(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030005
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】養子細胞治療を改善するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/12 20150101AFI20230228BHJP
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A61K 31/282 20060101ALI20230228BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20230228BHJP
A61K 35/768 20150101ALI20230228BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230228BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20230228BHJP
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A61K 31/136 20060101ALI20230228BHJP
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A61P 35/00 20060101ALI20230228BHJP
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A61K 38/19 20060101ALI20230228BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20230228BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20230228BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230228BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230228BHJP
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C12N 5/10 20060101ALN20230228BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20230228BHJP
【FI】
A61K35/12 ZNA
A61K45/00
A61K31/282
A61K31/675
A61K35/768
A61K39/395 V
A61K39/395 N
A61K31/4188
A61K31/416
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A61K39/395 U
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A61K31/7088
A61P35/00
A61P35/02
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A61P43/00 121
A61K35/17
A61K38/21
A61K38/19
A61K38/20
C12N15/113 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N5/10
C12N5/0783
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022198485
(22)【出願日】2022-12-13
(62)【分割の表示】P 2020513340の分割
【原出願日】2018-09-06
(31)【優先権主張番号】62/555,034
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522176001
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー アール. リデル
(72)【発明者】
【氏名】シヴァニ スリヴァスタヴァ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】養子細胞治療において改良された戦略を提供する。
【解決手段】本開示は、改変された免疫細胞(例えば、CARまたはTCRを含むT細胞)を、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子と組み合わせて、必要に応じて免疫抑制成分に特異的に結合する、および/またはそれを阻害する作用因子とさらに組み合わせて使用する、疾患を処置するための試薬および方法を提供する。ある特定の実施形態では、併用療法の方法は、改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子(例えば、一緒に、または順番に、またはそれを以前に他のものを受けたことがある対象に投与して)を投与することと、化学療法剤をさらに投与することとを含む。化学療法剤は、ICDの誘導に関連してもしなくてもよく、本明細書に記載のいずれかを含むがこれらに限定されない。
【選択図】
図14BC
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、本明細書に完全に明記されたものとしてあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる2017年9月6日に出願した米国特許出願第62/555,034号の優先権の利益を主張する。
【0002】
配列表に関する記述
本願に関連する配列表は、紙コピーの代わりにテキスト形式で提供され、これによって参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、360056_457WO_SEQUENCE_LISTING.txtである。このテキストファイルは10.9KBであり、2018年9月6日に作成されたものであり、EFS-Web経由で電子的に提出されている。
【0003】
政府の利益についての陳述
この発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与されたCA114536による政府の支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
背景
遺伝子改変されたT細胞の養子移入は、様々な悪性疾患に対する強力な治療法として出現した。最も広く利用されている戦略は、腫瘍関連抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を発現する患者由来T細胞の注入である。このアプローチには、T細胞を任意の細胞表面抗原に標的化できること、腫瘍エスケープ機構としての主要組織適合性遺伝子複合体の喪失を回避できること、および、いずれの患者の処置にもヒト白血球抗原ハプロタイプに関係なく単一のベクター構築物を利用できることを含む、非常に多くの理論的利点がある。例えば、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)についてのCAR臨床試験では、悪性リンパ系細胞上はもちろん正常B細胞上にも発現するCD19、CD20またはCD22抗原が、これまでに標的とされたことがある(Brentjens et al., Sci Transl Med 2013;5(177):177ra38; Haso et al.,Blood 2013;121(7):1165-74; James et al., J Immunol 2008;180(10):7028-38; Kalos et al., Sci Transl Med 2011;3(95):95ra73; Kochenderfer et al., J Clin Oncol 2015;33(6):540-9; Lee et al., Lancet 2015;385(9967):517-28; Porter et al., Sci Transl 25 Med 2015;7(303):303ra139; Savoldo et al., J Clin Invest 2011;121(5):1822-6; Till et al., Blood 2008;112(6):2261-71; Till et al., Blood 2012;119(17):3940-50; Coiffier et al., N Engl J Med 2002;346(4):235-42)。
さらに進歩することが養子細胞治療を改善するのに有利となり得る。例えば、抗原保有細胞を標的とし、攻撃する特定の抗原に特異的なCARまたはTCRを保有する移入細胞の能力は、がんの部位、例えば、腫瘍を拡大し、活性化し、それに向かう移入細胞の数によって制限される場合がある。さらに、腫瘍微小環境によって、養子細胞治療の活性を低減し得るいくつかの忍容性または免疫抑制機構が誘発され得る(例えば、Draghiciu et al.,Clin. Dev. Immunol. 439053 (2011)を参照)。したがって、養子細胞治療において、改良された戦略が必要とされる。今般開示される実施形態は、これらの必要性を対象とし、他の関連する利点をもたらす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Brentjens et al., Sci Transl Med 2013;5(177):177ra38
【非特許文献2】Haso et al.,Blood 2013;121(7):1165-74
【非特許文献3】James et al., J Immunol 2008;180(10):7028-38
【非特許文献4】Kalos et al., Sci Transl Med 2011;3(95):95ra73
【非特許文献5】Kochenderfer et al., J Clin Oncol 2015;33(6):540-9
【非特許文献6】Lee et al., Lancet 2015;385(9967):517-28
【非特許文献7】Porter et al., Sci Transl 25 Med 2015;7(303):303ra139
【非特許文献8】Savoldo et al., J Clin Invest 2011;121(5):1822-6
【非特許文献9】Till et al., Blood 2008;112(6):2261-71
【非特許文献10】Till et al., Blood 2012;119(17):3940-50
【非特許文献11】Coiffier et al., N Engl J Med 2002;346(4):235-42
【非特許文献12】Draghiciu et al., Clin. Dev. Immunol. 439053 (2011)
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、抗ROR1 CAR T細胞治療を研究するために非小細胞肺がん(NSCLC)のKPマウスモデルを適用するための模式図を示す。
【0007】
【
図2A】
図2Aは、Creリコンビナーゼ、ホタルルシフェラーゼ、およびヒトROR1(「Cre-p-ffluc-t-hROR1」)を同時発現するレンチウイルス構築物の設計を示す。
【
図2B】
図2Bは、3TZ Green-Goレポーター細胞(L-R):非形質導入;Cre-P2A-ffluc;Cre-P2A-ffluc-t-hROR1においてレンチウイルス構築物の発現を示すフローサイトメトリーデータを提供する。
【
図2C】
図2Cは、細胞におけるホタルルシフェラーゼ発現のバイオルミネセンスイメージング(BLI)を示す。
【0008】
【
図3A】
図3A~3Eは、Cre-p-ffluc-t-hROR1レンチウイルスに感染したKPマウスにおける腫瘍の誘導を示す。(A)マウスが、示されている力価のレンチウイルスを投与されてから13週間後に得られた代表BLI。(B)マウスが、示されている用量のレンチウイルスを投与された投与実験からの定量BLIデータ(非感染マウス=対照)。(C)p.i.13週間後の各感染群からのマウスの代表磁気共鳴イメージング(MRI)。(D)各感染群からの平均腫瘍体積。(E)感染群の平均生存パーセント。
【
図3B】
図3A~3Eは、Cre-p-ffluc-t-hROR1レンチウイルスに感染したKPマウスにおける腫瘍の誘導を示す。(A)マウスが、示されている力価のレンチウイルスを投与されてから13週間後に得られた代表BLI。(B)マウスが、示されている用量のレンチウイルスを投与された投与実験からの定量BLIデータ(非感染マウス=対照)。(C)p.i.13週間後の各感染群からのマウスの代表磁気共鳴イメージング(MRI)。(D)各感染群からの平均腫瘍体積。(E)感染群の平均生存パーセント。
【
図3C】
図3A~3Eは、Cre-p-ffluc-t-hROR1レンチウイルスに感染したKPマウスにおける腫瘍の誘導を示す。(A)マウスが、示されている力価のレンチウイルスを投与されてから13週間後に得られた代表BLI。(B)マウスが、示されている用量のレンチウイルスを投与された投与実験からの定量BLIデータ(非感染マウス=対照)。(C)p.i.13週間後の各感染群からのマウスの代表磁気共鳴イメージング(MRI)。(D)各感染群からの平均腫瘍体積。(E)感染群の平均生存パーセント。
【
図3DE】
図3A~3Eは、Cre-p-ffluc-t-hROR1レンチウイルスに感染したKPマウスにおける腫瘍の誘導を示す。(A)マウスが、示されている力価のレンチウイルスを投与されてから13週間後に得られた代表BLI。(B)マウスが、示されている用量のレンチウイルスを投与された投与実験からの定量BLIデータ(非感染マウス=対照)。(C)p.i.13週間後の各感染群からのマウスの代表磁気共鳴イメージング(MRI)。(D)各感染群からの平均腫瘍体積。(E)感染群の平均生存パーセント。
【0009】
【
図4】
図4は、p.i.13週間後のKP-hROR1マウスから回収した腫瘍におけるhROR1に関するIHC染色を示す。左:1×倍率。右:20×倍率。
【0010】
【
図5A】
図5A~5Eは、腫瘍非保有(脾臓のみ)および腫瘍保有KP(脾臓、腫瘍排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍)マウスからの組織試料においてTreg細胞を特徴付けるデータを提供する。(A)Foxp3およびPD-1に関して染色した、示されている組織におけるTreg細胞計数値を示すフローサイトメトリーデータ。(B)生細胞の百分率としてのCD4
+ Foxp3
+ Treg細胞頻度の定量。(C)増殖マーカーKi-67の発現によって測定されるTreg細胞の増殖。(D)タグ付き抗PD-1結合のMFIによって表されるTreg細胞によるPD-1発現の定量。(E)CD8
+ T細胞:Treg細胞の比。
【
図5BC】
図5A~5Eは、腫瘍非保有(脾臓のみ)および腫瘍保有KP(脾臓、腫瘍排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍)マウスからの組織試料においてTreg細胞を特徴付けるデータを提供する。(A)Foxp3およびPD-1に関して染色した、示されている組織におけるTreg細胞計数値を示すフローサイトメトリーデータ。(B)生細胞の百分率としてのCD4
+ Foxp3
+ Treg細胞頻度の定量。(C)増殖マーカーKi-67の発現によって測定されるTreg細胞の増殖。(D)タグ付き抗PD-1結合のMFIによって表されるTreg細胞によるPD-1発現の定量。(E)CD8
+ T細胞:Treg細胞の比。
【
図5DE】
図5A~5Eは、腫瘍非保有(脾臓のみ)および腫瘍保有KP(脾臓、腫瘍排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍)マウスからの組織試料においてTreg細胞を特徴付けるデータを提供する。(A)Foxp3およびPD-1に関して染色した、示されている組織におけるTreg細胞計数値を示すフローサイトメトリーデータ。(B)生細胞の百分率としてのCD4
+ Foxp3
+ Treg細胞頻度の定量。(C)増殖マーカーKi-67の発現によって測定されるTreg細胞の増殖。(D)タグ付き抗PD-1結合のMFIによって表されるTreg細胞によるPD-1発現の定量。(E)CD8
+ T細胞:Treg細胞の比。
【0011】
【
図6A】
図6A~6Fは、腫瘍非保有(脾臓のみ)および腫瘍保有KP(脾臓、腫瘍排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍)マウスからの組織試料において骨髄腫由来サプレッサー細胞(MDSC)を特徴付けるデータを提供する。(A)腫瘍におけるMDSC細胞計数値を示す代表フローサイトメトリーデータ。(B)生細胞中での中間体(「int」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「単球の」MDSC)の頻度。(C)生細胞中での高い(「hi」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「顆粒球の」MDSC)の頻度。(D)顆粒球の(破線)および単球の(実線)MDSCによるPD-L1発現を示すヒストグラム。(E)単球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。(F)顆粒球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。
【
図6BC】
図6A~6Fは、腫瘍非保有(脾臓のみ)および腫瘍保有KP(脾臓、腫瘍排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍)マウスからの組織試料において骨髄腫由来サプレッサー細胞(MDSC)を特徴付けるデータを提供する。(A)腫瘍におけるMDSC細胞計数値を示す代表フローサイトメトリーデータ。(B)生細胞中での中間体(「int」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「単球の」MDSC)の頻度。(C)生細胞中での高い(「hi」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「顆粒球の」MDSC)の頻度。(D)顆粒球の(破線)および単球の(実線)MDSCによるPD-L1発現を示すヒストグラム。(E)単球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。(F)顆粒球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。
【
図6D】
図6A~6Fは、腫瘍非保有(脾臓のみ)および腫瘍保有KP(脾臓、腫瘍排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍)マウスからの組織試料において骨髄腫由来サプレッサー細胞(MDSC)を特徴付けるデータを提供する。(A)腫瘍におけるMDSC細胞計数値を示す代表フローサイトメトリーデータ。(B)生細胞中での中間体(「int」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「単球の」MDSC)の頻度。(C)生細胞中での高い(「hi」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「顆粒球の」MDSC)の頻度。(D)顆粒球の(破線)および単球の(実線)MDSCによるPD-L1発現を示すヒストグラム。(E)単球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。(F)顆粒球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。
【
図6EF】
図6A~6Fは、腫瘍非保有(脾臓のみ)および腫瘍保有KP(脾臓、腫瘍排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍)マウスからの組織試料において骨髄腫由来サプレッサー細胞(MDSC)を特徴付けるデータを提供する。(A)腫瘍におけるMDSC細胞計数値を示す代表フローサイトメトリーデータ。(B)生細胞中での中間体(「int」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「単球の」MDSC)の頻度。(C)生細胞中での高い(「hi」)Gr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(「顆粒球の」MDSC)の頻度。(D)顆粒球の(破線)および単球の(実線)MDSCによるPD-L1発現を示すヒストグラム。(E)単球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。(F)顆粒球のMDSCにおけるPD-L1発現の定量。
【0012】
【
図7A】
図7A~7Cは、ヒトROR1(hROR1)に特異的なマウスキメラ抗原受容体(CAR)の設計および試験を示す。(A)2A2抗体に由来する抗hROR1結合ドメインならびにマウス4-1BBおよびCD3ζドメインを有するCARをコードする構築物の模式図;この構築物は、T2Aリボソームスキップエレメントの下流の短縮型CD19形質導入マーカー配列も含む。(B、C)ヒト(三角)もしくはマウスROR1(四角)を発現する、またはROR1発現を有さない(丸)4T1哺乳動物癌細胞を、示されているエフェクター:標的比で、対照のtCD19T細胞(B)または2A2-41BBz CAR T細胞(C)とインキュベートしたin vitro殺滅アッセイからのデータ。
【
図7BC】
図7A~7Cは、ヒトROR1(hROR1)に特異的なマウスキメラ抗原受容体(CAR)の設計および試験を示す。(A)2A2抗体に由来する抗hROR1結合ドメインならびにマウス4-1BBおよびCD3ζドメインを有するCARをコードする構築物の模式図;この構築物は、T2Aリボソームスキップエレメントの下流の短縮型CD19形質導入マーカー配列も含む。(B、C)ヒト(三角)もしくはマウスROR1(四角)を発現する、またはROR1発現を有さない(丸)4T1哺乳動物癌細胞を、示されているエフェクター:標的比で、対照のtCD19T細胞(B)または2A2-41BBz CAR T細胞(C)とインキュベートしたin vitro殺滅アッセイからのデータ。
【0013】
【
図8A】
図8Aは、KPマウスに、Cre-ffluc-hROR1レンチウイルスを感染させ、その後、p.i.の11、14、および17週間後に、シクロホスファミドと1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞との組合せによる処置を施された実験処置の図を示す。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aに示されるスケジュールによる処置を施されたマウスからの平均腫瘍体積を示す。
【
図8C】
図8Cは、処置前(p.iの10週間後)および処置後(p.iの16週間後)の腫瘍サイズを比較する、tCD19処置および2A2-41BBz CAR T処置マウスからの代表MRIスキャンを示す。腫瘍を丸で囲む。
【0014】
【
図9A】
図9A~9Eは、
図8Aに示される処置スケジュールにより投与される対照(tCD19)および2A2-41BBz CAR T細胞のin vivo特徴付けを示す。脾臓および腫瘍試料を、p.i.の22週間後に回収し、細胞表現型をフローサイトメトリーによって分析した。(A)代表腫瘍試料において投与されたCAR T細胞の増殖。(B)代表腫瘍試料におけるCAR T細胞のPD-1発現プロファイル。CD8
+ CAR T細胞の(C)頻度、(D)増殖、および(E)PD-1発現も測定した。
【
図9B】
図9A~9Eは、
図8Aに示される処置スケジュールにより投与される対照(tCD19)および2A2-41BBz CAR T細胞のin vivo特徴付けを示す。脾臓および腫瘍試料を、p.i.の22週間後に回収し、細胞表現型をフローサイトメトリーによって分析した。(A)代表腫瘍試料において投与されたCAR T細胞の増殖。(B)代表腫瘍試料におけるCAR T細胞のPD-1発現プロファイル。CD8
+ CAR T細胞の(C)頻度、(D)増殖、および(E)PD-1発現も測定した。
【
図9CD】
図9A~9Eは、
図8Aに示される処置スケジュールにより投与される対照(tCD19)および2A2-41BBz CAR T細胞のin vivo特徴付けを示す。脾臓および腫瘍試料を、p.i.の22週間後に回収し、細胞表現型をフローサイトメトリーによって分析した。(A)代表腫瘍試料において投与されたCAR T細胞の増殖。(B)代表腫瘍試料におけるCAR T細胞のPD-1発現プロファイル。CD8
+ CAR T細胞の(C)頻度、(D)増殖、および(E)PD-1発現も測定した。
【
図9E】
図9A~9Eは、
図8Aに示される処置スケジュールにより投与される対照(tCD19)および2A2-41BBz CAR T細胞のin vivo特徴付けを示す。脾臓および腫瘍試料を、p.i.の22週間後に回収し、細胞表現型をフローサイトメトリーによって分析した。(A)代表腫瘍試料において投与されたCAR T細胞の増殖。(B)代表腫瘍試料におけるCAR T細胞のPD-1発現プロファイル。CD8
+ CAR T細胞の(C)頻度、(D)増殖、および(E)PD-1発現も測定した。
【0015】
【
図10A】
図10Aは、図の符号に示されているように、未処置(実線)または対照のtCD19を発現するT細胞もしくは2A2-41BBz CAR T細胞を施したKP腫瘍におけるhROR1の発現を示す。
【
図10B】
図10Bは、40×倍率において、2つの処置群からのKP腫瘍においてhROR1に関して染色するIHCを示す。
【0016】
【
図11A】
図11A~11Dは、tCD19または2A2-41BBz CAR T細胞を施したKP-hROR1マウスの腫瘍微小環境の特徴付けを示す。(A)2つのCAR T細胞を施された群からの腫瘍においてTreg集団を示すフローサイトメトリー実験からのデータ。(B)各群からの脾臓および腫瘍試料におけるTregの頻度(生細胞の百分率として)。(C)各群からの脾臓および腫瘍試料におけるCD8
+ T細胞の内在性Tregに対する比。(D)生細胞の百分率としての単球のおよび顆粒球の腫瘍MDSCの頻度。
【
図11BC】
図11A~11Dは、tCD19または2A2-41BBz CAR T細胞を施したKP-hROR1マウスの腫瘍微小環境の特徴付けを示す。(A)2つのCAR T細胞を施された群からの腫瘍においてTreg集団を示すフローサイトメトリー実験からのデータ。(B)各群からの脾臓および腫瘍試料におけるTregの頻度(生細胞の百分率として)。(C)各群からの脾臓および腫瘍試料におけるCD8
+ T細胞の内在性Tregに対する比。(D)生細胞の百分率としての単球のおよび顆粒球の腫瘍MDSCの頻度。
【
図11D】
図11A~11Dは、tCD19または2A2-41BBz CAR T細胞を施したKP-hROR1マウスの腫瘍微小環境の特徴付けを示す。(A)2つのCAR T細胞を施された群からの腫瘍においてTreg集団を示すフローサイトメトリー実験からのデータ。(B)各群からの脾臓および腫瘍試料におけるTregの頻度(生細胞の百分率として)。(C)各群からの脾臓および腫瘍試料におけるCD8
+ T細胞の内在性Tregに対する比。(D)生細胞の百分率としての単球のおよび顆粒球の腫瘍MDSCの頻度。
【0017】
【
図12A】
図12A~12Cは、マウスに導入されたT細胞の局在化を示す代表BLIを示す。(A)マウスにおけるガウシアルシフェラーゼ標識T細胞の局在化を示す例。(左から右へ):示されている局在化部位に関する蛍光イメージ;マウスを覆うBLIイメージ;ルミネセンスを解釈するための輝度スケール。(B)ルシフェラーゼで標識したtCD19対照細胞を注射したマウスのBLI。局在化の組織部位がイメージの下に記載されている。(C)ルシフェラーゼで標識した2A2-41BBz CAR T細胞を注射したマウスのBLI;局在化の組織部位がイメージの下に記載されている。
【
図12B】
図12A~12Cは、マウスに導入されたT細胞の局在化を示す代表BLIを示す。(A)マウスにおけるガウシアルシフェラーゼ標識T細胞の局在化を示す例。(左から右へ):示されている局在化部位に関する蛍光イメージ;マウスを覆うBLIイメージ;ルミネセンスを解釈するための輝度スケール。(B)ルシフェラーゼで標識したtCD19対照細胞を注射したマウスのBLI。局在化の組織部位がイメージの下に記載されている。(C)ルシフェラーゼで標識した2A2-41BBz CAR T細胞を注射したマウスのBLI;局在化の組織部位がイメージの下に記載されている。
【
図12C】
図12A~12Cは、マウスに導入されたT細胞の局在化を示す代表BLIを示す。(A)マウスにおけるガウシアルシフェラーゼ標識T細胞の局在化を示す例。(左から右へ):示されている局在化部位に関する蛍光イメージ;マウスを覆うBLIイメージ;ルミネセンスを解釈するための輝度スケール。(B)ルシフェラーゼで標識したtCD19対照細胞を注射したマウスのBLI。局在化の組織部位がイメージの下に記載されている。(C)ルシフェラーゼで標識した2A2-41BBz CAR T細胞を注射したマウスのBLI;局在化の組織部位がイメージの下に記載されている。
【0018】
【
図13A】
図13Aは、KPマウスに、Cre-ffluc-hROR1レンチウイルスを感染させ、次に、処置期間中、1週間に2回、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-1を投与しながら、p.i.の11、13、および15週間後にシクロホスファミドと1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞との組合せで処置した、実験処置スキームの図を示す。マウスを示されているようにイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。
【
図13BC】
図13Bは、
図13Aに示された処置スキームにより、tCD19 T細胞、tCD19 T+抗PD-1、2A2-41BBz CAR T、または2A2-41BBz CAR T+抗-PD-1を施された(図の符号で示されているように)マウスのMRI zスタックから計算した平均腫瘍体積を示す。
図13Cは、示された処置群からのマウスの生細胞における形質導入したCD45.1
+CD8
+細胞(形質導入マーカーまたはCAR形質導入マーカーを発現する)の頻度を示す。
【
図13DE】
図13Dは、形質導入した細胞におけるPD-1発現(MFI)を示す。
図13Eは、各細胞群内の活性化細胞(CD69アッセイ)の百分率を示す。
【0019】
【
図14A】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14BC】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14DE】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14F】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14G】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14H】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14I】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14JK】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14LM】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14NO】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14P】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14Q】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14R】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14S】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【
図14T】
図14A~14Tは、オキサリプラチン+シクロホスファミドを抗ROR1-CAR T + PD-L1遮断免疫療法レジメンに加えることの効果を示す。(A)KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、オキサリプラチン+シクロホスファミドの組合せ(p.i.の12、13、および14週間後に、1週間に1回)、続いて、p.i.の12および15週間後に、シクロホスファミドによるリンパ枯渇および1:1のCD8
+/CD4
+ 2A2-41BBz CAR T細胞の移入により前処置した図。T細胞移入と併用して、マウスの抗体当たり200μgの抗PD-L1を1週間に2回投与し、研究の経過を通して継続した。示されているように、マウスをイメージングし、モニタリングした(p.i.の9週目に開始する毎週の秤量、MRI/ルシフェラーゼイメージング、採血、および組織回収)。処置群および試料サイズは示されている通りであった。(B)~(F)および(L-P)示されている処置を施されたKPマウスの個々の腫瘍結節の体積の変化パーセント。腫瘍結節を計数し、退縮についてスコアリングした。(G、Q)11週間後(感染後、処置前)および17週間後(感染後、処置後)の示されている処置群からの代表MRIスキャン。(H、R、T)示されているように、T細胞処置の5週間後のKP肺腫瘍のCD3染色の代表IHCイメージ。より暗い染色=CD3
+Tリンパ球による浸潤の増加。(I、S)HALOイメージングソフトウェアによる個々の腫瘍のCD3染色の定量。(J)各処置群からの個々のマウスにおける腫瘍内CD3染色を有する腫瘍の百分率。(K)15%を超えるCD3
+浸潤を有する各処置群からの腫瘍の割合。
【0020】
【
図15AB】
図15A~15Dは、処置されたマウスからの肺腫瘍のマルチプレックス免疫組織化学(IHC)およびその定量を示す。(A、B)CD8a、Foxp3、対照またはCAR T(GFP
+)細胞を示す処置の5週間後の肺腫瘍の代表マルチプレックスIHC(示されているように)、およびDAPI。(C)オキサリプラチン+シクロホスファミド(Ox/Cy)および抗PD-L1抗体を有するか(下向きの三角)または有さない(上向きの三角)、抗ROR1 CAR T細胞を投与したマウスからの腫瘍試料(個々の腫瘍)における有核細胞の百分率としてのGFP染色(CAR T細胞)の定量(HALOイメージングソフトウェア)。(D)示されている処置群からの腫瘍試料(個々の腫瘍)における有核細胞の百分率としてのCD8
+ T細胞の定量。
【
図15CD】
図15A~15Dは、処置されたマウスからの肺腫瘍のマルチプレックス免疫組織化学(IHC)およびその定量を示す。(A、B)CD8a、Foxp3、対照またはCAR T(GFP
+)細胞を示す処置の5週間後の肺腫瘍の代表マルチプレックスIHC(示されているように)、およびDAPI。(C)オキサリプラチン+シクロホスファミド(Ox/Cy)および抗PD-L1抗体を有するか(下向きの三角)または有さない(上向きの三角)、抗ROR1 CAR T細胞を投与したマウスからの腫瘍試料(個々の腫瘍)における有核細胞の百分率としてのGFP染色(CAR T細胞)の定量(HALOイメージングソフトウェア)。(D)示されている処置群からの腫瘍試料(個々の腫瘍)における有核細胞の百分率としてのCD8
+ T細胞の定量。
【0021】
【
図16AB】
図16A~16Eは、T細胞処置の5週間後の、示されている処置群からの試料におけるCD45.1
+CD8
+GFP
+対照または抗ROR1 CAR-T細胞のフローサイトメトリー分析を示す。(A)示されている処置群からの脾臓または腫瘍試料における全CD8
+ T細胞の百分率としてのCAR T細胞の頻度。(B)PD-1の発現。(C)Ki-67の発現。(D)CD25の発現。(E)1B11の発現。
【
図16CD】
図16A~16Eは、T細胞処置の5週間後の、示されている処置群からの試料におけるCD45.1
+CD8
+GFP
+対照または抗ROR1 CAR-T細胞のフローサイトメトリー分析を示す。(A)示されている処置群からの脾臓または腫瘍試料における全CD8
+ T細胞の百分率としてのCAR T細胞の頻度。(B)PD-1の発現。(C)Ki-67の発現。(D)CD25の発現。(E)1B11の発現。
【
図16E】
図16A~16Eは、T細胞処置の5週間後の、示されている処置群からの試料におけるCD45.1
+CD8
+GFP
+対照または抗ROR1 CAR-T細胞のフローサイトメトリー分析を示す。(A)示されている処置群からの脾臓または腫瘍試料における全CD8
+ T細胞の百分率としてのCAR T細胞の頻度。(B)PD-1の発現。(C)Ki-67の発現。(D)CD25の発現。(E)1B11の発現。
【0022】
【
図17AB】
図17A~17Dは、KP腫瘍におけるオキサリプラチンおよびシクロホスファミドによる処置の際の遺伝子発現分析の結果を示す。(A)未処置のままであったかまたはin vivoでOx/Cyにより処置されたKPマウスから切除された腫瘍間で差示的に発現された遺伝子を示すVolcanoプロット。プロットの上方左角は、2倍を超えてOx/Cy処置腫瘍において上方調節され、偽発見率が1%未満の遺伝子を表す。プロットの上方右角は、2分の1を超えてOx/Cy処置腫瘍において下方調節され、偽発見率が1%未満の遺伝子を表す。(B)Ox/Cy処置KP腫瘍において上方調節された253遺伝子のSTRINGデータベース経路分析の結果。(C、D)(B)に記載される濃縮経路に含まれる遺伝子のlog2カウントパーミリオン(CPM)。
【
図17C】
