(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000300
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】緩衝機能付き包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20221222BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20221222BHJP
A61J 1/14 20230101ALI20221222BHJP
【FI】
B65D81/02
B65D5/50 B
A61J1/00 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101039
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】390008707
【氏名又は名称】丸金印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田澤 純子
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
4C047
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB04
3E060BA06
3E060CC02
3E060CC19
3E060CE04
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA23
3E060EA20
3E066BA06
3E066CA03
3E066DB02
3E066FA06
3E066HA01
3E066JA03
3E066KA01
3E066KA05
3E066MA09
3E066NA48
3E066NA60
4C047AA31
4C047BB08
4C047CC04
4C047CC17
(57)【要約】
【課題】コストの増大を抑えつつ、箱内のバイアルや医薬品パックを効果的に保護する。
【解決手段】この箱B2は、箱内に、バイアルを上から押え保持可能な緩衝機能部2を備える。この緩衝機能部2は、天蓋16の上蓋の両側にこの蓋の内面に折り畳み可能に延設される一対の延長板21と、これら一対の延長板21の先端と天蓋16の各上フラップの先端との間に各上フラップを箱内に押下案内可能に連接配置される一対の押下板22とからなる。箱B2の組み立てにより、天蓋16の内面から箱内に延びる各押下板22で各上フラップを天面開口下に押下し、これら各上フラップでバイアルを上から押え保持する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面部、背面部、左側面部、右側面部をなす相互に平行に連接して形成される4側面板及び前記4側面板の一側の1側面板の他側の1側面板の側縁に接続される接続側一方の側縁に併せて形成される接着片と、前記4側面板のうち相互に対向する2側面板の両端縁に連接して形成される一対のフラップ及び前記2側面板とは別の他の1側面板又は2側面板の両端縁に形成される蓋からなり、天面開口を塞ぐ天蓋、及び底面開口を塞ぐ底蓋と、を備え、前記接着片と前記4側面板の前記他側の1側面板が接合されて前記一側の1側面板の接続側一方の側縁と前記他端の1側面板の接続側の側縁が接続され、前記底蓋により前記底面開口を塞ぐとともに前記天蓋により前記天面開口を塞ぐことにより、全体が略直方体形状の箱に組み立てられて、医薬品その他各種の物品を包装する包装用箱において、
前記箱内に、物品を押え保持可能な緩衝機能部を備え、
前記緩衝機能部は、
前記天蓋及び/又は前記底蓋の前記蓋の両側に当該蓋の内面に折り畳み可能に延設される一対の延長板と、
前記一対の延長板の先端と前記天蓋及び/又は前記底蓋の前記各フラップの先端との間に前記各フラップを前記箱内に押下案内可能に連接配置される一対の押下板と、
を備えて構成され、
前記箱の組み立てにより、前記蓋の内面から前記箱内に延びる前記各押下板で前記各フラップを前記天面開口下及び/又は前記底面開口下に押下し、当該各フラップで医薬品その他各種の物品を押え保持する、
ことを特徴とする緩衝機能付き包装用箱。
【請求項2】
一対の延長板はそれぞれ、蓋の両側縁部に、当該側縁部を下底とし上底は前記蓋の先端側に片寄らせて前記蓋の外側に延びる略台形状又はこれに代えて略三角形状に形成され、一対のフラップはそれぞれ、2側面板の各端縁に、当該端縁を下底とし上底は前記蓋から離れる側に片寄らせて前記2側面板の外側に延びる略台形状又はこれに代えて略三角形状に形成され、一対の押下板はそれぞれ、前記各延長板の前記下底と前記各フラップの前記下底との交点から延びる前記各延長板の斜辺と前記各フラップの斜辺との間に略三角形状に形成される請求項1に記載の緩衝機能付き包装用箱。
【請求項3】
一対の押下板の少なくとも一方は一部が当該押下板及び延長板から切り離されて、当該一部が押え片としてフラップの斜辺から突出される請求項1又は2に記載の緩衝機能付き包装用箱。
【請求項4】
押え片はフラップの斜辺で延長板の下底と前記フラップの下底との交点側の一端部側若しくはその反対の他端部側又はその中間から突出される請求項3に記載の緩衝機能付き包装用箱。
【請求項5】
押え片は押下板の一部に略コ字形若しくは略U字形若しくは略V字形若しくは略C字形の切り込み線により切り離されて、フラップの斜辺に連続して略四角形若しくは略半長円形若しくは略三角形若しくは略半円形に形成される請求項3又は4に記載の緩衝機能付き包装用箱。
【請求項6】
押え片は一部が押下板から延長板に跨がって切り離されて形成される請求項3乃至5のいずれかに記載の緩衝機能付き包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品その他各種の物品を包装するのに使用する緩衝機能付き包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療機関や調剤薬局で取り扱われる錠剤やカプセル錠などの医療用の医薬品は、複数個ずつが1枚のPTPシートに収納され、このPTPシートが複数枚単位でさらにピロー包装されて、又は結束バンドで結束されて、ひとまとまりにして、包装用箱(個装箱)に包装される。
【0003】
この種の包装用箱は、例えば特許文献1などに開示されているように、正面部、背面部、左側面部、右側面部をなす相互に平行に連接して形成される4側面板及びその一方の側縁に併せて形成される接着片と、4側面板の両端縁に形成される一対のフラップ及び蓋からなり、天面部をなす天蓋及び底面部をなす底蓋とを備え、4側面板の一方の側縁の接着片と他方の側縁とを接着されて構成される。このようにして医薬品を包装する工程において、4側面板が四角柱状に折り曲げられて、その中に医薬品が収納され、底蓋の各部を折り曲げられて接着されるとともに、箱の天面開口が天蓋により封止されて、全体として略直方体形状に組み立てられる。かくして医薬品が包装される。
【0004】
また、従前、この種の医療用の医薬品には、医薬品の名称、服用方法(用法,用量など)、効能、取扱い上の注意など医薬品に関する各種の情報を記載された添付文書が添付され、包装用箱の中に同梱されてきた。この添付文書は例えばA3サイズなどの比較的大きな紙が使用されており、箱の中に入れるために、細長く折り畳まれる。このように折り畳まれた添付文書は比較的厚みのあるものになっている。そして、この添付文書は、細長く折り畳まれた状態で、かつ医薬品を挟み込むような形で、箱の中に収納される。このようにすることで、この添付文書が箱の中で医薬品を押え保持し、箱外部の衝撃から保護するものとなっていた。ところが、2019年11月の改正薬機法により、この添付文書は電子的な方法による提供が原則とされ、これが2021年8月より施行される。すなわち、添付文書の医薬品への添付は廃止となる。添付文書が包装用の箱の中に同梱されないことで、当然のことながら、従前使用されてきた箱のままでは箱の内部に添付文書の収納分だけ隙間が生じるため、箱の中で医薬品ががたつき医薬品の保護性能が低下するおそれがある。このため、従前の箱は設計変更の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従前の包装用箱(個装箱)は、医薬品(複数の錠剤やカプセル錠を密封されたPTPシートが複数枚単位でピロー包装されて、又は結束バンドで結束されて、ひとまとまりにした医薬品)全体の大きさ(寸法)に合わせて、箱の大きさ(寸法)を小さくすれば、箱内部の隙間はなくなるものの、この箱の大きさを変更すると、カートナー(パッケージの製函と同時に物品の箱詰めをする機械)の設定調整作業が必要になるばかりでなく、個装箱を複数個単位で入れるまとめ箱、及びこのまとめ箱を複数個単位で入れる段ボール箱などの大きさも変更する必要があり、医薬品を包装する工程で変更点が広範囲に及び、負担が大きいという問題がある。
