドに供給され得る。いくつかの実施形態において、IGU2800は、建造物の内部に面する第1のガラス板2810(またはガラスライト)と、建造物の外部環境に面する第2のガラス板2840とを含むことができる。PV層2830は、第2のガラス板2840上に形成することができる。PV層2830を、バスバー2832および電気ワイヤ2834に電気的に接続することができる。電気ワイヤ2834は、DC電気装置またはDC-ACインバータに接続することができる。PV層2830でコーティングされた第2のガラス板2840、第1のガラス板2810、およびIGUスペーサ2820を共に組み立ててIGU2800を形成することができ、IGUスペーサ2820は、第1のガラス板2810および第2のガラス板2840を分離してIGU内に内部間隙を形成することができる。
【0077】
[0123]上記の例示的なIGUでは、機能層、低E層、封入層、および/またはシーラントは、説明されている特徴を曖昧にしないために図面に示されていない、または明示的に記載されていない場合があるが、これらの層およびシーラントの様々な組み合わせが上記の任意のIGUにおいて使用されてもよいことを当業者は容易に理解するであろう。
【0078】
[0124]
図29は、特定の実施形態による例示的なIGU2900の構成を示す。IGU2900は、第1のガラス板2910(例えば、12インチ×12インチ×1.1mmのガラス片)上に堆積されたPV層(複数可)2930を含む。封入ガラス2940(例えば、12インチ×11.5インチ×2.5mmのガラス片)を、光学的に透明なUV硬化性エポキシ、熱硬化性エポキシ、または、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、もしくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの加圧熱伝導接着剤を用いてPV層(複数可)2930の上面に接着することができる。バスバー(
図29には示さず)に、封入後に露出したままにすることができるPV層(複数可)2930の2つの縁部に沿って銀ペーストを添加することができる。電気的接触のためのワイヤを、はんだ付けおよび/または銅テープを介してIGU2900の各側に固定することができる。スペーサ2950(例えば、11.5インチ×11.5インチ×0.5インチの寸法を有する)を、封入ガラス2940および第2のガラス板2920(例えば、12インチ×12インチ×2.5mmのガラス片)に直接接合することができる。
【0079】
[0125]
図30A~
図30Dは、特定の実施形態による、
図29に示す例示的IGU2900の様々な構成要素を示す。
図30Aは、PV層(複数可)2930と第1のガラス板2910とを含むアセンブリ3010を示す。アセンブリ3010はまた、PV層(複数可)に接続された電気ワイヤ3012を含むこともできる。
図30Bは、封入ガラス2940を、光学的に透明なUV硬化性エポキシ、熱硬化性エポキシ、またはPVA、PVBもしくはTPUなどの加圧熱伝導接着剤を使用してPV層(複数可)2930の上面に接着することができることを示す。封入ガラス2940は、1つの方向(例えば、
図30Bに示される垂直方向)において第1のガラス板2910と同じ寸法を有することができ、別の方向(例えば、水平方向)において第1のガラス板2910よりわずかに(例えば約0.5インチ)短くすることができる。封入ガラス2940がPV層(複数可)2930に接合された後に、PV層(複数可)2930の2つの垂直縁部付近の特定の領域を露出させる(脱被覆する)ことができる。PV層(複数可)2930と接触するために、露出領域上にバスバーまたは他の電気的接続を形成することができる。
図30Cは、スペーサ2950を封入ガラス2940に接合することができることを示す。
図30Dは、スペーサ2950を両方向においてアセンブリ3010よりわずかに(例えば、約0.5インチ)短くすることができることを示す。したがって、PV層(複数可)2930への電気接続は、スペーサ2950の外側で行うことができ、発生した電力をIGU2900から取り出すためにスペーサ2950を通過する必要はない。IGU2900は、例えばシリコーンシーラントを使用してスペーサ2950の外縁の周りをシールすることができ、PV層(複数可)2930との電気的接触のために電気ワイヤ3012を露出させたままにする。