図17A~17Dは、KP腫瘍におけるオキサリプラチンおよびシクロホスファミドによる処置の際の遺伝子発現分析の結果を示す。(A)未処置のままであったかまたはin vivoでOx/Cyにより処置されたKPマウスから切除された腫瘍間で差示的に発現された遺伝子を示すVolcanoプロット。プロットの上方左角は、2倍を超えてOx/Cy処置腫瘍において上方調節され、偽発見率が1%未満の遺伝子を表す。プロットの上方右角は、2分の1を超えてOx/Cy処置腫瘍において下方調節され、偽発見率が1%未満の遺伝子を表す。(B)Ox/Cy処置KP腫瘍において上方調節された253遺伝子のSTRINGデータベース経路分析の結果。(C、D)(B)に記載される濃縮経路に含まれる遺伝子のlog2カウントパーミリオン(CPM)。
【
図17D】
図17A~17Dは、KP腫瘍におけるオキサリプラチンおよびシクロホスファミドによる処置の際の遺伝子発現分析の結果を示す。(A)未処置のままであったかまたはin vivoでOx/Cyにより処置されたKPマウスから切除された腫瘍間で差示的に発現された遺伝子を示すVolcanoプロット。プロットの上方左角は、2倍を超えてOx/Cy処置腫瘍において上方調節され、偽発見率が1%未満の遺伝子を表す。プロットの上方右角は、2分の1を超えてOx/Cy処置腫瘍において下方調節され、偽発見率が1%未満の遺伝子を表す。(B)Ox/Cy処置KP腫瘍において上方調節された253遺伝子のSTRINGデータベース経路分析の結果。(C、D)(B)に記載される濃縮経路に含まれる遺伝子のlog2カウントパーミリオン(CPM)。
【0023】
【
図18】
図18は、10倍でアイソタイプ対照(左)をおよび40倍で膜のROR1発現(右)を示すヒト患者からの処置前の腫瘍生検のヘマトキシリンエオジン染色(H&E)を示す。
【0024】
【
図19A】
図19Aおよび
図19Bは、処置前(A)ならびにOx/Cyおよび抗ROR1 CAR-T細胞産物による処置後(B)のヒトTNBC患者の腫瘍生検のマルチプレックス免疫組織化学(IHC)染色を示す。各図の左は、低倍率の試料である。各図の右の写真は、高倍率の試料である。生検試料を、CD3、COX2、CD206、VISTA/B7-H5、およびCD163に特異的な一次抗体で染色した(各図の符号を参照されたい)。核染色(DAPI)は、対比染色としての役割を果たした。Vectra 3.0プラットフォームを使用して、イメージングを実施した。
【
図19B】
図19Aおよび
図19Bは、処置前(A)ならびにOx/Cyおよび抗ROR1 CAR-T細胞産物による処置後(B)のヒトTNBC患者の腫瘍生検のマルチプレックス免疫組織化学(IHC)染色を示す。各図の左は、低倍率の試料である。各図の右の写真は、高倍率の試料である。生検試料を、CD3、COX2、CD206、VISTA/B7-H5、およびCD163に特異的な一次抗体で染色した(各図の符号を参照されたい)。核染色(DAPI)は、対比染色としての役割を果たした。Vectra 3.0プラットフォームを使用して、イメージングを実施した。
【
図19C】
図19Cは、試料全体にわたる細胞密度のlog10倍率変化を示すHALOベースの定量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本開示は、改変された免疫細胞(例えば、CARまたはTCRを含むT細胞)を、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子と組み合わせて、必要に応じて免疫抑制成分に特異的に結合する、および/またはそれを阻害する作用因子とさらに組み合わせて使用する、疾患を処置するための試薬および方法を提供する。
【0026】
本開示をより詳細に示す前に、本明細書で使用されるある特定の用語の定義を提供することは、本開示の理解の助けになり得る。さらなる定義は、本開示を通して示される。
【0027】
本説明では、任意の濃度範囲、百分率範囲、比の範囲、または整数範囲は、一部の態様では、別段の指示がない限り、列挙されている範囲内の任意の整数の値、および適宜、それらの分数(例えば、整数の十分の一および百分の一)を含むと理解するべきである。また、任意の物理的特徴、例えば、ポリマーサブユニット、サイズまたは厚さに関して本明細書で列挙される任意の数値範囲は、別段の指示がない限り、列挙されている範囲内の任意の整数を含むと理解すべきである。本明細書で使用される用語「約」は、一部の態様では、別段の指示がない限り、示されている範囲、値または構造の±20%を意味する。用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、一部の態様では、本明細書で使用される場合、列挙されている構成要素のうちの「1または複数」を指すと理解すべきである。選択肢(例えば、「または」)の使用は、それらの選択肢のうち1つ、両方、またはその任意の組合せを意味すると理解すべきである。本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」、「有する」および「含む(comprise)」は、同義で使用され、これらの用語およびそれらの異表記は、非限定的と解釈されることを意図したものである。
【0028】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、一部の態様では、その後に記載される要素、成分、事象または状況が、起こることもあり、または起こらないこともあること、およびその記載が、要素、成分、事象または状況が起こる事例とそれらが起こらない事例とを含むことを意味する。
【0029】
さらに、本明細書に記載される構造および置換基の様々な組合せから得られる個々の構築物または構築物の群は、あたかも各構築物または構築物の群が個々に示されたのと同程度に、本願により開示されると理解すべきである。したがって、特定の構造または特定のサブユニットの選択は、本開示の範囲内である。
【0030】
用語「から本質的になる」は、「含む」と同等ではなく、一部の態様では、請求項の明記された材料もしくはステップ、または特許請求された主題の基本的特徴に実質的に影響を与えない材料もしくはステップを指す。例えば、タンパク質のドメイン、領域もしくはモジュール(例えば、結合ドメイン、ヒンジ領域、またはリンカー)またはタンパク質(これは、1もしくは複数のドメイン、領域もしくはモジュールを有し得る)は、ドメイン、領域、モジュールまたはタンパク質のアミノ酸配列が、組み合わせて、ドメイン、領域、モジュールまたはタンパク質の長さの多くても20%(例えば、多くても15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%または1%)に寄与し、ドメイン(複数可)、領域(複数可)、モジュール(複数可)またはタンパク質の活性(例えば、結合性タンパク質の標的結合親和性)に実質的に影響を与えない(すなわち、活性の低減が、50%を超えない、例えば、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下または1%以下である)、伸長、欠失、変異またはそれらの組合せ(例えば、アミノ末端もしくはカルボキシ末端にある、またはドメイン間にあるアミノ酸)を含む場合、特定のアミノ酸配列「から本質的になる」。
【0031】
本明細書で使用される場合、一部の態様では、「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸はもちろん、天然に存在するアミノ酸と同じように機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物も指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされたもの、ならびに後で修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメートおよびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基と結合しているα-炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持するが、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じように機能する、化合物を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、一部の態様では、「変異」は、参照または野生型核酸分子またはポリペプチド分子とそれぞれ比較したときの核酸分子またはポリペプチド分子の配列の変化を指す。変異は、ヌクレオチド(複数可)またはアミノ酸(複数可)の置換、挿入または欠失を含む、配列のいくつかの異なるタイプの変化をもたらすことができる。
【0033】
「保存的置換」は、一部の態様では、特定のタンパク質の結合特性に有意な影響を与えない、または特定のタンパク質の結合特性を有意に変化させない、アミノ酸置換を指す。一般に、保存的置換は、置換されるアミノ酸残基が、類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられることである。保存的置換は、次の群のうちの1つの中で見いだされる置換を含む:第1群:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT);第2群:アスパラギン酸(AspまたはD)、グルタミン酸(GluまたはZ);第3群:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ);第4群:アルギニン(ArgまたはR)、リジン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH);第5群:イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV);および第6群:フェニルアラニン(PheまたはF)、チロシン(TyrまたはY)、トリプトファン(TrpまたはW)。加えてまたは代替的に、アミノ酸は、類似した機能、化学構造または組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、もしくは硫黄含有)により、保存的置換群に分類することができる。例えば、脂肪族分類は、置換を目的として、Gly、Ala、Val、Leu、およびIleを含み得る。他の保存的置換群は、硫黄含有:Metおよびシステイン(CysまたはC);酸性:Asp、Glu、Asn、およびGln;小さい脂肪族、非極性または微極性残基:Ala、Ser、Thr、Pro、およびGly;極性、負荷電残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、およびGln;極性、正荷電残基:His、Arg、およびLys;大きい脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、およびCys;ならびに大きい芳香族残基:Phe、Tyr、およびTrpを含む。追加情報は、Creighton (1984) Proteins, W.H.Freeman and Companyにおいて見つけることができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、一部の態様では、「タンパク質」または「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを指す。タンパク質は、天然に存在するアミノ酸ポリマーにはもちろん、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的模倣物である、アミノ酸ポリマー、および天然に存在しないアミノ酸ポリマーにも当てはまる。
【0035】
本明細書で使用される場合、一部の態様では、「融合タンパク質」は、単一鎖内に少なくとも2つの明確に異なるドメインを有するタンパク質であって、自然には前記ドメインが一緒にタンパク質内に見られないタンパク質を指す。融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、PCRを使用して構築されること、組換え操作されることなどがあり、またはそのような融合タンパク質を合成することができる。融合タンパク質は、タグ、リンカーまたは形質導入マーカーなどの、他の成分をさらに含有することができる。ある特定の実施形態では、宿主細胞(例えば、T細胞)により発現または産生される融合タンパク質は、細胞表面に位置し、前記融合タンパク質は、細胞膜に(例えば、膜貫通ドメインによって)繋留されており、細胞外成分(例えば、結合ドメインを含有する)および細胞内成分(例えば、シグナル伝達ドメイン、エフェクタードメイン、共刺激ドメインまたはそれらの組合せを含有する)を含む。
【0036】
「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」は、一部の態様では、天然サブユニット(例えば、プリンもしくはピリミジン塩基)または非天然サブユニット(例えば、モルホリン環)で構成され得る、共有結合的に連結されているヌクレオチドを含むポリマー化合物を指す。プリン塩基は、アデニン、グアニン、ヒポキサンチンおよびキサンチンを含み、ピリミジン塩基は、ウラシル、チミンおよびシトシンを含む。核酸分子は、ポリリボ核酸(RNA)、ポリデオキシリボ核酸(DNA)(これは、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含む)を含み、これらはいずれも、一本鎖であってもよく、または二本鎖であってもよい。一本鎖の場合、核酸分子は、コード鎖または非コード鎖(アンチセンス鎖)であり得る。アミノ酸配列をコードする核酸分子は、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の一部のバージョンは、イントロンが同時転写機構または転写後機構によって除去されることになる場合には、イントロンも含むことができる。言い換えると、異なるヌクレオチド配列が、遺伝コードの重複性もしくは縮重の結果として、またはスプライシングにより、同じアミノ酸配列をコードすることもある。
【0037】
本開示の核酸分子のバリアントも企図される。バリアント核酸分子は、一部の態様では、本明細書に記載の被定義もしくは参照ポリヌクレオチドの核酸分子と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%同一、好ましくは、95%、96%、97%、98%、99%もしくは99.9%同一であるか、または約65~68℃で0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、もしくは約42℃で0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムおよび50%ホルムアミドというストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でポリヌクレオチドとハイブリダイズするものである。核酸分子バリアントは、標的分子に特異的に結合することなどの本明細書に記載される機能性を有する結合タンパク質またはその結合ドメインをコードする能力を保持する。
【0038】
「配列同一性パーセント」は、一部の態様では、配列を比較することにより決定されるような、2つまたはそれより多くの配列の間の関係を指す。配列同一性を決定する好ましい方法は、比較されることになる配列間のベストマッチをもたらすように設計される。例えば、配列は、最適な比較のためにアラインメントされる(例えば、最適なアラインメントのためにギャップを第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方に導入することができる)。さらに、非相同配列は、比較のために無視されることもある。本明細書で言及される配列同一性パーセントは、別段の指示がない限り、参照配列の長さにわたって計算される。配列同一性および類似性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムの中で見つけることができる。配列アラインメントおよび同一性パーセント計算は、BLASTプログラム(例えば、BLAST 2.0、BLASTP、BLASTN、またはBLASTX)を使用して行うことができる。BLASTプログラムで使用される数学的アルゴリズムは、Altschul et al., Nucleic Acids Res.25:3389-3402, 1997において見つけることができる。本開示に関して、配列分析ソフトウェアが分析に使用される場合、分析結果が、言及されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことは、理解されるであろう。「デフォルト値」は、初回開始時にソフトウェアに元々ロードされている値またはパラメーターの任意のセットを意味する。
【0039】
用語「単離された」は、一部の態様では、材料がその元の環境(例えば、その材料が天然に存在する場合には天然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生存動物に天然に存在する核酸またはポリペプチドは、単離されていないが、天然の系内に共存する材料の一部または全てから分離された同じ核酸またはポリペプチドは、単離されている。そのような核酸は、ベクターの一部であることもあり、および/またはそのような核酸もしくはポリペプチドは、組成物(例えば、細胞溶解物)の一部であることもあるが、それでもやはり、そのようなベクターもしくは組成物が核酸もしくはポリペプチドの天然環境の一部でないという点で単離されていることであり得る。用語「遺伝子」は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し、このセグメントには、コード領域の前および後の領域(「リーダーおよびトレーラー」)ならびに個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)が含まれる。
【0040】
「機能的バリアント」は、一部の態様では、本開示の親または参照化合物と構造的に同様であるまたは実質的に構造的に同様であるが、わずかに組成が異なる(例えば、1つの塩基、原子または官能基が異なる、付加されている、または除去されている)、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであって、したがって、ポリペプチドまたはコードされたポリペプチドが、コードされた親ポリペプチドの少なくとも1つの機能を、その親ポリペプチドの活性の少なくとも50%の効率、好ましくは、少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の活性レベルで行うことができる、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指す。言い換えると、本開示のポリペプチドまたはコードされたポリペプチドの機能的バリアントは、結合親和性を測定するためのアッセイ(例えば、平衡会合定数(Ka)または平衡解離定数(Kd)を測定する、Biacore(登録商標)またはテトラマー染色)などの、選択されたアッセイにおいて、親または参照ポリペプチドと比較して性能の50%を超える低下を示さない場合、「同様の結合」、「同様の親和性」または「同様の活性」を有する。
【0041】
本明細書で使用される場合、一部の態様では、「機能的部分」または「機能的断片」は、親または参照化合物のドメイン、部分または断片のみを含む、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指し、このポリペプチドまたはコードされたポリペプチドは、親もしくは参照化合物のドメイン、部分もしくは断片に関連する少なくとも50%の活性、好ましくは、親ポリペプチドの少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%の活性レベルを保持するか、または生物学的利益(例えば、エフェクター機能)を提供する。本開示のポリペプチドまたはコードされたポリペプチドの「機能的部分」または「機能的断片」は、その機能的部分または断片が、結合親和性を測定するためのアッセイまたはエフェクター機能(例えば、サイトカイン放出)を測定するためのアッセイなどの、選択されたアッセイにおいて、親または参照ペプチドと比較して50%を超える性能の低下を示さない場合(好ましくは、親和性に関して親または参照物と比較して20%もしくは10%以下または対数差分以下)、「同様の結合」または「同様の活性」を有する。
【0042】
本明細書で使用される場合、一部の態様では、「異種」または「非内在性」または「外因性」は、宿主細胞もしくは対象にとってネイティブでない任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子もしくは活性、または変更された宿主細胞もしくは対象にとってネイティブの任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子もしくは活性を指す。異種、非内在性、または外因性は、構造、活性、または両方が、ネイティブ遺伝子、タンパク質、化合物または核酸分子と変更された遺伝子、タンパク質、化合物または核酸分子との間で異なるように変異または別様に変更された、遺伝子、タンパク質、化合物または核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、異種、非内在性または外因性遺伝子、タンパク質、または核酸分子(例えば、受容体、リガンドなど)は、宿主細胞にとっても対象にとっても内在性でないことがあり、その代わり、そのような遺伝子、タンパク質または核酸分子をコードする核酸をコンジュゲーション、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーションなどにより宿主細胞に付加することができ、付加された核酸分子は、宿主細胞ゲノムに組み込まれることがあり、または染色体外遺伝物質として(例えば、プラスミドもしくは他の自己複製ベクターとして)存在することができる。用語「相同(の)」または「相同体」は、宿主細胞、種もしくは株に見られる、または宿主細胞、種もしくは株から得られる、遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子または活性を指す。例えば、ポリペプチドをコードする異種または外因性ポリヌクレオチドまたは遺伝子は、ネイティブポリヌクレオチドまたは遺伝子と相同であることがあり、相同ポリペプチドまたは相同の活性をコードすることがあるが、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、変更された構造、配列、発現レベル、またはそれらの任意の組合せを有することもある。非内在性ポリヌクレオチドまたは遺伝子はもちろん、コードされたポリペプチドまたは活性も、同じ種からのものであることがあり、異なる種からのものであることがあり、またはそれらの組合せからのものであることがある。
【0043】
本明細書で使用される場合、一部の態様では、用語「内在性」または「ネイティブ」は、宿主細胞中または対象体内に通常存在するポリヌクレオチド、遺伝子、タンパク質、化合物、分子、または活性を指す。
【0044】
用語「発現」は、本明細書で使用される場合、一部の態様では、ポリペプチドが、遺伝子などの核酸分子のコード配列に基づいて産生されるプロセスを指す。このプロセスは、転写、転写後制御、転写後修飾、翻訳、翻訳後制御、翻訳後修飾、またはそれらの任意の組合せを含み得る。発現された核酸分子は、通常は、発現制御配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結されている。
【0045】
用語「作動可能に連結された」は、一部の態様では、1つの核酸分子の機能が他の核酸分子による影響を受けるような、単一核酸断片上の2つまたはそれより多くの核酸分子の会合を指す。例えば、プロモーターとコード配列は、プロモーターが、そのコード配列の発現に影響を与えることができる(すなわち、コード配列が、プロモーターの転写制御下にある)場合、作動可能に連結されている。「連結されていない」は、会合している遺伝子エレメントが、互いに密接に会合しておらず、1つの遺伝子エレメントの機能が他の遺伝子エレメントに影響を与えないことを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」は、一部の態様では、好適な宿主において核酸分子の発現を生じさせることができる好適な制御配列に作動可能に連結されている核酸分子を含有するDNA構築物を指す。そのような制御配列には、転写を生じさせるプロモーター、そのような転写を制御するための必要に応じたオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が含まれる。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、ウイルス、または単に潜在的ゲノム挿入物であり得る。好適な宿主に形質転換されると、ベクターは、宿主ゲノムから独立して複製および機能することができ、または一部の場合には、自体を宿主細胞のゲノムに組み込むことができる。本明細書では、「プラスミド」、「発現プラスミド」、「ウイルス」および「ベクター」は、同義で使用されることが多い。
【0047】
一部の態様では、核酸分子を細胞に挿入する文脈での用語「導入される/された」は、「トランスフェクション」または「形質転換」または「形質導入」を意味し、核酸分子を細胞のゲノム(例えば、染色体、プラスミド、プラスチドまたはミトコンドリアDNA)に組み込むことができる、自律レプリコンに変換することができる、または(例えば、トランスフェクトされたmRNAを)一過性に発現することができる、真核または原核細胞への核酸分子の組込みへの言及を含む。本明細書で使用される場合、用語「操作された」、「組換え(の)」または「非天然(の)」は、少なくとも1つの遺伝子変更を含むかまたは異種もしくは外因性核酸分子の導入により改変された生物、少なくとも1つの遺伝子変更を含むかまたは外因性核酸分子の導入により改変された微生物、少なくとも1つの遺伝子変更を含むかまたは外因性核酸分子の導入により改変された細胞、少なくとも1つの遺伝子変更を含むかまたは外因性核酸分子の導入により修飾された核酸分子、あるいは少なくとも1つの遺伝子変更を含むかまたは外因性核酸分子の導入により修飾されたベクターであって、そのような変更または改変/修飾が、遺伝子操作(すなわち、人間の介入)により導入される、生物、微生物、細胞、核酸分子またはベクターを指す。遺伝子変更は、例えば、タンパク質、結合タンパク質もしくは酵素をコードする発現可能な核酸分子を導入する修飾、または他の核酸分子付加、欠失、置換、または細胞の遺伝物質の他の機能破壊を含む。追加の修飾は、例えば、修飾がポリヌクレオチド、遺伝子またはオペロンの発現を変更する、非コード調節領域を含む。
【0048】
一部の態様では、本明細書に記載されるように、1つより多くの異種核酸分子を、別々の核酸分子として、複数の個々に制御された遺伝子として、ポリシストロニック核酸分子として、結合タンパク質をコードする単一の核酸分子として、またはそれらの任意の組合せとして、宿主細胞に導入することができる。2つまたはそれより多くの異種核酸分子が宿主細胞に導入される場合、これら2つまたはそれより多くの異種核酸分子が、単一の核酸分子として(例えば、単一のベクターで)導入されることもあり、別々のベクターで宿主染色体の単一の部位もしくは複数の部位に組み込まれることもあり、またはそれらの任意の組合せであることもあることは理解される。言及された異種核酸分子またはタンパク質活性の数は、コードする核酸分子の数またはタンパク質活性の数を指し、宿主細胞に導入される別々の核酸分子の数を指さない。
【0049】
用語「構築物」は、一部の態様では、組換え核酸分子を含有する任意のポリヌクレオチドを指す。構築物は、ベクター(例えば、細菌ベクター、ウイルスベクター)中に存在することもあり、またはゲノムに組み込まれていることもある。「ベクター」は、別の核酸分子を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、RNAベクターであることもあり、または染色体の、非染色体の、半合成のもしくは合成の核酸分子を含み得る線状もしくは環状DNAもしくはRNA分子であることもある。本開示のベクターは、トランスポゾン系(例えば、スリーピング・ビューティー、例えば、Geurts et al., Mol.Ther.8:108, 2003: Mates et al., Nat. Genet. 41:753(2009)を参照されたい)も含み得る。例示的なベクターは、自律複製することができるもの(エピソームベクター)、または自体が連結されている核酸分子を発現させることができるもの(発現ベクター)である。
【0050】
ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、例えばオルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病および水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹およびセンダイ)、プラス鎖RNAウイルス、例えばピコルナウイルスおよびアルファウイルス、ならびに二本鎖DNAウイルスが挙げられ、二本鎖DNAウイルスには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス)、およびポックスウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘およびカナリアポックス)が含まれる。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポーバウイルス、ヘパドナウイルス、および肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例としては、トリ白血症-肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、スプーマウイルスが挙げられる(Coffin, J. M., Retroviridae: The viruses and their replication, In Fundamental Virology, Third Edition, B. N. Fields et al., Eds., Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, 1996)。
【0051】
「レトロウイルス」は、一部の態様では、RNAゲノムを有するウイルスであって、このRNAゲノムが、逆転写酵素を使用してDNAに逆転写され、次いで、逆転写されたDNAが宿主細胞ゲノムに組み込まれる、ウイルスである。「ガンマレトロウイルス」は、レトロウイルス科の属を指す。例示的なガンマレトロウイルスとしては、マウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、およびトリ細網内皮症ウイルスが挙げられる。
【0052】
「レンチウイルスベクター」は、一部の態様では、本明細書で使用される場合、遺伝子送達のためのHIVベースのレンチウイルスベクターであって、組込み型であることもあり、または非組込み型であることもあり、比較的大きいパッケージング容量を有し、様々な異なる細胞型に形質導入することができる、レンチウイルスベクターを意味する。レンチウイルスベクターは、産生細胞内への3つ(パッケージング、エンベロープおよび移入)またはそれより多くのプラスミドの一過性トランスフェクション後に通常は生成される。HIVと同様に、レンチウイルスベクターは、ウイルス表面糖タンパク質と細胞表面の受容体との相互作用によって標的細胞に侵入する。侵入すると、ウイルスRNAは、ウイルス逆転写酵素複合体により媒介される逆転写を受ける。逆転写の産物は、二本鎖線状ウイルスDNAであり、これは、感染細胞のDNA中へのウイルス組込みの基質である。本開示の実施形態を実践するのに有用な追加のベクターが本明細書に記載されている。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「宿主」は、一部の態様では、目的のポリペプチド(例えば、本開示の結合タンパク質)を産生するために異種核酸分子での遺伝子修飾の標的とされる細胞(例えば、T細胞)または微生物を指す。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、例えば異種タンパク質の生合成に関係するまたは関係しない所望の特性を付与する他の遺伝子修飾(例えば、検出可能なマーカーの組み入れ;内在性TCRの欠失、変更もしくは短縮化;または共刺激因子発現の増加)を、必要に応じて、既に有することもあり、または含むように修飾されることもある。
【0054】
本明細書で使用される場合、「造血前駆細胞」は、一部の態様では、造血幹細胞または胎児組織に由来し得る細胞であって、成熟細胞型(例えば、免疫系細胞)へとさらに分化することができる細胞である。例示的な造血前駆細胞としては、CD24LoLin-CD117+表現型を有するもの、または胸腺に見られるもの(前駆胸腺細胞と呼ばれる)が挙げられる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「免疫系細胞」または「免疫細胞」は、一部の態様では、2つの主要な系列、骨髄系前駆細胞(これは、骨髄系細胞、例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、巨核球および顆粒球を生じさせる)およびリンパ系前駆細胞(これは、リンパ系細胞、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびNK-T細胞を生じさせる)、を生じさせる、骨髄中の造血幹細胞に由来する免疫系の任意の細胞を意味する。例示的な免疫系細胞としては、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4-CD8-二重陰性T細胞、γδ T細胞、調節性T細胞、幹細胞メモリーT細胞、ナチュラルキラー細胞(例えば、NK細胞またはNK-T細胞)、および樹状細胞が挙げられる。マクロファージおよび樹状細胞は、「抗原提示細胞」または「APC」と呼ばれることもあり、「抗原提示細胞」または「APC」は、ペプチドと複合体化したAPCの表面の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)受容体がT細胞の表面のTCRと相互作用したときT細胞を活性化することができる特殊化した細胞である。
【0056】
今般記載される実施形態のいずれにおいても、本開示の免疫細胞を、異種ポリヌクレオチド、染色体遺伝子ノックアウトもしくは変異、またはそれらの組合せを含むように改変することができる。
【0057】
「T細胞」または「Tリンパ球」は、胸腺において成熟し、T細胞受容体(TCR)を産生する免疫系細胞である。T細胞は、ナイーブT細胞(例えば、抗原に曝露されていない;TCMと比較して、CD62L、CCR7、CD28、CD3、CD127、およびCD45RAの発現の増大、ならびにCD45ROの発現の低下)、メモリーT細胞(TM)(例えば、抗原を経験したおよび長寿命)、およびエフェクター細胞(抗原を経験した、細胞傷害性)に関連する表現型またはマーカーを示し得る。TMは、セントラルメモリーT細胞(TCM、例えば、ナイーブT細胞と比較して、CD62L、CCR7、CD28、CD127、CD45RO、およびCD95の発現の増大、ならびにCD54RAの発現の低下)およびエフェクターメモリーT細胞(TEM、例えばナイーブT細胞またはTCMと比較して、CD62L、CCR7、CD28、CD45RAの発現の低下、ならびにCD127の発現の増大)に関連する表現型またはマーカーを示すサブセットにさらに分けることができる。
【0058】
エフェクターT細胞(TE)は、TCMと比較して、CD62L、CCR7、CD28の発現の低下を有し、グランザイムおよびパーフォリンに関して陽性である抗原を経験したCD8+細胞傷害性Tリンパ球を指す。ヘルパーT細胞(TH)は、サイトカインを放出することによって他の免疫細胞の活性に影響を及ぼすCD4+細胞を含み得る。CD4+T細胞は、適応免疫応答を活性化することおよび抑制することができ、これら2つの機能のどちらが誘導されるのかは、他の細胞およびシグナルの存在に依存する。公知の技法を使用してT細胞を収集することができ、公知の技法により、例えば、抗体への親和性結合、フローサイトメトリーまたは免疫磁気選択により、様々な部分集団またはそれらの組合せを富化することまたは枯渇させることができる。他の例示的なT細胞としては、調節性T細胞、例えば、CD4+CD25+(Foxp3+)調節性T細胞およびTreg17細胞、ならびにTr1、Th3、CD8+CD28-、およびQa-1拘束T細胞が挙げられる。
【0059】
「T細胞系列の細胞」は、一部の態様では、それらの細胞を他のリンパ系細胞、および赤血球または骨髄細胞系列と区別する、T細胞またはその先駆体もしくは前駆体の少なくとも1つの表現型特性を示す細胞を指す。そのような表現型特性としては、T細胞に特異的な1つもしくは複数のタンパク質(例えば、CD3+、CD4+、CD8+)の発現、またはT細胞に特異的な生理的、形態的、機能的もしくは免疫学的特徴を挙げることができる。例えば、T細胞系列の細胞は、T細胞系列に運命決定された前駆細胞または先駆細胞;CD25+未熟および不活性化T細胞;CD4もしくはCD8系列に運命決定された細胞;CD4+CD8+二重陽性である胸腺細胞前駆細胞;単一陽性CD4+もしくはCD8+;TCRαβもしくはTCR γδ;または成熟および機能的または活性化T細胞であり得る。
【0060】
「主要組織適合性遺伝子複合体分子」(MHC分子)は、一部の態様では、ペプチド抗原を細胞表面に送達する糖タンパク質を指す。MHCクラスI分子は、膜通過α鎖(3つのαドメインを有する)と非共有結合的に会合しているβ2ミクログロブリンとからなるヘテロダイマーである。MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質、αおよびβ、で構成されており、これらの両方が膜にまたがっている。各鎖は、2つのドメインを有する。MHCクラスI分子は、サイトゾルに由来するペプチドを細胞表面に送達し、そこでペプチド:MHC複合体は、CD8+T細胞により認識される。MHCクラスII分子は、小胞系に由来するペプチドを細胞表面に送達し、そこで、それらは、CD4+T細胞によって認識される。MHC分子は、ヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ヤギ、ウマまたは他の哺乳動物を含む、様々な動物種からのものであり得る。
【0061】