【0007】
また、この種の箱においては、従来から、箱内部に医薬品を保護するための緩衝機能を備えたものが多数提案されているが、多くの場合、箱内部に緩衝機能部を一体的に備えるために、多くの箱材(板紙などの紙材)を使ったり箱材(板紙などの紙材)に複雑な形状を施したりすることから、緩衝機能部を備えない箱に比べて、コストが増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の包装用箱において、箱内に従前の添付文書を差し込むための隙間に相当する空間を残しても、箱内に医薬品を固定できるようにして、箱の大きさを変える必要がなく、箱の大きさを変えることに起因する他への影響をなくすこと、緩衝機能部を極めて簡単な構造にして、緩衝機能部を箱内に箱材を多く使用することも箱材に複雑な形状を施すこともなく設けること、このようにすることで、コストの増大を抑えつつ、箱内の医薬品を効果的に保護すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
正面部、背面部、左側面部、右側面部をなす相互に平行に連接して形成される4側面板及び前記4側面板の一側の1側面板の他側の1側面板の側縁に接続される接続側一方の側縁に併せて形成される接着片と、前記4側面板のうち相互に対向する2側面板の両端縁に連接して形成される一対のフラップ及び前記2側面板とは別の他の1側面板又は2側面板の両端縁に形成される蓋からなり、天面開口を塞ぐ天蓋、及び底面開口を塞ぐ底蓋と、を備え、前記接着片と前記4側面板の前記他側の1側面板が接合されて前記一側の1側面板の接続側一方の側縁と前記他端の1側面板の接続側の側縁が接続され、前記底蓋により前記底面開口を塞ぐとともに前記天蓋により前記天面開口を塞ぐことにより、全体が略直方体形状の箱に組み立てられて、医薬品その他各種の物品を包装する包装用箱において、
前記箱内に、物品を押え保持可能な緩衝機能部を備え、
前記緩衝機能部は、
前記天蓋及び/又は前記底蓋の前記蓋の両側に当該蓋の内面に折り畳み可能に延設される一対の延長板と、
前記一対の延長板の先端と前記天蓋及び/又は前記底蓋の前記各フラップの先端との間に前記各フラップを前記箱内に押下案内可能に連接配置される一対の押下板と、
を備えて構成され、
前記箱の組み立てにより、前記蓋の内面から前記箱内に延びる前記各押下板で前記各フラップを前記天面開口下及び/又は前記底面開口下に押下し、当該各フラップで医薬品その他各種の物品を押え保持する、
ことを要旨とする。
【0010】
また、この包装用箱は、次のような構成を備えることが好ましい。
(1)一対の延長板はそれぞれ、蓋の両側縁部に、当該側縁部を下底とし上底は前記蓋の先端側に片寄らせて前記蓋の外側に延びる略台形状又はこれに代えて略三角形状に形成され、一対のフラップはそれぞれ、2側面板の各端縁に、当該端縁を下底とし上底は前記蓋から離れる側に片寄らせて前記2側面板の外側に延びる略台形状又はこれに代えて略三角形状に形成され、一対の押下板はそれぞれ、前記各延長板の前記下底と前記各フラップの前記下底との交点から延びる前記各延長板の斜辺と前記各フラップの斜辺との間に略三角形状に形成される。
(2)一対の押下板の少なくとも一方は一部が当該押下板及び延長板から切り離されて、当該一部が押え片としてフラップの斜辺から突出される。
この場合、押え片はフラップの斜辺で延長板の下底と前記フラップの下底との交点側の一端部側若しくはその反対の他端部側又はその中間から突出されることが望ましい。
この場合、押え片は押下板の一部に略コ字形若しくは略U字形若しくは略V字形若しくは略C字形の切り込み線により切り離されて、フラップの斜辺に連続して略四角形若しくは略半長円形若しくは略三角形若しくは略半円形に形成されることが望ましい。
この場合、押え片は一部が押下板から延長板に跨がって切り離されて形成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の緩衝機能付き包装用箱によれば、上記の構成により、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
【0012】
すなわち、この包装用箱では、箱内に、医薬品その他各種の物品を押え保持可能な緩衝機能部を備えるので、箱内に従前の添付文書を差し込むための隙間に相当する空間を残しても、箱内に医薬品を固定することができる。これにより、箱の大きさを変える必要がなく、箱の大きさを変えることに起因する他への影響をなくすことができる。
【0013】
そして、この緩衝機能部は、天蓋及び/又は底蓋の蓋の両側にこの蓋の内面に折り畳み可能に延設される一対の延長板と、これら一対の延長板の先端と天蓋及び/又は底蓋の各フラップの先端との間に各フラップを箱内に押下案内可能に連接配置される一対の押下板とからなり、箱の組み立てにより、蓋の内面から箱内に延びる各押下板で各フラップを天面開口下及び/又は底面開口下に押下し、これら各フラップで医薬品その他各種の物品を押え保持するようにしたので、緩衝機能部は極めて簡単な構造で、緩衝機能部を箱内に箱材を多く使用することも箱材に複雑な形状を施すこともなく設けることができる。
【0014】
したがって、この包装用箱によれば、コストの増大を抑えつつ、箱内の医薬品その他各種の物品を効果的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示す図
【
図2】同包装用箱に備える底蓋側の緩衝機能部の構成を示す図
【
図3】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部の構成を示す図
【
図4】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部の構成を示す図
【
図5】同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示す図
【
図6】本発明の第2の実施の形態に係る緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示す図
【
図7】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部の構成を示す図
【
図8】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部の構成を示す図
【
図9】同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示す図
【
図10】同包装用箱の上蓋を閉じる前の天蓋側の緩衝機能部の状態を示す図
【
図11】同包装用箱の上蓋を閉じる前の天蓋側の緩衝機能部の状態を示す図
【
図12】同包装用箱の上蓋を閉じた後の天蓋側の緩衝機能部の状態を示す図
【
図13】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部による緩衝機能を示す図
【
図15】本発明の第3の実施の形態に係る緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示す図
【
図16】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部の構成を示す図
【
図17】同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示す図
【
図18】本発明の第4の実施の形態に係る緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示す図
【
図19】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部の構成を示す図
【
図20】同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示す図
【
図21】同包装用箱の天蓋側の緩衝機能部による緩衝機能を示す図
【
図22】本発明の第1の実施の形態に係る緩衝機能付き包装用箱の変形例を示す図
【
図23】本発明の第1の実施の形態に係る緩衝機能付き包装用箱の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1乃至
図4に第1の実施の形態を示している。
図1は緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示し、
図2乃至
図4は同包装用箱の要部の構成を示している。