【0080】
[0126]
図31A~
図31Dは、特定の実施形態による
図29の完全に組み立てられた例示的なIGU2900を示す。
図31Aは、完全に組み立てられたIGU2900の斜視図である。
図31Bは、IGU2900の一部の拡大斜視図である。
図31Cは、IGU2900の水平断面図である。
図31Cは、IGU2900の垂直断面図である。
図31Bおよび
図31Dに示されるように、封入ガラス2940の上縁はアセンブリ3010と位置整合することができ、したがってIGUを組み立てることを容易にし得る。
図31Bおよび
図31Cに示されるように、アセンブリ3010の左縁および右縁付近の領域は、封入ガラス2940またはスペーサ2950によって被覆されていなくてもよく、したがってスペーサ2950を通過することを必要とせずに、PV層(複数可)2930と電気的に接続するために使用することができる。
【0081】
[0127]低E機能性と組み合わされて二重板窓に組み込まれた透明なPV層が、暖房および冷房のための建造物全体のエネルギー消費に及ぼし得る影響を推定するために、建造物エネルギーシミュレーションを実行することができる。下記の例では、3つの異なる気候帯にある典型的な中規模のオフィスビルで一連の年間建造物エネルギーシミュレーションが行われて、建造物のエネルギー節約に対する、二重板窓における追加の低E機能を有する透明なPV層の一体化の影響が予測される。透明PV層は、NIR範囲内の選択的吸収および反射を有するように選択される。
【0082】
[0128]スタンドアロンの低E層(「低E」と呼ばれる)および低E機能を追加した例示的な透明PV(TPV)層スタック(「TPV+低E」と呼ばれる)が、二重板窓への一体化に使用される。低EおよびTPV+低Eコーティングの光学特性(例えば、透過率および反射率)が測定される。
【0083】
[0129]
図32Aは、特定の実施形態による2つの材料(Low-EおよびTPV+低E)の透過スペクトルを示す。低Eコーティングの透過スペクトルは曲線3210で示され、TPV+低Eコーティングの透過スペクトルは曲線3220で示されている。
図32Aは、両方のコーティングが可視光に対して高い透過率を有し、TPV+低EはまたNIR光に対する低い透過率をも有することを示す。
【0084】
[0130]
図32Bは、特定の実施形態による2つの材料(低EおよびTPV+低E)の反射スペクトルを示す。反射スペクトルは、PV材料の前面から入射する光に対するPV材料の反射率を示す。低Eコーティングの反射スペクトルは曲線3230で示され、TPV+低Eコーティングの反射スペクトルは曲線3240で示されている。
図32Bは、両方の材料が1200nmを超える波長を有するIR光に対して高い反射率を有し、TPV+低Eコーティングはまた、1200nm未満の波長を有するNIR光に対しても高い反射率を有することができることを示す。
【0085】
[0131]低EおよびTPV+低Eコーティングの測定された光学特性(透過率、前面および背面の反射率および放射率など)を使用して低EおよびTPV+低Eコーティングの窓シミュレーション値を決定するために、Lawrence Berkeley National Labの「Optics 6」ソフトウェアが使用される。その後、透明ガラスおよび低Eガラスについて窓アセンブリをモデル化するために使用できる重要な物理的パラメータが、Lawrence Berkeley National LabのWindowsデータベースから取得される。表1は、透明ガラス、低Eガラス、およびTPV+低Eコーティングを施したガラスについてのこれらのパラメータの比較を示す。表1の下付き文字は、太陽スペクトルの部分を示す(例えば、「sol」は太陽を指し、「vis」は可視光を指す)。表1のパラメータ中の数字は前面(「1」)および背面(「2」)を表し、εは赤外線放射率を表し、kは熱伝導率を表す。
表1:各種ガラスのシミュレーションパラメータ
【表1】
【0086】