「CD4」は、一部の態様では、TCRの抗原提示細胞との通信を補助する免疫グロブリン共受容体糖タンパク質を指す(Campbell & Reece, Biology 909 (Benjamin Cummings, Sixth Ed., 2002);UniProtKB P01730を参照されたい)。CD4は、免疫細胞、例えば、Tヘルパー細胞、単球、マクロファージおよび樹状細胞の表面に見られ、前記細胞表面で発現される4つの免疫グロブリンドメイン(D1~D4)を含む。抗原提示中に、CD4は、TCR複合体とともに動員されて、MHCII分子の異なる領域と結合する(CD4はMHCII β2に結合し、その一方でTCR複合体はMHCII α1/β1に結合する)。理論により拘束されることを望まないが、TCR複合体に非常に近接することにより、一部の文脈では、CD4関連キナーゼ分子が、CD3の細胞質ドメインに存在する免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)をリン酸化することが可能になる。この活性は、様々なタイプのヘルパーT細胞を産生するために、活性化TCRによって生じるシグナルを増幅すると考えられる。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「CD8共受容体」または「CD8」は、一部の態様では、アルファ・アルファホモダイマーまたはアルファ・ベータヘテロダイマーのどちらかとしての、細胞表面糖タンパク質CD8を意味する。CD8共受容体は、細胞傷害性T細胞(CD8+)の機能を補助し、その細胞質チロシンリン酸化経路経由でのシグナル伝達によって機能する(Gao and Jakobsen, Immunol.Today 21:630-636, 2000; Cole and Gao, Cell. Mol.Immunol.1:81-88, 2004)。ヒトの場合、五(5)つの異なるCD8ベータ鎖(UniProtKB識別子P10966を参照されたい)および単一のCD8アルファ鎖(UniProtKB識別子P01732を参照されたい)がある。
【0063】
本明細書で使用される場合、「統計的に有意な」は、一部の態様では、ステューデントt検定を使用して計算された場合に、0.050またはそれより小さいp値を指す場合があり、測定される特定の事象または結果が偶然に生じる可能性が低いことを示す。
【0064】
結合タンパク質、ポリヌクレオチド、および改変された免疫細胞
ある特定の態様では、本開示は、疾患または障害によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質を提供する。
【0065】
「結合タンパク質」は、本明細書では、標的(例えば、疾患に関連する抗原、例えば、過剰増殖性疾患に関連する抗原またはがんに関連する抗原)と特異的かつ共有結合によらずに会合、一体化、または化合する能力を有するタンパク質またはポリペプチドを指す。例示的な結合タンパク質として、抗体、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、他の受容体、リガンドなどが挙げられる。
【0066】
ある特定の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、疾患または障害によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合ドメインを含む。「結合ドメイン」(「結合領域」または「結合部分構造」とも呼ばれる)は、本明細書で使用される場合、標的(例えば、疾患に関連する抗原、例えば、過剰増殖性疾患に関連する抗原またはがんに関連する抗原)と特異的かつ共有結合によらずに会合、一体化、または化合する能力を有する分子またはその部分(例えば、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質(例えば、結合タンパク質))を指す。結合ドメインは、生体分子、分子複合体(すなわち、2つもしくはそれより多くの生体分子を含む複合体)または目的の他の標的に対する、任意の天然に存在する、合成の、半合成の、または組換えにより産生された結合パートナーを含む。例示的な結合ドメインとしては、単鎖免疫グロブリン可変領域(例えば、scTCR、scFv、Fab、TCR可変領域)、受容体細胞外ドメイン、リガンド(例えば、サイトカイン、ケモカイン)、または合成ポリペプチドであって、生体分子、分子複合体もしくは目的の他の標的と結合するそれらの特異的能力のために選択される合成ポリペプチドが挙げられる。
【0067】
「抗原」または「Ag」は、本明細書で使用される場合、免疫応答を惹起する免疫原性分子を指す。免疫応答は、例えば、抗体産生、サイトカインもしくはケモカインの産生およびそれによるシグナル伝達、特定の免疫学的にコンピテントな細胞(例えば、T細胞)の活性化、抗原の発現もしくは提示部位への細胞の遊走、またはそれらの任意の組合せを伴い得る。抗原(免疫原性分子)は、例えば、ペプチド、グリコペプチド、ポリペプチド、グリコポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、脂質などであり得る。抗原を合成、組換えにより産生、または生体試料から得ることができる。1つまたは複数の抗原を含有することができる例示的な生体試料としては、組織試料、腫瘍試料、細胞、生体液、またはそれらの組合せが挙げられる。抗原は、抗原を発現するように改変されたまたは遺伝子操作された細胞によって産生され得る。
【0068】
用語「エピトープ」または「抗原エピトープ」は、免疫グロブリン、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体または他の結合分子、ドメインもしくはタンパク質などの、同族結合分子により認識され、特異的に結合される、任意の分子、構造、アミノ酸配列またはタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、一般に、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的活性表面集団を含有し、特異的三次元構造特性および特異的電荷特性を有することができる。
【0069】
用語「相補性決定領域」および「CDR」は、「超可変領域」または「HVR」と同義であり、抗原特異性および/または結合親和性を付与するTCRまたは抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指すことは当技術分野において公知である。一般に、免疫グロブリン結合タンパク質の各可変領域には、3つのCDRが存在し;例えば、抗体では、VHおよびVL領域は、6つのCDR(CDRH1、CDRH2、CDRH3;CDRL1、CDRL2、CDRL3)を含む。一般に、TCR(αおよびβ鎖を含む)では、各アルファ鎖可変領域に3つのCDR(αCDR1、αCDR2、αCDR3)および各ベータ鎖可変領域に3つのCDR(βCDR1、βCDR2、βCDR3)が存在する。TCRの場合には、CDR3は、プロセシングされた抗原を認識するのに関与する主なCDRであると考えられ、CDR1およびCDR2は、MHCと主に相互作用すると考えられる。本明細書で使用される場合、CDRの「バリアント」は、最大で1~3個のアミノ酸置換、欠失、またはそれらの組合せを有するCDR配列の機能的バリアントを指す。
【0070】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、結合タンパク質は、T細胞受容体またはキメラ抗原受容体であり得るかまたはそれを含み得る。「T細胞受容体」(TCR)とは、MHC受容体に結合した抗原ペプチドと特異的に結合することができる免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー(可変結合ドメイン、定常ドメイン、膜貫通領域および短い細胞質側テールを有する;例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照されたい)を指す。TCRは、細胞の表面にまたは可溶性形態で見られることがあり、一般に、α鎖およびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても公知)、またはγ鎖およびδ鎖(それぞれ、TCRγおよびTCRδとしても公知)を有するヘテロダイマーから構成される。各々のTCR鎖(例えば、α鎖、β鎖)の細胞外部分は、次の2つの免疫グロブリンドメインを含む:N末端における可変ドメイン(例えば、α鎖可変ドメインまたはVα、β鎖可変ドメインまたはVβ;通常は、Kabat番号付け(Kabat et al., "Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)に基づいてアミノ酸1~116)、および細胞膜に隣接した1つの定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインまたはCα、通常はKabatに基づいてアミノ酸117~259、β鎖定常ドメインまたはCβ、通常はKabatに基づいてアミノ酸117~295)。また、免疫グロブリンと同様に、可変ドメインは、フレームワーク領域(FR)によって隔てられた相補性決定領域(CDR)を含む(例えば、Jores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci.U.S.A.87:9138, 1990; Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照されたく、Lefranc et al., Dev.Comp.Immunol.27:55, 2003も参照されたい)。ある特定の実施形態では、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面に見られ、CD3複合体と会合している。本開示で使用される場合のTCRの供給源は、様々な動物種、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギまたは他の哺乳動物からのものであり得る。操作されたTCRを産生する方法は、例えば、Bowerman et al., Mol.Immunol., 46(15):3000 (2009)に記載されており、この参考文献の手法は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
ある特定の実施形態では、TCRの抗原結合断片は、単鎖TCR(scTCR)を含み、これは、TCR VαとVβドメインの両方を含むが、単一のTCR定常ドメイン(CαまたはCβ)しか含まない。ある特定の実施形態では、TCRまたはキメラ抗原受容体(本明細書に記載されている)の抗原結合断片は、キメラ(例えば、1より多いドナーまたは種に由来するアミノ酸残基またはモチーフを含む)、ヒト化(例えば、ヒトにおける免疫原性のリスクを低減するために変更または置換される非ヒト生物からの残基を含む)、またはヒトである。
【0072】
「キメラ抗原受容体」(CAR)は、天然に存在しないまたは宿主細胞に天然に存在しない方法で互いに連結された2つまたはそれより多くの天然に存在するアミノ酸配列を含有するように操作された、本開示の融合タンパク質であって、細胞の表面に存在するときに受容体として機能することができる融合タンパク質を指す。本開示のCARは、膜貫通ドメインおよび1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインに連結されている、抗原結合ドメイン(例えば、免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン様分子から得られるもしくは誘導される抗原結合ドメイン、例えば、がん抗原に特異的な抗体もしくはTCRから誘導されるscFv、またはNK細胞からのキラー免疫受容体から誘導されるもしくは得られる抗原結合ドメイン)を含む(必要に応じて共刺激ドメインを含有する)細胞外部分を含む(例えば、Sadelain et al., Cancer Discov., 3(4):388 (2013)を参照されたく、Harris and Kranz, Trends Pharmacol.Sci., 37(3):220 (2016); Stone et al., Cancer Immunol.Immunother., 63(11):1163(2014)も参照されたい)。ある特定の実施形態では、結合タンパク質は、抗原特異的TCR結合ドメインを含むCARを含む(例えば、Walseng et al., Scientific Reports 7:10713, 2017を参照されたい;この参考文献のTCR CAR構築物および方法は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0073】
CARを含む結合タンパク質を作製する方法は、例えば、米国特許第6,410,319号;米国特許第7,446,191号;米国特許出願公開第2010/065818号;米国特許第8,822,647号;PCT特許出願公開第WO2014/031687号;米国特許第7,514,537号;およびBrentjens etal., 2007, Clin. Cancer Res. 13:5426(その手法は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0074】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」または「に特異的な」は、試料中のいずれの他の分子または成分とも有意に会合も一体化もしない、105M-1に等しいかまたはそれより高い(これは、この会合反応についての会合速度[kon]の解離速度[koff]に対する比に等しい)親和性またはKA(すなわち、単位が1/Mである、特定の結合相互作用の平衡会合定数)での、結合タンパク質(例えば、T細胞受容体またはキメラ抗原受容体)または結合ドメイン(またはその結合タンパク質)の標的分子(例えば、疾患、例えば、過剰増殖性疾患、例えば、がんと会合する抗原)への会合または一体化を指す。結合タンパク質または結合ドメイン(またはそれらの結合タンパク質)は、「高親和性」結合タンパク質もしくは結合ドメイン(もしくはそれらの結合タンパク質)として分類されることもあり、または「低親和性」結合タンパク質もしくは結合ドメイン(もしくはそれらの結合タンパク質)として分類されることもある。「高親和性」結合タンパク質または結合ドメインは、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも1012M-1、または少なくとも1013M-1のKAを有する、結合タンパク質または結合ドメインを指す。「低親和性」結合タンパク質または結合ドメインは、最大で107M-1、最大で106M-1、最大で105M-1のKAを有する、結合タンパク質または結合ドメインを指す。あるいは、単位がMである(例えば、10-5M~10-13Mまたはそれ未満)、特定の結合相互作用の平衡解離定数(KD)として、親和性を定義することができる。
【0075】
ある特定の実施形態では、受容体または結合ドメインは、「増強された親和性」を有することができ、この「増強された親和性」は、野生型(または親)結合ドメインよりも標的抗原と強く結合する、選択もしくは操作された受容体または結合ドメインを指す。例えば、増強された親和性は、野生型結合ドメインよりも高い標的抗原に対するKA(平衡会合定数)に起因することもあり、野生型結合ドメインのものより低い標的抗原に対するKD(平衡解離定数)に起因することもあり、野生型結合ドメインのものよりも低い標的抗原に対するオフレート(koff)に起因することもあり、またはそれらの組合せであることもある。ある特定の実施形態では、結合タンパク質は、T細胞などの特定の宿主細胞における発現を増強するためにコドン最適化され得る(Scholten et al., Clin.Immunol.119:135, 2006)。
【0076】
特定の標的に特異的に結合する本開示の結合ドメインを同定するための、および結合ドメインまたは結合タンパク質親和性を決定するための、様々なアッセイ、例えば、ウェスタンブロット、ELISA、分析用超遠心分離、分光法および表面プラズモン共鳴(Biacore(登録商標))分析が、公知である(例えば、Scatchard et al., Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660, 1949; Wilson, Science 295:2103, 2002; Wolff et al., Cancer Res.53:2560, 1993;および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号または対応特許を参照されたい)。親和性または見かけの親和性または相対親和性を評価するアッセイも公知である。ある特定の例では、結合タンパク質の見かけの親和性は、様々な濃度のテトラマーとの結合を評定することにより、例えば、標識されたテトラマーを使用してフローサイトメトリーにより測定される。一部の例では、結合タンパク質の見かけのKDは、ある濃度範囲の標識されたテトラマーの2倍希釈物を使用して測定され、続いて非線形回帰により結合曲線が決定され、半最大結合を生じさせたリガンドの濃度として見かけのKDが決定される。
【0077】
一部の実施形態では、結合タンパク質は、腫瘍関連抗原に特異的に結合する。特定の実施形態では、腫瘍関連抗原は、ROR1、EGFR、EGFRvIII、EGP-2、EGP-40、GD2、GD3、HPV E6、HPV E7、Her2、L1-CAM、Lewis A、Lewis Y、MUC1、MUC16、PSCA、PSMA、CD19、CD20、CD22、CD56、CD23、CD24、CD30、CD33、CD37、CD44v7/8、CD38、CD56、CD123、CA125、c-MET、FcRH5、WT1、葉酸受容体α、VEGF-α、VEGFR1、VEGFR2、IL-13Rα2、IL-11Rα、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、SSX-2、PRAME、HA-1H、PSA、エフリンA2、エフリンB2、NKG2D、NY-ESO-1、TAG-72、メソテリン、NY-ESO、5T4、BCMA、FAP、炭酸脱水酵素9、ERBB2、BRAFV600E、およびCEAから選択される。
【0078】
一部の実施形態では、腫瘍関連抗原は、ROR1である。ある特定の実施形態では、結合ドメインは、配列番号6、7、および8によるHCDR、ならびに配列番号2、3、および4によるLCDRを含む。他の実施形態では、結合ドメインは、配列番号15、16、および17によるHCDR、ならびに配列番号11、12、および13によるLCDRを含む。
【0079】
一部の実施形態では、結合ドメインは、配列番号5に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖可変ドメイン(VH)、ならびに配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。他の実施形態では、結合ドメインは、配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVH、ならびに配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるVLを含む。特定の実施形態では、結合タンパク質は、抗体2A2、抗体R12、抗体R11、抗体UC-961、抗体D10、または抗体H10に由来する結合ドメインを含む。WO2014/031687、WO2012/076066、US2015/232569、US2012/0058051;US9,316,646;US2013/0251642;US9,217,040;Yang etal., PLoS One 6(6):e21018 (2011);およびChoi et al., Clin.LymphomaMyelomaLeu.(2015) 15(Suppl):S167-S169に開示される全てのROR1抗体ならびに関連するタンパク質および核酸構築物および関連する配列は参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
一部の実施形態では、結合ドメインは、短いリンカーペプチドによって接続した重鎖および軽鎖可変領域を含む単鎖可変断片(scFv)であるかまたはそれを含む。本開示の実施形態のいずれにおいても、リンカーは、配列番号18~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなってもよい。
【0081】
本開示の任意のscFvを、VLドメインのC末端が短いペプチド配列によってVHドメインのN末端に連結される、または逆に、VHドメインのC末端が、短いペプチド配列によってVLドメインのN末端に連結される(すなわち、(N)VL(C)-リンカー-(N)VH(C)または(N)VH(C)-リンカー-(N)VL(C))ように、操作することができる。ある特定の実施形態では、本開示の結合ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるscFvを含む。ある特定の実施形態では、結合タンパク質は、結合ドメインを含む細胞外成分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分との間に配置された膜貫通成分を含む。本明細書で使用される場合、「エフェクタードメイン」は、適切なシグナルを受け取ったときの細胞における生物学的または生理的応答を直接または間接的に促進することができる、結合タンパク質または受容体の細胞内部分またはシグナル伝達ドメインである。ある特定の実施形態では、エフェクタードメインは、結合されたときに、あるいはタンパク質もしくはその一部分またはタンパク質複合体が、標的分子と直接結合し、エフェクタードメインからのシグナルを誘発したときにシグナルを受け取る、タンパク質もしくはその一部分またはタンパク質複合体からのものである。
【0082】
エフェクタードメインは、それが、1つまたは複数のシグナル伝達ドメインまたはモチーフ、例えば、共刺激分子に見られるような細胞内チロシンベース活性化モチーフ(Intracellular Tyrosine-based Activation Motif:ITAM)を含有する場合、細胞応答を直接促進することができる。理論により拘束されることを望まないが、一部の態様では、ITAMは、T細胞受容体によるまたはT細胞エフェクタードメインを含む結合タンパク質によるリガンド(例えば、抗原)結合後のT細胞刺激または活性化に重要であり得る。ある特定の実施形態では、細胞内成分は、ITAMを含む。例示的なエフェクタードメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD3ε、CD3δ、CD3ζ、CD25、CD27、CD28、CD79A、CD79B、CARD11、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、HVEM、ICOS、Lck、LAG3、LAT、LRP、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、Wnt、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、pTα、TCRα、TCRβ、TRIM、Zap70、PTCH2、またはそれらの任意の組合せからのものを含む。ある特定の実施形態では、エフェクタードメインは、リンパ球受容体シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を含む。
【0083】
さらなる実施形態では、結合タンパク質の細胞内成分は、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)またはそれらの組合せから選択される、共刺激ドメインまたはそのシグナル伝達部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞内成分は、CD28共刺激ドメインもしくはそのシグナル伝達部分(これは、ネイティブCD28タンパク質の186~187位にLL→GG変異を必要に応じて含み得る(Nguyen et al., Blood 102:4320, 2003を参照されたい))、4-1BB共刺激ドメインもしくはそのシグナル伝達部分、または両方を含む。
【0084】
ある特定の実施形態では、エフェクタードメインは、CD3ζまたはその機能的部分を含む。ヒト4-1BBからの例示的なアミノ酸配列は、配列番号24に提供される。ある特定の実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号24に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。さらなる実施形態では、エフェクタードメインは、CD27からの部分またはシグナル伝達ドメインを含む。さらなる実施形態では、エフェクタードメインは、CD28からの部分またはシグナル伝達ドメインを含む。なおさらなる実施形態では、エフェクタードメインは、4-1BBからの部分またはシグナル伝達ドメインを含む。ヒト4-1BBからの例示的なアミノ酸配列は、配列番号23に提供される。さらなる実施形態では、エフェクタードメインは、OX40からの部分またはシグナル伝達ドメインを含む。
【0085】
本開示の細胞外成分および細胞内成分は、膜貫通ドメインによって接続されている。「膜貫通ドメイン」は、本明細書で使用される場合、細胞膜に挿入することまたは細胞膜を通過することができる、膜貫通タンパク質の一部分である。膜貫通ドメインは、細胞膜内で熱力学的に安定している三次元構造を有し、一般に、長さが約15アミノ酸~約30アミノ酸の範囲である。膜貫通ドメインの構造は、アルファヘリックス、ベータバレル、ベータシート、ベータヘリックス、またはそれらの任意の組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、公知の膜貫通タンパク質を含むまたは公知の膜貫通タンパク質に由来するもの(すなわち、CD4膜貫通ドメイン、CD8膜貫通ドメイン、CD27膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、またはそれらの任意の組合せ)である。ヒトCD28からの例示的なアミノ酸配列は、配列番号22に提供される。特定の実施形態では、結合タンパク質の膜貫通成分は、CD28ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインおよび必要に応じて共刺激ドメイン、例えば、4-1BBシグナル伝達ドメインを含む細胞内成分に由来する。ある特定の実施形態では、結合タンパク質の膜貫通成分は、配列番号22に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、共刺激ドメインは、配列番号23に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0086】
特定の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるscFv、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる膜貫通成分、および配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる共刺激ドメインを含む。
【0087】
ある特定の実施形態では、結合タンパク質の細胞外成分は、結合ドメインと膜貫通ドメインの間に配置されたリンカーをさらに含む。結合ドメインと膜貫通ドメインを接続する結合タンパク質の成分に言及するときに本明細書で使用される場合、「リンカー」は、リンカーによって接続された2つの領域、ドメイン、モチーフ、断片またはモジュール間に柔軟性および立体構造移動の余地を与えることができる、約2アミノ酸~約500アミノ酸を有するアミノ酸配列であり得る。例えば、本開示のリンカーは、結合タンパク質を発現する宿主細胞の表面から離れた位置に結合ドメインを置いて、宿主細胞と標的細胞間の適切な接触、抗原結合、および活性化を可能にすることができる(Patel et al., Gene Therapy 6: 412-419, 1999)。選択される標的分子、選択される結合エピトープ、または抗原結合ドメインのサイズ(seize)および親和性に基づいて、抗原認識を最大にするようにリンカー長を変えることができる(例えば、Guest et al., J. Immunother.28:203-11, 2005;PCT公開番号WO2014/031687を参照されたい)。例示的なリンカーとしては、GlyxSery(ここで、xおよびyは、各々独立して0~10の整数であり、ただし、xおよびyが両方ともに0ではない)の1~約10の反復を有するグリシン-セリンアミノ酸鎖を有するもの(例えば、(Gly4Ser)2、(Gly3Ser)2、Gly2Ser、またはそれらの組合せ、例えば、((Gly3Ser)2Gly2Ser)が挙げられる。本開示の実施形態のいずれにおいても、リンカーは、配列番号18~21のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり得る。
【0088】
本開示のリンカーは、免疫グロブリン定常領域(すなわち、任意のアイソタイプのCH1、CH2、CH3またはCL)およびそれらの部分も含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、CH3ドメイン、CH2ドメイン、または両方を含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。さらなる実施形態では、CH2ドメインおよびCH3ドメインは、各々、同じアイソタイプである。特定の実施形態では、CH2ドメインおよびCH3ドメインは、IgG4またはIgG1アイソタイプである。他の実施形態では、CH2ドメインおよびCH3ドメインは、各々、異なるアイソタイプである。特定の実施形態では、CH2は、N297Q変異を含む。理論により拘束されることを望まないが、一部の状況では、N297Q変異を有するCH2ドメインは、FcγRに結合しないと考えられる(例えば、Sazinsky et al., PNAS 105(51):20167 (2008)を参照されたい)。ある特定の実施形態では、リンカーは、ヒト免疫グロブリン定常領域またはその部分を含む。
【0089】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、リンカーは、ヒンジ領域またはその部分を含み得る。ヒンジ領域は、可変長および配列(通常はプロリンおよびシステインアミノ酸を多く含む)の柔軟なアミノ酸ポリマーであり、免疫グロブリンタンパク質の柔軟性がより高い領域とより低い領域を接続する。例えば、ヒンジ領域は、抗体の重鎖定常および可変領域に接続し、TCRの定常および膜貫通領域に接続する。
【0090】
ある特定の実施形態では、結合タンパク質の細胞外成分、結合ドメイン、リンカー、膜貫通ドメイン、細胞内成分(例えば、エフェクタードメイン、共刺激ドメインまたは両方)のうちの1つまたは複数は、接合部アミノ酸を含む。「接合部アミノ酸」または「接合部アミノ酸残基」は、タンパク質の2つの隣接するドメイン、モチーフ、領域、モジュール、または断片間の、例えば、結合ドメインと隣接リンカーの間、膜貫通ドメインと隣接細胞外もしくは細胞内ドメインの間、または2つのドメイン、モチーフ、領域、モジュール、もしくは断片を連結するリンカーの一方もしくは両方の末端上(例えば、リンカーと隣接結合ドメインの間またはリンカーと隣接ヒンジの間)の、1つまたは複数(例えば、約2~20)のアミノ酸残基を指す。接合部アミノ酸は、結合タンパク質の構築物設計の結果として生じ得る(例えば、結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの構築中の制限酵素部位または自己切断ペプチド配列の使用の結果として生じるアミノ酸残基)。例えば、結合タンパク質の膜貫通ドメインは、アミノ末端、カルボキシ末端、または両方に、1つまたは複数の接合部アミノ酸を有し得る。
【0091】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、タンパク質タグ(本明細書では、ペプチドタグまたはタグペプチドとも呼ばれる)をさらに含み得る。タンパク質タグは、目的のタンパク質に付けられているかもしくは遺伝子融合されている、または目的のタンパク質の一部分である、特有のペプチド配列であり、例えば、異種または非内在性同族結合分子または基質(例えば、受容体、リガンド、抗体、炭水化物、もしくは金属マトリックス)によって認識されるかまたは結合され得る。タンパク質タグは、目的のタグ付きタンパク質の検出、識別、単離、追跡、精製、濃縮、標的化、または生物学的もしくは化学的修飾に、特に、タグ付きタンパク質が、細胞の異種集団(例えば、末梢血のような生体試料)の一部である場合に有用である。提供された結合タンパク質において、同族結合分子がタグと特異的に結合できることは、結合ドメインが過剰増殖性疾患に関連する抗原に特異的に結合できることとは明確に異なり、結合ドメインが過剰増殖性疾患に関連する抗原に特異的に結合できることに加えてである。ある特定の実施形態では、タンパク質タグは、Mycタグ、Hisタグ、Flagタグ、Xpressタグ、Aviタグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタミン酸タグ、HAタグ、Nusタグ、Sタグ、SBPタグ、Softag、V5タグ、CBP、GST、MBP、GFP、チオレドキシンタグ、Strep(登録商標)タグ、またはそれらの任意の組合せである。
【0092】
組換えにより産生された可溶性結合タンパク質を単離および精製するのに有用な方法は、例として、組換え可溶性結合タンパク質を培養培地に分泌する好適な宿主細胞/ベクター系から上清を得るステップ、および次いで市販のフィルターを使用して培地を濃縮するステップを含み得る。濃縮後、濃縮物を単一の好適な精製マトリックスに、または一連の好適なマトリックス、例えば、アフィニティーマトリックスもしくはイオン交換樹脂に、適用することができる。1つまたは複数の逆相HPLCステップを利用して、組換えポリペプチドをさらに精製することができる。これらの精製方法は、免疫原をその天然環境から単離するときに利用することもできる。本明細書に記載される単離された/組換え可溶性結合タンパク質の1つまたは複数についての大規模産生方法は、好適な培養条件を維持するためにモニタリングおよび制御される、バッチ細胞培養を含む。本明細書に記載される、当技術分野で公知である、ならびに自国および外国の規制機関の法律およびガイドラインと適合する方法に従って、可溶性結合タンパク質の精製を行うことができる。
【0093】
本明細書に記載の結合タンパク質は、T細胞結合、刺激、活性化または誘導の決定を含み、抗原特異的であるT細胞応答の決定も含む、宿主細胞(例えば、T細胞)活性をアッセイするための当技術分野において一般に認められている多数の方法論のいずれかに従って機能的に特徴付けることができる。例は、T細胞増殖、T細胞サイトカイン放出、抗原特異的T細胞刺激、MHC拘束T細胞刺激、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性(例えば、前もって負荷された標的細胞からの51Crまたはユーロピウムの放出を検出することによる)、T細胞表現型マーカー発現の変化、およびT細胞機能の他の尺度の決定を含む。これらおよび類似のアッセイを行うための手順は、例えば、Lefkovits(Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, 1998)において見つけることができる。Current Protocols in Immunology; Weir, Handbook of Experimental Immunology, Blackwell Scientific, Boston, MA (1986); Mishell and Shigii (eds.)Selected Methods in Cellular Immunology, Freeman Publishing, San Francisco, CA (1979); Green and Reed, Science 281:1309 (1998)およびこれらに引用されている参考文献も参照されたい。
【0094】
サイトカインレベルは、例えば、ELISA、ELISPOT、細胞内サイトカイン染色およびフローサイトメトリー、ならびにそれらの組合せ(例えば、細胞内サイトカイン染色とフローサイトメトリー)を含む、本明細書に記載されるおよび当技術分野において実施されている方法に従って、決定することができる。免疫応答の抗原特異的惹起または刺激の結果として生じる免疫細胞増殖およびクローン拡大は、末梢血液細胞またはリンパ節からの細胞の試料中の循環リンパ球などのリンパ球を単離し、前記細胞を抗原で刺激し、サイトカイン産生、細胞増殖および/または細胞生存率を、例えば、トリチウム化チミジンの取り込みまたは非放射性アッセイ、例えばMTTアッセイなどにより、測定することによって、決定することができる。Th1免疫応答とTh2免疫応答の間のバランスに対する本明細書に記載される免疫原の効果は、例えば、Th1サイトカイン、例えば、IFN-γ、IL-12、IL-2およびTNF-β、ならびに2型サイトカイン、例えば、IL-4、IL-5、IL-9、IL-10およびIL-13、のレベルを決定することによって、検査することができる。
【0095】
別の態様では、本明細書に記載の結合タンパク質のいずれか1つまたは複数をコードする核酸分子またはポリヌクレオチドが提供される。所望の結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、それを含むことが公知のベクターから配列を導出することによって、またはそれを含有する細胞もしくは組織から配列もしくはその部分を直接単離することによって、所望の配列またはその部分を発現する細胞からライブラリーをスクリーニングすることなどの標準的手法を使用して、当技術分野で公知の組換え方法を使用して得るかまたは産生することができる。あるいは、目的の配列は、合成によって生成することができる。このような核酸分子を、目的の宿主細胞(例えば、T細胞などの免疫細胞)への導入のために適切なベクター(例えば、ウイルスベクターまたは非ウイルスプラスミドベクター)に挿入することができる。
【0096】
ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよび形質導入マーカー(例えば、短縮型ヒトCD19(huCD19t)、短縮型ヒトEGFR(huEGFRt;Wang etal., Blood 118:1255 (2011)を参照されたい)、短縮型ヒトNGFR(例えば、huNGFRt)、短縮型ヒトCD34(例えば、huCD34t)、GFP、およびヒトCD2の細胞外ドメインなど)をコードするポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、コードされたマーカーは、EGFRt、CD19t、CD34t、またはNGFRtを含む。異種ポリヌクレオチドで形質導入された宿主細胞により異種ポリヌクレオチドの発現を識別またはモニタリングするために、または目的の結合タンパク質を発現する細胞を検出するために、マーカーを使用することができる。
【0097】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、自己切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含むことができ、自己切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドとマーカーをコードするポリヌクレオチドの間に位置する。結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、それを含む宿主細胞によって発現され、結合タンパク質およびマーカーは、宿主細胞の表面に別々の分子として発現される。
【0098】
ある特定の実施形態では、自己切断ポリペプチドは、ブタテッショウイルス-1(P2A)、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)、もしくは口蹄疫ウイルス(F2A)またはそれらのバリアント由来の2Aペプチドを含む。2Aペプチドのさらなる例示的な核酸およびアミノ酸配列は、例えば、Kimら(PLOSOne6:e18556, 2011、この2A核酸およびアミノ酸配列はそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一部の実施形態では、結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、自己切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、P2A、F2A、T2A、E2A、およびそれらのバリアント、これらは、Kimら(PLOSOne6:e18556,2011)に記載されており、この2Aペプチドおよびそのアミノ酸および核酸配列はそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって、形質導入マーカーをコードするポリヌクレオチドから分離される。
【0099】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、本開示のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドを含有する宿主細胞に対してコドン最適化されていてもよい(例えば、Scholten etal., Clin. Immunol. 119:135-145 (2006)を参照されたい)。
【0100】
さらなる態様では、発現制御配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結された本開示のポリヌクレオチドを含む発現構築物が、提供される。ある特定の実施形態では、発現構築物は、ベクター内に含まれる。例示的なベクターは、そのポリヌクレオチドが連結されている別のポリヌクレオチドを輸送することができるポリヌクレオチド、または宿主生物において複製することができるポリヌクレオチドを含むことができる。ベクターの一部の例としては、プラスミド、ウイルスベクター、コスミドなどが挙げられる。導入される宿主細胞において自律複製が可能であり得るベクター(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム哺乳動物ベクター)もあるが、宿主細胞のゲノムに組み込まれ得る、または宿主細胞への導入の際にポリヌクレオチド挿入物の組込みを促進し、それによって宿主ゲノムとともに複製し得るベクター(例えば、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター)もある。加えて、一部のベクターは、それらが作用的に連結されている遺伝子の発現を指示することができる(これらのベクターは、「発現ベクター」と呼ばれることもある)。関連実施形態に従って、1つまたは複数の作用因子(例えば、本明細書に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド)が対象に共投与される場合には、各作用因子が、別々のベクターまたは同じベクターの中に存在することができ、複数のベクター(各々が異なる作用因子または同じ作用因子を含有する)を細胞もしくは細胞集団に導入することができ、または対象に投与することができることは、さらに理解される。
【0101】
ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドを、ベクターのある特定のエレメントに作用的に連結させることができる。例えば、ポリヌクレオチド配列であって、ポリヌクレオチド配列がライゲーションされるコード配列の発現およびプロセシングを生じさせる必要があるポリヌクレオチド配列を、作用的に連結させることができる。発現制御配列としては、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的RNAプロセシングシグナル、例えば、スプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質安定性を向上させる配列;ならびにことによると、タンパク質分泌を増進する配列を挙げることができる。発現制御配列は、発現制御配列が、目的の遺伝子と、および目的の遺伝子を制御するようにトランスでまたは少し離れて作用する発現制御配列と近接している場合、作用的に連結されていてよい。
【0102】
ある特定の実施形態では、ベクターは、プラスミドベクターまたはウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクターまたはγ-レトロウイルスベクターから選択されるベクター)を含む。ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクターであり得る。他の実施形態では、ウイルスベクターは、より複雑なレトロウイルス由来ベクター、例えば、レンチウイルス由来ベクターであり得る。HIV-1由来ベクターは、このカテゴリーに属する。他の例としては、HIV-2、FIV、ウマ伝染性貧血ウイルス、SIV、およびマエディ・ビスナウイルス(ヒツジレンチウイルス)に由来する、レンチウイルスベクターが挙げられる。レトロウイルスおよびレンチウイルスウイルスベクターの使用方法、およびCAR導入遺伝子を含有するウイルス粒子で哺乳動物宿主細胞に形質導入するための細胞のパッケージング細胞は、当技術分野において公知であり、以前に、例えば、米国特許第8,119,772号;Walchli et al., PLoS One 6:327930, 2011; Zhao et al., J. Immunol.174:4415, 2005; Engels et al., Hum.Gene Ther.14:1155, 2003; Frecha et al., Mol.Ther.18:1748, 2010;およびVerhoeyen et al., Methods Mol.Biol.506:97, 2009に記載されている。レトロウイルスおよびレンチウイルスベクター構築物および発現系は、市販もされている。他のウイルスベクターも、ポリヌクレオチド送達に使用することができ、それらには、例えばアデノウイルスベースのベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベースのベクターを含む、DNAウイルスベクター;アンプリコンベクター、複製欠損HSVおよび弱毒化HSVを含む、単純ヘルペスウイルス(HSV)に由来するベクターが含まれる(Krisky et al., Gene Ther.5:1517, 1998)。
【0103】
ウイルスベクターゲノムが、別々の転写物として宿主細胞において発現される複数のポリヌクレオチドを含む場合、そのウイルスベクターは、2つ(またはそれより多くの)転写物間に追加の配列を含むこともでき、それによってバイシストロン性またはマルチシストロン性発現が可能になる。ウイルスベクターに使用されるそのような配列の例としては、配列内リボソーム進入部位(IRES)、フューリン切断部位、ウイルス2Aペプチド、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0104】
遺伝子治療に用られる他のベクターも、本開示の組成物および方法とともに使用することができる。そのようなベクターとしては、バキュロウイルスおよびαウイルスに由来するもの(Jolly, D J. 1999. Emerging Viral Vectors. pp 209-40 in Friedmann T. ed. The Development of Human Gene Therapy. New York: Cold Spring Harbor Lab)、またはプラスミドベクター(例えば、スリーピング・ビューティーもしくは他のトランスポゾンベクター)が挙げられる。
【0105】
目的の結合タンパク質の遺伝子操作および産生に使用される発現ベクターの構築は、当技術分野において公知の任意の好適な分子生物学操作手法を使用することにより遂行することができる。効率的な転写および翻訳を達成するために、各組換え発現構築物中のポリヌクレオチドは、免疫原をコードするヌクレオチド配列に作動可能に(すなわち、作用的に(operatively))連結された少なくとも1つの適切な発現制御配列(調節配列とも呼ばれる)、例えば、リーダー配列および特にプロモーターを含む。
【0106】
ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、養子移入治療(例えば、がん抗原を標的とする、またはタグペプチドを発現する養子移入された細胞を標的とする)において使用するための宿主細胞(例えば、T細胞)へのトランスフェクション/形質導入に使用される。T細胞に所望の核酸をトランスフェクトする/T細胞に所望の核酸で形質導入する方法は、記載されており(例えば、米国特許出願公開第2004/0087025号)、所望の標的特異性のT細胞を使用する養子移入手順も記載されており(例えば、Schmitt et al., Hum. Gen. 20:1240, 2009; Dossett et al., Mol. Ther. 17:742, 2009; Till et al., Blood 112:2261, 2008; Wang et al., Hum. Gene Ther.18:712, 2007; Kuball et al., Blood 109:2331, 2007;米国特許出願公開第2011/0243972号;米国特許出願公開第2011/0189141号;Leen et al., Ann. Rev. Immunol. 25:243, 2007)、したがって、今般開示され実施形態へのこれらの方法論の適用が、本開示の融合タンパク質に関するものを含む本明細書における教示に基づいて企図される。したがって、別の態様では、本開示のポリヌクレオチドを含み、コードされた結合タンパク質を発現するよう改変された宿主細胞が提供され、コードされた結合タンパク質は、発現される際に、宿主細胞の細胞表面に位置する。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、造血前駆細胞またはヒト免疫系細胞である。さらなる実施形態では、免疫系細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4-CD8-二重陰性T細胞、幹細胞メモリーT細胞、γδ T細胞、ナチュラルキラー細胞(例えば、NK細胞またはNK-T細胞)、樹状細胞、またはそれらの任意の組合せである。ある特定の実施形態では、免疫系細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、または両方である。ある特定の実施形態では、T細胞は、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、幹細胞メモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、またはそれらの任意の組合せである。実施形態では、改変された免疫細胞は、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子(ICDの誘導に関連する作用因子は、本明細書でさらに記載されている)に耐性であってもよく、耐性でなくてもよく、またはICDの誘導に関連する作用因子に耐性であるようにさらに操作もしくは改変することもできる;例えば、その作用因子耐性細胞ならびにそれを作製および使用する方法が参照により本明細書に組みこまれる、PCT特許出願公開第WO2011/053750号を参照されたい。
【0107】
宿主細胞は、ベクターをもしくは核酸の組み入れを受け入れることができる、またはタンパク質を発現することができる、任意の個々の細胞または細胞培養物を含むことができる。この用語は、遺伝的にまたは表現型的に同じであるのか異なるのかを問わず、宿主細胞の子孫も包含する。好適な宿主細胞は、ベクターに依存し得、哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞、サル細胞、昆虫細胞、酵母細胞および細菌細胞を含み得る。ウイルスベクターの使用、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションによる形質転換、または他の方法によって、ベクターまたは他の材料を組み入れるように、これらの細胞を誘導することができる。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d ed. (Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)を参照されたい。
【0108】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、宿主細胞は、PD-1、LAG-3、CTLA4、TIM3、TIGIT、HLA分子、TCR分子、またはこれらの任意の成分もしくは組合せから選択されるポリペプチド産物をコードする1つまたは複数の内在性遺伝子の発現を阻害するか、低減するかまたは排除するように改変される免疫細胞であり得る。
【0109】
理論により拘束されることを望まないが、ある特定の内在性発現された免疫細胞タンパク質は、改変された免疫宿主細胞の免疫活性を阻害もしくは低減することができ(例えば、PD-1、LAG-3、CTLA4、TIGIT)、または本開示の結合タンパク質と宿主細胞による発現について競合することができ、または本開示の異種発現された結合タンパク質の結合活性に干渉することおよび標的細胞もしくは抗原への改変された免疫細胞の結合に干渉することができる。さらに、細胞移入治療に使用されることになるドナー免疫細胞(例えば、結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞)上に発現される内在性タンパク質(例えば、内在性宿主細胞タンパク質、例えばHLA)は、同種異系レシピエントにより外来性と認識されることがあり、その結果、同種異系レシピエントによりドナー免疫細胞が排除または抑制されることになるか、または投与されたドナー細胞が同種異系レシピエントにおいて免疫原性になる可能性がある。
【0110】
したがって、このような内在性遺伝子またはタンパク質の発現または活性を低下させるかまたは排除することにより、自己または同種異系のレシピエントにおける投与された宿主細胞の免疫原性の活性、機能、拡大もしくは存続性を改良するか、またはそのリスクを低減することができ、細胞の汎用的な投与が可能となる(例えば、HLAタイプにかかわらず任意のレシピエントへの)。ある特定の実施形態では、改変された宿主免疫細胞は、同種異系または自己細胞である。ある特定の実施形態では、この開示の改変された宿主免疫細胞は、染色体遺伝子ノックアウトまたは、例えば、遺伝子編集を使用して、PD-1、LAG-3、CTLA4、TIM3、TIGIT、HLA成分(例えば、α1マクログロブリン、α2マクログロブリン、α3マクログロブリン、β1ミクログロブリン、またはβ2ミクログロブリンをコードする遺伝子)、またはTCR成分(例えば、TCR可変領域またはTCR定常領域をコードする遺伝子)(例えば、その遺伝子編集方法、手法、組成物、および養子細胞治療がその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Torikai etal., Nature Sci. Rep. 6:21757 (2016);Torikai et al.,Blood 119(24):5697(2012);およびTorikai etal., Blood 122(8):1341 (2013)を参照されたい)をコードする遺伝子の1つまたは複数の変異を導入することを含む。
【0111】
一部の実施形態では、用語「染色体遺伝子ノックアウト」は、機能的に活性な内在性ポリペプチド産物の、宿主細胞による産生を防止または阻害する、宿主細胞における遺伝的変更を指す。一部の態様では、改変された宿主免疫細胞は、PD-1、LAG-3、CTLA4、TIM3、TIGIT、HLA成分(例えば、α1マクログロブリン、α2マクログロブリン、α3マクログロブリン、β1ミクログロブリン、またはβ2ミクログロブリンをコードする遺伝子)、またはTCR成分(例えば、TCR可変領域またはTCR定常領域をコードする遺伝子)をコードする遺伝子のうちの1つまたは複数において、欠失、挿入、置換、ミスセンス変異および/またはナンセンス変異などの変異を導入するように改変されている。染色体遺伝子ノックアウトまたは変異を生じる変更としては、例えば、導入されたナンセンス変異(未成熟停止コドンの形成を含む)、ミスセンス変異、遺伝子欠失、および鎖切断が含まれ得る。一部の態様では、そのような内在性遺伝子またはタンパク質の発現または活性を低下させることまたは排除することは、宿主細胞における内在性遺伝子発現を阻害する阻害性核酸分子の異種発現によって行われ得る。一部の態様では、改変によって、そのようなタンパク質をコードする内在性遺伝子において、内在性核酸配列と異なる核酸配列を、例えば、内在性遺伝子における異なる配列のノックインによって、導入することができる。
【0112】
ある特定の実施形態では、染色体遺伝子ノックアウト、遺伝子ノックインまたは変異は、例えば、遺伝子編集方法を使用して、宿主細胞の染色体編集によって導入される。染色体編集または遺伝子編集は、例えば、エンドヌクレアーゼ、例えば、標的化エンドヌクレアーゼを使用して実施され得る。一部の態様では、「エンドヌクレアーゼ」は、ポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合の切断を触媒することが可能な酵素を指す。ある特定の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、標的化遺伝子を切断し、それによって、標的化遺伝子を不活性化するかまたは「ノックアウトする」ことが可能である。エンドヌクレアーゼは、天然に存在する、組換え、遺伝子改変された、または融合エンドヌクレアーゼであってもよい。エンドヌクレアーゼによって引き起こされる核酸の鎖切断は、通常、相同組換えまたは非相同末端結合(NHEJ)の別個の機構により修復される。相同組換えの間、ドナー核酸分子は、ドナー遺伝子の「ノックイン」として、標的遺伝子の「ノックアウト」として、および必要に応じてドナー遺伝子のノックインまたは標的遺伝子のノックアウト事象により標的遺伝子を不活性化するために、ならびに/または標的化遺伝子における特定の変異、例えば、欠失、挿入、置換、ミスセンス変異および/もしくはナンセンス変異の導入によって使用されてもよい。NHEJは、切断部位のDNA配列に変化、例えば、少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失、または付加をもたらすことの多いエラープローン修復プロセスである。NHEJは、標的遺伝子を「ノックアウトする」ために使用されてもよい。エンドヌクレアーゼ、例えば、標的化エンドヌクレアーゼの例としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ、CRISPR-Casヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、およびmegaTALが挙げられる。
【0113】
一部の実施形態では、「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」(ZFN)は、Foklエンドヌクレアーゼなどの、非特異的DNA切断ドメインに融合されたジンクフィンガーDNA結合ドメインを含む融合タンパク質を指す。約30アミノ酸の各ジンクフィンガーモチーフがDNAの約3塩基対と結合し、ある特定の残基におけるアミノ酸を変化させてトリプレット配列特異性を変更することができる(例えば、Desjarlais et al., Proc.Natl.Acad.Sci.90:2256-2260, 1993; Wolfe et al., J. Mol.Biol.285:1917-1934, 1999を参照されたい)。複数のジンクフィンガーモチーフをタンデムに連結させて、所望のDNA配列、例えば約9~約18塩基対の範囲の長さを有する領域、に対する結合特異性を生じさせることができる。背景として、ZFNは、ゲノム内での部位特異的DNA二本鎖切断(DSB)の形成を触媒することによりゲノム編集を媒介し、DSBの部位にゲノムに相同な隣接配列を含む導入遺伝子の標的組込みが相同組換え修復により容易になる。あるいは、ZFNにより生じたDSBは、切断部位のヌクレオチドの挿入または欠失を生じさせる結果となるエラープローン細胞修復経路である非相同末端結合(NHEJ)による修復を介して、標的遺伝子のノックアウトをもたらし得る。ある特定の実施形態では、遺伝子ノックアウトは、ZFN分子を使用してなされる挿入、欠失、変異またはそれらの組合せを含む。
【0114】
一部の実施形態では、「転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ」(TALEN)は、FokIエンドヌクレアーゼなどの、TALE DNA結合ドメインとDNA切断ドメインとを含む融合タンパク質を指す。「TALE DNA結合ドメイン」または「TALE」は、一部の態様では、12番目および13番目のアミノ酸が異なる高度に保存された33~35アミノ酸配列を各々が一般に有する、1つまたは複数のTALE反復ドメイン/ユニットで構成されている。TALE反復ドメインは、TALEの標的DNA配列への結合に関与する。反復可変二残基(RVD)と呼ばれる、異なるアミノ酸残基は、特異的ヌクレオチド認識と相関する。これらのTALEのDNA認識についての天然(標準)コードは、TALEの12および13位のHD(ヒスチジン-アスパラギン酸)配列が、シトシン(C)へのTALE結合をもたらし、NG(アスパラギン-グリシン)がTヌクレオチドと、NI(アスパラギン-イソロイシン)がAと結合し、NN(アスパラギン-アスパラギン)がGまたはAヌクレオチドと結合し、NG(アスパラギン-グリシン)がTヌクレオチドと結合するように、決定された。非標準(非定型)RVDもまた公知である(例えば、米国特許出願公開第2011/0301073号を参照されたく、この非定型RVDは、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる)。TALENを使用して、T細胞のゲノム内での部位特異的二本鎖切断(DSB)を指示することができる。非相同末端結合(NHEJ)は、アニーリングのための配列重複がほとんどまたは全くない、二本鎖切断の両側からのDNAをライゲーションし、それによって、遺伝子発現をノックアウトする誤りを導入する。あるいは、相同組換え修復は、相同隣接配列が導入遺伝子に存在することを条件に、その導入遺伝子をDSBの部位に導入することができる。ある特定の実施形態では、遺伝子ノックアウトは、TALEN分子を使用してなされる挿入、欠失、変異、またはそれらの組合せを含む。
【0115】
一部の実施形態では、「クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート/Cas」(CRISPR/Cas)ヌクレアーゼシステムは、塩基対合相補性によってゲノム内の標的部位(プロトスペーサーとして公知)を認識するために、そしてその後、短い保存プロトスペーサー関連モチーフ(PAM)が相補標的配列の3’の直後に続く場合にはDNAを切断するために、CRISPR RNA(crRNA)誘導型Casヌクレアーゼを利用するシステムを指す。CRISPR/Casシステムは、Casヌクレアーゼの配列および構造に基づいて3つの型(すなわち、I型、II型およびIII型)に分類される。I型およびIII型のcrRNA誘導型監視複合体は、複数のCasサブユニットを必要とする。最もよく研究されているII型システムは、少なくとも次の3つの成分を含む:RNA誘導型Cas9ヌクレアーゼ、crRNA、およびトランス作用性crRNA(tracrRNA)。tracrRNAは、二重鎖形成領域を含む。crRNAおよびtracrRNAは、Cas9ヌクレアーゼと相互作用することおよびcrRNA上のスペーサーとPAMから上流の標的DNA上のプロトスペーサーとの間のワトソン・クリック塩基対合によって標的DNA上の特定の部位にCas9/crRNA:tracrRNA複合体を誘導することができる、二重鎖を形成する。Cas9ヌクレアーゼは、crRNAスペーサーにより規定される領域内で二本鎖切断を行う。NHEJによる修復は、標的遺伝子座の発現を破壊する挿入および/または欠失をもたらす。あるいは、相同隣接配列を伴う導入遺伝子を相同組換え修復によってDSBの部位に導入することができる。crRNAおよびtracrRNAを操作して一本鎖ガイドRNA(sgRNAまたはgRNA)にすることができる(例えば、Jinek et al., Science 337:816-21, 2012を参照されたい)。さらに、標的部位に相補的なガイドRNAの領域を、所望の配列を標的とするように変更またはプログラムすることができる(Xie et al., PLOS One 9:e100448, 2014;米国特許出願公開第2014/0068797号、米国特許出願公開第2014/0186843号:米国特許第8,697,359号、およびPCT公開番号WO2015/071474;これらの各々は、参照により組み込まれる)。ある特定の実施形態では、遺伝子ノックアウトは挿入、欠失、変異、またはそれらの組合せを含み、それは、CRISPR/Casヌクレアーゼシステムを使用してなされる。
【0116】
例示的なgRNA配列、およびそれらを使用して、免疫細胞タンパク質をコードする内在性遺伝子をノックアウトする方法は、Ren et al.(Clin.Cancer Res.23:2255-2266 (2017)に記載されるものを含み、この文献のgRNA、Cas9 DNA、ベクターおよび遺伝子ノックアウト技法は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
一部の実施形態では、「ホーミングエンドヌクレアーゼ」とも呼ばれる「メガヌクレアーゼ」は、大きい認識部位(約12~約40塩基対の二本鎖DNA配列)を特徴とするエンドデオキシリボヌクレアーゼを指す。メガヌクレアーゼは、配列および構造モチーフに基づいて次の5つのファミリーに分類することができる:LAGLIDADG、GIY-YIG、HNH、His-CysボックスおよびPD-(D/E)XK。例示的なメガヌクレアーゼとしては、I-SceI、I-CeuI、PI-PspI、PI-Sce、I-SceIV、I-CsmI、I-PanI、I-SceII、I-PpoI、I-SceIII、I-CreI、I-TevI、I-TevIIおよびI-TevIIIが挙げられ、これらの認識配列は公知である(例えば、米国特許第5,420,032号および同第6,833,252号;Belfort et al., Nucleic Acids Res.25:3379-3388, 1997; Dujon et al., Gene 82:115-118, 1989; Perler et al., Nucleic Acids Res.22:1125-1127, 1994; Jasin, Trends Genet.12:224-228, 1996; Gimble et al., J. Mol.Biol.263:163-180, 1996; Argast et al., J. Mol.Biol.280:345-353, 1998を参照されたい)。
【0118】
ある特定の実施形態では、天然に存在するメガヌクレアーゼを使用して、PD-1、LAG3、TIM3、CTLA4、TIGIT、HLAをコードする遺伝子、またはTCR成分をコードする遺伝子から選択される標的の部位特異的ゲノム修飾を促進することができる。他の実施形態では、標的遺伝子に対する新規結合特異性を有する操作されたメガヌクレアーゼが、部位特異的ゲノム修飾に使用される(例えば、Porteus et al., Nat. Biotechnol.23:967-73, 2005; Sussman et al., J. Mol.Biol.342:31-41, 2004; Epinat et al., Nucleic Acids Res.31:2952-62, 2003; Chevalier et al., Molec.Cell 10:895-905, 2002; Ashworth et al., Nature 441:656-659, 2006; Paques et al., Curr.Gene Ther.7:49-66, 2007;米国特許出願公開第2007/0117128号、同第2006/0206949号、同第2006/0153826号、同第2006/0078552号、および同第2004/0002092号を参照されたい)。さらなる実施形態では、染色体遺伝子ノックアウトは、メガTALとして公知の融合タンパク質を作製するためにTALENのモジュラーDNA結合ドメインで修飾されたホーミングエンドヌクレアーゼを使用して生成される。メガTALを利用して、1つまたは複数の標的遺伝子をノックアウトすることができるばかりでなく、目的のポリペプチドをコードする外因性ドナーテンプレートと組み合わせて使用すると異種または外因性ポリヌクレオチドを導入(ノックイン)することもできる。
【0119】
ある特定の実施形態では、疾患関連抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む宿主細胞(例えば、免疫細胞)は、阻害性核酸分子を細胞内に導入することによって、1つまたは複数の内在性遺伝子の発現を阻害、低減または排除するように改変され得る。一部の態様では、阻害性核酸分子は、標的特異的阻害剤をコードし、コードされた標的特異的阻害剤は、宿主免疫細胞における内在性遺伝子の発現(例えば、PD-1、TIM3、LAG3、CTLA4、TIGIT、HLA成分、もしくはTCR成分、またはそれらの任意の組合せの発現)を阻害する。
【0120】
導入された染色体遺伝子ノックアウトまたは変異の存在は、ノックアウト手順または作用因子の使用後の宿主免疫細胞のDNAシークエンシングによって直接確認することができる。染色体遺伝子ノックアウト、変異、または内在性遺伝子の発現の阻害は、ノックアウト、遺伝子編集、変異の導入または内在性遺伝子の発現の阻害の後に、遺伝子発現がないこと(例えば、mRNAまたは遺伝子によってコードされるポリペプチド産物がないこと)からも確認することができる。
【0121】
免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子
他の態様では、本開示は、免疫原性細胞死の誘導に関連する作用因子を提供する。「免疫原性細胞死」または「ICD」は、一部の実施形態では、死細胞由来の抗原、例えば、死滅した過剰増殖性(例えば、がん)細胞からの抗原に対する免疫応答を刺激する調節されたまたはプログラムされた細胞死の形態を指す。ICDは、一部の態様では、機能ベースと分子ベースの両方で、非免疫原性および免疫寛容原性の細胞死モダリティと区別される。
【0122】
機能的見地から、ICDに屈している細胞は、一部に関して、アジュバントの非存在下で、宿主による特異的T細胞依存性保護免疫応答(例えば、死滅したばかりの細胞によって発現または放出される抗原に特異的な)を誘引する(抑制するよりはむしろ)するのに必要な場合がある。ICDの誘導剤によって、免疫コンピテント宿主の疾患細胞(例えば、過剰増殖性細胞)に対する有効性の増加をもたらすことができるが、免疫無防備状態の宿主では、同じ細胞に対する有効性は低減されるかまたは有効性がもたらされない。ICDに屈している細胞は、同じ型の生きている疾患細胞の次の負荷に対して、同系の免疫コンピテント宿主にワクチン接種することができ、疾患部位にT細胞の局所的動員をもたらすことができる。また、一部に関して、ICD誘導に関連する作用因子を含む化学療法は、in vivoで、抗増殖性作用(すなわち、過剰増殖性疾患に関して)を発揮する必要がある場合がある。例えば、そのICD誘導剤、マーカー、およびアッセイが参照により本明細書に組み込まれる、Galluzzi and Kepp,Annu. Rev. Immunol. 31:51 (2012)、およびGarg et al.,Oncoimmunology 6(12):e1386829(2017)を参照されたい。
【0123】
一部の実施形態では、ICDに屈する細胞は、いくつかの生物物理学的マーカーのうちのいずれかを使用して識別することができる。ICDのマーカーは、例えば、分泌された損傷関連分子パターン(DAMP)、例えば、高移動群ボックス1(HMGB1)タンパク質、分泌された尿酸、カルレティキュリンなどの細胞表面を曝露されたERシャペロン、細胞外ATP、細胞外核酸、ヒアルロン酸、分泌されたアネキシン、A1、分泌I型インターフェロン、および分泌されたかまたは細胞表面で発現されたヒートショックタンパク質(例えば、HSP70およびHSP90)を含む。例えば、Garg etal., Oncoimmunology 6(12):e1386829 (2017)を参照されたい。ICDの間接的指標としては、Toll様受容体9(TLR9)による細胞外DNAの樹状細胞(DC)への輸送、Toll様受容体3(TLR3)による細胞外RNAのDCへの輸送、ペントラキシン3の発現増加(DC細胞とアポトーシス小体の間に形成されたシナプスと相互作用する)、CD8+T細胞またはNKの増殖および局所的動員、ならびに炎症性サイトカイン(例えば、IL-6、IL-8、IL-10、TNF-α、MCP1、IL-1β、IL-15、およびIFN-γ)の放出が挙げられる。例えば、Tesniere et al.,Cell Death and Differentiation 15:3 (2008)を参照されたい;Woller et al.,Front.Oncol.4:188 (2014)も参照されたい。一部の場合には、「誘導」は、本明細書で使用される場合、結果(例えば、ICD)を直接的または間接的に引き起こすことを意味し得る。
【0124】
一部に関して、ICDは、腫瘍または腫瘍微小環境における細胞によって、ケモカインリガンド、例えば、CXCL9またはCXCL10などの免疫細胞の動員またはトラフィッキングに関与する遺伝子または分子の発現を誘導するかまたは増加させることができる。一部の態様では、そのような発現は、そのような分子、例えば、CXCR3に対する受容体を発現するT細胞などの免疫細胞を誘引することができる。一部の態様では、ICDの誘導に関連するICDまたは作用因子は、Ccl12;Ccl17;Ccl2;Ccl7;Ccl9;Ccr2;Ccr8;CD40;CD40lg;Csf1;Csf3r;Cxcl10;Cxcr2;Eda2r;Fas;IL21r;IL2rb;IL17r;Tnfrsf25;Tnfsrf9;Tnfsf8;Xcl1;Gng7;CD226;CD80;CD8α;Cldn2;H2-M2;Pdcd1Ig2;Sele;Selp;またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数などの遺伝子または分子の発現の増加をもたらし得る。
【0125】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子としては、化学療法剤またはその活性代謝物、パターン認識受容体(PRR)に特異的な作用因子、腫瘍溶解性ウイルス、疾患関連抗原、例えば、過剰増殖性疾患関連抗原(ただし、抗原は、結合タンパク質が結合した抗原ではない)に特異的に結合する抗体、放射線照射、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0126】
本明細書で使用される場合、用語「化学療法剤」(本明細書では、「化学治療薬」または「化学療法」とも呼ばれ得る)は、阻害または死滅に関する疾患細胞(例えば、過剰増殖する細胞)を選択的に標的とする化学作用因子、薬物、または他の治療モダリティを指す。本開示の化学療法剤は、異なる構造、形態、および送達系を包含し、疾患細胞(例えば、過剰増殖する細胞)を選択的に阻害または殺滅することに関するそれらの機能性の点で理解されるべきである。ある特定の化学療法剤は、ICDの誘導に関連する。
【0127】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、アルキル化剤、例えば、DNAアルキル化剤を含む。理論により拘束されることを望まないが、アルキル化剤は、一部に関して、DNAの負に荷電した部位に高い親和性で結合し、それによって、DNA鎖の正常な機能(例えば、転写および翻訳)を破壊し、一部の態様では、ICDを誘導することが可能である。本開示のアルキル化剤としては、例えば、テモゾロミド、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン;シクロホスファミドおよび類似体;メルファラン;クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート-ブスルファン、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BiCNU)および類似体;ストレプトゾシン)、トリアゼン(trazene)-ダカルバジニン(DTIC)、およびそれらの組合せが挙げられる。ある特定の実施形態では、アルキル化剤は、シクロホスファミドであるかまたはそれを含む。