図5は同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示している。なお、この実施の形態では、この包装用箱は、薬液を収容するガラス製又はプラスチック製の瓶(以下、バイアルという。)を包装するための板紙その他の紙材からなる箱で、バイアルを個別に縦置きにして収納するものとして例示している。
【0017】
図1、
図5に示すように、緩衝機能付き包装用箱B1(以下、単に包装用箱B1又は箱B1という。)は、正面部、背面部、左側面部、右側面部をなす相互に平行に連接して形成される4側面板11-14及び4側面板11-14の一側の1側面板の他側の1側面板の側縁に接続される接続側一方の側縁に併せて形成される接着片15と、4側面板11-14のうち相互に対向する2側面板の両端縁に連接して形成される一対のフラップ16RF,16LF、17FF,17RF及びこれら2側面板とは別の他の1側面板又は2側面板の両端縁に形成される蓋16C、18L,18Rからなり、天面開口を塞ぐ天蓋16、及び底面開口を塞ぐ底蓋17と、を備え、接着片15と4側面板11-14の他側の1側面板が接合されて一側の1側面板の接続側一方の側縁と他端の1側面板の接続側の側縁が接続され、底蓋17により底面開口を塞ぐとともに天蓋16により天面開口を塞ぐことにより、全体が略直方体形状の箱に組み立てられて、バイアルを包装するようになっている。
【0018】
この箱B1の場合、4側面板11-14は、箱B1に組み立て前の状態で左側から順に正面板11、右側面板12、背面板13、左側面板14で、4側面板11-14の一側(この場合、左側一方側)の1側面板は正面板11、他側(この場合、右側他方側)の1側面板は左側面板14になっている。正面板11、背面板13はそれぞれ、同じ大きさの縦長の長方形で、左右の側面板12、14はそれぞれ、正面板11、背面板13よりも幅が少し狭い同じ大きさの縦長の長方形になっている。接着片15は幅が左右の各側面板12、14の幅の3分の1程で、正面板11の左側面板14側の側縁からこの側縁を下底とする略台形状に延ばされる。かくして接着片15の外面が左側面板14の内面で正面板11側の側部(組み立て前は右側部)に糊を介して接着され、組み立て前の4側面板11-14が水平断面略長方形の筒形に組み立てられる。
【0019】
この箱B1の場合、天蓋16は、3枚フラップ形式で、4側面板11-14のうち相互に対向する2側面板の上端縁にそれぞれ連接して形成される一対の上フラップ16LF、16RF及びこの2側面板とは別の他の1側面板の上端縁に形成される上蓋16Cを有してなる。
【0020】
この場合、各上フラップ16LF、16RFは左側面部、右側面部をなす各側面板、つまり、左側面板14、右側面板12の上端縁に連続して形成される。この箱B1においては、上蓋16Cの左右の両側縁と左右の各側面板14、12の上端縁との間に複合板16Sを一体に備え、各上フラップ16LF、16RFは、複合板16Sの一部に、左右の各側面板14、12の上端縁を下底とし、上底は下底において上蓋16Cから離れる一方の端部側と対向するように片側一方に片寄らせて各側面板14、12の上方外側に延びる略台形状に形成される。ここで各上フラップ16LF、16RFは高さ(上底と下底との間の高さ)が箱B1に組み立て後の左右の各側面板14、12の上端縁間の寸法(天面開口の幅方向(左右方向)の寸法)の2分の1よりも少し短い寸法に形成され、各上フラップ16LF、16RFで箱B1の天面開口の左右両側を部分的に覆うようになっている。
【0021】
また、この場合、上蓋16Cは背面部をなす側面板、つまり、背面板13の上端縁に連続してこの上端縁を一辺とする略正方形に形成され、その先端に差し込み片16C1が半レーストラック形状に形成される。
【0022】
底蓋17は、4枚フラップ形式で、4側面板11-14のうち相互に対向する2側面板の下端縁にそれぞれ連接して形成される一対の下フラップ17FF、17RF、及びこの2側面板とは別の他の2側面板の下端縁にそれぞれ形成される一対の下蓋18L、18Rを有してなる。
【0023】
この場合、各下フラップ17FF、17RFは正面板11、背面板13の下端縁に連続して形成される。この箱B1においては、正面板11、背面板13の下端縁にそれぞれ縦に長い略長方形をなす複合板17Sを一体に備え、各下フラップ17FF、17RFは、各複合板17Sの一部に、正面板11、背面板13の各下端縁を下底とし、この下底から所定の高さの位置を上底として、正面板11、背面板13の下方外側に延びる略台形状に形成される。ここで各下フラップ17FF、17RFは同じ高さ(上底と下底との間の高さが同じ)で、箱B1に組み立て後の正面板11、背面板13の下端縁間の寸法(底面開口の奥行方向(前後方向)の寸法)の2分の1よりも少し短く形成され、各下フラップ17FF、17RFで箱B1の底面開口の前後両側を部分的に覆うようになっている。
【0024】
また、この場合、各下蓋18L、18Rは左側面板14、右側面板12の下端縁に連続してこの下端を下底とする略直角三角形に近似する略台形に形成される。この箱B1においては、左側面板14側の下蓋18Lは背面板13側の一角が略直角をなし、右側面板12側の下蓋18Rは正面板11側の一角が略直角をなす。これら各下蓋18L、18Rは各下フラップ17FF、17RFとともに箱B1の底面開口の一方の対角線上で箱B1の内部に折り畳み可能に、略直角をなす一角から斜辺に対して直角に折れ線L16、L17が付される。各下蓋18L、18Rは斜辺が底面開口の他方の対角線に沿って配置されるように各下フラップ17RF、17FFの外側に重ねられて、各下蓋18L、18Rの折れ線L16、L17から先端側の部分の内面が糊を介して各下フラップ17RF、17FFの外面に接着される。
【0025】
そして、
図2乃至
図4に示すように、この箱B1内には、底蓋17にバイアルを支持可能な底蓋側の緩衝機能部3を備え、天蓋16にバイアルを上から押え保持可能な天蓋側の緩衝機能部2を備える。
【0026】
図2、
図5に示すように、底蓋側の緩衝機能部3は、箱B1内の底蓋17上にバイアルの底部及び外周部を保持可能に構成される。この箱B1の場合、この緩衝機能部3は、一対の下フラップ17FF、17RFの内面上に緩衝空間30を介在して設けられ、バイアルの底部を支持可能な支持溝310及びバイアルの外周部を保持可能な保持溝312を有する一対の台座31により構成される。
【0027】
この場合、一対の台座31はそれぞれ、正面板11、背面板13の下端縁に一体に備える複合板17Sの残部に、各下フラップ17FF、17RFの延長上に形成される。各台座31は、各下フラップ17FF、17RFの先端に連続して、これら各先端から箱B1の内部に向けて略直角に所定の高さまで立ち上げられ、上端から下方に向けて支持溝310を有する一対の垂直方向保持板311と、各垂直方向保持板311の上端から各下フラップ17FF、17RFと平行に各側面板11、13まで延び、各垂直方向保持板311の上端側に対応する一端に垂直方向保持板311の支持溝310に連続して保持溝312を有する一対の水平方向保持板313と、各水平方向保持板313の各側面板11、13側の他端から各側面板11、13に沿って各下フラップ17FF、17RFまで又は各下フラップ17FF、17RF方向に延び、外面を各側面板11、13の内面に当接される一対の固定板314とを有してなる。そしてこの場合、各支持溝310はバイアルの底部を支持可能に四角形の溝となし、保持溝312はバイアルの外周部を保持可能に円弧状の溝となす。各台座31は、各固定板314の外面が各側面板11、13の内面に糊を介して固定され、各下フラップ17FF、17RF上に正面板11、背面板13に対して平面視略U字形の溝形に構成される。かくして一対の台座31はそれぞれ、各下フラップ17FF、17RF上に緩衝空間30を介在して形成され、各台座31間にバイアルの収納部315が形成される。
【0028】
なお、この一対の台座31には、各垂直方向支持板311の下端から係止片316が各下フラップ17FF、17RF間上に相互に係合可能に突出される。この場合、一方の垂直方向支持板311の係止片316は支持溝310の底部の下部の半部、この場合、左側半部に刃先(刀の刃先)形状に切り込み線がこの垂直方向支持板311の下端まで切り込まれて形成され、一方の下フラップ17RFの先端から他方の下フラップ17FFに向けて突出されてなる。他方の垂直方向支持板311の係止片316も、同様に、支持溝310の底部の下部の半部、この場合、左側半部に刃先形状に切り込み線がこの垂直方向支持板311の下端まで切り込まれて形成され、他方の下フラップ17FFの先端から一方の下フラップ17RFに向けて突出されてなる。これら係止片316の係合により、箱B1の組み立て状態での底蓋17としての形態及び一対の台座31間のバイアルの収納部315としての形態が保持される。