[0132]Lawrence Berkeley National Labの「Berkeley Lab WINDOW」ソフトウェアが、以下に記載される種々の窓構成の熱的および光学的性能を分析するために使用される。窓特性を使用して、TPVコーティングを有するおよび有しない3つの窓構成の可視透過率、太陽熱利得係数(SHGC)、およびU値(全体の熱伝達係数を表す)の標準的な測定基準が計算される。建造物シミュレーションの提案のために、これらの窓は新規の業界規格であるため、基準建造物は二重板窓を含むと仮定される。また、二重板窓は2つの6mm厚ガラス板を含み、ガラス板間の空隙は約6mmであるとも仮定する。
【0087】
[0133]
図33Aは、透明ガラスを有する例示的なIGU3300を示す。IGU3300は、内部間隙3330を形成する第1のガラス板3310および第2のガラス板3320を含むことができる。第1のガラス板3310は建造物の外部環境に面することができ、第2のガラス板3320は建造物の内部に面することができる。
図33Bは、低E層3340を含む例示的なIGU3302を示す。IGU3302は、内部間隙3330を形成する第1のガラス板3310および第2のガラス板3320を含むことができる。低E層3340は、第1のガラス板3310の内面に配置することができる。
図33Cは、特定の実施形態による、透明PV層を含む例示的なIGU3304を示す。IGU3304は、内部間隙3330を形成する第1のガラス板3310および第2のガラス板3320を含むことができる。TPVコーティング3350(低E層を含むこともできる)を第1のガラス板3310の内面に形成することができる。
【0088】
[0134]シミュレーションは、表1のデータを使用して窓のエネルギー特性をモデル化する高度なモデルを使用する。このモデルは、窓特性の角度変化を考慮に入れ、太陽スペクトルの各部分を別々に扱う。表2は、
図33A~
図33Cに示される例示的なIGU構成について計算されたU値、SHGC、およびVT値を示す。
表2:種々の窓構成に対して計算されたパラメータ
【表2】
【0089】
[0135]表2のU値は、建築要素の熱伝導度を表す全体的な熱伝達率を表す。より低いU値はより高いレベルの断熱を意味し、したがって窓アセンブリには一般に好ましい。表2に示すように、二重板窓に低EまたはTPV+低Eコーティングを追加すると、二重板窓のU値を実質的に減少させることができる。
【0090】
[0136]SHGCは、直接透過した部分と、最初に吸収された後に内側に放出された部分の両方を含む、窓を通して入る入射日射の割合を示す。窓のSHGCが低いほど、窓が伝達する太陽熱が少なくなり、したがって、夏季の冷房要件は低くなる。太陽熱利得は、ガラス種類、板の数、および任意のガラスコーティングによって影響を受ける可能性がある。典型的な二重板窓は、およそ0.72のSHGCを融資得る。この値は、低Eコーティングを加えることによって、例えば、約0.5まで著しく減少させることができる。表2に示すように、TPV+低Eコーティングを有する二重板窓は、1200nm未満の波長を有するNIR光の選択的吸収および反射ならびに低Eコーティングによる1200 nmを超える波長を有する赤外光の反射に起因して、約0.29の著しく低いSHGC値を有する。
【0091】
[0137]これらの規格窓測定基準は広く受け入れられ理解されているが、それらは窓内の電力生成層のような先端技術の利点のいくつかを捉えていない。これらの問題に対処するために、全米の3つの代表的な気候におけるエネルギー性能をシミュレートして、窓にPV層を追加する利点を完全に決定するために、年間の建造物全体のエネルギーシミュレーションが実行される。
【0092】
[0138]米国エネルギー省(DOE)によって開発された中規模商業用基準建築物モデルが、アリゾナ州フェニックス、イリノイ州シカゴ、およびメリーランド州ボルチモアの3つの気候におけるエネルギー性能をシミュレートするために使用されている。建造物モデルは、ASHRAE 90.1-2004建造物エネルギーコードに準拠し、典型的な新規の構造を表すように設計されている。中規模基準建造物モデルは3階建てで、シミュレートされた総床面積は約53,600 ft2である。このモデルの窓面積は約7027 ft2であり、窓と壁との約33%の比を表す。窓は4つのファサードに沿って均等に配分されている。各階には4つのペリメーターゾーンと1つのコアゾーンとがある。ペリメーターゾーンおよびコアゾーンは、それぞれ総面積の40%および60%を占める。床から床までの高さは約13フィート、床から天井までの高さは約9フィートである。高さの差はプレナムの高さを表す。