【0128】
一部の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、アントラサイクリンを含む。理論により拘束されることを望まないが、アントラサイクリンは、一部に関して、細胞内DNAに結合することによって遺伝子発現を阻害することができ、がん細胞においてICDを誘導することが示されている。例えば、Fucikova etal. Cancer Res 71:4821 (2011)を参照されたい。実施形態では、アントラサイクリンは、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピリブシン、イダルビシン、ミトキサントロンおよびその誘導体(例えば、ピキサントロン)、サバルビシン、バルルビシン、またはそれらの任意の組合せを含む。ある特定の実施形態では、アルキル化剤は、ドキソルビシン、イダルビシンまたはミトキサントロンであるかまたはそれを含む。
【0129】
さらなる実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、代謝拮抗薬を含む。一部の実施形態では、例示的な代謝拮抗薬は、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン(foxuridine)、シタラビン、カペシタビン、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、クラドリビン、フルダラビン、ペントスタチン、葉酸アンタゴニスト、またはそれらの任意の組合せであるかまたはそれを含む。
【0130】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、カスパーゼ活性化因子を含む。この開示の例示的なカスパーゼ活性化因子は、カスパーゼの第2のミトコンドリア由来活性化因子(SMAC、「proSMAC」=全長;「tSMAC」=処理済み)および模倣物、ならびにそれらの組合せを含む。例えば、Umeagi etal., Microenvironment and Immunology (2012)を参照されたい。一部の実施形態では、カスパーゼ阻害剤(例えば、SMAC)は、ウイルス(例えば、レンチウイルス)ベクターを含む、本明細書に記載されているベクターを使用して疾患細胞(例えば、過剰増殖する細胞)に送達され得る。
【0131】
一部の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、微小管阻害剤を含む。理論により拘束されることを望まないが、微小管阻害剤は、一部に関して、有糸分裂、細胞の動き、および細胞内オルガネラ輸送を阻害し得る。この開示の例示的な微小管阻害剤としては、タキサン、例えば、パクリタキセルおよびその類似体(例えば、Golden etal.,OncoImmunol. 3 (2014)を参照されたい)、ドセタキセル、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ロイロシン、ビンデシン、ビノレルビン(vinolrebine))、ノコダゾール、エポチロン、コルヒチン、ナベルビン、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0132】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、プロテアソーム阻害剤を含む。理論により拘束されることを望まないが、プロテアソーム阻害剤は、細胞におけるタンパク質分解作用を阻害し、それによって、毒性レベルのタンパク質を蓄積し、アポトーシス促進因子の分解を妨げる。一部の実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ(cafilzomib)、イキサゾミブ、マリゾミブ、オプロゾミブ、CEP-18770、MLN-9708、ONX-0912、またはそれらの任意の組合せを含む。例えば、Kisselev et al.,Chem. Biol. 19(1):99-115 (2013)を参照されたい。特定の実施形態では、本開示のプロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ(bortezimib)であるかまたはそれを含む。さらなる実施形態では、本開示のプロテアソーム阻害剤は、マイトマイシンCとともにボルテゾミブを含むウイルスベクター(例えば、hTert-Ad)を含む(例えば、Boozari et al.,Gut 59:1416 (2010)を参照されたい)。
【0133】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、BKチャネルアゴニストを含む。BK(「Big Potassium」または「Big K」)チャネルは、細胞膜を通してカリウムを輸送する。理論により拘束されることを望まないが、BKチャネルのアゴニストは、カリウムイオンが受動的に細胞に侵入することを可能にし、それによって、細胞内のイオンバランスを破壊し、ICDを誘導する。例えば、Hoa etal., PLoS One 7:831732 (2012)を参照されたい。本開示の例示的なBKチャネルアゴニストとしては、フロレチン、ピマリン酸、アラキドン酸、チトクロームP450の代謝物、エポキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、オメガ-3ドコサヘキサエン酸、17β-エストラジオール、タモキシフェンを含むキセノエストロゲン、ゾニサミドおよびクロルゾキサゾンなどの抗てんかん薬、シロスタゾール(cilotazol)などのホスホジエステラーゼIII阻害剤、ヒトβ-デフェンシン2、DHS-I、NS004およびNS1619を含むベンズイミダゾロン、Cym04、NS11021、NS19504、BMS204352、チオウレア、化合物36および化合物Zなどのテトラヒドロキノリン、テルペン、ベンゾフロインドール、およびAndolast、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。例えば、そのBKチャネルアゴニストが参照により本明細書に組み込まれる、Bentzen et al.,Front. Physiol. 5:389 (2014)を参照されたい。
【0134】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、非ICD誘導剤とともに強心配糖体(CG)を含む。強心配糖体は、心臓の出力を増加させ、心臓の収縮率を低下させる有機化合物のクラスである。強心配糖体は、一部に関して、心筋の収縮力に関して作用し、CRT曝露、ATP放出、およびHMGB1放出の誘導をもたらす毒性作用を発揮し得る。シスプラチン、マイトマイシンC、またはエトポシド(epotoside)などの非ICD誘導剤と組み合わせた場合に(すなわち、同時に(simultaneously)、併用して(concurrently)、または逐次的に投与した場合に)、強心配糖体は、ICDを刺激する。例えば、Menger et al.,Sci. Transl. Med. 4:143ra99 (2012)を参照されたい。
【0135】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、プラチナ系抗腫瘍薬(「プラチン」)とともにERストレッサーを含む。ERストレッサーは、本明細書で定義されるとおり、小胞体の腔にアンフォールドまたはミスフォールドタンパク質の蓄積を誘導するかまたはもたらす任意の組成物または分子を包含する。そのようなタンパク質の蓄積の延長により、アポトーシスが導かれ得る。この開示の例示的なERストレッサーとして、タプシガルジンが挙げられる。理論により拘束されることを望まないが、タプシガルジンは、リソソームの食作用を阻害するERへのカルシウム流入を遮断し、細胞にストレスをもたらす原因となり得る。ERストレッサーをプラチン(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、フェナントリプラチン(phenantrhiplatin)、ピコプラチン、サトラプラチン、トリプラチンテトラニトレート)と組み合わせることによって、ICDが誘導され得る。例えば、Tesniere et al.,Oncogene 29:482 (2010)を参照されたい。一部の実施形態では、プラチンは、シスプラチンを含む。一部の実施形態では、プラチンは、オキサリプラチンであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、ERストレッサーは、タプシガルジンを含む。
【0136】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、オキサリプラチン(またはその活性代謝物もしくは誘導体)であるかまたはそれを含む。
【0137】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、ブレオマイシンであるかまたはそれを含む。
【0138】
特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する化学療法剤は、シクロホスファミド、オキサリプラチン、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、もしくはボルテゾミブ、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0139】
ICDの誘導に関連する2つまたはそれを超える化学療法剤の任意の組合せが、本開示による方法を実践する際に使用されてもよいことが認識されるであろう。追加の化学療法剤が本明細書に記載されており、今般開示される方法を実践する際に用いられてもよい。
【0140】
免疫原性細胞死の誘導に関連する他の作用因子は、例えば、その作用因子、作用因子の組合せ、および方法が参照により本明細書に組み込まれる、Galluzzi and Klepp,Ann. Rev. Immunol.31:51 (2012)およびGarg et al.,Oncoimmunology 6(12):e1386829(2017)(およびその中で引用された参照文献)に記載されている。
【0141】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、パターン認識受容体(PRR)を標的とすることができる作用因子であるかまたはそれを含む。一般に、パターン認識受容体は、5つのファミリー:Toll様受容体(TLR);RIG-I様受容体(RLR);ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)様受容体(NLR);C型レクチン受容体(CLR);およびDNAセンサーに組織化される。PRRは、例えば、リポ多糖(LPS);リポタンパク質;フラジェリン;細菌、ウイルス、真菌、および寄生生物からの核酸;ならびにアポトーシス、ネクローシス、または細胞内ストレスにより分泌または放出される損傷関連分子パターン(DAMP)を含む病原体関連分子パターン(PAMP)を検出する。PRRによる認識は、炎症促進性遺伝子の発現および免疫細胞活性化を刺激する。PRRを標的とすることが可能な例示的な作用因子は、Shekarian etal., Annals of Oncology 28(8):1756 (2017)に記載されており、リポ多糖(LPS);細菌膜成分;フラジェリンならびにその誘導体およびバリアント;R848;表面糖タンパク質;必要に応じてMPL(AS15)と組み合わせたCpG含有オリゴヌクレオチド(例えば、PF-3512676;Agatolimod);MIW815(ADU-S100);MK-454;BO-112;Amplivant;PolyICLC(必要に応じてResiquimodおよび/またはLPSと組み合わせて);Rintatolimodおよびその誘導体;Hilontolおよびその誘導体;GSK1572932;G100;CBLB502;Imiquimodおよびその誘導体;MEDI9197;Motolimodおよびその誘導体;CMP-001;MGN1703;SD-101;1018 ISS;ならびに核酸(例えば、ウイルス、細菌、真菌、または寄生生物からのDNAまたはRNAであり、これは、二本鎖および一本鎖RNA、メチル化されていないCpGを含む微生物のDNAなどを含む)を含む。
【0142】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、腫瘍溶解性ウイルスであるかまたはそれを含む。腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞を優先的に標的とし、殺滅するウイルスである。例示的な腫瘍溶解性ウイルスとしては、アデノウイルス、レオウイルス、麻疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス(CMV)、ニューキャッスル病ウイルス、ワクシニアウイルス、セムリキ森林ウイルス;Echo-7yウイルス;パラポックスウイルス(paprapoxvirus);およびセネカウイルスが挙げられ、これらのウイルスは、減弱化されても減弱化されなくてもよく、天然に存在する変異体およびその改変されたバリアント、例えば、H101(Oncorine、Shanghai Sunway Biotech)、Onyx-15、およびT-VECであってもよい。今般開示される方法において使用することができるウイルスを含む腫瘍溶解性免疫療法としては、Veinalde et al.,Oncoimmunology 6:e1285992 (2017);Hemminki and Hemminki,Oncoimmunology 5:e1074377(2016);Clements et al., Oncolimmunology 5:e1057674(2016)、およびBramante et al.,Oncoimmunology 5:e1078057 (2016)に記載されているものが挙げられ、それらの免疫療法および腫瘍溶解性ウイルスは参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、疾患関連抗原に特異的に結合する抗体であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、疾患関連抗原は、結合タンパク質が結合するものと異なる抗原である。抗体による疾患関連抗原への結合によって、例えば、抗体依存性細胞内細胞傷害、補体依存性細胞傷害(CDC)によって、または別の機構によって、ICDが誘発され得る。がん療法において有用な例示的なモノクローナル抗体は、当技術分野で公知であり、例えば、Galluzzi etal., Oncotarget 5(24):12472-12508, 2014に記載されているモノクローナル抗体を含む。
【0144】
他のモダリティは、ICDを誘導する場合があり、今般開示される方法において用いられてもよい。ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、放射線療法であるかまたはそれを含む。放射線療法としては、例えば、X線療法、例えば、ガンマ線照射、および放射線医薬療法が挙げられる。ICDを誘発する放射線療法は、Vanpoiulle-Box etal., Nat. Communi. 8:15618 (2017);Dewan et al., Clin.Cancer Res. 15:5379(2009);Bouquet etal., Clin. Cancer Res. 17:6754 (2011);およびWennerberg et al.,Front. Immunol.8:229 (2017)に開示されているものを含み、その放射線療法および処置レジメンはその全体が本明細書に組み込まれる。
【0145】
光線力学的療法(PDT)は、ICDを誘導することもできる。例示的なPDTとしては、Garg et al. (Sci. Transl.Med.8:328ra27 (2016);Oncotarget 6:26841(2015); EMBO J. 31:1062 (2012);Autophagy 9:1292(2013))によって記載されているものが挙げられ、そのPDTはその全体が本明細書に組み込まれる。
【0146】
静水圧が高いことにより、in vitroの腫瘍細胞系および初代腫瘍細胞においてICDが誘導されることが示された(例えば、Fucikova etal.,Tumor Immunology 135(5):2014;Galluzi et al., Nat.Rev. Immunol. 17:97 (2017);およびGarg etal., Front. Immunol. 6:588 (2015)(これらの参照文献の静水圧手法はその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。ある特定の実施形態では、方法は、静水圧を使用して細胞にICDを誘導することおよびICDが、本開示による対象に、またはin vivoで本開示の改変された免疫細胞に、またはその両方に誘導された細胞を導入することを含む。
【0147】
免疫調節剤
ある特定の態様では、併用療法は、免疫系による抗腫瘍応答などの応答を増強し、最終的には、疾患または障害、例えば、腫瘍または関連するがんを処置するか、改善するか、または低減するために、本開示の改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子を(例えば、一緒に、または順番に、またはそれを以前に他のものを受けたことがある対象に投与して)、免疫調節剤(例えば、本明細書に記載される、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤、または刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストである作用因子)とともに含む。一部の実施形態では、免疫応答は、抗腫瘍応答を含み、疾患または障害は、腫瘍に関連する過剰増殖性疾患(例えば、がん)を含む。
【0148】
本明細書で使用される場合、用語「免疫抑制成分(immune suppression component)」または「免疫抑制成分(immunosuppression component)」は、一部の態様では、免疫応答を制御または抑制するのを助ける阻害性シグナルを与える、1つまたは複数の細胞、タンパク質、分子、化合物または複合体を指す。例えば、免疫抑制成分は、免疫刺激を部分的もしくは全体的に遮断する;免疫活性化を低下させるか、妨げるかもしくは遅らせる;または免疫抑制を増加させるか、活性化するか、もしくは上方調節する分子を含む。例示的な免疫抑制成分の標的は、本明細書にさらに詳述されており、PD-1、PD-L1、CTLA4、B7-H3、B7-H4、CD244/2B4、HVEM、BTLA、CD160、TIM3、GAL9、KIR、PVR1G(CD112R)、PVRL2、アデノシン、A2aR、免疫抑制サイトカイン(例えば、IL-10、IL-4、IL-1RA、IL-35)、IDO、アルギナーゼ、VISTA、TIGIT、LAIR1、CEACAM-1、CEACAM-3、CEACAM-5、Treg細胞、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0149】
免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子は、化合物、抗体、抗体断片もしくは融合ポリペプチド(例えば、Fc融合体、例えば、CTLA4-FcまたはLAG3-Fc)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムもしくはRNAi分子、アプタマー、または低分子量有機分子であってもよい。本明細書において開示された実施形態のいずれにおいても、組合せは、以下の免疫抑制成分のいずれか1つに特異的に結合する、および/または以下の免疫抑制成分のいずれか1つの阻害剤である1つまたは複数の作用因子を、単独でまたはいずれかの組合せで含む。本明細書において開示された実施形態のいずれにおいても、方法は、改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子を、単独でまたはいずれかの組合せで以下の免疫抑制成分のいずれか1つの1つまたは複数の阻害剤とともに投与することを含んでもよい。
【0150】
ある特定の実施形態では、併用療法は、PD-1阻害剤、例えば、PD-1に特異的な抗体またはその結合断片、例えば、ピジリズマブ、ニボルマブ(Keytruda、以前のMDX-1106)、ペンブロリズマブ(Opdivo、以前のMK-3475)、MEDI0680(以前のAMP-514)、AMP-224、BMS-936558、またはそれらの任意の組合せを含む。さらなる実施形態では、本開示の改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子は、PD-L1に特異的な抗体またはその結合断片、例えば、BMS-936559、デュルバルマブ(MEDI4736)、アテゾリズマブ(RG7446)、アベルマブ(MSB0010718C)、MPDL3280A、またはそれらの任意の組合せと組み合わせて使用される。
【0151】
ある特定の実施形態では、併用療法は、LAG3阻害剤、例えば、LAG525、IMP321、IMP701、9H12、BMS-986016、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0152】
ある特定の実施形態では、併用療法は、CTLA4の阻害剤を含む。特定の実施形態では、改変された免疫細胞は、CTLA4に特異的な抗体またはその結合断片、例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ、CTLA4-Ig融合タンパク質(例えば、アバタセプト、ベラタセプト)、またはそれらの任意の組合せと組み合わせて使用される。
【0153】
ある特定の実施形態では、併用療法は、B7-H3に特異的な抗体またはその結合断片、例えば、エノブリツズマブ(MGA271)、376.96、または両方を含む。B7-H4抗体結合断片は、例えば、Dangaj etal., Cancer Res. 73:4820, 2013に記載されている通りのscFvまたはその融合タンパク質、ならびに米国特許第9,574,000号およびPCT特許出願公開第WO/201640724A1号および同第WO2013/025779A1号に記載されているものであってもよい。
【0154】
ある特定の実施形態では、併用療法は、CD244の阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、BLTA、HVEM、CD160、またはそれらの任意の組合せの阻害剤を含む。抗CD-160抗体は、例えば、PCT特許出願公開第WO2010/084158号に記載されている。ある特定の実施形態では、併用療法は、TIM3の阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、Gal9の阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、アデノシンシグナル伝達の阻害剤、例えば、デコイアデノシン受容体を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、A2aRの阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、KIRの阻害剤、例えば、リリルマブ(BMS-986015)を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、阻害性サイトカイン(典型的には、TGFβ以外のサイトカイン)またはTreg発生もしくは活性の阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、IDO阻害剤、例えば、レボ-1-メチルトリプトファン、エパカドスタット(INCB024360;Liu etal., Blood 115:3520-30,2010)、エブセレン(Terentis et al. ,Biochem. 49:591-600,2010)、インドキシモド、NLG919(Mautino etal., American Association for Cancer Research 104th Annual Meeting 2013; Apr6-10, 2013)、1-メチル-トリプトファン(1-MT)-チラ-パザミン、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0155】
ある特定の実施形態では、併用療法は、アルギナーゼ阻害剤、例えば、N(オメガ)-ニトロ-L-アルギニンメチルエステル(L-NAME)、N-オメガ-ヒドロキシ-ノル-l-アルギニン(ノル-NOHA)、L-NOHA、2(S)-アミノ-6-ボロノヘキサン酸(ABH)、S-(2-ボロノエチル)-L-システイン(BEC)、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0156】
ある特定の実施形態では、併用療法は、VISTAの阻害剤、例えば、CA-170(Curis、Lexington、Mass.)を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、TIGITの阻害剤、例えば、COM902(Compugen、Toronto、Ontario Canada)など、CD155の阻害剤、例えば、COM701(Compugen)など、または両方を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、PVRIG、PVRL2、または両方の阻害剤を含む。抗PVRIG抗体は、例えば、PCT特許出願公開第WO2016/134333号に記載されている。抗PVRL2抗体は、例えば、PCT特許出願公開第WO2017/021526号に記載されている。ある特定の実施形態では、併用療法は、LAIR1阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、CEACAM-1、CEACAM-3、CEACAM-5、またはそれらの任意の組合せの阻害剤を含む。
【0157】
ある特定の実施形態では、本開示の改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子は(例えば、一緒に、または順番に、またはそれを以前に他のものを受けたことがある対象に投与して)、刺激性免疫チェックポイント分子の活性を増加させる(すなわち、そのアゴニストである)作用因子と組み合わせて使用される。例えば、本開示の改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子は、CD137(4-1BB)アゴニスト(例えば、ウレルマブなど)、CD134(OX-40)アゴニスト(例えば、MEDI6469、MEDI6383、またはMEDI0562など)、レナリドミド、ポマリドミド、CD27アゴニスト(例えば、CDX-1127など)、CD28アゴニスト(例えば、TGN1412、CD80、またはCD86など)、CD40アゴニスト(例えば、CP-870、893、rhuCD40L、またはSGN-40など)、CD122アゴニスト(例えば、IL-2など) GITRのアゴニスト(例えば、PCT特許出願公開第WO2016/054638号に記載のヒト化モノクローナル抗体など)、ICOSのアゴニスト(CD278)(例えば、GSK3359609、mAb 88.2、JTX-2011、Icos 145-1、Icos 314-8、またはそれらの任意の組合せなど)と組み合わせて使用され得る。本明細書において開示された実施形態のいずれにおいても、方法は、本開示の改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子を、前述のもののいずれかを、単独でまたはいずれかの順番でまたは組み合わせて含む、刺激性免疫チェックポイント分子の1つまたは複数のアゴニストとともに投与することを含んでもよい。
【0158】
本明細書において開示された実施形態のいずれにおいても、併用療法は、刺激性免疫チェックポイント分子の活性を増加させる(すなわち、アゴニストである)作用因子を含む。ある特定の実施形態では、改変されたヒト免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子は、刺激性免疫チェックポイント分子の活性を増加させる(すなわち、アゴニストである)作用因子と組み合わせて使用、例えば、投与される。例えば、改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子は、CD137(4-1BB)アゴニスト(例えば、ウレルマブなど)、CD134(OX-40)アゴニスト(例えば、MEDI6469、MEDI6383、またはMEDI0562など)、レナリドミド、ポマリドミド、CD27アゴニスト(例えば、CDX-1127など)、CD28アゴニスト(例えば、TGN1412、CD80、またはCD86など)、CD40アゴニスト(例えば、CP-870、893、rhuCD40L、またはSGN-40など)、CD122アゴニスト(例えば、IL-2など)、GITRのアゴニスト(例えば、PCT特許出願公開第WO2016/054638号に記載のヒト化モノクローナル抗体など)、ICOS(CD278)のアゴニスト(例えば、GSK3359609、mAb 88.2、JTX-2011、Icos 145-1、またはIcos 314-8など)、またはそれらの任意の組合せと組み合わせて使用され得る。本明細書において開示された実施形態のいずれにおいても、方法は、改変された免疫細胞、例えば、ヒト免疫細胞、およびICDの誘導に関連する作用因子を、前述のもののいずれかを単独でまたはいずれかの組合せで含む、刺激性免疫チェックポイント分子の1つまたは複数のアゴニストとともに投与することを含んでもよい。
【0159】
本明細書に記載の作用因子のいずれかは、他の作用因子の1つまたは複数を以前に受けたことがある対象に投与されてもよいが、ただし、対象は、最終的に、この開示の改変された免疫細胞および免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子を、疾患または障害、例えば、腫瘍またはがんを処置するのに有効な量で受ける。
【0160】
二次療法のための作用因子
標的化疾患細胞または組織によって発現された抗原に特異的な抗体または抗原結合断片;化学療法剤;外科手術;放射線療法処置;サイトカイン;RNA干渉療法、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む二次療法も企図される。一部の実施形態では、方法は、二次療法、例えば、本明細書に記載のいずれかを投与することをさらに含む。
【0161】
がん療法において有用な例示的なモノクローナル抗体は、当技術分野で公知であり、例えば、Galluzzi et al.,Oncotarget5(24):12472-12508, 2014に記載されたモノクローナル抗体を含む。
【0162】
ある特定の実施形態では、二次療法は、放射線処置(例えば、ICDを誘導することに関連するものであってもなくてもよい放射線処置)または外科手術を含む。ある特定の実施形態では、併用療法による方法は、改変されたヒト免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子を投与すること、および放射線処置(例えば、ICDを誘導することに関連するものであってもなくてもよい放射線処置)または外科手術をさらに投与することを含む。放射線治療は、当技術分野において周知であり、X線治療、例えばガンマ線照射、および放射性医薬品治療を含む。対象における所与のがんまたは非炎症型固形腫瘍の処置に適切な外科手術および外科的技法は、当業者には周知である。
【0163】
ある特定の実施形態では、二次療法は、化学療法剤(その化学療法剤は、ICDを誘導することに関連してもしなくてもよい)を含む。ある特定の実施形態では、併用療法による方法は、改変されたヒト免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子を投与すること、および化学療法剤(その化学療法剤は、ICDを誘導することに関連してもしなくてもよい)をさらに投与することを含む。化学療法剤は、クロマチン機能の阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管阻害薬、DNA傷害剤、代謝拮抗薬(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、および糖修飾類似体)、DNA合成阻害剤、DNA相互作用剤(例えば、挿入剤)、およびDNA修復阻害剤を含むが、これらに限定されない。実例となる化学療法剤は、これらに限定されないが、以下の群を含む:代謝拮抗薬/抗がん剤、例えば、ピリミジン類似体(5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビンおよびシタラビン)およびプリン類似体、葉酸アンタゴニストおよび関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン));抗増殖性/抗有糸分裂剤、これには、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)、微小管破壊剤、例えば、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、エピジポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド)、DNA傷害剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、サイトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミン、オキサリプラチン、イホスファミド、メルファラン、メクロレタミン(merchlorehtamine)、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソウレア、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テモゾロミド(temozolamide)、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびエトポシド(VP16))が含まれる;抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン;酵素(L-アスパラギンを全身代謝させ、独自のアスパラギンを合成する能力がない細胞を欠乏させる、L-アスパラギナーゼ);抗血小板剤;抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート-ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トリアゼン(trazene)-ダカルバジン(dacarbazinine)(DTIC);抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗薬、例えば、葉酸類似体(メトトレキサート);白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固薬(ヘパリン、合成ヘパリン塩および他のトロンビン阻害剤);線維素溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;分泌抑制剤(ブレフェルジン(breveldin));免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);抗血管新生化合物(TNP470、ゲニステイン)および成長因子阻害剤(血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)阻害剤);アンジオテンシン受容体遮断薬;一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ、リツキシマブ);キメラ抗原受容体;細胞周期阻害剤および分化誘導剤(トレチノイン);mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、テニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)およびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(methylpednisolone)、プレドニゾン、およびプレニゾロン(prenisolone));成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;ミトコンドリア機能不全誘導剤、毒素、例えば、コレラ毒素、リシン、Pseudomonas外毒素、Bordetella pertussisアデニル酸シクラーゼ毒素、またはジフテリア毒素、およびカスパーゼ活性化因子;ならびにクロマチン破壊剤。
【0164】
サイトカインを用いることができ、一部の状況において、抗がん活性に対する宿主免疫応答を操作するために使用されることが増えている。例えば、Floros & Tarhini, Semin.Oncol.42(4):539-548, 2015を参照されたい。免疫抗がんまたは抗腫瘍応答の促進に有用なサイトカインとしては、例えば、単独での、または本開示の結合タンパク質もしくは結合タンパク質を発現する細胞との任意の組合せでの、IFN-α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-21、IL-24、およびGM-CSFが挙げられる。
【0165】
別のがん療法(例えば、二次療法)または処置アプローチは、発癌遺伝子およびがん細胞による成長、維持、増殖、および免疫回避に必要な他の遺伝子の発現を低減することに関与する。RNA干渉、特に、マイクロRNA(miRNA)低分子阻害性RNA(siRNA)の使用により、がん遺伝子の発現をノックダウンするためのアプローチがもたらされる。例えば、Larsson etal., Cancer Treat. Rev. 16(55):128-135, 2017を参照されたい。がん療法または処置のためにRNAを作製および使用するための手法は、当業者に公知である。
【0166】