【0029】
図3、
図4に示すように、天蓋側の緩衝機能部2は、箱B1内でバイアルを上から押え保持可能に構成される。この箱B1の場合、この緩衝機能部2は、天蓋16の上蓋16Cの両側にこの上蓋16Cの内面に折り畳み可能に延設される一対の延長板21と、一対の延長板21の先端と天蓋16の各上フラップ16LF、16RFの先端との間に各上フラップ16LF、16RFを箱内に押下案内可能に連接配置される一対の押下板22とを備えて構成される。
【0030】
この場合、一対の延長板21、一対の押下板22はそれぞれ、上蓋16Cの左右の両側縁と左右の各側面板14、12の上端縁との間に一体に備える各複合板16Sに天蓋16の各上フラップ16LF、16RFとともに形成される。
【0031】
一対の延長板21はそれぞれ、各複合板16Sにおいて上蓋16Cの左右両側縁部に各側縁部を下底とし、上底は上蓋16Cの左右両側縁部の先端側の端部に対向するように上方に片寄らせて上蓋16Cの外側、この場合、左右の外側に延びる略台形状に形成される。一対の押下板22はそれぞれ、各複合板16Sにおいて各延長板21の下底と各上フラップ16LF、16RFの下底との交点Xから延びる各延長板21の斜辺と各上フラップ16LF、16RFの斜辺との間に略三角形状に形成される。
【0032】
かくして一対の延長板21はそれぞれ、上蓋16Cの左右両側縁部を支点にして上蓋16Cの開閉動作に追従し、上蓋16Cを開いて上蓋16Cが背面板13上に立ち上げられることにより、上蓋16Cの内面に対して90°離間され、上蓋16Cの左右両側から左右の各側面板14、12と略平行に延び、上蓋16Cを閉じて上蓋16Cが箱B1の天面開口上に倒伏されることにより、上蓋16Cの内面上に折り畳まれて重合可能に構成される。これに対して一対の押下板22はそれぞれ、各延長板21の斜辺を支点にして各延長板21の動作に連動し、各延長板21が上蓋16Cの左右両側縁から左右の各側面板14、12と略平行に延ばされることにより、各延長板21の下方で左右の各側面板14、12と略平行に延び、各延長板21が上蓋16Cの内面上に折り畳まれて重合されることにより、各延長板21の斜辺から上蓋16Cの内面に対して垂直方向に箱B1の天面開口下に延び、各上フラップ16LF、16RFの先端を天面開口下に押し下げ可能に構成される。
【0033】
このようにして箱B1の組み立てにより、バイアルを箱B1内底蓋17上の緩衝機能部3をなす一対の台座31が起こされて、バイアルをこれら台座31の収納部315に収納保持し、天蓋16の内面から箱B1内に延びる各押下板22で各上フラップ16LF、16RFが天面開口下に押下され、これら各上フラップ16LF、16RFでバイアルを上から押え保持するようになっている。
【0034】
図5に示すように、この箱B1は、各緩衝機能部2、3とともに、原紙や刷本を打ち抜いて一体に形成された一枚のブランクシートP1からなる。このブランクシートP1は、次のような構成を有している。
【0035】
左側の一方側に、所定の大きさを有する縦長の長方形で箱B1の正面部をなす正面板形状部11Pが形成され、この正面形状部11Pの右側一方の長辺側に、正面板形状部P11と略同じ大きさ、形状を有し、右側面部をなす右側面板形状部12P、正面板形状部11Pと同じ大きさ、形状を有し、背面部をなす背面板形状部13P、正面板形状部11Pと略同じ大きさ、形状を有し、左側面部をなす左側面板形状部14Pが順次、折れ線L1、L2、L3を介して連続して形成され、正面板形状部11Pの左側他方の長辺に縦長の帯状に、この場合、この長辺を下底とする略台形状に、接着片15をなす接着片形状部15Pが折れ線L4を介して連続して形成される。
【0036】
正面板形状部11Pの下側他方の短辺及び背面板形状部13Pの下側他方の短辺にそれぞれ、縦に長い略長方形をなす複合板形状部17SPが連続して形成され、これらの複合板形状部17SPの正面板形状部11P側、背面板形状部13P側の端部にそれぞれ、正面板形状部11Pの下側他方の短辺、背面板形状部13Pの下側他方の短辺を下底として略台形で底面開口の前後方向の長さの2分の1よりも少し短い長さに下フラップ17FF、17RFをなす下フラップ形状部171P、172Pが折れ線L12、L13を介して連続して形成される。
【0037】
左側面板形状部14Pの下側他方の短辺に、背面板形状部13P側の端部から略直角に突出する略直角三角形に近似する略台形で左側の下蓋18Lをなす下蓋形状部192Pが折れ線L14を介して連続して形成される。同様に、右側面板形状部12Pの下側他方の短辺に、正面板形状部11P側の端部から略直角に突出する略直角三角形に近似する略台形で右側の下蓋18Rをなす下蓋形状部191Pが折れ線L15を介して連続して形成される。各下蓋形状部192P、191Pには、それぞれ、略直角をなす一角から斜辺に向けて直角に折れ線L16、L17が付けられる。
【0038】
各下フラップ形状部171P、172Pの先端、すなわち、各複合板形状部17SPの残部には、底蓋側の緩衝機能部3を構成する一対の台座31をなす台座形状部31Pが併せて形成される。各台座形状部31Pは同じ大きさ、形状で、全体が各下フラップ形状部171P、172P上に略逆U字形に折り曲げ可能に形成されて、垂直方向保持板部311P、水平方向保持板部313P、固定板部314Pからなる。
【0039】
各垂直方向保持板部311Pは各下フラップ形状部171P、172Pの先端に折れ線L18、L19を介して連続して所定の長さの略長方形に形成される。
【0040】
各水平方向保持板部313Pは各垂直方向保持板部311Pの先端に折れ線L20、L21を介して連続して各下フラップ形状部171P、172Pと同じ長さの略長方形に形成される。
【0041】
各固定板部314Pは各水平方向保持板部313Pの先端に折れ線L22、L23を介して連続して各垂直方向保持板部311Pの長さと同じ又は少し短い略長方形に形成される。
【0042】
そして、各垂直方向保持板部311Pと各水平方向保持板部と313Pの間の各折れ線L20上、L21上の両端側所定の2点から各垂直方向保持板部311P側がコ字形に、同2点から水平方向保持板部313P側が円弧状に切り取られて、各垂直方向保持板部311Pにコ字形の支持溝310が形成され、各水平方向保持板部313Pに円弧状の保持溝312が形成される。
【0043】
背面板形状部13Pの上側一方の短辺に、天面開口と略同じ大きさの略正方形で上蓋16Cをなす上蓋形状部18Pが折れ線L5を介して連続して形成され、その先端延長上に横長の帯状(半レーストラック形状)で上蓋16Cの差し込み片16C1をなす差し込み片形状部181Pが折れ線L6を介して連続して形成される。
【0044】
上蓋形状部18Pの左右の両側縁と左右の各側面板形状部14P、12Pの上端縁との間に一対の複合板形状部16SPが一体に形成される。
【0045】
左側一方の複合板形状部16SPにおいて左側面板形状部14P側の一部に、左側面板形状部14Pの上側一方の短辺を下底として、上蓋16Cの長さの2分の1よりも少し短い台形で左側の上フラップ16LFをなす上フラップ形状部162Pが折れ線L7を介して連続して形成される。右側一方の複合板形状部16SPにおいて右側面板形状部12P側の一部に、右側面板形状部12Pの上側一方の短辺を下底としてこの短辺に、上蓋16Cの長さの2分の1よりも少し短い台形で右側の上フラップ16RFをなす上フラップ形状部161Pが折れ線L8を介して連続して形成される。
【0046】
各上フラップ形状部162P、161Pの先端、すなわち、各複合板形状部16SPの残部には、天蓋側の緩衝機能部2を構成する一対の延長板21、一対の押下板22をなす一対の延長板形状部21P、一対の押下板形状部22Pが併せて形成される。
【0047】
一対の延長板形状部21Pはそれぞれ、各複合板形状部16SPにおいて上蓋形状部18Pの左右両側縁部に折り線L9、L10を介して、各側縁部を下底とし、各上底は上蓋形状部18Pの左右両側縁部の先端側の端部に対向するように上方に片寄らせて、上蓋形状部18Pの外側、この場合、左右の外側に延びる略台形状に形成される。
【0048】
一対の押下板形状部22Pはそれぞれ、各複合板形状部16SPにおいて各延長板形状部21Pの下底と各上フラップ形状部162P、161Pの下底との交点Xから延びる各延長板形状部21Pの斜辺と各上フラップ形状部162P、161Pの斜辺との間に略三角形状に形成される。
【0049】
このブランクシートP1は、図示されない貼り機により、進行方向に搬送されながら、次のように、所定の各部に糊が塗布されて、各部が順次折り畳まれる。なお、このブランクシートP1は表面(印刷面)側が下向きで、各下フラップ形状部171P、172P先端の各台座形状部31Pを進行方向に向けて搬送される。