【0093】
[0139]Energy Plusソフトウェアが、建造物エネルギーシミュレーションを実行するために使用される。各窓構成および各場所の建造物の冷房および暖房の総エネルギー消費量は、Energy Plusソフトウェアを使用して計算される。TPVコーティング窓から生成される電力は、National Renewable Energy Lab(NREL)から得られた各場所の平均日照データを使用して推定される。
【0094】
[0140]表3は、地理的に異なる場所にある種々の窓構成での暖房、換気、および空調(HVAC)のエネルギー消費量を示す。年間冷暖房エネルギー要件は、望ましいサーモスタット設定値を維持するために、HVACシステムによって建造物に送達される、または建造物から除去される必要がある熱エネルギーの量を表す。低EおよびTPV+低Eコーティング窓では、ベースライン二重板窓と比較してすべての気候でHVACエネルギーの必要性が低くなり、TPV+低Eコーティング窓のHVACが大幅に減少する。さらに、TPVコーティング窓によって生成されるPV電力は、NRELからの平均日射強度データを使用し、5%のPV効率を仮定して推定される。生成されるPV電力とHVAC節約との組み合わせによって、TPVコーティングを含む窓は、典型的な建造物による電力消費の約40~50%の減少をもたらし得る。これは、建造物エネルギー消費量の大幅な節約になり、TPVコーティングが建造物一体型光起電力モジュールに与える可能性がある大きな影響を示している。
表3:種々の窓構成に対する暖房および冷房エネルギー要件
【表3】
【0095】
[0141]本明細書に記載された特定のステップおよび装置は、本発明の実施形態による、可視透明光起電力モジュールを作製する特定の方法を提供することを理解されたい。代替の実施形態によれば、他の一連のステップを実行することもできる。例えば、本発明の代替の実施形態は、上に概説したステップを異なる順序で実行してもよい。さらに、本明細書において記載されている個々のステップおよび装置は、個々の実施形態にとって適切であるような様々なシーケンスで実行され得る複数のサブステップを含み得る。さらに、特定の用途に応じて、追加のステップおよび構成要素を追加または削除することができる。当業者であれば、多くの変形、修正、および代替形態を認識するであろう。
【0096】
[0142]また、本明細書に記載された実施例および実施形態は、説明の目的のみのものであり、それに照らして様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求項の範囲内に含まれるべきであることも理解される。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面を含む第1のガラス板と、
内面を含む第2のガラス板と、
前記第1のガラス板の前記内面または前記第2のガラス板の前記内面上に形成され、前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の前記内面の全体に重なる光起電装置であって、前記光起電装置は、第1の周縁部と、前記第1の周縁部に対向する第2の周縁部とを含む複数の周縁部を有し、前記光起電装置は、
第1の透明電極層と、
第2の透明電極層と、
紫外光または近赤外光を吸収し、可視光を透過するように構成されている1つまたは複数の活性層とを備える光起電装置と、
前記光起電装置の前記第1の周縁部に沿って延伸し、前記第1の透明電極層と接触している第1のバスバーと、
前記光起電装置の前記第2の周縁部に沿って延伸し、前記第2の透明電極層と接触している第2のバスバーと、
赤外光を反射するように構成された低放射率(低E)層であって、前記低E層が前記光起電装置と前記第2のガラス板の間に配置され、前記第1のガラス板が外部環境に面するように構成された、低放射率(低E)層と
を備える発電窓。
【請求項2】
キャビティによって前記第1のガラス板と前記第2のガラス板とを分離するスペーサ
をさらに備え、
前記スペーサは、前記光起電装置の周縁の外側であるが前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の周縁内に閉ループを形成し、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーは、前記スペーサによって形成された周縁内にあるか、または前記スペーサの下にある、請求項1に記載の発電窓。