本明細書において開示された実施形態のいずれにおいても、治療剤(例えば、改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する作用因子、免疫抑制成分の阻害剤、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト、抗腫瘍リンパ球、化学療法剤、放射線療法、外科手術、サイトカイン、または阻害性RNA)のいずれかは、処置時間にわたって、1度にまたは1度より多い回数で、対象に投与されてもよく、組み合わせでは、任意の順番で(例えば、同時に、併用して、または任意の順に)または任意の組合せで、対象に投与されてもよい。組成物の適切な用量、適切な持続期間、および投与頻度は、患者の状態;腫瘍またはがんのサイズ、タイプ、広がり、成長、および重症度;有効成分の特定の形態;および投与方法などの因子によって決定されることになる。
【0167】
キット
(i)(a)疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞;
(b)免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子;(c)免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子;および(d)免疫刺激性分子のアゴニストのうちの1つまたは複数;ならびに(ii)本開示による方法を実施するための説明書を含むキットも本明細書において提供される。
【0168】
使用
本開示の組成物は、疾患または状態を処置するのに有用である。「処置する」または「処置」または「改善する」は、一部に関して、対象(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、霊長類、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、マウス、もしくはラット)の疾患、障害、または状態の医学的管理を指す。一般に、本開示の結合タンパク質を発現する宿主細胞、および必要に応じてアジュバントを含む、適切な用量または処置レジメンは、治療的または予防的恩恵を生じさせるのに十分な量で投与される。治療的または予防的/防止的恩恵は、臨床成績の向上;疾患に関連する症状の緩和もしくは軽減;症状の発生率低下;生活の質向上;より長い無病状態;疾患の程度の低下;病状の安定化;疾患進行の遅延;寛解;生存;生存期間延長;またはそれらの任意の組合せを含む。
【0169】
今般開示された方法は、部分的に、ICDの誘導に関連する作用因子と併用する本開示の改変された免疫細胞の使用に基づき、この方法は、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストの使用、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子の使用、または両方をさらに含み得る。したがって、方法は、1つの作用因子(改変された免疫細胞;ICDの誘導に関連する作用因子;刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト;免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子)の、1つもしくは複数の他の作用因子も受けているかまたはそれを以前に受けたことがある対象への投与に関与し得ることが認識されるが、ただし、対象は、最終的には、改変された免疫細胞とICDの誘導に関連する作用因子の少なくとも両方を受ける。
【0170】
例えば、方法は、有効量のこの開示の改変された免疫細胞を対象に投与することを含んでもよいが、ただし、対象には、ICDの誘導に関連する作用因子が以前に投与されている。別の例として、方法は、有効量の、ICDの誘導に関連する作用因子を対象に投与することを含んでもよいが、ただし、対象に、この開示の改変された免疫細胞の誘導に関連する作用因子が以前に投与されている。
【0171】
ある特定の態様では、本開示は、対象の疾患または状態を処置するための方法であって、(a)疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、有効量の改変された免疫細胞;および(b)有効量の、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子を対象に投与することを含み、それによって、疾患または状態を処置する、方法を提供する。
【0172】
他の態様では、対象の疾患または状態を処置するための方法であって、疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、有効量の改変された免疫細胞を対象に投与することを含み、対象に、改変された免疫細胞を投与する前に、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子が投与されており、それによって、疾患または状態を処置する、方法が提供される。
【0173】
なお他の態様では、本開示は、対象の疾患または状態を処置するための方法であって、有効量の、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子を前記対象に投与することを含み、前記対象に、ICDの誘導に関連する前記作用因子を投与する前に、前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞が投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置する、方法を提供する。
【0174】
さらに他の態様では、対象の疾患または障害を処置する方法であって、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子を投与する前に、(i)前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞;および/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、前記対象に、必要に応じて、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが以前に投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置する、方法が本明細書で提供される。
【0175】
なおさらなる態様では、対象の疾患または障害を処置する方法であって、前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、有効量の改変された免疫細胞を対象に投与することを含み、前記対象に、前記改変された免疫細胞を投与する前に、(i)免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である有効量の作用因子;ならびに/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置し、前記対象に、必要に応じて、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが以前に投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置する、方法が本明細書で提供される。
【0176】
なおさらなる態様では、対象の疾患または障害を処置する方法であって、ICDの誘導に関連する作用因子の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、ICDの誘導に関連する前記作用因子を投与する前に、(i)免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子;ならびに/あるいは(ii)前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞が投与されており、前記対象に、必要に応じて、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが以前に投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置する、方法が本明細書で提供される。
【0177】
本明細書ではまた、対象の疾患または障害を処置する方法であって、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストの有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、刺激性免疫チェックポイント分子の前記アゴニストを投与する前に、(i)前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞;および/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置し、前記対象に、必要に応じて、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子が以前に投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置する、方法が提供される。
【0178】
ある特定の態様では、対象の疾患または障害を処置する方法であって、前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、前記改変された免疫細胞を投与する前に、(i)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト;および/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、前記対象に、必要に応じて、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子が以前に投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置する、方法が本明細書で提供される。
【0179】
ある特定の他の態様では、対象の疾患または障害を処置する方法であって、ICDの誘導に関連する作用因子の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、ICDの誘導に関連する前記作用因子を投与する前に、(i)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト;および/または(ii)前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞が投与されており、前記対象に、必要に応じて、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子が以前に投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置する、方法が提供される。
【0180】
本明細書に記載される処置方法のいずれかに従って(すなわち、(i)前記改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する前記作用因子;(ii)前記改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する前記作用因子、ならびに免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子;(iii)前記改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する前記作用因子、および刺激性免疫チェックポイント分子の前記アゴニスト;または(iv)前記改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する前記作用因子、刺激性免疫チェックポイント分子の前記アゴニスト、ならびに免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子の投与の後に)、前記対象は、ICDの誘導に関連する前記作用因子が投与されていない参照対象によって達成される免疫応答と比較して上昇した前記疾患または障害に対する前記免疫応答を達成し得る。
【0181】
一部の実施形態では、参照対象は、ICDの誘導に関連する作用因子を除いて、試験対象と同一の治療を投与したコンパレーター対象(すなわち、同じかまたは類似する種、性別、サイズ、年齢、および疾患状態の対象)を意味し得る。
【0182】
ある特定の実施形態では、免疫応答の上昇は:(i)疾患もしくは障害の部位(例えば、腫瘍または感染部位)への免疫細胞の局在化、および/もしくは疾患もしくは障害の部位における免疫細胞活性の量の増加;(ii)対象における免疫細胞の増殖の増加(例えば、免疫細胞の増殖数、免疫細胞の増殖速度、または両方の増加);(iii)対象における活性化した免疫細胞の量の増加;(iv)(a)サイトカイン-サイトカイン受容体相互作用、(b)ケモカインシグナル伝達経路、(c)細胞接着分子、もしくは(d)(a)~(c)の任意の組合せに関連する遺伝子の、対象における、必要に応じて対象由来の疾患組織の試料における、発現レベルの増加;(v)疾患細胞および/もしくは組織の量、成長、成長速度、もしくは広がりの低減;または(vi)(i)~(iv)の任意の組合せを含む。
【0183】
さらなる実施形態では、免疫応答の上昇は、Ccl12;Ccl17;Ccl2;Ccl7;Ccl9;Ccr2;Ccr8;CD40;CD40lg;Csf1;Csf3r;Cxcl10;Cxcr2;Eda2r;Fas;IL21r;IL2rb;IL17r;Tnfrsf25;Tnfsrf9;Tnfsf8;Xcl1;Gng7;CD226;CD80;CD8α;Cldn2;H2-M2;Pdcd1Ig2;Sele;Selp;またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数の発現レベルの増加を含む。
【0184】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する作用因子、免疫刺激剤のアゴニスト、またはこの開示の免疫抑制成分に特異的に結合するかおよび/またはこの開示の免疫抑制成分の阻害剤である作用因子の「治療有効量」または「有効量」は、統計的に有意な形での、臨床成績の向上;疾患に関連する症状の緩和もしくは軽減;症状の発生率低下;生活の質向上;より長い無病状態;疾患の程度の低下;病状の安定化;疾患進行の遅延;寛解;生存;または生存期間延長を含む、治療効果をもたらすのに十分な、結合タンパク質または宿主細胞の量を指す。単独で投与される個々の活性成分または単一活性成分を発現する細胞に言及する場合、治療有効量は、単独でのその成分のまたはその成分を発現する細胞の効果を指し得る。組合せに言及する場合、治療有効量は、活性成分の合計量、または活性成分を発現する細胞と合わせた補助活性成分の合計量であって、順次投与されるのか並行して投与されるのかを問わず、治療効果を生じさせる結果となる合計量を指す。組合せはまた、標的(例えば、それぞれ同じかまたは異なる疾患に関連する抗原に結合する)にそれぞれ特異的に結合する2つの異なる結合タンパク質(例えば、CAR)などの、1つより多くの活性成分を発現する細胞または改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する作用因子、および別の関連する治療薬であってもよい。
【0185】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約3.3×105細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約3.3×105細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0186】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約1×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約1×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0187】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約3.3×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約3.3×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0188】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約1×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約1×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0189】
ある特定の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約5×104細胞/kg、5×105細胞/kg、5×106細胞/kg、または最大で約5×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。ある特定の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約5×104細胞/kg、5×105細胞/kg、5×106細胞/kg、または最大で約5×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0190】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、オキサリプラチンを含む。ある特定の実施形態では、単一用量のオキサリプラチンは、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、または200mg/m2、またはそれより多くを含む。特定の実施形態では、単一用量のオキサリプラチンは、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mg/m2を含む。さらなる実施形態では、単一用量のオキサリプラチンは、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、または200mg/kg、またはそれより多くを含む。
【0191】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、シクロホスファミドを含む。一部の実施形態では、単一用量のシクロホスファミドは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、130、140、150、160、170、180、190、200mg/kgのシクロホスファミド、またはそれより多くを含む。一部の実施形態では、対象は、1日当たり約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000mg/m2のシクロホスファミド(またはシクロホスファミドを含む医薬組成物)、またはそれより多くを投与される。特定の実施形態では、
【0192】
ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、オキサリプラチンおよびシクロホスファミドを含み、オキサリプラチンおよびシクロホスファミドはそれぞれ、互いに任意の量および/または任意の比で存在する。一部の実施形態では、単一用量のICDの誘導に関連する作用因子は、約50から約100mg/m2のオキサリプラチンおよび約200から約1000mg/m2のシクロホスファミドを含む。さらなる実施形態では、単一用量は、約300mg/m2のシクロホスファミドを含む。
【0193】
ある特定の実施形態では、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子は、本明細書で開示される実施形態のいずれにおいても、BMS-936559、デュルバルマブ(MEDI4736)、アテゾリズマブ(RG7446)、アベルマブ(MSB0010718C)、MPDL3280A、またはそれらの任意の組合せであるか、それを含むか、またはそれに由来する、PD-L1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。ある特定の実施形態では、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、またはそれを超えるmg/kgの用量で投与される。ある特定の実施形態では、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子(例えば、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれを含む医薬組成物)の単一用量は、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000ミリグラム、またはそれを超える作用因子(または作用因子を含む組成物)を含む。
【0194】
本明細書に記載の作用因子(例えば、改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する作用因子;免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子;免疫刺激成分のアゴニストである作用因子)のいずれかの投薬は、任意の送達経路を使用し、任意の期間にわたって実施され得る。ある特定の実施形態では、作用因子の送達は、静脈内に実施される。ある特定の実施形態では、作用因子の単一用量は、約5、10、15、20、25、30、60、75、90、120、180、240分、またはそれより長い時間にわたり、静脈内に送達され得る。用量は、1日当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多い回数で送達されてもよい。一部の実施形態では、単一用量は、1日当たり1回投与される。一部の実施形態では、1日1回の投薬は、1週間当たり約1回、2、3、4、5、6、7、8週間毎、またはそれより多い週当たり1回投与される。
【0195】
一部の実施形態では、任意の2つまたはそれより多い作用因子(すなわち、改変された免疫細胞;ICDの誘導に関連する作用因子;刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト;免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である作用因子;ならびに/または免疫刺激性成分のアゴニストである作用因子の2つまたはそれより多く)は、並行して投与される。一部の実施形態では、任意の2つまたはそれを超える作用因子は、同時期に投与される。一部の実施形態では、任意の2つまたはそれを超える作用因子は、逐次的におよび/または間欠的に、任意の順番でならびに投与間の任意の時間内で投与される。
【0196】
本明細書に記載の作用因子のいずれかの単剤またはいずれか2つもしくはそれより多くの投与は、任意の適切な間隔、例えば、毎日もしくは毎週基準で、または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれより長い週を隔てて実施されてもよい。ある特定の実施形態では、対象は、ICDの誘導に関連する作用因子および改変された免疫細胞を、複数回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多い回数)投与される。ある特定の実施形態では、対象は、ICDの誘導に関連する作用因子および改変された免疫細胞を、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の間隔で一緒に投与される。さらなる実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子および改変された免疫細胞を受けている対象は、その作用因子または改変された免疫細胞を以前に受けたことがない。またさらなる実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子および改変された免疫細胞は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多い回数(例えば、1週間、2週間、または3週間に2回またはそれより多い投与)投与される。
【0197】
ある特定の実施形態では、改変された免疫細胞は、ICDの誘導に関連する作用因子と並行して、対象に投与される。ある特定の実施形態では、改変された免疫細胞は、対象にICDの誘導に関連する作用因子が投与された後に、対象に投与される。ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、対象に改変された免疫細胞が投与された後に、対象に投与される。ある特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子および改変された免疫細胞は、逐次的に(すなわち、任意の順におよび任意の回数を繰り返して)対象に投与される。本明細書において開示された方法のいずれにおいても、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である作用因子、ならびに/または免疫刺激性分子のアゴニストである作用因子は、改変された免疫細胞の投与とICDの誘導に関連する作用因子の投与のいずれかまたは両方の前に、後に、またはその間に間欠的に(例えば、その間に1、2、3回、またはそれより多い回数)投与される。
【0198】
ある特定の実施形態では、方法は、ICDの誘導に関連する作用因子および改変された免疫細胞を、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子が、1日当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回、および/または1週間当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回投与されるように、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子と併用して投与することを含む。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、ICDの誘導に関連する作用因子の投与の約12、24、36、48、60、72、84、または96時間後に投与される。
【0199】
今般開示される実施形態のいずれにおいても、対象は、今般開示される治療レジメンの前に、改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する作用因子、免疫刺激性分子のアゴニスト、および免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子のいずれも受けていなかった。
【0200】
あるいは、一部の実施形態では、対象は、本開示の治療を開始する前の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、または28日間、作用因子(改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する作用因子、免疫刺激性分子のアゴニスト、ならびに免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子)のいずれかを受けたことがある(または受けたことがない)。
【0201】
特定の実施形態では、ICDの誘導に関連する作用因子は、オキサリプラチンおよびシクロホスファミドを含み、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子は、抗PD-L1抗体を含む。さらなる実施形態では、方法は、オキサリプラチンおよびシクロホスファミドを1週間に約1回、抗PD-L1抗体を1週間に約2回、および改変された免疫細胞を(単独でまたはシクロホスファミドなどのリンパ枯渇化学療法と組み合わせて)約3週間毎に投与することを含む。
【0202】
またさらなる実施形態では、方法は、改変された免疫細胞を、シクロホスファミドとともに3週間毎の間隔で2回またはそれより多い回数、オキサリプラチンおよびシクロホスファミドを、改変された免疫細胞およびシクロホスファミドと同じ週に開始して、1週間に1回、3週間またはそれより長い週数の間、ならびに抗PD-L1抗体を、改変された免疫細胞およびシクロホスファミドと同じ週に開始して、1週間に2回、2週間またはそれより長い週数の間投与することを含む。
【0203】
一部の実施形態では、方法は、逐次的に投与されたサイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-21)を対象に投与することをさらに含み、ただし、対象に、サイトカイン投与前に、少なくとも3または4回、改変された免疫細胞が投与された。ある特定の実施形態では、サイトカインは、改変された免疫細胞と併用して投与される。
【0204】
ある特定の実施形態では、処置される対象は、免疫抑制療法、例えば、カルシニューリン阻害剤、コルチコステロイド、微小管阻害剤、低用量のミコフェノール酸プロドラッグ、またはそれらの任意の組合せを受けたことがあるかまたはそれをさらに受けている。またさらなる実施形態では、処置される対象は、非骨髄破壊的または骨髄破壊的造血細胞移植を受けたことがあり、処置は、非骨髄破壊的造血細胞移植の少なくとも2から少なくとも3カ月後に投与され得る。
【0205】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、疾患または状態は、過剰増殖性疾患であるかまたはそれを含む可能性がある。一部の状況では、本明細書で使用される場合、「過剰増殖性障害」は、正常または非罹患細胞と比較して過剰な成長または増殖を指す。例示的な過剰増殖性障害としては、腫瘍、がん、新生物組織、癌、肉腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、悪性細胞、前悪性細胞、および非新生物性または非悪性過剰増殖性障害(例えば、腺腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、血管腫、線維症、再狭窄、ならびに自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬、炎症性腸疾患など)が挙げられる。
【0206】
さらに、一部の状況では、「がん」は、固形腫瘍、腹水腫瘍、血液もしくはリンパもしくは他の悪性疾患;結合組織悪性疾患;転移性疾患;器官または幹細胞の移植後の微小残存疾患;多剤耐性がん、原発性または二次性悪性疾患、悪性疾患に関係する血管新生、または他の形態のがんを含む、任意の加速された細胞増殖を指すことができる。
【0207】
ある特定の実施形態では、がんは、頭頚部がん、黒色腫、膵がん、胆管細胞癌、肝細胞がん、乳がん、胃がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、食道がん、中皮腫、小細胞肺がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0208】
さらなる実施形態では、がんは、アスキン腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、PNET、悪性血管内皮腫、悪性シュワン腫、骨肉腫、胞状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢肉腫、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質性腫瘍(GIST)、血管外皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、未分化多形肉腫、悪性神経鞘腫(MPNST)、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、未分化多形肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、形成性胃炎、ビポーマ、胆管細胞癌、肝細胞癌、腺様嚢胞癌、腎細胞癌、グラヴィッツ腫瘍、上衣腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、混合膠腫、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、CD37+樹状細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓周辺帯リンパ腫、粘液関連(MALT)リンパ組織の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、結節周辺帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、結節外NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸管症型T細胞性リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、セザリー症候群、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0209】
ある特定の実施形態では、がんは、固形腫瘍を含み、これは、実施形態では、肉腫、癌腫、または両方を含む。今般開示される方法によって処置可能な例示的な固形腫瘍として、軟骨肉腫;線維肉腫(線維芽細胞肉腫);隆起性皮膚線維肉腫(DFSP);骨肉腫;横紋筋肉腫;ユーイング肉腫;消化管間質腫瘍;平滑筋肉腫;血管肉腫(angiosarcoma)(血管の肉腫(vascular sarcoma));カポジ肉腫;脂肪肉腫;多形肉腫;または滑膜肉腫が挙げられる。
【0210】
さらなる実施形態では、固形腫瘍は、肺癌(例えば、腺癌、扁平上皮癌(類表皮癌));扁平上皮癌;腺癌;腺扁平上皮癌;未分化癌;大細胞癌;小細胞癌;乳癌(例えば、腺管上皮内癌(非侵襲性)、非浸潤性小葉癌(非侵襲性)、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非侵襲性癌);肝癌(例えば、肝細胞癌、胆管細胞癌、または胆管がん);大細胞未分化癌、気管支肺胞上皮癌;卵巣癌(例えば、表面上皮間質腫瘍(腺癌)もしくは卵巣上皮癌(漿液性腫瘍、子宮内膜性腫瘍および粘液性嚢胞腺癌を含む)、類表皮(扁平上皮癌)、胚性癌腫および絨毛癌(胚細胞性腫瘍));腎癌(例えば、腎腺癌、グラヴィッツ腫瘍、移行上皮癌(腎盂)、扁平上皮癌、ベリーニ管癌、明細胞腺癌、移行上皮癌、腎盂のカルチノイド腫瘍);副腎癌(例えば、副腎皮質癌)、精巣の癌(例えば、胚細胞癌(精上皮腫、絨毛癌、胚性癌腫、奇形癌腫)、漿液癌);胃癌(例えば、腺癌);腸癌(例えば、十二指腸の腺癌);結腸直腸癌;または皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌)から選択される。
【0211】
ある特定の実施形態では、固形腫瘍は、卵巣癌;卵巣上皮癌;子宮頸部腺癌または小細胞癌;膵臓癌;結腸直腸癌(例えば、腺癌または扁平上皮癌);肺癌;乳管癌;または前立腺の腺癌である。
【0212】
一部の実施形態では、本開示の疾患関連抗原は、腫瘍関連抗原、例えば、ROR1、EGFR、EGFRvIII、EGP-2、EGP-40、GD2、GD3、HPV E6、HPV E7、Her2、L1-CAM、Lewis A、Lewis Y、MUC1、MUC16、PSCA、PSMA、CD19、CD20、CD22、CD56、CD23、CD24、CD30、CD33、CD37、CD44v7/8、CD38、CD56、CD123、CA125、c-MET、FcRH5、WT1、葉酸受容体α、VEGF-α、VEGFR1、VEGFR2、IL-13Rα2、IL-11Rα、MAGE-A1、PSA、エフリンA2、エフリンB2、NKG2D、NY-ESO-1、TAG-72、メソテリン、NY-ESO、5T4、BCMA、FAP、炭酸脱水酵素9、ERBB2、BRAFV600E、MAGE-A3、MAGE-A4、SSX-2、PRAME、HA-1、およびCEAを含む。特定の実施形態では、腫瘍関連抗原は、ROR1である。さらなる実施形態では、疾患または状態は、トリプルネガティブ乳がん、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、非小細胞肺がん、またはそれらの任意の組合せを含む。本発明により処置され得る対象は、一般に、ヒトおよび他の霊長類対象、例えば、獣医学目的でサルおよび類人猿である。上述の実施形態のいずれにおいても、対象は、ヒト対象であり得る。対象は、男性であってもよく、または女性であってもよく、乳幼児、若年、青年、成人および老年対象を含む、いずれの好適な年齢であってもよい。本開示による、例えば、改変された細胞を含む1つまたは複数の組成物、作用因子またはそれらの組合せは、医療の技術分野の当業者によって決定される処置される疾患、状態、または障害に適切な方法で投与されてもよい。上記実施形態のいずれにおいても、本明細書に記載されている結合タンパク質を含む細胞が、アブレーションされるタグ付き細胞またはタグ付き免疫治療細胞に遭遇するために、骨髄中に、リンパ節中に、または脳脊髄液中に、静脈内、腹腔内、腫瘍内投与される。組成物の適切な用量、好適な投与期間および頻度は、患者の状態;疾患、状態または障害のサイズ、タイプおよび重症度;タグ付き免疫治療用細胞の望ましくないタイプまたはレベルまたは活性;活性成分の特定の形態;ならびに投与方法などの因子によって決定されることになる。
【0213】
本明細書で使用される場合、用語「養子免疫療法」または「養子免疫治療」は、一部に関して、天然に存在するかまたは遺伝子操作された、疾患抗原特異的免疫細胞(例えば、T細胞)の投与を指し得る。養子細胞免疫治療は、自己(免疫細胞がレシピエントからのものである)、同種異系(免疫細胞が、同じ種のドナーからのものである)、または同系(免疫細胞が、レシピエントと遺伝的に同一のドナーからのものである)であり得る。
【0214】