【0050】
まず、ブランクシートP1において、折れ線L20、L21を山折りにして、各台座形状部31Pの裏面(箱B1に組み立てられた状態で内側になる面(つまり、内面))同士が合わせられるように180度折り曲げられる。ここで、各固定板部314Pの表面側の中央部にそれぞれ糊が塗布される。
【0051】
次に、ブランクシートP1において、折れ線L12、L13を山折りにして、各台座形状部31Pの折り曲げ後の各固定板部314Pの表面と正面板形状部11Pの裏面、背面板形状部13Pの裏面がそれぞれ合わせられるように180度折り曲げられる。これにより、各固定板部314Pの表面と正面板形状部11Pの裏面、背面板形状部13Pの裏面がそれぞれ糊で接着される。
【0052】
続いて、ブランクシートP1において、折れ線L14、L15を山折りにして、各下蓋形状部192P、191Pの裏面と左右の各側面板形状部14P、12Pの裏面がそれぞれ合わせられるように180度折り曲げられる。これと略同時に、ブランクシートP1において、折れ線L16、L17を谷折りにして、各下蓋形状部192P、191Pの表面同士が合わせられるように180度折り曲げられる。
【0053】
ここで、下フラップ形状部171Pの表面側の中央部、下蓋形状部191Pの裏面側で折れ線L17よりも先端側の中央部に、それぞれ、糊が塗布される。これと略同時に、接着片形状部15Pの表面側に折れ線L4に沿って平行に細長く糊が塗布される。
【0054】
次いで、ブランクシートP1において、折れ線L1を山折りにして、正面板形状部11Pの裏面が台座形状部31Pを介して右側面板形状部12Pの裏面に下蓋形状部191Pを介して合わせられるように180度折り曲げられる。
【0055】
そして、ブランクシートP1において、折れ線L3を山折りにして、左側面板形状部14Pの裏面が下蓋形状部192Pを介して背面板形状部13Pの裏面に接着片形状部15P及び台座形状部31Pを介して合わせられるように180度折り曲げられる。
【0056】
このようにしてブランクシートP1が扁平状に折り畳まれ、このブランクシートP1全体に十分に圧がかけられる。これにより、ブランクシートP1において糊を塗布した部分とこの部分に重ねられた部分が圧接されて接着される。すなわち、下フラップ形状部171Pの表面側と下蓋形状部191Pの裏面側で折れ線L17よりも先端側が合わせられ、下フラップ形状部172Pの表面側と下蓋形状部192Pの裏面側で折れ線L16よりも先端側が合わせられて、それぞれ、糊で接着される。そして、接着片形状部15Pの表面側と左側面板形状部14Pの裏面側が合わせられて、糊で接着される。
【0057】
かくしてブランクシートP1は箱B1に組み立て可能に扁平状に折り畳み加工される。なお、この扁平状になった組み立て前の箱B1が段ボールなどで梱包されて、製薬会社に出荷される。
【0058】
そして、製薬会社でのバイアルを包装する工程で、この扁平状に折り畳まれた組み立て前の箱B1が、
図2に示すように、箱形に起こされながら、箱B1内部にバイアルが収納される。
【0059】
このバイアルの包装工程では、この扁平状の組み立て前の箱B1が、折れ線L1、L3が箱B1の外側から内側に向けて加圧されることにより、天面開口を開放された箱形に起こされる。
【0060】
すなわち、正面板形状部11Pと背面板形状部13Pとの間で、左側面板形状部14P、右側面板形状部12Pがそれぞれ、正面板形状部11P、背面板形状部13Pに対して略直角に起こされて、正面板形状部11P、背面形状部13P、左側面板形状部14P、右側面板形状部12Pがそれぞれ、正面部、背面部、左側面部、右側面部をなす連続した4側面板11、13、14、12として組み立てられる。
【0061】
また、左側面板14、右側面板12が起こされたことに連動して、各下蓋形状部192P、191Pが左側面板14、右側面板12に対して略直角に起こされて、各下蓋18L、18Rとして組み立てられる。これらの下蓋18L、18Rはそれぞれ、箱B1の底面開口において各下フラップ17RF、17FFの下で、各下蓋18L、18Rの斜辺を当該底面開口の一方の対角線上に合わせて略四角形状に組み合わせられる。この場合、各下蓋18L、18Rの折れ線L16、L17から先端側の部分の裏面は各下フラップ17RF、17FFの表面に糊を介して接着固定されている。
【0062】
さらに、各下蓋18L、18Rが起こされたことに連動して、各下フラップ形状部172P、171Pが背面板13、正面板11に対して略直角に起こされて、各下フラップ17RF、17FFとして組み立てられる。同時に、各下フラップ17RF、17FFの裏面上で各台座形状部31Pが各台座31として略逆U字形に組み立てられる。この場合、各台座31は、各垂直方向保持板部311Pが各下フラップ17RF、17FFに対して略直角に立ち上げられて、各下フラップ17RF、17FFの先端に上端から下方に向けて支持溝310を有する垂直方向保持板311をなし、各水平方向保持板部313Pが各垂直方向保持板311に対して各下フラップ17RF、17FFと略平行に略直角に起こされて、各垂直方向保持板311の上端に連続して一端に各垂直方向保持板311の支持溝310に連続する保持溝312を有する各水平方向保持板313をなす。この場合、各固定板部314Pは各固定板314として表面が背面板13、正面板11の裏面に糊を介して固定されている。かくして一対の台座31が、底蓋17の各下フラップ17RF、17FF上に緩衝空間30を介在して形成され、底蓋17中央の各台座31間にバイアルの収納部315が形成される。
【0063】
このようにして天面開口を除いて箱B1の本体が組み立てられ、ここで箱B1の天面開口から底蓋17中央上の収納部315にバイアルが収納される。
【0064】
そして、箱B1の天面開口から収納部315にバイアルが収納されると、このバイアルの重量により、各下フラップ17FF、17RFが正面板11、背面板13に対して直角に保持されるとともに、底蓋17の緩衝機能部3(各台座31)が本来の形に保持される。またこのとき、各台座31の各係止片316が底蓋17の中央で係合し、底蓋17の形態が安定的に保持される。
【0065】
このようにしてバイアルが箱B1内部に収納されると、続いて、天蓋16側で各複合形状部16SPの各上フラップ形状部162P、161Pがそれぞれ、各上フラップ16LF、16RFとして、左側面板14及び右側面板12に対して略直角に折り曲げられ、各上フラップ16LF、16RFで箱B1の天面開口が閉じられる。これと同時に、各上フラップ16LF、16RFにより各押下板形状部22P及び各延長板形状部21Pが引張られて、各押下板形状部22Pが各押下板22として各上フラップ16LF、16RFの先端上に立ち上げられ、各延長板形状部21Pが各延長板21として上蓋形状部18Pの左右両側から上蓋形状部18Pの内面側に斜めに延ばされる。
【0066】
そして、上蓋形状部18Pが背面板13に対して箱B1の天面開口に向けて略直角に折り曲げられて上蓋16Cをなす。この上蓋16Cの折り曲げにより、
図3に示すように、上蓋16Cの内面に各延長板21が折り畳み重合され、これら上蓋16C、各延長板21で各押下板22が箱B1の天面開口に向けて押し込まれる。
【0067】
上蓋16Cが各延長板21とともに箱B1の天面開口まで折り曲げられて天面開口が閉じられると、各押下板22は各上フラップ16LF、16RFの先端が天面開口下に押下され、全体が箱B1の中へ押し下げられて、これら各上フラップ16LF、16RFの先端側で、箱B1の中に収納されたバイアルの上部が上から押えられる。この箱B1の場合、
図4に示すように、各上フラップ16LF、16RFの先端は各押下板22の先端とともに箱B1の正面板11側から背面板13側に向けて略ハの字形を呈し、このような各上フラップ16LF、16RFの先端側で、バイアルの上部が上から押え保持される。これら各延長板21、各押下板22、各上フラップ16LF、16RFが従来同梱された添付文書に代わる緩衝材の役割を果たす。
【0068】
そして、上蓋により箱B1の天面開口が閉じられると同時に、上蓋16Cの差し込み片形状部181Pが内側に略直角に折り曲げられて、差し込み片16C1をなし、この差し込み片16C1が正面板11の内側に差し込まれて、この差し込み片16C1の中央と正面板11の上部中央が糊を介して接着固定される。この上蓋16Cの固定により、この上蓋16Cの内側の各延長板21、各押下板22、各上フラップ16LF、16RFによるバイアル上部の押えが保持される。このようにしてバイアルが箱B1に封入され、箱B1の内部でバイアルは底面を各台座31の各垂直方向保持板311の支持溝310に支持され、外周部が各水平方向保持部313の保持溝312に保持されて、さらに、このバイアルの上部が上蓋16Cの内側の各延長板21、各押下板22、各上フラップ16LF、16RFにより押え保持される。これにより、バイアルは底蓋17上の各台座31及び天蓋16側の各延長板21、各押下板22、各上フラップ16LF、16RFの緩衝作用を受けて箱B1外部からの衝撃を十分に緩和し確実に保護される。