【請求項3】
前記光起電装置上かつ前記スペーサによって形成される前記周縁内の封入層をさらに備える、請求項2に記載の発電窓。
【請求項4】
前記封入層が1つまたは複数の薄膜封入層を含む、請求項3に記載の発電窓。
【請求項5】
前記封入層がガラスパネルまたは積層バリア層を含む、請求項3に記載の発電窓。
【請求項6】
前記発電窓は、2本のワイヤをさらに含み、各ワイヤが前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーに電気的に接続され、前記スペーサ内の気密シールを介して前記スペーサを通過する、請求項2に記載の発電窓。
【請求項7】
前記光起電装置と前記低E層との間に位置決めされている封入層をさらに備える、請求項1に記載の発電窓。
【請求項8】
前記光起電装置は、前記第1のガラス板と前記第2のガラス板との間に積層されている、請求項1に記載の発電窓。
【請求項9】
前記光起電装置に電気的に結合されている機能デバイスをさらに備え、前記機能デバイスは、エレクトロクロミック素子を含む、請求項1に記載の発電窓。
【請求項10】
バリア層と、
前記バリア層と前記第2のガラス板との間のエレクトロクロミック層であって、前記第1の透明電極層および前記第2の透明電極層に電気的に結合されたエレクトロクロミック層をさらに含む、請求項1に記載の発電窓
を含むエレクトロクロミック窓。
【請求項11】
発電窓を作製する方法であって、
第1のガラス板の上面上に、第1の周縁部と、前記第1の周縁部に対向する第2の周縁部とを含む複数の周縁部を有する光起電装置を形成することであって、前記光起電装置が、
第1の透明電極層と、
紫外光または近赤外光を吸収し、可視光を透過するように構成されている1つまたは複数の活性層と、
第2の透明電極層と
を備える、ことと、
前記光起電装置の前記第1の周縁部に沿って延伸し、前記第1の透明電極層と接触している第1のバスバーを形成することと、
前記光起電装置の前記第2の周縁部に沿って延伸し、前記第2の透明電極層と接触している第2のバスバーを形成することと、
前記光起電装置の上に第2のガラス板を取り付けることであって、前記第2のガラス板が、ある距離だけ前記光起電装置から分離されており、前記光起電力デバイスが、前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の外縁を除いた前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の内面全体に重なっている、ことと、
低放射率(低E)層を前記光起電装置と前記第2のガラス板の間に形成することであって、前記低E層が赤外光を反射するように構成され、前記第1のガラス板が外部環境に面するように構成されている、ことと
を含む、方法。
【請求項12】
前記光起電装置上に封入層を堆積することと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光起電装置の上に前記第2のガラス板を取り付けることは、
前記封入層上にスペーサを取り付けることと、
前記スペーサ上に前記第2のガラス板を取り付けることとを含み、
前記スペーサは、前記光起電装置の周縁の外側であるが前記第1のガラス板または前記第2のガラス板の周縁内に閉ループを形成し、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーは、前記スペーサによって形成された周縁内にあるか、または前記スペーサの下にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光起電装置上に前記封入層を堆積することは、1つまたは複数の薄膜層を堆積することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のガラス板上または前記光起電装置の上方にエレクトロクロミック層を形成することと、
前記エレクトロクロミック層を前記光起電装置に電気的に結合することと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【外国語明細書】