上記実施形態のいずれにおいても、本開示の方法は、細胞の染色体へと安定して組み込まれる、本明細書に記載されている所望のポリヌクレオチドを含む、有効量の改変された免疫細胞(これは、自己、同種異系または同系であってもよく、例えば、本開示の結合タンパク質を発現していてもよい)を投与することを含む。例えば、そのような細胞内組成物は、養子免疫治療として、所望の結合タンパク質発現T細胞組成物を対象に投与するために、自己、同種異系または同系免疫系細胞(例えば、T細胞、抗原提示細胞、ナチュラルキラー細胞)を使用して、ex vivoで生成されてもよい。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、造血前駆細胞またはヒト免疫細胞である。ある特定の実施形態では、免疫系細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4-CD8-二重陰性T細胞、γδT細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、またはそれらの任意の組合せである。ある特定の実施形態では、免疫系細胞は、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、またはそれらの任意の組合せである。特定の実施形態では、細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、または両方を含む。
【0215】
組成物中の有効量、例えば、治療有効量の細胞は、少なくとも1つの細胞(例えば、1つの結合タンパク質により改変されたCD8+T細胞亜集団;1つの結合タンパク質により改変されたCD4+T細胞亜集団)であるかまたは、より典型的には、102より多い細胞、例えば、最大で106、最大で107、最大で108細胞、最大で109細胞、または1010より多い細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、約104から約1010細胞/m2の範囲で、好ましくは約105から約109細胞/m2の範囲で投与される。
【0216】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約3.3×105細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約3.3×105細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0217】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約1×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約1×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0218】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約3.3×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約3.3×106細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0219】
一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約1×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。一部の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約1×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0220】
ある特定の実施形態では、改変された免疫細胞は、最大で約5×104細胞/kg、5×105細胞/kg、5×106細胞/kg、または最大で約5×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。ある特定の実施形態では、改変された免疫細胞は、少なくとも約5×104細胞/kg、5×105細胞/kg、5×106細胞/kg、または最大で約5×107細胞/kgを含む用量で対象に投与される。
【0221】
細胞の数は、組成物の意図される最終使用に加えて、それに含まれる細胞のタイプにも依存することになる。例えば、特定の抗原に特異的な結合タンパク質を含有するように改変された細胞は、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれより多くのそのような細胞を含有する細胞集団を含むことになる。本明細書で提供される使用について、細胞は、一般に、1リットルもしくはそれ未満、500mlもしくはそれ未満、250mlもしくはそれ未満、または100mlもしくはそれ未満の体積である。実施形態では、所望の細胞の密度は、通常は、104細胞/mlより高く、一般に、107細胞/mlより高く、一般に、108細胞/mlであるかまたはそれより高い。細胞を、単回注入として投与してもよく、またはある時間範囲にわたって複数回の注入で投与してもよい。臨床的に意義のある数の免疫細胞を、累積的に106、107、108、109、1010もしくは1011細胞であるかまたはそれを超える複数の注入物に分配することができる。
【0222】
治療有効量の宿主細胞(例えば、本開示のポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞)を含む、単位用量も、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、単位用量は、(i)少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の改変されたCD4+T細胞を含む組成物と、(ii)少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の改変されたCD8+T細胞を含む組成物とを約1:1の比で組み合わせて含み、前記単位用量は、低減された量のナイーブT細胞を含有するかまたはナイーブT細胞を実質的に含有しない(すなわち、単位用量に存在するナイーブT細胞の集団を、匹敵する数のPBMCを有する対象試料と比較して約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満または約1%未満有する)。
【0223】
一部の実施形態では、単位用量は、(i)少なくとも約50%の改変されたCD4+T細胞を含む組成物と、(ii)少なくとも約50%の改変されたCD8+T細胞を含む組成物とを約1:1の比で組み合わせて含み、前記単位用量は、低減された量のナイーブT細胞を含有するかまたはナイーブT細胞を実質的に含有しない。さらなる実施形態では、単位用量は、(i)少なくとも約60%の改変されたCD4+T細胞を含む組成物と、(ii)少なくとも約60%の改変されたCD8+T細胞を含む組成物とを約1:1の比で組み合わせて含み、前記単位用量は、低減された量のナイーブT細胞を含有するかまたはナイーブT細胞を実質的に含有しない。なおさらなる実施形態では、単位用量は、(i)少なくとも約70%の改変されたCD4+T細胞を含む組成物と、(ii)少なくとも約70%の改変されたCD8+T細胞を含む組成物とを約1:1の比で組み合わせて含み、前記単位用量は、低減された量のナイーブT細胞を含有するかまたはナイーブT細胞を実質的に含有しない。一部の実施形態では、単位用量は、(i)少なくとも約80%の改変されたCD4+T細胞を含む組成物と、(ii)少なくとも約80%の改変されたCD8+T細胞を含む組成物とを約1:1の比で組み合わせて含み、前記単位用量は、低減された量のナイーブT細胞を含有するかまたはナイーブT細胞を実質的に含有しない。一部の実施形態では、単位用量は、(i)少なくとも約85%の改変されたCD4+T細胞を含む組成物と、(ii)少なくとも約85%の改変されたCD8+T細胞を含む組成物とを約1:1の比で組み合わせて含み、前記単位用量は、低減された量のナイーブT細胞を含有するかまたはナイーブT細胞を実質的に含有しない。一部の実施形態では、単位用量は、(i)少なくとも約90%の改変されたCD4+T細胞を含む組成物と、(ii)少なくとも約90%の改変されたCD8+T細胞を含む組成物とを約1:1の比で組み合わせて含み、前記単位用量は、低減された量のナイーブT細胞を含有するかまたはナイーブT細胞を実質的に含有しない。
【0224】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、単位用量は、改変されたCD45RA-CD3+CD8+および改変されたCD45RA-CD3+CD4+TM細胞の等しいまたはほぼ等しい数を含む。
【0225】
本明細書において開示されるとおりの改変された細胞および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物も企図される。一部に関して、用語「薬学的に許容される賦形剤または担体」または「生理学的に許容される賦形剤または担体」は、本明細書においてより詳細に記載されており、ヒトまたは他の非ヒト哺乳動物対象への投与に好適であり、一般的に、安全であるかまたは重大な有害事象を引き起こさないと認識される、生体適合性ビヒクル、例えば、生理食塩水を指し得る。好適な賦形剤は、水、食塩水、デキストロース、グリセロールなど、およびそれらの組合せを含む。実施形態では、本明細書において開示されるとおりの結合タンパク質または宿主細胞を含む組成物は、好適な注入媒体をさらに含む。好適な注入媒体は、任意の等張媒体処方物、通常は生理食塩水であり得、Normosol R(Abbott)またはPlasma-Lyte A(Baxter)、水中の5%デキストロース、乳酸リンゲル液を利用することができる。注入媒体にヒト血清アルブミンまたは他のヒト血清成分が補充されることもある。
【0226】
一部の状況では、治療組成物または医薬組成物の有効量は、本明細書に記載されるような所望の臨床結果または有益な処置を達成するために、必要な投薬量でかつ必要な期間にわたって、十分な量を指す。有効量を1または複数回の投与で送達することができる。投与が、疾患または病状を有することが既に分かっているまたは確認された対象への投与である場合、用語「治療量」を、処置に関して使用することができ、これに対して「予防有効量」を、疾患もしくは病状(例えば、再発)に罹りやすいまたは疾患もしくは病状を発症するリスクがある対象に有効量を予防的コースとして投与することを記述するために、使用することができる。
【0227】
医薬組成物は、医学技術分野の当業者により決定されるような、処置(または予防)される疾患または状態に適切な方法で、投与することができる。組成物の適切な用量ならびに好適な投与期間および頻度は、患者の健康状態、患者のサイズ(すなわち、体重、量(mass)または体面積)、患者の状態のタイプおよび重症度、タグ化された免疫療法細胞の望ましくないタイプもしくはレベルもしくは活性、活性成分の特定の形態、ならびに投与方法などの因子によって決定される。一般に、適切な用量および処置レジメンは、治療的および/または予防的恩恵(例えば、臨床成績向上、例えば、より高頻度の完全もしくは部分的寛解、またはより長い無病および/もしくは全生存期間、または症状重症度の低下を含む、本明細書に記載されるもの)をもたらすのに十分な量で、組成物(複数可)を提供する。予防的使用のための用量は、疾患もしくは障害を予防する、疾患もしくは障害の発症を遅延させる、または疾患もしくは障害に関連する疾患重症度を低下させるのに、十分なものであるべきである。本明細書に記載される方法に従って投与される免疫原性組成物の予防的恩恵は、前臨床研究(in vitroおよびin vivoでの動物研究を含む)および臨床研究の実施、ならびにそこから得られるデータの適切な統計的、生物学的および臨床的方法および技法による分析によって決定することができ、前記方法および技法の全てが当業者によって容易に実施され得る。
【0228】
本明細書で使用される場合、組成物または治療の投与は、一部の態様では、送達経路または方法に関係なく、対象への組成物または治療の送達を指すことができる。投与を持続的にまたは間欠的に、および非経口的に果たすことができる。投与は、認識された状態、疾患または病状を有すると既に確認された対象を処置するためであることもあり、あるいはそのような状態、疾患もしくは病状に罹りやすいまたはそのような状態、疾患もしくは病状を発症するリスクがある対象を処置するためであることもある。補助的治療との共投与は、任意の順序および任意の投薬スケジュールでの、複数の作用因子(例えば、結合タンパク質を発現する組換え(すなわち、操作された)宿主細胞と、1または複数のサイトカイン;免疫抑制治療、例えば、カルシニューリン阻害剤、コルチコステロイド、微小管阻害剤、低用量のミコフェノール酸プロドラッグ、またはそれらの任意の組合せ)の同時のおよび/または逐次的な送達を含み得る。
【0229】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組換え宿主細胞の多数の用量が対象に投与され、前記用量は、約2週間~約4週間の投与間隔で投与され得る。
【0230】
なおさらなる実施形態では、処置されている対象は、免疫抑制治療、例えば、カルシニューリン阻害剤、コルチコステロイド、微小管阻害剤、低用量のミコフェノール酸プロドラッグ、またはそれらの任意の組合せをさらに受けている。なおさらなる実施形態では、処置されている対象は、非骨髄破壊的または骨髄破壊的造血細胞移植を受けたことがあり、この処置は、非骨髄破壊的造血細胞移植の少なくとも2カ月~少なくとも3カ月後に投与することができる。
【0231】
一部の態様では、CTL免疫応答のレベルは、本明細書に記載されるおよび当技術分野において日常的に実施されている非常に多くの免疫学的方法のいずれか1つによって決定することができる。CTL免疫応答のレベルは、例えばT細胞により発現される本明細書に記載される結合タンパク質のいずれか1つの投与の前および後に、決定することができる。CTL活性を決定するための細胞傷害性アッセイは、当技術分野において日常的に実施されているいくつかの技法および方法のいずれか1つを使用して行うことができる(例えば、Henkart et al., "Cytotoxic T-Lymphocytes" in Fundamental Immunology, Paul (ed.) (2003 Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA), pages 1127-50およびそこに引用されている参考文献を参照されたい)。
【0232】
抗原特異的T細胞応答は、観察されるT細胞応答を本明細書に記載されるT細胞の機能的パラメーター(例えば、増殖、サイトカイン放出、CTL活性、変更された細胞表面マーカー表現型など)のいずれかに従って比較することによって、通常は決定され、この比較は、適切な状況で同族抗原(例えば、免疫適合性抗原提示細胞により提示されたときにT細胞をプライミングまたは活性化するために使用される抗原)に曝露されるT細胞と、構造的に異なるまたは無関係の対照抗原の代わりに曝露される同じ供給源の集団からのT細胞との間で行われ得る。統計的有意性をもって、対照抗原に対する応答より大きい、同族抗原に対する応答は、抗原特異性を示す。
【0233】
一部の態様では、本明細書に記載の細胞または他の作用因子に対する免疫応答の存在およびレベルを決定するために、生体試料を対象から得ることができる。「生体試料」は、本明細書で使用される場合、血液試料(ここから、血清または血漿を調製することができる)、生検材料、体液(例えば、肺洗浄液、腹水、粘膜洗液、滑液)、骨髄、リンパ節、組織外植片、器官培養物、または対象もしくは生物学的供給源からの任意の他の組織もしくは細胞調製物であり得る。生体試料をいずれの免疫原性組成物を受ける前の対象から得ることもでき、この生体試料は、ベースライン(すなわち、免疫処置前)データを確立するための対照として有用である。
【0234】
本明細書に記載される医薬組成物は、単位用量または複数用量用容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに入っている状態で提供することができる。そのような容器を凍結して、製剤の安定性を保つことができる。ある特定の実施形態では、単位用量は、本明細書に記載される組換え宿主細胞を約107細胞/m2~約1011細胞/m2の用量で含む。例えば、非経口もしくは静脈内の投与または製剤を含む、様々の処置レジメンにおける、本明細書に記載される特定の組成物の使用に好適な投薬レジメンおよび処置レジメンの開発。
【0235】
対象組成物が非経口投与される場合、その組成物は、滅菌水性または油性溶液または懸濁液も含み得る。好適な非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒としては、水、リンゲル液、等張塩類溶液、水との混合物での1,3-ブタンジオール、エタノール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール(polythethylene glycol)が挙げられる。水溶液または水性懸濁液は、1つまたは複数の緩衝剤、例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたは酒石酸ナトリウムをさらに含むことができる。もちろん、いずれの投薬単位製剤の調製に使用されるいずれの材料も、薬学的に純粋でなければならず、利用される量で実質的に非毒性でなければならない。加えて、活性化合物を、徐放性調製物および製剤中に組み込むことができる。投薬単位形態は、本明細書で使用される場合、処置される対象にとって単位投薬量として適している物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な医薬担体と共同で所望の治療効果を生じさせるように計算された所定量の組換え細胞または活性化合物を含有し得る。
【0236】
一般に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的または予防的恩恵をもたらすのに十分な量で、活性分子または細胞を提供する。そのような応答は、処置されていない対象と比較して処置された対象において臨床成績向上(例えば、より高頻度の寛解、完全もしくは部分的、またはより長い無病生存期間)を確立することによって、モニタリングすることができる。腫瘍タンパク質に対する既存の免疫応答の増加は、一般に、臨床成績向上と相関する。そのような免疫応答は、標準的な増殖、細胞傷害性またはサイトカインアッセイを使用して、一般に評価することができ、前記アッセイは、当技術分野において日常的であり、処置前および後に対象から得た試料を使用して行うことができる。
【0237】
この開示による方法は、併用療法(上記に記載したいずれかのような)において疾患または障害を処置するために1つまたは複数の追加の作用因子を投与することをさらに含んでもよい。例えば、ある特定の実施形態では、併用療法は、改変された宿主細胞(例えば、結合タンパク質を発現する)およびICDの誘導に関連する作用因子(例えば、一緒に、または順番に、またはそれを以前に他のものを受けたことがある対象に投与して)を、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子とともに(併用して、同時に、または逐次的に)投与することを含む;例えば、ただし、対象は、本方法の一部としての免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子を以前に受けたことがない。一部の実施形態では、併用療法は、改変された宿主細胞およびICDの誘導に関連する作用因子を、刺激性免疫チェックポイント作用因子のアゴニストとともに投与することを含む;例えば、ただし、対象は、本方法の一部としての刺激性免疫チェックポイント作用因子のアゴニストを以前に受けたことがない。さらなる実施形態では、併用療法は、改変された宿主細胞およびICDの誘導に関連する作用因子を、二次療法、例えば、化学療法剤、放射線療法、外科手術、抗体、またはそれらの任意の組合せとともに投与することを含む。一部の態様では、併用療法は、改変された宿主細胞、ICDの誘導に関連する作用因子、および本明細書に記載の作用因子のいずれかを含み得る。
【0238】
ある特定の実施形態では、併用療法は、本開示の改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子(例えば、一緒に、または順番に、またはそれを以前に他のものを受けたことがある対象に投与して)および以下のものの1つまたは複数を含む二次療法を含む:疾患関連抗原(例えば、がんもしくは腫瘍関連抗原または非炎症性固形腫瘍によって発現された抗原)に特異的な抗体またはその抗原結合断片、放射線処置、外科手術、化学療法剤、サイトカイン、RNAi、またはそれらの任意の組合せ。
【0239】
ある特定の実施形態では、併用療法の方法は、改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子(例えば、一緒に、または順番に、またはそれを以前に他のものを受けたことがある対象に投与して)を投与することと、放射線処置または外科手術をさらに投与することとを含む。放射線療法は、当技術分野で周知であり、X線療法、例えば、ガンマ線照射、および放射性医薬品療法を含む。対象の所与の疾患または障害(例えば、がん、腫瘍または非炎症性固形腫瘍)を処置するのに適切な外科手術および外科的手法は、当業者に周知である。
【0240】
ある特定の実施形態では、併用療法の方法は、改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する作用因子(例えば、一緒に、または順番に、またはそれを以前に他のものを受けたことがある対象に投与して)を投与することと、化学療法剤をさらに投与することとを含む。化学療法剤は、ICDの誘導に関連してもしなくてもよく、本明細書に記載のいずれかを含むがこれらに限定されない。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
対象の疾患または状態を処置するための方法であって、
(a)前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、有効量の改変された免疫細胞;および
(b)有効量の、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子
を前記対象に投与することを含み、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目2)
対象の疾患または状態を処置するための方法であって、前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、有効量の改変された免疫細胞を対象に投与することを含み、
前記対象に、前記改変された免疫細胞を投与する前に、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子が投与されている、方法。
(項目3)
対象の疾患または状態を処置するための方法であって、有効量の、免疫原性細胞死(ICD)の誘導に関連する作用因子を前記対象に投与することを含み、
前記対象に、ICDの誘導に関連する前記作用因子を投与する前に、前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞が投与されており、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目4)
対象の疾患または障害を処置する方法であって、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子を投与する前に、(i)前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞;および/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、前記対象に、必要に応じて、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが以前に投与されており、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目5)
対象の疾患または障害を処置する方法であって、前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、有効量の改変された免疫細胞を対象に投与することを含み、前記対象に、前記改変された免疫細胞を投与する前に、(i)免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である作用因子;ならびに/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置し、前記対象に、必要に応じて、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが以前に投与されており、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目6)
対象の疾患または障害を処置する方法であって、ICDの誘導に関連する作用因子の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、ICDの誘導に関連する前記作用因子を投与する前に、(i)免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子;ならびに(ii)前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞が投与されており、前記対象に、必要に応じて、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが以前に投与されており、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目7)
対象の疾患または障害を処置する方法であって、刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストの有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、刺激性免疫チェックポイント分子の前記アゴニストを投与する前に、(i)前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞;および/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、それによって、前記疾患または状態を処置し、前記対象に、必要に応じて、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子が以前に投与されており、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目8)
対象の疾患または障害を処置する方法であって、前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、前記改変された免疫細胞を投与する前に、(i)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト;および/または(ii)ICDの誘導に関連する作用因子が投与されており、前記対象に、必要に応じて、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子が以前に投与されており、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目9)
対象の疾患または障害を処置する方法であって、ICDの誘導に関連する作用因子の有効量を前記対象に投与することを含み、前記対象に、ICDの誘導に関連する前記作用因子を投与する前に、(i)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト;および/または(ii)前記疾患もしくは状態によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞が投与されており、前記対象に、必要に応じて、免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子が以前に投与されており、
それによって、前記疾患または状態を処置する、方法。
(項目10)
(i)前記改変された免疫細胞およびICDの誘導に関連する前記作用因子;
(ii)前記改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する前記作用因子、ならびに免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子;
(iii)前記改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する前記作用因子、および刺激性免疫チェックポイント分子の前記アゴニスト;または
(iv)前記改変された免疫細胞、ICDの誘導に関連する前記作用因子、刺激性免疫チェックポイント分子の前記アゴニスト、ならびに免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子
の投与の後に、
前記対象が、ICDの誘導に関連する前記作用因子が投与されていない参照対象によって達成される免疫応答と比較して上昇した前記疾患または障害に対する前記免疫応答を達成する、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記免疫応答の上昇が、
(i)前記疾患もしくは障害の部位への免疫細胞の局在化、および/もしくは前記疾患もしくは障害の部位における免疫細胞活性の量の増加;
(ii)前記対象における免疫細胞の増殖の増加;
(iii)前記対象における活性化した免疫細胞の量の増加;
(iv)(a)サイトカイン-サイトカイン受容体相互作用、(b)ケモカインシグナル伝達経路、(c)細胞接着分子、もしくは(d)(a)~(c)の任意の組合せに関連する遺伝子の、前記対象における、必要に応じて前記対象由来の疾患組織の試料における、発現レベルの増加;
(v)疾患細胞および/もしくは組織の量、成長、成長速度、もしくは広がりの低減;または
(vi)(i)~(iv)の任意の組合せ
を含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記免疫応答の上昇が、Ccl12;Ccl17;Ccl2;Ccl7;Ccl9;Ccr2;Ccr8;CD40;CD40lg;Csf1;Csf3r;Cxcl10;Cxcr2;Eda2r;Fas;IL21r;IL2rb;IL17r;Tnfrsf25;Tnfsrf9;Tnfsf8;Xcl1;Gng7;CD226;CD80;CD8α;Cldn2;H2-M2;Pdcd1Ig2;Sele;Selp;またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数の発現レベルの増加を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
ICDの誘導に関連する前記作用因子が、
(i)オキサリプラチン;
(ii)シクロホスファミド;
(iii)化学療法剤もしくはその活性代謝物;
(ii)パターン認識受容体(PRR)を標的とする作用因子;
(ii)腫瘍溶解性ウイルス;
(iv)疾患関連抗原に特異的に結合する抗体、ただし、前記疾患関連抗原は、前記結合タンパク質が結合する前記抗原ではない;
(v)放射線照射;
(vi)光線力学的療法;または
(vii)前述のもののいずれかの組合せ
を含む、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記化学療法剤またはその活性代謝物が、
(a)アルキル化剤;
(b)アントラサイクリン;
(c)代謝拮抗薬;
(d)カスパーゼ活性化因子;
(e)微小管阻害剤;
(f)プロテアソーム阻害剤;
(g)BKチャネルアゴニスト;
(h)非ICD誘導剤(CG)と強心配糖体;
(i)プラチンとERストレッサー;
(j)オキサリプラチン;
(k)ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリI:C);
(l)ブレオマイシン:
(m)(a)~(l)のいずれか1つの活性代謝物;
(n)その誘導体;または
(o)前述のもののいずれかの組合せ
のうちの1つまたは複数を含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
ICDの誘導に関連する前記作用因子の単一用量が、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mg/m2のオキサリプラチンを含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
ICDの誘導に関連する前記作用因子の単一用量が、約50から約4400mg/m2のシクロホスファミドを含む、項目13または14に記載の方法。
(項目17)
ICDの誘導に関連する前記作用因子の前記単一用量が、約300mg/m2のシクロホスファミドを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記アルキル化剤が、シクロホスファミド、テモゾロミド、またはそれらの組合せを含む、項目14~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記アントラサイクリンが、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピリブシン、イダルビシン、ミトキサントロンまたはその誘導体、ピキサントロン、サバルビシン、バルルビシン、またはそれらの組合せを含む、項目14または18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記代謝拮抗薬が、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、カペシタビン、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、クラドリビン、フルダラビン、ペントスタチン、葉酸アゴニスト、またはそれらの組合せを含む、項目14~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記カスパーゼ活性化因子が、tSMACを含む、項目14~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記tSMACが、レンチウイルスベクターに含まれる(LV-tSMAC)、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記微小管阻害剤が、パクリタキセルまたはドセタキセルを含む、項目14~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブを含む、項目14~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記プロテアソーム阻害剤が、マイトマイシンCまたはマイトマイシンCとhTert-Adをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記BKチャネルアゴニストが、フロレチン;ピマリン酸;アラキドン酸;チトクロームP450の代謝物;エポキシゲナーゼ;リポキシゲナーゼ;オメガ-3ドコサヘキサエン酸;17β-エストラジオール;キセノエストロゲン、必要に応じてタモキシフェン;必要に応じてゾニサミドおよびクロルゾキサゾンから選択される抗てんかん薬;ホスホジエステラーゼIII阻害剤、必要に応じてシロスタゾール;ヒトβ-デフェンシン2;DHS-I;ベンズイミダゾロン、必要に応じてNS004および/またはNS1619;Cym04;NS11021;NS19504;BMS204352;チオウレア;テトラヒドロキノリン、必要に応じて化合物36および/または化合物Z;テルペン;ベンゾフロインドール;Andolast;またはそれらの任意の組合せを含む、項目14~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記非ICD誘導剤と強心配糖体が、(i)カルデノリドまたはブファジエノリドならびに(ii)シスプラチン、マイトマイシンC、および/またはエポトシドを含む、項目14~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記プラチンとERストレッサーが、シスプラチンとタプシガルジンを含む、項目14~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
PRRを標的とする前記作用因子が、CpG含有オリゴヌクレオチド;二本鎖RNA;一本鎖RNA;5’-トリホスフェートRNA;リポタンパク質;リポ多糖(LPS);表面糖タンパク質;細菌膜成分;フラジェリン;Rintatolimodもしくはその誘導体;Hilontolもしくはその誘導体;GSK1572932;G100;CBLB502;Imiquimodもしくはその誘導体;MEDI9197;Motolimodもしくはその誘導体;CMP-001;MGN1703;SD-101;1018