【0069】
なお、この包装用箱B1には、
図1に示すように、正面板11の上部に上縁から下方に向けて台形状にミシン目状の切り込みが付されて、開封用の破断線C1が形成されており、箱B1を開封する際は、この破断線C1で囲まれた開封口を押圧して破断すればよい。これにより、上蓋16Cと正面板11との接着部分が切り離され、上蓋16Cを上方に引き上げれば、箱B1の天面開口を開くことができる。
【0070】
以上説明したように、この包装用箱B1では、箱B1内にバイアルの上部を上から押え保持可能な緩衝機能部2を備えるので、箱B1内に従前の添付文書を差し込むための隙間に相当する空間を残しても、箱B1内にバイアルを固定することができる。これにより、箱B1の大きさを変える必要がなく、箱B1の大きさを変えることに起因する他への影響、すなわち、カートナーの設定調整作業が必要であったり、個装箱を複数個単位で入れるまとめ箱、及びまとめ箱を複数個単位で入れる段ボール箱などの大きさも変更する必要があったりするなど、バイアルを包装する工程で変更点が広範囲に及び、負担が大きいといった問題を解消することができる。
【0071】
そして、この緩衝機能部2は、天蓋16の上蓋16Cの左右両側にこの上蓋16Cの内面に折り畳み可能に延設される一対の延長板21と、これら一対の延長板21の先端と天蓋16の各上フラップ16LF、16RFの先端との間に各上フラップ16LF、16RFを箱B1内に押下案内可能に連接配置される一対の押下板22とからなり、箱B1の組み立てにより、天蓋16の内面から箱B1内に延びる各押下板22で各上フラップ16LF、16RFを天面開口下に押下し、これら各上フラップ16LF、16RFでバイアルの上部を押え保持するようにしたので、緩衝機能部2は極めて簡単な構造で、緩衝機能部を箱B1内に箱材を多く使用することも箱材に複雑な形状を施すこともなく設けることができる。
【0072】
特にこの包装用箱B1では、上蓋16Cの左右両側縁と左右の各側面板14、12の上端縁との間にそれぞれ複合板16Sが形成されて、各複合板16Sにおいて、一対の延長板21がそれぞれ、上蓋16Cの左右両側縁部にこれら側縁部を下底とし、上底は上蓋16Cの先端側に片寄らせて上蓋16Cの外側に延びる略台形状に形成され、一対の上フラップ16LF、16RFはそれぞれ、左右の各側面板14、12の各上端縁にこれら上端縁を下底とし、上底は上蓋16Cから離れる端部側に片寄らせて左右の各側面板14、12の上方外側に延びる略台形状に形成され、各押下板22は各延長板21の下底と各上フラップ16LF、16RFの下底との交点Xから延びる各延長板21の斜辺と各上フラップ16LF、16RFの斜辺との間に略三角形状に形成されるので、緩衝機能部の各部を可及的に簡単な構造で実現することができる。
【0073】
したがって、この包装用箱B1によれば、コストの増大を抑えつつ、箱B1内のバイアルを効果的に保護することができる。
【0074】
また、この包装用箱B1では、天蓋側の緩衝機能部2と底蓋側の緩衝機能部3とを備え、これらの緩衝機能部2、3で、バイアルを上部、外周部、底部の3方向から保持するので、箱B1外部からの衝撃を十分に緩和しバイアルを確実に保護することができる。さらに、この天蓋側の緩衝機能部2を底蓋側の緩衝機能部3とは別体に形成するので、この天蓋側の緩衝機能部2を、ここに例示する底蓋側の緩衝機能部3以外の他の様々な形態の底蓋側の緩衝機能部を有する箱にも、同様に、簡易かつ低コストに併設することができ、同様の作用効果を奏することができる。この場合、他の形態の底蓋側の緩衝機能部には、箱内でバイアルの底部のみを支持する形式のものやバイアルの外周部のみを保持する形式のものを含む。
【0075】
またさらに、この包装用箱B1では、各緩衝機能部2、3を含めて1枚の板紙P1から形成できるので、製造工程をより簡易化し、コストの低減に資することができる。
【0076】
図6乃至
図14に第2の実施の形態を示している。
図6は緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示し、
図7、
図8は同包装用箱の要部の構成を示している。
図9は同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示している。この包装用箱は、第1の実施の形態において天蓋側の緩衝機能部に新たな構成を追加したもので、この新たな構成を除いて、第1の実施の形態と共通の構成を備えている。そこで、この実施の形態の説明では、第1の実施の形態と共通の構成には同一の符号を付してその重複する説明を省略し、天蓋側の緩衝機能部の新たな構成について新たな符号を付して説明していく。
【0077】
図6、
図7、
図8及び
図9に示すように、緩衝機能付き包装用箱B2(以下、単に包装用箱B2又は箱B2という。)では、一対の押下板22の少なくとも一方は一部が押下板22及び延長板21から切り離されて、この一部が押え片221として上フラップの斜辺から突出される。この箱B2の場合、一対の押下板22の両方の一部が各押下板22及び各延長板21から切り離されて、これら各一部が押え片221として各上フラップ16LF、16RFの斜辺から突出される。また、この場合、各押え片221は各上フラップ16LF、16RFの斜辺で既述の各交点X側の一端部側若しくはその反対の他端部側又はその中間から突出される。
【0078】
この場合、各押え片221は各押下板22の中間部の一部に、言い換えれば、各延長板21の斜辺中間部(略中央部)と各上フラップ16LF、16RFの斜辺中間部(略中央部)との間に、一部が各延長板21に跨がる略コ字形の切り込み線220により切り離されて、各上フラップ16LF、16RFの斜辺、すなわち各上フラップ16LF、16RFの先端(の一部)に連続して略四角形に形成される。さらに詳細に言えば、これらの切り込み線220はそれぞれ、各交点Xから見て外側の一端が各上フラップ16LF、16RFの斜辺上で、内側の他端が各延長板21の斜辺上で、全体として略コ字形をなし、これら各切り込み線220の他端からさらに切り込み線220が各延長板21の斜辺から少し外れて上蓋16Cの左右の各側縁部の各交点X側の一端部よりも少し他端部側の位置へ延び、そこから各交点Xまで形成され、各押え片221は各上フラップ16LF、16RFの先端中央から延び、その一方の側縁部が各上フラップ16LF、16RFの先端で各交点X側の端部側縁部から突出される突出縁部222により支持される。
【0079】
このようにすると、
図10乃至
図12に示すように、上蓋16Cが各延長板21とともに箱B2の天面開口まで折り曲げられて天面開口が閉じられると、各押下板22により各上フラップ16LF、16RFの先端が天面開口下に押下され、各上フラップ16LF、16RF全体が箱の中へ斜めに押し下げられる。これにより、
図13に示すように、各上フラップ16LF、16RFの先端中央から延びる各押え片221で箱B2内中央に収納されたバイアルの上部上面が押さえ込まれて、各上フラップ16LF、16RFの先端側で、箱B2の中に収納されたバイアルの上部が上から押え保持される。
【0080】
このようにしても第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができ、特にこの実施の形態では、各押え片221でバイアルの上部上面が押さえ込まれるので、バイアルの上部に対して押える範囲を拡大して、バイアルをより確実に押え保持することができる。
【0081】
また、この箱B2の場合、天蓋16の開封後、天蓋16を閉じるときは、
図14(1)に示すように、親指や人差し指などで天蓋16の各上フラップ16LF、16RFを箱B2の天面開口に向けて押し込み、
図14(2)に示すように、親指などで上蓋16Cを箱B2の天面開口上に押し下げて、上蓋16Cの差し込み片16C1を正面板11の内側に差し込めば、天蓋16を閉じることができ、再封することができる。
【0082】
図15乃至
図17に第3の実施の形態を示している。
図15は緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示し、
図16に同包装用箱の要部の構成を示している。
図17は同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示している。この包装用箱は、第2の実施の形態において各上フラップが略台形状に代えて略三角形状に形成されて、天蓋側の緩衝機能部に第2の実施の形態と若干異なる新たな構成が追加される。また、底蓋は4枚フラップで構成され、この底蓋には緩衝機能部が設けられていない。この箱の場合、バイアルは箱の中に底蓋上に直接置かれて収納される。つまり、この箱は、天蓋側の緩衝機能部の一部及び底蓋が第1の実施の形態と異なる構成を備え、他の各部は第2の実施の形態と共通の構成を備えている。そこで、この実施の形態の説明では、第2の実施の形態と共通の構成には同一の符号を付してその重複する説明を省略し、天蓋側の緩衝機能部の構成の一部及び底蓋の構成について新たな符号を付して説明していく。
【0083】
図15、
図16及び
図17に示すように、緩衝機能付き包装用箱B3(以下、単に包装用箱B3又は箱B3という。)では、一対の押下板22の少なくとも一方は一部が押下板22及び延長板21から切り離されて、この一部が押え片221として上フラップの斜辺から突出される。この箱B3の場合、一対の押下板22の両方の一部が各押下板22及び各延長板21から切り離されて、これら各一部が押え片221として各上フラップ16LF、16RFの斜辺から突出される。また、この場合、各押え片221は各上フラップ16LF、16RFの斜辺で既述の各交点X側の一端部側若しくはその反対の他端部側又はその中間から突出される。
【0084】
この箱B3の場合、各押え片221は各押下板22の各交点X側の一端部とは反対の他端部側に、言い換えれば、各延長板21の斜辺の各交点X側の一端部とは反対の他端部と各上フラップ16LF、16RFの斜辺の各交点X側の一端部とは反対の他端部側との間に、一部が延長板21に跨がって略直線状の切り込み線220により、全体として略V字形に切り離されて、各上フラップ16LF、16RFの斜辺、すなわち各上フラップ16LF、16RFの先端(の一部)に連続して略三角形に形成される。
【0085】
また、この箱B3の場合、各押下板22の各交点X側の一端部側に、言い換えれば、各延長板21の斜辺の各交点X側の一端部側と各上フラップ16LF、16RFの斜辺の各交点X側の一端部側との間に、一部が延長板21に跨がる略コ字形の切り込み線230が形成されて、各上フラップ16LF、16RFの斜辺、すなわち各上フラップ16LF、16RFの先端(の一部)に連続して略四角形に突出縁部231が形成される。さらに詳細に言えば、これらの切り込み線230はそれぞれ、各交点X側から見て外側の一端が各上フラップ16LF、16RFの斜辺上で、内側の他端が各延長板221の斜辺上の各交点X側の端部で、全体として横に長い台形状の略コ字形をなし、この場合、台形状の上底に当たる切り込み線230の一部が各延長板21の斜辺から少し外れて上蓋16Cの左右の各側縁部の各交点X側の一端部よりも少し他端部側の位置へ延び、そこから上蓋16Cの左右の各側縁部に沿って各交点Xまで形成される。かくして各突出縁部231が各上フラップ16LF、16RFの先端の中央から各交点X側の端部にかけて略台形状に形成される。
【0086】
また、この箱B3の場合、底蓋4は、4側面板11-14の各下端縁、この場合、正面板11、背面板13の下端縁から折れ線L12、L13を介して連接され、箱B3の底面開口の前側、後側の略半部を閉塞可能な先端に凸部E1及び凹凸部E2を有する複合形状の一対の底板41、左右の各側面板14、12の下端縁から折れ線L14、L12を介して連接され、箱B3の底面開口の左右両側を閉塞可能な略台形状の左右一対の下フラップ42からなり、箱B3の底面開口で、各底板41が左右の各下フラップ42に糊付けされ、各底板41の凸部E1、凹凸部E2が相互に係合されて、各底板41が横長の長方形に組み合わせられる。
【0087】
かくして箱B3は、既述のとおり、扁平状に折り畳み加工される。そして、バイアルの包装工程で、箱形に起こされて、箱B3の天面開口からバイアルが収納され、バイアルの収納後、天面開口が天蓋16により閉じられる。
【0088】
すなわち、上蓋16Cが各延長板21とともに箱B3の天面開口まで折り曲げられて天面開口が閉じられると、
図16に示すように、各押下板22で各上フラップ16LF、16RFの先端が天面開口下に押下され、各上フラップ16LF、16RF全体が箱B3の中へ斜めに押し下げられる。これにより、これら各上フラップ16LF、16RFの先端略中央から正面板11側の端部にかけて延びる各押え片221で箱B3内に収納されたバイアルの上部上面が押さえ込まれ、各上フラップ16LF、16RFの先端側で、箱B3の中に収納されたバイアルの上部が上から押え保持される。
【0089】
このようにしても第2の実施の形態と同様の作用効果(但し、底蓋側の緩衝機能部による作用効果は除く。)を奏することができる。特にこの箱B3の場合、各押え片221が各上フラップ16LF、16RFの先端中央から正面板11側の端部にかけて延びているので、バイアルが箱B3の中で箱B3の中央よりも正面板11側の位置に寄せて収納される場合に、各押え片221でバイアルの上部上面を確実に押え込むことができる。
【0090】
なお、この箱B3の場合も、天蓋16の開封後、天蓋16を閉じるときは、第2の実施の形態と同様に、親指や人差し指などで天蓋16の各上フラップ16LF、16RFを箱B3の天面開口に向けて押し込み、親指などで上蓋16Cを箱B3の天面開口上に押し下げて、上蓋16Cの差し込み片16C1を正面板11の内側に差し込めば、天蓋16を閉じることができ、再封することができる。
【0091】
図18乃至
図21に第4の実施の形態を示している。
図18は緩衝機能付き包装用箱の全体構成を示し、
図19に同包装用箱の要部の構成を示している。
図20は同包装用箱の組み立て前のブランクシートの構成を示している。この包装用箱では、4側面板の構成の一部、天蓋側の緩衝機能部の構成の一部、底蓋及び底蓋側の緩衝機能部の構成が第1の実施の形態と異なる。そこで、この実施の形態の説明では、第1の実施の形態と共通の構成には同一の符号を付してその重複する説明を省略し、異なる構成についてのみ新たな符号を付して説明していく。
【0092】
図18、
図20に示すように、緩衝機能付き包装用箱B4(以下、単に包装用箱B4又は箱B4という。)では、4側面板11-14の配列が第1の実施の形態と若干異なり、この場合、正面板11が4側面板11-14の右側の一側に配置される。この点のみが異なり、各側面板11-14の大きさ、形状は第1の実施の形態と共通である。
【0093】
図19、
図20に示すように、この箱B4の場合、各押え片221は各押下板22の既述各交点X側の一端部側に、言い換えれば、各延長板21の斜辺の各交点X側の一端部側と各上フラップ16LF、16RFの斜辺の各交点X側の一端部側との間に、一部が延長板21に跨がる略コ字形の切り込み線220により切り離されて、各上フラップ16LF、16RFの斜辺、すなわち各上フラップ16LF、16RFの先端(の一部)に連続して略四角形に形成される。さらに詳細に言えば、これらの切り込み線220はそれぞれ、各交点X側から見て外側の一端が各上フラップ16LF、16RFの斜辺上の各交点X側の端部とは反対の端部側で、内側の他端が各延長板21の斜辺上の中間(略中央)で、全体として比較的長い略コ字形をなし、この切り込み線220の他端からさらに各延長板21の斜辺から少し外れて上蓋16Cの左右の各側縁部の各交点X側の一端部よりも少し他端部側の位置へ延び、そこから上蓋16Cの左右の各側縁部に沿って各交点Xまで形成される。このようにして各押え片221は各上フラップ16LF、16RFの先端中央から背面板13側へ延ばされる。
【0094】
また、この箱B3の場合、
図20に示すように、底蓋5は、正面板11、背面板13にそれぞれ折れ線L12、L13を介して延出される正面板側の底板51、背面板側の底板52と、左側面板14、右側面板12から折れ線L14、L15を介して延出され、正面板側、背面板側の各底板51、52に接着固定される接着片531、541を有する左側の下フラップ53、右側の下フラップ54とを有する。この場合、正面板側の底板51は平面視略T字形に形成される。なお、この正面板側の底板51の先端(下端)で左側面板14側の角部に左側面板14方向に向けて凸状にロック爪511が併せて設けられる。背面板側の底板52は背面板13の下端縁から延びる複合板52Sの背面板側の端部(複合板52Sの一部)に、背面板13の下端縁を下底とする略台形に形成される。左側、右側の各下フラップ53、54は左側面板14、右側面板12の下端縁にこの下端縁を下底とする略台形に形成される。そして、左側の下フラップ53にあっては、正面板11側の斜辺から接着片531が縦に長い略長方形状に延び形成され、右側の下フラップ54にあっては、背面板13側の斜辺から接着片541が縦に長い略長方形状に延び形成される。なお、左側、右側の各下フラップ53、54と各接着片531、541との間に折り畳み線530、540が付設される。かくして正面板側の底板51の外側面に左側の下フラップ53が接着片531を介して接着固定され、背面板側の底板52の外側面に右側の下フラップ54が接着片541介して接着固定される。