ISS;またはそれらの任意の組合せののうちの1つまたは複数を含む病原体関連分子パターン(PAMP)を含む、項目13~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記腫瘍溶解性ウイルスが、アデノウイルス;麻疹ウイルス;HSV;CMV;ニューキャッスル病ウイルス;レオウイルス;セネカウイルス;エンテロウイルス;水疱性口内炎ウイルス;Echo-7ウイルス;セムリキ森林ウイルス;パラポックスウイルス;ワクシニアウイルス;それらの腫瘍溶解性改変バリアント;またはそれらの組合せを含む、項目13~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子を前記対象に投与することをさらに含む、項目1~3および7~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子が、PD-1;PD-L1;CTLA4;B7-H3;B7-H4;CD244/2B4;HVEM;BTLA;CD160;TIM3;GAL9;KIR;PVR1G(CD112R);PVRL2;アデノシン;A2aR;免疫抑制サイトカイン;IDO;アルギナーゼ;VISTA;TIGIT;LAIR1;CEACAM-1;CEACAM-3;CEACAM-5;Treg細胞;またはそれらの任意の組合せの阻害剤から選択される、項目4~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子が、PD-L1に特異的に結合する、および/またはPD-L1の阻害剤である、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子が、抗体もしくはその抗原結合断片;結合タンパク質;融合ポリペプチド;小分子;RNAi分子;リボザイム;アプタマー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;低分子量分子;またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、項目31~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子が、ピジリズマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI0680、AMP-224、BMS-936558 BMS-936559、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、アバタセプト、ベラタセプト、LAG525、IMP321、IMP701、9H12、BMS-986016、もしくはそれらの抗原結合断片、またはそれらの任意の組合せを含む、項目31~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子が、BMS-936559、デュルバルマブ(MEDI4736)、アテゾリズマブ(RG7446)、アベルマブ(MSB0010718C)、MPDL3280A、またはそれらの任意の組合せを含む、項目31~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子が、デュルバルマブを含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子が、(i)前記改変された免疫細胞;(ii)ICDの誘導に関連する前記作用因子;(iii)刺激性免疫チェックポイント分子の前記アゴニスト;または(iv)(i)~(iii)の任意の組合せと併用して、同時に、または逐次的に前記対象に投与される、項目31~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストの有効量を投与することをさらに含む、項目1~6および10~38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが、ウレルマブ、MEDI6469、MEDI6383、MEDI0562、レナリドミド、ポマリドミド、CDX-1127、TGN1412、CD80、CD86、CP-870、893、rhuCD40L、SGN-40、IL-2、GSK3359609、mAb 88.2、JTX-2011、Icos 145-1、Icos 314-8、またはそれらの任意の組合せから選択される、項目39に記載の方法。
(項目41)
刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストが、(i)前記改変された免疫細胞;(ii)ICDの誘導に関連する前記作用因子;(iii)前記免疫抑制成分に特異的に結合する、および/もしくは前記免疫抑制成分の阻害剤である前記作用因子;または(iv)(i)~(iii)の任意の組合せと併用して、同時に、または逐次的に前記対象に投与される、項目39または40に記載の方法。
(項目42)
ICDの誘導に関連する2つまたはそれより多い作用因子が、前記対象に投与される、項目1~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
ICDの誘導に関連する前記2つまたはそれより多い作用因子が、オキサリプラチンおよびシクロホスファミドを含む、項目36に記載の方法。
(項目44)
前記疾患または状態が、過剰増殖性疾患を含む、項目1~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記疾患または状態が、がんである、項目1~44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記がんが、癌腫、肉腫、神経膠腫、リンパ腫、白血病、骨髄腫、またはそれらの任意の組合せを含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記がんが、頭頚部がん、黒色腫、膵がん、胆管細胞癌、肝細胞がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を含む乳がん、胃がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、食道がん、中皮腫、小細胞肺がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、またはそれらの任意の組合せを含む、項目45または46に記載の方法。
(項目48)
前記がんが、アスキン腫瘍、ブドウ状肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、PNET、悪性血管内皮腫、悪性シュワン腫、骨肉腫、胞状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢肉腫、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質性腫瘍(GIST)、血管外皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、リンパ肉腫、未分化多形肉腫、悪性神経鞘腫(MPNST)、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、未分化多形肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、形成性胃炎、ビポーマ、胆管細胞癌、肝細胞癌、腺様嚢胞癌、腎細胞癌、グラヴィッツ腫瘍、上衣腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、混合膠腫、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、CD37+樹状細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓周辺帯リンパ腫、粘液関連(MALT)リンパ組織の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、結節周辺帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、結節外NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸管症型T細胞性リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、セザリー症候群、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、またはそれらの任意の組合せを含む、項目45~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記がんが、固形腫瘍を含む、項目45~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記固形腫瘍が、肉腫または癌腫である、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記固形腫瘍が、軟骨肉腫;線維肉腫(線維芽肉腫);隆起性皮膚線維肉腫(DFSP);骨肉腫;横紋筋肉腫;ユーイング肉腫;消化管間質性腫瘍;平滑筋肉腫;血管肉腫(angiosarcoma)(血管の肉腫(vascular sarcoma));カポジ肉腫;脂肪肉腫;多形肉腫;または滑膜肉腫から選択される、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記固形腫瘍が、肺癌(例えば、腺癌、扁平上皮癌(類表皮癌));扁平上皮癌;腺癌;腺扁平上皮癌;未分化癌;大細胞癌;小細胞癌;乳癌(例えば、腺管上皮内癌(非侵襲性)、非浸潤性小葉癌(非侵襲性)、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非侵襲性癌);肝癌(例えば、肝細胞癌、胆管細胞癌、または胆管がん);大細胞未分化癌、気管支肺胞上皮癌;卵巣癌(例えば、表面上皮間質腫瘍(腺癌)もしくは卵巣上皮癌(漿液性腫瘍、子宮内膜性腫瘍および粘液性嚢胞腺癌を含む)、類表皮(扁平上皮癌)、胚性癌腫および絨毛癌(胚細胞性腫瘍));腎癌(例えば、腎腺癌、グラヴィッツ腫瘍、移行上皮癌(腎盂)、扁平上皮癌、ベリーニ管癌、明細胞腺癌、移行上皮癌、腎盂のカルチノイド腫瘍);副腎癌(例えば、副腎皮質癌)、精巣の癌(例えば、胚細胞癌(精上皮腫、絨毛癌、胚性癌腫、奇形癌腫)、漿液癌);胃癌(例えば、腺癌);腸癌(例えば、十二指腸の腺癌);結腸直腸癌;または皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌)から選択される、項目49または50に記載の方法。
(項目53)
前記固形腫瘍が、卵巣癌、卵巣上皮癌、子宮頸部腺癌または小細胞癌、膵臓癌、結腸直腸癌(例えば、腺癌または扁平上皮癌)、肺癌、乳管癌、または前立腺の腺癌である、項目49、50、または52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記疾患または状態が、トリプルネガティブ乳がん、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、非小細胞肺がん、またはそれらの任意の組合せを含む、項目44~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記結合タンパク質が、結合ドメインを含む細胞外成分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分との間に配置された膜貫通成分を含む、項目1~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する前記抗原が、腫瘍関連抗原である、項目1~55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記腫瘍関連抗原が、ROR1、EGFR、EGFRvIII、EGP-2、EGP-40、GD2、GD3、HPV E6、HPV E7、Her2、L1-CAM、Lewis A、Lewis Y、MUC1、MUC16、PSCA、PSMA、CD19、CD20、CD22、CD56、CD23、CD24、CD30、CD33、CD37、CD44v7/8、CD38、CD56、CD123、CA125、c-MET、FcRH5、WT1、葉酸受容体α、VEGF-α、VEGFR1、VEGFR2、IL-13Rα2、IL-11Rα、MAGE-A1、PSA、エフリンA2、エフリンB2、NKG2D、NY-ESO-1、TAG-72、メソテリン、NY-ESO、5T4、BCMA、FAP、炭酸脱水酵素9、ERBB2、BRAFV600E、MAGE-A3、MAGE-A4、SSX-2、PRAME、HA-1、またはCEAから選択される、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記腫瘍関連抗原が、ROR1である、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記結合タンパク質が、抗体2A2、抗体R12、抗体R11、抗体UC-961、抗体D10、または抗体H10に由来する抗原結合ドメインを含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記結合タンパク質の前記膜貫通成分が、CD28に由来し、前記細胞内成分のエフェクタードメインが、4-1BBシグナル伝達ドメインおよびCD3ζドメインを含む、項目55~59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記結合タンパク質が、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含む、項目1~60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記疾患もしくは障害によって発現されるかもしくはそれに関連する抗原に特異的な抗体もしくは抗原結合断片;化学療法剤;外科手術;放射線療法;抗がんサイトカイン;RNA干渉分子;またはそれらの任意の組合せから選択される二次療法を前記対象に投与することをさらに含む、項目1~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記二次療法が、IFN-γ;IFN-α;IL-2;IL-3;IL-4;IL-10;IL-12;IL-13;IL-15;IL-16;IL-17;IL-18;IL-21;IL-24;GM-CSF;またはそれらの任意の組合せから選択されるサイトカインを含む、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記改変された免疫細胞が、ICDの誘導に関連する前記作用因子に耐性ではない、項目1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
前記改変された免疫細胞が、ICDの誘導に関連する前記作用因子に耐性である、項目1~64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
前記改変された免疫細胞が、T細胞、NK細胞、またはNK-T細胞を含む、項目1~65のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
前記改変された免疫細胞が、T細胞を含む、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記T細胞が、CD4+T細胞、CD8+T細胞、幹細胞メモリーT細胞、またはそれらの任意の組合せである、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記改変された免疫細胞が、染色体遺伝子ノックアウトまたはPD-1遺伝子の変異;LAG3遺伝子;TIM3遺伝子;CTLA4遺伝子;HLA成分遺伝子;TCR成分遺伝子;またはそれらの任意の組合せを含む、項目1~68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記対象が、改変されたCD4+T細胞および改変されたCD8+T細胞を約1:1の比で含む単位用量を投与される、項目66~69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
(i)前記改変された免疫細胞が、CARをコードする異種ポリヌクレオチドを含むT細胞を含み;
(ii)ICDの誘導に関連する前記作用因子が、オキサリプラチンおよびシクロホスファミドを含む、項目1~70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子を前記対象に投与することをさらに含む、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記CARが、抗体2A2、抗体R12、抗体R11、抗体UC-961、抗体D10、または抗体H10からの結合ドメインを含む、項目71または72に記載の方法。
(項目74)
前記CARが、CD28由来の膜貫通ドメインを含む、項目71~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記CARが、4-1BB由来のシグナル伝達ドメインを含む、項目71~74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記疾患または状態が、トリプルネガティブ乳がん、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、非小細胞肺がん、またはそれらの任意の組合せを含む、項目59~75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
(i)
(a)前記疾患または状態によって発現されるかまたはそれに関連する抗原に特異的に結合する結合タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞;
(b)免疫原性細胞死の誘導に関連する作用因子;
(c)免疫抑制成分に特異的に結合する、および/または免疫抑制成分の阻害剤である作用因子;および
(d)免疫刺激性分子のアゴニスト
のうちの1つまたは複数;ならびに
(ii)項目1~76のいずれか一項に記載の方法を実施するための説明書
を含むキット。
【実施例0241】
(実施例1)
ROR1を発現するNSCLCの動物モデルの作成
腫瘍がROR1を発現するin vivo異種移植片腫瘍モデルを肺腺癌のKPマウスモデル(Jackson et al., CancerRes.65(22):10280 (2005))を使用して開発した。一般的に言えば、KPマウスは、lox-stop-loxカセットに先行されるp53のLoxPが導入されたアレルおよび発癌性Kras-G12D変異型アレルを保有する。ベースラインでは、これらのマウスは、表現型として正常であり、p53およびKrasの野生型レベルを発現する。Cre発現レンチウイルスの気管内送達の際に、ウイルスが肺上皮に無作為に吸収され、p53の欠失および発癌性Kras-G12D変異型アレルの活性化が開始され、形質転換が生じる。(
図1)。EF1αプロモーターの制御下で、レンチウイルスを操作し、Creリコンビナーゼ、ホタルルシフェラーゼ(ffluc)、ならびにP2AおよびT2Aリボソームスキップエレメントによって連結されたhROR1を同時発現させた(
図2A)。GFP遺伝子の上流にLoxPが導入された「stop」エレメントを発現する3TZ GreenGoレポーター細胞のレンチウイルス感染によるCreおよびhROR1の同時発現。ROR1およびGFPの発現は、感染3TZ細胞の大多数において、フローサイトメトリーによって検出し(
図2B)、fflucの発現は、バイオルミネセンスイメージング(BLI)によって確認した(
図2C)。
【0242】
レンチウイルスの用量およびKPマウスにおいて肺腫瘍を誘導するそれらの能力を評定した。Cre-P2A-ffluc-T2A-ROR1レンチウイルスを2つの用量レベル(1×10
5pfuおよび5×10
4pfu)で気管内に投与し、腫瘍の発達をBLI(
図3A;代表的データ)および磁気共鳴イメージング(MRI)によってモニタリングした。肺全体に及ぶ連続した1mmのイメージを獲得し、全てのイメージにわたる腫瘍面積を合計することによって腫瘍負荷を定量した。両用量のレンチウイルスは、類似する動態を有する感染マウスの肺のBLIにおいておおまかに2logの増加を生じ、全ての時点で用量が多いほどより高い放射輝度が得られた(
図3B)。
【0243】
感染(p.i.)の10~13週後まで、MRIによって感染マウスの肺における腫瘍結節を検出することができた(
図3C)。より多い用量のレンチウイルスに感染したマウスはわずかにより大きい腫瘍を有し(
図3D)、生存率が低下したが、全てのマウスがp.i.後約20週までの腫瘍進行により死亡した(
図3E)。1×10
5pfu用量のレンチウイルスにより一貫した腫瘍誘導および成長が得られ、その用量を先の実験のために選択した。
【0244】
一般に、ROR1を標的とするCAR T療法は、その腫瘍または他の標的細胞もしくは組織が標的とされる抗原を発現することに関して適用可能であり得る。このモデルにおいてROR1の発現を確認するために、p.i.後13週のKP-hROR1マウスから肺を回収し、免疫組織化学によりhROR1発現について分析した。
図4に示されるように、KP-hROR1マウスにおいて発生した腫瘍が、高度かつ均一にROR1を発現することが観察された。
【0245】
(実施例2)
KP-hROR1マウスにおける腫瘍微小環境の特徴付け
CD4
+Foxp3
+調節性T細胞(Treg)および骨髄腫由来サプレッサー細胞(MDSC)が、誘導されたKPとヒトの肺腺癌の両方の腫瘍微小環境(TME)に浸潤し、宿主免疫を抑制することを観察してきた。KP肺腫瘍におけるhROR1発現誘導の免疫抑制TMEにおける影響を評定するために、KP-hROR1におけるp.i.後22週の様々な免疫細胞について、脾臓、肺排出縦隔リンパ節(mLN)、および肺腫瘍からの試料を調査した。Tregは、脾臓およびmLN(
図5Aおよび5B)に対して腫瘍において頻度が選択的に増加することが観察され、腫瘍ではCD8 T細胞に対するTregの比が最も高かった(
図5E)。腫瘍のTregは、脾臓またはmLNのTregと比較して、Ki-67発現でマークされるように、増強された増殖も示した(
図5C)。PD-1発現も、脾臓またはmLNのTregと比較して、腫瘍のTregにおいて増強された(
図5D)。
【0246】
高いGr-1発現を有するCD11b
+ MDSC(CD11b
+Gr-1
hiMDSC;例えば、「単球の」MDSC)も、腫瘍における頻度が選択的に増加し(
図6Aおよび6C)、MDSCは、脾臓に対して肺腫瘍においてより高いレベルのPD-L1を発現した(
図6F)。中間のGr-1発現を有するCD11b
+MDSC(CD11b
+Gr-1
intMDSC;例えば、「顆粒球の」MDSC)からの結果は、高いGr-1発現を有するMDSCと異なった(
図6B、6D、および6E)。結果は、KP-hROR1マウスのTMEが、ヒト肺がんのものと類似する免疫抑制細胞の表現型および/または特徴を有するという結論と一致した。
【0247】
(実施例3)
マウスの抗ROR1 CAR T細胞の開発と試験
例示的なROR1特異的CARを、KP-hROR1マウスモデルにおいて使用するために調製した。手短に述べると、ヒトCD3ζおよび4-1BBシグナル伝達ドメインに連結した2A2抗体に由来する細胞外scFvから構成される、構築され検証されたhROR1特異的CARを、4-1BBおよびCD3ζドメインをマウスの配列で置き換えるよう改変させた。CARをコードする構築物は、P2Aリボソームスキップエレメントの下流に、短縮型マウスCD19(tCD19)形質導入マーカーをさらに含み、in vivoトラッキングを可能にした(
図7A)。マウスのCD8
+T細胞を、CARを発現するよう形質導入し、形質導入マーカーを発現する細胞をhROR1
+、mROR+、またはROR1-陰性4T1哺乳動物の癌腫細胞とともに、様々なエフェクター:標的比で、in vitroでインキュベートした。改変されていないT細胞ではなく、CAR構築物を発現するT細胞は、hROR1
+標的細胞を溶解したが、mROR1
+またはROR1-陰性標的細胞を溶解しなかった。
図7Bおよび7Cを参照されたい。よって、マウスのCAR T細胞が、マウスではなくヒトのROR1を発現する標的細胞を特異的に認識し、殺滅させることを観察した。
【0248】
抗ROR1 CAR T細胞の抗腫瘍活性を、KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、MRIによって腫瘍成長をモニタリングすることによって、in vivoで評定した。全てのマウスで腫瘍結節が1mm
3以上に到達した際に、マウスに、リンパ枯渇のために100mg/kgのシクロホスファミド(Cy)を投与し、6×10
6の2A2-41BBζ CAR T細胞(CD8:CD4が1:1)またはtCD19マーカーに関してのみ改変された等しい数の対照T細胞を養子移入した(
図8A)。養子移入したT細胞は、コンジェニックB6.SJLマウスに由来し、CD45.2
+KPレシピエントマウスの中でCD45.1
+として識別することができた。マウスは、Cyを受け続け、対照のtCD19または2A2 CAR T細胞を3週間毎に受けた。注目すべきことに、2A2 CAR T細胞は、対照のマウスと比較して、腫瘍成長を有意に低下させた(
図8B)。さらに、処置前(感染後10週)および処置後(感染後16週)の対照のtCD19処置マウスおよび2A2 CAR処置マウスからのMRIスキャンにより、全ての腫瘍結節が対照のマウスで一定して成長した一方で、2A2 CAR T細胞で処置したマウスの腫瘍は、T細胞処置の最初の6週間で退縮したかまたは最小限の成長しか示さなかったことが示された(
図8C)。
【0249】
次いで、感染後22週(4回の細胞注入)のtCD19対照または2A2 CAR-T処置マウスから腫瘍を回収し、CAR T細胞表現型をフローサイトメトリーによって分析した。2A2 CAR T細胞は、対照T細胞と比較して、腫瘍において5倍高い頻度で存在し(
図9C)、Ki67発現に基づいて強力に増殖し(
図9Aおよび9D)、p.i.後22週まで均一なPD-1
hiであった(
図9Bおよび9E)。tCD19および2A2 CAR処置腫瘍に関するROR1発現を、フローサイトメトリー(
図10A)およびIHC(
図10B)によって測定した。対照と2A2 CAR T細胞処置群の両方の腫瘍は、hROR1発現と同様のレベルを維持し、抗原損失バリアントのいずれの増殖物も存在しないという知見と一致した。
【0250】
2A2 抗ROR1 CAR T細胞処置マウスの腫瘍の免疫抑制環境についても分析した。これらの腫瘍は、CAR T細胞未処置マウスと比較して、抑制Treg細胞(
図11A~11C)およびMDSC(
図11D)において減少を実証した。
【0251】
移入後のT細胞のin vivoでの局在化を分析するために、tCD19対照および2A2抗ROR1 CAR T細胞にガウシアルシフェラーゼを形質導入した(
図12Aに示される例示的なBLI)。4回目のT細胞投与を受けた後の移入後1週目のマウスをイメージングした。BLIイメージングにより、ドナーT細胞の大多数が、肺よりも脾臓およびリンパ節に遊走することが示された(
図12Bおよび12C)。結果は、移入したCAR T細胞の大多数が、標的を認識しないかもしくは有効に認識せず、または肺における腫瘍を低減できず、および/または肺に有効にトラフィッキングすることができないという解釈と一致した。
【0252】
(実施例4)
PD-1遮断によって、抗ROR1 CAR T細胞の抗腫瘍有効性は増強されない
抗ROR1 CAR T細胞はPD-1を上方調節することができ、また、腫瘍微小環境におけるその抑制細胞はPD-L1を発現するため、PD-1遮断によって抗ROR1 CAR T細胞の有効性が増強されるかどうかを評定した。手短に述べると、KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、MRIによって腫瘍成長をモニタリングした。全てのマウスで腫瘍結節が1mm
3以上に到達した際に、リンパ枯渇のためにシクロホスファミド(Cy)を投与し(100mg/kgのシクロホスファミド)、マウスは、6×10
6の2A2-41BBζ CAR T細胞(CD8:CD4が1:1)またはtCD19マーカーに関してのみ改変された等しい数の対照T細胞の移入を受けた(
図13A)。養子移入したT細胞は、コンジェニックB6.SJLマウスに由来し、CD45.2
+KPレシピエントマウスの中でCD45.1
+として識別することができた。マウスは、Cyを受け続け、対照のtCD19または2A2 CAR T細胞を3週間毎に受けた。マウスのサブセットは、T細胞移入の時点で開始して、200ugの抗PD-1遮断抗体を1週間に2回腹腔内より処置され、研究の期間を通して続けた。
【0253】
PD-1遮断は、MRI zスタックスキャンによって定量したところ、抗ROR1 CAR T細胞によって腫瘍対照を改善しないことが観察された(
図13B)。さらに、抗ROR1 CAR T細胞の頻度は、腫瘍内での改善が観察されなかった(
図13C)。PD-1染色は、CAR T細胞に関して、抗PD-1処置マウスから低減し、抗体がin vivoで活性であることが示された(
図13D)。しかし、抗ROR1 CAR T細胞は、抗PD-1処置によるより高い活性化の徴候を示さず、抗PD-1処置のないCAR T細胞と同様の腫瘍における活性化マーカーCD69のレベルを示した(
図13E)。
【0254】
(実施例5)
免疫原性化学療法は抗ROR1 CAR T抗腫瘍活性を増強する
免疫原性細胞死(ICD)は、抗原特異的T細胞の腫瘍へのプライミングおよびトラフィッキングを改善することが報告されている。ICDを誘導することが公知の化学療法レジメンによりROR1
+肺腫瘍のCAR T細胞浸潤が増強され得るかどうかを、組合せ処置実験で評定した(
図14A)。手短に述べると、KPマウスをCre-ffluc-hROR1レンチウイルスに感染させ、MRIによって腫瘍成長をモニタリングした。全てのマウスで腫瘍結節が1mm
3以上に到達した際に、マウスを、1週間に1回、合計3週間(12、13、14週目)、2.5mg/kgのオキサリプラチンおよび50mg/kgのシクロホスファミド(Cytoxan)で前処置した。12および15週目に、マウスに、リンパ枯渇のために100mg/kgのシクロホスファミド(Cy)と、6×10
6の2A2-41BBζ CAR T細胞(CD8:CD4が1:1)またはtCD19マーカーに関してのみ改変された等しい数の対照T細胞を投与した。また、マウスは、T細胞移入の時点で開始して、200μgの抗PD-L1(αPD-L1)チェックポイント抗体を1週間に2回受け、研究の期間を通して続けた。研究の期間を通して、体重減少、血液試料、およびIHCもモニタリングした。
【0255】
図14Bおよび14Lに示されるように、オキサリプラチン、シクロホスファミド、および抗PD-L1による併用療法は、驚くべきことにかつ相乗的に、抗ROR1 CAR T細胞によって腫瘍対照を改善する。MRIによって定量した腫瘍体積を、上のパネルに、各処置群についてまとめる(1群当たりn=3~4)。個々の腫瘍結節の成長パターンを、
図14C~14Fおよび14M~14Pにおいて、各処置群についてまとめる。tCD19対照およびtCD19対照+Ox/Cy/αPD-L1処置マウスのほぼ全ての腫瘍結節が一定して進行したが(併用処置を受けた群の1/7が退縮)、抗ROR1 CAR T細胞で処置したマウスにおいてのみ、わずかな結節(3/12)が退縮した。比較すると、抗ROR1 CAR T細胞のOx/Cy/αPD-L1との併用療法は、結節退縮の比率を増加させる(6/10対3/12)。代表的なMRIスキャンが
図14Gおよび14Qに提供され、tCD19対照およびtCD19+Ox/Cy/αPD-L1処置マウスにおける一定した腫瘍進行、抗ROR1 CAR処置マウスにおけるより遅いかまたは最小限の成長、および抗ROR1 CAR+Ox/Cy/αPD-L1処置マウスにおける退縮が示される。
【0256】
CAR+Ox/Cy/αPD-L1処置マウスにおけるCAR T細胞活性をさらに特徴付けるために、この群由来の腫瘍をp.i.の17週間後に回収し、CD3に関するIHC染色を実施した。腫瘍周辺のT細胞の局在化に関して、病理学者によって腫瘍を独立してスコアリングした。腫瘍は、主に、間質浸潤、末梢浸潤、または腫瘍内浸潤を有するとしてスコアリングした。代表的なデータを
図14H、14R、および14Tに示す。各腫瘍における細胞総数当たりのCD3
+細胞の%を定量した。抗ROR1 CAR T細胞のOx/Cy/αPD-L1との併用療法は、腫瘍内T細胞浸潤を有する各マウスの腫瘍結節の割合を有意に改善した(
図14Iおよび14S)。
【0257】
IHC腫瘍結節試料を、CD3発現について定量した。全ての有核細胞のうちのCD3
+細胞の割合を、各マウスの各腫瘍結節について、HALOイメージングソフトウェアを使用して計算した。様々な処置群のすべての腫瘍結節それぞれに関するCD3浸潤のレベルを
図14Jにまとめ、CAR+Ox/Cy/αPD-L1処置マウスが最も高いレベルのT細胞浸潤を示す。実質的により高い割合の腫瘍が、CAR+Ox/Cy/αPDL1処置マウスにおいて少なくとも15%のCD3
+T細胞のレベルを示した(
図14K)。
【0258】
マルチプレックスIHCも実施し、CD8a、Foxp3に関して染色し、対照T細胞またはCAR T細胞(GFP)、およびDAPIを示した。
図15A、15B、および15Dに示されるように、抗ROR1 CAR+Ox/Cy/αPD-L1処置マウス由来の腫瘍は、対照T細胞を受けたマウス(いずれかの群)と比較して、CD8α、Foxp3、およびT細胞全体のレベルを増加させた。HALO定量により、抗ROR1 CAR+Ox/Cy/αPD-L1処置マウス由来の腫瘍が、抗ROR1 CAR T細胞のみを受けたマウス由来の腫瘍と比較して、より高いレベルのT細胞を有することが示された(
図15C)。
【0259】
(実施例6)
併用療法におけるCAR T細胞の機能的特徴付け
抗ROR1 CAR T細胞に関するOx/Cy/αPD-L1の効果を調査した。T細胞処置の5週間後の腫瘍におけるCD45.1
+CD8
+GFP
+対照または抗ROR1 CAR T細胞のフローサイトメトリー分析を実施した。
図16Aに示されるように、Ox/Cy/αPD-L1との組合せによって、抗ROR1 CAR T細胞のみによる処置と比較して、腫瘍における抗ROR1 CAR T細胞の頻度の増加がもたらされた。併用療法は、抗ROR1 CAR T細胞によるPD-1の(
図16B)、Ki-67の(対照および抗ROR1 CAR T細胞による;
図16C)、およびCD25の(腫瘍における全てのT細胞の;
図16D)発現の増加ももたらした。1B11発現は、腫瘍試料のすべてのT細胞に対してより高いことが観察されたが、発現は、Ox/Cy/αPD-L1による影響を受けることが観察されなかった(
図16E)。
【0260】
(実施例7)
遺伝子発現に関するICD療法の効果
ハイスループットRNAシークエンシングを、KPマウス腫瘍試料に関して実施した。
図16Aのボルケーノプロットは、in vivoでOx/Cyを受けたかまたは受けなかったKPマウスから切除された腫瘍間で差示的に発現されることが観察された遺伝子を示す。253個の遺伝子は、Ox/Cy処置KPマウス腫瘍において、2倍を超えて上方調節されることが観察された(
図17Aの上方左側の角、識別された代表的な遺伝子に関する)。上方調節された遺伝子をSTRINGデータベースに対して問い合わせ、
図17Bにまとめた例示的な機能的経路を識別した。理論により拘束されることを望まないが、これらの経路(サイトカイン-サイトカイン受容体相互作用;ケモカインシグナル伝達経路;および細胞接着分子)は、一部に関して、T細胞トラフィッキングに関連し得る。3つの例示的な経路内の選択された遺伝子の発現(Log2カウントパーミリオン)レベルを、未処置KPマウスおよびOx/Cyを受けたマウス由来の腫瘍において比較した。
図17Cおよび17Dにおいて示されるように、ほとんど全ての遺伝子が、Ox/Cy処置マウス由来の腫瘍において発現を増加させた。
【0261】
結果は、免疫原性細胞死を誘導する作用因子による処置が、腫瘍におけるT細胞トラフィッキングに関連し得る遺伝子の発現を誘導し、相乗的にCAR T細胞治療を改善することができるという観察と一致した。
【0262】
(実施例8)
ヒトTNBC患者におけるICD+CAR T細胞治療
進行性ROR1+慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、または急性リンパ性白血病(ALL)を有する患者、およびROR1+非小細胞肺がん(NSCLC)またはトリプルネガティブ乳がん(TNBC;エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2/Neuに関する遺伝子を発現しない)を有する患者において、ROR1を標的とする養子移入した自己CAR T細胞の安全性および抗腫瘍活性を評価するために、単施設試験を行った。手短に述べると、PCT特許出願公開第WO2014/031687号に記載されている抗体R12、スペーサードメイン、ならびに4-1BBおよびCD3ζシグナル伝達ドメインからのscFvを含むROR1特異的CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入した自己T細胞(1:1 CD4+:CD8+)による注入のおよそ36から96時間前に、選択基準を満たした患者は、細胞減少性化学療法を受けた(フルダラビンとシクロホスファミドまたはオキサリプラチンとシクロホスファミド)。様々な初期用量でT細胞を投与し、用量漸増または漸減を、患者の応答および有効性に応じて実施した。血中のCAR T細胞の存続性、サイトカインレベル、免疫原性およびマルチパラメトリックフローサイトメトリーの測定値を、複数の時点で評価した。臨床的に示したように、28~90日目、次いで、6および12カ月、および6カ月毎に、RECIST 1.1によるイメージング評定を実施した。
【0263】
7名の患者(4名のTNBC、3名のNSCLC)が参加し、処置を受けた。スクリーニングした29個のTNBC腫瘍の全ておよび20個のNSCLC腫瘍のうちの11個が、IHCで決定して、20%を超えるROR1の発現を有した。Ox/Cyを受けた1名のTNBC患者に関する例示的ROR1 IHCを
図18に示す。処置後の腫瘍の生検をこの患者で実施し;
図19A~19Cに示されるように、CD3
+T細胞とマクロファージが、抗ROR1 CAR T細胞による治療後に腫瘍中に存在することが観察された。
【0264】
結果は、ICDを誘導する化学療法による処置が、ヒト患者の固形腫瘍(TNBC)におけるCAR T細胞の存在に関連するという観察と一致した。
【0265】
上記の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を得ることができる。本明細書および/または米国特許仮出願第62/555,034号において言及する、および/または出願データシートに収載する、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公表文献の全ては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。様々な特許、出願および公表文献の概念を利用するために必要に応じて実施形態の態様を修飾して、なおさらなる実施形態を得ることができる。
【0266】
上記の詳細な説明に照らして、これらおよび他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、下記の特許請求の範囲において使用する用語は、本明細書および本特許請求の範囲において開示する特定の実施形態に、本特許請求の範囲を限定すると解釈すべきでなく、そのような特許請求の範囲に権利がある均等物の全範囲とともに全ての可能な実施形態を含むと解釈すべきである。したがって、本特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。