【0095】
底蓋側の緩衝機能部6は、背面板13の下端縁から延びる複合板52Sの残部に形成される。この場合、この複合板52Sにおいて、背面板側の底板52の先端(下端)に連続して立ち上げられ、背面板側の底板52から高さ方向に略長方形の開口部610を有する略長方形の立ち上がり部61と、この立ち上がり部61に連続して背面板13に向けて延び、立ち上がり部61の開口部610に連続するテーパー状の開口部6201を介して略円環状に切り欠かれてなる略環状の開口部620を有する略四角形の平面部62と、この平面部62に連続し、背面板13の内側面に接着固定される略長方形の固定部63とを有する。この場合、立ち上がり部61の開口部610はバイアルを挿通可能に略長方形に切り欠き形成され、平面部62の略円環状の開口部620はバイアルの胴部に沿って係合可能に、この場合、略円弧状に形成される。
【0096】
かくして箱B4は、既述のとおり、扁平状に折り畳み加工される。そして、バイアルの包装工程で、箱形に起こされて、箱B4の天面開口からバイアルが底蓋側の緩衝機能部6に収納され、バイアルの収納後、天面開口が天蓋16により閉じられる。
【0097】
すなわち、上蓋16Cが各延長板21とともに箱B4の天面開口まで折り曲げられて天面開口が閉じられると、
図19に示すように、各押下板22で各上フラップ16LF、16RFの先端が天面開口下に押下され、各上フラップ16LF、16RF全体が箱B4の中へ斜めに押し下げられる。これにより、
図21に示すように、これら各上フラップ16LF、16RFの先端中央から背面板13に向けて延びる各押え片221で箱B4内に収納されたバイアルの上部上面が押さえ込まれ、各上フラップ16LF、16RFの先端側で、箱の中に収納されたバイアルの上部が上から押え保持される。
【0098】
このようにしても第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。特にこの箱B4の場合、各押え片221が各上フラップ16LF、16RFの先端中央から背面板13側に延びているので、バイアルが箱B4の中で箱B4の中央よりも背面板13側の位置に寄せて収納される場合に、各押え片221でバイアルの上部の上面を確実に押え込むことができる。
【0099】
なお、この箱B4の場合も、天蓋16の開封後、天蓋16を閉じるときは、第2の実施の形態と同様に、親指や人差し指などで天蓋16の各上フラップ各上フラップ16LF、16RFを箱B4の天面開口に向けて押し込み、親指などで上蓋16Cを箱B4の天面開口上に押し下げて、上蓋16Cの差し込み片16C1を正面板11の内側に差し込めば、天蓋16を閉じることができ、再封することができる。
【0100】
なお、上記各実施の形態では、一対の延長板、一対の上フラップは、それぞれ、略台形状に形成されるもの(第3の実施の形態での一対の上フラップは除く。)としたが、これら延長板、上フラップは、それぞれ、略台形状に代えて略三角形状に形成されてもよい。
このようにしても、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0101】
上記各実施の形態では、各押え片は、各押下板の一部がその一部を延長板に跨がる略コ字形又は直線形の切り込み線により切り離されて、各上フラップの一部に連続して略四角形又は略三角形に形成されるものとしたが、各押え片は、各押下板の一部がその一部を延長板に跨がる略U字形若しくは略V字形若しくは略C字形の切り込み線により切り離されて、各上フラップの一部に連続して略半長円形若しくは略三角形若しくは略半円形に形成されてもよい。
このようにしても、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0102】
また、上記各実施の形態では、天蓋側の緩衝機能部は、当然のことながら、天蓋の上蓋の両側に設けられるものとしたが、この緩衝機能部は、既述の底蓋側の緩衝機能部に代えて、底蓋の下蓋の両側、又は天蓋の上蓋の両側、底蓋の下蓋の両側のそれぞれに設けられてもよく、この場合、医薬品パック(複数個の錠剤又はカプセル錠で1枚のPTPシートに収納され、このPTPシートが複数枚単位でさらにピロー包装されて、又は結束バンドで結束されて、ひとまとまりにしたもの)などを包装する場合に好ましい。その具体例を
図22、
図23に示している。
【0103】
図22、
図23の例では、4側面板11-14、天蓋16及び天蓋側の緩衝機能部2は、第1の実施の形態と同様で、この場合、底蓋16D及び底蓋側の緩衝機能部2Dが天蓋16及び天蓋側の緩衝機能部2と対称的に形成される。なお、
図22の箱は3枚フラップの形式、
図23の箱は4枚フラップの形式で、
図22の箱の場合、正面板の上下にフラップがなく、
図23の箱の場合、背面板の上下に内蓋が設けられ、正面板の上下に外蓋が設けられており、これらの点で両者は異なる。
かくして、箱内に収納された医薬品パックなどは上下から天蓋側及び底蓋側の上下の各フラップにより押え保持される。
このようにすることにより、箱内の医薬品パックについて、上記各実施の形態と同様の又はそれ以上の作用効果を奏することができる。
なお、第3の実施の形態の箱でも、同一の構成で、バイアルの包装に限らず、医薬品パックなどの包装にも同様に適用することができ、同様の作用効果を奏することができる。また、この場合も、底蓋及び底蓋側の緩衝機能部が天蓋及び天蓋側の緩衝機能部と対称的に形成されてもよく、このようにしても箱内に収納された医薬品パックなどを上下から天蓋側及び底蓋側の上下の各フラップにより押え保持することができ、箱内の医薬品パックなどについて、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0104】
さらに、上記各実施の形態では、天蓋16は3枚フラップの形式になっているが、4枚フラップの形式、すなわち、4側面板のうち相互に対向する2側面板の上端にそれぞれ連接して形成される一対の上フラップ、及びこの2側面板とは別の他の2側面板の上端にそれぞれ連接して形成される外蓋、内蓋を有してなるものとしてもよく、このような4枚フラップの形式でも、天蓋(内蓋)に緩衝機能部2を同様に設けることができる。
このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0105】
またさらに、上記各実施の形態では、各箱をバイアルや医薬品パックなどを包装するものとして例示したが、各箱はバイアル、医薬品パック以外の各種の物品を包装するものとしてもよい。他の各種の物品についても同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0106】
B1、B2、B3、B4 天面部緩衝機能付き包装用箱(包装用箱、箱)
11 正面板
C1 破断線
12 右側面板
13 背面板
14 左側面板
15 接着片
16 天蓋
16S 複合板
16LF 上フラップ
16RF 上フラップ
16C 上蓋
16C1 差し込み片
17 底蓋
17S 複合板
17RF 下フラップ
17FF 下フラップ
18L 下蓋
18R 下蓋
2 緩衝機能部
21 延長板
22 押下板
220 切り込み線
221 押え片
222 突出縁部
230 切り込み線
231 突出縁部
3 緩衝機能部
30 緩衝空間
31 台座
310 支持溝
311 垂直方向保持板
312 保持溝
313 水平方向保持板
314 固定板
315 収納部
316 係止片
4 底蓋
41 底板
42 下フラップ
5 底蓋
51、52 底板
511 ロック爪
52S 複合板
53、54 下フラップ
531、541 接着片
6 緩衝機能部
61 立ち上がり部
610 開口部
62 平面部
620 開口部
6201 開口部
63 固定部
P1、P2、P3、P4 ブランクシート
11P 正面板形状部
12P 右側面板形状部
13P 背面板形状部
14P 左側面板形状部
15P 接着片形状部
16SP 複合板形状部
161P 上フラップ形状部
162P 上フラップ形状部
17SP 複合板形状部
171P 下フラップ形状部
172P 下フラップ形状部
18P 上蓋形状部
181P 差し込み片形状部
191P 下蓋形状部
192P 下蓋形状部
31P 台座形状部
311P 垂直方向保持板部
313P 水平方向保持板部
314P 固定板部
L1-L10 折れ線
L12-L23 折れ線